以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各実施の形態における構成の少なくとも一部を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
<第1実施形態>
[装置構成]
第1実施形態に係る生化学分析装置(以下、単に「分析装置」とも称する)は、ノズルにより検体および試薬の各々を反応容器に分注し、反応容器内の反応状態を光学的に測定するように構成される。以下、検体を「サンプル」または「試料」と称する場合がある。検体は、例えば、血液成分(血清又は血漿)または尿等である。この実施の形態では、分析装置の反応容器として、ディスポーザブルキュベットを採用する。
図1は、本発明の一実施形態に係る分析装置1の主要な箇所の構成例を示した概略平面図である。図1において、分析装置1の高さ方向をZ軸方向とし、分析装置1の幅方向をX軸方向とし、分析装置1の奥行き方向をY軸方向とする。Z軸方向は、分析装置1の鉛直方向でもある。分析装置1は、分析装置1の各部分を制御する制御装置500を有する。図1には、便宜上、右上に制御装置500が記載されているが、実際は、制御装置500は図1とは異なる位置に配置される。
制御装置500は、試料が収容された複数の収容容器2を所定位置に搬送する。制御装置500は、各収容容器2内の試料をノズルに吸引させ分注する。
収容容器2は、ラック3により保持された状態で分析装置1にセットされる。各ラック3は、複数の収容容器2を保持する。図1の例では、1つのラック3に5つの収容容器2が配置される。分析装置1は、設置部4を有する。設置部4には、複数のラック3が設置される。図1の例では、11個のラックが配置されている。
収容容器2は、典型的には、開口部を有する円筒形状を有している。収容容器2は、開口部が蓋部材で覆われる収容容器と、開口部が蓋部材で覆われない収容容器とがある。開口部が蓋部材で覆われる収容容器2を保持するラック3を、CTS(Closed Tube Sampling)ラックともいう。また、開口部が蓋部材で覆われない収容容器2を保持するラック3は、SAMラックともいう。また、各ラック3には、CTSラックおよびSAMラックのいずれであるかを判別するためのマークが設けられている。このマークは、典型的には、バーコードである。分析装置1は、このマークを読み取るマークセンサ700(図2参照)を有する。制御装置500は、マークセンサ700の検出結果に基づいて、試料を吸引する収容容器2を保持するラック3が、CTSラックおよびSAMラックのいずれであるのかを判別できる。
制御装置500は、ラック3を方向D1に沿って、搬送位置5に移動させる。方向D1は、ラック3が配列される方向である。方向D1は、X軸方向でもある。
次に、制御装置500は、ラック3を方向D2に沿って、設置部4から搬送する。方向D2は、方向D1と直交する方向である。方向D2は、Y軸方向でもある。本実施形態では、制御装置500は、ユーザによる開始操作の入力等に基づいて、複数のラック3を搬送位置5へと1つずつ順次移動させる。制御装置500は、搬送位置5から方向D2に沿って1つのラック3を搬送する。
設置部4から搬送されたラック3は、ラック搬送路6上で一旦停止される。制御装置500は、処理対象となるラック3がCTSラックおよびSAMラックのいずれであるのかを所定タイミングで判断する。処理対象となるラック3が、CTSラックであると判断された場合には、制御装置500は、ラック3(つまり、CTSラック)に保持されている収容容器2から、ピアサ7で蓋部材を貫通した後にノズル8を用いて試料を吸引する。ピアサ7は、先端が尖った筒状である。ピアサ7は、蓋部材に対して穿孔することから、「穿孔部材」ともいう。このように、ピアサ7は、蓋部材を貫通するためのものである。
また、処理対象となるラック3が、SAMラックであると判断された場合には、制御装置500は、ラック3(つまり、SAMラック)に保持されている収容容器2から、ノズル8を用いて試料を吸引する。
ピアサ7は、鉛直方向(つまり、Z軸方向)に延伸する。ピアサ駆動装置71は、ピアサ7を保持し、かつピアサ7を上昇および下降させるようにピアサ7を駆動する。ピアサ駆動装置71は、水平方向に延びるピアサアーム711を備える。ピアサアーム711の一端部にピアサ7が保持される。ピアサアーム711の他端部に回転軸712が取り付けられる。ピアサアーム711は、回転軸712を中心に回転可能である。ピアサ駆動装置71は、回転軸712を中心にピアサアーム711を回転させることによりピアサ7を円弧状の軌道717に沿って水平方向に移動させることができる。ピアサ駆動装置71は、ピアサアーム711を回転軸712に沿って鉛直方向にも移動させることができる。
ノズル8は、鉛直方向(つまり、Z軸方向)に延伸する。ノズル駆動装置81は、ノズル8を保持し、かつノズル8を上昇および下降させるようにノズル8を駆動する。ノズル駆動装置81は、水平方向に延びるノズルアーム811を備える。ノズルアーム811の一端部にノズル8が保持される。ノズルアーム811の他端部に回転軸812が取り付けられる。ノズルアーム811は、回転軸812を中心に回転可能である。ノズル駆動装置81は、回転軸812を中心にノズルアーム811を回転させることによりノズル8を円弧状の軌道817に沿って水平方向に移動させることができる。ノズル駆動装置81は、ノズルアーム811を回転軸812に沿って鉛直方向にも移動させることができる。
本実施形態では、制御装置500が、ピアサ駆動装置71を制御することにより、ピアサ7を駆動する。また、制御装置500が、ノズル駆動装置81を制御することにより、ノズル8を駆動する。制御装置500は、例えば、後述の図4~図8の手法により、ピアサ7で蓋部材を貫通させる。制御装置500が、該貫通したピアサ7内にノズル8を挿入させて、ノズル8を下降させる。制御装置500は、ピアサ内のノズル8により、収容容器2の試料を吸引する。吸引された試料は、一旦、所定の箇所で保持される。
また、ノズル8は試料を吸引する前に、試薬を吸引する場合がある。この場合には、例えば、ノズル8が試料を吸引する前に、ノズル駆動装置81が、ノズルアーム811を回転させて、試薬保持部815に保持されている試薬の上方にノズル8を移動させる。その後、ノズル駆動装置81が、ノズルアーム811を鉛直下方に移動させる。これにより、試薬中にノズル8が挿入され、ノズル8は試薬を吸引することができる。なお、変形例として、分析装置1は、別のノズルで試薬を吸引するようにしてもよい。
その後、ノズル駆動装置81が、ノズルアーム811を鉛直上方に移動させることにより、試薬中からノズル8を退避させる。その後、制御装置500は、図4~図8の試料の吸引動作を実行する。
このように、ピアサ7は、蓋部材22を貫通するための部材である。また、ノズル8は、蓋部材22を貫通したピアサ7内を通過しかつ試料を吸引する部材である。
制御装置500は、ノズル8を用いて、収容容器2の試料を吸引した後は、収容容器2からノズル8を退避させる。その後、制御装置500は、ノズルアーム811を回転させることにより、分注口814の真上にノズル8を停止させる。分注口814は、軌道817上に存在する。ノズル8が、分注口814の真上に停止した後、制御装置500は、ノズル8を下降させる。これにより、ノズル8が、分注口814に挿入される。制御装置500は、ノズル8が、分注口814に挿入された状態で、保持している試料を吐出することにより、分注口814に試料を分注する。分注口814に分注された試料は、分注口814に配置されたキュベットに注がれる。
ノズル8は、試料を吸引する度に収容容器2内およびピアサ7内から抜かれる。ノズル8は、分注後に洗浄液で洗浄された後、次の試料の吸引動作を行う。ノズル8が、同一の収容容器2から複数回にわたって試料を吸引する場合には、同一の収容容器2内にノズル8が複数回挿入される。ピアサ7は、同一の収容容器2から複数回にわたって試料が吸引される間、収容容器2に挿入された状態のまま維持される。
[分析装置のハードウェア構成]
次に、分析装置1のハードウェア構成を説明する。図2は、分析装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置500は、CPU(Central Processing Unit)530と、RAM(Random Access Memory)532と、記憶装置534と、各種信号を入出力するための入出力バッファ(図示せず)とを含んで構成される。
CPU530は、記憶装置534に格納されている制御プログラムをRAM532に展開して実行する。この制御プログラムは、制御装置500により実行される各種処理の手順が記されたプログラムである。記憶装置534には、制御プログラムのほか、各種処理に用いられる各種情報やデータも格納されている。制御装置500は、これらの制御プログラム並びに各種情報及びデータに従って、分析装置における各種処理を実行する。なお、処理については、ソフトウェアによるものに限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
なお、記憶装置534には、例えば、処理手順を記した制御プログラムのほか、試薬情報、分析スケジュール、分析履歴等の情報又はデータが登録されている。試薬情報は、各試薬の情報(例えば、試薬ID、試薬の種類、有効期限等)である。
分析スケジュールは、予約された全てのサンプルの分析を効率良く行うために、サンプル情報(例えば、各サンプルの分析項目)及び各ポートの空き状況等に基づいて決定される。例えば、分析スケジュールは、例えば、分注及び測定の各々のタイミングと、分注対象のサンプル及び試薬と、測定を行う測光ポートとを含む。分析スケジュールは、サンプルID毎(サンプル容器毎)に管理される。
分析履歴は、分析の途中経過を含む進行度合いを示し、分析の進行に応じて逐次更新される。分析履歴は、例えば、キュベットの移動経路(現在位置を含む)と、キュベットに分注されたサンプル及び試薬と、測定が行われた測光ポートと、測定結果とを含む。分析履歴は、キュベット毎に管理される。制御装置500及びユーザの各々は、分析履歴を参照することにより、分析スケジュールどおりに分析が行われたか(又は進行しているか)を確認することができる。
また、分析装置1は、ピアサ駆動装置71と、ノズル駆動装置81と、液面センサ82と、衝突センサ809と、ラック3とを有する。液面センサ82と、衝突センサ809との詳細は後述する。ノズル駆動装置81は、ノズル8を駆動する。制御装置500は、ピアサ駆動装置71に制御信号を送信する。ピアサ駆動装置71は、制御装置500からの制御信号に基づいてピアサ7を駆動する。ピアサ駆動装置71は、パルスモータを含む。以下では、ピアサ駆動装置71のパルスモータを「ピアサモータ713(図4等参照)」ともいう。制御装置500は、ピアサ駆動装置71のパルスモータに与えるパルス数によって、ピアサ7の位置を特定することができるとともに、ピアサ7の位置を制御することができる。つまり、ピアサ7の駆動量は、ピアサ駆動装置71のパルスモータに与えるパルス数に対応する。
また、制御装置500は、ノズル駆動装置81に制御信号を送信する。ノズル駆動装置81は、制御装置500からの制御信号に基づいてノズル8を駆動する。ノズル駆動装置81は、パルスモータを含む。ノズル駆動装置81のパルスモータを「ノズルモータ813(図6等参照)」ともいう。制御装置500は、ノズル駆動装置81のパルスモータに与えるパルス数によって、ノズル8の位置を特定することができるとともに、ノズル8の位置を制御することができる。つまり、ノズル8の駆動量は、ノズル駆動装置81のパルスモータに与えるパルス数に対応する。
このように、制御装置500は、ノズル8およびピアサ7を駆動する。また、制御装置500は、図1で説明したように、ラック3を駆動する。ラック3は、収容容器2が配置される部材である。ラック3は、本開示の「配置部」に対応する。
[分析システムの構成例]
次に、分析装置1を含む分析システムの構成例を説明する。図3は、分析システム120の構成例を示すブロック図である。図3の例での分析システム120は、分析装置1と、入力装置200と、表示装置250と、ホスト装置270とを有する。ホスト装置270は、本開示の「外部装置」に対応する。
入力装置200は、ユーザから様々な情報が入力される装置である。入力装置200は、マウスおよびキーボード等を含む。入力装置200から入力された情報は、分析装置1に送信される。表示装置250は、分析装置1の制御により、様々な情報を表示する。また、分析装置1は、入力装置200と表示装置250との少なくとも1の装置を含む構成としてもよい。また、分析システム120は、入力装置200と表示装置250とが一体化させたタッチパネルを含むようにしてもよい。また、分析装置1が、このタッチパネルを含むようにしてもよい。ホスト装置270は、分析装置1の上流装置である。ホスト装置270からの情報は、分析装置1に入力される。ホスト装置270は、分析装置1からのエラー通知を受信したときに、エラー報知を実行する。
[試料の吸引]
次に、図4~図8を用いて、ピアサ7とノズル8を用いて、蓋部材22を有する収容容器2内の試料の吸引の流れを説明する。なお、収容容器2が載置されているラックの一部を載置部として示されている。
図4は、ピアサ7が蓋部材22を貫通する前の状態を示す図である。ピアサ駆動装置71は、ピアサ7を収容容器2内に挿入する場合には、ピアサアーム711を回転させることにより、図4に示すように、ピアサ7を収容容器2の上方に水平移動させる。
図5は、ピアサ7が蓋部材22を貫通した後の状態を示す図である。ピアサ駆動装置71は、回転軸712およびピアサアーム711を鉛直下方に移動させることにより、ピアサ7を鉛直下方に移動させる。これにより、ピアサ7が蓋部材22を貫通し、その後、ピアサ7が収容容器2内に進入する。
図6は、ピアサ7が蓋部材22を貫通した後、ノズル8を収容容器2内に挿入する前の状態を示す図である。ノズル駆動装置81は、ノズル8を収容容器2内に挿入する場合には、ノズルアーム811を回転させることにより、収容容器2に挿入されたピアサ7の上方にノズル8を水平移動させる。その後、図6に示すように、ノズル駆動装置81は、ピアサ7内部にノズル8を挿入するように、ノズル8を鉛直下方に移動させる。
ここで、図6に示すように、ノズルアーム811内部には、液面センサ82が設けられている。液面センサ82は、典型的には、静電容量センサである。液面センサ82は、ノズル8の先端またはノズル8の側面が試料に接触したときに、静電容量の変化を検出する。液面センサ82は、静電容量の変化に基づいて、ノズル8の試料の接触を検知する。
図7は、ノズル8が試料17の液面17Aに接触した状態を示す図である。図7に示すように、ノズル8が下降し、図7に示すように、ノズル8の先端が試料の液面17Aに接触した場合には、液面センサ82は、静電容量の変化に基づいて、ノズル8の先端が液面17Aに接触したことを検知する。制御装置500は、液面センサ82の検出結果に基づいて、ノズル8の先端が液面17Aに接触したことを特定する。このように、液面センサ82は、ノズル8が、試料に接触したことを検知するセンサである。液面センサは、本開示の「第1センサ」に対応する。
制御装置500は、ノズル8の先端が液面17Aに接触したことを特定した場合に、ノズル8を、さらに、予め定められた所定量、下降させる。ノズル8が所定量、下降することにより、ノズル8は、試料17内に挿入される。
図8は、ノズル8は、試料17内に挿入されている状態を示す図である。制御装置500は、ノズル8が収容容器2内の試料中に浸漬された状態で、ポンプ(図示せず)を駆動させることにより、収容容器2内の試料を吸引する。上述のように、制御装置500は、吸引した試料を、分注口814に分注する。
[衝突センサ]
次に、衝突センサ809を説明する。図4および図5で説明したように、制御装置500は、ピアサ7に蓋部材22を貫通させる。一般的に蓋部材22は、ゴム状であるが、蓋部材22の硬度が高い(蓋部材22が硬い)場合には、ピアサ7が貫通できない場合がある。ピアサ7が蓋部材22を貫通していない状態で、ノズル8をさらに下降させると、蓋部材22によるノズル8への圧接等により、ノズル8が破損する場合がある。そこで、本実施形態の分析装置1は、ノズル8が被衝突物と衝突したことを検知する。たとえば、ピアサ7が蓋部材22を貫通していない場合においては、被衝突物は、該蓋部材22となる。また、ピアサ7が蓋部材22を貫通している場合において、ノズル8が下降された場合には、該ノズル8は収容容器2内に挿入される。該ノズル8は収容容器2内に挿入される場合に、ノズル8が、該収容容器2内の被衝突物としての不純物と衝突する場合がある。この場合にも、本実施形態の分析装置1は、ノズル8が被衝突物と衝突したことを検知する。
また、ノズル8が蓋部材22に衝突したことが検知されたことに基づいて、制御装置500は、第2エラー処理を実行する。
また、第2エラー処理は、第2アラーム処理と、第2エラー記憶処理とのうち少なくとも一方を含む。第2アラーム処理は、スピーカ722から、第2アラーム音を出力する処理と、表示装置250にエラー画像を表示する処理とである。第2アラーム音は、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを示す音である。また、第2エラー画像は、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを示す画像である。第2エラー画像は、たとえば、後述の「Pミス」という画像である。第2エラー記憶処理は、エラー履歴を所定の記憶領域に記憶させる処理である。所定の記憶領域は、分析装置1の記憶領域としてもよく、分析装置1の外部装置の記憶領域としてもよい。さらに、エラー記憶処理が実行された場合において、ユーザにより、第2エラー画像を表示させる操作が入力装置200に対して行われたときに、記憶されているエラー履歴が表示装置250に表示される。以下に、衝突状態を検知する衝突センサを説明する。
図9は、衝突センサを説明するための図である。図9は、ノズルアーム811の内部を示す図である。図9(A)は、ノズル8が、衝突状態ではない状況を示す図である。図9(B)は、ノズル8が、衝突状態である状況を示す図である。
ノズルアーム811には、付勢部材803と、遮光板804と、基部805と、保持部材806と、衝突センサ809とが配置される。基部805は、ノズル8を支持する部材である。基部805は、ノズル8に接合されている。衝突センサ809は、本開示の「第2センサ」に対応する。付勢部材803は、例えば、バネであり、より特定的には、圧縮コイルバネである。付勢部材803の一端は、ノズルアーム811の内面に取り付けられている。また、付勢部材803の他端は、保持部材806により保持されている。保持部材806は、付勢部材803を保持するとともに、基部805の外周に接合されている。したがって、付勢部材803は、ノズル8をZ軸方向の下向きに付勢している。
遮光板804は、断面L字形状を有する。また、遮光板804の一端は、基部805の外周に接合されている。衝突センサ809は、光出力部801と、光入力部802とを有する。光出力部801は、光入力部802に対して光を出力する。光入力部802に光が入力されている状況では、光信号が制御装置500に送信される。光信号は、光入力部802に光が入力されていることを示す信号である。
ノズル駆動装置81は、回転軸812を下降させることにより、ノズル8を下降させる。図9(A)に示すように、ノズル8が衝突状態ではない場合には、光出力部801からの光は遮光板804により遮光される。したがって、ノズル8が衝突状態ではない場合には、光出力部801からの光は、光入力部802に入力されない状態となる。上述のように、ノズル8に付勢部材803の力が下方向に印加される。したがって、衝突状態ではない状況(例えば、ノズル8が被衝突物に衝突し始めた状況)では、ノズル8に対して印加される力により、光入力部802に光が入力されていない状態(つまり、図9(A)に示す状態)が維持される。
しかしながら、ノズル8が被衝突物(たとえば、蓋部材22)に接触し始めたときから、さらに、ノズル駆動装置81がノズル8を下降させた場合には、ノズル8は蓋部材22によりせき止められることから、ノズル8に対してZ軸方向の上向きに力が印加される。そして、ノズル8の下降が継続した結果、ノズル8に対して上向きに印加される力が、ノズル8に対して付勢部材803により下向きに印加される力を超えた場合に、図9(B)に示すように、ノズルアーム811に対してノズル8は上昇する。
ノズルアーム811に対してノズル8が上昇することにより、ノズル8に接合されている遮光板804も上昇する。図9(B)に示すように、遮光板804が上昇すると、光出力部801からの光が遮光板804により遮光されなくなる。この結果、光入力部802には、光が入力される。光入力部802に光が入力された場合には、制御装置500には、光入力部802からの光信号が入力される。制御装置500は、光信号が入力されることにより、衝突状態であることを特定する。
このように、図9の例では、ノズルアーム811に対してノズル8が上昇したときには、光入力部802に光が入力されていない状態から、光入力部802に光が入力される状態に切り替わる構成となっている。変形例として、ノズルアーム811に対してノズル8が上昇したときには、光入力部802に光が入力されている状態から、光入力部802に光が入力されない状態に切り替わる構成としてもよい。
つまり、分析装置1は、光を出力する光出力部801と、光が入力される光入力部802と、付勢部材803とを備える。付勢部材803は、ノズル8に対して下向きの方向(つまり、収容容器2の方向)に、力を印加する。そして、ノズル8が、ノズルアーム811に対して上方向に移動して、光入力部802の入力状態が変更した場合に、制御装置500は、衝突状態であることを特定する。光入力部802の入力状態の変更は、本実施形態のように、「光入力部802に光が入力されていない状態から、光入力部802に光が入力されている状態への変更」としてもよい。また、光入力部802の入力状態の変更は、変形例のように、「光入力部802に光が入力されている状態から、光入力部802に光が入力されていない状態への変更」としてもよい。
また、上述のように、ノズル8の衝突状態が検知される場合は、主に、「ピアサ7内の被衝突物に衝突した場合」、「ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかった場合に、ノズル8が、被衝突物としての該蓋部材22に衝突した場合」、および「ピアサ7が蓋部材22を貫通できた場合に、ノズル8が、収容容器22内の被衝突物に衝突した場合」がある。
本実施の形態では、分析装置1は、以下の手法により、「ノズル8が、被衝突物としての該蓋部材22に衝突したこと」を検知する。図10は、第1記憶装置5341に記憶されている第1情報の一例である。第1記憶装置5341は、記憶装置534(図2参照)に含まれる。図10では、第1蓋部材と、第2蓋部材とが規定されている。
第1蓋部材は、第2蓋部材よりも伸張し易い素材であるとする。また、第1蓋部材に対応するパルスはP1であり、第2蓋部材に対応するパルスはP2である。ただし、P1>P2である。一般的に、ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかった場合において、蓋部材22が第1蓋部材である場合には、蓋部材22が第2蓋部材である場合よりも、蓋部材22は伸張する。したがって、ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかった場合において、ノズル8が該蓋部材22に衝突する箇所は、蓋部材22が第1蓋部材である場合の方が、蓋部材22が第2蓋部材である場合よりもZ軸方向において低くなる。そこで、図10に示すように、P1>P2であることが設定される。
制御装置500は、蓋部材22の種別を取得する。制御装置500は、たとえば、蓋部材22が第1蓋部材および第2蓋部材のいずれであるかを特定する。制御装置500は、ノズル8が衝突したことが衝突センサ809により検知されたときのノズル8の駆動量(つまり、パルス数)が、取得された蓋部材22の種別に関連付けられている駆動量(つまり、図10に示すパルスP1またはパルスP2)である場合に、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを特定する。
たとえば、制御装置500は、蓋部材22が第1蓋部材であることを特定した場合には、ノズル8が衝突したことが検知されたときのノズル8の駆動量(つまり、パルス数)が、P1である場合(またはP1に近い値である場合)に、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを特定する。また、制御装置500は、蓋部材22が第2蓋部材であることを特定した場合には、ノズル8が衝突したことが検知されたときのノズル8の駆動量(つまり、パルス数)が、P2である場合に(またはP2に近い値である場合)、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを特定する。
なお、図10では、2種類の蓋部材22のパルス数が規定されている。しかしながら、3種類以上の蓋部材22のパルス数を規定するようにしてもよい。つまり、図10の情報は、2以上の蓋部材22の種別それぞれに、パルス(つまり、所定の駆動量)が関連づけられている情報である。
上述のように、各ラック3には、CTSラックおよびSAMラックのいずれであるかを判別するためのマークが設けられている。CTSラックを判別するためのマークには、このCTSラックに保持されている収容容器2の蓋部材22の種別を制御装置500が判定できる情報を含んでいてもよい。この場合、制御装置500は、マークセンサ700の検出結果に基づいて、収容容器2の蓋部材22の種別を取得する。次に、制御装置500は、図10の設定内容を示す情報を参照して、蓋部材22の種別に関連付けられているパルス数を取得する。
また、制御装置500は、ノズル8が、蓋部材22に衝突したことが制御装置500により特定された場合、つまり、第2エラー処理を実行する場合には、ピアサ7の再貫通処理を実行する。ピアサ7の再貫通処理は、ピアサ7が蓋部材22を貫通出来なかった場合において、再度、ピアサ7に蓋部材22を貫通させる処理である。再貫通処理は、ピアサ7を一旦、上昇させて、再びピアサ7を下降させることにより、蓋部材22への貫通を試みる処理である。
また、再貫通処理の回数には、制限回数が規定されている。制御装置500が、再貫通処理を多く実行してしまうと、ピアサ7が蓋部材22に衝突したことに基づいて、蓋部材22の破片が、試料17に混入してしまう可能性がある。また、制御装置500が、再貫通処理を多く実行してしまうと、ピアサ7が蓋部材22に衝突したことに基づいて、ピアサ7が破損する可能性もある。
そこで、再貫通処理の回数には、制限回数を設けることにより、「蓋部材22の破片が、試料17に混在してしまう可能性」、および「ノズル8が破損する可能性」を低減できる。制限回数は、本開示の「所定回数」に対応する。制限回数は、例えば、「2回」である。
制御装置500は、再貫通処理の回数が所定回数に到達するまでは、再貫通処理を実行する。また、制御装置500は再貫通処理の回数が所定回数に到達したときには、アラームを報知する。このアラームの報知は、例えば、スピーカ722から、アラーム音を出力させることである。
[ピアサ内での液面検知]
ピアサ7が蓋部材22を貫通できた後においては、制御装置500は、図6に示すように、ピアサ7の内部にノズル8を挿入して、かつノズル8を下降させる。
ここで、例えば、収容容器2が採血管である場合を説明する。通常、採血は採血針を用いて看護師等により行われる。被験者から採取した血液は、蓋部材22がされたままの採血管に収容される。看護師が、採血後、採血管から採血針を外す場合に、蓋部材22の上部に少量の血液が付着する場合がある。この場合に、ピアサ7が、蓋部材22を貫通する場合に、ピアサ7の内部に、蓋部材22に付着していた血液が侵入する場合がある。また、ピアサ7が蓋部材22を貫通した場合に、収容容器2内の圧力値と、収容容器2外の圧力値との相違により、収容容器2内の試料17が、ピアサ7に逆流する場合もある。この場合にも、ピアサ7の内部に、血液が付着する。
図11は、ピアサ7の内部に血液(試料)が付着している状況を示す図である。図11の付着している試料を液滴610とする。液滴610は、試料の一部である。図11の例では、液滴610に対して、ノズル8の先端が接触している状況が示されている。ノズル8の先端が液滴610に接触した場合には、液面センサ82が、液滴610を検出する。したがって、制御装置500は、この液滴610の検出に基づいて、ノズル8の吸引を開始することから、ノズル8の空吸引を実行することになる。空吸引は、検体が存在しない箇所での吸引である。
そこで、本実施形態においては、制御装置500が、ピアサ7の内部でノズル8が試料(図11の例では、液滴610)に接触したことが検知されたときに第1エラー処理を実行する。
第1エラー処理は、第1アラーム処理と、第1エラー記憶処理とのうち少なくとも一方を含む。第1アラーム処理は、スピーカ722から、第1アラーム音を出力する処理と、表示装置250に第1エラー画像を表示する処理とである。第1エラー画像は、ピアサ7の内部でノズル8が試料を検知したことを示す画像である。第1エラー画像は、たとえば、後述の「Pミス」という画像である。第1エラー記憶処理は、エラー履歴を所定の記憶領域に記憶させる処理である。所定の記憶領域は、分析装置1の記憶領域としてもよく、分析装置1の外部装置の記憶領域としてもよい。さらに、エラー記憶処理が実行された場合において、ユーザにより、第1エラー画像を表示させる操作が入力装置200に対して行われたときに、記憶されているエラー履歴が表示装置250に表示される。また、制御装置500は、第1エラー処理を実行する場合には、ノズル8に吸引処理を実行させない。制御装置500は、第1エラー処理を実行する場合には、ノズル8に吸引処理を実行させずに、再吸引処理を実行する。再吸引処理は、ノズル8を一旦、上昇させて、再びノズル8を下降させた後での該ノズル8による吸引処理である。
次に、制御装置500が、ピアサ7の内部でノズル8が試料を検知する手法を説明する。図12は、ピアサ7の内部でノズル8が試料を検知する手法を示す図である。図12では、ピアサ7の先端の初期位置X1と、ノズル8の先端の初期位置X2とが示されている。破線で示されたピアサ7は、初期位置に存在するピアサ7を示す。実線で示されたピアサ7は、蓋部材22を貫通したピアサ7を示す。ピアサ7の先端の初期位置X1は、駆動される前のピアサ7の先端の位置である。ノズル8の先端の初期位置X2は、駆動される前のノズル8先端の位置である。また、図8等に示すように、ノズル8の先端の初期位置X2は、ピアサ7の先端の初期位置X1よりも高くなるように設定されている。
図12の例でのピアサ7は、テーパ面7Aが形成されることにより、ピアサ7の先端が形成される。ピアサ7は、ピアサ7の延伸方向において、第1長さL1と、第1長さよりも長い第2長さL2とを有する。ピアサ7が、蓋部材22を貫通させるために、ピアサ7を駆動させる距離は定められている。この距離は、距離L2+L4である。また、初期位置X2と初期位置X1との距離を距離L5とする。
図11および図12に示すように、ピアサ7の内部の液滴610にノズル8が接触する場合のノズル8の駆動距離LNは、L4+L5<LN<L4+L5+L2となる。また、ノズル8の駆動距離LNが、LN≧L4+L5+L2となった場合において、ノズル8の試料に対する接触が検知された場合というのは、ピアサ7の外部での試料にノズル8が接触したということである。
そこで、本実施形態では、ノズル8の駆動距離LNが、L4+L5+L2より小さい場合において、ノズル8の試料に対する接触が検知された場合には、制御装置500は、ピアサ7の内部の液滴610にノズル8が接触したと判断する。換言すれば、ノズル8の駆動量が、L4+L5+L2に対応する駆動量よりも小さい場合において、ノズル8の試料に対する接触が検知された場合には、制御装置500は、ピアサ7の内部の液滴610にノズル8が接触したと判断する。また、駆動量に関する閾値Thを、「L4+L5+L2に相当する駆動量」とする。この場合には、ノズル8の駆動量が、閾値Thよりも小さい場合において、ノズル8の試料に対する接触が検知された場合には、制御装置500は、ピアサ7の内部の液滴610にノズル8が接触したと判断する。
また、閾値Thは、距離L4と、距離L5と、距離L2とに相当する駆動量である。また、距離L4と距離L5とは予め定められている値であることから、閾値Thは、ピアサ7の延伸方向の長さL2に相当する駆動量と称することもできる。つまり、制御装置500は、ノズル8の駆動量(つまり、ノズル8の駆動距離)が、閾値Thよりも小さい場合において、ノズル8が試料に接触した場合には、ピアサ7の内部でノズル8が試料に接触したことを特定する。換言すれば、制御装置500は、ピアサ7の内部でノズル8が試料に接触したことが検知されたことを、ノズル8の駆動量とピアサ7の延伸方向の長さL2に相当する駆動量とに基づいて特定する。
また、ピアサ7の内部において、ノズル8が斜めに下降する場合もある。この場合には、ノズル8の側面で液滴610が接触したことを制御装置500は特定する。図13は、ノズル8の側面で液滴610が接触した状況を示す図である。図13に示す場合であっても、制御装置500は第1エラー処理を実行する。なお、図13の例では、ノズル8の先端が少し、ピアサ7から突出している。このように、ノズル8の先端が少し、ピアサ7から突出しており、かつノズル8が液滴610に接触した場合であっても、制御装置500が、ノズル8が液滴610に接触したことを特定できるようにしてもよい。例えば、ピアサの延伸方向の長さをL3としてもよい。ただし、L3=L2+αである。分析装置1の設計者等が、αの値を定めるようにしてもよい。なお、変形例として、ピアサの延伸方向の長さをL1としてもよい。
また、ノズル8が、ピアサ7内で液滴610に接触する状況というのは、一の収容容器2において、1回目の吸引処理において生じ得る状況である。
[収容容器内での液面検知]
図8等でも説明したように、ピアサ7が、蓋部材22を貫通した後において、該貫通後のピアサ7の内部に、ノズル8が挿入されて、該ノズル8が、収容容器2の試料を吸引する。例えば、一の収容容器2で複数回の吸引処理を実行する場合において、一の吸引処理が実行した後は、収容容器2内の試料は減少している。したがって、一般的には、吸引処理を実行する場合の液面の高さは、この吸引処理よりも1つ前の吸引処理を実行する場合の液面の高さよりも低くなっている筈である。
しかしながら、例えば、分析装置1の振動等が生じたことにより、試料の液面の上部で試料の気泡等が生じる場合がある。図14は、試料17の液面17Aの上部で、気泡612が生じている状況の一例を示す図である。図14に示すように、ノズル8が、気泡612に接触したとする。この場合には、ノズル8が試料17の液面に到達していないにもかかわらず、制御装置500は、液面センサ82の検出結果に基づいて、ノズル8が試料17の液面に接触したことを特定してしまう。この場合には、ノズル8は空吸引を実行してしまう場合がある。
そこで、本実施形態では、制御装置500は、ノズル8が液面17Aに接触したことが検知されたときに、このノズル8の高さを特定し、該特定されたノズル8の高さを記憶装置534に記憶する。このノズル8の高さを「前回高さ」ともいう。また、ノズル8による液面17Aの接触の検知を「前回検知」ともいう。ノズル8の高さは、ノズル8の初期位置からの駆動量に対応する。ノズル8の駆動量は、ノズルモータに出力しているパルス数であることから、制御装置500は、このパルス数を、ノズル8の高さとして特定する。制御装置500が、前回高さを記憶した後に、ノズル8に吸引処理を実行させる。
その後、次の吸引処理が実行される場合において、ノズル8が液面17Aに接触したことが検知されたときに、このノズル8の高さを特定し、該特定されたノズル8の高さを記憶装置534に記憶する。このノズル8の高さを「今回高さ」ともいう。また、ノズル8による液面17Aの接触の検知を「今回検知」ともいう。また、「今回高さ」が、本開示の「第1高さ」に対応する。また、「前回高さ」が、本開示の「第2高さ」に対応する。
図15は、ノズル8が接触した液面17Aの例を示す図である。図15(A)は、前回高さについての液面17Aの一例を示す図である。図15(B)は、ノズル8に気泡612等が生じない場合の今回高さについての液面17Aの一例を示す図である。図15(C)は、ノズル8に気泡612等が生じた場合の今回高さについての液面17Aの一例を示す図である。なお、図15の例では、ノズル8の位置の高さは、収容容器2の底面2Bを基準とした高さであるとする。
制御装置500は、今回高さ(つまり、第1高さ)が、前回高さ(つまり、第2高さ)よりも高いか否かを判断する。図15(A)および図15(B)に示すように、今回高さH1の方が前回高さH2よりも低いと判断した場合(つまり、今回高さH1<前回高さH2と判断した場合)には、制御装置500は、ノズルの吸引処理を実行する。
一方、図15(A)および図15(C)に示すように、制御装置500は、今回高さH3の方が前回高さH2よりも高いと判断した場合(つまり、今回高さH3>前回高さH2と判断した場合)には、第3エラー処理を実行する。なお、図15(C)の状況は、気泡612ではなく、液面17Aの上方に、試料17の一部が付着した場合でも生じ得る。また、前回高さが、図15(A)に示す場合であり、今回高さが、図13に示す場合であっても、今回高さH3の方が前回高さH2よりも高いと判断される。したがって、この場合にも、制御装置500は、第3エラー処理を実行する。
第3エラー処理は、第3アラーム処理と、第3エラー記憶処理とのうち少なくとも一方を含む。第3アラーム処理は、スピーカ722から、第3アラーム音を出力する処理と、表示装置250に第3エラー画像を表示する処理である。第3エラー画像は、収容容器2の内部でノズル8が試料を検知したことを示す画像である。第3エラー画像は、後述のSアップという画像である。第3アラーム音は、収容容器2の内部でノズル8が試料を検知したことを示す音である。第3エラー記憶処理は、エラー履歴を所定の記憶領域に記憶させる処理である。所定の記憶領域は、分析装置1の記憶領域としてもよく、分析装置1の外部装置の記憶領域としてもよい。さらに、エラー記憶処理が実行された場合において、ユーザにより、第3エラー画像を表示させる操作が入力装置200に対して行われたときに、記憶されているエラー履歴が表示装置250に表示される。また、制御装置500は、第3エラー処理を実行する場合には、ノズル8に吸引処理を実行させずに、再吸引処理を実行する。再吸引処理は、上述のように、ノズル8を一旦、上昇させて、再びノズル8を下降させた後での該ノズル8による吸引処理である。なお、第1エラー処理~第3エラー処理が実行される場合には、ピアサ7内に液滴610が存在する場合がある(図13参照)。したがって、制御装置500は、ピアサ7を収容容器2から抜いて、該ピアサ7に対して洗浄および乾燥を行うようにしてもよい。その後、制御装置500は、ピアサ7を再び下降させる。
このように、制御装置500は、ノズル8が試料17の液面17Aに接触したことを液面センサ82が検知したときのノズル8の今回高さ(つまり、第1高さ)と、記憶装置534に記憶されておりかつ液面センサ82が前回検知したときのノズル8の前回高さ(つまり、第2高さ)とに基づいて第3エラー処理を実行する。典型的には、制御装置500は、今回高さ(つまり、第1高さ)が、前回高さ(つまり、第2高さ)よりも高いか否かを判断する。制御装置500は、今回高さH3の方が前回高さH2よりも高いと判断した場合(つまり、今回高さH3>前回高さH2と判断した場合)には、第3エラー処理を実行する。
また、図15(D)に示すように、試料17の表面張力等の影響で、液面17Aの外側の部分が、液面17Aの中央部よりも上昇する場合がある。この場合において、さらに、ノズル8の先端が斜め方向に向いたまま、ノズル8が下降する場合がある。この場合には、今回高さH4>前回高さH2となる場合がある。
しかしながら、図15(D)に示す状態でノズル8が試料17を吸引したとしてもノズル8が空吸引する確率は低い。したがって、図15(D)に示す状態では、制御装置500は、ノズル8の吸引処理を実行する。つまり、今回高さが、前回高さより高い場合であっても、今回高さと前回高さとの差分ΔHが、閾値未満である場合には、制御装置500は、ノズル8の吸引処理を実行する。差分ΔHが、差分の閾値未満である場合とは、図15(D)に示すように、差分ΔHが極めて小さいことである。閾値は、ノズルモータ813の所定のパルス分に対応する値とされる。所定のパルス分は、たとえば、10パルスであり、約1.5mmである。
本実施形態では、制御装置500は、今回高さの方が前回高さよりも高く、かつ、今回高さと前回高さとの差分ΔHが、閾値以上である場合には、第3エラー処理を実行する。なお、変形例として、制御装置500は、閾値を用いずに、今回高さの方が前回高さよりも高いと判断した場合に、第3エラー処理を実行するようにしてもよい。このように、制御装置500は、今回高さの方が前回高さよりも高いことに基づいて、第3エラー処理を実行する。
また、制御装置500は、他の要件でもエラー処理を実行可能である。例えば、図16は、他の要件の一例を説明するための図である。本実施形態では、図16に示すように、試料17の液面17Aについて、上限値と下限値とが設定されている。液面センサ82が試料17を検出した場合の駆動量が上限値に対応する駆動量よりも少ない場合、つまり、上限値よりも上方の高さで液面センサ82が試料17を検出した場合には、制御装置500は、第4エラー処理を実行する。第4エラー処理は、例えば、収容容器2に過度に多い試料17が収容されている場合などに実行される。
第4エラー処理は、第4アラーム処理と、第4エラー記憶処理とのうち少なくとも一方を含む。第4アラーム処理は、スピーカ722から、第4アラーム音を出力する処理と、表示装置250に第4エラー画像を表示する処理である。第4エラー画像は、液面センサ82の検出位置が、上限値よりも高い位置であることを示す画像である。第4エラー画像は、後述のSミスに対応する。第4アラーム音は、液面センサ82の検出位置が、上限値よりも高い位置であることを示す音である。第4エラー記憶処理は、第4エラーのエラー履歴を所定の記憶領域に記憶させる処理である。所定の記憶領域は、分析装置1の記憶領域としてもよく、分析装置1の外部装置の記憶領域としてもよい。さらに、エラー記憶処理が実行された場合において、ユーザにより、第4エラー画像を表示させる操作が入力装置200に対して行われたときに、第4エラー画像が表示装置250に表示される。
また、液面センサ82が試料17を検出した場合の駆動量が下限値に対応する駆動量よりも多い場合、つまり、下限値よりも下方の位置で液面センサ82が試料17を検出した場合には、制御装置500は、第5エラー処理を実行する。第5エラー処理は、例えば、収容容器2に過度に少ない試料17が収容されている場合などに実行される。
第5エラー処理は、第5アラーム処理と、第5記憶処理とのうち少なくとも一方を含む。第5アラーム処理は、スピーカ722から、第5アラーム音を出力する処理と、表示装置250に第5画像を表示する処理である。第5画像は、液面センサ82の検出位置が、下限値よりも低い位置であることを示す画像である。第5エラー画像は、後述のSフソクに対応する。第5アラーム音は、液面センサ82の検出位置が、下限値よりも低い位置であることを示す音である。第5記憶処理は、第5エラーのエラー履歴を所定の記憶領域に記憶させる処理である。所定の記憶領域は、分析装置1の記憶領域としてもよく、分析装置1の外部装置の記憶領域としてもよい。さらに、エラー記憶処理が実行された場合において、ユーザにより、第5画像を表示させる操作が入力装置200に対して行われたときに、第5画像が表示装置250に表示される。なお、図16に示すように、上限値と下限値との間の範囲を「正常範囲」という。
[エラー表示について]
次に、表示装置250によるエラー表示の一例を説明する。図17は、分析装置1に対する依頼の一覧画面の一例である。図17の画面に示すように、分析装置1に対する依頼は、たとえば、入力装置200から入力される。図17の例では、主に、依頼識別欄950と、検体欄951と、ラック欄952と、ステータス欄954と、分析項目欄956と、依頼一覧ボタン906と、データ一覧ボタン908と、エラーボタン910とが表示されている。図17の画面は、依頼一覧ボタン906が操作されたときに表示される。
依頼識別欄950には、各依頼を識別するための識別情報が表示される。依頼識別欄950には、識別情報として、依頼ナンバーが表示されている。検体欄951には、分析対象の検体を識別するための情報が表示されている。図17の例では、たとえば、検体の識別情報としてS1~S8が表示されている。また、検体の識別情報として、検体バーコードを表示するようにしてもよい。ラック欄952には、ラックの種別と、依頼日時とが表示される。ラックの種別とは、検体が格納されている場所を示す情報である。たとえば、依頼ナンバーが「2」の依頼については、ラックとして「S001-02」であり、依頼日時が「4/19の14:26」であることが表示されている。また、ラックの種別の頭文字の「S」は、SAMラックを示し、「P」は、CTSラックを示す。
また、依頼ナンバー毎に実行される分析の項目(以下、「分析項目」という。)が対応づけられている。図17の例では、分析項目として、分析項目A~分析項目Dが存在する。各分析項目では、使用される試薬、使用される検体の量、および分析手法が規定される。また、分析項目Aによる分析、分析項目Bによる分析、分析項目Cによる分析、分析項目Dによる分析という順番で、各分析が実行される。また、1の検体に依頼されている1以上の分析項目を「複数の分析項目」ともいう。このように、本実施の形態では、分析機構723は、制御装置500の制御のもと、1の検体に対して複数の分析項目(分析項目A~分析項目D)それぞれによる分析を実行可能である。また、表示装置250は、検体(つまり、検体の識別情報S1~S8)を表示する。
また、ステータスの欄には、エラーメッセージが表示される。ここで、図17の例では、エラーメッセージとして、「Sアップ×」という情報と、「Pミス×」という情報が表示されている。「Sアップ×」という情報は、第3エラー処理に基づくエラーを示す第3エラーメッセージ(後述の図19参照)または第3エラー画像に対応する。「Pミス×」という情報は、第1エラー処理に基づくエラーを示す第1エラーメッセージ(後述の図19参照)と、第2エラー処理に基づくエラーを示す第2エラーメッセージ(後述の図19参照)とを示す。また、「Pミス×」という情報は、上述の第1エラー画像または第2エラー画像に対応するとしてもよい。
また、図示しないが、「Sミス」という第4エラーメッセージ(後述の図19参照)と、「Sフソク」という第5エラーメッセージ(後述の図19参照)も表示される。「Sミス」は、第4エラー画像または第4エラー処理に基づくエラーを示すエラーメッセージである。「Sフソク」は、第6エラー画像または第5エラー処理に基づくエラーを示すエラーメッセージである。また、他のエラーメッセージが表示されるようにしてもよい。他のエラーメッセージは、たとえば、試薬の分注に失敗したことを示すエラーメッセージ、および試薬が不足していることを示すエラーメッセージがある。
図18は、分析結果の一覧を示す図である。図17のデータ一覧ボタン908が操作されると、制御装置500は、図18の分析結果の一覧の画面を表示する。図18の例では、依頼識別欄950と、検体欄951と、ラック欄952と、分析結果欄959とが表示される。また、図18の例での依頼識別欄950に記載されている時刻は、分析装置1による処理が終了した時刻である。図18の例では、分析結果961~分析結果964の4つの分析結果が示されている。
分析結果961においては、検体S7の分析結果が示されており、分析項目Aについては分析結果A10が導出されている。しかしながら、次の分析項目Bについては、Sアップのエラーが検知されている。ここで、「Sアップ」のエラーは、図15(C)については、液面センサ82により液滴610が検出された場合のエラーである。このエラーは、ノズル8が液滴610に接触した場合に検知されるエラーであり、ノズル8が液滴610に接触することにより、液滴610は落下し、液滴610は消滅する場合が多い。本実施の形態では、Sアップのエラ-が検知されたときに、ノズル8を上昇させて、再度、ノズル8を下降させて該ノズル8に再吸引させる。このノズル8の再吸引の時点では、液滴610が消滅している場合が多い。
そこで、本実施の形態では、分析機構723は、Sアップのエラ-が検知されたときに、該Sアップのエラーが検知された項目を含む複数の項目のうち、該Sアップのエラーが検知された項目以外の項目の分析も行う。換言すれば、分析機構723はSアップのエラーが検知された場合には、複数の分析項目のうちSアップのエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析を検体に実行する。
図18の例の分析結果961では、分析項目Bで、Sアップのエラーが検知された場合が示されている。したがって、該分析項目Bを含む複数の分析項目について該Sアップのエラーが検知された項目(つまり、分析項目B)以降の項目(つまり、分析項目Cおよび分析項目D)の分析を行う。なお、図18の例では、分析項目Cおよび分析項目Dについても、Sアップのエラーが検知されている。
その上で、分析機構723は、Sアップのエラーが検知された検体について再度の分析を行う。図18の例では、分析機構723は、分析結果963に示すように、Sアップのエラーが検知された検体Bについて再び分析を実行している。分析結果963では、再び分析が実行されたことを示す「再検」という文字とともに、分析結果が表示されている。図18の例では、分析項目Aによる分析の分析結果については、分析結果A12が表示される。分析項目Bによる分析の分析結果については、分析結果B12が表示される。分析項目Cによる分析の分析結果については、分析結果C12が表示される。分析項目Dによる分析の分析結果については、分析結果D12が表示される。また、分析結果A12、分析結果B12、分析結果C12、および分析結果D12それぞれについては、「再検」という文字画像が関連付けて表示されている。
また、Sアップが検知された場合には、Sアップが検知された検体(図18の例では、検体S7)に関連付けてSアップのエラー情報972が表示される。また、Sアップが検知された場合には、複数の分析項目のうちSアップのエラーが検知された分析項目に関連付けてSアップのエラー情報976が表示される。図18の例では、分析結果961については、検体S7に関連付けてSアップのエラー情報972が表示される。また、分析結果961については、複数の分析項目のうちSアップのエラーが検知された分析項目(つまり、分析項目B~分析項目D)に関連付けてSアップのエラー情報976が表示される。
また、Pミスのエラーが検知された場合には、分析機構723は、複数の分析項目のうちPアップのエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析を検体に実行しない。Pミスのエラーが検知された場合には、分析機構723は、Pミスのエラーが検知された検体Bについて再び分析を実行している。図18の例では、分析結果962に示すように、分析項目Bによる検査でPミスが検知されたことから、分析項目Cおよび分析項目Dの分析は行われていない。図18の例では、分析項目Cおよび分析項目Dでは、「未検査」という文字が表示されている。また、図18の例では、分析機構723は、分析結果964に示すように、Pアップのエラーが検知された検体Bについて再び分析を実行している。分析結果964では、再び分析が実行されたことを示す「再検」という文字とともに、分析結果が表示されている。図18の例では、分析項目Aによる分析の分析結果については、分析結果A13が表示される。分析項目Bによる分析の分析結果については、再びPミスが検知されている。
また、Pミスが検知された場合には、Pミスが検知された検体(図18の例では、検体S8)に関連付けてPミスのエラー情報974が表示される。また、Pミスが検知された場合には、複数の分析項目のうちPミスのエラーが検知された分析項目に関連付けてPミスのエラー情報978が表示される。図18の例では、分析結果962については、検体S8に関連付けてPミスのエラー情報974が表示される。また、分析結果962については、複数の分析項目のうちPミスのエラーが検知された分析項目(つまり、分析項目B)に関連付けてPミスのエラー情報978が表示される。
ここで、Sアップのエラーが検知された場合には、Sアップのエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析(図18の分析結果961の分析)による分析結果A10、およびSアップのエラーが検知された検体に対する再分析(図18の分析結果963の分析)による分析結果A12のいずれかをユーザが選択するという注意喚起を分析装置1は実行する。そのため、本実施の形態では、制御装置500は、Sアップのエラー情報972を他のエラー情報(Pミスのエラー情報、Sフソクのエラー情報、Sミスのエラー情報)とは異なる態様で表示する。図18の例では、異なる態様で表示することを、Sアップのエラー情報972のハッチングの斜線の向きと、Pミスのエラー情報974のハッチングの斜線の向きとが異なることで示されている。Sアップのエラー情報972は、たとえば、第1色(たとえば、オレンジ色)で表示され、Pミスのエラー情報974は、第2色(たとえば、ピンク色)で表示される。
また、初回の吸引(たとえば、図18の分析結果961の分析項目Aの分析のための吸引)が実行される場合に既にピアサ7内に液滴610があり、図13の状況でノズル8が空吸引したとする。さらに、2回目の吸引が実行されることにより、図11の状況でノズル8が液面検知したとする。この場合には、制御装置500は、分析結果961の残りの分析項目を実行しないで、再検査するために、Pミス(第1エラー画像)を表示してもよい。これは、図13の位置で検体が検知されることにより分析結果961の分析結果A10が導出された検知した場合に、検体を正しく吸引できていない可能性があり、Pミスを表示することにより、分析結果A10をユーザに使用させないためである。
また、図18の例では、検体に関連付けられたエラー情報の表示態様が、SアップとPミスとで異なる例を説明した。しかしながら、制御装置500は、検体に関連付けたエラー情報および前記エラーが検知された分析項目に関連付けたエラー情報のうち少なくとも1つのエラー情報を、他のエラーが検知されたことを示すエラー情報とは異なる態様で表示するようにしてもよい。
また、SアップおよびPミスのいずれとも異なるエラー(たとえば、SミスまたはSフソク)については、たとえば、SアップおよびPミスのように「×」のマークが表示されない。
また、図18のエラーボタン910が操作されると、たとえば、Pミスの具体的な内容(つまり、第1エラー処理に基づくエラーおよび第2エラー処理に基づくエラーのいずれであるのかといった内容)が表示される。
図19は各エラーメッセージの概要の一例を示す図である。第1エラーメッセージは、「ピアサの内部でノズルが試料を検知した」ことを示すメッセージである。第1エラーメッセージは、例えば、図11の場合を示すメッセージである。第1エラーメッセージは、上述のPミスに対応する。第2エラーメッセージは、「ノズルが蓋部材に衝突した」ことを示すメッセージである。第2エラーメッセージは、例えば、図9(B)の場合を示すメッセージである。第2エラーメッセージは、上述のPミスに対応する。第3エラーメッセージは、「前回よりも高い位置で液面を検知した」ことを示すメッセージである。第3エラーメッセージは、例えば、図15(C)の場合を示すメッセージである。第3エラーメッセージは、上述のSアップに対応する。
第4エラーメッセージは、「上限値よりも上の位置で液面を検知した」ことを示すメッセージである。第4エラーメッセージは、例えば、図16に示す上限値よりも上の位置で液面センサ82が液面を検知した場合のメッセージである。第4エラーメッセージは、上述のSミスに対応する。第5エラーメッセージは、「下限値よりも下の位置で液面を検知した」ことを示すメッセージである。第5エラーメッセージは、例えば、図16に示す下限値よりも下の位置で液面センサ82が液面を検知した場合のメッセージである。第5エラーメッセージは、上述のSフソクに対応する。このように、第1エラーメッセージ~第5エラーメッセージはそれぞれ異なるメッセージである。また、第1エラーメッセージにより示されるエラーを第1エラーという。第2エラーメッセージにより示されるエラーを第2エラーという。第3エラーメッセージにより示されるエラーを第3エラーという。第4エラーメッセージにより示されるエラーを第4エラーという。第5エラーメッセージにより示されるエラーを第5エラーという。また、表示装置250は、エラーメッセージを、該エラーメッセージに基づくエラーが発生した検体の識別情報に対応付けて表示するようにしてもよい。
[閾値の設定について]
次に、制御装置500が、表示装置250に表示させる画面の一例を説明する。ユーザは、上述の差分の閾値を自由に設定することができる。図20は、差分の閾値の設定画面の一例である。制御装置500は、この設定画面を表示装置250の表示領域250Aに表示させる。図20の設定画面では、「差分の閾値を入力してください」という文字画像と、差分の閾値が入力される入力領域260とが表示される。ユーザは、入力装置200を用いて、入力領域260に差分の閾値を入力する。閾値は、前回高さと今回高さとの許容される距離としてもよく、該距離に対応するノズルモータ813のパルス数としてもよい。図20の例では、距離(たとえば、単位は、mm)とされている。差分の閾値が入力された場合には、制御装置500は、この差分の閾値を設定する。例えば、制御装置500は、この差分の閾値を記憶装置534に記憶させる。制御装置500は、記憶装置534に記憶されている差分の閾値に基づいて、第3エラー処理を実行する。
また、本実施形態では、分析装置1からホスト装置270(図3参照)に対してエラー通知を行うか否かをユーザは、設定することができる。図21は、エラー通知の有無の設定画面の一例である。制御装置500は、この設定画面を表示装置250の表示領域250Aに表示させる。図21の設定画面では、「ホスト装置にエラー通知しますか」という文字画像と、YES画像262と、NO画像264と、カーソル266とが表示される。ユーザは、入力装置200を用いて、カーソル266を、YES画像262およびNO画像264のいずれに合わせる。そして、ユーザは、入力装置200に対して決定操作を行うことにより、制御装置500は、カーソル266が合っている方の画像に対応する処理を実行する。例えば、カーソル266がYES画像262に合わせられている状態で、ユーザが決定操作を行うと、制御装置500は、エラー通知をホスト装置270に対して行う。一方、カーソル266がNO画像264に合わせられている状態で、ユーザが決定操作を行うと、制御装置500は、エラー通知をホスト装置270に対して行わない。また、エラー通知の設定は、第1エラー処理~第5エラー処理それぞれについて、ユーザが行えるようにしてもよい。
[制御装置の機能構成例]
図22は、制御装置500の機能構成例のブロック図である。制御装置500は、第1エラー処理部502と、ノズル駆動部504と、第2エラー処理部506と、ピアサ駆動部508と、第3エラー処理部510と、受付部542との機能を有する。
ノズル8の駆動量が、閾値Th(例えば、「L4+L5+L2に相当する駆動量」)よりも小さい場合において、ノズル8の試料に対する接触が液面センサ82により検知された場合には、第1エラー処理部502は、ピアサ7の内部の液滴610にノズル8が接触したと判断する。第1エラー処理部502は、ピアサ7の内部の液滴610にノズル8が接触したと判断した場合には、第1エラー処理を実行する。これとともに、ノズル駆動部504は、ノズル駆動装置81に、ノズル8の再吸引処理を実行させる。
第2エラー処理部506は、衝突センサ809の衝突検知に基づいて、第2エラー処理を実行する。これとともに、ピアサ駆動部508は、ピアサ駆動装置71に、ピアサ7の再貫通処理を実行させる。
第3エラー処理部510は、今回高さの方が前回高さよりも高く、かつ今回高さと前回高さの差分が閾値以上である場合に、第3エラー処理を実行する。これとともに、ノズル駆動部504は、ノズル駆動装置81に、ノズル8の再吸引処理を実行させる。また、表示装置250は、差分の閾値の設定画面(図20参照)を表示する。受付部542は、この設定画面から入力された差分の閾値を受付ける。受付部542が受付けた差分の閾値は、記憶装置534に記憶される。第3エラー処理部510は、記憶装置534に記憶されている差分の閾値を用いて、第3エラーが発生したか否かを判断する。
[分析装置のフローチャート]
図23~図27は、分析装置1が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。制御装置500は、「収容容器2に収容されている試料に対して1回の吸引処理の実行条件」が成立した場合に、図23~図27の処理を実行する。一の収容容器2に対する最初の吸引処理の「1回の吸引処理の実行条件」は、例えば、「ユーザにより開始操作が行われたという条件」である。また、1の収容容器2に対する2回目以降の吸引処理の「1回の吸引処理の実行条件」は、例えば、「前の吸引処理が終了するという条件」である。
図23は、制御装置500のメインフローである。図23のステップS2において、制御装置500は、試料を吸引する収容容器2を保持するラック3が、CTSラックおよびSAMラックのいずれであるのかを判別する。制御装置500は、試料を吸引する収容容器2を保持するラック3が、CTSラックであると判断した場合には(ステップS2でYES)、処理は、ステップS4に進む。
ステップS4において、制御装置500は、ピアサ7を下降させる(ピアサ7の下降を開始する)。ピアサ7の下降が終了すると、処理は、ステップS5に進む。なお、ピアサ7の下降が終了した時点では、ピアサ7が蓋部材22を貫通している場合と、ピアサ7が蓋部材22を貫通していない場合とがある。ステップS5においては、制御装置500は、ノズルの下降を開始する。その後、処理は、ステップS6に進む。次に、ステップS6において、制御装置500は、ピアサ8内で液滴610が検知されたか否かを判断する。ステップS6において、ピアサ8内で液滴610が検知されたと判断された場合には(ステップS6でYES)、処理は、ステップS12に進む。ステップS12においては、制御装置500は、第1エラー処理、および再吸引処理を実行する。ステップS12の処理は、後述する。また、ステップS6において、ノズル8の衝突を検知しなかった場合には(ステップS6でNO)、処理は、ステップS18に進む。
ステップS18において、制御装置500は、ノズル8の蓋部材22への衝突が検知されたか否かを判断する。ステップS18において、制御装置500は、ノズル8の蓋部材22への衝突が検知されたと判断した場合には(ステップS18でYES)、処理は、ステップS20に進む。ステップS20においては、制御装置500は、第2エラー処理、および再貫通処理を実行する。ステップS20の処理は、後述する。
また、ステップS18において、制御装置500が、ピアサ7内において、ノズル8の蓋部材22への衝突が検知されていないと判断した場合には(ステップS18でNO)、処理は、ステップS22に進む。
ステップS22において、制御装置500は、ピアサ7外で、液面を検知したか否かを判断する。ステップS22でNOと判断された場合には、処理は、ステップS5に戻り、ノズル8の下降を継続する。また、ステップS22でYESと判断された場合には、処理は、ステップS24に進む。ステップS24において、制御装置500は、吸引処理を実行する。ステップS24の処理は、後述する。
また、ステップS2でNOと判断された場合、つまり、蓋部材22で覆われていない収容容器2の内の試料を吸引する場合には、ステップS26に進む。ステップS26において、制御装置500は、ノズル8を下降させる(ノズル8の下降を開始する)。ステップS26の処理が、終了すると、処理は、ステップS24に進む。
図24は、ステップS24の「吸引処理」のフローチャートである。制御装置500は、ステップS242において、ノズル8が液面検知したか否かを判断する。ステップS242でNOと判断された場合には、ステップS244において、制御装置500は、ノズル8を駆動(つまり、下降)する。また、制御装置500は、ノズル8が液面を検知するまで、ステップS242およびステップS244の処理を繰り返す。なお、ステップS22でYESと判断された後のステップS24でのステップS242ではYESと判断される。
ステップS242においてYESと判断された場合には、処理は、ステップS245に進む。ステップS245において、制御装置500は、液面検知したときのノズル8の高さは正常範囲(図16参照)であるか否かを判断する。ステップS245において、NOと判断された場合には、ステップS256に進む。ステップS256において、制御装置500は、第4エラー処理または第5エラー処理を実行する。ステップS256において、典型的には、ノズル8の高さが上限値よりも高いと判断された場合には、制御装置500は、第4エラー処理を実行する。また、ステップS256において、典型的には、ノズル8の高さが下限値よりも低いと判断された場合には、制御装置500は、第5エラー処理を実行する。その後、処理は終了する。
ステップS246において、制御装置500は、ノズル8の今回高さが、「ノズル8の前回高さよりも高く、かつ今回高さと前回高さとの差分が閾値以上である」か否かを判断する。ステップS246において、ノズル8の前回高さよりも高く、かつ今回高さと前回高さとの差分が閾値以上であると判断された場合(つまり、ステップS246でYESと判断された場合)には、処理は、ステップS254に進む。一方、ステップS246において、NOと判断された場合には、処理は、ステップS248に進む。なお、図24のステップS246では、簡略化して、「前回検知したノズル位置よりの高い?」という文言が示されている。
ステップS248においては、制御装置500はノズルの前回高さを消去する。次に、ステップS250において、ノズル8の今回高さ(つまり、ステップS242においてYESと判断されることになったノズル8の高さ)を、前回高さとして、記憶装置534に記憶させる。ステップS242で記憶された前回高さが、次の吸引処理でのステップS246で用いられる。次に、ステップS252において、制御装置500は、ノズル8に試料を吸引させる。
次に、ステップS12の第1エラー処理・再吸引処理のフローチャート(サブルーチン)の一例を説明する。図25は、第1エラー処理・再吸引処理のフローチャートの一例である。
ステップS202において、制御装置500は、第1エラー処理を実行する。次に、ステップS204においてノズル自動回数Xを1インクリメントする。ここで、ノズル自動回数Xは、ノズル8の再吸引処理の実行回数を示す回数である。ノズル自動回数Xの初期値は、0であるとする。ステップS206において、制御装置500は、ノズル自動回数Xが、所定値Xthに到達したか否かを判断する。所定値Xthは、本開示の「第1所定回数」に対応する。ステップS206において、制御装置500は、ノズル自動回数Xが、所定値Xthに到達したと判断した場合には(ステップS206でYES)、ステップS210において、アラーム処理を実行する。ここで、ステップS210のアラーム処理は、ステップS202の第1エラー処理のアラーム処理とは異なるアラーム処理である。なお、ステップS210のアラーム処理は、ステップS202の第1エラー処理のアラーム処理と同一のアラーム処理としてもよい。アラーム処理が終了することにより、全体の処理は終了する。
また、ステップS206において、制御装置500は、ノズル自動回数Xが、所定値Xthに到達していないと判断した場合には(ステップS206でNO)、ステップS208において、制御装置500は、ピアサ7およびノズル8を上昇させ、その後、処理は終了する。なお、図25では特に示されていないが、制御装置500は、所定の洗浄機構などにより収容容器2から抜いたピアサ7に対して洗浄および乾燥を行う。
次に、ステップS20の第2エラー処理・再貫通処理のフローチャート(サブルーチン)の一例を説明する。図26は、第2エラー処理・再貫通処理のフローチャートの一例である。
ステップS122において、制御装置500は、第2エラー処理を実行する。次に、ステップS124においてピアサ自動回数Yを1インクリメントする。ここで、ピアサ自動回数Yは、ピアサ7の再貫通処理の実行回数を示す回数である。ピアサ自動回数Yの初期値は、0であるとする。ステップS126において、制御装置500は、ピアサ自動回数Yが、所定値Ythに到達したか否かを判断する。所定値Ythは、本開示の「第2所定回数」に対応する。この所定値Ythは、検体の識別情報(たとえば、検体バーコード)と関連付けられている。また、この所定値Ythと、該所定値Ythと関連付けられた検体識別情報とは所定領域に記憶されている。ステップS126において、制御装置500は、ピアサ自動回数Yが、所定値Ythに到達したと判断した場合には(ステップS126でYES)、ステップS130において、アラーム処理を実行する。ここで、ステップS130のアラーム処理は、ステップS122の第2エラー処理のアラーム処理とは異なるアラーム処理である。アラーム処理が終了することにより、全体の処理は終了する。
また、ステップS126において、制御装置500は、ピアサ自動回数Yが、所定値Ythに到達していないと判断した場合には(ステップS126でNO)、ステップS128において、制御装置500は、ピアサ7およびノズル8を上昇させ、その後、処理は終了する。なお、図26では特に示されていないが、制御装置500は、所定の洗浄機構などにより収容容器2から抜いたピアサ7に対して洗浄および乾燥を行う。
次に、ステップS254の第3エラー処理・再吸引処理のフローチャート(サブルーチン)の一例を説明する。図27は、第3エラー処理・再吸引処理のフローチャートの一例である。
ステップS2542において、制御装置500は、第3エラー処理を実行する。次に、ステップS2544において、ノズル自動回数Zを1インクリメントする。ここで、ノズル自動回数Zは、ノズル8の再吸引処理の実行回数を示す回数である。ノズル自動回数Zの初期値は、0であるとする。ステップS2546において、制御装置500は、ノズル自動回数Zが、所定値Zthに到達したか否かを判断する。ステップS2546において、制御装置500は、ノズル自動回数Zが、所定値Zthに到達したと判断した場合には(ステップS2546でYES)、ステップS130において、アラーム処理を実行する。ここで、ステップS2550のアラーム処理は、ステップS2542の第3エラー処理のアラーム処理とは異なるアラーム処理である。アラーム処理が終了することにより、全体の処理は終了する。
また、ステップS2546において、制御装置500は、ノズル自動回数Zが、所定値Zthに到達していないと判断した場合には(ステップS2546でNO)、ステップS2548において、制御装置500は、ピアサ7およびノズル8を上昇させる。その後、処理は終了する。なお、図26では特に示されていないが、制御装置500は、所定の洗浄機構などにより収容容器2から抜いたピアサ7に対して洗浄および乾燥を行う。その後、処理は、ステップS2に戻る。なお、ピアサ自動回数Yとノズル自動回数Xとを同一の回数としてもよい。また、ピアサ自動回数Yとノズル自動回数Xとを個別の回数としてもよい。
また、図25のステップS208、図26のステップS128、および図27のステップS2548の処理が終了した後は、再び、ステップS2以降の処理が実行されることから、実質的に再吸引処理が実行されることになる。また、図25のステップS210、ステップS130、およびステップS2550の処理において、アラーム処理とともに、分析処理を終了させるようにしてもよい。
また、制御装置500は、所定値Xth、所定値Yth、および所定値Zthの少なくとも1つの所定値と、検体識別情報とを対応づけて記憶するようにしてもよい。
<第2実施形態>
前述の第1実施形態では、分析装置1は、ピアサ7の蓋部材22への非貫通の検知として、衝突センサ809(図9参照)を用いるとして説明した。しかしながら、分析装置1は、他の部材を用いて、ピアサ7の蓋部材22への不貫通を検知するようにしてもよい。第2実施形態では、分析装置1は、圧電素子を用いて、ピアサ7の蓋部材22への不貫通を検知する。
図28は、第2実施形態のピアサ7および収容容器2の断面図である。ピアサ7の周縁には、圧電素子850が設けられている。図28の例では、圧電素子850は、ピアサ7の先端の近傍に設けられている。図28の例では、ピアサ7のテーパ面7Aより上方の箇所に設けられている。
圧電素子850は、制御装置500に接続されている。圧電素子850は、この圧電素子850に加えられている力に応じた電圧に変換して、この電圧値に基づく電流を制御装置500に出力する。制御装置500は、この電流に基づいて、圧電素子850に加えられている力を特定する。
図29は、圧電素子850に加えられる圧力と、制御装置500がピアサモータ713に出力しているパルス数との関係を示す図である。図29において、X軸は、制御装置500がピアサモータに出力しているパルス数を示す。Y軸は、圧電素子850に加えられる圧力を示す。
図29(A)は、ピアサ7が、蓋部材22を貫通した場合を示す。図29(B)は、ピアサ7が、蓋部材22を貫通しなかった場合を示す。
図29(A)の例では、パルス数が0~PAの期間では、圧電素子850への圧力値は0である。パルス数が0~PAの期間は、ピアサ7が、ピアサ7の初期位置からピアサ7が蓋部材22に接触するまでの期間である。パルス数がPA~PBの期間では、ピアサ7が蓋部材22に接触したときから、ピアサ7の先端7Bが蓋部材22を押圧しているときまでの期間である。
パルス数がPB~PCの期間は、ピアサ7の先端7Bが蓋部材22を押圧しているときから、ピアサ7の先端7Bが蓋部材22を貫通するまでの期間である。図29(A)の例では、パルス数がPBであるときが、蓋部材22が伸びてピアサ7の先端7Bが突出している箇所が最も大きいときである。その後、パルス数がPCとなったときに、ピアサ7の先端7Bが蓋部材22を貫通したとする。
図29(A)の例では、パルス数の増加につれて、増加していた圧力値が減少する箇所として、変曲点αおよび変曲点βが存在する(図29(A)のパルス数PBおよびパルス数PC参照)。変曲点αは、圧力の値が、増加する方向から減少する方向に変化する点である。変曲点βは、圧力の値の減少の変化度合い(勾配)が、減少する点である。
一方、図29(B)においては、パルス数が0~PAの期間での圧力の変化は、図29(A)と同様である。図29(B)においては、パルス数がPA以上となった場合には、「パルス数の増加につれて、増加していた圧力値が減少する箇所」は存在しない。
このように、本実施形態では、制御装置500が、パルス数を増加させるにつれて、変曲点βが検出された場合には、ピアサ7が蓋部材22を貫通したことを特定する。制御装置500が、パルス数を増加させるにつれて、変曲点βが検出されなかった場合には、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを特定する。
<第3実施形態>
第3実施形態の分析装置1は、ピアサ7と蓋部材22との衝突状態を検知する第3センサを有する。蓋部材22は、一般的にゴム素材など、貫通し難い素材が用いられている。したがって、ピアサ駆動装置71は大きな力でピアサ7を駆動する。また、収容容器2内に不純物が混在している場合等において、ピアサ7と該不純物とが衝突すると、ピアサ7は大きな力で駆動されていることから、収容容器2が破損する等の可能性がある。また、ピアサ7が蓋部材22を貫通できないまま、大きな力でピアサ7を駆動する場合にも、収容容器2が破損する等の可能性がある。
そこで、本実施形態の分析装置1は、ピアサ7が下降している途中に、ピアサ7の衝突(たとえば、蓋部材22への非貫通)を検知したことに基づいて、第6エラー処理を実行する。本実施形態では、分析装置1は、ピアサ7の蓋部材22への衝突状態を検知し、かつ後述する追加パルス分、ピアサ7を駆動した場合にも衝突状態を検知している場合に、「ピアサ7の蓋部材22への非貫通状態」を検知する。ここで、「衝突状態」は、ピアサ7が蓋部材22に接触した場合において、下方向に駆動されているピアサ7に対して蓋部材22により上方向に所定量の力Fが印加されている状態である(図30(B)参照)。
また、第6エラー処理は、第6アラーム処理と、第6エラー記憶処理とのうち少なくとも一方を含む。第6アラーム処理は、スピーカ722から、第6アラーム音を出力する処理と、表示装置250にエラー画像を表示する処理とである。第6アラーム音は、ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかったことを示す音である。また、第6エラー画像は、ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかったことを示す画像である。第6エラー画像は、上述のPミスに対応する。第6エラー記憶処理は、エラー履歴を所定の記憶領域に記憶させる処理である。所定の記憶領域は、分析装置1の記憶領域としてもよく、分析装置1の外部装置の記憶領域としてもよい。さらに、エラー記憶処理が実行された場合において、ユーザにより、第6エラー画像を表示させる操作が入力装置200に対して行われたときに、記憶されているエラー履歴が表示装置250に表示される。以下に、衝突状態および非貫通状態を検知する衝突センサを説明する。
図30は、衝突センサを説明するための図である。図30は、ピアサアーム711の内部を示す図である。図30(A)は、ピアサ7が、衝突状態ではない状況を示す図である。図30(B)は、ピアサ7が、衝突状態である状況を示す図である。
ピアサアーム711には、付勢部材703と、保持部材706と、遮光板704と、衝突センサ709とが配置される。衝突センサ709は、本開示の「第6センサ」に対応する。付勢部材703は、例えば、バネであり、より特定的には、圧縮コイルバネである。付勢部材703の一端は、ピアサアーム711の内面に取り付けられている。また、付勢部材703の他端は、保持部材706により保持されている。保持部材706は、付勢部材703を保持するとともに、ピアサ7の外周に接合されている。したがって、付勢部材703は、ピアサ7をZ軸方向の下向きに付勢している。
遮光板704は、断面L字形状を有する。また、遮光板704の一端は、ピアサ7の外周に接合されている。衝突センサ709は、光出力部701と、光入力部702とを有する。光出力部701は、光入力部702に対して光を出力する。光入力部702に光が入力されている状況では、光信号が制御装置500に送信される。光信号は、光入力部702に光が入力されていることを示す信号である。
ピアサ駆動装置71は、回転軸712を下降させることにより、ピアサ7を下降させる。図30(A)に示すように、衝突状態ではない場合には、光出力部701からの光は、遮光板704により光入力部702に入力されない状態となる。上述のように、ピアサ7に付勢部材703の力が下方向に印加される。したがって、衝突状態ではない状況(例えば、ピアサ7が蓋部材22に衝突し始めた状況)では、ピアサ7に対して印加される力により、光入力部702に光が入力されていない状態(つまり、図30(A)に示す状態)が維持される。
しかしながら、ピアサ7が蓋部材22に接触し始めたときから、さらに、ピアサ駆動装置71がピアサ7を下降させた場合には、ピアサ7は蓋部材22によりせき止められることから、ピアサ7に対してZ軸方向の上向きに力が印加される。そして、ピアサ7の下降が継続した結果、ピアサ7に対して上向きに印加される力が、ピアサ7に対して付勢部材703により下向きに印加される力を超えた場合に、図30(B)に示すように、ピアサアーム711に対してピアサ7は上昇する。ここで、上述の「所定量の力F」は、「付勢部材703により下向きに印加される力を超えた力」に対応する。
ピアサアーム711に対してピアサ7が上昇することにより、ピアサ7に接合されている遮光板704も上昇する。図30(B)に示すように、遮光板704が上昇すると、光出力部701からの光が遮光板704により遮光されなくなる。この結果、光入力部702には、光が入力される。光入力部702に光が入力された場合には、制御装置500には、光入力部702からの光信号は入力される。制御装置500は、光信号が入力されることにより、衝突状態であることを特定する。
なお、図30の例では、ピアサアーム711に対してピアサ7が上昇したときには、ピアサ7および回転軸712がピアサアーム711から突出する構造となっている。また、図30の例では、ピアサアーム711に対してピアサ7が上昇したときには、光入力部702に光が入力されていない状態から、光入力部702に光が入力される状態に切り替わる構成となっている。変形例として、ピアサアーム711に対してピアサ7が上昇したときには、光入力部702に光が入力されている状態から、光入力部702に光が入力されていない状態に切り替わる構成としてもよい。
つまり、分析装置1は、光を出力する光出力部701と、光が入力される光入力部702と、付勢部材703とを備える。付勢部材703は、ピアサ7に対して下向きの方向(つまり、収容容器2の方向)に、力を印加する。そして、ピアサ7が、ピアサアーム711に対して上方向に移動して、光入力部702の入力状態が変更した場合に、制御装置500は、衝突状態であることを特定する。光入力部702の入力状態の変更は、本実施形態のように、「光入力部702に光が入力されていない状態から、光入力部702に光が入力されている状態への変更」としてもよい。また、光入力部702の入力状態の変更は、変形例のように、「光入力部702に光が入力されている状態から、光入力部702に光が入力されていない状態への変更」としてもよい。
ところで、制御装置500が衝突状態を特定したとしても、制御装置500が、ピアサ7をさらに下降させることにより、蓋部材22を貫通できる場合がある。そこで、本実施形態では、制御装置500が、衝突状態を特定した場合でも、ピアサ駆動装置71のピアサモータ713に所定量のパルスを出力することにより、さらに、ピアサ7を下降させる処理を行う。以下、該出力されるパルスを「追加パルス」ともいう。また、追加パルスは、本開示の「所定の駆動量」に対応する。
制御装置500が、ピアサモータ713に追加パルスを出力することにより、ピアサ7が蓋部材22を貫通できた場合には、制御装置500は、次の処理、つまり、ノズル8を駆動する処理を実行する。一方、制御装置500が、ピアサモータ713に追加パルスを出力した場合であっても、ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかった場合には、制御装置500は、「非貫通状態」を特定するとともに、第6エラー処理を実行する。
本実施形態では、制御装置500が追加パルスをピアサモータ713に出力したときにおいて、ピアサ7が、蓋部材22を貫通した場合には、ピアサ7への上向きの力の印可が解除される。ピアサ7への上向きの力の印可が解除された場合には、付勢部材703からのピアサ7への下向きの力により、光入力部702の状態が「光非入力状態」となる。制御装置500が、この光非入力状態となったことを特定した場合には、制御装置500は、ピアサ7が蓋部材22を貫通できたことを特定する。一方、制御装置500が追加パルスをピアサモータ713に出力したときでも、制御装置500が、この光入力状態が継続されている場合には、ピアサ7が蓋部材22を貫通できなかったこと(つまり、非貫通状態であること)を特定する。
つまり、本実施形態では、制御装置500が、「光入力部702の光入力状態を特定」、「追加パルスを出力」、「光入力部702の光非入力状態を特定」という順序での処理を実行した場合には、制御装置500は、ピアサ7が、蓋部材22を貫通したことを特定する。一方、制御装置500が、「光入力部702の光入力状態を特定」、「追加パルスを印可」、「光入力部702の光入力状態を特定」という順序での処理を実行した場合には、制御装置500は、ピアサ7による蓋部材22への非貫通状態を特定する。
制御装置500は、ピアサ7が蓋部に衝突したことが衝突センサ709により検知されたことに基づいて、第6エラー処理を実行する。より詳細には、制御装置500は、(a)衝突状態が検知された後(つまり、光入力状態となった後)、(b)所定の駆動量、ピアサ7を駆動したとき(つまり、追加パルスをピアサモータ713に出力したとき)に、(c)衝突状態が継続している場合(つまり、光入力状態が継続されている場合)には、第6エラー処理を実行する。
なお、変形例として、制御装置500は、ピアサモータ713にパルスを出力しているにもかかわらず、ピアサ7が停止していることを検出できるようにしてもよい。この場合には、(c)第2センサによる検知が行われている場合は、「制御装置500が、ピアサ7が停止していることを検出した場合」としてもよい。
また、本実施形態では、追加パルスは、蓋部材22の種別ごとに異なるように設定されている。図31は、追加パルスの設定内容の一例を示す図である。図31では、第1蓋部材と、第2蓋部材とが規定されている。
第1蓋部材は、第2蓋部材よりも伸張し易い素材であるとする。したがって、ピアサ7が貫通するためには、第1蓋部材の方が第2蓋部材よりも多くのパルス数が必要となる。そこで、本実施形態では、第1蓋部材に対応するパルスはP2であり、第2蓋部材に対応するパルスはP1である。また、P2>P1である。
図31(A)の設定内容を示す情報は、第2記憶装置5342に記憶されている。第2記憶装置5342は、記憶装置534(図2参照)に含まれる。
また、制御装置500は、ピアサ7が、蓋部材22を貫通しなかったことが制御装置500により特定された場合、つまり、第6エラー処理を実行する場合には、ピアサ7の再貫通処理を実行する。ピアサ7の再貫通処理は、ピアサ7が蓋部材22を貫通出来なかった場合において、再度、ピアサ7に蓋部材22を貫通させる処理である。再貫通処理は、ピアサ7を一旦、上昇させて、再びピアサ7を下降させることにより、蓋部材22への貫通を試みる処理である。
また、再貫通処理の回数には、制限回数が規定されている。制御装置500が、再貫通処理を多く実行してしまうと、ピアサ7が蓋部材22に衝突したことに基づいて、蓋部材22の破片が、試料17に混入してしまう可能性がある。また、制御装置500が、再貫通処理を多く実行してしまうと、ピアサ7が蓋部材22に衝突したことに基づいて、ピアサ7が破損する可能性もある。
そこで、再貫通処理の回数には、制限回数を設けることにより、「蓋部材22の破片が、試料17に混在してしまう可能性」、および「ピアサ7が破損する可能性」を低減できる。制限回数は、本開示の「第3所定回数」に対応する。制限回数は、例えば、「2回」である。
制御装置500は、再貫通処理の回数が所定回数に到達するまでは、再貫通処理を実行する。また、制御装置500は再貫通処理の回数が所定回数に到達したときには、アラームを報知する。このアラームの報知は、例えば、スピーカ722から、アラーム音を出力させることである。また、ピアサ7の衝突検知は、たとえば、図23のステップS4において実行される。ピアサ7の衝突が検知された場合には、たとえば、ステップS20の処理が実行される。また、再貫通処理についての所定回数は、図26のYthに対応する。
<第4実施形態>
本実施形態では、Sアップのエラーが検知された場合のエラーメッセージを上述の実施形態とは異ならせた実施形態である。Sアップのエラ-が発生した原因として、以下の3つの原因がある。1つ目の原因として、収容容器2内において気泡612を検知したという原因(図15(C)参照)である。2つ目の原因として、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ第1高さと第2高さの差分が上述の閾値以上であるという原因である。この2つ目の原因は、分析装置1に対する衝撃等により、図15(D)に示すように液面17Aが湾曲状になり、この湾曲状の端部にノズル8が接触した場合等に生じ得る。3つ目の原因は、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したという原因(図11参照)という原因である。
そこで、本実施形態では、Sアップのエラーが検知された場合には、収容容器2内において気泡612を検知したことと、第1高さH1の方が第2高さH2よりも高く、かつ第1高さH1と第2高さH2の差分が前記閾値以上であることと、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したこととのいずれかの可能性があることのうちいずれかの可能性がある通知を、制御装置500は、表示する。
図32は、本実施形態の表示画面の一例である。図32の例では、「収容容器内において収容物の気泡を検知した、前回よりも高い位置で液面を検知した、ピアサ内で液滴を検知した、のいずれかの可能性があります。」という画面が表示される。このような画面が表示されることにより、ユーザに、Sアップのエラーが発生した原因を認識させることができる。
[その他の実施形態]
(1) 前述の実施形態では、ノズル8が試料を吸引する場合を主に説明した。しかしながら、ノズル8が吸引する対象物は、試薬であってもよい。試薬は、蓋部材22で覆われる収容容器に収容されるようにしてもよい。また、試薬は、蓋部材22で覆われずに、開口部が露出している収容容器に収容されるようにしてもよい。また、本開示では、試薬および検体を「収容物」であると称する。収容容器2は、収容物を収容する物である。また、液面センサ82は、収容物の液面を検出する物である。
(2) 前述の実施形態では、ピアサ7内でノズル8が液滴610の接触を、制御装置500が検知する手法として、ノズル8の駆動量を用いるとして説明した。しかしながら、制御装置500は、他の手法により、ピアサ7内でノズル8が液滴610の接触を検知するようにしてもよい。例えば、分析装置1は、ピアサ7の内部を撮像する撮像装置を備えるようにしてもよい。ピアサ7内において液滴610で接触したことを撮像装置が撮像した場合に、ピアサ7内でノズル8が液滴610の接触を、制御装置500が検知するようにしてもよい。
(3) 前述の実施形態では、エラーの通知として、エラーの表示を主として説明した。しかしながら、エラーの通知は、エラーの表示に限られず、他の手法としてもよい。たとえば、エラーの通知は、エラーが発生したことを示す音声を出力するようにしてもよいし、エラーが発生したことを示す情報を用紙に印刷して該用紙を出力するようにしてもよい。
[小括]
(1-1) 制御装置500は、ノズル8が収容物(本実施形態では、試料)に接触したことが検知されたときのノズル8の位置を記憶装置534に記憶する(図24のステップS250参照)。また、制御装置500は、ノズル8が収容物に接触したことを液面センサ82が検知したときのノズル8の今回高さが、ノズル8が収容物に接触したことを液面センサ82が前回検知したときの高さであって記憶装置に記憶されているノズル8の前回高さよりも高いことに基づいてエラー通知を実行する(図18のSアップ、および図24のステップS254の第3エラー処理参照)を実行する。
また、このエラー通知は、他のエラー(たとえば、Pミスのエラー、Sミスのエラー、Sフソクのエラー)とは異なる態様で実行される。
このような構成によれば、ノズル8が収容物に接触したことが検知されたときのノズルの今回高さが、前回検知されたときのノズルの前回高さよりも高いことに基づいてエラー通知を実行する。例えば、図15(C)に示すように、収容物の上方に気泡等が生じており、ノズルがこの気泡に接触した場合には、エラー通知を実行することになる。また、このエラー通知は、他のエラーが検知された場合のエラー通知とは異なる態様で実行される。したがって、ピアサ内でノズルが収容物に接触したことが検知されたとき、およびノズルが蓋部材に衝突したことが検知されたときにエラー通知を実行することから、分析装置が収容物を吸引できなかった要因をユーザに容易に認識させることができる。また、このエラー通知が実行されたときには、ノズル8は吸引しないことから、収容物の空吸引が実行されることを低減することができる。また、このエラー通知をユーザが確認することにより、収容物の異変が生じている場合(たとえば、収容物に気泡が生じている場合など)、ユーザは、たとえば、収容容器2を変えることなどにより、即座に収容物の異変を除去できる場合がある。したがって、収容物の無駄な消費、および検体の無駄な分析を防止できる。
(1-2) 制御装置500は、今回高さが前回高さよりも高いか否かを判断する(例えば、図24のステップS246参照)。また、制御装置500は、今回高さの方が前回高さよりも高く、かつ今回高さと前回高さの差分が閾値以上であるときに、第3エラー処理を実行する。例えば、今回高さが図15(C)であるときに、制御装置500は、第3エラー処理を実行する。このような構成によれば、制御装置500は、今回高さの方が前回高さよりも高いが、かつ今回高さと前回高さの差分が閾値未満であるときには、第3エラー処理を実行しない。例えば、今回高さが図15(D)であるときに、制御装置500は、第3エラー処理を実行しない。したがって、制御装置500は、無駄な第3エラー処理を実行しないようにすることができる。
(1-3) 図20に示す画面から閾値の変更を、制御装置500の受付部542は受付ける。
このような構成によれば、ユーザは閾値を変更することができることから、ユーザの利便性を向上させることができる。
(1-4) 制御装置500は、今回高さが前回高さよりも高いか否かを判断した後に、記憶装置に記憶されている前回高さを消去する(図24のステップS248参照)。
このような構成によれば、複数の第2高さが記憶装置に残存することを防止でき、記憶装置の記憶容量を削減できる。
(1-5) 制御装置500は、図24のステップS254に示すように、ノズル8を制御しノズル8に収容物を再び吸引させる処理(再吸引処理)とともに、エラー通知(第3エラー処理)を実行する。
このような構成によれば、ノズル8に再吸引処理を実行させることから、遅延することなく、ノズル8に収容物を吸引させることができる。
(1-6) 図21に示す画面から、エラー処理に基づくエラー通知をホスト装置270に送信するか否かを、制御装置500の受付部542は受付ける。
このような構成によれば、ホスト装置270に対して、エラー通知を送信するか否かをユーザに選択させることができることから、ユーザの利便性を向上させることができる。
(1-7) 制御装置500は、エラー通知として、図32に示すように、収容容器2内において収容物の気泡を検知したことと、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ前記第1高さと前記第2高さの差分が閾値以上であることと、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したこととのいずれかの可能性がある通知を実行する。したがって、ユーザは、収容容器2内において収容物の気泡を検知したことと、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ前記第1高さと前記第2高さの差分が閾値以上であることと、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したこととのいずれかの可能性があることを認識できる。
(1-8) 分析機構723は、複数の分析項目による分析を検体に実行可能である。また、図17に示すように、表示装置250は、検体を識別する識別情報(図17の検体欄951)と、複数の分析項目(図17の分析項目欄956)とを表示する。分析機構723は、Sアップのエラーが検知された場合には、複数の分析項目のうちエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析を前記検体に実行する。制御装置500は、図18に示すように、エラー通知として、エラーを検知した場合に、検体に関連付けてSアップのエラー情報972を表示するとともに、複数の分析項目のうちエラーが検知された分析項目に関連付けてエラー情報976を表示する。検体に関連付けたエラー情報およびエラーが検知された分析項目に関連付けたエラー情報のうち少なくとも1つのエラー情報を、他のエラーが検知されたことを示すエラー情報とは異なる態様で表示する。図17の例では、Sアップのエラー情報は、オレンジ色で表示され、他のエラー(たとえば、Pミスのエラー)のエラー情報は、ピンク色で表示される。
上述のように、分析機構723は、Sアップのエラ-が検知されたときに、該Sアップのエラーが検知された項目を含む複数の項目のうち、該Sアップのエラーが検知された項目以外の項目の分析を行う。したがって、制御装置500は、Sアップのエラーが検知された場合には、Sアップのエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析(図18の分析結果961の分析)による分析結果、およびSアップのエラーが検知された検体に対する再分析(図18の分析結果963の分析)による分析結果のいずれかをユーザが選択するという注意喚起をユーザに実行できる。
(2-1) 制御装置500は、図11に示すように、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したことが液面センサ82により検知されたときには、ノズル8は収容物を吸引できずに、制御装置500はエラー通知(たとえば、図18のPミス、および図19の第1エラーメッセージ)を実行する。また、図9(B)に示すように、ノズル8が蓋部材22に衝突したことが検知されたときには、ノズル8は収容物を吸引できずに、制御装置500はエラー通知(たとえば、図18のPミス、および図19の第2エラーメッセージ)を実行する。このエラー通知は、たとえば、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを示す通知である。
このような構成によれば、ユーザはエラー通知を確認することにより、分析装置が収容物を吸引できなかった要因(つまり、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したという要因またはノズル8が蓋部材22に衝突したという要因)をユーザは認識することができる。また、ユーザは、分析装置1および収容容器2を直接確認することなく、この要因を早期に認識することができる。したがって、ユーザはこの要因を除去する作業を行うこと等により、ユーザは遅延することなく分析結果を認識することができる。また、分析装置1は、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したとき、ノズル8が蓋部材22に衝突したときには、ノズル8は吸引しないことから、ノズル8の空吸引を防止できる。仮に空吸引が実行されてしまうと、分析結果のデータ不良となり、ユーザ自身が、再分析の依頼を行う必要があった。また、この結果、分析結果の取得が遅延することになる。本実施形態では、空吸引を防止できることから、ユーザに再分析の依頼を行わせることなく、また、分析結果の取得が遅延することを防止できる。
また、本実施の形態では、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したことによるエラー通知と、ノズル8が蓋部材22に衝突したことが検知されたことによるエラー通知とは、同一の態様としてもよく、異なる態様としてもよい。
(2-2) 図12に示すように、制御装置500は、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したことが検知されたことを、ノズル8の駆動量とピアサ7の延伸方向の長さに基づく駆動量とに基づいて特定する。
このような構成によれば、ピアサ7内でノズル8が液滴610に接触したことが検知されたときに、適切にエラー通知を実行することができる。
(2-3) 図25に示すように、制御装置500は、ノズル8が液滴610に接触したことが液面センサ82により検知された場合に、ノズル8に再吸引処理を実行させる。
このような構成によれば、ノズル8が液滴610に接触したことが液面センサ82により検知された場合に、ノズル8に収容物を再び吸引させる処理を実行することから、遅延することなく、ノズル8に収容物を吸引させることができる。
(2-4) 制御装置500がピアサ7内で液面検知した場合には(図23のステップS6でYES)、制御装置500は、ステップS12の処理を実行する。ステップS12の処理では、図25のステップS206に示すように、制御装置500は、再吸引処理の回数(図25のノズル自動回数X)が、所定値Xthに到達するまでは、再吸引処理を実行する。また、再吸引処理の回数が所定値Xthに到達した後は、ステップS210でエラー通知としてアラーム通知を実行する。このような構成によれば、ノズル8の再吸引処理の回数が所定値Xthに到達したことをアラームに基づいてユーザに認識させることができる。
(2-5) 図26に示すように、制御装置500は、ノズル8が衝突したことが衝突センサ809により検知された場合に、ピアサ7に再貫通処理を実行させる。
ノズル8が衝突したことが衝突センサ809により検知された場合には、ピアサ7が蓋部材22を貫通できない可能性が高い。したがって、このような構成によれば、制御装置500は、ピアサ7に再貫通処理を実行させることにより、適切にピアサ7に蓋部材22を貫通させることができる。
(2-6) 制御装置500がピアサ7内においてノズル8の衝突を検知した場合には(図23のステップS18でYES)、制御装置500は、ステップS20の処理を実行する。ステップS20の処理では、図26のステップS126に示すように、制御装置500は、再貫通処理の回数(図26のピアサ自動回数Y)が、所定値Ythに到達するまでは、再貫通処理を実行する。また、再貫通処理の回数が所定値Ythに到達した後は、ステップS130でエラー通知としてアラーム通知を実行する。このような構成によれば、ピアサ7の再貫通処理の回数が所定値Ythに到達したことをアラームに基づいてユーザに認識させることができる。
また、制御装置500が前回よりも高い位置で液面検知した場合には(図24のステップS246でYES)、制御装置500は、ステップS254の処理を実行する。ステップS254の処理では、図27のステップS2546に示すように、制御装置500は、再吸引処理の回数(図25のノズル自動回数Z)が、所定値Zthに到達するまでは、再吸引処理を実行する。また、再吸引処理の回数が所定値Zthに到達した後は、ステップS2550でエラー通知としてアラーム通知を実行する。このような構成によれば、ノズル8の再吸引処理の回数が所定値Zthに到達したことをアラームに基づいてユーザに認識させることができる。
(2-7) 分析装置1は、2以上の蓋部材22の種別それぞれに、「蓋部材22による衝突検知が判断されるパルス数」が関連づけられている情報(例えば、図10参照)を記憶する第1記憶装置5341を備える。制御装置500は、蓋部材22の種別を取得する。制御装置500は、ノズル8が衝突したことが検知されたときのノズル8の駆動量が、取得された蓋部材22の種別に関連付けられている駆動量である場合に、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを特定し、第2エラー通知を実行する。上述のように、第2エラー通知は、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを示す通知である。
このような構成により、制御装置500は、蓋部材22の種別が異なる場合であっても、ノズル8が蓋部材22に衝突したことを適切に特定できる。
(2-8) また、制御装置500は、ノズル8が衝突したことが衝突センサ809により検知された場合に、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを示すエラー通知(上述の例では、Pミス)を実行する。したがって、ユーザは、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを認識できる。
(2-9) 第3実施形態で説明したように、分析装置1は、ピアサ7の蓋部材22への非貫通状態を検知する衝突センサ709(第3センサ)を備える。制御装置500は、非貫通状態が検知されたことに基づいて、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを示す第2エラー通知(たとえば、上述の第6エラー画像の表示)を実行する。
このような構成によれば、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかったことを、第2エラー通知に基づいて、ユーザに認識させることができる。
(2-10) 制御装置500は、ピアサ7の蓋部材22への非貫通状態が検知された後、追加パルス数分、ピアサ7を駆動したときに、衝突センサ709による検知が行われている場合には、第2エラー通知を実行する。
このような構成によれば、ピアサ7と蓋部材22との非貫通状態を検知した場合であっても、追加パルス数分、ピアサ7が駆動されたときには、ピアサ7が蓋部材22を貫通する場合がある。また、ピアサ7と蓋部材22との非貫通状態を検知した場合に、追加パルス数分、ピアサ7が駆動されたとしても、衝突センサ709による非貫通状態の検知が行われている場合というのは、ピアサ7が蓋部材22を貫通しなかった場合である。よって、ピアサ7と蓋部材22との非貫通状態を検知した場合に、追加パルス数分、ピアサ7が駆動されたとしても、衝突センサ709による非貫通状態の検知が行われている場合には、第2エラー通知を実行することから、適切な第2エラー通知を実行することができる。
(2-11) 2以上の蓋部材22の種別それぞれに、追加パルス数が関連づけられている情報(例えば、図31参照)を記憶する第2記憶装置5342を備える。制御装置500は、蓋部材22の種別を取得し、該情報を参照して、蓋部材22の種別に関連付けられている追加パルス数を取得する。
このような構成によれば、例えば、蓋部材22の硬度に応じて追加パルス数を設定させることができ、蓋部材22の伸びやすさ(図31参照)に応じてピアサ7を駆動させることができる。
(2-12) 制御装置500は、非貫通状態が検知された場合、ピアサ7のピアサ7に再貫通処理を実行させるとともに、第2エラー通知(たとえば、上述の第6エラー画像の表示)を実行する。
このような構成によれば、ピアサ7に蓋部材22を自動で貫通させる処理を実行することから、遅延することなく、ピアサ7に蓋部材22を貫通させることができる。
(2-13) 制御装置500は、再貫通処理の回数(図26のピアサ自動回数Y)が、所定値Ythに到達するまでは、再貫通処理を実行する。また、再貫通処理の回数が所定値Ythに到達した後は、ステップS210でアラーム通知を実行する。このような構成によれば、ピアサ7の再貫通処理の回数が所定値Ythに到達したことをアラームに基づいてユーザに認識させることができる。
[態様]
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1-1項) 分析装置は、検体と試薬とを反応容器内で反応させることにより検体の生化学分析を行う。分析装置は、検体または試薬である収容物を収容する収容容器から収容物を吸引するノズルと、ノズルが収容物に接触したことを検知するセンサと、記憶装置と、ノズルを上昇および下降させるように制御する制御装置とを備え、制御装置は、ノズルが収容物に接触したことが検知されたことに基づいて、ノズルに収容物を吸引させ、ノズルが収容物に接触したことが検知されたときのノズルの高さを記憶装置に記憶し、ノズルが収容物に接触したことをセンサが検知したときのノズルの第1高さが、ノズルが収容物に接触したことをセンサが前回検知したときのノズルの高さであって記憶装置に記憶されているノズルの第2高さよりも高いことに基づいてエラーを検知し、エラーが検知された場合、他のエラーが検知された場合とは異なる態様でエラー通知を実行する。
このような構成によれば、分析装置は、ノズルが収容物に接触したことが検知されたときのノズルの今回高さが、前回検知されたときのノズルの前回高さよりも高いことに基づいて、エラーを検知する。さらに、分析装置は、エラーが検知された場合、他のエラーが検知された場合とは異なる態様でエラー通知を実行する。したがって、ノズルが収容物に接触したことが検知されたときのノズルの高さが、ノズルが収容物に接触したことが前回検知されたときのノズルの高さよりも高いことに基づくエラーをユーザに認識させることができる。
(第1-2項) 第1-1項に記載の分析装置において、制御装置は、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ第1高さと第2高さの差分が閾値以上であるときに、エラー通知を実行する。
このような構成によれば、例えば、第1高さが第2高さよりも高いか否かを判断し、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ第1高さと第2高さの差分が閾値以上であるときに、エラー通知を実行することから、適切にエラー通知を実行することができる。
(第1-3項) 第1-2項に記載の分析装置において、制御装置は、閾値の変更を受付ける。
このような構成によれば、ユーザは閾値を変更することができることから、ユーザの利便性を向上させることができる。
(第1-4項) 第1-2項または第1-3項に記載の分析装置において、収容容器は蓋部材が覆われており、生化学分析装置は、蓋部材を貫通するためのピアサをさらに備え、ノズルは、蓋部材を貫通したピアサ内を通過しかつ収容物を吸引し、エラー通知は、収容容器内において収容物の気泡を検知したことと、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ第1高さと第2高さの差分が閾値以上であることと、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したこととのいずれかの可能性がある通知である。
このような構成によれば、収容容器内において収容物の気泡を検知したことと、第1高さの方が第2高さよりも高く、かつ第1高さと第2高さの差分が閾値以上であることと、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したこととのいずれかの可能性があることをユーザに認識させることができる。
(第1-5項) 第1-1項~第1-4項のいずれか1項に記載の分析装置において、制御装置は、第1高さが第2高さよりも高いか否かを判断した後に、記憶装置に記憶されている第2高さを消去する。
このような構成によれば、複数の第2高さが記憶装置に残存することを防止でき、記憶装置の記憶容量を削減できる。
(第1-6項) 第1-1項~第1-5項のいずれか1項に記載の分析装置において、制御装置は、ノズルを制御しノズルに収容物を再び吸引させる処理とともに、エラー通知を実行する。
このような構成によれば、ノズルに収容物を再び吸引させる処理を実行させることから、遅延することなく、ノズルに収容物を吸引させることができる。
(第1-7項) 第1-1項~第1-6項のいずれか1項に記載の分析装置において、制御装置は、エラー処理に基づくエラー通知を受信したときにエラー通知を実行する外部装置に対して、エラー通知を送信するか否かの入力を受付ける。
このような構成によれば、外部装置に対して、エラー通知を送信するか否かをユーザに選択させることができることから、ユーザの利便性を向上させることができる。
(第1-8項) 第1-1項~第1-7項のいずれか1項に記載の分析装置において、複数の分析項目による分析を検体に実行可能である分析機構と、検体を識別する識別情報と、複数の分析項目とを表示する表示装置とをさらに備え、分析機構は、エラーが検知された場合には、複数の分析項目のうちエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析を検体に実行し、制御装置は、エラー通知として、エラーを検知した場合に、検体に関連付けてエラー情報を表示するとともに、複数の分析項目のうちエラーが検知された分析項目に関連付けてエラー情報を表示し、検体に関連付けたエラー情報およびエラーが検知された分析項目に関連付けたエラー情報のうち少なくとも1つのエラー情報を、他のエラーが検知されたことを示すエラー情報とは異なる態様で表示する。
このような構成によれば、上述のエラーが検知された場合には、複数の分析項目のうちエラーが検知された分析項目の残りの分析項目による分析を検体に実行できるとともに、他のエラーよりもより印象強く、上述のエラーを認識させることができる。
(第1-9項) 検体と試薬とを反応容器内で反応させることにより検体の生化学分析を行う生化学分析方法であって、生化学分析を行う装置は、試薬または検体である収容物を収容する収容容器から収容物を吸引するノズルと、ノズルが収容物に接触したことを検知するセンサと、記憶装置と、ノズルを上昇および下降させるように制御する制御装置とを備え、生化学分析方法は、ノズルが収容物に接触したことをセンサが検知したときに、ノズルに収容物を吸引させるステップと、ノズルが収容物に接触したことをセンサが検知したときのノズルの高さを記憶装置に記憶するステップと、ノズルが収容物に接触したことをセンサが検知したときのノズルの第1高さが、ノズルが収容物に接触したことをセンサが前回検知したときのノズルの高さであって記憶装置に記憶されているノズルの第2高さよりも高いことに基づいてエラーを検知するステップと、エラーを検知した場合、他のエラーが検知された場合とは異なる態様でエラー通知を実行する。
このような構成によれば、分析装置は、ノズルが収容物に接触したことが検知されたときのノズルの今回高さが、前回検知されたときのノズルの前回高さよりも高いことに基づいて、エラーを検知する。さらに、分析装置は、エラーが検知された場合、他のエラーが検知された場合とは異なる態様でエラー通知を実行する。したがって、ノズルが収容物に接触したことが検知されたときのノズルの高さが、ノズルが収容物に接触したことが前回検知されたときのノズルの高さよりも高いことに基づくエラーをユーザに認識させることができる。
(第2-1項) 分析装置は、検体と試薬とを反応容器内で反応させることにより検体の生化学分析を行う。分析装置は、検体または検体である収容物を収容しかつ蓋部材を有する収容容器が配置される配置部、蓋部材を貫通するためのピアサと、蓋部材を貫通したピアサ内を通過しかつ収容物を吸引するノズルと、ノズルが収容物に接触したことを検知する第1センサと、ノズルが衝突したことを検知する第2センサと、ノズルおよびピアサを駆動する制御装置とを備える。ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したことが第1センサにより検知されたときにエラー通知を実行し、ノズルが蓋部材に衝突したことが第2センサにより検知されたときにエラー通知を実行する。
このような構成によれば、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したことが第1センサにより検知されたときにエラー通知を実行し、ノズルが蓋部材に衝突したことが第2センサにより検知されたときにエラー通知を実行する。したがって、分析装置が収容物を吸引できなかった要因をユーザに容易に認識させることができる。
(第2-2項) 第2-1項に記載の分析装置において、ピアサは延伸しており、制御装置は、ピアサの延伸方向に沿って、ノズルを駆動させ、ピアサ内でノズルが液滴に接触したことが検知されたことを、ノズルの駆動量とピアサの延伸方向の長さに相当する駆動量とに基づいて特定する。
このような構成によれば、ピアサ内でノズルが液滴に接触したことが検知されたときに、適切にエラー処理を実行することができる。
(第2-3項) 第2-1項または第2-2項に記載の分析装置において、制御装置は、ノズルを制御しノズルに収容物を再び吸引させる再吸引処理を実行する。
このような構成によれば、ノズルに収容物を自動で再び吸引させることが試みられることから、遅延することなく、ノズルに収容物を吸引させることができる。
(第2-4項) 第2-3項に記載の分析装置において、制御装置は、再吸引処理の回数が第1所定回数に到達するまでは、再吸引処理を実行し、再吸引処理の回数が第1所定回数に到達したときには、エラー通知を実行する。
このような構成によれば、ノズルの再吸引処理の回数が第1所定回数に到達したことをエラー通知に基づいてユーザに認識させることができる。
(第2-5項) 第2-1項~第2-4項のいずれか1項に記載の分析装置において、制御装置は、ノズルが衝突したことが第2センサにより検知された場合に、ピアサを制御しピアサに蓋部材を再び貫通させる再貫通処理を実行する。
このような構成によれば、ピアサに蓋部材を自動で再び貫通させることが試みられることから、ピアサに蓋部材を自動で再び貫通させた後、遅延することなく、ノズルに収容物を吸引させることができる。
(第2-6項) 第2-5項に記載の分析装置において、制御装置は、再貫通処理の回数が第2所定回数に到達するまでは、再貫通処理を実行し、再貫通処理の回数が第2所定回数に到達したときには、エラー通知を実行する。
このような構成によれば、ピアサの再貫通処理の回数が第2所定回数に到達したことをエラー通知に基づいてユーザに認識させることができる。
(第2-7項) 第2-1項~第2-6項のいずれか1項に記載の分析装置において、2以上の蓋部材の種別それぞれに、駆動量が関連づけられている第1情報を記憶する第1記憶装置をさらに備え、制御装置は、蓋部材の種別を取得し、ノズルが衝突したことが第2センサにより検知されたときのノズルの駆動量が、取得された蓋部材の種別に関連付けられている駆動量である場合に、ノズルが蓋部材に衝突したことを特定する。
このような構成によれば、ノズルが蓋部材に衝突したことを特定することができる。
(第2-8項) 第2-1項~第2-7項のいずれか1項に記載の分析装置において、制御装置は、ノズルが衝突したことが第2センサにより検知された場合に、ピアサが蓋部材を貫通しなかったことを示すエラー通知を実行する。
ノズルが衝突したことが第2センサにより検知された場合というのは、ピアサが蓋部材を貫通しなかった場合であると想定される。このような構成によれば、ノズルが衝突したことが第2センサにより検知された場合、つまり、ピアサが蓋部材を貫通しなかった場合には、ピアサが蓋部材を貫通しなかったことをエラー通知に基づいてユーザに認識させることができる。
(2-9項) 第2-1項~第2-8項のいずれか1項に記載の分析装置において、ピアサの蓋部材への非貫通状態を検知する第3センサをさらに備え、制御装置は、非貫通状態が検知されたことに基づいて、ピアサが蓋部材を貫通しなかったことを示すエラー通知を実行する。
このような構成によれば、ピアサが蓋部材を貫通しなかったことを、エラー通知に基づいて、ユーザに認識させることができる。
(第2-10項) 第2-9項に記載の分析装置において、制御装置は、第3センサによりピアサと蓋部材との衝突状態が検知された後、所定の駆動量、ピアサを駆動したときであっても、第3センサによる非貫通状態が検知されている場合には、エラー通知を実行する。
このような構成によれば、ピアサと蓋部材との衝突を検知した場合であっても、所定の駆動量、ピアサが駆動されたときには、ピアサが蓋部材を貫通する場合がある。また、ピアサによる蓋部材への衝突を検知した場合に、所定の駆動量、ピアサが駆動されたとしても、第2センサによる検知が行われている場合というのは、ピアサが蓋部材を貫通しなかった場合である。よって、ピアサによる蓋部材への衝突を検知した場合に、所定の駆動量、ピアサが駆動されたとしても、第2センサによる検知が行われている場合には、第2エラー処理を実行することから、適切な第2エラー処理を実行することができる。
(第2-11項) 第2-10項に記載の分析装置において、2以上の蓋部材の種別それぞれに、所定の駆動量が関連づけられている情報を記憶する第2記憶装置をさらに備え、制御装置は、蓋部材の種別を取得し、情報を参照して、蓋部材の種別に関連付けられている所定の駆動量を取得する。
このような構成によれば、例えば、蓋部材の硬度に応じて所定の駆動量を設定させることができ、蓋部材の硬度に応じてピアサを駆動させることができる。
(第2-12項) 第2-9項~第2-11項のいずれか1項に記載の分析装置において、制御装置は、非貫通状態が検知された場合に、ピアサを制御しピアサに蓋部材を再び貫通させる再貫通処理を実行する。
このような構成によれば、ピアサに蓋部材を自動で再び貫通させることが試みられることから、ピアサに蓋部材を自動で再び貫通させた後、遅延することなく、ノズルに収容物を吸引させることができる。
(第2-13項) 第2-12項に記載の分析装置において、制御装置は、再貫通処理の回数が第3所定回数に到達するまでは、再貫通処理を実行し、再貫通処理の回数が第3所定回数に到達したときには、エラー通知を実行する。
このような構成によれば、ピアサの自動処理の回数およびノズルの自動処理の回数が第2所定回数に到達したことをエラー通知に基づいてユーザに認識させることができる。
(第2-14項) 検体と試薬とを反応容器内で反応させることにより検体の生化学分析を行う生化学分析方法である。生化学分析を行う装置は、検体または検体である収容物を収容しかつ蓋部材を有する収容容器が配置される配置部と、蓋部材を貫通するためのピアサと、蓋部材を貫通したピアサ内を通過しかつ収容物を吸引するノズルと、ノズルが収容物に接触したことを検知する第1センサと、ノズルが衝突したことを検知する第2センサと、ノズルおよびピアサを駆動する制御装置とを備え、生化学分析方法は、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したことが第1センサにより検知されたときにエラー通知を実行するステップと、ノズルが蓋部材に衝突したことが第2センサにより検知されたときにエラー通知を実行するステップとを含む。
このような構成によれば、ピアサ内でノズルが収容物の液滴に接触したことが第1センサにより検知されたときにエラー通知を実行し、ノズルが蓋部材に衝突したことが第2センサにより検知されたときにエラー通知を実行する。したがって、分析装置が収容物を吸引できなかった要因をユーザに容易に認識させることができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。