JP7398593B1 - 混合溶射膜及び成膜装置用部品並びに成膜装置用部品の製造方法及び混合溶射膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成膜処理用部品の溶射膜上に堆積した堆積膜との応力差が吸収され、堆積膜自体の破壊や剥離が生じるのを防止することができる混合溶射膜、溶射膜を用いた成膜装置用部品及び成膜装置用部品の製造方法を提供する。【解決手段】 成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される成膜処理用部品の表面に設けられた混合溶射膜であって、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである。【選択図】 なし

Description

本発明は、成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される成膜処理用部品の表面に設けられた混合溶射膜及び成膜装置用部品並びに成膜装置用部品の製造方法及び混合溶射膜の製造方法に関する。
スパッタリング法、CVDなどにより真空容器内で基板に膜を形成する技術がある。このとき、真空容器内に設けられた基板以外の成膜処理用部品(例えば、防着板など)にも膜が付着する場合がある。このような膜が成膜処理用部品からパーティクルとして剥離すると、パーティクルが膜中に入り込み、膜製品の歩留まり低下を引き起こす場合がある。
このような理由から、成膜処理用部品の表面には、所定の表面粗さを持った溶射膜を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。このような溶射膜を成膜処理用部品の表面に形成することにより、成膜処理用部品からの不要な膜剥離が効果的に抑制される。
しかしながら、基板に形成する膜の材料として、膜応力が比較的高い材料を選択したり、長時間成膜を遂行し成膜処理用部品に形成される膜の厚みが比較的厚くなったりする場合には、溶射膜が溶射膜上に堆積した膜の応力に打ち負けてしまうと、溶射膜が膜と一緒に成膜処理用部品から剥離する可能性がある。
また、成膜材料として、半導体製造に使用される高融点材料(W、Ta、Tiおよびそれらの合金)がある。これらの高融点金属は(熱)応力が高いので、さらなる耐剥離性の向上が要望されている。
そこで、従来、成膜材料に合わせて、溶射膜材料の変更が行われていた。例えば、純Alなどの柔らかい材料を溶射施工して応力吸収の試みがされている例がある。しかしながら、純Alなどの柔らかい材料は材料強度が低く、応力自体に耐えられず、溶射膜の破断が起こる場合がある。結果、成膜が進むにつれ、パーティクルが増加する傾向を示した。
一方、Al合金やNi、Tiなどの強度の高い材料を使うことで、堆積膜の応力に負けない特性を利用することも試みられた。この場合、成膜中のパーティクルの増加は見られないが、成膜終了時、成膜処理用部品の母材(例えば、SUS304)と堆積膜の熱膨張係数の違いによる応力差を吸収できないという問題があった。そのため、堆積膜自体に応力が集中して堆積膜の破壊・剥離が生じてしまい、問題となる。
特開2008-291299号公報
本発明は、上述した事情に鑑み、例えば、高融点金属のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングターゲットの最後まで成膜しても、成膜処理用部品の溶射膜上に堆積した堆積膜との応力差が吸収され、堆積膜自体の破壊や剥離が生じるのを防止することができる混合溶射膜、混合溶射膜を用いた成膜装置用部品及び成膜装置用部品の製造方法及び混合溶射膜の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する、本発明の第1の態様は、成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される成膜処理用部品の表面に設けられた混合溶射膜であって、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜にある。
本発明の第2の態様は、厚みが300~500μmである第1の態様の混合溶射膜にある。
本発明の第3の態様は、前記AlSiのSi含有量が0.5~12質量%である第1又は第2の態様の混合溶射膜にある。
本発明の第4の態様は、成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される部品基材の表面に溶射膜が形成された成膜装置用部品であって、前記溶射膜が、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜である成膜装置用部品にある。
本発明の第5の態様は、前記成膜処理雰囲気を囲む防着板、又は前記成膜の成膜源となるスパッタリングターゲットの周りを囲むシールド部材である第4の態様の成膜装置用部品にある。
本発明の第6の態様は、前記混合溶射膜が形成された前記部品基材の表面の表面粗さRaが、3~5μmである第4又は5の態様の成膜装置用部品にある。
本発明の第7の態様は、成膜処理雰囲気に晒される部品基材の表面に溶射膜が形成された成膜装置用部品の製造方法であって、
前記部品基材の表面に、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜を形成する工程を具備する成膜装置用部品の製造方法にある。
本発明の第8の態様は、前記成膜装置用部品が、前記成膜処理雰囲気を囲む防着板、又は成膜の成膜源となるスパッタリングターゲットの周りを囲むシールド部材である第7の態様の成膜装置用部品の製造方法にある。
本発明の第9の態様は、前記混合溶射膜を形成する前記部品基材の表面の表面粗さRaが3~5μmである第7又は8の態様の成膜装置用部品の製造方法にある。
本発明の第10の態様は、Alの溶射用線材と、AlSi合金の溶射用線材とからなる二本の溶射用線材を一定の速度で送給しながら両溶射用線材の交差部にアークを発生させ、それぞれの溶融物を噴射して混合溶射膜を形成する混合溶射膜の製造方法にある。
本発明の混合溶射膜は、例えば、高融点金属のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングターゲットの最後まで成膜しても、成膜処理用部品の溶射膜上に堆積した堆積膜との応力差が吸収され、堆積膜自体の破壊や剥離が生じるのを防止することができる効果を奏し、この混合溶射膜を用いると、上述した効果を奏する成膜装置用部品及び成膜装置用部品の製造方法が実現できる。
本発明の混合溶射膜を設ける成膜処理用部品を備えるスパッタリング装置の一例の概略構成図である。 アーク溶射法を説明する模式図である。 実施例1の混合溶射膜の断面の顕微鏡写真である。 比較例1の溶射膜の断面の顕微鏡写真である。 比較例2の溶射膜の断面の顕微鏡写真である。 引張強度測定の結果を示す図である。 引張強度測定の結果を示す図である。 引張強度測定の結果を示す図である。 溶射膜表面パーティクルの測定の結果を示す図である。 溶射膜表面パーティクルの測定の結果を示す図である。 硬度の測定の様子を示す図である。 硬度の測定の結果を示す図である。 硬度の測定の結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の混合溶射膜は、成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される成膜処理用部品の表面に設けられた混合溶射膜であり、Alと、AlSi合金との混合物からなる。
Alは、好ましくは、純度が99.99%以上のアルミニウム(4NAl)である。
また、AlSi合金は、アルミニウムと珪素の合金であり、Siの含有量は、0.5~12質量%、好ましくは、1~5質量%である。Siの含有量が高くなると、AlSi合金の硬度が高くなりすぎ、応力緩和能力が低下するためである。
本発明の混合溶射膜は、Alと、AlSi合金とを用いてアーク溶射又はプラズマ溶射により形成したものであり、アーク溶射により形成するのがより好ましい。
プラズマ溶射では、粉末を混合する必要があり、粉末の融点の差により溶け方が変わるので、調整が難しく、また、プラズマ溶射では、表面粗度のコントロールができないので、最終的にブラスト処理などの必要がある。よって、アーク溶射が好ましい。
Alと、AlSi合金との混合比は、体積比で約1:1であるが、90:100~100:90の範囲であれば許容できる。
本発明の混合溶射膜は、具体的には、例えば、2種類の溶射用線材を同時に溶射して成膜することができるアーク溶射装置を用い、Alの溶射用線材と、AlSi合金の溶射用線材とからなる二本の溶射用線材を一定の速度で送給しながら両溶射用線材の交差部にアークを発生させ、それぞれの溶融物をガスで噴射して混合溶射膜としたものである。アーク溶射では、電流、電圧、エアーキャップ(Air cap)、ガス種類、ガス圧力を調整することにより所望の混合溶射膜を得ることができ、表面粗さも調整することができる。
混合溶射膜は、Alと、AlSi合金との混合物であり、合金ではないが、擬合金溶射膜とも呼称される。
混合溶射膜の厚さは、300~500nmとするのが好ましい。
本発明の混合溶射膜は、算術平均粗さである表面粗さRaが9~60μm、好ましくは20~40μm、さらに好ましくは25~35μmである。溶射で形成した混合溶射膜は、溶射条件を適宜調整することにより、表面粗さを所望の表面粗さに調整することができるが、溶射後、ブラスト処理を施すことにより、表面粗さRaを調整してもよい。
本発明の混合溶射膜は、スパッタリング装置の成膜処理用部品の表面に設けて好適なものであり、例えば、高融点金属のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングターゲットの最後まで成膜しても、成膜処理用部品の混合溶射膜上に堆積した堆積膜との応力差が吸収され、堆積膜自体の破壊や剥離が生じるのを防止することができるものである。
図1は、本発明の混合溶射膜を設ける成膜処理用部品を備えるスパッタリング装置の一例の概略構成図である。なお、図1では、真空空間を形成するための機器、成膜のための各種機器は省略する。
図1に示すように、真空成膜室10内には、バッキングプレート11に設けられたスパッタリングターゲット12と、静電チャック(ESC)13により固定された成膜基板14が相対向して設けられており、スパッタリングターゲット12と成膜基板14との間の空間は、成膜処理用部品により囲われている。具体的には、成膜処理装置は、この例では、円筒形の第1シールド部材21と、成膜基板14の周囲を囲むドーナツ状の第2シールド部材22と、これらを連結する第3シールド部材23とを具備する。これらの成膜処理用部品は、スパッタリングターゲット12から放射される成膜材料の拡散を防止する部材であり、成膜材料が付着して膜が形成されることになる。よって、第1シールド部材21、第2シールド部材22及び第3シールド部材23の表面には、本発明の混合溶射膜が形成されている。
このような第1シールド部材21、第2シールド部材22及び第3シールド部材23の表面の混合溶射膜上には、成膜材料の膜が形成され、次々と堆積されて堆積膜となるが、本発明の混合溶射膜上に堆積膜が形成されると、この堆積膜上に新たに形成された膜と堆積膜との応力差が吸収されることになり、堆積膜自体の破壊や剥離が生じるのを防止することができるものである。堆積膜の破壊や剥離によるパーティクルの発生を防止でき、スパッタリングターゲット12を最後まで使用しても、パーティクルによる成膜不良を防止することができる。
特に、近年、半導体製造に使用される高融点材料(W、Ta、Tiおよびそれらの合金)のスパッタリングターゲット12が用いられ、また、ターゲットの大きさも12インチ以上と大型化しているので、スパッタリングターゲット12が使い終わるまで成膜処理を続けると、シールド部材の溶射膜上に堆積される高融点材料の堆積膜の堆積量が増大し、堆積膜の面積や厚みが増加して、溶射膜への応力が増大するため、シールド部材の表面の溶射膜には耐応力性がさらに求められることになるが、この場合でも、大型のスパッタリングターゲット12を使い切るまで、パーティクル等の発生を防止することができる。なお、高融点材料の成膜材料としては、具体的には、W、WN、WSi、SiN、TiW、Ta/TaN、Ti/TiNなどを挙げることができる。
また、例えば、スパッタリングターゲット12が、例えば、12インチサイズの場合、第1シールド部材21は、外径が600mm程度であり、高さが、例えば、60mm~250mm程度の寸法となる。第2シールド部材22及び第3シールド部材23は、それに準ずる寸法である。
以上説明したように、本発明の混合溶射膜は、第1シールド部材21、第2シールド部材22及び第3シールド部材23などの成膜装置用部品の表面に溶射法により形成されたものである。
溶射法としては、アーク溶射法や、フレーム溶射法、プラズマ溶射法などを用いることができるが、本発明を実現するためにはアーク溶射法が好ましい。アーク溶射法によれば、表面粗さの調整が比較的容易で、上述した所望の特性を有する混合溶射膜が比較的容易に形成することができ、高融点の成膜材料を成膜して、混合溶射膜上にも成膜材料が堆積しても、最後までパーティクルの発生を抑制することができる。
図2は、アーク溶射法を説明する模式図である。アーク溶射とは、矢印の方向に連続的に送給される2本の溶射材料31,32の間に所定の電圧/電流33を印加することにより、2本の溶射材料の先端近傍にアーキング34を発生させ、同時に、吹き付けガス35を用いてアーキング34によって溶融した金属を噴霧化して噴霧粒子36とする手法である。これにより噴霧化された噴霧粒子36を、エアーキャップ37に設けた開口部37aを通して、対象基材38に吹き付けることにより、対象基材38上に堆積させて、所望の溶射膜39を形成するものである。
ここで、本発明では、2本の溶射材料として、Alからなる溶射材料と、AlSi合金からなる溶射材料とを用いる。また、吹き付けガスとしては、例えば、空気や窒素ガス、アルゴンガスなどが好適に用いられる。
<実施例1>
実施例1は、平面寸法80mm×100mm、厚さ2mmのSUS304製基材を用い、その表面に、アーク溶射法を用いて、純度が99.99%以上のアルミニウム(4NAl)と、AlSi合金との混合物からなる混合溶射膜を形成した。厚さは350μmであり、表面粗さRaは29μmであった。
AlSi合金としては、Si含有量が5質量%のAlSi合金を用いた。
また、表面粗さは、JISB0601(1994)に基づき、表面粗さ測定機を用いて表面凹凸を測定し、算術平均粗さである表面粗さRaを算出した。
製造した混合溶射膜の表面及び断面を精密に観察した結果、クラックや剥がれは観察されなかった。
図3には、混合溶射膜の断面の顕微鏡写真を示す。この結果、混合溶射膜断面に大きな気孔は見当たらず、基材との密着性も良好であった。図3(b)の拡大写真に示すように、4NAlとAlSiとの混合状態もほぼ均一であることがわかった。なお、拡大写真において、色の薄い部分が4N-Al、濃い部分がAl-5%Siである。
<比較例1>
比較例1は、実施例1と同基材の表面に4NAl単体からなる溶射膜を、アーク溶射法により同様の厚さとなるように形成した。厚さ320μmであった。
図4には、溶射膜の断面の顕微鏡写真を示す。
<比較例2>
比較例2は、実施例1と同基材の表面にAlSi合金単体からなる溶射膜を、アーク溶射法により同様の厚さとなるように形成した。厚さは300μmであった。
図5には、溶射膜の断面の顕微鏡写真を示す。
<比較例3>
比較例3は、実施例1と同基材の表面に4NAlと、CuAl合金(Cu-3.5%Al)とからなる混合溶射膜を、アーク溶射法により同様の厚さとなるように形成した。
<比較例4>
比較例4は、実施例1と同基材の表面に4NAlと、Tiとからなる混合溶射膜を、アーク溶射法により同様の厚さとなるように形成した。
<比較例5>
比較例5は、実施例1と同基材の表面にTi(2種)と、CuAl合金(Cu-3.5%Al)とからなる混合溶射膜を、アーク溶射法により同様の厚さとなるように形成した。
<成膜装置用部品>
図1の第2シールド部材22に相当する防着板である成膜装置用部品に実施例1の混合溶射膜、比較例1及び2の溶射膜をそれぞれ形成し、成膜装置用部品とした。
この成膜装置用部品を用いて、WSiスパッタリングターゲットを用いてWSi膜を1.5mm、基板上に成膜した後、チャンバー降温後に、成膜装置用部品の観察を行った。
実施例1のAl/AlSi混合溶射膜を有する場合、混合溶射膜上に堆積したWSiの堆積膜の剥がれは観察されなかった。
一方、比較例1のAl溶射膜を有する場合、WSi堆積膜に剥がれが観察され、堆積面にクラックが生じていた。
また、比較例2のAlSi溶射膜を有する場合、WSi堆積膜に剥がれが観察され、堆積膜内に破断が生じていた。
<引張強度測定>
実施例1、比較例1~5の溶射膜について、引張試験機を用い、規格:JIS K5600の5-7プルオフ法により引張強度を測定した。
この結果を図6及び図7に示す。
この結果、実施例1の4NAl/AlSiの混合溶射膜は、AlSi合金の溶射膜と同等の最も高い引張強度を有していた。
また、図8に示すように、実施例1の混合溶射膜は、比較例1の4NAl溶射膜と比較して、引張強度が23%上昇することがわかった。
<表面パーティクル測定>
Air born particle counterを用い、0.1μmのフィルターを設けた0.4MPaのパーティクルカウンターを用いてクリーンエアーを、実施例1の混合溶射膜と、比較例1、比較例3、比較例4、比較例5の混合溶射膜の溶射膜表面に、28.3L/minで30秒間吹きかけ、発生したパーティクルを測定した。測定は3回行い、この結果を図9及び図10に示す。
この結果、実施例1の混合溶射膜は、比較例と比較して表面パーティクルが少ないことがわかった。
比較例3のAl/CuAl混合溶射膜も表面パーティクルが少ないが、上述したとおり、引張強度が小さくて密着力が小さく、使用困難であった。
<硬度測定>
実施例1と比較例1(図12)、比較例3~5(図13)の混合溶射膜について、マイクロビッカース硬さ試験機により、溶射膜断面の硬度を測定した。
図11は、溶射膜断面の硬度測定の様子を示す。硬度測定は、図11のように、10箇所測定した結果を示す。この結果を図12及び図13に示した。
この結果、実施例1の混合溶射膜は、比較例1と比較して平均強度が51%上昇することがわかった。また、硬度幅が比較例1の15.1から実施例1では36.7と拡大した。このことから、実施例1の混合溶射膜はAlとAlSiが均一に混ざって存在しているため軟らかいAl溶射物の硬度域から比較的高いAl-Si溶射物の硬度域が混在し、硬さと柔軟さを併せ持った形態であることがわかった。
また、比較例3のAl/CuAl、比較例4のAl/Ti、比較例5のCuAl/Tiの混合溶射膜は平均硬度が高いが、低硬度域がなく、上述したように、表面パーティクルが多く、使用困難であった。
本発明においては、Alと、AlSi合金との混合溶射膜とすることにより、成膜処理用部品の溶射膜上に堆積した堆積膜との応力差が吸収され、堆積膜自体の破壊や剥離が生じるのを防止することができる溶射膜を実現した。Alと混合溶射するAl合金としてAlSi合金を用いたのは、成膜プロセスにおける不純物汚染の問題等を避けつつ、添加元素による硬度や引張強度といった機械的物性を制御において実用的で最適な機械的特性の配合が選択できたという理由であるが、その他のAlベースの2元系,3元系等のAl合金において上述したAlSi溶射膜と同等の機械的物性を有しうるAl合金があれば、本発明と同様な効果を有する混合溶射膜となると考えられる。
10 真空成膜室
11 バッキングプレート
12 スパッタリングターゲット
13 静電チャック(ESC)
14 成膜基板
21 第1シールド部材
22 第2シールド部材
23 第3シールド部材
31 溶射材料
33 電流
34 アーキング
35 ガス
36 噴霧粒子
37 エアーキャップ
37a 開口部
38 対象基材
39 溶射膜

Claims (10)

  1. 成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される成膜処理用部品の表面に設けられた混合溶射膜であって、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜。
  2. 厚みが300~500μmである請求項1に記載の混合溶射膜。
  3. 前記AlSi合金のSi含有量が0.5~12質量%である請求項1又は2に記載の混合溶射膜。
  4. 成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される部品基材の表面に溶射膜が形成された成膜装置用部品であって、
    前記溶射膜が、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜である成膜装置用部品。
  5. 前記成膜処理雰囲気を囲む防着板、又は前記成膜の成膜源となるスパッタリングターゲットの周りを囲むシールド部材である請求項4記載の成膜装置用部品。
  6. 前記混合溶射膜が形成された前記部品基材の表面の表面粗さRaが、3~5μmである請求項4又は5記載の成膜装置用部品。
  7. 成膜処理雰囲気に晒される部品基材の表面に溶射膜が形成された成膜装置用部品の製造方法であって、
    前記部品基材の表面に、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜を形成する工程を具備する成膜装置用部品の製造方法。
  8. 前記成膜装置用部品が、前記成膜処理雰囲気を囲む防着板、又は成膜の成膜源となるスパッタリングターゲットの周りを囲むシールド部材である請求項7記載の成膜装置用部品の製造方法。
  9. 前記混合溶射膜を形成する前記部品基材の表面の表面粗さRaが3~5μmである請求項7又は8記載の成膜装置用部品の製造方法。
  10. Alの溶射用線材と、AlSi合金の溶射用線材とからなる二本の溶射用線材を一定の速度で送給しながら両溶射用線材の交差部にアークを発生させ、それぞれの溶融物を噴射し、成膜を行う成膜処理雰囲気に晒される成膜処理用部品の表面に、Alと、AlSi合金との混合物からなり、表面粗さRaが9~60μmである混合溶射膜を形成する混合溶射膜の製造方法。

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