以下、走行制御装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1~3に示す走行制御装置1は、「走行制御装置」の一例であって、自動車10等に搭載(装着)することによってアクセルペダルおよびブレーキペダルの踏間違えに起因する事故の発生を回避することができるように構成されている。
この場合、自動車10は、自動ブレーキ装置等が搭載されていない車両であって、一例として、フライバイワイヤー方式の推進力調整装置によって操作される電子スロットル12a(図2参照)を備えた推進装置12(内燃機関やモータなど)と、油圧制御方式の制動力調整装置によって操作されるピストン13a(図2参照)を備えた制動装置13(キャリパーやドラムなど)とを備えて構成されている。
なお、「アクセルペダル」、「ブレーキペダル」および「クラッチペダル」の操作によって走行可能なマニュアルトランスミッションの搭載車両に走行制御装置1を搭載して使用することもできるが、走行制御装置1の構成および動作についての理解を容易とするために、本例の自動車10には、「アクセルペダル」および「ブレーキペダル」の操作によって走行可能な2ペダル方式のオートマチックトランスミッションが搭載されているものとする。また、自動車10における推進装置12および制動装置13以外の構成要素に関する図示および詳細な説明を省略する。
一方、走行制御装置1は、自動車10における推進装置12の動作状態(電子スロットル12aの開度)を調整するための推進力調整部2と、自動車10における制動装置13の動作状態(ピストン13aのスライド位置)を調整するための制動力調整部3とを備えている。なお、本例の走行制御装置1における推進力調整部2や制動力調整部3を「自動車」等の初期装備として搭載しておくこともできるが、以下の説明においては、自動車10に搭載されている推進力調整装置の一部を改変して推進力調整部2を構成すると共に、自動車10に搭載されている制動力調整装置の一部を改変して制動力調整部3を構成する例について説明する。
推進力調整部2は、「推進力調整部」の一例であって、図2に示すように、アーム21aおよび踏込み部21bを有するアクセルペダル21と、アクセルペダル21の踏込み位置を検出するセンサ22と、センサ22から出力されるセンサ信号に基づいてアクセルペダル21の踏込み位置を特定して踏込み位置に対応する推進力DF0~DF1の範囲内の推進力(図5参照)を推進装置12に出力させる処理部23と、処理部23によって特定される踏込み位置に対応して推進装置12に出力させる推進力を特定可能な推進力調整用データDを記憶する記憶部24と、処理部23から出力された制御信号Sを推進装置12(電子スロットル12a)に伝送するための信号ケーブル25とを備え、自動車10の推進装置12に対してアクセルペダル21の踏込み位置に応じた推進力を出力させることができるように構成されている。
この場合、本例の走行制御装置1では、一例として、自動車10に搭載されている推進力調整装置(初期装備の推進力調整装置)における「アクセルペダル」、「センサ」および「信号ケーブル」を上記のアクセルペダル21、センサ22および信号ケーブル25として利用すると共に、センサ22と初期装備の推進力調整装置における「処理部」との間に処理部23および記憶部24を介在させて、センサ22からのセンサ信号を処理部23において改変した後に初期装備の推進力調整装置における「処理部」に出力する構成が採用されているものとする。つまり、本例では、処理部23と推進装置12の電子スロットル12aとの間に初期装備の推進力調整装置における「処理部」が存在するが、推進力調整部2の構成および動作についての理解を容易とするために、この「処理部」についての図示および説明を省略する。また、推進力調整部2(処理部23)による推進装置12の制御に関する具体的な内容については、後に詳細に説明する。
制動力調整部3は、「制動力調整部」の一例であって、アーム31aおよび踏込み部31bを有するブレーキペダル31と、マスターシリンダ32と、圧力配管33とを備え、自動車10の制動装置13に対してブレーキペダル31の踏込み位置に応じた制動力BP0~BP1の範囲内の制動力(図5参照)を出力させることができるように構成されている。この場合、本例の走行制御装置1では、一例として、自動車10に搭載されている制動力調整装置(初期装備の制動力調整装置)における「マスターシリンダ」および「圧力配管」を上記のマスターシリンダ32および圧力配管33として利用すると共に、初期装備の制動力調整装置における「ブレーキペダル」に代えて専用のブレーキペダル31をマスターシリンダ32に連結する構成が採用されているものとする。
また、本例の制動力調整部3におけるブレーキペダル31の踏込み部31bは、図3に示すように、ブレーキペダル31をアクセルペダル21の踏込み部21bとは別個に単体で踏み込み可能なペダル面F3a(「第2のペダル面」の一例)と、後述するようにアクセルペダル21の踏込み部21b(ペダル面F2)を踏み込んでいる足(右足)によってアクセルペダル21と共にブレーキペダル31を踏み込み可能なペダル面F3b(「第1のペダル面」の一例)とが設けられている。この場合、本例の制動力調整部3におけるブレーキペダル31は、一例として、正面視(ペダルの踏込み方向に沿って見たとき)において、アクセルペダル21の踏込み部21bにおけるペダル面F2の左方、右方および上方にペダル面F3が位置するように構成されている。
また、図2に示すように、ブレーキペダル31は、ペダル操作が行われていない状態(ブレーキペダル31が踏み込まれていない状態)において、そのペダル面F3a,F3bが、ペダル操作が行われていない状態(踏み込まれていない状態)におけるアクセルペダル21のペダル面F2よりも踏み込み方向の奥側に位置するように取付け位置が調整されている(「アクセルペダルを第4のアクセル踏込み位置および第2のアクセル踏込み位置の間に踏み込んでいる足によってアクセルペダルと共にブレーキペダルを踏み込み可能」との構成の一例)。なお、制動力調整部3による制動装置13の制御に関する具体的な内容については、後に詳細に説明する。
この場合、本例の走行制御装置1における推進力調整部2では、処理部23が、センサ22からのセンサ信号および推進力調整用データDに基づいてアクセル踏込み位置を特定し、図5に示すように、アクセルペダル21が踏み込まれていない位置Pa1(「第1のアクセル踏込み位置」の一例)とアクセルペダル21が最も踏み込まれた位置Pa4(「第2のアクセル踏込み位置」の一例)との間に規定された位置Pa2(「第3のアクセル踏込み位置」の一例)において推進装置12に最大の推進力DF1を出力させると共に、位置Pa1,Pa4の両位置において推進装置12に最小の推進力推進力DF0をそれぞれ出力させる構成が採用されている。
また、本例の推進力調整部2では、処理部23が、位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させると共に、位置Pa2,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させ、かつ位置Pa4,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させると共に、位置Pa2,Pa1の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させる構成が採用されている。
具体的には、処理部23は、位置Pa2と、位置Pa2,Pa4の間に規定された位置Pa3(「第4のアクセル踏込み位置」の一例)との間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させて位置Pa3において推進装置12に最小の推進力DF0を出力させると共に、位置Pa3,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したとき、並びに位置Pa4,Pa3の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に最小の推進力DF0を出力する状態を維持させ、かつ位置Pa3,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させる構成が採用されている。
また、本例の推進力調整部2では、上記の位置Pa1から位置Pa2までのアクセルペダル21の踏込み量、および位置Pa2から位置Pa3までのアクセルペダル21の踏込み量(位置Pa3から位置Pa2までのアクセルペダル21の踏み戻し量、および位置Pa2から位置Pa1までのアクセルペダル21の踏み戻し量)が互いに等しくなるように位置Pa1~Pa3がそれぞれ規定されている。さらに、本例の推進力調整部2では、位置Pa1から位置Pa2に向かってアクセルペダル21の踏込み量が増加したときの「推進装置12から出力される推進力」の変化の態様と、位置Pa3から位置Pa2に向かってアクセルペダル21の踏込み量が減少したときの「推進装置12から出力される推進力」の変化の態様とが互いに等しくなり、位置Pa2から位置Pa1に向かってアクセルペダル21の踏込み量が減少したときの「推進装置12から出力される推進力」の変化の態様と、位置Pa2から位置Pa3に向かってアクセルペダル21の踏込み量が増加したときの「推進装置12から出力される推進力」の変化の態様とが互いに等しくなるように構成されている。
この場合、センサ22のセンサ信号に基づいて特定されるアクセルペダル21の踏込み位置、および推進力調整用データDに基づいて処理部23が電子スロットル12aを制御する本例の推進力調整部2では、アクセルペダル21の踏込み位置に応じて上記のように推進装置12に対して推進力を出力させるようにアクセルペダル21の踏込み位置と推進装置12に対して出力させる推進力とが対応付けられて推進力調整用データDが生成されている。
また、本例の走行制御装置1における制動力調整部3では、ブレーキペダル31が踏み込まれていない位置Pb1(「第1のブレーキ踏込み位置」の一例)と、ブレーキペダル31が最も踏み込まれた位置Pb2(「第2のブレーキ踏込み位置」の一例)との間においてブレーキペダル31の踏込み量が増加したときに制動装置13に出力させる制動力を増加させ、位置Pb2,Pb1の間においてブレーキペダル31の踏込み量が減少したときに制動装置13に出力させる制動力を減少させる構成が採用されている。
さらに、本例の制動力調整部3では、前述したようにブレーキペダル31がペダル面F3bを備えると共に、ブレーキペダル31の取付け位置が調整されることにより、位置Pa3,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときにアクセルペダル21に対するペダル操作に連動してブレーキペダル31の踏込み量が増加するように構成されている。具体的には、本例の走行制御装置1では、アクセルペダル21を位置Pa3まで踏み込んだときにアクセルペダル21のペダル面F2がブレーキペダル31のペダル面F3a,F3bとほぼ面一となるように両ペダル21,31が取り付けられており、これにより、アクセルペダル21を位置Pa3まで踏み込んでいる足(右足)がブレーキペダル31のペダル面F3bに当接し、その状態でアクセルペダル21が踏み込まれて位置Pa4に位置したときに、ペダル面F3bを踏み込まれたブレーキペダル31が位置Pb2まで踏み込まれるように構成されている。
この走行制御装置1を搭載した自動車10の走行に際しては、上記のように、推進装置12に対してアクセルペダル21の踏込み位置に応じた推進力を出力させる制御が推進力調整部2によって実行されると共に、制動装置13に対してブレーキペダル31の踏込み位置に応じた制動力を出力させる制御が制動力調整部3によって実行される。なお、2ペダル方式のオートマチックトランスミッションが搭載されている自動車10の運転に際しては、右足でアクセルペダル21を操作すると共に左足でブレーキペダル31を操作する操作方法を採用することもできるが、以下、右足でアクセルペダル21およびブレーキペダル31を操作する操作方法(極く一般的な操作方法であるが、踏間違えが生じ易い操作方法)による運転の例について説明する。
また、自動車10の走行に際しては、停車位置から後退させた後に前進させることもあるが、走行制御装置1の動作に関する理解を容易とするために、以下、停車位置から直ちに前進させる運転の例について説明する。具体的には、まず、ブレーキペダル31におけるペダル面F3aを十分な力で踏み込んだ状態で自動車10を前進走行状態に移行させる。この際には、ブレーキペダル31が位置Pb1から位置Pb2寄りの位置に踏み込まれてマスターシリンダ32から圧力配管33を介して伝達される油圧によってピストン13aがスライドさせられることにより、制動装置13から十分な制動力(停車状態を維持しようとする力)が出力され、自動車10が停車した状態に維持される。
次いで、ブレーキペダル31から足を離す。この際には、ブレーキペダル31が位置Pb1に位置させられて圧力配管33を介して伝達される油圧が十分に小さくなり、ピストン13aが初期位置(非制動位置)にスライドさせられることによって制動装置13から出力される制動力が十分に小さくなって自動車10を走行させることが可能な状態となる。続いて、アクセルペダル21を徐々に踏み込む。この際には、アクセルペダル21の踏込み位置が位置Pa1から位置Pa2に向かって変化するのに伴い、センサ22からのセンサ信号に基づいてアクセルペダル21の踏込み位置を特定した処理部23が、特定した踏込み位置、および記憶部24に記憶されている推進力調整用データDに基づいて推進装置12に対して踏込み位置に対応する制御信号Sを出力する。
具体的には、前述したように、処理部23は、位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させる。これにより、推進装置12から出力される推進力が徐々に増加して自動車10が徐々に加速する。また、自動車10の速度が所望の速度に達した際には、アクセルペダル21の踏込み量を減少させて(アクセルペダル21を位置Pa1寄りに位置させる操作:踏戻しの操作)、一定速度での走行が維持させる踏込み位置を維持する。これにより、推進装置12から出力される推進力が一定となって自動車10が一定速度で走行させられる。
一方、自動車10を減速させたり停車させたりするときには、以下の2種類の操作方法のいずれかを実行する。1つ目の操作方法は、一般的な操作方法と同様にして、アクセルペダル21をさらに位置Pa1寄りに位置させる操作(アクセルペダル21を踏み戻す操作:位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量を減少させる操作)を行う。この際に、処理部23は、位置Pa2,Pa1の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させる。これにより、推進装置12から出力される推進力が徐々に減少して自動車10が徐々に減速する。なお、減速後の速度で一定走行させるときや、自動車10を再び加速させるときの操作方法は前述の操作方法と同様のため、詳細な説明を省略する。
また、1つ目の操作方法において自動車10を停車させるときには、アクセルペダル21を位置Pa1まで踏み戻すことで推進装置12から出力される推進力を十分に減少させた後に、アクセルペダル21から離した足によってブレーキペダル31のペダル面F3aを踏み込む。これにより、制動装置13から出力される制動力によって自動車10が停車する。なお、この1つ目の操作方法によって停車させた自動車10を再び走行させるときの操作方法についても前述の操作方法と同様のため、詳細な説明を省略する。
2つ目の操作方法は、アクセルペダル21を位置Pa2よりもPa3寄りの踏込み位置まで踏込む操作(位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル21の踏込み量を増加させる操作)を行う。この際に、前述したように、処理部23は、位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させる。これにより、推進装置12から出力される推進力が徐々に減少して自動車10が徐々に減速する。
また、2つ目の操作方法によって減速させた自動車10を一定の速度で走行させるときには、一定速度での走行が維持させる踏込み位置を維持する。これにより、推進装置12から出力される推進力が一定となって自動車10が一定速度で走行させられる。さらに、2つ目の操作方法によって減速させた自動車10を再び加速させるときには、アクセルペダル21の踏込み量を減少させる(アクセルペダル21を位置Pa2寄りに位置させる操作)。この際に、処理部23は、位置Pa3,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させる。これにより、推進装置12から出力される推進力が徐々に増加して自動車10が徐々に加速する。
また、2つ目の操作方法によって減速させた自動車10を停車させるときには、アクセルペダル21を位置Pa3まで踏み込むことで推進装置12から出力される推進力を十分に減少させた後に、図4に示すように、アクセルペダル21と共にブレーキペダル31のペダル面F3bを踏み込んで、アクセルペダル21を位置Pa3,Pa4の間に位置させ、かつブレーキペダル31を位置Pb1,Pb2の間に位置させる。
この際に、本例の走行制御装置1では、処理部23が、アクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させて位置Pa3において最小の推進力DF0を出力させると共に、位置Pa3,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに、推進装置12に対して最小の推進力DF0を出力する状態を維持させる構成が採用されている。また、前述したようにブレーキペダル31の踏み込み位置が位置Pb1,Pb2の間において増加したときには、制動装置13から出力される制動力が増加する。これにより、推進装置12から出力される推進力が十分に小さい状態において制動装置13から出力される制動力によって自動車10が停車させられる。
また、2つ目の操作方法によって停車させた自動車10を発進させるときには、アクセルペダル21およびブレーキペダル31の踏込み量を徐々に減少させる。この際に、本例の走行制御装置1では、処理部23が、位置Pa4,Pa3の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに、推進装置12に対して最小の推進力DF0を出力する状態を維持させると共に、位置Pa3,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに、推進装置12に出力させる推進力を増加させる構成が採用されている。したがって、アクセルペダル21と共に踏み戻された(踏込み量を減少させられた)ブレーキペダル31が位置Pb1に近付いて制動装置13から出力される制動力が十分に小さくなり、かつアクセルペダル21の踏込み量が十分に小さくなることで推進装置12から出力される推進力が十分に大きくなることにより、自動車10が再び加速される。
一方、本例の走行制御装置1では、アクセルペダル21が位置Pa1,Pa3の間のいずれの踏込み位置に踏み込まれているかを問わず、急減速や急停車を意図してブレーキペダル31を踏み込む操作を行う際に、誤ってアクセルペダル21を踏み込んだとき(踏間違えが生じたとき)に、自動車10を十分に減速させて停車させることが可能となっている。
具体的には、一例として、アクセルペダル21を位置Pa2,Pa3の間の任意の踏込み位置に位置させて自動車10を一定速度で走行させているときに、車両前方への歩行者の飛び出し等が発生して自動車10を緊急制動(減速・停車)させる際に、正しくは、アクセルペダル21から離した足によってブレーキペダル31のペダル面F3aを踏み込む操作を行う。しかしながら、飛び出し等に驚いた運転者が正常な操作を行えず、ブレーキペダル31と間違えてアクセルペダル21を踏み込んでしまうことがある。
この際に、緊急制動を目的としてブレーキペダル31を位置Pb2寄りの位置まで大きく踏み込もうとしている運転者は、アクセルペダル21を位置Pa4寄りの位置まで大きく踏み込む操作を行う。この際には、自動車10を減速・停車させる際の2つ目の操作方法として説明した例のときと同様にして、アクセルペダル21が位置Pa3まで踏み込まれたときに推進装置12から出力される推進力が十分に小さくなり、図4に一点鎖線で示すように位置Pa3から位置Pa4に向かって踏み込まれるアクセルペダル21と共に、ブレーキペダル31(ペダル面F3b)が位置Pb1から位置Pb2に向かって踏み込まれることで制動装置13から出力される制動力が十分に大きくなる。これにより、推進装置12から離した足によってブレーキペダル31のペダル面F3aを正しく踏み込んだときと同様にして、制動装置13から出力される十分な大きさの制動力によって自動車10が停車させられる。
このように、この走行制御装置1では、推進力調整部2が、位置Pa2において推進装置12に最大の推進力DF1を出力させると共に位置Pa1,Pa4において推進装置12に最小の推進力DF0をそれぞれ出力させ、位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させると共に位置Pa2,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させ、かつ位置Pa4,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させると共に位置Pa2,Pa1の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させ、ブレーキペダル31が、位置Pa2,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときにアクセルペダル21の動作に連動してブレーキペダル31の踏込み量が増加するように構成され、制動力調整部3が、位置Pb1,Pb2の間においてブレーキペダル31の踏込み量が増加したときに制動装置13に出力させる制動力を増加させ、かつ位置Pb2,Pb1の間においてブレーキペダル31の踏込み量が減少したときに制動装置13に出力させる制動力を減少させる。
したがって、この走行制御装置1によれば、ブレーキペダル31の操作と間違えてアクセルペダル21を踏み込む操作を行ったとしても、位置Pa2,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに、推進装置12から出力される推進力が十分に小さくなると共に、アクセルペダル21に対するペダル操作に連動してブレーキペダル31が操作されて、位置Pb1,Pb2の間においてブレーキペダル31の踏込み量が増加したときに、制動装置13から出力される制動力が増加するために、自動車10を確実かつ容易に減速・停車させることができる。これにより、ブレーキペダル31およびアクセルペダル21の踏み間違えに起因する事故の発生を確実に回避することができる。
また、この走行制御装置1によれば、アクセルペダル21を位置Pa3,Pa4の間に踏み込んでいる足によってアクセルペダル21と共にブレーキペダル31を踏み込み可能なペダル面F3bと、ブレーキペダル31をアクセルペダル21とは別個に単体で踏み込み可能なペダル面F3aとをブレーキペダル31に設けたことにより、極めて簡易な構成でありながら、踏み間違えに起因してアクセルペダル21を大きく踏み込んだときに、アクセルペダル21と共にブレーキペダル31を確実に踏み込むことができる。これにより、走行制御装置1の製造コストを十分に低減しつつ、踏み間違えに起因する事故の発生を回避可能な走行制御装置1を安価に提供することができる。
また、この走行制御装置1では、推進力調整部2が、位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したときに推進装置12に出力させる推進力を減少させて位置Pa3において推進装置12に最小の推進力DF0を出力させると共に位置Pa3,Pa4の間においてアクセルペダル21の踏込み量が増加したとき、並びに位置Pa4,Pa3の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に最小の推進力DF0を出力する状態を維持させ、かつ位置Pa3,Pa2の間においてアクセルペダル21の踏込み量が減少したときに推進装置12に出力させる推進力を増加させる。
したがって、この走行制御装置1によれば、踏み間違えに起因してアクセルペダル21が大きく踏み込まれたときに、推進装置12から最小の推進力DF0が出力される状態が維持されて、アクセルペダル21に対するペダル操作に連動して踏み込まれているブレーキペダル31の踏込み位置に応じて制動装置13から出力される制動力を無駄なく発揮させることができるため、自動車10を一層確実に減速・停車させることができる。
さらに、この走行制御装置1によれば、位置Pa1から位置Pa2までのアクセルペダル21の踏込み量、および位置Pa2から位置Pa3までのアクセルペダル21の踏込み量が互いに等しくなるように位置Pa2,Pa3をそれぞれ規定したことにより、位置Pa1,Pa2の間におけるアクセルペダル21の操作によって推進装置12から出力される推進力の変化の度合いと、位置Pa2,Pa3の間におけるアクセルペダル21の操作によって推進装置12から出力される推進力の変化の度合いとが等しくなるため、位置Pa1,Pa2の間、および位置Pa2,Pa3の間のいずれでアクセルペダル21を操作したとしても、違和感を覚えずに自動車10を任意の速度で走行させることができる。
また、この走行制御装置1によれば、推進力調整部2が、アクセルペダル21の踏込み位置を検出するセンサ22、センサ22から出力されるセンサ信号に基づいてアクセルペダル21の踏込み位置を特定すると共に特定した踏込み位置に対応する推進力を推進装置12に出力させる処理部23、および処理部23によって特定される踏込み位置に対応して推進装置12に出力させる推進力を特定可能な推進力調整用データDを記憶する記憶部24を備えたことにより、フライバイワイヤー方式の推進力調整装置を搭載した自動車10に走行制御装置1を容易に搭載することができる。
次に、「走行制御装置」の他の実施の形態について説明する。
上記の走行制御装置1は、フライバイワイヤー方式の推進装置12を制御可能な推進力調整部2を備えて構成されているが、このような構成に代えて、ワイヤーコントロール方式の推進装置を制御可能に「推進力調整部」を構成することもできる。具体的には、図6に示す走行制御装置1Aは、「走行制御装置」の他の一例であって、前述の走行制御装置1における推進力調整部2に代えて推進力調整部2Aを備え、ワイヤーコントロール方式の推進装置12Aを搭載した自動車10Aに搭載(装着)して使用可能に構成されている。なお、「制動力調整部」の一例である制動力調整部3については走行制御装置1の制動力調整部3と同様のため、図示および重複する説明を省略する。
推進力調整部2Aは、「推進力調整部」の他の一例であって、主アーム41aおよび踏込み部41bを有するアクセルペダル41と、主アーム41aに配設された回動用アーム42と、アクセルペダル41の踏み込みによって回動用アーム42によって回動させられる回動体43と、一端部が回動体43に連結された連結部44と、連結部44の他端部に連結されたアクセルワイヤー45とを備え、自動車10Aの推進装置12Aに対してアクセルペダル41の踏込み位置に応じた推進力を出力させることができるように構成されている。
なお、本例の走行制御装置1Aでは、一例として、自動車10Aに搭載されている推進力調整装置(初期装備の推進力調整装置)における「アクセルワイヤー」を上記のアクセルワイヤー45として使用すると共に、自動車10Aの初期装備の「アクセルペダル」に代えてアクセルペダル41、回動用アーム42、回動体43および連結部44を取り付けることができるように構成されている。なお、アクセルペダル41における主アーム41aおよび踏込み部41bは、前述のアクセルペダル21におけるアーム21aおよび踏込み部21bと同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。
また、本例の走行制御装置1Aにおける推進力調整部2Aでは、回動用アーム42、回動体43および連結部44が相俟って「操作方向変更機構」を構成している。具体的には、本例の推進力調整部2Aでは、アクセルペダル41が踏み込まれていない状態において、回動体43における連結部44の連結部位が位置Pc1に位置させられている。また、アクセルペダル41の踏込み(踏込み量を増加させる操作)に伴って主アーム41aと共に回動用アーム42が回動中心O41を中心として矢印A1の向きに回動させられることにより、回動用アーム42によって回動体43が回動中心O43を中心として矢印B1の向きに回動させられる。この際には、回動体43における連結部44の連結部位が位置Pc1から位置Pc2を経て位置Pc3に位置させられる。これに伴い、連結部44におけるアクセルワイヤー45の連結部位が矢印C1の向き、矢印C2の向き、および矢印C1の向きにこの順で変位させられる。これにより、連結部44に連結されているアクセルワイヤー45が、矢印C1の向き(「第1の向き」の一例)、矢印C2の向き(「第2の向き」の一例)、および矢印C1の向きにこの順でスライドさせられる。
さらに、アクセルペダル21の踏戻し(踏込み量を減少させる操作)に伴って主アーム41aと共に回動用アーム42が回動中心O41を中心として矢印A2の向きに回動させられたときには、回動用アーム42によって回動体43が回動中心O43を中心として矢印B2の向きに回動させられる。この際には、回動体43における連結部44の連結部位が位置Pc3から位置Pc2を経て位置Pc1に位置させられる。これに伴い、連結部44におけるアクセルワイヤー45の連結部位が矢印C1の向き、矢印C2の向き、および矢印C1の向きにこの順で変位させられる。これにより、連結部44に連結されているアクセルワイヤー45が、矢印C1の向き、矢印C2の向き、および矢印C1の向きにこの順でスライドさせられる。
この場合、上記のような「操作方向変更機構」を備えた本例の走行制御装置1Aにおける推進力調整部2Aでは、図7に示すように、アクセルペダル41が踏み込まれていない位置Pa1(「第1のアクセル踏込み位置」の一例)とアクセルペダル41が最も踏み込まれた位置Pa3(「第2のアクセル踏込み位置」の一例)との間に規定された位置Pa2(「第3のアクセル踏込み位置」の一例)において推進装置12Aに最大の推進力DF1を出力させると共に、位置Pa1,Pa3の両位置において推進装置12Aに最小の推進力推進力DF0をそれぞれ出力させる構成が採用されている。
また、本例の推進力調整部2Aでは、位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときに推進装置12Aに出力させる推進力を増加させると共に、位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときに推進装置12Aに出力させる推進力を減少させ、かつ位置Pa3,Pa2の間においてアクセルペダル41の踏込み量が減少したときに推進装置12Aに出力させる推進力を増加させると共に、位置Pa2,Pa1の間においてアクセルペダル41の踏込み量が減少したときに推進装置12Aに出力させる推進力を減少させる構成が採用されている。
さらに、本例の推進力調整部2Aでは、上記の位置Pa1から位置Pa2までのアクセルペダル41の踏込み量、および位置Pa2から位置Pa3までのアクセルペダル41の踏込み量(位置Pa3から位置Pa2までのアクセルペダル41の踏み戻し量、および位置Pa2から位置Pa1までのアクセルペダル41の踏み戻し量)が互いに等しくなるように位置Pa1~Pa3がそれぞれ規定されている。さらに、本例の推進力調整部2Aでは、位置Pa1から位置Pa2に向かってアクセルペダル41の踏込み量が増加したときの「推進装置12Aから出力される推進力」の変化の態様と、位置Pa3から位置Pa2に向かってアクセルペダル41の踏込み量が減少したときの「推進装置12Aから出力される推進力」の変化の態様とが互いに等しくなり、位置Pa2から位置Pa1に向かってアクセルペダル41の踏込み量が減少したときの「推進装置12Aから出力される推進力」の変化の態様と、位置Pa2から位置Pa3に向かってアクセルペダル41の踏込み量が増加したときの「推進装置12Aから出力される推進力」の変化の態様とが互いに等しくなるように構成されている。
また、本例の走行制御装置1Aにおける制動力調整部3では、前述の走行制御装置1における制動力調整部3とは異なり、アクセルペダル41を位置Pa3まで踏み込む前に、アクセルペダル41を踏み込んでいる足(右足)がブレーキペダル31のペダル面F3bに当接し、その状態でアクセルペダル41が踏み込まれて位置Pa3に位置したときに、ペダル面F3bを踏み込まれたブレーキペダル31が位置Pb1から位置Pb2まで踏み込まれるように位置決めされている。
この走行制御装置1Aを搭載した自動車10Aの走行に際しては、上記のように、推進装置12Aに対してアクセルペダル41の踏込み位置に応じた推進力を出力させる制御が推進力調整部2Aによって実行されると共に、制動装置13に対してブレーキペダル31の踏込み位置に応じた制動力を出力させる制御が制動力調整部3によって実行される。具体的には、まず、ブレーキペダル31におけるペダル面F3aを十分な力で踏み込んだ状態で自動車10Aを前進走行状態に移行させる。この際には、前述の走行制御装置1を搭載した走行制御装置1(制動力調整部3)に対する操作時と同様にして、制動装置13から十分な制動力(停車状態を維持しようとする力)が出力され、自動車10Aが停車した状態に維持される。
次いで、ブレーキペダル31から足を離す。この際には、制動装置13から出力される制動力が十分に小さくなり、自動車10Aを走行させることが可能な状態となる。続いて、アクセルペダル41を徐々に踏み込む。この際には、アクセルペダル41の踏込み位置が位置Pa1から位置Pa2に向かって変化させられるのに伴い、連結部44の一端部が位置Pc1から位置Pc2に向かって変位させられてアクセルワイヤー45が矢印C1の向きにスライドさせられる。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が徐々に増加して自動車10Aが徐々に加速する。また、自動車10Aの速度が所望の速度に達した際には、アクセルペダル41の踏込み量を減少させて(アクセルペダル41を位置Pa1寄りに位置させる操作:踏戻しの操作)、一定速度での走行が維持させる踏込み位置を維持する。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が一定となって自動車10Aが一定速度で走行させられる。
一方、自動車10Aを減速させたり停車させたりするときには、以下の2種類の操作方法のいずれかを実行する。1つ目の操作方法は、一般的な操作方法と同様にして、アクセルペダル41をさらに位置Pa1寄りに位置させる操作(アクセルペダル41を踏み戻す操作:位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル41の踏込み量を減少させる操作)を行う。この際には、アクセルペダル41の踏込み位置が位置Pa2から位置Pa1に向かって変化させられるのに伴い、連結部44の一端部が位置Pc2から位置Pc1に向かって変位させられてアクセルワイヤー45が矢印C2の向きにスライドさせられる。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が徐々に減少して自動車10Aが徐々に減速する。なお、減速後の速度で一定走行させるときや、自動車10Aを再び加速させるときの操作方法は前述の操作方法と同様のため、詳細な説明を省略する。
また、1つ目の操作方法において自動車10Aを停車させるときには、アクセルペダル41を位置Pa1まで踏み戻すことで推進装置12Aから出力される推進力を十分に減少させた後に、アクセルペダル41から離した足によってブレーキペダル31のペダル面F3aを踏み込む。これにより、制動装置13から出力される制動力によって自動車10Aが停車する。なお、この1つ目の操作方法によって停車させた自動車10Aを再び走行させるときの操作方法についても前述の操作方法と同様のため、詳細な説明を省略する。
2つ目の操作方法は、アクセルペダル41を位置Pa2よりもPa3寄りの踏込み位置まで踏込む操作(位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル41の踏込み量を増加させる操作)を行う。この際には、アクセルペダル41の踏込み位置が位置Pa2から位置Pa3に向かって変化させられるのに伴い、連結部44の一端部が位置Pc2から位置Pc3に向かって変位させられてアクセルワイヤー45が矢印C1の向きにスライドさせられる。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が徐々に減少する。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が徐々に減少して自動車10Aが徐々に減速する。
また、2つ目の操作方法よって減速させた自動車10Aを一定の速度で走行させるときには、アクセルペダル41の踏込み量を増加させ(アクセルペダル41を位置Pa3寄りに位置させる操作)、一定速度での走行が維持させる踏込み位置を維持する。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が一定となって自動車10Aが一定速度で走行させられる。さらに、2つ目の操作方法によって減速させた自動車10Aを再び加速させるときには、アクセルペダル41の踏込み量を減少させる(アクセルペダル41を位置Pa2寄りに位置させる操作)。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が徐々に増加して自動車10Aが徐々に加速する。
また、2つ目の操作方法によって減速させた自動車10Aを停車させるときには、アクセルペダル41を位置Pa2と位置Pa3との間に規定された位置Pa5まで踏み込む。この際には、アクセルペダル41(踏込み部41bのペダル面F4)を踏み込んでいる足がブレーキペダル31(踏込み部31bのペダル面F3b)に当接し、アクセルペダル41を位置Pa5からさらに位置Pa3に向けて踏み込むことでアクセルペダル41と共にブレーキペダル31のペダル面F3bが踏み込まれる。
この際に、本例の走行制御装置1Aでは、位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときに推進装置12Aに出力させる推進力を減少させて位置Pa3において推進装置12Aに最小の推進力DF0を出力させる構成が採用されている。また、本例の走行制御装置1Aでは、ブレーキペダル31の踏み込み位置が位置Pb1,Pb2の間において増加したときには、制動装置13から出力される制動力が増加する。これにより、推進装置12Aから出力される推進力が十分に小さい状態において制動装置13から出力される制動力によって自動車10Aが停車させられる。
また、2つ目の操作方法によって停車させた自動車10Aを発進させるときには、アクセルペダル41およびブレーキペダル31の踏込み量を徐々に減少させる。この際には、ブレーキペダル31の踏込み量の減少に伴って制動装置13から出力される制動力が徐々に減少すると共に、アクセルペダル41の踏込み量の減少に伴って推進装置12Aから出力される推進力が徐々に増加する結果、自動車10Aが再び加速される。
一方、本例の走行制御装置1Aでは、アクセルペダル41が位置Pa1,Pa3の間のいずれの踏込み位置に踏み込まれているかを問わず、急減速や急停車を意図してブレーキペダル31を踏み込む操作を行う際に、誤ってアクセルペダル41を踏み込んだとき(踏間違えが生じたとき)に、自動車10Aを十分に減速させて停車させることが可能となっている。
具体的には、一例として、アクセルペダル41を位置Pa2,Pa3の間の任意の踏込み位置に位置させて自動車10Aを一定速度で走行させているときに、車両前方への歩行者の飛び出し等が発生して自動車10Aを緊急制動(減速・停車)させる際に、正しくは、アクセルペダル41から離した足によってブレーキペダル31のペダル面F3aを踏み込む操作を行う。しかしながら、飛び出し等に驚いた運転者が正常な操作を行えず、ブレーキペダル31と間違えてアクセルペダル41を踏み込んでしまうことがある。
この際に、緊急制動を目的としてブレーキペダル31を位置Pb2寄りの位置まで大きく踏み込もうとしている運転者は、アクセルペダル41を位置Pa3寄りの位置まで大きく踏み込む操作を行う。この際には、自動車10Aを減速・停車させる際の2つ目の操作方法として説明した例のときと同様にして、アクセルペダル41が位置Pa2から位置Pa3に向かって踏み込まれるアクセルペダル41と共に、ブレーキペダル31(ペダル面F3b)が位置Pb1から位置Pb2に向かって踏み込まれることで制動装置13から出力される制動力が十分に大きくなる。これにより、推進装置12Aから離した足によってブレーキペダル31のペダル面F3aを正しく踏み込んだときと同様にして、制動装置13から出力される十分な大きさの制動力によって自動車10Aが停車させられる。
このように、この走行制御装置1Aでは、推進力調整部2Aが、位置Pa2において推進装置12Aに最大の推進力DF1を出力させると共に位置Pa1,Pa3において推進装置12Aに最小の推進力DF0をそれぞれ出力させ、位置Pa1,Pa2の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときに推進装置12Aに出力させる推進力を増加させると共に位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときに推進装置12Aに出力させる推進力を減少させ、かつ位置Pa3,Pa2の間においてアクセルペダル41の踏込み量が減少したときに推進装置12Aに出力させる推進力を増加させると共に位置Pa2,Pa1の間においてアクセルペダル41の踏込み量が減少したときに推進装置12Aに出力させる推進力を減少させ、ブレーキペダル31が、位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときにアクセルペダル41に対するペダル操作に連動してブレーキペダル31の踏込み量が増加するように構成され、制動力調整部3が、位置Pb1,Pb2の間においてブレーキペダル31の踏込み量が増加したときに制動装置13に出力させる制動力を増加させ、かつ位置Pb2,Pb1の間においてブレーキペダル31の踏込み量が減少したときに制動装置13に出力させる制動力を減少させる。
したがって、この走行制御装置1Aによれば、前述した走行制御装置1と同様にして、ブレーキペダル31の操作と間違えてアクセルペダル41を踏み込む操作を行ったとしても、位置Pa2,Pa3の間においてアクセルペダル41の踏込み量が増加したときに、推進装置12Aから出力される推進力が十分に小さくなると共に、アクセルペダル41に対するペダル操作に連動してブレーキペダル31が操作されて、位置Pb1,Pb2の間においてブレーキペダル31の踏込み量が増加したときに、制動装置13から出力される制動力が増加するために、自動車10Aを確実かつ容易に減速・停車させることができる。これにより、ブレーキペダル31およびアクセルペダル41の踏み間違えに起因する事故の発生を確実に回避することができる。
また、この走行制御装置1Aによれば、推進力調整部2Aが、アクセルペダル41に対する踏込み操作に応じてスライドさせられるアクセルワイヤー45と、位置Pa1,Pa2の間でアクセルペダル41の踏込み量が増加したとき、および位置Pa3,Pa2の間でアクセルペダル41の踏込み量が減少したときにアクセルワイヤー45を「第1の向き(本例では、図6における矢印C1の向き)」にスライドさせると共に、位置Pa2,Pa1の間でアクセルペダル41の踏込み量が減少したとき、および位置Pa3,Pa2の間でアクセルペダル41の踏込み量が増加したときにアクセルワイヤー45を「第2の向き(本例では、図6における矢印C2の向き)」にスライドさせる「操作方向変更機構(本例では、アクセルペダル41の回動用アーム42、回動体43および連結部44)」とを備えたことにより、ワイヤーコントロール方式の推進力調整装置を搭載した自動車10Aに走行制御装置1Aを容易に搭載することができる。
なお、「走行制御装置」の構成は、上記の走行制御装置1,1Aの構成の例に限定されない。例えば、アクセルペダル21,41を踏み込んでいる足によってアクセルペダル21,41と共にブレーキペダル31を踏み込み可能なペダル面F3bと、ブレーキペダル31をアクセルペダル21,41とは別個に単体で踏み込み可能なペダル面F3aとが踏込み部31bに設けられた構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、例えば、前述の特許文献に開示されているブレーキペダルに装着された補助具と同様にアクセルペダル21,41に対するペダル操作時にアーム21a,41aに当接する当接部をブレーキペダル31に設け、アクセルペダル21,41を踏み込んだ足をブレーキペダル31の踏込み部31bに当接させることなくブレーキペダル31をアクセルペダル21,41と共に踏込み可能に構成することもできる(図示せず)。また、アクセルペダル21,41に対するペダル操作時にブレーキペダル31のアーム31aに当接する当接部をアクセルペダル21,41に設け、アクセルペダル21,41を踏み込んだ足をブレーキペダル31の踏込み部31bに当接させることなくブレーキペダル31をアクセルペダル21,41と共に踏込み可能に構成することもできる(図示せず)。
また、アクセルペダル21が位置Pa3,Pa4の間に踏み込まれた状態において推進装置12から出力させる推進力を最小の推進力DF0に維持する構成の推進力調整部2を備えた走行制御装置1を例に挙げて説明したが、「第3のアクセル踏込み位置」から「アクセルペダル」の踏み込み量を増加させたときに「推進装置」から出力させる推進力が最小となる「第4のアクセル踏込み位置(推進力調整部2の構成例における位置Pa3)」については、「第3のアクセル踏込み位置」と「第2のアクセル踏込み位置」との間の任意の位置に規定することができ、一例として、「第4のアクセル踏込み位置」を「第3のアクセル踏込み位置」と同じ位置に規定する(アクセル踏込み位置を変更しても推進力最小の状態が維持されない構成を採用する)こともできる。
さらに、油圧制御方式の制動装置13に出力させる制動力を調整可能な制動力調整部3を備えた構成を例に挙げて説明したが、ワイヤーコントロール方式の「制動装置」、リンク制御方式の「制動装置」、およびフライバイワイヤー方式の「制動装置」などの各種の「制動装置」から出力される制動力を調整可能に「制動力調整部」を構成することができる。この場合、「制動力調整部」における「制動装置」の制御原理については、既存の「制動力調整装置」における「制動装置」の制御原理と同様の原理を採用できるため、詳細な説明を省略する。