JP7387240B2 - 電気機器収納構造 - Google Patents

Description

本発明は、車両用の電気機器の収納構造に関する。

特許文献１には、エアコンコンプレッサを収容する駆動部ハウジングがエンジンに取り付けられた構造が開示されている。駆動部ハウジングは、シリンダブロックと、シリンダブロックの下端に位置するオイルパンとに締結されている。

特許文献１に開示されている構造を備える車両が衝突した際、衝撃に対する変形性能がシリンダブロックよりもオイルパンの方が大であるため、駆動部ハウジングには、車両上下方向に対して直交する方向の回りのねじれが作用する。これにより、駆動部ハウジングが、その内部に収容されたエアコンコンプレッサとともに損傷するおそれがある。エアコンコンプレッサは、比較的高電位が印加される電気機器である。このため、車両衝突によって、エアコンコンプレッサからの漏電等による電気安全性の低下が懸念される。

特開２０１９－９４８３０号公報

本発明は、上記事情に鑑み、車両衝突の際、ハウジングに収納された電気機器の損傷を防ぐことが可能な電気機器収納構造を提供することをその課題とする。

本発明によって提供される電気機器収納構造は、車両用の電気機器を収容するとともに、車両の駆動ユニットに取り付けられるハウジングと、前記ハウジングを前記駆動ユニットに取り付けるための締結部材と、を備え、前記ハウジングは、前記電気機器を収容する中空領域が設けられた本体部と、前記本体部につながり、かつ前記締結部材が挿入される取付け部と、を有し、前記取付け部には、当該取付け部の表面から凹む誘発部が設けられ、前記誘発部は、前記中空領域から離れて位置することを特徴としている。

本発明にかかる電気機器収納構造によれば、車両衝突の際、ハウジングに収納された電気機器の損傷を防ぐことが可能となる。

本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。

本発明の一実施形態にかかる電気機器収納構造の正面図である。 図１に示す収納構造の右側面図である。 図１に示す収納構造の平面図である。 図２のＩＶ－ＩＶ線に沿う断面図である。 図３のＶ－Ｖ線に沿う断面図である。

本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。

図１～図５に基づき、本発明の一実施形態にかかる電気機器収納構造（以下「収納構造Ａ」という。）について説明する。収納構造Ａは、車両用の電気機器を収納する。収納構造Ａにおいては、当該電気機器は、車両の空調装置を構成するコンプレッサである。コンプレッサは、車両内を循環する冷媒を圧縮する。収納構造Ａは、ハウジング１０、ケース２０、および複数の締結部材３０を備える。

ここで、説明の便宜上、これらの図において示されるｕｐｒを車両上方向、ｄｗｎを車両下方向、ｆｒを車両前方向、ｒｒを車両後方向、ｒｈを車両右方向、ｌｈを車両左方向とする。以下の説明で、特記なく上下を用いる場合は、車両上下方向の上下を指す。特記なく前後を用いる場合は、車両前後方向の前後を指す。特記なく左右を用いる場合は、車両左右方向（車幅方向）の左右を指す。

ハウジング１０は、車両用の電気機器（以下、単に「電気機器」という。）を収納している。図２に示すように、ハウジング１０は、車両前方から駆動ユニット４０に取り付けられている。ハウジング１０は、たとえば鋳鉄製である。収納構造Ａにおいては、駆動ユニット４０は、内燃機関である。駆動ユニット４０は、シリンダブロック４１と、シリンダブロック４１の下端に位置するオイルパン４２とを含む。オイルパン４２は、シリンダブロック４１よりも衝撃に対する変形性能が大である。この他、駆動ユニット４０は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されるモータおよびその収容構造でもよい。図１および図３に示すように、ハウジング１０は、第１部材１０Ａおよび第２部材１０Ｂを含む。第２部材１０Ｂは、第１部材１０Ａに対して車幅方向の一方側に位置し、かつ第２部材１０Ｂに取り付けられている。この他、ハウジング１０は、第１部材１０Ａおよび第２部材１０Ｂに分割されていない一体型の構造でもよい。

図１に示すように、第１部材１０Ａおよび第２部材１０Ｂの各々は、本体部１１と、複数の取付け部１２とを有する。本体部１１には、電気機器を収容する中空領域１１１が設けられている。収納構造Ａにおいては、中空領域１１１は、第１部材１０Ａに設けられている。複数の取付け部１２は、本体部１１につながっている。複数の取付け部１２には、複数の締結部材３０が車両前後方向に個別に挿入される。複数の取付け部１２は、第１取付け部１２１および第２取付け部１２２を含む。

図１および図２に示すように、第１取付け部１２１は、本体部１１の上端につながり、かつ車両前後方向に延びている。第１取付け部１２１に挿入された締結部材３０は、駆動ユニット４０のうちシリンダブロック４１に締結されている。第２取付け部１２２は、本体部１１の下端につながり、かつ車両前後方向に延びている。第２取付け部１２２に挿入された締結部材３０は、駆動ユニット４０のうちオイルパン４２に締結されている。

図１～図３に示すように、複数の取付け部１２のうち第１部材１０Ａの第１取付け部１２１と、第２部材１０Ｂの第１取付け部１２１とには、誘発部１３が設けられている。誘発部１３は、第１取付け部１２１の表面から凹んでいる。収納構造Ａにおいては、誘発部１３が凹む方向は、車両上下方向に直交する方向を含む。誘発部１３は、本体部１１の中空領域１１１から離れて位置する。誘発部１３が設けられた複数の取付け部１２の各々の部位の車両前後方向に対する横断面積は、当該取付け部１２の他の部位の当該横断面積よりも縮小されている。収納構造Ａにおいては、誘発部１３は、第１部材１０Ａおよび第２部材１０Ｂの各々の第１取付け部１２１にのみ設けられている。この他、誘発部１３は、第２取付け部１２２を含めた複数の取付け部１２の全てに設ける場合でもよい。

図３および図５に示すように、第１部材１０Ａの第１取付け部１２１に設けられた誘発部１３は、車幅方向において互いに離れて位置する２つの領域を含む。当該２つの領域は、車両上下方向および車幅方向の双方から凹み、かつ車両前後方向に延びている。

図２および図４に示すように、第２部材１０Ｂの第１取付け部１２１に設けられた誘発部１３は、車両前後方向において互いに離れて位置する２つの領域を含む。当該２つの領域は、車幅方向から凹んでいる。

ケース２０は、図１および図３に示すように、車幅方向において第１部材１０Ａに対して第２部材１０Ｂとは反対側に位置する。ケース２０には、電気機器を駆動および制御するためのインバータが収納されている。

複数の締結部材３０は、ハウジング１０を駆動ユニット４０に取り付けるために利用される。複数の締結部材３０は、ボルトである。図１～図３に示すように、複数の締結部材３０の軸部は、車両前後方向に延びている。したがって、複数の締結部材３０によって導入される軸力の向きは車両前後方向である。

次に、収納構造Ａの作用効果について説明する。

収納構造Ａは、駆動ユニット４０に取り付けられるハウジング１０を備える。ハウジング１０は、電気機器を収容するための中空領域１１１が設けられた本体部１１と、本体部１１につながり、かつ締結部材３０が挿入される取付け部１２とを有する。取付け部１２には、当該取付け部１２の表面から凹む誘発部１３が設けられている。誘発部１３は、中空領域１１１から離れて位置する。これにより、車両衝突の際、ハウジング１０に作用する衝撃力は、締結部材３０に伝達されるとともに、誘発部１３が設けられた取付け部１２の部位には当該衝撃力に伴う応力が集中する。これにより、取付け部１２には、誘発部１３を起点とした亀裂が発生する。ここで収納構造Ａにおいては、締結部材３０が車両前後方向に沿って取付け部１２に挿入されているため、締結部材３０から取付け部１２に伝達される軸力は車両前後方向に沿ったものとなる。このため、当該亀裂は、車両前後方向に沿って伝播する。

したがって、上記亀裂の発生に伴いハウジング１０に作用する衝撃力の一部が吸収されるため、本体部１１に作用する当該衝撃力が低減され、かつ当該亀裂が本体部１１に伝播することが防止される。以上より、収納構造Ａによれば、車両衝突の際、ハウジング１０に収納された電気機器の損傷を防ぐことが可能となる。

収納構造Ａによれば、中空領域１１１に収容された電気機器を保護するための別部材を本体部１１に設ける必要がなくなる。このため、収納構造Ａにかかるコストの縮減を図ることができる。

収納構造Ａにおいては、誘発部１３は、取付け部１２の第１取付け部１２１にのみ設けられている。これは、取付け部１２の第２取付け部１２２に挿入された締結部材３０がオイルパン４２に締結されていることから、車両衝突に伴う衝撃力の吸収を第１取付け部１２１と、オイルパン４２とに分担させるためである。この他、第２取付け部１２２に挿入された締結部材３０がシリンダブロック４１と同程度の変形性能を有する駆動ユニット４０の部位に締結される場合は、第１取付け部１２１および第２取付け部１２２に誘発部１３を設けることが好ましい。

本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。

Ａ：収納構造
１０：ハウジング
１０Ａ：第１部材
１０Ｂ：第２部材
１１：本体部
１１１：中空領域
１２：取付け部
１２１：第１取付け部
１２２：第２取付け部
１３：誘発部
２０：ケース
３０：締結部材
４０：駆動ユニット
４１：シリンダブロック
４２：オイルパン

Claims (1)

1. 車両用の電気機器を収容するとともに、車両の駆動ユニットに取り付けられるハウジングと、
   前記ハウジングを前記駆動ユニットに取り付けるための締結部材と、を備え、
   前記ハウジングは、前記電気機器を収容する中空領域が設けられた本体部と、各々が前記本体部につながり、かつ前記締結部材が個別に挿入される第１取付け部および第２取付け部と、を有し、
   前記第１取付け部および前記第２取付け部のうち前記第１取付け部のみには、当該第１取付け部の表面から凹む誘発部が設けられており、
   前記誘発部は、前記中空領域から離れて位置しており、
   前記誘発部は、前記締結部材の挿入方向において互いに離れた２つの領域を含み、
   前記挿入方向に対して直交する方向に視て、前記２つの領域の各々は、前記締結部材に重なっており、
   前記駆動ユニットは、第１要素と、前記第１要素よりも衝撃に対する変形性能が大である第２要素と、を含み、
   前記第１取付け部は、前記第１要素に取り付けられており、
   前記第２取付け部は、前記第２要素に取り付けられている、電気機器収納構造。
   

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