JP7382805B2 - 加工装置および中空ワークの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加工装置および中空ワークの製造方法に関する。
中空の金属部品の内径部を研磨または研削する手法として、金属部品の内径部に砥粒を付したワイヤを通し、金属部品とワイヤとを相対移動させることにより、金属部品の内径部を研磨または研削する手法がある。
特許文献1には、中空の金属部品であるフェルール内にワイヤを挿通した状態で、回転機構によりフェルールをその軸心または軸心と平行な軸線を中心に回転させるとともに、往復運動機構によりワイヤをその長さ方向へ運動させる装置が開示されている。また、同文献には、この装置において、密着機構によりワイヤをフェルールの内周面と密着する方向に移動させ、あるいは振動機構によりワイヤをフェルールの内周面に接触する位置と、内周面から離間する位置との間で振動させて、フェルールの内周面を研削することが開示されている。
特開2003-170337号公報
上記の手法により金属部品の内径部を研磨または研削するには、加工対象の金属部品(以下、ワーク)の内径部にワイヤを挿入する必要がある。しかし、ワイヤは撓んだり曲がったりし易いため、ワークを装置にセットする操作や、ワークの内径部にワイヤを挿入する操作を機械的に行うことが困難であった。
本発明は、中空のワークの内径部を研磨または研削するワイヤがワークから離れた状態のときに撓んだり曲がったりすることを抑制し、ワイヤをワークの内径部に挿入する操作の困難さを低減することを目的とする。
上記の目的を達成する本発明は、中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、ワークの内径に挿入されるワイヤと、ワイヤの一端を固定する第1チャックと、ワイヤの他端を固定するとともに、ワークの入替えの際にはワイヤの固定を解除する第2チャックと、ワイヤを把持してこのワイヤをワークに対して相対移動させることにより、ワークの内径からワイヤの引き抜き、およびワークの内径にワイヤの挿入、を行なう把持部と、ワークと、ワークの内径に挿入され第1チャックおよび第2チャックに固定されたワイヤと、を相対移動させることにより、ワークの内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、を有することを特徴とする装置である。
より好ましくは、この装置は、第2チャックによる固定が解除されたワイヤがワークの内径から外れた状態のときに、ワイヤの他端の側を保持する保持部を更に備える。
さらに好ましくは、この装置は、把持部によりワイヤをワークの内径に挿入し、ワイヤの他端を第2チャックに固定させる際、第2チャックにワイヤを導く第2保持部を更に備える。
また上記の目的を達成する本発明は、中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、ワークの内径に挿入されるワイヤと、ワイヤの一端を固定する第1チャックと、ワイヤの他端を固定するとともに、ワークの入替えの際にはワイヤの固定を解除する第2チャックと、ワークと、ワークの内径に挿入され第1チャックおよび第2チャックに固定されたワイヤと、を相対移動させることにより、ワークの内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、第2チャックによる固定が解除されたワイヤがワークの内径から外れた状態のときに、ワイヤの他端の側を保持する保持部と、を有することを特徴とする装置である。
より好ましくは、この装置は、保持部よりも第1チャック側に設けられ、ワイヤの姿勢を整える構造部を更に備える。
さらに好ましくは、この装置は、構造部よりも第1チャック側に設けられ、ワイヤを把持して第1チャックとともにワークに対して相対移動することにより、ワークの内径からワイヤの引き抜き、およびワークの内径にワイヤの挿入、を行なう把持部を更に備える。
また、より詳細には、この把持部は、ワークの内径からワイヤを引き抜く際およびワークの内径にワイヤを挿入する際にこのワイヤを把持し、研磨・研削手段によりワークの内径を研磨または研削する際には、ワイヤの把持を行わずにワイヤから退避する。
また上記の目的を達成する本発明は、内径を研磨または研削して形成される中空ワークの製造方法であって、第1チャックにより一端が固定され他端の側が保持部によって保持されるワイヤを把持部によって把持した状態でこのワイヤを中空ワークに対して相対移動させ、中空ワークの内径にワイヤを挿入させる工程と、中空ワークの内径に挿入されたワイヤの他端を第2チャックにより固定させ、ワイヤに対する把持部の把持を解除し、第1チャックおよび第2チャックを用いてワイヤを回転させながら、ワイヤに対して中空ワークをワイヤの延びる方向に相対移動させて研磨または研削を行なう工程と、ワイヤの他端に対する第2チャックの固定の解除とワイヤの把持部による把持とを行い、把持部によって把持した状態でワイヤを中空ワークに対して相対移動させ、中空ワークの内径からワイヤを引き抜き、ワイヤと中空ワークとの相対移動を停止させてワイヤの他端の側を保持部によって保持する工程と、ワイヤが引き抜かれた中空ワークを取り出す工程と、を有することを特徴とする中空ワークの製造方法である。
本発明によれば、中空のワークの内径部を研磨または研削するワイヤがワークから離れた状態のときに撓んだり曲がったりすることを抑制し、ワイヤをワークの内径部に挿入する操作の困難さを低減することができる。
本実施形態の製造方法による加工対象のワークの形状を示す図であり、図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)のIb-Ib断面図である。 ワイヤ内径研磨の手法を示す図である。 本実施形態においてワークに対するワイヤ内径研磨を行う装置の全体構成を示す図である。 把持部が設けられていない研磨装置において、ワークを取り外す際のワイヤの様子を示す図であり、図4(A)は、第2チャックによるワイヤの固定が解除された状態を示す図であり、図4(B)は、ワイヤがワークの内径部から引き抜かれた状態を示す図であり、図4(C)は、ワイヤが大きく撓んだ状態を示す図である。 図4に示した研磨装置に把持部を設けた様子を示す図であり、図5(A)は、把持部がワイヤを把持した状態を示す図であり、図5(B)は、ワイヤをワークの内径部に挿入した状態を示す図である。 図5に示した研磨装置に支持部、第1保持部および第2保持部を設けた様子を示す図であり、図6(A)は、ワイヤをワークから抜いた状態を示す図であり、図6(B)は、ワイヤをワークの内径部に挿入した状態を示す図である。 図6(A)の部分拡大図である。 支持部の構成を示す図である。 本実施形態においてワークを交換する際の動作を示す図であり、図9(A)は、ワークがセットされた状態を示す図であり、図9(B)は、ワイヤがワークから引き抜かれた状態を示す図であり、図9(C)は、ワークが取り外された状態を示す図であり、図9(D)は、新たなワークが装着された状態を示す図であり、図9(E)は、装着されたワークにワイヤを挿入した状態を示す図である。 ワークを交換する際の動作の他の例を示す図であり、図10(A)は、ワークがセットされた状態を示す図であり、図10(B)は、第2チャックが取り外された状態を示す図であり、図10(C)は、ワークからワイヤが抜かれた状態を示す図であり、図10(D)は、ワークが取り外された状態を示す図であり、図10(E)は、新たなワークが装着された状態を示す図であり、図10(F)は、ワークにワイヤが挿入された状態を示す図であり、図10(G)は、第2チャックがワイヤを固定した状態を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<加工対象のワーク>
図1は、本実施形態の製造方法による加工対象のワークの形状を示す図である。図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)のIb-Ib断面図である。ワーク10は、貫通孔が開けられた中空の筒状の部材である。ワーク10を端面側から見た形状は円形であり、孔の内側の面である内径部11とワーク10の外径部とが同心円をなす。すなわち、端面は円環形状である。図1に示すワーク10の形状は例示であり、本実施形態による加工対象となるワーク10の形状は図1に示すものに限定されない。また、ワーク10を加工する際には、複数のワーク10を、内径部11の円の中心を揃えて連ね、この内径部11の中心が並ぶ軸(以下、中心軸)の方向に延びる中空の棒状部材のように扱い、同一工程にて複数のワーク10の内径部11に対する加工を実施しても良い。
<内径研磨>
次に、本実施形態により実施されるワーク10に対する加工について説明する。本実施形態では、ワーク10の内径部11に対する加工として研磨または研削を行う。以下の説明では、研磨と研削とを特に区別せず、「研磨」と呼ぶ。本実施形態におけるワーク10の内径部11に対する研磨手法であるワイヤ内径研磨を説明する。ワイヤ内径研磨は、遊離砥粒による金属塑性変形破壊機構による研磨である。ワイヤ内径研磨では、ワーク10に対し、外径部や端面を基準とせずに内径部11の研磨が行われる。
図2は、ワイヤ内径研磨の手法を示す図である。ワイヤ内径研磨では、ワーク10の孔にワイヤ20が通される。ワイヤ20には、砥粒21を混入したスラリー(砥粒スラリー)が塗布されている。このため、ワイヤ20をワーク10の内径部11に押し当て、内径部11を摺るようにワイヤ20(またはワーク10)を動かすことにより、ワイヤ20と内径部11との間に挟み込まれた砥粒21(遊離砥粒)により内径部11が研磨される。図2に示す例では、ワイヤ20を回転させながらワーク10をワイヤ20に沿って動かしている(図2の矢印参照)。
<装置の全体構成>
図3は、本実施形態においてワーク10に対するワイヤ内径研磨を行う装置の全体構成を示す図である。研磨装置1は、ワイヤ20と、第1チャック30および第2チャック40と、移動台(トラバース)50と、第1保持部51および第2保持部52と、把持部60と、支持部70とを備える。
ワイヤ20は、ワーク10の内径部11に挿入され、貫通して、ワーク10に対して相対移動することにより、ワーク10の内径部11を研磨する。ワイヤ20には、図2を参照して説明したように、ワーク10の内径部11を研磨するための砥粒21を混入したスラリーが塗布されている。
第1チャック30は、ワイヤ20の一端を固定する。第2チャック40は、ワイヤ20の他端を固定する。ワイヤ20がワーク10を貫通した状態で、第1チャック30および第2チャック40によりワイヤ20の両端が固定されることにより、ワイヤ20がワーク10の内径部11を研磨可能な状態となる。この状態をワーク10が研磨装置1にセットされた状態と呼ぶ。ワーク10が研磨装置1にセットされた状態でワイヤ20とワーク10とが相対移動することにより、ワーク10を貫通したワイヤ20によりワーク10の内径部11が研磨される。
ワーク10を研磨可能な状態にセットするためには、ワイヤ20を、一方の端からワーク10の内径部11へ挿入することが必要である。また、研磨が済んだワーク10を研磨装置1から取り外すには、ワイヤ20をワーク10の内径部11から抜き取ることが必要である。そのため、ワーク10を研磨装置1にセットする際および研磨済みのワーク10を研磨装置1から取り外す際は、第1チャック30および第2チャック40の少なくとも一方において、ワイヤ20の固定を解除する。本実施形態では、第2チャック40によるワイヤ20の固定が解除されるものとする。
移動台50は、ワーク10をセットした状態で、ワーク10の内径部11を貫通して第1チャック30および第2チャック40に固定されたワイヤ20に沿って移動可能に構成されている。ワーク10をセットした移動台50がワイヤ20に沿って移動することで、ワーク10の内径部11が研磨される。また、移動台50には、第1保持部51、第2保持部52および支持部70が設けられている。移動台50は、研磨・研削手段の一例である。
なお、本実施形態では、ワーク10をセットした移動台50が移動することにより、ワイヤ20に沿ってワーク10を移動させる構成とした。しかし、ワイヤ内径研磨は、ワーク10の内径部11にワイヤ20を通した状態で、ワーク10とワイヤ20とが相対移動すれば良い。したがって、ワーク10をセットした台を固定し、ワイヤ20を固定した第1チャック30および第2チャック40を移動させることにより、ワーク10に対してワイヤ20を移動させて研磨を行う構成や、ワーク10およびワイヤ20の両方を移動させることにより研磨を行う構成も実現可能である。
第1保持部51は、ワーク10が移動台50にセットされた状態で、ワーク10の一端側(第1チャック30側)に位置するように設けられている。第1保持部51は、ワーク10の内径部11にワイヤ20が挿入される際に、ワイヤ20の先端をワーク10の内径部11内に誘導する。また、上述したように、研磨済みのワーク10を新たなワーク10に入れ替える際、ワイヤ20がワーク10の内径部11から抜かれるが、このとき第1保持部51は、ワーク10の内径部11から外された状態のワイヤ20の先端を保持する。すなわち、ワイヤ20の先端は、ワーク10の内径部11から外れているときでも第1保持部51に保持され、フリーな状態(自由端)にはならない。
第1保持部51は、ワイヤ20の先端を保持し、ワーク10の内径部11に誘導するものであれば良く、その具体的な形状や構造は特に限定しない。例えば、ワーク10の内径部11と同形状の円形孔を有し、この円形孔が移動台50にセットされたワーク10の内径部11と重なるように設けられた輪形部品としても良い。また、ワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入する際に、保持しているワイヤ20の先端をワーク10の内径部11の位置に位置決めし、その他のときには退避する動的な構造を有する装置であっても良い。また、本実施形態の第1保持部51は、移動台50に対して固定的に設けられているが、移動台50とは別の部品として研磨装置1に設けても良い。なお、第1保持部51を移動台50に対して固定的に設けた場合、第1保持部51のワイヤ20に接する部位が、ワーク10の加工時に一緒に削れてしまうことが考えられる。したがって、第1保持部51は、交換可能に設けても良い。
第2保持部52は、ワーク10が移動台50にセットされた状態で、ワーク10の他端側(第2チャック40側)に位置するように設けられている。第2保持部52は、ワーク10の内径部11を貫通したワイヤ20の先端を受け、第2チャック40に誘導する。第2保持部52は、ワイヤ20の先端を第2チャック40に誘導することができれば良く、その具体的な形状や構造は特に限定しない。例えば、上述した第1保持部51と同様に、ワーク10の内径部11と同形状の円形孔を有し、この円形孔が移動台50にセットされたワーク10の内径部11と重なるように設けられた輪形部品としても良い。また、第2保持部52は、第1保持部51のようにワイヤ20がワーク10から外れた状態のときにワイヤ20を保持するような役割はなく、ワイヤ20を第2チャック40に固定する際にのみ必要となる。したがって、ワイヤ20を第2チャック40に固定した後はワーク10および第2チャック40から離れるような動的な構造を有する装置であっても良い。また、第2保持部52は、移動台50に対して固定的に設けられているが、移動台50とは別の部品として研磨装置1に設けても良い。なお、第2保持部52を移動台50に対して固定的に設けた場合、第2保持部52のワイヤ20に接する部位が、ワーク10の加工時に一緒に削れてしまうことが考えられる。したがって、第2保持部52は、交換可能に設けても良い。
把持部60は、第1チャック30と移動台50との間で、ワイヤ20が張られる位置に設けられ、ワイヤ20を把持して支える。把持部60には、ワイヤ20を挟み込んで固定する爪が設けられており、この爪を締めることにより、ワイヤ20を把持する。把持部60は、より詳細には、ワイヤ20の第2チャック40側の先端から、移動台50のワイヤ20に沿う方向の長さよりも長い距離だけ離れた位置に設けられる。言い換えれば、把持部60は、ワイヤ20の先端を第2チャック40に固定した状態で、移動台50に当たらない位置に設けられる。
また、把持部60は、少なくともワーク10に対してワイヤ20を挿入する時および抜く時は、ワイヤ20を固定している第1チャック30との間の距離を一定に保持する。したがって、ワイヤ20の抜き差しのために第1チャック30が移動する場合は、把持部60も一緒に同じ方向へ移動する。このため、第1チャック30と把持部60との間において、ワイヤ20に撓みや曲がりは生じない。
また、把持部60は、ワイヤ20をワーク10に挿入し、第2チャック40に固定した後(ワーク10に対する加工時)には、ワイヤ20の把持を解除し、移動台50の移動経路上から退避する。このため、把持部60は、ワーク10を研磨する動作である移動台50の移動の邪魔にならない。
支持部70は、移動台50に設けられており、第1保持部51に対して把持部60側に配置されている。支持部70は、ワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入する際に、ワイヤ20の先端を支持して姿勢を整え、第1保持部51へ誘導する。すなわち、ワイヤ20は、ワーク10の内径部11に挿入される際、支持部70により支持されて第1保持部51へ誘導され、さらに第1保持部51により保持されてワーク10の内径部11へ誘導される。支持部70は、対になったローラでワイヤ20を挟むように構成されている。支持部70は、構造部の一例である。支持部70の構成の詳細については後述する。
<把持部60の作用>
図4は、把持部60が設けられていない研磨装置1において、ワーク10を取り外す際のワイヤ20の様子を示す図である。図4(A)は、第2チャック40によるワイヤ20の固定が解除された状態を示す図、図4(B)は、ワイヤ20がワーク10の内径部11から引き抜かれた状態を示す図、図4(C)は、ワイヤ20が大きく撓んだ状態を示す図である。
ワーク10の内径部11の研磨が行われた後、研磨済みのワーク10を研磨装置1(移動台50)から取り外す場合、まず、第2チャック40によるワイヤ20の固定が解除される(図4(A)参照)。次に、第1チャック30がワイヤ20を固定したまま第2チャック40および移動台50から遠ざかる方向へ移動することにより、ワーク10からワイヤ20が引き抜かれる(図4(B)参照)。
このとき、研磨装置1に把持部60が存在せず、第2チャック40およびワーク10の内径部11から外されたワイヤ20が、第1チャック30に固定されるのみであり、ワイヤ20を拘束する構成が設けられていないと、ワイヤ20は、自重により大きく撓んだり曲がったりしてしまう(図4(C)参照)。この状態でワーク10が交換され、新たなワーク10の内径部11にワイヤ20の先端を挿入しようとすると、ワイヤ20の撓みや曲がりによってワイヤ20の先端の位置とワーク10の内径部11の位置とが一致しないため、別途、ワイヤ20の先端の位置決めを行うことが必要となる。したがって、ワーク10の交換やワーク10へのワイヤ20の挿入を機械的に行うことは困難である。
図5は、図4に示した研磨装置1に把持部60を設けた様子を示す図である。図5(A)は、把持部60がワイヤ20を把持した状態を示す図、図5(B)は、ワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入した状態を示す図である。
把持部60は、ワイヤ20が第2チャック40およびワーク10から外されるときは、ワイヤ20を爪61の間に挟み、爪61を締めることにより、ワイヤ20を固定する。実際の動作では、まず、第2チャック40がワイヤ20を固定した状態で、把持部60がワイヤ20を把持する。この後、第2チャック40がワイヤ20の固定を解除し、第1チャック30および把持部60が第2チャック40および移動台50から遠ざかる方向へ移動することにより、ワイヤ20がワーク10から引き抜かれる。この構成では、把持部60が、ワイヤ20の先端(第2チャック40側の端)に近い位置を把持しているため、図4(C)に示した場合のように、ワイヤ20に大きな撓みや曲がりが生じることはない(図5(A)参照)。
この状態でワーク10が交換され、新たなワーク10の内径部11にワイヤ20の先端を挿入する場合、第1チャック30および把持部60が第2チャック40および移動台50へ向かう方向へ移動することにより、ワイヤ20がワーク10の内径部11に挿入される(図5(B)参照)。上述したように、把持部60がワイヤ20を支えており、ワイヤ20に大きな撓みや曲がりが生じていないため、ワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入することが容易になる。
<支持部70、第1保持部51および第2保持部52の作用>
上述したように、把持部60が設けられると、把持部60がワイヤ20を把持することにより、ワイヤ20に大きな撓みや曲がりが生じなくなる。しかしながら、図5(B)を参照してわかるように、ワイヤ20をワーク10に挿入する際に把持部60がワイヤ20を把持するため、把持部60は、ワイヤ20の先端から一定距離だけ離れた位置を把持する必要がある。具体的には、ワイヤ20がワーク10を貫通し、ワイヤ20の先端が第2チャック40に固定された状態で、把持部60が移動台50に当たらない位置であることが必要である。したがって、ワイヤ20の先端から把持部60が把持する位置までの長さは、移動台50のワイヤ20に沿う方向の長さ以上の長さとなる。これにより、ワイヤ20がワーク10の内径部11から外された状態では、ワイヤ20における把持部60から先の部分に、把持部60が存在しない場合ほど大きくはないが、若干の撓みや曲がりが生じ得る。このため、ワーク10の内径部11のサイズとワイヤ20の太さとの関係等により、ワイヤ20の先端をワーク10の内径部11に挿入する際に高い精度が求められる場合、かかる挿入を機械的に行うことは困難となる場合がある。
図6は、図5に示した研磨装置1に支持部70、第1保持部51および第2保持部52を設けた様子を示す図である。図6(A)は、ワイヤ20をワーク10から抜いた状態を示す図、図6(B)は、ワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入した状態を示す図である。
支持部70および第1保持部51は、移動台50に設けられており、ワイヤ20がワーク10に対して抜き差しされる際にも移動しないため、移動台50にセットされたワーク10に対して非常に近い位置に配置することができる。このため、第1保持部51により保持されたワイヤ20は、問題となるような撓みや曲がりがなく、高い精度でワーク10の内径部11に誘導される。支持部70を対になったローラでワイヤ20を挟む構成としたため、対となるローラが並んで構成される支持部70の入口が広く、ワイヤ20の挿入が容易になる。特に、支持部70における各ローラの回転軸を略水平とすれば、支持部70の入口は縦方向に広がる。そのため、把持部60から先のワイヤ20が自重等により若干程度下方へ撓んでいても、ワイヤ20の先端は、支持部70のローラの間へ挿入され、第1保持部51へ誘導される。
また本実施形態では、かかる構成において、ワイヤ20が第2チャック40およびワーク10から外された場合にも、ワイヤ20の先端が第1保持部51に残るようにする(図6(A)参照)。すなわち、第1チャック30および把持部60がワイヤ20をワーク10から引き抜く際に、ワイヤ20の先端がワーク10から外れて第1保持部51に保持されている状態でワイヤ20を引き抜く動作を停止させる。これにより、ワイヤ20がワーク10から外れた状態であっても、ワイヤ20の先端付近において撓みや曲がりの無い状態が維持される。
図7は、図6(A)の部分拡大図である。図7には、ワイヤ20がワーク10から外され、第1保持部51に保持された状態が示されている。図7に示すように、ワイヤ20がワーク10から完全に抜き取られているので、移動台50から取り外すことができる。そして、ワイヤ20の先端は、この状態でも第1保持部51に保持されているので、ワイヤ20の撓みや曲がりによる変位の無い状態が維持されている。
この状態でワーク10が交換され、新たなワーク10の内径部11にワイヤ20の先端を挿入する場合、ワイヤ20が撓みや曲がりの無い状態であるため、高い精度でワイヤ20の先端をワーク10の内径部11に挿入することができる。そして、ワイヤ20は、ワーク10を貫通した後、第2保持部52により第2チャック40へ誘導される(図6(B)参照)。
<支持部70の構成>
図8は、支持部70の構成を示す図である。図8には、支持部70に支持されたワイヤ20が紙面に対して垂直となる向きで支持部70を見た状態が示されている。図8に示す例では、支持部70は、縦に並ぶ二つのローラ70a、70bにより構成される。ローラ70a、70bは、回転軸がワイヤ20の長さ方向に対して直角である。ローラ70aおよびローラ70bのうち少なくとも一方には、側面に、円周に沿った断面V字形状の溝(以下、V溝)が形成されたV型ローラが用いられる。図8に示す例では、ローラ70a、70bの両方がV型ローラである。ワイヤ20は、ローラ70aおよびローラ70bの間に挟まれることにより、ローラ70a、70bの図8に示すY方向の変位が抑制され、ローラ70aおよびローラ70bのV溝に嵌ることにより、図8に示すX方向の変位が抑制される。これにより、ローラ70aおよびローラ70bの間を通るワイヤ20が位置決めされる。そして、ローラ70aおよびローラ70bが自由回転することにより、ワイヤ20が第1保持部51へ誘導される。
ローラ70aおよびローラ70bは、最初にワイヤ20が挿入される前は、図8に示すように一定の間隔をあけて配置されていても良い。このようにすることで、ワイヤ20を支持部70に挿入する際に、ローラ70aおよびローラ70bの間を通すことがさらに容易となる。ワイヤ20をローラ70aおよびローラ70bの間に通した後は、図8に示す矢印のようにローラ70aとローラ70bとを互いに近づけて、ワイヤ20を挟み込み、位置決めする。なお、ワイヤ20を位置決めするには、ローラ70a、70bの面がワイヤ20に対して少なくとも3点で接すれば良い。図8に示す例では、各ローラ70a、70bのV溝の二つの斜面により4点でワイヤ20に接する。したがって、必ずしもローラ70aとローラ70bとが直に接触する必要はない。ただし、ワイヤ20の太さとローラ70a、70bのV溝の深さおよび幅との関係によっては、各V溝にワイヤ20が嵌った状態で、二つのローラ70a、70bが接触する場合がある。
上述したように、本実施形態では、ワーク10を交換する際にもワイヤ20の先端は第1保持部51に保持される。そのため、一度、第1保持部51にワイヤ20を通した後は、ワイヤ20自体を交換等する場合を除き、ワイヤ20が第1保持部51から完全に抜かれることはなく、支持部70がワイヤ20を第1保持部51に挿入するためにワイヤ20の先端部分を誘導することもない。そのため、支持部70によりワイヤ20が誘導されて第1保持部51に挿入された後は、支持部70のローラ70aとローラ70bとの間隔を開き、各ローラ70a、70bとワイヤ20とが接触しないようにしても良い。このようにすれば、移動台50に対して固定的に設けられた場合の第1保持部51および第2保持部52と異なり、ワーク10の加工時におけるワイヤ20による消耗が抑制される。したがって、そのような第1保持部51および第2保持部52よりも交換を要するまでの時間間隔(寿命)が長くなる。一方、ワーク10の交換時に、支持部70のローラ70a、70bの間隔を閉じてワイヤ20を支持するようにしても良い。このようにすれば、先端部分を第1保持部51に保持された状態のワイヤ20に、第1保持部51付近でわずかな撓みや曲がりが生じることを抑制し得る。
なお、支持部70をローラ70a、70bで構成したことにより、第1保持部51およびワーク10にワイヤ20を挿入する際、ローラ70a、70bがワイヤ20の移動にしたがって自由回転しながらワイヤ20を支持する。このため、例えば漏斗状の入口を有する誘導路等でワイヤ20を誘導する場合と比較して、ワイヤ20による消耗が軽減される。
<ワーク10を交換する際の動作>
本実施形態では、ワーク10を研磨するために、次のような工程が実施される。第1に、ワーク10を研磨装置1の移動台50にセットし、一端を第1チャック30に固定されると共に把持部60により把持されたワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入させる工程。第2に、ワーク10の内径部11に挿入されたワイヤ20を第2チャック40により固定し、把持部60による把持を解除し、移動台50を移動させることで、ワイヤ20によりワーク10の内径部11を研磨する工程。第3に、把持部60によりワイヤ20を把持し、第2チャック40によるワイヤ20の固定を解除して、ワイヤ20をワーク10から引き抜く一方、ワイヤ20の先端を第1保持部51に保持させる工程。第4に、ワイヤ20が抜かれたワーク10を移動台50から取り外す工程。
以上の工程の後、次に研磨するワーク10が移動台50にセットされ、同様の工程が繰り返される。以下では、本実施形態において、研磨済みのワーク10が移動台50から取り外され、新たなワーク10がセットされる際の動作について、図を参照して説明する。
図9は、本実施形態においてワーク10を交換する際の動作を示す図である。図9(A)は、ワーク10がセットされた状態を示す図、図9(B)は、ワイヤ20がワーク10から引き抜かれた状態を示す図、図9(C)は、ワーク10が取り外された状態を示す図、図9(D)は、新たなワーク10が装着された状態を示す図、図9(E)は、装着されたワーク10にワイヤ20を挿入した状態を示す図である。
ワーク10に対する研磨が済むと、まず、把持部60がワイヤ20を把持して固定する(図9(A))。そして、第2チャック40によるワイヤ20の固定が解除される。次に、第1チャック30および把持部60が相互間の距離を一定に保ったまま第2チャック40から遠ざかる方向へ移動し(図9(B)の矢印参照)、ワイヤ20がワーク10から抜かれる(図9(B))。第1チャック30および把持部60が相互間の距離を一定に保ったまま移動するため、第1チャック30と把持部60との間でワイヤ20が撓むことはない。また、第1チャック30および把持部60の移動は、ワイヤ20の先端が、ワーク10から抜けた後、第1保持部51から外れる前に停止する。これにより、ワイヤ20の先端は、第1保持部51に保持された状態となる。ここまでが、上述した第3の工程に相当する。
次に、ワイヤ20が外れた研磨済みワーク10が移動台50から取り外される(図9(C))。これは、上述した第4の工程に相当する。なお、図9においては、移動台50の図示は省略されており、移動台50に設けられた第1保持部51および第2保持部52のみが示されている。
次に、新たなワーク10が移動台50にセットされる(図9(D))。そして、第1チャック30および把持部60が相互間の距離を一定に保ったまま第2チャック40に近づける方向へ移動し(図9(E)の矢印参照)、ワイヤ20がワーク10に挿入される(図9(E))。ここまでが、新たなワーク10に対する上述した第1の工程に相当する。ワイヤ20の先端が第2チャック40に到達すると、第2チャック40によりワイヤ20が固定される。そして、把持部60によるワイヤ20の把持が解除され、把持部60がワイヤ20から外れる。これにより、移動台50がワイヤ20に沿って移動可能となり、この新たなワーク10に対する研磨を行うことが可能となる。
<ワーク10を交換する際の動作の他の例>
ここまで、本実施形態では、研磨装置1(移動台50)にワーク10をセットし、取り外す際に、第1チャック30および把持部60を移動させることにより、ワイヤ20を進退させた。これに対し、研磨装置1(移動台50)にワーク10をセットし、取り外す際のワーク10に対するワイヤ20の抜き差しは、ワーク10とワイヤ20との相対移動により実現されるため、ワーク10を移動させて実施しても良い。以下、この場合の動作について、図を参照して説明する。
図10は、ワーク10を交換する際の動作の他の例を示す図である。図10(A)は、ワーク10がセットされた状態を示す図、図10(B)は、第2チャック40が取り外された状態を示す図、図10(C)は、ワーク10からワイヤ20が抜かれた状態を示す図、図10(D)は、ワーク10が取り外された状態を示す図、図10(E)は、新たなワーク10が装着された状態を示す図、図10(F)は、ワーク10にワイヤ20が挿入された状態を示す図、図10(G)は、第2チャック40がワイヤ20を固定した状態を示す図である。
ワーク10に対する研磨が済むと、まず、把持部60がワイヤ20を把持して固定する(図10(A))。そして、第2チャック40によるワイヤ20の固定が解除され、第1チャック30および把持部60から遠ざかる方向へ移動し(図10(B)の矢印参照)、ワイヤ20から外れる(図10(B))。次に、研磨済みワーク10がセットされた移動台50が第1チャック30および把持部60から遠ざかる方向へ移動し(図10(C)の矢印参照)、ワーク10からワイヤ20が抜かれる(図10(C))。なお、図9と同様に図10においても、移動台50の図示は省略されており、移動台50に設けられた第1保持部51および第2保持部52のみが示されている。移動台50の移動は、ワイヤ20の先端が、ワーク10から抜けた後、第1保持部51から外れる前に停止する。これにより、ワイヤ20の先端は、第1保持部51に保持された状態となる。
次に、ワイヤ20が外れた研磨済みワーク10が移動台50から取り外され(図10(D))、新たなワーク10が移動台50にセットされる(図10(E))。そして、新たなワーク10がセットされた移動台50が、第1チャック30および把持部60に近づく方向へ移動し(図10(F)の矢印参照)、ワイヤ20がワーク10に挿入される(図10(F))。この後、第2チャック40が第1チャック30および把持部60に近づく方向へ移動し(図10(G)の矢印参照)、第2チャック40がワイヤ20の先端に到達すると、第2チャック40によりワイヤ20が固定される。そして、把持部60によりワイヤ20の把持が解除され、把持部60がワイヤ20から外れる。これにより、移動台50がワイヤ20に沿って移動可能となり、この新たなワーク10に対する研磨を行うことが可能となる。
図10に示した動作では、図9に示した動作とは異なり、研磨済みのワーク10が新たなワーク10に交換される際に第1チャック30および把持部60は移動しない。これにより、第1チャック30と把持部60との間の距離は常に一定に保たれるため、第1チャック30と把持部60との間でワイヤ20が撓むことはない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、支持部70に関して、図8では、ローラ70a、70bが縦に並んだ構成例を説明したが、把持部60に把持されたワイヤ20を機械的に挿入可能であれば、回転軸が略垂直である二つのローラを横に並べた構成としても良い。また、図8に示した例では、ローラ70a、70bの両方をV型ローラとしたが、何れか一方を側面に凹凸の無いフラット型ローラとしても良い。また、図6乃至図8に示した例では、支持部70を2個1対のローラ70a、70bで構成したが、4個2対のローラで構成する等、複数対のローラで構成しても良い。また、ワーク10の交換時の動作として、上記の動作例では、第1チャック30および把持部60に固定されたワイヤ20と、移動台50にセットされたワーク10のいずれか一方が移動することでワーク10に対してワイヤ20が抜き差しされる動作を説明した。これに対し、双方が互いに遠ざかったり近づいたりすることにより、ワーク10に対してワイヤ20が抜き差しされる構成としても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。


1…研磨装置、10…ワーク、11…内径部、20…ワイヤ、21…砥粒、30…第1チャック、40…第2チャック、50…移動台、51…第1保持部、52…第2保持部、60…把持部、70…支持部

Claims (8)

  1. 中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、
    前記ワークの前記内径に挿入されるワイヤと、
    前記ワイヤの一端を固定する第1チャックと、
    前記ワイヤの他端を固定するとともに、前記ワークの入替えの際には当該ワイヤの固定を解除する第2チャックと、
    前記ワイヤを把持して当該ワイヤを前記ワークに対して相対移動させることにより、当該ワークの前記内径から当該ワイヤの引き抜き、および当該ワークの当該内径に当該ワイヤの挿入、を行ない、当該ワイヤの抜き差しのために前記第1チャックが移動する場合は、当該第1チャックと共に移動する把持部と、
    前記ワークと、当該ワークの前記内径に挿入され前記第1チャックおよび前記第2チャックに固定された前記ワイヤと、を相対移動させることにより、当該ワークの当該内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、
    を有することを特徴とする装置。
  2. 前記第2チャックによる固定が解除された前記ワイヤが前記ワークの前記内径から外れた状態のときに、当該ワイヤの前記他端の側を保持する保持部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記把持部により前記ワイヤを前記ワークの前記内径に挿入し、当該ワイヤの前記他端を前記第2チャックに固定させる際、当該第2チャックに当該ワイヤを導く第2保持部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、
    前記ワークの前記内径に挿入されるワイヤと、
    前記ワイヤの一端を固定する第1チャックと、
    前記ワイヤの他端を固定するとともに、前記ワークの入替えの際には当該ワイヤの固定を解除する第2チャックと、
    前記ワークと、当該ワークの前記内径に挿入され前記第1チャックおよび前記第2チャックに固定された前記ワイヤと、を相対移動させることにより、当該ワークの当該内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、
    前記第2チャックによる固定が解除された前記ワイヤが前記ワークの前記内径から外れた状態のときに、当該ワイヤの前記他端の側を保持する保持部と、
    を有することを特徴とする装置。
  5. 前記保持部よりも前記第1チャック側に設けられ、前記ワイヤの姿勢を整える構造部を更に備えたことを特徴とする請求項4記載の装置。
  6. 前記構造部よりも前記第1チャック側に設けられ、前記ワイヤを把持して当該第1チャックとともに前記ワークに対して相対移動することにより、当該ワークの前記内径から当該ワイヤの引き抜き、および当該ワークの当該内径に当該ワイヤの挿入、を行なう把持部を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の装置。
  7. 前記把持部は、前記ワークの前記内径から前記ワイヤを引き抜く際および当該ワークの当該内径に当該ワイヤを挿入する際に当該ワイヤを把持し、前記研磨・研削手段により当該ワークの当該内径を研磨または研削する際には、当該ワイヤの把持を行わずに当該ワイヤから退避すること、を特徴とする請求項6記載の装置。
  8. 内径を研磨または研削して形成される中空ワークの製造方法であって、
    第1チャックにより一端が固定され他端の側が保持部によって保持されるワイヤを把持部によって把持した状態で当該ワイヤを前記中空ワークに対して相対移動させ、当該中空ワークの内径に当該ワイヤを挿入させる工程と、
    前記中空ワークの前記内径に挿入された前記ワイヤの前記他端を第2チャックにより固定させ、当該ワイヤに対する前記把持部の把持を解除し、前記第1チャックおよび当該第2チャックを用いて当該ワイヤを回転させながら、当該ワイヤに対して当該中空ワークを当該ワイヤの延びる方向に相対移動させて研磨または研削を行なう工程と、
    前記ワイヤの前記他端に対する前記第2チャックの固定の解除と当該ワイヤの前記把持部による把持とを行い、当該把持部によって把持した状態で当該ワイヤを前記中空ワークに対して相対移動させ、当該中空ワークの内径から当該ワイヤを引き抜き、当該ワイヤと当該中空ワークとの相対移動を停止させて当該ワイヤの当該他端の側を前記保持部によって保持する工程と、
    前記ワイヤが引き抜かれた前記中空ワークを取り出す工程と、
    を有することを特徴とする中空ワークの製造方法。
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