JP7382805B2 - 加工装置および中空ワークの製造方法 - Google Patents
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Description
より好ましくは、この装置は、第2チャックによる固定が解除されたワイヤがワークの内径から外れた状態のときに、ワイヤの他端の側を保持する保持部を更に備える。
さらに好ましくは、この装置は、把持部によりワイヤをワークの内径に挿入し、ワイヤの他端を第2チャックに固定させる際、第2チャックにワイヤを導く第2保持部を更に備える。
また上記の目的を達成する本発明は、中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、ワークの内径に挿入されるワイヤと、ワイヤの一端を固定する第1チャックと、ワイヤの他端を固定するとともに、ワークの入替えの際にはワイヤの固定を解除する第2チャックと、ワークと、ワークの内径に挿入され第1チャックおよび第2チャックに固定されたワイヤと、を相対移動させることにより、ワークの内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、第2チャックによる固定が解除されたワイヤがワークの内径から外れた状態のときに、ワイヤの他端の側を保持する保持部と、を有することを特徴とする装置である。
より好ましくは、この装置は、保持部よりも第1チャック側に設けられ、ワイヤの姿勢を整える構造部を更に備える。
さらに好ましくは、この装置は、構造部よりも第1チャック側に設けられ、ワイヤを把持して第1チャックとともにワークに対して相対移動することにより、ワークの内径からワイヤの引き抜き、およびワークの内径にワイヤの挿入、を行なう把持部を更に備える。
また、より詳細には、この把持部は、ワークの内径からワイヤを引き抜く際およびワークの内径にワイヤを挿入する際にこのワイヤを把持し、研磨・研削手段によりワークの内径を研磨または研削する際には、ワイヤの把持を行わずにワイヤから退避する。
また上記の目的を達成する本発明は、内径を研磨または研削して形成される中空ワークの製造方法であって、第1チャックにより一端が固定され他端の側が保持部によって保持されるワイヤを把持部によって把持した状態でこのワイヤを中空ワークに対して相対移動させ、中空ワークの内径にワイヤを挿入させる工程と、中空ワークの内径に挿入されたワイヤの他端を第2チャックにより固定させ、ワイヤに対する把持部の把持を解除し、第1チャックおよび第2チャックを用いてワイヤを回転させながら、ワイヤに対して中空ワークをワイヤの延びる方向に相対移動させて研磨または研削を行なう工程と、ワイヤの他端に対する第2チャックの固定の解除とワイヤの把持部による把持とを行い、把持部によって把持した状態でワイヤを中空ワークに対して相対移動させ、中空ワークの内径からワイヤを引き抜き、ワイヤと中空ワークとの相対移動を停止させてワイヤの他端の側を保持部によって保持する工程と、ワイヤが引き抜かれた中空ワークを取り出す工程と、を有することを特徴とする中空ワークの製造方法である。
<加工対象のワーク>
図1は、本実施形態の製造方法による加工対象のワークの形状を示す図である。図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)のIb-Ib断面図である。ワーク10は、貫通孔が開けられた中空の筒状の部材である。ワーク10を端面側から見た形状は円形であり、孔の内側の面である内径部11とワーク10の外径部とが同心円をなす。すなわち、端面は円環形状である。図1に示すワーク10の形状は例示であり、本実施形態による加工対象となるワーク10の形状は図1に示すものに限定されない。また、ワーク10を加工する際には、複数のワーク10を、内径部11の円の中心を揃えて連ね、この内径部11の中心が並ぶ軸(以下、中心軸)の方向に延びる中空の棒状部材のように扱い、同一工程にて複数のワーク10の内径部11に対する加工を実施しても良い。
次に、本実施形態により実施されるワーク10に対する加工について説明する。本実施形態では、ワーク10の内径部11に対する加工として研磨または研削を行う。以下の説明では、研磨と研削とを特に区別せず、「研磨」と呼ぶ。本実施形態におけるワーク10の内径部11に対する研磨手法であるワイヤ内径研磨を説明する。ワイヤ内径研磨は、遊離砥粒による金属塑性変形破壊機構による研磨である。ワイヤ内径研磨では、ワーク10に対し、外径部や端面を基準とせずに内径部11の研磨が行われる。
図3は、本実施形態においてワーク10に対するワイヤ内径研磨を行う装置の全体構成を示す図である。研磨装置1は、ワイヤ20と、第1チャック30および第2チャック40と、移動台(トラバース)50と、第1保持部51および第2保持部52と、把持部60と、支持部70とを備える。
図4は、把持部60が設けられていない研磨装置1において、ワーク10を取り外す際のワイヤ20の様子を示す図である。図4(A)は、第2チャック40によるワイヤ20の固定が解除された状態を示す図、図4(B)は、ワイヤ20がワーク10の内径部11から引き抜かれた状態を示す図、図4(C)は、ワイヤ20が大きく撓んだ状態を示す図である。
上述したように、把持部60が設けられると、把持部60がワイヤ20を把持することにより、ワイヤ20に大きな撓みや曲がりが生じなくなる。しかしながら、図5(B)を参照してわかるように、ワイヤ20をワーク10に挿入する際に把持部60がワイヤ20を把持するため、把持部60は、ワイヤ20の先端から一定距離だけ離れた位置を把持する必要がある。具体的には、ワイヤ20がワーク10を貫通し、ワイヤ20の先端が第2チャック40に固定された状態で、把持部60が移動台50に当たらない位置であることが必要である。したがって、ワイヤ20の先端から把持部60が把持する位置までの長さは、移動台50のワイヤ20に沿う方向の長さ以上の長さとなる。これにより、ワイヤ20がワーク10の内径部11から外された状態では、ワイヤ20における把持部60から先の部分に、把持部60が存在しない場合ほど大きくはないが、若干の撓みや曲がりが生じ得る。このため、ワーク10の内径部11のサイズとワイヤ20の太さとの関係等により、ワイヤ20の先端をワーク10の内径部11に挿入する際に高い精度が求められる場合、かかる挿入を機械的に行うことは困難となる場合がある。
図8は、支持部70の構成を示す図である。図8には、支持部70に支持されたワイヤ20が紙面に対して垂直となる向きで支持部70を見た状態が示されている。図8に示す例では、支持部70は、縦に並ぶ二つのローラ70a、70bにより構成される。ローラ70a、70bは、回転軸がワイヤ20の長さ方向に対して直角である。ローラ70aおよびローラ70bのうち少なくとも一方には、側面に、円周に沿った断面V字形状の溝(以下、V溝)が形成されたV型ローラが用いられる。図8に示す例では、ローラ70a、70bの両方がV型ローラである。ワイヤ20は、ローラ70aおよびローラ70bの間に挟まれることにより、ローラ70a、70bの図8に示すY方向の変位が抑制され、ローラ70aおよびローラ70bのV溝に嵌ることにより、図8に示すX方向の変位が抑制される。これにより、ローラ70aおよびローラ70bの間を通るワイヤ20が位置決めされる。そして、ローラ70aおよびローラ70bが自由回転することにより、ワイヤ20が第1保持部51へ誘導される。
本実施形態では、ワーク10を研磨するために、次のような工程が実施される。第1に、ワーク10を研磨装置1の移動台50にセットし、一端を第1チャック30に固定されると共に把持部60により把持されたワイヤ20をワーク10の内径部11に挿入させる工程。第2に、ワーク10の内径部11に挿入されたワイヤ20を第2チャック40により固定し、把持部60による把持を解除し、移動台50を移動させることで、ワイヤ20によりワーク10の内径部11を研磨する工程。第3に、把持部60によりワイヤ20を把持し、第2チャック40によるワイヤ20の固定を解除して、ワイヤ20をワーク10から引き抜く一方、ワイヤ20の先端を第1保持部51に保持させる工程。第4に、ワイヤ20が抜かれたワーク10を移動台50から取り外す工程。
ここまで、本実施形態では、研磨装置1(移動台50)にワーク10をセットし、取り外す際に、第1チャック30および把持部60を移動させることにより、ワイヤ20を進退させた。これに対し、研磨装置1(移動台50)にワーク10をセットし、取り外す際のワーク10に対するワイヤ20の抜き差しは、ワーク10とワイヤ20との相対移動により実現されるため、ワーク10を移動させて実施しても良い。以下、この場合の動作について、図を参照して説明する。
Claims (8)
- 中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、
前記ワークの前記内径に挿入されるワイヤと、
前記ワイヤの一端を固定する第1チャックと、
前記ワイヤの他端を固定するとともに、前記ワークの入替えの際には当該ワイヤの固定を解除する第2チャックと、
前記ワイヤを把持して当該ワイヤを前記ワークに対して相対移動させることにより、当該ワークの前記内径から当該ワイヤの引き抜き、および当該ワークの当該内径に当該ワイヤの挿入、を行ない、当該ワイヤの抜き差しのために前記第1チャックが移動する場合は、当該第1チャックと共に移動する把持部と、
前記ワークと、当該ワークの前記内径に挿入され前記第1チャックおよび前記第2チャックに固定された前記ワイヤと、を相対移動させることにより、当該ワークの当該内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、
を有することを特徴とする装置。 - 前記第2チャックによる固定が解除された前記ワイヤが前記ワークの前記内径から外れた状態のときに、当該ワイヤの前記他端の側を保持する保持部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
- 前記把持部により前記ワイヤを前記ワークの前記内径に挿入し、当該ワイヤの前記他端を前記第2チャックに固定させる際、当該第2チャックに当該ワイヤを導く第2保持部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
- 中空であるワークの内径を研磨または研削する装置であって、
前記ワークの前記内径に挿入されるワイヤと、
前記ワイヤの一端を固定する第1チャックと、
前記ワイヤの他端を固定するとともに、前記ワークの入替えの際には当該ワイヤの固定を解除する第2チャックと、
前記ワークと、当該ワークの前記内径に挿入され前記第1チャックおよび前記第2チャックに固定された前記ワイヤと、を相対移動させることにより、当該ワークの当該内径を研磨または研削する研磨・研削手段と、
前記第2チャックによる固定が解除された前記ワイヤが前記ワークの前記内径から外れた状態のときに、当該ワイヤの前記他端の側を保持する保持部と、
を有することを特徴とする装置。 - 前記保持部よりも前記第1チャック側に設けられ、前記ワイヤの姿勢を整える構造部を更に備えたことを特徴とする請求項4記載の装置。
- 前記構造部よりも前記第1チャック側に設けられ、前記ワイヤを把持して当該第1チャックとともに前記ワークに対して相対移動することにより、当該ワークの前記内径から当該ワイヤの引き抜き、および当該ワークの当該内径に当該ワイヤの挿入、を行なう把持部を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の装置。
- 前記把持部は、前記ワークの前記内径から前記ワイヤを引き抜く際および当該ワークの当該内径に当該ワイヤを挿入する際に当該ワイヤを把持し、前記研磨・研削手段により当該ワークの当該内径を研磨または研削する際には、当該ワイヤの把持を行わずに当該ワイヤから退避すること、を特徴とする請求項6記載の装置。
- 内径を研磨または研削して形成される中空ワークの製造方法であって、
第1チャックにより一端が固定され他端の側が保持部によって保持されるワイヤを把持部によって把持した状態で当該ワイヤを前記中空ワークに対して相対移動させ、当該中空ワークの内径に当該ワイヤを挿入させる工程と、
前記中空ワークの前記内径に挿入された前記ワイヤの前記他端を第2チャックにより固定させ、当該ワイヤに対する前記把持部の把持を解除し、前記第1チャックおよび当該第2チャックを用いて当該ワイヤを回転させながら、当該ワイヤに対して当該中空ワークを当該ワイヤの延びる方向に相対移動させて研磨または研削を行なう工程と、
前記ワイヤの前記他端に対する前記第2チャックの固定の解除と当該ワイヤの前記把持部による把持とを行い、当該把持部によって把持した状態で当該ワイヤを前記中空ワークに対して相対移動させ、当該中空ワークの内径から当該ワイヤを引き抜き、当該ワイヤと当該中空ワークとの相対移動を停止させて当該ワイヤの当該他端の側を前記保持部によって保持する工程と、
前記ワイヤが引き抜かれた前記中空ワークを取り出す工程と、
を有することを特徴とする中空ワークの製造方法。
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JP2019216806A JP7382805B2 (ja) | 2019-11-29 | 2019-11-29 | 加工装置および中空ワークの製造方法 |
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