JP7382150B2 - 真空ポンプ、及び、真空ポンプに用いられるシール部材 - Google Patents

真空ポンプ、及び、真空ポンプに用いられるシール部材 Download PDF

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Description

本発明は、例えばターボ分子ポンプ等の真空ポンプや真空ポンプに用いられるシール部材に関する。
一般に、真空ポンプの一種としてターボ分子ポンプが知られている。このターボ分子ポンプにおいては、ポンプ本体内のモータへの通電によりロータ翼を回転させ、ポンプ本体に吸い込んだガスの気体分子を弾き飛ばすことによりガスを排気するようになっている。また、このようなターボ分子ポンプには、弾性体であるシール部材(Oリング)を用いたシール構造が採用されている。そして、ターボ分子ポンプにおいては、シール部材を部品間に挟み込んで或る程度押し潰すことにより、部品間の気密性が保たれるようになっている。
上述のようなシール構造には、シール部材を側面(外径方向)から挟み込むタイプのものや、上下面(軸方向)から挟み込むタイプのものがある。そして、ターボ分子ポンプの組み立ての際に、シール部材が、捩じれにより変形(捩じれ変形)したり、接触する部品との引っ掛かりにより破損したりすることのないよう、シール部材に真空グリースの塗布を行うことが一般的となっている。
また、ターボ分子ポンプの組み立ての際には、複数の構成部品に係る寸法公差が積み上がり、公差の合計である累積公差は、一律とならないのが通常である。このため、隣接する部品(隣接部品)がシール部材を潰す量(シール部材の潰し代)には、ターボ分子ポンプ毎にばらつき(潰し代幅の変動)が生じる場合があり、シール部材の潰される量(ひずみ)は、一定であるとは限らない。そして、同じ材質や大きさのシール部材を用いても、シール部材の潰し代の違いによって、シール性能に差が生じる場合があった。
さらに、シール部材やスペーサを複数重ねて用い、1個当たりのシール部材に対する累積公差によるシール部材の潰し代ばらつきを少なくし、総合的にシール部材の対応可能な潰し代幅の変動量を増加したターボ分子ポンプもある(特許文献1)。このようなターボ分子ポンプによれば、潰し代の相違に柔軟に対応でき、シール部材にねじれ変形や引っ掛かりなどが発生し難いことから、真空グリースを使用する必要がなくなる。また、周辺部品の寸法公差が比較的大きく、シール部材の潰し代のばらつきが大となった場合でも、適切なシール性能を発揮することが可能となる。
特許第6113071号公報
ところで、上述のような各種の真空ポンプのうち、シール部材に真空グリースを塗布するものにおいては、真空グリースが、蒸発等の要因により真空システムの排気経路に混入し、真空環境中の汚染(真空汚染)の原因となる場合があった。また、特許文献1に開示されたタイプの真空ポンプにおいては、複数のシール部材を用いることや、シール部材の間にスペーサを配置することなどから、部品点数が多くなる。このため、特許文献1に開示されたタイプの真空ポンプにおいては、コストが増加したり、組み立て性(組み立ての容易さ)が悪化したりすることがあった。
本発明の目的とするところは、部品点数が少なくシール性に優れた真空ポンプ、及び、少ない部品点数で高いシール性を発揮することが可能なシール部材を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために本発明は、ガスの吸気部を有する吸気側部品と、
前記吸気側部品に組み合される排気側部品と、
前記吸気側部品に内包され、回転自在に支持された回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記吸気側部品と前記排気側部品とにより厚さ方向に挟み付ける力を受けて弾性変形し、前記吸気側部品と前記排気側部品の間の気密性を保つ環状のシール部材と、を備え、
前記シール部材は、
外周部に凹陥状に形成された変形促進部と、
前記力を、前記変形促進部に近付いた偏心位置で受けるシール部と、を有し、
前記偏心位置は、前記外周部よりも内周側寄りの位置であり、
前記偏心位置に、前記力の作用点となる山形の頂部が形成され
前記変形促進部の深さは、前記頂部から先端部までの水平距離よりも小さいことを特徴とする真空ポンプ。
(2)また、上記目的を達成するために他の本発明は、内周部に平面状に形成され、前記吸気側部品及び前記排気側部品のうちのいずれか一方に面接触する装着部を有することを特徴とする上記(1)に記載の真空ポンプにある。
(3)また、上記目的を達成するために他の本発明は、真空ポンプの吸気側部品と排気側部品とにより厚さ方向に挟み付ける力を受けて弾性変形する環状のシール部材であって、外周部に凹陥状に形成された変形促進部と、
前記力を、前記変形促進部に近付いた偏心位置で受けるシール部と、を有し、
前記偏心位置は、前記外周部よりも内周側寄りの位置であり、
前記偏心位置に、前記力の作用点となる山形の頂部が形成され
前記変形促進部の深さは、前記頂部から先端部までの水平距離よりも小さいことを特徴とするシール部材にある。
(4)また、上記目的を達成するために他の本発明は、内周部に平面状に形成され、前記吸気側部品及び前記排気側部品のうちのいずれか一方に面接触する装着部を有することを特徴とする上記(3)に記載のシール部材にある。
上記発明によれば、部品点数が少なくシール性に優れた真空ポンプを提供することができる。また、少ない部品点数で高いシール性を発揮することが可能なシール部材を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るターボ分子ポンプの縦断面図である。 (a)は第1実施形態に係るターボ分子ポンプの一部を拡大して示す断面図、(b)は第1実施形態に係るシール部材の一部を拡大して示す断面図である。 (a)は第1実施形態のターボ分子ポンプに係るシール部材の機能を示す説明図、(b)は本発明の第2実施形態のターボ分子ポンプに係るシール部材の一部を拡大して示す断面図、(c)は本発明の第3実施形態のターボ分子ポンプに係るシール部材の一部を拡大して示す断面図である。 (a)~(c)は第1実施形態に係るシール部材について溝深さを変化させた場合の特性シミュレーションの結果を示す模式図、(d)は断面が略円形である一般的なシール部材についての特性シミュレーションの結果を示す模式図である。 (a)~(c)は本発明の第2実施形態に係るシール部材について溝深さを変化させた場合の特性シミュレーションの結果を示す模式図である。
以下、本発明の各実施形態に係る真空ポンプについて図面に基づき説明する。ここでは先ず、真空ポンプの基本構成について説明し、その後に外装体のシール構造について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る真空ポンプとしてのターボ分子ポンプ10を縦断して概略的に示している。このターボ分子ポンプ10は、例えば、半導体製造装置、電子顕微鏡、質量分析装置などといった対象機器の真空チャンバ(図示略)に接続されるようになっている。
ターボ分子ポンプ10は、円筒状のポンプ本体11と、箱状の電装ケース(図示略)とを一体に備えている。これらのうちのポンプ本体11は、図1中の上側が対象機器の側に繋がる吸気部12となっており、下側が補助ポンプ等に繋がる排気部13となっている。そして、ターボ分子ポンプ10は、図1に示すような鉛直方向の垂直姿勢のほか、倒立姿勢や水平姿勢、傾斜姿勢でも用いることが可能となっている。
電装ケース(図示略)には、ポンプ本体11に電力供給を行うための電源回路部や、ポンプ本体11を制御するための制御回路部が収容されているが、ここでは、これらについての詳しい説明は省略する。
ポンプ本体11は、略円筒状の本体ケーシング14を備えている。本体ケーシング14は、図1中の上部に位置する吸気側部品としての吸気側ケーシング14aと、図1中の下側に位置する排気側部品としての排気側ケーシング14bとを軸方向に直列に繋げて構成されている。ここで、吸気側ケーシング14aを例えばケーシングなどと称し、排気側ケーシング14bを例えばベースなどと称することも可能である。
吸気側ケーシング14aと排気側ケーシング14bは、軸方向(図1中の上下方向)に重ねられている。さらに、吸気側ケーシング14aは、軸方向一端部(図1中の下端部)に形成されたフランジ部29aの内周面を、排気側ケーシング14bの上端部29bにおける外周面対向させている。そして、吸気側ケーシング14aは、シール部材41を挟んで、複数の六角穴付きボルト42により、排気側ケーシング14bに気密的に結合されている。なお、シール部材41を用いたシール構造の詳細については後述する。
また、図1中では、排気側ケーシング14bの上端部29bの周辺部分に関し、図中左側の部位を2点鎖線で描いている。これは、排気側ケーシング14bの当該部分が、厳密には、縦断して示す位置には存在しないが、縦断位置の後方に存在することを仮想的に示しているものである。
本体ケーシング14内には、排気機構部15と回転駆動部(以下では「モータ」と称する)16とが設けられている。これらのうち、排気機構部15は、ターボ分子ポンプ機構部17と、ネジ溝ポンプ機構部18とにより構成された複合型のものとなっている。
ターボ分子ポンプ機構部17とネジ溝ポンプ機構部18は、ポンプ本体11の軸方向に連続するよう配置されており、図1においては、図中の上側にターボ分子ポンプ機構部17が配置され、図1中の下側にネジ溝ポンプ機構部18が配置されている。
図1中の上側に配置されたターボ分子ポンプ機構部17は、多数のタービンブレードによりガスの移送を行うものであり、所定の傾斜や曲面を有し放射状に形成された固定翼(以下では「ステータ翼」と称する)19と回転翼(以下では「ロータ翼」と称する)20とを備えている。そして、ターボ分子ポンプ機構部17において、ステータ翼19とロータ翼20は十段程度に亘って交互に並ぶよう配置されている。
ステータ翼19は、固定翼スペーサ20aに装着されている。固定翼スペーサ20aは、吸気側ケーシング14aの内側側面(内周面)に、吸気側ケーシング14aの軸方向に沿って積み上げるようにして取付けられている。そして、ステータ翼19の互いの間隔は、固定翼スペーサ20aによって、所定の値に保たれている。
さらに、上下のステータ翼19の間に、ロータ翼20が入り込んでいる。ロータ翼20は、筒状のロータ28に一体化されており、ロータ28はロータ軸21に、ロータ軸21の外側を覆うよう同心的に固定されている。そして、ロータ28は、ロータ軸21の回転に伴い、ロータ軸21及びロータ28と同じ方向に回転する。
ここで、ポンプ本体11は、主だった部品の材質としてアルミニウム合金が採用されているものであり、排気側ケーシング14b、ステータ翼19、ロータ28などの材質もアルミニウム合金である。また、図1では、図面が煩雑になるのを避けるため、一部を除き、ポンプ本体11における部品の断面を示すハッチングの記載を省略している。
ロータ軸21は、段付きの円柱状に加工されており、ターボ分子ポンプ機構部17から下側のネジ溝ポンプ機構部18に達している。さらに、ロータ軸21における軸方向の中央部には、モータ16が配置されている。このモータ16については後述する。
ネジ溝ポンプ機構部18は、ロータ円筒部23とネジステータ24を備えている。 ロータ円筒部23やネジステータ24の詳細については後述する。ネジ溝ポンプ機構部18の後段には排気パイプに接続する為の排気口25が配置されており、排気口25の内部とネジ溝ポンプ機構部18が空間的に繋がっている。
前述のモータ16は、ロータ軸21の外周に固定された回転子(符号省略)と、回転子を取り囲むように配置された固定子(符号省略)とを有している。モータ16を作動させるための電力の供給は、前述の電装ケース(図示略)に収容された電源回路部や制御回路部により行われる。
ロータ軸21の支持には、磁気浮上による非接触式の軸受である磁気軸受が用いられている。磁気軸受としては、モータ16の上下に配置された2組のラジアル磁気軸受(径方向磁気軸受)30と、ロータ軸21の下部に配置された1組のアキシャル磁気軸受(軸方向磁気軸受)31とが用いられている。
これらのうち各ラジアル磁気軸受30は、ロータ軸21に形成されたラジアル電磁石ターゲット30A、これに対向する複数(例えば2つ)のラジアル電磁石30B、およびラジアル方向変位センサ30Cなどにより構成されている。ラジアル方向変位センサ30Cはロータ軸21の径方向変位を検出する。そして、ラジアル方向変位センサ30Cの出力に基づいて、ラジアル電磁石30Bの励磁電流が制御され、ロータ軸21が、径方向の所定位置で軸心周りに回転できるよう浮上支持される。
アキシャル磁気軸受31は、ロータ軸21の下端側の部位に取り付けられた円盤形状のアーマチュアディスク31Aと、アーマチュアディスク31Aを挟んで上下に対向するアキシャル電磁石31Bと、ロータ軸21の下端面から少し離れた位置に設置したアキシャル方向変位センサ31Cなどにより構成されている。アキシャル方向変位センサ31Cはロータ軸21の軸方向変位を検出する。そして、アキシャル方向変位センサ31Cの出力に基づいて、上下のアキシャル電磁石31Bの励磁電流が制御され、ロータ軸21が、軸方向の所定位置で軸心周りに回転できるよう浮上支持される。
そして、これらのラジアル磁気軸受30やアキシャル磁気軸受31を用いることにより、ロータ軸21(及びロータ翼20)が高速回転を行うにあたって摩耗がなく、寿命が長く、且つ、潤滑油を不要とした環境が実現されている。また、本実施形態においては、ラジアル方向変位センサ30Cやアキシャル方向変位センサ31Cを用いることにより、ロータ軸21について、軸方向(Z方向)周りの回転の方向(θz)のみ自由とし、その他の5軸方向であるX、Y、Z、θx、θyの方向についての位置制御が行われている。
さらに、ロータ軸21の上部及び下部の周囲には、所定間隔をおいて半径方向の保護ベアリング(「保護軸受」、「タッチダウン(T/D)軸受」、「バックアップ軸受」などともいう)32、33が配置されている。これらの保護ベアリング32、33により、例えば万が一電気系統のトラブルや大気突入等のトラブルが生じた場合であっても、ロータ軸21の位置や姿勢を大きく変化させず、ロータ翼20やその周辺部が損傷しないようになっている。
このような構造のターボ分子ポンプ10の運転時には、前述のモータ16が駆動され、ロータ翼20が回転する。そして、ロータ翼20の回転に伴い、図1中の上側に示す吸気部12からガスが吸引され、ステータ翼19とロータ翼20とに気体分子を衝突させながら、ネジ溝ポンプ機構部18の側へガスの移送が行われる。さらに、ネジ溝ポンプ機構部18においてガスが圧縮され、圧縮されたガスが排気部13から排気口25へ進入し、排気口25を介してポンプ本体11から排出される。
なお、ロータ軸21や、ロータ軸21と一体的に回転するロータ翼20、ロータ円筒部23、及び、モータ16の回転子(符号省略)等を、例えば「ロータ部」、或は「回転部」等と総称することが可能である。
次に、前述した吸気側ケーシング14aと排気側ケーシング14bと間におけるシール構造について説明する。図2(a)は、本実施形態におけるシール構造の要部を示している。吸気側ケーシング14aと排気側ケーシング14bは、排気側ケーシング14bの上端部29bが、吸気側ケーシング14aの下端部に形成されたフランジ部29aの内側に、所定の嵌め合わせで幾分入り込んだ状態となっている。
さらに、吸気側ケーシング14aのフランジ部29aと、排気側ケーシング14bの上端部29bとの間に、前述のシール部材41を挟み込んで、軸方向(図1中の上下方向)に重ねられている。つまり、本実施形態では、吸気側ケーシング14a、シール部材41、及び、排気側ケーシング14bを、軸方向に並べたシール構造が採用されている。
シール部材41は、Oリング状に成形され、排気側ケーシング14bにおける上端部29bの外形と同程度の内径(好ましくは350~400mm程度)を有している。このシール部材41の材質としては、例えばニトリルゴム(NBR)等のように、Oリングの材質として一般的な種々のものを採用することができる。
シール部材41は、真円や楕円などの単純形状とは異なる異形な断面形状を有している。図2(b)に示すように、シール部材41の外周部としての外周面41aには、凹陥形状(凹陥状)の空間を形成する変形促進部43が、全周に亘って設けられている。この変形促進部43は、例えば標準的なアルファベットの「V」の文字に比べて、広角で浅い深さのV字状に成型されている。さらに、変形促進部43は、シール部材41の全周に亘る線状の溝底部44を、シール部材41の径方向の外側(外径方向)に向けている。
変形促進部43の上下(軸方向の上下)には、全周に亘る角部43a、43bが形成されている。本実施形態では、この角部43a、43bは、図中に示す断面において鈍角となる角度で設けられている。
シール部材41の内周部41bには、ほぼ平坦で、変形促進部43とは逆向きの装着部45が形成されている。さらに、シール部材41の、図2(a)における上下の部位には、山形に突出するシール部46、47が一体に設けられている。このシール部46、47の表面は、変形促進部43と装着部45との間を結ぶシール面46a、47aとなっている。
さらに、シール面46a、47aの突端となる頂部46b、47bから、変形促進部43までの水平距離L1は、装着部45までの水平距離L2よりも短く定められている。また、頂部46b、47bは、所定の曲率の滑らかな円弧状に成型されている。この頂部46b、47bの曲率(曲率半径)が大きいほど、頂部46b、47bの曲線は滑らかになる。本実施形態では、頂部46b、47bの形状が、相対的に滑らかになるよう、十分に大きな曲率(曲率半径)が採用されている。
このようなシール部材41は、図2(a)に示すように、排気側ケーシング14bの外周に形成された段差部51に、径方向に幾分押し広げながら装着される。段差部51は、排気側ケーシング14bの上端部29bや、上端部29bの基端側から外側に拡がる受面29cにより構成されている。シール部材41が段差部51に装着された際には、シール部材41の平坦な装着部45が、排気側ケーシング14bの上端部29bにおける外周面に面接触する。
さらに、六角穴付きボルト42が、吸気側ケーシング14aのフランジ部29aに通され、排気側ケーシング14bにねじ込まれて締め付けられることにより、シール部材41は、吸気側ケーシング14aから、軸方向の所定の力(圧力)を受けて圧縮される。そして、シール部材41は、吸気側ケーシング14aのフランジ部29aと、排気側ケーシング14bの上端部29bとの間に挟み込まれた状態で、主にシール部46、47を弾性変形させながら、所定量押し潰される。さらに、シール部材41の圧縮は、全周に亘って行われる。ここで、図2(b)や、後述する図3(a)においては、図面が煩雑になるのを避けるため、シール部材41の断面に係るハッチングの図示を省略している。
図3(a)は、シール部材41を用いたシール構造の機能を示している。シール部材41は、吸気側ケーシング14aが位置する側(図中の上方側)から荷重Fを受ける。シール部材41においては、シール部46が、前述のように山形に突出していることから、吸気側ケーシング14aは、最初に、シール部46の頂部46bに接することとなる。そして、頂部46bに接した吸気側ケーシング14aが更に下がると、吸気側ケーシング14aからの荷重Fが、矢印で示すように、シール部46の頂部46bに作用する。
このとき、シール部46の頂部46bが、荷重Fの作用点となっている。そして、図2(b)に示したように、頂部46bから変形促進部43までの水平距離L1は、同じく頂部46bから装着部45までの水平距離L2よりも短いため、荷重Fの作用点の位置は、装着部45よりも、変形促進部43の側に近くなるよう偏った位置となる。
そして、荷重Fが、変形促進部43の側に、装着部45の側よりも多い割合で伝わる。さらに、変形促進部43は、荷重Fに加え、排気側ケーシング14bの上端部29bからの反力を受ける。そして、シール部材41が、変形促進部43の溝底部44を折り目として、V字の開口幅が相対的に小さくなるよう内側に変形する。
押し潰される前におけるシール部材41の断面に関して、図3(a)中に示すように、例えば、重心位置を点O1とする。さらに、この点O1で直交する2軸(X1軸とY1軸)を仮定する。
続いて、頂部46b、47bを通過する縦軸(Y2軸)を想定し、このY2軸と、上述のX1軸との交点をO2とする。この点O2は、点O1に対して径方向の外側に偏っており(偏心位置にシフトしており)、点O1よりも変形促進部43の近くに位置している。また、吸気側ケーシング14aからの荷重Fは、頂部46bにおいて軸方向下部(真下)に作用している。
このため、荷重Fにより、交点O1を中心としたモーメントが発生し、このモーメントが、変形促進部43に作用する。そして、荷重Fにより発生するモーメントが、変形促進部43に近い位置で変形促進部43に伝わり、シール部材41が変形する。さらに、シール部材41の変形は、交点O1の真上から真下に向けて荷重Fを作用させた場合に比べて、効率よく行われる。
なお、点O1は、前述のように断面の重心位置とすることに限定されない。例えば、X1軸とY1軸を、単純に図形上の中央(幾何学的中心)で交わるように仮定することも可能である。つまり、X1軸とY1軸を、シール部材41に係る断面の水平方向の最大となる幅寸法(最大幅)と、垂直方向の最大となる高さ寸法(最大高さ、或いは最大厚さ)の2分の1の点を通過して互いに直交するよう設定し、これらのX1軸とY1軸の交点を点O1とすることも可能である。
図4(a)~(c)は、本実施形態のシール部材41に関して、変形特性のシミュレーションを行った際の結果(シミュレーション結果)を示している。このシミュレーションにおける演算条件として、シール部材41の断面モデルに、シール部材41の材質に係る物性値を与え、装着部45を仮想剛体M1に接触させ、仮想剛体M2とシール部材41との間には空隙を残している。さらに、上方の仮想剛体M3と下方の仮想剛体M4との間隔(溝深さを想定)を(a)~(c)の順に徐々に小さくなるよう狭めて変化させ、それぞれの条件における変形状態と応力分布の演算結果を断面モデル上に表している。
上述の仮想剛体M1、M4は、本実施形態(図2(a))に係る排気側ケーシング14bの段差部51における、上端部29bと受面29cに相当する。また、仮想剛体M3は、本実施形態における吸気側ケーシング14aのフランジ部29aに相当する。ここで、このシミュレーションにおいては、シール部材41の変形促進部43の側に仮想剛体M2を配置しているが、図1や図2(a)等に示す本実施形態では、仮想剛体M2に相当する部分は設けられておらず、空隙となっている。
図4(a)は、溝深さをH1とした場合のシミュレーション結果を示している。溝深さは、シール部材41をある程度潰した(ひずませた)状態における、仮想剛体M3と仮想剛体M4との間の距離に相当する。さらに、溝深さH1は、圧縮される前のシール部材41を、上下方向(軸方向)の両側から0.5mm程度ずつ(上下の合計で1mm程度)潰した場合の値となっている。
つまり、溝深さH1は、吸気側ケーシング14aのフランジ部29aと、排気側ケーシング14bの上端部29bとの距離がH1となり、シール部材41が荷重を受けて1mm潰された場合値を表している。そして、溝深さをH1とした場合には、シール部材41に発生する部分反発力は、N1となり、接触面積(ここでは接触長さ)はS1となった。
ここで、部分反発力は所定の領域における部分的な反発力(応力)を表している。また、接触面積(接触長さ)は、面積の大小関係を長さの大小関係により表した指標である。そして、接触面積(接触長さ)は、図4(a)中、潰されたシール部46(又は47)の、仮想剛体M3(又はM4)と接触している部分の長さによって代替して表すことができる指標となっている。
また、図中に符号R1で示す領域は、符号を付していない領域よりも反発力が大きい領域である。そして、領域R1内について計算される部分的な反発力が、上述の部分反発力N1であると説明できる。
続いて、図4(b)は、溝深さを、図4(a)の場合よりも小さいH2とした場合のシミュレーション結果である。この場合の部分反発力はN2となり、接触面積(接触長さ)はS2となった。そして、部分反発力N2及び接触面積(接触長さ)S2は、いずれも図4(a)における溝深さH1の場合の部分反発力N1及び接触面積(接触長さ)S1よりも大となった。
さらに、反発力の分布に関して、領域R1に加え、領域R2が現れた。領域R2内について計算される部分的な反発力が、上述の部分反発力N2であると説明できる。そして、領域R1、R2が表す反発力の大小関係は、R1よりもR2の方が大きく、N1<N2となっている。
続いて、図4(c)は、溝深さを、図4(b)の場合よりも小さいH3とした場合のシミュレーション結果である。この場合の部分反発力はN3となり、接触面積(接触長さ)はS3となった。そして、部分反発力N3及び接触面積(接触長さ)S3は、いずれも図4(b)の溝深さH2の場合の部分反発力N2及び接触面積(接触長さ)S2よりも大となった。
さらに、反発力の分布に関して、領域R1、R2に加え、領域R3が現れた。領域R3内について計算される部分的な反発力が、上述の部分反発力N3であると説明できる。そして、領域R1~R3が表す反発力の大小関係は、N1<N2<N3となっている。
なお、図4(a)~(c)に示すシミュレーション結果の関係をまとめると、溝深さH1~H3についてはH1>H2>H3であり、部分反発力N1~N3についてはN1<N2<N3である。さらに、接触面積(接触長さ)S1~S3についてはS1<S2<S3である。
また、図4(d)には、従来のシール部材に対する変形特性のシミュレーション結果を示している。図4(d)のシミュレーションにおける演算条件として、シール部材の断面形状を略円形状とし、材質に係る物性値は、図4(a)~(c)に示した例と同様としている。また、仮想剛体M1~M4についても、図4(a)~(c)に示した例と同様としているが、図4(d)の例では、仮想剛体M1~M4を、連続した矩形枠状のモデルとし表している。
そして、図4(d)の例において、溝深さはH4であり、この溝深さH4は、前述した図4(c)の例に係る溝深さH3(<H2<H1)よりも小さい値となっている。また、部分反発力はN4であり、この部分反発力N4は、前述した図4(a)に示す溝深さH1の場合の部分反発力N1と、図4(b)に示す溝深さH2における部分反発力N2との間の範囲に属する値となっている。さらに、接触面積(接触長さ)はS4となっており、この接触面積(接触長さ)S4は、図4(c)に示す溝深さH3における接触面積(接触長さ)S3と同程度となっている。
なお、従来のシール部材に係るシミュレーション結果と、本実施形態のシール部材41に係るシミュレーション結果との関係をまとめると、溝深さについてはH4<H3(<H2<H1)であり、部分反発力N4についてはN1<N4<N2となっている。さらに、接触面積(接触長さ)については、S4≒S3となっている。
そして、これらのシミュレーション結果から、本実施形態のシール部材41については、従来よりも溝深さが大きい場合でも(H4<H3)、高い部分反発力(N4<N3)や、従来と同程度の接触面積(S4≒S3)が得られているといえる。
以上説明したような第1実施形態のターボ分子ポンプ10(図1)によれば、シール部材41の外周面41aに凹陥形状の変形促進部43が設けられている。そして、変形促進部43の存在により、シール部材41の外周に空間が形成され、シール部材41が厚さ方向(軸方向)に潰された際の、変形に係る抵抗力(変形抵抗)が減少する。この結果、断面が単純な真円形や楕円形である従来のものと比べて、シール部材41を変形し易いものとなる。
さらに、ターボ分子ポンプ10の組み立ての際に、シール部材41の変形抵抗によってシール部材41に捩じれや引っ掛かりが生じるのを防止でき、シール部材41の損傷の可能性を一層低減できる。また、シール部材41への真空グリースの塗布を省略することができ、例えば真空グリースの蒸発等を要因とする真空度の低下(真空環境の汚染)を防止することが可能となる。
さらに、シール部材41は、外力(圧力)を受ける側に向かって突出したシール部46、47を有している。そして、シール部46、47は、溝深さHが小さくなって外力(F)が増えれば、その分弾性的に大きくひずむ。そして、シール部46、47は、周辺部品(ここでは吸気側ケーシング14aのフランジ部29aや、排気側ケーシング14bの受面29c)の形状に倣って変形し、これらの周辺部品に密着する。
このため、シール部46、47の弾性変形により、加圧体である吸気側ケーシング14aのフランジ部29aや、排気側ケーシング14bの受面29cとの接触面積(或いは接触長さ)Sを確保し易くなる。そして、シール部材41と周辺部品との間のシール性が向上する。
また、ターボ分子ポンプ10の組み立ての際に、複数の部品に係る寸法公差の積み上がりによる合計の公差(累積公差)のばらつきによって、潰し代幅の変動(ばらつき)が大きくなっても、シール部材41の弾性変形によって、潰し代幅の変動を吸収することができる。そして、潰し代幅の変動に柔軟に対応することが可能となり、シール部材の選定が容易になる。
さらに、本実施形態のシール部材41によれば、1つのシール部材41に係るシール性を向上していることから、従来のターボ分子ポンプ(先行文献1)のようにシール部材を多段に設けなくても、良好なシール性を発揮することができる。このため、少ない部品点数で、シール構造を単純化しつつ、良好なシール性を発揮することができる。また、シール部材の数や、その周辺の部品点数を増やす必要がないため、シール構造が簡素なものとなる。このため、ターボ分子ポンプ10の組み立てが容易である。
ここで、一般にOリングなどのシール部材については、大きく潰されてひずみが大きくなることにより、充填率が上がり、シール部材が劣化し易くなる。しかし、本実施形態のシール部材41によれば、凹陥形状の変形促進部43により変形を促進しているため、変形抵抗が少なく、潰し量が大きくても劣化し難いものとなる。
さらに、シール部46、47の頂部46b、47bを、変形促進部43に近付けて配置しているため、重心位置からの偏りによって、変形促進部43に効率よくモーメントを作用させることができる。そして、このことによっても、シール部材41を効率よく弾性変形させることができる。
また、本実施形態のシール部材41によれば、内周部41bに平坦な装着部45が設けられていることから、シール部材41と、シール部材41が装着される部品(ここでは排気側ケーシング14b)とを容易に面接触させることができる。このため、シール部材41に傾き(所謂「倒れ」)が生じ難く、シール部材41の姿勢を容易に安定させることができる。そして、シール部材41を、ターボ分子ポンプ10の組み立ての際に、シール部材41の位置決めが容易になり、シール部材41に捩じれが生じ難くなる。
さらに、本実施形態のシール部材41によれば、変形促進部43が外向きの凹陥状であることから、シール部材41が厚み方向(軸方向)に潰されても、外径方向への膨張分が、変形促進部43内の空間により吸収される。このため、シール部材41の径方向への突出を防止でき、シール部材41の外側への拡大を抑制できる。特に、本実施形態では、シール部材41の外側に六角穴付きボルト42が配置されていることから、シール部材41が潰されることにより拡大し、六角穴付きボルト42に干渉する、といったことを防止できる。
また、本実施形態のように、変形促進部43を外向きに形成することで、シール部材41の断面を、縦横比が軸方向に長いものとすることができ、このことによっても、シール部材41の外径方向への拡大を防止し易くなる。さらに、ターボ分子ポンプ10においては、稼働中に生じる本体ケーシング14の内外の圧力差によって、シール部材41を本体ケーシング14の軸心側(径方向の中心側)へ吸引する力(負圧)が発生する。シール部材41にこの軸心側へ吸引する力が働いても、頂部46b、47bで楔作用を発生し、ターボ分子ポンプ10内に吸い込まれ難くなるのと同時に、シール性を低下させない効果もある。
さらに、本実施形態においては、シール部材41が、径方向の外側で周辺部品に接触しない構造となっている。このため、シール部材41の外周部に「逃げ」となる空隙を確保できる。そして、シール部材41が大きく潰されて、或る程度径方向の外側に拡大したとしても、シール部材41が周辺部品に接触することを防止できる。
また、本実施形態のシール部材41によれば、外径方向へ突出し難いことから、本体ケーシング14の外径寸法を極力小さくすることができる。そして、本体ケーシング14の外径を小さくすることにより、周囲の機器との干渉が生じ難くなり、ターボ分子ポンプ10に係る設置の自由度が高まる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。以下では、本発明の他の実施形態に係る真空ポンプのシール部材について説明する。そして、第1実施形態と同様の部分については同一符合を付し、その説明は適宜省略する。
図3(b)は、本発明の第2実施形態に係るシール部材71を示している。このシール部材71においては、断面形状に関し、図2(b)や図3(a)に示す第1実施形態と比べて、変形促進部43の上下の角部43a、43bや、シール部46、47の頂部46b、47bが、鋭角化されている。そして、角部43a、43bに関しては、その角度が鋭角となっている。このような鋭角化を行うことにより、部分反発力を高めることができ、吸気側ケーシング14aや排気側ケーシング14bとの間の高い接触圧によるシール効果の向上を図ることができる。
図5(a)~(c)には、第2実施形態のシール部材71に係る、変形特性のシミュレーション結果を示している。図5(a)~(c)の例では、シール部材71の内径寸法、外径寸法、高さ(厚さ)寸法、物性値等の各条件は、図4(a)~(c)に示す第1実施形態に係るシミュレーション結果と同様に設定されている。さらに、溝深さの条件についても、第1実施形態に係るシミュレーション結果と同様であり、図5(a)~(c)の順にH1~H3(H1>H2>H3)となっている。
図5(a)のシミュレーション結果(溝深さH1)においては、領域R6と領域R7が現れている。この領域R6、R7に係る反発力の大小関係は、R6<R7である。さらに、このシミュレーション結果における部分反発力として算出されたN5は、領域R7内について計算される所定の部分的な反発力であると説明できる。そして、この部分反発力であるN5は、第1実施形態に係る図4(a)のシミュレーション結果(溝深さH1)の部分反発力であるN1よりも大きい(N5>N1)。
図5(b)のシミュレーション結果(溝深さH2)においては、領域R6、R7に加え、領域R8が現れている。この領域R6~R8に係る反発力の大小関係は、R6<R7<R8である。また、部分反発力として算出されたN6は、領域R8内について計算される所定の部分的な反発力である。そして、この部分反発力であるN6は、第1実施形態に係る図4(b)のシミュレーション結果(溝深さH2)の部分反発力であるN2よりも大きい(N6>N2)。
図5(c)のシミュレーション結果(溝深さH3)においては、領域R6~R8に加え、領域R9と領域10が現れている。この領域R6~R10に係る反発力の大小関係は、R6<R7<R8<R9<R10である。また、部分反発力として算出されたN7は、領域R9内について計算される所定の部分的な反発力である。そして、この部分反発力であるN7は、第1実施形態に係る図4(c)のシミュレーション結果(溝深さH3)の部分反発力であるN3よりも大きい(N7>N3)。
これらのシミュレーション結果に表れているように、第2実施形態のシール部材71を用いた場合には、角部(図2(b)の43a、43b)の鋭角化によって、部分反発力を高めることができ、高い接触圧による部分的なシール効果の向上を図ることができる。ただし、具体的な説明は省略するが、接触面積(接触長さ)に係るシミュレーション結果は、第2実施形態のように角部(図3(b)の43a、43b)の鋭角化を行うことにより減少している。
したがって、接触面積(接触長さ)を部分反発力よりも優先したい場合には、第1実施形態に係るシール部材41を採用し、部分反発力を優先したい場合には第2実施形態に係るシール部材71を採用する、といった使い分けが可能である。
また、第1実施形態や第2実施形態に限定されず、例えば、図3(c)に示すような第3実施形態に係るシール部材81を採用することも可能である。図3(c)に示すシール部材81は、2つの変形促進部82、82を有しており、両変形促進部82、82は、円弧状の突面83aを有する中間部83により区切られている。そして、中間部83の突出量は、角部43a、43bよりもシール部材81の外側に飛び出さない程度に設定されている。また、角部42a、42bや頂部46b、47bの角度は、第2実施形態に係るシール部材71と同様とされている。
また、第1実施形態や第2実施形態に限定されず、変形促進部43を内向きに形成することも可能である。
このようなシール部材81の断面構造を採用することにより、上下2箇所の変形促進部82、82によって、周辺部品(ここでは吸気側ケーシング14aと排気側ケーシング14b)からの圧力による変形を促進することができる。ここで、図3(c)には、第2実施形態に係るシール部材71と同様に角部42a、42bや頂部46b、47bの角度を鋭角化しているが、これに限らず、例えば、第1実施形態と同程度になるよう鈍角化を行ってもよい。
なお、本発明は、上述の実施形態や各変形例に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能なものである。
10 ターボ分子ポンプ(真空ポンプ)
12 吸気部
14 ケーシング本体
14a 吸気側ケーシング(吸気側部品)
14b 排気側ケーシング(排気側部品)
17 ターボ分子ポンプ機構部
18 ネジ溝ポンプ機構部
19 ステータ翼(固定翼)
20 ロータ翼(回転翼)
21 ロータ軸(回転軸)
16 モータ
41、71、81 シール部材
41a 外周部
41b 内周部
43 変形促進部
46、47 シール部
46b、47b 頂部
45 装着部

Claims (4)

  1. ガスの吸気部を有する吸気側部品と、
    前記吸気側部品に組み合される排気側部品と、
    前記吸気側部品に内包され、回転自在に支持された回転軸と、
    前記回転軸を回転させるモータと、
    前記吸気側部品と前記排気側部品とにより厚さ方向に挟み付ける力を受けて弾性変形し、
    前記吸気側部品と前記排気側部品の間の気密性を保つ環状のシール部材と、を備え、
    前記シール部材は、
    外周部に凹陥状に形成された変形促進部と、
    前記力を、前記変形促進部に近付いた偏心位置で受けるシール部と、を有し、
    前記偏心位置は、前記外周部よりも内周側寄りの位置であり、
    前記偏心位置に、前記力の作用点となる山形の頂部が形成され、
    前記変形促進部の深さは、前記頂部から先端部までの水平距離よりも小さいことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記シール部材は、内周部に平面状に形成され、前記吸気側部品及び前記排気側部品のうちのいずれか一方に面接触する装着部を有することを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 真空ポンプの吸気側部品と排気側部品とにより厚さ方向に挟み付ける力を受けて弾性変形する環状のシール部材であって、
    外周部に凹陥状に形成された変形促進部と、
    前記力を、前記変形促進部に近付いた偏心位置で受けるシール部と、を有し、
    前記偏心位置は、前記外周部よりも内周側寄りの位置であり、
    前記偏心位置に、前記力の作用点となる山形の頂部が形成され、
    前記変形促進部の深さは、前記頂部から先端部までの水平距離よりも小さいことを特徴とするシール部材。
  4. 内周部に平面状に形成され、前記吸気側部品及び前記排気側部品のうちのいずれか一方に面接触する装着部を有することを特徴とする請求項3に記載のシール部材。
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