JP7381288B2 - 容器詰飲料及びその製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 2019年6月28日ほか、株式会社伊藤園が新商品の飲料について、株式会社食品産業新聞社の取材を非公開で受けた後、株式会社食品産業新聞社が同社のウェブサイトと刊行物に記事を掲載したことによる公開
特許法第30条第2項適用 2019年8月1日、株式会社伊藤園が新商品の飲料についての情報を取引先に対して電子メールで通知したことによる公開
特許法第30条第2項適用 2019年8月1日ほか、株式会社伊藤園が自社のHPのウェブサイトに新商品の飲料の情報を掲載したことによる公開
特許法第30条第2項適用 2019年8月5日、株式会社伊藤園が新商品の飲料を販売したことによる公開
本発明は、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料及びその製造方法並びに容器詰飲料の呈味の向上方法に関する。
輪切りしたフルーツ(典型的には柑橘類)を紅茶に浮かべて飲む飲み方は、日本国内外を問わず古くから親しまれてきたものであり、一般家庭では勿論、喫茶店などにおいて広く普及したフルーツティーの飲み方である。
ところが最近、このようなフルーツティーをテイクアウト式で提供する店舗(例えば、ジューススタンドのようなもの)が鉄道駅やデパートなどにおいて増加しており、特に女性を中心に広く人気を集めている。
しかしながら、このような飲み方、すなわち輪切りしたフルーツを紅茶に浮かべたような風合いのフルーツティーを工業的に提供する飲料、すなわち容器詰飲料(RTD)として再現することは技術的に極めて困難であった。
その理由は幾つかあり、その一つとして、工業製品としての容器詰飲料(RTD)は、一定程度の長期に亘っての保存を前提とするため加熱殺菌処理が法律上要請されるが、このような加熱殺菌処理をすると、加熱劣化や経時劣化を生じるため、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものと似ても似つかぬものとなってしまうことが挙げられる。
このような問題を解決するために、工業的に容器詰飲料(RTD)を提供する企業は、香料等の副素材を用いるなどして、法律上要請される加熱殺菌処理をしながらも、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものに近しいものを提供しようと試みてきた。これにより、加熱殺菌処理による品質の変化は一定程度の制御が可能になったものの、一般家庭等では決して使用しない香料等の副素材を使用すること等により、一般家庭等で提供するものとは依然として似ても似つかぬもののままであった。
ところで、フルーツティーを工業的な容器詰飲料(RTD)として再現しようとする試みは、これまでに様々な形で為されている。
例えば、特許文献1には、果汁含有率が10wt%未満であっても、リンゴらしい酸味の付与と、後味のキレの向上が可能なリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物が開示されている。
特許文献2には、果汁を10~90質量%含有する果汁入り容器詰紅茶飲料であって、テオガリンを10ppm~24ppm含有し、且つカリウムの含有量に対するテオガリンの含有量の比率(テオガリン/K)が0.015~0.100であることを特徴とする果汁入り容器詰紅茶飲料が開示されている。
特許文献3には、カフェインを0.001~0.005質量%含有し、かつ、甘味料と果汁を含有する容器詰紅茶飲料であって、酸度が0.02~0.08%の範囲にあり、かつ酸度が前記範囲にある時の糖度と酸度で表される甘辛度が1.50~2.50の範囲にあることを特徴とする容器詰紅茶飲料が開示されている。
特許文献4には、マスカット、桃、オレンジ、ベルガモット、リンゴからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の果汁を含む容器詰非アルコール性果汁含有紅茶飲料であって、ブリックス値が0.4~5.0であり、茶由来ポリフェノール類が10~400ppmであり、且つ果汁由来ポリフェノール類が0.6~150ppmであると共に、甘味料が添加されておらず、カフェイン含有量が100ppm以下であることを特徴とする容器詰非アルコール性果汁含有紅茶飲料が開示されている。
特開2011-152095公報 特開2011-155892号公報 特開2011-155891号公報 特許第5978466号
本発明は、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料に関し、紅茶の香味の強さと果実の香味の強さをともに維持し、且つ、生の果実のような鮮度感を感じることのできる、新たな容器詰飲料(RTD)を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、紅茶の香味の強さと果実の香味の強さをともに維持し、且つ、生の果実のような鮮度感を感じることのできるものの中で、さらに、保管した後であっても紅茶の渋みの強さを維持することができ、それでいて濁りを生じない、容器詰飲料(RTD)を提供することを第二の目的とする。
本発明は、紅茶液成分と非加熱果実由来成分を含有する容器詰飲料であって、
紅茶ポリフェノール類量が10.0~50.0mg/100gであって、
有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.20~0.95であることを特徴とする、容器詰飲料を提案する。
本発明はまた、紅茶液成分と果実成分を含有する容器詰飲料の製造方法であって、
紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程を備え、
紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の製造方法を提案する。
本発明はまた、紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程を備え、
紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の果実感向上方法を提案する。
本発明が提案する容器詰飲料は、果実成分として、非加熱果実由来成分を配合すると共に、紅茶ポリフェノール類量を所定範囲に調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を所定範囲に調整することにより、紅茶の香味の強さと果実の香味の強さをともに維持し、且つ、生の果実のような鮮度感を感じることのできる新たな容器詰飲料(RTD)を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態の一例について説明する。但し、本発明の技術的範囲が、下記実施の形態の一例に制限されるものでない。
<容器詰飲料>
本発明の容器詰飲料は、紅茶液成分と非加熱果実由来成分を含有する容器詰飲料、言い換えれば、紅茶液成分と非加熱果実由来成分を含有する飲料組成物が容器に充填されてなる容器詰飲料である。
ここで、当該容器詰飲料は、該飲料を容器詰めして法令等により要請される加熱殺菌処理をしたものをいう。
本発明の容器詰飲料は、工業製品であって市場流通できるものであり、一定期間の保管期間(いわゆる賞味期間)が担保されたものである。したがって、本発明の容器詰飲料は、家庭や飲食店等で調製して直ちに飲用する飲料とは技術的及び産業的に性質を異にするものである(例えば、『最新・ソフトドリンクス』,全国清涼飲料工業会他監修,光琳,2003年を参照)。
また、容器詰飲料は、法令等の要請により容器やラベル等の包装材に品名を記載する必要がある。本発明の容器詰飲料の品名は、特に限定されるものではない。但し、紅茶液成分と果実成分とを少なくとも含有するものであるから、紅茶飲料、果汁飲料、果汁入り飲料、清涼飲料等であってよい。
また、本発明の容器詰飲料は、開栓したら希釈せずそのまま飲用できる態様(所謂シングルストレングス)であるのが好ましい。
(紅茶液成分)
本発明において紅茶液成分とは、紅茶葉由来の成分を含む液体成分の意味であり、例えば、紅茶葉を抽出して得られる液(紅茶葉抽出液)や、紅茶葉抽出液を濃縮して得られる濃縮液(紅茶葉濃縮液)や、紅茶葉抽出液を乾燥して得られる乾燥物(紅茶葉乾燥物)や、紅茶葉濃縮液を乾燥して得られる乾燥物(紅茶葉濃縮乾燥物)などを挙げることができ、必要に応じて、これらの1種又は2種以上を用いてよい。
また、これらを調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択して実施してよい。
なお、本発明の容器詰飲料は、食品に香りや味の一部を付与する食品添加物(フレーバー)の使用を排除するものではない。しかしながら、消費者における添加物を忌避する昨今の傾向から、このような食品添加物(フレーバー)を使用しないのが好ましい。
前述の紅茶葉としては、一般に紅茶飲料に使用されている紅茶葉、すなわち、生茶葉を発酵させ、必要に応じて製茶して得られる茶葉を用いることができる。
紅茶葉の茶期、産地、品種、等級、および発酵条件などは特に限定するものではない。例えば中国種(var.sinensis)であっても、アッサム種(var.assamica)であっても、2種以上の茶葉をブレンドしたものでもよい。
容器詰飲料が紅茶液成分を含むか否かは、容器やラベル等の包装材に記載された品名、原材料名、その他の記載事項で判断することができる。かかる事項は、製品に記載された情報のみならず、書籍、新聞、インターネット情報などで代替できる。
また、これらに加えて、紅茶液に通常含まれる各種成分、例えばテアフラビン、テアルビジン、タンニン類などが分析等により検出できるかにより判断することもできる。
通常の紅茶液は、テアフラビン、テアルビジン、プロアントシアニジンポリマー、テアニン及びカフェインを含んでいるから、これらの成分を含んでいるか否かを判断すれば、さらに確実に判断することができる。後述する実施例で調製した容器詰飲料はいずれも、これらの成分を含んでいるものであった。
(非加熱果実由来成分)
本発明において非加熱果実由来成分とは、加熱されていない果実に由来する成分を言う。例えば青果、或は、青果の冷凍物(以下冷凍果実ともいう)から得られる粉砕物(「非加熱果実由来粉砕物」とも称する)、青果或は冷凍果実を搾汁して得られる果汁(「非加熱果実由来果汁ともいう)、及び/又は、青果或は冷凍果実の抽出物(「非加熱果実由来抽出物」とも称する)、及び/又は、該非加熱果実由来抽出物又は該非加熱果実由来粉砕物又は非加熱果実由来果汁の濃縮物(「非加熱果実由来濃縮物」とも称する)である。中でも、生の果実、冷凍果実及び/又はこれらの抽出物又は粉砕物又は果汁又はそれらの濃縮物であるのが好ましい。
ここで、加熱されていない果実とは、果実の品温が、40℃以上となるのに相当する状態にされていない果実の意味であり、加圧状態及び減圧状態においても40℃以上の状態にはされていないことを意味する。
中でも、紅茶抽出液と混合されるまで、熱を加えられないことが好ましい。具体的には、青果や冷凍果実から低温の溶媒によって抽出された抽出物、或いは、該抽出物を低温の状態を維持したまま濃縮した濃縮物、青果や冷凍果実を粉砕して低温で保管したもの、青果や冷凍果実を搾汁して得られた果汁を低温で保管したものなどを好ましい例として挙げることができる。ここで、低温とは、常圧で常温(25℃)より低い温度をいい、好ましくは20℃以下、中でも好ましくは18℃以下である。
前記非加熱果実由来粉砕物、非加熱果実由来抽出物及び非加熱果実由来濃縮物の態様は、液体と固体のいずれでもよく、両者を併用することもできる。例えば、果肉片などの固体であっても、果汁などの液体であっても、その濃縮物であってもよい。
また、前記非加熱果実由来粉砕物、非加熱果実由来抽出物、非加熱果実由来果汁及び非加熱果実由来濃縮物の果実は、青果、青果を冷凍したもの、青果を乾燥したもののいずれか又はこれらを組み合わせて用いることができる。
また、前記非加熱果実由来粉砕物、非加熱果実由来抽出物、非加熱果実由来果汁及び非加熱果実由来濃縮物は、青果、青果を冷凍したものであって、具体的には25℃より低温で保管された果物を抽出、搾汁若しくは粉砕して得られた成分或いはその濃縮物であることが好ましく、但し、容器詰とする際に行われる加熱殺菌による加熱は前記加熱処理に含まれない。
本発明の容器詰飲料を規定する条件を満たす限りにおいて、果実成分に係る果実種は特に限定されるものではない。例えば、該果実種としては、オレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。
中でも、果実の香味を保持しやすい観点から、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、パイナップル、りんご、モモ、イチゴ、ぶどう、マスカット、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー及びキウイからなる群から選択される1種又は2種以上であるのが好ましい。
なお、容器詰飲料が非加熱果実由来成分を含むか否かは、容器やラベル等の包装材に記載された品名、原材料名、その他の記載事項で判断することができる。かかる事項は、製品に記載された情報のみならず、書籍、新聞、インターネット情報などで代替できる。
また、これらに加えて、非加熱果実由来成分として通常含まれる各種成分、例えばクエン酸、有機酸などが分析等により検出できるかにより判断することもできる。
本発明の容器詰飲料において、紅茶の香味と果実の香味とのバランスの観点から、前記非加熱果実由来成分の含有量は、10.0質量%未満であるのが好ましく、中でも7.0質量%以下、その中でも5.0質量%以下、その中でも3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
但し、非加熱果実由来成分の含有量が少なすぎると果実の香味を感じにくくなるから、0.5質量%以上であるのが好ましく、その中でも0.8質量%以上、その中でも1.0質量%以上であるのがさらに好ましい。
(その他の成分)
本発明の容器詰飲料には、紅茶液成分と果実成分以外に、必要に応じて、容器詰飲料に用いることができる各種成分が含まれていてもよい(例えば、『最新・ソフトドリンクス』,全国清涼飲料工業会他監修,光琳,2003年を参照)。例えば砂糖、果糖などの糖類、クエン酸及びその塩、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、ビタミンC等の酸化防止剤、甘味料、香料、色素成分、保存料、調味料、酸味料、ビタミン、アミノ酸等を含有してもよい。但し、先述のとおり、消費者における添加物を忌避する昨今の傾向から、これら成分を極力含まない方が好ましく、例えば香料などを使用しない方が好ましい。
なお、本発明の容器詰飲料は、アルコール含有量が1質量%未満であること、すなわち、非アルコール性飲料であることが好ましい。
(紅茶ポリフェノール類量)
本発明の容器詰飲料において、紅茶ポリフェノール類量は10.0~50.0mg/100gであるのが好ましい。紅茶ポリフェノール類量は10.0mg/100mL以上であれば、紅茶の香味の強さをしっかりと感じることができるから好ましい。他方、50.0mg/100mL以下であれば、フルーツティーとして紅茶の香味が強すぎず、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の紅茶ポリフェノール類量は10.0mg/100mL以上であるのが好ましく、中でも15.0mg/100mL以上、その中でも20.0mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。他方、50.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも45.0mg/100mL以下、その中でも40.0mg/100mL以下、さらにその中でも35.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
紅茶ポリフェノール類量は、紅茶液成分の量、すなわち紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を選択し、それぞれの使用割合を適宜調整することにより調整することができる。また、紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択し、それぞれの条件を調整することによっても、紅茶ポリフェノール類量を調整することができる。さらには、市販の紅茶ポリフェノール類量を併用してその量を調整することでも、紅茶ポリフェノール類量を調整することができる。
なお、本発明において紅茶ポリフェノール類とは、縮合型タンニン(単に「タンニン」とも称する)から、カテキン類すなわちカテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)及びエピガロカテキンガレート(EGCg)のカテキン8種を除いたものである。
紅茶ポリフェノール類量は、酒石酸鉄法(茶業研究報告71(1990)43-74)により測定されたタンニン量から、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置を用いて、検量線法によって、測定されたカテキン類8種の量を差し引くことで算出される。
(クエン酸/有機酸)
本発明の容器詰飲料において、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)は0.20~0.95であるのが好ましい。
有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.20以上であれば、果実の香味の強さをしっかりと感じることができるから好ましい。他方、0.95以下であれば、酸味が強くなりすぎず、適度な果実の香味を感じることができるから好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(クエン酸/有機酸)は0.20以上であるのが好ましく、中でも0.50以上、その中でも0.70以上であるのがさらに好ましい。他方、0.95以下であるのが好ましく、中でも0.93以下、その中でも0.90以下であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料において、クエン酸及び有機酸の由来は、特に限定されるものではないが、果実に由来するものであるのが好ましい。例えば、本発明の容器詰飲料におけるクエン酸及び有機酸は、果実成分、例えば上述の果実抽出物、果実濃縮物、果実乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上に由来するものであってよい。
また、果実種については、特に限定されるものではないことは上述のとおりであり、例えば上述の果実種のうち1種又は2種以上であってもよい。
また、前記果実抽出物、果実濃縮物、果実乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択して実施してよい。さらには、市販のクエン酸製剤や有機酸製剤を併用して用いることもできる。
有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を前記範囲に調整する手段としては、例えば果実種の混合、特に非加熱果実原料の混合などによればよい。なぜなら、非加熱果実原料を用いることによって、果実由来の後味の余韻がより向上するのに寄与するからである。
また、酸度調整剤を添加することでも、当該比率を調整することもできる。酸度調整剤としては、酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類を挙げることができる。
但し、当該比率の調整方法をこれらの方法に限定するものではない。
本発明において有機酸量は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の合計含有量である。
有機酸量及びクエン酸量は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。
(クエン酸量)
本発明の容器詰飲料におけるクエン酸量は、5.0~110.0mg/100mlであるのが好ましく、中でも14.3mg/100mL以上或いは100.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも20.0mg/100mL以上或いは90.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも50.0mg/100mL以上或いは75.0mg/100mL以下であるのがより好ましく、その中でも59.0mg/100mL以上或いは75.0mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
(有機酸量)
本発明の容器詰飲料における有機酸量は、25.0mg/100mL~113.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも30.0mg/100mL以上或いは90.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも50.0mg/100mL以上或いは74.0mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
(エピ体カテキン類量)
本発明の容器詰飲料において、エピ体カテキン類量は0.1mg/100mL~5.0mg/100mLであるのが好ましい。
エピ体カテキン類量が0.1mg/100mL~5.0mg/100mLであれば、保存時の沈殿の発生が抑制できるから好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のエピ体カテキン類量は0.1mg/100mL以上であるのが好ましく、中でも0.3mg/100mL以上、その中でも0.7mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。他方、5.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも4.5mg/100mL以下、その中でも4.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
本発明において、エピ体カテキン類は、エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)の総称である。
エピ体カテキン量は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法など公知の方法でもって測定することができる。
エピ体カテキン類量は、加熱されると徐々に非エピ体カテキン類、すなわちカテキン、カテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレートに夫々変化することが知られている。このため、エピ体カテキン類量は、原料調製、飲料調製、殺菌工程などの加熱する各種工程における熱履歴を管理することにより、適宜調整することができる。但し、この方法に限定するものではない。
(紅茶ポリフェノール/没食子酸)
本発明の容器詰飲料において、没食子酸量に対する紅茶ポリフェノール類量の比率(紅茶ポリフェノール/没食子酸)が7.0~350.0であれば、長期保管後の濁りが抑制されるから好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(ポリフェノール/没食子酸)は7.0以上であるのが好ましく、中でも15.0以上、その中でも20.0以上であるのがさらに好ましい。他方、350.0以下であるのが好ましく、中でも100.0以下、その中でも30.0以下であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料において、没食子酸量に対する紅茶ポリフェノール類量の比率(ポリフェノール/没食子酸)を前記範囲に調整する手段としては、上述のポリフェノール量の調整方法と没食子酸の調整方法を併用することにより実施できる。但し、この方法に限定するものではない。
(没食子酸)
茶葉の発酵や焙煎により、茶葉に含まれるカテキン類などのポリフェノールが減少し、その一部が没食子酸となることが知られている。特に本発明の容器詰飲料においては、渋味及び酸味を感じさせる成分である。
本発明の容器詰飲料における没食子酸の含有量は、0.1~5.0mL/100mLが好ましく、茶としての渋味及び酸味をより感じやすくなる傾向にある。その中でも0.8~4.0mL/100gがより好ましく、1.2~3.0mg/100mLが特に好ましく。1.5~2.2mg/100mLが最も好ましい。
なお、没食子酸含有量は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。
(ミネラル)
本発明の容器詰飲料において、ミネラルの含有用量は、ナトリウム(Na)含有量が、5.0mg/100mL~17.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも6.0mg/100mL以上或いは15.0mg/100mL以下、その中でも7.0mg/100mL以上或いは14.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
カリウム(K)含有量は、3.0mg/100mL~15.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも4.0mg/100mL以上或いは12.0mg/100mL以下、その中でも5.0mg/100mL以上或いは10.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
カルシウム(Ca)含有量は、0.1mg/100mL~1.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも0.2mg/100mL以上或いは0.9mg/100mL以下、その中でも0.3mg/100mL以上或いは0.8mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
マグネシウム(Mg)含有量は、0.1mg/100mL~1.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも0.2mg/100mL以上或いは0.9mg/100mL以下、その中でも0.3mg/100mL以上或いは0.8mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料において、上記ミネラル含有量の調整は、上述の原料選択、原料加工、原料の使用割合等により適宜調整することができる。例えば、紅茶液成分や果実成分の選択や組み合わせ、その加工や使用割合等により適宜調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
容器詰飲料におけるミネラル含有量は、ICP発光分光分析装置により測定することができる。
(ナトリウム/タンニン類)
本発明の容器詰飲料において、タンニン類量に対するナトリウム(Na)含有量の比率(ナトリウム/タンニン類)は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明の第二の目的である、紅茶と果実の香味保持性(バランスの良さ)を鑑みると、タンニン類量に対するナトリウム(Na)含有量の比率(ナトリウム/タンニン類)は、2.0以下であるのが好ましく、中でも1.0以下であるのが好ましく、その中でも0.8以下であるのが好ましく、さらにその中でも0.5以下であるのが好ましく、0.3以下であるのが最も好ましい。
本発明の容器詰飲料において、上記比率(ナトリウム/タンニン類)を上記範囲に調整するには、上述したタンニン類量の調整方法及びミネラル含有量の調整を組み合わせて調整すればよい。
(果実成分由来ポリフェノール類量)
本発明において、果実成分由来ポリフェノール類とは、果実中に含まれる成分であって、当該成分の分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基)を持つものをいう。より具体的には、柑橘類に含まれるヘスペリジン(配糖体)に代表されるフラバノン類や、ブドウやブルーベリー等に含まれ、アントシアニンやディルフィニジンに代表されるアントシアニジン類や、リンゴのプロシアニジン及びピーチ類に含まれるフラバノール類や、プルーン等に含まれるクロロゲン酸類や、イチゴやザクロ等に含まれるエラグ酸等を挙げることができる。
本発明の容器詰飲料に関しては、果実成分由来ポリフェノール類量(質量)が100ppm~500ppmであれば、果実の良好な風味が感じられるため、好ましい。中でも200ppm以上、その中でも250ppm以上であるのがさらに好ましく、他方、500ppm以下であるのが好ましく、中でも400ppm以下、その中でも350ppm以下であるのがさらに好ましい。
果実成分由来ポリフェノール類量の調整は、前述の果実種の1種類又は2種類以上を適宜組み合わせることによって調整することができる他、果実の熟度や部位(皮、果実部、種子部)に含まれる果実成分由来ポリフェノール類濃度を公知の知見に基づいて適宜組み合わせて調整することもできる。また、原料となる果実から得た搾汁液に濃縮や精製などの加工を行い、当該原料に含まれる果実成分由来ポリフェノール類濃度を確認してから適宜組み合わせることによっても調整できる。さらに、必要に応じて、果実成分由来ポリフェノール類製剤を用いて調整することもできる。但し、これらの方法に限定するものではない。
なお、果実成分由来ポリフェノール類は、フォーリン・デニス法によって測定することができる(例えば「五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説」を参照)。
(果汁Brix/紅茶Brix)
本発明の容器詰飲料において、果汁Brix/紅茶Brixは、特に限定されるものではない。例えば6~90であるのが好ましく、特に14以上或いは50以下、その中でも特に20以上或いは35以下であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料の果汁Brixは、果汁の種類、含有量から調整することができる。これに対して、紅茶由来のBrixは、茶葉の種類、抽出温度、抽出時間等により調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
なお、本発明において果汁Brixとは、本発明の容器詰飲料に含まれる、果汁のショ糖換算したときの果汁の濃度をいい、紅茶Brixとは、ビタミンCなどの添加物を含まない、ショ糖換算した時の紅茶の濃度をいう。
(固形量:Bx)
本発明の容器詰飲料の固形量(Bx)は、特に限定されるものではないが、6.0%以下であれば、甘味が強すぎず香味的に好ましい。かかる観点から、6.0%以下であるのが好ましく、中でも5.5%以下、その中でも5.0%以下であるのがさらに好ましい。
なお、固形量(Bx)の下限値については、2.0%以上であれば、甘味があり、本格的な果汁感が得られ好ましい。かかる観点から、2.0%以上であるのが好ましく、中でも2.5%以上、その中でも3.0%以上であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料の固形量(Bx)は、市販のBx測定器を用いることにより測定できる。
固形量(Bx)を前記範囲に調整する手段としては、果実の種類、果実成分乃至果汁の含有量、糖類の量により調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
(pH)
本発明の容器詰飲料は、そのpHが2.8以上5.0未満であれば、紅茶本来の風味が余韻に感じられるため、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のpHは2.8以上であるのが好ましく、中でも3.0以上、その中でも3.5以上であるのがさらに好ましく、他方、5.0未満であるのが好ましく、中でも4.5以下、その中でも4.0以下であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料のpHは、市販のpH測定器を用いることにより測定できる。
容器詰飲料のpHを前記範囲に調整する手段としては、果汁の使用量もしくはpH調整剤の使用量の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
(透過率(T%))
本発明の容器詰飲料は、その透過率(T%)が80.0以上100.0未満であれば、濁りが目立たず、性状として安定するから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の透過率(T%)は80.0以上であるのが好ましく、中でも85.0以上、その中でも90.1以上であるのがさらに好ましい。他方、100.0未満であるのが好ましく、中でも99.0以下、その中でも98.0以下であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料の透過率(T%)を調整する手段としては、果汁の使用量の調節などすればよい。但し、これらの方法に限定されるものではない。
(酸度)
本発明の容器詰飲料の酸度は0.040%~0.100%であるのが好ましい。
酸度がかかる範囲であれば、後味のキレが良好であるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料における酸度は0.040%以上であるのが好ましく、中でも0.051%以上、その中でも0.060%以上であるのがさらに好ましい。他方、0.100%以下であるのが好ましく、中でも0.090%以下、その中でも0.080%以下であるのがさらに好ましい。
なお、容器詰飲料の酸度は、主に果汁の種類と含有量、酸味料の種類と添加量等によって調整することができる。但し、これらの方法に限定されるものではない。
(甘辛度)
本発明の容器詰飲料に関しては、甘辛度が2.51~6.00であれば、十分な飲みごたえを感じながらも後味のキレが良好であるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の甘辛度は2.51以上であるのが好ましく、中でも3.00以上、その中でも3.50以上であるのがさらに好ましい。他方、6.00以下であるのが好ましく、中でも5.50以下、その中でも5.00以下であるのがさらに好ましい。
なお、甘辛度とは、糖度(固形分)と酸度で表される指標であって、甘辛度=0.86×固形量(Bx)-1.16×酸度-1.31の式から算出される値である。
容器詰飲料の甘辛度を前記範囲に調整する手段としては、例えば糖類(砂糖・果糖)の種類と量、果汁の種類と量、酸味料の添加量などによって調整することができる。但し、これらの方法に限定されるものではない。
<容器詰飲料の製造方法>
本発明の容器詰飲料の製造方法として、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料の製造方法であって、紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程を備え、
紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の製造方法を挙げることができる。
上述のとおり、容器詰飲料における紅茶ポリフェノール類量は10.0~50.0mg/100gであるのが好ましく、中でも15.0mg/100mL以上であるのが好ましく、その中でも20.0mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。他方、50.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも45.0mg/100mL以下、その中でも40.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも35.0mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
紅茶ポリフェノール類量の調整方法は、上述したように、紅茶液成分の量、すなわち紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を選択し、それぞれの使用割合を適宜調整することにより調整することができる。また、紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択し、それぞれの条件を調整することによっても、紅茶ポリフェノール類量を調整することができる。さらには、市販の紅茶ポリフェノール類量を併用してその量を調整することでも、紅茶ポリフェノール類量を調整することができる。但し、当該比率の調整方法をこれらの方法に限定するものではない。
また、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)は0.20以上であるのが好ましく、中でも0.50以上、その中でも0.70以上であるのがさらに好ましい。他方、0.95以下であるのが好ましく、中でも0.93以下、その中でも0.90以下であるのがさらに好ましい。
有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を調整する手段としては、上述したように、例えば果実種の混合、特に非加熱果実原料の混合などによればよい。なぜなら、非加熱果実原料を用いることによって、果実由来の後味の余韻がより向上するのに寄与するからである。また、酸度調整剤を添加することでも、当該比率を調整することもできる。酸度調整剤としては、酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類を挙げることができる。但し、当該比率の調整方法をこれらの方法に限定するものではない。
また、本発明の容器詰飲料の製造方法においては、さらに酸度を0.001%~0.050%に調整することができる。酸度を調整する場合、0.001%以上或いは0.050%以下に調整するのが好ましく、中でも0.002%以上或いは0.045%以下に調整するのが好ましく、その中でも0.003%以上或いは0.040%以下に調整するのが好ましく、0.004%以上或いは0.035%以下に調整するのがもっとも好ましい。
また、本発明の容器詰飲料の製造方法においては、紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合するのが好ましい。
本発明の容器詰飲料の製造方法の一態様としては、例えば、原料としての紅茶葉を抽出し(この処理を「抽出工程」と称する)、必要に応じて、得られた抽出液に非加熱果実由来成分を加え(この処理を「非加熱果実由来成分添加工程」と称する)、さらに必要に応じて添加成分を加え(この処理を「調合工程」と称する)、そして殺菌乃至容器充填する(この処理を「殺菌乃至容器充填工程」と称する)製造方法において、原料の選択、各処理の条件調整などによって、上記各成分量乃至比率を調整して本発明の容器詰飲料を製造する方法を挙げることができる。但し、この製造方法に限定するものではない。
(紅茶葉)
原料とする紅茶葉の茶期や形状、産地等の紅茶の種類は、特に限定するものではない。
(抽出工程)
紅茶葉(「原料茶」とも称する)及び生果実の抽出は、例えば、常法に従ってニーダーと呼ばれる抽出装置を用いて、原料茶に対して5~100倍量、10~100℃の湯水で約1分~40分間、必要に応じて1回~数回攪拌して、常圧で抽出を行えばよい。適度な香味を維持しつつ、液色変化抑制を図る観点によると、10~90℃、特に20~80℃、中でも30~70℃、中でも60℃以下、その中でも50℃以下で抽出を行うのが好ましい。
但し、抽出方法及び抽出条件等を特に限定するものではなく、例えば加圧抽出を行うこともできる。
抽出に用いる湯水は、純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水などのほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調製水等を例示することができる。
湯水にアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。
本発明においては、特に紅茶葉と生果実を共存下で抽出すること、もしくは生果実の抽出液、或は粉砕物を含有する溶媒を用いて、紅茶葉の抽出を行い、抽出液(紅茶果実抽出液ともいう)を得ることが好ましい(紅茶果実抽出工程ともいう)。果実成分中で紅茶葉を抽出することにより、トップの紅茶感と果実由来の後味の余韻のバランスが好適になるからである。
よって、本発明の容器詰飲料は、生果実と紅茶葉とを一緒に抽出して得られた抽出液を含有するのが好ましい。
抽出後の固液分離は、濾過や遠心分離等により行い、紅茶葉を除去して抽出液を得るようにすればよい。例えばステンレスフィルターやネル布、ストレーナー、その他抽出残渣を除去するために現在採用されている濾過方法を任意に採用することができる。
また、必要に応じて、さらに遠心分離や珪藻土濾過を行ってもよい。
特に紅茶葉と非加熱果実由来成分とを合わせて一緒に抽出することで、容器詰飲料に生の果実のような鮮度感のある果実の香味を付与することができる。
(非加熱果実由来成分添加工程)
紅茶抽出液に配合する非加熱果実由来成分は、生青果又は冷凍果実の粉砕物(非加熱果実由来粉砕物)、生青果又は冷凍果実を搾汁して得られた果汁(非加熱果実由来果汁)、生青果又は冷凍果実の抽出物(非加熱果実由来抽出物)、該非加熱果実由来抽出物又は該非加熱果実由来粉砕物の濃縮物(非加熱果実由来濃縮物)を挙げることができる。
この際、非加熱果実由来成分は、紅茶抽出液に混合するまで、熱を加えないことが好ましく、上述のように低温状態を維持するのが好ましい。
より好ましくは、青果や冷凍果実から低温の溶媒によって抽出された抽出物、或いは、該抽出物を低温の状態を維持したまま濃縮した濃縮物、青果や冷凍果実を粉砕して低温で保管したもの、青果や冷凍果実を搾汁して得られた果汁を低温で保管したものなどを好ましい例として挙げることができる。
なお、上記果汁とは、果物を搾汁等の加工をすることにより得られる液体成分を意味する。例えば、果物を適当な大ききに破砕し、当該破砕物を搾汁することにより、果汁を得ることができる。果汁は特に限定されず、濃縮や希釈などの処理が行われていないストレート果汁、ストレート果汁に加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き濃度を高めた濃縮果汁、濃縮果汁を水等で希釈したもの(例えば計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように希釈した濃縮還元果汁)を挙げることができる。
また、皮付きの上記果実を搾汁して得られる果汁を紅茶抽出液に加えるようにしてもよい。
配合する非加熱果実由来成分の果実種は特に限定されるものではない。例えば、該果実種としては、オレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。
中でも、果実の香味を保持しやすい観点から、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、パイナップル、りんご、モモ、イチゴ、ぶどう、マスカット、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー及びキウイからなる群から選択される1種又は2種以上であるのが好ましい。
非加熱果実由来成分の配合量は、上述のように、全飲料の10質量%未満であるのが好ましく、中でも7.0質量%以下、その中でも5.0質量%以下、その中でも3.0質量%以下であるのがさらに好ましい。他方、0.5質量%以上であるのが好ましく、その中でも0.8質量%以上、その中でも1.0質量%以上であるのがさらに好ましい。
(調合工程)
前記抽出工程で得られた抽出液に対して、必要に応じて、例えば甘味料、酸味料、酒石酸やその他の配合物、例えば水(純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上の組み合わせを添加し、主にpH調整、濃度調整、味の調整を行うようにすればよい。
(殺菌乃至容器充填工程)
上記のように調整した抽出液は、常法によって殺菌乃至容器詰めするのが好ましい。充填容器としては、金属製の缶、紙製パック、プラスチックボトルなどを挙げることができる。この際、例えばプラスチック容器を用いる場合は、25℃、湿度55%RHにおける容器の酸素透過量(cc/Day/500mLボトル)が、0.01~0.10であるのが好ましく、中でも0.015以上或いは0.08以下、その中でも0.02以上或いは0.06以下であるのが更に好ましい。
殺菌方法及び充填方法に関しては、具体的には、例えば缶詰飲料であれば、容器充填後に加熱殺菌、例えばレトルト殺菌、例えば、適宜加圧下(1.2kg/cm2など)、121℃で7分間加熱殺菌すればよい。PETボトル詰飲料であれば、UHT殺菌、例えば120~150℃で1秒~数十秒保持した後、容器充填を行うようにすればよい。
<容器詰飲料の呈味の向上方法>
紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料において、紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程を備え、紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整するように容器詰飲料を製造すれば、特に呈味の向上させることができる。ここで、呈味の向上とは、茶の香味の強さと果実の香味の強さをともに感じることができ、且つ、生の果実のような鮮度感を感じることのできることを言う。
(語句の説明)
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[各種物性の測定]
実施例及び比較例で調製した容器詰緑茶飲料(サンプル)の各物性値は次のように測定した。
(有機酸量)
LC-10ADvp(株式会社島津製作所)を用いて、HPLC法に基づいてクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の含有量を測定し、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の合計含有量を有機酸量とした。
=サンプル調整法=
サンプルを適量測りとり、蒸留水に懸濁後、フィルターろ過して分析に供した。
=HPLC測定条件=
検出器:紫外可視吸光光度計SPD-20AV(株式会社島津製作所)
カラム:Shodex RSpak KC-811×2、φ8mm×300mm(昭和電工株式会社)
カラム温度:40℃
移動相:3mmol/L過塩素酸
反応液:0.2mmol/Lブロムチモールブルー含有
15mmol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相0.5ml/min、反応液0.5ml/min
測定波長:445nm
(エピ体カテキン類量)
エピ体カテキン類量は、Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を以下の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
カラム:wakosil 3C18HG φ3.0×100mm(和光純薬工業株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:A相5%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
B相:50%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
流速:0.43mL/min
注入量:5μL
検出:UV230nm
グラジエントプログラム:表1
Figure 0007381288000001
(紅茶ポリフェノール類量)
酒石酸鉄法(茶業研究報告71(1990)43-74)で得られたタンニン含有量(mg/100mL)から、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置を用いて算出したカテキン類8種(カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)の合計含有量(mg/100mL)を除いた値を、紅茶ポリフェノール類の含有量(mg/100mL)として採用した。
(没食子酸量)
高速液体クロマトグラム(HPLC)を用い、検量線法によって没食子酸の含有量を測定した。
(pH)
pHメーターをpH標準溶液による校正を実施し、実施例及び比較例で得られた容器詰飲料(サンプル)をビーカーに採取し、pHメーターのガラス電極をサンプル中に挿入し、測定(機器の表示値を記録)した。
(透過率(T%)の測定)
透過率は「紫外可視分光光度計UV-1800(島津製作所)」を用いて、波長660nmを用いて純水をリファレンスとした際の透過率(T%)を測定した。
(固形量)
測定装置の温度を所定の温度に調整し、測定装置(屈折計)を校正し、実施例及び比較例で得られた容器詰飲料(サンプル)を測定装置のプリズム上に薄く塗布し、可溶性固形分(Bx、%)を測定した。
<実施例1>
紅茶(茶葉種類:ウバ、ダージリンを4:1で使用)20g及び非加熱果実由来成分として冷凍オレンジをミキサーで1分間粉砕した冷凍オレンジ粉砕物12g(ストレート換算)に純水1050mL(30倍)を加え、80℃で5分間抽出した。その際、1分毎に各15秒間ずつ撹拌しながら抽出し、抽出液を得た。
得られた抽出液を遠心分離を用いて微細濾過し、濾過して得られた抽出液に、ビタミンC(「VC」)3gを加えたほか、クエン酸、グラニュー糖を加え、pH5.0になるように重炭酸ナトリウムを加え、7000gになるように純水でメスアップした。
このように調合した紅茶飲料を、UHT殺菌機で136℃・30秒殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例2>
実施例1において、紅茶を24gに変更し、非加熱果実由来成分である冷凍オレンジ粉砕物を120gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例3>
実施例1において、紅茶を35gに変更し、非加熱果実由来成分である冷凍オレンジ粉砕物を150gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例4>
実施例1において、紅茶を40gに変更し、非加熱果実由来成分である冷凍オレンジ粉砕物を240gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例5>
実施例1において、紅茶を45gに変更し、非加熱果実由来成分である冷凍オレンジ粉砕物を805gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例6>
実施例1において、非加熱果実由来成分を冷凍りんご粉砕物6g及び冷凍もも粉砕物6gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例7>
実施例1において、非加熱果実由来成分を冷凍オレンジ粉砕物を8g及び冷凍レモン粉砕物8gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例8>
実施例3において、非加熱果実由来成分である冷凍オレンジ粉砕物を20gに変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例9>
実施例3において、非加熱果実由来成分を冷凍オレンジ粉砕物120g及び冷凍もも粉砕物35gに変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例10>
実施例5において、非加熱果実由来成分を冷凍オレンジ粉砕物を9g及び冷凍レモン粉砕物9gに変更した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例11>
実施例5において、非加熱果実由来成分を冷凍オレンジ粉砕物を700g及び冷凍レモン粉砕物100gに変更した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例12>
実施例3において、紅茶をウバのみに変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例13>
実施例3において、ウバとダージリンの使用割合を95:5に変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例14>
実施例3において、ウバとダージリンの使用割合を30:70に変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例15>
実施例3において、紅茶をウバとダージリンの使用割合を5:95に変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例16>
実施例3において、紅茶をウバとアッサムの使用割合を5:95に変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例17>
実施例3において、紅茶をウバとアッサムの使用割合を20:80に変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例18>
実施例3において、紅茶をウバとアッサムの使用割合を30:70に変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例19>
実施例3において、紅茶をアッサムのみに変更した以外は、実施例3と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<比較例1>
実施例1において、非加熱果実由来成分である冷凍オレンジ粉砕物を配合せず、濾過して得られた抽出液に、オレンジ濃縮混濁果汁10g(ストレート換算)を添加した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<比較例2>
実施例1において、紅茶を12gに変更し、抽出条件を78℃で5.5分間に変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<比較例3>
実施例5において、紅茶を50gに変更し、抽出条件を85℃で4.5分間に変更した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<比較例4>
実施例8において、非加熱果実由来成分を冷凍りんご粉砕物2g及び冷凍もも粉砕物4gに変更した以外は、実施例8と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
<比較例5>
実施例9において、非加熱果実由来成分を冷凍レモン粉砕物120gに変更した以外は、実施例9と同様にして容器詰飲料(サンプル)を得た。
(官能審査1)
実施例1~19及び比較例1~5で得られた容器詰飲料(サンプル)について、5人の審査官(パネラー)が、紅茶の香味の強さ、果実の香味の強さ、生の果実のような鮮度感の3項目について以下の基準で1~5の5段階で点数を付けた。
この際、従来の容器詰飲料に相当するサンプルを陰性対照(基準1)とする一方、ジューススタンドで提供されるフルーツティーに相当するサンプルを陽性対照(基準5)として各審査官(パネラー)が評価し、さらに5人の審査官(パネラー)の合議の結果、最も多かった評価を採用することとした。
なお、陰性対照品と陽性対照品は、以下のとおり調製した。
[陰性対照(従来の製法)]
紅茶(茶葉種類:ウバ)35gに、純水1050mL(30倍)を加え、80℃で5分間抽出した。その際、1分毎に各15秒間ずつ撹拌しながら抽出し、抽出液を得た。
得られた抽出液を遠心分離を用いて微細濾過し、濾過して得られた抽出液に、オレンジ濃縮透明果汁1.0g(ストレート換算)、ビタミンC(「VC」)3g、クエン酸4g、グラニュー糖50gを加え、pH3.8になるように重炭酸ナトリウムを加え、7000gになるように純水でメスアップした。
このように調合した紅茶飲料を、95℃達温まで加熱して殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、容器詰飲料(サンプル)を得た。
[陽性対照]
紅茶(茶葉種類:ウバ)2.5gに、純水125mL(50倍)を加え、95℃で2.5分間抽出した。その際、撹拌は行なわず蓋をして静置し、抽出液を得た。
得られた抽出液を5℃まで急冷した後、砂糖10g、手絞りのオレンジ果汁30mLを加え、冷水で250gになるようにメスアップした。
=紅茶の香味の強さ=
5:陽性対照よりも強く感じ、渋味もほとんどない、非常に良好。
4:陽性対照と同程度感じる、良好。
3:陽性対照よりは弱く感じるが、陰性対照よりは強く感じる。渋味は感じるが許容範囲。
2:陰性対照と同程度しか感じない、もしくは渋味が目立ち、あまり良くない。
1:陰性対照よりも弱く感じる、もしくは渋味が強く、良くない。
=果実の香味の強さ=
5:陽性対照よりも強く感じ非常に良好。
4:陽性対照と同程度感じる、良好。
3:陽性対照よりは弱く感じるが、陰性対照よりは強く感じ、許容範囲。
2:陰性対照と同程度しか感じない、あまり良くない。
1:陰性対照よりも弱く感じる良くない。
=生の果実のような鮮度感=
5:陽性対照よりも強く感じ、酸味も目立たない、非常に良好。
4:陽性対照と同程度感じ、酸味も感じるが弱く、良好。
3:陽性対照よりは弱く感じるが、陰性対照よりは強く感じる。酸味も感じるが許容範囲。
2:陰性対照と同程度しか感じない、もしくは酸味が目立ち、あまり良くない。
1:陰性対照よりも弱く感じる、もしくは酸味が強く、良くない。
=総合評価=
◎:合計点数が14~15点であり、非常に良好な紅茶飲料である。
○:合計点数が9~13点であり、良好な紅茶飲料である。
△:合計点数が6~8点であり、あまり良くない。
×:合計点数が5点以下であるか、評価に「1」がある。良くない。
Figure 0007381288000002
(官能審査2)
実施例3及び12~19で得られた容器詰飲料(サンプル)を3ヶ月間、25℃の暗室に保管し、保管後のサンプルを評価することによって、保管後の性状及び香味の保持性を検証した。5人の審査官(パネラー)が、紅茶の渋みの強さ、濁りの2項目について以下の基準で1~3の3段階で点数を付けた。
なお、コントロールとしては、実施例3及び12~19と同様のサンプルを、官能審査当日に再度製造したサンプルを採用した。
=紅茶の渋みの強さ=
3:コントロールと同等程度の適度な渋味を感じ、非常に良好。
2:コントロールよりも渋味をやや弱く感じるが、許容範囲。
1:コントロールよりも渋味をかなり弱く感じ、物足りない。
=濁り=
3:コントロールと同様に濁りが見られず、非常に良好。
2:わずかに濁りが見られるが、許容範囲。
1:容器底部にリング状の沈殿が見られ、問題あり。
=総合評価=
◎:合計点数が6点であり、加温後も非常に良好な紅茶飲料である。
○:合計点数が5点であり、加温後も良好な紅茶飲料である。
△:合計点数が4点以下であり、加温後の香味や性状は良好でない。
Figure 0007381288000003
実施例1~19で得た容器詰飲料(サンプル)はいずれも、タンニン類量に対するナトリウム(Na)含有量の比率(タンニン類/ナトリウム)が1.7未満であった。
(考察)
上記実施例及びこれまで本発明が行ってきた様々な試験結果から、紅茶液成分と非加熱果実由来成分とを含有する容器詰飲料に関しては、紅茶ポリフェノール類量が10.0~50.0mg/100gであって、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.20~0.95であれば、紅茶の香味の強さと果実の香味の強さをともに維持し、且つ、生の果実のような鮮度感を感じることができるようになることが分かった。
また、そのような容器詰飲料を製造するには、紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程において、紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することが好ましいことも分かった。

Claims (16)

  1. 紅茶液成分と非加熱果実由来成分を含有する容器詰飲料であって、
    前記非加熱果実由来成分が、冷凍果実、及び/又は、冷凍果実の抽出物又は粉砕粒又は濃縮物であり、
    紅茶ポリフェノール類量が10.0~50.0mg/100gであって、
    有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.20~0.95であることを特徴とする、容器詰飲料。
  2. 紅茶液成分と非加熱果実由来成分を含有する容器詰飲料であって、
    紅茶葉と非加熱果実由来成分とを一緒に抽出して得られた抽出液を含有し、
    紅茶ポリフェノール類量が10.0~50.0mg/100gであって、
    有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.20~0.95であることを特徴とする、容器詰飲料。
  3. 前記非加熱果実由来成分の含有量が10.0質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰飲料。
  4. 前記クエン酸量が5.0~110.0mg/100mlであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器詰飲料。
  5. 前記クエン酸量が59.0~100.0mg/100mlであることを特徴とする請求項請求項1~のいずれかに記載の容器詰飲料。
  6. エピ体カテキン類量が0.1~5.0mg/100mlであることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の容器詰飲料。
  7. 前記冷凍果実が、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、パイナップル、りんご、モモ、イチゴ、ぶどう、マスカット、ブルーベリー、ラズベリー、マンゴー及びキウイからなる群から選択される1種の冷凍果実又は2種以上の冷凍果実であることを特徴とする請求項1に記載の容器詰飲料。
  8. 紅茶葉と冷凍果実の破砕物とを一緒に抽出して得られた抽出液を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の容器詰飲料。
  9. 没食子酸量に対する紅茶ポリフェノール類量の比率(紅茶ポリフェノール/没食子酸)が7.0~350.0であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の容器詰飲料。
  10. 紅茶飲料又は果汁飲料であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の容器詰飲料。
  11. 非アルコール性飲料であることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の容器詰飲料。
  12. 紅茶液成分と果実成分を含有する容器詰飲料の製造方法であって、
    紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程を備え、
    前記非加熱果実由来成分が、冷凍果実、及び/又は、冷凍果実の抽出物又は粉砕粒又は濃縮物であり、
    紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の製造方法。
  13. 紅茶液成分と果実成分を含有する容器詰飲料の製造方法であって、
    紅茶葉と非加熱果実由来成分とを一緒に抽出して紅茶抽出液を得る抽出工程を備え、
    紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の製造方法。
  14. 前記紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を加える工程を備えた請求項12又は13に記載の容器詰飲料の製造方法。
  15. 紅茶抽出液に非加熱果実由来成分を配合する工程を備え、
    前記非加熱果実由来成分が、冷凍果実、及び/又は、冷凍果実の抽出物又は粉砕粒又は濃縮物であり、
    紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の果実感向上方法。
  16. 紅茶葉と非加熱果実由来成分とを一緒に抽出して紅茶抽出液を得る抽出工程を備え、
    紅茶ポリフェノール類量を10.0~50.0mg/100gに調整し、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.20~0.95に調整することを特徴とする容器詰飲料の果実感向上方法。
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