JP6849840B1 - 果実成分を含有する容器詰紅茶飲料の製造方法 - Google Patents

果実成分を含有する容器詰紅茶飲料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生果実の香味の強さ及び舌に残る果実の後味の強さが、従来の容器詰紅茶飲料(RTD)と比較して高評価が得られる容器詰紅茶飲料(RTD)を提供する。【解決手段】紅茶葉と果実とを合わせて一緒に抽出し、抽出液を得(抽出工程)、得られた抽出液に果汁を加え、飲料液を得(果汁添加工程)、前記飲料液を殺菌乃至容器充填することを特徴とする、容器詰紅茶飲料の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、紅茶抽出液と果実成分とを含有する容器詰紅茶飲料の製造方法に関する。
輪切りした柑橘果実を紅茶に浮かべて飲む飲み方は、日本国内外を問わず古くから親しまれてきたものであり、一般家庭では勿論、喫茶店などにおいて広く普及したフルーツティーの飲み方である。
ところが最近、このようなフルーツティーをテイクアウト式で提供する店舗(例えば、ジューススタンドのようなもの)が鉄道駅やデパートなどにおいて増加しており、特に女性を中心に広く人気を集めている。
しかしながら、このような飲み方、すなわち輪切りしたフルーツを紅茶に浮かべたような風合いのフルーツティーを工業的に提供する飲料、すなわち容器詰紅茶飲料(RTD)として再現することは技術的に極めて困難であった。
その理由は幾つかあり、その一つとして、工業製品としての容器詰紅茶飲料(RTD)は、一定程度の長期に亘っての保存を前提とするため加熱殺菌処理が法律上要請されるが、このような加熱殺菌処理をすると、加熱劣化や経時劣化を生じるため、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものと似ても似つかぬものとなってしまうことを挙げることができる。
このような問題を解決するために、工業的に容器詰紅茶飲料(RTD)を提供する企業は、香料等の副素材を用いるなどして、法律上要請される加熱殺菌処理をしながらも、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものに近しいものを提供しようと試みてきた。これにより、加熱殺菌処理による品質の変化は一定程度の制御が可能になったものの、一般家庭等では決して使用しない香料等の副素材を使用すること等により、一般家庭等で提供するものとは依然として似ても似つかぬもののままであった。
ところで、フルーツティーを工業的な容器詰紅茶飲料(RTD)として再現しようとする試みは、これまでに様々な形で為されている。
例えば、特許文献1には、果汁含有率が10wt%未満であっても、リンゴらしい酸味の付与と、後味のキレの向上が可能なリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物が開示されている。
特許文献2には、果汁を10〜90質量%含有する果汁入り容器詰紅茶飲料であって、テオガリンを10ppm〜24ppm含有し、且つカリウムの含有量に対するテオガリンの含有量の比率(テオガリン/K)が0.015〜0.100であることを特徴とする果汁入り容器詰紅茶飲料が開示されている。
特許文献3には、カフェインを0.001〜0.005質量%含有し、かつ、甘味料と果汁を含有する容器詰紅茶飲料であって、酸度が0.02〜0.08%の範囲にあり、かつ酸度が前記範囲にある時の糖度と酸度で表される甘辛度が1.50〜2.50の範囲にあることを特徴とする容器詰紅茶飲料が開示されている。
特許文献4には、マスカット、桃、オレンジ、ベルガモット、リンゴからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の果汁を含む容器詰非アルコール性果汁含有紅茶飲料であって、ブリックス値が0.4〜5.0であり、茶由来ポリフェノール類が10〜400ppmであり、且つ果汁由来ポリフェノール類が0.6〜150ppmであると共に、甘味料が添加されておらず、カフェイン含有量が100ppm以下であることを特徴とする容器詰非アルコール性果汁含有紅茶飲料が開示されている。
特開2011−152095公報 特開2011−155892号公報 特開2011−155891号公報 特許第5978466号公報
本発明は、紅茶抽出液と果実成分とを含有する容器詰紅茶飲料の製造方法に関して、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーを、容器詰紅茶飲料(RTD)の態様で提供することを志向したものである。より具体的には、生果実の香味の強さ、舌に残る果実の後味の強さが、従来の容器詰紅茶飲料(RTD)と比較して高評価が得られる容器詰紅茶飲料(RTD)を製造することを第一の目的とする。
また、本発明は、生果実の香味の強さ、舌に残る果実の後味の強さにおいて高評価を得たものの中でも、さらに加温保管後における果実の香味の保持性及び沈殿の抑制の点で優れた評価を得ることができる容器詰紅茶飲料(RTD)を製造することを第二の目的とする。
本発明は、紅茶抽出液と果実成分とを含有する容器詰紅茶飲料の製造方法において、紅茶葉と果実とを合わせて一緒に抽出して抽出液を得、得られた抽出液に果汁を加えて飲料液を得、前記飲料液を殺菌乃至容器充填することを特徴とする容器詰紅茶飲料の製造方法を提案する。
本発明が提案する製造方法によれば、生果実の香味の強さ、及び舌に残る果実の後味の強さの点が、従来の容器詰紅茶飲料(RTD)と比較して高評価が得られる容器詰紅茶飲料(RTD)を製造することができる。よって、本発明が提案する製造方法によれば、容器詰紅茶飲料(RTD)でありながらも、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーらしさが感じられる、これまでにない容器詰紅茶飲料(RTD)を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態の一例について説明する。但し、本発明の技術的範囲が、下記実施の形態の一例に制限されるものでない。
<容器詰紅茶飲料>
本発明の容器詰紅茶飲料(「本容器詰紅茶飲料」とも称する)は、紅茶液成分と果実成分とを少なくとも含有するものである。
ここで、当該容器詰紅茶飲料は、該飲料を容器詰めして法令等により要請される加熱殺菌処理をしたものをいう。
本発明の容器詰紅茶飲料は、工業製品であって市場流通できるものであり、一定期間の保管期間(いわゆる賞味期間)が担保されたものである。したがって、本発明の容器詰紅茶飲料は、家庭や飲食店等で調製して直ちに飲用する飲料とは技術的及び産業的に性質を異にするものである(例えば、『最新・ソフトドリンクス』,全国清涼飲料工業会他監修,光琳,2003年を参照)。
また、容器詰紅茶飲料は、法令等の要請により容器やラベル等の包装材に品名を記載する必要がある。本発明の容器詰紅茶飲料の品名は、特に限定されるものではない。但し、紅茶液成分と果実成分とを少なくとも含有するものであるから、紅茶飲料、果汁飲料、果汁入り飲料、清涼飲料等であってよい。
また、本発明の容器詰紅茶飲料は、開栓したら希釈せずそのまま飲用できる態様(所謂シングルストレングス)であるのが好ましい。
本発明における容器詰紅茶飲料は、にごりを有する飲料であってもよい。
この際、「にごり」とは、内容液が濁っており、透明でないことをいい、具体的には容器に充填後の内容液を、純水をリファレンスとした場合の660nmにおける透過率(T%)を測定した際の数値が90%以下の状態をいう。
(紅茶液成分)
本発明において「紅茶液成分」とは、紅茶葉由来の成分の意味である。
当該「紅茶液成分」としては、例えば、紅茶葉を抽出して得られる液(紅茶葉抽出液)や、紅茶葉抽出液を濃縮して得られる濃縮液(紅茶葉濃縮液)や、紅茶葉抽出液を乾燥して得られる乾燥物(紅茶葉乾燥物)や、紅茶葉濃縮液を乾燥して得られる乾燥物(紅茶葉濃縮乾燥物)などを挙げることができる。必要に応じて、これらの1種又は2種以上であってもよい。
また、これら「紅茶液成分」を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択して実施してよい。
前述の紅茶葉としては、一般に紅茶飲料に使用されている紅茶葉、すなわち、生茶葉を発酵させ、必要に応じて製茶して得られる茶葉を用いることができる。
紅茶葉の茶期、産地、品種、等級、および発酵条件などは特に限定するものではない。例えば中国種(var.sinensis)であっても、アッサム種(var.assamica)であっても、2種以上の茶葉をブレンドしたものでもよい。
容器詰紅茶飲料が紅茶液成分を含むか否かは、容器やラベル等の包装材に記載された品名、原材料名、その他の記載事項で判断することができる。かかる事項は、製品に記載された情報のみならず、書籍、新聞、インターネット情報などで代替できる。
また、これらに加えて、紅茶液に通常含まれる各種成分、例えばテアフラビン、テアルビジン、タンニンなどが分析等により検出できるかにより判断することもできる。
通常の紅茶液は、テアフラビン、テアルビジン、プロアントシアニジンポリマー、テアニン及びカフェインを含んでいるから、これらの成分を含んでいるか否かを判断すれば、さらに確実に判断することができる。後述する実施例で調製した容器詰紅茶飲料はいずれも、これらの成分を含んでいるものであった。
(果実成分)
本発明において「果実成分」とは、果実に由来する成分を意味するものである。
当該「果実成分」としては、例えば、果実を抽出、搾汁、粉砕などの加工したものの一部又は全部などを挙げることができる(以下、これらを総称して「果実抽出物」ともいう)。必要に応じて、これらの1種又は2種以上であってもよい。
なお、果実抽出物を濃縮処理や乾燥処理などをしたもの(果実濃縮物、果実乾燥物)を、果実抽出物に代えて又は果実抽出物と併用してもよく、これらはいずれも本発明における「果実成分」に該当する。
前記果実抽出物や果実濃縮物の態様は、液体と固体のいずれでもよく、両者を併用することもできる。
果実抽出物等に由来する果実は、青果、青果を冷凍したもの、青果を乾燥したもののいずれか又はこれらを組み合わせて用いることができる。特に好ましくは、青果、青果を冷凍したものであって、具体的には40℃以上に加熱処理されていない果物を抽出、搾汁若しくは粉砕して得られた成分であることが好ましく、果肉片などの固体であっても、果汁などの液体であってもよい。但し、容器詰とする際に行われる加熱殺菌による加熱は前記加熱処理に含まれない。
本発明の容器詰紅茶飲料を規定する条件を満たす限りにおいて、果実成分に係る果実種は特に限定されるものではない。例えば、該果実種としては、オレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。
容器詰紅茶飲料が果実成分を含むか否かは、容器やラベル等の包装材に記載された品名、原材料名、その他の記載事項で判断することができる。かかる事項は、製品に記載された情報のみならず、書籍、新聞、インターネット情報などで代替できる。
また、これらに加えて、果実に通常含まれる各種成分、例えばクエン酸、有機酸などが分析等により検出できるかにより判断することもできる。
なお、本発明の容器詰紅茶飲料は、食品に香りや味の一部を付与する食品添加物(フレーバー)の使用を排除するものではない。しかしながら、消費者における添加物を忌避する昨今の傾向から、このような食品添加物(フレーバー)を使用しないのが好ましい。
<本容器詰紅茶飲料の製造方法>
本容器詰紅茶飲料の好ましい製造方法(「本発明の製造方法」と称する)として、紅茶葉と果実とを合わせて一緒に抽出して抽出液を得(この処理を「抽出工程」と称する)、得られた抽出液に果汁を加えて飲料液を得(この処理を「果汁添加工程」と称する)、さらに必要に応じて添加成分を加え(この処理を「調合工程」と称する)、そして殺菌乃至容器充填する(この処理を「殺菌乃至容器充填工程」と称する)ことを特徴とする容器詰紅茶飲料の製造方法を挙げることができる。
(原料)
前述の紅茶葉としては、一般に紅茶飲料に使用されている紅茶葉、すなわち、生茶葉を発酵させ、必要に応じて製茶して得られる茶葉を用いることができる。
紅茶葉の茶期、産地、品種、等級、および発酵条件などは特に限定するものではない。例えば中国種(var.sinensis)であっても、アッサム種(var.assamica)であっても、2種以上の茶葉をブレンドしたものでもよい。
紅茶葉と合わせて一緒に抽出する果実の果実種は、特に限定するものではない。例えばオレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。
中でも、生果実の香味の強さ、舌に残る果実の後味の強さの観点から、柑橘類、リンゴ及びモモから選択される1種以上の果実(まとめて「柑橘類・リンゴ・モモ」と称する)が好ましい。メカニズムは明らかでないものの、紅茶葉と柑橘類・リンゴ・モモとを一緒に抽出することによって、紅茶葉の成分と、果実の成分とが低温、酸性下で反応、結合することによって、舌触りを高めることができる。
柑橘類としては、例えばオレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。但し、これらに限定するものではない。
紅茶葉と合わせて一緒に抽出する果実は、加熱処理されていない果実(「生果実」とも称する)であるのが好ましい。
ここで、「加熱処理されていない果実」とは、品温が40℃以上となるような加熱処理を経ていない果実の意味である。
紅茶葉と合わせて一緒に抽出する果実は、生果実そのものであっても、生果実を冷凍したものであっても、生果実を乾燥したものであってもよく、これらのいずれか又はこれらを組み合わせて用いることができる。
紅茶葉と合わせて一緒に抽出する果実は、生果実を切断乃至粉砕したものが特に好ましい。
また、「果実を切断乃至粉砕したもの」とは、果実内部が露出した状態の果実の意味である。例えば、果実そのもののほか、皮付きの果実を裁断、粉砕、搾汁などの加工を施して得られたもの、皮を除いた果実を裁断、粉砕、搾汁などの加工を施して得られたものを包含する。
「果実を切断乃至粉砕したもの」として、好ましくは、果実をスライスしたものを挙げることができる。具体的には、柑橘類・リンゴ・モモを裁断したスライスやダイス等を挙げることができる。
紅茶葉と上記果実との配合割合に関しては、紅茶葉100質量部に対して果実を1.0〜5.0質量部の割合で配合するのが好ましく、中でも1.5質量部以上或いは4.0質量部以下、その中でも2.0質量部以上或いは3.0質量部以下の割合で配合するのがさらに好ましい。
(抽出工程)
本発明の製造方法では、紅茶葉と果実とを合わせて一緒に抽出するのが好ましい。
但し、果実を抽出した抽出液中に紅茶葉を添加し、果実抽出液中で紅茶を抽出してもよい。また、紅茶を抽出した抽出液中に果実を添加し、紅茶抽出液中で果実を抽出してもよい。
紅茶葉(「原料茶」とも称する)及び果実の抽出は、例えば、常法に従ってニーダーと呼ばれる抽出装置を用いて、原料茶に対して5〜100倍量、10〜100℃の湯水で約1分〜40分間、必要に応じて1回〜数回攪拌して、常圧で抽出を行えばよい。適度な香味を維持しつつ、液色変化抑制を図る観点によると、10〜90℃、特に20〜80℃、中でも30〜70℃、中でも60℃以下、その中でも50℃以下で抽出を行うのが好ましい。
但し、抽出方法及び抽出条件等を特に限定するものではなく、例えば加圧抽出を行うこともできる。
抽出に用いる湯水は、純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水などのほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調製水等を例示することができる。
湯水にアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。
抽出後の固液分離は、濾過や遠心分離等により行い、紅茶葉を除去して抽出液を得るようにすればよい。例えばステンレスフィルターやネル布、ストレーナー、その他抽出残渣を除去するために現在採用されている濾過方法を任意に採用することができる。
また、必要に応じて、さらに遠心分離や珪藻土濾過を行ってもよい。またこれらの個液分離によって、容器詰紅茶飲料の透過率(T%)を調整することもできる。
また、得られる抽出液のpHを必要に応じて酸性領域に調整し、中でもpHを4.0〜6.0、中でも4.2以上或いは5.5以下、その中でも4.5以上或いは5.0以下に調整すると共に、18℃以下、その中でも10℃以下、さらにその中でも5℃以下に冷却することによって、強制的にクリームダウンを発生させることができ、にごりを強くすることができる。これによって、飲料液の透過率(T%)が低下すると共に、飲料液の舌触りを高めることができる。この傾向は、紅茶葉と果実とを合わせて一緒に抽出する果実として、柑橘類・リンゴ・モモを用いた場合に顕著であり、中でも柑橘類を用いた場合に特に顕著である。
得られる抽出液のpHは、抽出に用いる果実の種類と量によって調整することができる。
また、抽出液のpHの調整は、アスコルビン酸(ビタミンC)などの公知のpH調整剤を添加することで調整することができる。
(果汁添加工程)
上記抽出工程で得られた抽出液に、1種又は2種以上の果汁を加えて飲料液を調製するのが好ましい。
ここで、「果汁」とは、果物を搾汁等の加工をすることにより得られる液体成分を意味する。例えば、果物を適当な大ききに破砕し、当該破砕物を搾汁することにより、果汁を得ることができる。果汁は特に限定されず、濃縮や希釈などの処理が行われていないストレート果汁、ストレート果汁に加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き濃度を高めた濃縮果汁、濃縮果汁を水等で希釈したもの(例えば計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように希釈した濃縮還元果汁)を挙げることができる。
前記果汁における果実の種類は特に限定するものではない。例えばオレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。なお、使用する果汁は、1種類であってもよいし、また、2種以上を組み合わせて添加してもよい。
また、前記柑橘類における果実の種類と、果汁における果実の種類は同じあっても、異なるものであってもよい。
また、皮付きの上記果実(生果実)を搾汁して得た果汁、中でも皮付きの柑橘類の生果実を搾汁して得た果汁を前記抽出液に加えるようにしてもよい。
本容器詰紅茶飲料の製造方法の具体的な一態様として、例えば、生果実のスライス、例えば柑橘類・リンゴ・モモのスライスを紅茶葉と一緒に抽出し、皮まで丸ごと搾った生果汁すなわち皮付き生果実、例えば柑橘類・リンゴ・モモをそのまま搾汁して得られた果汁を加えることによる製法を挙げることができる。この製法においては、香料を使用しないことが好ましい。
抽出液に加える果汁量は、特に限定されるものではない。紅茶と果実の香味保持性(バランス)を考慮すると、飲料全体に対して30質量%以下が好ましく、中でも20質量%以下が好ましく、その中でも10質量%以下が好ましく、さらにその中でも5質量%以下が好ましく、1質量%以下であるのが最も好ましい。
(調合工程)
前記果汁添加工程で調製した飲料液に、必要に応じて、例えば甘味料、酸味料、酒石酸やその他の配合物、例えば水(純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上の組み合わせを添加し、主にpH調整、濃度調整、味の調整を行うようにすればよい。
(殺菌乃至容器充填工程)
上記のように調製した飲料液は、常法によって殺菌乃至容器詰めするのが好ましい。充填容器としては、金属製の缶、紙製パック、プラスチックボトル(PETボトル)などを挙げることができる。この際、例えばプラスチック容器を用いる場合は、25℃、湿度55%RHにおける容器の酸素透過量(cc/Day/500mLボトル)が、0.01〜0.10であるのが好ましく、中でも0.015以上或いは0.08以下、その中でも0.02以上或いは0.06以下であるのが更に好ましい。
また、近年、容器詰飲料は、LED照明下で販売されていることが多く、光照射による沈殿や液色の変化といった劣化の促進が問題になっていることから、容器上部に光を散乱させる構造を有するPETボトルを採用することが特に好ましい。
殺菌方法及び充填方法に関しては、具体的には、例えば缶詰飲料であれば、容器充填後に加熱殺菌、例えばレトルト殺菌、例えば、適宜加圧下(1.2kg/cm2など)、121℃で7分間加熱殺菌すればよい。PETボトル詰飲料であれば、UHT殺菌、例えば120〜150℃で1秒〜数十秒保持した後、容器充填を行うようにすればよい。
<本容器詰紅茶飲料>
上述した本発明の製造方法によって、次のような容器詰紅茶飲料(「本容器詰紅茶飲料」と称する)を製造することができる。
(紅茶ポリフェノール類)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料における紅茶ポリフェノール類を10.0〜45.0mg/100mLに調整することができる。
本容器詰紅茶飲料における紅茶ポリフェノールの含有量が10.0〜45.0mg/100mLの範囲内であると、容器詰紅茶飲料における紅茶の香味の強さを良好とすることができる。かかる観点から、中でも12.0mg/100mL以上、その中でも16.0mg/100mL以上、さらにその中でも20.0mg/100mL以上であるのが好ましい。また、同様の理由から、中でも42.0mg/100mL以下、その中でも38.0mg/100mL以下、さらにその中でも35.0mg/100mL以下であるのが好ましい。
本容器詰紅茶飲料における紅茶ポリフェノール類の含有量は、本発明の製造方法において、例えば紅茶液成分の量、すなわち紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を選択し、それぞれの使用割合を適宜調整することにより調整することができる。
また、紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択し、それぞれの条件を調整することによっても、タンニン含有量を調整することができる。さらには、市販のタンニン製剤を併用してその量を調整することでも、タンニン含有量を調整することができる。
なお、本発明における紅茶ポリフェノール類の含有量とは、発酵茶に含まれる縮合型タンニン(単に「タンニン」とも称する)の含有量から、カテキン類8種の合計含有量を除いた値である。
タンニンとは、発酵茶に含まれる縮合型タンニンの量であり、その含有量は酒石酸鉄法(茶業研究報告71(1990)43-74)により測定することができる。
またカテキン類8種とは、発酵茶に含まれるカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの8種カテキン類を総称したものをいい、その含有量は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置を用いて算出することができる。
(有機酸類)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料における有機酸類の含有量を1.0mg/100mL〜95.0mg/100mLに調整することができる。
本容器詰紅茶飲料における有機酸類含有量がこの範囲であると、容器詰紅茶飲料おける酸味の強さを良好に感じることができる。かかる観点から、中でも2.0mg/100mL以上或いは90.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも3.0mg/100mL以上或いは70.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも5.0mg/100mL以上或いは50.0mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
なお、本発明における有機酸類含有量とは、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の総量である。
本発明の製造方法において、本容器詰紅茶飲料の有機酸類含有量を上記範囲に調整するには、抽出する果実の果実種とその量、抽出液に加える果汁の種類と量などを調整することにより、調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
(クエン酸)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料におけるクエン酸の含有量を2.0mg/100mL〜80.0mg/100mLに調整することができる。
本容器詰紅茶飲料におけるクエン酸含有量がこの範囲であると、容器詰紅茶飲料おける酸味の強さを良好に感じることができる。かかる観点から、中でも2.8mg/100mL以上或いは75.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも.5.0mg/100mL以上或いは70.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも8.9mg/100mL以上或いは15.6mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
本発明の製造方法において、本容器詰紅茶飲料のクエン酸含有量を上記範囲に調整するには、抽出する果実の果実種とその量、抽出液に加える果汁の種類と量などを調整することにより、調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
(リンゴ酸)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料におけるリンゴ酸の含有量を1.0mg/100mL〜50.0mg/100mLに調整することができる。
本容器詰紅茶飲料におけるリンゴ酸含有量がこの範囲であると、容器詰紅茶飲料おける酸味の強さを良好に感じることができる。かかる観点から、中でも2.0mg/100mL以上或いは45.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも.3.0mg/100mL以上或いは40.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも5.0mg/100mL以上或いは30.0mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
本発明の製造方法において、本容器詰紅茶飲料のリンゴ酸含有量を上記範囲に調整するには、抽出する果実の果実種とその量、抽出液に加える果汁の種類と量などを調整することにより、調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
(紅茶ポリフェノール類/有機酸類)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料における、クエン酸に対する紅茶ポリフェノール類の含有比率(紅茶ポリフェノール類/有機酸類)を、0.10〜15.00に調整することができる。
本容器詰紅茶飲料における当該含有比率(紅茶ポリフェノール類/有機酸類)がこの範囲であると、容器詰紅茶飲料において柑橘類果実由来の酸味による後味のキレが良好となる。
かかる観点から、中でも0.50以上、その中でも0.80以上、さらにその中でも1.00以上であるのが好ましい。また、同様の理由から、中でも8.00以下、その中でも6.00以下、さらにその中でも4.00以下であるのが好ましい。
(紅茶ポリフェノール類/クエン酸)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料における、クエン酸に対する紅茶ポリフェノール類の含有比率(紅茶ポリフェノール類/クエン酸)を、0.35〜10.00に調整することができる。
本容器詰紅茶飲料における当該含有比率(紅茶ポリフェノール類/クエン酸)がこの範囲であると、容器詰紅茶飲料において柑橘類果実由来の酸味による後味のキレが良好となる。
かかる観点から、中でも0.50以上、その中でも0.80以上、さらにその中でも1.00以上であるのが好ましい。また、同様の理由から、中でも8.00以下、その中でも6.00以下、さらにその中でも4.00以下であるのが好ましい。
(紅茶ポリフェノール類/リンゴ酸)
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料における、クエン酸に対する紅茶ポリフェノール類の含有比率(紅茶ポリフェノール類/リンゴ酸)を、0.10〜9.00に調整することができる。
本容器詰紅茶飲料における当該含有比率(紅茶ポリフェノール類/リンゴ酸)がこの範囲であると、容器詰紅茶飲料において柑橘類果実由来の酸味による後味のキレが良好となる。
かかる観点から、中でも0.50以上、その中でも0.80以上、さらにその中でも1.00以上であるのが好ましい。また、同様の理由から、中でも8.00以下、その中でも6.00以下、さらにその中でも4.00以下であるのが好ましい。
本発明の製造方法において、本容器詰紅茶飲料における、有機酸に対する紅茶ポリフェノール類の含有比率(紅茶ポリフェノール類/有機酸)、クエン酸に対する紅茶ポリフェノール類の含有比率(紅茶ポリフェノール類/クエン酸)、及びリンゴ酸に対する紅茶ポリフェノール類の含有比率(紅茶ポリフェノール類/リンゴ酸)を上記範囲に調整するには、上述した紅茶ポリフェノール類の調整方法と、有機酸、クエン酸、リンゴ酸の調整方法とを併用すればよい。
(透過率(T%))
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料の透過率(T%)を45.0%〜90.0%に調整することができる。
本容器詰紅茶飲料の透過率(T%)をこの範囲とすることで、にごりの強さが良好となり、また飲用した際の舌触りが増強されることによって、濃度感の向上にも寄与する。
かかる観点から、本容器詰紅茶飲料の透過率(T%)は、中でも50.0%以上、その中でも55.0%以上であることが好ましく、さらにその中でも58.0%以下であるのがより好ましい。また同様の理由から、中でも88.0%以下、その中でも85.0%以下であることが好ましく、さらにその中でも80.0%以下であるのがより好ましい。
本発明の製造方法によって、本容器詰紅茶飲料の透過率(T%)を調整するには、例えば、紅茶葉や果実の種類及びその抽出条件、配合量、濾過条件や、調合時における紅茶葉粉末の添加量、柑橘果実粉砕物の添加量、混濁柑橘果汁の添加量などによって調整することができる。中でも、抽出する果実の果実種とその量、抽出液のpH,抽出液の冷却条件などによって有効に調整することができる。
(粒子径)
本発明の製造方法によれば、本容器詰紅茶飲料が、1μm〜100μmの粒子径の範囲にある粒子を、総粒子に対して体積基準で30.0〜90.0%含有するように調整することができる。
本容器詰紅茶飲料がこのような粒子を含有することで、舌に残る果実の後味の強さを高めることができるばかりか、加温保管した際に、沈殿の発生を抑制することができる。
かかる観点から、1μm〜100μmの粒子径の範囲にある粒子の割合は、35.0%以上或いは85.0%以下であるのがさらに好ましく、その中でも40.0%以上或いは80.0%以下であるのが特に好ましい。
本容器詰紅茶飲料において粒子径、特に1μm〜100μm粒子径の割合は、抽出する果実の果実種及びその量、抽出条件や抽出後の冷却温度、濾過条件、添加する果汁の種類及び量などの調整により、調整することができる。抽出条件を強めたり、冷却温度を低下させたり、濾過条件を弱めると、1〜100μmの粒子径である粒子は増える傾向にある。
なお、粒子径の測定方法としては、レーザ回析式粒度分布測定装置等により測定することができ、例えばSHIMADZU SALD−2300(島津製作所社製)などによって測定する方法を挙げることができる。
(pH)
本容器詰紅茶飲料は、そのpHが4.0以上7.0未満であれば、紅茶本来の風味が余韻に感じられるため、好ましい。
かかる観点から、本容器詰紅茶飲料のpHは4.0以上であるのが好ましく、中でも4.3以上、その中でも4.5以上であるのがさらに好ましく、他方、7.0未満であるのが好ましく、中でも6.5以下、その中でも6.0以下であるのがさらに好ましい。
容器詰紅茶飲料のpHは、市販のpH測定器を用いることにより測定できる。
容器詰紅茶飲料のpHを前記範囲に調整する手段としては、果汁の使用量もしくはpH調整剤の使用量の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
[各種物性の測定]
実施例及び比較例で調製した容器詰緑茶飲料(サンプル)の各物性値は次のように測定した。
(紅茶ポリフェノール類)
酒石酸鉄法(茶業研究報告71(1990)43-74)で得られたタンニン含有量(mg/100mL)から、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置を用いて算出したカテキン類8種(カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート)の合計含有量(mg/100mL)を除いた値を、紅茶ポリフェノール類の含有量(mg/100mL)として採用した。
(クエン酸含有量・有機酸含有量)
LC−10ADvp(株式会社 島津製作所)を用いて、HPLC法に基づいてクエン酸及びその他の有機酸(リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸)の含有量(mg/100mL)を測定した。なお、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の合計含有量を有機酸の含有量(有機酸量)とした。
(紅茶ポリフェノール/有機酸)
上述の測定方法で得られた紅茶ポリフェノール類含有量(mg/100mL)を有機酸含有量(mg/100mL)で除した値を算出した。
(透過率(T%)の測定)
透過率は「紫外可視分光光度計UV−1800(島津製作所)」を用いて、波長660nmを用いて純水をリファレンスとした際の透過率(T%)を測定した。
(pH)
pHメーターをpH標準溶液による校正を実施し、実施例及び比較例で得られた抽出液又は容器詰紅茶飲料(サンプル)をビーカーに採取し、pHメーターのガラス電極をサンプル中に挿入し、測定(機器の表示値を記録)した。
(Brix)
測定装置の温度を所定の温度に調整し、測定装置(屈折計)を校正し、実施例及び比較例で得られた容器詰紅茶飲料(サンプル)を測定装置のプリズム上に薄く塗布し、可溶性Brix(%)を測定した。
(粒子径)
レーザ回析式粒度分布測定装置(SHIMADZU SALD−2300、島津製作所社製、WingSALDII,Version3.1.1)によって、実施例及び比較例で得られた容器詰紅茶飲料(サンプル)に含まれる粒子の総粒子の粒子径及び粒度分布を測定した(体積基準)。そして、総粒子の粒子径及び粒度分布から、総粒子全体に対する、粒子径10〜100μmである粒子の割合(10〜100μmの粒子割合)を求めた。
なお、本発明においては、屈折率1.65−0.02iにて測定した数値を採用した。
<実施例1>
紅茶葉(茶葉種類:ウバ、ダージリンを4:1で使用)26gに、皮付きオレンジスライス(厚さ1〜10mm)2gを加え、さらに純水1050mL(30倍)を加え、80℃で5分間抽出した。その際、1分毎に各15秒間ずつ撹拌しながら抽出し、抽出液を得た。
得られた抽出液(pH4.98)を20℃まで冷却した後、遠心分離機(ウエストファリア社製SA1連続遠心分離機)を用いて流速480L/hr、回転数10000rpm、遠心沈降面積(Σ)1000m2で微細濾過し、濾過して得られた抽出液に、コミニュティッドオレンジ果汁100g(ストレート換算)、ビタミンC(「VC」)3gを加えたほか、クエン酸、グラニュー糖を加え、pH5.15になるように重炭酸ナトリウムを加え、7000gになるように純水でメスアップした。
このように調合した紅茶飲料を、UHT殺菌機で136℃・30秒殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例2>
実施例1において、皮付きオレンジスライスを皮付きグレープフルーツに変更し、コミニュティッドオレンジ果汁をコミニュティッドグレープフルーツ果汁に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例3>
実施例1において、コミニュティッドオレンジ果汁をオレンジ濃縮果汁に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例4>
実施例1において、皮付きオレンジスライスを皮付きレモンに変更し、コミニュティッドオレンジ果汁をコミニュティッドレモン果汁に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例5>
実施例1において、皮付きオレンジスライスをリンゴダイスに変更し、コミニュティッドオレンジ果汁を濃縮リンゴ混濁果汁に変更し、飲料のpHを4.10に調整した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例6>
実施例1において、皮付きオレンジスライスをモモスライスに変更し、コミニュティッドオレンジ果汁を濃縮白桃果汁に変更し、飲料のpHを4.10に調整した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例7>
実施例1において、紅茶葉を20g使用した以外は、実施例1と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例8>
実施例2において、紅茶葉を20g使用した以外は、実施例2と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例9>
実施例3において、紅茶葉を20g使用した以外は、実施例3と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例10>
実施例4において、紅茶葉を20g使用した以外は、実施例4と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例11>
実施例5において、紅茶葉を20g使用した以外は、実施例5と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例12>
実施例6において、紅茶葉を20g使用した以外は、実施例6と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例13>
実施例1において、紅茶葉を35g使用した以外は、実施例1と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例14>
実施例2において、紅茶葉を35g使用した以外は、実施例2と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例15>
実施例3において、紅茶葉を35g使用した以外は、実施例3と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例16>
実施例4において、紅茶葉を35g使用した以外は、実施例4と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例17>
実施例5において、紅茶葉を35g使用した以外は、実施例5と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<実施例18>
実施例6において、紅茶葉を35g使用した以外は、実施例6と同様にして容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<比較例1>
実施例1において、皮付きオレンジスライスを加えず抽出し、コミニュティッドオレンジ果汁をオレンジ混濁果汁に変更し、飲料のpHを3.70に調整した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<比較例2>
実施例1において、皮付きオレンジスライスを加えず抽出し、飲料のpHを3.70に調整した以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<比較例3>
実施例1において、紅茶葉と皮付きオレンジスライスとを別々に抽出した後に、得られた各抽出液を混合して抽出液を得た以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
<比較例4>
実施例1において、コミニュティッドオレンジ果汁を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
(官能審査1)
実施例1〜18及び比較例1〜4で得られた容器詰紅茶飲料(サンプル)について、5人の審査官(パネラー)が、生果実の香味の強さ及び舌に残る果実の後味の強さの2項目について以下の基準で1〜5の5段階で点数を付けた。
この際、従来の容器詰紅茶飲料に相当するサンプルを陰性対照(基準1)とする一方、ジューススタンドで提供されるフルーツティーに相当するサンプルを陽性対照(基準5)として各審査官(パネラー)が評価し、さらに5人の審査官(パネラー)の合議の結果、最も多かった評価を採用することとした。
なお、陰性対照品と陽性対照品は、以下のとおり調製した。
[陰性対照(従来の製法)]
紅茶(茶葉種類:ウバ)35gに、純水1050mL(30倍)を加え、80℃で5分間抽出した。その際、1分毎に各15秒間ずつ撹拌しながら抽出し、抽出済液を得た。
得られた抽出液を20℃まで冷却した後、遠心分離を用いて微細濾過し、濾過して得られた抽出液に、オレンジ濃縮透明果汁1.0g(ストレート換算)、ビタミンC(「VC」)3g、クエン酸4g、グラニュー糖50gを加え、pH3.8になるように重炭酸ナトリウムを加え、7000gになるように純水でメスアップした。
このように調合した紅茶飲料を、95℃達温まで加熱して殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、容器詰紅茶飲料(サンプル)を得た。
なお、サンプルの果汁種に合わせて、グレープフルーツ透明果汁、レモン透明果汁、リンゴ透明果汁及びモモ透明果汁を選択して配合した。
[陽性対照(ジューススタンド)]
紅茶(茶葉種類:ウバ)2.5gに、純水125mL(50倍)を加え、95℃で2.5分間抽出した。その際、撹拌は行なわず蓋をして静置し、抽出済液を得た。
得られた抽出液を5℃まで急冷した後、砂糖10g、手絞りのオレンジ果汁30mLを加え、冷水で250gになるようにメスアップした。
なお、サンプルの果汁種に合わせて、手絞りのグレープフルーツ果汁、手絞りのレモン果汁、手絞りのリンゴ果汁及び手絞りのモモ果汁を選択して配合した。
=生果実の香味の強さ=
5:陽性対照よりも強く感じ、非常に良好。
4:陽性対照と同程度感じる、良好。
3:陽性対照よりは弱く感じるが、陰性対照よりは強く感じる。許容範囲。
2:陰性対照と同程度しか感じない、もしくは酸味が目立ち、あまり良くない。
1:陰性対照よりも弱く感じる、もしくは酸味が強く、良くない。
=舌に残る果実の後味の強さ=
5:陽性対照よりも強く感じ、非常に良好。
4:陽性対照と同程度感じ、良好。
3:陽性対照よりは弱く感じるが、陰性対照よりは強く感じる、許容範囲。
2:陰性対照と同程度しか感じない、あまり良くない。
1:陰性対照よりも弱く感じ、良くない。
=総合評価=
◎:合計点数が9〜10点であり、非常に良好なにごり紅茶飲料である。
○:合計点数が6〜8点であり、良好なにごり紅茶飲料である。
△:合計点数が4〜5点であり、あまり良くない。
×:合計点数が3点以下であるか、評価に「1」がある。良くない。
(官能審査2)
実施例1〜18で得られた容器詰紅茶飲料(サンプル)を、37℃の暗室に4週間保管し、経時後のサンプルを評価することによって、保管後の香味を検証した。5人の審査官(パネラー)が、果実と紅茶の香味保持性及び沈殿の抑制の2項目について以下の基準で1〜3の3段階で点数を付け、最も多かった評価を採用することとした。
なお、コントロールとしては、実施例1〜18と同様のサンプルを、5℃の冷蔵庫で同期間保管したサンプルを採用した。
=果実と紅茶の香味の保持性=
3:コントロールと同程度感じる、良好。
2:コントロールよりは弱く感じるが、許容範囲。
1:コントロールよりも弱く感じ、さらに劣化した香味も感じる、あまり良くない。
=沈殿の抑制=
3:コントロールと同様に沈殿はわずかであり、良好。
2:コントロールよりは沈殿は多いが、許容範囲。
1:容器底部にリング状の沈殿が発生しており、あまり良くない。
=総合評価=
◎:合計点数が6点であり、経時的に非常に良好な紅茶飲料である。
○:合計点数が5点であり、経時的に良好な紅茶飲料である。
△:合計点数が5点以下であるか、「1」の評価があり、経時的にあまり良くない。
Figure 0006849840
Figure 0006849840
(考察)
上記実施例及びこれまで本発明が行ってきた様々な試験結果から、紅茶葉と果実とを合わせて一緒に抽出し、抽出液を得(抽出工程)、得られた抽出液に果汁を加え、飲料液を得(果汁添加工程)、前記飲料液を殺菌乃至容器充填することによって、生果実の香味の強さ及び舌に残る果実の後味の強さが、従来の容器詰紅茶飲料(RTD)と比較して高評価が得られ、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーらしさが感じられることが分かった。
さらに、紅茶ポリフェノールの含有量、及び、有機酸含有量に対する紅茶ポリフェノール含有量の比率(紅茶ポリフェノール/有機酸)を調整することにより、加温保管後における果実の香味の保持性及び沈殿の抑制の点で、より優れた評価を得ることができるようになることが分かった。

Claims (6)

  1. 紅茶抽出液と果実成分とを含有する容器詰紅茶飲料の製造方法において、紅茶葉と果実とを合わせて一緒に30〜100℃の湯水で抽出して抽出液を得、得られた抽出液に果汁を加えて飲料液を得、前記飲料液を殺菌乃至容器充填することを特徴とする容器詰紅茶飲料の製造方法。
  2. 前記果実が、柑橘類、リンゴ及びモモから選択される1種以上の果実であることを特徴とする請求項に記載の容器詰紅茶飲料の製造方法。
  3. 前記果実が、加熱処理されていない果実を切断乃至粉砕したものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の容器詰紅茶飲料の製造方法。
  4. 前記果汁が、皮付きの柑橘果実を搾汁して得た果汁であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の容器詰紅茶飲料の製造方法。
  5. 紅茶葉と果実とを合わせて一緒に30〜100℃の湯水で抽出して抽出液を得、得られた抽出液に果汁を加えて飲料液を得、前記飲料液を殺菌乃至容器充填することを特徴とする、容器詰紅茶飲料の生果実の香味付与方法。
  6. 前記果実が、柑橘類、リンゴ及びモモから選択される1種以上の果実であることを特徴とする請求項に記載の容器詰紅茶飲料の生果実の香味付与方法。
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