JP7381228B2 - ワニス組成物、ワニス組成物の製造方法、ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法、ポリイミド多孔質膜の前駆膜、及びポリイミド多孔質膜の製造方法 - Google Patents

ワニス組成物、ワニス組成物の製造方法、ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法、ポリイミド多孔質膜の前駆膜、及びポリイミド多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ワニス組成物、ワニス組成物の製造方法、ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法、ポリイミド多孔質膜の前駆膜、及びポリイミド多孔質膜の製造方法に関する。
近年、ガス又は液体の分離膜用として使用されるフィルターや、リチウムイオン電池のセパレータ、燃料電池電解質膜、低誘電率材料として、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜の研究がなされている。
例えば、セパレータ用途に使用されるポリイミドの多孔質膜の製造方法として、ポリアミック酸やポリイミドのポリマー溶液中にシリカ粒子等の微粒子を分散させたワニスを基板上に塗布した後、必要に応じて塗布膜を加熱して微粒子を含むポリイミド膜を得、次いで、ポリイミド膜中のシリカ粒子等の微粒子をフッ酸を用いて除去し、多孔質化させる方法が知られている(特許文献1参照)。
特許第5605566号公報
特許文献1に記載される方法等により多孔質のポリイミド膜を形成する場合、均一な組成のワニスを用いて、厚さや組成の均一な塗布膜を形成することが望まれる。しかし、特許文献1に記載の製造方法に用いるフッ酸の取り扱いは容易ではない。このため、フッ酸の使用がポリイミド多孔質膜の製造コストを増加させる要因となっているため、フッ酸を使用しない方法が求められている。そこで、シリカ微粒子に変えて、有機微粒子等の他の微粒子を用いることが考えられる。しかし、有機微粒子は、水溶媒中で調製される場合が多いため、水を含む微粒子分散液として流通することが多い。そのような水を含む微粒子分散液を用いてワニスを調製すると、必然的に水を含むワニスが得られる。
この点、ポリアミック酸を含むワニスが微粒子を含まない場合、ワニスが水を含んでいても、ポリアミック酸同士の配向等を阻害する成分が少ないため塗布可能なワニスが得られる場合がある。
しかしながら、ワニスが水と微粒子とを含む場合、ポリアミック酸と、水を含む溶媒とのなじみの悪さや、ポリアミック酸及び微粒子を含むことによってポリアミック酸同士の配向が阻害され膜強度が落ちるおそれ等に起因して、微粒子を抱き込んだポリアミック酸の塊状物を含む、塗布膜を形成できない不均一な組成の混合物が形成されやすい問題がある。
このため、厚さや組成の均一な塗布膜を形成でき、且つ均一な組成である、ポリイミド多孔質膜形成用の微粒子を含むワニスと、当該ワニスを用いるポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法や、ポリイミド多孔質膜の製造方法が望まれている。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、水を含んでいるにもかかわらず、厚さや組成の均一な塗布膜を形成でき、且つ均一な組成の、ポリイミド多孔質膜形成用の微粒子を含むワニス組成物と、当該ワニス組成物の製造方法と、前述のワニス組成物を用いるポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法と、ポリイミド多孔質膜の前駆膜と、当該前駆膜を用いるポリイミド多孔質膜の製造法とを提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリアミック酸(A)と、有機微粒子(B)と、溶媒(S)とを含むポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物を形成する際に、ワニス組成物に塩基性化合物(C)を加えるとともに、有機溶媒(S-I)、及び所定量の水(S-II)を含む溶媒(S)を用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様は、ポリアミック酸(A)と、有機微粒子(B)と、塩基性化合物(C)と、溶媒(S)とを混合して得られる、ポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物であって、
溶媒(S)が、有機溶媒(S-I)、及び水(S-II)を含み、
溶媒(S)の質量に対する、水(S-II)の質量の比率が50質量%未満である、ワニス組成物である。
本発明の第2の態様は、ポリアミック酸(A)及び有機溶媒(S-I)を含むポリアミック酸含有液と、有機微粒子(B)を含む微粒子分散液とを、塩基性化合物(C)の存在下に混合するか、又は、
前述のポリアミック酸含有液と、前述の微粒子分散液とを混合して混合液を得た後に、混合液に塩基性化合物(C)を加える、第1の態様にかかるポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物の製造方法である。
本発明の第3の態様は、第1の態様にかかるワニス組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
塗布膜から溶媒(S)を除き、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を形成する、前駆膜形成工程とを含む、ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法である。
本発明の第4の態様は、第1の態様にかかるワニス組成物からなる塗布膜を乾燥してなる、ポリイミド多孔質膜の前駆膜であって、
JIS B7721の0.5級に従って測定される伸度が、0.5%以上である、ポリイミド多孔質膜の前駆膜である。
本発明の第5の態様は、第4の態様にかかるポリイミド多孔質膜の前駆膜から、有機微粒子(B)を除去する除去工程を含む、ポリイミド多孔質膜の製造方法である。
本発明によれば、水を含んでいるにもかかわらず、厚さや組成の均一な塗布膜を形成でき、且つ均一な組成の、ポリイミド多孔質膜形成用の微粒子を含むワニス組成物と、当該ワニス組成物の製造方法と、前述のワニス組成物を用いるポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法と、ポリイミド多孔質膜の前駆膜と、当該前駆膜を用いるポリイミド多孔質膜の製造法とを提供することができる。
≪ワニス組成物≫
ワニス組成物は、ポリアミック酸(A)と、有機微粒子(B)と、塩基性化合物(C)と、有機溶媒(S-I)及び水(S-II)を含む溶媒(S)とを混合して得られる組成物である。ワニス組成物が有機微粒子(B)を含むため、ワニス組成物を用いて形成した塗布膜から溶媒(S)を除去することにより、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を形成することができる。かかる前駆膜に含まれるポリアミック酸(A)のイミド化と、前駆膜からの有機微粒子(B)の除去とを行うことにより、主にポリイミド樹脂からなるポリイミド多孔質膜が得られる。
このため、ワニス組成物は、ポリイミド多孔質膜の形成に用いられる。
水を含むワニス組成物を調製する際、ポリアミック酸(A)、有機微粒子(B)、及び溶媒(S)を混合する場合、有機微粒子(B)を抱き込んだポリアミック酸の塊状物を生成させることなく、ポリアミック酸(A)及び有機微粒子(B)を、溶媒(S)中に、均一に溶解又は分散させることが困難である場合が多い。
しかし、ポリアミック酸(A)、有機微粒子(B)、及び溶媒(S)とともに塩基性化合物(C)を混合することにより、水(S-II)を含む溶媒(S)中に、ポリアミック酸(A)、及び有機微粒子(B)が均一に溶解又は分散したワニス組成物を調製できる。
なお、調製されたワニス組成物において、ポリアミック酸(A)と、塩基性化合物(C)とが、それぞれどのような状態で存在するのか、化学的な分析手法により明確に特定することが困難である。
前述の通り、溶媒(S)は、有機溶媒(S-I)、及び水(S-II)を含む。ただし、溶媒(S)の質量に対する、水(S-II)の質量の比率は50質量%未満である。
ワニス組成物が、溶媒(S)として水(S-II)を含む場合、有機溶媒(S-I)の沸点が高い場合であっても、ワニス組成物からなる塗布膜からの有機溶媒(S-I)の除去が容易である。ただし、水(S-II)の量が過多であると、ワニス組成物中でのポリアミック酸(A)の溶解又は分散の安定性が損なわれるおそれがある。また、水(S-II)の量が過多であると、ワニス組成物を用いて形成される塗布膜から溶媒(S)を除去して得られる前駆膜の伸びが極度に劣る傾向がある。
他方、ワニス組成物が、溶媒(S)として水(S-II)を例えば、ワニス組成物の質量に対して30質量%以下含む場合、場合、ワニス組成物中でのポリアミック酸の溶解又は分散の安定性が良好である。ワニス組成物の質量に対する水(S-II)の含有量は、好ましくは、25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
また、有機微粒子(B)は、水を含むスラリーとして市販されていることも多い。上記の通り、ワニス組成物は、溶媒(S)の質量に対して50質量%未満の水(S-II)を含む。このため、ワニス組成物の調製には、水(S-II)の含有量が所定の上限を超えない限りにおいて、水を含む有機微粒子(B)のスラリーを用いることができる。
以下、ワニス組成物の調製に用いられる、必須、又は任意の成分について説明する。
<ポリアミック酸(A)>
ポリアミック酸(A)としては、任意のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合して得られる生成物が、特に限定されることなく使用できる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、ジアミンを0.50モル以上1.50モル以下用いるのが好ましく、0.60モル以上1.30モル以下用いるのがより好ましく、0.70モル以上1.20モル以下用いるのが特に好ましい。
テトラカルボン酸二無水物は、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2,6,6-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4-(p-フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4-(m-フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス無水フタル酸フルオレン、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物が好ましい。また、これらのテトラカルボン酸二無水物は1種類を単独で又は二種以上混合して用いることもできる。
ジアミンは、従来からポリアミック酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。ジアミンは、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族ジアミンが好ましい。これらのジアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ジアミンとしては、1個のベンゼン環を含むか、2個以上10個以下程度のベンゼン環が単結合又は2価の連結基を介して結合するか縮合した芳香族骨格を含むジアミノ化合物を挙げることができる。具体的には、フェニレンジアミン及びその誘導体、ジアミノビフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノフェニルアミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体、カルド型フルオレンジアミン誘導体である。
フェニレンジアミンはm-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン等であり、フェニレンジアミン誘導体としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が結合したジアミン、例えば、2,4-ジアミノトルエン、2,4-トリフェニレンジアミン等である。
ジアミノビフェニル化合物では、2つのアミノフェニル基同士が結合している。例えば、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル等である。
ジアミノジフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基が他の基を介してフェニル基同士で結合した化合物である。結合はエーテル結合、スルホニル結合、チオエーテル結合、アルキレン又はその誘導体基による結合、イミノ結合、アゾ結合、ホスフィンオキシド結合、アミド結合、ウレイレン結合等である。アルキレン結合の炭素原子数は1以上6以下程度である。アルキレン基の誘導体基は、1以上のハロゲン原子等で置換されたアルキレン基である。
ジアミノジフェニル化合物の例としては、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルケトン、3,4’-ジアミノジフェニルケトン、2,2-ビス(p-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(p-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4-メチル-2,4-ビス(p-アミノフェニル)-1-ペンテン、4-メチル-2,4-ビス(p-アミノフェニル)-2-ペンテン、イミノジアニリン、4-メチル-2,4-ビス(p-アミノフェニル)ペンタン、ビス(p-アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’-ジアミノアゾベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニル尿素、4,4’-ジアミノジフェニルアミド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
これらの中では、価格、入手容易性等から、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
ジアミノトリフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基と1つのフェニレン基がいずれも他の基を介して結合した化合物である。他の基は、ジアミノジフェニル化合物と同様の基が選ばれる。ジアミノトリフェニル化合物の例としては、1,3-ビス(m-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(p-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(p-アミノフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。
ジアミノナフタレンの例としては、1,5-ジアミノナフタレン及び2,6-ジアミノナフタレンを挙げることができる。
アミノフェニルアミノインダンの例としては、5又は6-アミノ-1-(p-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダンを挙げることができる。
ジアミノテトラフェニル化合物の例としては、4,4’-ビス(p-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ビス[p-(p’-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ビス[p-(p’-アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン、2,2’-ビス[p-(m-アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等を挙げることができる。
カルド型フルオレンジアミン誘導体は、9,9-ビスアニリンフルオレン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの炭素原子数は、例えば、2以上15以下程度がよい。脂肪族ジアミンの具体例としては、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン等が挙げられる。
なお、これらのジアミンの水素原子がハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基等の群より選択される少なくとも1種の置換基により置換された化合物であってもよい。
ポリアミック酸(A)を製造する手段に特に制限はなく、例えば、溶剤中で酸、ジアミン成分を反応させる方法等の公知の手法を用いることができる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、通常、溶剤中で行われる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に使用される溶剤は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを溶解させることができ、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンと反応しない溶剤であれば特に限定されない。溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる溶剤の例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤;β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;乳酸エチル、乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート等のエーテル類;クレゾール類、キシレン系混合溶媒等のフェノール系溶剤が挙げられる。
これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤の使用量に特に制限はないが、生成するポリアミック酸(A)の含有量が5質量%以上50質量%以下とするのが望ましい。
これらの溶剤の中では、生成するポリアミック酸(A)の溶解性から、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤が好ましい。
重合温度は一般的には-10℃以上120℃以下、好ましくは5℃以上30℃以下である。重合時間は使用する原料組成により異なるが、通常は3時間以上24時間以下である。
ポリアミック酸(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ワニス組成物におけるポリアミック酸(A)の含有量は特に限定されず、ワニス組成物の粘度や塗布性、ワニス組成物の固形分濃度を勘案して適宜定められる。
ワニス組成物の粘度は、所望する膜厚の塗布膜を形成できる限り特に限定されない。例えば、ワニス組成物の粘度は、300cP以上20000cP以下が好ましく、1000cP以上15000cP以下がより好ましく、1500cP以上12000cP以下がさらに好ましい。ワニス組成物の粘度がこの範囲内であれば、均一な成膜が容易である。
ワニス組成物は、焼成してポリイミド-微粒子複合膜とした際に有機微粒子(B)/ポリイミドの比率が1~4.0(質量比)であるように、有機微粒子(B)及びポリアミック酸(A)を含むのが好ましく、前述の比率が1.2~3.5(質量比)であるように、有機微粒子(B)及びポリアミック酸(A)を含むのがより好ましい。
また、ワニス組成物を用いてポリイミド-微粒子複合膜を形成した場合に、複合膜における有機微粒子(B)/ポリイミドの体積比率が1.5~5.0となるように、有機微粒子(B)及びポリアミック酸を含むのが好ましい。前述の体積比率は、1.8~4.5がさらに好ましい。有機微粒子(B)/ポリイミドの質量比又は体積比が下限値以上であれば、適切な密度の孔を形成しやすい。有機微粒子(B)/ポリイミドの質量比又は体積比が上限値以下であれば、ワニス組成物の粘度の増加や膜中のひび割れ等の問題を生じることなく安定的に成膜することができる。
ワニス組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、例えば、1質量%以上であり、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、上限は例えば60質量%以下であり、好ましくは30質量%以下である。
<有機微粒子(B)>
有機微粒子(B)の材質は、ワニス組成物に含まれる溶媒(S)に不溶で、後にポリイミド多孔質膜の前駆膜から除去可能な材質であれば、特に限定されることなく公知の材質を採用可能である。
有機微粒子(B)の形態としては特に限定されない。ワニス組成物の調製には、有機微粒子(B)の乾燥した粉体を用いてもよく、有機微粒子(B)の分散液を用いてもよい。ワニス組成物は、特定の量の水(S-II)を含む。このため、有機微粒子(B)の分散液として、水中に有機微粒子(B)が分散された分散液を用いて、ワニス組成物を調製できる。有機微粒子(B)としては、乾燥による有機微粒子(B)の凝集を避けられることと、安価で入手しやすいこととから、分散液が好ましく、水中に有機微粒子(B)が分散した分散液がより好ましい。
また、有機微粒子(B)として、真球率が高く、粒径分布指数の小さい微粒子が好ましい。これらの条件を備えた有機微粒子(B)は、ワニス組成物中での分散性に優れ、互いに凝集していない状態で使用することができる。
有機微粒子(B)の平均粒径(平均直径)としては、例えば、2000nm以下が好ましく、1000nm以下がより好ましく、700nm以下がさらに好ましく、10nm以上600nm以下がさらにより好ましく、20nm以上500nm以下が特に好ましく、30nm以上450nm以下が最も好ましい。かかる範囲内の平均粒径である微粒子を用いることで、所望の孔径の微細孔を有し、除粒効果に優れるポリイミド多孔質膜を形成しやすい。
なお、ポリイミド多孔質膜内に形成される、微粒子に由来する孔部のサイズは、微粒子の平均粒子径と同一であるか近い。このため、ポリイミド多孔質膜をフィルターとして用いる場合の流体の透過性等の点から、微粒子の平均粒子径は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
これらの条件を満たすことで、有機微粒子(B)を取り除いて得られるポリイミド多孔質膜の孔径を揃えることができるため、特にポリイミド多孔質膜をセパレータとして使用した場合に、印加される電界を均一化でき好ましい。
有機微粒子の材質としては、溶媒(S)、特に有機溶媒(S-I)に不溶であって、成膜後選択的に除去可能な材質であれば、特に限定されない。有機微粒子の材質としては樹脂が好ましい。
有機微粒子の材料としての樹脂としては、例えば、通常の線状ポリマーや公知の解重合性ポリマーを、目的に応じ限定されることなく使用できる。通常の線状ポリマーは、熱分解時にポリマーの分子鎖がランダムに切断されるポリマーであり、解重合性ポリマーは、熱分解時にポリマーが単量体に分解するポリマーである。いずれも、加熱時に、単量体、低分子量体、あるいは、COまで分解することによって、ポリイミド膜から消失する。使用される樹脂微粒子の分解温度は200℃以上320℃以下が好ましく、230℃以上260℃以下がさらに好ましい。分解温度が200℃以上であれば、ワニス組成物に高沸点溶剤を使用した場合も成膜を行うことができ、ポリイミドの焼成条件の選択の幅が広くなる。また、分解温度が320℃未満であれば、ポリイミドに熱的なダメージを与えることなく樹脂微粒子のみを消失させることができる。
上記線状ポリマーとしては、例えば、低密度又は非晶質のポリエチレン、非晶質ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド等を使用することができる。また、上記解重合性ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、α-メチルスチレン系樹脂、ポリアセタール系ホモポリマーやコポリマー等をいずれも使用することができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルから得られる単独ポリマーや二種以上を共重合させて得られる共重合ポリマー等が挙げられる。さらに、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これと共重合可能な他の単量体(例えば、グリシジルメタクリレート、スチレン等)と共重合させ共重合体を使用してもよい。
上記α-メチルスチレン系樹脂としては、α-メチルスチレンの単独ポリマー、α-メチルスチレンを主成分とし、これと共重合可能な他の単量体との共重合ポリマーが挙げられる。上記解重合性ポリマーは、単独でも、組み合わせて使用してもよい。
これら解重合性ポリマーのうち、熱分解温度の低いメタクリル酸メチル若しくはメタクリル酸イソブチルの単独(ポリメチルメタクリレート若しくはポリイソブチルメタクリレート)、あるいはこれを主成分とする共重合ポリマーが孔形成時の取り扱い上好ましい。
樹脂微粒子の材質であるポリマーは、架橋性モノマーによって架橋を導入されていてもよい。有機微粒子(B)が、架橋ポリマーからなる樹脂微粒子である場合、溶媒(S)中の有機溶媒(S-I)による樹脂微粒子の溶解、変形、及び膨潤等を抑制できる。
架橋性モノマーは、ポリマーに架橋を導入可能な多官能モノマーであれば特に限定されない。樹脂微粒子を構成するポリマーが、例えば、ポリスチレンや(メタ)アクリル系樹脂である場合、架橋性モノマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性モノマーやジビニルベンゼン等が挙げられる。
<塩基性化合物(C)>
塩基性化合物(C)としては、一般に塩基性化合物として認識されているい化合物であって、その使用により所望する効果が得られる化合物であれば特に限定されない。
塩基性化合物(C)としては、典型的には、水中において7.5以上のpKa値を示す化合物が好ましい。複数のpKaを示す化合物において、全てのpKa値が7.5以上である必要はなく、全てのpKa値が7.5以上であるのが好ましい。
pKaの値は、ケミカル・アブストラクト等のデータベースに基づいた検索サービスとして知られるSciFinder(登録商標)によって容易に検索することができる。ここでは、Advanced Chemistry Development(ACD/Labs)Software V11.02(Copyright 1994-2011 ACD/Labs)によって算出されたpKa値を採用した。
塩基性化合物(C)は、塩基性有機化合物であっても、塩基性無機化合物であってもよい。イミド化の工程や、有機微粒子(B)を除去する工程で、ポリイミド多孔質膜から除去されやすく、ポリイミド多孔質膜の製品への悪影響が少ない点から、塩基性化合物(C)としては塩基性有機化合物が好ましい。
塩基性有機化合物としては、含窒素塩基性有機化合物が好ましい。含窒素塩基性有機化合物は、芳香族環を含まない脂肪族化合物であってもよく、芳香族環を含む芳香族化合物であってもよく、ポリイミド多孔質膜に残存しにくい点や、良好な塩基性を示す点で、脂肪族化合物であるのが好ましい。
含窒素塩基性有機化合物として、第1級窒素原子、第2級窒素原子、又は第3級窒素原子を少なくとも1つ含む化合物が好ましい。含窒素塩基性有機化合物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、O、S、P、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を有していいてもよい。
含窒素塩基性有機化合物の好適な例としては、アルキルアミン類、ヒドロキシアルキルアミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、モルホリン類、ピロリジン類、並びにグアニジン及びグアニジン塩類が挙げられる。
アルキルアミン類は、窒素原子に、少なくとも1つの脂肪族炭化水素基が結合したアミン化合物である。脂肪族炭化水素基としては、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルキレン基、分岐鎖アルキレン基、シクロアルキル基、及びシクロアルカンジイル基が挙げられる。アルキルアミン類は、1分子中に、2以上の窒素原子を含んでいてもよい。アルキルアミン類が1分子中に含む窒素原子の数は、1以上4以下が好ましい。アルキルアミン類が窒素原子上に有するアルキル基の炭素原子数は、1以上6以下が好ましく、1以上4以下がより好ましい。
アルキルアミン類の具体例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、N-n-プロピルエチルアミン、N-n-ブチルエチルアミン、エチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミン等が挙げらえる。
ヒドロキシアルキルアミン類は、前述のアルキルアミン類において脂肪族炭化水素基に1以上の水酸基が置換した化合物である。ヒドロキシアルキルアミン類の具体例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
ピペリジン類としては、無置換のピペリジン、又はN-アルキル置換ピペリジンが好ましい。N-アルキル置換ピペリジンにおいて、窒素原子上に結合したアルキル基の炭素原子数は1以上6以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。ピペリジン類の具体例としては、ピペリジン、N-メチルピペリジン、及びN-エチルピペリジン等が挙げられる。
ピペラジン類としては、無置換のピペラジン、N-アルキル基置換ピペラジン、又はN,N’-ジアルキル置換ピペラジンが好ましい。N-アルキル置換ピペラジン、及びN,N’-ジアルキル置換ピペラジンにおいて、窒素原子上に結合したアルキル基の炭素原子数は1以上6以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。ピペラジン類の具体例としては、ピペラジン、N-メチルピペラジン、N-エチルピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、及びN,N’-ジエチルピペラジン等が挙げられる。
モルホリン類としては、無置換のモルホリン、又はN-アルキル置換モルホリンが好ましい。N-アルキル置換モルホリンにおいて、窒素原子上に結合したアルキル基の炭素原子数は1以上6以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。モルホリン類の具体例としては、モルホリン、N-メチルモルホリン、及びN-エチルモルホリン等が挙げられる。
ピロリジン類としては、無置換のピロリジン、又はN-アルキル置換ピロリジンが好ましい。N-アルキル置換ピロリジンにおいて、窒素原子上に結合したアルキル基の炭素原子数は1以上6以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。ピロリジン類の具体例としては、ピロリジン、N-メチルピロリジン、及びN-エチルピロリジン等が挙げられる。
グアニジン及びグアニジン塩類としては、グアニジン、及びグアニジンと弱酸との塩が挙げられる。グアニジン及びグアニジン塩類の具体例としては、グアニジン、炭酸グアニジン、シュウ酸グアニジン、及び酢酸グアニジン等が挙げられる。
塩基性無機化合物としては、アルカリ金属水酸化物、及びアルカリ金属と弱酸との塩が好ましい。アルカリ金属としては、Na、K、及びLiが好ましく、Na、及びKがより好ましい。弱酸としては炭酸、シュウ酸、リン酸、及び炭素原子数1以上4以下の脂肪族カルボン酸が好ましい。これらの中では、炭酸、シュウ酸、酢酸、及びリン酸が特に好ましい。
塩基性無機化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等を挙げることができる。
ワニス組成物の調製に用いられる塩基性化合物(C)の含有量は、所望する効果が得られる限り特に限定されない。
塩基性化合物(C)の使用量は、ポリアミック酸(A)の質量に対して1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。塩基性化合物(C)の使用量の上限は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ワニス組成物の調製が容易である点で、塩基性化合物(C)の使用量の上限は、ポリアミック酸(A)の質量に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
<溶媒(S)>
ワニス組成物は、溶媒(S)を含む。溶媒(S)は、有機溶媒(S-I)と、水(S-II)とを含む。溶媒(S)の質量に対する、水(S-II)の質量の比率は50質量%未満である。
溶媒(S)の質量に対する、水(S-II)の質量の比率の上限は、45質量%以下でもよく、40質量%以下でもよく、35質量%以下でもよく、30質量%以下でもよい。
溶媒(S)の質量に対する、水(S-II)の質量の比率の下限は、0質量%超でもよく、5質量%以上でもよく、10質量%以上でもよく、15質量%以上でもよく、20質量%以上でもよい。
有機溶媒(S-I)の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で、特に限定されない。有機溶媒(S-I)は、通常、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の塩基性化合物(C)と反応し得る基を持たない化合物である。また、有機溶媒(S-I)は、塩基性を呈していてもよいが、ポリアミック酸(A)の加水分解を避ける観点から、水中において中性、又は弱塩基性を呈する化合物であるのが好ましい。より具体的には、有機溶媒(S-I)は、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の塩基性化合物(C)と反応し得る基を持たず、且つ水中において7.5未満のpKa値を示す化合物であるのが好ましい。
好適な有機溶媒(S-I)の例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ピリジン、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレア(TMU)等の含窒素極性溶剤;β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、及びε-カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシド;ヘキサメチルホスホリックトリアミド;アセトニトリル;乳酸エチル、及び乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、グライム、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
ワニス組成物の溶解又は分散安定性や、塗布膜からの溶媒(S)の除去が容易である点から、有機溶媒(S-I)が、下記式(S1):
Figure 0007381228000001
(式(S1)中、RS1及びRS2は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、RS3は、水素原子、又は下記式(S1-1)若しくは下記式(S1-2):
Figure 0007381228000002
で表される基であり、RS4は、水素原子又は水酸基であり、RS5及びRS6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、RS7及びRS8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。)
で表される含窒素有機溶媒を含むのが好ましい。
式(S1)で表される化合物のうち、RS3が式(S1-1)で表される基である場合の具体例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、N-エチル,N,2-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチル-2-メチルプロピオンアミド、N,N,2-トリメチル-2-ヒドロキシプロピオンアミド、N-エチル-N,2-ジメチル-2-ヒドロキシプロピオンアミド、及びN,N-ジエチル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオンアミド等が挙げられる。
式(S1)で表される化合物のうち、RS3が式(S1-2)で表される基である場合の具体例としては、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア、N,N,N’,N’-テトラエチルウレア等が挙げられる。
式(S1)で表される化合物の例のうち、特に好ましい化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレアが挙げられる。これらの中では、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレアが好ましい。N,N,2-トリメチルプロピオンアミドの大気圧下での沸点は175℃であって、N,N,N’,N’-テトラメチルウレアの大気圧下での沸点は177℃である。このように、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレアは、有機溶媒(S-I)の中では比較的沸点が低い。
このため、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレアから選択される少なくとも1種を含む溶媒(S)を含有するワニス組成物を用いると、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を形成する際の加熱において、前駆膜中に溶剤が残存しにくく、得られるポリイミド膜の引張伸度の低下等を招きにくい。
さらに、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、及びN,N,N’,N’-テトラメチルウレアは、EU(欧州連合)でのREACH規則において、有害性が懸念される物質であるSVHC(Substance of Very High Concern、高懸念物質)に指定されていないように、有害性が低い物質である点でも有用である。
有機溶媒(S-I)中の、式(S1)で表される含窒素有機溶媒の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機溶媒(S-I)の質量に対する式(S1)で表される含窒素有機溶媒の質量の比率は、典型的には、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%であるのが最も好ましい。
また、有機溶媒(S-I)として説明した上記の溶媒の中でも、ポリアミック酸との相溶性が良好で且つ水と共沸する溶媒が好ましい。このような溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、NMP、γ-ブチロラクトン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)が挙げられる。有機溶媒(S-I)が水と共沸する場合、ワニス組成物からなる塗布膜からの溶媒(S)の除去が容易である。
また、有機溶媒(S-I)として説明した上記の溶媒の中でも、ポリアミック酸と微粒子との分散性が良好な点で、NMPが好ましい。
ワニス組成物中の溶媒(S)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ワニス組成物中の溶媒(S)の含有量は、ワニス組成物の固形分含有量に応じて適宜調整される。
<分散剤>
ワニス組成物中の有機微粒子(B)を均一に分散させることを目的に、有機微粒子(B)とともにさらに分散剤を添加してもよい。分散剤を添加することにより、ポリアミック酸(A)と有機微粒子(B)とを一層均一に混合でき、さらには、成膜した膜中の有機微粒子(B)を均一に分布させることができる。その結果、最終的に得られるポリイミド多孔質膜の表面に稠密な開口を設け、且つ、表裏面を効率よく連通させることが可能となり、ポリイミド多孔質膜の透気度が向上する。さらに、分散剤を添加することにより、ワニス組成物の乾燥性が向上しやすくなり、また、形成されたポリイミド多孔質膜の前駆膜の基板等からの剥離性が向上しやすい。
分散剤は、特に限定されることなく、公知の分散剤を使用することができる。例えば、やし脂肪酸塩、ヒマシ硫酸化油塩、ラウリルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルサルフェート塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート塩、イソプロピルホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェート塩等のアニオン界面活性剤;オレイルアミン酢酸塩、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、アミドベタイン型活性剤、アラニン型活性剤、ラウリルイミノジプロピオン酸等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル等、ポリオキシアルキレン一級アルキルエーテル又はポリオキシアルキレン二級アルキルエーテルのノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油、ソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等のその他のポリオキシアルキレン系のノニオン界面活性剤;オクチルステアレート、トリメチロールプロパントリデカノエート等の脂肪酸アルキルエステル;ポリオキシアルキレンブチルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、トリメチロールプロパントリス(ポリオキシアルキレン)エーテル等のポリエーテルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記分散剤は、2種以上を混合して使用することもできる。
ワニス組成物における分散剤の含有量は、例えば、成膜性の点で、上記微粒子に対し0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることがさらにより好ましい。
以上説明した、必須又は任意の成分を、ワニス組成物の塗布性や、製造されるポリイミド多孔質膜の種々の特性を勘案して予め定められた組成に従い、以上説明した必須又は任意の成分を混合することにより、ワニス組成物が製造される。
≪ワニス組成物の製造方法≫
ワニス組成物の製造方法は、前述の種々の成分を、それぞれ所定量混合することにより製造される。
ワニス組成物の製造方法として好ましい方法としては、
ポリアミック酸(A)及び有機溶媒(S-I)を含むポリアミック酸含有液と、有機微粒子(B)を含む微粒子分散液とを、塩基性化合物(C)の存在下に混合するか、又は、
前述のポリアミック酸含有液と、前述の微粒子分散液とを混合して混合液を得た後に、当該混合液に塩基性化合物(C)を加える、方法が挙げられる。
ポリアミック酸含有液について、ポリアミック酸(A)、及び有機溶媒(S-I)は前述の通りである。ポリアミック酸含有液は、周知の方法で製造されたポリアミック酸(A)を有機溶媒(S-I)に溶解させて調製されてもよく、有機溶媒(S-I)中でポリアミック酸(A)を合成することにより調製されてもよい。
ポリアミック酸含有液は、水(S-II)を含んでいてもよい。また、ポリアミック酸含有液は、ポリアミック酸(A)、有機溶媒(S-I)、及び水(S-II)以外の任意成分を含んでいてもよい。
微粒子分散液について、有機微粒子(B)は前述の通りである。微粒子分散液に含まれる分散媒は、有機溶媒(S-I)でも、水(S-II)でも、有機溶媒(S-I)と水(S-II)とを含む水溶液であってもよい。入手が容易で安価である点から、微粒子分散液は、水(S-II)中に有機微粒子(B)が分散した分散液であるのが好ましい。
なお、ワニス組成物が水(S-II)を含むため、ポリアミック酸含有液と、微粒子分散液の少なくとも一方は水(S-II)を含む。
上記のポリアミック酸含有液と、微粒子分散液とを、塩基性化合物(C)の存在下に混合する場合、ポリアミック酸含有液と、微粒子分散液との少なくとも一方に塩基性化合物(C)を加えた後に、両者を混合してワニス組成物が調製される。
また、ポリアミック酸含有液と、微粒子分散液と、塩基性化合物(C)とを同時に混合してワニス組成物を調製することもできる。この場合、塩基性化合物(C)は、個体又は液体としてそのまま用いられてもよく、有機溶媒(S-I)や水(S-II)に溶解された溶液として用いられてもよい。
さらに、前述の通り、ポリアミック酸含有液と、微粒子分散液とを混合して混合液を得た後に、当該混合液に塩基性化合物(C)を加えることによってもワニス組成物を調製できる。この場合、ポリアミック酸含有液と、微粒子分散液との少なくとも一方に、塩基性化合物(C)の一部を予め加えておいてもよい。
上記の方法において、ワニス組成物を構成する各種材料を混合する場合、ポリアミック酸(A)や有機微粒子(B)の過度の分解や変形が生じない範囲において、加温された条件で混合を行ってもよい。
また、種々の分散装置を用いて、有機微粒子(B)を分散させながらワニス組成物を構成する各種材料を混合してもよい。
≪ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法≫
ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法は、
前述のワニス組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
塗布膜から溶媒(S)を除き、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を形成する、前駆膜形成工程とを含む。
以下、ポリイミド多孔質膜の前駆膜(以下、単に「前駆膜」とも記す。)の成膜方法について説明する。前駆膜形成工程においては、上記の通り、前述のワニス組成物を用いて、前駆膜を成膜する。その際、前駆膜は、基材上に直接成膜されてもよいし、基材上に形成された上記前駆膜とは異なる下層膜上に成膜されてもよい。また、前述のワニス組成物を用いて、前駆膜を成膜した後に、さらに上層に上記前駆膜とは異なる上層膜を成膜してもよい。なお、本出願において、基材上に下層膜を設ける方法も、前述のワニスを用いて、前駆膜を成膜した後に、さらに上層に上記前駆膜とは異なる上層膜を成膜する方法も、基材上に前駆膜を形成する方法に含める。ただし、上層膜に焼成工程不要の材料を用いる場合は、焼成後のポリイミド-微粒子複合膜に対し、上層膜を形成してもよい。
前駆膜は、例えば、基材上に直接、又は基材上に形成された上記下層膜上に、前述のワニス組成物を塗布し塗布膜を形成した後、常圧又は真空下で0℃以上100℃以下、好ましくは常圧で10℃以上100℃以下で乾燥することにより、形成することができる。
基材としては、例えば、PETフィルム、SUS基板、ガラス基板等が挙げられる。
上記下層膜(又は上層膜)としては、例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドイミド前駆体、ポリアミドイミド及びポリエーテルスルホンからなる樹脂と、微粒子と、溶剤とを含有し、上記微粒子の含有量が上記樹脂と上記微粒子との合計に対して40体積%超81体積%以下である下層膜(又は上層膜)形成用ワニスを用いて成膜した下層(又は上層)未焼成複合膜が挙げられる。下層未焼成複合膜は、基材上に形成されてもよい。上記微粒子の含有量が40体積%超であると、微粒子が均一に分散する。また、上記微粒子の含有量が81体積%以下であると、微粒子同士が凝集することもなく分散するため、ポリイミド多孔質膜において、上記下層膜(又は上層膜)に由来する層に孔を均一に形成することができる。また、上記微粒子の含有量が上記範囲内であれば、下層未焼成複合膜を基板上に形成する場合、上記基材に予め離型層を設けていなくても、成膜後の離型性を確保しやすい。
なお、下層(又は上層)膜形成用ワニスに用いる微粒子は、前述のワニス組成物に用いる有機微粒子(B)と、同じであってもよいし、異なってもよい。下層(又は上層)未焼成複合膜における孔をより稠密にするには、下層(又は上層)膜形成用ワニスに用いる微粒子は、前述のワニス組成物に用いる有機微粒子(B)よりも粒径分布指数が小さいか同じであることが好ましい。あるいは、下層(又は上層)膜形成用ワニスに用いる微粒子は、前述のワニス組成物に用いる微粒子よりも真球率が小さいか同じであることが好ましい。
また、下層(又は上層)膜形成用ワニスに用いる微粒子の平均粒径は、5nm以上1000nm以下が好ましく、10nm以上600nm以下がより好ましい。
また、下層(又は上層)膜形成用ワニスにおける微粒子の含有量は、前述のワニス組成物よりも多くてもよいし少なくてもよい。下層(又は上層)膜形成用ワニスに含まれる、微粒子、及び溶媒等の成分の好適な例は、前述のワニス組成物と同様である。下層(又は上層)膜形成用ワニスは、前述のワニス組成物と同様の方法により調製することができる。
下層未焼成複合膜は、例えば、基材上に、上記下層膜形成用ワニスを塗布し、常圧又は真空下で0℃以上100℃以下、好ましくは常圧で10℃以上100℃以下で乾燥することにより、形成することができる。上層未焼成複合膜の成膜条件も同様である。
また、上記下層(又は上層)膜としては、例えば、セルロース系樹脂、不織布(例えば、ポリイミド製不織布等(繊維径は、例えば、約50nm以上約3000nm以下である。)等の繊維系材料からなる膜や、ポリイミドフィルムも挙げられる。
以上説明した方法により、基材上に、前駆膜が単独で、又は、必要に応じて、下層(又は上層)膜とともに前駆膜が形成される。
ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法は、上記の前駆膜形成工程の後に、基材から前駆膜を剥離させる、剥離工程を含むのが好ましい。
基材から前駆膜が剥離される場合、基材に、前駆膜を焼成する温度に耐えうる耐熱性が要求されない。
なお、ポリイミド多孔質膜の前駆膜は、伸びにくくもろい場合が多い。しかし、前述のワニス組成物からなる塗布膜を乾燥してなる前駆膜は、JIS B7721の0.5級に従って測定される伸度が、0.5%以上である。このため、前述のワニス組成物からなる塗布膜を乾燥してなる前駆膜は、破損することなく基材から容易に剥離可能である。
前駆膜の伸度は、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましい。
前駆膜又は前駆膜と下層(又は上層)未焼成複合膜との積層膜を基材から剥離する場合、膜の剥離性をさらに高めるために、予め離型層を設けた基材を使用することもできる。基材に予め離型層を設ける場合は、前述のワニス組成物、又は下層膜形成用のワニスを塗布する前に、基材上に離型剤を塗布して乾燥あるいは焼き付けを行う。ここで使用される離型剤は、アルキルリン酸アンモニウム塩系、フッ素系又はシリコーン等の公知の離型剤が特に制限なく使用可能である。上記乾燥した前駆膜を基材から剥離する際、前駆膜の剥離面にわずかながら離型剤が残存すると、残存する離型剤が焼成中の変色や電気特性への悪影響の原因となりうる。このため、剥離面に付着する離型剤は、極力取り除かれることが好ましい。離型剤を取り除くことを目的として、基材より剥離された前駆膜や前駆膜を含む積層膜を、有機溶媒を用いて洗浄する洗浄工程を導入してもよい。
離型層を設けず基材をそのまま使用する場合は、上記の剥離工程及び洗浄工程を省くことができる。また、前駆膜の製造方法において、後述の除去工程の前に、水又は水を含む溶媒へ前駆膜を浸漬させる浸漬工程、浸漬工程後の前駆膜をプレスするプレス工程、浸漬工程後の前駆膜を乾燥させる乾燥工程をそれぞれ任意の工程として設けてもよい。
ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法において、上記の剥離工程を実施する場合、さらに、剥離工程の後に、前駆膜をロール状に巻き取る巻取工程を実施するのが好ましい。
上記の通り、前駆膜はある程度の伸びを示すため、ひび割れや破断を生じることなく前駆膜を巻き取ることが可能である。前駆膜をロール状に巻き取る場合、小型の焼成炉で、ロール状の前駆膜を焼成することが可能である。また、前駆膜を焼成するまでの、前駆膜の移送が容易であり、保管についても省スペース化を図れる。
さらに、前駆膜を焼成するプロセスについて、ロール・トゥ・ロールプロセスを適用可能であり、ポリイミド多孔質膜の効率的な製造が可能である。
≪ポリイミド多孔質膜の製造方法≫
ポリイミド多孔質膜の製造方法は、前述のポリイミド多孔質膜の前駆膜から、有機微粒子(B)を除去する除去工程を含む、方法である。当該除去工程において、有機微粒子(B)の除去は、ポリアミック酸(A)をイミド化させつつ行われてもよく、ポリアミック酸(A)をイミド化させた後に行われてもよい。
ポリアミック酸(A)をイミド化させる方法は特に限定されない。イミド化は熱イミド化及び化学イミド化のいずれであってもよい。化学イミド化としては、ポリアミック酸(A)を含む前駆膜を、無水酢酸、あるいは無水酢酸とイソキノリンの混合溶媒に浸す等の方法を用いることができる。
上記のイミド化方法の中では、イミド化剤の洗浄による除去が不要である点等から、熱イミド化である焼成が好ましい。焼成によりイミド化を行う場合、有機微粒子(B)が樹脂微粒子であると、イミド化とともに樹脂微粒子の除去を行うことができる。
この場合、有機微粒子(B)が、架橋重合体からなる樹脂微粒子であると、樹脂微粒子が焼成により容易に除去されやすいことと、架橋重合体からなる樹脂微粒子が有機溶媒(S-I)の影響により膨潤したり変形したりしにくいこととから、所望するサイズ及び形状の孔部を有するポリイミド多孔質膜を製造しやすい。
以下、焼成について説明する。
前駆膜を製造する際に、前駆膜とともに下層(又は上層)膜を形成した場合、前駆膜の焼成とともに、下層(又は上層)膜を焼成する。焼成温度は、ポリアミック酸(A)の構造等によっても異なるが、120℃以上500℃以下が好ましく、150℃以上450℃以下がより好ましく、300℃以上450℃以下がより好ましい。
焼成条件は、例えば、室温から400~450℃程度までを3時間程度で昇温させた後、同温度で2~30分間程度保持させる方法や、室温から、例えば50℃刻みで段階的に400~450℃まで昇温(各ステップ20分程度保持)し、最終的に400~450℃で2~30分間程度保持させる等の段階的な乾燥-熱イミド化法を用いることもできる。基材上に前駆膜を成膜し、基材から前駆膜又は前駆膜を含む積層膜を一旦剥離する場合は、前駆膜又は積層膜の端部をSUS製の型枠等に固定し変形を防ぐ方法を採ることもできる。
焼成後に得られるポリイミド多孔質膜、又はポリイミド樹脂-微粒子複合膜の膜厚は、例えばマイクロメータ等で複数の箇所の厚さを測定し平均することで求めることができる。どのような平均膜厚が好ましいかは、ポリイミド多孔質膜の用途によって異なるが、例えば、セパレータ等に使用する場合は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、15μm以上30μm以下がさらに好ましい。フィルター等に使用する場合は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましく、20μm以上150μm以下がさらに好ましい。
このようにして得られたポリイミド多孔質膜は非透明な又は着色した多孔質膜である。ポリイミド多孔質膜の全体の膜厚は特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド多孔質膜がセパレータ等に使用される場合、膜厚は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、15μm以上30μm以下がさらに好ましい。ポリイミド多孔質膜がフィルター等に使用される場合、膜厚は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましく、20μm以上150μm以下がさらに好ましい。上記の膜厚は、ポリイミド樹脂-微粒子複合膜の測定時と同様、例えばマイクロメータ等で複数の箇所の厚さを測定し平均することで求めることができる。また、いかなる膜厚であっても、ポリイミド多孔質膜は、膜全体に球状孔が連通した状態で分布している多孔質膜であり、表裏面が連通している。
ポリイミド多孔質膜の製造方法は、上記の除去工程前に、ポリイミド樹脂-微粒子複合膜のポリイミド樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、又は、除去工程後にポリイミド多孔質膜の少なくとも一部を除去する樹脂除去工程を有していてもよい。除去工程前に、ポリイミド樹脂-微粒子複合膜の樹脂部分の少なくとも一部を除去することにより、続く除去工程で有機微粒子(B)が取り除かれ空孔が形成された場合に、上記樹脂部分の少なくとも一部を除去しないものに比べて、最終製品の多孔質膜の開孔率を向上させることが可能となる。また、除去工程後に多孔質膜の少なくとも一部を除去することにより、上記多孔質膜の少なくとも一部を除去しないポリイミド多孔質膜に比べて、最終製品のポリイミド多孔質膜の開孔率を向上させることが可能となる。
上記の樹脂部分の少なくとも一部を除去する工程、あるいは、ポリイミド多孔質膜の少なくとも一部を除去する工程は、通常のケミカルエッチング法若しくは物理的除去方法、又は、これらを組み合わせた方法により行うことができる。
ケミカルエッチング法としては、無機アルカリ溶液又は有機アルカリ溶液等のケミカルエッチング液による処理が挙げられる。無機アルカリ溶液が好ましい。無機アルカリ溶液として、例えば、ヒドラジンヒドラートとエチレンジアミンを含むヒドラジン溶液、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の溶液、アンモニア溶液、水酸化アルカリとヒドラジンと1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを主成分とするエッチング液等が挙げられる。有機アルカリ溶液としては、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ性溶液が挙げられる。
上記の各溶液の溶媒については、純水、アルコール類を適宜選択できる。また界面活性剤を適当量添加したものを使用することもできる。アルカリ濃度は、例えば0.01質量%以上20質量%以下である。
また、物理的な方法としては、例えば、プラズマ(酸素、アルゴン等)、コロナ放電等によるドライエッチング、研磨剤(例えば、アルミナ(硬度9)等)を液体に分散し、これを膜の表面に30m/s以上100m/s以下の速度で照射することで表面処理する方法等が使用できる。
上記した方法は、有機微粒子(B)を除去する除去工程の前又は後のいずれにも適用可能であるので好ましい。
一方、有機微粒子(B)を除去する除去工程後に行う樹脂除去工程にのみ適用可能な物理的方法として、対象表面を液体で濡らした台紙フィルム(例えばPETフィルム等のポリエステルフィルム)に圧着後、乾燥しないで又は乾燥した後、多孔質膜を台紙フィルムから引きはがす方法を採用することもできる。液体の表面張力あるいは静電付着力に起因して、多孔質膜の表面層のみが台紙フィルム上に残された状態で、多孔質膜が台紙フィルムから引きはがされる。
以下、実施例を基に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これに限定されない。
〔実施例1、及び実施例2〕
テトラカルボン酸二無水物成分としての3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、ジアミン成分としてのp-フェニレンジアミン(PPD)又はm-フェニレンジアミン(MPD)とを、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア中で反応させて、濃度20質量%でポリアミック酸を含むポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液25.7質量部と、体積粒子径が420nmである架橋型ポリスチレン微粒子を濃度40質量%で含む微粒子分散液30質量部とを混合した後、得られた混合液にトリエチルアミン(TEA)2質量部を加えて、乳濁した均一な組成のワニス組成物を得た。
得られたワニス組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布して、塗布膜を形成した。塗布膜を、80℃で6分間乾燥させて、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を得た。得られた前駆膜について、膜厚の測定と、JIS B7721の0.5級に従った伸度、及び引張強度の評価を行った。これらの評価結果を表1に記す。また、得られたワニス組成物を用いることにより、下記の方法でポリイミド多孔質膜を問題なく形成できた。
<ポリイミド多孔質膜形成方法>
ワニス組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布して、塗布膜を形成した。塗布膜を、70℃で10分間乾燥させて、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を得た。得られた前駆膜を、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離させた後、前駆膜を焼成炉内で420℃で2分間焼成して、ポリスチレン微粒子を熱分解させながらポリアミック酸のイミド化を行い、ポリイミド多孔質膜を得た。
〔実施例3、及び実施例4〕
テトラカルボン酸二無水物成分としての3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、ジアミン成分としての4,4’-ジアミノジフェニルアミド(DABAN)とを、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア中で反応させて、濃度15質量%でポリアミック酸を含むポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液34.3質量部と、体積粒子径が420nmである架橋型ポリスチレン微粒子を濃度40質量%で含む微粒子分散液30質量部とを混合した後、得られた混合液にN-メチルモルホリン(NMM)2質量部を加えて、乳濁した均一な組成のワニス組成物を得た。
得られたワニス組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布して、塗布膜を形成した。塗布膜を、80℃で6分間乾燥させて、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を得た。得られた前駆膜について、実施例1と同様に、膜厚、伸度、及び引張強度を評価した。これらの評価結果を表1に記す。なお、実施例3と実施例4とでは、塗布条件を調整して前駆膜の膜厚を相違させた。
〔実施例5〕
実施例1におけるN,N,N’,N’-テトラメチルウレアをNMPに変更し、固形分濃度と溶媒組成比率を表1のように変更したほかは、実施例1と同様にして膜厚、伸度、及び引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1におけるN,N,N’,N’-テトラメチルウレアを水に変更し、PPDと、PPDのモル比1.95倍のTEAと、を混合したうえで水溶媒中でBPDAと反応させて、ポリアミック酸溶液を得た後に、微粒子と樹脂ポリアミック酸との体積比率が65:35である、比較ワニス組成物1(固形分濃度15質量%)を調製した。
〔比較例2〕
比較例1における微粒子と樹脂ポリアミック酸との体積比率を78:22とし、固形分濃度を18質量%とした他は、比較例1と同様にして比較ワニス組成物2を得た。
比較ワニス組成物1及び比較ワニス組成物2を用いて、実施例1と同様の方法によりポリイミド多孔質膜の形成を試みた。しかし、いずれの比較例のワニス組成物を用いた場合も、前駆膜が脆すぎるため、破損により前駆膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離させることができなかった。このため、比較例1及び比較例2について、前駆膜の評価を行わなかった。
〔比較例3~5〕
塩基性化合物を添加しないことの他は、実施例1と同様にして比較例3のワニス組成物を調製し、実施例2と同様にして比較例4のワニス組成物を調製し、実施例3と同様にして比較例5のワニス組成物を調製した。その結果、比較例3~5のいずれにおいても、微粒子を含むポリアミック酸の塊状物が生成し、塗布可能な均一な組成のワニス組成物が得られなかった。
Figure 0007381228000003
表1から分かる通り、ポリアミック酸(A)と、有機微粒子(B)と、塩基性化合物(C)と、水の含有量が50質量%未満である溶媒(S)とを混合して製造することにより、良好に塗布可能であって均一な組成のポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物が得られることが分かる。また、実施例1~5のワニス組成物を用いて形成された、ポリイミド多孔質膜形成用の前駆膜は、良好な伸度を示し、基材からの剥離が容易である。

Claims (12)

  1. ポリアミック酸(A)と、有機微粒子(B)と、塩基性化合物(C)と、溶媒(S)とを混合して得られる、ポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物であって、
    前記溶媒(S)が、有機溶媒(S-I)、及び水(S-II)を含み、
    前記塩基性化合物(C)が含窒素塩基性化合物であり、
    前記有機溶媒(S-I)が含窒素極性有機溶媒であり、かつ
    前記溶媒(S)の質量に対する、水(S-II)の質量の比率が50質量%未満である、ワニス組成物。
  2. 前記有機溶媒(S-I)が、下記式(S1):
    Figure 0007381228000004
    (式(S1)中、RS1及びRS2は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、RS3は、水素原子、又は下記式(S1-1)若しくは下記式(S1-2):
    Figure 0007381228000005
    で表される基であり、RS4は、水素原子又は水酸基であり、RS5及びRS6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、RS7及びRS8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基である。)
    で表される含窒素有機溶媒である、請求項1に記載のポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物。
  3. 前記塩基性化合物(C)の質量が、ポリアミック酸(A)の質量に対して、1質量%以上である、請求項1又は2に記載のポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物。
  4. 前記有機微粒子(B)が、架橋重合体からなる樹脂微粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物。
  5. 前記ポリアミック酸(A)及び前記有機溶媒(S-I)を含むポリアミック酸含有液と、前記有機微粒子(B)を含む微粒子分散液とを、前記塩基性化合物(C)の存在下に混合するか、又は、
    前記ポリアミック酸含有液と、前記微粒子分散液とを混合して混合液を得た後に、前記混合液に前記塩基性化合物(C)を加える、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質膜形成用のワニス組成物の製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の前記ワニス組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜から前記溶媒(S)を除き、ポリイミド多孔質膜の前駆膜を形成する、前駆膜形成工程とを含む、ポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法。
  7. 前記前駆膜形成工程の後に、前記基材から前記前駆膜を剥離させる、剥離工程を含む、請求項6に記載のポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法。
  8. 前記剥離工程の後に、前記前駆膜をロール状に巻き取る、巻取工程を含む、請求項7に記載のポリイミド多孔質膜の前駆膜の製造方法。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載のワニス組成物からなる塗布膜を乾燥してなる、ポリイミド多孔質膜の前駆膜であって、
    JIS B7721の0.5級に従って測定される伸度が、1%以上である、ポリイミド多孔質膜の前駆膜。
  10. ロール形態である、請求項9に記載のポリイミド多孔質膜の前駆膜。
  11. 請求項9又は10に記載のポリイミド多孔質膜の前駆膜から、前記有機微粒子(B)を除去する除去工程を含む、ポリイミド多孔質膜の製造方法。
  12. 前記有機微粒子(B)が架橋重合体からなる樹脂微粒子であり、前記有機微粒子(B)の除去方法が焼成である、請求項11に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
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