JP7380743B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に関する。
磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果により積層方向の抵抗値が変化する素子である。磁気抵抗効果素子は、2つの強磁性層とこれらに挟まれた非磁性層とを備える。非磁性層に導体が用いられた磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子と言われ、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)が用いられた磁気抵抗効果素子は、トンネル磁気抵抗(TMR)素子と言われる。磁気抵抗効果素子は、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)等の様々な用途への応用が可能である。
特許文献1には、ホイスラー合金を強磁性層に用いた磁気抵抗効果素子を備える磁気センサが記載されている。ホイスラー合金は高いスピン分極率を有し、磁気センサの出力信号が増加することが期待される。一方で、特許文献1には、高温又は所定の結晶性を有する厚い下地基板上に成膜しないと、ホイスラー合金が結晶化しにくいことが記載されている。特許文献1には、高温での成膜や厚い下地基板は磁気センサの出力低下の原因となりえることが記載されている。特許文献1は、強磁性層を非結晶層と結晶層との積層構造とすることで、磁気センサの出力が大きくなることが記載されている。
米国特許第9412399号公報
磁気センサの出力信号の大きさは、磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化率(MR比)に依存する。一般に、非磁性層を挟む強磁性層の結晶性が高い方が、MR比が大きくなる傾向にある。特許文献1に記載の磁気抵抗効果素子は、非磁性層に接する強磁性層がアモルファスであり、十分大きなMR比を得ることが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、大きなMR比を実現できる磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。またその磁気抵抗効果素子に用いられる強磁性層の結晶化方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間にある非磁性層と、積層方向のいずれかにある添加物含有層と、を備え、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち少なくとも一方は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含有し、少なくとも一部が結晶化したホイスラー合金であり、前記添加物含有層は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方と、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素と、を含む非磁性層である。
(2)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記添加物含有層が2層あり、2層の前記添加物含有層は、前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層を挟んでもよい。
(3)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記添加物含有層は、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち少なくとも一方と接してもよい。
(4)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の前記第1強磁性層又は前記第2強磁性層において、前記非磁性層に近い側の第1面におけるボロン又はカーボンの濃度は、前記非磁性層から遠い側の第2面におけるボロン又はカーボンの濃度より薄くてもよい。
(5)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の前記第1強磁性層又は前記第2強磁性層において、前記非磁性層に近いほどボロン又はカーボンの濃度が薄くてもよい。
(6)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記添加物含有層は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含み、Ti、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金であってもよい。
(7)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記添加物含有層は、前記積層方向と交差する面内方向において不連続であってもよい。
(8)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記非磁性層は、Cu、Au、Ag、Cr、Alからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金であってもよい。
(9)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、基板をさらに有し、前記基板は、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前記非磁性層及び前記添加物含有層が積層される下地であり、前記基板は、アモルファスである。
(10)第2の態様にかかる強磁性層の結晶化方法は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素を含む吸収層と、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含むアモルファスのホイスラー合金の強磁性層とを積層する工程と、前記吸収層及び前記強磁性層を加熱する工程と、を有する。
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、大きなMR比を示す。また本発明に係る強磁性層の結晶化方法によれば、下地基板によらず、低温でホイスラー合金を結晶化できる。
第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。 ホイスラー合金の結晶構造を示す図である。 第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法を説明するための断面図である。 第1実施形態の変形例にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。 適用例1にかかる磁気記録素子の断面図である。 適用例2にかかる磁気記録素子の断面図である。 適用例3にかかる磁気記録素子の断面図である。 適用例4にかかる磁壁移動素子の断面図である。 適用例5にかかる高周波デバイスの模式図である。
以下、本実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本実施形態の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。まず方向について定義する。各層が積層されている方向を、積層方向という場合がある。また積層方向と交差し、各層が広がる方向を面内方向という場合がある。
図1に示す磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1と第2強磁性層2と非磁性層3と添加物含有層4,5を備える。非磁性層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との間にある。添加物含有層4,5は、第1強磁性層1、非磁性層3及び第2強磁性層2を積層方向に挟む。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1の磁化と第2強磁性層2の磁化の相対角の変化を抵抗値変化として出力する。第2強磁性層2の磁化は、例えば、第1強磁性層1の磁化より動きやすい。所定の外力を加えた場合に、第1強磁性層1の磁化の向きは変化せず(固定され)、第2強磁性層2の磁化の向きは変化する。第1強磁性層1の磁化の向きに対して第2強磁性層2の磁化の向きが変化することで、磁気抵抗効果素子10の抵抗値は変化する。この場合、第1強磁性層1は磁化固定層と言われ、第2強磁性層2は磁化自由層と言われる場合がある。以下、第1強磁性層1が磁化固定層、第2強磁性層2が磁化自由層として説明するが、この関係は逆でもよい。
所定の外力を印加した際の第1強磁性層1の磁化と第2強磁性層2の磁化との動きやすさの差は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との保磁力の違いにより生じる。例えば、第2強磁性層2の厚みを第1強磁性層1の厚みより薄くすると、第2強磁性層2の保磁力が第1強磁性層1の保磁力より小さくなる。また例えば、第1強磁性層1の非磁性層3と反対側の面に、スペーサ層を介して、反強磁性層を設けてもよい。第1強磁性層1、スペーサ層、反強磁性層は、シンセティック反強磁性構造(SAF構造)となる。シンセティック反強磁性構造は、スペーサ層を挟む2つの磁性層からなる。第1強磁性層1と反強磁性層とが反強磁性カップリングすることで、反強磁性層を有さない場合より第1強磁性層1の保磁力が大きくなる。反強磁性層は、例えば、IrMn,PtMn等である。スペーサ層は、例えば、Ru、Ir、Rhからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、強磁性体を含む。第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含有し、少なくとも一部が結晶化したホイスラー合金である。
ホイスラー合金は、XYZまたはXYZの化学組成をもつ金属間化合物である。XYZで表記される強磁性のホイスラー合金は、フルホイスラー合金と言われ、XYZで表記される強磁性のホイスラー合金は、ハーフホイスラー合金と言われる。ハーフホイスラー合金は、フルホイスラー合金のXサイトの原子の一部が空格子となったものである。いずれも、典型的には、bcc構造を基本とした金属間化合物である。
Xは周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、YはMn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又はXの元素種であり、ZはIII族からV族の典型元素である。フルホイスラー合金は、例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoFeAl、CoFeGeGa1-x、CoMnGeGa1-x、CoMnSi、CoMnGe、CoMnGa、CoMnSn、CoMnAl、CoCrAl、CoVAl、CoMn1-aFeAlSi1-b等である。ハーフホイスラー合金は、例えば、NiMnSe、NiMnTe、NiMnSb、PtMnSb、PdMnSb、CoFeSb、NiFeSb、RhMnSb、CoMnSb、IrMnSb、NiCrSbである。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2において、ホイスラー合金は少なくとも一部が結晶化している。第1強磁性層1及び第2強磁性層2において、例えば、ホイスラー合金は全てが結晶化していてもよい。図2は、ホイスラー合金の結晶構造の一例である。図2(a)~(c)は、フルホイスラー合金の結晶構造の一例であり、図2(d)~(f)は、ハーフホイスラー合金の結晶構造の一例である。
図2(a)は、L2構造と言われる。L2構造は、Xサイトに入る元素、Yサイトに入る元素、及び、Zサイトに入る元素が固定されている。図2(b)は、L2構造由来のB2構造と言われる。B2構造は、Yサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在し、Xサイトに入る元素が固定されている。図2(c)は、L2構造由来のA2構造と言われる。A2構造は、Xサイトに入る元素とYサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在している。
図2(d)は、C1構造と言われる。C1構造は、Xサイトに入る元素、Yサイトに入る元素、及び、Zサイトに入る元素が固定されている。図2(e)は、C1構造由来のB2構造と言われる。B2構造は、Yサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在し、Xサイトに入る元素が固定されている。図2(f)は、C1構造由来のA2構造と言われる。A2構造は、Xサイトに入る元素とYサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在している。
フルホイスラー合金においてはL2構造>B2構造>A2構造の順に結晶性が高く、ハーフホイスラー合金においてはC1構造>B2構造>A2構造の順に、結晶性が高い。これらの結晶構造は結晶性の良さに違いはあるが、いずれも結晶である。従って、第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、例えば、上記のいずれかの結晶構造を有する部分を有する。
ホイスラー合金が結晶化しているか否かは、透過型電子顕微鏡(TEM)像(例えば高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡像:HAADF-STEM像)又は透過型電子線を用いた電子線回折像により判断できる。ホイスラー合金が結晶化していると、例えばHAADF-STEM像で原子が規則的に配列している状態が確認できる。より詳細には、HAADF-STEM像のフーリエ変換像に、ホイスラー合金の結晶構造に由来するスポットが現れる。またホイスラー合金が結晶化していると、電子線回折像において(001)面、(002)面、(110)面、(111)面のうち少なくとも一つの面からの回折スポットが確認できる。少なくともいずれかの手段で結晶化が確認できた場合、ホイスラー合金の少なくとも一部が結晶化していると言える。
磁気抵抗効果素子を構成する各層の組成分析は、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いて行うことができる。また、EDS線分析を行えば、例えば、各材料の膜厚方向の組成分布を確認することができる。
また第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含有する。ボロン又はカーボンは、結晶構造をなすいずれかの原子と置換されていてもよいし、結晶構造内に侵入していてもよい。
第1強磁性層1と第2強磁性層2のそれぞれに含まれるボロン及びカーボンの量は、少ないことが好ましい。ボロン及びカーボンは、第1強磁性層1や第2強磁性層2の結晶構造を乱す恐れがある。第1強磁性層1と第2強磁性層2のそれぞれに含まれるボロン及びカーボンの量は、例えば5atm%以上35atm%以下であり、好ましくは15atm%以上25atm%以下である。
第1強磁性層1と第2強磁性層2は、非磁性層3を挟む。第1強磁性層1の非磁性層3に近い側の面を第1面1aと称し、非磁性層3から遠い側の面を第2面1bと称する。第2強磁性層2の非磁性層3に近い側の面を第1面2aと称し、非磁性層3から遠い側の面を第2面2bと称する。
ボロン又はカーボンの濃度は、例えば第1面1aの方が第2面1bより低く、例えば第1面2aの方が第2面2bより低い。上述のように、ボロン及びカーボンは、第1強磁性層1や第2強磁性層2の結晶構造を乱す恐れがある。非磁性層3に接する面の結晶性が高いほど、磁気抵抗効果素子10のMR比は向上する。ボロン又はカーボンの濃度が第2面1b,2bより第1面1a,2aの方が低いと、第1面1a,2aの結晶性が高くなり、磁気抵抗効果素子10のMR比が向上する。ボロン又はカーボンの濃度は、例えば第2面1bから第1面1aに向かうに従って低くなってもよく、第2面2bから第1面2aに向かうに従って低くなってもよい。
非磁性層3は、例えば、非磁性の金属からなる。非磁性層3は、例えば、Cu、Au、Ag、Al、Crからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金である。非磁性層3は、例えば、主の構成元素としてCu、Au、Ag、Al、Crからなる群より選ばれるいずれかの元素を含む。主の構成元素とは、組成式において、Cu、Au、Ag、Al、Crが占める割合が50%以上となることを意味する。非磁性層3は、Agを含むことが好ましく、主の構成元素としてAgを含むことが好ましい。Agはスピン拡散長が長いため、Agを用いた磁気抵抗効果素子10は、大きなMR比を示す。
非磁性層3は、例えば、厚みが1nm以上10nm以下の範囲内である。非磁性層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との磁気的な結合を阻害する。
非磁性層3は、絶縁体又は半導体でもよい。非磁性の絶縁体は、例えば、Al、SiO、MgO、MgAl、およびこれらのAl、Si、Mgの一部がZn、Be等に置換された材料である。これらの材料は、バンドギャップが大きく、絶縁性に優れる。非磁性層3が非磁性の絶縁体からなる場合、非磁性層3はトンネルバリア層である。非磁性の半導体は、例えば、Si、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se等である。
添加物含有層4,5は、非磁性層である。添加物含有層4,5は、それぞれボロンとカーボンとのうち少なくとも一方と、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素と、を含む。以下、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素を第1元素と称する。添加物含有層4,5は、例えば、第1元素により構成された金属又は合金に、ボロン又はカーボンが添加されたものである。添加物含有層4,5は、好ましくは、第1元素のうちTi、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素を含む。添加物含有層4,5は、例えば、Ti、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金に、ボロン又はカーボンが添加されたものである。
添加物含有層4,5に含有される第1元素は、ボロン及びカーボンを引き寄せる性質を有する。第1元素のうちTi、Ru、Taは、特にこの性質が強い。詳細は後述するが、添加物含有層4,5が第1元素を含むことで、加熱時にボロンとカーボンとのうち少なくとも一方が、第1元素に引き寄せられることで、第1強磁性層1及び第2強磁性層2の結晶化が促進される。
図1において、添加物含有層4は第1強磁性層1に接し、添加物含有層5は第2強磁性層2に接する。添加物含有層4が第1強磁性層1に直接接すると、第1強磁性層1から添加物含有層4へのボロン又はカーボンの拡散が促進され、第1強磁性層1の結晶化が促進される。添加物含有層5が第2強磁性層2に直接接する場合も、同様に、第2強磁性層2の結晶化が促進される。
また添加物含有層4,5は、面内方向に不連続でもよい。面内方向に不連続とは、一様に均一な層ではないことを意味する。例えば面内の一部に開口を有する場合、第1元素からなる領域が面内に点在している場合は、添加物含有層4,5が面内方向に不連続である場合に該当する。添加物含有層4,5を第1強磁性層1又は第2強磁性層2と挟む位置に、別の強磁性層を積層する場合がある。この場合、添加物含有層4,5が面内方向に不連続であることで、第1強磁性層1又は第2強磁性層2と別の強磁性層とが直接接続し、これらの間の磁気的結合が強くなる。
次いで、磁気抵抗効果素子10の製造方法について説明する。磁気抵抗効果素子10の製造方法は、各層の成膜工程と成膜後のアニール工程とを有する。アニール工程において、アモルファスのホイスラー合金が結晶化する。
図3は、第1実施形態に係る磁気抵抗効果素子10の製造方法を説明するための模式図である。まず成膜の下地となる基板Subを準備する。基板Subは、結晶性を有しても、アモルファスでもよい。結晶性を有する基板としては、例えば、金属酸化物単結晶、シリコン単結晶、サファイア単結晶がある。アモルファスの基板としては、例えば、熱酸化膜付シリコン単結晶、ガラス、セラミック、石英がある。
次いで、基板Sub上に、吸収層14、強磁性層11、非磁性層13、強磁性層12、吸収層15を順に積層する。これらの層は、例えば、スパッタリング法で成膜される。
吸収層14,15は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素(第1元素)を含む。吸収層14,15は、例えば、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素の金属又は合金である。
強磁性層11,12は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含むアモルファスのホイスラー合金を含む。強磁性層11,12は、例えば、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含むアモルファスのホイスラー合金である。結晶は下地の影響を受けやすく、基板がアモルファスの場合、成膜されるホイスラー合金はアモルファスとなる。また強磁性層11,12がボロン又はカーボンを含むと、ホイスラー合金は成膜後の時点においてアモルファスになりやすい。
非磁性層13は、上述の非磁性層3と同様の材料からなる。
次いで、基板Sub上に積層した積層体をアニールする。アニールの温度は、例えば、300℃以下であり、例えば、250℃以上300℃以下である。
積層体をアニールすると、吸収層14,15に含まれる第1元素が強磁性層11,12に含まれるボロン及びカーボンを引き寄せる。ボロン及びカーボンは、第1元素に引き寄せられ、強磁性層11,12から吸収層14,15に向って拡散する。ボロン及びカーボンは、吸収層14,15に向って拡散する際に、強磁性層11,12内を移動し、強磁性層11,12内の原子をミキシングする。ミキシングされた原子は強磁性層11,12内で再配列し、強磁性層11,12が結晶化する。すなわち、ボロン又はカーボンの拡散は、強磁性層11,12内の原子の再配列を促し、強磁性層11,12の結晶化を促進する。
積層体をアニールすることで、吸収層14,15はボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含有し、添加物含有層4,5となる。強磁性層11,12は、ボロン又はカーボンの拡散によりホイスラー合金の少なくとも一部が結晶化し、拡散しなかったボロン又はカーボンが残存することで、第1強磁性層1、第2強磁性層2となる。また非磁性層13は、非磁性層3となる。その結果、図1に示す磁気抵抗効果素子10が得られる。
上述のように、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10の製造方法を用いると、下地の結晶構造によらず、ホイスラー合金を結晶化させることができる。ここでは、磁気抵抗効果素子10の製造方法の過程の一つとして紹介したが、上記の方法は単体の強磁性層の結晶化の方法にも適用できる。例えば、第1元素を含む吸収層と、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含むアモルファスのホイスラー合金を含む強磁性層とを積層し、吸収層及び強磁性層を加熱することで、アモルファスの強磁性層が結晶化する。
本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10の製造方法において、強磁性層は、300℃以下という低温で結晶化する。300℃以下であれば、例えば磁気ヘッドの他の構成要素を作製した後に、アニールを行っても、他の構成要素への悪影響を低減できる。したがって、アニールを行うタイミングが制限されず、磁気ヘッド等の素子の製造が容易になる。
またボロン及びカーボンは、アニールの際に非磁性層13から離れる方向に拡散する。非磁性層3に含まれるボロン又はカーボンは、磁気抵抗効果素子10のMR比の低下の原因となる。強磁性層11,12側にボロン及びカーボンを引き寄せることで、非磁性層3にボロン又はカーボンが含まれることを抑制できる。
また本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10は、非磁性層3を挟む第1強磁性層1及び第2強磁性層2が結晶化している。そのため、第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、高いスピン分極率を示す。その結果、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10は、高いMR比を示す。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、第1強磁性層1と第2強磁性層2とのうちいずれか一方のみが、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含有し、少なくとも一部が結晶化したホイスラー合金であってもよい。この場合、残りの一方の強磁性層は、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群より選ばれる金属、これらの金属を一以上の含む合金、これらの金属とB、C及びNのうち少なくとも一種の元素とが含まれる合金を含む。例えば、残りの一方の強磁性層の組成は、Co-Fe、Co-Fe-Bである。
また例えば、磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1、第2強磁性層2、非磁性層3及び添加物含有層4,5以外の層を有してもよい。
また例えば、図4に示す磁気抵抗効果素子10Aのように、添加物含有層は1層のみでもよい。図4では、磁気抵抗効果素子10Aが第1強磁性層1に隣接する添加物含有層4のみを有する例を示したが、磁気抵抗効果素子は第2強磁性層2に隣接する添加物含有層5のみを有してもよい。
上記の磁気抵抗効果素子10、10Aは、様々な用途に用いることができる。磁気抵抗効果素子10、10Aは、例えば、磁気ヘッド、磁気センサ、磁気メモリ、高周波フィルタなどに適用できる。
次に、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の適用例について説明する。なお、以下の適用例では、磁気抵抗効果素子として、磁気抵抗効果素子10を用いているが、磁気抵抗効果素子はこれに限定されるものではない。
図5は、適用例1にかかる磁気記録素子100の断面図である。図5は、積層方向に沿って磁気記録素子100を切断した断面図である。
図5に示すように、磁気記録素子100は、磁気ヘッドMHと磁気記録媒体Wとを有する。図5において、磁気記録媒体Wが延在する一方向をX方向とし、X方向と垂直な方向をY方向とする。XY面は、磁気記録媒体Wの主面と平行である。磁気記録媒体Wと磁気ヘッドMHとを結ぶ方向であって、XY平面に対して垂直な方向をZ方向とする。
磁気ヘッドMHは、エアベアリング面(Air Bearing Surface:媒体対向面)Sが磁気記録媒体Wの表面と対向している。磁気ヘッドMHは、磁気記録媒体Wから一定の距離で離れた位置にて、磁気記録媒体Wの表面に沿って、矢印+Xと矢印-Xの方向に移動する。磁気ヘッドMHは、磁気センサとして作用する磁気抵抗効果素子10と磁気記録部(不図示)とを有する。抵抗測定器21は、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値を測定する。
磁気記録部は、磁気記録媒体Wの記録層W1に磁場を印加し、記録層W1の磁化の向きを決定する。すなわち、磁気記録部は、磁気記録媒体Wの磁気記録を行う。磁気抵抗効果素子10は、磁気記録部によって書き込まれた記録層W1の磁化の情報を読み取る。
磁気記録媒体Wは、記録層W1と裏打ち層W2とを有する。記録層W1は磁気記録を行う部分であり、裏打ち層W2は書込み用の磁束を再び磁気ヘッドMHに還流させる磁路(磁束の通路)である。記録層W1は、磁気情報を磁化の向きとして記録している。
磁気抵抗効果素子10の第2強磁性層2は、例えば、磁化自由層である。このため、エアベアリング面Sに露出した第2強磁性層2は、対向する磁気記録媒体Wの記録層W1に記録された磁化の影響を受ける。例えば、図5においては、記録層W1の+z方向に向いた磁化の影響を受けて、第2強磁性層2の磁化の向きが+z方向を向く。この場合、磁化固定層である第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行となる。
ここで、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行の場合の抵抗と、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが反平行の場合の抵抗とは異なる。平行の場合の抵抗値と反平行の場合の抵抗値の差が大きいほど、磁気抵抗効果素子10のMR比は大きくなる。本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい。したがって、抵抗測定器21によって、記録層W1の磁化の情報を抵抗値変化として正確に読み出すことができる。
磁気ヘッドMHの磁気抵抗効果素子10の形状は特に制限はない。例えば、磁気抵抗効果素子10の第1強磁性層1に対する磁気記録媒体Wの漏れ磁場の影響を避けるために、第1強磁性層1を磁気記録媒体Wから離れた位置に設置してもよい。
図6は、適用例2にかかる磁気記録素子101の断面図である。図6は、積層方向に沿って磁気記録素子101を切断した断面図である。
図6に示すように、磁気記録素子101は、磁気抵抗効果素子10と電源22と測定部23とを有する。電源22は、磁気抵抗効果素子10の積層方向に電位差を与える。電源22は、例えば、直流電源である。測定部23は、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値を測定する。
電源22により第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に電位差が生じると、磁気抵抗効果素子10の積層方向に電流が流れる。電流は、第1強磁性層1を通過する際にスピン偏極し、スピン偏極電流となる。スピン偏極電流は、非磁性層3を介して、第2強磁性層2に至る。第2強磁性層2の磁化は、スピン偏極電流によるスピントランスファートルク(STT)を受けて磁化反転する。第1強磁性層1の磁化の向きと第2強磁性層2の磁化の向きとの相対角が変化することで、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値は、測定部23で読み出される。すなわち、図6に示す磁気記録素子101は、スピントランスファートルク(STT)型の磁気記録素子である。
図6に示す磁気記録素子101は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、データを正確に記録できる。
図7は、適用例3にかかる磁気記録素子102の断面図である。図7は、積層方向に沿って磁気記録素子102を切断した断面図である。
図7に示すように、磁気記録素子102は、磁気抵抗効果素子10と電源22と測定部23とを有する。電源22の接続方法が、図6に示す磁気記録素子101と異なる。電源22は、平面視で磁気抵抗効果素子10を挟む添加物含有層4の第1端と第2端の間に電流を印加する。
電源22により添加物含有層4の第1端と第2端との間に電位差を生み出すと、添加物含有層4の面内方向に電流が流れる。添加物含有層4は、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させる機能を有する。添加物含有層4の面内方向に電流が流れると、スピン軌道相互作用によりスピンホール効果が生じる。スピンホール効果は、移動するスピンが電流の流れ方向と直交する方向に曲げられる現象である。スピンホール効果は、添加物含有層4内にスピンの偏在を生み出し、添加物含有層4の厚み方向にスピン流を誘起する。スピンは、スピン流によって添加物含有層4から第1強磁性層1に注入される。
第1強磁性層1に注入されたスピンは、第1強磁性層1の磁化にスピン軌道トルク(SOT)を与える。第1強磁性層1は、スピン軌道トルク(SOT)を受けて、磁化反転する。この場合、第1強磁性層1が磁化自由層となり、第2強磁性層2が磁化固定層となる。第1強磁性層1の磁化の向きと第2強磁性層2の磁化の向きとが変化することで、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値は、測定部23で読み出される。すなわち、図7に示す磁気記録素子102は、スピン軌道トルク(SOT)型の磁気記録素子である。
図7に示す磁気記録素子102は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、データを正確に記録できる。
また図7に示す磁気記録素子102は、添加物含有層4が配線を兼ねる構成を示したが、添加物含有層4の第1強磁性層1と反対側の面に別途配線を設けてもよい。この場合、配線は、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させる機能を有する金属、合金、金属間化合物、金属硼化物、金属炭化物、金属珪化物、金属燐化物のいずれかを含む。例えば、配線は、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号を有する非磁性金属を含む。
図8は、適用例4にかかる磁壁移動素子(磁壁移動型磁気記録素子)の断面図である。
磁壁移動素子103は、磁気抵抗効果素子10と第1磁化固定層24と第2磁化固定層25とを有する。磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1と第2強磁性層2と非磁性層3と添加物含有層4,5からなる。図8において、第1強磁性層1が延びる方向をX方向とし、X方向と垂直な方向をY方向とし、XY平面に対して垂直な方向をZ方向とする。
第1磁化固定層24及び第2磁化固定層25は、第1強磁性層1の第1端と第2端に接続されている。第1端と第2端は、X方向に第2強磁性層2及び非磁性層3を挟む。
第1強磁性層1は、内部の磁気的な状態の変化により情報を磁気記録可能な層である。第1強磁性層1は、内部に第1磁区1Aと第2磁区1Bとを有する。第1強磁性層1のうち第1磁化固定層24又は第2磁化固定層25とZ方向に重なる位置の磁化は、一方向に固定される。第1磁化固定層24とZ方向に重なる位置の磁化は例えば+Z方向に固定され、第2磁化固定層25とZ方向に重なる位置の磁化は例えば-Z方向に固定される。その結果、第1磁区1Aと第2磁区1Bとの境界に磁壁DWが形成される。第1強磁性層1は、磁壁DWを内部に有するができる。図8に示す第1強磁性層1は、第1磁区1Aの磁化M1Aが+Z方向に配向し、第2磁区1Bの磁化M1Bが-Z方向に配向している。
磁壁移動素子103は、第1強磁性層1の磁壁DWの位置によって、データを多値又は連続的に記録できる。第1強磁性層1に記録されたデータは、読み出し電流を印加した際に、磁壁移動素子103の抵抗値変化として読み出される。
第1強磁性層1における第1磁区1Aと第2磁区1Bとの比率は、磁壁DWが移動すると変化する。第2強磁性層2の磁化Mは、例えば、第1磁区1Aの磁化M1Aと同じ方向(平行)であり、第2磁区1Bの磁化M1Bと反対方向(反平行)である。磁壁DWが+X方向に移動し、Z方向からの平面視で第2強磁性層2と重畳する部分における第1磁区1Aの面積が広くなると、磁壁移動素子103の抵抗値は低くなる。反対に、磁壁DWが-X方向に移動し、Z方向からの平面視で第2強磁性層2と重畳する部分における第2磁区1Bの面積が広くなると、磁壁移動素子103の抵抗値は高くなる。
磁壁DWは、第1強磁性層1のX方向に書込み電流を流す、又は、外部磁場を印加することによって移動する。例えば、第1強磁性層1の+X方向に書込み電流(例えば、電流パルス)を印加すると、電子は電流と逆の-X方向に流れるため、磁壁DWは-X方向に移動する。第1磁区1Aから第2磁区1Bに向って電流が流れる場合、第2磁区1Bでスピン偏極した電子は、第1磁区1Aの磁化M1Aを磁化反転させる。第1磁区1Aの磁化M1Aが磁化反転することで、磁壁DWが-X方向に移動する。
図8に示す磁壁移動素子103は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、データを正確に記録できる。
図9は、適用例5にかかる高周波デバイス104の模式図である。図9に示すように、高周波デバイス104は、磁気抵抗効果素子10と直流電源26とインダクタ27とコンデンサ28と出力ポート29と配線30,31を有する。
配線30は、磁気抵抗効果素子10と出力ポート29とを繋ぐ。配線31は、配線30から分岐し、インダクタ27及び直流電源26を介し、グラウンドGへ至る。直流電源26、インダクタ27、コンデンサ28は、公知のものを用いることができる。インダクタ27は、電流の高周波成分をカットし、電流の不変成分を通す。コンデンサ28は、電流の高周波成分を通し、電流の不変成分をカットする。インダクタ27は高周波電流の流れを抑制したい部分に配設し、コンデンサ28は直流電流の流れを抑制したい部分に配設する。
磁気抵抗効果素子10に含まれる強磁性層に交流電流または交流磁場を印加すると、第2強磁性層2の磁化は歳差運動する。第2強磁性層2の磁化は、第2強磁性層2に印加される高周波電流又は高周波磁場の周波数が、第2強磁性層2の強磁性共鳴周波数の近傍の場合に強く振動し、第2強磁性層2の強磁性共鳴周波数から離れた周波数ではあまり振動しない。この現象を強磁性共鳴現象という。
磁気抵抗効果素子10の抵抗値は、第2強磁性層2の磁化の振動により変化する。直流電源26は、磁気抵抗効果素子10に直流電流を印加する。直流電流は、磁気抵抗効果素子10の積層方向に流れる。直流電流は、配線30,31、磁気抵抗効果素子10を通りグラウンドGへ流れる。磁気抵抗効果素子10の電位は、オームの法則に従い変化する。磁気抵抗効果素子10の電位の変化(抵抗値の変化)に応じて高周波信号が出力ポート29から出力される。
図9に示す高周波デバイス104は、結晶化したホイスラー合金を含み、抵抗値の変化幅が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、大きな出力の高周波信号を発信できる。
1…第1強磁性層、1a,2a…第1面、1b,2b…第2面、1A…第1磁区、1B…第2磁区、2…第2強磁性層、3,13…非磁性層、4,5…添加物含有層、10,10A…磁気抵抗効果素子、11,12…強磁性層、14,15…吸収層、21…抵抗測定器、22…電源、23…測定部、24…第1磁化固定層、25…第2磁化固定層、26…直流電源、27…インダクタ、28…コンデンサ、29…出力ポート、30,31…配線、100,101,102…磁気記録素子、103…磁壁移動素子、104…高周波デバイス、DW…磁壁、Sub…基板

Claims (8)

  1. 第1強磁性層と、
    第2強磁性層と、
    前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間にある非磁性層と、
    前記第1強磁性層の前記非磁性層と反対側と、前記第2強磁性層の前記非磁性層と反対側と、のうち少なくともいずれかにある添加物含有層と、を備え、
    前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち少なくとも一方は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含有し、少なくとも一部が結晶化したホイスラー合金であり、
    前記添加物含有層は、
    ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方と、
    Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素と、を含み、
    前記添加物含有層は、面内の一部に開口を有する、磁気抵抗効果素子。
  2. 前記添加物含有層が2層あり、
    2層の前記添加物含有層は、前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層を挟む、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第1強磁性層又は前記第2強磁性層において、前記非磁性層に近い側の第1面におけるボロン又はカーボンの濃度は、前記非磁性層から遠い側の第2面におけるボロン又はカーボンの濃度より薄い、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第1強磁性層又は前記第2強磁性層において、前記非磁性層に近いほどボロン又はカーボンの濃度が薄い、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記添加物含有層は、ボロンとカーボンとのうち少なくとも一方を含み、Ti、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記添加物含有層は、積層方向と交差する面内方向において不連続である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記非磁性層は、Cu、Au、Ag、Cr、Alからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 基板をさらに有し、
    前記基板は、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層、前記非磁性層及び前記添加物含有層が積層される下地であり、
    前記基板は、アモルファスである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
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