JP5703641B2 - 記憶素子及びメモリ - Google Patents

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Description

本発明は、膜面に対して垂直な磁気異方性を有する磁性層を備える記憶素子、及び、この記憶素子を用いたメモリに関する。
コンピュータ等の情報機器ではランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている。
MRAMの記録を行う方法としては、電流磁場によって磁化を反転させる方法や、スピン分極した電子を直接記録層に注入して磁化反転を起こさせる方法(例えば、特許文献1参照)がある。このなかで、素子のサイズが小さくなるのに伴い記録電流を小さくできるスピン注入磁化反転が注目されている。さらに、素子を微細化するために、磁性体の磁化方向を垂直方向に向けた垂直磁化膜を用いた方法(例えば、特許文献2参照)が検討されている。さらに磁壁の移動を利用して高密度の記録を行う方法(例えば、特許文献3参照)が考案されている。
特開2004−193595号公報 特開2009−81215号公報 特開2010−98245号公報
これらの磁気メモリに用いる垂直磁化膜は、スピントルクを効果的に働かせるため磁気制動定数が小さい必要がある。しかしながら、一般的に知られているTbFeCoやCoPt等の垂直磁化膜は、磁気制動定数が大きく、上記のようなスピントルクを利用した磁気メモリには適さない。また、磁気トンネル接合を形成したときの磁気抵抗変化が小さい問題もある。
上述した問題の解決のため、本発明においては、磁気制動定数が小さく、駆動電流の低減が可能な記憶素子を提供するものである。
本発明の記憶素子は、Fe、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種類の元素と炭素とを含み、Feに対するCoの比率が1原子%を超えて30原子%以下であり、Feに対するNiの比率が1原子%を超えて70原子%以下であり、炭素の含有量がFe、Co及びNiの総量に対して3原子%以上、70原子%未満であり、膜面に垂直方向の磁気異方性を有し、磁化反転可能な磁性層を備える。さらに、この磁性層と接して形成されている塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物からなる酸化物層を備える。
また、本発明の記憶素子は、Fe、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種類の元素と炭素とを含み、炭素の含有量がFe、Co及びNiの総量に対して3原子%以上、70原子%未満であり、膜面に垂直方向の磁気異方性を有し、磁化反転可能な磁性層と、塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物からなり、磁性層と接して形成されている酸化物層と、磁性層の酸化物層が形成されている面の反対面に形成されている、炭素を吸着する元素を含む層と、炭素を吸着する元素を含む層と磁性層との間に設けられている非磁性層と、を備える。
また、本発明のメモリは、上記いずれかの記憶素子と、この記憶素子に電流を供給する配線とを備える。
本発明の記憶素子及びメモリによれば、上述の組成の磁性層を塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物層上に形成することにより、磁気制動定数が小さく安定した垂直磁化を有する磁性層を形成することができる。このため、低い電流で高速に動作可能な記憶素子を実現することができる。
本発明によれば、磁気制動定数が小さく、駆動電流の低減が可能な記憶素子を提供することができる。
本発明の実施の形態のメモリの概略構成図である。 実験例1及び実験例2の試料について、磁性層の厚さに対する磁気異方性の変化を示す図である。 実験例4の試料について、熱処理前(a)と300℃熱処理後(b)の極カー効果の測定結果を示す図である。 実験例6及び実験例7の試料について、Co又はNiの量xと垂直保磁力Hcの関係を示す図である。 実験例8及び実験例9の試料について、Fe層の厚さtに対する磁気異方性の依存性を示す図である。 実験例10及び実験例11の試料について、Pd層又はAu層の厚さtと垂直保磁力との関係を示す図である。 実験例12の試料について、炭素吸着層であるZr層の厚さtと保磁力との関係を示す図である。 実験例16及び実験例17の試料について、電流に対する磁壁の移動速度を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の記憶素子の実施の形態
2.本実施の形態の記憶素子の実験例
〈1.本発明の記憶素子の実施の形態〉
[メモリの構成例]
本発明の実施の形態のメモリの概略構成図(断面図)を図1に示す。
このメモリは、互いに直交する2種類のアドレス配線(例えばワード線とビット線)の交点付近に、磁化状態で情報を保持することができる記憶素子が配置されて成る。
即ち、シリコン基板等の半導体基体10の素子分離層により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタとして、ドレイン領域8、ソース領域7、及びゲート電極1が、それぞれ形成されている。このうち、ゲート電極1は、図中前後方向に延びる一方のアドレス配線(例えばワード線)を兼ねている。
ドレイン領域8は、基板上に複数形成される選択用トランジスタに共通して設けられ、このドレイン領域8には配線が接続される。
ソース領域7と、上方に配置されたアドレス配線(例えばビット線)6との間に、記憶素子3が配置されている。この記憶素子3は、スピン注入により磁化の向きが反転する磁性層から成る記憶層を有する。
また、この記憶素子3は、一方のアドレス配線(ゲート電極)1と、もう一方のアドレス配線6の交点付近に配置されている。
この記憶素子3は、ビット線(アドレス配線)6と、コンタクト層4を介してソース領域7とに接続されている。
これにより、2種類のアドレス配線1、6を通じて記憶素子3に電流を供給することができる。そして、記憶素子3に上下方向(記憶素子3の積層方向)の電流を流すことで、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させることができる。
[記憶素子の構成例]
次に、本実施の形態の記憶素子3について説明する。
図1に示すように、この記憶素子3は、コンタクト層4上に、下地層12、磁化固定層(参照層)14、酸化物層15、磁性層16、及び、炭素吸着層17が順次積層された積層構造を有する。そして、炭素吸着層17上に図示しない上部電極が設けられ、下地層12の底部に図示しない下部電極が設けられる。さらに、上部電極にビット線と接続される配線が設けられて記憶素子3が構成される。
記憶素子3は、一軸異方性を有する磁性層16の磁化M1の方向により情報の記憶が行われる。また、膜面垂直方向に電流を印加し、記憶層にスピントルク磁化反転を発生させることで書込みが行われる。
スピン注入により磁化M1の向きが反転する磁性層16に対して、下層に磁化固定層14が設けられている。磁性層16と磁化固定層14との間には、酸化物層15が設けられ、磁性層16と磁化固定層14とにより、MTJ素子が構成されている。
[記憶素子:磁化固定層]
磁化固定層14は、強磁性層のみにより形成されていてもよく、或いは、反強磁性層と強磁性層の反強磁性結合を利用することにより、その磁化の向きが固定された構成としてもよい。また、磁化固定層14は、単層の強磁性層から成る構成、或いは、複数層の強磁性層が非磁性層を介して積層した積層フェリ構造である。
磁化固定層14を積層フェリ構造としたときは、磁化固定層の外部磁界に対する感度を低下させることができるため、外部磁界による磁化固定層の不要な磁化変動を抑制し、記憶素子を安定して動作させることができる。さらに、各強磁性層の厚さを調整することができ、磁化固定層からの漏洩磁界を抑えることができる。
磁化固定層14は、磁性層16よりも磁化反転電流が大きい必要があるため、磁性層16よりも厚さを大きくする必要がある。磁化固定層14は、磁性層16との反転電流差が充分に大きな差となる、例えば1nm〜40nmで構成される。
磁化固定層14を構成する強磁性層の材料としては、例えば、Coを主成分とし、Cr、Ta、Nb、V、W、Hf、Ti、Zr、Pt、Pd、Fe及びNiのうち1つ以上の元素を含む合金を用いることができる。例えば、CoCr、CoPt、CoCrTa及びCoCrPt等を用いることができる。また、Tb、Dy、Gdと遷移金属とのアモルファス合金を用いることができる。例えば、TbFe、TbCo及びTbFeCo等を用いることができる。積層フェリ構造を形成する非磁性層の材料としては、Ru、Re、Ir、Os又はこれらの合金等を用いることができる。
[記憶素子:酸化物層]
酸化物層15は、塩化ナトリウム(NaCl)構造又はスピネル構造の酸化物から構成される。
塩化ナトリウム構造の酸化物としては、例えば、MgO、CoO、NiO、及び、TiO等が利用可能である。特に、MgOを用いた場合に、安定した垂直磁気異方性が得られると同時にトンネルバリア層として用いると大きな磁気抵抗(MR)比が得られるため、磁気メモリに用いるには好適である。
スピネル構造の酸化物層としては、例えば、MgAl、FeAl、CoAl、MgCr、及び、MgGa等が利用可能である。特に、MgAlを用いると大きな垂直磁気異方性と大きなMR比が得られ好適である。
これらの酸化物の作製は酸化物ターゲットを用いたrfスパッタリング法で作製してもよいし、金属ターゲットを酸素雰囲気中で成膜してもよい。また、金属膜を成膜した後に、酸素雰囲気若しくは酸素を含むプラズマ雰囲気中で適当な時間放置して酸化させてもよく、化学気相成長法(CVD)を用いてもよい。
[記憶素子:磁性層]
磁性層16は、Fe、Co、Niから選ばれた少なくとも1種類の元素、及び、炭素を含んで構成される。
磁性層16に含まれる炭素量は、Fe、Co及びNiの総量に対して、3原子%以上70原子%未満である。磁性層16における炭素量をこの範囲とすることにより、安定した垂直磁気異方性が得られる。また、磁性層16は、酸化物層15に接する部分に多くのFeが含まれている方が、垂直磁気異方性やMR比を大きくすることができる。
また、磁性層16中に含まれる炭素は、磁性層16上に炭素吸着層17を形成した後に熱処理を行うことにより、炭素吸着層17側に拡散する。このため、磁性層16の形成時と、記憶素子を形成して熱処理を行った後とでは、磁性層16に含まれる炭素量に差がある。上述の磁性層16中の炭素量の範囲は、熱処理後の炭素量を規定する。磁性層16の形成時に含まれていた炭素原子は熱処理によって主に炭素吸着層側に拡散していくが、磁性層及びその端から1nm以内に含まれる炭素原子の量を上述の範囲とすることで、安定した垂直磁気異方性が得られる。
磁性層16に含まれるCo量は、Feに対するCoの比率を1原子%を超え30原子%以下とすることが好ましい。また、磁性層16に含まれるNi量は、Feに対するNiの比率を1原子%を超えて70原子%以下であることが好ましい。
磁性層16は、FeにCo及びNiを含む方が、保磁力が大きくなり、垂直磁化膜として優れる。また、Co及びNiの含有量が多過ぎると、垂直磁気異方性が低下する。このため、CoはFeに対して30原子%以下とすることが好ましく、NiはFeに対して70原子%以下とすることが好ましい。
また、磁性層16の特性改善のために、Fe、Co、Ni及び炭素以外の元素を添加してもよい。
磁性層16の厚さは、0.5nm以上2nm以下とすることが好ましい。磁性層16の厚さを0.5nmより薄くした場合には、記憶素子の記録層として充分な磁化が得られない。また、2nmより厚い場合は磁性層16に垂直磁化が得られなくなる。
また、磁性層16は、上述の元素からなる単層膜でもよく、また、例えばFe/CoCのように、Feと含む層と、炭素を含む層と複数層に分かれていてもよい。このとき、酸化物層15側にFeを含む層が形成され、炭素吸着層17側に炭素を含む層が形成される。磁性層16を複数層から形成する場合にも、上述の理由により磁性層全体の厚さを0.5nm以上2nm以下とすることが好ましい。
特に、磁性層16は、酸化物層15に接する部分にFeが多く含まれる方が、垂直磁気異方性やMR比が大きく好ましい。ただし、酸化物層15から離れた部分に多くのFeが含まれると、垂直磁気異方性の低下が大きくなる。このため、磁性層16の膜厚を厚くする場合は、Fe/CoCのように複数層に分けて形成することが好ましい。
磁性層16の作製方法としては金属と炭素との化合物ターゲットあるいは混合物ターゲットを用いてスパッタリング法によって作製することができる。また、金属ターゲットをメタンガスなどの炭化水素ガスをスパッタリングガスに含めて成膜してもよい。他にも、例えば、CVD法で成膜してもよく、金属膜を成膜した後に炭素原子をイオン注入などの方法で膜中に導入することもできる。
[記憶素子:炭素吸着層]
炭素吸着層17は、炭素を吸着する元素(炭素吸着元素)を含む層であり、上述の炭素を含む磁性層16内の炭素量を調整するために形成される。炭素吸着層17は、Ti、V、Nb、Zr、Ta、Hf及びYから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を炭素吸着元素として含む。炭素吸着層17を磁性層16上に配置し、適当な熱処理を行うことにより、磁性層16中の炭素が炭素吸着層17の元素と化学的に結合し原子の再配列が促進される。このため、磁性層16により大きな垂直磁気異方性が得られる。また、炭素吸着層17は、上述の材料を用いることにより保護層としも機能する。
炭素吸着層17は、上述の炭素吸着元素を単独で用いてもよく、また、炭素吸着元素に他の元素を含んで構成されていてもよい。例えば、炭素吸着層17が、上述の炭素吸着元素の1種類以上と、Fe、Co及びNiから選ばれる1種類以上の元素とからなる合金から構成されていてもよい。
上述のように、Fe、Co及びNiの磁性金属と、炭素とを含む磁性層16を、塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物層15上に形成することにより、磁気制動定数が小さく、安定して垂直磁化を有する磁性層とすることができる。さらに、Ti、V、Nb、Zr、Hf、Ta及びYを含む炭素吸着層17を磁性層16上に積層し、熱処理を施すことによって、磁気制動定数が小さく、安定して垂直磁化を有する磁性層16を形成することができる。
このため、記憶素子の記憶層を上述の磁性層から構成し、さらに上述の酸化物層及び炭素吸着層を用いることにより、スピントルクを効率的に作用させられるような垂直磁化膜をすることができる。従って、スピントルクを利用した磁気メモリにおいて、磁気制動定数が小さく、低い電流で高速に動作可能な磁気メモリ素子を実現することができる。
また、磁性層16と炭素吸着層17との間に、0.5nm以下の任意の非磁性層を挿入することも可能である。非磁性層を挿入した場合にも、熱処理により磁性層16中の炭素が炭素吸着層17の元素と結合し、磁性層16の再配列が行われる。このため、磁性層16の垂直磁気異方性は失われない。
非磁性層としては、例えば、Pd、Au、Cr、Cu、Mo、Ag、Ru、W、Ir、及び、Ptを用いることができる。非磁性層を挿入することにより、記憶素子の磁歪を変化させることができる。このため、記憶素子の磁歪を調整する際などに、上記非磁性層を挿入して使用することができる。
また、磁性層16と炭素吸着層17との間に、薄い非磁性層を形成した場合には、熱処理により磁性層中の炭素が炭素吸着層側へ、非磁性層を通過して拡散する。このため、非磁性層を形成した場合にも、磁性層の保磁力は大きく変化しない。
なお、上述の酸化物層、磁性層及び炭素吸着層を含む構成は、スピントルク反転を用いた記憶素子以外にも、磁性層と、酸化物層、及び、炭素吸着層とを備えて構成される磁壁移動型の記憶素子にも適用することができる。例えば、基体上に上述の炭素吸着層を形成し、炭素吸着層上に上述の磁性層を形成する。さらに、磁性層上に酸化物層を形成する。そして、この積層体を矩形の帯状に加工し、素子の両端に電極を形成することで、磁壁移動型の記憶素子を形成することができる。
〈2.本実施の形態の記憶素子の実験例〉
本発明を適用した記憶素子の実験例について説明する。なお、以下の実験例では、実際のST−MRAMの作製は行わず、磁気特性測定用の試料のみを作製して試験を行った。
[磁性層:厚さ]
(実験例1)
酸化被膜付きシリコン基板上に、酸化物層として2nmのMgOをrfマグネトロンスパッタで成膜した。そして、酸化物層上に磁性層としてFe65Co1520の厚さを0.4nm〜1.6nmの範囲で変化させ、dcマグネトロンスパッタで成膜した。そして、磁性層上に炭素吸着層として5nmのZrをdcマグネトロンスパッタで成膜した。炭素吸着層を形成後、300℃で1時間熱処理を行い、実験例1の試料を作製した。
(実験例2)
酸化被膜付きシリコン基板上に、酸化物層として2nmのMgOをrfマグネトロンスパッタで成膜した。そして、酸化物層上に磁性層としてFe40Ni3525の厚さを0.6nm〜2.2nmの範囲で変化させ、dcマグネトロンスパッタで成膜した。そして、磁性層上に炭素吸着層として5nmのZrをdcマグネトロンスパッタで成膜した。炭素吸着層を形成後、300℃で1時間熱処理を行い、実験例1の試料を作製した。
図2に、実験例1及び実験例2の磁性体の厚さに対する磁気異方性の変化を示す。磁気異方性は面内と垂直とに磁場をかけたときの飽和磁場から求めた。図2において、磁気異方性は、正を垂直磁化、負を面内磁化として示す。
磁性層をFeCoCで構成した実験例1の試料では、磁性層が薄い方で垂直磁化が得られ、厚さが0.5nmから1.1nmの間で垂直磁化膜となった。また、磁性層をFeNiCで構成した実験例2の試料では、実験例1のFeCoCよりも厚い方で垂直磁化が得られ、0.8nmから2nmで垂直磁化膜となった。
なお、実験例1及び実験例2において、磁性層の組成Fe65Co1520及びFe40Ni3525は熱処理前の単体膜での組成である。
この結果から、磁性層の厚さを0.5nm以上2nm以下とすることにより、垂直磁化を有する素子を形成することができる。
[磁性層:炭素含有量]
(実験例3)
次に、実験例1と同様の試料において、磁性層として0.8nmのFeCoC膜をdcマグネトロンスパッタで成膜した。このとき、FeCoCの炭素量を変化させて磁性層を作製した。炭素量は、FeとCoの総量に対して5.3〜100原子%の間で変化させた。そして、磁性層上に炭素吸着層として5nmのZrをdcマグネトロンスパッタで成膜した。炭素吸着層を形成後、300℃1時間熱処理を行い、実験例3の試料を作製した。
熱処理を行った後の磁性層の断面を、組成分析機能付きの透過電子顕微鏡で観察し、磁性層とその周囲1nmの範囲に含まれる炭素の量とFeCo総量の組成比を測定した。表1に、熱処理前の磁性層成膜時の炭素の量とFeCo総量の組成比(仕込みC/FeCo比)と、熱処理後の炭素の量とFeCo総量の組成比(測定C/FeCo比)とを示す。また、各組成の磁性層の磁化方向(面内又は垂直)を表1に示す。
Figure 0005703641
実験例3の試料では、磁性層上に炭素吸着層が形成されているため、熱処理によって磁性層の炭素原子が炭素吸着層に移動するため、磁性層周囲の炭素原子の測定値は仕込み値に対して少し減少している。また、熱処理後の磁性層において、炭素量とFeCo総量との比が3原子%から70原子%までの広い範囲で垂直磁化が得られた。
[炭素吸着層:垂直磁化]
(実験例4)
次に、磁性層上の炭素吸着層の材料を変えて磁気特性を調べた。実験例1と同様の試料において、磁性層を0.8nmのFeCoC膜で形成した後、炭素吸着層として表2に示す各材料を5nmの厚さで形成した。そして、200℃〜400℃で1時間熱処理を行い、実験例4の試料を作製した。
図3に、各元素により炭素吸着層を形成した実験例4の試料について、熱処理前(a)と300℃熱処理後(b)の極カー効果の測定結果を示す。
図3に示す結果から、炭素吸着層としてTiを用いた試料のみ、熱処理前で垂直磁化が得られた。また、熱処理後では炭素吸着層としてZr、Nb、Taを用いた試料で垂直磁化が得られた。Tiは活性が高いため、dcマグネトロンスパッタによる成膜時に、熱処理と同様の炭素の吸着が起こり、磁性層中の炭素が炭素吸着層に移動したため、熱処理前で直磁化が得られたと考えられる。
熱処理前、或いは、200℃、300℃及び400℃のいずれかの熱処理後において、垂直磁化が得られた試料の炭素吸着層の材料と、何れの熱処理でも垂直磁化が得られなかった試料の炭素吸着層の材料を表2に示す。
Figure 0005703641
表2に示すように、炭素吸着層としてTi、V、Nb、Zr、Ta、Hf、及び、Yの単体元素、並びに、これらの合金を用いた試料は、熱処理前又は熱処理後において垂直磁化が得られた。これに対し、Mg、Al、Cu、W、Mo、Cr、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Rh、及び、Irを炭素吸着層として用いた試料では、熱処理前又は熱処理後において垂直磁化が得られなかった。この結果から、Ti、V、Nb、Zr、Ta、Hf、及び、Yの単体元素、並びに、それらの合金を用いることにより、磁性層中の炭素量を炭素吸着層で制御し、磁化を垂直方向に調整することができる。
[酸化物層:垂直磁化]
(実験例5)
実験例4と同様に、磁性層と接する下地層(酸化物層)の材料を変えて磁気特性を調べた。実験例1と同様の試料において、下地層を表3に示す各材料を2nmの厚さで形成した後、下地層上に磁性層として0.8nmのFeCoCを形成した。そして、磁性層上に5nmのZrを形成した後、300℃で1時間熱処理を行い、実験例5の試料を作製した。
熱処理後において、垂直磁化が得られた試料の炭素吸着層の材料と、何れの熱処理でも垂直磁化が得られなかった試料の炭素吸着層の材料を表3に示す。
Figure 0005703641
表3に示すように、下地層としてMgO、CoO、NiO、TiO、MgAl、及び、FeAlの酸化物を用いた試料は、熱処理後において垂直磁化が得られた。これに対し、金属下地では垂直磁化が全く得られなかった。また、SiO及びAlのようなアモルファス系の酸化物を下地層に用いた場合には、垂直磁化が得られなかった。この結果から、磁性層と接する下地層は、NaCl構造又はスピネル構造の酸化物を用いる必要がある。
[磁性層:Fe/Co比、Fe/Ni比]
次に、磁性層の保磁力について、FeとCo及びNiの組成比に対する依存性を調べた。
(実験例6)
実験例1と同様の試料において、磁性層として0.8nmの(Fe100−xCo)C膜を、xを変化させて形成した。xは、0〜80の間で変化させた。そして、磁性層上に炭素吸着層として5nmのZrを形成した後、300℃1時間熱処理を行い、実験例6の試料を作製した。
(実験例7)
実験例1と同様の試料において、磁性層として0.8nmの(Fe100−xNi)C膜を、xを変化させて形成した。xは、0〜80の間で変化させた。そして、磁性層上に炭素吸着層として5nmのZrを形成した後、300℃1時間熱処理を行い、実験例7の試料を作製した。
図4にFeCoC磁性層を用いた実験例6の試料と、FeNiC磁性層を用いた実験例7の試料のCo又はNiの比率xと、垂直保磁力Hcの関係を示す。
図4に示す結果から、磁性層として、FeとともにCo及びNiを含む方が、Feのみの場合よりも保磁力が大きく垂直磁化膜としては優れているが、CoおよびNiが過剰になると垂直磁化が失われる。この結果から、磁性層として、Feに添加するCoの組成は1原子%を超えて30原子%以下が好ましく、また、Feに添加するNiの組成は1原子%を超えて70原子%以下とすることが好ましい。
[磁性層:Fe層]
次に、酸化物層と接する部分にFe層を挿入して磁性層を形成した場合の結果を示す。
(実験例8)
酸化物層として2nmのMgOを形成した後、酸化物層上に磁性層として厚さtのFe層と1nmのNi60Fe2020とを形成した。厚さtは、0〜0.5nmの間で変化させた。さらに、磁性層上に炭素吸着層として5nmのTaを形成した後、300℃で1時間の熱処理を行い、実験例8の試料を作製した。
(実験例9)
酸化物層として2nmのMgOを形成した後、酸化物層上に磁性層として厚さtのFe層と1nmのNi8020とを形成した。厚さtは、0〜0.5nmの間で変化させた。さらに、磁性層上に炭素吸着層として5nmのTaを形成した後、300℃で1時間の熱処理を行い、実験例9の試料を作製した。
図5に、実験例8の試料と実験例9の試料における、酸化物層MgOの界面に設けたFe層の厚さtに対する磁気異方性の依存性を示す。
図5に示す結果から、Fe層を挿入しない場合は、つまり、磁性層としてNi60Fe2020又はNi8020を単独で用いた場合には、どちらも面内磁化膜であった。
これに対し、実験例8の試料においてFe層を挿入した場合には、0.1〜0.2nmのFe層をMgOとNi60Fe2020との間に形成することで垂直磁化が現れた。また、実験例9の試料においてFe層を挿入した場合では、0.3nmのFe層をMgOとNi8020との間に形成することで垂直磁化が現れた。
この結果から、磁性層は、単層膜としてだけではなく、上記Fe層と炭素を含む層と複数層に分かれている場合にも、垂直磁化を得ることができる。
このとき、磁性層は、酸化物層に接する部分にFeが多く含まれる方が、垂直磁気異方性やMR比が大きくなり、Fe量が過剰になると垂直磁気異方性の低下が大きくなる。また、酸化物層から離れた部分に多くのFeが含まれると、垂直磁気異方性の低下が大きくなり、例えば、Fe層をMgOと接する側ではなく、炭素を含む層と炭素吸着層との間に挿入しても垂直磁化は得られない。
磁性層をFe層と炭素を含む層と複数層に分けて形成した場合には、磁性層中のFe量を低減することが可能である。磁性層中のFeを低減することにより、磁性層の磁気モーメントを減少させることが可能である。また、Feは耐食性に劣るため、Fe量を減らすことにより、素子の耐食性を向上させることができる。
[非磁性層]
次に、磁性層と炭素吸着層の間に非磁性層を挿入した場合について調べた。
(実験例10)
実験例1と同様の方法により、酸化物層として2nmのMgOを形成した後、酸化物層上に磁性層として0.8nmのFe65Co1520を形成した。そして、磁性層上に、非磁性層として厚さtのPd層を形成した。厚さtは、0.1〜0.8nmの間で変化させた。Pd層上に炭素吸着層として5nmのTaを形成した後、400℃で1時間の熱処理を行い、実験例10の試料を作製した。
(実験例11)
実験例1と同様の方法により、酸化物層として2nmのMgOを形成した後、酸化物層上に磁性層として0.8nmのFe65Co1520を形成した。そして、磁性層上に、非磁性層として厚さtのAu層を形成した。厚さtは、0.1〜0.8nmの間で変化させた。Au層上に炭素吸着層として5nmのTaを形成した後、400℃で1時間の熱処理を行い、実験例11の試料を作製した。
図6に、実験例10及び実験例11の試料において、Pd層又はAu層の厚さtと垂直保磁力との関係を図6に示す。
図6に示すように、磁性層と炭素吸着層との間に、非磁性層を挿入した試料では、保磁力の増減は見られるものの、Pd、Au共に0.5nmの膜厚程度までは垂直磁化の著しい低下は見られない。この結果から、非磁性層を挿入した場合にも、熱処理により磁性層中の炭素が炭素吸着層側へ、非磁性層を通過して拡散することがわかる。Pd等の非磁性層を挿入することにより磁歪を変化させることができる。このため、記憶素子の磁歪を調整する際などに、Pd等の非磁性層を挿入して使用することができる。
また、上述の実験例10及び実験例11とどうように、磁性層と炭素吸着層との間に非磁性層を挿入した場合の、非磁性層元素及び厚さと、保磁力との関係を表4に示す。
Figure 0005703641
表4に示すように、非磁性層としてCr、Cu、Ag、Ru、Mo、W、Ir及びPtを用いた場合に、何れも非磁性層の厚さが0.5nm以下であれば大きな保磁力変化は見られなかった。また、非磁性層として0.7nmのPt層を用いた場合には、保磁力が100Oeまで低下した。このため、磁性層と炭素吸着層との間に挿入する非磁性層の厚さは0.5nm以下とすることが好ましい。
[炭素吸着層:厚さ]
次に、炭素吸着層の厚さと保磁力との関係について調べた。
(実験例12)
酸化被膜付きシリコン基板上に、炭素吸着層として厚さtのZrをdcマグネトロンスパッタで形成した。厚さtは、0.4nm〜1.6nmの範囲で変化させた。炭素吸着層上に、磁性層として1nmのNi40Fe4020をdcマグネトロンスパッタで形成した。そして、炭素吸着層上に、酸化物層として2nmのMgO層を形成し、300℃で1時間熱処理を行い、実験例12の試料を作製した。
図7に、実験例12の試料について、炭素吸着層であるZr層の厚さtと保磁力との関係を示す。炭素吸着層の厚さを0.3nm以上とすることで、保磁力はほぼ飽和している。このため、炭素吸着層は、0.3nm程度の薄い膜でも充分に、磁性層の炭素量の調整することができ、充分な効果を発揮することが確認できる。
炭素吸着層を薄くできれば、磁壁移動を用いるメモリなどに磁性層を適用する場合に、磁性層以外に流れる電流を減らすことができるため、動作電流低減に有効となる。
[磁性層・炭素吸着層]
磁性層と炭素吸着層とを、複数の磁性体からなる層により形成した場合について説明する。
(実験例13)
実験例1と同様に、酸化物層として2nmのMgOを形成した。そして、酸化物層上に表5に第1の磁性層として示す各材料を成膜した後、第1の磁性層上に表5に第2の磁性層として示す各材料を成膜した。そして、第2の磁性層上にキャップ層として5nmのRuを形成し、300℃で1時間の熱処理を行い、実験例13の試料を作製した。
実験例13の各試料について、第1の磁性層と第2の磁性層の組み合わせと、垂直保磁力との関係を表5に示す。
Figure 0005703641
表5に示すように、第1の磁性層として炭素を含む磁性体を用い、第2の磁性層としてZr又はTaを含む層で構成した場合にのみ垂直磁化が得られた。これに対して、第1の磁性層に炭素を含まない場合、又は、第2の磁性層にZr、Taを含まない場合には、面内磁化となった。このように、第1の磁性層、つまり、酸化物層側に炭素を含む磁性体が形成され、この炭素を含む第1の磁性層上に、炭素吸着元素を含む第2の磁性層が形成されることにより、垂直磁化が得られた。
上述の結果から、磁性層と炭素吸着層とを、Feと炭素とを含む材料からなる第1の磁性層と、炭素を吸着する元素とFe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1つ以上の元素とを含む組成物からなる第2の磁性層とにより構成することが可能である。この場合には、第2の磁性層が、磁性層として機能すると同時に、炭素吸着層として機能する。つまり、磁性層と炭素吸着層とが、外見上は一体化したように見える構成である。このように、炭素吸着層が磁性層と一体化したように見える構成の場合にも、炭素吸着元素を含む層を、炭素を含有する磁性層上に設けることにより、垂直磁化を得ることができる。
[記憶素子]
次に、上述の本実施の形態の磁性層を用いて実際にスピン注入型の磁化反転磁気記憶素子を構成し、その特性を調べた。
(実験例14)
実験例1と同様の方法により、基板上に下地層として5nmのTaと、5nmのRuを形成した。そして、下地層上に磁化固定層として2nmのCoPt、0.45nmのRu、1nmのCoFeBによりフェリ結合した磁化固定層を形成した。次に、磁化固定層上に酸化物層として0.8nmのMgOを形成した。酸化物層上に記録層として、0.15nmのFeと1nmのNi40Fe4020とからなる磁性層を積層し、記録層上に炭素吸着層として5nmのTaを形成した。この後、300℃で1時間の熱処理を行い、実験例14の試料を作製した。素子の大きさは直径150nmの円形である。
(実験例15:比較例)
実験例1と同様の方法により、基板上に下地層として5nmのTaと、5nmのRuを形成した。そして、下地層上に磁化固定層として2nmのCoPt、0.45nmのRu、及び、1nmのCoFeBによりフェリ結合した磁化固定層を形成した。次に、磁化固定層上に酸化物層として0.8nmのMgOを形成した。酸化物層上に記録層として、0.2nmのCoと0.8nmのPdとの積層膜を3周期形成し、記録層上にキャップ層として5nmのTaを形成した。この後、300℃で1時間の熱処理を行い、実験例15(比較例)の試料を作製した。素子の大きさは直径150nmの円形である。
表6に、実験例14の試料と実験例15の試料の反転電流、熱揺らぎに対する耐性KV/kT、及び、MR比を示す。
Figure 0005703641
表6に示すように反転電流は、実験例14が120μAであるのに対し、実験例15が630μAであった。このように、磁性層としてFeとNiFeCとを積層した構成の方が、反転電流が低く低記録電流化に適した記憶素子を構成することが可能である。
また、熱ゆらぎに対する耐性、及び、MR比も実験例14の試料の方が実験例15の試料よりも大きい。また、素子状態で強磁性共鳴により求めた磁気制動定数は実験例14の試料が0.025であり、実験例15の試料が0.13であった。
上述のように、記録層としてFeとNiFeCとからなる磁性層を用いた実験例14のスピン注入磁化反転磁気メモリは、磁気制動定数が小さく低い電流で磁化反転が可能であるため、省電力磁気メモリとして有効である。
[磁壁移動型記憶素子]
次に、上述の本実施の形態の磁性層を、磁壁移動型の磁気メモリに使用する場合について説明する。
(実験例16)
まず、下地層として炭素吸着層を0.3nmのZrにより形成した。そして、炭素吸着層上に磁性層として1nmのNi40Fe4020と、酸化物層として2nmのMgOを積層し、300℃で1時間の熱処理を行った。この素子から、幅100nm、長さ30μmの短冊状のパターンを形成して、素子の両端に電極を形成し、実施例16の試料を作製した。
(実験例17:比較例)
まず、下地層として0.3nmのZrを形成した。そして、下地層上に3nmのRuと、0.5nmのCoと、0.7nmのNiとからなる積層膜を5周期積層した磁性層を形成した。そして、磁性層上に酸化物層として2nmのMgOを積層し、300℃で1時間の熱処理を行った。この素子から、幅100nm、長さ30μmの短冊状のパターンを形成して、素子の両端に電極を形成し、実施例17の試料を作製した。
実験例16の試料、及び、実験例17の試料に対し、両端にパルス電流を流して磁壁の移動量から、電流に対する磁壁の移動速度を求めた。この結果を図8に示す。
図8に示すように、実験例16の試料は、実験例17の試料に対して、より小さい電流で大きな磁壁移動速度が得られた。この結果から、本実施の形態の記憶素子の構成を磁壁移動型の磁気メモリに適用した場合に、磁壁移動に必要な電流が大幅に減少することができ、著しい動作電流低減が可能となる。
上述のように、本実施の形態によれば、酸化物層をトンネルバリア層として、トンネルバリア層の両側に配置した磁性層間に働くスピン注入トルクによって磁化反転を行う記憶素子を構成することができる。そして、この記憶素子の記憶層として、磁性体にFe、Co及びNiの少なくとも1つと炭素を含む磁性体を用いることにより、磁化反転を伴う記録層に用いた場合反転に必要な電流が低減でき省電力の磁気メモリが実現できる。さらに、炭素を含む磁性層上に、Ti、V、Nb、Zr、Ta、Hf及びYの少なくとも1つを含む炭素吸着層とからなる層を形成することにより、磁化反転に必要な電流をさらに低減することが可能である。また、本実施の形態の記憶素子の構成を磁壁移動型の磁気メモリに用いることにより、磁壁の駆動電流の低減が可能である。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
1 ゲート電極、3 記憶素子、4 コンタクト層、6 アドレス配線、7 ソース領域、8 ドレイン領域、10 半導体基体、12 下地層、14 磁化固定層、15 酸化物層、16 磁性層、17 炭素吸着層

Claims (9)

  1. Fe、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種類の元素と炭素とを含み、Feに対するCoの比率が1原子%を超えて30原子%以下であり、Feに対するNiの比率が1原子%を超えて70原子%以下であり、炭素の含有量がFe、Co及びNiの総量に対して3原子%以上、70原子%未満であり、膜面に垂直方向の磁気異方性を有し、磁化反転可能な磁性層と、
    塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物からなり、前記磁性層と接して形成されている酸化物層と、を備える
    記憶素子。
  2. Fe、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種類の元素と炭素とを含み、炭素の含有量がFe、Co及びNiの総量に対して3原子%以上、70原子%未満であり、膜面に垂直方向の磁気異方性を有し、磁化反転可能な磁性層と、
    塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物からなり、前記磁性層と接して形成されている酸化物層と、
    前記磁性層の前記酸化物層が形成されている面の反対面に形成されている、炭素を吸着する元素を含む層と、
    前記炭素を吸着する元素を含む層と前記磁性層との間に設けられている非磁性層と、を備える
    記憶素子。
  3. 前記炭素を吸着する元素を含む層は、前記炭素を吸着する元素としてTi、V、Nb、Zr、Ta、Hf及びYから選ばれる少なくとも1種類以上が含まれている請求項2に記載の記憶素子。
  4. 前記炭素を吸着する元素を含む層が、Ti、V、Nb、Zr、Ta、Hf及びYから選ばれる少なくとも1種類以上の元素と、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種類以上の元素とからなる合金で形成されている請求項3に記載の記憶素子。
  5. 前記磁性層と、前記磁性層に記録される情報の基準となる層とが、前記酸化物層を介して積層されている請求項1から4のいずれかに記載の記憶素子。
  6. 前記磁性層の厚さが0.5nm以上2nm以下である請求項1から5のいずれかに記載の記憶素子。
  7. 前記酸化物層がMgO、又は、MgAlからなる請求項1から6のいずれかに記載の記憶素子。
  8. Fe、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種類の元素と炭素とを含み、Feに対するCoの比率が1原子%を超えて30原子%以下であり、Feに対するNiの比率が1原子%を超えて70原子%以下であり、炭素の含有量がFe、Co及びNiの総量に対して3原子%以上、70原子%未満であり、膜面に垂直方向の磁気異方性を有し、磁化反転可能な磁性層、及び、塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物からなり、前記磁性層と接して形成されている酸化物層を有する記憶素子と、
    前記記憶素子に電流を供給する配線と、を備える
    メモリ。
  9. Fe、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種類の元素と炭素とを含み、炭素の含有量がFe、Co及びNiの総量に対して3原子%以上、70原子%未満であり、膜面に垂直方向の磁気異方性を有し、磁化反転可能な磁性層、塩化ナトリウム構造又はスピネル構造の酸化物からなり、前記磁性層と接して形成されている酸化物層、前記磁性層の前記酸化物層が形成されている面の反対面に形成されている、炭素を吸着する元素を含む層、及び、前記炭素を吸着する元素を含む層と前記磁性層との間に設けられている非磁性層を有する記憶素子と、
    前記記憶素子に電流を供給する配線と、を備える
    メモリ。
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