JP2008300622A - 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】素子サイズを微小にしても、高い磁気抵抗比を維持しつつ磁化反転に必要な電流密度を低くすることができる磁気抵抗効果素子等を提供する。
【解決手段】磁化方向が一方向に固着された第1磁性層41と、第1磁性層41の一つの面に対峙する非磁性層42と、非磁性層42の第1磁性層41に対峙する面とは反対の面に対峙して形成される第2磁性層43と、第1磁性層41と第2磁性層43との間に設けられた非磁性層42と、第2磁性層43の非磁性層42に対峙する面とは反対の面に対峙して形成され、Gd等の希土類金属とFe等の遷移金属との合金からなる第3磁性層44と、を有し、第2磁性層43の磁化方向は、第3磁性層44の磁化方向の反転に応じて反転することを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【選択図】図3
【解決手段】磁化方向が一方向に固着された第1磁性層41と、第1磁性層41の一つの面に対峙する非磁性層42と、非磁性層42の第1磁性層41に対峙する面とは反対の面に対峙して形成される第2磁性層43と、第1磁性層41と第2磁性層43との間に設けられた非磁性層42と、第2磁性層43の非磁性層42に対峙する面とは反対の面に対峙して形成され、Gd等の希土類金属とFe等の遷移金属との合金からなる第3磁性層44と、を有し、第2磁性層43の磁化方向は、第3磁性層44の磁化方向の反転に応じて反転することを特徴とする磁気抵抗効果素子である。
【選択図】図3
Description
本発明は、磁気抵抗効果素子等に関し、より詳しくは、特に高容量の磁気メモリ装置に適した磁気抵抗効果素子等に関する。
近年、新原理に基づくデータを記憶するメモリが多数提案されており、その一つとして、磁気抵抗効果を用いてデータの読み取りを行う磁性薄膜メモリ(Magnetoresistive Random Access Memory:MRAM)が注目されつつある。
MRAMは不揮発性で書き込み、読み出しに制限の無いメモリである。また、現在メモリとして主に用いられているDRAM(Dynamic Random Access Memory)に比べて高速でかつ低電圧駆動が出来る特徴がある。
MRAMは不揮発性で書き込み、読み出しに制限の無いメモリである。また、現在メモリとして主に用いられているDRAM(Dynamic Random Access Memory)に比べて高速でかつ低電圧駆動が出来る特徴がある。
特に、酸化物等の絶縁層を強磁性層で挟んだ構造で発現するトンネル磁気抵抗効果(Tunneling Magnetoresistive:TMR効果)は巨大磁気抵抗効果の一種で、トンネル電流が強磁性層の相対的な磁化方向に影響を受けて電気抵抗が大きく変化する現象である。そのため大きな出力を得ることができ、MRAMの高密度化に適している。そこで、相対的な磁化方向を制御して電流を読み出すことで、書き込み及び読み出しを行うことができる。
しかし、高容量を実現するために素子サイズを減少させていくと、磁化反転に必要な磁場が増大し、反転に必要な電流が増大する問題がある。
この問題を解決する方法として、磁場によって素子の磁化を反転するのではなく、素子に流す電流によって直接素子の磁化を反転させるスピン注入磁化反転と称する技術が提案されている。
原理上、スピン注入磁化反転は素子構造が微小になるほど磁化反転に必要な臨界電流値は減少するので、磁気抵抗効果素子の微細化に対して有効な技術であるが、現在の問題点は磁化反転に必要な電流密度が高いことである。この問題の解決方法として、例えば、2つのスピンフィルター層を設け、これらのスピンフィルター層の磁化方向が互いに逆向きに固定されている構造からなる磁気抵抗効果素子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この問題を解決する方法として、磁場によって素子の磁化を反転するのではなく、素子に流す電流によって直接素子の磁化を反転させるスピン注入磁化反転と称する技術が提案されている。
原理上、スピン注入磁化反転は素子構造が微小になるほど磁化反転に必要な臨界電流値は減少するので、磁気抵抗効果素子の微細化に対して有効な技術であるが、現在の問題点は磁化反転に必要な電流密度が高いことである。この問題の解決方法として、例えば、2つのスピンフィルター層を設け、これらのスピンフィルター層の磁化方向が互いに逆向きに固定されている構造からなる磁気抵抗効果素子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記2つのスピンフィルター層を用いる方法では、磁気抵抗比を維持しつつ磁化反転に必要な電流密度を低下させるという観点からは、未だ不十分であり、また、磁化の熱的な安定性という観点からも問題点があった。
本発明は、上記のような従来の技術が有する種々の問題点に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、素子サイズを微小にしても、磁気抵抗比を維持しつつ磁化反転に必要な電流密度を低くすることができる磁気抵抗効果素子を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高容量なメモリセル部を有し、消費電力が低い磁気メモリ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高容量なメモリセル部を有し、消費電力が低い磁気メモリ装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、従来の2つの磁性層に加えて低い電流密度で磁化が反転する第3磁性層を設け、記憶層である第2磁性層と磁気的に結合させることにより、上記要件を満たすことが出来ることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。即ち、本発明は以下を要旨とするものである。
即ち、本発明によれば、磁化方向が一方向に固着された第1磁性層と、第1磁性層の一つの面に対峙する非磁性層と、非磁性層の第1磁性層に対峙する面とは反対の面に対峙して形成される第2磁性層と、第2磁性層の非磁性層に対峙する面とは反対の面に対峙して形成される第3磁性層と、を有し、第2磁性層の磁化方向は、第3磁性層の磁化方向の反転に応じて反転することを特徴とする磁気抵抗効果素子が提供される。
ここで、第3磁性層は、希土類金属と遷移金属との合金からなることが好ましく、希土類金属は、Gd、Tb、Dyから選ばれる少なくとも1つであり、遷移金属は、Fe、Coから選ばれる少なくとも1つであることが更に好ましい。
また、非磁性層は、金属酸化物からなる絶縁体または金属窒化物からなる絶縁体であることが好ましく、第3磁性層の磁化方向の反転は、スピン注入磁化反転により生ずることが好ましい。
一方、本発明によれば、磁気抵抗効果素子がメモリセル部を構成している磁気メモリ装置であって、磁気抵抗効果素子は、磁化方向が一方向に固着された第1磁性層と、第1磁性層に積層される非磁性層と、非磁性層に積層される第2磁性層と、第2磁性層に積層される第3磁性層と、を有し、第2磁性層の磁化方向は、第3磁性層の磁化方向の反転に応じて反転することを特徴とする磁気メモリ装置が提供される。
本発明によれば、素子サイズを微小にしても、高い磁気抵抗比を維持しつつ磁化反転に必要な電流密度を低くすることができる磁気抵抗効果素子等を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、本実施の形態が適用される磁気メモリ装置の概要を説明した模式図である。
図1(a)に示した磁気メモリ装置10には、複数のメモリセル部20がグリッド状に配置されており、各々のメモリセル部20には本実施の形態が適用される磁気抵抗効果素子が用いられている。そして、各々のメモリセル部20を挟むようにして、ビット線12とワード線13が各々複数本設置されている。これらビット線12とワード線13はメモリセル部20を挟んで直交する。X方向に隣り合うメモリセル部20同士は同じワード線13を共有し、Y方向に隣り合うメモリセル部20同士は同じビット線12を共有する。
図1(a)に示した磁気メモリ装置10には、複数のメモリセル部20がグリッド状に配置されており、各々のメモリセル部20には本実施の形態が適用される磁気抵抗効果素子が用いられている。そして、各々のメモリセル部20を挟むようにして、ビット線12とワード線13が各々複数本設置されている。これらビット線12とワード線13はメモリセル部20を挟んで直交する。X方向に隣り合うメモリセル部20同士は同じワード線13を共有し、Y方向に隣り合うメモリセル部20同士は同じビット線12を共有する。
また、図2は、図1に示した磁気メモリ装置10を構成する複数のメモリセル部20のうち1つに関する回路図である。
以下、図1および図2を参照しながら磁気メモリ装置10の動作の説明を行う。
図2に示すように、1つのメモリセルは、基本的には、電界効果トランジスタ(FET)31とメモリセル部(磁気抵抗効果素子)20の組み合わせからなる。電界効果トランジスタ31のゲート電極はワード線13に接続され、ワード線13によって制御される。
以下、図1および図2を参照しながら磁気メモリ装置10の動作の説明を行う。
図2に示すように、1つのメモリセルは、基本的には、電界効果トランジスタ(FET)31とメモリセル部(磁気抵抗効果素子)20の組み合わせからなる。電界効果トランジスタ31のゲート電極はワード線13に接続され、ワード線13によって制御される。
メモリセル部20は、後に詳述するが、図1(b)に示すように基本構造として、第1磁性層41(「磁化固定層」とも言う。)、非磁性層42(「絶縁層」とも言う。)、第2磁性層43(「磁化自由層」とも言う。)、第3磁性層44からなる。第1磁性層41の磁化の向きは固定されており、第2磁性層43の磁化の向きが第1磁性層41の磁化の向きと平行の状態を”0”とし、反平行の状態を”1”とする。
このメモリセル部20に情報を書き込み、もしくは読み出す際には、ワード線13からゲート電極にオン電圧が印加される。電界効果トランジスタ31のソース・ドレイン電極の一方はプレート電極に接続され、他方のソース・ドレイン電極は電界効果トランジスタ31に接続されているため、電界効果トランジスタ31がオン状態になるとプレート電極とメモリセル部20間が導通状態(オン状態)となる。
このメモリセル部20に情報を書き込み、もしくは読み出す際には、ワード線13からゲート電極にオン電圧が印加される。電界効果トランジスタ31のソース・ドレイン電極の一方はプレート電極に接続され、他方のソース・ドレイン電極は電界効果トランジスタ31に接続されているため、電界効果トランジスタ31がオン状態になるとプレート電極とメモリセル部20間が導通状態(オン状態)となる。
書き込みのときは、この際に空間的に生じる磁界により第2磁性層43の磁化の向きを反転させる。
また、この導通状態においてメモリセル部20の電気抵抗値を測定することができる。この電気抵抗値の測定は、ビット線12の端部に接続された図示しないセンス回路によって行う。
トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)により、第1磁性層41と第2磁性層43の磁化の向きが平行状態のとき(即ち”0”の状態)、電気抵抗値は低い。また、第1磁性層41と第2磁性層43の磁化の向きが反平行状態のとき(即ち”1”の状態)電気抵抗値は高い。このため電気抵抗値の大小を測定することで、メモリセル部20が記憶している”0”もしくは”1”の磁気記憶情報を判定することができる。
なお、図2に示した回路図は、あくまで一例であり、他の形態のものも考えられるのは勿論である。例えば、ビット線12を読み出し用と、書き込み用の2本に分け、読み出し用のビット線を第1磁性層41に接続し、書き込み用のビット線を第2磁性層43に接続するような形態でもかまわない。
また、この導通状態においてメモリセル部20の電気抵抗値を測定することができる。この電気抵抗値の測定は、ビット線12の端部に接続された図示しないセンス回路によって行う。
トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)により、第1磁性層41と第2磁性層43の磁化の向きが平行状態のとき(即ち”0”の状態)、電気抵抗値は低い。また、第1磁性層41と第2磁性層43の磁化の向きが反平行状態のとき(即ち”1”の状態)電気抵抗値は高い。このため電気抵抗値の大小を測定することで、メモリセル部20が記憶している”0”もしくは”1”の磁気記憶情報を判定することができる。
なお、図2に示した回路図は、あくまで一例であり、他の形態のものも考えられるのは勿論である。例えば、ビット線12を読み出し用と、書き込み用の2本に分け、読み出し用のビット線を第1磁性層41に接続し、書き込み用のビット線を第2磁性層43に接続するような形態でもかまわない。
また、上記の例では、書き込みのときに、空間的に生じる磁界により第2磁性層43の磁化の向きを反転させる例を挙げたが、スピン注入磁化反転により、第2磁性層43の磁化の向きを反転させる手段もある。
この場合は、図1において、膜面に垂直に第2磁性層43から第1磁性層41に向け電流を流すと、スピン偏極した伝導電子が第1磁性層41から第2磁性層43に流れ込み、第2磁性層43の電子と交換相互作用する。この結果、電子間にトルクが発生し、このトルクが十分に大きいと、第2磁性層43の磁化方向は反平行から平行に反転する。
一方、電流印加の方向を逆にすると、伝導電子が第2磁性層43から第1磁性層41に向かって流れる。このとき、非磁性層42と第1磁性層41との界面により伝導電子の一部が反射され、そのスピンが反転する。界面反射された伝導電子は、非磁性層42から再び第2磁性層43に流れ込み、第2磁性層43の電子と交換相互作用する。この結果、電子間にトルクが発生し、このトルクが十分に大きいと、第2磁性層43の磁化方向は平行から反平行に反転する。このように、スピン注入磁化反転では、電流制御(印加方向及び印加電流値)のみによって第2磁性層43の磁化の反転を誘発し、記憶状態を書き換えることができる。
なお、詳しくは後述するが、本実施の形態においては、高い磁気抵抗比を維持しつつ磁化反転に必要な電流密度を低くすることができる磁気抵抗効果素子を提供することができる。この観点からは、本実施の形態の磁気抵抗効果素子は、スピン注入磁化反転を用いた書き込み方式を使用した磁気メモリ装置10の方により好ましく適用が可能である。
この場合は、図1において、膜面に垂直に第2磁性層43から第1磁性層41に向け電流を流すと、スピン偏極した伝導電子が第1磁性層41から第2磁性層43に流れ込み、第2磁性層43の電子と交換相互作用する。この結果、電子間にトルクが発生し、このトルクが十分に大きいと、第2磁性層43の磁化方向は反平行から平行に反転する。
一方、電流印加の方向を逆にすると、伝導電子が第2磁性層43から第1磁性層41に向かって流れる。このとき、非磁性層42と第1磁性層41との界面により伝導電子の一部が反射され、そのスピンが反転する。界面反射された伝導電子は、非磁性層42から再び第2磁性層43に流れ込み、第2磁性層43の電子と交換相互作用する。この結果、電子間にトルクが発生し、このトルクが十分に大きいと、第2磁性層43の磁化方向は平行から反平行に反転する。このように、スピン注入磁化反転では、電流制御(印加方向及び印加電流値)のみによって第2磁性層43の磁化の反転を誘発し、記憶状態を書き換えることができる。
なお、詳しくは後述するが、本実施の形態においては、高い磁気抵抗比を維持しつつ磁化反転に必要な電流密度を低くすることができる磁気抵抗効果素子を提供することができる。この観点からは、本実施の形態の磁気抵抗効果素子は、スピン注入磁化反転を用いた書き込み方式を使用した磁気メモリ装置10の方により好ましく適用が可能である。
次に、メモリセル部20について詳細に説明を行う。
図3は、本実施の形態が適用される磁気抵抗効果素子であるメモリセル部20の構造の一例を説明した図である。
図3に示すメモリセル部20は、シリコン基板51、下部電極層52、反強磁性層53、第1磁性層41、非磁性層42、第2磁性層43、第3磁性層44、上部電極層54が順次積層した構造をしている。本実施の形態のメモリセル部20(磁気抵抗効果素子)は、第1磁性層41、非磁性層42、第2磁性層43、第3磁性層44を基本構成とするが、下記理由により他の層を形成するのが好ましい。
図3は、本実施の形態が適用される磁気抵抗効果素子であるメモリセル部20の構造の一例を説明した図である。
図3に示すメモリセル部20は、シリコン基板51、下部電極層52、反強磁性層53、第1磁性層41、非磁性層42、第2磁性層43、第3磁性層44、上部電極層54が順次積層した構造をしている。本実施の形態のメモリセル部20(磁気抵抗効果素子)は、第1磁性層41、非磁性層42、第2磁性層43、第3磁性層44を基本構成とするが、下記理由により他の層を形成するのが好ましい。
下部電極層52および上部電極層54は、メモリセル部20に電流を流すための層であり、情報の書き込み、読み出しの際には、この2つの電極層間に電圧を印加する。材料として具体的には、Ta等が使用できる。
また、反強磁性層53は、第1磁性層41の磁化方向を一定方向に固着するための層である。第1磁性層41を一方向に固着する方法としては、反強磁性層53上に第1磁性層41を形成した後に磁場中アニール処理をすることが望ましい。
反強磁性層53としては、Mnおよび、Ir、Pt、Rhの少なくとも一つの元素からなるMn合金であることが好ましく、例えばIrMn合金等が使用できる。
反強磁性層53としては、Mnおよび、Ir、Pt、Rhの少なくとも一つの元素からなるMn合金であることが好ましく、例えばIrMn合金等が使用できる。
第1磁性層41、非磁性層42、第2磁性層43の部分は、トンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を生じるために必要な最低限の素子構造である。前述の通り、第1磁性層41は、反強磁性層53により磁化の向きが固定された磁化固定層であり、第2磁性層43は、磁化の向きが任意の方向を向くことができる磁化自由層である。第2磁性層43の磁化の向きが第1磁性層41の磁化の向きと平行の状態を”0”、反平行の状態を”1”とすることで情報の記録を行うことができる。
第1磁性層41と第2磁性層43には、遷移金属、または遷移金属合金が使用できる。例えば、Feまたは、FeCoB合金等のFeを含む合金が使用できる。
第1磁性層41と第2磁性層43には、遷移金属、または遷移金属合金が使用できる。例えば、Feまたは、FeCoB合金等のFeを含む合金が使用できる。
非磁性層42は、絶縁体であり、トンネル障壁を形成するための層である。絶縁体を磁性体で挟んだ際に生じるトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)は、高い磁気抵抗を示すことが知られている。
非磁性層42としては、金属酸化物の絶縁体または金属窒化物の絶縁体が好ましい。具体的には、MgO、Al2O3、TiO2、SiO2等の金属酸化物あるいは、TiN、TaN等の金属窒化物が例示される。しかし、磁気抵抗変化率が飛躍的に向上すると共に、素子の電気抵抗の低減が実現できるMgOが特に好ましい。
非磁性層42としては、金属酸化物の絶縁体または金属窒化物の絶縁体が好ましい。具体的には、MgO、Al2O3、TiO2、SiO2等の金属酸化物あるいは、TiN、TaN等の金属窒化物が例示される。しかし、磁気抵抗変化率が飛躍的に向上すると共に、素子の電気抵抗の低減が実現できるMgOが特に好ましい。
ここで、本実施の形態では、第2磁性層43の上に第3磁性層44を新たに設けている。この第3磁性層44は、フェリ磁性であることが好ましい。
磁性体にはフェロ磁性を有するものとフェリ磁性を有するものの2種類があり、前者は全てのスピンが平行に向いている強磁性体で、後者はスピンが反平行を向いており、スピンの差分に応じた磁化が生じる強磁性体である。
フェリ磁性の磁性体の一つとして、希土類金属と遷移金属からなる合金がある。これは、希土類金属のスピンと遷移金属のスピンが反平行に並び、希土類金属スピンの大きさと遷移金属スピンの大きさの差に応じた磁化が飽和磁化となる。従って、合金の希土類金属と遷移金属の組成を調整することで、室温において飽和磁化を非常に低くすることが可能となる。そのために磁化反転に必要な臨界電流値も減少する。
磁性体にはフェロ磁性を有するものとフェリ磁性を有するものの2種類があり、前者は全てのスピンが平行に向いている強磁性体で、後者はスピンが反平行を向いており、スピンの差分に応じた磁化が生じる強磁性体である。
フェリ磁性の磁性体の一つとして、希土類金属と遷移金属からなる合金がある。これは、希土類金属のスピンと遷移金属のスピンが反平行に並び、希土類金属スピンの大きさと遷移金属スピンの大きさの差に応じた磁化が飽和磁化となる。従って、合金の希土類金属と遷移金属の組成を調整することで、室温において飽和磁化を非常に低くすることが可能となる。そのために磁化反転に必要な臨界電流値も減少する。
第1磁性層41/非磁性層42/第2磁性層43/第3磁性層44からなる磁気抵抗効果素子の第1磁性層41及び第2磁性層43は、通常遷移金属合金から形成されるので、磁化は遷移金属のスピンが担っている。従って、希土類金属と遷移金属からなる合金を第3磁性層44として、第2磁性層43上に形成すると、第2磁性層43の磁化の方向と第3磁性層44である希土類遷移金属合金の遷移金属スピンの方向が平行になるように磁気的に結合する。
このような構造の素子に対して電流による磁化反転を試みた場合、第1磁性層41及び第2磁性層43よりも第3磁性層44の方が飽和磁化が小さいため、第1磁性層41及び第2磁性層43よりも小さな電流で、第3磁性層44の磁化反転が生じる。ここで重要なのは前述したように第3磁性層44は第2磁性層43と磁気的に結合していることで、第3磁性層44の磁化反転が生じると、磁気的に結合した第2磁性層43も同時に磁化反転が起こる。その結果、従来よりも低い電流値で第2磁性層43の磁化を反転させることが可能となる。
また、磁気抵抗効果素子として重要なことは、電流スピン注入による磁化反転を実現するために反転に必要な臨界電流値を下げることと同時に、高い磁気抵抗比を両立することである。
磁気抵抗比は磁性層と非磁性層の界面の電子構造、特にスピンの分極率に大きく支配される。つまり、磁気抵抗に対しては第1磁性層41/非磁性層42/第2磁性層43の状態の方が重要であって、第3磁性層44は磁気抵抗比には影響を与えない。よって高い磁気抵抗比を維持したまま、磁化反転に必要な電流値を下げることができる磁気抵抗効果素子が実現できる。
磁気抵抗比は磁性層と非磁性層の界面の電子構造、特にスピンの分極率に大きく支配される。つまり、磁気抵抗に対しては第1磁性層41/非磁性層42/第2磁性層43の状態の方が重要であって、第3磁性層44は磁気抵抗比には影響を与えない。よって高い磁気抵抗比を維持したまま、磁化反転に必要な電流値を下げることができる磁気抵抗効果素子が実現できる。
第3磁性層44を構成する元素として、希土類金属としてGd、Tb、Dyの中から選ばれる少なくとも1種の元素と、遷移金属としてFe、Coの少なくとも1種の元素を含む合金であることが好ましい。例えば、GdFe合金が使用できる。
希土類金属と遷移金属の割合は、元素数比で希土類金属が20%〜25%、遷移金属が75%〜80%であることが好ましい。この割合で室温において、磁気モーメントは、打ち消し合い飽和磁化をほぼ0とすることができる。そしてこの場合、保磁力がほぼ無限大となるため磁化の熱的な安定性からも優れている。
希土類金属と遷移金属の割合は、元素数比で希土類金属が20%〜25%、遷移金属が75%〜80%であることが好ましい。この割合で室温において、磁気モーメントは、打ち消し合い飽和磁化をほぼ0とすることができる。そしてこの場合、保磁力がほぼ無限大となるため磁化の熱的な安定性からも優れている。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
磁気抵抗効果素子として、図3に示した構造のものを作製した。
各層の材料および膜厚は、下記表1に示した通りである。これらの全ての層は、3×10−5Pa以下まで排気した後にマグネトロンスパッタリング法により形成した。
また、反強磁性層53と第1磁性層41の間に一方向異方性を付与するため、反強磁性層53と第1磁性層41を成膜する際に、2kOeの磁場を印加した。最後に、イオンミリングにより、素子形状に加工した。形状は、直径100nmの円筒形とした。
磁気抵抗効果素子として、図3に示した構造のものを作製した。
各層の材料および膜厚は、下記表1に示した通りである。これらの全ての層は、3×10−5Pa以下まで排気した後にマグネトロンスパッタリング法により形成した。
また、反強磁性層53と第1磁性層41の間に一方向異方性を付与するため、反強磁性層53と第1磁性層41を成膜する際に、2kOeの磁場を印加した。最後に、イオンミリングにより、素子形状に加工した。形状は、直径100nmの円筒形とした。
(実施例2〜6)
磁気抵抗効果素子として、図3に示した構造のものを作製した。
各層の材料および膜厚は、第3磁性層44以外は、表1に示したものと同様とした。なお、第3磁性層44の材料および膜厚は、以下の表2の通りとした。
また、磁気抵抗効果素子の作製方法は、実施例1と同様に行った。
磁気抵抗効果素子として、図3に示した構造のものを作製した。
各層の材料および膜厚は、第3磁性層44以外は、表1に示したものと同様とした。なお、第3磁性層44の材料および膜厚は、以下の表2の通りとした。
また、磁気抵抗効果素子の作製方法は、実施例1と同様に行った。
(比較例1)
磁気抵抗効果素子として、実施例1の構造のものに対し、第3磁性層44がない構造のものを作製した。
他の層の材料および膜厚は、実施例1と同様とし、また作製方法も実施例1と同様に行った。
磁気抵抗効果素子として、実施例1の構造のものに対し、第3磁性層44がない構造のものを作製した。
他の層の材料および膜厚は、実施例1と同様とし、また作製方法も実施例1と同様に行った。
[評価]
次に、上記のようにして作製した磁気抵抗効果素子の特性を評価した。
実施例1〜6、比較例1で作製した磁気抵抗効果素子について、素子に電流の大きさと向きを変化させながら電気抵抗値を測定した。ここで、電流値は第1磁性層41から第2磁性層43に電流が流れる方向を正とした。磁化反転に必要な電流は磁化が平行から反平行に変わる際の方が大きな電流密度が必要となる。磁化が平行から反平行になるときの素子に流した電流密度(電流反転密度)及びその際の抵抗変化率(磁気抵抗比)を表3に示す。
次に、上記のようにして作製した磁気抵抗効果素子の特性を評価した。
実施例1〜6、比較例1で作製した磁気抵抗効果素子について、素子に電流の大きさと向きを変化させながら電気抵抗値を測定した。ここで、電流値は第1磁性層41から第2磁性層43に電流が流れる方向を正とした。磁化反転に必要な電流は磁化が平行から反平行に変わる際の方が大きな電流密度が必要となる。磁化が平行から反平行になるときの素子に流した電流密度(電流反転密度)及びその際の抵抗変化率(磁気抵抗比)を表3に示す。
表3より、実施例1〜6と比較例1では電気抵抗値が変化する電流反転密度は実施例1〜6の方が、比較例1よりも低い。これにより、従来よりも低い電流密度で磁化反転が生じたことがわかる。
一方、磁気抵抗比は実施例1〜6と比較例1ではほとんど違いがなかった。これは、磁気抵抗が生じるのが絶縁層に接する磁性層の界面に起因するためであると考えられる。すなわち、遷移金属と希土類金属からなる合金を第3磁性層44として用いることにより、磁気抵抗比に影響を及ぼすことなく、磁化反転に必要な電流密度のみを低減できることがわかる。
一方、磁気抵抗比は実施例1〜6と比較例1ではほとんど違いがなかった。これは、磁気抵抗が生じるのが絶縁層に接する磁性層の界面に起因するためであると考えられる。すなわち、遷移金属と希土類金属からなる合金を第3磁性層44として用いることにより、磁気抵抗比に影響を及ぼすことなく、磁化反転に必要な電流密度のみを低減できることがわかる。
10…磁気メモリ装置、12…ビット線、13…ワード線、20…メモリセル部、31…電界効果トランジスタ、41…第1磁性層、42…非磁性層、43…第2磁性層、44…第3磁性層、51…シリコン基板、52…下部電極層、53…反強磁性層、54…上部電極層
Claims (6)
- 磁化方向が一方向に固着された第1磁性層と、
前記第1磁性層の一つの面に対峙する非磁性層と、
前記非磁性層の前記第1磁性層に対峙する面とは反対の面に対峙して形成される第2磁性層と、
前記第2磁性層の前記非磁性層に対峙する面とは反対の面に対峙して形成される第3磁性層と、を有し、
前記第2磁性層の磁化方向は、前記第3磁性層の磁化方向の反転に応じて反転することを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記第3磁性層は、希土類金属と遷移金属との合金からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記希土類金属は、Gd、Tb、Dyから選ばれる少なくとも1つであり、前記遷移金属は、Fe、Coから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記非磁性層は、金属酸化物からなる絶縁体または金属窒化物からなる絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第3磁性層の磁化方向の反転は、スピン注入磁化反転により生ずることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
- 磁気抵抗効果素子がメモリセル部を構成している磁気メモリ装置であって、
前記磁気抵抗効果素子は、
磁化方向が一方向に固着された第1磁性層と、
前記第1磁性層に積層される非磁性層と、
前記非磁性層に積層される第2磁性層と、
前記第2磁性層に積層される第3磁性層と、を有し、
前記第2磁性層の磁化方向は、前記第3磁性層の磁化方向の反転に応じて反転することを特徴とする磁気メモリ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007144970A JP2008300622A (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ装置 |
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---|---|
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ID=40173842
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JP2007144970A Withdrawn JP2008300622A (ja) | 2007-05-31 | 2007-05-31 | 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011507243A (ja) * | 2007-12-13 | 2011-03-03 | クロッカス・テクノロジー・ソシエテ・アノニム | 熱支援筆記手順を備える磁気メモリ装置と方法 |
JP2013175680A (ja) * | 2012-02-27 | 2013-09-05 | Nippon Hoso Kyokai <Nhk> | スピン注入磁化反転素子および磁気抵抗ランダムアクセスメモリ |
-
2007
- 2007-05-31 JP JP2007144970A patent/JP2008300622A/ja not_active Withdrawn
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