JP2021103771A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

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心人 市川
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和海 犬伏
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Abstract

【課題】大きな磁気抵抗変化率を示す磁気抵抗効果素子を提供する。【解決手段】この磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間にある非磁性層と、を備え、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち少なくとも一方は、前記非磁性層に近い側から順に第1層と第2層とを備え、前記第1層は、結晶化したCo基ホイスラー合金を含み、前記第2層は、少なくとも一部が結晶化しており、かつ強磁性元素とボロン元素と添加物元素とを含み、前記添加物元素は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素である。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に関する。
磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果により積層方向の抵抗値が変化する素子である。磁気抵抗効果素子は、2つの強磁性層とこれらに挟まれた非磁性層とを備える。非磁性層に導体が用いられた磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗(GMR)素子と言われ、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)が用いられた磁気抵抗効果素子は、トンネル磁気抵抗(TMR)素子と言われる。磁気抵抗効果素子は、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)等の様々な用途への応用が可能である。
特許文献1には、ホイスラー合金を強磁性層に用いた磁気抵抗効果素子を備える磁気センサが記載されている。ホイスラー合金は高いスピン分極率を有し、磁気センサの出力信号が増加することが期待される。一方で、特許文献1には、高温又は所定の結晶性を有する厚い下地基板上に成膜しないと、ホイスラー合金が結晶化しにくいことが記載されている。特許文献1には、高温での成膜や厚い下地基板は磁気センサの出力低下の原因となりえることが記載されている。特許文献1は、強磁性層を非結晶層と結晶層との積層構造とすることで、磁気センサの出力が大きくなることが記載されている。
米国特許第9412399号明細書
磁気センサの出力信号の大きさは、磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化率(MR比)に依存する。一般に、非磁性層を挟む強磁性層の結晶性が高い方が、MR比が大きくなる傾向にある。特許文献1に記載の磁気抵抗効果素子は、非磁性層に接する強磁性層がアモルファスであり、十分大きなMR比を得ることが難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、大きなMR比を実現できる磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間にある非磁性層と、を備え、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち少なくとも一方は、前記非磁性層に近い側から順に第1層と第2層とを備え、前記第1層は、結晶化したCo基ホイスラー合金を含み、前記第2層は、少なくとも一部が結晶化しており、強磁性元素とボロン元素と添加物元素とを含み、前記添加物元素は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素である。
(2)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層が、いずれも前記第1層及び前記第2層を備えてもよい。
(3)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記Co基ホイスラー合金は、化学量論組成でCoYZ又はCoYZで表記され、前記Co基ホイスラー合金は、Co組成比が化学量論組成比より少なくてもよい。
(4)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の前記第2層は、結晶化したCoFeB−Aからなり、前記第2層において、Feの含有量がCoの含有量より多くてもよい。
(5)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の前記第2層は、前記添加物元素の含有量がボロンの含有量より多くてもよい。
(6)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記第1層と前記第2層とが格子整合していてもよい。
(7)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記第2層の前記非磁性層から遠い側の面に接するボロン吸収層を有し、前記ボロン吸収層は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素を含んでもよい。
(8)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記Co基ホイスラー合金は、結晶構造がL2構造またはB2構造であってもよい。
(9)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記Co基ホイスラー合金は、Coαβで表記され、前記Yは、Fe、Mn、Crからなる群から選択された1種以上の元素であり、前記Zは、Si、Al、Ga、Geからなる群から選択された1種以上の元素であり、α+β>2を満たしてもよい。
(10)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記第1強磁性層と前記非磁性層の間と、前記第2強磁性層と前記非磁性層の間とのうち少なくとも一方に、バッファ層を備え、前記バッファ層はNiAl合金またはNiを含んでいてもよい。
(11)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記バッファ層の厚みは0.63nm以下でもよい。
(12)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記非磁性層は、Cu、Au、Ag、Al、Crからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金であってもよい。
(13)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子は、基板をさらに有し、前記基板は、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層及び前記非磁性層が積層される下地であり、前記基板は、アモルファスであってもよい。
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、大きなMR比を示す。
第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。 ホイスラー合金の結晶構造を示す図である。 第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法を説明するための断面図である。 第1実施形態の第1変形例にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。 第1実施形態の第2変形例にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。 第1実施形態の第3変形例にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。 適用例1にかかる磁気記録素子の断面図である。 適用例2にかかる磁気記録素子の断面図である。 適用例3にかかる磁気記録素子の断面図である。 適用例4にかかる磁壁移動素子の断面図である。 適用例5にかかる高周波デバイスの断面図である。
以下、本実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本実施形態の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面図である。まず方向について定義する。各層が積層されている方向を、積層方向という場合がある。また積層方向と交差し、各層が広がる方向を面内方向という場合がある。
図1に示す磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1と第2強磁性層2と非磁性層3とを備える。非磁性層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との間にある。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1の磁化と第2強磁性層2の磁化の相対角の変化を抵抗値変化として出力する。第2強磁性層2の磁化は、例えば、第1強磁性層1の磁化より動きやすい。所定の外力を加えた場合に、第1強磁性層1の磁化の向きは変化せず(固定され)、第2強磁性層2の磁化の向きは変化する。第1強磁性層1の磁化の向きに対して第2強磁性層2の磁化の向きが変化することで、磁気抵抗効果素子10の抵抗値は変化する。この場合、第1強磁性層1は磁化固定層と言われ、第2強磁性層2は磁化自由層と言われる場合がある。以下、第1強磁性層1が磁化固定層、第2強磁性層2が磁化自由層として説明するが、この関係は逆でもよい。
所定の外力を印加した際の第1強磁性層1の磁化と第2強磁性層2の磁化との動きやすさの差は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との保磁力の違いにより生じる。例えば、第2強磁性層2の厚みを第1強磁性層1の厚みより薄くすると、第2強磁性層2の保磁力が第1強磁性層1の保磁力より小さくなる。また例えば、第1強磁性層1の非磁性層3と反対側の面に、スペーサ層を介して、反強磁性層を設けてもよい。第1強磁性層1、スペーサ層、反強磁性層は、シンセティック反強磁性構造(SAF構造)となる。シンセティック反強磁性構造は、スペーサ層を挟む2つの磁性層からなる。第1強磁性層1と反強磁性層とが反強磁性カップリングすることで、反強磁性層を有さない場合より第1強磁性層1の保磁力が大きくなる。反強磁性層は、例えば、IrMn,PtMn等である。スペーサ層は、例えば、Ru、Ir、Rhからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、強磁性体を含む。図1に示す磁気抵抗効果素子10の第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、いずれも第1層1A,2Aと第2層1B,2Bとを有する。第1強磁性層1は、非磁性層3に近い側から順に、第1層1Aと第2層1Bとを有する。第2強磁性層2は、非磁性層3に近い側から順に、第1層2Aと第2層2Bとを有する。
例えば、第1層1Aと第2層1Bは格子整合し、第1層2Aと第2層2Bは格子整合している。格子整合するとは、第1層1Aと第2層1Bの界面、及び、第1層2Aと第2層2Bの界面において、原子が積層方向に連続的に配列していることを意味する。第1層1Aと第2層1B、又は、第1層2Aと第2層2Bの格子整合度は、例えば、5%以内である。格子整合度は、第1層1A,2Aの格子定数を基準とした際の第2層1B,2Bの格子定数のずれの程度である。第1層1Aと第2層1B及び第1層2Aと第2層2Bが格子整合すると、磁気抵抗効果素子10のMR比が高まる。
第1層1A,2Aは、いずれも結晶化したCo基ホイスラー合金を含む。第1層1A,2Aはそれぞれ、例えば、Co基ホイスラー合金からなり、Co基ホイスラー合金は少なくとも一部が結晶化している。第1層1A,2Aはそれぞれ、例えば、全てが結晶化したCo基ホイスラー合金からなってもよい。
ホイスラー合金は、XYZまたはXYZの化学組成をもつ金属間化合物である。XYZで表記される強磁性のホイスラー合金は、フルホイスラー合金と言われ、XYZで表記される強磁性のホイスラー合金は、ハーフホイスラー合金と言われる。ハーフホイスラー合金は、フルホイスラー合金のXサイトの原子の一部が空格子となったものである。いずれも、典型的には、bcc構造を基本とした金属間化合物である。
図2は、ホイスラー合金の結晶構造の一例である。図2(a)〜(c)は、フルホイスラー合金の結晶構造の一例であり、図2(d)〜(f)は、ハーフホイスラー合金の結晶構造の一例である。
図2(a)は、L2構造と言われる。L2構造は、Xサイトに入る元素、Yサイトに入る元素、及び、Zサイトに入る元素が固定されている。図2(b)は、L2構造由来のB2構造と言われる。B2構造は、Yサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在し、Xサイトに入る元素が固定されている。図2(c)は、L2構造由来のA2構造と言われる。A2構造は、Xサイトに入る元素とYサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在している。
図2(d)は、C1構造と言われる。C1構造は、Xサイトに入る元素、Yサイトに入る元素、及び、Zサイトに入る元素が固定されている。図2(e)は、C1構造由来のB2構造と言われる。B2構造は、Yサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在し、Xサイトに入る元素が固定されている。図2(f)は、C1構造由来のA2構造と言われる。A2構造は、Xサイトに入る元素とYサイトに入る元素とZサイトに入る元素とが混在している。
フルホイスラー合金においてはL2構造>B2構造>A2構造の順に結晶性が高く、ハーフホイスラー合金においてはC1構造>B2構造>A2構造の順に、結晶性が高い。これらの結晶構造は結晶性の良さに違いはあるが、いずれも結晶である。従って、第1層1A,2Aはそれぞれ、例えば、上記のいずれかの結晶構造を有する。第1層1A,2Aのそれぞれの結晶構造は、例えば、L2構造またはB2構造である。
ホイスラー合金が結晶化しているか否かは、透過型電子顕微鏡(TEM)像(例えば高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡像:HAADF−STEM像)又は透過型電子線を用いた電子線回折像により判断できる。ホイスラー合金が結晶化していると、例えばTEMで撮影したHAADF−STEM像で原子が規則的に配列している状態が確認できる。より詳細には、HAADF−STEM像のフーリエ変換像に、ホイスラー合金の結晶構造に由来するスポットが現れる。またホイスラー合金が結晶化していると、電子線回折像において(001)面、(002)面、(110)面、(111)面のうち少なくとも一つの面からの回折スポットが確認できる。少なくともいずれかの手段で結晶化が確認できた場合、ホイスラー合金の少なくとも一部が結晶化していると言える。
磁気抵抗効果素子を構成する各層の組成分析は、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いて行うことができる。また、EDS線分析を行えば、例えば、各材料の膜厚方向の組成分布を確認することができる。
Co基ホイスラー合金は、上記のXサイトがCoであるホイスラー合金である。YはMn、V、Cr、Ti族の遷移金属又はCo、Fe、Ni、Cu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、ZはIII族からV族の典型元素である。Y元素は、Fe、Mn、Crからなる群から選択された1種以上の元素であることが好ましく、Z元素は、Si、Al、Ga、Geからなる群から選択された1種以上の元素であることが好ましい。
フルホイスラー合金は、例えば、CoFeSi、CoFeGe、CoFeGa、CoFeAl、CoFeGeGa1−x、CoMnSi、CoMnGe、CoMnGa、CoMnSn、CoMnAl、CoCrAl、CoVAl、CoMn1−aFeAlSi1−b、等である。ハーフホイスラー合金は、例えば、CoFeSb、NiMnSe、NiMnTe、NiMnSb、PtMnSb、PdMnSb、CoFeSb、RhMnSb、CoMnSb、IrMnSb、NiCrSbである。
第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金は、例えば、Coαβで表記される。化学量論組成のCo基のフルホイスラー合金は、CoYZで表記される。第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金のCo組成比は、化学量論組成比より少ないことが好ましい。すなわち、Co基ホイスラー合金がフルホイスラー合金の場合、α+β>2を満たすことが好ましい。Co基ホイスラー合金がハーフホイスラー合金の場合、第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金は、例えば、CoYαβで表記され、α+β>1を満たすことが好ましい。
Co組成比がYサイトの元素より相対的に少ないと、Yサイトの元素がXサイト(Coが入るサイト)の元素と置換されるアンチサイトを避けることができる。アンチサイトは、ホイスラー合金のフェルミレベルを変動させる。フェルミレベルが変動すると、ホイスラー合金のハーフメタル性が低下し、スピン分極率が低下する。スピン分極率の低下は、磁気抵抗効果素子10のMR比の低下の原因となる。
第2層1B,2Bはそれぞれ、結晶化した部分を含む。また第2層1B,2Bはそれぞれ、強磁性元素とボロンと添加物元素とを含む合金が含まれる。第2層は、強磁性元素とボロンと添加物元素以外の元素を含んでいてもよい。第2層1B,2Bはそれぞれ、例えば、強磁性元素とボロンと添加物元素との合金からなっていてもよく、強磁性元素とボロンと添加物元素とは少なくとも一部が結晶化している。第2層1B,2Bはそれぞれ、例えば、全てが結晶化していてもよく、強磁性元素とボロンと添加物元素とからなってもよい。
強磁性元素は、例えばCr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1つの磁性元素である。添加物元素は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素である。
強磁性元素とボロンと添加物元素とを含む合金は、例えばCoFeB−A、CoFeGaGeB−Aである。CoFeB−Aは、CoFeB合金に添加物元素としてA元素が添加されたものである。またCoFeGaGeB−Aは、CoFeGaGeB合金に添加物元素としてA元素が添加されたものである。すなわちA元素は添加物元素の一例である。A元素は、CoFeBの結晶構造内に侵入していていても、CoFeBの結晶のいずれかの元素と置換されていてもよい。A元素は、Ti、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素であることが好ましく、Taであることが特に好ましい。
A元素は、ボロンを引き寄せる性質を有する。A元素のうちTi、Ru、Taは、特にこの性質が強い。詳細は後述するが、第2層1B,2BがA元素を含むことで、加熱時にボロンが第2層1B,2B内を移動し、第2層1B,2Bの結晶化を促進する。
第2層1B,2BにおけるA元素の含有量は、例えば、ボロンの含有量より多い。A元素の含有量は、CoFeB−Aの組成比において、例えば、0.1以上である。A元素が十分量存在すると、第2層1B,2B内のボロンをA元素が過不足なく吸着する。その結果、第2層1B,2Bから第1層1A,2Aへのボロンの拡散を抑制できる。第1層1A,2Aにボロンが含まれると、第1層1A,2Aの結晶性が低下し、MR比の低下の原因となりうる。
第2層1B,2Bが結晶化したCoFeB−Aである場合、第2層1B,2BにおけるFeの含有量は、例えば、Coの含有量より多い。第2層1B,2BにおけるFeの含有量が増えると、アニール時に第1層1A,2AのCo元素が第2層1B,2Bに拡散することを抑制できる。第1層1A,2AにおけるCo元素がXサイトから拡散しないことで、第1層1A,2Aの結晶構造がL2構造、C1構造、B2構造のいずれかとなる。L2構造、C1構造、B2構造は結晶性が高く、当該結晶構造の第1層1A,2Aを備える磁気抵抗効果素子10は、大きなMR比を示す。
非磁性層3は、例えば、非磁性の金属からなる。非磁性層3は、例えば、Cu、Au、Ag、Al、Crからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金である。非磁性層3は、例えば、主の構成元素としてCu、Au、Ag、Al、Crからなる群より選ばれるいずれかの元素を含む。主の構成元素とは、組成式において、Cu、Au、Ag、Al、Crが占める割合が50%以上となることを意味する。非磁性層3は、Agを含むことが好ましく、主の構成元素としてAgを含むことが好ましい。Agはスピン拡散長が長いため、Agを用いた磁気抵抗効果素子10は、大きなMR比を示す。
非磁性層3は、例えば、厚みが1nm以上10nm以下の範囲内である。非磁性層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との磁気的な結合を阻害する。
非磁性層3は、絶縁体又は半導体でもよい。非磁性の絶縁体は、例えば、Al、SiO、MgO、MgAl、およびこれらのAl、Si、Mgの一部がZn、Be等に置換された材料である。これらの材料は、バンドギャップが大きく、絶縁性に優れる。非磁性層3が非磁性の絶縁体からなる場合、非磁性層3はトンネルバリア層である。非磁性の半導体は、例えば、Si、Ge、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se等である。
次いで、磁気抵抗効果素子10の製造方法について説明する。磁気抵抗効果素子10の製造方法は、各層の成膜工程と成膜後のアニール工程とを有する。アニール工程において、強磁性元素とボロンとA元素とが結晶化する。
図3は、第1実施形態に係る磁気抵抗効果素子10の製造方法を説明するための模式図である。まず成膜の下地となる基板Subを準備する。基板Subは、結晶性を有しても、アモルファスでもよい。結晶性を有する基板としては、例えば、金属酸化物単結晶、シリコン単結晶、サファイア単結晶、がある。アモルファスの基板としては、例えば、熱酸化膜付シリコン単結晶、セラミック、石英ガラスがある。
次いで、基板Sub上に、第2層11B、第1層11A、非磁性層13、第1層12A、第2層12Bを順に積層する。これらの層は、例えば、スパッタリング法で成膜される。
第2層11B,12Bは、いずれも上述の強磁性元素とボロンとA元素とを含む合金からなる。第2層11B,12Bは、いずれも成膜後の時点ではアモルファスである。第1層11A,12Aは、いずれも上述のCo基ホイスラー合金である。第1層11A,12Aは、アモルファスの下地上に成長するため、自身が成長しやすい(110)方向に成長する。そのため、第1層11A,12Aは、結晶性の低い結晶となる。非磁性層13は、上述の非磁性層3と同様の材料からなる。
次いで、基板Sub上に積層した積層体をアニールする。アニールの温度は、例えば、300℃以下であり、例えば、250℃以上300℃以下である。
積層体をアニールすると、第2層11B,12Bにおいて、強磁性元素とボロンとA元素とに含まれるボロンがA元素に引き寄せられる。ボロンは、A元素に引き寄せられ、第2層11B,12B内を拡散する。ボロンは、第2層11B,12B内を拡散する際に、第2層11B,12B内の原子をミキシングする。ミキシングされた原子は再配列し、第2層11B,12Bが結晶化する。
第2層11B,12Bは、いずれもbcc型の結晶構造を有する。第2層11B,12Bがそれぞれbcc型の結晶構造になる過程で、第1層11A,12A内に含まれるそれぞれの原子も再配列する。第1層11A,12A内に含まれるそれぞれの原子は、隣接する第2層11B、又は第2層12Bの結晶構造の影響を受けて再配列し、第1層11A,12Aはそれぞれ結晶化する。つまり、第1層11A,12Aのそれぞれは、第2層11B,12Bのそれぞれの結晶化に引きずられて、規則化が進み結晶性の高い結晶となる。
上述のように、積層体をアニールすることで、第2層11B,12Bは結晶化することで第2層1B,2Bとなり、第1層11A,12Aは結晶化することで第1層1A,2Aとなる。また非磁性層13は、非磁性層3となる。その結果、図1に示す磁気抵抗効果素子10が得られる。
上述のように、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10の製造方法を用いると、下地の結晶構造によらず、ホイスラー合金を結晶化させることができる。ここでは、磁気抵抗効果素子10の製造方法の過程の一つとして紹介したが、上記の方法は単体の強磁性層の結晶化の方法にも適用できる。例えば、強磁性元素とボロンとA元素とを含む合金の層とホイスラー合金を含む強磁性層とを積層し、これらを加熱することで、結晶性を有するホイスラー合金を得ることができる。
本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10の製造方法において、第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、300℃以下という低温で結晶化する。300℃以下であれば、例えば磁気ヘッドの他の構成要素を作製した後に、アニールを行っても、他の構成要素(例えば、磁気シールド)への悪影響を低減できる。したがって、アニールを行うタイミングが制限されず、磁気ヘッド等の素子の製造が容易になる。
また本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10は、非磁性層3を挟む第1強磁性層1及び第2強磁性層2が結晶化している。そのため、第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、高いスピン分極率を示す。その結果、本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10は、高いMR比を示す。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、図4は、第1変形例にかかる磁気抵抗効果素子10Aの断面図である。図4に示す磁気抵抗効果素子10Aは、第1強磁性層1のみが第1層1Aと第2層1Bとを有する。図4では、第1強磁性層1のみが第1層と第2層とを有する例を示したが、第2強磁性層2のみが第1層と第2層とを有してもよい。この場合、残りの一方の強磁性層は、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群より選ばれる金属、これらの金属を一以上の含む合金、これらの金属とB、C及びNのうち少なくとも一種の元素とが含まれる合金でもよく、ホイスラー合金でもよい。例えば、残りの一方の強磁性層の組成は、Co−Fe、Co−Fe−Bである。
また例えば、磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層1、第2強磁性層2及び非磁性層3以外の層を有してもよい。
図5は、第2変形例にかかる磁気抵抗効果素子10Bの断面図である。図5に示す磁気抵抗効果素子10Bは、ボロン吸収層4,5を有する点が、図1に示す磁気抵抗効果素子10と異なる。
ボロン吸収層4,5は、非磁性層である。ボロン吸収層4,5は、それぞれボロンと、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素と、を含む。以下、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auは、上述のA元素と同じである。ただし、ボロン吸収層4,5に含まれるA元素と、第2層1B,2Bに含まれるA元素は同じである必要はない。
ボロン吸収層4,5は、例えば、A元素により構成された金属又は合金に、ボロンが添加されたものである。ボロン吸収層4,5は、好ましくは、A元素のうちTi、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素を含む。ボロン吸収層4,5は、例えば、Ti、Ru、Taからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金に、ボロン又はカーボンが添加されたものである。
ボロン吸収層4,5は、例えば、成膜工程時にはボロンを含まない。つまりアニール工程前のボロン吸収層4,5は、例えば、A元素の金属又は合金である。上述のようにA元素は、ボロンを引き寄せる性質を有する。ボロン吸収層4,5は、アニール時にA元素がボロンを引き寄せ、ボロンを含有する。
ボロン吸収層4,5は、アニール時にボロンが第1層1A,2A及び非磁性層3に拡散することを抑制する。第1層1A,2Aがボロンを含むと、第1層1A,2Aの結晶性が低下し、磁気抵抗効果素子10のMR比が低下する。非磁性層3がボロンを含むと、非磁性層3の結晶性が低下し、磁気抵抗効果素子10BのMR比が低下する。すなわち、ボロン吸収層4,5は、第2層1B,2Bに含まれるボロンが、第1層1A,2A及び非磁性層3に拡散することを防ぎ、磁気抵抗効果素子10BのMR比の低下を抑制する。
図6は、第3変形例にかかる磁気抵抗効果素子10Cの断面図である。図6に示す磁気抵抗効果素子10Cは、バッファ層6,7を有する点が、図1に示す磁気抵抗効果素子10と異なる。
バッファ層6,7は、それぞれNiAl合金またはNiを含む層である。バッファ層6は、第1強磁性層1と非磁性層3との格子不整合を緩和するバッファ層である。バッファ層7は、非磁性層3と第2強磁性層2との格子不整合を緩和するバッファ層である。
バッファ層6,7は、例えば、それぞれ厚みtが0<t≦0.63nmである。厚みtが厚くなりすぎると第1強磁性層1(又は第2強磁性層2)から第2強磁性層2(又は第1強磁性層1)に移動する電子においてスピン散乱されるおそれがある。厚みtがこの範囲内にあることによって、移動する電子においてスピン散乱が抑制され、第1強磁性層1と非磁性層3との格子不整合が低減し、非磁性層3と第2強磁性層2との格子不整合が低減する。各層の格子不整合性が小さくなると、磁気抵抗効果素子10CのMR比が向上する。図6においては、磁気抵抗効果素子10Cがバッファ層6,7の両方を有する例を示したが、磁気抵抗効果素子はバッファ層6,7の少なくとも一方のみを有していてもよい。
上記に、第1変形例から第3変形例を示したが、これらもあくまで本実施形態に係る磁気抵抗効果素子の一例である。例えば、第1変形例から第3変形例の特徴的な構成をそれぞれ組み合わせてもよい。
上記の磁気抵抗効果素子10,10A,10B,10Cは、様々な用途に用いることができる。磁気抵抗効果素子10、10A,10B,10Cは、例えば、磁気ヘッド、磁気センサ、磁気メモリ、高周波フィルタなどに適用できる。
次に、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の適用例について説明する。なお、以下の適用例では、磁気抵抗効果素子として、磁気抵抗効果素子10を用いているが、磁気抵抗効果素子はこれに限定されるものではない。
図7は、適用例1にかかる磁気記録素子100の断面図である。図7は、積層方向に沿って磁気抵抗効果素子10を切断した断面図である。
図7に示すように、磁気記録素子100は、磁気ヘッドMHと磁気記録媒体Wとを有する。図7において、磁気記録媒体Wが延在する一方向をX方向とし、X方向と垂直な方向をY方向とする。XY面は、磁気記録媒体Wの主面と平行である。磁気記録媒体Wと磁気ヘッドMHとを結ぶ方向であって、XY平面に対して垂直な方向をZ方向とする。
磁気ヘッドMHは、エアベアリング面(Air Bearing Surface:媒体対向面)Sが磁気記録媒体Wの表面と対向している。磁気ヘッドMHは、磁気記録媒体Wから一定の距離で離れた位置にて、磁気記録媒体Wの表面に沿って、矢印+Xと矢印−Xの方向に移動する。磁気ヘッドMHは、磁気センサとして作用する磁気抵抗効果素子10と磁気記録部(不図示)とを有する。抵抗測定器21は、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値を測定する。
磁気記録部は、磁気記録媒体Wの記録層W1に磁場を印加し、記録層W1の磁化の向きを決定する。すなわち、磁気記録部は、磁気記録媒体Wの磁気記録を行う。磁気抵抗効果素子10は、磁気記録部によって書き込まれた記録層W1の磁化の情報を読み取る。
磁気記録媒体Wは、記録層W1と裏打ち層W2とを有する。記録層W1は磁気記録を行う部分であり、裏打ち層W2は書込み用の磁束を再び磁気ヘッドMHに還流させる磁路(磁束の通路)である。記録層W1は、磁気情報を磁化の向きとして記録している。
磁気抵抗効果素子10の第2強磁性層2は、例えば、磁化自由層である。このため、エアベアリング面Sに露出した第2強磁性層2は、対向する磁気記録媒体Wの記録層W1に記録された磁化の影響を受ける。例えば、図7においては、記録層W1の+z方向に向いた磁化の影響を受けて、第2強磁性層2の磁化の向きが+z方向を向く。この場合、磁化固定層である第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行となる。
ここで、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行の場合の抵抗と、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが反平行の場合の抵抗とは異なる。平行の場合の抵抗値と反平行の場合の抵抗値の差が大きいほど、磁気抵抗効果素子10のMR比は大きくなる。本実施形態に係る磁気抵抗効果素子10は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい。したがって、抵抗測定器21によって、記録層W1の磁化の情報を抵抗値変化として正確に読み出すことができる。
磁気ヘッドMHの磁気抵抗効果素子10の形状は特に制限はない。例えば、磁気抵抗効果素子10の第1強磁性層1に対する磁気記録媒体Wの漏れ磁場の影響を避けるために、第1強磁性層1を磁気記録媒体Wから離れた位置に設置してもよい。
図8は、適用例2にかかる磁気記録素子101の断面図である。図8は、積層方向に沿って磁気記録素子101を切断した断面図である。
図8に示すように、磁気記録素子101は、磁気抵抗効果素子10と電源22と測定部23とを有する。電源22は、磁気抵抗効果素子10の積層方向に電位差を与える。電源22は、例えば、直流電源である。測定部23は、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値を測定する。
電源22により第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に電位差が生じると、磁気抵抗効果素子10の積層方向に電流が流れる。電流は、第1強磁性層1を通過する際にスピン偏極し、スピン偏極電流となる。スピン偏極電流は、非磁性層3を介して、第2強磁性層2に至る。第2強磁性層2の磁化は、スピン偏極電流によるスピントランスファートルク(STT)を受けて磁化反転する。第1強磁性層1の磁化の向きと第2強磁性層2の磁化の向きとの相対角が変化することで、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値は、測定部23で読み出される。すなわち、図8に示す磁気記録素子101は、スピントランスファートルク(STT)型の磁気記録素子である。
図8に示す磁気記録素子101は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、データを正確に記録できる。
図9は、適用例3にかかる磁気記録素子102の断面図である。図9は、積層方向に沿って磁気記録素子102を切断した断面図である。
図9に示すように、磁気記録素子102は、磁気抵抗効果素子10とスピン軌道トルク配線8と電源22と測定部23とを有する。スピン軌道トルク配線8は、例えば、第1強磁性層1の第2層1Bに接する。スピン軌道トルク配線8は、面内方向の一方向に延びる。電源22は、スピン軌道トルク配線8の第1端と第2端とに接続されている。第1端と第2端とは、平面視で磁気抵抗効果素子10を挟む。電源22は、スピン軌道トルク配線8に沿って書き込み電流を流す。測定部23は、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値を測定する。
電源22によりスピン軌道トルク配線8の第1端と第2端との間に電位差を生み出すと、スピン軌道トルク配線8の面内方向に電流が流れる。スピン軌道トルク配線8は、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させる機能を有する。スピン軌道トルク配線8は、例えば、電流が流れる際のスピンホール効果によってスピン流を発生させる機能を有する金属、合金、金属間化合物、金属硼化物、金属炭化物、金属珪化物、金属燐化物のいずれかを含む。例えば、配線は、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号を有する非磁性金属を含む。
スピン軌道トルク配線8の面内方向に電流が流れると、スピン軌道相互作用によりスピンホール効果が生じる。スピンホール効果は、移動するスピンが電流の流れ方向と直交する方向に曲げられる現象である。スピンホール効果は、スピン軌道トルク配線8内にスピンの偏在を生み出し、スピン軌道トルク配線8の厚み方向にスピン流を誘起する。スピンは、スピン流によってスピン軌道トルク配線8から第1強磁性層1に注入される。
第1強磁性層1に注入されたスピンは、第1強磁性層1の磁化にスピン軌道トルク(SOT)を与える。第1強磁性層1は、スピン軌道トルク(SOT)を受けて、磁化反転する。この場合、第1強磁性層1が磁化自由層となり、第2強磁性層2が磁化固定層となる。第1強磁性層1の磁化の向きと第2強磁性層2の磁化の向きとが変化することで、磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子10の積層方向の抵抗値は、測定部23で読み出される。すなわち、図9に示す磁気記録素子102は、スピン軌道トルク(SOT)型の磁気記録素子である。
図9に示す磁気記録素子102は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、データを正確に記録できる。
図10は、適用例4にかかる磁壁移動素子(磁壁移動型磁気記録素子)の断面図である。磁壁移動素子103は、磁気抵抗効果素子10と第1磁化固定層24と第2磁化固定層25とを有する。磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1と第2強磁性層2と非磁性層3からなる。図10において、第1強磁性層1が延びる方向をX方向とし、X方向と垂直な方向をY方向とし、XY平面に対して垂直な方向をZ方向とする。
第1磁化固定層24及び第2磁化固定層25は、第1強磁性層1の第1端と第2端に接続されている。第1端と第2端は、X方向に第2強磁性層2及び非磁性層3を挟む。
第1強磁性層1は、内部の磁気的な状態の変化により情報を磁気記録可能な層である。第1強磁性層1は、内部に第1磁区MD1と第2磁区MD2とを有する。第1強磁性層1のうち第1磁化固定層24又は第2磁化固定層25とZ方向に重なる位置の磁化は、一方向に固定される。第1磁化固定層24とZ方向に重なる位置の磁化は例えば+Z方向に固定され、第2磁化固定層25とZ方向に重なる位置の磁化は例えば−Z方向に固定される。その結果、第1磁区MD1と第2磁区MD2との境界に磁壁DWが形成される。第1強磁性層1は、磁壁DWを内部に有するができる。図10に示す第1強磁性層1は、第1磁区MD1の磁化MMD1が+Z方向に配向し、第2磁区MD2の磁化MMD2が−Z方向に配向している。
磁壁移動素子103は、第1強磁性層1の磁壁DWの位置によって、データを多値又は連続的に記録できる。第1強磁性層1に記録されたデータは、読み出し電流を印加した際に、磁壁移動素子103の抵抗値変化として読み出される。
第1強磁性層1における第1磁区MD1と第2磁区MD2との比率は、磁壁DWが移動すると変化する。第2強磁性層2の磁化Mは、例えば、第1磁区MD1の磁化MMD1と同じ方向(平行)であり、第2磁区MD2の磁化MMD2と反対方向(反平行)である。磁壁DWが+X方向に移動し、Z方向からの平面視で第2強磁性層2と重畳する部分における第1磁区MD1の面積が広くなると、磁壁移動素子103の抵抗値は低くなる。反対に、磁壁DWが−X方向に移動し、Z方向からの平面視で第2強磁性層2と重畳する部分における第2磁区MD2の面積が広くなると、磁壁移動素子103の抵抗値は高くなる。
磁壁DWは、第1強磁性層1のX方向に書込み電流を流す、又は、外部磁場を印加することによって移動する。例えば、第1強磁性層1の+X方向に書込み電流(例えば、電流パルス)を印加すると、電子は電流と逆の−X方向に流れるため、磁壁DWは−X方向に移動する。第1磁区MD1から第2磁区MD2に向って電流が流れる場合、第2磁区MD2でスピン偏極した電子は、第1磁区MD1の磁化MMD1を磁化反転させる。第1磁区MD1の磁化MMD1が磁化反転することで、磁壁DWが−X方向に移動する。
図10に示す磁壁移動素子103は、結晶化したホイスラー合金を含み、MR比が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、データを正確に記録できる。
図11は、適用例5にかかる高周波デバイス104の模式図である。図11に示すように、高周波デバイス104は、磁気抵抗効果素子10と直流電源26とインダクタ27とコンデンサ28と出力ポート29と配線30,31を有する。
配線30は、磁気抵抗効果素子10と出力ポート29とを繋ぐ。配線31は、配線30から分岐し、インダクタ27及び直流電源26を介し、グラウンドGへ至る。直流電源26、インダクタ27、コンデンサ28は、公知のものを用いることができる。インダクタ27は、電流の高周波成分をカットし、電流の不変成分を通す。コンデンサ28は、電流の高周波成分を通し、電流の不変成分をカットする。インダクタ27は高周波電流の流れを抑制したい部分に配設し、コンデンサ28は直流電流の流れを抑制したい部分に配設する。
磁気抵抗効果素子10に含まれる強磁性層に交流電流または交流磁場を印加すると、第2強磁性層2の磁化は歳差運動する。第2強磁性層2の磁化は、第2強磁性層2に印加される高周波電流又は高周波磁場の周波数が、第2強磁性層2の強磁性共鳴周波数の近傍の場合に強く振動し、第2強磁性層2の強磁性共鳴周波数から離れた周波数ではあまり振動しない。この現象を強磁性共鳴現象という。
磁気抵抗効果素子10の抵抗値は、第2強磁性層2の磁化の振動により変化する。直流電源26は、磁気抵抗効果素子10に直流電流を印加する。直流電流は、磁気抵抗効果素子10の積層方向に流れる。直流電流は、配線30,31、磁気抵抗効果素子10を通りグラウンドGへ流れる。磁気抵抗効果素子10の電位は、オームの法則に従い変化する。磁気抵抗効果素子10の電位の変化(抵抗値の変化)に応じて高周波信号が出力ポート29から出力される。
図11に示す高周波デバイス104は、結晶化したホイスラー合金を含み、抵抗値の変化幅が大きい磁気抵抗効果素子10を備えるため、大きな出力の高周波信号を発信できる。
(実施例1)
実施例1として、図1に示す磁気抵抗効果素子10を作製した。第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、それぞれ第1層1A,2Aと第2層1B,2Bとからなる。第1層1A,2Aは、結晶化したCo基ホイスラー合金であり、組成比はCoFeGa0.5Ge0.5とした。第2層1B,2Bは、結晶化したCoFeB−Aであり、組成比は(Co0.4Fe0.40.20.9Ta0.1とした。非磁性層3は、Agとした。
実施例1に係る磁気抵抗効果素子10は、下記手順で作製した。まずアモルファスの基板上に、スパッタリングにより上記組成の第2層1B、第1層1A、非磁性層3、第1層2A、第2層2Bを順にスパッタリング法を用いて成膜した。成膜後の時点で、第1層1A,2Aは結晶性の低い結晶となっており、第2層1B,2Bはアモルファスであった。
次いで、積層した積層体をアニールした。アニールは、300℃の条件で10時間行った。アニールにより第2層1B,2Bは結晶化し、第2層1B,2Bの結晶化に伴い、第1層1A,2Aの結晶性も向上した。
作製した磁気抵抗効果素子10のMR比とRA(面抵抗)とを測定した。MR比は、磁気抵抗効果素子10の積層方向に一定電流を流した状態で、外部から磁気抵抗効果素子10に磁場を掃引しながら磁気抵抗効果素子10への印加電圧を電圧計によってモニターすることにより、磁気抵抗効果素子10の抵抗値変化を測定した。第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行の場合の抵抗値と、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが反平行の場合の抵抗値とを測定し、得られた抵抗値から下記の式より算出した。MR比の測定は、300K(室温)で行った。
MR比(%)=(RAP−R)/R×100
は、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行の場合の抵抗値であり、RAPは、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが反平行の場合の抵抗値である。
RAは、第1強磁性層1と第2強磁性層2の磁化の向きが平行の場合の抵抗Rと、磁気抵抗効果素子10の面内方向の面積Aの積により求めた。
実施例1に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は11%であり、RAは0.08Ω・μmであった。
(実施例2)
実施例2は、第1層1A,2Aの組成がCoFeGa0.6Ge0.8である点のみが実施例1と異なる。実施例2に係る第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金は、Co組成比が化学量論組成比より少ない。
実施例2に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は14%であり、RAは0.09Ω・μmであった。
(実施例3)
実施例3は、第2層1B,2Bの組成が(Co0.2Fe0.60.20.9Ta0.1である点のみが実施例1と異なる。実施例3に係る第2層1B,2Bは、Feの含有量がCoの含有量より多い。
実施例3に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は13%であり、RAは0.07Ω・μmであった。
(実施例4)
実施例4は、第1層1A,2Aの組成がCoFeGa0.6Ge0.8であり、第2層1B,2Bの組成が(Co0.2Fe0.60.20.9Ta0.1である点のみが実施例1と異なる。実施例4に係る第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金は、Co組成比が化学量論組成比より少なく、第2層1B,2Bは、Feの含有量がCoの含有量より多い。
実施例4に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は16%であり、RAは0.08Ω・μmであった。
(実施例5)
実施例5は、第1層1A,2Aの組成がCoFeGa0.6Ge0.8であり、第2層1B,2Bの組成が(Co0.2Fe0.650.150.85Ta0.15である点のみが実施例1と異なる。実施例5に係る第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金は、Co組成比が化学量論組成比より少なく、第2層1B,2Bは、Feの含有量がCoの含有量より多い。また実施例5は、Taの含有量が実施例1〜4と比較して多い。
実施例5に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は18%であり、RAは0.11Ω・μmであった。
(実施例6)
実施例6は、第1層1A,2Aの組成がCoFeGa0.6Ge0.8であり、第2層1B,2Bの組成が(Co0.39Fe0.19Ga0.12Ge0.150.15)0.85Ta0.15である点のみが実施例1と異なる。実施例6に係る第1層1A,2Aを構成するCo基ホイスラー合金及び第2層1B,2Bの(Co0.39Fe0.19Ga0.12Ge0.150.15)0.85Ta0.15は、Co組成比が化学量論組成比より少ない。
実施例6に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は21%であり、RAは0.13Ω・μmであった。
(比較例1)
比較例1は、第2層1B,2Bの組成が(Co0.4Fe0.40.20.93Ta0.07である点が実施例1と異なる。第2層1B,2BのTa含有量が少ないため、第2層1B,2B内における原子のミキシングが十分ではなく、第2層1B,2Bはアモルファスのままであった。また比較例1の第1層1A,2Aは結晶化しているが、結晶性は実施例1より劣っていた。
比較例1に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は5%であり、RAは0.08Ω・μmであった。
(比較例2)
比較例2は、第2層1B,2Bの組成が(Co0.4Fe0.40.20.93Ta0.07である点が実施例2と異なる。第2層1B,2BのTa含有量が少ないため、第2層1B,2B内における原子のミキシングが十分ではなく、第2層1B,2Bはアモルファスのままであった。また比較例1の第1層1A,2Aは結晶化しているが、結晶性は実施例2より劣っていた。
比較例2に係る磁気抵抗効果素子10のMR比は7%であり、RAは0.08Ω・μmであった。
上記の実施例1〜6の結果及び比較例1、2の結果を以下の表1にまとめる。
Figure 2021103771
1…第1強磁性層、1A,2A,11A,12A…第1層、1B,2B,11B,12B…第2層、2…第2強磁性層、3,13…非磁性層、4,5…ボロン吸収層、6,7…バッファ層、8…スピン軌道トルク配線、10,10A,10B,10C…磁気抵抗効果素子、21…抵抗測定器、22…電源、23…測定部、24…第1磁化固定層、25…第2磁化固定層、26…直流電源、27…インダクタ、28…コンデンサ、29…出力ポート、30,31…配線、100,101,102…磁気記録素子、103…磁壁移動素子、104…高周波デバイス、DW…磁壁、MD1…第1磁区、MD2…第2磁区、Sub…基板

Claims (13)

  1. 第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間にある非磁性層と、を備え、
    前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とのうち少なくとも一方は、前記非磁性層に近い側から順に第1層と第2層とを備え、
    前記第1層は、結晶化したCo基ホイスラー合金を含み、
    前記第2層は、少なくとも一部が結晶化しており、かつ強磁性元素とボロン元素と添加物元素とを含み、
    前記添加物元素は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素である、磁気抵抗効果素子。
  2. 前記第1強磁性層及び前記第2強磁性層が、いずれも前記第1層及び前記第2層を備える、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記Co基ホイスラー合金は、化学量論組成でCoYZ又はCoYZで表記され、
    前記Co基ホイスラー合金は、Co組成比が化学量論組成比より少ない、請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2層は、結晶化したCoFeB−Aからなり、
    前記第2層において、Feの含有量がCoの含有量より多い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第2層は、前記添加物元素の含有量がボロンの含有量より多い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第1層と前記第2層とが格子整合している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記第2層の前記非磁性層から遠い側の面に接するボロン吸収層を有し、
    前記ボロン吸収層は、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ta、W、Ir、Pt、Auからなる群から選択されるいずれかの元素を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記Co基ホイスラー合金は、L2構造またはB2構造である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記Co基ホイスラー合金は、Coαβで表記され、
    前記Yは、Fe、Mn、Crからなる群から選択された1種以上の元素であり、
    前記Zは、Si、Al、Ga、Geからなる群から選択された1種以上の元素であり、 α+β>2を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 前記第1強磁性層と前記非磁性層の間と、前記第2強磁性層と前記非磁性層の間とのうち少なくとも一方に、バッファ層を備え、
    前記バッファ層はNiAl合金またはNiを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  11. 前記バッファ層の厚みは、0.63nm以下である、請求項10に記載の磁気抵抗効果素子。
  12. 前記非磁性層は、Cu、Au、Ag、Al、Crからなる群から選択されるいずれかの元素を含む金属又は合金である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  13. 基板をさらに有し、
    前記基板は、前記第1強磁性層、前記第2強磁性層及び前記非磁性層が積層される下地であり、
    前記基板は、アモルファスである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
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