JP7380538B2 - 浴中ロール研磨ブレード、研磨装置及びめっき装置 - Google Patents

浴中ロール研磨ブレード、研磨装置及びめっき装置 Download PDF

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本発明は、浴中ロール研磨ブレード、詳しくは溶融金属めっき浴に浸漬された浴中ロールを研磨するためのブレード、前記ブレードを有する浴中ロール研磨装置及び前記浴中ロール研磨装置を有する溶融金属めっき装置に関する。
金属帯の溶融金属めっきの代表例である鋼帯の連続溶融亜鉛めっき工程で使用される溶融亜鉛めっき槽において、めっき浴中に懸濁する亜鉛鉄化合物等の不純物が、シンクロールや浴中サポートロール(以下、総称して浴中ロールという。)の外周面に付着すると、この付着物が、浴中ロールと接触する鋼帯に転写され、その結果、製造しためっき鋼板に押し疵等の欠陥が発生する。
上記の押し疵等の欠陥の発生を防止するために、相当な厚さ、幅及び長さを有する板状物のブレードを用い、このブレードの幅方向の一辺を浴中ロールの外周面に押し付けて当該外周面を研磨することで付着物を掻き落とす方法が知られている。この方法は、ブレードの厚さ方向は浴中ロールの回転周速方向、ブレードの幅方向は浴中ロールの胴幅方向であり、ブレードの長さ方向は厚さ方向と幅方向に直角な方向である。
上述の浴中ロールの外周面をブレードで研磨する方法において、特許文献1には、浴中ロールの胴幅より狭幅でかつ鋼板の板幅より狭幅(例えば浴中ロールの胴幅の10%程度)のブレードを浴中ロールの外周面に一定の押付け荷重で押し付けながら幅方向に往復動させる方法が開示されている。このブレードは、先端部の厚さが長さ方向に一定な形状である。
特許文献2には、浴中ロールの外周面に対するブレードの接触位置及び傾斜角度を特定することで浴中ロールの振動を抑制する方法が開示されている。このブレードの先端部は、長さ方向の先端から後端側にかけて厚さが増大し、あるいはさらに厚さが一定となる形状とされている。このブレードの幅は浴中ロールの胴幅よりも大きく、浴中ロールに押し付けながらの幅方向の往復動の開示はない。
特許文献3には、研磨能力向上のために、先端部の厚さが長さ方向に一定な形状とし、またブレードの幅は浴中ロールの胴幅よりも長いブレードが開示されている。
特許文献4には、ブレードの接触面圧をほぼ一定に保持するために、ブレードの自重に目減り分の重りを付加して押し付け荷重とすることが開示されている。このブレードは、先端部の厚さが長さ方向に一定な形状であると看取される。なお、このブレードは、鋼板の板幅よりも狭幅のものが開示されている。
すなわち、従来のブレードは、長さ方向の先端から後端側にかけて厚さが増大し、あるいはさらに厚さが一定となる形状(特許文献2)又は先端部の厚さが長さ方向に一定な形状(特許文献1,3,4)である。
ブレードの接触幅及び押し付け荷重が一定の場合、ブレードの接触面圧は接触厚さに反比例する。なお、前記接触幅及び接触厚さはそれぞれ、浴中ロール外周面とブレードの接触面におけるブレード幅方向寸法及びブレード厚さ方向寸法のことをいう。図3に符号Bで示す先細り形のブレードでは、使用時間の経過とともに接触厚さが増大し、あるいはさらに一定厚さに移行するから、接触面圧は図3に実線で示すように推移する。また、図3に符号Cで示す厚さ一定形のブレードでは、使用時間が経過しても接触厚さは一定であるから、接触面圧は図3に破線で示すように推移する。
なお、図3及び後掲の図2において、ブレードと浴中ロールとの接触開始直後のごく短時間の非定常状態は考慮せず、定常状態の開始を「使用当初」とした。
特開2007-254875号公報 実開平6-83762号公報 特開2019-19343号公報 特開2005-281789号公報
一方で、亜鉛による浸食や、亜鉛鉄合金等の不純物粒子の巻き付き付着から浴中ロールを保護する目的で、浴中ロールの外周部には溶射あるいは溶接肉盛り等で被膜を形成する処理を施す場合がある。浴中ロールの長寿命化を図る観点からは、この被膜は可能な限りブレードを接触させ押圧しないほうがよい。また、ブレードの使用の初期段階には前記被膜は健全な状態であり、浴中ロールに不純物粒子の付着も無いため、被膜の損傷を防ぐ観点から研磨能力は相対的に低い方が望ましい。これに対し、ブレードの使用の初期段階の時間が経過してそれ以降の中期段階以降では、浴中ロールの外周面の被膜が損傷し、浴中ロールに不純物粒子が付着しやすい状態になると、より強固に付着した付着物を確実に除去する観点からブレードの研磨能力は相対的に高い方が望ましい。なお、この研磨能力はブレードと浴中ロールの外周部との接触面圧を測定し、評価することができ、接触面圧が高いほど研磨能力は高いとされる。
しかしながら、上記従来のブレードでは、図3に示されるように、接触面圧が使用当初で最大で使用時間の経過につれて減少し、あるいはさらに一定となる(B)か、使用時間が経過しても使用当初と同程度である(C)かのいずれかである。ブレードの使用の初期段階で研磨能力を低くし、その後、研磨能力を高くする上述の望ましい使用形態を実現するために、ブレードの押し付け荷重を使用の初期段階で低く、その後の中期段階以降で高くすることを実現するような複雑な制御手段を設けると、そのための設備費及び運転費が嵩み操業上不利益となる。
本発明は、上述の事情に鑑み、溶融金属めっき浴に浸漬された浴中ロールを研磨するためのブレードの押し付け荷重を使用の進行につれて増加させる複雑な制御手段を設けることなく、ブレードと浴中ロールの外周部との接触面圧を使用の初期段階で低く抑え、その後の中期段階以降で高くすることができる、浴中ロール研磨用のブレード、それを用いた浴中ロール研磨装置及び溶融金属めっき装置を提供する。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討し、その結果、長さ方向の先端が最も厚く、後端に向かい厚さを減じるブレード形状に想到し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 溶融金属浴中に浸漬された浴中ロールの外周部を研磨するブレードであって、
該ブレードの先端部の長さ方向の断面形状が、ブレードの長さ方向の最先端から後端側にかけて厚さが減少する形状であることを特徴とするブレード。
[2] 前記ブレードの先端部の長さ方向の断面形状が、さらに厚さが一定値に収束する長さ方向の形状であることを特徴とする[1]に記載のブレード。
[3] 前記先端部のブレードの長さ方向の断面形状は、台形であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のブレード。
[4] 前記浴中ロールに当接する側の前記台形の底角の内一つを25~85°としたことを特徴とする[3]に記載のブレード。
[5] 前記浴中ロールが、外周部に被膜を有することを特徴とする[1]~[4]のいずれか1つに記載のブレード。
[6] 前記先端部のブレードの幅を、前記浴中ロールに巻き付く金属帯の板幅より大きくかつ前記浴中ロールの胴幅より小さくしたことを特徴とする[1]~[5]のいずれか1つに記載のブレード。
[7] [1]~[6]のいずれか1つに記載されたブレードを有する浴中ロール研磨装置。
[8] [7]に記載された浴中ロール研磨装置を有する溶融金属めっき装置。
本発明によれば、浴中ロールが健全なうちは接触面圧を抑えて浴中ロールの外周部の損耗を回避し、さらに浴中ロールに合金不純物の巻き付き付着が起こり始める際には高い接触面圧として付着物の確実な除去を簡易な手法で図ることができ、したがって、より長期間、浴中ロールの寿命を維持しながら、安定的に浴中ロール外周面を健全な状態に保つことができて、浴中ロールの取り換え頻度を低減できる。
本発明のブレードを浴中ロールに使用した1例を示す概略図であり、(a)は立体図、(b)はブレード長さ方向の断面図、(c)はブレード幅方向の断面図である。 本発明の先太り形(全体的及び部分的)のブレードの使用時間に対する接触面圧の推移を模式的に示す図である。 従来の先細り形及び厚さ一定形のブレードの使用時間に対する接触面圧の推移を模式的に示す図である。 本発明のブレードの先端部の多様な形状の例を示すブレード長さ方向断面の概略図である。 本発明のブレードの好ましい形状を示すブレード長さ方向断面の概略図である。 ブレードが浴中ロールより幅広である場合の問題を説明する図である。 ブレードの幅の決定方法の説明図である。 実施例におけるブレードの寸法を示す長さ方向断面の概略図である。 本発明の浴中ロール研磨装置の一例を示す模式図である。 本発明の溶融金属めっき装置の一例を示す模式図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
例えば図1に示すように、本発明のブレード1は、溶融金属浴10中に浸漬された浴中ロール5の外周部を研磨するブレード1であることを前提とする。本発明において、浴中ロール5には、シンクロール51及び浴中サポートロール52があり、いずれか一方または両方が研磨対象とされるが、以下の実施形態では、図1のように、シンクロール51を研磨対象とする場合を例に挙げて説明する。
[溶融金属浴]
溶融金属浴10は、例えば亜鉛めっき浴10で、浴の温度は430~700℃である。亜鉛めっき浴10は、例えば自動車用鋼板を製造する連続溶融亜鉛めっきラインで使用される。以下の実施形態は、金属帯6を鋼板6とした例で説明する。亜鉛めっきされる鋼板6の板厚は、0.30~6.0mm、板幅は600~2500mmであり、通板速度は、30~300m/分である。
亜鉛めっき浴10には、鋼板とZnとの合金化反応を制御するために、0.1~55.0質量%程度のAlが添加される場合がある。亜鉛めっきにおいては、鋼板6に由来するFeとめっき浴に由来するZn及び/又はAlとの反応生成物が浴中ロール5に巻き付き付着し、直径10μm程度以上に成長した不純物粒子となって、鋼板6の押し疵の欠陥の原因となる。前記不純物粒子の発生頻度は、1~24時間に1回程度である。
[浸漬された浴中ロール]
浴中ロール5は、通過する鋼板6との接触により回転する。浴中ロール5の材質は、溶融亜鉛に対する耐食性を確保する観点からステンレス鋼が用いられる。浴中ロール5のサイズは、シンクロール51の場合、ロール径が600~1000mm、胴幅が1000~3000mmであり、浴中サポートロール52の場合、ロール径が150~350mm、胴幅がシンクロール51の場合と同程度である。
また、浴中ロール5の胴幅は鋼板6の板幅よりも200~500mm大きく設定されている。
浴中ロール5は、浴中での耐用期間の延長を図るため、外周部にロール素地保護用の被膜を有するものが好ましい。
前記被膜としては、WC、ステライト等の材料の溶接肉盛り被膜及びWC、WC-Co等の材料の溶射被膜が挙げられる。
浴中ロール5は、従来のブレードを用いた場合、2週間程度でロール表面性状が不健全となって鋼板6の品質的問題が顕著になる。これに対し、本発明のブレードを用いるとロール表面性状を3週間以上健全な状態に保持でき、鋼板品質を担保できる。
[ブレードの材質]
ブレード1の材質は、ステンレス鋼、耐熱鋼、あるいは耐熱性非鉄基合金等のいずれも好ましく用いうる。
[ブレードの形状]
本発明は、上述の前提の下で、ブレード1の長さ方向の断面形状が、ブレード1の長さ方向の最先端から後端側にかけて厚さが減少する形状(以下、先太り形ともいう。)であることを特徴とする。先太り形には、ブレード1の長さ方向の最先端から後端側にかけて厚さが減少する形状がブレード1の長さ方向の全域に及ぶもの(以下、全体的先太り形ともいう。例えば図2のA1参照)と、さらに厚さが一定値に収束する長さ方向の形状のものとがある。後者の「さらに厚さが一定値に収束する長さ方向の形状のもの」とは、は、ブレード1の長さ方向の最先端から後端側にかけて厚さが減少する形状がブレード1の長さ方向の先端側の一部の区域に及び、残りの区域は厚さが前記一部の区域の後端の厚さに等しい一定値となるもの(以下、部分的先太り形ともいう。例えば図2のA2参照)のことである。
本発明では、ブレード1の材料節減及び製造容易性の観点から、全体的先太り形よりも部分的先太り形の方が好ましい。
なお、ブレード1の厚さは、10~40mmが好ましい。10mm未満ではブレード1の剛性が不足し、40mm超ではブレードの無駄な重量増を招く。
本発明のブレード1は、先太り形であるがゆえに、接触幅及び押し付け荷重が一定の場合、図2に全体的先太り形(A1)及び部分的先太り形(A2)の使用時間に対する接触面圧の推移を示すように、接触面圧は、A1,A2とも使用当初で最小であり、使用時間の経過につれて接触面圧は増大し、A1では接触面圧が後端まで増大を続け、A2では、接触面圧が増大の途中で一定の状態に移行するが、いずれにしても、本発明の先太り形のブレード1によれば、ブレード長さ方向断面における厚さ寸法の設定のみにより、使用の初期段階での浴中ロール5が健全なうちは接触面圧を抑えて、浴中ロール5の外周部の損耗を回避し、さらに浴中ロール5に合金不純物の巻き付きが起こり始める際には高い接触面圧として付着物の確実な除去を図ることができる。
なお、接触面圧は、次の要領で求めた。すなわち、押し付け荷重を一定としたときの累計研磨長さ及び累計摩耗量の関係からある研磨長さでの摩耗量を推定し、その時の接触面積と押し付け荷重から接触面圧を算出した。
本発明のブレードは、先太り形である限りにおいて、先端部のより具体的な形状は特に限定されず、多様な形状が許容できる。例えば図4には、先太り形の内、ブレード1の長さ方向断面が台形形状(a),ラッパ形形状(b)、ベル形形状(c)の例を示した。なお、図4(a)、(b)及び(c)には厚さ中心線(一点鎖線)が直線(断面形状が左右対称)である場合を例示したが、これに限らず例えば図4(d)、(e)及び(f)に示すように厚さ中心線が曲線(断面形状が左右非対称)であってもよい。
なお、本発明のブレード1は、平板を素材とし厚さ方向の圧下率を長さ方向で変化させる圧延によって製造できる。また、部分的先太り形の場合、先太りの部分をロール成形等で製造し、厚さ一定の部分と溶接する方法によっても製造できる。
さらに、本発明のブレード1の先端部の断面形状は、造形の容易性の観点から、長さ方向の厚さ変化が直線的な形状である、台形(例えば図4(a)又は(d))であることが好ましい。なお、先太り形であるために、前記台形の下底の長さは上底の長さより長くする。
さらに、図5に示すように、前記台形の下底側(浴中ロールに当接する側)の二つの底角の内一つを角度θ=25~85°とすることが好ましい。なお、より好ましくは、前記角度θ=50~60°である。また、研磨能力をより高くする観点から、図5のように、接触厚さの領域へのロール外周部の進入側に、前記角度θの範囲とした一つの底角の側を配置することが好ましい。底角を二つとも前記角度θの範囲とした場合は、接触厚さの領域へのロール外周部の進入側には、いずれの底角の側を配置してもよい。
[ブレードの幅]
本発明では、前記先端部のブレード1の幅は、浴中ロール5に巻き付く金属帯(例えば鋼板)6の板幅より大きくかつ浴中ロール5の胴幅より小さくすること(i)が好ましい。図1には、この好適形態を例示した。これによる作用効果を、ブレード1が特許文献1及び3のように浴中ロール5よりも幅広である場合(ii)及びブレード1が特許文献2及び4のように鋼板6よりも幅狭である場合(iii)と対比して説明する。
上記(ii)の場合、図6に示されるように、ブレード1を静止させたまま浴中ロール5の全幅を研磨できる(図6(a))。しかし、使用中に浴中ロール5との接触部のみが削れていく(図6(b))ため、ブレード1の幅方向両端部に未摩耗部15が発生する(図6(c))。一方、ブレード1は、使用の途中で必要に応じて一時的に開放(浴中ロールから離間)し、次いで再使用(再度接触)する場合がある。また、浴中ロール5には、スラスト力によるスラスト受けへの負荷を軽減してロール寿命延長を図るため、通常、ロール軸方向の遊び代が設けられている(後掲の図7参照)。この遊び代の寸法は片側当たり3~15mm程度である。そのため,ブレード1の開放中に浴中ロール5がロール軸方向に移動し、ブレード1の再使用時に浴中ロール5とブレード1の芯ずれが発生してブレード1の片側の未摩耗部15のみが浴中ロール5と接触する、いわゆる片圧下となる(図6(d))場合がある。この場合、未摩耗部15の摩耗が進行して中央側との段差が解消されて再度ブレード全幅で浴中ロール5と接触するようになるまでの間は浴中ロール5の外周面の研磨が不十分となる。
これに対し、上記(i)の場合は、図1のように、ブレード1の幅は浴中ロール5の胴幅未満であるから、ブレード1は使用中に浴中ロール5と全幅で接触し、均等に削れていくため、ブレード1の両端部に前述の未摩耗部は発生しない。よって、1回目のブレード使用に後続する1回目のブレード開放時に浴中ロール5がロール軸方向に移動したとしても、後続する2回目のブレード使用時に前述の片圧下は発生しない。
ただし、浴中ロール5の胴幅とブレード1の幅との差よりも、浴中ロール5のロール軸方向の移動量が大きいと、2回目のブレード開放中の浴中ロール5のロール軸方向の移動により、ブレード1の幅方向の片側が浴中ロール5の胴幅の領域から外れ、この外れた片側が3回目のブレード使用時に前述の未摩耗部となり、前述の片圧下につながるおそれがある。そこで、これを避けるため、図7に示すように、浴中ロール5の胴幅bとブレード1の幅aの差(b-a)が、浴中ロール5のロール軸方向の移動量(=遊び代の設定量2y+スラスト受け摩耗想定量2z)以上となるように、すなわち、板幅<a≦b-2y-2zを満たすようにブレード1の幅aを決定することが好ましい。
また、上記(iii)の場合は、ブレード1の幅が鋼板6の板幅未満であるため、ブレード1をロール軸方向に往復動させる装置が必要であり、この往復動させる装置が、ブレード使用中に故障してブレード1が静止し、この静止の間は浴中ロール6外周面における鋼板6通過域の一部分しか研磨できなくなる場合がある。
これに対し、上記(i)では、ブレード1の幅aを鋼板6の板幅超としている(図1及び図7)ため、ブレード1の静止状態下で、浴中ロール5外周面における鋼板6通過域を余すところなく研磨できる。ブレード1を往復動させる装置は、特に必要としないが、設けることはかまわない。なお、浴中ロール5外周面における鋼板6通過域を外れたロール両端部において合金不純物の巻き付きが生じても鋼板6への転写は起こらないため、めっき製品への悪影響はない。
[浴中ロール研磨装置]
本発明の浴中ロール研磨装置は、上述のブレード1を有する浴中ロール研磨装置である。これは、例えば図9に示すように、ブレード1を昇降させるブレード昇降手段8を有することが好ましい。これによれば、ブレード1の使用状態と開放状態の交互の切り換えが容易である。さらに、ブレード昇降手段8は、ブレード1の押し付け荷重を一定にする方法の実行手段(図示せず)を具備することが好ましい。前記押し付け荷重を一定にする方法としては、例えば押し付け対象ロールのトルクをトルクセンサで検出し該センサ出力が目標値になるように押し付け荷重操作量(例えばエアシリンダを押し付け駆動源とする場合はそのエア圧力)を調整する方法や、また例えばより簡便な浮箱式浮力にて常時一定荷重を作用させる方法などのいずれも好ましく用いうる。
[溶融金属めっき装置]
本発明の溶融金属めっき装置は、上述の本発明の浴中ロール研磨装置を有すること以外は、一般的な溶融金属めっき装置と同様であってよい。一般的な溶融金属めっき装置の代表例として、図10に示す鋼板6の連続溶融亜鉛めっき装置は、前記浴中ロール5、ブレード1及びブレード昇降装置8の他、溶融金属浴10例えば亜鉛めっき浴10を保持するめっき槽20、焼鈍炉(図示せず)から亜鉛めっき浴10中へ鋼板6を送り込むためのスナウト21及び亜鉛めっき浴10を出た鋼板6のめっき付着量を調整するためのワイピングノズル22を具備する。
図10の連続溶融亜鉛めっき装置により鋼板の亜鉛めっきを行う溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインにおいて本発明を実施した。本発明例において、ブレード1の研磨対象は、シンクロール51とした。鋼板6は自動車用鋼板であり、板厚は0.4~2.0mm、板幅は700~1850mm、通板速度は30~230m/分である。亜鉛めっき浴10の浴組成はAl:0.133~0.139質量%を含有し残部Znであり、浴温度は、458.5~464.0℃である。
シンクロール51は、ステンレス鋼(SUS316L)製で、ロール径は760~800mm、胴幅は2200mmであり、外周部にWCの溶射被膜を有する。
ブレード昇降手段8は、エアシリンダで構成した。
本発明例のブレード1は、ステンレス鋼(SUS316L)製とし、図8に示すとおり、形状は先端側の先太り部11に厚さ一定部12が連なる部分的先太り形とし、寸法は、図8に記入したとおりとした。なお、本発明例では先太り部11は等脚台形形状としたから、台形の底角は2つとも約68°である。
ブレード1の幅2170mmは、鋼板6の板幅1850mmより大きく、シンクロール51の胴幅2200mmより小さい。なお、ブレード1の幅2170mmは、図7において、b=2200mm、遊び代y=10mm、摩耗想定量z=5mmとして、b-2y-2zの式で算出した値である。
ブレード1の厚さの寸法は、以下の要領で決定した。
(i)研磨能力が十分となり、かつ研磨屑発生量が少ない接触面圧を、過去の操業実績調査結果に基づき0.003kgf/mm2とし、押し付け荷重を100kgf一定として、先太り部11の摩耗による消滅後の長方形部12での研磨時の接触面圧が上記の0.003kgf/mm2となるように、厚さ一定部12の厚さ(=台形の上底t1)は、100/(2170×0.003)≒15mmと決定した。
(ii)使用当初で研磨能力が最低限になる接触面圧を過去の操業実績調査結果に基づき0.002kgf/mm2とし、押し付け荷重を100kgf一定として、使用当初の接触面圧が上記の0.002kgf/mm2となるように、先太り部11の最先端の厚さ(=台形の下底t0)は、100/(2170×0.002)≒23mmと決定した。
なお、上記(i),(ii)において、押し付け荷重が100kgfに対して大きい、あるいは小さい場合はそれに応じてブレード厚さを変更してよく、その値に制限は設けない。
先太り部11の長さ(台形の高さh)の決定に際しては、シンクロール51の外周部の被膜(WC)が使用当初から10日間で保護機能を大きく損なうと仮定し、前記10日間でブレード1(SUS316L)が被膜(WC)との摩擦により接触厚さが23mmから15mmに減少するまでのブレード長さ方向の摩耗量が10mmであると仮定して、先太り部11の長さ(台形の高さh)は10mmと決定した。なお、先太り部11の長さは被膜の種類やブレードの材質に応じて適宜変更してもよい。
ブレード1の全長Lはブレード1が摩耗し尽くされないよう、余裕をもって100mmとした。なお、ブレード1の長さは周囲との干渉を考えて決定する必要があるが、摩耗を考えると50mm以上で可能な限り長くするのが好ましい。
図8のブレード1を30日間、シンクロール51の交換は行わずに、使用した。使用中、ブレード1の開放及び再使用を10回以上繰り返したが、片圧下は1度も発生しなかった。使用後のブレード1の長さ方向の摩耗量は30mmであった。なお、使用後のブレード1にクラック等の発生は認められなかった。また、ブレード1の30日間の使用中に、製造しためっき鋼板において浴中ロール付着物からの転写によると思われる押し疵等の欠陥は確認されなかった。さらに、使用後のシンクロール51を点検したところ、シンクロール51のブレード接触域を除く幅方向両端に合金不純物の微小な巻き付きが存在した以外は、健全な状態に保たれた。したがって、シンクロール51の取り替え頻度を30日に1回以下とすればよいことが確認された。
これに対し、比較例として、先端から長さ100mmまでのブレード厚さがほぼゼロから15mmまで増加する先細り形(図3のB参照)のブレードを用い、それ以外は本発明例と同様とした。比較例においては、使用当初からの研磨能力が高すぎて被膜の保護機能の劣化が早まるため、シンクロール51を2週間連続使用すると、鋼板の通過域にも合金不純物の微小な巻き付きが存在する不健全な状態となって、鋼板の押し疵等の欠陥が発生する惧れがあった。そのため、約2週間に1回の頻度でシンクロール51を取り換える必要があった。
なお、ここでは、シンクロール51のみを研磨対象としたが、浴中サポートロール52を対象とする場合も同様に構成しうる。
1,A1,A2 ブレード(本発明の先太り形)
1 先太り部
2 厚さ一定部
B ブレード(従来の先細り形)
C ブレード(従来の厚さ一定形)
5 浴中ロール(添字1付きはシンクロール、添字2付きは浴中サポートロール)
6 金属帯(例えば鋼板)
8 ブレード昇降手段
10 溶融金属浴(例えば亜鉛めっき浴)
20 めっき槽
21 スナウト
22 ワイピングノズル

Claims (7)

  1. 溶融金属浴中に浸漬された浴中ロールの外周部を研磨するブレードを有する浴中ロール研磨装置であって、
    該ブレードの先端部の長さ方向の断面形状が、ブレードの厚さ中心線の長さ方向の最先端が最も厚く、該最先端から後端側にかけて厚さが減少する先太り形の形状であり、前記先太り形の最先端の厚さの領域が前記浴中ロールと接触することを特徴とする浴中ロール研磨装置
  2. 前記ブレードの先端部の長さ方向の断面形状が、さらに厚さが一定値に収束する長さ方向の形状であることを特徴とする請求項1に記載の浴中ロール研磨装置
  3. 前記先端部のブレードの長さ方向の断面形状は、台形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴中ロール研磨装置
  4. 記浴中ロールに当接する前記台形の下底側の底角の内一つを25~85°としたことを特徴とする請求項3に記載の浴中ロール研磨装置
  5. 前記浴中ロールが、外周部に被膜を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の浴中ロール研磨装置
  6. 前記先端部のブレードの幅を、前記浴中ロールに巻き付く金属帯の板幅より大きくかつ前記浴中ロールの胴幅より小さくしたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の浴中ロール研磨装置
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載された浴中ロール研磨装置を有する溶融金属めっき装置。
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