JP2004091831A - 溶融めっき金属帯の製造装置及び製造方法 - Google Patents

溶融めっき金属帯の製造装置及び製造方法 Download PDF

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Katsuichi Suzuki
鈴木 克一
Yoichi Miyagawa
宮川 洋一
Akira Gama
蒲 昭
Munehiro Ishioka
石岡 宗浩
Hideyuki Takahashi
高橋 秀行
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Abstract

【課題】ドロス付着等による品質不良や操業効率低下を防止しつつ、シンクロールに起因するグルーブマーク欠陥をも抑制することのできる溶融めっき金属帯の製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】溶融金属2を保持してその溶融金属を金属帯Sに付着させる溶融金属浴槽1と、金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭してその付着量を調整するワイパ4と、ワイパの直前及び/又は直後で金属帯の形状及び/又は振動を非接触で制御する電磁石5とを備えるとともに、溶融金属浴槽の溶融金属浴中で金属帯と接触するロールが金属帯を方向転換させるシンクロール3のみであり、且つ、シンクロール3は、突出面が金属帯と接触し且つ金属帯と接触しない部分により前記突出面の全周が囲まれてなる多数の凸部を有し、該凸部の集合により金属帯との当接面が形成されている。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融めっき金属帯の製造装置及び製造方法に関するものであり、特に表面性状に優れた溶融めっき金属帯の製造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼帯などの金属帯を連続してめっきする方法として、金属帯を亜鉛、アルミニューム等の溶融金属中に浸漬してその金属帯の表面にめっきを施す溶融めっき法が知られている。
【0003】
図6は、溶融めっき金属帯の製造ラインの一例を示す構成図である。
【0004】
前工程である冷間圧延プロセスにおいて圧延され、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された金属帯Sは、焼鈍炉10において焼鈍処理を施された後、溶融金属めっき槽11内に導かれる。
【0005】
金属帯Sは、溶融金属めっき浴中を浸漬しながら通板され、その表面に溶融金属が付着する。そして、溶融金属めっき槽11から引き出された金属帯Sは、溶融金属めっき槽11の上方に設置されているガスワイパ14から噴出するガスにより、金属帯表面に付着した過剰の溶融金属が払拭されて、めっき付着量の調整が行われる。
【0006】
続くプロセスでは、製造される溶融めっき金属帯の用途に応じて、合金化炉17を使用して金属帯Sを再加熱し、合金化層を作り出す合金化処理を施す場合がある。そして、金属帯Sは冷却帯18を通過した後、化成処理19で特殊の防錆、耐食処理が施され、コイルに巻き取られる。
【0007】
図7は、従来の溶融金属めっき槽周りの装置構成の一例を示す図である。
【0008】
金属帯Sは、スナウト16と呼ばれる非酸化性雰囲気に保たれた筒状部を通って溶融金属めっき槽11の溶融金属めっき浴12中に引き込まれる。溶融金属めっき浴12中では、方向変換用のシンクロール13によって通板方向が変換された後、同じく浴中に設置された浴中支持ロール20を経て溶融金属めっき浴12から引き出され、ガスワイパ14によってめっき付着量が調整される。
【0009】
この溶融めっき方法は、他のめっき方法である電気めっき方法と比較した場合、安価にめっき金属帯を製造することができ、容易に厚めっきの金属帯を製造することができる等の多くの特長を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この溶融めっき方法にも解決すべき課題が存在する。
【0011】
先ず、溶融めっき法では、溶融金属めっき浴12中でドロスと呼ばれる不純物が発生し、それが金属帯Sやシンクロール13,浴中支持ロール20などの浴中機器に付着することで、金属帯Sに欠陥を発生させる場合がある。このドロスの発生は、溶融めっき金属帯の製造プロセスにおいては避けることのできない現象であるため、ドロスが金属帯Sに付着することを防止するあるいは低減する方法が必要とされる。そして、このようなドロスの付着はライン速度が高速であるほど多くなることが知られており、したがって操業効率を向上させることを妨げる一因ともなっている。
【0012】
また、溶融金属めっき浴12中に設置されるシンクロール13,浴中支持ロール20は、常時高温の過酷な環境にさらされるため、回転不良などのトラブルを生じ易く、このトラブルが原因となって金属帯Sに欠陥などの品質不良を発生させることもある。このため、従来の溶融めっき金属帯の製造においては、定期的にラインを停止して前記浴中のロールの手入れや交換を行わなければならず、操業効率を大きく低下させている。
【0013】
また、このような品質不良や操業効率低下を防止するために、後述する本出願人の未公開発明を適用すると、グルーブマーク欠陥が発生しやすいことがわかってきた(この点は後に細術する)。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ドロス付着等による品質不良や操業効率低下を防止しつつ、シンクロールに起因するグルーブマーク欠陥をも抑制することのできる溶融めっき金属帯の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、以上のような事情に鑑み、従来よりも高品質の溶融めっき金属帯を製造することができ、かつその金属帯を製造効率を低下させることなく製造することができ、更に設備のメンテナンス頻度を減らすことのできる溶融めっき金属帯の製造について、鋭意研究を重ねた。そして、浴中支持ロール20を取り外すことに想到した。
【0016】
浴中支持ロール20の主な機能としては、金属帯の幅方向の反り形状を矯正する機能と、金属帯の振動(バタツキ)を抑制する機能の2つを挙げることができる。金属帯が反り形状を有していたり、振動を起こすと、金属帯Sとガスワイパ14との間隔が、幅方向,長手方向,あるいは表裏面で一定ではなくなるため、金属帯Sのめっき付着量にムラが生ずることになる。したがって、浴中支持ロール20は、金属帯の反り矯正と振動抑制のために、溶融めっき金属帯製造ラインにとっては必須の設備であると考えられており、数十年の長きに渡って使用されてきた設備である。それゆえ、浴中支持ロール20を取り外すにあたっては、金属帯の反り矯正と振動抑制の機能を代替する技術の開発が必要となった。
【0017】
そこで本出願人は、これらの機能を代替する技術として、アクティブ振動制御技術を導入することに想到した。アクティブ振動制御技術は、センサで計測した制御対象の振動を打ち消すような外力を何らかのアクチュエータによって制御対象に加えることで振動を抑制する技術である。また、アクチュエータが制御対象である金属帯Sに加える外力に静的な力も合わせれば、振動制御のみでなく反り矯正も可能となる。なお、溶融めっき金属帯を対象とする場合は、アクチュエータは非接触式が望ましく、その候補としては電磁石や空力アクチュエータ(エアパッド)などが挙げられる。
【0018】
以上のようにして、本出願人は、浴中支持ロール20を取り外し、その替わりに電磁石を用いることにより、金属帯の反り矯正と振動抑制を行いつつ、浴中支持ロール20に起因する表面欠陥問題や操業効率低下の問題を解決するに至った(特願2001−74510号)。
【0019】
しかしながら、本出願人は、浴中支持ロール20を取り外したことにより、以下のような新たな問題に直面した。
【0020】
一般に、シンクロール13の表面には、数mm〜数十mmの深さと幅を持った溝(グルーブ)あるいは模様が刻印されている。このような溝あるいは刻印模様は、溶融金属の潤滑路を確保し、金属帯とシンクロール表面との密着性を上げることによって、金属帯のスリップや蛇行を防止することを目的として設けられているものである。しかし、このような溝あるいは刻印模様によって、金属帯にはシンクロール表面と直接接触する部分と接触しない部分が生じる。
【0021】
金属帯は、溶融金属めっき浴に進入すると同時に溶融金属に接触して初期合金化層を形成し、この初期合金化層はシンクロール13と接触することである程度の破壊あるいは変質を受ける。しかし、上記のように溝や刻印模様が存在すると、初期合金化層が破壊あるいは変質される部分と全く影響を受けない部分とが生じることになる。そして、この影響の違いは、製造された溶融めっき金属帯にグルーブマークと呼ばれる模様となって現れる場合があり、浴中支持ロール20を使用している従来より、重大な表面欠陥として知られている。
【0022】
そのため、これまでに、グルーブマークが現れないか、あるいは目立たないようにするための溝形状や刻印形状の工夫がなされてきた。比較的新しいものとしては、例えば、特開平8−74017号公報には、ドロス排出用溝とV型断面の複数のらせん状溝とが形成されためっき浴中ロールが記載されている。
【0023】
そこで、本出願人は、従来グルーブマークが問題となっていないシンクロールを用い、前述したように浴中支持ロール20を取り外して溶融めっき金属帯の製造を行った。すると、従来と同じシンクロールを使用したにもかかわらず、グルーブマークが発生した。つまり、浴中支持ロール20を不使用とすると、グルーブマークが非常に目立つようになることが明らかとなった。
【0024】
この現象は、以下のようにして生じていると推定される。すなわち、従来から、シンクロール13と接触した直後の金属帯の表面には、初期合金化層が破壊・変質された部分と全く影響を受けない部分とが模様となって現れていた。そして、従来は、その後に金属帯が浴中支持ロール20と均一に接触することにより、前記の模様はグルーブマーク欠陥としては問題とならない程度まで軽減されていた。しかし、浴中支持ロール20を不使用とすると、シンクロール13との接触で発生した前記の模様はそのまま残ることとなり、グルーブマーク欠陥として現れたものと考えられる。
【0025】
これに対し、本発明者らは、浴中支持ロールを不使用とし、その場合であってもグルーブマークが問題とならないようなシンクロールの表面形態について鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。
【0026】
このようにしてなされた本発明は、以下のような特徴を有するものである。
【0027】
(1)金属帯をめっき金属である溶融金属の浴中に浸漬することにより溶融めっき金属帯を製造する装置において、前記溶融金属を保持してその溶融金属を前記金属帯に付着させる溶融金属浴槽と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭してその付着量を調整するワイパと、前記ワイパの直前及び/又は直後で前記金属帯の形状及び/又は振動を非接触で制御する電磁石とを備えるとともに、前記溶融金属浴槽の溶融金属浴中で前記金属帯と接触するロールが前記金属帯を方向転換させるシンクロールのみであり、且つ、該シンクロールは、突出面が前記金属帯と接触し且つ前記金属帯と接触しない部分により前記突出面の全周が囲まれてなる多数の凸部を有し、該凸部の集合により前記金属帯との当接面を形成することを特徴とする、溶融めっき金属帯の製造装置。
【0028】
(2)前記凸部は、ロール表面に、深さ0.3〜1.5mm及びピッチ1〜10mmの波型の溝を周方向に設けることにより軸方向の金属帯との非接触部分が形成され、且つ粗面化加工を施すことにより周方向の金属帯との非接触部分が形成されてなることを特徴とする、上記(1)に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
【0029】
(3)ロール表面に施されている粗面化加工が、周方向に設けられた溝ピッチの1/4以上の大きさのショット粒又はグリットによるショットブラスト加工又はグリットブラスト加工であることを特徴とする、上記(2)に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
【0030】
(4)前記凸部は、ロール表面に、深さ0.3〜1.5mm及びピッチ1〜10mmの波型の溝を周方向に設けることにより軸方向の金属帯との非接触部分が形成され、且つ深さ0.3〜1.5mm及びピッチ1〜10mmの溝を周方向に対して角度を持って設けることにより周方向の金属帯との非接触部分が形成されてなることを特徴とする、上記(1)に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
【0031】
(5)前記凸部は、ロール表面に、深さ1〜10mm、溝幅5〜10mm、及びピッチ15〜50mmの太溝を周方向に設け、且つ前記太溝以外の平坦部に、所定のピッチを有する深さ0.3〜1mmの互いに交差する2方向以上の細溝を設けることにより全周を囲む金属帯との非接触部分が形成されてなることを特徴とする、上記(1)に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
【0032】
(6)金属帯をめっき金属である溶融金属の浴中に浸漬し、前記金属帯に溶融金属を付着させた後、前記溶融金属の浴中で前記金属帯と接触する唯一のロールであるシンクロールにより前記金属帯を方向転換させて前記溶融金属の浴外へ引き上げるめっき付着工程と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属をワイパにより払拭してその付着量を調整する付着量調整工程と、前記ワイパの直前及び/又は直後で前記金属帯の形状及び/又は振動を電磁石により非接触で制御する制御工程とを有するとともに、前記シンクロールのロール胴表面には、突出面が前記金属帯と接触し且つ前記金属帯と接触しない部分により前記突出面の全周が囲まれてなる多数の凸部を有し、該凸部の集合により前記金属帯との当接面が形成されていることを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
【0033】
(7)上記(6)に記載の溶融めっき金属帯の製造方法において、前記シンクロールに代えて、上記(2)乃至(5)のいずれかに記載のシンクロールを用いることを特徴とする、溶融めっき金属帯の製造方法。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施の形態では、具体例として、金属帯Sとして鋼帯を、また溶融金属めっき浴2として溶融亜鉛を念頭においている。
【0035】
図1は本発明の一実施形態である溶融めっき金属帯の製造装置を示す構成図である。
【0036】
図1に示す溶融めっき金属帯の製造装置は、金属帯Sを引き込んで溶融金属を付着させる溶融金属めっき浴2を保持する溶融金属めっき槽1、めっき浴2から引き上げられた金属帯Sに付着した溶融金属のめっき付着量を調整するガスワイパ4、及び金属帯Sの反り矯正と振動抑制を行う電磁石5から構成されている。
【0037】
溶融金属めっき槽1は、金属帯Sがめっき浴2に引き込まれる部分を非酸化性雰囲気に保つためのスナウト6と、めっき浴2中で金属帯Sを巻き掛けて方向転換させるシンクロール3とを備えている。そして、めっき浴2中にて金属帯Sと接触するロールは、このシンクロール3のみである。すなわち、図7に示すような従来の溶融めっき金属帯の製造装置に用いられていた浴中支持ロール20は設置しない。
【0038】
シンクロール3には、後で詳細に説明するが、そのロール胴表面に、突出面が前記金属帯と接触し且つ前記金属帯と接触しない部分により前記突出面の全周が囲まれてなる多数の凸部、すなわち円周方向及び軸方向ともに不連続な凸部が形成されている。そして、この不連続な凸部の集合により形成された当接面で金属帯と当接することにより、グルーブマーク欠陥の発生を抑制する効果を発揮するものである。
【0039】
ガスワイパ4は、めっき浴2の浴面より上方で、金属帯Sの表裏面に対向して設けられており、ガスを噴出して金属帯S表面のめっき付着量を調整するものである。なお、ガスワイパ以外の方式のワイパ、例えば固体接触式のワイパ等を用いてもよい。
【0040】
電磁石5は、ガスワイパ4の直前及び/又は直後において、金属帯表面と交わる方向に磁力を発生させるように、金属帯Sの表裏面に対向して設けられる。そして、金属帯Sの振動を抑制すると共に、シンクロール3に巻きつけた際の曲げ及び曲げ戻しによって生じる金属帯Sの反り形状を矯正する機能を有する。なお、ガスワイパ4の直前(下方)は、ガスワイパ4によって払拭された溶融金属が飛散して堆積するため、ガスワイパ4の直後(上方)に電磁石5を設置する方が望ましい。また、幅方向に電磁石5を多数並べて設置し、金属帯Sの板幅や幅方向の反り形状に応じてこれらの電磁石を選択的に使用することができる。
【0041】
なお、図1には示していないが、電磁石5の制御装置や、金属帯の反りや振動を測定するセンサー等も必要に応じて設けられる。
【0042】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る溶融めっき金属帯の製造装置の動作を説明する。
【0043】
図1に示すように、スナウト6を通ってめっき浴2へ侵入した金属帯Sは、シンクロール3により方向転換されてめっき浴2から引き上げられる。なお、めっき浴2中において、金属帯Sはシンクロール3以外には接触しない。そして、めっき浴2から引き上げられた金属帯Sは、ガスワイパ4により表面のめっき付着量が制御される。この時の金属帯Sは、電磁石5による磁力の作用を受け、反り形状が矯正され、あるいは振動(バタツキ)が抑制されている。
【0044】
なお、電磁石5の制御方法は特に限定されるものではない。金属帯Sの反り形状を矯正し、あるいは振動を抑制することができればよく、公知の方法を用いることができる。
【0045】
このようにして製造された溶融めっき金属帯は、従来の浴中支持ロールに起因する表面欠陥の発生はなく、また、電磁石5により反り矯正と振動抑制が図られているため、めっき付着量も均一である。そして、このような溶融めっき金属帯を操業効率よく製造することが可能である。さらに、シンクロール3には、そのロール胴表面に円周方向及び軸方向ともに不連続な凸部が形成されているため、金属帯との接触面積が少なく、グルーブマーク欠陥の発生が抑制される。したがって、浴中支持ロールを不使用としても、グルーブマーク欠陥は問題とはならない。
【0046】
次に、本発明の実施形態に係るシンクロールについて、詳細に説明する。以下の説明では、先に述べた、そのロール胴表面に、円周方向及び軸方向ともに不連続な凸部が形成されているシンクロールの例として、3つの例について取り上げる。
【0047】
(シンクロール例1)
図2は、シンクロール例1の溝形状の一例を示す断面図である。このシンクロール3は、そのロール表面に、図2に示すような波型の溝31を有する。ここで、波型の溝31は、深さd1が0.3〜1.5mm、溝ピッチp1が1〜10mmの波形状であり、ロール胴表面の円周方向に設けられている。なお、この円周方向に延びる波型の溝31は、リング状になっていてもよいし、スパイラル状になっていてもよい。
【0048】
波型の溝31の深さd1を0.3〜1.5mmとするのは、溝深さd1が0.3mm未満では溝に入り込んだめっき浴中のドロスが圧着されてしまい、一方、1.5mmを超えると溝の凸部の強度が低下するためである。また、波型の溝31のピッチp1を1〜10mmとするのは、溝ピッチp1が1mm未満ではドロスの逃げ道が無くなる問題があり、10mmを超えると凸部の幅が広くなりすぎてマークが目立ちやすくなるためである。特に、溝深さd1を0.3〜0.8mm、溝ピッチp1を1〜3mmの範囲とすると、グルーブマークの抑制効果が顕著である。
【0049】
このシンクロール3には、上記のような波型の溝31を形成した後に、そのロール胴表面に粗面化加工が施されている。その粗面化加工方法としては、ショットブラスト加工,グリットブラスト加工,放電加工等を用いることができる。そして、ショットブラスト加工あるいはグリットブラスト加工を施す場合には、用いるショット粒あるいはグリットの大きさを、波型の溝31の溝ピッチp1の1/4以上とすることが好ましい。波型の溝31の凸部が金属帯Sと接触する幅は、溝ピッチp1の1/4未満であるので、それよりも大きな凹部32を波型の溝31の凸部に形成し、凸部を円周方向に不連続とするためである。
【0050】
図3は、このシンクロールの一形態を示すものであり、(a)は全体側面図、(b)はそのロール胴表面にペンシルテストを行った拡大図の模式図である。ここで、ペンシルテストとは、ロール胴表面に紙を当ててその上から鉛筆等でなぞる事により、その凸部形状を紙に転写させるテストの事である。なお、本図の例は、粗面化加工としてショットブラスト加工を施したものである。本図(b)より、ショットブラスト加工により生じた凹部32により、波型の溝31の凸部が円周方向に不連続となっていることがわかる。
【0051】
(シンクロール例2)
シンクロール例2は、図2に示したシンクロール例1と同様の波型の溝31を有する。そして、波型の溝31の深さd1及び溝ピッチp1の範囲等も同様である。
【0052】
このシンクロール3には、上記のような波型の溝31に加えて、細溝33が形成されている。ここで、細溝33は、深さd2が0.3〜1.5mm、ピッチp2が1〜10mmの溝である。この細溝33は、波型の溝31の凸部を円周方向に不連続とするために設けるものである。したがって、細溝33が形成される方向は、シンクロール3の軸方向に一致している必要はなく、波型の溝31と交差するように周方向に対して角度を持って設けられればよい。また、細溝33の深さd2及びピッチp2が上記範囲が好ましい理由は、溝深さd2が0.3mm未満では溝に入り込んだめっき浴中のドロスが圧着されてしまい、1.5mmを超えると溝の凸部の強度が低下するためである。一方、溝ピッチp2が1mm未満ではドロスの逃げ道が無くなる問題があり、10mmを超えると細溝の間隔が開きすぎて細溝を設ける効果が薄れるためである。
【0053】
図4は、このシンクロールの一形態を示すものであり、(a)は全体側面図、(b)はそのロール胴表面にペンシルテストを行った拡大図の模式図である。本図(b)より、細溝33を設けることにより、波型の溝31の凸部が円周方向に不連続となっていることがわかる。
【0054】
(シンクロール例3)
図5は、シンクロール例3の一形態を示すものであり、(a)は全体側面図、(b)はその溝形状の一例を示す断面図、(c)はそのロール胴表面にペンシルテストを行った拡大図の模式図である。
【0055】
本図(a)に示すように、このシンクロール3は、そのロール表面に、太溝34が円周方向にリング状あるいはスパイラル状に設けられている。さらに、太溝34以外の平坦部には、クロス細溝35が所定のピッチを持って2方向に設けられており、互いに交わって格子状あるいはひし形状の凸部を形成している。
【0056】
本図(b)に示すように、太溝34は、深さd3が1〜10mm、溝幅が5〜10mm、溝ピッチp3が15〜50mmであり、シンクロールと金属帯との間に入り込んだドロスを排出する機能を有する。太溝34の深さd3を1〜10mmとするのは、溝深さd3が1mm未満では溝に入り込んだめっき浴中のドロスを排出する効果が十分ではなく、一方、10mmを超えると凸部の幅が広くなりすぎてマークが目立ちやすくなるためである。また、太溝34のピッチp3を10〜50mmとするのは、溝ピッチp3が10mm未満では強度不足であり、50mmを超えると浴中のドロスを排出する効果が十分ではないためである。
【0057】
また、クロス細溝35は、深さd4が0.3〜1mm、溝ピッチp4が0.5〜10mmであり、太溝34以外の平坦部分に互いに交わるように2方向以上に設けられている。すなわち、図5(c)に示すように、この2方向以上に設けられるクロス細溝35により、太溝34以外の平坦部分には格子状あるいはひし形状などの凸部が形成され、凸部が円周方向及び軸方向に不連続なものとなっている。ここで、クロス細溝35の深さd4を0.3〜1mmとするのは、溝深さd4が0.3mm未満では溝に入り込んだめっき浴中のドロスが圧着されてしまい、1mmを超えると溝の凸部の強度が低下するためである。また、溝ピッチp4を0.5〜10mmとするのは、溝ピッチp4が0.5mm未満では溝に入り込んだめっき浴中のドロスを排出する効果が十分ではなく、10mmを超えると凸部の面積が多くなりすぎてクロス細溝を設ける効果が薄れるためである。
【0058】
以上説明したシンクロール例1〜3は、いずれもそのロール胴表面に円周方向及び軸方向ともに不連続な凸部が効果的に形成されており、浴中支持ロールを不使用とした場合であっても、グルーブマーク欠陥の発生を抑制することができる。
【0059】
なお、これらのシンクロールは、上記のような溝加工を施した後、その表面にサーメット溶射あるいはセラミックス溶射を施してもよい。その場合、シンクロールと溶融金属とが反応することを抑制することができ、ロール寿命を延長する効果が得られる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドロス付着等による品質不良や操業効率低下を防止しつつ、シンクロールに起因するグルーブマーク欠陥をも抑制して、溶融めっき金属帯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である溶融めっき金属帯の製造装置を示す構成図
【図2】本発明のシンクロール例1及び例2の溝形状の一形態を示す断面図
【図3】本発明のシンクロール例1の溝形状の一形態を示す図であり、(a)は全体側面図、(b)はペンシルテスト結果の模式図
【図4】本発明のシンクロール例2の溝形状の一形態を示す図であり、(a)は全体側面図、(b)はペンシルテスト結果の模式図
【図5】本発明のシンクロール例3の溝形状の一形態を示す図であり、(a)は全体側面図、(b)は断面図、(c)はペンシルテスト結果の模式図
【図6】溶融めっき金属帯の製造ラインの一例を示す構成図
【図7】従来の溶融金属めっき槽周りの装置構成の一例を示す構成図
【符号の説明】
1…溶融金属めっき槽
2…溶融金属めっき浴
3…シンクロール
4…ガスワイパ
5…電磁石
6…スナウト
31…波形状の溝
32…粗面化加工を施された表面
33…細溝
34…太溝
35…クロス細溝
S…金属帯

Claims (7)

  1. 金属帯をめっき金属である溶融金属の浴中に浸漬することにより溶融めっき金属帯を製造する装置において、
    前記溶融金属を保持してその溶融金属を前記金属帯に付着させる溶融金属浴槽と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭してその付着量を調整するワイパと、前記ワイパの直前及び/又は直後で前記金属帯の形状及び/又は振動を非接触で制御する電磁石とを備えるとともに、
    前記溶融金属浴槽の溶融金属浴中で前記金属帯と接触するロールが前記金属帯を方向転換させるシンクロールのみであり、
    且つ、該シンクロールは、突出面が前記金属帯と接触し且つ前記金属帯と接触しない部分により前記突出面の全周が囲まれてなる多数の凸部を有し、該凸部の集合により前記金属帯との当接面を形成することを特徴とする、溶融めっき金属帯の製造装置。
  2. 前記凸部は、ロール表面に、深さ0.3〜1.5mm及びピッチ1〜10mmの波型の溝を周方向に設けることにより軸方向の金属帯との非接触部分が形成され、且つ粗面化加工を施すことにより周方向の金属帯との非接触部分が形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
  3. ロール表面に施されている粗面化加工が、周方向に設けられた溝ピッチの1/4以上の大きさのショット粒又はグリットによるショットブラスト加工又はグリットブラスト加工であることを特徴とする、請求項2に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
  4. 前記凸部は、ロール表面に、深さ0.3〜1.5mm及びピッチ1〜10mmの波型の溝を周方向に設けることにより軸方向の金属帯との非接触部分が形成され、且つ深さ0.3〜1.5mm及びピッチ1〜10mmの溝を周方向に対して角度を持って設けることにより周方向の金属帯との非接触部分が形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
  5. 前記凸部は、ロール表面に、深さ1〜10mm、溝幅5〜10mm、及びピッチ15〜50mmの太溝を周方向に設け、且つ前記太溝以外の平坦部に、所定のピッチを有する深さ0.3〜1mmの互いに交差する2方向以上の細溝を設けることにより全周を囲む金属帯との非接触部分が形成されてなることを特徴とする、請求項1に記載の溶融めっき金属帯の製造装置。
  6. 金属帯をめっき金属である溶融金属の浴中に浸漬し、前記金属帯に溶融金属を付着させた後、前記溶融金属の浴中で前記金属帯と接触する唯一のロールであるシンクロールにより前記金属帯を方向転換させて前記溶融金属の浴外へ引き上げるめっき付着工程と、
    前記金属帯に付着した過剰の溶融金属をワイパにより払拭してその付着量を調整する付着量調整工程と、
    前記ワイパの直前及び/又は直後で前記金属帯の形状及び/又は振動を電磁石により非接触で制御する制御工程とを有するとともに、
    前記シンクロールのロール胴表面には、突出面が前記金属帯と接触し且つ前記金属帯と接触しない部分により前記突出面の全周が囲まれてなる多数の凸部を有し、該凸部の集合により前記金属帯との当接面が形成されていることを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
  7. 請求項6に記載の溶融めっき金属帯の製造方法において、前記シンクロールに代えて、請求項2乃至5のいずれかに記載のシンクロールを用いることを特徴とする、溶融めっき金属帯の製造方法。
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