JP4315014B2 - 溶融めっき用浴中サポートロール及び溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
胴部11と軸部10とを具備し、サポートロール全体の見かけの密度をd1、溶融金属5の密度をd2、及び、胴部11の外径をD1、軸部10の外径をD2とするとき、下記(1)、及び(2)式が成立することを特徴とするサポートロール100により、上記課題を解決しようとするものである。
0.6 ×d2≦d1<1.0×d2 (1)
0.15×D1≦D2≦0.3×D1 (2)
ここで、本発明において、ロールの軸径(胴部11の外径D1、及び軸部10の外径D2)とは、純粋にロール軸自体のみの径ではなく、後述する耐磨耗処理層の厚さやスリーブ厚さまでをも含めた値をいうものとする。
0.6 ×d2<d1<1.0×d2 (1)
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図1に、本発明のサポートロール100の実施形態例を示す。図1(a)は、サポートロール100の正面図であり、図1(b)は、サポートロール100の側面図である。本発明のサポートロール100は、軸部10と胴部11とを備え、外径がD1である胴部11は中空部12を有し、外径がD2である軸部10と胴部11とは溶接部14によって接合されている。なお、図1には、軸部10及び胴部11が溶接部14により接合されている態様を図示したが、軸部10及び胴部11の接合方法はこれに限られず、軸部10及び胴部11を一体に固定できる接合方法であれば、他の方法であっても好適に用いることができる。
溶融亜鉛めっきの場合、溶融金属5を保持しためっき浴の密度d2は、通常のめっき浴温度である約460℃程度では、約6900kg/m3である。一方、鋼ベースの素材の場合、サポートロール100の見かけの密度d1は、例えば、約7800kg/m3である。したがって、本発明では、サポートロール100の見かけの密度d1を低減させるために、サポートロール100を中空にする等、構造上の工夫をする。ここで、中空部12等とした場合においても、本発明のサポートロール100が実用に耐え得る強度を確保するという観点から、本発明のサポートロール100の密度d1は、めっき浴の密度に対し60%以上100%未満であることが好ましく、より好ましくは70%以上90%以下である。
なお、ロール100の外径及び幅等は、設備仕様等によっても異なるため一概には言い難いが、本発明の溶融金属めっき装置において使用されるサポートロール100としては、胴部外径200〜400mm程度、及び、ロール胴長1500〜2200mm程度のサポートロール100を主に想定している。
なお、磨耗によりロール軸(例えば肉盛が施されたロール軸)の外周面13が荒れた場合においても研削により表面の平滑化を図ることが容易になるという観点から、ロール軸の外周面13に上記耐磨耗処理を直接施す場合における当該処理層の厚さは、3〜5mm程度以上とすることが好ましい。
本発明のサポートロール100がこのような構造を採れば、補修の際にはスリーブ30のみを交換すればよいので、経済的・合理的な構造とすることが可能である。なお、スリーブ構造が採用される場合には、スリーブ30の摺動面側に硬化表面処理を施すことにより、ロール軸外周面13の耐磨耗性を向上させるのが一般的である。
図4に、本発明の溶融めっき鋼板の製造方法において使用される、溶融金属めっき装置200の実施形態例を示す。図4(a)は、溶融金属めっき装置200の側面図であり、本発明のサポートロールである上サポートロール110及び下サポートロール120、並びにシンクロール150は、溶融金属5を保持しためっき浴中に位置している。ここで、ストリップ1は図の矢印の方向へと進むものとする。一方、図4(b)は、溶融金属めっき装置200の正面図である。
ここで、上下2つのサポートロールを離して使用すると、ストリップ1がこれら2つのサポートロールへ巻き付く際の巻き付き角が大きくなるため、ストリップ1がサポートロールの振動の影響を受けやすくなる。したがって、上サポートロール及び下サポートロールが駆動サポートロールである場合には、均一なめっきを付着し難いという問題が生じる。しかし、これら2つのサポートロール110、120を無駆動にすることにより、かかる問題を回避することができる。
本発明のサポートロールの好適な構造を特定するため、サポートロールの構造条件を種々変更して計算機シミュレーションを実施した。以下に、当該シミュレーションの条件を示す。また、図5に、本シミュレーションにおける各ロールの配置図を示す。図5において、ストリップ1は、矢印の方向へと進むものとする。
・サポートロール
ロール外径:260mmφ
ロールの見かけ密度:めっき浴に対して40〜120%
ロール胴部の長さ:1600mm
ロール軸部の軸径:50〜130mm
ロールの表面粗度Ra:3μm
駆動条件:無駆動
軸受けとサポートロールとの摺動部幅:120mm
クリアランス:3mm
耐磨耗処理方法:ステライトにて肉盛
外径:750mm
ロール胴部の長さ:1600mm
駆動条件:モータによる駆動
めっき浴の浴面と上サポートロール軸の中心との距離L1:200mm
めっき浴の浴面と下サポートロール軸の中心との距離L2:500mm
押し込み量L3:30mm
めっき浴の浴面とシンクロール軸の中心との距離L4:1200mm
めっき浴:Zn−0.2%Al浴
めっき浴の温度(密度):460℃(6900kg/m3)
ストリップの板幅:610〜1250mm
ストリップの板厚:0.35〜4.5mm
ストリップの鋼種:IF鋼(Interstitial Free鋼)
ライン速度(ストリップの通板速度):25〜180mpm
鋼板のユニット張力(板厚=4.5mmの時):9.8N/mm2 〜 39.2N/mm2
上記条件によりシミュレーションを実施し、上サポートロールの回転状態を観察した。観察結果を、図6にあわせて示す。
ここで、図6における評価の基準は以下の通りとした。
○:回転不良が発生しない。
△:ストリップのサイズ、ライン速度等により、スリップ(サポートロールの回転速度がライン速度に追従しない現象)が発生する。
×:ストリップのサイズ、ライン速度等により、サポートロールが回転しない場合がある。
なお、評価が△及び×の場合における、サポートロールの回転不良は、ストリップが薄肉狭幅材であるほど(例えば厚さ0.35mm×幅610mm等)、又は、ライン速度が速いほど(例えば約150mpm以上)、生じやすい傾向にあった。
上記シミュレーション結果を参考にしてサポートロールを試作し、試作したサポートロールを用いて溶融めっき鋼板を製造した。
ロール素材には、SUS420相当材(13%Cr含有マルテンサイト系ステンレス鋼、密度:7800kg/m3)を使用した。ロール胴部は、最終的に所望のロール見かけ密度となるように内部を研削し、その側面にロール軸と一体の軸部をはめ込み(図3)、ロール胴部及び軸部を溶接した。かかる方法により、外径260mmφ、胴長1600mm、軸径70mm、及び、見かけ密度が4000kg/m3又は5000kg/m3(めっき浴密度の約58%、約72%)である2種類の中空サポートロールを作成した。
ロール胴部の外表面にはWC−Coの溶射皮膜を設け、ロール軸部表面には、ステライトで肉盛した(肉盛厚5mm)。また、ロール胴部表面には、合金層の巻き付きを防止するため、WC−12Coを100μmの厚さとなるように溶射した。なお、ロール胴部の表面粗度Raは、3μmとした。
本実施例におけるこれら以外の条件(シンクロールの素材、ロール配置等)は、上記シミュレーション条件と同様とし、その他の操業条件についても上記シミュレーション条件に合わせた。
この条件にて溶融めっき鋼板を試作したところ、2種類のサポートロールのいずれを無駆動で使用しても、回転不良およびそれに起因する表面欠陥等は発生せず、問題なく操業することができ、表面のめっき付着量が均一である溶融めっき鋼板を製造できることが確認された。
10 軸部
11 胴部
12 内空部
13 軸部の外周面
20 軸受け
21 軸受けの内周面
100 サポートロール
200 溶融金属めっき装置
Claims (4)
- 無駆動の鋼製サポートロールを複数備えた溶融金属めっき装置であって、
複数の前記鋼製サポートロールは、中空胴部と軸部とを具備し、
前記中空胴部の外径をD1、前記軸部の外径をD2とするとき、下記(2)式が成立し、
上下に隣接する2つの前記鋼製サポートロールの軸間距離が200〜300mmであることを特徴とする溶融金属めっき装置。
0.15×D1≦D2≦0.3×D1 (2) - さらに、前記鋼製サポートロールの前記軸部を支える軸受けを具備し、
前記軸部と前記軸受けとのクリアランスは、常温状態において、2〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき装置。 - 前記軸受けの内周面に耐磨耗処理が施されていることを特徴とする請求項2に記載の溶融金属めっき装置。
- 無駆動の鋼製サポートロールを複数備えた溶融金属めっき装置を使用する溶融めっき鋼板の製造方法であって、
前記鋼製サポートロールは、中空胴部と軸部とを具備し、
前記中空胴部の外径をD1、前記軸部の外径をD2とするとき、下記(2)式が成立し、
上下に隣接する2つの前記鋼製サポートロールの軸間距離が200〜300mmであることを特徴とする溶融めっき鋼板の製造方法。
0.15×D1≦D2≦0.3×D1 (2)
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