JP4315014B2 - 溶融めっき用浴中サポートロール及び溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融めっき用浴中サポートロール及び溶融めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融めっき金属の製造過程において好適に使用される溶融金属めっき浴中のサポートロール、及び溶融めっき鋼板の製造方法に関する。
溶融めっき金属に分類される溶融めっき鋼板は、連続焼鈍炉で焼鈍された薄鋼板を、溶融亜鉛等の溶融金属を保持しためっき浴中に浸漬し、この浴中に設置されたシンクロールにより上方に方向転換された後、めっき浴面直上に設置されたガスワイピング装置によって余剰めっきを払拭され、所定のめっき付着量に調整されて製造されるのが一般的である。最近は、特に、自動車車体用等の用途を有する溶融亜鉛めっき鋼板の需要が高まりつつあり、この需要が高まるにつれて、当該鋼板に要求される品質レベルも従来とは比較にならないほど高くなってきている。溶融めっき鋼板に要求される品質の中でも、特に、めっき付着量の均一化は、溶融めっき鋼板の耐食性、溶接性、及びめっき層密着性等に支配的な影響を及ぼすため、非常に重要な技術の一つであるとされている。
金属表面のめっき付着量が不均一になると、フラッタリングあるいはチャタリングと呼ばれる現象が生ずる。これは、ガスワイピング位置におけるめっき鋼帯の振動により鋼板長手方向に付着量が揺らぐ現象であり、めっき表面に現れる縞状の波目模様等により、その発生を確認することができる。この現象は、めっき付着量が均一な金属表面には生じないため、めっき付着量の均一化を図るには、当該現象を低減させる必要がある。
上記現象は、主にスピンドルを介したサポートロール駆動における回転振動、サポートロール及びシンクロールの配置、並びに、サポートロールの構造等に起因するところが大きいと言われている。そこで、近年、これらを改善することにより当該現象の発生を防止し、めっき付着量の均一化を図る技術が検討されている。例えば、特許文献1には、サポートロール駆動の回転振動並びにサポートロール及びシンクロールの配置に関する技術として、シンクロール直上のサポートロールを無駆動とし、シンクロールとサポートロールとを水平方向に位置調整することで、鋼板のいわゆるC反りを矯正する技術が開示されている。ただし、特許文献1には、サポートロール自体についての特別な工夫に関する技術は何ら開示されていない。また、特許文献2には、ロールの回転をスムーズにして回転振動を低減させるためにサポートロール軸受け材質をセラミックスとし、軸・軸受けのクリアランスを1〜15mmとする技術が、特許文献3には、サポートロールと軸受けとの間の摺動抵抗を減少させることにより回転振動を低減させるために軸受けの内径側を凸状に加工する技術が、それぞれ開示されている。一方、サポートロール自体の構造に関する技術を含むものとして、特許文献4には、サポートロールをセラミックス製としたうえで中空構造とする技術が、また、特許文献5には、サポートロールの表面粗さRaを2.0〜8.0μmとしたサポートロールを無駆動で使用する技術が、それぞれ開示されている。
特開平06−128711号公報 特開2000−64008号公報 特開2002−241915号公報 特開2001−89836号公報 特開平05−306441号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術では、浴中サポートロールの位置関係やその他の操業条件によって、サポートロールの回転が鋼帯(以下において、「ストリップ」と記述する。)の通板速度に追随しない場合があり、かえってフラッタリングや表面欠陥等の原因になり、めっき付着量の均一化を図り難いという問題がある。
一方で、無駆動の浴中サポートロールは、ストリップの張力によって回転する。無駆動のサポートロールをスムーズに回転させるためには、この張力が、サポートロールの回転に対する抵抗の合計値を上回る必要があり、回転に対する抵抗としては、ロールの慣性モーメント、軸受けの回転抵抗、及び、溶融金属の粘性抵抗(以下において、これらを「3つの要素」と記述する。)が挙げられる。したがって、無駆動ロールがスムーズに回転するためには、ストリップの張力が上記3つの要素の合計値を上回る必要がある。ストリップの張力は、ラインの仕様や鋼板の機械特性等による制限があるため、その値を無制限に上げることはできない。そのため、上記3つの要素の合計値を低減させることにより、上記張力の値をこれらの合計値よりも大きくし、ロールのスムーズな回転を図ることが好ましい。ここで、溶融金属の粘性抵抗は、一般的なロール形状ではほとんど変わらない。したがって、ロールの慣性モーメント及び軸受けの回転抵抗の値を低く抑えることが重要になる。しかし、特許文献2のように、これらの値を抑えるためにロール素材としてセラミックスを使用すると、大幅なコスト増に繋がるという問題がある。この他、特許文献3〜特許文献5に開示されている技術によっても、金属表面におけるめっき付着量の均一化を図ることは困難である。
そこで、本発明は、溶融めっき金属の表面におけるめっき付着量の均一化を図ることが可能であり、かつ、製造コストを抑制し得る溶融金属めっき浴中のサポートロール、このサポートロールを備えた溶融金属めっき装置、及び溶融めっき鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、溶融金属めっき装置200に、無駆動で使用される鋼製のサポートロール100であって、
胴部11と軸部10とを具備し、サポートロール全体の見かけの密度をd1、溶融金属5の密度をd2、及び、胴部11の外径をD1、軸部10の外径をD2とするとき、下記(1)、及び(2)式が成立することを特徴とするサポートロール100により、上記課題を解決しようとするものである。
0.6 ×d2≦d1<1.0×d2 (1)
0.15×D1≦D2≦0.3×D1 (2)
第1の本発明によれば、充分な強度を有し、かつ、無駆動でもスムーズに回転することが可能な、サポートロール100を得ることができる。また、サポートロール100を鋼製とすることにより、溶融めっき金属の製造コストを抑制することが可能となる。
ここで、本発明において、ロールの軸径(胴部11の外径D1、及び軸部10の外径D2)とは、純粋にロール軸自体のみの径ではなく、後述する耐磨耗処理層の厚さやスリーブ厚さまでをも含めた値をいうものとする。
また、上記第1の本発明において、軸部10の外周面13には、耐磨耗処理が施されていることが好ましい
かかる形態とすることにより、サポートロール100において、軸部10の耐磨耗性を向上させることができる。
第2の本発明は、上記第1の本発明にかかるサポートロール100を備えた溶融金属めっき装置200であって、サポートロール100の軸部10を支える軸受け20を具備し、軸部10と軸受け20とのクリアランスは常温状態において、2〜5mmであることを特徴とする溶融金属めっき装置200により、上記課題を解決しようとするものである。
第2の本発明によれば、本発明のサポートロール100の軸部10と軸受け20との間の、引っ掛かりを防止することが可能な、溶融金属めっき装置200を提供することができる。
また、上記第2の本発明において、軸受け20の内周面21に耐磨耗処理が施されていることが好ましい
かかる形態とすることにより、耐磨耗性に優れた軸受け20を備える溶融金属めっき装置200を提供することができる。
第3の本発明は、無駆動の鋼製サポートロール100を備えた溶融金属めっき装置200を使用する溶融めっき鋼板の製造方法であって、サポートロール100は、胴部11と軸部10とを具備し、サポートロール100全体の見かけの密度をd1、溶融金属5の密度をd2、及び、胴部11の外径をD1、軸部10の外径をD2とするとき、下記(1)、及び(2)式が成立することを特徴とする溶融めっき鋼板の製造方法により、上記課題を解決しようとするものである。
0.6 ×d2<d1<1.0×d2 (1)
0.15×D1<D2<0.3×D1 (2)
第3の本発明によれば、上記(1)、及び(2)式を満たす鋼製サポートロール100を用いて溶融めっき鋼板を製造することにより、表面のめっき付着量が均一である溶融めっき鋼板を製造し得る、溶融めっき鋼板の製造方法を提供することができる。
本発明の溶融めっき用浴中サポートロール及び溶融めっき鋼板の製造方法によれば、溶融めっき金属表面のめっき付着量を均一にすることが可能であり、かつ、製造コストを抑制し得る溶融金属めっき浴中のサポートロール、当該サポートロールを備えた溶融金属めっき装置、及び、表面のめっき付着量が均一である溶融めっき鋼板を製造することが可能な、溶融めっき鋼板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施する形態について説明する。ただし、本発明は、この形態に限定されるものではない。また、形状、構造に関する記載(具体的な数値を含む)は、特に断らない限り、常温におけるものとする。
1)サポートロール及び軸受け
図1に、本発明のサポートロール100の実施形態例を示す。図1(a)は、サポートロール100の正面図であり、図1(b)は、サポートロール100の側面図である。本発明のサポートロール100は、軸部10と胴部11とを備え、外径がD1である胴部11は中空部12を有し、外径がD2である軸部10と胴部11とは溶接部14によって接合されている。なお、図1には、軸部10及び胴部11が溶接部14により接合されている態様を図示したが、軸部10及び胴部11の接合方法はこれに限られず、軸部10及び胴部11を一体に固定できる接合方法であれば、他の方法であっても好適に用いることができる。
本発明では、ロール軸部10の外径D2をロール胴部11の外径D1に対し30%以下とする。外径D2を外径D1に対して30%以下とすることで、無駆動でも、サポートロール100の回転がスムーズになる。また、実用に耐え得るサポートロール強度を確保するという観点から、ロール軸部10の外径D2は、ロールの胴部11の外径D1に対して15%以上とする。好ましくは、20〜30%である。
本発明の溶融めっき用浴中サポートロール100は、鋼ベースの素材を使用し、その素材は鋼ベースの金属であれば特に限定されない。中でも、高温の溶融めっき浴中(以下において、溶融めっき浴は溶融亜鉛浴であることを想定して記載する。)における耐食性に優れた、Cr含有ステンレス鋼(好ましくはオーステナイト系ステンレス鋼)を好適に使用することができ、当該ステンレス鋼の具体例としては、SUS316L、SUS420相当のCr含有ステンレス鋼等を挙げることができる。また、溶融めっき浴中において、亜鉛合金層がサポートロール100へ巻き付くことを防止するため、ロール胴部11の表面にWC−12Co等の溶射皮膜を数百μmから数mm程度形成しておくことが好ましい。
本発明において、サポートロール100の見かけの密度d1は、溶融金属5を保持しためっき浴(図4又は5参照)の密度d2よりも小さくする。なお、この場合におけるサポートロール100の見かけの密度d1とは、軸部10も含めたサポートロール全体の密度をいう。
溶融亜鉛めっきの場合、溶融金属5を保持しためっき浴の密度d2は、通常のめっき浴温度である約460℃程度では、約6900kg/mである。一方、鋼ベースの素材の場合、サポートロール100の見かけの密度d1は、例えば、約7800kg/mである。したがって、本発明では、サポートロール100の見かけの密度d1を低減させるために、サポートロール100を中空にする等、構造上の工夫をする。ここで、中空部12等とした場合においても、本発明のサポートロール100が実用に耐え得る強度を確保するという観点から、本発明のサポートロール100の密度d1は、めっき浴の密度に対し60%以上100%未満であることが好ましく、より好ましくは70%以上90%以下である。
なお、ロール100の外径及び幅等は、設備仕様等によっても異なるため一概には言い難いが、本発明の溶融金属めっき装置において使用されるサポートロール100としては、胴部外径200〜400mm程度、及び、ロール胴長1500〜2200mm程度のサポートロール100を主に想定している。
図2に、本発明の溶融金属めっき装置において使用されるサポートロール100及び軸受け20の拡大図を示す。図2において、本発明のサポートロール100の軸部10は、軸受け20の内周面側に貫入されている。
本発明の溶融金属めっき装置において、サポートロール100のロール軸10と軸受け20とのクリアランスは、引っかかりを生じない範囲でできるだけ少ない方がよく、好ましくは、2〜5mmである。さらに、軸受け20の耐久性向上という観点から、軸受けの内周面21に耐磨耗処理を施すことが好ましい。加えて、サポートロール100及び軸受け20の摺動部幅は、軸部10及び/又は軸受け20の寿命と摺動抵抗との兼ね合いを考慮して、70〜150mm程度とするのが好ましい。
一方、耐磨耗性を向上させるため、サポートロール100における軸部の外周面13には、直接、耐磨耗処理を施すことが好ましい。具体的な耐磨耗処理方法としては、耐磨耗性等に優れるステライトをロール軸表面に肉盛するステライト肉盛等を挙げることができ、さらに、めっき浴中における耐久性に優れるという観点から、CoCrW等の自溶性合金やタングステンカーバイド(WC)を溶射する方法等も挙げることができる。
なお、磨耗によりロール軸(例えば肉盛が施されたロール軸)の外周面13が荒れた場合においても研削により表面の平滑化を図ることが容易になるという観点から、ロール軸の外周面13に上記耐磨耗処理を直接施す場合における当該処理層の厚さは、3〜5mm程度以上とすることが好ましい。
図3に、溶融金属めっき装置に備えられるサポートロール100及び軸受け20に適用され得るスリーブ構造の概念図を示す。図3において、本発明のサポートロール100は、溶接部14により接合された軸部10及び胴部11を備え、胴部11は中空部12を有している。一方、ロールの軸部10の外側にはスリーブ30が備えられ、スリーブ30が備えられた軸部10は、軸受け20の内周面側に貫入されている。
本発明のサポートロール100がこのような構造を採れば、補修の際にはスリーブ30のみを交換すればよいので、経済的・合理的な構造とすることが可能である。なお、スリーブ構造が採用される場合には、スリーブ30の摺動面側に硬化表面処理を施すことにより、ロール軸外周面13の耐磨耗性を向上させるのが一般的である。
2)溶融金属めっき装置
図4に、本発明の溶融めっき鋼板の製造方法において使用される、溶融金属めっき装置200の実施形態例を示す。図4(a)は、溶融金属めっき装置200の側面図であり、本発明のサポートロールである上サポートロール110及び下サポートロール120、並びにシンクロール150は、溶融金属5を保持しためっき浴中に位置している。ここで、ストリップ1は図の矢印の方向へと進むものとする。一方、図4(b)は、溶融金属めっき装置200の正面図である。
本発明の溶融めっき鋼板の製造方法では、ストリップ1のC反りの矯正を容易にするという観点から、本発明のサポートロール、特に、下サポートロール120は、図4に示すように、シンクロール150から立ち上がったストリップ1のパスラインをやや押し込んだ位置で使用することが好ましい。また、上サポートロール110と下サポートロール120との軸間距離が離れているほど、ストリップ1のC反りが少なく、かつ、フラッタリングが発生し難いため、上サポートロール110と下サポートロール120とは距離を離して使用することが好ましい。
ここで、上下2つのサポートロールを離して使用すると、ストリップ1がこれら2つのサポートロールへ巻き付く際の巻き付き角が大きくなるため、ストリップ1がサポートロールの振動の影響を受けやすくなる。したがって、上サポートロール及び下サポートロールが駆動サポートロールである場合には、均一なめっきを付着し難いという問題が生じる。しかし、これら2つのサポートロール110、120を無駆動にすることにより、かかる問題を回避することができる。
なお、上記押込み量、及び本発明のサポートロール軸間距離は、ストリップのサイズ、材質、及びラインスピード等の他の操業条件にもよるが、押し込み量で5〜50mm程度、サポートロール軸間距離で200〜300mm程度(下サポートロールとシンクロールとの軸間距離は500〜800mm程度)とすることにより、表面にめっき(亜鉛めっき)が均一に付着した溶融めっき鋼板を製造することができる。
(計算機シミュレーション)
本発明のサポートロールの好適な構造を特定するため、サポートロールの構造条件を種々変更して計算機シミュレーションを実施した。以下に、当該シミュレーションの条件を示す。また、図5に、本シミュレーションにおける各ロールの配置図を示す。図5において、ストリップ1は、矢印の方向へと進むものとする。
<シミュレーション条件>
・サポートロール
ロール外径:260mmφ
ロールの見かけ密度:めっき浴に対して40〜120%
ロール胴部の長さ:1600mm
ロール軸部の軸径:50〜130mm
ロールの表面粗度Ra:3μm
駆動条件:無駆動
・サポートロール軸受け
軸受けとサポートロールとの摺動部幅:120mm
クリアランス:3mm
耐磨耗処理方法:ステライトにて肉盛
・シンクロール
外径:750mm
ロール胴部の長さ:1600mm
駆動条件:モータによる駆動
・ロールの配置条件
めっき浴の浴面と上サポートロール軸の中心との距離L1:200mm
めっき浴の浴面と下サポートロール軸の中心との距離L2:500mm
押し込み量L3:30mm
めっき浴の浴面とシンクロール軸の中心との距離L4:1200mm
・その他の条件
めっき浴:Zn−0.2%Al浴
めっき浴の温度(密度):460℃(6900kg/m
ストリップの板幅:610〜1250mm
ストリップの板厚:0.35〜4.5mm
ストリップの鋼種:IF鋼(Interstitial Free鋼)
ライン速度(ストリップの通板速度):25〜180mpm
鋼板のユニット張力(板厚=4.5mmの時):9.8N/mm 〜 39.2N/mm
<シミュレーション結果>
上記条件によりシミュレーションを実施し、上サポートロールの回転状態を観察した。観察結果を、図6にあわせて示す。
ここで、図6における評価の基準は以下の通りとした。
○:回転不良が発生しない。
△:ストリップのサイズ、ライン速度等により、スリップ(サポートロールの回転速度がライン速度に追従しない現象)が発生する。
×:ストリップのサイズ、ライン速度等により、サポートロールが回転しない場合がある。
なお、評価が△及び×の場合における、サポートロールの回転不良は、ストリップが薄肉狭幅材であるほど(例えば厚さ0.35mm×幅610mm等)、又は、ライン速度が速いほど(例えば約150mpm以上)、生じやすい傾向にあった。
図6より、サポートロールの見かけ密度が、めっき浴密度の100%未満であり、かつ、サポートロールにおけるロール軸部の軸径が、ロール胴体部外径の30%以下である場合には、無駆動であってもサポートロールの回転状態は良好(○)であるとの結果が得られた。
(実施例)
上記シミュレーション結果を参考にしてサポートロールを試作し、試作したサポートロールを用いて溶融めっき鋼板を製造した。
ロール素材には、SUS420相当材(13%Cr含有マルテンサイト系ステンレス鋼、密度:7800kg/m)を使用した。ロール胴部は、最終的に所望のロール見かけ密度となるように内部を研削し、その側面にロール軸と一体の軸部をはめ込み(図3)、ロール胴部及び軸部を溶接した。かかる方法により、外径260mmφ、胴長1600mm、軸径70mm、及び、見かけ密度が4000kg/m又は5000kg/m(めっき浴密度の約58%、約72%)である2種類の中空サポートロールを作成した。
ロール胴部の外表面にはWC−Coの溶射皮膜を設け、ロール軸部表面には、ステライトで肉盛した(肉盛厚5mm)。また、ロール胴部表面には、合金層の巻き付きを防止するため、WC−12Coを100μmの厚さとなるように溶射した。なお、ロール胴部の表面粗度Raは、3μmとした。
一方、軸受けの素材は、サポートロールと同様の材質(SUS420相当材)とし、サポートロールと同様に肉盛を施し、軸受けとロールとの摺動部幅及びクリアランスは、それぞれ、120mm及び3mmとした。
本実施例におけるこれら以外の条件(シンクロールの素材、ロール配置等)は、上記シミュレーション条件と同様とし、その他の操業条件についても上記シミュレーション条件に合わせた。
この条件にて溶融めっき鋼板を試作したところ、2種類のサポートロールのいずれを無駆動で使用しても、回転不良およびそれに起因する表面欠陥等は発生せず、問題なく操業することができ、表面のめっき付着量が均一である溶融めっき鋼板を製造できることが確認された。
本発明のサポートロールの実施形態例を示す図である。 本発明のサポートロール及び軸受けの実施形態例を示す図である。 スリーブ構造を示す図である。 本発明の溶融金属めっき装置の実施形態例を示す図である。 溶融金属めっき装置におけるロールの配置例を示す図である。 計算機シミュレーション結果を示す図である。
符号の説明
5 溶融金属
10 軸部
11 胴部
12 内空部
13 軸部の外周面
20 軸受け
21 軸受けの内周面
100 サポートロール
200 溶融金属めっき装置

Claims (4)

  1. 無駆動の鋼製サポートロールを複数備えた溶融金属めっき装置であって、
    複数の前記鋼製サポートロールは、中空胴部と軸部とを具備し、
    前記中空胴部の外径をD1、前記軸部の外径をD2とするとき、下記(2)式が成立し、
    上下に隣接する2つの前記鋼製サポートロールの軸間距離が200〜300mmであることを特徴とする溶融金属めっき装置。
    0.15×D1≦D2≦0.3×D1 (2)
  2. さらに、前記鋼製サポートロールの前記軸部を支える軸受けを具備し、
    前記軸部と前記軸受けとのクリアランスは、常温状態において、2〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき装置。
  3. 前記軸受けの内周面に耐磨耗処理が施されていることを特徴とする請求項2に記載の溶融金属めっき装置。
  4. 無駆動の鋼製サポートロールを複数備えた溶融金属めっき装置を使用する溶融めっき鋼板の製造方法であって、
    前記鋼製サポートロールは、中空胴部と軸部とを具備し、
    前記中空胴部の外径をD1、前記軸部の外径をD2とするとき、下記(2)式が成立し、
    上下に隣接する2つの前記鋼製サポートロールの軸間距離が200〜300mmであることを特徴とする溶融めっき鋼板の製造方法。
    0.15×D1≦D2≦0.3×D1 (2)
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