JP5269435B2 - 溶融金属めっき用浴中ロール - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属めっきライン、特に溶融亜鉛めっきラインにて使用する浴中ロールに関する。
溶融金属めっきラインでは、焼鈍炉からスナウトを介して溶融金属めっき浴に導かれた鋼板は、浴中ロールで上方に方向転換された後、ガスワイピングノズルによって所定のめっき付着量に調整される。
例えば、溶融亜鉛めっきラインにおいて、亜鉛めっき浴中には、亜鉛の他に0.1 〜0.2 質量%程度のアルミニウム、および、鋼板から溶出する鉄が含まれる。
浴中で使用する浴中ロールは、溶融亜鉛によるスリップを防止するため表面に溝を設けており、更に溶融亜鉛によるロール母材の溶損を防止するため、サーメットやセラミック等の溶射皮膜を表面に設けている。
めっき浴中の亜鉛、アルミニウム、鉄の各成分はドロスと呼ばれる金属間化合物を形成し、長時間操業を行うと、これらのドロスが浴中ロール表面の溝に付着、場合によっては溝が埋まる現象が発生し、押し疵、または、鋼板がスリップして生成するスリップ疵を生じ品質を低下させるという問題が発生する。
このドロス付着対策については、従来から種々検討が行なわれている。
例えば、特許文献1〜8では溝の深さ、溝の角部のR、溝幅等を規定した浴中ロールが提案されている。しかし、溝以外の部分、つまり鋼板と接触する凸部に平坦部があるため溝形状が鋼板に転写しやすいという問題がある。
また、溝傾斜部の対向する角度が90°よりも小さい場合、ロール表面に対して急峻な面となっているためドロスがはまり込み易く、また、この面は溶射皮膜が薄くなりロール母材が溶損し易いという問題もある。また、凹部Rと凸部とのつなぎ部分に変曲点があるものはこの部分にドロスが付着し易いという問題もある。
特許文献9では浴中ロールの平坦な表面にV字状の溝を設け、角度、ピッチ、深さ等を最適化する技術が提案されている。しかしながら、この技術では溝底部の形状を最適化できていないため溝底部へのドロス付着を完全に防止することはできない。
また例えば、特許文献10では浴中ロール表面の異物を機械的に除去する方法が提案されている。具体的には、浴中ロール表面にドクターブレードを押し付け、異物を削り取って除去する技術である。しかし、ドクターブレードでは溝部に付着したドロスを完全に除去するまでには至っていない。
特開平8−3710号公報 特開平7−54116号公報 特開平2−125833号公報 特開平4−301057号公報 実公平7−11167号公報 特許第3502332号公報 特開平7−62510号公報 特開平7−62509号公報 特開平8−74017号公報 特開2002−309357号公報
本発明は、長期間の使用においてもロール表面へのドロス等の異物が付着せず、鋼板品質を維持することができる溶融金属めっきライン、特に溶融亜鉛めっきラインにて使用する浴中ロールを提供する。
本発明者らは、長期間の使用においても浴中に分散するドロス等の異物がロール表面に付着し難く、また、一旦付着した後も簡単に脱落する、めっき鋼板の品質を長期間維持することができる溶融金属めっきライン、特に溶融亜鉛めっきラインにて使用する浴中ロールについて種々検討を行い、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) ロール母材表面に連続する凹凸を設けた溶融金属めっき用浴中ロールにおいて、前記凹凸のピッチPが1mm以上10mm以下、かつ前記凹凸の底部の深さtがピッチPの1/2以下で0.2mm以上5mm以下、断面視で頂部の曲率半径Rが0.1mm以上、かつ底部の曲率半径R’が下式(a)を満たし、かつ前記頂部の曲線部と前記底部の曲線部とを接続する隣り合う直線部のなす角度θが90°以上であることを特徴とする溶融金属めっき用浴中ロール。
1.5R≦R’≦P2/(8t)−R+t/2 (a)
(2) 断面視で、前記凹凸の頂部と底部の曲線部を結ぶ直線を省略し、頂部と底部を直接接続し、これら接続部を通り互いに隣り合う共通接線のなす角度θが90°以上であることを特徴とする前記(1)に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
(3) 前記溶融金属めっき用浴中ロール表面に厚さが20〜300μmのサーメット溶射皮膜を有し、
サーメット溶射皮膜は金属部とセラミックス部および不可避的不純物からなり、
金属部はCoを5質量%以上15質量%以下含む、
ことを特徴とする前記(1)または(2)記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
(4) 前記セラミック部が、タングステン硼化物、モリブデン硼化物、チタン硼化物の1種または2種以上を、合計量で0〜40質量%含有し、残部がタングステン炭化物、チタン炭化物、ニオブ炭化物、モリブデン炭化物の1種または2種以上からなることを特徴とする前記(3)に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
(5) 前記サーメット溶射皮膜は、さらに10質量%以下のCrを含むことを特徴とする前記(3)または(4)に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
(6) 前記サーメット溶射皮膜の表面に、さらに厚さ20〜200μmのセラミック溶射皮膜を有することを特徴とする前記(3)から(5)に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
(7) 前記サーメットまたはセラミック溶射皮膜の最表層に20μm以下の封孔処理皮膜を有することを特徴とする(3)から(6)に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
ここで頂部とは、断面視で、凸部の最も出っ張った部分であり、底部とは同様に凹部の最もへこんだ部分である。ただし、曲率の変わらない範囲までは、頂部または底部と呼ぶ。頂部も底部もロールの表面では周方向に円弧状またはスパイラル状に連続している。
また、曲率半径は図2に示すように、前記頂部の曲線部と前記底部の曲線部とを接続する隣り合う直線部と、それらに挟まれる前記頂部または前記底部とに接するそれぞれの円弧の半径に相当する長さとする。
本発明によれば、長期間の使用においてもロール表面へのドロス等の異物付着を解決することができる溶融金属めっきライン、特に溶融亜鉛めっきラインにて使用する浴中ロールの提供が可能になり、浴中ロールに起因する鋼板疵を防止して鋼板品質の向上を図ることができ、かつ、高速で安定した通板が可能になり、生産性を向上させることができる。
本発明者らは、浴中ロール表面へのドロス等の異物付着を解決するため、まず溶融亜鉛めっきラインにおいて浴中ロール表面周方向に連続する凹凸を設けた場合の鋼板への影響、ドロス付着状況を調査した。
まず、鋼板と接触する凸部に平坦部を設けた場合には、前述したように浴中ロールが鋼板と接触する面積が大きくなり、凹凸形状が鋼板に転写する。これは平坦部と曲率部との境界で接触面圧の急上昇する部位が生じ、この部位での合金化速度が他の部位と異なってくるためと考えられる。
また、図1のように凹凸の頂部の曲線部と前記底部の曲線部とを接続する直線部が互いに対向する角度θが90°以下の場合、ドロス3が一旦凹部に入り込むと対向する直線部との摩擦力により拘束されるため、ドロス3が付着し易く、一旦付着すると除去しにくくなる。また、一般的にロール表面への溶射施工は表面に対して垂直に行うためロール表面に対し45°以上傾いた面には溶射皮膜が厚く施工できずロール母材が溶損し腐食し易くなる。
凹凸の底部に平坦部を設けない場合と、平坦部を設けた場合とを比較すると、平坦部を設けた場合には、必然的に底部に角部が2個できるため傾斜部の対向する角度がより小さくなり、かつ、底部の角部半径もより小さくなる。このため、凹凸の底部に平坦部を設けた場合には平坦部を設けない場合に比べてドロスが付着しやすい。また、凹部半径が小さい場合にも、ドロスが拘束されやすく、付着し易い。
本発明者は、これらの問題に対して、ロール表面周方向に連続する凹凸を設ける場合、1)凹凸部は直線部のないR形状とすること、2)凹凸部のRを結ぶ直線部はできるだけ少なくし直線部がある場合には対向する直線部が形成する角度が90°以上、好ましくは100°以上とすること、3)底部半径を大きくすることでドロスが付着し難くなることを見出した。
具体的には、凹凸のピッチPが1mm以上10mm以下、底部の深さtがピッチPの11/2より小さく、かつ0.2mm以上5mm以下、断面視で前記凹凸の頂部及び底部に平坦部がなく、頂部の曲率半径Rが0.1mm以上、かつ底部の曲率半径R’が下式(a)を満たし、かつ前記頂部の曲線部と前記底部の曲線部とを接続する直線部の互いに対向する角度θが90°以上であるように凹凸を形成する。
1.5R≦R’≦P2/(8t)−R+t/2 (a)
凹凸のピッチPが1mmよりも小さいと、底部の深さtを0.2mm以上とする加工が実質的に困難であり、10mmよりも大きいと鋼板との接触部が少ないため接触面圧が高くなり凸形状が鋼板に転写し易い。
底部の深さtは0.2mmよりも小さいと溶融亜鉛による流体潤滑作用で鋼板がスリップし易く、0.25mm以上とすることがより好ましい。また5mmよりも深くすることはロール再使用の際の研削量が大きくなり経済的でなく、1mm以下とすることがより好ましい。
頂部の曲率半径Rが0.1mmよりも小さいと鋼板との接触面圧が高くなり頂部形状が鋼板に転写し易くなる。
底部の曲率半径R’が頂部の曲率半径Rの1.5倍よりも小さいとドロスが噛み込み易く、1.7倍以上とすることがより好ましい。また、底部の曲率半径R’の上限は、隣接する頂部曲率半径Rと底部の曲率半径R’とが直接接続される場合、即ち図4に示すように、外接する場合で、その値は R’=P2/(8t)−R+t/2 となる。外接円よりも底部の曲率半径R’を大きくすると頂部と底部の曲線部との接続部に屈曲点が生じドロスが付着し易くなる。
頂部と底部の曲線部とを接続する直線部がある場合にはこれら直線部が互いに対向する角度を90°以上とする。90°よりも小さいとドロスが付着しやすくなる。
また、頂部と底部の曲線部とを直接接続する場合には、これら接続部を通る共通接線の互いに対向する角度を90°以上とする。90°よりも小さいとドロスが付着しやすくなる。
本発明では、溶融亜鉛による溶損を抑制するため母材表面にサーメット溶射皮膜、および、必要に応じてセラミック溶射皮膜を施こす。サーメット溶射皮膜は、セラミック部と金属部から構成され、前者は硼化物、炭化物等を含有し、後者はCo等の金属を含有している。
セラミックスは総じて溶融亜鉛による溶損を抑制する効果があるが、ロール母材との熱膨張係数差によりクラックおよび剥離を生じ易い。このためセラミック単層の皮膜として適用することは難しく、サーメット溶射皮膜の上部にセラミック溶射皮膜を施こす複層皮膜として適用することが好ましい。また、セラミック溶射皮膜厚みは、通常、20〜200μmの範囲とする。20μmよりも薄いと溶融亜鉛による溶損を抑制する効果がないため、下限の厚みを20μmとするか、30μm以上とすることが好ましい。また、200μmよりも厚いと溶融亜鉛浴中へ浸漬する際の熱衝撃で剥離するため、上限を200μmとするか、150μm以下とすることが好ましい。
サーメットの場合には組成によっては溶融金属による溶損を抑制できないため組成を限定する必要がある。サーメットの金属部の成分としては、溶融亜鉛との反応性が低く、かつ、高温で高硬度性質を有するCoが好ましい。Co量が多いほど皮膜強度が増し、かつ密着性が向上するが、一方で溶融亜鉛に対する耐食性が劣化するので15質量%を上限とすることが好ましい。また、5質量%未満では皮膜強度が不十分となるため5質量%以上とすることが好ましい。
高温での耐酸化性を向上させる必要がある場合は更にCrを添加する。CrはCo地に固溶し高温で酸化皮膜を形成する効果を有する。しかし、添加量が1質量%よりも少ないと添加する効果がなく、多量に添加すると皮膜強度が低下するので上限は10質量%とすることが好ましい。
サーメットのセラミック成分としては、溶融亜鉛と反応しない材料としてタングステン硼化物、モリブデン硼化物、チタン硼化物の1種または2種以上を、0〜40質量%含有し、残部がタングステン炭化物、チタン炭化物、ニオブ炭化物、モリブデン炭化物の1種または2種以上からなることが好ましい。前記炭化物は金属成分のCoと反応し拡散結合するため皮膜強度を向上できる特性を有する。また、前記硼化物は溶融金属に対して濡れにくい特性を有するが、単独では金属成分のCoと反応し拡散結合する効果は期待できない。このため質量%で最大40%の添加量とすることが好ましい。
なお、前記炭化物と前記硼化物を皮膜中に複合させることにより皮膜強度が高く、溶融金属に濡れ難い高耐食性皮膜が得られる。
サーメット溶射皮膜厚みは、20〜300μmの範囲とする。20μmよりも薄いと溶融亜鉛による溶損を抑制する効果がないため下限の厚みを20μmとするか、30μm以上とすることが好ましい。300μmよりも厚いと溶融亜鉛中へ浸漬する際の熱衝撃で剥離するため上限を300μmとするか、150μm以下とすることが好ましい。
溶射施工後には、表面を被覆しかつ皮膜内の極微細な気孔・クラックを充填する封孔処理皮膜として、クロム酸化物層を得るクロム酸処理、または、シリカ、ジルコニア、アルミナのいずれか1種類もしくは2種類以上からなる酸化物層を得る酸化皮膜形成処理を施す。
上述のクロム酸化物層、またはシリカ、ジルコニア、アルミナのいずれか1種もしくは2種以上からなる酸化物層の厚みは、0.01〜20μmの範囲とする。0.01μmよりも薄いと気孔・クラックを充填することができないため0.1μm以上とすることが好ましい。20μmよりも厚いと溶融亜鉛中へ浸漬する際の熱衝撃で剥離するため上限を20μmとするか、10μm以下とすることが好ましい。
上記処理により、ロール母材の溶融亜鉛による溶損を防止することができる。
次に、本発明の浴中ロールの製造方法について説明する。
まず、浴中ロール母材としてはマルテンサイト系ステンレス遠心鋳造材が用いられる。
浴中ロール表面の凹凸は、希望とする凹凸形状に加工した工具鋼または超硬製のバイトをロール表面に押し付け、鋼板への凹凸転写を防止するためロール1周で1から数ピッチ分ずれるようにスパイラル状に切削加工する。
溶射皮膜は、密着性向上のためグリッドブラストを行った後に、高速ガス溶射(High Velocity Oxygen−Fuel Thermal Spraying Process、HVOFという)、プラズマ溶射、爆発溶射(Detonation Gun Process、D−gunという)等により通常の溶射条件で行えば良い。
HVOFによって溶射する場合には、燃料ガスをケロシン、C38、C22、C36の何れかとし、燃料ガスの圧力を0.1〜1MPa、燃料ガスの流量を10〜500l/minとし、酸素ガスの圧力を0.1〜1MPa、酸素ガスの流量を100〜1000l/minとすることが好ましい。
また、セラミック溶射皮膜厚みは、通常、20〜200μmの範囲、サーメット溶射皮膜厚みは、20〜300μmの範囲とする。
緻密な皮膜を形成するため、これらの溶射皮膜の原料粉体の粒度は、10〜50μmとすることが好ましい。
溶射施工後には、封孔処理皮膜としてクロム酸化物層を得るクロム酸処理、または、シリカ、ジルコニア、アルミナのいずれか1種もしくは2種以上からなる酸化物層を得る酸化皮膜形成処理を施す。
クロム酸処理は、クロム酸を5〜90vol%含む水溶液に浸漬、塗布、またはスプレーした後に、350℃〜550℃で焼成する。これを繰り返すことによって、処理皮膜の膜厚を変化させることができるが、回数を増す毎に皮膜が厚くなるので、3回以内程度の処理で終了させることが好ましい。
シリカ、ジルコニア、アルミナのいずれか1種もしくは2種以上からなる酸化皮膜形成処理は、例えばシリコン、ジルコニウム、アルミニウムのアルコキシドのいずれか1種もしくは2種以上を5〜90vol%含むアルコール水溶液に浸漬、塗布、またはスプレーした後に、100℃〜500℃で焼成する。これを繰り返すことによって、処理皮膜の膜厚を変化させることができるが、この場合も回数を増す毎に皮膜が厚くなるので、10回以内程度の処理で終了させることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
マルテンサイト系ステンレス遠心鋳造材を用いた直径800mmのフラットロール1の表面に、凹凸形状を切削加工した後に、アルミナグリッドブラスト加工を施した。このロール母材上に、サーメット溶射皮膜6、およびセラミック溶射皮膜7を、HVOF、またはプラズマ溶射によって溶射した。なお、溶射条件は通常の範囲とした。
封孔処理皮膜8としてのクロム酸処理は、60%クロム酸水溶液をスプレーした後に550℃で5時間焼成を行い、これを2回繰り返した。この処理で0.1μm程度の厚さのクロム酸化物層が得られる。また、シリカ、ジルコニア、アルミナの酸化皮膜形成処理は、シリコン、ジルコニア、アルミナの10%金属アルコキシドアルコール水溶液をスプレーした後に200℃の焼成を2回行った。この処理で1μm程度の厚さの酸化物層が得られた。
本発明品を実機ラインの浴中ロール(ロール直径800mm、浴温度460℃、鋼板張力1kg/mm2、鋼板平均厚み1mmt、速度100mpm)にて使用した結果を表1に示した。
本発明例1〜29は、凹凸形状を変えて一連の製造方法で製造された浴中ロールである。これらは、60日間使用後もドロス付着が少なく、押し疵、および鋼板スリップによる疵が生ずることなく良好な結果であった。
また、形状は本発明の範囲とし溶射皮膜を施工していない本発明29について評価した結果、形状が本発明範囲外で溶射皮膜を施工していない比較例16に比べるとドロス付着が少なく、寿命改善効果が得られた。
一方、比較例1〜16では、使用開始1から5日程度で鋼板への凹凸形状の転写、ドロス付着による押し疵、および鋼板スリップによる疵が発生し使用を中断した。
表1に示すように本発明による浴中ロールは長期間の使用においてもロール表面へドロスが付着せず、鋼板品質を維持することができることが判る。
Figure 0005269435
Figure 0005269435
従来の浴中ロールでのドロス付着状況を断面視で表す概略図である。 本発明の浴中ロールを断面視で表す概略図である。 本発明の皮膜構造を断面視で表す概略図である。 本発明の凹凸構造で隣接する頂部曲率半径Rと底部の曲率半径R’とが直接接続される場合を断面視で表す概略図である。
符号の説明
1 ロール母材
2 皮膜
3 ドロス
4 頂部、曲率半径はR
5 底部、曲率半径はR’
6 サーメット溶射皮膜
7 セラミック溶射皮膜
8 封孔処理皮膜
P ピッチ
t 深さ
θ 直線部が対向する角度

Claims (7)

  1. ロール母材表面に連続する凹凸を設けた溶融金属めっき用浴中ロールにおいて、前記凹凸のピッチPが1mm以上10mm以下、かつ前記凹凸の底部の深さtがピッチPの1/2以下で0.2mm以上5mm以下、断面視で頂部の曲率半径Rが0.1mm以上、底部の曲率半径R’が下式(a)を満たし、かつ前記頂部の曲線部と前記底部の曲線部とを接続する隣り合う直線部のなす角度θが90°以上であることを特徴とする溶融金属めっき用浴中ロール。
    1.5R≦R’≦P2/(8t)−R+t/2…(a)
  2. 断面視で、前記凹凸の頂部と底部の曲線部を結ぶ直線を省略し、頂部と底部を直接接続し、これら接続部を通り互いに隣り合う共通接線のなす角度θが90°以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
  3. 前記溶融金属めっき用浴中ロール表面に厚さが20〜300μmのサーメット溶射皮膜を有し、
    サーメット溶射皮膜は金属部とセラミックス部および不可避的不純物からなり、
    金属部はCoを5質量%以上15質量%以下含む、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
  4. 前記セラミック部が、タングステン硼化物、モリブデン硼化物、チタン硼化物の1種または2種以上を、合計量で0〜40質量%含有し、残部がタングステン炭化物、チタン炭化物、ニオブ炭化物、モリブデン炭化物の1種または2種以上からなることを特徴とする請求項3に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
  5. 前記サーメット溶射皮膜が、さらに、10質量%以下のCrを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
  6. 前記サーメット溶射皮膜の表面に、さらに厚さ20〜200μmのセラミック溶射皮膜を有することを特徴とする請求項3から5に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
  7. 前記サーメットまたはセラミック溶射皮膜の最表層に20μm以下の封孔処理皮膜を有することを特徴とする請求項3から6に記載の溶融金属めっき用浴中ロール。
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