JP7380010B2 - 層転写用フィルムカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、シートに転写層を転写する層転写装置の筐体に着脱可能な層転写用フィルムカートリッジに関する。
従来、層転写装置の筐体に着脱可能な層転写用フィルムカートリッジとして、多層フィルムが巻回された供給リールと、多層フィルムを巻き取るための巻取リールとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、多層フィルムの進行方向を変更するために多層フィルムを案内する構造が層転写用フィルムカートリッジに設けられている。
特開平7-290685号公報
ところで、本願発明者は、多層フィルムを案内するための構造の一部を、層転写装置の筐体に設け、多層フィルムを案内する構造の残りを層転写用フィルムカートリッジに設けることで、層転写用フィルムカートリッジの軽量化を図ることを考えている。しかしながら、この場合には、層転写用フィルムカートリッジの着脱時に、層転写用フィルムカートリッジに設けた構造が、筐体に設けた構造と干渉するおそれがあり、設計の自由度が制限されるという問題が生じる。
そこで、本発明は、設計の自由度を高めることができる層転写用フィルムカートリッジを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る層転写用フィルムカートリッジは、転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される供給リールと、前記多層フィルムを巻き取るための巻取リールと、前記供給リールと前記巻取リールとに架け渡された前記多層フィルムに対して非接触となる状態から接触可能なフィルム案内部材であって、前記巻取リールの回転軸に沿った軸方向に延びるフィルム案内部材と、を備える。
前記フィルム案内部材は、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向に移動可能である。
この構成によれば、フィルム案内部材が軸間方向に移動可能であるため、層転写用フィルムカートリッジの着脱時においてフィルム案内部材が筐体に設けた他の部材と干渉するのを抑制することができる。これにより、設計の自由度を高めることができる。
また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールの軸方向における一端と、前記巻取リールの軸方向における一端とを連結する第1連結部であって、前記巻取リールに対して前記軸間方向に相対的に移動可能な第1連結部を備えていてもよい。
また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記巻取リールを収容する巻取ケースを備え、前記第1連結部は、前記巻取ケースを前記軸間方向に移動可能に支持しており、前記フィルム案内部材は、前記巻取ケースに設けられていてもよい。
前記フィルム案内部材はシャフトであり、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記巻取ケースから離れた位置で前記シャフトを支持する支持部材を備え、前記支持部材は、前記巻取ケースに固定されていてもよい。
また、前記フィルム案内部材は、前記第1連結部に設けられていてもよい。
また、前記第1連結部は、前記供給リールに対して前記軸間方向に相対的に移動可能であってもよい。
また、前記第1連結部は、前記供給リールの軸方向における一端に連結される第1部材と、前記巻取リールの軸方向における一端に連結される第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記第2部材を前記軸間方向に移動可能に支持しており、前記フィルム案内部材は、前記第2部材に設けられていてもよい。
また、前記フィルム案内部材はシャフトであり、前記第1連結部から離れた位置で前記シャフトを支持する支持部材を備え、前記支持部材は、前記第1連結部に固定されていてもよい。
また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記フィルム案内部材を前記供給リールから離れる方向に付勢するバネをさらに備えていてもよい。
また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記巻取リールを前記供給リールに近づく方向に付勢するバネをさらに備えていてもよい。
また、前記フィルム案内部材は、第1位置と、前記第1位置よりも前記供給リールに近い第2位置との間で移動可能であってもよい。
また、前記フィルム案内部材は、第1位置と、前記第1位置よりも前記巻取リールの回転軸から遠い第2位置との間で移動可能であってもよい。
また、前記第1連結部は、前記軸間方向に長い長孔であって、前記巻取リールの軸方向における一端を前記軸間方向に移動可能に支持する長孔を有し、前記長孔は、前記フィルム案内部材の移動範囲を、前記第1位置から前記第2位置までの範囲に規制してもよい。
また、前記層転写用フィルムカートリッジは、前記供給リールの軸方向における他端と、前記巻取リールの軸方向における他端とを連結する第2連結部をさらに備えていてもよい。
また、前記巻取リールの軸方向における前記フィルム案内部材の寸法は、前記巻取リールの軸方向における前記多層フィルムの幅よりも大きくてもよい。
本発明によれば、層転写用フィルムカートリッジの着脱時においてフィルム案内部材が筐体に設けた他の部材と干渉するのを抑制することができるので、設計の自由度を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る層転写装置を示す図(a)と、多層フィルムの構成を示す断面図(b)である。 層転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。 層転写用フィルムカートリッジを示す斜視図である。 層転写用フィルムカートリッジを分解して示す斜視図である。 シャフトが第1位置に位置する状態を示す側面図(a)と、シャフトが第2位置に位置する状態を示す側面図(b)と、シャフトと多層フィルムの関係を示す平面図(c)である。 筐体本体を示す斜視図である。 カバーを閉める動作に連動してシャフトが第1位置から第2位置に移動する動作を示す断面図(a),(b)である。 第1変形例に係る層転写用フィルムカートリッジおよび筐体本体を示す図であり、シャフトが第1位置に位置する状態を示す側面図(a)と、シャフトが第2位置に位置する状態を示す側面図(b)と、筐体本体のガイドを示す図(c)である。 第2変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す図であり、シャフトが第1位置に位置する状態を示す側面図(a)と、シャフトが第2位置に位置する状態を示す側面図(b)である。 第3変形例に係る層転写用フィルムカートリッジおよび筐体本体を示す図であり、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体に装着する前の状態を示す図(a)と、層転写用フィルムカートリッジを筐体本体に装着した後、シャフトが第1位置から第2位置に移動する動作を示す図(b),(c)である。 第4変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す断面図(a)と、第5変形例に係る層転写用フィルムカートリッジを示す断面図(b)である。
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
図1(a)に示すように、層転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を有する転写層を転写するための装置である。つまり、層転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。層転写装置1は、筐体2と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述する層転写用フィルムカートリッジFCを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート搬送部10は、後述するメインモータMによって回転駆動される。シート供給機構11は、図示せぬシートトレイ上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように多層フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、層転写用フィルムカートリッジFCと、第1案内軸41と、第2案内軸42と、駆動源としてのメインモータMを備えている。第1案内軸41および第2案内軸42は、筐体本体21に設けられている(図2参照)。
層転写用フィルムカートリッジFCは、図2に示すように、開口21Aを通して筐体本体21に着脱可能となっている。層転写用フィルムカートリッジFCは、多層フィルムFを支持するカートリッジであって、供給部310と、巻取部350と、フィルム案内部材の一例としてのシャフト43とを主に備えている。供給部310は、供給リール31を主に有する。巻取部350は、巻取リール35を主に有する。供給リール31には、多層フィルムFが巻回されている。
図1(b)に示すように、多層フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
供給リール31は、樹脂などからなり、多層フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、多層フィルムFの一端が固定されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、多層フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、多層フィルムFの他端が固定されている。巻取軸部35Aは、メインモータMによって回転駆動される。
なお、層転写用フィルムカートリッジFCが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となっている。また、層転写用フィルムカートリッジFCの寿命時(多層フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となり、供給リール31には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となる。
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41は、SUS(ステンレス鋼)からなっている。第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、SUSからなっている。
層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着された状態において、第1案内軸41および第2案内軸42は、多層フィルムFの面のうち支持層F1によって形成される第1面FA(図1(b)参照)に接触している。また、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着された状態において、第1案内軸41と第2案内軸42の間に張架される多層フィルムFの面のうち第1面FAと反対側の面であって、転写層F22を含む被支持層F2によって形成される第2面FB(図1(b)参照)が、シート搬送部10によって搬送されるシートSや、加圧ローラ51と、接触する。
シャフト43は、シートSから多層フィルムFを剥離させるときの多層フィルムFの角度を調整するためのSUSなどからなる部材であり、多層フィルムFの第2面FBに接触している。シャフト43は、供給リール31と巻取リール35とに架け渡された多層フィルムFに対して非接触となる状態から接触可能となっている。シャフト43は、第2軸方向に延びている。シャフト43が第2案内軸42と巻取リール35の間で張架される多層フィルムFの第2面FBに押し当てられることで、第2案内軸42で案内された多層フィルムFの進行方向が変更され、第2案内軸42を起点に折り曲げられた多層フィルムFの角度(以下、「剥離角度」ともいう。)がより鋭角となるように調整されている。詳しくは、剥離角度は、多層フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42とシャフト43の間で張架される部分とのなす角である。剥離角度が鋭角であるほど、すなわち、剥離角度が小さいほど、第2案内軸42を通過したシートSが多層フィルムFから剥離しやすくなる。なお、第1案内軸41および第2案内軸42は、筐体本体21に回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。また、シャフト43は、後述する支持部材90に、回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。
第1案内軸41は、トナー像が形成された面を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された多層フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された多層フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に多層フィルムFを案内する。
第2案内軸42は、転写部50を通過した多層フィルムFと接触し、転写部50を通過した多層フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、多層フィルムFをシートSから離れる方向に案内する剥離ローラである。転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された多層フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
転写部50は、シートSと多層フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと多層フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、多層フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟み、メインモータMによって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび多層フィルムFが搬送される。
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、多層フィルムFの下側に配置され、多層フィルムFの第1面FAと接触している。
このように構成された層転写装置1では、シートSの表面を下向きにして図示せぬシートトレイに載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された多層フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と多層フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
転写部50においては、シートSと多層フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、トナー像への転写層F22の転写を、単に「層転写」とも称する。
層転写が行われた後、シートSと多層フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと多層フィルムFが第2案内軸42を通過すると、多層フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから多層フィルムFが剥離される。
シートSから剥離された多層フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、多層フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
図3に示すように、層転写用フィルムカートリッジFCは、前述した供給部310および巻取部350の他、連結部70と、ハンドル80と、支持部材90とを備えている。供給部310は、前述した供給リール31の他、供給ケース32を有している。また、巻取部350は、前述した巻取リール35の他、巻取ケース36を備えている。なお、以下の説明では、供給リール31の回転軸X1に沿った軸方向または巻取リール35の回転軸X2に沿った軸方向を、単に「軸方向」とも称する。また、以下の説明では、回転軸X1,X2を結ぶ直線に沿った軸間方向を、単に「軸間方向」とも称する。
供給ケース32は、供給リール31を収容するケースであり、中空の略円柱状に形成されている。詳しくは、供給ケース32は、供給リール31の供給軸部31Aに巻回された多層フィルムFを内部に収容している。供給リール31の供給軸部31Aは、供給ケース32の軸方向の各端面から外側に突出している。
供給ケース32は、連結部70によって回転が規制されるとともに、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2とを結ぶ直線に沿った軸間方向において、連結部70に移動可能に移動可能に支持されている。なお、以下の説明では、回転軸X1,X2を結ぶ直線に沿った軸間方向を、単に「軸間方向」とも称する。供給リール31は、供給ケース32および連結部70に回転可能に支持されている。供給ケース32は、外周面の一部に平面32Bを有している。平面32Bは、軸方向と軸間方向に延びている。平面32Bが筐体本体21の平面部分に接触することで、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に支持される(図1参照)。
巻取ケース36は、巻取リール35を収容するケースであり、中空の円柱状に形成されている。詳しくは、巻取ケース36は、巻取リール35の巻取軸部35Aに巻回された多層フィルムFを内部に収容している。巻取リール35の巻取軸部35Aは、巻取ケース36の軸方向の各端面から外側に突出している。
巻取ケース36は、連結部70によって回転が規制されるとともに、軸間方向において、連結部70に移動可能に支持されている。巻取リール35は、巻取ケース36および連結部70に回転可能に支持されている。巻取リール35は、前述した巻取軸部35Aと、巻取ギヤ35Cとを有している。巻取ギヤ35Cは、メインモータMからの駆動力を受けるギヤである。巻取ギヤ35Cは、巻取軸部35Aの軸方向における一端に設けられている。詳しくは、巻取軸部35Aの一部がD形状に成形されていて、巻取ギヤ35Cに開けられたD形状の穴と篏合することにより、巻取ギヤ35Cが巻取軸部35Aに対して回転不能に固定されている。
連結部70は、供給部310と巻取部350とを連結する部材である。連結部70は、第1連結部71と、第2連結部72とを有している。第1連結部71および第2連結部72は、軸方向と直交する方向に延びている。詳しくは、第1連結部71および第2連結部72は、軸間方向に長い長尺な板状に形成されている。第1連結部71および第2連結部72は、多層フィルムFから離れた位置に位置する。
第1連結部71は、軸方向における供給部310の一端と、軸方向における巻取部350の一端とを連結している。具体的に、第1連結部71は、供給軸部31Aの一端と、巻取軸部35Aの一端とを連結している。詳しくは、第1連結部71は、軸間方向の両端に、供給軸部31Aや巻取軸部35Aが貫通する穴を有する。第1連結部71は、軸方向において、巻取ギヤ35Cと巻取ケース36との間に配置されている。
図4に示すように、第1連結部71は、巻取リール35および供給リール31に対して軸間方向に移動可能となっている。詳しくは、第1連結部71は、第1長孔71Aと、第2長孔71Bとを有している。第1長孔71Aは、供給リール31の供給軸部31Aに係合する軸間方向に長い長孔であり、第1連結部71の軸間方向の一端に形成されている。第2長孔71Bは、巻取リール35の巻取軸部35Aに係合する軸間方向に長い長孔であり、第1連結部71の軸間方向の他端に形成されている。
第2連結部72は、軸方向における供給部310の他端と、軸方向における巻取部350の他端とを連結している。具体的に、第2連結部72は、供給軸部31Aの他端と、巻取軸部35Aの他端とを連結している。詳しくは、第2連結部72は、軸間方向の両端に、供給軸部31Aや巻取軸部35Aが貫通する穴を有する。
供給ケース32および巻取ケース36は、軸方向において、第1連結部71と第2連結部72との間に配置されている。
第2連結部72は、巻取リール35および供給リール31に対して軸間方向に移動可能となっている。詳しくは、第2連結部72は、第1連結部71に形成された長孔71A,71Bと同様の長孔を有している。
ハンドル80は、ユーザの指がフックされることを許容する部位である。ハンドル80は、第1ハンドル81と、第1ハンドル81から軸間方向に離れて配置される第2ハンドル82とを有している。
第1ハンドル81は、供給ケース32の外周面から、回転軸X1に交差する方向、詳しくは直交する方向に突出している。第2ハンドル82は、巻取ケース36の外周面から、回転軸X1に交差する方向、詳しくは直交する方向に突出している。
支持部材90は、シャフト43を支持する部材である。支持部材90は、第1側板91と、第2側板92とを有している。第1側板91は、板状の部材であり、第1連結部71の第2長孔71Bが形成された端部に一体に設けられ、第1連結部71とともに軸間方向に移動可能となっている。第2側板92は、板状の部材であり、第2連結部72の第2長孔が形成された端部に一体に設けられ、第2連結部72とともに軸間方向に移動可能となっている。第1側板91および第2側板92は、巻取リール35の径方向外側に向かうにつれて先細となる略扇状に形成されている。
第1側板91は、シャフト43の軸方向の一端を支持している。第1側板91は、軸方向において巻取ケース36とは反対側に位置する外面91Aと、外面91Aから突出する突出部91Bとを有している。
突出部91Bは、巻取リール35の径方向において、第1連結部71の第2長孔71Bとシャフト43との間に配置されている。第1側板91の突出部91Bには、板バネSPが設けられている。板バネSPは、軸間方向において、突出部91Bに対して供給リール31とは反対側に配置されている。
第2側板92は、シャフト43の軸方向の他端を支持している。第2側板92は、軸方向において巻取ケース36とは反対側に位置する外面92Aと、外面92Aから突出する突出部(図示略)とを有している。第2側板92の突出部には、前述した板バネSPと同様の板バネSPが設けられている。
図5(a),(b)に示すように、支持部材90で支持されたシャフト43は、供給リール31および巻取リール35に対して軸間方向に移動可能となっている。詳しくは、シャフト43は、図5(b)に2点鎖線で示す第1位置と、第1位置よりも巻取リール35の回転軸X2から遠い第2位置(図5(b)に実線で示す位置)との間で移動可能となっている。ここで、連結部70の長孔71A,71Bは、規制部の一例であり、シャフト43の移動範囲を、第1位置から第2位置までの範囲に規制している。図5(c)に示すように、シャフト43の軸方向の寸法L1は、多層フィルムFの幅L2よりも大きい。
図5(a)に示すように、第1連結部71には、第1コイルバネSP2と、バネの一例としての第2コイルバネSP3とが設けられている。詳しくは、第1連結部71は、第1コイルバネSP2を支持する第1バネ支持部711と、第2コイルバネSP3を支持する第2バネ支持部712とを有する。
第1コイルバネSP2は、第1バネ支持部711と供給軸部31Aの間に配置されている。第1コイルバネSP2は、供給リール31を巻取リール35から遠ざかる方向に付勢している。
第2コイルバネSP3は、第2バネ支持部712と巻取軸部35Aの間に配置されている。第2コイルバネSP3は、巻取リール35を供給リール31に近づく方向に付勢している。
これにより、層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21から取り外した状態において、供給リール31および巻取リール35が第1連結部71に対してガタつくのを抑えることが可能となっている。なお、第1コイルバネSP2および第2コイルバネSP3は、第2連結部72にも設けられていてもよい。
図2に示すように、供給ケース32は、多層フィルムFが通る供給開口32Aを有している。供給開口32Aは、多層フィルムFを供給ケース32の内側から外側へ案内する。巻取ケース36は、多層フィルムFが通る巻取開口36Aを有している。巻取開口36Aは、多層フィルムFを巻取ケース36の外側から内側へ案内する。多層フィルムFは、供給開口32Aの縁と巻取開口36Aの縁とで支持されることで、供給リール31と巻取リール35の間で張架される、つまり張った状態で架け渡されることが可能となっている。
層転写用フィルムカートリッジFCは、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2を含む仮想平面FFに直交する方向において、筐体本体21に着脱可能となっている。なお、以下の説明では、仮想平面FFに直交する方向を、「着脱方向」とも称する。
図6に示すように、筐体本体21は、第1ガイドGD1と、第2ガイドGD2とを有している。第1ガイドGD1は、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に着脱される際において、供給リール31の供給軸部31Aをガイドする溝である。第1ガイドGD1は、前述した着脱方向に沿って延び(図2参照)、当該着脱方向に供給軸部31Aをガイドしている。第1ガイドGD1は、軸方向において、筐体本体21の一端と他端にそれぞれ設けられている。
第2ガイドGD2は、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に着脱される際において、巻取リール35の巻取軸部35Aをガイドする溝である。第2ガイドGD2は、前述した着脱方向に沿って延び(図2参照)、当該着脱方向に巻取軸部35Aをガイドしている。第2ガイドGD2は、軸方向において、筐体本体21の一端と他端にそれぞれ設けられている。
図7に示すように、カバー22は、シャフト43を、図7(a)に示す第1位置から、図7(b)に示す第2位置に向けて押圧する押圧部材22Aを備えている。押圧部材22Aは、カバー22に固定されており、カバー22が閉まるときに、シャフト43を第1位置から第2位置に向けて押圧する。なお、押圧部材22Aは、カバー22自体であってもよく、例えば、カバー22の一部を突出させた突起であってもよい。
ここで、第1位置に位置するシャフト43は、着脱方向に投影したときに第2案内軸42と重ならない。これにより、シャフト43を第1位置に配置している場合には、シャフト43が第2案内軸42と干渉することなく、層転写用フィルムカートリッジFCを着脱することが可能となっている。
また、第2位置に位置するシャフト43は、着脱方向に投影したときに第2案内軸42と重なる。これにより、第2案内軸42での多層フィルムFの剥離角度を適正な角度にすることが可能となっている。
押圧部材22Aは、軸方向において、シャフト43の一端と他端に配置されている。一端側の押圧部材22Aは、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着された状態において、第1側板91に設けられた板バネSPと接触可能な位置に配置されている。また、他端側の押圧部材22A(図示略)は、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着された状態において、第2側板92に設けられた板バネSPと接触可能な位置に配置されている。これにより、各押圧部材22Aは、板バネSPおよび支持部材90を介してシャフト43を押圧可能となっている。
次に、本実施形態に係る層転写装置1の作用効果について説明する。
図2に示すように、ユーザが、ハンドル80を掴んで層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21に上から装着していくと、供給ケース32と巻取ケース36の間で架け渡された多層フィルムFが、筐体本体21の第1案内軸41と第2案内軸42に接触する。その後、さらに層転写用フィルムカートリッジFCを装着位置に向けて移動させると、図7(a)に示すように、多層フィルムFは、供給ケース32、第1案内軸41、第2案内軸42および巻取ケース36の各部材間で架け渡される。
層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21に装着した後、カバー22を閉めていくと、押圧部材22Aが板バネSPと接触する。その後、ユーザがカバー22をさらに閉めていくと、押圧部材22Aが板バネSPおよび支持部材90を介してシャフト43を第1位置から第2位置に向けて押圧する。これにより、シャフト43が、図5(a)に示すコイルバネSP2,SP3の付勢力に抗して、連結部70とともに軸間方向に沿って移動する。なお、図7では、便宜上、コイルバネSP2,SP3の図示は省略する。
シャフト43は、第2位置に到達する前に、第2案内軸42と巻取ケース36との間で張架された多層フィルムFに接触する。その後、ユーザがカバー22をさらに閉めていくと、シャフト43は、第2案内軸42と巻取ケース36との間で張架された多層フィルムFを供給ケース32に向けて押圧した後、第2位置に到達する。
シャフト43が第2位置に位置すると、連結部70の移動が各リール31,35で規制される。その後ユーザがカバー22をさらに閉めていくと、押圧部材22Aと支持部材90との間で板バネSPが押し縮められる。
これにより、図7(b)に示すように、カバー22を完全に閉じた状態においては、板バネSPの付勢力を支持部材90およびシャフト43を介して多層フィルムFに伝達することができ、多層フィルムFに適正なテンションを付与することができる。
層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21から取り外す場合には、カバー22を開けると、押圧部材22Aが板バネSPから離れることで、図5(a)に示すコイルバネSP2,SP3の付勢力によって連結部70が図7(b)に示す位置から図7(a)に示す位置に移動する。これにより、ユーザがカバー22を開けると、シャフト43がコイルバネSP2,SP3の付勢力によって第2位置から第1位置に移動する。その後、ユーザは、第1ハンドル81および第2ハンドル82を持って、着脱方向に層転写用フィルムカートリッジFCを引き出すことで、層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21から容易に取り外すことができる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
シャフト43が各リール31,35の回転軸X1,X2を結ぶ直線に沿った軸間方向に移動可能であるため、層転写用フィルムカートリッジFCの着脱時においてシャフト43が第2案内軸42と干渉するのを抑制することができる。これにより、設計の自由度を高めることができる
各リール31,35を付勢するコイルバネSP2,SP3を設けたので、着脱時において、各リール31,35が連結部70に対してガタつくのを抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、支持部材90を連結部70に一体に設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、支持部材90を巻取ケース36に一体に設けてもよい。具体的に、この構造では、巻取ケース36は、連結部70に軸間方向に移動可能に支持されている。これにより、支持部材90は、巻取ケース36とともに連結部70に対して軸間方向に移動可能となっている。
以下に、この構造について詳細に説明する。なお、以下の説明では、巻取ケース36の一端側の構造のみを説明し、巻取ケース36の一端側の構造と同様に構成される他端側の構造については説明を適宜省略する。
巻取ケース36は、軸方向の各端面から外側に突出する被ガイド部36Bを有している。被ガイド部36Bは、軸方向と軸間方向に沿った第1平面FG1を有している。なお、巻取リール35の巻取軸部35Aは、巻取ケース36に回転可能に支持されている。
第1連結部71は、巻取ケース36の一端側の被ガイド部36Bを軸間方向に移動可能に支持するガイド孔70Aを有している。ガイド孔70Aは、規制部の一例であり、シャフト43の移動範囲を第1位置から第2位置までの範囲に規制している。ガイド孔70Aは、被ガイド部36Bの第1平面FG1に接触する第2平面FG2を有している。
この形態では、支持部材90が巻取ケース36とともに軸間方向にスライド移動することで、シャフト43が、図8(a)に示す第1位置と、図8(b)に示す、第1位置よりも供給リール31に近い第2位置との間で移動可能となっている。具体的には、図示せぬカバーを閉めていく際に、カバーに設けた押圧部材が板バネSPに接触すると、押圧部材が、板バネSPを介して支持部材90を押圧し、支持部材90が巻取ケース36とともに連結部70に対して軸間方向に移動する。これにより、シャフト43が、第1位置から図9(b)に示す第2位置に移動する。この形態でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、この形態では、第1連結部71は、バネの一例としてのコイルバネSP4と、コイルバネSP4を支持するバネ支持部713とを備えている。コイルバネSP4は、バネ支持部713と巻取軸部35Aの間に配置されている。コイルバネSP4は、被ガイド部36Bを供給リール31から離れる方向に付勢することで、シャフト43を供給リール31から離れる方向に付勢している。
これにより、シャフト43を第1位置に付勢することができるので、カバー22を開けると、コイルバネSP4の付勢力でシャフト43を第2位置から第1位置に戻すことができる。また、層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21から取り外した状態において、巻取リール35が第1連結部71に対してガタつくのを抑えることが可能となっている。
第1連結部71は、供給リール31の供給軸部31Aを回転可能に支持する丸孔71Cを有している。供給ケース32は、第1連結部71に固定されている。
なお、この形態では、シャフト43の移動に応じて巻取リール35の軸間方向の位置が変わるので、図8(c)に示すように、筐体本体21の第2ガイドGD3は、前記実施形態とは異なる形状となっている。詳しくは、第2ガイドGD3は、巻取リール35の巻取軸部35Aを被ガイド部36Bを介して案内するガイドである。第2ガイドGD3は、着脱方向に延びる第1部位G31と、第1部位G31の下端から第1ガイドGD1に向けて軸間方向に沿って延びる第2部位G32とを有している。
前記実施形態では、第1連結部71を1つの部材で構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、第1連結部100を、2つの部材で構成してもよい。なお、以下の説明において、第1連結部100と同様に構成される第2連結部については、説明は省略する。
第1連結部100は、第1部材110と、第2部材120とを備えている。第1部材110および第2部材120は、軸間方向に長い長尺な板状に形成されている。
第1部材110は、供給部310の軸方向の一端に連結されている。詳しくは、第1部材110は、供給リール31の供給軸部31Aを回転可能に支持する丸孔111を、軸間方向の一端に有している。供給ケース32は、第1部材110に固定されている。
第1部材110は、軸方向に突出する被ガイド部112を、軸間方向の他端に有している。被ガイド部112は、軸間方向に沿った平面FG3を有している。
第2部材120は、巻取部350の軸方向の一端に連結されるとともに、第1部材110に軸間方向に移動可能に支持されている。第1側板91は、第2部材120に一体に設けられ、第2部材120とともに第1部材110に対して軸間方向に移動可能となっている。詳しくは、第2部材120は、軸間方向の一端にガイド孔121を有し、軸間方向の他端に長孔122を有している。
ガイド孔121は、軸間方向に長い長孔であり、被ガイド部112に係合している。ガイド孔121は、被ガイド部112の平面FG3に接触する平面FG4を有している。ガイド孔121を有する第2部材120は、被ガイド部112によって軸間方向に移動可能に支持されている。ガイド孔121は、規制部の一例であり、シャフト43の移動範囲を、第1位置から第2位置までの範囲に規制している。
長孔122は、軸間方向に長い長孔であり、巻取リール35の巻取軸部35Aを、回転可能に支持するとともに軸間方向に移動可能に支持している。
この形態では、第1側板91が第2部材120とともに軸間方向にスライド移動することで、シャフト43が、図9(a)に示す第1位置と、図9(b)に示す、第1位置よりも供給リール31に近い第2位置との間で移動可能となっている。具体的には、図示せぬカバーを閉めていく際に、カバーに設けた押圧部材が板バネSPに接触すると、押圧部材が、板バネSPを介して第1側板91を押圧し、第1側板91が第2部材120とともに第1部材110に対して軸間方向に移動する。これにより、シャフト43が、第1位置から図9(b)に示す第2位置に移動する。この形態でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、この形態では、第2部材120は、バネの一例としてのコイルバネSP5と、バネ支持部714とを備えている。コイルバネSP5は、バネ支持部714と被ガイド部112との間に配置されている。コイルバネSP5は、第2部材120を供給リール31から離れる方向に付勢することで、シャフト43を供給リール31から離れる方向に付勢している。
これにより、シャフト43を第1位置に付勢することができるので、カバー22を開けると、コイルバネSP5の付勢力でシャフト43を第2位置から第1位置に戻すことができる。また、層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21から取り外した状態において、第2部材120およびシャフト43が第1部材110に対してガタつくのを抑えることが可能となっている。
なお、この形態において、図5(a)に示すような第2バネ支持部712および第2コイルバネSP3を設けてもよい。これによれば、層転写用フィルムカートリッジFCを筐体本体21から取り外した状態において、巻取リール35が第2部材120に対してガタつくのを抑えることができる。
図5の形態では、第1連結部71の軸間方向の両端にそれぞれ長孔71A,71Bを設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10(a)に示すように、第1連結部71の各孔のうち供給リール31の供給軸部31Aに連結される孔を、丸孔71Cとしてもよい。
つまり、供給リール31が第1連結部71とともに軸間方向に移動可能になっていてもよい。なお、この形態では、供給ケース32は、第1連結部71に固定されている。また、第2連結部72は、第1連結部71と同様に構成されている。
なお、この形態では、シャフト43の移動に応じて供給リール31の軸間方向の位置が変わるので、筐体本体21の第1ガイドGD4は、前記実施形態とは異なる形状となっている。詳しくは、第1ガイドGD4は、供給リール31の供給軸部31Aを案内するガイドである。第1ガイドGD4は、着脱方向に延びる第1部位G41と、第1部位G41の下端から第2ガイドGD2とは反対側に向けて延びる第2部位G42とを有している。
この形態でも、図10(b),(c)に示すように、シャフト43を第1位置と第2位置との間で移動させることができるので、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
前記実施形態では、バネとしてコイルバネを例示したが、本発明はこれに限定されず、バネは、例えば、板バネ、線バネ、トーションバネなどであってもよい。
前記実施形態では、フィルム案内部材として円柱状のシャフト43を例示したが、本発明はこれに限定されず、フィルム案内部材は、例えば、図11(a)に示すような板状のブレードBD1であってもよい。また、例えば、図11(b)に示すような平べったい筒状のブレードBD2であってもよい。ブレードBD2は、多層フィルムFを通すための孔を有する。言い換えると、ブレードBD2は、多層フィルムFの第1面FA(図1参照)に対向する第1壁BD21と、多層フィルムFの第2面FB(図1参照)に対向する第2壁BD22とを有する。例えば、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21から取り外されているとき、供給リール31と巻取リール35とに架け渡された多層フィルムFが張架されておらず少し垂れ下がった状態となっている場合がある。この場合、多層フィルムFは第2壁BD22と接触し、第1壁BD21に対して非接触となる。一方、層転写用フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着されているとき、例えば、層転写の実行中、供給リール31と巻取リール35とに架け渡された多層フィルムFが第1案内軸41、第2案内軸42およびブレードBD2との間で張架されている。このとき、多層フィルムFは第1壁BD21と接触し、第2壁BD22に対して非接触となる。つまり、第1壁BD21は、供給リール31と巻取リール35とに架け渡された多層フィルムFに対して非接触となる状態から接触可能となっている。
前記実施形態では、支持部材90に板バネSPを設けたが、本発明はこれに限定されず、板バネはなくてもよい。なお、この場合には、図6の押圧部材22Aによって支持部材90を直接押圧する構造とすればよい。また、板バネを押圧部材22Aの先端に設けてもよい。
前記実施形態では、連結部70を2つの連結部71,72で構成したが、本発明はこれに限定されず、連結部は1つ(例えば第1連結部のみ)であってもよい。
前記実施形態では、層転写装置として、シートSのトナー像の上に転写層を転写するための装置を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、層転写装置は、シートに形成されたインク像の上に転写層を転写する装置や、転写層をサーマルヘッドでシートに転写する装置などであってもよい。
前記実施形態では、箔を含む転写層F22を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
連結部は、板状ではなく、棒状でもよい。連結部は、樹脂製でもよいし金属製でもよい。
前記実施形態では、連結部70の長孔71A,71Bで供給軸部31Aおよび巻取軸部35Aを移動可能に支持したが、本発明はこれに限定されない。例えば、供給ケースおよび巻取ケースの軸方向の両端面に中空の突起を設け、中空の突起の外周面を、連結部の長孔で移動可能に支持してもよい。この場合、中空の突起を小判状に形成するなどして、中空の突起の外周面の一部を、軸間方向および軸方向に沿った面とすることにより、供給ケースおよび巻取ケースが連結部に対して回転しないようにしてもよい。また、供給リールおよび巻取ケースの軸部は、中空の突起の内周面で回転可能に支持してもよい。なお、この場合、供給リールおよび巻取リールは、供給ケースおよび巻取ケースを介して、連結部に連結される。
前記実施形態では、供給ケース32および巻取ケース36を連結部70に対して回転しないように構成したが、本発明はこれに限定されず、供給ケースおよび巻取ケースは連結部に対して回転可能であってもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
1 層転写装置
2 筐体
31 供給リール
35 巻取リール
43 シャフト
310 供給部
350 巻取部
F 多層フィルム
F1 支持層
F22 転写層
FC 層転写用フィルムカートリッジ
S シート
X1 回転軸
X2 回転軸

Claims (15)

  1. 転写層と、前記転写層を支持する支持層と、を有する多層フィルムが巻回される供給リールと、
    前記多層フィルムを巻き取るための巻取リールと、
    前記供給リールと前記巻取リールとに架け渡された前記多層フィルムに対して非接触となる状態から接触可能なフィルム案内部材であって、前記巻取リールの回転軸に沿った軸方向に延びるフィルム案内部材と、を備え、
    前記フィルム案内部材が、前記供給リールの回転軸と前記巻取リールの回転軸とを結ぶ直線に沿った軸間方向であって、前記供給リールの回転軸に直交する軸間方向に移動可能であることを特徴とする層転写用フィルムカートリッジ。
  2. 前記供給リールの軸方向における一端と、前記巻取リールの軸方向における一端とを連結する第1連結部であって、前記巻取リールに対して前記軸間方向に相対的に移動可能な第1連結部を備えることを特徴とする請求項1に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  3. 前記巻取リールを収容する巻取ケースを備え、
    前記第1連結部は、前記巻取ケースを前記軸間方向に移動可能に支持しており、
    前記フィルム案内部材は、前記巻取ケースに設けられることを特徴とする請求項2に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  4. 前記フィルム案内部材はシャフトであり、
    前記巻取ケースから離れた位置で前記シャフトを支持する支持部材を備え、
    前記支持部材は、前記巻取ケースに固定されることを特徴とする請求項3に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  5. 前記フィルム案内部材は、前記第1連結部に設けられることを特徴とする請求項2に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  6. 前記第1連結部は、前記供給リールに対して前記軸間方向に相対的に移動可能であることを特徴とする請求項5に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  7. 前記第1連結部は、
    前記供給リールの軸方向における一端に連結される第1部材と、
    前記巻取リールの軸方向における一端に連結される第2部材と、を備え、
    前記第1部材は、前記第2部材を前記軸間方向に移動可能に支持しており、
    前記フィルム案内部材は、前記第2部材に設けられることを特徴とする請求項5に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  8. 前記フィルム案内部材はシャフトであり、
    前記第1連結部から離れた位置で前記シャフトを支持する支持部材を備え、
    前記支持部材は、前記第1連結部に固定されることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  9. 前記フィルム案内部材を前記供給リールから離れる方向に付勢するバネをさらに備えたことを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  10. 前記巻取リールを前記供給リールに近づく方向に付勢するバネをさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  11. 前記フィルム案内部材は、第1位置と、前記第1位置よりも前記供給リールに近い第2位置との間で移動可能であることを特徴とする請求項2から請求項10のいずれか1項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  12. 前記フィルム案内部材は、第1位置と、前記第1位置よりも前記巻取リールの回転軸から遠い第2位置との間で移動可能であることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  13. 前記第1連結部は、
    前記軸間方向に長い長孔であって、前記巻取リールの軸方向における一端を前記軸間方向に移動可能に支持する長孔を有し、
    前記長孔は、前記フィルム案内部材の移動範囲を、前記第1位置から前記第2位置までの範囲に規制することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  14. 前記供給リールの軸方向における他端と、前記巻取リールの軸方向における他端とを連結する第2連結部をさらに備えたことを特徴とする請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
  15. 前記巻取リールの軸方向における前記フィルム案内部材の寸法は、前記巻取リールの軸方向における前記多層フィルムの幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の層転写用フィルムカートリッジ。
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