本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、層転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の右側を「前」とし、図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」とし、図1の紙面奥側を「右」とする。また、図1の上下を「上下」とする。
図1に示すように、層転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。層転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口であり、フィルムユニットFUが通過可能となっている。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。詳しくは、カバー22は、後述する供給リール31の回転軸方向に沿って延びる回動軸X3を中心に筐体本体21に対して回動可能となっている。
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラと搬送ローラを備えている。
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、複数の搬送ローラを備えている。
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように多層フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、モータ等の駆動源80を備えている。駆動源80は、筐体2に支持されている。
フィルムユニットFUは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、多層フィルムFが巻回されている。
多層フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、多層フィルムFは、
支持層と、被支持層とを有する。支持層は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層を支持している。被支持層は、例えば、剥離層と、転写層と、接着層とを有する。剥離層は、支持層から転写層を剥離しやすくするための層であり、支持層と転写層との間に配置されている。剥離層は、支持層から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
転写層は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の金属であって薄く延された金属である。また、転写層は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層は、剥離層と接着層との間に配置されている。接着層は、転写層をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
供給リール31は、樹脂などからなり、多層フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。多層フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、供給リール31に巻回されている。
巻取リール35は、樹脂などからなり、多層フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。多層フィルムFは、支持層を外側、被支持層を内側にして、巻取リール35に巻回されている。
なお、図1等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に多層フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(多層フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最大となり、供給リール31には多層フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の多層フィルムFの径は最小となる。
第1案内軸41は、供給リール31から引き出される多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41は、樹脂などからなっている。
第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された多層フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第2案内軸42は、樹脂などからなっている。
第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された多層フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内する軸である。第3案内軸43は、樹脂などからなっている。
フィルムユニットFUを層転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、筐体2に設けられた駆動源80によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された多層フィルムFが引き出され、引き出された多層フィルムFが巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61によって多層フィルムFが送り出されることで、供給リール31から多層フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された多層フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
第1案内軸41は、トナー像を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された多層フィルムFを、被支持層F2(図3参照)を上にした状態で下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された多層フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に多層フィルムFを案内する。
第2案内軸42は、転写部50を通過した多層フィルムFと接触し、転写部50を通過した多層フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更している。転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された多層フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
転写部50は、シートSと多層フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加熱部材の一例としての加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと多層フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、多層フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび多層フィルムFを挟み、駆動源80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、多層フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、多層フィルムFの下側に配置され、多層フィルムFと接触している。
なお、本実施形態では、加熱ローラ61を多層フィルムFに対して接触・離間させるための接離機構70によって加熱ローラ61を移動させている。接離機構70は、カバー22を閉じている状態においては、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61を、多層フィルムFに接触する接触位置に移動させている。また、接離機構70は、カバー22が開けられた場合や、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61を、多層フィルムFから離間する離間位置に位置させている。
このように構成された層転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された多層フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と多層フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
転写部50においては、シートSと多層フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔が転写される。
箔が転写された後、シートSと多層フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと多層フィルムFが第2案内軸42を通過すると、多層フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから多層フィルムFが剥離される。
シートSから剥離された多層フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、多層フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
図2に示すように、筐体本体21は、第1位置決め部P1と、第2位置決め部P2と、第3位置決め部P3と、第1ガイドGD1と、第2ガイドGD2とを備えている。第1位置決め部P1は、フィルムユニットFUの後述するホルダ100を位置決めするための部位である。詳しくは、図4に示すように、ホルダ100は、円柱状のボス111Cを供給リール31の回転軸方向両端に有している。図2に戻って、第1位置決め部P1は、ボス111Cの外周面に沿った略半円状の溝として形成されている。第1位置決め部P1は、第1ガイドGD1のガイド方向端部を含む。つまり、第1位置決め部P1は、第1ガイドGD1のガイド方向端部に一体に形成されている。
第2位置決め部P2は、巻取リール35を位置決めするための部位である。詳しくは、図3に示すように、巻取リール35は、当該巻取リール35の回転軸に沿った方向に延びる巻取軸部35Aを備えている。巻取軸部35Aの両端部は、円柱状に形成されている。図2に戻って、第2位置決め部P2は、巻取軸部35Aの端部の外周面に沿った略半円状の溝として形成され、巻取軸部35Aを筐体2に対して位置決めする。第2位置決め部P2は、第2ガイドGD2のガイド方向端部を含む。つまり、第2位置決め部P2は、第2ガイドGD2のガイド方向端部に一体に形成されている。
第3位置決め部P3は、ホルダ100を位置決めするための部位である。詳しくは、図10(a)に示すように、ホルダ100は、位置決め用の穴HPを有している。穴HPは、供給リール31よりも巻取リール35の近くに配置されている。詳しくは、穴HPは、後述するホルダ100の第2保持部112に形成されている。
図2に戻って、第1ガイドGD1は、フィルムユニットFUが筐体本体21に着脱される際において、供給リール31の回転軸に直交する第1方向にホルダ100をガイドするガイドである。なお、本実施形態では、第1方向を、供給リール31の回転軸に直交する方向であって、上下方向および前後方向に対して傾いた方向とする。
第2ガイドGD2は、フィルムユニットFUが筐体本体21に着脱される際において、巻取リール35の回転軸に直交する第2方向に巻取リール35の巻取軸部35Aをガイドするガイドである。なお、本実施形態では、第2方向を第1方向と同じ方向であることとする。なお、第2方向は、第1方向に対して若干異なる方向であってもよい。第2ガイドGD2は、第1方向に沿った溝であり、上端が開口21Aに向けて開口し、下端が第2位置決め部P2に繋がっている。
第1ガイドGD1は、第2ガイドGD2よりもカバー22の回動軸X3の近くに位置している。第1ガイドGD1は、第1部位GD11と、第2部位GD12とを有している。第1部位GD11は、第1方向に沿って延びる溝であり、上端が開口21Aに向けて開口している。
第2部位GD12は、第1部位GD11と第1位置決め部P1とを繋ぐ溝であり、第1部位GD11の下端から下方に延びている。つまり、第2部位GD12は、第1方向に対して傾斜している。
第1位置決め部P1は、第1方向および回動軸X3に直交する第3方向において、第1部位GD11よりも第2位置決め部P2の近くに位置している。つまり、第3方向において、第1位置決め部P1から第2位置決め部P2までの距離は、第1部位GD11から第2位置決め部P2までの距離よりも小さくなっている。
図3および図4に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能なフィルムカートリッジ200とを備えている。フィルムカートリッジ200は、前述した多層フィルムFが巻回された供給リール31および巻取リール35と、供給ケース32とを備えている。供給リール31(詳しくは、供給ケース32)および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aの両端に設けられる略円板状の2つの側壁32Bとを有する。供給リール31は、供給ケース32の各側壁32Bに回転可能に支持されている。
各側壁32Bは、供給リール31の軸方向から見て長尺状の係合部32Cを有している。各係合部32Cは、後述するホルダ100の着脱ガイドGによってガイドされる部位であり、角丸長方形状に形成されている。
供給リール31は、供給軸部31Aのうち供給リール31の軸方向端部に供給ギヤ31Gを有している。供給ギヤ31Gは、供給リール31の回転軸を中心にして供給リール31とともに回転するギヤである。供給ギヤ31Gは、外周壁32Aに形成された切欠から外部に露出している。
巻取リール35は、前述した巻取軸部35Aと、2つのフランジ35Bと、駆動力入力部材の一例としての巻取ギヤ35Cとを有している。巻取軸部35Aのうち巻取リール35の軸方向端部は、筐体本体21に形成された第2ガイドGD2(図2参照)でガイドされる部位であり、フランジ35Bよりも外側に突出している。
フランジ35Bは、巻取軸部35Aに巻回される多層フィルムFの幅方向の移動を規制するための部位である。フランジ35Bは、巻取軸部35Aよりも大径の円板状に形成されており、巻取軸部35Aの両端部に設けられている。
巻取ギヤ35Cは、層転写装置1に設けられる駆動源80から駆動力が入力されるギヤであり、駆動力を巻取軸部35Aに伝達している。巻取ギヤ35Cは、軸方向において、フランジ35Bの外側に配置されている。巻取ギヤ35Cは、巻取リール35の回転軸上、詳しくは巻取軸部35Aと同軸に配置されている。詳しくは、図7に示すように、巻取ギヤ35Cは、筐体2に回転可能に支持される駆動ギヤDGと噛合可能となっている。これにより、駆動源80の駆動力は、駆動ギヤDGを介して巻取ギヤ35Cに伝達される。
図4に示すように、ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される規制フレーム120とを有している。ベースフレーム110は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの連結部113と、2つの取手114とを有している。
第1保持部111は、供給ケース32を保持する部位である。第1保持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を保持(支持)している。第1保持部111は、断面視略円弧状の外周壁111Aと、2つの側壁111Bとを有する。
外周壁111Aは、供給ケース32の外周面に沿って配置されている。各側壁111Bは、供給リール31の軸方向において、外周壁111Aの各端部に配置されている。
各側壁111Bは、第1案内軸41を軸方向で挟んでおり、第1案内軸41を回転可能に支持している。各側壁111Bは、供給ケース32の着脱時に供給ケース32を所定方向にガイドする着脱ガイドGを有している。着脱ガイドGは、各側壁111Bの軸方向内側の面(供給ケース32と軸方向で対面する内面)に形成されている。
着脱ガイドGは、所定方向に延びるガイド溝と、円形の保持穴とを有している。ガイド溝の幅(所定方向に直交する長さ)は、係合部32Cの長辺よりも小さく、かつ、係合部32Cの短辺より大きくなっている。保持穴は、係合部32Cを回動可能に保持する穴であり、ガイド溝に繋がっている。保持穴の直径は、係合部32Cの長辺よりも大きくなっている。係合部32Cをガイド溝に通して保持穴内に入れた後、供給ケース32を図示反時計回りに回動させると、供給ケース32が、図示せぬ規制部と接触して位置決めされることで、供給ケース32がホルダ100に装着される。
2つのうち一方の側壁111Bには、ギヤ機構130が設けられている。ギヤ機構130は、筐体本体21に設けられる図示せぬトルクリミッタの負荷を供給リール31に付与するための機構である。なお、ギヤ機構130の構造については、後で説明する。
各側壁111Bは、ボス111Cを有している。詳しくは、後述するギヤ機構130が設けられる側の側壁111Bは、ギヤカバーGCを介してボス111Cを有している。ここで、ギヤカバーGCは、ギヤ機構130を覆うカバーであり、ボス111Cを有している。ギヤカバーGCは、側壁111Bに軸方向外側の面に固定されている。
各ボス111Cは、フィルムユニットFUの筐体本体21への着脱時において、筐体本体21に形成された第1ガイドGD1(図2参照)でガイドされる部位である。一方のボス111Cは、側壁111Bの軸方向外側の面から突出している。他方のボス111Cは、ギヤカバーGCの軸方向外側の面から突出している。
各ボス111Cは、円柱状に形成され、同軸に配置されている。これにより、図10(b)に示すように、第1ガイドGD1でボス111Cがガイドされた状態において、ホルダ100がボス111Cを中心に回動可能となっている。
図4に戻って、第2保持部112は、巻取リール35を保持(支持)する部位である。詳しくは、第2保持部112は、規制フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。
第2保持部112は、被覆部112Aと、2つの側壁112Bとを有する。被覆部112Aは、巻取リール35に巻回された多層フィルムFを覆う部位である。各側壁112Bは、巻取リール35の軸方向において、被覆部112Aの各端部に配置されている。
2つの連結部113は、第1保持部111と第2保持部112とを連結する部位である。詳しくは、各連結部113は、供給リール31の軸方向に間隔を開けて配置されている。軸方向の一方側の連結部113は、第1保持部111の一方側の側壁111Bと、第2保持部112の一方側の側壁112Bとを連結している。また、軸方向の他方側の連結部113は、第1保持部111の他方側の側壁111Bと、第2保持部112の他方側の側壁112Bとを連結している。
このように連結部113が形成されることで、ホルダ100は、供給リール31の軸方向に直交する直交方向に貫通する貫通穴100Aを有している。各取手114は、各連結部113の上に配置されている。各取手114は、ホルダ100のうち巻取リール35の軸方向両端にそれぞれ配置されている。
図5に示すように、連結部113は、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2を含む平面FFの一方側(図示上側)に配置されている。各取手114は、第1案内軸41と第2案内軸42とに架かる多層フィルムFよりも、第1案内軸41および第2案内軸42とは反対側(図示上側)に突出している。
ベースフレーム110の外表面は、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2を含む平面FFと直交する直交方向において、第3案内軸43に対して巻取リール35の回転軸X2と同一側に位置する第1面110Aを有している。第1面110Aは、巻取リール35の回転軸X2よりも第3案内軸43から離れた位置に位置している。
規制フレーム120は、図5に示す規制位置と、図6(a)に示す解除位置との間で回動可能となっている。規制フレーム120は、規制位置に位置するときにおいて、巻取リール35の着脱方向への移動を規制している。また、規制フレーム120は、解除位置に位置するときにおいて、巻取リール35の移動の規制を解除する。
規制フレーム120は、第3案内軸43を有している。規制フレーム120が規制位置に位置するときに第3案内軸43が第1位置に位置し、規制フレーム120が解除位置に位置するときに第3案内軸43が第2位置に位置する。
第3案内軸43は、第1位置に位置するときにおいて、巻取軸部35Aの中心と第2案内軸42の中心を結ぶ直線L4よりも供給リール31側に位置している。第3案内軸43は、第2位置に位置するときにおいて、直線L4よりも供給リール31とは反対側に位置している。また、第3案内軸43は、第2位置に位置するときにおいて、第2案内軸42から、巻取リール35に巻回された多層フィルムFのロールの最大径よりも大きく離れている。つまり、第2案内軸42と第2位置に位置する第3案内軸43の軸間距離は、巻取リール35に巻回された多層フィルムFのロールの最大径よりも大きくなっている。
規制フレーム120は、規制位置に位置する状態において、供給リール31から最も遠くに位置する一端部120Eを有している。詳しくは、一端部120Eは、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2を結ぶ直線に沿った方向において、供給リール31から最も遠い位置に位置している。図6(b)に示すように、一端部120Eは、巻取リール35に巻回された多層フィルムFを、規制フレーム120が規制位置に位置する状態において外部に臨ませる第2開口120Aを有している。
第2開口120Aの軸方向の長さD3は、多層フィルムFの幅D4よりも大きい。また、図5に示すように、第2開口120Aの縁のうち多層フィルムFの外面と対向する縁E11から巻取リール35の回転軸X2までの距離D5は、巻取リール35に巻回された多層フィルムFのロールの最大半径よりも大きい。
規制フレーム120は、回動軸121を中心にしてベースフレーム110に対して回動可能となっている。回動軸121は、前述した平面FFに直交する直交方向において、巻取リール35の回転軸X2よりも第3案内軸43から離れた位置に位置している。
巻取リール35は、供給リール31から最も遠い最遠部B1を有している。本実施形態では、巻取リール35のフランジ35Bが、最遠部B1を有している。最遠部B1は、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2を結ぶ直線に沿った方向において、供給リール31から最も遠くに位置している。
規制フレーム120の一端部120Eは、規制フレーム120が規制位置に位置する状態において、最遠部B1よりも供給リール31に近い。詳しくは、一端部120Eは、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2を結ぶ直線に沿った方向において、最遠部B1よりも供給リール31に近い。
図6(b)に示すように、規制フレーム120は、2つの側壁122と、各側壁122を連結する連結壁123とを有している。図5に示すように、各側壁122は、ベースフレーム110に回動可能に支持されている。また、各側壁122は、第3案内軸43を回転可能に支持している。さらに、各側壁122には、巻取リール35の巻取軸部35Aが入る凹部122A,122B(図7(b)参照)が形成されている。
図7(a)に示すように、凹部122Aは、第2保持部112に形成された凹部112Dとともに、巻取軸部35Aを保持する穴H1を形成している。この穴H1は、巻取軸部35Aと遊びをもって係合する穴である。巻取軸部35Aは、軸方向に直交する方向において、穴H1内で移動可能となっている。
ベースフレーム110に形成された凹部112Dは、第1規制面H11を有している。規制フレーム120に形成された凹部122Aは、第2規制面H12と、第3規制面H13と、第4規制面H14とを有している。
第1規制面H11は、供給リール31の回転軸X1と巻取リール35の回転軸X2とを結ぶ直線に沿った第3方向(図5参照)の一方側への巻取軸部35Aの移動を規制する面である。第2規制面H12は、第3方向の他方側への巻取軸部35Aの移動を規制する面である。
第3規制面H13は、第3方向および回転軸X1に直交する第1方向(図5参照)の一方側への巻取軸部35Aの移動を規制する面である。第4規制面H14は、第1方向の他方側への巻取軸部35Aの移動を規制する面である。
第1規制面H11および第2規制面H12は、フィルムユニットFUが筐体本体21に位置決めされた状態において、巻取軸部35Aから第3方向に離れている。第3規制面H13および第4規制面H14は、フィルムユニットFUが筐体本体21に位置決めされた状態において、巻取軸部35Aから第1方向に離れている。
図7(b)に示すように、巻取軸部35Aの巻取ギヤ35Cが設けられる側の端部は、小径部A1と、中径部A2と、大径部A3とを有している。小径部A1は、第2ガイドGD2(図2参照)によってガイドされる部分であり、円柱状に形成されている。小径部A1は、巻取ギヤ35Cよりも軸方向外側に突出している。
中径部A2は、小径部A1よりも大径で、かつ、大径部A3よりも小径となる円柱状に形成されている。中径部A2の軸方向外側の端面には、巻取ギヤ35Cが配置されている。大径部A3は、中径部A2よりも大径で、かつ、フランジ35Bよりも小径となる円柱状に形成されている。大径部A3は、軸方向において、中径部A2とフランジ35Bとの間に配置されている。
規制フレーム120の側壁122には、中径部A2が入る凹部122Bが形成されている。凹部122Bは、第2保持部112に形成された凹部112Eとともに、巻取軸部35Aを保持する穴H2を形成している。この穴H2は、巻取軸部35Aと遊びをもって係合する穴である。巻取軸部35Aは、軸方向に直交する方向において、穴H2内で移動可能となっている。
ベースフレーム110に形成された凹部112Eは、第1規制面H21を有している。規制フレーム120に形成された凹部122Bは、第2規制面H22と、第3規制面H23と、第4規制面H24とを有している。
第1規制面H21は、第3方向(図5参照)の一方側への巻取軸部35A(詳しくは、大径部A3)の移動を規制する面である。第2規制面H22は、第3方向の他方側への巻取軸部35A(詳しくは、中径部A2)の移動を規制する面である。
第3規制面H23は、第1方向(図5参照)の一方側への巻取軸部35A(詳しくは、中径部A2)の移動を規制する面である。第4規制面H24は、第1方向の他方側への巻取軸部35A(詳しくは、中径部A2)の移動を規制する面である。
第1規制面H21および第2規制面H22は、フィルムユニットFUが筐体本体21に位置決めされた状態において、巻取軸部35Aから第3方向に離れている。第3規制面H23および第4規制面H24は、フィルムユニットFUが筐体本体21に位置決めされた状態において、巻取軸部35Aから第1方向に離れている。
図8および図9に示すように、供給リール31に負荷を付与するためのギヤ機構130は、ホルダギヤ131と、ギヤ列132とを備えている。ホルダギヤ131は、筐体本体21に設けられる筐体ギヤ21Gと噛み合うギヤである。ホルダギヤ131は、筐体ギヤ21Gを介して前述したトルクリミッタなどに連結されている。
ギヤ列132は、供給ギヤ31Gの回転方向がホルダギヤ131の回転方向とは逆方向となるように、ホルダギヤ131と供給ギヤ31Gを連結するギヤ列である。このように供給ギヤ31Gとホルダギヤ131の回転方向を逆にすることで、供給リール31から多層フィルムFが引き出されたときにおいて、図8(b)に示すように、ボス111Cが第1位置決め部P1から外れる方向に移動することが抑制されている。詳しくは、供給リール31から多層フィルムFが引き出されることによって、供給ギヤ31Gが回転すると、ホルダギヤ131が供給ギヤ31Gとは逆方向に回転することで、ホルダ100のボス111Cが第1位置決め部P1に付勢されるように構成されている。
ギヤ列132は、第1ギヤ133と、第2ギヤ134とを備えている。第1ギヤ133は、ホルダギヤ131に噛み合っている。第2ギヤ134は、2段ギヤであり、大径ギヤ部134Aと、小径ギヤ部134Bとを有する。
大径ギヤ部134Aは、小径ギヤ部134Bよりも大径のギヤである。大径ギヤ部134Aは、第1ギヤ133に噛み合っている。小径ギヤ部134Bは、供給ギヤ31Gに噛み合っている。
ホルダギヤ131は、供給ギヤ31Gと同軸に配置されている。供給ギヤ31Gおよびホルダギヤ131は、供給リール31の回転軸X1を中心に回転するように構成されている。また、前述したボス111Cおよび係合部32Cは、供給リール31の回転軸X1上に位置している。
次に、フィルムユニットFUを筐体本体21に装着する作業について説明する。
図10(a)に示すように、フィルムユニットFUを筐体本体21に装着する際、ユーザは、まず、ボス111Cを第1ガイドGD1に挿入させる。その後、ユーザは、ボス111Cを第1ガイドGD1でガイドさせつつ、ボス111Cを中心にして巻取リール35を下方に向けて徐々に回動させていくことで、巻取軸部35Aを第2ガイドGD2に近づけていく。
ボス111Cを第1位置決め部P1内に入れた後、ユーザは、巻取リール35を下方にさらに回動させることで、巻取軸部35Aおよび穴HPを、各位置決め部P2,P3に係合させる。これにより、ボス111C、巻取軸部35Aおよび穴HPがそれぞれ各位置決め部P1~P3に係合して、フィルムユニットFUが筐体本体21に位置決めされる。
この位置決めの作業の際、巻取軸部35Aがホルダ100に対して移動可能であるため、巻取軸部35Aが適度に動いて、巻取軸部35Aを第2位置決め部P2に容易に係合させることができる。なお、フィルムユニットFUを筐体本体21から取り外す作業は、前述した作業を逆の手順で行えばよいため、説明を省略する。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
フィルムユニットFUのホルダ100を第1位置決め部P1で位置決めし、巻取リール35を第2位置決め部P2で位置決めするので、供給リール31の回転軸X1に直交する方向に着脱されるフィルムユニットFUを、筐体本体21に対して良好に位置決めすることができる。巻取ギヤ35Cを有する巻取リール35を、第2位置決め部P2によって筐体本体21に直接位置決めするので、巻取ギヤ35Cを駆動源80(詳しくは、駆動源80からの駆動力を巻取ギヤ35Cに伝達する駆動ギヤDG)に対して適正な位置に配置することができ、駆動源80からの駆動力を良好に巻取リール35に伝達させることができる。
これによれば、ホルダ100に対して巻取リール35が移動可能(詳しくは、フィルムユニットFUや筐体2の公差影響を吸収できる量であって、かつ、屈曲した第1ガイドGD1を考慮した量で移動可能)であるため、ホルダ100と巻取リール35を各位置決め部P1~P3に良好に位置決めすることができる。ここで、屈曲した第1ガイドGD1を考慮した量とは、第1位置決め部P1から第2位置決め部P2までの距離と第1部位GD11から第2位置決め部P2までの距離との差に相当する量である。
巻取ギヤ35Cと同軸上の巻取軸部35Aをガイドして位置決めするので、巻取ギヤ35Cと同軸上にない巻取リール35の部分をガイドして位置決めするよりも、巻取ギヤ35Cを駆動ギヤDGに対して適正な位置に配置することができる。
第1ガイドGD1が、第1部位GD11と第2部位GD12との間で屈曲しているので、ホルダ100のボス111Cが第1位置決め部P1から外れるのを抑えることができる。
巻取軸部35Aが第2位置決め部P2に装着される前の状態で、第2位置決め部P2に対して第3方向の一方側と他方側に動けるので、ホルダ100のボス111Cが第1ガイドGD1または第1位置決め部P1に入った状態でも、巻取軸部35Aを第2位置決め部P2に良好に装着することができる。
フィルムユニットFUが筐体本体21に位置決めされた状態において、巻取リール35の巻取軸部35Aが各規制面H11~H14,H21~H24と接触しないので、巻取リール35の回転時において各規制面H11~H14,H21~H24が摩耗するのを抑えることができる。
フィルムユニットFUのボス111Cを、カバー22の回動軸X3側、つまり層転写装置1の奥側の第1ガイドGD1に係合させた後、このボス111Cを中心にして手前の巻取リール35を回動させて第2ガイドGD2に係合させることができるので、フィルムユニットFUの装着作業を容易に行うことができる。
供給ギヤ31Gの回転方向とホルダギヤ131の回転方向を逆方向とすることで、供給ギヤ31Gの回転方向を多層フィルムFの送り出し方向に維持しつつ、ホルダ100のボス111Cを第1位置決め部P1に付勢することができるので、供給ギヤ31Gが回転する際にボス111Cが第1位置決め部P1から外れるのを抑制することができる。
供給ギヤ31G、ホルダギヤ131およびボス111Cを供給リール31の回転軸X1上に配置したので、供給ギヤ31G、ホルダギヤ131およびボス111Cを精度良く配置することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、駆動力入力部材として巻取ギヤ35Cを例示したが、本発明はこれに限定されず、駆動力入力部材は、例えば図11に示すようなカップリングCPであってもよい。具体的に、カップリングCPは、巻取軸部35Aの端部に設けられている。
カップリングCPは、駆動力出力部材300と巻取リール35の回転方向で係合可能な穴CP1を有している。駆動力出力部材300は、筐体本体21に設けられている。駆動力出力部材300は、巻取リール35の回転軸X2に沿った方向に進退可能となっている。駆動力出力部材300は、カップリングCPの穴CP1と前述した回転方向で係合可能な係合部310を有している。この形態においても、前記実施形態と同様に、巻取リール35を筐体本体21に直接位置決めすることで、カップリングCPと駆動力出力部材300とを精度良く位置決めすることができる。
前記実施形態では、箔を含む転写層を例示したが、本発明はこれに限定されず、転写層は、例えば、箔や着色材料を含まず、熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。
前記実施形態では、多層フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、多層フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
前記実施形態では、フィルムカートリッジ200をホルダ100に対して着脱可能としたが、本発明はこれに限定されるものではない。フィルムカートリッジがホルダに着脱不能に支持されていてもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ等の画像形成装置とは別の装置として層転写装置1を構成したが、本発明はこれに限定されず、層転写装置は画像形成装置と一体に構成されていてもよい。
前記実施形態では、供給リール31および巻取リール35を、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、供給リールおよび巻取リールを、ホルダに対して、供給リールの軸方向に着脱可能に構成してもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。