JP7378690B1 - 窒化ホウ素焼結体及びその製造方法、セッター、並びに容器 - Google Patents

窒化ホウ素焼結体及びその製造方法、セッター、並びに容器 Download PDF

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Abstract

気孔率が36体積%以上であり、曲げ強さが5MPa以上であり、細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上である窒化ホウ素焼結体を提供する。六方晶窒化ホウ素粉末と非晶質窒化ホウ素粉末とを含む混合原料を成形して焼成する工程を有し、混合原料において非晶質窒化ホウ素粉末の含有量の方が六方晶窒化ホウ素粉末の含有量よりも高く、成形圧の最大値が50MPa未満であり、窒化ホウ素焼結体の曲げ強さが5MPa以上である、窒化ホウ素焼結体の製造方法を提供する。

Description

本開示は、窒化ホウ素焼結体及びその製造方法、セッター、並びに容器に関する。
窒化ホウ素は、潤滑性、耐熱性、高熱伝導性、離型性、耐反応性、及び絶縁性等を有している。このため、粉末状のものは、固体潤滑材、熱伝導性フィラー、及び絶縁性フィラーとして利用されている。例えば、特許文献1では、窒化ホウ素焼結体を、セラミック原料を焼成する際のセッターとして用いることが提案されている。
特許文献2では、蛍光体の製造方法において、原料混合物を焼成する際に、原料混合物を保持する焼成容器として、窒化ホウ素焼結体を用いることが記載されている。このような焼成容器に収容された原料混合物は、例えば、水素ガス、アンモニアガス、又は不活性ガスの雰囲気下、1000℃~1500℃に加熱される。加熱に伴って、脱炭反応等の種々の反応が進行して所望の特性を有する焼成物が得られる。
特開平09-278526号公報 特開2020-7434号公報
窒化ホウ素焼結体を、例えば原料を焼成する際のセッター又は収容容器として用いる場合、焼成炉内への導入、高温下での加熱、及び焼成炉からの導出等の一連のプロセスに繰り返し用いられるのが通常である。このため、作業効率の観点から、窒化ホウ素焼結体は、破損し難く信頼性に優れることが求められる。また、セッター又は収容容器内の原料は、高温下で加熱された場合、種々の反応を生じ、これらの反応の中にはガスが関与する場合もある。このようにガスが関与する反応を円滑且つ均一に進行させるためには、セッター及び収容容器にはガスの通過を妨げないようにすることが有効である。
そこで、本開示は、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れる窒化ホウ素焼結体及びその製造方法を提供する。また、本開示は、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れるセッター及び容器を提供する。
本開示は、一つの側面において、気孔率が36体積%以上であり、曲げ強さが5MPa以上であり、細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上である窒化ホウ素焼結体を提供する。
上記窒化ホウ素焼結体は、所定値以上の曲げ強さを有することから、破損し難く高い信頼性を有する。また、所定値以上の気孔率を有するとともに、細孔のメディアン径が所定値以上であることから、種々のガスの通気性に優れる。
上記窒化ホウ素焼結体における窒化ホウ素の純度は97質量%以上であってよい。このような窒化ホウ素焼結体は、十分に高い耐熱性と安定性を有し、セッター又は収容容器として用いた場合に、窒化ホウ素以外の成分と焼成される原料との反応を十分に抑制できる。このため、原料から得られる製品の特性を十分に高くすることができる。
上記窒化ホウ素焼結体におけるFe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量は50質量ppm未満であってよい。このような窒化ホウ素焼結体を、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際のセッター又は容器に用いれば、上記遷移元素が混入することによる窒化ホウ素焼結体と製品との融着、及び製品の性能低下を十分に抑制することができる。
上記窒化ホウ素焼結体におけるCaの含有量は100質量ppm未満であってよい。このような窒化ホウ素焼結体を、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際のセッター又は容器に用いれば、Caが混入することによる性能低下を十分に抑制することができる。
上記窒化ホウ素焼結体における炭素の含有量は0.1質量%未満であってよい。このような窒化ホウ素焼結体を、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際のセッター又は容器に用いれば、炭素が混入することによる性能低下を十分に抑制することができる。
上記窒化ホウ素焼結体における密度は0.9~1.4g/cmであってよい。このような窒化ホウ素焼結体はある程度の強度を有するとともに軽量であることから種々の用途に好適に用いることができる。
本開示は、一つの側面において、上述のいずれかの窒化ホウ素焼結体で構成されるセッターを提供する。このセッターは、上述のいずれかの窒化ホウ素焼結体で構成されることから、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れる。
本開示は、一つの側面において、上述のいずれかの窒化ホウ素焼結体で構成される容器を提供する。この容器は、上述のいずれかの窒化ホウ素焼結体で構成されることから、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れる。
本開示は、一つの側面において、六方晶窒化ホウ素粉末と非晶質窒化ホウ素粉末とを含む混合原料を成形して焼成し窒化ホウ素焼結体を得る工程を有し、混合原料において六方晶窒化ホウ素粉末の含有量の方が非晶質窒化ホウ素粉末の含有量よりも高く、成形圧の最大値が50MPa未満であり、窒化ホウ素焼結体の曲げ強さが5MPa以上である、窒化ホウ素焼結体の製造方法を提供する。
上記製造方法で得られる窒化ホウ素焼結体は、所定値以上の曲げ強さを有することから、破損し難く高い信頼性を有する。また、上記製造方法では、非晶質窒化ホウ素粉末よりも六方晶窒化ホウ素粉末の方を多く用いるとともに、混合原料から窒化ホウ素焼結体を得るまでの成形圧の最大値が50MPa未満であることから、高い気孔率を有するとともに比較的大きいサイズを有する気孔(細孔)を含む窒化ホウ素焼結体を得ることができる。このような窒化ホウ素焼結体は、種々のガスの通気性に優れる。
上記製造方法で得られる窒化ホウ素焼結体の気孔率は36体積%以上であり、窒化ホウ素焼結体の細孔径分布から求められる細孔のメディアン径は0.5μm以上であってよい。
高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れる窒化ホウ素焼結体及びその製造方法を提供することができる。また、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れるセッター及び容器を提供することができる。
図1は、セッターの一例を示す斜視図である。 図2は、容器の一例を示す斜視図である。 図3は、ガス透過率の測定方法を説明するための図である。
以下、場合によって図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、「~」の記号で示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む。すなわち、「x~y」で示される数値範囲は、x以上且つy以下を意味する。各実施形態における各数値範囲の上限又は下限をいずれかの実施例の数値で置き換えた数値範囲も本開示に含まれる。各実施形態において並列に例示される複数の材料の一つを単独で含む場合と、複数の材料の二つ以上を組み合わせて含む場合の両方が、本開示に含まれる。
一実施形態に係る窒化ホウ素焼結体は、窒化ホウ素を含む。窒化ホウ素焼結体における窒化ホウ素の純度、すなわち窒化ホウ素焼結体における窒化ホウ素の含有量は、97質量%以上であってよく、98質量%以上であってよく、99質量%以上であってもよい。このように高い純度を有する窒化ホウ素焼結体は、十分に高い耐熱性と安定性を有する。このような窒化ホウ素焼結体をセッター又は収容容器として用いた場合、焼成される原料との反応を十分に抑制できる。このため、原料から得られる製品の特性を十分に高くすることができる。窒化ホウ素焼結体の純度の上限は、原料及び製造プロセスに由来する不可避不純物が混入する場合もあり得ることから、99.8質量%であってよい。窒化ホウ素焼結体の純度は実施例に記載の方法で測定することができる。
本明細書における窒化ホウ素の純度(BN)は、酸素/窒素同時分析装置を用いて測定した窒素量、又は試料をアルカリ融解した後、中和滴定法によって算出される窒素量より、以下の式を用いて算出することができる。
BN(%)=N(%)×1.772
酸素/窒素同時分析装置としては、例えば、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析装置(商品名:EMGA-920)等を用いることができる。
窒化ホウ素焼結体の密度は、例えば、1.4g/cm以下であってよく、1.3g/cm以下であってよく、1.1g/cm以下であってもよい。このような密度を有する窒化ホウ素焼結体は、軽量であることからハンドリング性に優れる。窒化ホウ素焼結体の密度は、例えば、0.9g/cm以上であってよく、1.0g/cm以上であってもよい。このような窒化ホウ素焼結体は、高い信頼性を有する。窒化ホウ素焼結体の密度の範囲は、例えば、0.9~1.4g/cmであってよい。本明細書における密度は、アルキメデス法によって測定される「見かけ密度」である。
窒化ホウ素焼結体は多孔質であり、その気孔率は36体積%以上であってよい。このように窒化ホウ素焼結体は気孔(細孔)を含む。窒化ホウ素焼結体の気孔率は、通気性を一層高くする観点から、38体積%以上であってよく、40体積%以上であってよく、45体積%以上であってよく、50体積%以上であってもよい。窒化ホウ素焼結体の気孔率は、曲げ強さを高く維持する観点から、60体積%以下であってよく、55体積%以下であってもよい。窒化ホウ素焼結体の気孔率の範囲は、例えば、36~60体積%であってよい。本明細書における窒化ホウ素焼結体の気孔率は、窒化ホウ素の理論密度(2.26g/cm)を真密度として、以下の式(1)で算出することができる。
気孔率(体積%)=[1-(見かけ密度/真密度)]×100 (1)
窒化ホウ素焼結体の細孔径分布から求められる細孔のメディアン径は、0.5μm以上であってよい。このメディアン径は、分子サイズの大きなガスの通気性を高くする観点から、0.6μm以上であってよく、0.7μm以上であってよく、0.8μm以上であってもよい。このメディアン径は、ある程度の曲げ強さを維持する観点から、1.5μm以下であってよく、1.3μm以下であってもよい。
本明細書における窒化ホウ素焼結体の細孔のメディアン径は、JIS R 1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔分布試験方法」に準拠して、水銀圧入法に基づき測定される細孔径分布から求められる。細孔径分布は、例えば、縦軸を単位質量当たりの積算細孔容積、横軸を細孔(気孔)の直径を対数目盛としたグラフで表すことができる。このような細孔径分布において、積算値が全体の50%であるときの細孔径がメディアン径である。
本実施形態の窒化ホウ素焼結体は、気孔率と細孔のメディアン径が上述の範囲にあることによって、Hのように分子サイズが小さいガスのみならず、HO,NH、CO、COのような分子サイズの大きいガスも、十分に通過することができる。このため、種々のガスの通気性に優れる。
窒化ホウ素焼結体の曲げ強さは、5MPa以上である。窒化ホウ素焼結体の信頼性及びハンドリング性を一層向上する観点から、曲げ強さは、8MPa以上であってよく、10MPa以上であってもよい。この曲げ強さは、窒化ホウ素焼結体のガスの通気性を十分に高くする観点から、40MPa以下であってよく、30MPa以下であってよく、20MPa以下であってもよい。窒化ホウ素焼結体の曲げ強さの範囲は、例えば、5~40MPaであってよい。
本明細書における曲げ強さは、JIS R 1601:2008「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」の記載に準拠して測定される3点曲げ強さである。3点曲げ強さは市販の抗折強度計を用いて測定することができる。
窒化ホウ素焼結体のショア硬度は、5以上であってよく、7以上であってもよい。これによって、耐摩耗性を向上することができる。ショア硬度の上限は特に限定されず、ショア硬度は、例えば20以下であってよく、15以下であってもよい。本明細書におけるショア硬度は、JIS Z 2246:2000に準拠して、市販のショア硬度計を用いて測定される。
窒化ホウ素焼結体におけるFe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量は50質量ppm未満であってよい。これによって、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際に窒化ホウ素焼結体をセッター又は容器に用いたときに、機能性製品とセッター又は容器との融着、及び機能性製品の性能低下を十分に抑制することができる。同様の観点から、窒化ホウ素焼結体におけるFe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量は、30質量ppm未満であってよく、10質量ppm未満であってもよい。上述の遷移元素の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)によって測定することができる。試料分解は、加圧酸分解法によって行うことができる。上述の遷移元素の含有量は、原料として用いる窒化ホウ素粉末として純度の高いものを用いることによって低減することができる。
上記窒化ホウ素焼結体におけるCaの含有量は100質量ppm未満であってよい。このような窒化ホウ素焼結体を、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際のセッター又は容器に用いれば、Caが混入することによる性能低下を十分に抑制することができる。同様の観点から、窒化ホウ素焼結体におけるCaの含有量は、80質量ppm未満であってよく、70質量ppm未満であってもよい。上述のCaの含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)によって測定することができる。試料分解は、加圧酸分解法によって行うことができる。上述のCaの含有量は、原料として用いる窒化ホウ素粉末として純度の高いものを用いることによって低減することができる。
上記窒化ホウ素焼結体における炭素の含有量は0.1質量%未満であってよい。このような窒化ホウ素焼結体を、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際のセッター又は容器に用いれば、炭素が混入することによる性能低下を十分に抑制することができる。同様の観点から、窒化ホウ素焼結体における炭素の含有量は、0.05質量%未満であってよく、0.03質量%未満であってもよい。上述の炭素の含有量は、LECO社製炭素分析装置(商品名:IR-412)等によって測定することができる。上述の炭素の含有量は、原料として用いる窒化ホウ素粉末として純度の高いものを用いることによって低減することができる。また、ホットプレスの際、グラファイト製の型を用いずに製造することで炭素の含有量を低減することができる。
上記窒化ホウ素焼結体における全酸素量は3質量%未満であってよい。このような窒化ホウ素焼結体を、例えば、蛍光体等の機能性製品を製造する際のセッター又は容器に用いれば、酸素の含有量が増加することによる性能低下を十分に抑制することができる。同様の観点から、窒化ホウ素焼結体における全酸素量は、2.0質量%未満であってよく、1.0質量%未満であってもよい。酸素の少なくとも一部は、酸化ホウ素として窒化ホウ素焼結体に含まれていてもよい。本明細書における全酸素量は、酸素/窒素同時分析装置を用いて測定することができる。酸素/窒素同時分析装置としては、例えば、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析装置(商品名:EMGA-920)等を用いることができる。
上述の全酸素量は、原料として用いる窒化ホウ素粉末として純度の高いものを用いることによって低減することができる。また、焼成する際の雰囲気中の酸素濃度を低減すること、焼結助剤の使用量を少なくすること又は焼結助剤を使用せずに製造することによって低減することができる。
窒化ホウ素焼結体は、六方晶窒化ホウ素と非晶質窒化ホウ素とを含んでよい。両者を含むことによって、気孔率を高くしつつ、ある程度の曲げ強さとショア硬度を維持することができる。また、六方晶窒化ホウ素の含有量を高くすることによって、細孔のメディアン径を大きくすることができる。また、ショア硬度を高くすることができる。一方、非晶質窒化ホウ素の含有量を高くすることによって、気孔率を高くすることができる。また、曲げ強さを大きくすることができる。
窒化ホウ素焼結体の窒素ガスのガス透過率は、0.45×10-6mol/m・s・Pa以上であってよく、0.80×10-6mol/m・s・Pa以上であってよく、5.00×10-6mol/m・s・Pa以上であってもよい。このような窒化ホウ素焼結体は一層通気性に優れる。窒化ホウ素焼結体のガス透過率は、例えば、0.45×10-6~5.00×10-6mol/m・s・Paであってよい。ガス透過率は、ガス透過率測定装置を用いて実施例に記載の方法で測定される。
窒化ホウ素焼結体は、小さい密度とある程度の強度を有しつつ、通気性に優れる。このため種々の用途に用いることができる。例えば、窒化ホウ素焼結体は、セラミック製品又はその他の製品を得る際の焼成に用いられるセッター(焼成用セッター)及び容器(焼成用容器)を構成してもよい。焼成原料の種類、並びにセッター及び容器の形状は特に限定されない。容器は、例えば坩堝であってもよい。
図1は、セッターの一例を示す斜視図である。図1のセッター100は、平板形状を有する。セッター100は、例えば、原料を焼成する際の載置台、又は重し材であってよい。セッター100は、成形体を積層して焼成する場合、積層された一対の成形体の間に介在させる介在板であってもよい。
図2は、容器の一例を示す斜視図である。図2の容器110は、底板部、底板部の外縁から立設する枠状の側壁部、及び側壁部の上端で形成される開口を有する容器本体112と、当該開口を覆うための平板形状の蓋体114と、を有する。図2では、容器110を開放したときの状態を示している。容器本体112と蓋体114は一体となって収容空間を形成する。容器110の収容空間には、セラミック等の原料が収容される。収容空間に原料を収容し、容器本体112の開口を蓋体114で覆った状態で容器110を焼成炉に導入して加熱してよい。これによって、収容空間に収容された原料の上部が過剰に反応したり、原料の固形分が焼成炉内で飛散したりすることを抑制できる。
容器本体112及び蓋体114を窒化ホウ素焼結体で構成しておけば、収容空間とその外部との間でガスを円滑に流通させることできる。したがって、原料の反応を円滑に進行させることができる。加熱生成物の種類及び求められる特性に応じて、容器110の形状及び構成を適宜変更してよい。例えば、蓋体114をセッターとし、この蓋体114に載置された原料を覆うように容器本体112を蓋体としてかぶせてもよい。容器本体112及び蓋体114の一方のみを上述の窒化ホウ素焼結体で構成してもよい。また、容器は坩堝であってもよい。
セッター100及び容器110は、上述の窒化ホウ素焼結体で構成されるため、割れ難く高い信頼性を有する。このため、ハンドリングが容易であるとともに、繰り返し使用することができる。窒化ホウ素焼結体は、通気性にも優れることから、セラミック等の原料の反応にガスが関与する場合に、載置又は収容された原料の粉体組成物又は成形体の反応が、場所によらず高い均一性で進行する。例えば、Hガスによる還元反応を伴う場合、Hガスがセッター100及び容器110を円滑に通過する。これによって、セッター100の上面及び容器110の内面と接する粉体組成物又は成形体の部分にもHガスが円滑に供給される。これによって、還元反応が高い均一性で円滑に進行し、反応の進行度合いのばらつきを十分に低減することができる。また、還元反応によって生成した生成物がガスである場合も、生成ガスがセッター100及び容器110を通過して円滑に外部に放出される。
蛍光体の製造の原料として炭酸塩を用いる場合、原料を加熱すると脱炭反応によってCO,CO等が発生する。CO,COは、Hよりも分子のサイズが大きい。ここで、セッター100及び容器110を構成する窒化ホウ素焼結体の細孔のメディアン径が大きいことから、CO,COは、セッター100及び容器110における細孔を円滑に通過する。これによって、原料の脱炭反応が円滑に進行し、蛍光体の性状のばらつきを十分に低減することができる。
窒化ホウ素焼結体の用途は、セッター及び容器に限定されない。また、セッター及び容器の形状及び構造は、図1及び図2に限定されない。
窒化ホウ素焼結体の製造方法の実施形態を以下に説明する。ただし、上述の窒化ホウ素の製造方法は以下に限定されない。本実施形態の製造方法は、六方晶窒化ホウ素粉末と非晶質窒化ホウ素粉末とを含む混合原料を成形して焼成し窒化ホウ素焼結体を得る工程を有する。
混合原料において六方晶窒化ホウ素粉末の含有量の方が非晶質窒化ホウ素粉末の含有量よりも高い。例えば、非晶質窒化ホウ素粉末と六方晶窒化ホウ素粉末の合計を100質量部としたときに、六方晶窒化ホウ素粉末の含有量は、55質量部以上であってよく、60質量部以上であってもよい。このように六方晶窒化ホウ素粉末の割合を高くすることによって、窒化ホウ素焼結体における細孔のメディアン径を大きくすることができる。また、ショア硬度を高くすることができる。六方晶窒化ホウ素粉末の上記含有量の範囲は、例えば、50~85質量部であってよい。
窒化ホウ素焼結体における気孔率を大きくする観点及び曲げ強さを高くする観点から、非晶質窒化ホウ素粉末の上記含有量は15質量部以上であってよく、25質量部以上であってよく、30質量部以上であってもよい。非晶質窒化ホウ素粉末の上記含有量の範囲は、例えば、15質量部以上且つ50質量部未満であってよい。このように非晶質窒化ホウ素粉末の割合を高くすることによって、窒化ホウ素焼結体における気孔率を大きくするとともに、曲げ強さを高くすることができる。
混合原料は、焼結助剤を含んでもよい。焼結助剤としては、酸化イットリア等の希土類元素の酸化物、酸化アルミナ、酸化マグネシウム、及び酸化カルシウム等の酸化物、炭酸リチウム及び炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、並びに酸化ホウ素等が挙げられる。窒化ホウ素焼結体における窒化ホウ素の純度を十分に高くする観点から、このような焼結助剤を用いずに窒化ホウ素焼結体を製造してよい。すなわち、混合原料は焼結助剤を含まなくてもよい。非晶質窒化ホウ素粉末と六方晶窒化ホウ素粉末の合計を100質量部としたときの焼結助剤の添加量は、1質量部以下であってよく、0.5質量部以下であってよく、0.1質量部以下であってもよい。
六方晶窒化ホウ素粉末及び非晶質窒化ホウ素粉末の平均粒子径(D50)は、どちらも1~30μmであってよい。それぞれの粉末の粒子径分布は、JIS Z 8825:2013「粒子径解析-レーザー回折・散乱法」に記載の方法に準拠して測定される。このようにして測定される個数基準の粒子径分布の累積分布において、小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径が平均粒子径(D50)である。粒子径分布の測定には、例えば、マイクロトラック(日機装株式会社製、商品名:MT3300EXII)を用いることができる。
窒化ホウ素焼結体の全酸素量を低くする観点から、六方晶窒化ホウ素粉末の全酸素量は、0.5質量%以下であってよく、0.3質量%以下であってよく、0.2質量%以下であってもよい。六方晶窒化ホウ素粉末の全酸素量の測定方法は、窒化ホウ素焼結体の実施形態で説明したとおりである。
液相焼結を促進する観点から、非晶質窒化ホウ素粉末の全酸素量は、例えば、0.3質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1.0質量%以上であってもよい。窒化ホウ素焼結体の全酸素量を低くする観点から、非晶質窒化ホウ素粉末の全酸素量は、例えば、3.0質量%以下であってよく、2.5質量%以下であってよく、2.0質量%以下であってもよい。非晶質窒化ホウ素粉末の全酸素量は、六方晶窒化ホウ素粉末の全酸素量よりも高くてよい。非晶質窒化ホウ素粉末の全酸素量の測定方法は、窒化ホウ素焼結体の実施形態で説明したとおりである。
混合原料の調製は乾式粉砕及び乾式混合によって行ってよい。例えば、ボールミル等を用いて湿式粉砕及び湿式混合を行ってよい。ビーズミル等の高い分散力を有する装置を用いてもよい。湿式粉砕及び湿式混合に用いる液媒は有機溶媒であってよく、例えば、アルコール類であってもよい。成形性を向上するために、有機バインダを固形分に対して3質量%以下の割合で配合し、スプレードライヤーにより造粒を行ってもよい。得られた造粒物の篩い分けを行って粗大粒子を取り除いてもよい。これによって、窒化ホウ素焼結体の曲げ強さのばらつきを抑制することができる。
得られた混合原料を、予め所定の形状に加圧成形してもよい。金型を用いて金型成形(一軸加圧成形)を行ってもよいし、冷間等方圧加圧装置を用いてCIP成形を行ってもよい。混合原料の嵩密度が高く成形性が低い場合には、CIP成形前に金型成形を行ってもよい。成形体の形状は特に限定されない。
金型成形及びCIP成形の際の成形圧の最大値は50MPa未満である。成形圧の最大値は、40MPa以下であってよく、30MPa以下であってもよい。これによって、気孔率を十分に高くするとともに、細孔のメディアン径を大きくすることができる。したがって、窒化ホウ素焼結体の通気性を一層高くすることができる。金型成形及びCIP成形の際の成形圧の最大値は、3MPa以上であってよく、5MPa以上であってもよい。これによって、窒化ホウ素焼結体の強度を高くすることができる。金型成形及びCIP成形の際の成形圧の最大値は、3MPa以上且つ50MPa未満であってよい。
焼成は、例えば、バッチ式炉及び連続式炉等を用いることができる。バッチ式炉としては、例えば、マッフル炉、管状炉、及び雰囲気炉等を挙げることができる。連続式炉としては、例えば、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、及び琴形連続炉等を挙げることができる。焼成は常圧(大気圧)で行ってよい。また、成形と焼成を別々に行うことは必須ではなく、例えば、ホットプレスのように、成形と焼成を併せて行ってもよい。ホットプレスの際の成形圧の最大値も50MPa未満である。このように、成形及び焼成の際の圧力(成形圧)の最大値を上述の範囲とすることによって、気孔率が十分に高く、細孔のメディアン径が大きい窒化ホウ素焼結体を得ることができる。
焼成は、成形体(ホットプレスの場合は混合原料)を1800℃以下の加熱温度で所定時間加熱処理して加熱処理物を得る第一焼成工程と、1900~2300℃の加熱温度で所定時間加熱処理して上記加熱処理物から焼成体を得る第二焼成工程と、を有してよい。
成形体が有機バインダを含む場合には、第一焼成工程及び第二焼成工程の前に、有機バインダを分解除去するための脱脂工程を行ってよい。脱脂工程は、例えば、600℃以下の加熱温度で1~5時間加熱処理し、混合物から有機バインダ成分を分解除去してよい。脱脂工程を経た混合物を以下では脱脂体ともいう。
焼成は、希ガス、及び不活性ガス(希ガスを除く)からなる群より選択される少なくとも一種を含む雰囲気下で行うことができる。希ガスとしては、例えば、アルゴンガス、及びヘリウムガス等を含有してよく、アルゴンガスを含有してよく、アルゴンガスからなっていてもよい。不活性ガスは、例えば、窒素ガス等であってよい。
第一焼成工程では、1800℃以下の温度において所定時間加熱することによって成形体又は脱脂体から加熱処理物を得る。第一焼成工程における加熱温度は、例えば、1200℃以上であってよく、1300℃以上であってもよい。第一焼成工程における加熱温度は、例えば、1750℃以下であってよい。第一焼成工程における焼成時間は、例えば、1~10時間であってよい。
第二焼成工程は、1900~2300℃の温度において所定時間加熱処理することによって上記加熱処理物から窒化ホウ素焼結体を得る。第一焼成工程と第二焼成工程は連続して行ってよい。第二焼成工程における加熱温度は、例えば、1950℃以上であってよく、2000℃以上であってもよい。第二焼成工程における加熱温度は、例えば、2200℃以下であってよく、2100℃以下であってもよい。第二焼成工程における焼成時間は、例えば、1~15時間であってよい。
このようにして、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れる多孔質の窒化ホウ素焼結体を得ることができる。得られる窒化ホウ素焼結体の構造及び性状は上述したとおりである。例えば、窒化ホウ素焼結体の曲げ強さは5MPa以上である。窒化ホウ素焼結体の気孔率は36体積%以上であり、窒化ホウ素焼結体の細孔径分布から求められる細孔のメディアン径は0.5μm以上である。窒化ホウ素焼結体の実施形態で説明した内容は、本実施形態の製造方法で得られる窒化ホウ素焼結体に適用される。また、製造方法の実施形態で説明した内容は、窒化ホウ素焼結体の実施形態に適用される。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。本開示は以下の幾つかの実施形態を含む。
[1]気孔率が36体積%以上であり、曲げ強さが5MPa以上であり、細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上である窒化ホウ素焼結体。
[2]窒化ホウ素の純度が97質量%以上である、[1]に記載の窒化ホウ素焼結体。
[3]Fe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量が50質量ppm未満である、[1]又は[2]に記載の窒化ホウ素焼結体。
[4]Caの含有量が100質量ppm未満である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体。
[5]炭素の含有量が0.1質量%未満である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体。
[6]密度が0.9~1.4g/cmである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体。
[7]上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体で構成されるセッター。
[8]上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体で構成される容器。
[9]六方晶窒化ホウ素粉末と非晶質窒化ホウ素粉末とを含む混合原料を成形して焼成し窒化ホウ素焼結体を得る工程を有し、
前記混合原料において前記六方晶窒化ホウ素粉末の含有量の方が前記非晶質窒化ホウ素粉末の含有量よりも高く、
成形圧の最大値が50MPa未満であり、
前記窒化ホウ素焼結体の曲げ強さが5MPa以上である、窒化ホウ素焼結体の製造方法。
[10]前記窒化ホウ素焼結体の気孔率が36体積%以上であり、前記窒化ホウ素焼結体の細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上である、[9]に記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
[11]前記窒化ホウ素焼結体の窒化ホウ素の純度が97質量%以上である、[9]又は[10]に記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
[12]前記窒化ホウ素焼結体のFe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量が50質量ppm未満である、[9]~[11]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
[13]前記窒化ホウ素焼結体のCaの含有量が100質量ppm未満である、[9]~[12]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
[14]前記窒化ホウ素焼結体の炭素の含有量が0.1質量%未満である、[9]~[13]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
[15]前記窒化ホウ素焼結体の密度が0.9~1.4g/cmである、[9]~[14]のいずれか一つに記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
以下、実施例及び比較例を参照して、本開示の内容を詳細に説明する。本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<窒化ホウ素焼結体の作製>
非晶質窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、以下「非晶質BN」という。)と、六方晶窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、以下「h-BN」という。)を準備した。それぞれの純度、平均粒子径(D50)、BET比表面積、及び各不純物濃度は、表1に示すとおりであった。窒化ホウ素の純度は、試料をアルカリ融解した後、中和滴定法によって定量した。Bの含有量は、以下の手順で測定した。窒化ホウ素粉末にメチルアルコールを加えて硼酸メチルとし、これを加温することで揮発させた。このときの質量減少量からBの含有量を求めた。全酸素量(T-O)は、酸素・窒素分析装置(商品名:EMGA-920)を用いて測定した。炭素の含有量(T-C)は、LECO社製炭素分析装置(商品名:IR-412)によって測定した。Fe,Cr,Ni,Cu,Mn,Caの各濃度は、各粉末を加圧酸分解法によって溶解した後、ICP発光分光分析によって定量した。これらの粉末と、有機バインダと、水とを配合して混合した。焼結助剤は用いなかった。非晶質BNとh-BNの配合比(質量基準)は、表2に示すとおりとした。
非晶質BNとh-BNとを混合後、乾燥造粒し、混合原料を得た。篩(150メッシュ)を用いて混合原料の篩い分けを行った。金型を用いて、篩下の混合原料を一軸加圧(圧力:7.5MPa)して平板形状の成形体(縦×横×厚み=500mm×500mm×50mm)を得た。冷間等方圧加圧装置(株式会社神戸製鋼所製、商品名:ADW800)を用いて、成形体をさらに加圧してCIP成形体を得た。このときの圧力(CIP圧力)は、表2に示すとおりとした。
得られた成形体を600℃の加熱温度で5時間加熱処理し、成形体から有機バインダ成分を分解除去して脱脂体を得た。バッチ式高周波炉(富士電波工業株式会社製)を用いて脱脂体を1400℃で2時間保持し(第一焼成工程)、その後、2050℃で10時間保持(第二焼成工程)した。このようにして、平板形状の窒化ホウ素焼結体を得た。なお、焼成中は、炉内に窒素ガスを10L/分で流して炉内を窒素雰囲気(大気圧)とした。
<窒化ホウ素焼結体の評価>
窒化ホウ素焼結体の密度(見かけ密度)をアルキメデス法によって測定した。測定結果は表2に示すとおりであった。この密度の値と真密度(窒化ホウ素の理論密度:2.26g/cm)から、上記式(1)によって気孔率を算出した。算出結果は表2に示すとおりであった。
JIS R 1601:2008「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」の記載に準拠して、窒化ホウ素焼結体の3点曲げ強さを測定した。具体的には、窒化ホウ素焼結体を所定形状に加工して曲げ強さ測定用の試験片を作製した。市販の万能試験機(株式会社島津製作所製、装置名:オートグラフ AG2000D)を用いて3点曲げ強さを測定した。測定結果は表2に示すとおりであった。
JIS Z 2246:2000に準拠して、窒化ホウ素焼結体のショア硬度を測定した。具体的には、窒化ホウ素焼結体を所定形状に加工してショア硬度測定用の試験片を作製した。市販のショア硬度計(株式会社島津製作所製、装置名:ショア硬度計 D型)を用いてショア硬度を測定した。測定結果は、表2に示すとおりであった。
JIS R 1655:2003に準拠して、水銀圧入式ポロシメーターを用いて窒化ホウ素焼結体の細孔径分布を測定した。この細孔径分布から細孔(気孔)のメディアン径を求めた。結果は、表2に示すとおりであった。
窒化ホウ素焼結体のガス透過率を減圧法によって以下の手順で測定した。図3に示すようなガス透過率測定装置用の円筒型治具10を準備した。デジタルノギスを用いて円筒型治具10に固定できるように加工した円板形状の窒化ホウ素焼結体20(厚さ:2mm)の直径を測定して主面22aの表面積(A)を測定した。窒化ホウ素焼結体の側面(周面)と円筒型治具10の内壁面とをエポキシ系接着剤で接着してシールし、窒化ホウ素焼結体20が円筒型治具10の内部に固定された測定サンプルを得た。この測定サンプルをガス透過率測定装置にセットし、供給ガス(N)の流量を500ml/minに設定した後、室温(25℃)で50分間保持した。その後、円筒型治具10の内部に固定された窒化ホウ素焼結体20を透過するNガスによる単位時間当たりの圧力変化を測定した。測定結果から、以下の式よりガス透過率Pを算出した。結果は、表2に示すとおりであった。
P=M/A・T・dP
P:ガス透過率(mol/m・s・Pa)
M:ガス透過量(mol)
A: 窒化ホウ素焼結体の主面の表面積(m)
T:時間(s)
dP:供給側12と透過側14の差圧(Pa)
(実施例2~4,比較例1,2)
CIP成形体を得る際の圧力を表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ホウ素焼結体を作製し評価を行った。各評価結果は表2に示すとおりであった。なお、実施例4のCIP圧力は、一軸加圧時の圧力よりも低かった。このため、実施例4の成形圧の最大値は7.5MPaであった。その他の実施例及び比較例の成形圧の最大値はCIP圧力に等しかった。
Figure 0007378690000001
Figure 0007378690000002
実施例1~4は、いずれも気孔率が38体積%以上、曲げ強さが5MPa以上、細孔のメディアン径が0.5μm以上であることが確認された。これらの窒化ホウ素焼結体のガス透過率は、いずれも0.45×10-6mol/m・s・Pa以上であった。なお、実施例1~4、及び比較例1~2の窒化ホウ素の純度は97質量%以上であった。また、実施例1~4、及び比較例1~2のFe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量を上述の測定方法(ICP発光分光分析法)で測定した結果、いずれも50質量ppm未満であった。実施例1~4、及び比較例1~2のCaの含有量を上述の測定方法(ICP発光分光分析法)で測定した結果、いずれも100質量ppm未満であった。実施例1~4、及び比較例1~2の炭素の含有量を上述の測定方法(LECO社製炭素分析装置(商品名:IR-412))で測定した結果、いずれも0.1質量%未満であった。
(比較例3~6)
非晶質窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、以下「非晶質BN」という。)と、六方晶窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、以下「h-BN」という。)を準備した。それぞれの純度、平均粒子径(D50)、BET比表面積、及び各不純物濃度は、表3に示すとおりであった。これらの測定方法は実施例1と同じである。これらのh-BN及び非晶質BNを用いたこと、及び、h-BNと非晶質BNの配合比(質量基準)を表4に示すとおりとしたこと以外は、比較例1と同様にして、窒化ホウ素焼結体を作製して評価を行った。各評価結果は表4に示すとおりであった。
Figure 0007378690000003
Figure 0007378690000004
表4の結果から、原料に用いられるh-BNに対する非晶質BNの割合が高くなると曲げ強さと気孔率は大きくなるものの、細孔のメディアン径が小さくなるとともにショア硬度が低くなることが確認された。
本開示によれば、高い信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れる窒化ホウ素焼結体及びその製造方法が提供される。また、信頼性を有しつつ種々のガスの通気性に優れるセッター及び容器が提供される。
10…円筒型治具、20…窒化ホウ素焼結体、22a…主面、100…セッター、110…容器、112…容器本体、114…蓋体。

Claims (10)

  1. 気孔率が36体積%以上であり、曲げ強さが5MPa以上であり、細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上であり、Fe,Cr,Ni,Cu及びMnの合計含有量が50質量ppm未満である、窒化ホウ素焼結体。
  2. 気孔率が36体積%以上であり、曲げ強さが5MPa以上であり、細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上であり、Caの含有量が100質量ppm未満である、窒化ホウ素焼結体。
  3. 気孔率が36体積%以上であり、曲げ強さが5MPa以上であり、細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上であり、炭素の含有量が0.1質量%未満である、窒化ホウ素焼結体。
  4. 窒化ホウ素の純度が97質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素焼結体。
  5. 全酸素量が1.0質量%未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素焼結体。
  6. 密度が0.9~1.4g/cmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化ホウ素焼結体。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の窒化ホウ素焼結体で構成されるセッター。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の窒化ホウ素焼結体で構成される容器。
  9. 六方晶窒化ホウ素粉末と非晶質窒化ホウ素粉末とを含む混合原料を成形して焼成し窒化ホウ素焼結体を得る工程を有し、
    前記混合原料において前記六方晶窒化ホウ素粉末の含有量の方が前記非晶質窒化ホウ素粉末の含有量よりも高く、
    成形圧の最大値が50MPa未満であり、
    前記窒化ホウ素焼結体の曲げ強さが5MPa以上である、窒化ホウ素焼結体の製造方法。
  10. 前記窒化ホウ素焼結体の気孔率が36体積%以上であり、前記窒化ホウ素焼結体の細孔径分布から求められる細孔のメディアン径が0.5μm以上である、請求項9に記載の窒化ホウ素焼結体の製造方法。
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