JP7371980B2 - 垂直型熱電変換素子、並びにこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー - Google Patents

垂直型熱電変換素子、並びにこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー Download PDF

Info

Publication number
JP7371980B2
JP7371980B2 JP2022508305A JP2022508305A JP7371980B2 JP 7371980 B2 JP7371980 B2 JP 7371980B2 JP 2022508305 A JP2022508305 A JP 2022508305A JP 2022508305 A JP2022508305 A JP 2022508305A JP 7371980 B2 JP7371980 B2 JP 7371980B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric
layer
temperature side
magnetic layer
conversion element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022508305A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021187347A1 (ja
Inventor
裕弥 桜庭
偉男 周
健一 内田
薫 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Publication of JPWO2021187347A1 publication Critical patent/JPWO2021187347A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7371980B2 publication Critical patent/JP7371980B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/10Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects
    • H10N10/17Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects operating with only the Peltier or Seebeck effects characterised by the structure or configuration of the cell or thermocouple forming the device
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N10/00Thermoelectric devices comprising a junction of dissimilar materials, i.e. devices exhibiting Seebeck or Peltier effects
    • H10N10/80Constructional details
    • H10N10/85Thermoelectric active materials
    • H10N10/851Thermoelectric active materials comprising inorganic compositions
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N15/00Thermoelectric devices without a junction of dissimilar materials; Thermomagnetic devices, e.g. using the Nernst-Ettingshausen effect
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N52/00Hall-effect devices
    • H10N52/80Constructional details

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Description

本発明は、垂直型熱電変換素子、及びこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサーに関する。
磁性体における異常ネルンスト効果は、磁化Mと温度勾配∇Tの外積方向(∇T×M)方向に電界を生じさせる現象である。これを利用すると、単純な面内接続型の構造直列電圧を増強できるため、熱電発電応用や熱流センサーへの応用が期待できる(図7、特許文献1参照)。
しかし、各種の磁性材料でこれまで報告されている異常ネルンスト効果の熱電能(異常ネルンスト係数)は、大きいものでも、CoMnGaホイスラー合金で6μV/K(非特許文献1)、FeGa合金で2.1μV/K(非特許文献2)、SmCo永久磁石で3.1~3.6μV/K(非特許文献3)であり、ゼーベック熱電発電に用いられる材料のゼーベック効果の熱電能(ゼーベック係数)が数100μV/K程度であることと比較すると、2桁程度小さい値に留まっている。熱電材料に関しては、例えば、非特許文献5、6で網羅的に掲げられている。
上記応用に向けては、ネルンスト効果による熱電能が大きい磁性材料の開拓が求められており、非特許文献4においては20μV/Kの実現が必要とされている。
特許第6079995号公報
Sakai et al., Nature Physics,14 1119 (2018) Nakayama et al., Phys. Rev. Mat. 3, 114412 (2019) Miura et al., Appl. Phys. Lett. 115, 222403 (2019) Sakuraba et al., Scripta Materialia 111,29-32 (2016) Snyder, G.J. and Toberer, E.S. Nature Materials 2008, 7, 105. Sootsman, J.R.; Chung, D.Y.; Kanatzidis, M.G. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 8616.
熱電発電応用や熱流センサーの応用に向けて、従来、磁性材料単体の本質的特性として、高い異常ネルンスト効果による熱電能を実現することが目指されてきた。しかしながら、現時点で達成されている熱電能は最大でも6μV/K程度に留まっている。
本発明は上述する課題を解決するもので、磁性材料の熱電変換特性はそのままでありながら、異常ネルンスト効果と同様の対称性を示す熱電能を高めることができる新規な構造を有する垂直型熱電変換素子を提供することを目的とする。また、垂直型熱電変換素子を用いた新規な熱電発電応用機器又は熱流センサーを提供することを目的とする。
本発明者は、磁性材料の熱電変換特性の本質的な改善をせずとも、上記異常ネルンスト効果と同様の対称性を示す熱電能を高めることができる新規な垂直型熱電変換素子の構造を提案するものである。
[1]本発明の垂直型熱電変換素子は、例えば図1や図2に示すように、ゼーベック効果を示す熱電材料よりなる熱電層10であって、熱電層10の一方の端部が低温側であり、当該低温側端部12と対向した他方の端部14が高温側である熱電層10;熱電層10に積層された磁性体層20であって、磁性体層20の厚さ方向に磁化又は外部磁場が印加される共に、導電性を有し、磁性体層20の温度勾配方向及び磁化方向の外積方向に電位を発生する磁性体層20;熱電層10の低温側端部12と磁性体層20の低温側端部22とを接続する低温側導体部44;熱電層10の高温側端部14と磁性体層20の高温側端部24とを接続する高温側導体部42;並びに熱電層10の温度勾配方向(∇T)及び磁性体層20の磁化方向(M)の外積方向となる、磁性体層20の外積方向の両端部に設けられた、前記外積方向に生じる電位を取り出すための出力端子(26a、26b);を備えるものである。
[2]本発明の垂直型熱電変換素子において、好ましくは、さらに、熱電層10と磁性体層20の間であって、積層方向に設けられた、熱伝導性を有する電気的絶縁層30を有するとよい。
[3]本発明の垂直型熱電変換素子において、好ましくは、熱伝導性を有する電気的絶縁層30は、SiO及びAlから選ばれる酸化物又はAlN及びBNから選ばれる窒化物を1種類又は2種類以上含むものがよい。
[4]本発明の垂直型熱電変換素子において、好ましくは、熱電層10は、BiTe、PbTe、Si、Ge、Fe-Si合金、Cr-Si合金、Mg-Si合金、CoSb合金、FeVAl系ホイスラー合金、及びSrTiO等からなる熱電材料の群から選ばれる少なくとも1種類の熱電材料からなるとよい。
[5]本発明の垂直型熱電変換素子において、好ましくは、磁性体層20は、導電性を有する磁性体であって、1%以上の異常ホール角を有し、100℃以上まで自発磁化を有する磁性材料からなるとよい。
[6]本発明の垂直型熱電変換素子において、好ましくは、前記1%以上の異常ホール角と100℃以上まで自発磁化を有する磁性材料は、以下の群(A)~(H)から選ばれる少なくとも1種類の磁性材料からなるとよい。
(A)FePt、CoPt、FePd、CoPd、FeNi、MnAl、及びMnGaからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のL1型規則合金、
(B)CoMnGa、及びCoMnAlからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のホイスラー合金、
(C)MnGa、MnFeGa、MnCoGa、及びMnRuGaからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のD022型規則合金、
(D)FeCr、FeAl、FeGa、FeSi、FeTa、FeIr、FePt、FeSn、FeSm、FeTb、CoFeB、CoTb、及びNiPtからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上の2元不規則合金、
(E)SmCo系磁石、SmCo17系磁石、及びNdFe14B系磁石からなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上の永久磁石材料、
(F)Co/Pt、及びCo/Pdの積層からなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上の多層膜材料、
(G)MnN、及びFeNからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のペロブスカイト型窒化物材料、
(H)MnGa、MnGe、及びMnSnからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のD019型規則合金。
[7]本発明の熱電発電応用機器又は熱流センサーは、上記[1]~[6]のいずれかに記載の垂直型熱電変換素子を用いてもよい。
本発明の垂直型熱電変換素子によれば、磁性体層をなす磁性材料中には、磁性材料単独で生じる異常ネルンスト効果に加えて、ゼーベック電流に対して生じる異常ホール効果が重畳し、正味の異常ネルンスト熱起電力の増大効果が生じるため、高い熱電能が得られる。いわば、ゼーベック効果と異常ホール効果のアシストにより異常ネルンスト効果と同様の対称性を示す熱起電力が発生し、高い熱電能を示す垂直型熱電変換素子が得られる。
本発明の一実施例を示す垂直型熱電変換素子の構成斜視図である。 ゼーベックアシスト効果によるネルンスト電圧のモデル図である。 CoMnGaを例にしたネルンスト熱起電力の計算値図である。 本発明の一実施例を示す垂直型熱電変換素子を説明する構成図で、(A)は結線前の構成斜視図、(B)は垂直型熱電変換素子の平面を示す写真、(C)は(B)のC-C線断面図で、絶縁層によって熱電層と磁性体層が絶縁された状態を示してある。 本発明の一実施例を示す垂直型熱電変換素子を説明する構成図で、(A)は結線後の構成斜視図、(B)は垂直型熱電変換素子の平面を示す写真、(C)は(B)のC-C線断面図で、レーザー加工機で絶縁層を切り離した状態を示してある。 本発明の一実施例を示す異常ネルンスト効果を利用した熱電発電/熱流センサーの基本的な構造を示す構成斜視図である。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は本発明の一実施例を示す垂直型熱電変換素子の構成斜視図である。図において、本発明の垂直型熱電変換素子は、熱電層10、磁性体層20、電気的絶縁層30の三層構造からなると共に、高温側導体部42、低温側導体部44、並びに出力端子26a、及び26bを備えている。EANEは異常ネルンスト効果電圧を、ESEはゼーベック効果電圧を、Mは磁化方向を、∇Tは低温側から高温側への温度勾配の方向を示す。
熱電層10は、ゼーベック効果を有する熱電材料よりなり、熱電層10の一方の端部が低温側端部12であり、低温側端部12と対向した他方の端部が高温側端部14である。ゼーベック効果を有する熱電材料としては、例えば、BiTe、PbTe、Si、Ge、FeSi合金、CrSi合金、MgSi合金、CoSb合金、FeVAl系ホイスラー合金、及びSrTiO等を用いることができる。公知の熱電材料としては、非特許文献5、6で網羅的に掲げられており、この記載を熱電材料のリストとして援用する。高温側端部14の加熱には、例えば、電熱加熱やボイラー機器の排熱蒸気や高温排水を用いることができる。低温側端部12の冷却には、例えば、空冷や水冷を用いてもよく、固体の放熱部材を取り付けてもよい。
磁性体層20は、熱電層10に積層された磁性体層20であって、磁性体層20の膜厚方向に磁化又は外部磁場が印加される共に、導電性を有し、磁性体層20の温度勾配方向∇Tと磁化方向Mの外積方向に電位を発生する。磁性体層20は、導電性を有する磁性体であって、1%以上の異常ホール角を有する磁性材料からなることが好ましい。磁性体であれば、異常ネルンスト効果及び異常ホール効果の両方を発現するが、大きなアシスト効果を得るためには大きな異常ホール効果(異常ホール角)を示す磁性材料を選択するのが好ましい。
ここで、異常ホール角とは、磁性体に電流を流した際にどの程度横方向に電流が曲げられるかを表すパラメータである。異常ホール角が1%未満の場合は、磁性体層20の温度勾配方向∇Tと磁化方向Mの外積方向によって発生する電位が低く、垂直型熱電変換素子として好ましくない。また、実用にあたっては室温以上で自発磁化を有する必要があるため、100℃以上まで自発磁化を有することが好ましい。
このような1%以上の異常ホール角と100℃以上まで自発磁化を有する磁性材料としては、L1型規則合金、ホイスラー合金、鉄系合金、及び永久磁石材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の磁性材料がある。即ち、L1型規則合金としては、例えば、FePt、CoPt、FePd、CoPd、FeNi、MnAl、及びMnGaが挙げられる。ホイスラー合金としては、例えば、CoMnGa、及びCoMnAlが挙げられる。D022型規則合金としては、例えば、MnGa、MnFeGa、MnCoGa、及びMnRuGaが挙げられる。2元不規則合金としては、例えば、FeCr、FeAl、FeGa、FeSi、FeTa、FeIr、FePt、FeSn、FeSm、FeTb、CoFeB、CoTb、及びNiPtが挙げられる。永久磁石材料としては、例えば、SmCo系磁石、SmCo17系磁石、及びNdFe14B系磁石が挙げられる。多層膜磁性材料としては、例えば、Co/Pt、及びCo/Pdが挙げられる。ペロブスカイト型窒化物材料には、例えば、MnN、FeNがある。D019型規則合金としては、例えば、MnGa、MnGe、及びMnSnが挙げられる。
出力端子26a、26bは、熱電層10の温度勾配方向∇Tと磁性体層20の磁化方向Mの外積方向となる、磁性体層20の外積方向の両端部に設けられた、前記外積方向に生じる電位を取り出すための出力端子である。
電気的絶縁層30は、熱電層10と磁性体層20の間であって、積層方向に設けられた、熱伝導性を有する電気的絶縁層である。電気的絶縁層には、例えば、SiO、Al等の酸化物又はAlN、BN等の窒化物の1種類又は2種類以上を含むものを用いることができる。
高温側導体部42は、熱電層10の高温側端部14と磁性体層20の高温側端部24とを接続するもので、例えば、銅線のような電気抵抗の低い金属製の導体線を用いることができる。低温側導体部44は、熱電層10の低温側端部12と磁性体層20の低温側端部22とを接続するもので、例えば、銅線のような電気抵抗の低い金属製の導体線が用いることができる。
なお、熱電層10が酸化物のような、実質的に絶縁体と同程度の導電率を有する場合には、電気的絶縁層30を省略してもよい。この場合、絶縁層30を高温側と低温側に入れない構造においては、高温側導体部42と低温側導体部44は不要になる。
このように構成された垂直型熱電変換素子の動作について説明する。
熱電層10及び磁性体層20は、電気的絶縁層30を介して積層されており、熱電層10の低温側端部12及び高温側端部14の温度勾配∇Tによって、熱電層10をなす熱電材料によるゼーベック熱起電力ESEが発生する。磁性体層20は、電気的絶縁層30を介して熱電層10と熱的に接触しているので、磁性体層20の低温側端部22及び高温側端部24の温度勾配∇Tを生じている。磁性体層20は、膜厚方向に外部磁場が印加されているか、磁性体20自身の磁気異方性によって、膜厚方向を磁化方向Mとして磁化されているので、異常ネルンスト効果によって、磁性体層20の温度勾配方向∇Tと磁化方向Mの外積方向に電位を発生する。
また、熱電層10及び磁性体層20は、高温側導体部42によって、熱電層10の高温側端部14と磁性体層20の高温側端部24とが接続され、低温側導体部44によって、熱電層10の低温側端部12と磁性体層20の低温側端部22とが接続されているので、電気的な閉回路が形成されている。温度勾配下では、ゼーベック熱電材料の大きな熱起電力によって、磁性体層20の磁性材料の中にはゼーベック電流が流れる。その結果、磁性体層20では、ゼーベック電流によって異常ホール効果が駆動される。
このようにして、大きなゼーベック熱起電力を発現するゼーベック熱電材料及び磁性材料を熱的に並列に配置すると共に、ゼーベック熱電材料及び磁性材料の間は電気的に絶縁するために、物理的に離すか、又は絶縁体を間に挟んだ構造をとる。この状態から、ゼーベック熱電材料及び磁性材料の各々の高温側及び低温側のみを電気的に接続し、電気的な閉回路を形成すると、磁性体層をなす磁性材料中には、磁性材料単独で生じる異常ネルンスト効果に加えて、ゼーベック電流に対して生じる異常ホール効果が重畳することで異常ネルンスト熱起電力と同じ方向に熱起電力が生じるため、これらの寄与の和により高い熱電能が得られる。
続いて、本発明の垂直型熱電変換素子による熱電能を計算する。
図2はゼーベックアシスト効果によるネルンスト電圧のモデル図である。熱電層10の両端には、低温側端部12(T)と高温側端部14(T)が位置している。L はゼーベック熱電材料Sのx軸方向(幅方向)の長さ(幅)である。L はゼーベック熱電材料Sのz軸方向(長手方向・ゼーベック効果電圧方向)の長さである。L はゼーベック熱電材料Sのy軸方向(膜厚方向)の長さ(厚さ)である。
磁性体層20の熱電層10と平行な方向の部材の両端には、低温側端部22(T)と高温側端部24(T)が位置している。l は磁性材料Nの熱電層10と平行な方向の部材のx軸方向(幅方向)の長さ(幅)である。L は磁性材料Nの熱電層10と平行な方向の部材のz軸方向(長手方向)の長さである。L は磁性材料Nのy軸方向(膜厚方向・磁化方向)の長さ(厚さ)である。
磁性体層20の熱電層10と直交する方向の部材の両端には、電圧出力端子26a及び26bが位置している。L は磁性材料Nの熱電層10と直交する方向の部材のx軸方向(幅方向・異常ネルンスト効果電圧方向)の長さ(幅)である。l は磁性材料Nの熱電層10と直交する方向の部材のz軸方向(長手方向)の長さである。
本発明の垂直型熱電変換素子による熱電能を定量的に見積もるために、図2に示すモデルに対応して、次式のような定式化をすることができる。
ここで異常ホール効果とは、通常のホール効果では外部磁場に比例してホール抵抗率が増加するが、強磁性金属では磁化の変化に対応して巨大なホール抵抗率が現れることをいう。経験的に、ホール抵抗率ρは外部磁場H、磁化Mに対して、次式で表現される。

ここで、Rは正常ホール係数、RAHEは異常ホール係数である。異常ホール係数RAHEは、正常ホール係数Rに比べて10~1000倍程度大きい。

ここで、Sはゼーベック熱電材料Sのゼーベック係数、Sは磁性材料Nのゼーベック係数、SANEは異常ネルンスト係数、ρAHEは異常ホール効果係数、ρはゼーベック熱電材料Sの電気抵抗率、ρは磁性材料Nの電気抵抗率である。E は磁性材料Nのx軸方向(膜厚方向・磁化方向)の電界Eである。
上式の右辺第2項はゼーベックアシストによるネルンスト(ホール)電圧であり、右辺第2項の絶対値が大きいほどアシスト効果が大きいことを表す。右辺第2項にある異常ホール抵抗率ρAHEは、異常ホール抵抗率ρAHEが大きいとアシスト効果が大きいことを表している。右辺第2項の分母にある

は、ゼーベック熱電材料Sの電気抵抗率が小さく、磁性材料Nに対する膜厚比率が大きいと、アシスト効果が大きいことを表している。右辺第2項にあるSは、ゼーベック熱電材料Sのゼーベック係数Sの符号と、磁性材料Nのゼーベック係数Sの符号が異符号の場合、Sの絶対値が大きいとアシスト効果が大きいことを表している。また、SとSが同符号の場合、Sの絶対値がSの絶対値の2倍よりも大きいとき、Sの絶対値が大きいとアシスト効果が大きいことを表している。
即ち、ゼーベック熱電材料Sによるアシスト効果が大きくなる条件は、熱電材料の磁性材料に対する膜厚比率が小さい、熱電材料のゼーベック起電力が大きく電気抵抗率が低い、また、磁性材料の異常ホール角が大きい場合であることがわかる。このモデルに、磁性材料としてCoMnGa、熱電材料としてn型Si基板を用いた場合の各物性パラメータを代入した計算結果が図3である。CoMnGaのSiに対する膜厚比が小さくなるほどアシスト効果が大きくなり、最大で90μV/Kのネルンスト起電力が実現されることが現象論的な計算により示される。
<実施例>
本発明を実証するための実施例として、ホイスラー合金磁性薄膜CoMnGaをn型ドープ、p型ドープ、ノンドープの3基板に対して成膜し、検証実験を行った。
最初の製造工程では、図4に示すように、全ての基板の表面には厚さ100nmの熱酸化SiO絶縁膜を形成した。通常、CoMnGa薄膜及びSi基板は電気的に絶縁されている。
次の製造工程では、図5に示すように、CoMnGa薄膜の左右両端近傍の絶縁膜をレーザーによって除去し、その部分に金属電極を付け、CoMnGa薄膜及びSi基板が両端で電気的に接続され閉回路を形成した。
本実施例では、レーザー除去の有無で[2種類×基板3種類]の合計6種類の試料について評価を行なった。基板の面内に熱流を流し、ゼーベック効果及び異常ネルスント効果を測定した。実験結果を表1に示す。
ゼーベック効果を測定すると、Siと電気的につなげた試料では、基板のゼーベック効果の影響で、CoMnGa薄膜のゼーベック電圧が変化することが確認された。n型Si基板では、レーザーによる絶縁膜除去無しでは-20μV/K程度であるが、閉回路を形成すると-160μV/Kのゼーベック効果が現れた。また、異常ネルンスト効果を測定すると、n型Si基板を用いた試料では、磁性膜単独では+2.4μV/K程度の熱起電力であるが、Si基板と電気的につなげると+7.9μV/Kと3倍以上の熱起電力の増大が確認された。この出力増大は、上記のモデル計算による予測+23.7μV/Kよりも小さいものの、本発明の効果を実証する実験結果である。
図7は、本発明の垂直型熱電変換素子を用いた熱電発電応用や熱流センサーへの応用素子の一例を示す構成斜視図である。
図7に示すように、単純な面内接続型の熱電対列の構造で直列電圧を増幅できる。
なお、上記の実施例においては、熱電層としてSi基板、磁性体層としてCoMnGa薄膜、絶縁層として熱酸化SiO絶縁膜を積層する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱電層にはゼーベック効果を有する熱電材料、磁性体層には導電性強磁性材料、絶縁層には熱伝導性を有する電気的絶縁材料を用いることができる。
本発明の垂直型熱電変換素子は、熱電発電応用機器や熱流センサーに用いることができる。
10 熱電層(Si基板)(ゼーベック熱電材料)
12 低温側端部
14 高温側端部
20、20a、20b 磁性体(層)(CoMnGa)
22 低温側端部
24 高温側端部
26a、26b 電圧出力端子
30 絶縁層(SiO
32 絶縁層除去部
40 Au電極
42 高温側導体線
44 低温側導体線
50 負荷
52a、52b 負荷導体線

Claims (8)

  1. 垂直型熱電変換素子であって、
    ゼーベック効果を示す熱電材料よりなる熱電層であって、前記熱電層の一方の端部が低温側であり、当該低温側端部と対向した他方の端部が高温側である前記熱電層、
    前記熱電層に積層された磁性体層であって、前記磁性体層の膜厚方向への磁化成分を有するとともに、導電性を有し、前記磁性体層の温度勾配方向及び磁化方向の外積方向に電位を発生する前記磁性体層、
    前記熱電層の低温側端部及び前記磁性体層の低温側端部を接続する低温側導体部、
    前記熱電層の高温側端部及び前記磁性体層の高温側端部を接続する高温側導体部
    前記熱電層の温度勾配方向及び前記磁性体層の磁化方向の外積方向となる、前記磁性体層の外積方向の両端部に設けられた、前記外積方向に生じる電位を取り出すための出力端子、並びに
    前記熱電層及び前記磁性体層の間であって、積層方向に設けられた、熱伝導性を有する電気的絶縁層、
    を備える前記垂直型熱電変換素子。
  2. 前記熱伝導性を有する電気的絶縁層は、SiO、及びAlから選ばれる酸化物並びにAlN、及びBNから選ばれる窒化物の1種類又は2種類以上を含む、請求項に記載の垂直型熱電変換素子。
  3. 前記熱電層は、BiTe、PbTe、Si、Ge、Fe-Si合金、Cr-Si合金、Mg-Si合金、CoSb合金、FeVAl系ホイスラー合金、及びSrTiOからなる熱電材料の群から選ばれる少なくとも1種類の熱電材料からなる、請求項1又は2に記載の垂直型熱電変換素子。
  4. 垂直型熱電変換素子であって、
    ゼーベック効果を示す熱電材料よりなる熱電層であって、前記熱電層の一方の端部が低温側であり、当該低温側端部と対向した他方の端部が高温側である前記熱電層、
    前記熱電層に積層された磁性体層であって、前記磁性体層の膜厚方向への磁化成分を有するとともに、導電性を有し、前記磁性体層の温度勾配方向及び磁化方向の外積方向に電位を発生する前記磁性体層、並びに
    前記熱電層の温度勾配方向及び前記磁性体層の磁化方向の外積方向となる、前記磁性体層の外積方向の両端部に設けられた、前記外積方向に生じる電位を取り出すための出力端子、
    を備え、前記熱電層は、絶縁体と同程度の導電率を有する、前記垂直型熱電変換素子。
  5. 前記熱電層は、SrTiO からなる、請求項4に記載の垂直型熱電変換素子。
  6. 前記磁性体層は、導電性を有する磁性体であって、1%以上の異常ホール角を有する磁性材料からなる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の垂直型熱電変換素子。
  7. 前記1%以上の異常ホール角を有する磁性材料は、以下の群(A)~(H)から選ばれる少なくとも1種類の磁性材料からなる、請求項に記載の垂直型熱電変換素子:
    (A)FePt、CoPt、FePd、CoPd、FeNi、MnAl、及びMnGaからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のL1型規則合金、
    (B)CoMnGa、及びCoMnAlからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のホイスラー合金、
    (C)MnGa、MnFeGa、MnCoGa、及びMnRuGaからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のD022型規則合金、
    (D)FeCr、FeAl、FeGa、FeSi、FeTa、FeIr、FePt、FeSn、FeSm、FeTb、CoFeB、CoTb、及びNiPtからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上の合金、
    (E)SmCo系磁石、SmCo17系磁石、及びNdFe14B系磁石からなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上の永久磁石材料、
    (F)Co/Pt、及びCo/Pdの積層からなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上の多層膜材料、
    (G)MnN、FeNからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のペロブスカイト型窒化物材料、並びに
    (H)MnGa、MnGe、及びMnSnからなる群から選択される少なくとも1種類又は2種類以上のD019型規則合金。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の垂直型熱電変換素子を用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー。
JP2022508305A 2020-03-19 2021-03-12 垂直型熱電変換素子、並びにこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー Active JP7371980B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020049595 2020-03-19
JP2020049595 2020-03-19
PCT/JP2021/009982 WO2021187347A1 (ja) 2020-03-19 2021-03-12 垂直型熱電変換素子、並びにこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021187347A1 JPWO2021187347A1 (ja) 2021-09-23
JP7371980B2 true JP7371980B2 (ja) 2023-10-31

Family

ID=77772110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022508305A Active JP7371980B2 (ja) 2020-03-19 2021-03-12 垂直型熱電変換素子、並びにこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11889762B2 (ja)
EP (1) EP4123897A4 (ja)
JP (1) JP7371980B2 (ja)
WO (1) WO2021187347A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023223920A1 (ja) * 2022-05-16 2023-11-23 国立研究開発法人物質・材料研究機構 熱流センサ付きペルチェ素子
CN115963437B (zh) * 2022-12-21 2023-10-20 南方电网数字电网研究院有限公司 多量程磁传感器、磁场测量方法及导体制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009130070A (ja) 2007-11-22 2009-06-11 Keio Gijuku スピン流熱変換素子及び熱電変換素子
WO2014147967A1 (ja) 2013-03-18 2014-09-25 パナソニック株式会社 テラヘルツ電磁波発生装置、テラヘルツ分光装置、およびテラヘルツ電磁波の発生方法
JP2016103535A (ja) 2014-11-27 2016-06-02 トヨタ自動車株式会社 熱電体
WO2018146713A1 (ja) 2017-02-07 2018-08-16 日本電気株式会社 熱電変換素子およびその製造方法
WO2019009308A1 (ja) 2017-07-03 2019-01-10 国立大学法人東京大学 熱電変換素子及び熱電変換デバイス

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001168403A (ja) * 1999-12-13 2001-06-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd 熱電変換素子
JP2003060244A (ja) * 2001-08-10 2003-02-28 Sumitomo Special Metals Co Ltd 冷却素子と熱電変換材料
JP2008147304A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Toyoda Gosei Co Ltd 熱電変換素子
WO2010058464A1 (ja) * 2008-11-20 2010-05-27 株式会社村田製作所 熱電変換モジュール
JP6079995B2 (ja) 2012-09-28 2017-02-15 国立大学法人東北大学 熱電発電デバイス
JP7316579B2 (ja) * 2018-12-18 2023-07-28 国立大学法人茨城大学 熱電変換装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009130070A (ja) 2007-11-22 2009-06-11 Keio Gijuku スピン流熱変換素子及び熱電変換素子
WO2014147967A1 (ja) 2013-03-18 2014-09-25 パナソニック株式会社 テラヘルツ電磁波発生装置、テラヘルツ分光装置、およびテラヘルツ電磁波の発生方法
JP2016103535A (ja) 2014-11-27 2016-06-02 トヨタ自動車株式会社 熱電体
WO2018146713A1 (ja) 2017-02-07 2018-08-16 日本電気株式会社 熱電変換素子およびその製造方法
WO2019009308A1 (ja) 2017-07-03 2019-01-10 国立大学法人東京大学 熱電変換素子及び熱電変換デバイス

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
上杉良太,フルホイスラー合金Co2MnGaにおける異常ネルンスト効果の規則度依存性,第67回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集,Vol.67,2020年02月28日,p.13a-D511-7

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021187347A1 (ja) 2021-09-23
JPWO2021187347A1 (ja) 2021-09-23
EP4123897A1 (en) 2023-01-25
US20230102920A1 (en) 2023-03-30
EP4123897A4 (en) 2024-05-15
US11889762B2 (en) 2024-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7371980B2 (ja) 垂直型熱電変換素子、並びにこれを用いた熱電発電応用機器又は熱流センサー
Sakuraba et al. Anomalous Nernst effect in L10-FePt/MnGa thermopiles for new thermoelectric applications
JP5267967B2 (ja) スピン流熱変換素子及び熱電変換素子
JP5585314B2 (ja) 熱電変換素子及び熱電変換装置
JP6079995B2 (ja) 熱電発電デバイス
JP5987835B2 (ja) 熱電変換素子
Nishino Development of thermoelectric materials based on Fe2VAl Heusler compound for energy harvesting applications
JP5695612B2 (ja) 熱電モジュール,および熱電モジュールの製造方法
JP5775163B2 (ja) 熱電変換素子及びそれを用いた熱電変換モジュール
JP6565689B2 (ja) 熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法
JP6066091B2 (ja) 熱電変換素子及びその製造方法
WO2017082266A1 (ja) 熱電変換素子用起電膜及び熱電変換素子
Shiomi et al. Effect of scattering on intrinsic anomalous Hall effect investigated by Lorenz ratio
JPWO2018146713A1 (ja) 熱電変換素子およびその製造方法
JP6299237B2 (ja) 熱電変換素子およびその製造方法
JP2020098860A (ja) 熱電変換装置、熱電変換方法
WO2023054583A1 (ja) 熱電体、熱電発電素子、多層熱電体、多層熱電発電素子、熱電発電機、及び熱流センサ
Yamashita et al. Effect of metal electrode on thermoelectric power in bismuth telluride compounds
WO2022264940A1 (ja) 熱電発電デバイス
JP4574274B2 (ja) 熱電変換装置
JP2003060244A (ja) 冷却素子と熱電変換材料
JP2023120825A (ja) 熱電変換素子
JP2024006646A (ja) 磁性合金材料、熱電変換素子、および熱電変換モジュール
Kucukgok et al. Seebeck and Spin Seebeck effect in Gd-doped GaN thin films for Thermoelectric Devices and Applications
JP2006049495A (ja) 熱電変換材料及び熱電変換装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230524

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230719

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231012

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7371980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150