JP7369947B2 - 窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
窒化物半導体によって形成されたトンネル接合層を備えた窒化物半導体発光素子であって、
前記トンネル接合層を形成するためにp型不純物が添加されたp型層と、前記p型層の表面に積層され、前記トンネル接合層を形成するためにn型不純物が添加されたn型層とが積層された積層部を有し、
前記積層部は部分的に高抵抗化された高抵抗化部を具備していることを特徴とする。
基板の表面に窒化物半導体によって形成されたトンネル接合層を備えた窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
トンネル接合層を形成するためにp型不純物を添加したp型層を形成するp型層形成工程と、
前記p型層形成工程を実行後、前記p型層の表面側に、トンネル接合層を形成するためにn型不純物を添加したn型層を積層して前記p型層と共に積層部を形成するn型層形成工程と、を備え、
少なくとも前記p型層形成工程の後に実行され、前記n型層が積層された前記積層部が部分的に高抵抗化された高抵抗化部を形成する高抵抗化部形成工程を備える。
この構成によれば、電極が積層される部分の直下に高抵抗化部を配置することによって、電極の直下に位置する活性層に電流が流れることを抑えることができるため、電極の直下で発光することがない。つまり、電極は生じた光の進路を妨げることがない。
この構成によれば、高抵抗化部及び非高抵抗化部の厚さの差を抑え得るため、高抵抗化部及び非高抵抗化部の厚さの差によって生じる青色や紫外等の比較的短い波長の光の散乱を抑えることができる。
この構成によれば、高抵抗化部形成工程では、積層部においてプラズマを照射してp型不純物及びn型不純物を不活性化することによって高抵抗化部を形成する。このため積層部の厚みが薄くなり難いため、積層部の全体にわたってほぼ同様の厚みにすることができ、青色や紫外等の比較的短い波長の光が積層部によって散乱し難くすることができる。
〔電流狭窄構造の概要〕
一般的に半導体発光素子の上側と下側とに金属の電極を設けて半導体発光素子を上下方向に貫通するように電流を流すと電流の大部分は電極の直下に向けて流れる。このため、半導体発光素子は電流が流れることによって生じた光の大部分が電極に遮られ、発光した光を素子の外に有効に取り出すことができない。このため、面発光レーザやマイクロLEDを実現するために、素子に電流が流れやすい領域(以下、非高抵抗化部ともいう)と、その周囲に電流の流れにくい領域(以下、高抵抗化部ともいう)とを設けて、素子の周囲から素子の内方向に電流が流れる電流狭窄構造を形成する必要がある。
通常のpn接合はダイオード特性によりp型半導体層及びn型半導体層を挟み逆バイアス電圧を印加しても電流が流れない。これに対して、トンネル接合はp型半導体層及びn型半導体層を挟み逆バイアス電圧を印加すると電流が流れる。詳しくは、トンネル接合は通常のpn接合に比べてp型半導体層及びn型半導体層のそれぞれにp型不純物及びn型不純物が高濃度に添加されたpn接合である。これによって、トンネル接合は、通常のpn接合に比べてp型半導体層とn型半導体層との界面近傍に形成される空乏層の層厚が薄くなり、p型半導体層及びn型半導体層を挟み逆バイアス電圧を印加するとキャリア(電子及びホール(正孔))が空乏層を通り抜ける(トンネルする)ことができる。つまり、トンネル接合はn型半導体層からp型半導体層に向けて電流を流すことができる。
逆バイアス電圧を印加した際のトンネル接合及び通常のpn接合のそれぞれの特性の違いを利用して、電流が集まる電流狭窄構造を実現する方法の概要を説明する。先ず、半導体発光素子の電流を流したい領域にトンネル接合を形成して、電流を流したくない領域に通常のpn接合を形成する。これにより、トンネル接合及び通常のpn接合が形成された半導体発光素子に逆バイアス電圧を印加すると、通常のpn接合が形成された領域に電流が流れず、トンネル接合が形成された領域に電流が流れる。こうして、トンネル接合及び通常のpn接合を利用して電流狭窄構造を実現することができる。トンネル接合及び通常のpn接合を利用して電流狭窄構造を実現する方法を埋め込みトンネル接合という。
プラズマ化したArを照射した場合におけるトンネル接合層の特性について検証するため、実施例1~3の窒化物半導体発光素子のサンプル(以下、実施例1~3のサンプルともいう)及び比較例1の窒化物半導体素子のサンプル(以下、比較例1のサンプルともいう)を作製した。実施例1~3のサンプルは、図1に示すように、n型GaN層10、GaInN多重量子井戸活性層11、p型半導体層であるp型GaN層12、トンネル接合層14、及びn型GaN電流拡散層16を備えている。実施例1~3のサンプルは基板の表面に窒化物半導体によって形成されたトンネル接合層14を備えた窒化物半導体発光素子である。
次に、実施例1~3のサンプル、及び比較例1のサンプルの製造方法について説明する。先ず、素子構造を形成するために、C面サファイア基板S上に、低温バッファ層(図示せず)、2μmのアンドープGaN層(図示せず)、2μmのn型GaN層10(Siの添加濃度:8×1018cm-3)、発光波長410nmのGaInN多重量子井戸活性層11、20nmの厚みのp型AlGaN層(Mgの添加濃度:3×1019cm-3)(図示せず)、100nmの厚みのp型GaN層12(Mgの添加濃度:3×1019cm-3)をMOVPE装置にてエピタキシャル成長する。
これら4つのサンプル(実施例1~3、及び比較例1)の電流・電圧特性を図2に示す。高抵抗化部形成工程を実行した実施例1のサンプルは、電流が流れ始める立ち上がり電圧が6V以上となる。具体的には、実施例1のサンプルは電圧がおよそ6Vで電流が流れ始め、実施例2のサンプルはおよそ8Vで電流が流れ始め、実施例3のサンプルはおよそ10Vで電流が流れ始める。実施例1のサンプルは10Vを超えたところで10kA/cm2の電流密度になる。実施例1、2、3のサンプルにおける電流・電圧特性から、バイアス電力(100W、125W、150W)が大きくなるにしたがって、電流が流れ難くなっていることがわかる。したがって、バイアス電力(100W、125W、150W)が大きくなるにしたがって、高抵抗化部14Cがより大きい抵抗値を示すようになる。これに対して、比較例1のサンプルはおよそ6Vでおよそ10kA/cm2の高い密度で電流が流れている。つまり、比較例1のサンプルは6Vで10kA/cm2の高い密度で電流が流れるのに対して、実施例1のサンプルはおよそ6Vでようやく電流が流れ始めるのである。
実施例4は、非高抵抗化部を有する領域と、それを一部高抵抗化させた領域とを組み合わせることによって、所望の領域のみに電流を注入することができる電流狭窄構造を有するLEDである。
この構成によれば、上部電極E2が積層される部分の直下に高抵抗化部114Cを配置することによって、上部電極E2の直下に位置するGaInN層多重量子井戸活性層111に電流が流れることを抑えることができるため、上部電極E2の直下で発光することがない。つまり、上部電極E2は生じた光の進路を妨げることがない。
この構成よれば、高抵抗化部114C及び非高抵抗化部114Dの厚さの差を抑え得るため、高抵抗化部114C及び非高抵抗化部114Dの厚さの差によって生じる青色や紫外等の比較的短い波長の光の散乱を抑えることができる。
この構成によれば、高抵抗化部形成工程では、積層部115においてプラズマを照射してp型不純物及びn型不純物を不活性化することによって高抵抗化部114Cを形成する。このため積層部115の厚みが薄くなり難いため、積層部115の全体にわたってほぼ同様の厚みにすることができ、青色や紫外等の比較的短い波長の光が積層部115によって散乱し難くすることができる。
実施例5では、非高抵抗化部(すなわち、低抵抗なトンネル接合)を有する領域と、高抵抗化部(すなわち、低抵抗なトンネル接合の一部を高抵抗化させた領域)とを組み合わせることによって、所望の領域のみに電流注入可能な電流狭窄構造面発光レーザのサンプルを作製する製造方法について図5を参照しつつ説明する。
(1)実施例1~5では、トンネル接合に段差を設けずに高抵抗化する手法として、プラズマ化したArを用いたが、酸素や窒素等をプラズマ化して照射してもよい。この場合、照射条件はArを用いる場合と異なるが、トンネル接合層を高抵抗化させることが可能である。また、プラズマ化したArを照射することによって、p++型GaN層の厚みやn++型GaN層の厚みが僅かに薄くなってもよい。この場合、積層部は、高抵抗化部の厚さが非高抵抗化部の厚さよりも薄くなるが、トンネル接合そのものを部分的にエッチングして除去して電流狭窄構造を形成する従来の手法を用いる場合に比べて、青色や紫外等の発光波長における光散乱によるロスを抑制する効果は大きい。
(2)実施例1~5では、GaNを用いたトンネル接合層を例示しているが、GaInNやAlGaN、AlInN等の他の窒化物を用いたトンネル接合にも適用できる。
(3)実施例1~5では、素子としてLEDや面発光レーザを例示したが、端面レーザ等の電流狭窄が必要な全ての素子にも適用することができる。
(4)実施例1~5では、p型不純物としてMgを用いているが、p型不純物である、Zn,Be、Ca、Sr、及びBa等であってもよい。
(5)実施例1~5では、n型不純物としてSiを用いているが、n型不純物である、Ge等であってもよい。
(6)実施例1~5では、活性層の表面にp型AlGaN層を積層して形成することを開示しているが、活性層の表面にp型AlGaN層を積層して形成しなくても良い。
(7)実施例4、5では、非高抵抗化部を円形に形成しているが、より大きな領域に電流を流したい場合にはSiO2マスクの直径を大きくし、より狭い領域に電流を流したい場合には小さくして非高抵抗化部を形成すればよい。また、非高抵抗化部の外形は、必要に応じて円形状だけでなく長方形等の多角形状を含む任意の形状にすることができる。
14A,114A,214A…p++型GaN層(p型層)
14B,114B,214B…n++型GaN層(n型層)
14C,114C,214C…高抵抗化部
15,115,215…積層部
114D,214D…非高抵抗化部
E1…下部電極(電極)
E2…上部電極(電極)
Claims (1)
- 基板の表面に窒化物半導体によって形成されたトンネル接合層を備えた窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
トンネル接合層を形成するためにp型不純物を添加したp型層を形成するp型層形成工程と、
前記p型層形成工程を実行後、前記p型層の表面側に、トンネル接合層を形成するためにn型不純物を添加したn型層を積層して前記p型層と共に積層部を形成するn型層形成工程と、を備え、
前記n型層形成工程の後に実行され、プラズマを照射することによって前記n型層の表面から前記p型層の下面にわたって部分的に高抵抗化された高抵抗化部を形成する高抵抗化部形成工程を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
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