JP2004006934A - 窒化ガリウム系化合物半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体レーザ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活性層へのキャリア注入を効率的に行うと共に、電極コンタクト等での電圧降下を抑制することができ、低しきい値、低電圧で動作し、高い信頼性を達成する。
【解決手段】窒化ガリウム系化合物半導体レーザは、サファイア基板10上に、活性層14をクラッド層13、15で挟んだダブルヘテロ接合構造を有する。p−クラッド層15の上にストライプ状の開口部を有するGaN電流ブロック層16が形成される。更に、電流ブロック層16の開口部へ電流を注入し、該開口部よりも面積の広いp−GaNの埋込み層17及びコンタクト層18が形成される。活性層14はバンドギャップエネルギーが異なり、それぞれの厚さが10nm以下の2種類のInGaAlN層の繰り返しで構成される周期構造からなる多重量子井戸(MQW)構造を有する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた半導体素子及び製造技術に関し、特に窒化ガリウム系化合物半導体レーザとその製造方法、更には窒化ガリウム系化合物半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GaN、InGaN、GaAlN、InGaAlN等の窒化ガリウム系化合物半導体が青色半導体レーザの材料として注目されている。これらの材料による半導体レーザでは、短波長化により小さなビームに絞ることが可能となり、光ディスク等高密度情報処理用の光源として期待されている。
【0003】
この種の半導体レーザには各種の構造及び製造方法が提案されているが、窒化ガリウム系化合物半導体層の結晶成長が難しいことから、いずれにおいても満足できる特性は得られていない。即ち、窒化ガリウム系化合物半導体層を結晶成長しても良質の結晶を得ることができず、結晶品質が悪いため活性層へのキャリア注入を効率的に行うことができない。また、電流ブロック層にストライプ開口を有する構造では、ストライプ開口形成のエッチングを行った後の再成長層の結晶品質が低下し、これが電極コンタクト等での電圧降下を招く要因となっている。
【0004】
このように従来、光ディスク等への実用に供する低しきい値、低電圧で動作し、高い信頼性を有する青色半導体レーザを実現するためには、活性層へのキャリア注入を効率的に行うと共に、電極コンタクト等での電圧降下の抑制が重要であるが、未だこれらを満足する構成は得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
窒化ガリウム系化合物半導体を用いた半導体レーザにおいては、該材料の結晶成長が難しいことから良質の結晶層を得ることが難しく、またストライプ開口形成のエッチングを行った後の再成長層の結晶品質は更に低下する。このため、活性層へのキャリア注入を効率良く行うことができず、しかも電極コンタクト等での電圧降下を生じ、光ディスク等への実用に供する低しきい値、低電圧で動作し、高い信頼性を有する素子を実現することは困難であった。
【0006】
また、窒化ガリウム系化合物半導体層を一旦エッチングした後の再成長を良好に行うことができない点は、半導体レーザに限らず、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた各種の半導体素子について同様に言えることである。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、活性層へのキャリア注入を効率的に行うと共に、電極コンタクト等での電圧降下を抑制することができ、光ディスク等への実用に供する低しきい値、低電圧で動作し、高い信頼性を有する窒化ガリウム系化合物半導体レーザ及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的は、窒化ガリウム系化合物半導体層を一旦エッチングした後の再成長を良好に行うことができ、各種半導体素子の特性向上等に寄与し得る窒化ガリウム系化合物半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の視点は、
活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
を具備する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法であって、
支持基板上に前記ダブルヘテロ構造を有する積層膜を形成する工程と、
前記積層膜上に前記電流ブロック層と表面保護層とを積層する工程と、
前記表面保護層及び前記電流ブロック層の一部をエッチングしてストライプ状の前記開口部を形成する工程と、
前記表面保護層を気相中の高温放置による結晶の再蒸発によって除去した後、前記開口部内及び前記電流ブロック層上に前記電流注入層を形成する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の視点は、
活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
を具備する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法であって、
支持基板上に前記ダブルヘテロ構造を有する積層膜を形成する工程と、
前記積層膜上に前記電流ブロック層を形成する工程と、
前記電流ブロック層の一部をドライエッチングしてストライプ状の前記開口部を形成する工程と、
前記支持基板、前記積層膜、及び前記電流ブロック層を100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に漬けた後、前記開口部内及び前記電流ブロック層上に前記電流注入層を形成する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の視点は、
活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
を具備する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法であって、
支持基板上に前記ダブルヘテロ構造を有する積層膜を形成する工程と、
前記積層膜上に前記電流注入層を形成する工程と、
前記第2クラッド層及び前記電流注入層のいずれか一方または双方からなる被選択層に部分的に不純物を導入し、ストライプ状の前記開口部を有する前記電流ブロック層を形成する工程と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の視点は、窒化ガリウム系化合物半導体レーザにおいて、
2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
前記電流ブロック層の厚さをTA、前記開口部内を除く前記電流注入層の厚さをTCとした時、TC<TAの条件を満足することと、
を具備することを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の視点は、窒化ガリウム系化合物半導体レーザにおいて、
2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
前記電流ブロック層と前記活性層との間の距離をTB、前記開口部内を除く前記電流注入層の厚さをTCとした時、TB<TCの条件を満足することと、
を具備することを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の視点は、窒化ガリウム系化合物半導体レーザにおいて、
2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
前記活性層に近接する前記電流注入層の部分は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有すると共に、前記電流ブロック層より大きな屈折率を有することと、
を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明の第7の視点は、窒化ガリウム系化合物半導体レーザにおいて、
2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
前記電流ブロック層は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有すると共に、前記活性層に近接する前記電流注入層の部分より大きな屈折率を有することと、
を具備することを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の視点は、窒化ガリウム系化合物半導体レーザにおいて、
2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
前記活性層に近接する前記電流注入層の部分は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有すると共に、前記電流ブロック層は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより小さなバンドギャップを有することと、
を具備することを特徴とする。
【0017】
本発明の第9の視点は、窒化ガリウム系化合物半導体レーザにおいて、
2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
前記第2クラッド層の表面に前記開口部と連続するストライプ状の溝が形成され、前記電流注入層は、前記溝内で前記第2クラッド層と接するように配設されることと、
を具備することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、以下の説明において、ほぼ同じ機能及び構成を有する部分には、同一符号を付し、重複説明については必要に応じて行なう。
【0019】
サファイア基板上10に、GaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、MQW活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、ノンドープのGaNの電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16はストライプ状にエッチングされる。活性層14は、バンドギャップエネルギーが異なり、それぞれの厚さが10nm以下の2種類のInGaAlN層の繰り返しで構成される周期構造からなる多重量子井戸(MQW)構造からなる。
【0020】
電流ブロック層16のエッチングにより露出したp−クラッド層15及び電流ブロック層16上には、MgドープGaNのp−埋込み層17、MgドープGaNのp−コンタクト層18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0021】
このように本実施の形態では、バンドエネルギーが異なり、それぞれの厚さが10nm以下の2種類のInGaAlN層の繰り返しで構成される周期構造を、MQW活性層14として用い、その上に電流狭窄構造形成のための再成長を行う構成としている。このため、再成長界面及び再成長層で発生すると考えられていた結晶欠陥を低減すると共に、平坦な再成長表面が得られ、p側電極22でのコンタクト抵抗が低く、動作電圧の低い素子を得ることが可能になる。
【0022】
また、周期構造を用いて結晶欠陥を低減できることから、活性層14へのキャリアの注入を効率良く行うことができる。更に、サファイア基板10上に素子部に必要な各層を直接形成するのではなくバッファ層11を介在させることにより、素子部の各層の結晶品質の向上をはかることができ、これによってもキャリアの注入効率の向上やコンタクト抵抗の低減に寄与することができる。
【0023】
次に、図1図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法について説明する。
【0024】
まず、図2(a)に示すように、サファイア基板10上に、有機金属気相成長法(MOCVD法)によりGaN、AlN、AlGaN等からなるバッファ層11を10〜200nm程度の膜厚で成長し、その上にSiドープGaNのn−コンタクト層12をMOCVD法で4μmの膜厚で成長する。続いて、SiドープGa0.8Al0.2Nのn−クラッド層13をMOCVD法で250nmの膜厚で成長する。なお、以下では成長方法については述べないが、全てMOCVD法を用いるものとする。
【0025】
次に、ノンドープのGaNの厚さ200nmの光ガイド層、厚さ1.5nmのノンドープIn0.25Ga0.75N及び厚さ3nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を50周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、そしてノンドープGaNの厚さ200nmの光ガイド層、を積層成長してなるMQW活性層14を形成する。
【0026】
次に、MgドープGa0.8Al0.2Nのp−クラッド層15を成長し、続いて電流ブロック層16としてノンドープGaNの層を0.6μm成長する。更に、表面保護層31としてノンドープIn0.15Ga0.85Nよりなる層を0.2μm成長させる。このとき、表面保護層31は、窒素ガス及びアンモニアガスを主成分とする雰囲気で、900℃以下の温度で成長させる。
【0027】
次に、ウェハを成長装置から取出し、図2(b)に示すように、表面保護層31及び電流ブロック層16の一部を幅5μmのストライプ状に反応性イオンエッチング(RIE)でエッチングして開口部を形成し、p−クラッド層15を露出させる。
【0028】
次に、再びウェハを成長装置に入れ、窒素ガス、アンモニアガスの他に水素ガスを主成分とする雰囲気で、900℃より高い温度に晒すことによって、図2 (c)に示すように表面保護層31を蒸発させ、清浄な電流ブロック層表面を形成する。
【0029】
次に、図3(a)に示すように、電流ブロック層16上及び露出したp−クラッド層15上に、MgドープGaNの厚さ0.8μmのp−埋込み層17と、この埋込み層17より更に高い濃度までMgをドープしたp−GaNの厚さ0.2μmのp−コンタクト層18を順次成長する。
【0030】
次に、ウェハを成長装置から取出し、図3(b)に示すように、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中までRIEで部分的にエッチングし、n側電極21を形成すべきn−コンタクト層12を露出させる。
【0031】
次に、n−コンタクト層12上にTi−Auからなるn側電極21を形成する。また、p−コンタクト層18上に、Pd−Auよりなるp側電極22を、電流ブロック層16のストライプ状の開口部の直上を含み、より広い面積になるように形成する。これにより、前記図1に示す構造が得られる。なお、p側電極22はPt−Au、Ni−Au等でもよい。
【0032】
これ以降は、図4に示すように、サファイア基板10の裏面を80μm以下になるように研磨した後、裏面金属膜35としてTi−Au、Cr−Au等を形成し、裏面からスクライブすることにより、レーザ端面及びチップ化を行い、ダイヤモンド、銅等からなるヒートシンク36にAu−Sn、Pd−Sn、In等の融着金属37を用いてサファイア基板側をヒートシンク36にマウントする。そして、n側電極21、p側電極22のそれぞれにワイヤ38のボンディングを行うことでレーザ素子を得る。
【0033】
以上のようにして得た半導体レーザは420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は80℃で、50℃、3mWの条件で連続100時間以上の動作が確認できた。上記実施の形態において、表面保護層31としてノンドープIn0.15Ga0.85Nよりなる層を形成しなくてもレーザ発振動作は得られるが、最高発振温度は50℃にとどまった。この違いは、表面保護層31を用いることによって、再成長が容易になると共に再成長層の結晶品質を高めることができるためである。
【0034】
本実施の形態の製造方法では、サファイア基板10上にn−コンタクト層12、n−クラッド層13、MQW活性層14、p−クラッド層15、電流ブロック層16及び表面保護層31を形成した後、RIE等により表面保護層31と電流ブロック層16の一部を除去してp−クラッド層15を露出させる。この後、MOCVD法により埋込み層17を形成する直前に、基板温度1100℃に保持し、アンモニアガス、水素ガス、窒素ガスを混合したガス流雰囲気に15分晒すことにより表面保護層31を蒸発させ、電流ブロック層16の清浄な表面を得る。これによって、埋込み層17との界面での欠陥発生が抑制され、これに引き続き積層されるp−コンタクト層18の表面の平坦化が促進される。従って、p−コンタクト層18の表面に形成されるp側電極22との良好なコンタクトが形成され、動作電圧の低い素子を得ることが可能になる。
【0035】
このような効果を更に促進するには、電流ブロック層の表面部を再蒸発しにくいAl組成の高いInGaAlNとし、表面保護層を再蒸発しやすいAl組成の低い、又はAlを含まないInGaAlNとすることで容易に構成することができる。
【0036】
図5は本発明の別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図、図6(a)〜(c)はその製造工程を示す断面図である。
【0037】
本実施の形態が先に説明した図1図示の実施の形態と異なる点は、電流狭窄部の構造と作り方、更にはパッシベーション膜を新たに設けた点にある。
【0038】
図5図示の実施の形態では図1図示の実施の形態と同様に、サファイア基板10上にバッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、MQW活性層14、p−クラッド層15を形成した後に、図6(a)に示すように、p−クラッド層15上に第1の表面保護層51としてノンドープIn0.15Ga0.85Nよりなる層を0.2μm成長させる。続いて、電流ブロック層16としてノンドープGaNの層を0.6μm成長させる。更に、第2の表面保護層52としてノンドープIn0.15Ga0.85Nよりなる層を0.2μm成長させる。このとき、第1及び第2の表面保護層51、52は、窒素ガス及びアンモニアガスを主成分とする雰囲気で、900℃以下の温度で成長させる。
【0039】
次に、ウェハを成長装置から取出し、図6(b)に示すように、第2の表面保護層52及び電流ブロック層16の一部を幅5μmのストライプ状にエッチングして開口部を形成し、第1の表面保護層51を露出させる。
【0040】
次に、再びウェハを成長装置に入れ、窒素ガス、アンモニアガスの他に水素ガスを主成分とする雰囲気で、900℃より高い温度に晒すことによって、図6 (c)に示すように、第1の表面保護層51の前記開口部に露出した部分及び第2の表面保護層52を蒸発させ、清浄なクラッド層表面及び電流ブロック層表面を得る。
【0041】
次に、電流ブロック層16上及び露出したp−クラッド層15上に、MgドープGaNのp−埋込み層17、p−GaNのp−コンタクト層18を順次成長する。その後、ウェハを成長装置から取出し、エッチングによりn側電極21を形成すべきn−コンタクト層12を露出させる。このとき、電流ブロック層16のストライプ状の開口部が、メサの中心よりn側電極21を形成する側になるよう配置することで、n−コンタクト層12を横方向に流れる電流の直列抵抗を低減でき、動作が低減できる。
【0042】
次に、電極コンタクトを形成する開口部を除き、SiOからなるパッシベーション膜55を形成することにより、メサ側面等を流れるリーク電流の低減をはかる。パッシベーション膜55のp側電極22に対する開口部は、電流狭窄のストライプ状の開口部の直上を含み、より広い面積になるように形成する。
【0043】
次に、Ti−Auからなるn側電極21、Pd−Auよりなるp側電極22を形成する。なお、p側電極22はPt−Au、Ni−Au等でもよい。n側電極21、p側電極22は、パッシベーション膜55上に配置し、電流ブロック層16のストライプ状開口部側のメサ側面からそれぞれの電極コンタクト部に対し遠い側に配置するボンディングパッドに連結させる。これによって、ワイヤボンディングのダメージが発光部に及びにくくすることができる。
【0044】
更に、図1図示の実施の形態と同様に、サファイア基板10の裏面研磨、裏面金属膜35の形成、レーザ端面形成及びチップ化を行い、ヒートシンク36に融着金属37を用いてサファイア基板10側をマウントし、n側電極21、p側電極22のそれぞれにワイヤボンディングを行うことでレーザ素子を得る。
【0045】
以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は90℃で、50℃、3mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。
【0046】
図7は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0047】
図7図示の実施の形態が図1図示の実施の形態と異なる点は、電流ブロック層をAlNで形成した点にある。
【0048】
即ち、図7図示の実施の形態では図1図示の実施の形態と同様に、サファイア基板10上に、バッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、MQW活性層14、p−クラッド層15を形成した後、p−クラッド層15上に電流ブロック層62としてノンドープAlNよりなる層を30nm成長させる。更に、図示しない表面保護層として、ノンドープGaNよりなる層を0.1μm成長させる。このとき、表面保護層は、窒素ガス及びアンモニアガスを主成分とする雰囲気で成長させる。
【0049】
次に、ウェハを成長装置から取出し、表面保護層及び電流ブロック層62の一部を幅5μmのストライプ状にエッチングして開口部を形成し、p−クラッド層15を露出させる。次に、再びウェハを成長装置に入れ、表面保護層形成時の雰囲気よりも、相対的に水素ガスが多い、又はアンモニアガスが少ない雰囲気で、少なくとも表面保護層を形成した温度よりも高い温度に晒すことによって、表面保護層を蒸発させ、清浄な電流ブロック層表面を形成する。ここで、AlN等Al組成の高いInGaAlNは再蒸発が起こりにくいこと、電流注入を阻止するための厚さが薄くて良いことから、再成長界面に極端な段差を形成する必要がなく、良好な再成長結晶が得やすい。
【0050】
次に、電流ブロック層62上及び露出したp−クラッド層15上に、MgドープGaNのp−埋込み層17、p−GaNのp−コンタクト層18を図1図示の実施の形態と同様に積層する。
【0051】
このようにして得られたウェハを図1図示の実施の形態と同様にレーザ素子化し、特性評価したところ、420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は90℃で、50℃、3mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。
【0052】
図7図示の実施の形態では、p−クラッド層15と電流ブロック層62との間には表面保護層を設けていない場合を記したが、例えばp−GaN等からなる表面保護層を設けても良いのは勿論である。
【0053】
図8は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0054】
図8図示の実施の形態が図1図示の実施の形態と異なる点は、電流ブロック層を基板側に設けたことにある。
【0055】
即ち、図8図示の実施の形態では図1図示の実施の形態と同様に、サファイア基板上10にMOCVD法により、バッファ層11、n−コンタクト層12を形成した後、n−コンタクト層12上に電流ブロック層64としてノンドープ又はMgをドープしたAlNよりなる層を30nm成長させる。更に、図示しない表面保護層としてノンドープGaNよりなる層を0.1μm成長させる。このとき、表面保護層は、窒素ガス、水素ガス及びアンモニアガスを主成分とする雰囲気で成長させる。
【0056】
次に、ウェハを成長装置から取出し、表面保護層及び電流ブロック層64の一部を幅5μmのストライプ状にエッチングして開口部を形成し、n−コンタクト層12を露出させる。
【0057】
次に、再びウェハを成長装置に入れ、表面保護層形成時の雰囲気よりも、相対的に水素ガスが多い、又はアンモニアガスが少ない雰囲気で、少なくとも表面保護層を形成した温度よりも高い温度に晒すことによって、表面保護層を蒸発させ、清浄な電流ブロック層表面を得る。電流ブロック層は再蒸発が起こりにくく、電流注入を阻止しやすい材料であればAlNでなくても良く、例えばAl組成の高いInGaAlNであればよい。
【0058】
次に、電流ブロック層64上及び露出したn−コンタクト層12上に、SiドープGa0.8Al0.2Nのn−クラッド層13を250nmの膜厚で形成する。続いて、図1図示の実施の形態と同様な周期構造からなる多重量子井戸構造のMQW活性層14を形成する。次に、MgドープGa0.8Al0.2Nのp−クラッド層15を形成する。更に、Mgドープp−GaNからなりる厚さ0.8μmの埋込み層17を成長し、その上に埋込み層17より更に高い濃度までMgをドープしたp−GaNの厚さ0.2μmのp−コンタクト層18を成長する。
【0059】
このようにして得られたウェハを図1図示の実施の形態と同様にレーザ素子化し、特性評価したところ、420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は90℃で、50℃、3mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、屈曲した活性層構造に起因するとみられる、横方向の光ガイド効果により、非点隔差10μm以下と、小さなスポットに絞る上で有利な特性が得られた。
【0060】
図9は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0061】
図9図示の実施の形態は、図1図示の実施の形態の構成に加え、ダブルヘテロ接合構造の基板と反対側にも周期構造を形成したものである。
【0062】
即ち、図1図示の構成に加え、電流ブロック層16及び該電流ブロック層16の開口部に露出するp−クラッド層15とp−埋込み層17との間に、それぞれの層の厚さが10nm以下で、2種類以上の窒化ガリウム系化合物半導体層の繰り返しで構成される周期構造部66が形成される。
【0063】
より具体的には周期構造部66は、共にMgドープのp型結晶で、厚さが共に2.5nmの(クラッド側)GaN/In0.2Ga0.8N(コンタクト側)の50ペアから、または共にMgドープのp型結晶であり、厚さが共に2.5nmの(クラッド側)GaN/Ga0.8Al0.2N(コンタクト側)の50ペアから構成される。
【0064】
このような構成であれば、図1図示の実施の形態で述べたようなMQW活性層14による結晶欠陥の低減効果に加え、周期構造部66によっても結晶欠陥の低減をはかることができる。特に、周期構造部66が電流ブロック層16よりも上層にあるので、電流ブロック層16のエッチングによって生じた欠陥をも低減することができ、コンタクト抵抗の低減に寄与することが可能となる。
【0065】
なお、図1乃至図9を参照して述べた実施の形態においては、周期構造部を活性層中のMQWとしている。しかし、周期構造を形成することでコンタクト層表面が平坦化され、動作電圧低減、高信頼化がはかれる構造であれば、電極コンタクト部から活性層に亘る少なくともいずれかの部分に周期構造が形成されていればよい。また、MQW構造の詳細は、発振波長、動作電流、ノイズ特性等により変化し得るが、コンタクト層表面の平坦化が促進される条件を満たしていればよい。
【0066】
また、電流ブロック層はノンドープの高抵抗層としたが、これに限らず各種の変形が可能である。例えば、Sn、Se、Te、Ge、S等をドープしたn−電流ブロック層を形成し、逆接合により電流狭窄を行ってもよい。更に、Zn、P、Oをドープして深い準位を形成、又はMgをドープしてヘテロ界面による障壁を形成して電流狭窄を行ってもよい。
【0067】
図1乃至図9を参照して述べた実施の形態によれば、電極コンタクト部から活性層に亘る少なくともいずれかの部分に周期構造部を形成することにより、結晶成長時に生じた欠陥等の影響をなくして結晶性の向上をはかることができる。より具体的には、結晶成長時に生じた欠陥は周期構造部を形成することにより埋もれてしまい、結果として結晶品質の向上をはかることができる。このため、活性層におけるキャリアの注入効率の向上をはかると共に、電極コンタクト等での電圧降下を抑制することができ、低しきい値化及び信頼性の向上をはかることが可能となる。
【0068】
また、前述の製造方法においては、再成長の下地となる下地薄膜(例えば電流ブロック層)の上に予め表面保護層を設けておき、下地薄膜に対する所望のエッチング後に表面保護層を気相中の高温放置により再蒸発させて除去する。これにより、下地薄膜の清浄表面を得ることができ、更にこれを大気等に晒すことなく、連続して次の層を成長することができる。従って、その後の再成長を容易にすると共に、再成長層の結晶品質を高めることにつながり、半導体レーザは勿論のこと、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた各種半導体素子の素子特性の向上に寄与することが可能となる。
【0069】
図10は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0070】
図10図示の実施の形態において、サファイア基板10上に、GaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、多重量子井戸(MQW)構造等からなる活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、SiドープGaNの電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16はストライプ状にエッチングされる。
【0071】
電流ブロック層16のエッチングにより露出したp−クラッド層15及び電流ブロック層16上には、MgドープGaNのp−下部電流注入層17、高濃度にMgドープしたp−GaNのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0072】
次に、図10図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細について説明する。
【0073】
まず、サファイア基板10上に、有機金属気相成長法(MOCVD法)等によりGaN、AlN、GaAlN等からなるバッファ層11を10〜200nm程度の膜厚で成長し、その上にSiドープGaNのn−コンタクト層12を4μmの膜厚で形成する。続いて、SiドープGa0.85A10.15Nのn−クラッド層13を300nmの膜厚で形成する。なお、以下では成長方法については述べてないが、全てMOCVD法を用いるものとする。
【0074】
次に、ノンドープGaNからなり、厚さ100nmの光ガイド層、厚さ2nmのノンドープIn0.2Ga0.8N、及び厚さ4nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を10周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、MgドープAl0.2Ga0.8Nからなり、厚さ40nmのp−キャップ層、そしてMgドープGaNからなり、厚さ100nmのp−光ガイド層、を積層成長してなる活性層14を形成する。
【0075】
次に、MgドープGa0.85Al0.15Nのp−クラッド層15を300nmの膜厚で形成し、続いて、電流ブロック層16としてSiドープGaNよりなる層を1.5μm成長させる。
【0076】
次に、ウエハを成長装置から取り出し、電流ブロック層16の一部を幅3μmのストライプ状に反応性イオンエッチング(RIE)でエッチングして開口部を形成し、p−クラッド層15を露出させる。
【0077】
次に、再びウエハを成長装置に入れ、電流ブロック層16上及び露出したp−クラッド層15上に、Mgドープp−GaNからなり、厚さ800nmのp−下部電流注入層17、高濃度にMgドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。
【0078】
次に、ウエハを成長装置から取り出し、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中までRIEで部分的にエッチングし、n側電極を形成すべきn−コンタクト層を露出させる。
【0079】
次に、n−コンタクト層12上にAl−Ti−Auからなるn側電極21を形成する。また、p−コンタクト層18上に、Pt−Ti−Pt−Auよりなるp側電極22を、電流ブロック層のストライプ状の開口部の直上を含み、より広い面積になるように形成する。これにより、図10に示す構造が得られる。
【0080】
以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は100℃で、50℃、3mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。
【0081】
このような素子特性が得られるための構成要件としては、電流ブロック層16の厚さをTA、p−クラッド層15の厚さ(電流ブロック層16と活性層14との間のp−層の厚さ)TB、p−下部電流注入層17及びp−上部電流注入層18の厚さの総和即ち電流注入層の厚さ(電流ブロック層16と電極22との間のp−層の厚さ)をTCとすると、それぞれの厚さの関係が、
TB<TA     …(1)
TC<TA     …(2)
TB<TC     …(3)
を満足するように設定されることにある。
【0082】
図10図示の実施の形態では、電流ブロック層16の厚さをp−クラッド層15の厚さ即ち電流ブロック層と活性層14との距離よりも厚くしておくこと、電流ブロック層16の厚さを電流注入層の厚さよりも厚くしておくこと、電流注入層の厚さを電流ブロック層16と活性層14との距離よりも厚くすることとしている。しかし、これらの厚さの関係は、少なくともどれか一つが成り立つことのような条件であっても良好な電流狭窄効果が得られた。また、これらの構成要件のうち、複数、あるいはすべてが満たされることによって、その素子特性を与える効果はより大きくなった。
【0083】
更に上述の効果は、
2TB<TA    …(4)
とすることによって、後述するメモリ効果によるp型不純物混入を、更に抑制することができるため、更に良好な電流狭窄効果が得られた。ただし、電流ブロック層16の厚さが、電流ブロック層16と活性層14との距離の10倍よりも厚くなると、電流ブロック層16の開口部を制御性よく形成することが困難になり、歩留まりが低下した。
【0084】
また、上述の効果は
1.2TC<TA    …(5)
とすることによって、拡散によるp型不純物混入を更に抑制することができるため、更に良好な電流狭窄効果が得られた。ただし、電流ブロック層16の厚さが、電流注入層の厚さの2倍よりも厚くなると、電流注入層を電流ブロック層16の開口部に形成する部分での結晶性が十分得られず、電流注入層上部に形成される電極コンタクトが不十分となり動作電圧の増加を引き起こした。
【0085】
更に、
1.7TB<TC<5TB    …(6)
とすることが望ましい。ここで、電流注入層の厚さがp−クラッド層15の厚さに対して、上記の範囲よりも大きくなると、直列抵抗が増大して動作電圧が増加し、逆に上記の範囲よりも小さくなると、光の閉じ込めが不十分になる。
【0086】
なお、図10図示の実施の形態では、活性層はMQWを有するものについて記載したが、単一の量子井戸(SQW)や量子効果のない厚膜層、あるいは量子効果のない層をバンドギャップの大きな層で隔てて複数積層したような構造であってもよい。
【0087】
また、活性層と電流ブロック層の間にp−クラッド層以外のp−層を挿入した場合は、同p−層の厚さをp−クラッド層15の厚さTBの一部として考慮して、上述の条件を満足するように設定する。
【0088】
図11は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。図12は、図11図示の実施の形態の電流狭窄部周辺の不純物ドーピングのプロファイルを示す。
【0089】
図11図示の実施の形態において、サファイア基板10上に、バッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、活性層14、p−クラッド層15、SiドープGaNの電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16はストライプ状にエッチングされる。
【0090】
電流ブロック層16のエッチングにより露出したp−クラッド層15及び電流ブロック層16上には、p−下部電流注入層17、p−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0091】
次に、図11図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細を特に電流ブロック層16の周辺について説明する。
【0092】
活性層14上にMgを3×1019cm−3ドープしたp−Ga0.85Al0.15Nのp−クラッド層15を300nmの膜厚で形成し、続いて、電流ブロック層16としてSiを3×1018cm−3ドープしたGaNよりなる電流ブロック層16を1.5μm成長させる。次に、ウエハを成長装置から取り出し、電流ブロック層16の一部を幅3μmのストライプ状に反応性イオンエッチング(RIE)でエッチングして開口部を形成し、p−クラッド15を露出させる。次に、再びウエハを成長装置に入れ、電流ブロック層16上及び露出したp−クラッド層15上に、Mgを3×1019cm−3ドープしたp−GaNからなり、厚さ800nmのp−下部電流注入層17、Mgを8×1019cm−3ドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。次に、図10図示の実施の形態と同様の電極形成プロセスを経て、図11に示す構造が得られる。
【0093】
電流ブロック層16内には、図11に示すように、p型または高抵抗のi型を示す領域16a、n型を示す領域16b、p型または高抵抗のi型を示す領域16cが形成される。p型または高抵抗のi型を示す領域16aは、電流ブロック層16とその下層であるp−クラッド層15の界面に近接して形成される。また、p型または高抵抗のi型を示す領域16cは、電流ブロック層16とp−下部電流注入層17の界面に近接して形成される。この構造は、後述する効果、及び拡散効果を活用して電流ブロック層にp型不純物であるMgを所望のプロファイルになるように混入させることにより形成することができる。なお、領域16a、16cの典型的な厚さはそれぞれ600nm、200nm程度である。
【0094】
電流ブロック層16とその下層のp−層の界面、あるいは電流ブロック層16とp−電流注入層の界面には微小な穴等の欠陥が発生しやすい。これら界面とpn接合面が略等しく位置すると、pn接合面に存在する欠陥が引き起こす発生再結合による無効電流を発生する原因となり、電流狭窄性が阻害される。これに対し、図11図示の実施の形態のように電流ブロック層内におけるpn接合面と結晶層の界面とを積極的にずらすことにより、pn接合面に存在する欠陥が引き起こす発生再結合による無効電流が低減される。これにより、低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。特に本実施の形態に示したように、Alを含む結晶層に接して、電流ブロック層を形成する場合は、界面近傍の電流ブロック層に欠陥が生成しやすく、本発明の効果は顕著に現れる。
【0095】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は120℃、50℃、3mWの条件で連続3000時間以上の動作が確認できた。
【0096】
図11図示の実施の形態に示したn型でない領域は、欠陥が発生しやすい電流ブロック層とその下層の界面、及び電流ブロック層とp−電流注入層の界面の両方に設けている。しかし、どちらか一方の界面のみに形成されていても効果がある。また、n型でない領域は、電流ブロック層以外の層を形成する際に用いたMg等のp型不純物を混入することで形成される。しかし、p型不純物を意図的に電流ブロック層形成中にドーピングすることによって形成してもよい。
【0097】
図13は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0098】
図13図示の実施の形態において、サファイア基板10上に、バッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、活性層14、第1p−クラッド層15、電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16はストライプ状にエッチングされる。
【0099】
電流ブロック層16のエッチングにより露出した第1p−クラッド層15及び電流ブロック層16上には、p−下部電流注入層(第2p−クラッド層)17、p−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0100】
次に、図13図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細を特に電流ブロック層16の周辺について説明する。
【0101】
活性層14は、ノンドープGaNからなり、厚さ100nmの光ガイド層、厚さ2nmのノンドープIn0.2Ga0.8N、及び厚さ4nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を10周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、MgドープAl0.2Ga0.8Nからなり、厚さ40nmのp−キャップ層、そしてMgドープGaNからなり、厚さ100nmのp−光ガイド層、を積層成長してなる。活性層14上にはMgドープGa0.85Al0.15Nの第1p−クラッド層15を100nmの膜厚で形成し、次に、SiドープGa0.8Al0.2Nの電流ブロック層を300nm成長させる。電流ブロック層16を3μm幅のストライプ状にエッチングした後、MgドープGa0.85Al0.15Nの第2p−クラッド層17を300nm形成する。次に、Mgを高濃度にドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。次に、図10図示の実施の形態と同様の電極形成プロセスを経て、図13に示す構造が得られる。
【0102】
図13図示の実施の形態に示す構造では、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分に相当する第2p−クラッド層17が、活性層14の発光波長420nmに対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有している。更に、第2p−クラッド層17の屈折率は電流ブロック層16の屈折率より大きい。
【0103】
これにより、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で高い光の導波機構が形成でき、基本横モードを安定化し、光の吸収損失、回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することができた。
【0104】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は120℃で、50℃、5mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、その非点隔差は3μm以下と小さな値が得られた。
【0105】
図13図示の実施の形態においては、第1p−クラッド層15及び第2p−クラッド層17を同じ材料で形成することにより、略等しい屈折率の層になるようにしてある。しかし、本発明の骨子である電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分が、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップであると共に、その屈折率が電流ブロック層より大きいことを満たしていれば同様の効果が得られる。
【0106】
図14は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0107】
図14図示の実施の形態において、サファイア基板10上に、バッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、活性層14、第1p−クラッド層15、電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16はストライプ状にエッチングされる。
【0108】
電流ブロック層16のエッチングにより露出した第1p−クラッド層15及び電流ブロック層16上には、p−下部電流注入層(第2p−クラッド層)17、p−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0109】
次に、図14図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細を特に電流ブロック層16の周辺について説明する。
【0110】
活性層14は、ノンドープGaNからなり、厚さ100nmの光ガイド層、厚さ2nmのノンドープIn0.2Ga0.8N、及び厚さ4nmのノンドープIn0. 05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を10周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、MgドープAl0.2Ga0.8Nからなり、厚さ40nmのp−キャップ層、そしてMgドープGaNからなり、厚さ100nmのp−光ガイド層、を積層成長してなる。活性層14上にはMgドープGa0.85Al0.15Nの第1p−クラッド層15を100nmの膜厚で形成し、次に、SiドープGa0.85Al0.15Nの電流ブロック層を300nm成長させる。電流ブロック層16を3μm幅のストライプ状にエッチングした後、MgドープGa0.9Al0.1Nの第2p−クラッド層17を300nm形成する。次に、Mgを高濃度にドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。次に、図10図示の実施の形態と同様の電極形成プロセスを経て、図14に示す構造が得られる。
【0111】
図14図示の実施の形態に示す構造では、電流ブロック層16が、活性層14の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有している。更に、電流ブロック層16の屈折率は、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分に相当する第2p−クラッド層17の屈折率より大きい。
【0112】
これにより、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で低い光の導波機構が形成でき、基本横モードを安定化し、光の吸収損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することができた。
【0113】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は100℃で、50℃、5mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、その非点隔差は3μm以下と小さな値が得られた。
【0114】
図14図示の実施の形態においては、第1p−クラッド層15及び電流ブロック層16を導電型の異なる同じ材料で形成することにより、略等しい屈折率の層になるようにしてある。しかし、本発明の骨子である電流ブロック層が、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップであると共に、その屈折率が、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分より大きいことを満たしていれば同様の効果が得られる。
【0115】
図15は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0116】
図15図示の実施の形態において、サファイア基板10上に、バッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、活性層14、第1p−クラッド層15、電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16はストライプ状にエッチングされる。
【0117】
電流ブロック層16のエッチングにより露出した第1p−クラッド層15及び電流ブロック層16上には、p−下部電流注入層(第2p−クラッド層)17、p−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0118】
次に、図15図示の実施の形態の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細を特に電流ブロック層16の周辺について説明する。
【0119】
活性層14は、ノンドープGaNからなり厚さ100nmの光ガイド層、厚さ2nmのノンドープIn0.2Ga0.8N、及び厚さ4nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を10周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、MgドープAl0.2Ga0.8Nからなり、厚さ40nmのp−キャップ層、そしてMgドープGaNからなり、厚さ100nmのp−光ガイド層、を積層成長してなる。活性層14上にはMgドープp−Ga0.85Al0.15Nの第1p−クラッド層15を100nmの膜厚で形成し、次に、SiドープIn0.25Ga0.75Nの電流ブロック層を300nm成長させる。電流ブロック層16を3μm幅のストライプ状にエッチングした後、MgドープGa0.85Al0.15Nの第2p−クラッド層17を300nm形成する。次に、Mgを高濃度にドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。次に、図10図示の実施の形態と同様の電極形成プロセスを経て、図15に示す構造が得られる。
【0120】
図15図示の実施の形態に示す構造では、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分に相当する第2p−クラッド層17のバンドギャップが、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きい。更に、電流ブロック層16のバンドギャップが、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより小さい。
【0121】
これにより、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で高い光の導波機構が形成できると共に、高次横モードに対しての吸収損失を大きくすることができるので、基本横モードを安定化し、光の回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することができた。
【0122】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は100℃で、50℃、7mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、その非点隔差は7μm以下と小さな値が得られた。
【0123】
図15図示の実施の形態においては、第1p−クラッド層15及び第2p−クラッド層17を同じ材料で形成することにより、略等しい屈折率の層になるようにしてある。しかし、本発明の骨子である電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分のバンドギャップが活性層の発光波長に対するバンドギャップより大きく、電流ブロック層のバンドギャップが、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより小さいことを満たしていれば同様の効果が得られる。
【0124】
図16は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0125】
図16図示の実施の形態において、サファイア基板10上にバッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、活性層14、p−クラッド層15、電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16及びp−クラッド層15はストライプ状にエッチングされ、その断面形状はV字状になっている。
【0126】
電流ブロック層16及びp−クラッド層15のエッチングにより露出したp−クラッド層15のV溝部及び電流ブロック層16上には、p−下部電流注入層17、p−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0127】
次に、図16図示の実施の形態の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細を特に電流ブロック層16の周辺について説明する。
【0128】
活性層は、ノンドープGaNからなり厚さ100nmの光ガイド層、厚さ2nmのノンドープIn0.2Ga0.8N、及び厚さ4nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を10周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、MgドープAl0.2Ga0.8Nからなり、厚さ40nmのp−キャップ層、そしてMgドープGaNからなり、厚さ100nmのp−光ガイド層、を積層成長してなる。活性層14上にはMgドープGa0.85Al0.15Nのp−クラッド層15を300nmの膜厚で形成し、次に、SiをドープしたGaNの電流ブロック層を1.5μm形成する。電流ブロック層16を2μm幅のストライプ状にエッチングすることにより、p−クラッド層15に達するV字状の溝部を形成した後、MgドープGaNのp−下部電流注入層17を800nm形成する。次に、Mgを高濃度にドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。次に、図10図示の実施の形態と同様の電極形成プロセスを経て、図16に示す構造が得られる。
【0129】
図16図示の実施の形態に示す構造では、p−下部電流注入層17を、ストライプ状の開口部において、電流注入層と活性層14に挟まれたp−クラッド層15に形成された溝部に接するように形成している。また、この溝部の形状をV字型にしているところに特徴がある。
【0130】
これにより、電流をストライプ中央部に集中させることが可能になり、電流広がりによる無効な電流を抑制することができた。更に、p−下部電流注入層17の抵抗率を、p−クラッド層15の抵抗率よりも低くすることが、より顕著な無効電流狭窄効果をもたらしていると考えられる。この場合、同時にV字溝の埋め込む材料の屈折率がp−クラッド層の屈折率よりも高いことから、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部のV字部分で高い光の導波機構が形成でき、基本横モードを安定化し、光の吸収損失、回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することができた。
【0131】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は110℃で、50℃、3mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、その非点隔差は7μm以下と小さな値が得られた。
【0132】
図16図示の実施の形態では、p−下部電流注入層17として、p−クラッド層15より屈折率の高い層を用いている。しかし、p−クラッド層15より抵抗率が低くければ、必ずしも屈折率の高い層ばかりでなく、略等しい屈折率を持つ材料や、屈折率の低い材料を用いてもよい。
【0133】
図17は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0134】
図17図示の実施の形態において、サファイア基板10上に、バッファ層11、n−コンタクト層12、n−クラッド層13、活性層14、p−クラッド層15、電流ブロック層16が積層形成され、電流ブロック層16及びp−クラッド層15はストライプ状にエッチングされ、その断面形状は溝底部で平坦になっている。
【0135】
電流ブロック層16及びp−クラッド層15のエッチングにより露出したp−クラッド層15の溝部及び電流ブロック層16上には、p−下部電流注入層17、p−上部電流注入層(p−コンタクト層)18が積層される。そして、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中まで部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が形成され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が形成される。
【0136】
次に、図17図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法及びその構造の詳細を特に電流ブロック層16の周辺について説明する。
【0137】
活性層は、ノンドープGaNからなり厚さ100nmの光ガイド層、厚さ2nmのノンドープIn0.2Ga0.8N、及び厚さ4nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaAlN層を10周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、MgドープAl0.2Ga0.8Nからなり、厚さ40nmのp−キャップ層、そしてMgドープGaNからなり、厚さ100nmのp−光ガイド層、を積層成長してなる。活性層14上にはMgドープGa0.85Al0.15Nのp−クラッド層15を300nmの膜厚で形成し、次に、SiドープGaNの電流ブロック層を1.5μm形成する。電流ブロック層16を3μm幅のストライプ状にエッチングすることにより、p−クラッド層15に達し、その断面形状が溝底部で平坦になっている溝部を形成した後、MgドープGaNのp−下部電流注入層17を800nm形成する。次に、Mgを高濃度にドープしたp−GaNからなり、厚さ200nmのp−上部電流注入層(p−コンタクト層)18を積層する。次に、図10図示の実施の形態と同様の電極形成プロセスを経て、図17に示す構造が得られる。
【0138】
図17図示の実施の形態に示す構造では、p−下部電流注入層17を、ストライプ状の開口部において、電流注入層と活性層14に挟まれたp−クラッド層15に形成された溝部に接するように形成している。また、この溝部の形状をその断面形状が溝底部で平坦になるようにしているところに特徴がある。
【0139】
これにより、電流注入の幅、光の導波機構の幅を略一致させることができる。これは非点隔差の小さなレーザを作るのに有効である。溝を埋め込む材料の屈折率がp−クラッド層の屈折率よりも高いことから、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で高い光の導波機構が形成でき、基本横モードを安定化し、光の吸収損失、回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することができた。
【0140】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は110℃で、50℃、5mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、その非点隔差は5μm以下と小さな値が得られた。
【0141】
図17図示の実施の形態では、p−下部電流注入層17として、p−クラッド層15より屈折率の高いGaNを用いているが、図18に示すようにp−クラッド層15と同等、あるいは低い屈折率を持つ第2p−クラッド層17a等を用いてもよい。
【0142】
図19は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。図19図示の実施の形態は、p−クラッド層に形成される溝部が、2段階になっており、溝部の幅をストライプ状の開口部の幅より狭くなっている点のみで、図17図示の実施の形態と相違する。
【0143】
このような構成にすることにより、電流注入の幅を光の導波機構の幅より狭くすることができる。これは活性層の電流注入される部分の両脇の非注入部分での吸収の発生を促し、過飽和吸収体とすることにより、セルフパルセーションを起こす低ノイズレーザとするのに有効である。
【0144】
実際、以上のようにして得たレーザ素子は420nmの波長で室温連続発振し、連続動作の最高温度は90℃で、50℃、5mWの条件で連続1000時間以上の動作が確認できた。また、その非点隔差は7μm以下と小さな値が得られた。またセルフパルセーションを起こす低ノイズの特性が得られた。
【0145】
図19図示の実施の形態では、p−下部電流注入層として、p−クラッド層より屈折率の高い層を用いている。しかし、p−クラッド層15より抵抗率が低くければ、必ずしも屈折率の高い層ばかりでなく、略等しい屈折率を持つ材料や、屈折率の低い材料を用いても構わない。
【0146】
図10乃至図19図示の実施の形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0147】
従来の電流ブロック層にストライプ開口を有する半導体レーザ素子では、Si等のn型不純物をドープし、Mg等のp型不純物を意図的にはドープせずに形成する電流ブロック層の結晶成長中に、Mg等のp型不純物原料が電流ブロック層結晶中に取り込まれるという現象が見られる。これは、電流ブロック層と活性層との間に位置するクラッド層等を形成する際にドープするMg等のp型不純物原料が結晶成長装置の反応炉内壁、配管等に付着し、これが、電流ブロック層の結晶成長中に、Mg等のp型不純物原料が結晶成長装置の反応炉内壁、配管等から脱離するためのと考えられる(メモリ効果)。
【0148】
また、電流ブロック層と活性層との間に位置するクラッド層等、あるいは電流ブロック層上に形成する電流注入層にドープしたMg等の不純物が、結晶成長や、素子構造形成プロセスを行う間の熱処理により、電流ブロック層に拡散する。これらの影響により、電流ブロック層は意図しない不純物が入り込んだ結晶性の低いものとならざるを得ない。特に、本来n型にすることにより良好な電流狭窄性をいたらしめる電流ブロック層が、p型不純物の混入によりn型でなくなり、電流狭窄性が損なわれ、無効な電流を発生していた。また、混入するp型不純物よりも多量なn型不純物をドープすることで、n型を保持しようとすると、大量のn型ドーピングにより結晶性が損なわれ、無効電流の原因となっていた。
【0149】
これに対して本発明によれば、図10図示の実施の形態において述べたように、電流ブロック層の厚さを、電流ブロック層と活性層との間のp−層の厚さよりも厚くすることにより上記の問題を解消することができる。即ち、この構造により、上述のような影響で意図的にはドーブしないp型不純物が電流ブロック層に混入しても、少なくとも一部にn型領域を残すことができるため電流狭窄効果が向上する。これはメモリ効果による反応炉や配管に付着/脱離する不純物原料の量が、層を形成する時間即ち層の厚さに依存して増えることを考慮したものである。電流ブロック層と活性層との間のp−層の厚さにしたがって電流ブロック層の厚さを厚くすることにより、少なくとも一部にn型領域を残すことができる。これにより、無効電流が低減され、低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。
【0150】
更に、本発明によれば、電流ブロック層の厚さを、電流ブロック層と活性層の距離の2倍よりも厚くすることにより、メモリ効果によるp型不純物混入を更に抑制することができる。このため、n型ドーピング量を過剰に多くすることなく、良好な電流狭窄効果が得られ、さらなる低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。ただし、電流ブロック層の厚さが、電流ブロック層と活性層との距離の10倍よりも厚くなると、電流ブロック層の開口部を制御性よく形成することが困難になり、歩留まりが低下することから、実質的な厚さの上限があることになる。
【0151】
また、本発明によれば、電流ブロック層の厚さを、電流注入層の厚さよりも厚くすることにより、意図的にはドープしないp型不純物が電流注入層形成中に電流ブロック層へ拡散により混入しても、少なくとも一部にn型領域を残すことができるため電流狭窄効果が向上する。これは拡散するp型不純物の量が、電流注入層を形成する時間即ち厚さに依存して増えるため、それにしたがって電流ブロック層の厚さを厚くすることにより、少なくとも一部にn型領域を残すことができることによる。これにより、無効電流が低減され、低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。
【0152】
更に、本発明によれば、電流ブロック層の厚さを、電流注入層の厚さの1.2倍よりも厚くすることにより、拡散によるp型不純物混入を更に抑制することができる。このため、n型ドーピング量を過剰に多くすることなく、良好な電流狭窄効果が得られ、さらなる低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。ただし、電流ブロック層の厚さが、電流注入層の厚さの2倍よりも厚くなると、電流注入層を電流ブロック層の開口部に形成する部分での結晶性が十分得られず、電流注入層上部に形成される電極コンタクトが不十分となり動作電圧の増加を引き起こすことから、実質的な厚さの上限があることになる。
【0153】
また本発明によれば、電流注入層の厚さは、電流ブロック層と活性層との距離よりも厚くすることにより、素子化プロセスにおける熱処理で電流ブロック層と活性層との間に位置するクラッド層の歪みが緩和し、結晶中にクラック(ひび割れ)を発生することを防ぐことができる。このため、良好な電流狭窄効果が得られ、低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。ただし、電流注入層の厚さは、電流ブロック層と活性層との距離の1.7倍から5倍の間の大きさであることが望ましい。ここで、電流注入層の厚さが電流ブロック層と活性層との距離(p−クラッド層の厚さ)に対して、上記の範囲よりも大きくなると、直列抵抗が増大して動作電圧が増加し、逆に上記の範囲よりも小さくなると、光の閉じ込めが不十分になる。
【0154】
一方、従来の電流ブロック層にストライプ開口を有する窒化ガリウム系半導体レーザ素子では、n−電流ブロック層とその下層のp−層の界面、あるいは電流ブロック層とp−電流注入層との界面には微小な穴等の欠陥が発生しやすい。これらの層の界面とpn接合面とが略等しく位置するため、pn接合面に存在する欠陥が引き起こす発生結合による無効電流を発生する原因となり、電流狭窄性を阻害する要因となっていた。
【0155】
これに対し本発明によれば、Si等のn型の不純物がドープされた電流ブロック層内に少なくともn型でない領域を形成し、pn接合面と結晶層の界面を積極的にずらす。これにより、pn接合界面に存在する欠陥が引き起こす発生再結合による無効電流が低減され、低しきい値化、低電圧化、及び信頼性の向上をはかることが可能となる。
【0156】
上記n型でない領域は、欠陥が発生しやすい電流ブロック層とその下層の界面、あるいは電流ブロック層とp型の電流注入層の界面、あるいはその両方に設けることが望ましい。また、上記n型でない領域は、Mg等のp型不純物が添加され、低濃度のp型、あるいは高抵抗のi型に形成されることが望ましい。また、そのキャリア濃度プロファイルは、連続的に変化することにより、電界が局所的に集中せず、無効電流を更に抑制することができる。
【0157】
他方、従来の電流ブロック層にストライプ開口を有する窒化ガリウム系半導体レーザ素子では、接合に平行方向の実効的な屈折率が一定で、光の導波機構や、基本横モードの安定化機構が形成されていない。このため高次横モードが発生したり、吸収損失、回折損失によるしきい電流の増加や、導波される光波面の湾曲による大きな非点隔差等が生じ、光ディスク用のレーザとして不可欠な特性を実現することが困難であった。
【0158】
これに対し本発明によれば、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分を、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップとすると共に、電流ブロック層より大きな屈折率とすることができる。これにより、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で高い光の導波機構が形成でき、基本横モードを安定化し、光の吸収損失、回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することが可能となる。
【0159】
また、上述の構造では、電流注入層と活性層の間にあるクラッド層の屈折率と、電流ブロック層の屈折率、あるいは、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分の屈折率を略等しくすることができる。これにより、屈折率の微妙な違いを制御する必要がなくなり、製造が容易になり、再現性、歩留まりの高い半導体レーザを提供することができる。
【0160】
また、本発明によれば、電流ブロック層を、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップとすると共に、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分より大きな屈折率とすることができる。これにより、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で低い光の導波機構が形成でき、基本横モードを安定化し、光の吸収損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することが可能となる。
【0161】
上述の構造においても、電流注入層と活性層の間にあるクラッド層の屈折率と、電流ブロック層の屈折率、あるいは、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分の屈折率を略等しくすることにより、屈折率の微妙な違いを制御する必要がなくなり、製造が容易になり、再現性、歩留まりの高い半導体レーザを提供することができる。
【0162】
また、本発明によれば、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分のバンドギャップを、活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きくすると共に、電流ブロック層のバンドギャップを活性層の発光波長に対応するバンドギャップより小さくすることができる。これにより、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入されるストライプ状の開口部で高い光の導波機構が形成できると共に、高次横モードに対しての吸収損失を大きくすることができる。このため、基本横モードを安定化し、光の回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することが可能となる。
【0163】
他方、従来の電流ブロック層にストライプ開口を有する窒化ガリウム系半導体レーザ素子では、活性層と電流ブロック層の間に形成されるクラッド層等の厚さが接合方向に均一であることから、電流の広がりにより、発振に寄与しない無効な電流を生じるという問題があった。
【0164】
これに対し、本発明によれば、電流注入層を、ストライプ状の開口部において、電流注入層と活性層に挟まれたクラッド層に形成された溝部に接するように形成することにより、電流をストライプ中央部に集中させることが可能になり、電流広がりによる無効な電流を抑制することが可能となる。このような構造は電流注入層の少なくともクラッド層溝部に接する部分の抵抗率をクラッド層の抵抗率よりも低くすることにより顕著に行うことが可能となる。
【0165】
また、上述の構造において、電流注入層の少なくとも活性層に近接する部分の屈折率を、クラッド層の屈折率より大きくする、あるいは小さくすることによって、接合に平行方向の実効的な屈折率が電流注入される部分において高い、あるいは低い光の導波機構が形成できる。これにより、基本横モードを安定化し、光の吸収損失や回折損失によるしきい電流の増加を抑えると共に、導波される光の波面を平坦にし、光ディスク用のレーザとして不可欠な小さな非点隔差を実現することが可能となる。
【0166】
また、上述の構造において、クラッド層に形成される溝部の形状を制御することにより、電流注入の幅、光の導波機構の幅を個別に制御することが可能となる。クラッド層の溝部をV字状にすることによって、中央に電流を集中させることができる。これはしきい電流低いレーザを作るのに有効である。また、クラッド層の溝部の底部を平坦とすることによって、電流注入の幅、光の導波機構の幅を略一致させることができる。これは非点隔差の小さなレーザを作るのに有効である。また、クラッド層の溝部の幅をストライプ状の開口部の幅より狭くすることにより、電流注入の幅を光の導波機構の幅より狭くすることができる。これは活性層の電流注入される部分の両脇の非注入部分での吸収の発生を促し、過飽和吸収体とすることにより、セルフパルセーションを起こす低ノイズレーザとするのに有効である。
【0167】
図20は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。この実施の形態は、電流狭窄構造の開口部において、開口部の側壁と、電流ブロック層16と電流注入層(層17+層18)との界面とが、45°から90°の角度をなすことを特徴とする。図20図示の半導体レーザの製造方法の実施例について、図21(a)〜(c)及び図22
(a)〜(c)を参照して説明する。
【0168】
まず、サファイア基板10上に有機金属気相成長法(MOCVD法)によりGaNのバッファ層11を10〜200nm程度の膜厚で成長し、その上にSiドープGaNのn−コンタクト層12を4μmの膜厚で成長した。続いてSiドープGa0.8Al0.2Nのn−クラッド層13を250nmの膜厚で成長した。次に、ノンドープのGaNの厚さ200nmの光ガイド層、厚さ1.5nmのノンドープIn0.25Ga0.75N及び厚さ3nmのノンドープIn0.05Ga0.95Nの2種類のInGaN層を50周期繰り返して構成される多重量子井戸(MQW)構造、そしてノンドープGaNの厚さ200nmの光ガイド層を積層成長してなるMQW活性層14を形成した。次に、MgドープGa0.8Al0.2Nのp−クラッド層15を成長し、続いて厚さ0.6μmのMgドープGaNのp−エッチングストップ層72、SiドープGaNのn−電流ブロック層16を厚さ1.0μmを順次積層した(図21(a))。
【0169】
次に、図21(b)図示の如く、電流ブロック層16上に無機材料層74として熱CVD法によりSiO膜を400nm堆積した。引き続きレジスト層(AZ4330)76を厚さ3μm塗布し、光露光プロセスにより、ストライプパターンを転写した。次に、現像後ウエハを150℃の窒素雰囲気のオーブンに20分間入れレジストの硬化処理を行った。
【0170】
この処理において、温度が高いほどレジストは硬化し、ドライエッチング時のプラズマ耐性が増加した。100℃以上でプラズマ耐性の上昇が見られた。また、温度が高い方では、250℃以上では、エッチング後のレジストの剥離が困難となった。このため、実質的には100℃から250℃の範囲での処理が有効であった。
【0171】
現像直後はレジスト層76の側壁はレジスト層76と電流ブロック層16との界面に対してほぼ垂直であるが、このレジスト硬化処理により、レジストのリフロー現象が生じ、図21(c)図示の如く、レジスト層76のマスクの側壁にテーパ78を形成することができた。このような、レジストの側壁のテーパにより、ドライエッチング時にスパッタリングによりレジスト層76の後退が生じた。その結果、図22(a)図示の如く、窒化ガリウム系化合物半導体エッチング部の側壁にテーパ79を形成することができた。なお、テーパ79の角度はレジストの硬化処理時の温度とレジスト層76及び無機材料層74の厚さとで制御することができる。
【0172】
以上のように形成した無機材料層74及びレジスト層76の2層のマスクを用いて、電流ブロック層16の一部を塩素ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、ストライプ状にエッチングストップ層72が露出するまでエッチングした。電流ブロック層16のエッチング条件は、塩素圧力0.4mTorr、マイクロ波パワー200W、イオン加速電圧500Vとした。この結果、幅5μm、深さ1.7μmで、エッチング側壁の電流ブロック層とマスクとの界面とのなす角度が約50°の開口部が作製できた。
【0173】
ドライエッチングの後にウエハを硫酸:過水:水の混合液、次に弗酸中で処理し、図22(b)図示の如く、エッチングマスクを除去した。更に、100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸した後、純水でリンスした。
【0174】
以上に述べた処理の後に、図22(c)図示の如く、MgドープGaNの第1p−コンタクト層17を1.0μm、及び第1p−コンタクト層17よりも更に高い濃度までMgをドープしたp−GaNの第2p−コンタクト層17を0.2μm、MOCVDにより再成長した。
【0175】
次に、電流ブロック層16の開口部のストライプから外れた位置で、同ストライプと平行にn−コンタクト層12まで再びRIBEにより部分的にエッチングした。これにより、ダブルヘテロ構造及び電流狭窄構造を有するメサを形成すると共に、その横にn−コンタクト層12を吐出部を形成した。次に、露出したn−コンタクト層12の表面にn側電極21を形成し、p−コンタクト層18の表面にp側電極22を形成した。更に素子分離工程を行い、図20図示の窒化ガリウム系半導体レーザ素子を作製した。
【0176】
図23にp−コンタクト層(第1及び第2p−コンタクト層17、18を1つの層として見たもの、以下同じ)再成長後の開口部周辺の走査電子顕微鏡写真図を示す。図示の如く、再成長後の表面は良好な平坦性であった。また、再成長層と電流ブロック層の開口部底面との界面、及び再成長層と電流ブロック層の側面との界面における結晶性の劣化は観察されなかった。
【0177】
この製造方法によれば、電流ブロック層16の開口部の側壁と電流ブロック層16の上面とp−コンタクト層との界面とのなす角度θ(図21(c))を制御することができる。しかし、この角度が小さ過ぎる場合には、ドライエッチング時のマスクの後退が著しくなるため、電流ブロック層16の開口部の幅の制御が困難となる。また、図24に示すように、n−GaN電流ブロック層16中へは、第1回目の結晶成長中あるいは再成長工程中にp−GaNエッチングストップ層72やp−GaNコンタクト層からのMgの拡散が生じると共に、成長中の反応管周辺のMgの汚染に起因するn−GaN層16中へのMgの取り込まれがある。このため、n−GaN層16とp−GaN層界面にはi−GaNあるいは、p−GaNの領域が形成されており、実効的な厚さが薄くなっている。このため、電流ブロック層16の開口部の側壁と電流ブロック層16の上面とコンタクト層との界面とのなす角度が小さい場合には、電流狭窄効果を示しうるn−GaN電流ブロック層16の開口部の幅が広くなってしまうと共に、幅の制御性も悪くなる。従って、実用的な角度としては、45°以上が良い。
【0178】
図25(a)〜(c)及び図26(a)〜(c)は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法の実施例を示す図である。
【0179】
電流狭窄効果を高めるためには、電流ブロック層16の開口部の幅を3μm以下まで狭くする必要がある。このような狭い開口部を得るためには、レジスト層76のパターン側壁の角度を垂直に近くし、ドライエッチングにより形成される電流ブロック層の開口部の側壁も垂直に近くする必要がある。
【0180】
まず、図21(a)を参照して説明したものと同じ工程により、n−GaN電流ブロック層16までの積層構造を成長した(図25(a))。次に、図25 (b)図示の如く、n−GaN電流ブロック層にSiO層74を熱CVDにより0.4μm堆積した。引き続きレジスト層(AZ4330)76を厚さ3μm塗布した。その後、ウエハを250℃の窒素雰囲気のオーブンに20分間入れレジストの硬化処理を行った。
【0181】
その後、TiまたはAl層82を100〜200nm電子ビーム蒸着装置により蒸着した。更にレジスト層(AZ4110)84を厚さ1μm塗布し、光露光プロセスにより、ストライプパターンをレジスト層84に転写した(図25(c))。現像後、塩素ガスを用いた反応性イオンビームエッチングによりTiまたはAl層82をエッチングし、ストライプパターンを作製した(図26(a))。更に、酸素ガスを用いたRIBEにより、TiまたはAl層82をマスクとして、レジスト層76をエッチングしストライプパターンを転写した(図26(b))。
【0182】
この工程により、ほぼ垂直の側壁を有するレジスト層76を作製することができた。レジスト層76は既に250℃でレジストの硬化処理を行っているため、塩素プラズマに対する耐性は良好であった。SiO層74を選択的にエッチング除去した後、レジスト層76及びSiO層74の二層マスクにより電流ブロック層16の開口部のエッチングを行った。その結果、幅1μmで垂直な側壁を有する電流ブロック層16の開口部が作製できた。
【0183】
図20乃至図26を参照して述べた実施の形態によれば、次のような効果を得ることができる。まず、再成長するコンタクト層17が薄くても、電流ブロック層16の開口部を平坦に埋め込むことができる。また、電流ブロック層16の開口部の底面と再成長コンタクト層17との界面及び開口部側面と再成長コンタクト層17との界面での結晶性の劣化を抑制することができる。従って、これらの界面でのリーク電流を抑制することができ、電流の狭窄及び活性層への均一な電流注入を行うことができる。このため、低しきい値化及び信頼性の向上をはかることが可能となる。したがって、光ディスク等への実用に供する高い信頼性を有する窒化ガリウム系化合物半導体レーザを実現することが可能となる。
【0184】
図27(a)〜(c)は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法の実施例を示す図である。なお、この実施例の製造方法は、図21(a)〜(c)及び図22(a)〜(c)を参照して説明したものと実質的に同じであるため、その概略のみを説明する。
【0185】
まず、サファイア基板10上に、GaNの10〜200nm程度の膜厚のバッファ層11、Siドープn−GaNの4μmの膜厚のn−コンタクト層12、Siドープn−Ga0.8Al0.2Nの250nmの膜厚のn−クラッド層13、多層構造のMQW活性層14、MgドープGa0.8Al0.2Nのp−クラッド層15、MgドープGaNの厚さ0.6μmのp−エッチングストップ層72、SiドープGaNの厚さ1.0μmのn−電流ブロック層16を順次積層した(図27(a))。
【0186】
次に、電流ブロック層16上に厚さ400nmのSiO無機材料層74及び厚さ3μmのレジスト層(AZ4330)76を形成した。光露光プロセスにより、レジスト層76にストライプパターンを転写した後、現像後ウエハを150℃の窒素雰囲気のオーブンに20分間入れレジストの硬化処理を行った。このレジスト硬化処理により、レジストのリフロー現象が生じ、レジスト層76の側壁にはテーパを形成することができた。
【0187】
窒化ガリウム系化合物半導体のエッチングでは、レジストマスクとの選択比がほぼ1と小さい。このため、レジスト層76のマスクの側壁にテーパがある場合には、エッチングにともなうマスク後退のために、窒化ガリウム系化合物半導体のエッチング部の側壁へテーパを形成することができる。このテーパの角度はレジストの硬化処理時の温度とレジスト層76及び無機材料層74の厚さとで制御することができる。なお、無機マスク層はSiOである必要はなくSiNxを用いてもよい。
【0188】
以上のように形成した無機材料層74及びレジスト層76の2層のマスクを用いて、電流ブロック層16の一部を塩素ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、ストライプ状にエッチングストップ層72が露出するまでエッチングした。この結果、幅5μm、深さ1.7μmで、エッチング側壁の電流ブロック層とマスクとの界面とのなす角度が約50°の開口部77が作製できた(図27(b))。
【0189】
ドライエッチングの後にウエハを硫酸:過水:水の混合液、次に弗酸中で処理し、エッチングマスクを除去した。更に100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸した後、純水でリンスした。100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸すことにより、開口部77及び電流ブロック層16表面を約4nmエッチングし、ドライエッチングによるエッチング残さや結晶中のダメージ層を除去した。この処理によるモホロジーの劣化は無く、後述するように良好な埋め込みが可能であった。
【0190】
通常GaNのエッチャントとしては、KOHやNaOHが知られているが、これらを用いたエッチングでは例えば、M.S.Minskyら(Appl.Phys.Lett.Vol.68 No.11(1996)p.1531)の報告に見られるように、モホロジーの劣化が顕著であり、良好な再成長は不可能であると考えられる。また、本発明で用いたHNO:HCl=3:1溶液は、S.J.Peartonら(Materials Science and Engineering B31(1995)p.309)に報告されるように、従来GaNをエッチングしないと言われている。
【0191】
これに対して、本発明は、HNO:HCl=3:1溶液を100℃以上に加熱することにより、GaNが約0.13nm/minのエッチング速度でエッチングされることを見出し、窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造工程に適用したものである。これにより、モホロジーの劣化が無く、かつ微小なエッチング量の制御が可能であり、再成長工程においても、界面のホモロジーの荒れに起因するような、界面での転位の導入、再成長層表面のモホロジーの荒れ等は観察されなかった。
【0192】
以上に述べた処理の後に、図27(c)図示の如く、MgドープGaNのp−の第1コンタクト層17、及び第1コンタクト層17よりも更に高い濃度までMgをドープしたp−GaNの第2コンタクト層18をMOCVDにより再成長した。
【0193】
次に、n−コンタクト層12まで再びRIBEにより部分的にエッチングし、ダブルヘテロ構造及び電流狭窄構造を有するメサを形成すると共に、その横にn−コンタクト層12を吐出部を形成した。次に、露出したn−コンタクト層12の表面にn側電極21を形成し、p−コンタクト層18の表面にp側電極22を形成した。更に素子分離工程を行い、図20図示の窒化ガリウム系半導体レーザ素子を作製した。
【0194】
図23にp−コンタクト層(第1及び第2コンタクト層17、18を1つの層として見たもの、以下同じ)再成長後の開口部周辺の走査電子顕微鏡写真図を示す。図示の如く、再成長後の表面は良好な平坦性であった。
【0195】
図28(a)は、p−コンタクト層の再成長後における開口部77周辺の拡大図である。図28(b)は、ドライエッチングで形成した開口部77の上部の幅W1と再成長後のp−コンタクト層表面の溝の深さd4との関係を、開口部77の深さd1を変数として示す図である。即ち、図28(b)は、開口部77の幅W1及び深さd1に対する、p−コンタクト層表面の平坦性の依存性を示す。
【0196】
再成長するコンタクト層の厚さd2が1.2μmの場合、開口部77の深さd1が2.3μmでは開口部77の幅W1が5μm以下で平坦に埋め込まれ、また深さd1が1.6μmでは幅W1が7.5μm以下で平坦に埋め込まれた。即ち、開口部の幅W1が狭い場合には、開口部の深さd1よりも薄い再成長層の厚さにおいても平坦に埋め込むことが可能であった。一方、開口部の幅W1が広い場合には、再成長後の表面にV字型の溝(深さd4)が形成され、平坦には埋め込まれなかった。
【0197】
開口部77を再成長層で平坦に埋め込むには、開口部77における再成長層の成長速度が、非開口部における成長速度より大きく、非開口部のウエハに垂直方向にd2だけ成長する間に、開口部77の体積に相当する部分が余分に埋め込まれる必要がある。窒化ガリウム系化合物半導体のMOCVDでは、表面拡散の寄与が大きいため、原料が表面拡散により非開口部から開口部へ供給される。また、電流ブロック層16の開口部側壁部への原料の取り込まれの速さは、電流ブロック層16の上面に比べ速い。例えば、再成長コンタクト層の厚さd2が1.2μmで、開口部の深さd1が1.6μmの場合、開口部77側壁における横方向への成長が約4.5μm生じた。即ち、開口部77における方が非開口部におけるよりも成長速度が速く、この成長速度の差により電流ブロック層の開口部の体積に相当する部分を補うことができれば、平坦に埋め込むことが可能である。
【0198】
ここで、更に、開口部77の下部の幅をW2、開口部77のストライプの長さをLとすると、コンタクト層を厚さd2だけ成長する間に、電流ブロック層の開口部では約2×(4.5×1.6)×d2/1.2×Lだけ非開口部よりも余分に埋め込まれる。電流ブロック層の開口部の断面を台形で近似すると、開口部の体積は(W1+W2)×d1/2×Lとなる。従って、
12×d2×L≧(w1+w2)×d1/2×L
であり、即ち、
(W1+W2)×d1/d2≦24    …(11)
を満たせば、平滑に埋め込むことができる。この式で、d2即ちp−コンタクト層を厚くすれば、必ず平坦な埋め込みが可能となる。しかし、コンタクト層、即ちp−GaN層は抵抗が大きいため、あまり厚くし過ぎれば、素子抵抗を上げることとなり、電流狭窄構造のデバイス特性を打ち消して、逆に劣化させることとなる。従って、p−GaNコンタクト層の厚さd2は電流ブロック層16の開口部77の深さ以下とするのが望ましい。即ち、
d2≦d1    …(12)
を満たすのが望ましい。
【0199】
図27(a)〜(c)を参照して説明した実施の形態によれば、電流ブロック層16の開口部77を、p−コンタクト層を厚くすることなく、完全に平坦に埋め込む事ができるため、素子抵抗の上昇を招くことがない。また、電流ブロック層16による効果的な電流の狭窄効果が得られるため、活性層14への電流の均一で効率的な注入が可能となる。
【0200】
図29は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。図29図示の半導体レーザの製造方法の実施例について、図30(a)〜(c)を参照して説明する。
【0201】
この実施の形態が、図27(a)〜(c)の実施の形態と異なる点は、電流ブロック層16の開口部77の形成におけるエッチングストップ層72としてInGaNを用いたことである。この実施の形態の途中の工程までは、図27(a)〜(c)の実施の形態と同じであるために詳細は省略する。
【0202】
本実施の形態では、p−クラッド層15の上にノンドープIn0.15Ga0.85Nよりなるエッチングストップ層72を0.2μm成長させ、続いてn−GaN電流ブロック層16を1.5μm成長させた(図30(a))。
【0203】
その後、SiO層74を熱CVD法により0.3μm堆積させ、レジスト層76を塗布した。光露光及び現像を行い、ストライプパターンを形成した。次に窒素雰囲気のオーブン中で150℃に加熱し、レジストの硬化処理を行った。引き続き反応性イオンビームエッチングにより、電流ブロック層16の一部をノンドープIn0.15Ga0.85Nよりなるエッチングストップ層72が露出するまでエッチングし開口部77を形成した。その後、ウエハを硫酸:過水:水の混合液、次に弗酸中に浸け、エッチングマスクであるレジスト層76及びSiO層74を除去した(図30(b))。
【0204】
次に、再び成長装置内に入れ、窒素ガス、アンモニアガスの他に水素ガスを主成分とする雰囲気で、900℃より高い温度に晒すことにより、エッチングストップ層72であるIn0.15Ga0.85N層を蒸発させ、清浄なp−クラッド層15表面及び電流ブロック層表面を得た。次に、電流ブロック層16上及び露出したp−クラッド層15上に、MgドープGaNの第1p−コンタクト層17及びp−GaNの第2p−コンタクト層18を順次成長した(図30(c))。その後は、図27(a)〜(c)の製造方法と同じ工程を行い、図29図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザを作製した。
【0205】
この製造方法において、開口部77における電流ブロック層16上部からp−クラッド層15の上部までの距離をd1、再成長するp−コンタクト層(層17+層18)の厚さをd2、開口部77の上部の幅をW1、下部の幅をW2とすると、
(W1+W2)×d1/d2≦24    …(11)
を満たすように電流ブロック層16の開口部77を設計することにより、平滑に埋め込むことができる。また、素子抵抗の低減のためにはp−GaNコンタクト層の厚みを薄くする必要があり、開口部77の深さ以下とするのが望ましい。即ち、
d2≦d1    …(12)
を満たすのが望ましい。
【0206】
図29、図30(a)〜(c)を参照して説明した実施の形態によれば、ドライエッチングにより損傷を受けるInGaNエッチングストップ層72を除去するため、清浄な界面が得られ、界面でのリーク電流の低減を図ることができる。また、p−クラッド層15の上に、p−GaNコンタクト層を直接作製できるため、電流ブロック層の開口部でのp−GaNの実効的な厚さを薄くでき、素子抵抗を低減することができる。
【0207】
図31は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。図31図示の半導体レーザの製造方法の実施例について、図32(a)〜(c)を参照して説明する。
【0208】
この実施の形態が、図27(a)〜(c)の実施の形態と異なる点は、電流ブロック層16の開口部77の形成におけるエッチングストップ層72がないことである。この実施の形態の途中の工程までは、図27(a)〜(c)の実施の形態と同じであるために詳細は省略する。
【0209】
本実施の形態では、p−クラッド層15の上に直接n−GaN電流ブロック層16を1.5μm成長させた(図32(a))。
【0210】
その後、SiO層74を熱CVD法により0.3μm堆積させ、レジスト層76を塗布した。光露光及び現像を行い、ストライプパターンを形成した。次に窒素雰囲気のオーブン中で150℃に加熱し、レジストの硬化処理を行った。引き続き反応性イオンビームエッチングにより、電流ブロック層16の一部をp−クラッド層15が露出するまでエッチングし開口部77を形成した。その後、ウエハを硫酸:過水:水の混合液、次に弗酸中に浸け、エッチングマスクであるレジスト層76及びSiO層74を除去した(図32(b))。
【0211】
更に、100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸した後、純水でリンスした。100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸すことにより、開口部及び電流ブロック層表面を約4nmエッチングし、ドライエッチングによるエッチング残さや結晶中のダメージ層を除去した。
【0212】
次に、再び成長装置内に入れ、電流ブロック層16上及び露出したp−クラッド層15上に、MgドープGaNの第1p−コンタクト層17及びp−GaNの第2p−コンタクト層18を順次成長した(図32(c))。その後は、図27(a)〜(c)の製造方法と同じ工程を行い、図31図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザを作製した。
【0213】
この製造方法において、電流ブロック層16の開口部77の深さd1は、電流ブロック層16の厚さと同じになる。再成長するp−コンタクト層(層17+層18)の厚さをd2、開口部77の上部の幅をW1、下部の幅をW2とすると、
(W1+W2)×d1/d2≦24    …(11)
を満たすように電流ブロック層16の開口部77を設計することにより、平滑に埋め込むことができる。また、素子抵抗の低減のためにはp−GaNコンタクト層の厚みを薄くする必要があり、開口部77の深さ以下とするのが望ましい。即ち、
d2≦d1    …(12)
を満たすのが望ましい。
【0214】
図31、図32(a)〜(c)を参照して説明した実施の形態によれば、p−クラッド層15と電流ブロック層16との界面でのドライエッチングを停止させる必要があり、プロセスの面では困難な点もある。しかし、pクラッド層15のオーバエッチング分を見込んだ設計とすることにより、光の閉じ込め効率等を犠牲にすることは抑制できる。また、p−クラッド層15の上に、p−GaNコンタクト層を直接作製できるため、電流ブロック層16の開口部77でのp−GaNの実効的な厚さを薄くでき、素子抵抗を低減することができる。
【0215】
図33は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0216】
この実施の形態は、電流ブロック層16の開口部77の上部のコンタクト層表面に、V字型の溝86を形成することを特徴とする。このため、電流ブロック層16の開口部77の深さをd1、再成長するコンタクト層(層17+層18)の厚さをd2、開口部77の上部の幅をW1、下部の幅をW2とすると、
24<(W1+W2)×d1/d2    …(13)
を満たすように電流ブロック層の開口部を設計すれば、開口部上部のコンタクト層表面にはV字型の溝が形成される。また、素子抵抗の低減のためにはp−GaNコンタクト層の厚みを薄くする必要があり、開口部77の深さ以下とするのが望ましい。即ち、
d2≦d1    …(12)
を満たすのが望ましい。
【0217】
次に、図33図示の半導体レーザの製造方法の実施例について、図34(a)〜(c)を参照して説明する。なお、この実施の形態の途中の工程までは、図27(a)〜(c)の実施の形態と同じであるために詳細は省略する。
【0218】
まず、MOCVDによりn−GaN電流ブロック層16まで成長させた(図34(a))。
【0219】
その後、SiO層74を熱CVD法により0.3μm堆積させ、レジスト層76を塗布した。光露光及び現像を行い、ストライプパターンを形成した。次に窒素雰囲気のオーブン中で150℃に加熱し、レジストの硬化処理を行った。引き続き反応性イオンビームエッチングにより、電流ブロック層16の一部をp−GaNエッチングストップ層72が露出するまでエッチングし開口部77を形成した。その後、ウエハを硫酸:過水:水の混合液、次に弗酸中に浸け、エッチングマスクであるレジスト層76及びSiO層74を除去した(図34(b))。
【0220】
更に、100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸した後、純水でリンスした。100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に30分間浸すことにより、開口部及び電流ブロック層表面を約4nmエッチングし、ドライエッチングによるエッチング残さや結晶中のダメージ層を除去した。
【0221】
次に、再び成長装置内に入れ、電流ブロック層16上及び露出したp−GaNエッチングストップ層72上に、MgドープGaNの第1p−コンタクト層17及びp−GaNの第2p−コンタクト層18を順次成長した(図34(c))。その後は、図27(a)〜(c)の製造方法と同じ工程を行い、図33図示の窒化ガリウム系化合物半導体レーザを作製した。
【0222】
本実施の形態において、電流ブロック層16の開口部77の幅W1を12μm、深さd1を2.3μmとし、p−GaNコンタクト層(層17+層18)の厚さd2を1.2μmで再成長した。その結果、図35の走査電子顕微鏡写真図に示すように、電流ブロック層16の開口部77の上部のp−GaNコンタクト層の表面に幅4μm、深さ2μmのV字型の溝86を形成することができた。
【0223】
また、V字型の溝86を覆うようにp側の電極22を形成したところ、溝86の側面と電極22とのコンタクト抵抗は、コンタクト層表面でのコンタクト抵抗より低くなり、素子抵抗の低減を図ることができた。また、注入電流についても、溝底部からの注入が最も大きくなるような分布を持たせることができるため、電流ブロック層のみの狭窄効果よりも更に効率的な電流狭窄効果が期待できる。
【0224】
図34(a)〜(c)の実施の形態おいては、エッチングストップ層72としてp−GaNを用いた場合について説明したが、他の実施の形態のように、エッチングストップ層72としてInGaNを用いたり、エッチングストップ層72を用いない場合でも本実施の形態は適用できる。図36は、エッチングストップ層72としてInGaNを用いた場合の完成素子構造を示し、図37はエッチングストップ層72を用いない場合の完成素子構造を示す。
【0225】
次に、図38乃至図42を参照して、本発明の更に別の実施の形態について説明する。これらの実施の形態は、Mgドープした六方晶のp型半導体層の少なくとも一部に、酸素(O)を導入(イオン注入または拡散)することにより同一平面内にp領域とi領域とが混在する構造を形成することを特徴とする。
【0226】
GaN等のIII族窒化物化合物半導体は、材料として固いため、ドライエッチングを利用して加工を行なっている。この時に、反応性ガスにより活性層等の半導体層がダメージを受けるという問題がある。そこで、これらの実施の形態では、Mgドープp型半導体層の一部にOを導入することにより、同p型層内にMgOを形成する。これにより、エッチング、再成長等の過程を踏むことなく同一平面内にp領域とi領域とが混在する構造を作ることができる。
【0227】
典型的には、後述するようにMgドープGaAlNのp−クラッド層15やMgドープGaNのp−コンタクト層92(層17+層18)の一部にOを導入することにより、高抵抗の電流ブロック層93、94を形成すれば、電流狭窄構造を作ることができる。このようにして形成した電流ブロック層93、94は、MgOを含むため、元の層に対して屈折率差が現れ、光閉じ込めに関しても効果を示す。そのため、発振しきい値の低く、モードが制御された半導体レーザ装置が得られる。
【0228】
図38図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばサファイア基板10上に、アンドープGaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、及びMgドープ低抵抗GaNのp−コンタクト層92が順に積層される。活性層14は、アンドープGaNの光ガイド層14a、InGaN/InGaNの量子井戸層14b、及びp−GaNの光ガイド層14cの積層構造を有する。
【0229】
MgドープGaNのp−コンタクト層92には、部分的にOがイオン注入され、且つ熱処理が施されることにより、高抵抗GaNの電流ブロック層94が形成される。電流ブロック層94は3μmの幅のストライプ状の開口部を有し、これにより電流狭窄構造が作られる。また、p−コンタクト層92からn−コンタクト層12の途中までが部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層92の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0230】
図39図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばSiC基板90上に、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、図38図示の実施の形態と同じ構造の活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、及びMgドープ低抵抗GaNのp−コンタクト層92が順に積層される。
【0231】
MgドープGaAlNのp−クラッド層15及びMgドープGaNのp−コンタクト層92には、部分的にOがイオン注入され、且つ熱処理が施されることにより、高抵抗GaAlNの電流ブロック層93及び高抵抗GaNの電流ブロック層94が形成される。電流ブロック層93、94は3μmの幅のストライプ状の開口部を有し、これにより電流狭窄構造が作られる。また、p−コンタクト層92からn−コンタクト層12の途中までが部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層92の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0232】
図40図示の実施の形態は、図39図示の実施の形態と類似するが、n側電極21がSiCからなる基板90の裏面に配設される。
【0233】
図41図示の実施の形態は、図38図示の実施の形態と類似するが、GaN電流ブロック層94が、p−クラッド層15とp−コンタクト層92との界面まで延びている。
【0234】
図42図示の実施の形態は、図39及び図41図示の2つの実施の形態が組合わされたもので、基板としてサファイア基板10が使用される。MgドープGaAlNのp−クラッド層15及びMgドープGaNのp−コンタクト層92には、部分的にOがイオン注入され、且つ熱処理が施されることにより、高抵抗GaAlNの電流ブロック層93及び高抵抗GaNの電流ブロック層94が形成される。
【0235】
次に、図43乃至図46を参照して、本発明の更に別の実施の形態について説明する。これらの実施の形態は、Alを構成元素として含む六方晶の半導体層の少なくとも一部に、酸素(O)を導入(イオン注入または拡散)することにより、同一平面内に低抵抗領域と高抵抗領域とが混在する構造を形成することを特徴とする。
【0236】
GaN等のIII族窒化物化合物半導体は、材料として固いため、ドライエッチングを利用して加工を行なっている。このため、微細加工を必要とするような素子構造を作りにくいという問題がある。そこで、これらの実施の形態では、Alを構成元素として含む半導体層の一部にOを導入することにより、同層内にAlを形成する。これにより、エッチング、再成長等の過程を踏むことなく同一平面内に低抵抗領域と高抵抗領域とが混在する構造を作ることができる。特に面型の素子では、微小共振器内に更に、屈折率差と電流狭窄とを導入することが可能となり、性能を大きく向上させ、たとえば、レーザでは発振しきい値の大幅な低減が期待できる。
【0237】
典型的には、後述するように、GaAlNのn−及びp−クラッド層13、15等の層の一部にOを導入することにより、高抵抗の電流ブロック層106を形成すれば、電流狭窄構造を作ることができる。このようにして形成した電流ブロック層106は、Alを含むため、層中もっとも屈折率の低い部分となり、光閉じ込めに関しても効果を示す。そのため、発振しきい値の低く、モードが制御された半導体レーザ装置が得られる。
【0238】
図43図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばサファイア基板10上に、アンドープGaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、GaN/GaAlNのn−反射鏡層102、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、GaN/GaAlNのp−反射鏡層104、及びMgドープ低抵抗GaNのp−コンタクト層92が順に積層される。活性層14は、アンドープGaNの光ガイド層14a、InGaN/InGaNの量子井戸層14b、及びp−GaN層14cの積層構造を有する。
【0239】
n−及びp−クラッド層13、15とn−及びp−反射鏡層102、104とには、部分的にOがイオン注入されることにより、Alを含む高抵抗の電流ブロック層106が形成される。電流ブロック層106は直径3μmの電流注入領域の外周部に形成され、これにより電流狭窄構造が作られる。また、p−コンタクト層92からn−コンタクト層12の途中までが部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層92の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザは、積層方向に光を出射するいわゆる面発光型のレーザとなり、そのしきい値は、0.3kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0240】
図44図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばSiC基板90上に、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、図43図示の実施の形態と同じ構造の活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、Mgドープ低抵抗GaNのp−コンタクト層92が順に積層される。基板90は部分的に裏面からエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面及びp−コンタクト層92の上面の上にSiO/TiO反射鏡層108、108がそれぞれ配設される。
【0241】
n−及びp−クラッド層13、15には、部分的にOがイオン注入されることにより、Alを含む高抵抗の電流ブロック層106が形成される。電流ブロック層106は直径3μmの電流注入領域の外周部に形成され、これにより電流狭窄構造が作られる。また、SiC基板90の裏面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層92の上面にはp側電極22が配設される。この構造の面発光型レーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0242】
図45図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばサファイア基板10上に、アンドープGaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、図43図示の実施の形態と同じ構造の活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、及びMgドープ低抵抗GaNのp−コンタクト層92が順に積層される。
【0243】
p−クラッド層15には、部分的にOがイオン注入されることにより、Alを含む高抵抗の電流ブロック層106が形成される。電流ブロック層106は3μmの幅のストライプ状の開口部を有し、これにより電流狭窄構造が作られる。また、p−コンタクト層92からn−コンタクト層12の途中までが部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層92の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0244】
図46図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、例えばn型GaAs基板110上に、AlGaAs/AlGaAs/AlAs/AlGaAs/AlGaAsのn−DBR(Distributed Bragg Reflector)層112、AlGaAsのn−クラッド層113、活性層114、AlGaAsのp−クラッド層115、AlGaAs/AlGaAs/AlAs/AlGaAs/AlGaAsのp−DBR層117、GaAsのp−コンタクト層118が順に積層される。活性層114は、アンドープGaAsの光ガイド層114a、AlGaAs/GaAsの量子井戸層114b、及びp−GaAsの光ガイド層114cの積層構造を有する。
【0245】
p−クラッド層115及びp−DBR層117には、部分的にOがイオン注入されることにより、Alを含む高抵抗の電流ブロック層116が形成される。電流ブロック層116は直径3μmの電流注入領域の外周部に形成され、これにより電流狭窄構造が作られる。また、GaAs基板110の裏面にはn側電極121が配設され、p−コンタクト層118の上面にはp側電極122が配設される。この構造の面発光型レーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0246】
次に、図47乃至図50を参照して、本発明の更に別の実施の形態について説明する。これらの実施の形態は、六方晶の半導体層の少なくとも一部に、不純物を導入することにより同一平面内にp領域、n領域、及びi領域のいずれか2つが混在する構造を形成することを特徴とする。
【0247】
GaN等のIII族窒化物化合物半導体は、材料として固いため、ドライエッチングを利用して加工を行なっている。この時に、反応性ガスにより活性層等の半導体層がダメージを受けるという問題がある。そこで、これらの実施の形態では、半導体層の少なくとも一部に不純物を導入する。これにより、エッチング、再成長等の過程を踏むことなく同一平面内にp領域、n領域、及びi領域のいずれか2つが混在する構造を作ることができる。これにより、例えば、電流狭窄構造、電極引出し部等を形成することが可能となる。
【0248】
また、Mgドープp型半導体層においては、温度上昇と共にキャリアが増大する。これに対して、不純物を導入(イオン注入または拡散)して発熱層を設けることにより、動作時に局所的に熱を発生させることができるため、発振しきい値の低い半導体レーザ装置が得られる。また、発熱層を用いることにより、十分なキャリアが生成され、特に紫外域の受光に適する受光素子が可能となる。
【0249】
図47図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばサファイア基板10上に、アンドープGaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、活性層14、及びMgドープGaAlNのp−クラッド層15が順に積層される。活性層14は、アンドープGaNの光ガイド層14a、InGaN/InGaNの量子井戸層14b、及びp−GaNの光ガイド層14cの積層構造を有する。
【0250】
p−クラッド層15上には、低抵抗GaNのp−層131、高抵抗GaNの電流ブロック層132、高抵抗GaNのp−層133、GaNのp−層134、GaNのp−コンタクト層135が順に積層される。電流ブロック層132は3μmの幅のストライプ状の開口部を有し、これにより電流狭窄構造が作られる。
【0251】
p−コンタクト層135からn−クラッド層13を超えてn−コンタクト層12に至るように、部分的にSiが不純物としてイオン注入され、低抵抗のn−電極引出し層136が形成される。n−電極引出し層136の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層135の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0252】
図48図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばサファイア基板10上に、アンドープGaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、図47図示の実施の形態と同じ構造の活性層14、MgドープGaAlNのp−クラッド層15、MgドープGaNのp−電流注入層17、及びMgドープ低抵抗GaNのp−コンタクト層18が順に積層される。
【0253】
p−電流注入層17には、部分的にSiがイオン注入されることにより、高抵抗GaNの電流ブロック層137が形成される。電流ブロック層137は3μmの幅のストライプ状の開口部を有し、これにより電流狭窄構造が作られる。また、p−コンタクト層18からn−コンタクト層12の途中までが部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層12の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層18の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0254】
図49図示の実施の形態の半導体レーザにおいては、六方晶の基板、例えばサファイア基板10上に、アンドープGaNのバッファ層11、SiドープGaNのn−コンタクト層12、SiドープGaAlNのn−クラッド層13、図47図示の実施の形態と同じ構造の活性層14、及びMgドープGaAlNのp−クラッド層15が順に積層される。
【0255】
p−クラッド層15上には、低抵抗GaNのp−層141、低抵抗GaNのp−層144、及びGaNのp−コンタクト層145が順に積層される。低抵抗GaNのp−層141内には、部分的にSiが不純物として拡散導入されることにより、高抵抗GaNの電流ブロック層142が形成される。電流ブロック層142は3μmの幅のストライプ状の開口部を有し、これにより電流狭窄構造が作られる。また、低抵抗GaNのp−層141の表面内には、全面的にSiが不純物として拡散導入されることにより、高抵抗GaNのp−層143が形成される。
【0256】
p−コンタクト層145からn−クラッド層13を超えてn−コンタクト層12に至るように、部分的にSiが不純物としてイオン注入され、低抵抗のn−電極引出し層146が形成される。n−電極引出し層146の表面にはn側電極21が配設され、p−コンタクト層135の表面にはp側電極22が配設される。この構造のレーザのしきい値は、1kA/cmであり、従来の1/5以下となっている。
【0257】
図50図示の実施の形態の半導体受光素子においては、六方晶の基板、例えばサファイア基板150上に、アンドープGaNのバッファ層151、GaNのn−コンタクト層152、低抵抗GaNのp−層154、及びGaNのp−コンタクト層156が順次積層される。n−コンタクト層152の表面内に部分的に不純物を導入することにより、高抵抗GaNの電流ブロック層153が形成される。p−層154の表面内に不純物を導入することにより、高抵抗GaNの発熱層155が形成される。
【0258】
また、p−コンタクト層156からn−コンタクト層152の途中までが部分的にエッチングされ、露出したn−コンタクト層152の表面にはn側電極157が配設され、p−コンタクト層156の表面にはp側電極158が配設される。この構造によれば、発熱層155により、動作時に局所的に熱を発生させることができるため、十分なキャリアを供給することができる。
【0259】
なお、以上説明した実施の形態では具体的な材料、組成、厚さ等を示しているが、これらは、本発明の主旨に沿う範囲で変更することができる。特に、窒化ガリウム系化合物半導体としては、InGaAlN(x+y+z=1、0≦x、y、z≦1)の組成式の範囲で種々変更することができる。また、支持基板としては、サファイア基板の他、SiC、GaAs、Si、GaN、AlN、MgO、GaP、MgAl等を使用することができる。
【0260】
また、以上説明した実施の形態では主として半導体レーザに適用した例を説明したが、本発明は半導体レーザに限らず、窒化ガリウム系化合物半導体材料を用いた各種の半導体素子に適用することも可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0261】
【発明の効果】
本発明によれば、活性層へのキャリア注入を効率的に行うと共に、電極コンタクト等での電圧降下を抑制することができ、光ディスク等への実用に供する低しきい値、低電圧で動作し、高い信頼性を有する窒化ガリウム系化合物半導体レーザを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図2】(a)〜(c)は、図1図示の半導体レーザの製造方法の前半を示す断面図。
【図3】(a)、(b)は、図1図示の半導体レーザの製造方法の後半を示す断面図。
【図4】図1図示の半導体レーザのマウント状態を示す断面図。
【図5】本発明の別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図6】(a)〜(c)は、図5図示の半導体レーザの製造方法を示す断面図。
【図7】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図8】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図9】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図10】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図11】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図12】図11図示の半導体レーザの電流ブロック層付近における不純物濃度プロファイルを示す図。
【図13】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図14】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図15】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図16】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図17】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図18】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図19】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図20】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図21】(a)〜(c)は、図20図示の半導体レーザの製造方法の前半を示す断面図。
【図22】(a)〜(c)は、図20図示の半導体レーザの製造方法の後半を示す断面図。
【図23】図20図示の半導体レーザにおいて、p−コンタクト層を再成長した後の開口部周辺を示す走査電子顕微鏡写真図。
【図24】図20図示の半導体レーザの開口部周辺を示す拡大断面図。
【図25】(a)〜(c)は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法の前半を示す断面図。
【図26】(a)〜(c)は、図25(a)〜(c)に続く、半導体レーザの製造方法の後半を示す断面図。
【図27】(a)〜(c)は、本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法の前半を示す断面図。
【図28】(a)は、図27(a)〜(c)図示の半導体レーザにおいて、p−コンタクト層を再成長した後の開口部周辺を示す拡大断面図、(b)は、開口部の上部の幅とp−コンタクト層表面の溝の深さとの関係を、開口部の深さを変数として示すグラフ。
【図29】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図30】(a)〜(c)は、図29図示の半導体レーザの製造方法を示す断面図。
【図31】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図32】(a)〜(c)は、図31図示の半導体レーザの製造方法を示す断面図。
【図33】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図34】(a)〜(c)は、図33図示の半導体レーザの製造方法を示す断面図。
【図35】図33図示の半導体レーザにおいて、p−コンタクト層を再成長すると共に電極を形成した後の開口部周辺を示す走査電子顕微鏡写真図。
【図36】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図37】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図38】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図39】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図40】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図41】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図42】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図43】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図44】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図45】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図46】本発明の更に別の実施の形態に係るガリウム砒素系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図47】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図48】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図49】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図50】本発明の更に別の実施の形態に係る窒化ガリウム系化合物半導体受光素子の素子構造を示す断面図。
【符号の説明】
10…サファイア基板、11…ノンドープGaNバッファ層、12…n−GaNコンタクト層、13…n−GaAlNクラッド層、14…MQW活性層、15…p−GaAlNクラッド層、16…GaN電流ブロック層、17…p−GaN埋込み層、18…p−GaNコンタクト層、21…n側電極、22…p側電極、31、51、52…InGaN表面保護層、35…裏面金属膜、36…ヒートシンク、37…融着金属、55…パッシベーション膜、62、64…AlN電流ブロック層、66…周期構造部、72…エッチングストップ層、74…SiO層、76…レジスト層、77…開口部、82…TiまたはAl層、84…レジスト層、90…SiC基板、92…p−GaNコンタクト層(電流注入層)、93、94、106、116、132、137、142…電流ブロック層、136、146…電極引出し層。

Claims (14)

  1. 活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    を具備する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法であって、
    支持基板上に前記ダブルヘテロ構造を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜上に前記電流ブロック層と表面保護層とを積層する工程と、
    前記表面保護層及び前記電流ブロック層の一部をエッチングしてストライプ状の前記開口部を形成する工程と、
    前記表面保護層を気相中の高温放置による結晶の再蒸発によって除去した後、前記開口部内及び前記電流ブロック層上に前記電流注入層を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法。
  2. 活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    を具備する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法であって、
    支持基板上に前記ダブルヘテロ構造を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜上に前記電流ブロック層を形成する工程と、
    前記電流ブロック層の一部をドライエッチングしてストライプ状の前記開口部を形成する工程と、
    前記支持基板、前記積層膜、及び前記電流ブロック層を100℃以上に加熱したHNO:HCl=3:1の溶液中に漬けた後、前記開口部内及び前記電流ブロック層上に前記電流注入層を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法。
  3. 活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    を具備する窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法であって、
    支持基板上に前記ダブルヘテロ構造を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜上に前記電流注入層を形成する工程と、
    前記第2クラッド層及び前記電流注入層のいずれか一方または双方からなる被選択層に部分的に不純物を導入し、ストライプ状の前記開口部を有する前記電流ブロック層を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法。
  4. 前記被選択層がMg及びAlのいずれか一方または双方を含有し、前記不純物がOであることを特徴とする請求項3に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザの製造方法。
  5. 2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    前記電流ブロック層の厚さをTA、前記開口部内を除く前記電流注入層の厚さをTCとした時、TC<TAの条件を満足することと、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  6. 前記開口部の上方で前記電流注入層の表面にストライプ状でV字型の溝が形成され、前記第2電極が前記溝内で前記電流注入層にコンタクトする部分を有することを特徴とする請求項5に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  7. 前記開口部の深さをd1、前記開口部の上部及び下部の幅をそれぞれW1、W2とした時、24<(W1+W2)×d1/TCの条件を満足することを特徴とする請求項6に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  8. 2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    前記電流ブロック層と前記活性層との間の距離をTB、前記開口部内を除く前記電流注入層の厚さをTCとした時、TB<TCの条件を満足することと、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  9. 2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    前記活性層に近接する前記電流注入層の部分は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有すると共に、前記電流ブロック層より大きな屈折率を有することと、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  10. 前記第2クラッド層と前記電流ブロック層とは、略等しい屈折率を有することを特徴とする請求項9に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  11. 前記活性層に近接する前記電流注入層の部分と前記第2クラッド層とは、略等しい屈折率を有することを特徴とする請求項9に記載の窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  12. 2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    前記電流ブロック層は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有すると共に、前記活性層に近接する前記電流注入層の部分より大きな屈折率を有することと、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  13. 2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    前記活性層に近接する前記電流注入層の部分は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより大きなバンドギャップを有すると共に、前記電流ブロック層は、前記活性層の発光波長に対応するバンドギャップより小さなバンドギャップを有することと、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
  14. 2種類以上の半導体層の繰り返しで構成される周期構造を有する活性層と、
    ダブルヘテロ接合構造を形成するように前記活性層を挟んで配設された、それぞれ第1及び第2導電型の第1及び第2クラッド層と、
    前記第1及び第2クラッド層に接続された第1及び第2電極と、
    前記第2電極と前記第2クラッド層との間に配設され、前記ダブルヘテロ接合構造に対する電流を狭窄するためのストライプ状の開口部を有する電流ブロック層と、
    前記第2電極と前記電流ブロック層との間及び前記開口部内に配設され、前記開口部よりも広い面積を有する電流注入層と、
    前記活性層、前記第1及び第2クラッド層、電流ブロック層、及び電流注入層の夫々は、下記の組成式で表される材料から基本的になることと、
    InGaAlN、ここでx+y+z=1、0≦x,y,z≦1
    前記第2クラッド層の表面に前記開口部と連続するストライプ状の溝が形成され、前記電流注入層は、前記溝内で前記第2クラッド層と接するように配設されることと、
    を具備することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体レーザ。
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