JP2005012000A - 面発光レーザ - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶の異常成長等がなくイオン注入深さが浅く熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能な面発光レーザを実現する。
【解決手段】成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、光の取り出し口を有する基板と、この基板上に形成された第1の分布反射層と、第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に第1の分布反射層上に形成された活性層と、第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、発光領域の周辺部分であってトンネル接合層から第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、このコンタクト層上に形成される第1の電極と、基板の裏面であって光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層とを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、光の取り出し口を有する基板と、この基板上に形成された第1の分布反射層と、第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に第1の分布反射層上に形成された活性層と、第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、発光領域の周辺部分であってトンネル接合層から第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、このコンタクト層上に形成される第1の電極と、基板の裏面であって光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層とを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザに関し、特に平坦な構造で熱処理工程に強いキャリア注入にトンネル接合を用いた「面発光レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は活性層とクラッド層を多層膜等で形成された反射層で挟み込んだ構造を有するものであり、光通信用光源や光計測用光源として用いられ、特にWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)等の波長多重通信に適用することが可能な面発光レーザに関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平04−226093号公報
【特許文献2】
特開平06−045694号公報
【特許文献3】
特開平06−268330号公報
【特許文献4】
特開平08−213702号公報
【特許文献5】
特開2000−277853号公報
【特許文献6】
特開2002−134835号公報
【非特許文献1】
M.Ortsiefer et.al., Appl.Phys.Lett vol.76 pp.2179−2181(2000)
【非特許文献2】
J.Boucart et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. vol.5 pp.520−529(1999)
【0004】
図9はこのような従来の面発光レーザの一例を示す構成断面図であり、「M.Ortsiefer et.al., Appl.Phys.Lett vol.76 pp.2179−2181(2000)」に記載されたものである。
【0005】
図9において1はInAlAs/InGaAlAsで形成されたn型の分布反射層(Distributed Bragg Reflector:以下、DBR層と呼ぶ。)、2及び4はスペーサ層、3は量子井戸(Quantum Well)等を用いた活性層、5はp型不純物が高濃度にドーピングされたp型のトンネル接合層、6はn型不純物が高濃度にドーピングされたn型のトンネル接合層、7はn型のInP等の低屈折率層、8はミラー層、9はコンタクト層、10は電極、11はヒートシンク、12はもう一つの電極である。
【0006】
DBR層1の上(実際の図9では下であるが以下の形成過程の説明に際しては上下逆転して説明する。)には下部のスペーサ層2、活性層3及び上部のスペーサ層4が順次形成され、上部のスペーサ層4の上にはp型のトンネル接合層5及びn型のトンネル接合層6が順次形成され、トンネル接合が形成される。
【0007】
このようなトンネル接合がn型のDBR層1の上であって中央部にのみ形成されるようにp型のトンネル接合層5の一部及びn型のトンネル接合層6であって図9中”CI01”及び図9中”CI02”に示すような周囲の部分がエッチングにより取り除かれる。
【0008】
その後、n型のトンネル接合層6及び前記エッチングの工程で表面に現れたp型のトンネル接合層5の上にはInP等の低屈折率層7が形成される。
【0009】
そして、低屈折率層7の上であって中央部には上部ミラーを構成するミラー層8が形成され、当該ミラー層8の周囲にはコンタクト層9が形成される。また、トンネル接合層6と低屈折率層7との側面には絶縁膜が形成さる。
【0010】
コンタクト層9に接続するように上部の電極10が形成され、電極10の上面及び側面にはヒートシンク11が形成される。さらに、DBR層1の裏面には下部の電極12が形成される。
【0011】
ここで、図9に示す従来例の動作を図10を用いて説明する。但し、図10を用いた動作説明に際してはDBR層1を上部として説明する。また、図10は注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【0012】
上部の電極12と下部の電極10との間に電圧が印加されると下部の電極10から上部の電極12へ図10中”CR11”及び図10中”CR12”に示すように電流が中央部に形成されたトンネル接合を通じて流れて電流狭窄される。
【0013】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層3において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、DBR層1とミラー層8との間に形成される光共振器で光増幅されて、DBR層1側であって上部の電極12が無い部分から図10中”LR11”に示すようにレーザ光として出力される。
【0014】
一方、トンネル接合部分は高屈折率材料を用いており、周囲には低屈折率層7が形成されているので、両者の間で等価屈折率差”Δneff”が生じる。
【0015】
このような、等価屈折率差”Δneff”は、トンネル接合部分での共振波長を”λ”、トンネル接合部分と周辺部分との共振波長の差を”Δλ”、等価屈折率を”neff”とした場合、
Δneff/neff=Δλ/λ (1)
で表される。
【0016】
すなわち、この等価屈折率差”Δneff”により、トンネル接合部分に前述の光共振器で共振するレーザ光が閉じ込められ、面発光レーザのレーザ光の光強度分布が中央部分(トンネル接合部分)で最大となるため横モード制御が可能になる。
【0017】
また、図11は従来の面発光レーザの他の一例を示す構成断面図であり、「J.Boucart et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. vol.5 pp.520−529(1999)」に記載されたものである。
【0018】
図11において13はn型のInP基板、14及び21はそれぞれn型のInP/InGaAsP及びn型のGaAs/AlAsで形成された分布反射層(Distributed Bragg Reflector:以下、DBR層と呼ぶ。)、15及び20はn型のInP層、16はMQW(Multi Quantum Well:多重量子井戸)等を用いた活性層、17はp型のInP層、18はp+ 型のInGaAsP層、19はn+ 型のInGaAsP層、22は上部電極、23a及び23bは下部電極、24a及び24bは水素イオン注入領域である。
【0019】
n型のInP基板13の上にはDBR層14が形成され、DBR層14の上にはn型のInP層15が形成される。n型のInP層15の上には多重量子井戸等を用いた活性層16が形成され、活性層16の上にはp型のInP層17が形成される。
【0020】
p型のInP層17の上にはp+ 型のInGaAsP層18及びn+ 型のInGaAsP層19が順次形成され、n+ 型のInGaAsP層19の上にはn型のInP層20が形成され、n型のInP層20の上にはDBR層21が形成される。
【0021】
発光領域の周囲であってp型のInP層17からDBR層21に至る領域には水素イオンが注入されて24a及び24bに示すような水素イオン注入領域24a及び24bが形成される。
【0022】
さらに、DBR層21の上には上部電極22が形成され、n型のInP基板13の下部には下部電極23a及び23bがそれぞれ形成される。
【0023】
このように形成された水素イオン注入領域24a及び24bは高抵抗な領域となる。
【0024】
ここで、図11に示す従来例の動作を説明する。DBR層14とDBR層21との間で光共振器が形成されている。また、図11においてn型のInP基板13の厚さは”100μm”程度であるのに対して、その他の層の合計の厚さは”10μm”程度であるので、上部を発光層(活性層)側、下部を基板側と呼ぶ。
【0025】
そして、上部電極22と下部電極23a及び23bとの間に電圧が印加されると上部電極22からn+ 型のInGaAsP層19に向って電流が流れる。このとき、この電流は高抵抗化された水素イオン注入領域24a及び24bを避け水素イオンを注入していない中央部分を流れて電流狭窄となる。
【0026】
また、この電流はn+ 層とp+ 層とで形成されるトンネル接合で、正孔に変換され、この正孔が活性層16に流れる。また、逆に下部電極23a及び23bから活性層16に向って電子が流れる。
【0027】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層16において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、前述の光共振器で光増幅されて基板側であって下部電極23a及び23bが無い部分からレーザ光として出力される。
【0028】
一方、短波長帯の面発光レーザと比較して従来の長波長帯の面発光レーザでは、使用する半導体材料の物理的性質から温度特性が悪く、高出力発振や高温での発振に適していないと言った問題点があった。
【0029】
このため、図11に示す従来例では上部のDBR層21を熱抵抗及び電気抵抗の低いn型のGaAs/AlAsを用いて、基板側からレーザ光を取り出し、反対側である発光層(活性層)側、言い換えれば、上部電極22の上にヒートシンクをボンディングして熱を逃す構造をとっている。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図9に示す従来の面発光レーザでは、トンネル接合部分をエッチングしているため、段差のある基板上に結晶成長させる工程が必要になり、当該段差近傍において結晶の異常成長等が発生し易いと言った問題点があった。
【0031】
一方、図11に示す従来の面発光レーザでは、結晶成長を全て完了した後に水素イオンを注入することになるので、深くイオン注入するためイオン注入領域が横のボケてしまうことと、水素イオンが注入された半導体層(分布反射層21)にオーミック電極を形成するため、素子抵抗が増加してしまうと言った問題点があった。
【0032】
また、図11に示す従来の面発光レーザでは、水素イオン注入により高抵抗化した半導体層は、その後に必要な電極の合金化をはじめとする熱処理工程において当該抵抗値が低下しやすくなってしまうと言った問題点があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、結晶の異常成長等がなくイオン注入深さが浅く熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能な面発光レーザを実現することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
光の取り出し口を有する基板と、この基板上に形成された第1の分布反射層と、第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に前記第1の分布反射層上に形成された活性層と、上部の前記第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、発光領域の周辺部分であって前記トンネル接合層から少なくとも上部の前記第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、このコンタクト層上に形成される第1の電極と、前記基板の裏面であって前記光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、前記第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層とを備えたことにより、結晶の異常成長等がなくなる。
【0034】
請求項2記載の発明は、
成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
光の取り出し口を有する基板と、この基板上に形成された第1の分布反射層と、第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に前記第1の分布反射層上に形成された活性層と、発光領域の周辺部分であって少なくとも上部の前記第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、上部の前記第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、このコンタクト層上に形成される第1の電極と、前記基板の裏面であって前記光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、前記第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層とを備えたことにより、結晶の異常成長等がなくなる。
【0035】
請求項3記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記元素が、
酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの何れかであることにより、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能になる。
【0036】
請求項4記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記元素が、
酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの組み合わせであることにより、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能になる。
【0037】
請求項5記載の発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の発明である面発光レーザにおいて、
半導体層表面に凹凸を設け、
半導体層表面の中央部分と前記エアギャップの境界面に定在波の腹が位置し、半導体層表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように膜厚を調整したことにより、エアギャップを半導体層表面とDBR層との間に挿入する構成にした場合であっても横モード制御が可能になり、基本モードを安定化させることが可能になる。
【0038】
請求項6記載の発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の発明である面発光レーザにおいて、
半導体層表面に位相調整層を設け、
前記位相調整層と前記エアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように膜厚を調整したことにより、閾値電流を低くすることが可能になる。
【0039】
請求項7記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記第2の分布反射層が、
曲面であることにより、光共振器の損失を低減することができる。
【0040】
請求項8記載の発明は、
請求項1乃至請求項7のいずれか記載の発明である面発光レーザにおいて、
注入エネルギーを変化させながら複数回のイオン注入を行って前記イオン注入領域を形成することにより、結晶の異常成長等がなく熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能になる。
【0041】
請求項9記載の発明は、
請求項1、請求項2若しくは請求項7記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記第2の分布反射膜は半導体微細加工技術によって形成され可動にしたことにより、レーザ光の発振波長を可変にすることが可能になる。
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る面発光レーザの一実施例を示す構成断面図である。
【0042】
図1において25はn型のInP等の基板、26はn型のInGaAsPとn型のInP等から構成されるDBR層、27はn型のInP等のスペーサ層、28はInGaAsPの歪多重量子井戸等を用いた活性層、29はp型のInP等のスペーサ層、30は高濃度のp型のInGaAsP若しくはInGaAlAs等のトンネル接合層、31は高濃度のn型のInGaAs等のトンネル接合層、32はn型のInP等のスペーサ層、33はn型のInGaAsP等のコンタクト層、34及び37は電極、35はDBR層、36はSiで形成されたメンブレン、38は高抵抗化されたイオン注入領域である。
【0043】
基板25上には下部のDBR層26が形成され、DBR層26の上には下部のスペーサ層27、活性層28及び上部のスペーサ層29が順次形成される。上部のスペーサ層29の上にはp型のトンネル接合層30及びn型のトンネル接合層31が順次形成されてトンネル接合を形成する。
【0044】
この状態で、発光領域(中心部分)をマスキングしてその他の領域(周辺部分)に酸素等の重い元素を上部のスペーサ層29に達するまでイオン注入して高抵抗化されたイオン注入領域38を形成する。
【0045】
その後、n型のトンネル接合層31の上にはスペーサ層32及びコンタクト層33が順次形成され、コンタクト層33上であって周辺部分には電極34が形成される。
【0046】
そして、コンタクト層33の上方にはコンタクト層33に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、コンタクト層33に対向する面にはDBR層35が形成されて、図1中”AG21”に示すようなエアギャップを形成する。
【0047】
一方、基板25は裏面であって図1中”AR21”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0048】
ここで,図1に示す実施例の動作を図2を用いて説明する。図2は注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【0049】
上部の電極34と下部の電極37との間に電圧が印加されると上部の電極34から図2中”CR31”及び図2中”CR32”に示すように電流が高抵抗化されたイオン注入領域38を避け中央部分(低抵抗部分)を通じて流れて電流狭窄され、活性層28を介して下部の電極37に流れる。
【0050】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層28において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、DBR層26とDBR層35の間に形成される光共振器で光増幅されて、DBR層26側であって基板25が取り除かれた光の取り出し口から図2中”LR31”に示すようにレーザ光として出力される。
【0051】
そして、上部のスペーサ層29と下部のスペーサ層27の膜厚は活性層28に定在波の腹が、トンネル接合部分に定在波の節がくるように調整され、また、スペーサ層32及びコンタクト層33の膜厚はエアギャップとの境界面に定在波の腹がくるように調整される。
【0052】
また、メンブレン36をMEMS(micro electro−mechanical systems:可動部品と電子回路を半導体微細加工技術によって集積した微小な機械システム)で可動にして、コンタクト層33とDBR層35との間隔(図1中”AG21”に示すエアギャップの間隔に相当)を調整することにより、レーザ光の発振波長を可変にしている。
【0053】
このような構成では、電流狭窄を酸素等の重い元素のイオン注入により行うためトンネル接合層の周辺部分をエッチングで除去する必要性がなく、エッチングによる段差に起因する結晶の異常成長等がなく、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することができる。
【0054】
また、全ての結晶成長が終了した後に水素イオンを深くイオン注入するのではなく、活性層28近傍で結晶成長を一時中断し酸素等の重い元素をイオン注入するため、イオン注入エネルギーが低くできると共に射程飛影が短いためパターン形成精度が良くなる。さらに、電極34を形成するコンタクト層33にイオン注入による損傷が生じない。
【0055】
この結果、酸素等の重い元素のイオン注入により周辺部分に高抵抗化されたイオン注入領域を設けることにより、トンネル接合層の周辺部分をエッチングで除去する必要性がなく電流狭窄が行えるので、エッチングによる段差に起因する結晶の異常成長等がなく、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することができる。
【0056】
なお、図1に示す実施例では、上部のスペーサ層29の上にp型のトンネル接合層30及びn型のトンネル接合層31を順次形成してトンネル接合を形成した後に酸素等の重い元素をイオン注入しているが、上部のスペーサ層29まで結晶成長させた後に酸素等の重い元素をイオン注入させても構わない。
【0057】
この場合にはキャリア濃度の低い層を高抵抗化するので、イオン注入ドーズ量を少なくすることが可能になる。また、イオン注入後の結晶成長でキャリア濃度の高いトンネル接合層を形成するので、トンネル接合層のドーパントの熱拡散を小さくすることが可能になる。
【0058】
図3はこのような本発明に係る面発光レーザの第2の実施例を示す構成断面図である。図3において25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36及び37は図1と同一符号を付してあり、39は高抵抗化されたイオン注入領域である。
【0059】
基板25上には下部のDBR層26が形成され、DBR層26の上には下部のスペーサ層27、活性層28及び上部のスペーサ層29が順次形成される。
【0060】
この状態で、発光領域(中心部分)をマスキングしてその他の領域(周辺部分)に酸素等の重い元素を上部のスペーサ層29にイオン注入して高抵抗化されたイオン注入領域39を形成する。
【0061】
その後、上部のスペーサ層29の上にはp型のトンネル接合層30及びn型のトンネル接合層31が順次形成されてトンネル接合を形成し、n型のトンネル接合層31の上にはスペーサ層32及びコンタクト層33が順次形成され、コンタクト層33上であって周辺部分には電極34が形成される。
【0062】
そして、コンタクト層33の上方にはコンタクト層33に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、コンタクト層33に対向する面にはDBR層35が形成されて、図3中”AG41”に示すようなエアギャップを形成する。
【0063】
一方、基板25は裏面であって図3中”AR41”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0064】
また、図1に示す実施例では、スペーサ層32及びコンタクト層33の膜厚はエアギャップとの境界面に定在波の腹がくるように調整されているが、半導体層表面(例えば、最上部のスペーサ層)に凹凸を設けて基本モードを安定化させても構わない。
【0065】
図4はこのような本発明に係る面発光レーザの第3の実施例を示す構成断面図である。図4において25,26,27,28,29,30,31,33,34,35,36,37及び38は図1と同一符号を付してあり、40は最上部のn型のInP等のスペーサ層である。
【0066】
ここで、酸素等の重い元素のイオン注入の過程までは図1に示す実施例と同一であるのでその部分の説明は省略する。
【0067】
酸素等の重い元素のイオン注入の過程の後、スペーサ層40とコンタクト層33が順次形成され、コンタクト層33とスペーサ層40であって図4中”CI51”及び図4中”CI52”に示すような部分、言い換えれば、スペーサ層40の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分がエッチングにより取り除かれる。
【0068】
その後、エッチングされなかったコンタクト層33上には電極34が形成される。
【0069】
そして、スペーサ層40の上方にはスペーサ層40に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、スペーサ層40に対向する面にはDBR層35が形成されて、図4中”AG51”に示すようなエアギャップを形成する。
【0070】
一方、基板25は裏面であって図4中”AR51”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0071】
すなわち、最上部のスペーサ層の中央部分(凸部)とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、最上部のスペーサ層の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分(凹部)とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するようにスペーサ層の各部分の膜厚を調整することにより、エアギャップをスペーサ層とDBR層との間に挿入する構成にした場合であっても横モード制御が可能になり、基本モードを安定化させることが可能になる。
【0072】
また、図4に示す第3の実施例では、半導体層表面に凹凸を設け中央部分(凸部)とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、中央部分と周辺部分とで囲まれる部分(凹部)とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように半導体層表面の各部分の膜厚を調整しているが、半導体層表面(例えば、コンタクト層33)に位相調整層を設けても閾値電流を低くしても良い。
【0073】
図5はこのような本発明に係る面発光レーザの第4の実施例を示す構成断面図である。図5において25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37及び38は図1と同一符号を付してあり、41は位相調整層である。
【0074】
ここで、電極34の形成過程までは図1に示す実施例と同一であるのでその部分の説明は省略する。
【0075】
電極34の形成過程の後、コンタクト層33の中央部分には位相調整層41が形成され、位相調整層41の上方には位相調整層41に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、位相調整層41に対向する面にはDBR層35が形成されて、図5中”AG61”に示すようなエアギャップを形成する。
【0076】
一方、基板25は裏面であって図5中”AR61”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0077】
また、位相調整層41の膜厚を調整して、位相調整層41とエアギャップのの境界面に定在波の腹がくるように調整される。
【0078】
ここで、図5に示す第4の実施例の動作を図6,図7及び図8を用いて説明する。図6は位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図、図7は位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図,図8は図6及び図7における閾値電流と光出力の一例を示す特性曲線図である。
【0079】
例えば、図6中”CH71”に示す特性曲線から分かるように、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合には、図6中”DB71”に示す下部のDBR層26及び図6中”QW71”に示す活性層28を含むスペーサ層27〜位相調整層41の半導体層における光強度が小さく、逆に、図6中”AG71”に示すエアギャップにおける光強度が大きくなり、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが少なくなる。
【0080】
一方、例えば、図7中”CH81”に示す特性曲線から分かるように、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合には、図7中”AG81”に示すエアギャップにおける光強度が小さく、逆に、図7中”QW81”に示す活性層28を含むスペーサ層27〜位相調整層41の半導体層における光強度が大きくなり、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが多くなる。
【0081】
すなわち、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合には、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが少なくなるので、図8中”CH91”に示すような特性曲線になり、閾値電流が図8中”TC92”に示すようになる。
【0082】
一方、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合には、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが多くなるので、図8中”CH92”に示すような特性曲線になり、閾値電流が図8中”TC91”に示すようになり、前者と比較して閾値電流を低くすることが可能になる。
【0083】
また、図1等に示す実施例では、メンブレン36をMEMSで可動にして、コンタクト層と上部のDBR層との間隔(図1中”AG21”に示すエアギャップの間隔に相当)を調整することにより、レーザ光の発振波長を可変にしているが固定波長の面発光レーザに適用しても勿論構わない。
【0084】
また、図1等に示す実施例では、イオン注入する重い元素として酸素を例示しているが、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、クロム等であっても良く、これらの組み合わせであっても構わない。
【0085】
また、図1等に示す実施例では、1回のイオン注入工程によってイオン注入を行っているが、注入エネルギーを変化させながら複数回のイオン注入を行っても構わない。
【0086】
また、図4に示す第3の実施例では半導体表面(例えば、最上部のスペーサ層)の中央部分及び周辺部分を凸部にし、中央部分と周辺部分とで囲まれる部分を凹部にしているが、半導体表面の中央部分とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、半導体表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するよう配置すれば凸部と凹部が逆であっても勿論構わない。
【0087】
また、図4及び図5に示す第3及び第4の実施例では、図1に示す第1の実施例をベースにして記載しているが、勿論、図3に示す第2の実施例をベースにして記載しても構わない。
【0088】
また、第2の分布反射膜であるDBR層35等は図面的には平面形状を例示しているが、第2の分布反射膜であるDBR層35等を曲面にしても構わない。この場合には、光共振器の損失を低減することができる。
【0089】
また、イオン注入領域をスペーサ層29の途中まで形成する実施例を例示しているが、活性層28や下部のスペーサ層27にかけてまで当該イオン注入領域を形成しても構わない。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2及び請求項8の発明によれば、イオン注入により周辺部分に高抵抗化されたイオン注入領域を設けることにより、トンネル接合層の周辺部分をエッチングで除去する必要性がなく電流狭窄が行えるので、エッチングによる段差に起因する結晶の異常成長等がなくなる。
【0091】
また、請求項3,4及び請求項8の発明によれば、元素として酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの何れか、或いは、酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの組み合わせを用いることにより、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することができる。
【0092】
また、請求項5の発明によれば、半導体層表面の中央部分(凸部)とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、半導体層表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分(凹部)とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように膜厚を調整することにより、エアギャップを半導体層表面とDBR層との間に挿入する構成にした場合であっても横モード制御が可能になり、基本モードを安定化させることが可能になる。
【0093】
また、請求項6の発明によれば、半導体層表面に位相調整層を設け、位相調整層とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように膜厚を調整することにより、閾値電流を低くすることが可能になる。
【0094】
また、請求項7の発明によれば、第2の分布反射膜であるDBR層を曲面にすることにより、光共振器の損失を低減することができる。
【0095】
また、請求項9の発明によれば、メンブレンをMEMSで可動にして、コンタクト層とDBR層との間隔を調整することにより、レーザ光の発振波長を可変にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る面発光レーザの一実施例を示す構成断面図である。
【図2】注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る面発光レーザの第2の実施例を示す構成断面図である。
【図4】本発明に係る面発光レーザの第3の実施例を示す構成断面図である。
【図5】本発明に係る面発光レーザの第4の実施例を示す構成断面図である。
【図6】位相調整層とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図である。
【図7】位相調整層とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図である。
【図8】図6及び図7における閾値電流と光出力の一例を示す特性曲線図である。
【図9】従来の面発光レーザの一例を示す構成断面図である。
【図10】注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【図11】従来の面発光レーザの他の一例を示す構成断面図である。
【符号の説明】
1,14,21,26,35 分布反射層(DBR層)
2,4,27,29,32,40 スペーサ層
3,16,28 活性層
5,6,30,31 トンネル接合層
7 低屈折率層
8 ミラー層
9,33 コンタクト層
10,12,22,23a,23b,34,37 電極
11 ヒートシンク
13 InP基板
15,17,20 InP層
18,19 InGaAsP層
24a,24b 水素イオン注入領域
25 基板
36 メンブレン
38,39 イオン注入領域
41 位相調整層
【発明の属する技術分野】
本発明は、成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザに関し、特に平坦な構造で熱処理工程に強いキャリア注入にトンネル接合を用いた「面発光レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は活性層とクラッド層を多層膜等で形成された反射層で挟み込んだ構造を有するものであり、光通信用光源や光計測用光源として用いられ、特にWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)等の波長多重通信に適用することが可能な面発光レーザに関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平04−226093号公報
【特許文献2】
特開平06−045694号公報
【特許文献3】
特開平06−268330号公報
【特許文献4】
特開平08−213702号公報
【特許文献5】
特開2000−277853号公報
【特許文献6】
特開2002−134835号公報
【非特許文献1】
M.Ortsiefer et.al., Appl.Phys.Lett vol.76 pp.2179−2181(2000)
【非特許文献2】
J.Boucart et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. vol.5 pp.520−529(1999)
【0004】
図9はこのような従来の面発光レーザの一例を示す構成断面図であり、「M.Ortsiefer et.al., Appl.Phys.Lett vol.76 pp.2179−2181(2000)」に記載されたものである。
【0005】
図9において1はInAlAs/InGaAlAsで形成されたn型の分布反射層(Distributed Bragg Reflector:以下、DBR層と呼ぶ。)、2及び4はスペーサ層、3は量子井戸(Quantum Well)等を用いた活性層、5はp型不純物が高濃度にドーピングされたp型のトンネル接合層、6はn型不純物が高濃度にドーピングされたn型のトンネル接合層、7はn型のInP等の低屈折率層、8はミラー層、9はコンタクト層、10は電極、11はヒートシンク、12はもう一つの電極である。
【0006】
DBR層1の上(実際の図9では下であるが以下の形成過程の説明に際しては上下逆転して説明する。)には下部のスペーサ層2、活性層3及び上部のスペーサ層4が順次形成され、上部のスペーサ層4の上にはp型のトンネル接合層5及びn型のトンネル接合層6が順次形成され、トンネル接合が形成される。
【0007】
このようなトンネル接合がn型のDBR層1の上であって中央部にのみ形成されるようにp型のトンネル接合層5の一部及びn型のトンネル接合層6であって図9中”CI01”及び図9中”CI02”に示すような周囲の部分がエッチングにより取り除かれる。
【0008】
その後、n型のトンネル接合層6及び前記エッチングの工程で表面に現れたp型のトンネル接合層5の上にはInP等の低屈折率層7が形成される。
【0009】
そして、低屈折率層7の上であって中央部には上部ミラーを構成するミラー層8が形成され、当該ミラー層8の周囲にはコンタクト層9が形成される。また、トンネル接合層6と低屈折率層7との側面には絶縁膜が形成さる。
【0010】
コンタクト層9に接続するように上部の電極10が形成され、電極10の上面及び側面にはヒートシンク11が形成される。さらに、DBR層1の裏面には下部の電極12が形成される。
【0011】
ここで、図9に示す従来例の動作を図10を用いて説明する。但し、図10を用いた動作説明に際してはDBR層1を上部として説明する。また、図10は注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【0012】
上部の電極12と下部の電極10との間に電圧が印加されると下部の電極10から上部の電極12へ図10中”CR11”及び図10中”CR12”に示すように電流が中央部に形成されたトンネル接合を通じて流れて電流狭窄される。
【0013】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層3において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、DBR層1とミラー層8との間に形成される光共振器で光増幅されて、DBR層1側であって上部の電極12が無い部分から図10中”LR11”に示すようにレーザ光として出力される。
【0014】
一方、トンネル接合部分は高屈折率材料を用いており、周囲には低屈折率層7が形成されているので、両者の間で等価屈折率差”Δneff”が生じる。
【0015】
このような、等価屈折率差”Δneff”は、トンネル接合部分での共振波長を”λ”、トンネル接合部分と周辺部分との共振波長の差を”Δλ”、等価屈折率を”neff”とした場合、
Δneff/neff=Δλ/λ (1)
で表される。
【0016】
すなわち、この等価屈折率差”Δneff”により、トンネル接合部分に前述の光共振器で共振するレーザ光が閉じ込められ、面発光レーザのレーザ光の光強度分布が中央部分(トンネル接合部分)で最大となるため横モード制御が可能になる。
【0017】
また、図11は従来の面発光レーザの他の一例を示す構成断面図であり、「J.Boucart et al., IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. vol.5 pp.520−529(1999)」に記載されたものである。
【0018】
図11において13はn型のInP基板、14及び21はそれぞれn型のInP/InGaAsP及びn型のGaAs/AlAsで形成された分布反射層(Distributed Bragg Reflector:以下、DBR層と呼ぶ。)、15及び20はn型のInP層、16はMQW(Multi Quantum Well:多重量子井戸)等を用いた活性層、17はp型のInP層、18はp+ 型のInGaAsP層、19はn+ 型のInGaAsP層、22は上部電極、23a及び23bは下部電極、24a及び24bは水素イオン注入領域である。
【0019】
n型のInP基板13の上にはDBR層14が形成され、DBR層14の上にはn型のInP層15が形成される。n型のInP層15の上には多重量子井戸等を用いた活性層16が形成され、活性層16の上にはp型のInP層17が形成される。
【0020】
p型のInP層17の上にはp+ 型のInGaAsP層18及びn+ 型のInGaAsP層19が順次形成され、n+ 型のInGaAsP層19の上にはn型のInP層20が形成され、n型のInP層20の上にはDBR層21が形成される。
【0021】
発光領域の周囲であってp型のInP層17からDBR層21に至る領域には水素イオンが注入されて24a及び24bに示すような水素イオン注入領域24a及び24bが形成される。
【0022】
さらに、DBR層21の上には上部電極22が形成され、n型のInP基板13の下部には下部電極23a及び23bがそれぞれ形成される。
【0023】
このように形成された水素イオン注入領域24a及び24bは高抵抗な領域となる。
【0024】
ここで、図11に示す従来例の動作を説明する。DBR層14とDBR層21との間で光共振器が形成されている。また、図11においてn型のInP基板13の厚さは”100μm”程度であるのに対して、その他の層の合計の厚さは”10μm”程度であるので、上部を発光層(活性層)側、下部を基板側と呼ぶ。
【0025】
そして、上部電極22と下部電極23a及び23bとの間に電圧が印加されると上部電極22からn+ 型のInGaAsP層19に向って電流が流れる。このとき、この電流は高抵抗化された水素イオン注入領域24a及び24bを避け水素イオンを注入していない中央部分を流れて電流狭窄となる。
【0026】
また、この電流はn+ 層とp+ 層とで形成されるトンネル接合で、正孔に変換され、この正孔が活性層16に流れる。また、逆に下部電極23a及び23bから活性層16に向って電子が流れる。
【0027】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層16において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、前述の光共振器で光増幅されて基板側であって下部電極23a及び23bが無い部分からレーザ光として出力される。
【0028】
一方、短波長帯の面発光レーザと比較して従来の長波長帯の面発光レーザでは、使用する半導体材料の物理的性質から温度特性が悪く、高出力発振や高温での発振に適していないと言った問題点があった。
【0029】
このため、図11に示す従来例では上部のDBR層21を熱抵抗及び電気抵抗の低いn型のGaAs/AlAsを用いて、基板側からレーザ光を取り出し、反対側である発光層(活性層)側、言い換えれば、上部電極22の上にヒートシンクをボンディングして熱を逃す構造をとっている。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図9に示す従来の面発光レーザでは、トンネル接合部分をエッチングしているため、段差のある基板上に結晶成長させる工程が必要になり、当該段差近傍において結晶の異常成長等が発生し易いと言った問題点があった。
【0031】
一方、図11に示す従来の面発光レーザでは、結晶成長を全て完了した後に水素イオンを注入することになるので、深くイオン注入するためイオン注入領域が横のボケてしまうことと、水素イオンが注入された半導体層(分布反射層21)にオーミック電極を形成するため、素子抵抗が増加してしまうと言った問題点があった。
【0032】
また、図11に示す従来の面発光レーザでは、水素イオン注入により高抵抗化した半導体層は、その後に必要な電極の合金化をはじめとする熱処理工程において当該抵抗値が低下しやすくなってしまうと言った問題点があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、結晶の異常成長等がなくイオン注入深さが浅く熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能な面発光レーザを実現することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
光の取り出し口を有する基板と、この基板上に形成された第1の分布反射層と、第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に前記第1の分布反射層上に形成された活性層と、上部の前記第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、発光領域の周辺部分であって前記トンネル接合層から少なくとも上部の前記第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、このコンタクト層上に形成される第1の電極と、前記基板の裏面であって前記光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、前記第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層とを備えたことにより、結晶の異常成長等がなくなる。
【0034】
請求項2記載の発明は、
成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
光の取り出し口を有する基板と、この基板上に形成された第1の分布反射層と、第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に前記第1の分布反射層上に形成された活性層と、発光領域の周辺部分であって少なくとも上部の前記第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、上部の前記第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、このコンタクト層上に形成される第1の電極と、前記基板の裏面であって前記光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、前記第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層とを備えたことにより、結晶の異常成長等がなくなる。
【0035】
請求項3記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記元素が、
酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの何れかであることにより、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能になる。
【0036】
請求項4記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記元素が、
酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの組み合わせであることにより、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能になる。
【0037】
請求項5記載の発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の発明である面発光レーザにおいて、
半導体層表面に凹凸を設け、
半導体層表面の中央部分と前記エアギャップの境界面に定在波の腹が位置し、半導体層表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように膜厚を調整したことにより、エアギャップを半導体層表面とDBR層との間に挿入する構成にした場合であっても横モード制御が可能になり、基本モードを安定化させることが可能になる。
【0038】
請求項6記載の発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の発明である面発光レーザにおいて、
半導体層表面に位相調整層を設け、
前記位相調整層と前記エアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように膜厚を調整したことにより、閾値電流を低くすることが可能になる。
【0039】
請求項7記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記第2の分布反射層が、
曲面であることにより、光共振器の損失を低減することができる。
【0040】
請求項8記載の発明は、
請求項1乃至請求項7のいずれか記載の発明である面発光レーザにおいて、
注入エネルギーを変化させながら複数回のイオン注入を行って前記イオン注入領域を形成することにより、結晶の異常成長等がなく熱処理工程による低抵抗化を抑制することが可能になる。
【0041】
請求項9記載の発明は、
請求項1、請求項2若しくは請求項7記載の発明である面発光レーザにおいて、
前記第2の分布反射膜は半導体微細加工技術によって形成され可動にしたことにより、レーザ光の発振波長を可変にすることが可能になる。
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る面発光レーザの一実施例を示す構成断面図である。
【0042】
図1において25はn型のInP等の基板、26はn型のInGaAsPとn型のInP等から構成されるDBR層、27はn型のInP等のスペーサ層、28はInGaAsPの歪多重量子井戸等を用いた活性層、29はp型のInP等のスペーサ層、30は高濃度のp型のInGaAsP若しくはInGaAlAs等のトンネル接合層、31は高濃度のn型のInGaAs等のトンネル接合層、32はn型のInP等のスペーサ層、33はn型のInGaAsP等のコンタクト層、34及び37は電極、35はDBR層、36はSiで形成されたメンブレン、38は高抵抗化されたイオン注入領域である。
【0043】
基板25上には下部のDBR層26が形成され、DBR層26の上には下部のスペーサ層27、活性層28及び上部のスペーサ層29が順次形成される。上部のスペーサ層29の上にはp型のトンネル接合層30及びn型のトンネル接合層31が順次形成されてトンネル接合を形成する。
【0044】
この状態で、発光領域(中心部分)をマスキングしてその他の領域(周辺部分)に酸素等の重い元素を上部のスペーサ層29に達するまでイオン注入して高抵抗化されたイオン注入領域38を形成する。
【0045】
その後、n型のトンネル接合層31の上にはスペーサ層32及びコンタクト層33が順次形成され、コンタクト層33上であって周辺部分には電極34が形成される。
【0046】
そして、コンタクト層33の上方にはコンタクト層33に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、コンタクト層33に対向する面にはDBR層35が形成されて、図1中”AG21”に示すようなエアギャップを形成する。
【0047】
一方、基板25は裏面であって図1中”AR21”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0048】
ここで,図1に示す実施例の動作を図2を用いて説明する。図2は注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【0049】
上部の電極34と下部の電極37との間に電圧が印加されると上部の電極34から図2中”CR31”及び図2中”CR32”に示すように電流が高抵抗化されたイオン注入領域38を避け中央部分(低抵抗部分)を通じて流れて電流狭窄され、活性層28を介して下部の電極37に流れる。
【0050】
このとき、バンドギャップの最も狭い活性層28において正孔と電子の結合が生じて光が発光し、DBR層26とDBR層35の間に形成される光共振器で光増幅されて、DBR層26側であって基板25が取り除かれた光の取り出し口から図2中”LR31”に示すようにレーザ光として出力される。
【0051】
そして、上部のスペーサ層29と下部のスペーサ層27の膜厚は活性層28に定在波の腹が、トンネル接合部分に定在波の節がくるように調整され、また、スペーサ層32及びコンタクト層33の膜厚はエアギャップとの境界面に定在波の腹がくるように調整される。
【0052】
また、メンブレン36をMEMS(micro electro−mechanical systems:可動部品と電子回路を半導体微細加工技術によって集積した微小な機械システム)で可動にして、コンタクト層33とDBR層35との間隔(図1中”AG21”に示すエアギャップの間隔に相当)を調整することにより、レーザ光の発振波長を可変にしている。
【0053】
このような構成では、電流狭窄を酸素等の重い元素のイオン注入により行うためトンネル接合層の周辺部分をエッチングで除去する必要性がなく、エッチングによる段差に起因する結晶の異常成長等がなく、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することができる。
【0054】
また、全ての結晶成長が終了した後に水素イオンを深くイオン注入するのではなく、活性層28近傍で結晶成長を一時中断し酸素等の重い元素をイオン注入するため、イオン注入エネルギーが低くできると共に射程飛影が短いためパターン形成精度が良くなる。さらに、電極34を形成するコンタクト層33にイオン注入による損傷が生じない。
【0055】
この結果、酸素等の重い元素のイオン注入により周辺部分に高抵抗化されたイオン注入領域を設けることにより、トンネル接合層の周辺部分をエッチングで除去する必要性がなく電流狭窄が行えるので、エッチングによる段差に起因する結晶の異常成長等がなく、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することができる。
【0056】
なお、図1に示す実施例では、上部のスペーサ層29の上にp型のトンネル接合層30及びn型のトンネル接合層31を順次形成してトンネル接合を形成した後に酸素等の重い元素をイオン注入しているが、上部のスペーサ層29まで結晶成長させた後に酸素等の重い元素をイオン注入させても構わない。
【0057】
この場合にはキャリア濃度の低い層を高抵抗化するので、イオン注入ドーズ量を少なくすることが可能になる。また、イオン注入後の結晶成長でキャリア濃度の高いトンネル接合層を形成するので、トンネル接合層のドーパントの熱拡散を小さくすることが可能になる。
【0058】
図3はこのような本発明に係る面発光レーザの第2の実施例を示す構成断面図である。図3において25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36及び37は図1と同一符号を付してあり、39は高抵抗化されたイオン注入領域である。
【0059】
基板25上には下部のDBR層26が形成され、DBR層26の上には下部のスペーサ層27、活性層28及び上部のスペーサ層29が順次形成される。
【0060】
この状態で、発光領域(中心部分)をマスキングしてその他の領域(周辺部分)に酸素等の重い元素を上部のスペーサ層29にイオン注入して高抵抗化されたイオン注入領域39を形成する。
【0061】
その後、上部のスペーサ層29の上にはp型のトンネル接合層30及びn型のトンネル接合層31が順次形成されてトンネル接合を形成し、n型のトンネル接合層31の上にはスペーサ層32及びコンタクト層33が順次形成され、コンタクト層33上であって周辺部分には電極34が形成される。
【0062】
そして、コンタクト層33の上方にはコンタクト層33に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、コンタクト層33に対向する面にはDBR層35が形成されて、図3中”AG41”に示すようなエアギャップを形成する。
【0063】
一方、基板25は裏面であって図3中”AR41”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0064】
また、図1に示す実施例では、スペーサ層32及びコンタクト層33の膜厚はエアギャップとの境界面に定在波の腹がくるように調整されているが、半導体層表面(例えば、最上部のスペーサ層)に凹凸を設けて基本モードを安定化させても構わない。
【0065】
図4はこのような本発明に係る面発光レーザの第3の実施例を示す構成断面図である。図4において25,26,27,28,29,30,31,33,34,35,36,37及び38は図1と同一符号を付してあり、40は最上部のn型のInP等のスペーサ層である。
【0066】
ここで、酸素等の重い元素のイオン注入の過程までは図1に示す実施例と同一であるのでその部分の説明は省略する。
【0067】
酸素等の重い元素のイオン注入の過程の後、スペーサ層40とコンタクト層33が順次形成され、コンタクト層33とスペーサ層40であって図4中”CI51”及び図4中”CI52”に示すような部分、言い換えれば、スペーサ層40の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分がエッチングにより取り除かれる。
【0068】
その後、エッチングされなかったコンタクト層33上には電極34が形成される。
【0069】
そして、スペーサ層40の上方にはスペーサ層40に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、スペーサ層40に対向する面にはDBR層35が形成されて、図4中”AG51”に示すようなエアギャップを形成する。
【0070】
一方、基板25は裏面であって図4中”AR51”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0071】
すなわち、最上部のスペーサ層の中央部分(凸部)とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、最上部のスペーサ層の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分(凹部)とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するようにスペーサ層の各部分の膜厚を調整することにより、エアギャップをスペーサ層とDBR層との間に挿入する構成にした場合であっても横モード制御が可能になり、基本モードを安定化させることが可能になる。
【0072】
また、図4に示す第3の実施例では、半導体層表面に凹凸を設け中央部分(凸部)とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、中央部分と周辺部分とで囲まれる部分(凹部)とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように半導体層表面の各部分の膜厚を調整しているが、半導体層表面(例えば、コンタクト層33)に位相調整層を設けても閾値電流を低くしても良い。
【0073】
図5はこのような本発明に係る面発光レーザの第4の実施例を示す構成断面図である。図5において25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37及び38は図1と同一符号を付してあり、41は位相調整層である。
【0074】
ここで、電極34の形成過程までは図1に示す実施例と同一であるのでその部分の説明は省略する。
【0075】
電極34の形成過程の後、コンタクト層33の中央部分には位相調整層41が形成され、位相調整層41の上方には位相調整層41に接しない状態でメンブレン36が形成され、メンブレン36の下、言い換えれば、位相調整層41に対向する面にはDBR層35が形成されて、図5中”AG61”に示すようなエアギャップを形成する。
【0076】
一方、基板25は裏面であって図5中”AR61”に示す部分が光の取り出し口としてエッチングによりDBR層26表面まで取り除かれ、残った基板25の裏面には電極37が形成される。
【0077】
また、位相調整層41の膜厚を調整して、位相調整層41とエアギャップのの境界面に定在波の腹がくるように調整される。
【0078】
ここで、図5に示す第4の実施例の動作を図6,図7及び図8を用いて説明する。図6は位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図、図7は位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図,図8は図6及び図7における閾値電流と光出力の一例を示す特性曲線図である。
【0079】
例えば、図6中”CH71”に示す特性曲線から分かるように、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合には、図6中”DB71”に示す下部のDBR層26及び図6中”QW71”に示す活性層28を含むスペーサ層27〜位相調整層41の半導体層における光強度が小さく、逆に、図6中”AG71”に示すエアギャップにおける光強度が大きくなり、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが少なくなる。
【0080】
一方、例えば、図7中”CH81”に示す特性曲線から分かるように、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合には、図7中”AG81”に示すエアギャップにおける光強度が小さく、逆に、図7中”QW81”に示す活性層28を含むスペーサ層27〜位相調整層41の半導体層における光強度が大きくなり、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが多くなる。
【0081】
すなわち、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合には、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが少なくなるので、図8中”CH91”に示すような特性曲線になり、閾値電流が図8中”TC92”に示すようになる。
【0082】
一方、位相調整層41とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合には、活性層28における発振するレーザ光の閉じ込めが多くなるので、図8中”CH92”に示すような特性曲線になり、閾値電流が図8中”TC91”に示すようになり、前者と比較して閾値電流を低くすることが可能になる。
【0083】
また、図1等に示す実施例では、メンブレン36をMEMSで可動にして、コンタクト層と上部のDBR層との間隔(図1中”AG21”に示すエアギャップの間隔に相当)を調整することにより、レーザ光の発振波長を可変にしているが固定波長の面発光レーザに適用しても勿論構わない。
【0084】
また、図1等に示す実施例では、イオン注入する重い元素として酸素を例示しているが、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、クロム等であっても良く、これらの組み合わせであっても構わない。
【0085】
また、図1等に示す実施例では、1回のイオン注入工程によってイオン注入を行っているが、注入エネルギーを変化させながら複数回のイオン注入を行っても構わない。
【0086】
また、図4に示す第3の実施例では半導体表面(例えば、最上部のスペーサ層)の中央部分及び周辺部分を凸部にし、中央部分と周辺部分とで囲まれる部分を凹部にしているが、半導体表面の中央部分とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、半導体表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するよう配置すれば凸部と凹部が逆であっても勿論構わない。
【0087】
また、図4及び図5に示す第3及び第4の実施例では、図1に示す第1の実施例をベースにして記載しているが、勿論、図3に示す第2の実施例をベースにして記載しても構わない。
【0088】
また、第2の分布反射膜であるDBR層35等は図面的には平面形状を例示しているが、第2の分布反射膜であるDBR層35等を曲面にしても構わない。この場合には、光共振器の損失を低減することができる。
【0089】
また、イオン注入領域をスペーサ層29の途中まで形成する実施例を例示しているが、活性層28や下部のスペーサ層27にかけてまで当該イオン注入領域を形成しても構わない。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2及び請求項8の発明によれば、イオン注入により周辺部分に高抵抗化されたイオン注入領域を設けることにより、トンネル接合層の周辺部分をエッチングで除去する必要性がなく電流狭窄が行えるので、エッチングによる段差に起因する結晶の異常成長等がなくなる。
【0091】
また、請求項3,4及び請求項8の発明によれば、元素として酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの何れか、或いは、酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの組み合わせを用いることにより、水素イオンをイオン注入して形成した高抵抗領域と比較して熱処理工程による低抵抗化を抑制することができる。
【0092】
また、請求項5の発明によれば、半導体層表面の中央部分(凸部)とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように、また、半導体層表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分(凹部)とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように膜厚を調整することにより、エアギャップを半導体層表面とDBR層との間に挿入する構成にした場合であっても横モード制御が可能になり、基本モードを安定化させることが可能になる。
【0093】
また、請求項6の発明によれば、半導体層表面に位相調整層を設け、位相調整層とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように膜厚を調整することにより、閾値電流を低くすることが可能になる。
【0094】
また、請求項7の発明によれば、第2の分布反射膜であるDBR層を曲面にすることにより、光共振器の損失を低減することができる。
【0095】
また、請求項9の発明によれば、メンブレンをMEMSで可動にして、コンタクト層とDBR層との間隔を調整することにより、レーザ光の発振波長を可変にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る面発光レーザの一実施例を示す構成断面図である。
【図2】注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る面発光レーザの第2の実施例を示す構成断面図である。
【図4】本発明に係る面発光レーザの第3の実施例を示す構成断面図である。
【図5】本発明に係る面発光レーザの第4の実施例を示す構成断面図である。
【図6】位相調整層とエアギャップの境界面に定在波の節が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図である。
【図7】位相調整層とエアギャップの境界面に定在波の腹が位置する場合のレーザ光の光強度分布の一例を示す特性曲線図である。
【図8】図6及び図7における閾値電流と光出力の一例を示す特性曲線図である。
【図9】従来の面発光レーザの一例を示す構成断面図である。
【図10】注入電流の流れの一例を示す説明図である。
【図11】従来の面発光レーザの他の一例を示す構成断面図である。
【符号の説明】
1,14,21,26,35 分布反射層(DBR層)
2,4,27,29,32,40 スペーサ層
3,16,28 活性層
5,6,30,31 トンネル接合層
7 低屈折率層
8 ミラー層
9,33 コンタクト層
10,12,22,23a,23b,34,37 電極
11 ヒートシンク
13 InP基板
15,17,20 InP層
18,19 InGaAsP層
24a,24b 水素イオン注入領域
25 基板
36 メンブレン
38,39 イオン注入領域
41 位相調整層
Claims (9)
- 成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
光の取り出し口を有する基板と、
この基板上に形成された第1の分布反射層と、
第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に前記第1の分布反射層上に形成された活性層と、
上部の前記第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、
発光領域の周辺部分であって前記トンネル接合層から少なくとも上部の前記第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、
このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、
この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、
このコンタクト層上に形成される第1の電極と、
前記基板の裏面であって前記光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、
前記第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層と
を備えたことを特徴とする面発光レーザ。 - 成長層に垂直な方向にレーザ光を出射する面発光レーザにおいて、
光の取り出し口を有する基板と、
この基板上に形成された第1の分布反射層と、
第1及び第2のスペーサ層により上下方向から挟まれると共に前記第1の分布反射層上に形成された活性層と、
発光領域の周辺部分であって少なくとも上部の前記第1のスペーサ層の途中まで元素をイオン注入して高抵抗化させたイオン注入領域と、
上部の前記第1のスペーサ層上にトンネル接合を形成するトンネル接合層と、
このトンネル接合層上に形成された第3のスペーサ層と、
この第3のスペーサ層上の周辺部に形成されたコンタクト層と、
このコンタクト層上に形成される第1の電極と、
前記基板の裏面であって前記光の取り出し口以外の部分に形成された第2の電極と、
前記第3のスペーサ層とエアギャップを介して対向するように第2の分布反射層と
を備えたことを特徴とする面発光レーザ。 - 前記元素が、
酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの何れかであることを特徴とする
請求項1若しくは請求項2記載の面発光レーザ。 - 前記元素が、
酸素、フッ素、珪素、鉄、アルミニウム、若しくは、クロムの組み合わせであることを特徴とする
請求項1若しくは請求項2記載の面発光レーザ。 - 半導体層表面に凹凸を設け、
半導体層表面の中央部分と前記エアギャップの境界面に定在波の腹が位置し、半導体層表面の中央部分と周辺部分とで囲まれる部分とエアギャップの境界面に定在波の節が位置するように膜厚を調整したことを特徴とする
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の面発光レーザ。 - 半導体層表面に位相調整層を設け、
前記位相調整層と前記エアギャップの境界面に定在波の腹が位置するように膜厚を調整したことを特徴とする
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の面発光レーザ。 - 前記第2の分布反射層が、
曲面であることを特徴とする
請求項1若しくは請求項2記載の面発光レーザ。 - 注入エネルギーを変化させながら複数回のイオン注入を行って前記イオン注入領域を形成することを特徴とする
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の面発光レーザ。 - 前記第2の分布反射膜は半導体微細加工技術によって形成され可動にしたことを特徴とする
請求項1、請求項2若しくは請求項7記載の面発光レーザ。
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