JP7369401B2 - 二酸化炭素吸収液、及び富二酸化炭素吸収液の調製方法 - Google Patents

二酸化炭素吸収液、及び富二酸化炭素吸収液の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、二酸化炭素吸収液、富二酸化炭素吸収液の調製方法、及び二酸化炭素の回収方法に関する。
含フッ素リン酸エステルは、高難燃性という優れた特性を有する。そのため、含フッ素リン酸エステルの各種応用用途の可能性が検討されている。
例えば、特許文献1には、含フッ素リン酸エステルを、ナトリウムイオン二次電池用電解質の非水溶媒として用いることが記載されている。
また、特許文献2には、含フッ素リン酸ジエステルアニオンを難燃性電解コンデンサの電解質の溶媒として用いることが記載されている。
また、特許文献3には、リン酸エステル等と含フッ素リン酸エステルアミドからなる液体組成物を金属抽出溶媒、非水電解液溶媒、洗浄剤として用いることが記載されている。
特開2016-76425号公報 特開2015-12247号公報 特開2016-62676号公報
含フッ素リン酸エステルは、前述のとおり高難燃性などの優れた特性を有しており、更なる用途の開発が求められる。
したがって、本発明の目的は、含フッ素リン酸エステルの新規な用途を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成すべく含フッ素リン酸エステルの気体吸収特性などの検討を行った結果、含フッ素リン酸エステルが、高圧下で二酸化炭素を大量に吸収することを見いだした。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
本発明の第一の観点に係る二酸化炭素吸収液は、含フッ素リン酸エステルを含有する二酸化炭素吸収液であって、
前記含フッ素リン酸エステルは、式(1)で表される含フッ素リン酸トリエステルである。
Figure 0007369401000001
(式中、Rf、Rf及びRfは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のフッ化アルキル基を表し、且つRf、Rf及びRfの少なくとも1つはフッ化アルキル基である。)
前記Rf、Rf及びRfは、2,2,2-トリフルオロエチル基である、と好ましい。
本発明の第二の観点に係る二酸化炭素吸収液は、含フッ素リン酸エステルを含有する二酸化炭素吸収液であって、
前記含フッ素リン酸エステルは、式(2)で表される含フッ素リン酸ジエステルアミドである。
Figure 0007369401000002
(式中、Rf及びRfは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のフッ化アルキル基を表し、且つRf及びRfの少なくとも1つはフッ化アルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。)
前記Rf及びRfは、2,2,2-トリフルオロエチル基であり、前記R及びRは、イソプロピル基である、と好ましい。
本発明の第の観点に係る、富二酸化炭素吸収液の調製方法は、前記二酸化炭素吸収液と二酸化炭素又は前記二酸化炭素を含有する混合ガスとを接触して、前記二酸化炭素吸収液に前記二酸化炭素を吸収させることを含む。
前記混合ガスは、前記二酸化炭素及び炭化水素を含有する混合ガスである、と好ましい。
前記炭化水素は、メタンである、と好ましい。
本発明により、含フッ素リン酸エステルの新規な用途が提供される。
二酸化炭素吸収試験装置(高圧・体積膨張率測定)を示す図。 二酸化炭素吸収試験装置(高圧・ガス吸収量測定)を示す図。 実施例1、2、比較例4、5の二酸化炭素吸収液の密度の温度依存性を示すグラフ。 実施例1、2、比較例4、5の二酸化炭素吸収液の粘度の温度依存性を示すグラフ。 実施例1、比較例4の二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(体積濃度基準)。 実施例1、比較例4の二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(モル分率基準)。 実施例1、比較例4の富二酸化炭素吸収液の圧力に対する密度を示すグラフ。 実施例1、比較例4の富二酸化炭素吸収液の圧力に対する体積膨脹を示すグラフ。 実施例2、比較例5の二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(体積濃度基準)。 実施例2、比較例5の二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(モル分率基準)。 実施例2、比較例5の富二酸化炭素吸収液の圧力に対する密度を示すグラフ。 実施例2、比較例5の富二酸化炭素吸収液の圧力に対する体積膨脹を示すグラフ。 実施例1、2、比較例1~5の40℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(体積濃度基準)。 図13の圧力0~4MPaの範囲を拡大したグラフ。 実施例1、2、比較例1~5の40℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(モル分率基準)。 実施例1、2、比較例2~3の80℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(体積濃度基準)。 実施例1、2、比較例2~3の80℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(モル分率基準)。 実施例1、2、比較例4、5の二酸化炭素吸収液の熱重量測定の結果を示すグラフ。 実施例1の二酸化炭素吸収液の示差走査熱量測定の結果を示すグラフ。 実施例2の二酸化炭素吸収液の示差走査熱量測定の結果を示すグラフ。 実施例1、2、比較例3~5の60℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(体積濃度基準)。 実施例1、2、比較例3~5の60℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を示すグラフ(モル分率基準)。 比較例4の二酸化炭素吸収液の示差走査熱量測定の結果を示すグラフ。 比較例5の二酸化炭素吸収液の示差走査熱量測定の結果を示すグラフ。 実施例1、2、比較例4、5のメタン吸収量の圧力依存性を示すグラフ(体積濃度基準)。 実施例1、2、比較例4、5のメタン吸収量の圧力依存性を示すグラフ(モル分率基準)。 実施例1、比較例4の二酸化炭素吸収量及びメタン吸収量の圧力依存性を示すグラフ(体積濃度基準及びモル分率基準)。 実施例2、比較例5の二酸化炭素吸収量及びメタン吸収量の圧力依存性を示すグラフ(体積濃度基準及びモル分率基準)。
本発明の一実施形態の二酸化炭素吸収液は含フッ素リン酸エステルを含有する。
含フッ素リン酸エステルは、少なくとも1つのリン酸エステル結合を有する含フッ素化合物であれば特に限定されない。リン酸エステル結合は、式(3)で表される化学結合である。
Figure 0007369401000003
含フッ素リン酸エステルとしては、含フッ素リン酸トリエステル、含フッ素リン酸ジエステル、含フッ素リン酸モノエステルが挙げられる。
含フッ素リン酸トリエステルは、式(4)で表される構造を有する含フッ素化合物であり、
Figure 0007369401000004
含フッ素リン酸ジエステルは、式(5)で表される構造を有する含フッ素化合物(ただし、式(4)で表される構造を有する含フッ素化合物を除く)であり、
Figure 0007369401000005
含フッ素リン酸モノエステルは、式(6)で表される構造を有する含フッ素化合物(ただし、式(4)又は式(5)で表される構造を有する含フッ素化合物を除く)である。
Figure 0007369401000006
(含フッ素リン酸トリエステル)
含フッ素リン酸トリエステルとしては、例えば、オルトリン酸(O=P(OH))の3つのエステル形成部位(-OH基)の3つがエステル化された含フッ素化合物が挙げられる。含フッ素リン酸トリエステルは、式(1)で表される含フッ素リン酸トリエステルが好ましい。
Figure 0007369401000007
(式中、Rf、Rf及びRfは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のフッ化アルキル基を表し、且つRf、Rf及びRfの少なくとも1つはフッ化アルキル基である。)
Rf、Rf及びRfは、これらのうち2つが同じであってもよく、全てが同じであってもよく、又は全てが異なっていてもよい。Rf、Rf及びRfで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などのC1-6アルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数はそれぞれ、1個、2個又は3個が好ましく、2個がより好ましい。フッ化アルキル基としては、例えば、これらのアルキル基に対応するフッ化アルキル基、つまり、フッ化C1-6アルキル基が挙げられる。
フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は特に制限されず、フッ化アルキル基の炭素数に応じて適宜選択できる。各フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は、1個からパーフルオロ化した場合の個数を選択できる。例えば、1個~9個から選択でき、1個~7個であってもよい。難燃性、二酸化炭素吸収性等の観点からは、フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は、複数個であることが好ましく、2個、3個、4個又は5個であるとより好ましい。二酸化炭素の吸収量の観点から言えば、フッ素原子の個数が多いと、二酸化炭素の吸収量が優れる傾向があり、フッ素原子の個数が少なく、分子量が小さいと粘度が低下し二酸化炭素の吸収速度が優れる傾向にある。また、フッ素原子の個数が少ないとフッ素化のコストの点で有利である。
フッ化アルキル基は、フッ化アルキル基を構成するいずれの炭素原子上にフッ素原子を有していてもよいが、フッ化リン酸エステルのリン原子からできるだけ遠い炭素原子上に有していることが好ましい。例えば、フッ化エチル基では、エチル基の2位の炭素原子、フッ化n-プロピル基では、n-プロピル基の3位の炭素原子上に、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ化アルキル基の個数は1個~3個から選択でき、難燃性などの観点からは、Rf、Rf及びRfのうち、2つ又は3つがフッ化アルキル基であると好ましい。
フッ化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基などのジフルオロC1-3アルキル基;トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などのトリフルオロC1-3アルキル基;2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基などのテトラフルオロC2-3アルキル基などが挙げられる。
より具体的には、含フッ素リン酸トリエステルとして、例えば、リン酸トリス(トリフルオロメチル)、リン酸トリス(2,2-ジフルオロエチル)、リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)、リン酸トリス(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)、リン酸トリス(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)、リン酸トリス(ヘキサフルオロイソプロピル)、リン酸トリス(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル)、リン酸トリス(2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル)、リン酸トリス(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)メチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)2,2-ジフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、リン酸ビス(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)2,2,2-トリフルオロエチル及びリン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)メチルなどが挙げられる。
これら含フッ素リン酸トリエステルのうち、二酸化炭素吸収性などの観点で、Rf、Rf及びRfの少なくとも1つが2,2,2-トリフルオロエチル基である含フッ素リン酸トリエステルが好ましく、Rf、Rf及びRfのうち2つが2,2,2-トリフルオロエチル基である含フッ素リン酸トリエステルがより好ましく、Rf、Rf及びRfが2,2,2-トリフルオロエチル基であると更に好ましい。例えば、リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)メチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)2,2-ジフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、リン酸ビス(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)2,2,2-トリフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)メチルが好ましく、Rf、Rf及びRfが2,2,2-トリフルオロエチル基であるリン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)がより好ましい。
(含フッ素リン酸ジエステル)
含フッ素リン酸ジエステルとしては、例えば、オルトリン酸(O=P(OH))の3つのエステル形成部位(-OH基)の2つがエステル化された含フッ素化合物、前述の含フッ素リン酸トリエステルのエステル化された部位の1つが置換された含フッ素化合物、ホスホン酸(O=P(H)(OH))の2つのエステル形成部位(-OH基)がエステル化された含フッ素化合物(含フッ素ホスホン酸ジエステル)が挙げられる。含フッ素リン酸ジエステルは、式(7)で表されるリン酸ジエステルが好ましい。
Figure 0007369401000008
(式中、Rf及びRfのそれぞれは、アルキル基又はフッ化アルキル基を示し、Rf及びRfのうち少なくとも1つはフッ化アルキル基であり、Xは、水素原子、水酸基、又はその他の置換基である。)
Rf及びRfは、2つが同じであってもよく、又は異なっていてもよい。Rf及びRfで表されるアルキル基としては、前述のRf等と同様に例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などのC1-6アルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数はそれぞれ、1個、2個又は3個が好ましく、2個がより好ましい。フッ化アルキル基としては、例えば、これらのアルキル基に対応するフッ化アルキル基、つまり、フッ化C1-6アルキル基が挙げられる。
フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は特に制限されず、フッ化アルキル基の炭素数に応じて適宜選択できる。各フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は、1個~パーフルオロ化した場合の個数を選択できる。例えば、1個~9個から選択でき、1個~7個であってもよい。難燃性、二酸化炭素吸収性等の観点からは、フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は、複数個であることが好ましく、2個、3個、4個又は5個であるとより好ましい。二酸化炭素の吸収量の観点から言えば、フッ素原子の個数が多いと、二酸化炭素の吸収量が優れる傾向があり、フッ素原子の個数が少なく、分子量が小さいと粘度が低下し二酸化炭素の吸収速度が優れる傾向にある。また、フッ素原子の個数が少ないとフッ素化のコストの点で有利である。
フッ化アルキル基は、フッ化アルキル基を構成するいずれの炭素原子上にフッ素原子を有していてもよいが、フッ化リン酸エステルのリン原子からできるだけ遠い炭素原子上に有していることが好ましい。例えば、フッ化エチル基では、エチル基の2位の炭素原子、フッ化n-プロピル基では、n-プロピル基の3位の炭素原子上に、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ化アルキル基の個数は1個又は2個から選択でき、難燃性などの観点からは、Rf及びRfがフッ化アルキル基であると好ましい。
フッ化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基などのジフルオロC1-3アルキル基;トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などのトリフルオロC1-3アルキル基;2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基などのテトラフルオロC2-3アルキル基などが挙げられる。
は、水素原子、水酸基、又はその他の置換基である。その他の置換基としては、アミド基が挙げられる。
がアミド基である含フッ素リン酸ジエステルは、式(2)で表される含フッ素リン酸ジエステルアミドであると好ましい。
Figure 0007369401000009
(式中、Rf及びRfは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のフッ化アルキル基を表し、且つRf及びRfの少なくとも1つはフッ化アルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。)
Rf及びRfとしては、例えば、前述のRf及びRfと同様のものが挙げられる。
及びRは、2つが同じであってもよく、又は異なっていてもよい。R及びRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などのC1-6アルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数はそれぞれ、1個、2個又は3個が好ましく、2個がより好ましい。
含フッ素リン酸ジエステルアミドとしては、ビス(トリフルオロメチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2-ジフルオロエチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジメチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジエチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジ-n-プロピルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジ-n-ブチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジイソブチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジ-sec-ブチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジ-tert-ブチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジ-n-ペンチルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジ-n-ヘキシルホスホロアミダート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-メチル-tert-ブチルホスホロアミダート等が挙げられるが、Rf及びRfが2,2,2-トリフルオロエチル基であり、R及びRが、イソプロピル基である、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダートが好ましい。
(含フッ素リン酸モノエステル)
含フッ素リン酸モノエステルとしては、例えば、オルトリン酸(O=P(OH))の3つのエステル形成部位(-OH基)の1つがエステル化された含フッ素化合物、ホスホン酸(O=P(H)(OH))の2つのエステル形成部位(-OH基)の1つがエステル化された含フッ素化合物(含フッ素ホスホン酸モノエステル)、ホスフィン酸(O=P(H)(OH))のエステル形成部位(-OH基)がエステル化された含フッ素化合物(含フッ素ホスフィン酸エステル)が挙げられる。
含フッ素リン酸モノエステルは、式(8)で表されるリン酸モノエステルが好ましい。
Figure 0007369401000010
(式中、Rfは、フッ化アルキル基を示し、X及びXは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、又はその他の置換基である。)
Rfで表されるフッ化アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などのC1-6アルキル基に対応するフッ化アルキル基、つまり、フッ化C1-6アルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数はそれぞれ、1個、2個又は3個が好ましく、2個がより好ましい。
フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は特に制限されず、フッ化アルキル基の炭素数に応じて適宜選択できる。各フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は、1個~パーフルオロ化した場合の個数を選択できる。例えば、1個~9個から選択でき、1個~7個であってもよい。難燃性、二酸化炭素吸収性等の観点からは、フッ化アルキル基が有するフッ素原子の個数は、複数個であることが好ましく、2個、3個、4個又は5個であるとより好ましい。二酸化炭素の吸収量の観点からは、フッ素原子の個数が多いと、二酸化炭素の吸収量が優れる傾向があり、フッ素原子の個数が少なく、分子量が小さいと粘度が低下し二酸化炭素の吸収速度が優れる傾向にある。また、フッ素原子の個数が少ないとフッ素化のコストの点で有利である。
フッ化アルキル基は、フッ化アルキル基を構成するいずれの炭素原子上にフッ素原子を有していてもよいが、フッ化リン酸エステルのリン原子からできるだけ遠い炭素原子上に有していることが好ましい。例えば、フッ化エチル基では、エチル基の2位の炭素原子、フッ化n-プロピル基では、n-プロピル基の3位の炭素原子上に、フッ素原子を有することが好ましい。
フッ化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基などのジフルオロC1-3アルキル基;トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などのトリフルオロC1-3アルキル基;2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基などのテトラフルオロC2-3アルキル基などが挙げられる。
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、又はその他の置換基である。その他の置換基としては、アミド基が挙げられる。
本実施形態の二酸化炭素吸収液は、含フッ素リン酸エステルを単独で用いることができるが、吸収液の粘度、二酸化炭素の吸放出量や吸放出速度を調整する観点で、更に溶媒を含有することができる。溶媒としては特に限定されないが、トルエン、キシレン、ベンゼンなどのベンゼン系溶媒、炭化水素系溶媒、などの非極性溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGM)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(TRGM)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGM)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)などのエーテル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール類などの極性溶媒;1,3-ジアルキルイミダゾリウム、N-アルキルピリジニウム、N,N-ジアルキルピロリジウム、テトラアルキルアンモニウム、及びこれらの誘導体などのカチオンと、テトラシアノボレート(TCB)、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロホスフェイト(PF)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド((CFSON)、ハライド(Cl、Br、I)などのアニオンからなるイオン液体(1-エチル-3-メチルイミイダゾリウム テトラシアノボレート(略記:[emim][TCB]など)などのイオン液体;水などが挙げられる。
本実施形態の二酸化炭素吸収液の粘度は特に限定されないが、上限が、使用温度で25mPa・s未満であると好ましく、10mPa・s未満であるとより好ましい。使用温度は、例えば0℃、室温(25℃)等である。二酸化炭素吸収液の粘度がこの範囲にあると、二酸化炭素の吸収・放出の速度、二酸化炭素吸収液を輸送するポンプ動力(配管抵抗)の観点で好ましい。本実施形態の二酸化炭素吸収液の粘度及びその温度依存性は、用いる含フッ素リン酸エステルの種類や溶媒で調整できる。本実施形態に用いる含フッ素リン酸エステル自体の粘度が、前述の範囲であると、含フッ素リン酸エステル単独で二酸化炭素吸収液として使用することができる。
本実施形態の二酸化炭素吸収液の密度は特に限定されないが、上限が、使用温度で1.7g/cm未満であると好ましく、1.3g/cm未満であるとより好ましい。使用温度は、例えば0℃、室温(25℃)等である。二酸化炭素吸収液の密度がこの範囲にあると、二酸化炭素吸収液を輸送するポンプ動力の観点で好ましい。本実施形態の二酸化炭素吸収液の密度、及びその温度依存性は、用いる含フッ素リン酸エステルの種類や溶媒で調整できる。
本実施形態の二酸化炭素吸収液は、難燃性に優れ、また、二酸化炭素を吸収した富二酸化炭素吸収液の調製、その富二酸化炭素吸収液を用いた二酸化炭素の回収などに用いることができる。特に、本実施形態の二酸化炭素吸収液は、高圧下で二酸化炭素を吸収する能力に優れており、高圧下で二酸化炭素を吸収する富二酸化炭素吸収液の調製に適している。
(富二酸化炭素吸収液の調製方法)
次に、前述の二酸化炭素吸収液を用いた富二酸化炭素吸収液の調製方法について説明する。
本実施形態の富二酸化炭素吸収液の調製方法は、前述の二酸化炭素吸収液と二酸化炭素又は前記二酸化炭素を含有する混合ガスとを接触させて、二酸化炭素吸収液に二酸化炭素を吸収させることを含む。
ここで、富二酸化炭素吸収液とは、二酸化炭素を吸収している二酸化炭素吸収液である。富二酸化炭素吸収液中の二酸化炭素の含有量は特に限定されず、二酸化炭素の分圧が高圧であるほど高含有量となる傾向にあるが、単位体積当たりの含有量で、1mol/dm以上であると好ましく、5mol/dm以上であるとより好ましく、10mol/dm以上であると更に好ましい。富二酸化炭素吸収液中の二酸化炭素の含有量が多いと、二酸化炭素の貯蔵、二酸化炭素の分離回収などに有用である。
二酸化炭素吸収液に吸収させる二酸化炭素は、単独であっても、二酸化炭素を含有する2成分又は3成分以上の混合ガスであってもよい。二酸化炭素吸収液に二酸化炭素を含有する混合ガスを接触させる場合には、混合ガスから二酸化炭素のみを選択的にあるいは他の成分と合わせて吸収することができる。例えば、混合ガス中の他の成分が、メタンやエタンなど炭化水素系のガスである場合は、二酸化炭素のみを選択的に吸収することができる。また、混合ガス中の他の成分が、SOやNOなどの酸性ガスやフロンなどフッ素系のガスである場合は、二酸化炭素と合わせて吸収することができる。
混合ガス中の他の成分が、メタンである場合は、二酸化炭素/メタン吸収選択比が、二酸化炭素/メタンの体積濃度比で10以上である二酸化炭素吸収液を用いることが好ましい。このような二酸化炭素吸収液を用いることで、効率良く高純度の二酸化炭素を回収することができる。
二酸化炭素吸収液と二酸化炭素又はそれを含有する混合ガスとの接触方法は特に限定されない。例えば、二酸化炭素吸収液中に二酸化炭素又はそれを含有する混合ガスをバブリングさせる方法、二酸化炭素又はそれを含有する混合ガスに二酸化炭素吸収液をスプレーする方法、二酸化炭素吸収液を含浸又はゲル化させた材料と、二酸化炭素又はそれを含有する混合ガスを接触させる方法などが挙げられる。
二酸化炭素又はそれを含有する混合ガスを二酸化炭素吸収液に接触させて、二酸化炭素吸収液に二酸化炭素を吸収させる温度は特に限定されないが、例えば0℃から80℃程度である。二酸化炭素を二酸化炭素吸収液に吸収させる温度が低いほど、富二酸化炭素吸収液中の二酸化炭素の含有量が多くなる傾向にあり、60℃以下であると好ましく、40℃以下であるとより好ましく、25℃以下であるとさらに好ましい。
二酸化炭素又はそれを含有する混合ガスを二酸化炭素吸収液に接触させて、二酸化炭素吸収液に二酸化炭素を吸収させる圧力は特に限定されないが、例えば、二酸化炭素の分圧で0.1MPa~12MPa程度である。二酸化炭素を二酸化炭素吸収液に吸収させる圧力が高いほど、富二酸化炭素吸収液中の二酸化炭素の含有量が多くなる傾向にあり、2MPa以上であると好ましく、4MPa以上であるとより好ましく、6MPa以上であると更に好ましい。
二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収能は、特に限定されないが、富二酸化炭素吸収液中の二酸化炭素含有量のモル分率で、二酸化炭素分圧2MPa(40℃)で0.4以上であり、二酸化炭素分圧4MPa(40℃)で0.6以上であり、かつ二酸化炭素分圧6MPa(40℃)で0.7以上であると、好ましい。二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収能がこの範囲にあると、二酸化炭素の貯蔵に適しており、また、後述の二酸化炭素の回収方法に好適である。また、二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収能のモル分率における上限は、特に限定されないが、1(40℃)に近いほど好ましい。
また、二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収能は、単位体積当たりの吸収量で、二酸化炭素分圧6MPa(40℃)で8mol/dm以上であり、かつ二酸化炭素分圧7MPa(40℃)で13mol/dm以上であると、好ましい。また、二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収能の単位体積当たりの吸収量における上限は、特に限定されないが、例えば25mol/dmである。二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収能が、単位体積当たりの吸収量でこの範囲にあると、二酸化炭素の貯蔵に適しており、また、後述する二酸化炭素の回収方法に好適である。
本実施形態の富二酸化炭素吸収液の調製方法により得られた富二酸化炭素吸収液は、二酸化炭素吸収液を多く吸収しているので、二酸化炭素の貯蔵に適しており、また、富二酸化炭素吸収液から二酸化炭素を回収することもできる。
(二酸化炭素の回収方法)
次に、前述の富二酸化炭素吸収液の調製方法で得られた富二酸化炭素吸収液を用いた二酸化炭素の回収方法について説明する。
本実施形態の二酸化炭素の回収方法は、前述の富二酸化炭素吸収液の調製方法で得た富二酸化炭素吸収液を、前記二酸化炭素を吸収させた圧力より低圧に、又は/かつ、前記二酸化炭素を吸収させた温度より高温にして、前記富二酸化炭素吸収液から前記二酸化炭素を放出させることを含む。
二酸化炭素を放出させる富二酸化炭素吸収液の圧力は、特に限定されないが、二酸化炭素を吸収させた二酸化炭素分圧より低圧であると好ましい。例えば、圧力の差が1MPa以上であると好ましく、2MPa以上であるとより好ましく、8MPa以上であると更に好ましい。圧力の差が大きいほど二酸化炭素の回収量が多くなる。
富二酸化炭素吸収液を低圧にすることで、気体の二酸化炭素が放出される。その後、気相と液相を分離することで、液相は、二酸化炭素吸収液として再使用することができる。
二酸化炭素を放出させる富二酸化炭素吸収液の温度は、特に限定されないが、二酸化炭素を吸収させた温度より高温であると好ましい。例えば、温度の差が20℃以上であると好ましく、40℃以上であるとより好ましく、55℃以上であると更に好ましい。温度の差が大きいほど二酸化炭素の回収量が多くなる。
富二酸化炭素吸収液から二酸化炭素を放出させる装置は、富二酸化炭素吸収液から二酸化炭素が放散されるのであれば、特に限定されない。
本実施形態の二酸化炭素の回収方法によれば、二酸化炭素の吸収量が多い二酸化炭素吸収液を利用することで、二酸化炭素分離回収プロセスの効率を高めることができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。圧力は、特に断りのない限り絶対圧である。
(測定方法)
(二酸化炭素吸収量(高圧))
図1と図2に示す試験装置を用いて、高圧条件下で二酸化炭素の吸収量を測定した。
(体積膨張率の測定)
図1の体積膨張率測定装置は、真空ポンプ201、カセトメーター202、撹拌子203、サファイアチューブセル204、永久磁石205、恒温槽206、バルブ208、バルブ209、バルブ210、サーミスター211、圧力計212、冷却水循環装置213、二酸化炭素ボンベ214を備える。207は液相高さを示す。
以下、具体的な操作を説明する。
1)十分に露点が低いグローブボックス内で、サファイアチューブセル204に、事前に十分に乾燥した吸収液を所定量(約0.6cc)仕込み、サファイアチューブセル204のバルブ208を閉じる。仕込み量(w)を電子天秤で測定する。
2)サファイアチューブセル204を、バルブ208を介してガス導入ラインに接続し、恒温槽206内部に設置し、バルブ208を閉じたまま、バルブ209とバルブ210を開け、真空ポンプ201でガス導入ライン内を十分に脱気する。その後、バルブ210を閉じ、バルブ209を開けてガス導入ラインに0.1MPa程度の二酸化炭素を導入し、バルブ209を閉じる。その後、バルブ208を開けてセル内部に二酸化炭素を導入し、吸収液を撹拌子203で1分撹拌した後、バルブ210を開けて0.05MPa程度まで減圧する。最後に、バルブ208を閉じ、ガス導入ラインを再び脱気した後、バルブ210を閉じる。以上の作業を5回繰り返す。
3)バルブ209を開けて、ガス導入ラインに0.1MPa程度の二酸化炭素を導入する。その後、バルブ209を閉じ、バルブ208を開けて、サファイアチューブセル204内に二酸化炭素を導入する。
4)サファイアチューブセル204外部の永久磁石205をモーター(図1に示していない)で上下に動かし、サファイアチューブセル204内部の撹拌子203を上下振動させ、吸収液相を撹拌する。この際、撹拌子203が液面から出ないよう、永久磁石205の位置を調整する。その後、恒温槽206の温度を40℃に保ち、撹拌を継続しつつ、サファイアチューブセル204内の圧力を圧力計212にて測定する。気液平衡状態に到達したことは、圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になったことで判断する。
5)気液平衡状態に到達した後、カセトメーター202による目視で吸収液相の高さ(H)207を計測する。吸収液相の高さ(H)と吸収液相の体積(V)には直線関係があり、実験前に作成した検量線と吸収液相の高さ(H)から吸収液相の体積(V(p,T))を算出できる。この操作を、1時間ごとに、合計3回以上行い、その平均を用いて体積膨張率(ΔV)を求める。体積膨張率(ΔV)は下記式で定義される。
ΔV=(V(p,T)-V(p,T))/V(p,T)
上記式中、V(p,T)は平衡圧力p、測定温度Tにおける吸収液相の体積、V(p,T)は大気圧(0.1MPa(二酸化炭素が存在しない))、測定温度Tにおける吸収液相の体積である。V(p,T)はAnton Paar製密度計DMA5000Mから得た密度を用いる。
6)系内の圧力及び恒温槽206の温度を適宜変更し、4)と5)の操作を繰り返し、各圧力及び温度における体積膨張率を決定する。
(二酸化炭素吸収量の測定)
図2のガス吸収量測定装置は、真空ポンプ301、真空計302、高圧セル部303、ガスチャンバー部304、恒温槽305、バルブ306、バルブ307、バルブ308、バルブ309、バルブ310、サーミスター311、圧力計312、冷却水循環装置313、二酸化炭素ボンベ314を備える。高圧セル部303は、高圧セル315、スターラー316を備える。
以下、具体的な操作を説明する。
7)十分に露点が低いグローブボックス内で、高圧セル315に、事前に十分に乾燥した吸収液を所定量(約10cc)仕込み、高圧セル315を閉じ、さらにバルブ306を閉じ、電子天秤で吸収液の仕込み量を測定する。高圧セル315を、バルブ306で装置に接続し、バルブ306、307、308、309、310を開け、真空ポンプ301で系内を脱気する。系内の圧力は圧力計312と真空計302で計測し、圧力計の表示が0.0000MPa、真空計の指示が2Pa以下に到達した後、さらに6時間以上脱気操作を続ける。その後、バルブ308と310を閉じ、12時間以上放置し、圧力計の表示値の変化が0.0001MPa/12h以下であることを確認する。
8)バルブ306と309を閉じ、バルブ308を開けて二酸化炭素を6.0MPa程度導入する。続いて、バルブ308を閉じ、恒温槽305の温度を40℃に保ち、圧力を圧力計312で計測する。また、高圧セル315内部を、撹拌子(図2に示していない)を回転させ、撹拌する。撹拌子の回転にはスターラー316を使用し、以降、撹拌は測定終了まで継続する。
9)圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になった際、ガスチャンバー部304が熱平衡に到達したと見なし、圧力を圧力計312で測定する。その後、温度と圧力から二酸化炭素のモル体積(v)を決定し、これとガスチャンバー部304の容積から二酸化炭素の物質量(n)を求める。本測定では、モル体積は、NIST REFPROP Ver.9.0を利用して求める。この操作を、1時間ごとに、合計3回以上繰り返し、その平均値を物質量(n)として採用する。
10)バルブ309、バルブ306の順に開け、二酸化炭素を吸収液に吸収させる。圧力変化が1時間あたり0.0001MPa以下になった際、気液平衡状態に到達したと見なし、圧力を圧力計312で測定する。温度と圧力から二酸化炭素のモル体積(v)を決定し、下記式を用いて、吸収液に吸収された二酸化炭素の物質量(n)を決定する。
=n-[V-V(T)×(1+ΔV(T,p))]/v(T,p)
上記式中、nはガスチャンバーに導入された二酸化炭素の物質量を、v(T,p)は二酸化炭素のモル体積を、ΔV(T,p)は吸収液の体積膨張率を意味する。また、Vはガスチャンバー部304(容積:V)と高圧セル部303(容積:V)の容積の合計であり、nは下記式から求める。
=V/v(T,p)
上記式中、v(T,p)は平衡圧力p、測定温度Tにおける二酸化炭素のモル体積である。なお、モル体積はガスの種類、温度、圧力のみで決定される。V(T)は二酸化炭素を吸収する前の吸収液の体積であり、下記式で求められる。
(T)=wρ(T)
上記式中、wは吸収液の仕込み量であり、上記操作7)で決定する。ρ(T)は吸収液の密度、Tは測定温度である。ΔV(T,p)は吸収液の体積膨張率であり、体積膨張率の測定結果から決定する。この操作を、1時間ごとに、合計3回以上繰り返し、その平均値を吸収液に吸収された二酸化炭素の物質量(n)として採用する。
11)系内の圧力及び恒温槽の温度を適宜変更し、8)から10)の操作を繰り返し、各圧力及び温度における、吸収液に吸収された二酸化炭素の物質量を決定する。
12)吸収液中の二酸化炭素のモル分率(xCO2)は下記式から決定する。
CO2=n/(n+n
は含フッ素リン酸エステル(比較例においてはジグリム、アミン化合物又はイオン液体)の物質量であり、吸収液の仕込み量wを、吸収液に含まれる含フッ素リン酸エステル(比較例においてはジグリム、アミン化合物又はイオン液体)の分子量Mで除することで得られる。
(実施例1)
式(9)で表されるリン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)(東ソー・ファインケム株式会社製)(以下「TFEP」と記載することがある。)を二酸化炭素吸収液E1として用いた。
Figure 0007369401000011
二酸化炭素吸収液E1の密度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図3に示す。また、二酸化炭素吸収液E1の粘度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図4に示す。
また、二酸化炭素吸収液E1を各温度(25℃、40℃、60℃、80℃)下において、各圧力(約0.5~12MPa)で攪拌しながら二酸化炭素を吹込み、二酸化炭素が飽和するまで吸収させて、富二酸化炭素吸収液E1を得、二酸化炭素吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液E1の二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を、図5(体積濃度基準)及び図6(モル分率基準)に示す。図5及び図6から、二酸化炭素吸収液E1は、典型的な物理吸収の挙動を示した。また、後述するように、図13~図17、図21、図22に二酸化炭素吸収液E1の二酸化炭素吸収量を実施例2、比較例1~5の二酸化炭素吸収液と合わせて示し比較する。
前述の富二酸化炭素吸収液E1の密度の圧力依存性を図7に、体積膨脹の圧力依存性(常圧換算)を図8に示す。図7及び図8から、二酸化炭素吸収液E1は、高圧条件で二酸化炭素吸収に伴う体積膨張が大きいことがわかる。
また、二酸化炭素吸収液E1の熱重量測定、及び示差走査熱量測定(掃引速度=5℃/min)を行った。熱重量測定の結果を図18、示差走査熱量測定の結果を図19に示す。図18から、二酸化炭素吸収液E1は、80℃程度から質量減少が観察される。15%質量減少時の温度は、92℃であった。また、図19から、二酸化炭素吸収液E1は、-56℃付近に発熱ピーク、-23℃付近に吸熱ピークが検出された。二酸化炭素吸収液E1の融点は-23℃付近であることがわかる。
二酸化炭素吸収液E1を温度40℃、各圧力(約0.2~0.9MPa)で攪拌しながらメタンガスを吹込み、メタンが飽和するまで吸収させて、富メタン吸収液E1を得、メタン吸収量を測定した。測定方法は、二酸化炭素吸収量の測定と同様に行ったが、メタンは吸収量が小さく、体積膨張も無視できる程度であるため、二酸化炭素吸収量の測定において行った体積膨張率の測定やΔVの補正は行わなかった。
二酸化炭素吸収液E1のメタン吸収量の圧力に対する変化を、図25(体積濃度基準)及び図26(モル分率基準)に示す。また、二酸化炭素吸収量及びメタン吸収量の圧力依存性(体積濃度基準及びモル分率基準)を、後述する比較例4の二酸化炭素吸収液と合わせて図27に示す。
(実施例2)
式(10)で表されるビス(2,2,2-トリフルオロエチル)=N,N-ジイソプロピルホスホロアミダート(東ソー・ファインケム株式会社製)(以下「PF-37」と記載することがある。)を二酸化炭素吸収液E2として用いた。
Figure 0007369401000012
二酸化炭素吸収液E2の密度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図3に示す。また、二酸化炭素吸収液E2の粘度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図4に示す。二酸化炭素吸収液E1と二酸化炭素吸収液E2を比較すると分子量は、344.1と345.2とほぼ等しいが、密度は二酸化炭素吸収液E1が高く、粘度は二酸化炭素吸収液E2が高いことがわかる。
また、二酸化炭素吸収液E2を各温度(25℃、40℃、60℃、80℃)下において、各圧力(約0.5~12MPa)で攪拌しながら二酸化炭素を吹込み、二酸化炭素が飽和するまで吸収させて、富二酸化炭素吸収液E2を得、二酸化炭素吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液E2の二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を、図9(体積濃度基準)及び図10(モル分率基準)に示す。図9及び図10から、二酸化炭素吸収液E2は、典型的な物理吸収の挙動を示した。また、後述するように、図13~図17、図21、図22に二酸化炭素吸収液E2の二酸化炭素吸収量を実施例1、比較例1~5の二酸化炭素吸収液と合わせて示し比較する。
前述の富二酸化炭素吸収液E2の密度の圧力依存性を図11に、体積膨脹の圧力依存性(常圧換算)を図12に示す。図11及び図12から、二酸化炭素吸収液E2は、高圧条件で二酸化炭素吸収に伴う体積膨張が大きいことがわかる。
また、二酸化炭素吸収液E2の熱重量測定、及び示差走査熱量測定(掃引速度=5℃/min)を行った。熱重量測定の結果を図18、示差走査熱量測定の結果を図20に示す。図18から、二酸化炭素吸収液E2は、80℃程度から質量減少が観察される。15%質量減少時の温度は、105℃であった。また、図20から、二酸化炭素吸収液E2は、-120~50℃で発熱ピークと吸熱ピークのいずれも検出されなかった。
二酸化炭素吸収液E2について実施例1と同様にしてメタン吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液E2のメタン吸収量の圧力に対する変化を、図25(体積濃度基準)及び図26(モル分率基準)に示す。また、二酸化炭素吸収量及びメタン吸収量の圧力依存性(体積濃度基準及びモル分率基準)を、後述する比較例5の二酸化炭素吸収液と合わせて図28に示す。
(比較例1)
ジグリム(diglyme)を二酸化炭素吸収液R1として用い、40℃における二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を図13(体積濃度基準)、図14(図13の拡大図)、図15(モル分率基準)に示す。なお、二酸化炭素吸収量は参考文献(Fluid Phase Equilibria,302,103-108(2011))から引用した。
(比較例2)
N,N-ジメチルエタノールアミン(DMEA、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を二酸化炭素吸収液R2として用い、各温度(40℃、80℃)において各圧力で二酸化炭素を吸収させた。40℃における二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を図13(体積濃度基準)、図14(図13の拡大図)、図15(モル分率基準)に示す。また、80℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を図16(体積濃度基準)、図17(モル分率基準)に示す。なお、N,N-ジメチルエタノールアミンの体積膨張は、類似のアミン類化合物であるN-メチルジエタノールアミン(MDEA、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)の値を用いた。
(比較例3)
イオン液体である、1-エチル-3-メチルイミイダゾリウム テトラシアノボレート(略記:[emim][TCB])を二酸化炭素吸収液R3として用い、各温度(40℃、80℃)において各圧力で二酸化炭素を吸収させた。40℃における二酸化炭素吸収液の二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を図13(体積濃度基準)、図14(図13の拡大図)、図15(モル分率基準)に示す。また、80℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を図16(体積濃度基準)、図17(モル分率基準)に示す。また、60℃における二酸化炭素吸収液の圧力に対する二酸化炭素吸収量を図21(体積濃度基準)、図22(モル分率基準)に示す。
(比較例4)
式(11)で表されるリン酸トリエチル(東京化成工業株式会社製、製品コード:P0270)(以下「TEP」と記載することがある。)を二酸化炭素吸収液R4として用いた。
Figure 0007369401000013
二酸化炭素吸収液R4の密度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図3に示す。また、二酸化炭素吸収液R4の粘度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図4に示す。
また、二酸化炭素吸収液R4を各温度(25℃、40℃、60℃)下において、各圧力(約0.5~12MPa)で攪拌しながら二酸化炭素を吹込み、二酸化炭素が飽和するまで吸収させて、富二酸化炭素吸収液R4を得、二酸化炭素吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液R4の二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を、図5(体積濃度基準)及び図6(モル分率基準)に示す。
図5及び図6から、二酸化炭素吸収液R4(TEP)及び二酸化炭素吸収液E1(TFEP)は、典型的な物理吸収の挙動を示すことがわかる。また、フッ素化したTFEPの方がTEPよりも二酸化炭素吸収量が優れていた(高圧ではTEPの吸収量が増加)。
また、後述するように、図13~図17、図21、図22に二酸化炭素吸収液R4の二酸化炭素吸収量を実施例1、2、比較例1~3、5の二酸化炭素吸収液と合わせて示し比較する。
前述の富二酸化炭素吸収液E1と共に富二酸化炭素吸収液R4の密度の圧力依存性を図7に、体積膨脹の圧力依存性(常圧換算)を図8に示す。
二酸化炭素吸収液R4の熱重量測定を行った。熱重量測定の結果を図18に示す。図18から、二酸化炭素吸収液R4は、80℃より低い温度から質量減少が観察された。15%質量減少時の温度は、95℃であった。
二酸化炭素吸収液R4の示差走査熱量測定(掃引速度=5℃/min)を行った。示差走査熱量測定の結果を図23に示す。図23から、二酸化炭素吸収液R4は、-105℃付近に発熱ピーク、-57℃付近に吸熱ピークが検出された。
二酸化炭素吸収液R4について実施例1と同様にしてメタン吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液E2のメタン吸収量の圧力に対する変化を、図25(体積濃度基準)及び図26(モル分率基準)に示す。また、二酸化炭素吸収量及びメタン吸収量の圧力依存性(体積濃度基準及びモル分率基準)を図27に示す。
(比較例5)
式(12)で表されるジエチルN,N-ジイソプロピルホスホルアミダート(東ソー・ファインケム株式会社製)(以下「PH-47」と記載することがある。)を二酸化炭素吸収液R5として用いた。
Figure 0007369401000014
二酸化炭素吸収液R5の密度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図3に示す。また、二酸化炭素吸収液R5の粘度の温度に対する変化を測定した。測定結果を図4に示す。
実施例1、実施例2、比較例4、比較例5を比較する。表1にそれぞれの25℃における密度、モル体積、粘度をまとめた。
Figure 0007369401000015
(表中、括弧内の値は含フッ素化合物の非含フッ素化合物に対する比を示し、TFEPはTEPに対する比を、PF-37はPH-47に対する比を示す値である。)
表1、図3、4から以下のことがわかる。
密度は、フッ素数の増加に従い下記の様に増加した。
PH-47 < TEP < PF-37 < TFEP
モル体積は、フッ素化により、それぞれ2割前後増加した。
粘度は、下記の様に、分子量の増加に従い増加した。
TEP < PH-47 < TFEP < PF-37。
また、二酸化炭素吸収液R5を各温度(25℃、40℃、60℃)下において、各圧力(約0.5~12MPa)で攪拌しながら二酸化炭素を吹込み、二酸化炭素が飽和するまで吸収させて、富二酸化炭素吸収液R5を得、二酸化炭素吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液E2と共に二酸化炭素吸収液R5の二酸化炭素吸収量の圧力に対する変化を、図9(体積濃度基準)及び図10(モル分率基準)に示す。
図9及び図10から、二酸化炭素吸収液R5(PH-47)及び二酸化炭素吸収液E2(PF-37)は、典型的な物理吸収の挙動を示すことがわかる。また、PF-37は、TFEPと同様に、フッ素化により二酸化炭素吸収量が増加していることがわかる。
また、後述するように、図13~図17、図21、図22に二酸化炭素吸収液R5の二酸化炭素吸収量を実施例1、2、比較例1~4の二酸化炭素吸収液と合わせて示し比較する。
前述の富二酸化炭素吸収液E2と共に富二酸化炭素吸収液R5の密度の圧力依存性を図11に、体積膨脹の圧力依存性(常圧換算)を図12に示す。
二酸化炭素吸収液R5の熱重量測定を行った。熱重量測定の結果を図18に示す。図18から、二酸化炭素吸収液E2は、80℃程度から質量減少が観察される。15%質量減少時の温度は、117℃であった。
二酸化炭素吸収液R5の示差走査熱量測定(掃引速度=5℃/min)を行った。示差走査熱量測定の結果を図24に示す。図24から、二酸化炭素吸収液R5は、-40℃で発熱ピーク、-12℃で吸熱ピークが検出された。
二酸化炭素吸収液R5について実施例1と同様にしてメタン吸収量を測定した。二酸化炭素吸収液E2のメタン吸収量の圧力に対する変化を、図25(体積濃度基準)及び図26(モル分率基準)に示す。また、二酸化炭素吸収量及びメタン吸収量の圧力依存性(体積濃度基準及びモル分率基準)を図28に示す。
図13~図17において実施例1、2、比較例1~5を比較する。図15から、本発明の二酸化炭素吸収液E1及び二酸化炭素吸収液E2は、モル分率基準で、従来の二酸化炭素吸収液R1、R2、R3、R4、R5に比べて優れた二酸化炭素吸収特性を示すことがわかる。より具体的には、本発明の二酸化炭素吸収液は、例えば、40℃の条件下で、2MPaで0.4以上であり、4MPaで0.6以上であり、かつ6MPaで0.7以上という優れた二酸化炭素吸収特性を示す。また、体積濃度基準では、本発明の二酸化炭素吸収液E1は、従来の二酸化炭素吸収液R1、R2、R3、R4、R5に比べて優れ、本発明の二酸化炭素吸収液E2は、従来の二酸化炭素吸収液R1と同等であり、R2、R3、R4、R5に比べて優れている。
図25及び図26において実施例1、2、比較例4、5を比較する。実施例1のTFEPと比較例4のTEPとを比較すると、メタン溶解度に大きな差はなかった。一般に吸収液の分子量が大きくなると、モル分率基準のガス溶解度は高くなる。一方、TFEPはTEPと比べて分子量が大きいにもかかわらず、メタン溶解度はTEPと同程度に抑えられることがわかる。
実施例2のPF-37と比較例5のPH-47とを比較すると、メタン溶解度に大きな差はなかった。TFEP及びTEPの関係と同様に、含フッ素吸収液のPF-37はPH-47と比べて分子量が大きいにもかかわらず、メタン溶解度はPH-47と同程度に抑えられることがわかる。
図27及び図28において実施例1、2、比較例4、5を比較する。二酸化炭素およびメタンの単位体積当たりの吸収量はほぼ圧力に比例するため、図27及び図28から、それらの傾きを求め、それらの比を体積濃度基準の二酸化炭素/メタン吸収選択比とした。その結果を表2に示す。フッ素化したTFEPやPF-37ではTEPやPH-47と比較して、二酸化炭素/メタン吸収選択比(CCO2/CCH4)が高い。また、他の吸収液と比べても、実施例1、2の二酸化炭素吸収液は、吸収選択比(CCO2/CCH4)が優れていることがわかる。
含フッ素吸収液(実施例1及び2)では、ルイス塩基性のフッ素原子とルイス酸性の二酸化炭素の炭素原子との相互作用が強まり、二酸化炭素の吸収量が増加した。一方、含フッ素吸収液は、中性のメタンとは強く相互作用しないため、メタンの吸収量は変化しなかったと推測される。吸収液へのフッ素原子の導入により二酸化炭素との相互作用のみを強化できたことで、二酸化炭素の吸収量及びメタンに対する吸収選択比の向上という効果を達成できたと考えられる。
Figure 0007369401000016
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
201 真空ポンプ
202 カセトメーター
203 撹拌子
204 サファイアチューブセル
205 永久磁石
206 恒温槽
207 液相高さ
208、209、210 バルブ
211 サーミスター
212 圧力計
213 冷却水循環装置
214 二酸化炭素ボンベ
301 真空ポンプ
302 真空計
303 高圧セル部
304 ガスチャンバー部
305 恒温槽
306、307、308、309、310 バルブ
311 サーミスター
312 圧力計
313 冷却水循環装置
314 二酸化炭素ボンベ
315 高圧セル
316 スターラー

Claims (7)

  1. 含フッ素リン酸エステルを含有する二酸化炭素吸収液であって、
    前記含フッ素リン酸エステルは、式(1)で表される含フッ素リン酸トリエステルである二酸化炭素吸収液。
    Figure 0007369401000017
    (式中、Rf、Rf及びRfは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のフッ化アルキル基を表し、且つRf、Rf及びRfの少なくとも1つはフッ化アルキル基である。)
  2. 前記Rf、Rf及びRfは、2,2,2-トリフルオロエチル基である、請求項に記載の二酸化炭素吸収液。
  3. 含フッ素リン酸エステルを含有する二酸化炭素吸収液であって、
    前記含フッ素リン酸エステルは、式(2)で表される含フッ素リン酸ジエステルアミドである二酸化炭素吸収液。
    Figure 0007369401000018
    (式中、Rf及びRfは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基又は炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のフッ化アルキル基を表し、且つRf及びRfの少なくとも1つはフッ化アルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。)
  4. 前記Rf及びRfは、2,2,2-トリフルオロエチル基であり、前記R及びRは、イソプロピル基である、請求項に記載の二酸化炭素吸収液。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の二酸化炭素吸収液と二酸化炭素又は前記二酸化炭素を含有する混合ガスとを接触させて、前記二酸化炭素吸収液に前記二酸化炭素を吸収させることを含む、富二酸化炭素吸収液の調製方法。
  6. 前記混合ガスは、前記二酸化炭素及び炭化水素を含有する混合ガスである、請求項に記載の富二酸化炭素吸収液の調製方法。
  7. 前記炭化水素は、メタンである、請求項に記載の富二酸化炭素吸収液の調製方法。
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