JP7366308B1 - 香料組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、香料会社は新しいニーズに基づいた香料組成物を創造するため、常に新しい香調、香質を有する香料化合物を探求し、顧客の要望に応えるべく努力を行っている。
香料会社の不断の努力により、これまでにも非常に多くの合成香料や天然香料が見いだされてきたが、飲食品や香粧品に求められる天然感、高級感、本格感の要求もより高くなり、これらの高い要求を満足させる香料化合物は依然として望まれている。
例えば、紅茶の香りやバラの香り(香調)に天然感や高級感(香質)を付与できる香料組成物があれば、本格的な紅茶飲料や高級感のある柔軟剤を製造するための有効な手段となり、その香りで紅茶飲料や柔軟剤の価値を向上させることができる。
たとえば、特許文献1には、ペルヒドロ-3,6-ジメチル-3a,7a-エポキシベンゾ[b]フラン-2(3H)-オンの使用で、バニラアイスクリームや水飴といった飲食品あるいはシャンプーなどの香粧品に甘さ、ミルキーまたはスウィートな香調を強調でき、天然感を増強できることが記載されている。
また、特許文献2には、シス-および/またはトランス-2-ペンチルシクロプロパン-1-カルボン酸が、スペアミント様、ペパーミント様、乳製品様(バター様、ミルク様、チーズ様等)、チョコレート様、トロピカルフルーツ様、柑橘様香料及びその他食品系の香料に対して天然香料だけが持つ発酵的な甘味、熟成感のある香味を付与すると共に、その香味全体を包み込んでバランス調整し、天然感を増幅させることが記載されている。
しかし、カプセルやポリマーなどの副剤を使用した香料組成物の使用、あるいは、香料の残存量を増やす目的で賦香量を調整し香料の持続性を向上する場合、香料の持続性が長くなりすぎたり、香りが必要以上に強くなるため、香りの強さが不快感を与える場合もある。
このように、香りの持続と香りの強度の適正化、つまり、誰もが不快に思わず、自然に感じられる程度の濃度で、その香りが長時間持続し、そして徐々に消失するような性質が近年、注目されている。
れらの香りの持続性に関する要望は高いものがある。
しかし、副剤を使った香料化合物では、香りが徐々に消失するような自然な香りの持続と、心地よい香りの強度の両面を達成することは困難である。
そこで、自身の揮発性により香りが徐々に消失する香料化合物の特性を生かし、他の香料の香調を変調させず、かつ、持続性の高い性質を併せ持つ香料化合物の探索が行われている。
さらに、立体構造だけが異なる香料化合物でも、香気特徴や香気強度が異なる別の官能特性を発揮することもある(特許文献5)。
つまり、香料化合物の技術分野では、香料化合物の化学構造や立体構造、特定の嗅覚レセプターとの親和性だけでは、その官能特性を正確に予想することができない。
飲食品や香粧品へのスウィート感の付与で天然感、高級感、本格感を向上させ、さらに、香気持続性の高い香料化合物を探索するためには、多くの香料化合物の様々な濃度における官能評価を行う必要があり、非常に膨大な時間と労力を要する。そのため、このような香料化合物は、あまり見いだされていなかった。
本発明の課題は、その使用によって、香料組成物、飲食品、香粧品など各種製品への香味の付与が可能になる化合物を提供することである。
ームのあるスウィート感があること、斯かるスウィート感が、様々な香りと相性が良く、これを使用することによって上記課題を解決できることを見出し、本願を出願したものである。
なお、前記の非特許文献1~4、特許文献6には、エピジヒドロカラノン自体が報告されているものの、いずれも香りに関する記載はなく、エピジヒドロカラノンが香料として有用であることは知られていなかった。
[1]下記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンを有効成分とする、香気付与剤。
[3]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンを付香成分として使用する、香気付与方法。
[4]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンを有効成分とする、残香性向上剤。
[5]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンを残香性向上成分として使用する、残香性向上方法。
[6]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンを添加する、飲食品の製造方法。
[7]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンを添加する、香粧品の製造方法。
[8]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンならびに下記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンを含む混合物を有効成分とする、香気付与剤。
[10]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンならびに上記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンを含む混合物を付香成分として使用する方法。
[11]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンと上記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンの比が1:99~80:20である混合物を付香成分として使用する、付香方法。
[12]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンならびに上記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンを含む混合物を香料化合物に添加する、香料化合物に余韻性を付与する方法。
[13]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンと上記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンの比が1:99~80:20である混合物を香料化合物に添加する、香料化合物に余韻性を付与する方法。
[14]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンならびに上記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンを含む混合物を添加する、飲食品の製造方法。
[15]上記の式(1)及び/または式(2)で表されるエピジヒドロカラノンならびに上記の式(3)及び/または式(4)で表されるジヒドロカラノンを含む混合物を添加する、香粧品の製造方法。
さらに、残香性付与効果を有することが知られているジヒドロカラノン(特許文献7)と併用することにより、香りの余韻という新たな効果を付与することもできる。
なお、香りの余韻は、「本物感や高級感のある香りがしばらく続くことで得られる、印象深いしみじみとした感情や味わい」のことである。
たとえば、特許文献6に記載されているように、
いう。
これらの飲食品としては、例えば、スポーツ飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、ミルク入りコーヒー飲料、紅茶等の飲料や、加工乳、豆乳等の乳飲料、栄養補給のための濃厚流動食、ラクトアイスなどのアイスクリーム類、パン、ビスケット、キャンディ、ゼリーなどのパンや菓子、ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品、ホワイトソース、味噌、ソース、たれ、ドレッシングなどの調味料、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品、粉末飲料、粉末スープなどの粉末食品、カプセル状、タブレット状、粉末状、顆粒状などにした健康食品、豆腐、麺類などを挙げることができ、その範囲は特に制限がなくあらゆる種類の飲食品をいう。
「香水」は、オードトワレ、オードパルファム、オーデコロンなどをいい、用途に合わせてボトルタイプ、ロールタイプ、スプレータイプがある。
「芳香剤」は、水性液体芳香剤、油性液体芳香剤、水性ゲル状芳香剤、油性ゲル状芳香剤、芳香スプレー、芳香エアゾール、含浸芳香剤、線香、芳香消臭剤、消臭スプレー、消臭エアゾールなどがある。
「メイクアップ製品」は、顔を美しく見せる美的役割、肌を守る保護的役割、楽しみや満足感をもたらす目的で使用する。ファンデーション、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨、アイブロー、粉おしろい、固形おしろい、ネイルエナメル等のメイクアップ化粧品、マニキュア、マニキュアリムーバーなどがある。
「トイレタリー製品」は、石けん、ハンドソープ、入浴剤、ボディシャンプー、リップクリームなどのボディケア製品、日焼け止め、制汗デオドラント剤、シェービング(剃刀・むだ毛処理剃刀・シェービングフォームなど)、歯磨き、洗口液、デンタルフロス、義歯洗浄剤などのオーラルケア製品、ウェットティッシュ、紙おむつ、生理用品、などがある。
「スキンケア製品」は、汗や汚れを取り除き、肌を引きしめ、適正な栄養分や水分を維持し、正常な肌の状態を補助したり、紫外線から肌を守るなどの作用をする。
ウォッシングクリーム、バニシングクリーム、洗顔クリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、サンスクリーンクリーム、乳液、化粧水、パック剤、メイク落とし、アフターシェービングローション、タルカムパウダー、リップクリーム、ハンドクリーム、制汗剤、フェイスケア(洗顔フォーム・メイク落とし・クレンジングオイル・あぶらとり紙など)がある。
「ヘアケア製品」は、毛髪や頭皮の洗浄・保護や毛髪のセットなどに用いられるもので、シャンプー、リンス・コンディショナー、頭皮の血行をよくするトニックやヘアオイル、ポマード、チック、ヘアリキッド、セットローション、ヘアジェル、ヘアスプレー、ヘアフォーム、ヘアワックスなどの整髪剤、ヘアカラー、ヘアマニキュア、ブリーチ、白髪染めなどの染毛剤、パーマ、カーリング剤などの毛髪変形剤、ヘアトリートメントなどの養毛剤育毛剤、などがある。
「ハウスホールド製品」は、一般の家庭で利用されている洗剤や柔軟仕上げ剤などの衣料用製品、クリーナーやワックスなどの住居・家具用製品、漂白剤や生ゴミ消臭剤などの台所用製品、事務糊、塗料などの日用雑貨製品などで、衣料用液体洗剤、衣料用粉末洗剤、衣料用固形石鹸、衣料用柔軟仕上剤、衣料用漂白剤、台所用洗剤、食器乾燥機用洗剤、バスクリーナー、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤、燻煙剤、蚊取り線香、殺虫剤、防虫剤、トイレクリーナーなどがある。
mはさらに好ましい濃度であるし、また、500ppb~500ppmはより好ましい濃度である。
組み合わせて使用する香料組成物の香気の範囲に特段の限定はないが、草葉様のニュアンスを持つローズタイプ香料や、フローラルタイプ香料、紅茶、コーヒー、ビール、バニラと組み合わせることで、最適な所望の効果を得ることができる。
次に、試験例、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら試験例、実施例に限定されるものではない。
エピジヒドロカラノンを以下の方法で製造した。
市販の2,3-ジメチルシクロヘキサノール(東京化成工業株式会社製)(69g)を酢酸(270g)に溶解し、氷浴下次亜塩素酸ナトリウム水溶液(495g)を滴下した。反応終了後、中和、過剰の次亜塩素酸ナトリウムの分解、溶剤抽出、乾燥、溶剤留去、蒸留により65gの2,3-ジメチルシクロヘキサノン(沸点:80℃/2000Pa)を得た。
2,3-ジメチルシクロヘキサノン(29g)、ジクロロメタン(580g)、メチルビニルケトン(32g)を混ぜて-55℃まで冷却した後、メタンスルホン酸(44g)を滴下し徐々に昇温しそのまま終夜反応させた。反応終了後、中和、溶剤抽出、乾燥、溶剤留去、カラム精製(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:4)を行った後、蒸留により11gの4a,5-ジメチル-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレン-2(3H)-オン(沸点:96~99℃/180Pa)を得た。
リチウムジイソプロピルアミド溶液(2M、78mL)を-70℃に冷却した後、4a,5-ジメチル-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレン-2(3H)-オン(11g)のテトラヒドロフラン(60mL)の溶液を-65~-50℃にて滴下した。次いで-40~-30℃にて塩化亜鉛の2-メチルテトラヒドロフラン溶液(2M、48mL)を滴下した。さらに同温度にてアセトン(5g)のテトラヒドロフラン(36mL)の溶液を滴下し0℃まで徐々に昇温し反応させた。反応終了後、塩化アンモニウム溶液を加えてクエンチした後、溶剤抽出、乾燥、溶剤留去し、3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-4a,5-ジメチル-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロナフタレン-2(3H)-オンの粗生成物(15.4g)を得た。その粗生成物にヘプタン(300g)とp-トルエンスルホン酸一水和物(0.3g)を加え、ディーンスターク装置を用いて2時間加熱反応させた。反応終了後冷却し、中和、水洗、乾燥、溶剤留去した。残渣をカラム精製(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:12)した後、蒸留して8gのエピジヒドロカラノンとジヒドロカラノン(沸点:105~118℃/180Pa)の混合物を得た。
エピジヒドロカラノンとジヒドロカラノンの混合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:9)に供し、エピジヒドロカラノンを得た。(沸点:120℃/65Pa)
得られたエピジヒドロカラノンはNMRスペクトルにて同定した。
以後、試験例1で製造したエピジヒドロカラノンのラセミ体を、エピジヒドロカラノンと記載する。
1H NMR(400MHz,CDCl3,δppm) 0.93(d,3H),1.16(d,3H),1.39-1.47(m,1H),1.61-1.68(m,2H),1.73-1.79(m,1H),1.81(d,3H),1.87-1.97(m,1H),2.07(d,3H),2.17-2.24(m,1H),2.28-2.38(m,2H),2.49-2.56(d,1H),5.79(d,1H)
(紅茶飲料への添加効果)
市販の容器詰め紅茶飲料にエピジヒドロカラノンを表1の濃度になるように添加し、試験例2-1~2-5の紅茶飲料を調整した。
そして、得られた試験例2-1~2-5の紅茶飲料について、事前に訓練を行った専門パネラー10名で評価した。
官能評価は、エピジヒドロカラノンを添加していない紅茶飲料を比較例1として、試験例2-1~2-5を比較例と比べた際の香気について専門パネラーにコメントさせるとともに、茶葉感について下記評価基準に従い専門パネラーが点数付けしたものを平均することにより行った。
比較例1に比べて著しく増加した:4
比較例1に比べて大きく増加した:3
比較例1に比べてある程度増加した:2
比較例1に比べてわずかに増加した:1
比較例1と同等である:0
紅茶飲料の味の厚みを増加させるためには、紅茶飲料中のエピジヒドロカラノン濃度が0.1ppb~10ppmとなるように使用することが好ましい。そして、該濃度を、更に好ましくは0.1ppb~5ppm、特に好ましくは0.5ppb~5ppm、殊更好ましくは50ppb~5ppmとすることで、より良好な結果を得ることができる。
(ローズタイプ香料への添加効果)
表2に記載のとおり、異なる濃度のエピジヒドロカラノンを配合するローズタイプ香料組成物(小川香料株式会社製)を作成し、事前に訓練を行った専門パネラー10名で評価した。
官能評価は、比較例2の処方で調整した香料組成物を対象とし、異なる濃度のエピジヒドロカラノンを添加した香料組成物(試験例3-1~3-6)、およびフローラルな甘臭のローズ様香気を呈するβ-ダマスコンを添加した香料組成物(比較例3)を匂い紙に付け、それぞれの香気について専門パネラーにコメントさせるとともに、スウィート感について下記評価基準に従い専門パネラーが点数付けしたものを平均することにより行った。
比較例2に比べて著しく増加した:4
比較例2に比べて大きく増加した:3
比較例2に比べてある程度増加した:2
比較例2に比べてわずかに増加した:1
比較例2と同等である:0
ローズ香料にスウィート感を付与し、ローズの香りに高級感を付与するためには、ローズ香料中のエピジヒドロカラノン濃度が100ppb~10000ppmとなるように使用することが好ましい。そして、該濃度を、好ましくは100ppb~1000ppm、更に好ましくは100ppb~100ppm、特に好ましくは500ppb~50ppm、殊更好ましくは1ppm~20ppmとすることで、より良好な結果を得ることができる。
(エピジヒドロカラノンの残香性評価)
表4に記載の処方で調整したフローラルタイプ香料組成物(小川香料株式会社製)に、エピジヒドロカラノンを、表5に記載した濃度で混合した。
各混合物を直径1cmのろ紙に各5μL滴下し、室温25℃で、12時間静置後の残香性について、事前に訓練を行った10名の専門パネラーにコメントさせるとともに、下記評価基準に従い点数付けしたものを平均することによって評価した。
比較例4に比べて残香性が著しく増加した:4
比較例4に比べて残香性が大きく増加した:3
比較例4に比べて残香性がある程度増加した:2
比較例4に比べて残香性がわずかに増加した:1
比較例4と残香性が同等である:0
エピジヒドロカラノンをフローラルタイプ香料に配合することにより、香料に残香性を付与することができた。フローラルタイプ香料中のエピジヒドロカラノンの濃度は100ppb~10000ppmが適している。そして、該濃度を、好ましくは100ppb~1000ppm、更に好ましくは1ppm~1000ppm、特に好ましくは5ppm~500ppm、殊更好ましくは50ppm~500ppmとすることで、より良好な結果を得ることができる。
(エピジヒドロカラノンとジヒドロカラノンの混合物のローズタイプ香料への添加効果)
表7に記載の処方で調整したローズタイプ香料組成物(小川香料株式会社製)に、合計濃度が1000ppmになるように、異なる混合比のジヒドロカラノン(小川香料株式会社製)とエピジヒドロカラノンとの混合物を添加し、事前に訓練を行った専門パネラー10名で評価した。
官能評価は、比較例5の香料組成物を対象とし、表8に記載のように異なる濃度比のジヒドロカラノンとエピジヒドロカラノン添加品(試験例5-1~5-6、比較例6)を匂い紙に付けて、それぞれの香気について専門パネラーにコメントさせるとともに、スウィート感について下記評価基準に従い専門パネラーが点数付けしたものを平均することにより行った。
比較例5に比べて著しく増加した:4
比較例5に比べて大きく増加した:3
比較例5に比べてある程度増加した:2
比較例5に比べてわずかに増加した:1
比較例5と同等である:0
)。そのようなジヒドロカラノンに本願発明のスウィート感を有するエピジヒドロカラノンを混合することで、ジヒドロカラノンだけでは得られない、ホワイトフローラルなニュアンスの瑞々しく華やかな高級感を付与できることを確認した。
その配合比はエピジヒドロカラノン:ジヒドロカラノン=1:99~80:20の範囲が適しており、好ましくは1:99~70:30、更に好ましくは1:99~50:50、特に好ましくは1:99~30:70、殊更好ましくは5:95~30:70である。
(エピジヒドロカラノンとジヒドロカラノンの混合物の残香性、余韻性評価)
表4に記載の処方で調整したフローラルタイプ香料組成物(小川香料株式会社製)に、表10に記載のように合計濃度が1000ppmになるように、異なる混合比のジヒドロカラノン(小川香料株式会社製)とエピジヒドロカラノン混合物を添加し、事前に訓練を行った専門パネラー10名で評価した。
具体的には、比較例7の香料組成物を対象とし、表10の混合比による各混合物を直径1cmのろ紙に各5μL滴下し、室温25℃で、12時間静置後の残香性、余韻性について、事前に訓練を行った10名の専門パネラーにコメントさせるとともに、下記評価基準に従い点数付けしたものを平均化することで評価した。
比較例7に比べて著しく増加した:4
比較例7に比べて大きく増加した:3
比較例7に比べてある程度増加した:2
比較例7に比べてわずかに増加した:1
比較例7と同等である:0
<余韻性に関する評価基準>
比較例7に比べて著しく増加した:4
比較例7に比べて大きく増加した:3
比較例7に比べてある程度増加した:2
比較例7に比べてわずかに増加した:1
比較例7と同等である:0
特に、ジヒドロカラノンとエピジヒドロカラノンとを併存することで、残香性のみならず、余韻性も高くなることが明らかになった。
その配合比はエピジヒドロカラノン:ジヒドロカラノン=1:99~80:20の範囲が適しており、好ましくは1:99~70:30、更に好ましくは1:99~50:50、特に好ましくは1:99~30:70、殊更好ましくは5:95~30:70である。
表12の処方に従い、メチルパラベン、試験例4-4および試験例6-2で作成したフローラル香料、ポリオキシエチレン(POE)硬化ひまし油、エタノール、水を順に混合してスプレータイプの芳香剤を調製した。
実施例1のスプレータイプの芳香剤は、スプレー後、数時間たってもフローラルタイプの香調を保っており、通常のスプレー芳香剤より好ましい残香性を示した。また、高級感のある香りが広まることで余韻を感じることができた。
表13の処方に従い、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、パラオキシ安息香酸メチルをエタノールに溶解させ、水と混合して作製したローション基剤に、予め均一混合したPEG-20ソルビタンココエートと試験例4-4および試験例6-2で作成したフローラルタイプの香料を添加し、ローションを調製した。
実施例2のローションは、塗布後、数時間たってもフローラルタイプの香調を保っており、香水並みの好ましい残香性を示した。また、香水のような高級感のある香りを長く感じることで余韻を得ることができた。
表14の処方に従い、水系ベースをビーカーにはかり取り、85℃で加温しながら均一に混合した後、撹拌しながらココイルグルタミン酸Naなどの活性剤を添加して均一溶解させ、1%クエン酸水及び水を添加して均一混合した。最後に、得られた混合物に試験例4-4および試験例6-2で作成したフローラルタイプの香料を添加してシャンプーを調製した。
実施例3のシャンプーは、フローラルタイプの香調を持続したまま、通常のシャンプーより洗髪後の香りが持続し、好ましい残香性を示した。
表15の処方に従い、A相をビーカーにはかり取り、80℃で加温しながら均一に混合した後、80℃で均一に混合したB相を添加し、ホモミキサーで攪拌した。
最後に、得られた混合物に試験例4-4および試験例6-2で作成したフローラル香料を添加して柔軟剤を調製した。
実施例4の柔軟剤は、洗濯2日後でも、フローラルタイプの香調のままであり、好ましい残香性を示した。さらに、持続した香りに高級感があるため、余韻を感じることができた。
表16の処方に従い、ビール香料を作成した。このビール香料にエピジヒドロカラノンを1g、エピジヒドロカラノン0.3gとジヒドロカラノン0.7gの混合物を配合し、市販のビール風味アルコール飲料(原材料:麦芽、ホップ、大麦、コーン、スターチ、スピリッツ、アルコール含有量:6%)にそれぞれ0.1%になるように添加した。
エピジヒドロカラノンを1ppm配合した市販のビール風味アルコール飲料は、エピジヒドロカラノンを配合しないものに対して、ビールの本物感が向上した。また、エピジヒドロカラノン0.3ppmとジヒドロカラノン0.7ppmの混合物を配合した市販のビール風味アルコール飲料は、華やかで深みのある香りと豊熟なコクが広がり、余韻を感じた。
市販のコーヒー豆(焙煎度を表すL値は20である)を粉砕し、粉砕コーヒー豆を10倍量の熱湯でドリップしてコーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液を、固形量1.2%になるように水で希釈後、重曹を添加してpH6.3に調整し、容器に充填後121℃、10分間レトルト殺菌することで、ブラックコーヒー飲料を作成した。
表17の処方に従い、コーヒー香料を作成した。このコーヒー香料にエピジヒドロカラノンを0.1g、エピジヒドロカラノン0.03gとジヒドロカラノン0.07gの混合物を配合し、前記ブラックコーヒー飲料に、それぞれ0.1%添加した。
エピジヒドロカラノンを1ppm配合したブラックコーヒー飲料は、コーヒーの本物感が向上し、エピジヒドロカラノン0.3ppmとジヒドロカラノン0.7ppmを配合したブラックコーヒー飲料は、深みのある香りとコーヒーの本物感が広がり、余韻を感じた。
表18の処方に従い、バニラ香料を作成した。このバニラ香料にエピジヒドロカラノンを1g、エピジヒドロカラノン0.3gとジヒドロカラノン0.7g混合した。へらで練った市販のバニラアイスに、各バニラ香料を0.1%になるように添加し、それぞれをプラスチック製プリンカップに充填して凍結させた。凍結後、官能評価を行った。
エピジヒドロカラノンを1ppm添加することにより、バニラアイスの甘さ、ボリューム感が増加して本物感が向上した。また、エピジヒドロカラノン0.3ppmとジヒドロカラノン0.7ppmを配合することでバニラの甘みと香りが持続し、バニラの余韻を感じることができた。
表19の処方に従い、ピーチ香料を作成した。このピーチ香料にエピジヒドロカラノンを1g、エピジヒドロカラノン0.3gとジヒドロカラノン0.7g混合した。
下記処方に従い、各ピーチ香料を0.1%になるようにそれぞれ添加して、フルーツ果汁飲料を作成し、95℃で殺菌を行った。
エピジヒドロカラノンを1ppm配合したフルーツ果汁飲料は、ピーチの本物感が向上し、エピジヒドロカラノン0.3ppmとジヒドロカラノン0.7ppmを配合したフルーツ果汁飲料は、天然感があり本物感のある香りが広がり、余韻を感じた。
(処方) (g)
果糖ブドウ糖液糖 50
ピーチ果汁ストレート 5.0
ビタミンC 0.5
クエン酸でpHを3.5に調整し、水で全量を1000gとする。
Claims (10)
- 請求項3記載の香気付与剤を含有する、香料組成物。
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- 2023-06-09 JP JP2023095421A patent/JP7366308B1/ja active Active
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