JP3649441B1 - 3級メルカプトケトンおよびそれを含有する香気・香味組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 嗜好性が高く、香質、コク、深み等に優れ、種々の製品への香気・香味付けに有効に用いることのできる新しい香気・香味成分およびそれを含有する香気・香味組成物の提供。
【解決手段】 下記の式(I);
【化10】
Figure 0003649441

(式中、R及びR’は同一又は異なる炭素数1〜3のアルキル基であり且つRとR’の炭素数の合計が3または4である。)
で表される3級メルカプトケトン、その製造方法および該3級メルカプトケトンを含有する香気・香味組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規な3級メルカプトケトン、その製造方法、該3級メルカプトケトンを含有する香気・香味組成物および前記3級メルカプトケトンまたは香気・香味組成物を用いて香気・香味付けした製品に関する。
近年、各種飲食料品類、香粧品類、保健衛生材料などの多様化に伴い、これらの香気・香味付けに用いる香気・香味成分に対して従来にない新しい要望が高まっている。香気・香味成分に対しては、特に、インパクトがあること、嗜好性の高いユニークな香気・香味を有すること、併用する他の香料との調合性に優れていることなどが要求されている。そのため、それらの要件を兼ね備えた香気・香味素材を開発することが香料産業において極めて重要な課題となっている。
含硫黄化合物には、閾値が低く、特徴のある強い匂いを有するものがあり、フルーツ様やその他の香気または香味を有する鍵香気成分として知られているものが多い。例えば、鎖状のβ−メルカプトケトン類のうち、4−メルカプト−2−ペンタノンはグリーネリー様、ポテト様、ブラックカラント様の香気成分として知られ、3−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノンはスウエット様やクックドミルク様の香気成分として知られ、また4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノンはブラックカラント様、キャティ−様、ブルーム様、ビネガー様、シトラスフルーツ様の香気成分として知られている(非特許文献1参照)。前記した化合物のうち、4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノンについては、さらに茶飲料用添加物として極微量使用することで、入れたての緑茶の有する、柔らかく、ふくよかなグリーン香が得られることが報告されており(特許文献1参照)、また香粧品の香料成分に極微量添加するとフレッシュ感を増大することが報告されている(特許文献2参照)。
しかしながら、香気・香味付け成分として用いられている上記した従来の含硫黄化合物は、香気や香味の質および強度の点で単調であったり、質感、コクなどの点で未だ充分であるとは言えず、多様化している賦香製品における、深みのある質感、コク、その他の要望に充分に対応できないものであった。
「J.Agric.Food Chem.」,2002年,Vol.50,No.20,p5654−5659 特許第3026437号公報 特開平1−102019号公報 「J.Org.Chem.」,1961年,Vol.26,p1768−1772 Arctander S.,「Perfume and Flavor Chemicals」,published by the author,Montclair,N.J.(U.S.A.)1969年
本発明の目的は、多様化する賦香製品の要望を満足することのできる、嗜好性が高く、香質、コク、深みなどの点に優れ、香気・香味付け用として有用な新規な化合物、その製造方法、該化合物を有効成分として含有する香気・香味組成物、およびそれを用いて香気・香味付けした製品を提供することにある。
本発明者らは、前述の要望に応えるべく鋭意研究した結果、従来にない新規な3級メルカプトケトンの合成に成功した。そして、その3級メルカプトケトンの物性などについて検討したところ、該3級メルカプトケトンが嗜好性の高いユニークな香気を有すること、他の香料と併用したときに調和性に優れていること、従来知られていた4−メチル−4−メルカプト−2−ペンタノンやその他の類似化合物では不充分であった、深みのある質感やコクを付与できることを見出した。さらに、本発明者らは、該新規な3級メルカプトケトン自体またはそれを含有する香気・香味組成物は、種々の製品の香気・香味付けに有用であり、そのうちでも茶飲料などの茶使用飲食品の香気・香味付けに特に有用であることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 下記の式(I);
Figure 0003649441

(式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
で表される3級メルカプトケトンである。
そして、本発明は、
(2) 5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノンまたは6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンである前記した(1)の3級メルカプトケトンである。
さらに、本発明は、
(3) 下記の式(i);
Figure 0003649441

(式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
で表されるα,β−共役ケトンに、触媒の存在下で硫化水素を反応させることを特徴とする、下記の式(I);
Figure 0003649441

(式中、RおよびR’は上記と同じ。)
で表される3級メルカプトケトンの製造方法;および、
(4) 触媒が、三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄および四塩化チタンから選ばれる少なくとも1種である前記(3)の製造方法;
である。
そして、本発明は、
(5) 前記(1)または(2)の3級メルカプトケトンの1種または2種以上を含有することを特徴とする香気・香味組成物;
(6) 飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品または医薬品用である前記(5)の香気・香味組成物;および、
(7) 茶使用飲食品用である前記(6)の香気・香味組成物;
である。
さらに、本発明は、
(8) 前記(1)または(2)の3級メルカプトケトンの1種または2種を用いて香気・香味付けした製品;
(9) 前記(5)の香気・香味組成物を用いて香気・香味付けした製品;
(10) 飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品または医薬品である前記(8)または(9)の香気・香味付けした製品;
(11) 茶使用飲食品である前記(10)の香気・香味付けした製品;および、
(12) フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤または雑貨である前記(8)〜(10)のいずれかの香気・香味付けした製品;
である。
上記の式(I)で表される本発明の3級メルカプトケトンは、嗜好性の高いユニークな香気、すなわちミーティー様、グリーン様、グレープフルーツ様、キャティー様、フローラル様の、特有の強い香気を有し、しかも香気持続性および安定に優れ、長期にわたってその特有の香気・香味を維持することができ、その上他の香料との調和性に優れている。
そのため上記の式(I)で表される本発明の3級メルカプトケトンは、そのまま単独でまたは他の成分と混合して香気・香味組成物の形態にして、各種製品の香気・香味付けに有効に使用することができる。
上記の式(I)で表される本発明の3級メルカプトケトンおよびそれを含有する香気・香味組成物を用いて香気・香味付けした場合には、極めて微量の使用量で、深みのある質感、コク、フレッシュ感、ナチュラル感、爽やかさを製品に付与することができる。
上記の式(I)で表される本発明の3級メルカプトケトンおよびそれを含有する本発明の香気・香味組成物は、前記した優れた特性を活かして、様々な製品、例えば飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品、医薬品などの種々の製品への香気・香味付けに有効に使用することができる
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の3級メルカプトケトンは、下記の式(I);
Figure 0003649441

(式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
で表される。
上記の式(I)で表される本発明の3級メルカプトケトンにおいて、RおよびR’は、炭素数1〜3のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基またはプロピル基であり、RとR’は同じであってもまたは異なってもよいが、RとR’の炭素数の合計が3または4であることが必要である。したがって、Rがメチル基である場合には、R’はエチル基またはプロピル基であり;Rがエチル基である場合には、R’はメチル基またはエチル基であり;Rがプロピル基である場合には、R’はメチル基である。
具体的には、上記の式(I)で表される本発明の3級メルカプトケトン[以下これを「3級メルカプトケトン(I)」ということがある]としては、RとR’の炭素数の合計が3である、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンおよび4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン;RとR’の炭素数の合計が4である、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノン、6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンを挙げることができる。これらの3級メルカプトケトン(I)は、無色から薄いレモン色の油状物である。
前記した本発明の3級メルカプトケトン(I)のうちでも、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンおよび4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンが、香気および強度の点から、香気・香味付け用成分としてより有効である。
本発明の3級メルカプトケトン(I)の製造方法は特に制限されず、いずれの方法で製造してもよいが、以下に記載する本発明の方法によって、簡単に且つ効率よく製造することができる。
[3級メルカプトケトン(I)の製造方法]
下記の反応式に示すように、式(i)で表されるα、β−共役ケトン[以下「α、β−共役ケトン(i)」ということがある]に、触媒の存在下で、硫化水素(H2S)を付加させて3級メルカプトケトン(I)を製造する。
Figure 0003649441

(式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
3級メルカプトケトン(I)を製造するための上記方法において、触媒としては、三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄および四塩化チタンから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
触媒の使用量は、式(i)で表されるα、β−共役ケトンの質量に対して、0.01〜2.0質量%、特に0.1〜0.5質量%であることが反応の円滑な進行の点から好ましい。
また、上記の反応において、硫化水素は通常ガス状で反応系に導入するが、α、β−共役ケトン(i)に対する硫化水素の導入量は、1〜50モル当量、特に2〜10モル当量であることが、目的物である3級メルカプトケトン(I)を収率良く製造でき、しかも経済的であることから好ましい。
α、β−共役ケトン(i)と硫化水素の反応はそのまま直接行ってもよいが、α、β−共役ケトン(i)を有機溶媒(例えば塩化メチレン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなど)に溶解し、そこに硫化水素ガスを導入して反応させることが、目的とする3級メルカプトケトン(I)が円滑に且つ高収率で得られる点から好ましい。反応温度としては、一般に、−30℃〜50℃、特に−10℃〜30℃の温度が好ましく採用される。
反応により生成する3級メルカプトケトン(I)を含む混合液から硫化水素ガスを追い出した後、希塩酸、希硫酸などの酸を用いて反応を停止させ、次いでそれを水洗して得られる粗生成物を適当な方法(例えばカラムクロマトグラフィー、蒸留)で精製することにより、目的とする3級メルカプトケトン(I)を得ることができる。
3級メルカプトケトン(I)の製造に用いるα、β−共役ケトン(i)は、公知の化合物であり、公知の製造方法、例えば下記の反応式で示す一連の反応によって製造することができる(非特許文献2を参照)。
Figure 0003649441

(式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
本発明の3級メルカプトケトン(I)は、いずれも、ミーティー様、グリーン様、グレープフルーツ様、キャティー様、フローラル様の、特有の強い香気を有し、しかも香気持続性および安定に優れ、長期にわたってその特有の香気・香味を維持することができる。そのため、本発明の3級メルカプトケトン(I)は、そのまま製品の香気・香味付けに直接使用してもよいし、または他の成分と混合して香気・香味組成物を調製し、その香気・香味組成物を用いて各種製品の香気・香味付けに使用してもよく、よって本発明は3級メルカプトケトン(I)を用いて調製した香気・香味組成物を本発明の範囲に包含する。
本発明の3級メルカプトケトン(I)をそのまま直接用いるか、または3級メルカプトケトン(I)を含有する香気・香味組成物を用いて各種製品の香気・香味付けを行う場合は、少量の使用で、その香気・香味付け効果を長期にわたって維持し、所望の芳香持続、高い残香性を有する香気・香味付けされた製品を調製することができる。
一方、上記の式(I)で表される3級メルカプトケトンにおいて、RとR’の炭素数の合計が5以上であって、本発明の範囲から外れる化合物は、匂い強度が低く、香気・香味付け効果が充分ではない。
3級メルカプトケトン(I)を用いて調製した香気・香味組成物は、香気・香味付け成分として、3級メルカプトケトン(I)のみを含有してもよいし、または3級メルカプトケトン(I)と共に通常使用されている他の香料成分を含有してもよい。
香気・香味組成物が3級メルカプトケトン(I)と共に含有し得る他の香料成分としては、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料などを挙げることができ、例えば非特許文献3に記載されているような広範な種類の香料成分を使用することができる。そのうちでも代表的なものとしては、例えば、α−ピネン、リモネン、cis−3−ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ローズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、ムスコン、テサロン(高砂香料工業株式会社)などを挙げることができる。
より具体的には、本発明の3級メルカプトケトン(I)を、例えば、ベルガモット油、ガルバナム油、レモン油、ゼラニウム油、ラベンダー油、マンダリン油などの合成精油中に配合すると、天然精油が本来有する香気香味に、マイルドさ、コク、新鮮さを付与することができ、それによって嗜好性が高く且つ拡散性および保留性の向上した、持続性に優れる合成精油をベースとする香気・香味組成物を得ることができる。
また、本発明の3級メルカプトケトン(I)は、例えばオレンジ、ライム、グレープフルーツなどのような柑橘精油;ラベンダー油、ベチバー油、シダーウッド油、シトロネリル油、ゼラニウム油、ラバンジン油、サンダルウッド油などのような天然精油に対しても良く調和し、それらの精油の特徴を強調することができるので、これらの精油に3級メルカプトケトン(I)を添加することにより、まろやかでコクがあり、天然らしさに富み、加えて拡散性、保留性の向上した、持続性に優れる香気・香味組成物を得ることができる。
更に、例えば各種合成香料、天然香料、天然精油、柑橘精油、動物性香料などから調製したストロベリー様、レモン様、オレンジ様、グレープフルーツ様、アップル様、パイナップル様、バナナ様、メロン様、緑茶様、ウーロン茶様、シャケ様、イワシ様、ニボシ様、エビ様、カニ様などのような香気や香味を有する香気・香味組成物に3級メルカプトケトン(I)を配合すると、マイルドでコクがあり、天然らしさのある、マリン様、モダングリーン様、ファッティ様、ファッティグリーン様の香気、更には新鮮さ、嗜好性の高い香気、その上拡散性、保留性の高まった、持続性の向上した香気・香味組成物を得ることができる。
本発明の3級メルカプトケトン(I)を含有する香気・香味組成物における3級メルカプトケトン(I)の含有量は、一緒に調合する香料やその他の成分の種類、香気・香味組成物の使用目的などにより調整することができる。例えば、香粧品用の香気・香味組成物では、一般に、香気・香味組成物の全質量に対して、3級メルカプトケトン(I)の含有量が1×10-6〜5×10-3質量%、特に5×10-6〜1×10-3質量%であることが好ましい。また、飲食品用の香気・香味組成物では、一般に、香気・香味組成物の全質量に対して、3級メルカプトケトン(I)の含有量が1×10-7〜1×10-1質量%であることが好ましく、1×10-6〜1×10-2質量%であることがより好ましく、1×10-5〜1×10-3質量%であることがさらに好ましい。特に、緑茶飲料、ウーロン茶飲料、茶使用菓子類などのような茶使用飲食品用に用いられる香気・香味組成物では、一般に、香気・香味組成物の全質量に対して、3級メルカプトケトン(I)の含有量が1×10-6〜1×10-2質量%であることが好ましく、1×10-5〜1×10-3質量%であることがより好ましい。
3級メルカプトケトン(I)を含有する本発明の香気・香味組成物は、必要に応じて、香気・香味組成物において通常使用されている他の香料保留剤の1種または2種以上を含有していてもよい。その場合の他の香料保留剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
本発明の3級メルカプトケトン(I)は、上述のように、3級メルカプトケトン(I)単独で、または3級メルカプトケトン(I)を含有する香気・香味組成物にして、各種製品の香気・香味付けに用いることができる。本発明の3級メルカプトケトン(I)自体または3級メルカプトケトン(I)を含有する香気・香味組成物によって香気・香味付けすることのできる製品としては、例えば、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品、医薬品などを挙げることができる。
それらのうちで、本発明の3級メルカプトケトン(I)およびそれを含有する香気・香味組成物によって香気・香味付けすることのできる飲食品の具体例としては、何ら限定されるものではないが、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類の如き飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓類;ゼリー、プリンなどのデザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューインガムなどの洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウなどの和菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、ココアの如き茶飲料または嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類;風味調味料;各種インスタント飲料乃至食品類;各種スナック食品類などを挙げることができる。
そのうちでも、本発明の3級メルカプトケトン(I)およびそれを含有する香気・香味組成物は、緑茶、ウーロン茶などの茶を用いた茶飲料や茶使用食品用の香気・香味付けに用に適している。3級メルカプトケトン(I)またはそれを含有する香気・香味組成物を用いて茶使用食品、特に緑茶飲料またはウーロン茶飲料の香気・香味付けを行った場合には、茶の香りを向上させて、コク、重厚感、丸みがあって、熟成感を伴った、厚みのある、馥郁として、茶類本来の良好な光輝を発現させることができる。
また、本発明の3級メルカプトケトン(I)およびそれを含有する香気・香味組成物によって香気・香味付けすることのできる香粧品または日用・雑貨品としては、例えば、フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、その他の雑貨類などを挙げることができる。
より具体的には、
・フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンなど;
・基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど;
・仕上げ化粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど;
・頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など;
を挙げることができる。
・日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品など;
・薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマメントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料などを挙げることができ;
・ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックなど;
・石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸など;
・身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなど;
・浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなど;
・洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など;
を挙げることができる。
・柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチアケアーなど;
・洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など;
・台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など;
・漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など;
・エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレーなど;
・消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなど;
・雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど;
を挙げることができる。
・口腔用組成物としては、例えば、歯磨き、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ、チューインガム類など;
・医薬品類としては、ハップ剤、軟膏剤の如き皮膚外用剤、内服剤など;
を挙げることができる。
本発明の3級メルカプトケトン(I)およびそれを含有する香気・香味組成物を上記したような各種の製品の香気・香味付けに用いる場合は、香気・香味付けする製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて、3級メルカプトケトン(I)またはそれを含有する香気・香味組成物を、その直接製品に添加または付与してもよいし;3級メルカプトケトン(I)またはそれを含有する香気・香味組成物を、例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類に溶解して液体状にして添加または付与してもよいし;アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤など)を用いて可溶化或いは乳化分散させた可溶化状或いは分散状にして添加または付与してもよいし;アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜形成した粉末状で添加または付与してもよいし;カプセル化剤で処理してマイクロカプセルにして添加または付与してもよい。
さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、3級メルカプトケトン(I)またはそれを含有する香気・香味組成物を安定化すると共に徐放性にして用いてもよい。
香気・香味付けを行う際の製品への3級メルカプトケトン(I)の添加量または付与量は、製品の種類や形態、製品に求められる香気・香味付け効果や作用などに応じて調整することができる。一般的には製品の質量に対して、3級メルカプトケトン(I)の添加量または付与量が、約1×10-10〜1×10-1質量%程度であることが好ましく、1×10-9〜1×10-2質量%であることがより好ましい。特に、緑茶飲料、ウーロン茶飲料などの茶飲料に添加する場合は、茶飲料の質量に対して、3級メルカプトケトン(I)の添加量が1×10-9〜1×10-1質量%であることが好ましく、1×10-8〜1×10-2質量%であることがより好ましい。
以下に実施例などによって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。以下の例で用いた測定機器および測定条件を次に示す。
(1)ガスクロマトグラフ(転換率の測定);
機器:ヒューレットパッカード社製「HP−5890A」
カラム:ヒューレットパッカード社製「HP−5」(30m×0.32mm×0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム
測定温度:100〜220℃(昇温速度:10℃/分)
(2)赤外吸収スペクトル(IR);
機器:ニコレー社製「AVATER 360FT−IR」
測定方法:フィルム法
(3)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR);
機器:ブルッカー社製「DRX−500」(500MHz)
内部標準物質:テトラメチルシラン
(4)質量スペクトル(MS);
機器:株式会社日立製作所製「M−80B質量分析計」(イオン化電圧:20eV)
《実施例1》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの製造]
(1)3−メチルクロトン酸クロリドの合成:
温度計と冷却器を取り付けた1000mlの4口反応器に、3−メチルクロトン酸200g(2.00mol)を仕込み、氷冷下に塩化チオニル152ml(2.10mol)を90分間かけて滴下した後、そのまま30分間攪拌し、その後氷浴を外して1時間攪拌を続けた。冷却器をビグロー付きクライゼン蒸留器に代えて減圧下に蒸留精製を行って、3−メチルクロトン酸クロリド228.6gを得た(収率96%)。
(2)5−メチル−4−へキセン−3−オンの合成:
5000mlの4口反応器に、上記(1)で合成した3−メチルクロトン酸クロリド221.7g(2.08mol)とトルエン2000mlを仕込み、ドライアイス−アセトン浴にて−50℃に冷却した後、無水塩化第二鉄(FeCl3)168.8g(0.5当量)を加えた。次いで、エチルグリニア試薬[乾燥テトラヒドロフラン2000ml中に金属マグネシウム90.97g(3.74mol)と臭化エチル416.31g(1当量)を混合して調製]を、発熱に注意しながら液温を−40℃以下に保ちながら3時間かけて滴下し、その後、−50℃以下で3時間反応させた。希塩酸を加えて反応を停止させた後、トルエンにて抽出を行い、次いで水洗および減圧濃縮して粗生成物を得た。このものを10段相当のスルーザー蒸留塔を用いて減圧蒸留して、5−メチル−4−へキセン−3−オン97.97gを得た(収率42%)。
(3)5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの合成:
温度計とガス導入管を取り付けた100mlの4口反応器に、上記(2)で合成した5−メチル−4−へキセン−3−オン2.57g(0.023mol)と塩化メチレン30mlを仕込み、液温を25℃に保って、そこに無水塩化アルミニウム612mg(0.2当量)を加えた後、ガス導入管より硫化水素ガスを3時間吹き込んだ。次いで、窒素ガスを導入して残留硫化水素を追い出した後、希塩酸を加えて反応を停止させた後、トルエンにて抽出し、続いて水洗および減圧濃縮して粗生成物を得た。このものをシリカゲルクロマトにて精製(溶離液:ベンゼン)して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン1.1gを得た(収率31%)。
(4) 上記(3)で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの分析結果は次のとおりであった。
・1H−NMR:1.05(3H,t,7.3Hz),1.48(6H,s),2.41(1H,s),2.45(2H,q,7.3Hz),2.74(2H,s).
・IR(neat):2967,2938,2584,1714,1459,1411,1365,1236,1171,1134,1107,1037,954,886
・MS(EI):146(M+),131,113,103,89,75,72,57,55,41,29
《実施例2》[4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンの製造]
(1)3−メチル−2−ペンテン酸の合成:
(i) 温度計と冷却器を取り付けた5000mlの4口反応器に、60%−水素化ナトリウム24.4g(0.61mol)と乾燥テトラヒドロフラン1300mlを仕込み、室温下にトリメチルホスホノアセテート100g(0.55mol)を乾燥テトラヒドロフラン350mlに溶解した溶液を3時間かけて滴下した。次いで、メチルエチルケトン39.6g(0.55mol)の乾燥テトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液を室温下に90分間かけて滴下した後、60℃で1時間加熱攪拌して反応させた。反応終了後、氷冷下に希塩酸を添加して中和し、沈殿物を濾過して除いた後、液相(テトラヒドロフラン相)を減圧濃縮した。濃縮液にヘキサンと水を加えて分液させた後、有機層を分取し、水洗および減圧濃縮を行って、粗3−メチル−2−ペンテン酸メチルエステル65gを得た。このものは特に精製せずに次の工程(ii)でそのまま用いた。
(ii) 温度計と冷却器を取り付けた200mlの4口反応器に、上記(i)で得られた粗3−メチル−2−ペンテン酸メチルエステル23g(0.18mol)とメタノール70mlを仕込み、20%水酸化ナトリウム水溶液43gを加え、室温下に90分間攪拌した後、45℃に加熱して1時間攪拌して反応させた。反応液を氷冷希塩酸水中に注入して反応を停止させた後、酢酸エチルを用いて不純物を抽出除去した。次いで、有機層を分取して水洗した後、減圧濃縮を行って粗3−メチル−2−ペンテン酸10.3gを得た。このものは特に精製せずに次の工程(2)でそのまま用いた。
(2)3−メチル−2−ペンテン酸クロリドの合成:
温度計と冷却器を取り付けた50mlの4口反応器に、上記(1)で得られた粗3−メチル−2−ペンテン酸10.3g(0.09mol)を仕込み、氷冷下に塩化チオニル13ml(0.18mol)を40分間かけて滴下した後、そのまま30分間攪拌し、次いで氷浴を外して更に1時間攪拌を続けた。冷却器をビグロー付きクライゼン蒸留器に代えて減圧下に蒸留精製を行って、3−メチル−2−ペンテン酸クロリド8.4gを得た(収率70%)。
(3)4−メチル−3−へキセン−2−オンの合成:
300mlの4口反応器に、上記(2)で得られた3−メチル−2−ペンテン酸クロリド4.76g(0.04mol)とトルエン60mlを仕込み、ドライアイス−アセトン浴にて−60℃に冷却後、無水塩化第二鉄(FeCl3)3.20g(0.5当量)を加え、その後メチルグリニア試薬(MeMgCl−THF)71ml(1.8当量)を発熱に注意しながら液温を−50℃以下に保ちながら30分間かけて滴下し、同温度で更に2時間反応させた。希塩酸を加えて反応を停止させた後、トルエンにて抽出を行い、次いで水洗および減圧濃縮して粗生成物を得た。このものをシリカゲルクロマトにて精製(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)して、4−メチル−3−へキセン−2−オン2.57gを得た(収率58%)。
(4)4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンの合成:
温度計とガス導入管を取り付けた100mlの4口反応器に、上記(3)で得られた4−メチル−3−へキセン−2−オン2.57g(0.023mol)と塩化メチレン30mlを仕込み、液温を約25℃に保ちながら、そこに無水塩化アルミニウム612mg(0.2当量)を加えた後、ガス導入管より硫化水素ガスを3時間吹き込んだ。次いで、窒素ガスを導入して残留硫化水素を追い出した後、希塩酸を加えて反応を停止させた後、トルエンにて抽出を行い、次いで水洗および減圧濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトにて精製(溶離液:ベンゼン)して、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン1.2gを得た(収率36%)。
(5) 上記(4)で得られた4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンの分析結果は次のとおりであった。
・1H−NMR:0.96(3H,t,7.4Hz),1.42(3H,s),1.74(2H,m),2.18(3H,s), 2.75(2H,q,16.5)
・MS(EI):146(M+),128,113,112,103,89,88,70,69,55,43,41, 26.
《実施例3》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノンの製造]
実施例2の(3)でメチルグリニア試薬に代えて、エチルグリニア試薬を用い、他は実施例2と同様に行って、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノンを得た。
《実施例4》[6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンの製造]
実施例1の(2)でエチルグリニア試薬に代えて、プロピルグリニア試薬を用い、他は実施例1と同様に行って、6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンを得た。
《比較例1》[7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンの製造]
実施例1の(2)でエチルグリニア試薬に代えて、ブチルグリニア試薬を用い、他は実施例2と同様に行って、7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを得た。
《評価試験例1》[香気質の評価]
前記実施例1で製造した5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン、実施例2で製造した4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン、実施例3で製造した5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノン、実施例4で製造した6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノン、比較例1で製造した7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノン、および4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(オックスフォード社製、1%プロピレングリコール溶液)について、7人の専門パネラーによる香り評価を行った結果、下記の表1に示すとおりであった。
Figure 0003649441
上記の表1の結果にみるように、実施例1〜4の本発明の3級メルカプトケトン(I)[上記の式(I)においてRおよびR’が炭素数1〜3のアルキル基で且つRとR’の炭素数の合計が3または4である3級メルカプトケトン]は、いずれも、ミーティー感および/またはキャティー感のある、嗜好性の高い特有な強い香気を有していた。
それに対して、比較例1の7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノン[上記式(I)においてRがメチル基、R’がブチル基であって本発明の3級メルカプトケトン(I)の範囲から外れる3級メルカプトケトン]は、弱いミーティー感はあるものの、野菜的な香り(具体的には青野風の香り)がし、その香気は嗜好性の低いものであった。
また、従来公知の4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンは、ミーティー、キャーティー感はあるが、お茶の風味とは異なる調理感が強く、過熱感があり、その香気は本発明品と比較して嗜好性が劣るものであった。
《実施例5》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加の緑茶飲料の製造]
緑茶葉10gに温度90℃のお湯300mlを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られた緑茶抽出液100質量部に対し、実施例1で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの1ppbエタノール溶液を0.1質量部の量で加えて、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを0.001ppbの濃度で含有する緑茶飲料を製造した。これにより得られた緑茶飲料を、下記の表2に示す評価基準(5段階評価)にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
《実施例6〜8》[他の3級メルカプトケトン(I)添加の緑茶飲料の製造]
5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの代りに、実施例2で製造した4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン、実施例3で製造した5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノンおよび実施例4で製造した6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンのそれぞれを使用した以外は実施例5と同様の工程を行って、それぞれの3級メルカプトケトン(I)を0.001ppbの濃度で含有する緑茶飲料を製造した。これにより得られた緑茶飲料を、下記の表2に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例3》[7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノン添加の緑茶飲料の製造]
5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの代りに、上記の比較例1で製造した7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを使用した以外は実施例5と同様の工程を行って、7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを0.001ppbの濃度で含有する緑茶飲料を製造した。これにより得られた緑茶飲料を、下記の表2に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例4》[4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン添加の緑茶飲料の製造]
5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの代りに、従来公知の4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(オックスフォード社製、1%プロピレングリコール溶液)を使用した以外は実施例5と同様の工程を行って、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンを0.001ppbの濃度で含有する緑茶飲料を製造した。これにより得られた緑茶飲料を、下記の表2に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例5》[メルカプトケトン無添加の緑茶飲料の製造]
緑茶葉10gに温度90℃のお湯300mlを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られた緑茶飲料(緑茶抽出液)について、下記の表2に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
Figure 0003649441
Figure 0003649441
上記の表3にみるように、本発明の3級メルカプトケトン(I)を添加した実施例5〜8の緑茶飲料は、いずれも、メルカプトケトン無添加の比較例5の緑茶飲料(対照例)に比べて、緑茶独特の苦味および渋味が軽減し、熟成感を伴った、深みのある、緑茶特有のミーティー感があり、入れたての緑茶の持つ馥郁とした香味感を有している。そのうちでも、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを添加した実施例5の緑茶飲料は、緑茶の持つ馥郁として香味感において特に優れている。
それに対して、7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを添加した比較例3の緑茶飲料は、実施例5〜8の緑茶飲料に比べて、熟成感、深み、緑茶特有のミーティー感およびキャティー感などの点で劣っており、しかもメルカプトケトン無添加の比較例5の緑茶飲料(対照例)と比べても緑茶本来のグリーン香がかなり損なわれている。
また、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンを添加した比較例4の緑茶飲料は、メルカプトケトン無添加の比較例4の緑茶飲料(対照例)に比べて、熟成感、深み、緑茶特有のミーティー感およびキャティー感などの点では多少向上しているが、実施例5〜8の緑茶飲料に比べるとその香味向上効果が劣っている。
《実施例9》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加の緑茶飲料用香味組成物および緑茶飲料の製造]
(1) 緑茶葉1kgに温度90℃のお湯30リットルを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られた緑茶抽出液を100倍の濃度に濃縮して、緑茶飲料用の濃縮液を調製した。
(2) 上記(1)で得られた緑茶用の濃縮液100質量部に対し、実施例1で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの10ppbエタノール溶液を0.002質量部の量で加えて、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを0.0002ppb(2×10-4ppb)の割合で含有する緑茶飲料用の香味組成物を製造した。
(3) 上記(2)で得られ香味組成物を、緑茶葉10gに温度90℃のお湯300mlを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られた緑茶抽出液100質量部に対して、1質量部の割合で添加して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを添加した緑茶飲料[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの濃度:約0.000002ppb(2×10-6ppb)]を製造した。これにより得られた緑茶飲料について、8人の専門パネラーにより上記の表2に記載した評価基準に従って官能試験を行ったところ、8人のパネラーの平均値は4.7点であり、緑茶独特の苦味及び渋みが軽減し、熟成感を伴った、深みのある、緑茶特有のミーティー感があり、入れたての緑茶の持つ馥郁とした香味感が付与されていた。しかも、24時間経過後もその良好な香気が失われずに維持されていた。
《実施例10》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加の緑茶飲料用香味組成物および緑茶飲料の製造]
(1) 下記の表4に示す成分を表4に示す割合で混合して5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを0.1ppbの濃度で含有する緑茶飲料用の香味組成物を製造した。
(2) 緑茶葉10gに温度90℃のお湯300mlを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られた緑茶抽出液100質量部に、上記(1)で得られた香味組成物を0.1質量部の量で加えて、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを0.001ppbの濃度で含有する緑茶飲料を製造した。
(3) 上記(2)で得られた緑茶飲料について、8人の専門パネラーにより上記の表2に記載した評価基準に従って官能試験を行ったところ、下記の表4に示すように、8人のパネラーの平均値は4.7点であり、緑茶独特の苦味及び渋みが軽減し、熟成感を伴った、深みのある、緑茶特有のミーティー感があり、入れたての緑茶の持つ馥郁とした香味感が付与されていた。
《比較例6》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加の緑茶飲料用香味組成物および緑茶飲料の製造]
(1) 下記の表4に示す成分を表4に示す割合で混合して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを含有しない緑茶飲料用の香味組成物を製造した。
(2) 緑茶葉10gに温度90℃のお湯300mlを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られた緑茶抽出液100質量部に、上記(1)で得られた香味組成物を0.1質量部の量で加えて、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを含有しない緑茶飲料を製造した。
(3) 上記(2)で得られた緑茶飲料について、8人の専門パネラーにより上記の表2に記載した評価基準に従って官能試験を行ったところ、下記の表4に示すように、8人のパネラーの平均値は1.2点であり、実施例10の緑茶飲料に比べて、深みおよびコクが不足していた。
Figure 0003649441
《実施例11》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加のウーロン茶飲料の製造]
ウーロン茶葉10gに温度100℃のお湯300mlを注ぎ、約3分間放置してから茶葉を濾して得られたウーロン茶抽出液100質量部に対し、実施例1で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの10ppbエタノール溶液を0.002質量部の量で加え、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを0.0002ppbの割合で含有するウーロン茶飲料を得た。これにより得られたウーロン茶飲料を、下記の表5に示す評価基準(5段階評価)にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
《実施例12〜14》[他の3級メルカプトケトン(I)添加のウーロン茶飲料の製造]
5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの代りに、実施例2で製造した4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン、実施例3で製造した5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノン、および実施例4で製造した6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンのそれぞれを使用した以外は実施例11と同様の工程を行って、それぞれの3級メルカプトケトン(I)を0.001ppbの濃度で含有するウーロン茶飲料を製造した。
これにより得られたウーロン茶飲料を、下記の表5に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
《比較例7》[7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノン添加のウーロン茶飲料の製造]
5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの代りに、上記の比較例1で製造した7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを使用した以外は実施例11と同様の工程を行って、7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを0.001ppbの濃度で含有するウーロン茶飲料を製造した。これにより得られたウーロン茶飲料を、下記の表5に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
《比較例8》[4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン添加のウーロン茶飲料の製造]
5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの代りに、従来公知の4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(オックスフォード社製、1%プロピレングリコール溶液)を使用した以外は実施例11と同様の工程を行って、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンを0.001ppbの濃度で含有するウーロン茶飲料を製造した。これにより得られたウーロン茶飲料を、下記の表5に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
《比較例9》[メルカプトケトン無添加のウーロン茶飲料の製造]
ウーロン茶葉10gに温度90℃のお湯300mlを注ぎ、約1分間放置してから茶葉を濾して得られたウーロン茶飲料(ウーロン茶抽出液)について、下記の表5に示す評価基準にしたがって8名の専門パネラーにより評価してもらい、その平均値を採ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
Figure 0003649441
Figure 0003649441
上記の表6にみるように、本発明の3級メルカプトケトン(I)を添加した実施例11〜14のウーロン茶飲料は、いずれも、メルカプトケトン無添加の比較例9のウーロン茶飲料(対照例)に比べて、熟成感、深み、ウーロン茶特有のミーティー感およびキャティー感があり、ウーロン茶特有の香味感有している。そのうちでも、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを添加した実施例12のウーロン茶飲料は、熟成感、深み、ウーロン茶特有のミーティー感およびキャティー感に特に優れている。
それに対して、7−メルカプト−7−メチル−5−オクタノンを添加した比較例7のウーロン茶飲料は、実施例11〜14のウーロン茶飲料に比べて、熟成感、深み、ウーロン茶特有のミーティー感、キャティー感、ウーロン茶特有の香味などの点で劣っており、しかもメルカプトケトン無添加の比較例9のウーロン茶飲料(対照例)と比べてもウーロン茶本来の香りがかなり損なわれている。
また、従来公知の4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンを添加した比較例7のウーロン茶飲料は、メルカプトケトン無添加の比較例8のウーロン茶飲料(対照例)に比べて、熟成感、深み、ウーロン茶特有のミーティー感およびキャティー感などの点では向上しているが、やや調理感が強く、過熱感を伴っており、ウーロン茶飲料に対する香味向上効果がない。
《実施例15》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加のウーロン茶飲料用香味組成物およびウーロン茶飲料の製造]
(1) ウーロン茶葉1kgに温度100℃のお湯30リットルを注ぎ、約3分間放置してから茶葉を濾して得られたウーロン茶抽出液を100倍の濃度に濃縮して、ウーロン茶飲料用の濃縮液を調製した。
(2) 上記(1)で得られた濃縮液100質量部に対して、実施例1で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンの10ppbエタノール溶液を0.002質量部の量で添加して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを0.0002ppbの濃度で含有するウーロン茶飲料用の香味組成物を製造した。
(3) ウーロン茶葉10gに温度100℃のお湯300mlを注ぎ、約3分間放置してから茶葉を濾して得られたウーロン茶抽出液100質量部に、上記(2)で得られた香味組成物1質量部を添加して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを約0.000002ppb(2×10-6ppb)の濃度で含有するウーロン茶飲料を製造した。これにより得られたウーロン茶飲料について、8人の専門パネラーにより上記の表5に記載した評価基準に従って官能試験を行ったところ、8人のパネラーの平均値は4.5点であり、熟成感を伴う、深みのあるウーロン茶葉様をイメージする香気を有していた。しかも、24時間経過後も、その良好な香気が失われずに維持されていた。
《実施例16》[4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン添加のウーロン茶飲料用香味組成物およびウーロン茶飲料の製造]
(1) 下記の表7に示す成分を表7に示す割合で混合して、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを0.1ppbの濃度で含有するウーロン茶飲料用の香味組成物を調製した。
(2) ウーロン茶葉10gに温度100℃のお湯300mlを注ぎ、約3分間放置してから茶葉を濾して得られたウーロン茶抽出液100質量部に、上記(1)で得られた香味組成物を0.1質量部の量で加えて、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを0.001ppbの濃度で含有するウーロン茶飲料を製造した。
(3) 上記(2)で得られたウーロン茶飲料について、8人の専門パネラーにより上記の表5に記載した評価基準に従って官能試験を行ったところ、下記の表7に示すように、8人のパネラーの平均値は4.6点であり、深みのあるウーロン茶独特のコクが付与されていた。
《比較例10》[4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン無添加のウーロン茶飲料用香味組成物およびウーロン茶飲料の製造]
(1) 下記の表7に示す成分を表7に示す割合で混合して、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを含有しないウーロン茶飲料用の香味組成物を製造した。
(2) ウーロン茶葉10gに温度100℃のお湯300mlを注ぎ、約3分間放置してから茶葉を濾して得られたウーロン茶抽出液100質量部に、上記(1)で得られた香味組成物を0.1質量部の量で加えて、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを含有しないウーロン茶飲料を製造した。
(3) 上記(2)で得られたウーロン茶飲料について、8人の専門パネラーにより上記の表5に記載した評価基準に従って官能試験を行ったところ、下記の表7に示すように、8人のパネラーの平均値は1.2点であり、実施例16のウーロン茶飲料に比べて深みおよびコクが不足していた。
Figure 0003649441
《実施例17》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノンを添加した抹茶プリンの製造]
(1) 下記の表8に示す抹茶プリン用配合を準備した。
Figure 0003649441
(2) 上記の表8に示した抹茶プリン用配合のうち、砂糖、脱脂粉乳、抹茶、ゲル化剤および乳化剤を予め粉体混合しておき、その混合物をホイップクリーム(植物性脂肪分40%)、全脂加糖練乳および水の混合物に加えて、80℃で10分間加熱撹拌溶解し、次いで残りの原料を混合した後、水にて全量を100質量部に補正し、14700kPaにて均質化し、容器に充填後、冷却固化して抹茶プリンを製造した。これにより得られた抹茶プリンは、熟成感を伴い、深みのある茶葉をイメージする香気を有する風味および食味の良好な抹茶プリンであった。
《実施例18および比較例11》[グレープフルーツフレーバー組成物の製造]
(1) 下記の表9に示す処方で、実施例2で製造した4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを極微量含有するグレープフルーツフレーバーを製造した(実施例21)。
(2) 下記の表9に示すように、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを添加しなかった以外は実施例21と同じ処方を採用して、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン無添加のグレープフルーツフレーバーを製造した(比較例11)。
Figure 0003649441
(3) 上記(1)で得られた実施例18のグレープフルーツフレーバーおよび比較例11のグレープフルーツフレーバーについて、専門のパネラー7人による官能比較評価を行ったところ、パネラー全員が、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノンを添加した実施例18のグレープフルーツフレーバーでは、比較例11には無い、ナチュラルで深みのある、みずみずしさが付与されていると評価した。
《実施例19》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加のシャンプー用香料組成物およびシャンプーの製造]
(1) 下記の表10に示すシャンプー用香料組成物配合を準備し、該表10に示す成分を室温にて撹拌機を用いて十分に撹拌混合して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加のシャンプー用香料組成物を製造した。
Figure 0003649441
(2) 上記(1)で製造したシャンプー用香料組成物を用いて、下記の表11に示すシャンプー配合により、シャンプーを製造した。具体的には、表11に示すシャンプー配合を構成する成分の全量を混合して80℃で均一になるまで加熱撹拌し、その後35℃まで冷却した後、さらに室温に冷却してシャンプーを製造した。
Figure 0003649441
(3) 上記(1)で得られたシャンプー用香料組成物および上記(2)で得られたシャンプーは、いずれも、香りの拡散性に優れ、フレッシュでナチュラル感を有していた。
《比較例12》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加のシャンプー用香料組成物およびシャンプーの製造]
(1) 上記の表10に示したシャンプー用香料組成物配合において、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン10ppmDPG(ジプロピレングリコール)溶液の代わりに、それと同量のジプロピレングリコール(DPG)を用いる以外には実施例19の(1)と同様の工程を行って、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加のシャンプー用香料組成物を製造した。
(2) 実施例22の(2)で採用した表11のシャンプー配合において、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加のシャンプー用香料組成物の代りに、上記(1)で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加のシャンプー用香料組成物を使用した以外は実施例19の(2)と同様にして、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加のシャンプーを製造した。
(3) 上記(1)で得られたシャンプー用香料組成物、および上記(2)で得られたシャンプーは、いずれも、香りの拡散性が不十分で、しかもフレッシュ感およびナチュラル感において、実施例19のものよりも劣っていた。
《実施例20》[4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン添加のボディシャンプー用香料組成物およびボディシャンプーの製造]
(1) 下記の表12に示すボディシャンプー用香料組成物配合を準備し、該表12に示す成分を室温にて撹拌機を用いて十分に撹拌混合して、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン添加のボディシャンプー用香料組成物を製造した。
Figure 0003649441
(2) 上記(1)で製造したボディシャンプー用香料組成物を用いて、下記の表13に示すボディシャンプー配合により、ボディシャンプーを製造した。具体的には、表13に示すボディシャンプー配合を構成する成分の全量を混合して40℃で均一になるまで加熱撹拌した後、室温に冷却してボディシャンプーを製造した。
Figure 0003649441
(3) 上記(1)で得られたボディシャンプー用香料組成物および上記(2)で得られたボディシャンプーでは、いずれも、爽やかのアップしたシトラス感が付与されていた。
《比較例13》[4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン無添加のボディシャンプー用香料組成物およびボディシャンプーの製造]
(1) 上記の表12に示したボディシャンプー用香料組成物配合において、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン10ppmDPG溶液の代わりに、それと同量のジプロピレングリコールを用いる以外には実施例23の(1)と同様の工程を行って、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン無添加のボディシャンプー用香料組成物を製造した。
(2) 実施例20の(2)で採用した表13のボディシャンプー配合において、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン添加のボディシャンプー用香料組成物の代りに、上記(1)で得られた4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン無添加のボディシャンプー用香料組成物を使用した以外は実施例20の(2)と同様にして、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン無添加のボディシャンプーを製造した。
(3) 上記(1)で得られたボディシャンプー用香料組成物、および上記(2)で得られたボディシャンプーは、いずれも、爽やかおよびシトラス感において、実施例20のものに比べて劣っていた。
《実施例21》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加の香水用香料組成物および化粧クリームの製造]
(1) 下記の表14に示す香水用香料組成物配合を準備し、該表14に示す成分を室温にて撹拌機を用いて十分に撹拌混合して、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加の香水用香料組成物を製造した。
Figure 0003649441
(2) 上記(1)で製造した香水用香料組成物を用いて、下記の表15に示した化粧クリーム配合により、化粧クリームを製造した。具体的には、表15に示す化粧クリーム配合を構成する成分の全量を混合して40℃で均一になるまで加熱撹拌した後、室温に冷却して化粧クリームを製造した。
Figure 0003649441
(3) 上記(1)で得られた香水用香料組成物および上記(2)で得られた化粧クリームは、いずれも、香りの拡散性に非常に優れており、しかもナチュラル感を有していた。
《比較例14》[5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加の香水用香料組成物および化粧クリームの製造]
(1) 上記の表14に示した香水用香料組成物配合において、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン10ppmDPG溶液の代わりに、それと同量のジプロピレングリコールを用いる以外には実施例24の(1)と同様の工程を行って、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加の香水用香料組成物を製造した。
(2) 実施例21の(2)で採用した表14の化粧クリーム配合において、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン添加の香水用香料組成物の代りに、上記(1)で得られた5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加の香水用香料組成物を使用した以外は実施例21の(2)と同様にして、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン無添加の化粧クリームを製造した。
(3) 上記(1)で得られた香水用香料組成物、および上記(2)で得られた化粧クリームは、いずれも、香りの拡散性が十分ではなく、ナチュラル感においても、実施例21のものよりも劣っていた。
本発明の3級メルカプトケトン(I)およびそれを含有する香気・香味組成物は、嗜好性が高く、香質、コク、深みなどの点に優れており、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品、医薬品などの種々の製品への香気・香味付けに有効に使用することができる。

Claims (12)

  1. 下記の式(I);
    Figure 0003649441

    (式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
    で表される3級メルカプトケトン。
  2. 5−メルカプト−5−メチル−3−ヘキサノン、4−メルカプト−4−メチル−2−ヘキサノン、5−メルカプト−5−メチル−3−ヘプタノンまたは6−メルカプト−6−メチル−4−ヘプタノンである請求項1に載の3級メルカプトケトン。
  3. 下記の式(i);
    Figure 0003649441

    (式中、RおよびR’は、互いに同一または異なる炭素数1〜3のアルキル基であり、且つRおよびR’の炭素数の合計が3または4である。)
    で表されるα,β−共役ケトンに、触媒の存在下で硫化水素を反応させることを特徴とする、下記の式(I);
    Figure 0003649441

    (式中、RおよびR’は上記と同じ。)
    で表される3級メルカプトケトンの製造方法。
  4. 触媒が、三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄および四塩化チタンから選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の3級メルカプトケトンの1種または2種以上を含有することを特徴とする香気・香味組成物。
  6. 飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品または医薬品用である請求項5に記載の香気・香味組成物。
  7. 茶使用飲食品用である請求項6に記載の香気・香味組成物。
  8. 請求項1または2に記載の3級メルカプトケトンの1種または2種を用いて香気・香味付けした製品。
  9. 請求項5に記載の香気・香味組成物を用いて香気・香味付けした製品。
  10. 飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用品または医薬品である請求項8または9に記載の香気・香味付けした製品。
  11. 茶使用飲食品である請求項10に記載の香気・香味付けした製品。
  12. フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤または雑貨である請求項8〜10のいずれか1項に記載の香気・香味付けした製品。
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