例示的な測位システム(positioning systems)において、ユーザ又は装置はロケータに少なくとも1つのロケーション固有波形を送出してもよく、ロケータは、ルータ、アクセスポイント、基地局、コンピュータ、中継器及びハンドヘルド装置等のあらゆる種類の無線モジュールであってもよい。ロケータは、受信したロケーション固有波形と、特定のロケーション又は位置座標セットに関連付けられうるか又は関連付けられている予測波形、コンピュータにより生成された波形、格納済み波形及び以前に生成された波形等とを比較してもよい。受信したロケーション固有波形は、波形の類似度を判定するために、1つの波形と別の波形とを畳み込むこと、1つの波形と別の波形の時間反転バージョンとを畳み込むこと、それらの波形を相関処理すること、並びに正規化して一方の波形を他方の波形から減算することを含むがそれらに限定されない種々の方法で比較されてもよい。波形が十分に類似すると判定される場合、受信されたロケーション固有波形の送信側装置は、比較計算で使用された予測波形、コンピュータにより生成された波形、格納済み波形及び/又は以前に生成された波形に関連付けられた特定のロケーションに存在すると考えられる。無線測位システムの例示的な実施形態が説明され、その中で、ロケーション固有波形を使用する測位システムは本明細書において開示される本発明の装置及び方法を使用して5cmより高精度の位置特定を達成することが示される。
一般に、一態様において、装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、第1の装置において、第2の装置から送出されたプローブ信号をマルチパスチャネルを介して受信することを含む。第1の装置において受信されるプローブ信号は、マルチパスチャネルの影響により、第2の装置により送出された波形と異なる波形を有する。方法は、第1の装置において受信したプローブ信号に基づいてチャネルインパルス応答を推定することを更に含む。方法は、推定チャネルインパルス応答に基づいて時間反転信号を判定することを更に含む。方法は、時間反転信号と記憶装置に格納された格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて第2の装置の位置を判定することを更に含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。格納済みチャネルインパルス応答は、複数の位置から送出されたプローブ信号から導出でき、各格納済みチャネルインパルス応答は、対応する位置から送出された対応するプローブ信号から導出され、各格納済みチャネルインパルス応答は、対応するプローブ信号が送出された位置に関連付けられている。方法は、複数の位置のうちの各位置について、時間反転信号と位置に関連付けられた格納済みチャネルインパルス応答との関数に基づいて特徴値を判定することと、特徴値のうちで最大の特徴値に関連する位置に基づいて第2の装置の位置を判定することとを含みうる。位置に関連する特徴値はまた、1つ以上の隣接する位置に関連付けられた格納済みチャネルインパルス応答の関数であってもよい。位置に関連する特徴値は、複数の期間に位置から送出されたプローブ信号から導出された格納済みチャネルインパルス応答の関数であってもよい。位置に関連する特徴値を判定することは、時間反転信号と位置に関連付けられた格納済みチャネルインパルス応答との畳み込みを計算することを含みうる。プローブ信号は搬送波により変調されてもよく、第2の装置の位置は、搬送波の1波長、1/2波長又は1/10波長以内の精度で判定されうる。プローブ信号は、1つ以上のパルス信号を含みうる。プローブ信号は、1つ以上の擬似ランダム符号を含みうる。プローブ信号は、1つ以上のゴレイ系列を含みうる。第2の装置の位置に関する情報は、例えば時間反転無線通信を使用して、第2の装置へ送信されうる。方法は、第2の装置から粗い測位データを受信することと、粗い測位データに基づいて格納済みチャネルインパルス応答のサブセットを選択することと、時間反転信号及び格納済みチャネルインパルス応答のサブセットに基づいて第2の装置の位置を判定することとを含みうる。
実施形態において、特徴値は装置の位置を判定するために使用されてもよい。例えば特徴値が測定チャネルインパルス応答の時間反転バージョンと多くの参照チャネルインパルス応答の各々とに実行される数学関数の結果を表す場合、各参照チャネルインパルス応答と測定チャネル応答(の時間反転バージョン)との合致度を説明する特徴値のセットが生成されてもよい。それらの実施形態において、最も高い特徴値を生じた参照チャネルインパルス応答は、測定された装置と同一の位置座標に関連すると考えられてもよい。いくつかの実施形態において、特徴値は正規化されてもよく、1に最も近い特徴値を生じた参照チャネルインパルス応答は、測定された装置と同一の座標に関連する参照チャネルインパルス応答であると考えられてもよい。実施形態において、計算された特徴値がいずれも特定の閾値を上回らない場合、システムは装置のロケーションが判定不能であるか又は高い確実度で判定不能であると報告してもよい。実施形態において、参照チャネルインパルス応答が測定チャネルインパルス応答と十分正確に合致するものであると判定するためには、0.5、0.75、0.8、0.9、0.95又は0.98より大きい正規化特徴値が必要とされてもよい。実施形態において、参照チャネルインパルス応答がいずれも測定チャネルインパルス応答と十分類似して合致するものでないと判定するためには、1、0.95、0.9、0.8、0.75、0.5、0.25又は0.1より小さい正規化特徴値が必要とされてもよい。
実施形態において、特徴値は装置の位置を判定するために使用されてもよい。例えば特徴値が測定チャネルインパルス応答と多くの参照チャネルインパルス応答の各々の時間反転バージョンとに実行される数学関数の結果を表す場合、各参照チャネルインパルス応答と測定チャネル応答(の時間反転バージョン)との合致度を説明する特徴値のセットが生成されてもよい。それらの実施形態において、最も高い特徴値を生じた参照チャネルインパルス応答は、測定された装置と同一の位置座標に関連すると考えられてもよい。いくつかの実施形態において、特徴値は正規化されてもよく、1に最も近い特徴値を生じた参照チャネルインパルス応答は、測定された装置と同一の座標に関連する参照チャネルインパルス応答であると考えられてもよい。実施形態において、計算された特徴値がいずれも特定の閾値を上回らない場合、システムは装置のロケーションが判定不能であるか又は高い確実度で判定不能であると報告してもよい。実施形態において、参照チャネルインパルス応答が測定チャネルインパルス応答と十分正確に合致するものであると判定するためには、0.5、0.75、0.8、0.9、0.95又は0.98より大きい正規化特徴値が必要とされてもよい。実施形態において、参照チャネルインパルス応答のいずれも測定チャネルインパルス応答と十分類似する合致するものでないと判定するためには、1、0.95、0.9、0.8、0.75、0.5、0.25又は0.1より小さい正規化特徴値が必要とされてもよい。
一般に、別の態様において、装置の位置の判定を容易にする装置が提供される。装置は、複数の位置から送出されたプローブ信号から導出されたチャネルインパルス応答を表す第1のデータと、位置の座標を表す第2のデータとを格納する記憶装置を含む。
装置の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。装置は、端末装置から送出されたチャネルプロービング信号に基づいて推定されるチャネルインパルス応答の時間反転バージョンに基づいて判定された時間反転信号と、格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて、端末装置の位置を判定するように構成されたデータプロセッサを含みうる。
一般に、別の態様において、位置情報を判定する装置が提供される。装置は、マルチパスチャネルを介して基地局にチャネルプロービング信号を送出するように構成された送信モジュールと、装置の位置の座標に関する情報を有する位置データを基地局から受信する受信モジュールとを含む。この場合、基地局は、受信チャネルプロービング信号から導出されるチャネルインパルス応答の時間反転バージョンから導出された時間反転信号と格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて装置の位置を判定する。
装置の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。装置は、移動電話、カメラ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ウェアラブル計算装置、眼鏡、ヘルメット、ゴーグル、自動車、個人輸送装置、ロボット、ロボットアーム、無人航空機(unmanned aerial vehicle)、ラジオ、オーディオプレーヤ、ヘルスモニタ、ヘッドフォン、物体追跡機、名札、衣料品タグ、商品タグ、梱包箱、ペン、スタイラス、時計、ブレスレット、ネックレス又はカートを含みうる。
一般に、別の態様において、装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、会場(venue)内の複数の位置の各々からマルチパスチャネルを介して基地局へプローブ信号を送信することと、基地局において、受信プローブ信号毎にチャネルインパルス応答を推定し且つチャネルインパルス応答と対応するプローブ信号が送出された位置とを関連付けることと、推定チャネルインパルス応答を表す第1のデータとチャネルインパルス応答に関連付けられた位置を表す第2のデータとを記憶装置に格納することとを含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。複数の位置をプローブ信号の搬送波の1波長、1/2波長又は1/10波長以下で離間されうる。プローブ信号が基地局へ送信される際に複数の伝搬パスへ散乱させるために、散乱要素が使用されうる。複数の位置の各々において、位置座標はレーザビームを使用して判定されうる。第2のデータは、各位置の座標を含みうる。方法は、複数の位置の各々にロボットを移動することと、ロボットから基地局へプローブ信号を送信することとを含みうる。方法は、複数の位置の各々に無人航空機を移動することと、無人航空機から基地局へプローブ信号を送信することとを含みうる。方法は、会場内の各位置において、複数の期間に基地局へプローブ信号を送信することと、基地局において、複数の期間に送信されたプローブ信号に対応するチャネルインパルス応答を表す第1のデータを格納することとを含みうる。方法は、格納された第1のデータ及び第2のデータに基づいて会場内の装置の位置を判定することを含みうる。会場は、家屋、美術館、建物、ショッピングモール、遊園地、コンベンションセンタ、ホテル、地下鉄駅、鉄道駅、空港、地下領域、クルーズ船、トンネル、又は、複数の構造若しくは建物を有する領域、のうちの少なくとも1つを含みうる。
一般に、別の態様において、端末装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、端末装置において、各々が複数の位置のうちの1つに関連付けられたチャネルインパルス応答を格納した記憶装置を有する基地局へマルチパスチャネルを介して無線周波数信号を送出することと、基地局から端末装置の位置に関する情報を受信することとを含む。この場合、基地局は、端末装置から送出された無線周波数信号から導出された時間反転信号と格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて端末装置の位置を判定する。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。無線周波数信号は、0.1GHz~100GHzの周波数を有してもよい。無線周波数信号は、20MHz以上の帯域幅を有してもよい。方法は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)又はセルラ信号のうちの少なくとも1つを使用して端末装置の粗位置を判定することと、粗位置に関する情報を基地局に送出することと、基地局から精位置情報を受信することとを含みうる。基地局は、粗位置情報に基づいて格納済みチャネル応答の中から格納済みチャネル応答のサブセットを選択してもよく、時間反転信号と格納済みチャネルインパルス応答のサブセットとに基づいて端末装置の精位置を判定してもよい。
一般に、別の態様において、装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、Wi-Fi、Bluetooth又はセルラ信号のうちの少なくとも1つを使用して会場内の装置の粗位置を判定することと、時間反転信号と各々が既知の位置に関連付けられている格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて会場内の装置の精位置を判定することとを含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。方法は、装置から送出されたプローブ信号を受信することと、受信プローブ信号に基づいてチャネルインパルス応答を推定することと、推定チャネルインパルス応答の時間反転バージョンに基づいて時間反転信号を判定することとを含みうる。各格納済みチャネル応答は、格納済みチャネルインパルス応答に関連する既知の位置から送出されたプローブ信号から導出されうる。
一般に、別の態様において、方法は、端末装置において、時間反転無線通信を使用して第1の基地局と通信リンクを確立することと、時間反転無線通信を使用して第1の基地局から端末装置の位置に関する第1の情報を含む第1のダウンリンク信号を受信することとを含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1の基地局と通信リンクを確立することは、端末装置から第1の基地局にチャネルプロービング信号を送出することを含みうる。方法は、端末装置において、時間反転無線通信を使用して第2の基地局と通信リンクを確立することと、時間反転無線通信を使用して第2の基地局から端末装置の位置に関する第2の情報を含む第2のダウンリンク信号を受信することと、第1の情報及び第2の情報に基づいて端末装置の位置を判定することとを含みうる。
一般に、別の態様において、装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、第1の装置において、マルチパスチャネルを介して第2の装置から送出されたプローブ信号を受信することと、第1の装置において受信されたプローブ信号に基づいてチャネルインパルス応答を推定することと、推定チャネルインパルス応答と各々が既知の位置に関連付けられている格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて第2の装置の位置を判定するために時間反転分類器を適用することとを含む。
方法の実現例は、以下の特徴を含んでもよい。方法は、第2の装置の位置に関する情報を第2の装置に送出することを含みうる。
一般に、別の態様において、方法は、基地局において、各々が特定の位置に関連する座標データを有し且つ特定の位置でフォーカスする(focus)ように構成された波形を有する複数のダウンリンク信号の組み合わせである複合信号をブロードキャストすることを含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。方法は、端末装置が複合信号のブロードキャストのタイミングを判定するのに有用なタイミング情報を提供するために端末装置とのハンドシェイク処理を実行することを含みうる。
一般に、別の態様において、端末装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、端末装置において、各々が特定の位置に関連する座標データを有し且つ特定の位置でフォーカスするように構成された波形を有する複数のダウンリンク信号の組み合わせである複合信号のブロードキャストのタイミングを判定するのに有用なタイミング情報を受信するために基地局とのハンドシェイク処理を実行することと、端末装置が位置する特定の位置でフォーカスするように構成された波形を有するダウンリンク信号を基地局から受信することと、受信ダウンリンク信号に基づいて端末装置の位置の座標を判定することとを含む。
一般に、別の態様において、装置の位置を判定する方法が提供される。方法は、端末装置の粗位置を判定することと、粗位置を表すデータをサーバに送出することと、粗位置又はその周辺の位置に関連付けられたチャネルインパルス応答に関する情報をサーバからダウンロードすることと、ビーコンからチャネルプロービング信号を受信することと、受信チャネルプロービング信号に基づいてチャネルインパルス応答を推定することと、推定チャネルインパルス応答に基づいて時間反転信号を判定することと、時間反転信号及びダウンロードしたチャネルインパルス応答に基づいて端末装置の精位置を判定することとを含む。
別の態様において、装置は、マルチパスチャネルを介して第2の装置から送出されたプローブ信号を受信する回路を含む。装置において受信されるプローブ信号は、マルチパスチャネルの影響により、第2の装置により送出された波形と異なる波形を有する。装置は、受信プローブ信号に基づいてチャネルインパルス応答を推定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、推定チャネルインパルス応答に基づいて時間反転信号を判定するように更に構成される。データプロセッサは、時間反転信号と記憶装置に格納される格納済みチャネルインパルス応答とに基づいて第2の装置の位置を判定するように更に構成される。
装置の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。格納済みチャネルインパルス応答は、複数の位置から送出されたプローブ信号から導出でき、各格納済みチャネルインパルス応答は、対応する位置から送出された対応するプローブ信号から導出され、各格納済みチャネルインパルス応答は、対応するプローブ信号が送出された位置に関連付けられている。データプロセッサは、複数の位置のうちの各位置に対して時間反転信号と位置に関連付けられた格納済みチャネルインパルス応答との関数に基づいて特徴値を判定し、特徴値の中で最大の特徴値に関連する位置に基づいて第2の装置の位置を判定するように構成されうる。位置に関連する特徴値はまた、1つ以上の隣接する位置に関連付けられた格納済みチャネルインパルス応答の関数であってもよい。位置に関連する特徴値は、複数の期間に位置から送出されたプローブ信号から導出された格納済みチャネルインパルス応答の関数であってもよい。位置に関連する特徴値を判定することは、時間反転信号と位置に関連付けられた格納済みチャネルインパルス応答との畳み込みを計算することを含みうる。プローブ信号は、1つ以上のパルス信号を含みうる。プローブ信号は、1つ以上の擬似ランダム符号を含みうる。プローブ信号は、1つ以上のゴレイ系列を含みうる。装置は、第2の装置の位置に関する情報を第2の装置へ送信する送信回路を含みうる。
別の態様において、巨視的物体(macroscopic object)の配置において少なくとも1つの巨視的物体を監視するシステムは1つ以上の無線送信機を含む。各無線送信機は異なる空間的位置に存在し、各無線送信機は1つ以上の無線信号を送信するように構成される。各無線信号は帯域幅及び中心周波数を有する。システムは1つ以上の無線受信機を更に含む。各無線受信機は異なる空間的位置に存在し、各無線受信機は、各無線送信機から送信された1つ以上の無線信号のうちの少なくとも1つを受信するように構成される。システムは、少なくとも1つ以上の無線受信機に接続された電子プロセッサを更に含む。電子プロセッサは、受信した1つ以上の無線信号から導出された情報とデータベース内の情報とを比較するように構成される。電子プロセッサは、当該比較に基づいて巨視的物体の配置に関する情報を判定するように更に構成される。電子プロセッサは、判定された情報に基づいて出力を生成するように更に構成される。1つ以上の送信機の数はMであり、m番目の送信機に対する1つ以上の無線信号の数はN
mであり、1つ以上の無線受信機の数はKであり、k番目の無線受信機により受信されるm番目の送信機からのn番目の無線信号の帯域幅はb
mnkである。システムは50MHzより広い総帯域幅Bを有し、次式が成立する。
データベース内の情報と比較される、導出された情報は、総帯域幅に及ぶ。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。1つ以上の無線受信機は、1つ以上の無線送信機から1つ以上の無線チャネルを介して送信される2つ以上の無線信号を受信してもよく、受信した1つ以上の無線信号から導出された情報とデータベース内の情報とを比較することは、受信した2つ以上の無線信号から導出された複合チャネル応答と、又は受信した2つ以上の無線信号から導出された複合チャネル応答から導出された情報と、データベース内に格納された情報とを比較することを含みうる。1つ以上の無線受信機は、異なる中心周波数を有する2つ以上の無線信号を受信しうる。データベースに格納された情報は、以前に受信した2つ以上の無線信号からそれぞれ導出された複合チャネル応答、又は以前に受信した2つ以上の無線信号からそれぞれ導出された複合チャネル応答から導出された情報を含みうる。データベースに格納された情報は広帯域チャネル応答を含んでもよく、方法は、より狭帯域のチャネル応答をシミュレートするために広帯域チャネル応答を処理することを含みうる。複合チャネル応答とデータベース内の情報とを比較することは、受信した2つ以上の無線信号から導出された複合チャネル応答とデータベースに格納された複合チャネル応答との間の複数の時間反転共振強度を判定することを含みうる。電子プロセッサは、最大の時間反転共振強度を得られる格納済み複合チャネル応答を識別するように構成されうる。最大の時間反転共振強度を得られる格納済み複合チャネル応答を特定のロケーションに関連付けてもよく、比較に基づいて巨視的物体の配置に関する情報を判定することは、2つ以上の無線信号を受信する1つ以上の受信機が特定のロケーション又はその近傍に存在すると判定することを含みうる。最大の時間反転共振強度を得られる格納済み複合チャネル応答を巨視的物体の特定の配置に関連付けてもよく、比較に基づいて巨視的物体の配置に関する情報を判定することは、巨視的物体が特定の配置を有すると判定することを含みうる。
巨視的物体の配置に関する情報は、巨視的物体の配置の変化のインジケーションを含みうる。巨視的物体は、1つ以上の無線送信機及び1つ以上の無線受信機を含まなくてもよい。1つ以上の無線受信機は1つ以上の無線送信機に対して静止しうる。巨視的物体は1つ以上の無線送信機及び無線受信機のうちの少なくとも1つを含んでもよく、その場合、巨視的物体の配置の変化は、他の巨視的物体に対する1つ以上の無線送信機及び無線受信機のうちの1つについてのロケーションの変化であってもよい。巨視的物体の配置は、マルチパスが豊富な会場に位置付けられうる。会場は、密閉された構造又は部分的に密閉された構造の少なくとも1つを含みうる。密閉構造は建物を含みうる。建物は、壁、扉又は窓のうちの少なくとも1つを含みうる。巨視的物体の配置に関する情報を判定することは、扉又は窓の少なくとも1つの配置に関する情報を判定することを含みうる。1つ以上の無線送信機及び1つ以上の無線受信機は壁の一方の側に位置付けられてもよく、巨視的物体の配置に関する情報を判定することは、壁の他方の側に位置する巨視的物体の配置に関する情報を判定することを含みうる。
総帯域幅Bは、60MHz、80MHz、100MHz、125MHz、500MHz又は1GHzより広くてもよい。1つ以上の無線送信機は第1の無線装置に収容されうる。1つ以上の無線送信機は、異なるアンテナを有するが共通の符号器を共有しうる。1つ以上の無線受信機は第2の無線装置に収容されうる。1つ以上の無線受信機は、異なるアンテナを有するが共通の復号器を共有しうる。受信無線信号から導出された情報は、チャネル状態情報を含みうる。1つ以上の送信機は、2つ以上のチャネルで2つ以上の無線信号を送信し、導出された情報は、2つ以上のチャネルを介して送信された信号から導出された情報の部分を含み、各チャネルは、50MHzより狭い帯域幅を有し、導出された情報の各部分は、それぞれのチャネルのチャネル応答情報を含み、情報の部分に関連する2つ以上のチャネルの帯域幅は、全体で50MHzより広い帯域に及びうる。1つ以上の送信機は、IEEE802.11規格に準拠して2つ以上のチャネルで2つ以上の無線信号が送信されてもよく、各チャネルは約20MHz、約22MHz又は約40MHzの帯域幅を有してもよい。導出された情報は、異なる中心周波数を有する2つ以上のチャネルを介して送信された信号から導出された情報の部分を含みうる。2つ以上のチャネルは、オーバラップする周波数帯域を有してもよい。2つ以上のチャネルは、オーバラップしない周波数帯域を有してもよい。上述したシステムにおいて、いくつかの例では、M=1、K=1、N
1=1及びb
111>50MHzである。いくつかの例では、M=1、K=1、N
1≧2及び
である。いくつかの例では、M=1及びK≧2である。いくつかの例では、N
1=1である。いくつかの例では、M≧2及びK=1である。いくつかの例では、各mに対してN
m=1である。いくつかの例では、M≧2及びK≧2である。いくつかの例では、各mに対してN
m=1である。
データベース内の情報は、巨視的物体が第1の配置を有する場合に以前に受信した1つ以上の無線信号から導出された情報を含みうる。データベース内の情報は、以前に受信した1つ以上の無線信号から導出されたチャネル状態情報を含みうる。巨視的物体の配置に関する情報を判定することは、巨視的物体の現在の配置が第1の配置と異なるか否かを判定することを含みうる。巨視的物体の現在の配置が第1の配置と異なるか否かを判定することは、1つ以上の扉又は窓の現在の配置が1つ以上の扉又は窓の以前の配置と異なるか否かを判定することを含みうる。
別の態様において、会場を監視するシステムは、第1の複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号から導出された第1のチャネル状態情報と、第2の複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号から導出された第2のチャネル状態情報との組み合わせ、又は第1のチャネル状態情報と第2のチャネル状態情報との組み合わせから導出された第1の情報、を格納するように構成された記憶装置を含む。システムは、第1のチャネルを介して送信された第3の無線信号及び第2のチャネルを介して送信された第4の無線信号を受信するように構成された受信機を更に含む。システムは、受信した第3の無線信号に基づいて第3のチャネル状態情報を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、受信した第4の無線信号に基づいて第4のチャネル状態情報を判定するように更に構成される。データプロセッサは、(i)第3及び第4のチャネル状態情報の組み合わせと、第1及び第2のチャネル状態情報についての格納された組み合わせとの比較、又は(ii)第3及び第4のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第2の情報と、格納された第1の情報との比較、の少なくとも1つを実行するように更に構成される。データプロセッサは、当該比較に基づいて会場内の物体の配置に関する情報を判定するように更に構成される。データプロセッサは、判定された物体の配置に関する情報に基づいて出力を生成するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップしない異なる周波数帯域を占有しうる。第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ50MHzより狭い帯域幅を有し、第1のチャネル及び第2のチャネルの帯域幅の総和は50MHzより広くてもよい。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップする周波数帯域を有し、第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ50MHzより狭い帯域幅を有し、第1のチャネル及び第2のチャネルの組み合わせは、50MHzより広い帯域に及びうる。第1の無線信号、第2の無線信号、第3の無線信号及び第4の無線信号はIEEE802.11規格に準拠しうる。システムは、移動電話、ネットワークルータ、ネットワークアクセスポイント、煙探知器、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、照明装置、電化製品、ロボット、テレビ、ラジオ、オーディオ装置、ビデオ装置、カメラ、ビデオカメラ又はプロジェクタのうちの少なくとも1つを含みうる。システムは、第1の無線信号及び第2の無線信号を送信する送信機を含み、送信機及び受信機は、第1の無線信号及び第2の無線信号を送受信する1つ以上のアンテナを共有してもよい。第1の無線信号及び第2の無線信号は1つ以上のアンテナの第1のセットから送信され、第1の無線信号及び第2の無線信号は1つ以上のアンテナの第1のセットとは異なる1つ以上のアンテナの第2のセットにおいて受信されてもよい。システムは、扉又は窓の少なくとも一つの位置の変化を検出するように構成されうる。記憶装置は、チャネル状態情報のレコードを格納するように構成され、各レコードは、(i)各々が複数のサブキャリアを使用するN1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号から導出された、N1個のチャネル状態情報、又は(ii)N1個のチャネル状態情報から導出された情報、の少なくとも1つを含みうる。この場合、N1は3以上であり、受信機はN1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号を受信するように構成されてもよい。データプロセッサは、受信したN1個の無線信号に基づいてN1個のチャネル状態情報を判定し、(i)判定されたN1個のチャネル状態情報の組み合わせと、格納済みレコードとの比較、又は(ii)判定されたN1個のチャネル状態情報から導出された情報と格納済みレコードとの比較の少なくとも1つを実行し、当該比較に基づいて会場内の物体の配置に関する情報を判定するように構成されてもよい。N1個のチャネルの組み合わせは、50MHzより広い帯域に及びうる。
別の態様において、システムは、IEEE802.11規格に準拠するフォーマットを有する1つ以上のフレームを含む第1の無線信号を受信するように構成された受信機を含む。1つ以上のフレームの各々は、少なくとも1つのプリアンブルを有する。システムは、無線信号内の少なくとも1つのプリアンブルに基づいて、第1のチャネル状態情報を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、第1のチャネル状態情報と、物体の第1のロケーション又は第1の配置とを関連付けるように更に構成される。データプロセッサは、第1のチャネル状態情報と物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報とをローカル記憶装置に格納するか、あるいは第1のチャネル状態情報と物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報とを格納するためにリモート記憶装置に提供するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。受信機は、第1のチャネル状態情報と物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報とがローカル記憶装置又はリモート記憶装置に格納された後に第2の無線信号を受信するように構成されてもよく、第2の無線信号は、IEEE802.11規格に準拠するフォーマットを有する1つ以上のフレームを含んでもよく、1つ以上のフレームの各々は少なくとも1つのプリアンブルを有する。データプロセッサは、第2の無線信号内の少なくとも1つのプリアンブルに基づいて第2のチャネル状態情報を判定し、ローカル記憶装置又はリモート記憶装置から第1のチャネル状態情報を検索し、第2のチャネル状態情報と第1のチャネル状態情報とを比較し、第2のチャネル状態情報が第1のチャネル状態情報と合致する場合に出力を生成するように構成されうる。第2の無線信号の少なくとも1つのプリアンブルはロングプリアンブルを含みうる。第2の無線信号の1つ以上のフレームの各々は、複数のプリアンブルを含みうる。データプロセッサは、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の一方又は双方を1つ以上のクラスタに分類するように更に構成されうる。データプロセッサは、1つ以上のクラスタを平均化するように更に構成されうる。第2のチャネル状態情報と第1のチャネル状態情報とを比較することは、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報に基づいて時間反転共振強度を判定することを含みうる。第1の無線信号は、無線ネットワークルータ又は無線ネットワークアクセスポイントの少なくとも一方から送出されうる。受信機は、ネットワークルータ又はアクセスポイントにより提供されるネットワークに加わることなく第1の無線信号を受信しうる。データプロセッサは、物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報をユーザが提供できるようにするための、ユーザインタフェースを提供するように構成されうる。ユーザインタフェースは、地図を表示して当該ユーザが地図上でロケーションを示せるようにしてもよく、データプロセッサは、ユーザにより示されたロケーションと第1のチャネル状態情報とを関連付けるように構成されうる。データプロセッサは、第1の無線信号を送信する装置の第1の識別子を判定し、第1のチャネル状態情報と第1の識別子とを関連付け、第1のチャネル状態情報と共に第1の識別子をローカル記憶装置又はリモート記憶装置に格納するように構成されうる。
別の態様において、システムは、IEEE802.11規格に準拠するフォーマットを有する1つ以上のフレームを含む第1の無線信号を受信するように構成された受信機を含む。1つ以上のフレームの各々は少なくとも1つのプリアンブルを有する。システムは、無線信号内の少なくとも1つのプリアンブルに基づいて第1のチャネル状態情報を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、第1のチャネル状態情報と事前格納済みチャネル状態情報とを比較するように更に構成される。データプロセッサは、当該比較に基づいて物体のロケーション又は配置に関する情報を判定するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のチャネル状態情報と事前格納済みチャネル状態情報とを比較することは、第1のチャネル状態情報及び事前格納済みチャネル状態情報に基づいて時間反転共振強度を判定することを含みうる。事前格納済みチャネル状態情報は、ローカル記憶装置又はリモート記憶装置の少なくとも一方に格納されうる。データプロセッサは、第1の無線信号を送信する送信機の識別子を判定し、当該識別子と関連付けられた事前格納済みチャネル状態情報を検索するように構成されうる。第1のチャネル状態情報と事前格納済みチャネル状態情報とを比較することは、第1のチャネル状態情報と送信機の識別子に関連付けられた事前格納済みチャネル状態情報とを比較することを含みうる。送信機は、無線ネットワークルータ又は無線ネットワークアクセスポイントの少なくとも一方を含んでもよく、識別子はサービスセット識別子(SSID)を含む。
別の態様において、システムは、全体で50MHzより広い帯域に及ぶ少なくとも1つの無線チャネルを介して送信される少なくとも2つの無線信号の第1のセットを受信するように構成された受信機を含む。システムは、少なくとも2つの無線信号の第1のセットに基づいて第1の複合チャネル応答を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、第1の複合チャネル応答と物体の第1のロケーション又は第1の配置とを関連付けるように更に構成される。データプロセッサは、第1の複合チャネル応答と物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報とをローカル記憶装置に格納するか、あるいは第1の複合チャネル応答と物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報とを格納するためにリモート記憶装置に提供するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。受信機は、全体で50MHzより広い帯域に及ぶ少なくとも1つの無線チャネルを介して送信される少なくとも2つの無線信号の第2のセットを受信するように構成されてもよく、データプロセッサは、少なくとも2つの無線信号の第2のセットに基づいて第2の複合チャネル応答を判定し、ローカル記憶装置又はリモート記憶装置から第1の複合チャネル応答を検索し、第2の複合チャネル応答と第1の複合チャネル応答とを比較し、第2の複合チャネル応答が第1の複合チャネル応答と合致する場合に出力を生成するように構成されてもよい。データプロセッサは、第2の複合チャネル応答が第1の複合チャネル応答と合致しない場合に出力を生成するように更に構成されてもよい。データプロセッサは、第2の複合チャネル応答と最も合致する複合チャネル応答に関連付けられた特定のロケーションを判定するように構成されてもよく、その場合、出力は、受信機が特定のロケーションの付近に存在することを示すメッセージを生成させる。出力は、測位システムの分解能が調節される必要があることを示すメッセージを生成させうる。出力は、少なくとも2つの無線信号の第2のセットの送信元のロケーションを判定するためにシステムによって少なくとも2つの無線信号の第2のセットの受信信号強度が使用されていることを示すメッセージを生成させうる。第2の複合チャネル応答と第1の複合チャネル応答とを比較することは、第1の複合チャネル応答及び第2の複合チャネル応答に基づいて時間反転共振強度を判定することを含みうる。少なくとも2つの無線信号の第1のセットは、無線ネットワークルータ又は無線ネットワークアクセスポイントの少なくとも一方から送出されうる。受信機は、ネットワークルータ又はアクセスポイントにより提供される無線ネットワークに加わることなく、少なくとも2つの無線信号の第1のセットを受信しうる。データプロセッサは、物体の第1のロケーション又は第1の配置に関する情報をユーザが提供できるようにするためのユーザインタフェースを提供するように構成されうる。ユーザインタフェースは、地図を表示してユーザが地図上でロケーションを示せるようにしてもよく、データプロセッサは、ユーザにより示されたロケーションと第1の複合チャネル応答とを関連付けるように構成されうる。データプロセッサは、第1の無線信号を送信する装置の第1の識別子を判定し、第1の複合チャネル応答と第1の識別子とを関連付け、第1の複合チャネル応答と共に第1の識別子をローカル記憶装置又はリモート記憶装置に格納するように構成されうる。
別の態様において、システムは、少なくとも1つの無線チャネルを介して送信され且つ全体で50MHzより広い帯域に及ぶ2つ以上の無線信号の第1のセットを受信するように構成された受信機を含む。システムは、少なくとも2つの無線信号の第1のセットに基づいて第1の複合チャネル応答を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、第1の複合チャネル応答と少なくとも1つの事前格納済み複合チャネル応答とを比較するように更に構成される。データプロセッサは、当該比較に基づいて物体のロケーション又は配置に関する情報を判定するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1の複合チャネル応答と事前格納済み複合チャネル応答とを比較することは、第1の複合チャネル応答と事前格納済み複合チャネル応答とに基づいて時間反転共振強度を判定することを含みうる。事前格納済み複合チャネル応答は、ローカル記憶装置又はリモート記憶装置の少なくとも一方に格納されうる。データプロセッサは、少なくとも2つの無線信号の第1のセットを送信する送信機の識別子を判定し、当該識別子に関連付けられた少なくとも1つの事前格納済み複合チャネル応答を検索するように構成されうる。第1の複合チャネル応答と少なくとも1つの事前格納済み複合チャネル応答とを比較することは、第1の複合チャネル応答と送信機の識別子に関連付けられた少なくとも1つの事前格納済みチャネル状態情報とを比較することを含みうる。送信機は、無線ネットワークルータ又は無線ネットワークアクセスポイントの少なくとも一方を含んでもよく、識別子はサービスセット識別子(SSID)を含む。
別の態様において、会場を監視するシステムは、状態情報セットを格納する記憶装置を含む。各状態情報セットは、第1のチャネルのチャネル状態情報及び第2のチャネルのチャネル状態情報から導出される。第1のチャネルは第1の複数のサブキャリアを使用し、第2のチャネルは第2の複数のサブキャリアを使用する。第1のチャネル及び第2のチャネルは異なる中心周波数を有する。各状態情報セットは会場の状態に関連付けられ、異なる状態情報セットの少なくともいくつかは会場の異なる状態に関連付けられる。異なる状態の少なくともいくつかは、会場内の物体の異なる配置を表す。システムは、第1の複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号と第2の複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号とを受信するように構成された受信機を更に含む。システムは、受信した第1の無線信号に基づいて第1のチャネル状態情報を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。データプロセッサは、受信した第2の無線信号に基づいて第2のチャネル状態情報を判定するように更に構成される。データプロセッサは、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせに基づいて、現在の状態情報セットを判定するように更に構成される。データプロセッサは、現在の状態情報セットと記憶装置に格納された状態情報セットとを比較するように更に構成される。データプロセッサは、当該比較に基づいて、会場内の物体の現在の配置に関する情報を判定するように更に構成される。データプロセッサは、会場内の物体の現在の配置に関する判定された情報に基づいて、出力を生成するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップしない異なる周波数帯域を使用しうる。第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ50MHzより狭い帯域幅を有し、第1のチャネル及び第2のチャネルの帯域幅の総和は50MHzより広くてもよい。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップする周波数帯域を有し、第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ50MHzより狭い帯域幅を有し、第1のチャネル及び第2のチャネルの組み合わせは50MHzより広い帯域に及びうる。第1の無線信号及び第2の無線信号はIEEE802.11規格に準拠しうる。システムは、第1の無線信号及び第2の無線信号を送信するように構成された送信機を含みうる。送信機及び受信機は、第1の無線信号及び第2の無線信号を送受信する1つ以上のアンテナを共有しうる。第1の無線信号及び第2の無線信号は1つ以上のアンテナの第1のセットから送信され、第1の無線信号及び第2の無線信号は1つ以上のアンテナの第1のセットとは異なる1つ以上のアンテナの第2のセットにおいて受信されうる。システムは、移動電話、ネットワークルータ、ネットワークアクセスポイント、煙探知器、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、照明装置、電化製品、ロボット、テレビ、ラジオ、オーディオ装置、ビデオ装置、カメラ、ビデオカメラ又はプロジェクタのうちの少なくとも1つを含みうる。データプロセッサは、会場内の扉又は窓の少なくとも1つが、当該扉又は窓の以前の位置と比べて移動したか否かを判定するように構成されうる。格納済み状態情報セットは、会場内の位置に関連付けられるてもよく、データプロセッサは、現在の状態情報セットと記憶装置に格納された状態情報セットとの比較の結果に基づいて会場内の受信機の位置を判定するように構成されうる。各状態情報セットはN1個のチャネルのチャネル状態情報から導出でき、各チャネルは複数のサブキャリアを使用し、異なるチャネルは異なる中心周波数を有してもよい。この場合、N1は3以上であってもよい。受信機は、N1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号を受信するように構成されてもよく、データプロセッサは、N1個のチャネル状態情報の組み合わせに基づいて現在の状態情報セットを判定し、現在の状態情報セットと記憶装置に格納された状態情報セットとを比較し、当該比較に基づいて会場内の物体の現在の配置に関する情報を判定するように構成可能されうる。N1個のチャネルの組み合わせは、50MHzより広い帯域に及びうる。
別の態様において、システムは、第1の複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号を受信し、第2の複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号を受信するように構成された受信機を含む。第1のチャネル及び第2のチャネルは異なる中心周波数を有する。システムは、第1の無線信号から導出された第1のチャネル状態情報及び第2の無線信号から導出された第2のチャネル状態情報に基づいて、会場内の状態を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。当該判定は、(i)第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせ、又は(ii)第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第1の情報の少なくとも一方と、第1のチャネル及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を含む格納済みレコードとを比較することを含む。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。上記の状態は、受信機のロケーション、会場内の物体の構成又は会場内の人間の特徴のうちの少なくとも1つを含みうる。会場は、受信機が位置する部屋又は建物を含みうる。会場内の状態は、扉又は窓の少なくとも1つの構成を含みうる。会場内の状態は、(i)扉の閉じた状態、(ii)扉の開いた状態、(iii)窓の閉じた状態、又は(iv)窓の開いた状態のうちの少なくとも1つを含みうる。会場内の状態は、会場内の特定のロケーションにおける特定の人間の存在を含みうる。データプロセッサは、(i)会場内の扉が開いているか若しくは閉じているか、(ii)会場内の窓が開いているか若しくは閉じているか、又は(iii)物体が以前の位置と比べて移動したか否かのうちの少なくとも1つを判定するように構成されうる。データプロセッサは、所定の人間グループから選択された特定の人間を識別するように構成されうる。第1の無線信号及び第2の無線信号はIEEE802.11規格に準拠しうる。IEEE802.11規格は、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格、IEEE802.11g規格、IEEE802.11n規格、IEEE802.11ac規格又はIEEE802.11ad規格のうちの少なくとも1つを含みうる。第1のチャネル及び第2のチャネルは、少なくとも1つのガードバンドにより分離されうる。第1のチャネル状態情報は、チャネル応答の振幅及び位相を含みうる。各格納済みレコードは、第1のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された、連結されたチャネル状態情報と、第2のチャネルを介して以前に送信された別の無線信号から導出されたチャネル状態情報とを含みうる。各格納済みレコードは、第1のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出されたチャネル状態情報と第2のチャネルを介して以前に送信された別の無線信号から導出されたチャネル状態情報とから導出された情報を含みうる。各格納済みレコードは、会場内の特定のロケーションに存在する装置から第1のチャネル及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出されたチャネル状態情報から導出された情報を含んでもよく、格納済みレコードの少なくともいくつかは会場の異なるロケーションに関連付けられる。第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせ又は第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第1の情報と格納済みレコードのうちの1つに含まれる情報との合致は、合致したレコードと関連付けられているロケーション又はその近傍に受信機が存在することを示しうる。受信機は第1の装置の一部であり、データプロセッサは第2の装置の一部であり、第1の装置は、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報、又は第1及び第2のチャネル状態情報から導出された第1の情報を、会場内の状態をデータプロセッサが判定できるようにするために第2の装置へ無線送信してもよい。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップしない異なる周波数帯域を占有しうる。第1のチャネル及び第2のチャネルは、それぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1のチャネル及び第2のチャネルの帯域幅の総和は60MHzより広い。第1のチャネル及び第2のチャネルはオーバラップする周波数帯域を有してもよく、第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1のチャネル及び第2のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及ぶ。格納済みレコードは、テーブル又はデータベースの少なくとも1つのエントリを含みうる。受信機は、N1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号を受信するように構成されてもよく、各チャネルは複数のサブキャリアを使用し、異なるチャネルは異なる中心周波数を有してもよい。データプロセッサは、N1個の無線信号から導出されたN1個のチャネル状態情報に基づいて会場内の状態を判定するように構成されてもよく、これは(i)N1個のチャネル状態情報の組み合わせ、又は(ii)N1個のチャネル状態情報の組み合わせから導出された情報の少なくとも1つと、N1個のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を含む格納済みレコードとを比較することを含む。N1個のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及びうる。
別の態様において、システムは、少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を有するレコードを格納するように構成された記憶装置を含む。第1のチャネルは第1の複数のサブキャリアを使用し、第2のチャネルは第2の複数のサブキャリアを使用し、第1のチャネル及び第2のチャネルは異なる中心周波数を有し、少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及ぶ。システムは、第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号から導出された第1のチャネル状態情報と第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号から導出された第2のチャネル状態情報とに基づいて、扉又は窓の少なくとも1つの状態を判定するように構成されたデータプロセッサを更に含む。当該判定は、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報、又は第1のチャネル及び第2のチャネルから導出された情報と、第1及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を有する格納済みレコードとを比較することを含む。データプロセッサは、当該比較に基づいて出力を生成するように更に構成される。
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。データプロセッサは、扉又は窓の少なくとも1つが移動したと判定するように構成されうる。格納済みレコードのうちの第1の格納済みレコードは、扉又は窓が閉じている状態に関連付けられた情報を有してもよく、格納済みレコードのうちの第2の格納済みレコードは、扉又は窓が所定量開いている状態に関連付けられた情報を有してもよい。第1の無線信号はIEEE802.11規格に準拠しうる。記憶装置はチャネル状態情報のレコードを格納するように構成されてもよく、各レコードは、(i)各チャネルが複数のサブキャリアを使用するN1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号から導出されたN1個のチャネル状態情報、又は(ii)N1個のチャネル状態情報から導出された情報の少なくとも一方を含んでもよく、N1は3以上であり、N1個のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及ぶ。受信機は、N1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号を受信するように構成されてもよく、データプロセッサは、N1個のチャネルを介して送信されたN1個の無線信号から導出されたN1個のチャネル状態情報に基づいて、扉又は窓の少なくとも1つの状態を判定するように構成されてもよく、これはN1個のチャネル状態情報、又はN1個のチャネル状態情報から導出された情報と、N1個のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を有する格納済みレコードとを比較することを含む。
別の態様において、環境を監視する方法は、複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号を受信することを含む。方法は、受信された第1の無線信号に基づいて第1のチャネル状態情報を判定することを更に含む。方法は、複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号を受信することを更に含む。第2のチャネルは、第1のチャネルの中心周波数と異なる中心周波数を有する。方法は、受信された第2の無線信号に基づいて第2のチャネル状態情報を判定することを更に含む。方法は、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせ又は第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第1の情報を、記憶装置に格納することを更に含む。方法は、複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第3の無線信号を受信することを更に含む。方法は、受信した第3の無線信号に基づいて第3のチャネル状態情報を判定することを更に含む。方法は、複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第4の無線信号を受信することを更に含む。方法は、受信した第4の無線信号に基づいて第4のチャネル状態情報を判定することを更に含む。方法は、(i)第3及び第4のチャネル状態情報の組み合わせと、第1及び第2のチャネル状態情報の格納された組み合わせとを比較すること、又は(ii)格納済みの第1の情報と、第3及び第4のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第2の情報とを比較すること、の少なくとも1つを実行することを更に含む。方法は、当該比較に基づいて、環境内の物体の配置の変化を検出することを更に含む。方法は、環境内の物体の配置の変化を示す出力を生成することを更に含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1及び第2のチャネルは、オーバラップしない異なる周波数帯域を使用しうる。第1及び第2のチャネルは、それぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1及び第2のチャネルの帯域幅の総和は60MHzより広くてもよい。第1及び第2のチャネルは、オーバラップする周波数帯域を有してもよく、第1及び第2のチャネルはそれぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1及び第2のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及びうる。第1の無線信号、第2の無線信号、第3の無線信号及び第4の無線信号はIEEE802.11規格に従って送信されうる。第1の無線信号、第2の無線信号、第3の無線信号及び第4の無線信号は、移動電話、ネットワークルータ、ネットワークアクセスポイント、煙探知器、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、照明装置、電化製品、ロボット、テレビ、ラジオ、オーディオ装置、ビデオ装置、カメラ、ビデオカメラ又はプロジェクタのうちの少なくとも1つを使用して受信されてもよい。方法は、第1及び第2の無線信号を受信する同一の装置を使用して第1及び第2の無線信号を送信することを含みうる。第1の無線信号及び第2の無線信号は、第1及び第2の無線信号を受信する第1の装置と異なる第2の装置により送信されうる。物体の配置の変化を検出することは、扉又は窓の少なくとも1つの位置の変化を判定することを含みうる。
別の態様において、環境を監視する方法は、状態情報セットを記憶装置に格納することを含む。各状態情報セットは、第1のチャネルのチャネル状態情報及び第2のチャネルのチャネル状態情報から導出される。第1のチャネルは第1の複数のサブキャリアを使用し、第2のチャネルは第2の複数のサブキャリアを使用する。第1のチャネル及び第2のチャネルは異なる中心周波数を有する。各状態情報セットは会場の状態に関連付けられ、異なる状態情報セットの少なくともいくつかは会場の異なる状態に関連付けられる。異なる状態の少なくともいくつかは、会場内の物体の異なる配置を表す。方法は、第1の複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号を受信することを更に含む。方法は、受信された第1の無線信号に基づいて第1のチャネル状態情報を判定することを更に含む。方法は、第2の複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号を受信することを更に含む。方法は、受信された第2の無線信号に基づいて第2のチャネル状態情報を判定することを更に含む。方法は、第1及び第2のチャネル状態情報の組み合わせに基づいて、現在の状態情報セットを判定することを更に含む。方法は、現在の状態情報セットと、記憶装置に格納された状態情報セットとを比較することを更に含む。方法は、当該比較に基づいて、会場内の物体の現在の配置に関する情報を判定することを更に含む。方法は、会場内の物体の現在の配置に関する判定された情報に基づいて、出力を生成することを更に含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップしない異なる周波数帯域を使用しうる。第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1のチャネル及び第2のチャネルの帯域幅の総和は60MHzより広い。第1のチャネル及び第2のチャネルは、オーバラップする周波数帯域を有してもよく、第1のチャネル及び第2のチャネルはそれぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1のチャネル及び第2のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及ぶ。第1の無線信号及び第2の無線信号はIEEE802.11規格に従って送信されうる。第1及び第2の信号を受信する装置は、第1及び第2の無線信号を送信してもよい。方法は、第1の無線信号及び第2の無線信号を受信する同一の装置を使用して第1の無線信号及び第2の無線信号を送信することを含みうる。第1の無線信号及び第2の無線信号は、第1の無線信号及び第2の無線信号を受信する第1の装置と異なる第2の装置により送信されうる。第1の無線信号及び第2の無線信号は、移動電話、ネットワークルータ、ネットワークアクセスポイント、煙探知器、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、照明装置、電化製品、ロボット、テレビ、ラジオ、オーディオ装置、ビデオ装置、カメラ、ビデオカメラ又はプロジェクタのうちの少なくとも1つを使用して受信してもよい。会場内の物体の現在の配置に関する情報を判定することは、会場内の扉又は窓の少なくとも1つが、当該扉又は窓の以前の位置と比べて移動したか否かを判定することを含みうる。方法は、会場内の位置に関連付けられる状態情報セットを格納することを含んでもよく、会場内の物体の現在の配置に関する情報を判定することは、第1及び第2の無線信号を受信する装置の位置を判定することを含みうる。
別の態様において、方法は、第1の複数のサブキャリアを使用する第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号を受信することを含む。方法は、第2の複数のサブキャリアを使用する第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号を受信することを更に含む。第1及び第2のチャネルは異なる中心周波数を有する。方法は、第1の無線信号から導出された第1のチャネル状態情報及び第2の無線信号から導出された第2のチャネル状態情報に基づいて、会場内の状態を判定することを更に含む。当該判定は、(i)第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせ、又は(ii)第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第1の情報、の少なくとも1つと、第1及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を含む格納済みレコードとを比較することを含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。状態は、第1及び第2の無線信号を受信する装置のロケーション、会場内の物体の構成、又は会場内の人間の特徴のうちの少なくとも1つを含みうる。会場は、装置が位置する部屋又は建物を含みうる。会場内の状態は、扉又は窓の少なくとも1つの構成を含みうる。会場内の状態は、(i)扉の閉じた状態、(ii)扉の開いた状態、(iii)窓の閉じた状態、又は(iv)窓の開いた状態のうちの少なくとも1つを含みうる。会場内の状態は、会場内の特定のロケーションにおける特定の人間の存在を含みうる。会場内の状態を判定することは、(i)会場内の扉が開いているか若しくは閉じているか、(ii)会場内の窓が開いているか若しくは閉じているか、又は(iii)物体が以前の位置と比べて移動したか否か、のうちの少なくとも1つを判定することを含みうる。会場内の状態を判定することは、所定の人間グループから選択された特定の人間を識別することを含みうる。第1の無線信号及び第2の無線信号はIEEE802.11規格に従って送信されうる。IEEE802.11規格は、IEEE802.11a規格、IEEE802.11b規格、IEEE802.11g規格、IEEE802.11n規格、IEEE802.11ac規格又はIEEE802.11ad規格のうちの少なくとも1つを含みうる。第1及び第2のチャネルは、少なくとも1つのガードバンドにより分離されうる。第1のチャネル状態情報は、チャネル応答の振幅及び位相を含みうる。各格納済みレコードは、第1のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された、連結されたチャネル状態情報と、第2のチャネルを介して以前に送信された別の無線信号から導出されたチャネル状態情報とを含みうる。各格納済みレコードは、第1のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出されたチャネル状態情報と第2のチャネルを介して以前に送信された別の無線信号から導出されたチャネル状態情報とから導出された情報を含みうる。各格納済みレコードは、会場内の特定のロケーションに存在する装置から第1及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出されたチャネル状態情報から導出された情報を含んでもよく、格納済みレコードの少なくともいくつかは、当該会場の異なるロケーションに関連付けられる。第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせ又は第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報の組み合わせから導出された第1の情報と、格納済みレコードのうちの1つに含まれる情報との合致は、第1及び第2の無線信号を受信する装置が、当該合致したレコードに関連付けられたロケーションに存在することを示してもよい。第1の装置は、第1及び第2のチャネル状態情報を判定して、当該第1及び第2のチャネル状態情報を第2の装置へ送出し、第2の装置は、第1及び第2のチャネル状態情報に基づいて、会場内の状態を判定してもよい。第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報を判定する装置が会場内の状態を判定してもよい。第1及び第2のチャネルは、オーバラップしない異なる周波数帯域を占有しうる。第1及び第2のチャネルはそれぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1及び第2のチャネルの帯域幅の総和は60MHzより広くてもよい。第1及び第2のチャネルはオーバラップする周波数帯域を有してもよく、第1及び第2のチャネルはそれぞれ60MHzより狭い帯域幅を有してもよく、第1及び第2のチャネルの組み合わせは60MHzより広い帯域に及びうる。格納済みレコードは、テーブル又はデータベースの少なくとも1つのエントリを含みうる。
別の態様において、方法は、第1のチャネルを介して送信された第1の無線信号から導出された第1のチャネル状態情報と第2のチャネルを介して送信された第2の無線信号から導出された第2のチャネル状態情報とに基づいて扉又は窓の少なくとも1つの状態を判定することを含む。第1のチャネルは第1の複数のサブキャリアを使用し、第2のチャネルは第2の複数のサブキャリアを使用し、第1及び第2のチャネルは異なる中心周波数を有し、第1及び第2のチャネルは60MHzより広い帯域に及ぶ。当該判定は、第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報又は第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報から導出された情報と、第1及び第2のチャネルを介して以前に送信された無線信号から導出された情報を有する格納済みレコードとを比較することを含む。方法は、当該比較に基づいて出力を生成することを更に含む。
方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。方法は、扉又は窓の少なくとも1つが移動したと判定することを含みうる。格納済みレコードのうちの第1の格納済みレコードは、扉又は窓が閉じている状態に関連付けられた情報を有してもよく、格納済みレコードのうちの第2の格納済みレコードは、扉又は窓が所定量開いている状態に関連付けられた情報を有してもよい。第1の無線信号は、IEEE802.11規格に従って第1のチャネルを介して送信される無線パケットであってもよい。
他の態様は、上述した特徴の他の組み合わせ、並びに方法、装置、システム、プログラムとして又は他の方法で示された他の特徴を含む。
定義されない限り、本明細書中で使用されるあらゆる技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書で援用される特許出願と矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優先する。
本発明は、例えば通信システム、測位システム、認識システム及びセキュリティシステムを向上するためにロケーション固有無線シグニチャ(signatures)を利用してもよい無線システム、装置及び方法に関する。当該技術は、無線信号伝搬において豊富なマルチパスを利用し、環境と共振して信号エネルギーを特定の位置にフォーカスする逆応答の物理学を更に利用してもよい。本明細書中で説明する技術及び技法は、屋内測位システムの分解能を向上し、所定の環境における何らかの物理的変化の検出を提供してもよく、5cm以下の空間分解能で空間内の物理的物体の離散的な移動を監視するために使用可能である。更に、当該技術は、無線ネットワーク内の複数の接続された装置が同一の物理的スペクトルに存在する他の装置又は他の無線ネットワークからの影響を殆ど受けずに物理的にセキュリティ保護された状態で最大限又はほぼ最大限のデータ転送速度で通信するようにサポートできる。また、当該技術は、例えば対象を見ないコンピュータビジョンによる無線でのイベント/物体認識に使用可能である。
ロケーション固有シグニチャは、アンテナにより発射された無線信号が移動する物理環境により散乱され且つ/又は反射され且つ/又は拡散される場合に生成されてもよい。発射された信号の部分が見通し伝搬パス外に散乱される場合にマルチパス伝搬が生じてもよい。これらの信号の散乱成分は最終的に所定の受信機アンテナに到達し且つ/又は送信側アンテナに戻ってもよいが、それらは様々な振幅で異なる時間に到達してもよい。従来の無線ネットワークでは、そのような信号の反射、回折、反響又は「マルチパス」は、それらが補正されない場合、通信リンクの範囲が減少し且つ信頼性が低下するため、問題であると考えられるだろう。本開示において、マルチパス無線信号伝搬を利用してもよく且つ例えば通信、屋内測位及び/又は追跡、認識、並びにセキュリティシステムの用途で使用されてもよいシステム、技術及び技法を説明する。
本開示において、用語「ユーザ」は装置及び/又はアンテナを示してもよい。例えば基地局と通信している複数の装置を有するシステムにおいて、用語「マルチユーザアップリンク」は複数の装置からのアップリンク又は複数のアンテナを有する1つの装置からのアップリンクを示してもよく、用語「マルチユーザダウンリンク」は複数の装置へのダウンリンク又は複数のアンテナを有する1つの装置へのダウンリンクを示してもよく、用語「ユーザ間干渉」は種々の装置間の干渉を示してもよい。
本開示において、無線信号は2つの装置間を伝搬してもよく、一方の装置から伝搬し、反射及び/又は散乱された後に当該装置に戻ってもよい。いくつかの実施形態において、装置を基地局、アクセスポイント、ロケータ、送信機、受信機、送受信機、送信元、ルータ、時間反転装置、起点、コンピュータ、ノード、ゲートウェイ、ブリッジ及びアンテナ等と呼ぶ場合もある。いくつかの実施形態おいて、装置をユーザ、端末装置、移動装置、電話、コンピュータ、タブレット、並びに時計、バンド、リストバンド、アンクルバンド、ベルト、センサ及び衣服の一部等のウェアラブル電子装置、電子カード、フォブ(fob)、ドングル等、「ピンガー(pinger)」、ボット(bot)、アンテナ等と呼ぶ場合もある。2つ以上の装置及び/又は2つ以上のアンテナを含むいくつかの実施形態において、1つの装置に関して説明する役割は別の装置に関して説明する役割と交換されてもよい。2つの装置、あるいは1つのアクセスポイント及び1つの端末装置を有すると説明される実施形態又は同様の記述において、それらの実施形態は3つ以上の装置を含んでもよいと理解されるべきである。例えば1つのアクセスポイント及び1つの装置を有すると説明される実施形態は、複数の装置を有してもよく且つ/又は複数のアクセスポイントを有してもよい。同様に、実施形態は、複数の基地局、ロケータ、ルータ、送受信機、送信元、送信機、受信機、移動装置、電話、タブレット、コンピュータ、ウェアラブル電子構成要素、カード、フォブ、ドングル、ピンガ、装置、アンテナ、時間反転装置、起点及びボット等を有してもよい。
ロケーション固有シグニチャ
図1Aは、2つの送受信機を備える無線システムの例示的な一実施形態を示す。本実施形態において、アンテナを備える送受信機A108は無線信号104を発射し、当該信号は無線チャネル110を伝搬し、アンテナを備える送受信機B106にマルチパス無線信号102として到着する。例示的な実施形態において、少なくとも1つのアンテナは少なくとも1つの無線信号をチャネルに発射してもよく、少なくとも1つのアンテナは無線チャネルから信号を受信してもよい。実施形態において、送信アンテナ及び受信アンテナは互いに離間して配置されてもよく、いくつかの実施形態において、それらは一緒に位置付けられてもよい。同一場所に設置されてもよい。例えば、装置、コンピュータ、移動装置及びアクセスポイント等は2つ以上のアンテナを備えてもよく、アンテナは送信アンテナ及び受信アンテナのいずれか又は双方として動作されてもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアンテナは、チャネルへの無線信号の発射及びチャネルからのマルチパス信号の受信の双方に使用されてもよい単一アンテナであってもよい。実施形態において、アンテナは、異なる時間スロット、異なる周波数帯域、異なる方向及び/又は異なる偏波で信号を送受信してもよく、あるいは同一又は同様の時間、同一又は同様の周波数帯域、同一又は同様の方向及び/又は同一又は同様の偏波で信号を送受信してもよい。いくつかの実施形態において、アンテナ及び/又はアンテナを備える装置は、信号送信及び信号受信のタイミング、搬送周波数、方向及び/又は偏波を調節してもよい。
本開示中、システム、技術及び/又は方法が送信アンテナ及び受信アンテナを使用すると説明される場合、いくつかの実施形態において、送信アンテナ及び受信アンテナは物理的に同一のアンテナであってもよく、物理的に非常に近接するアンテナであってもよいことが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、送信アンテナ及び受信アンテナは互いに離間してもよい。実施形態において、送信アンテナ及び受信アンテナの離間距離は、約1mm、約5mm、約1cm、約5cm、約10cm、約50cm、約1m、約5m、約10m、約50m又は約100mであってもよい。実施形態において、アンテナは1mm~100m離間してもよい。実施形態において、アンテナは100m以上離間してもよい。実施形態において、送信アンテナと受信アンテナとの間に何らかの隔離を提供するため及び/又は放射パターンを形成するために、導電面が使用されてもよい。
例示的な実施形態におけるアンテナは、電気出力又は電気信号を電波、マイクロ波、マイクロ波信号又は無線信号に変換し且つ電波、マイクロ波、マイクロ波信号又は無線信号を電気出力又は電気信号に変換するあらゆる種類の電気装置であってもよい。例えば少なくとも1つのアンテナは指向性アンテナ又は全方向アンテナとして構成されてもよいが、それらに限定されない。少なくとも1つのアンテナは、何らかの種類のモノポールアンテナ、ダイポールアンテナ及びクワドラポールアンテナ等であってもよい。少なくとも1つのアンテナは、何らかの種類のループアンテナであってもよく且つ/又は1本のワイヤから形成されてもよい。少なくとも1つのアンテナは、パッチアンテナ、パラボラアンテナ、ホーンアンテナ、八木アンテナ、折り返しダイポールアンテナ、マルチバンドアンテナ、短波アンテナ、マイクロ波アンテナ、同軸アンテナ、メタマテリアルアンテナ、衛星アンテナ、誘電共振アンテナ、フラクタルアンテナ、ヘリカルアンテナ、等方性放射体、Jポールアンテナ、スロットアンテナ、マイクロストリップアンテナ、コンフォーマルアンテナ、皿型アンテナ、テレビアンテナ、ラジオアンテナ、ランダムワイヤアンテナ、セクタアンテナ、セルラアンテナ、スマートアンテナ及び傘形アンテナ等であってもよい。少なくとも1つのアンテナは、直線アレイアンテナ、フェーズドアレイアンテナ、反射アレイアンテナ及び指向性アレイアンテナ等のアンテナアレイの一部であってもよい。少なくとも1つのアンテナは、狭帯域アンテナ又は広帯域アンテナ、高利得アンテナ又は低利得アンテナ、調節可能アンテナ又はチューナブルアンテナ、あるいは固定アンテナであってもよい。あらゆる種類のアンテナは、本明細書中で説明するシステム、方法及び技術において使用されるように構成されてもよい。実施形態において、例示的なアンテナに関連する放射パターンは調整可能であってもよく、本明細書中で説明する例示的なシステム、方法及び技術の性能を向上するように調整されてもよい。
実施形態において、電気信号は無線送信のために1つ以上のアンテナに適用されてもよく、処理するために1つ以上のアンテナから受信されてもよい。実施形態において、無線信号は電波又はマイクロ波であってもよい。実施形態において、無線信号はキロヘルツからテラヘルツの範囲のいずれかの搬送周波数を有してもよい。実施形態において、アンテナは、フィルタ、増幅器、スイッチ、モニタポート及びインピーダンス整合回路等のうちの少なくとも1つを備えてもよい。いくつかの実施形態において、電気信号はアナログ回路網及び/又はデジタル回路網を使用して生成されてもよく、少なくとも1つのアンテナを駆動するために使用されてもよい。実施形態において、少なくとも1つのアンテナから受信された電気信号は、アナログ回路網及び/又はデジタル回路網を使用して処理されてもよい。本明細書中で開示される発明の例示的な実施形態において、電気信号は、サンプリング、デジタル化、格納、比較、相関、時間反転、増幅、減衰、調節、補償、統合及び処理等が行われてもよい。
本開示において、チャネルの特性をプロービングするために送信アンテナにより発射される信号は、場合によってはプローブ信号、チャネルプローブ信号又はチャネルプローブ波形と呼ばれてもよい。図1Bは、第1の装置108から広帯域チャネル110を介して第2の装置106へ送信される無線信号104を示す。チャネルプローブ信号104は広帯域無線チャネル110を横断し、本例では装置106である第2の装置106に受信プローブ波形102とも呼ばれるものとして到着してもよい。当該受信プローブ波形102は、少なくとも1つのアンテナと受信機電子機器のセットとを備える受信機により受信され且つ処理されてもよい。例示的な実施形態において、受信プローブ波形102を処理することは、装置108と装置106との間の広帯域チャネルに対する推定チャネル応答を生成してもよい。実施形態において、プローブ信号及び受信信号はデジタル信号に変換されるアナログ信号であってもよく(また、アナログ信号に変換されるデジタル信号であってもよく)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ARM(Advanced RISC Machine)プロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピュータ及び特定用途向け集積回路(ASIC)等を使用して処理され且つ/又は生成されてもよい。
時間領域において、通信リンクのチャネルインパルス応答は以下のようにモデル化可能である。
(式1)
式中、h
i[k]は長さLを有するCIRのk番目のタップであり、δ[ ]はディラックのデルタ関数である。尚、チャネル応答の時間領域表現h及びチャネル応答の周波数領域表現Hはフーリエ変換により関連付けられる。この双対性を図1Cにおいて記号で示し、本開示中で後述する。チャネル応答が2つの分離したアンテナiとアンテナjとの間で判定される実施形態において、チャネル応答関数の表記は一方又は双方のインデックスを下付き文字として含んでもよい。例えば単一のアクセスポイントが複数の装置iから信号を受信している場合、チャネル応答はh
i(又は周波数領域でH
i)と示されてもよい。複数のアクセスポイントjが複数の装置iから信号を受信している場合、チャネル応答はh
ij(又は周波数領域でH
ij)と示されてもよい。単一アンテナがプローブ信号を送信し且つプローブ信号波形を受信している実施形態において、インデックスi及びjは時間スロット、周波数及び偏波等を表してもよい。
例示的な実施形態において、チャネルインパルス応答が既知である場合、受信プローブ波形は、チャネルプローブ信号とチャネルインパルス応答とを畳み込むことにより予測されてもよい。チャネルインパルス応答又は推定チャネル応答は、実際のチャネルインパルス応答の近似値又は推定値であってもよい。例えば推定チャネル応答は、チャネルの「十分に正確な」推定値と考えられるか又はチャネルの特定の特性を優先的にプロービングするように選択される特定のチャネル長に切り捨てられてもよい。更に、推定チャネル応答は、特定の用途に対して「十分に正確である」と判定された離散化信号の時間/振幅分解能を用いて受信プローブ波形の離散化近似値から導出されてもよい。推定チャネル応答は、実際のチャネル応答のフィルタリングされたバージョンであってもよく、チャネルの十分に正確な推定値であってもよい。何が「十分に正確である」かの判定は、用途、無線装置で使用されるハードウェア構成要素、装置の処理能力、装置の許容電力消費及びシステム性能の所望の精度等に依存してもよい。
装置により送信されるプローブ信号が単一のパルス信号又はインパルス信号である場合、受信プローブ波形はチャネルインパルス応答の十分に正確な推定値であってもよく、推定チャネル応答を取得するために受信プローブ波形の受信、離散化及び格納以外の追加処理は殆ど不要であってもよい。装置により送信されるプローブ信号が単一のパルス信号又はインパルス信号以外の波形である場合、受信機は、推定チャネル応答を判定するために受信プローブ波形に追加処理を実行する必要がある場合がある。例示的な一実施形態において、受信機が受信プローブ波形を検出し且つ離散化してもよい。アナログデジタル(A/D)変換器が離散化を実行するために使用されてもよい。実施形態において、デコンボリューション処理は、離散化された受信プローブ波形とチャネルプローブ信号の表現とを使用して推定チャネル応答を得てもよい。実施形態において、推定チャネル応答を得るために他の数学関数が使用されてもよい。チャネルインパルス応答(CIR)は、本明細書においてチャネル応答(CR)、CR信号、CIR信号、チャネルプローブ信号応答及び推定チャネル応答と呼ばれてもよい。チャネル応答は測定され且つ/又は計算されてもよく、且つ/又は測定及び計算の組み合わせにより生成されてもよい。本開示において、チャネル応答及び受信プローブ波形をロケーション固有シグニチャと呼ぶ場合もある。
実施形態において、広帯域チャネルのチャネル応答の推定値の精度を向上又は低下するために、異なるチャネルプローブ信号が選択されてもよい。例示的な実施形態において、チャネルプローブ信号はパルス又はインパルスであってもよい。更に、チャネルプローブ信号は、規則的なパターン、任意のパターン又は不規則的なパターンを有する一連のパルスであってもよい。チャネルプローブ信号は波形であってもよい。波形は、実質的に矩形波形、二乗余弦波形、ガウス波形、ローレンツ波形、あるいは何らかの最適又は所望の方法でチャネルをプロービングするように設計された形状を有する波形であってもよい。例えばチャネルプローブ波形は、周波数がチャープされてもよく、あるいは何らかの最適又は所望の方法でチャネルをプロービングするように適合される周波数スペクトルを有してもよい。プローブ波形は、異なる中心周波数及び帯域幅を有する複数の波形であってもよい。プローブ波形は、振幅変調、位相変調、周波数変調、パルス位置変調、偏波変調されてもよく、あるいは振幅、位相、周波数、パルス位置及び偏波の何らかの組み合わせで変調されてもよい。
波形は、関連する通信チャネルを介して交換されることを意図してもよいデータストリームのビット持続時間とほぼ等しい時間幅を有してもよい。波形は、関連する通信チャネルを介して交換されることを意図するデータストリームのビット持続時間の略半分、略4分の1、略10分の1、略100分の1又はそれ以下の時間幅を有してもよい。プローブ信号/波形はデータパターンであってもよく、反復するデータパターンであってもよい。プローブ信号は、パケット及び/又はフレーミング情報、同期及び/又はクロック回復情報、ストリーム取り込み情報、装置ID及びネットワーク/リンク層動作情報を含んでもよい。プローブ信号は、動作環境、並びに/又はシステムの送信機及び/又は受信機内の電子構成要素に対して適合された周波数スペクトルを有してもよい。プローブ信号はチャネルインパルス応答の推定値であってもよく、あるいはチャネルインパルス応答の推定値の変更されたバージョンであってもよい。例えばプローブ信号は、推定チャネル応答の時間反転バージョンであってもよい。プローブ信号は、送信機及び/又は受信機内の特定の電子構成要素及び/又は特定の環境要素により生じる信号歪みを補償し且つ/又は強調するように設計されてもよい。
チャネルプロービング信号の1つの例示的な種類は、周期的パルス系列である。そのようなチャネルプロービング信号を用いる場合、受信プローブ波形は周期的チャネルパルス応答のノイズバージョンであってもよい。実施形態において、ノイズを抑制してチャネル応答を抽出するために時間平均化法を使用できる。
いくつかの実施形態において、時間平均化法はチャネル応答の信頼できる測定値を提供しない場合がある。チャネル応答推定を向上するためには、ノイズを抑制するために更に長いパルス系列を使用できる。システムの性能を更に向上するために、短い擬似ランダムパルス系列をチャネルプロービング信号として使用できる。そのような場合、受信プローブ波形は、擬似ランダム系列とチャネル応答との畳み込みであってもよい。
実施形態において、プロービング信号として使用される擬似ランダム系列は、受信機が既知であってもよい。その場合、チャネル応答は、受信信号が擬似ランダム系列と畳み込まれる相関に基づく方法を使用して推定可能である。一般に、擬似ランダム系列の自己相関は、シンボル間干渉が生じて推定チャネル応答に誤差が存在する場合があるため、理想的なデルタ関数でない場合がある。実施形態において、シンボル間干渉によるそのような種類のチャネル推定誤差は、擬似ランダム系列でなく、自己相関関数に対する理想的なデルタ形状を有してもよい直交ゴレイ相補系列を使用することにより最小化又は回避されてもよい。
実施形態において、無線装置は、f1GHzの中心周波数を有する第1の無線信号を送信してもよい。実施形態において、第1の無線信号はチャネルプローブ信号、パルス信号、フレーム信号、擬似ランダムノイズ(PN)系列及びプリアンブル信号等であってもよい。実施形態において、無線信号の帯域幅は、約10MHz、約20MHz、約40MHz、約60MHz、約125MHz、約250MHz、約500MHz及び約1GHz等であってもよい。実施形態において、無線装置は、f2GHzの中心周波数を有する第2の無線信号を送出してもよい。実施形態において、第2の無線信号はチャネルプローブ信号、パルス信号、フレーム信号、PN系列及びプリアンブル信号等であってもよい。実施形態において、無線信号の帯域幅は、約10MHz、約20MHz、約40MHz、約60MHz、約125MHz、約250MHz、約500MHz及び約1GHz等であってもよい。実施形態において、第1の無線信号の周波数スペクトル及び第2の無線信号の周波数スペクトルはオーバラップする周波数を含んでもよい。いくつかの実施形態において、2つの無線信号の間にオーバラップする周波数が存在しなくてもよい。いくつかの実施形態において、異なる無線信号の周波数スペクトルは、いわゆるガードバンド又はガードバンド周波数により分離されてもよい。第1の無線信号(例えば、周波数f1における)を使用してプロービングされたチャネルに対するチャネル応答はHij(f1)と表されてもよい。第2の無線信号(例えば、プローブ周波数f2における)を使用してプロービングされたチャネルに対するチャネル応答はHij(f2)と表されてもよい。実施形態において、3つ以上のプローブ周波数信号がチャネルをプロービングするために使用されてもよい。3つ以上のプローブ周波数信号は何らかのオーバラップする周波数を有してもよく、あるいはオーバラップする周波数を有さなくてもよい。
実施形態において、無線装置は、異なる無線信号搬送周波数に同調して無線チャネルをプロービングするために、チャネル同調及び/又は周波数ホッピングを使用してもよい。いくつかの実施形態において、無線装置は、指定された周波数帯域内の異なるチャネルに同調して無線チャネルをプロービングしてもよい。例えば無線装置は、最初にWiFi(IEEE802.11)信号伝送帯域幅内の1つのチャネルに同調した後に無線帯域内の別のチャネルに同調してもよい。周波数同調は、1つのチャネルから次のチャネルに順次行われてもよいが、WiFi帯域内で1つのチャネルから別のチャネルにランダムにホップしてもよい。実施形態において、異なるチャネルは異なるチャネル帯域幅を有してもよい。実施形態において、プローブ信号を生成するため及び/又は受信信号内のチャネル情報を解析するために、あらゆる無線プロトコルが使用されてもよい。
実施形態において、チャネルをプロービングするために複数のチャネルプローブ信号が使用されてもよい。いくつかの実現例において、同一のプローブ信号が複数回送出されてもよく、受信プローブ波形が平均化され且つ/又は比較されてもよい。例えばプローブ信号は2回、5回、10回、30回、50回、100回、500回又は1000回送出されてもよい。実施形態において、プローブ信号は1回送出されてもよく、2回~1000回のいずれかの回数送出されてもよい。実施形態において、プローブ信号は1001回以上送出されてもよい。例えば何らかの監視及びセキュリティ用途において、プローブ信号は継続的に送出されてもよい。空間を監視してプロービングするために、例えば毎秒1個、毎秒10個、毎秒100個等のプローブ信号が継続的に送出されてもよい。プローブ信号が継続的に送出される速度は、環境の変化が検出される必要のある速度により判定されてもよい。
実施形態において、一部の受信プローブ波形のみが更なる処理に使用されてもよい。例えば一部の受信プローブ波形及び/又は推定チャネル応答が廃棄又は削除されてもよい。廃棄及び/又は削除される波形及び/又は応答は、他の受信波形及び/又は推定応答と十分に異なるため、外れ値(outliers)でありチャネルの十分に正確な表現でないと考えられてもよいものであってもよい。いくつかの実施形態において、異なるプローブ信号は異なる時間に送出されてもよく且つ/又は受信機からのフィードバックに応答して送出されてもよい。例えば送信機におけるプローブ信号は、受信プローブ波形、推定チャネル応答、並びに/又は受信プローブ波形及び/又は推定チャネル応答の類似性を向上するように調整されてもよい。実施形態において、送信機は少なくとも2つの異なるプローブ信号を送出してもよく、受信機は少なくとも2つの異なる受信プローブ波形のいずれか1つ、いくつか又は全てに基づいてチャネル応答を推定してもよい。実施形態において、プローブ信号は、以前に測定され且つ/又は計算されたチャネル応答のバージョン及び/又は測定され且つ/又は計算されたチャネル応答の時間反転バージョンであってもよい。
本開示中で以下に更に詳細に説明するように、波形、シグニチャ及び/又は応答の類似性、合致又は相関は、仮想時間反転処理技術、時間反転共振強度、パターン認識及び/又はパターン照合、線形及び/又は非線形のサポートベクトルマシン及び/又はサポートベクトルネットワーク、機械学習、データマイニング、分類、統計的分類、タギング及びカーネルトリック(例えば、カーネル関数を適用するカーネル法)等を使用して判定されてもよい。
実施形態において、受信プローブ波形を処理することは、受信信号のいずれか一部分を増幅又は減衰することを含んでもよい。実施形態において、チャネルは1回プロービングされてもよく、あるいはチャネルは2回以上プロービングされてもよい。実施形態において、複数の受信プローブ波形の測定、処理及び記録等が行われてもよい。実施形態において、いくつかのチャネル応答が他のチャネル応答と平均化されてもよい。実施形態において、いくつかのチャネル応答が廃棄されてもよく又は記録されなくてもよい。実施形態において、いくつかのチャネル応答が異なる環境条件で測定されて格納されてもよい。そのような格納された応答信号は、元の測定値に関連する環境条件を示すための参照信号として使用されてもよい。実施形態において、新規に測定されたチャネル応答は、以前に格納されたチャネル応答の中で新規に測定されたチャネル応答と最も合致するものを判定するために、多くの以前に格納されたチャネル応答と比較されてもよい。その場合、最も密接に相関するか又は最も合致する以前に格納されたチャネル応答の環境パラメータが新規に測定されたチャネル応答に関連付けられてもよい。例示的な実施形態において、環境条件は、温度、物体のロケーション又は配置、人間のロケーション又は配置、物体の姿勢、人間の姿勢、アクセスポイントのロケーション及び/又は姿勢、端末装置、センサの位置及び/又は姿勢、信号反射体の位置及び/又は姿勢、信号散乱体の位置及び/又は姿勢、並びに信号減衰体の位置及び/又は姿勢等を含んでもよいが、それらに限定されなくてもよい。
例示的な一実施形態において、推定チャネル応答は、会場又は特定の環境における特定の位置に存在する2つの装置間のチャネル応答又は装置と物体及び/又は構造との間のチャネル応答を表すため、ロケーション固有波形及び/又はシグニチャであると考えられてもよい。図1Bに示すように、本例では装置108である第1の装置又は本例では装置106である第2の装置が移動される場合、信号が伝搬する複数の伝搬パスのうちの少なくともいくつかが変化することによりチャネル応答が変化する可能性がある。信号の送信及び受信の双方に対して単一アンテナが使用される場合、環境の会場内の物体及び/又は構造が移動すると、信号が伝搬する複数の伝搬パスが変更され、それによりチャネル応答が変化する場合がある。推定チャネル波形の特性、並びに位置及び/又は向きの関数としての推定チャネル波形の変化量は、会場、環境及びシステム内のハードウェア構成要素等に依存してもよい。
図2Aは、第1の無線装置208が第2の無線装置210からロケーション固有シグニチャを受信してもよい測位システムの例示的な一実施形態を示す図である。ロケーション固有シグニチャは、無線信号を1回以上反射させる場合がある構造又は物体を有する環境において生成されてもよい。例えば図2Aに示すように、会場200は第1の部屋202及び第2の部屋206を有してもよい。第1の部屋202内の第1の装置208が第2の部屋206内の第2の装置210へ信号を送信する場合、信号は複数の方向に伝搬し、例えば212、214及び216である複数の伝搬パスを通って移動することにより第2の装置210に到達できる。複数の伝搬パスを通って移動する信号をマルチパス信号と呼ぶ。広帯域チャネルを介して第1の装置により送信されている信号がチャネル応答をプロービングするために使用される場合、信号をチャネルプローブ信号と呼んでもよい。信号が伝搬パス(広帯域チャネル)を通って移動する際、信号は歪む場合がある。第2の装置210により受信されるマルチパス信号は、受信プローブ波形と呼ばれてもよく、第1の装置208により送信された信号と非常に異なる場合がある。受信プローブ波形は、当該会場又は環境における第1の無線装置及び第2の無線装置の相対位置に固有であるため、ロケーション固有シグニチャである。
図2Bは、第1の無線装置アンテナ208が第2の無線装置アンテナ210からロケーション固有シグニチャを受信してもよく、双方のアンテナが共通の筐体、装置又は回路基板等を共有する例示的な一実施形態を示す。図2Bに示す例示的な実施形態において、会場200は第1の部屋202及び第2の部屋206を有してもよい。第2の部屋206内の第1の装置アンテナ208が第2の部屋206内の第2の装置アンテナ210へ信号を送信する場合、信号は複数の方向に伝搬し、例えば222、224及び226である複数の伝搬パスを通って移動することにより第2の装置アンテナ210に到達できる。第2の装置アンテナ210により受信されるマルチパス信号は、受信プローブ波形と呼ばれてもよく、第1の装置アンテナ208により送信された信号と非常に異なる場合がある。受信プローブ波形は、当該会場又は環境における第1の無線装置アンテナ及び第2の無線装置アンテナの相対位置に固有であるため、ロケーション固有シグニチャである。
図2Cは、第1の無線装置アンテナ238が無線信号を送受信してもよい例示的な一実施形態を示す。本実施形態において、アンテナ238はチャネルプローブ信号を送信してもよく且つ受信プローブ波形を受信してもよい。実施形態において、送信信号及び受信信号は時間多重化、周波数多重化及び/又は偏波多重化されてもよい。実施形態において、無線装置アンテナ238は、アンテナに接続された回路の少なくとも一部分を送信機回路構成要素と受信機回路構成要素との間で切り替えるために使用されてもよいスイッチを備えてもよい。図2Cに示す例示的な実施形態において、会場200は第1の部屋202及び第2の部屋206を有してもよい。第2の部屋206内の装置アンテナ238が信号を送信する場合、信号は複数の方向に伝搬し、例えば232、234及び236である複数の伝搬パスを通って移動することにより装置アンテナ238に到達できる。装置アンテナ238により受信されるマルチパス信号は、受信プローブ波形と呼ばれてもよく、装置アンテナ238により送信された信号と非常に異なる場合がある。受信プローブ波形は、当該会場又は環境における無線装置アンテナの位置に固有であるため、ロケーション固有シグニチャである。
例示的な一実施形態において、システムの位置精度は、図3に示すように端末装置300の送信機アンテナ304の周囲に1つ以上の散乱要素302を配置することにより向上可能である。散乱要素302を使用することにより、測位システムの位置特定(localization)精度を搬送信号波長の約1/30(例えば、測位システムが5GHz周波数で動作されている場合、約2mm)に向上できる。
例えば図2Aの例示的な測位システムの特徴は、装置208、210が、Wi-Fi、Bluetooth又はセルラ信号に基づく無線システム等の従来の無線周波数に基づく無線システムと比較して広い帯域幅を使用してもよいことである。広い帯域幅を使用する場合、測定されたチャネル応答の細かい構造をより明確に区別できることにより、異なるロケーションにおけるチャネル応答の間の相関又は類似度が低下する。その結果、帯域幅が広くなるほど、ロケーション固有シグニチャの位置特定精度が向上してもよい。高い位置特定精度を必要としない用途の場合、ロケーション固有シグニチャは帯域幅の狭い信号を使用して判定されてもよく、且つ/又は異なるロケーションにおけるチャネル応答の相関を増大させるために受信信号パスにフィルタ又は信号平滑化構成要素を提供してもよい。更に高い位置特定精度を必要とする用途の場合、ロケーション固有シグニチャは、帯域幅が更に広い信号及び/又は更に高い帯域幅及び/又は分解能が更に高いアナログ/デジタル変換器を使用して判定されてもよい。
測位システム
本明細書は、無線チャネル応答情報を使用することにより、センチメートル級又はミリメートル級(又はそれ以上)の位置精度と共にメートル級の位置精度も達成できる測位システムを開示する。チャネルインパルス応答(CIR)及び推定チャネル応答とも呼ばれるチャネル応答は、2つの装置間又は単一の装置とその環境との間の無線チャネル及びそれらの装置の相対位置を特徴付けるロケーション固有シグニチャであってもよい。チャネル応答は測定され且つ/又は計算されてもよく、且つ/又は測定及び計算の組み合わせにより生成されてもよい。
無線測位システムの例示的な一実施形態において、第1の装置は基地局、アクセスポイント又はロケータと呼ばれてもよく、チャネルプローブ信号を送信する第2の装置からプローブ波形を受信してもよい。ロケータは、ロケータと測位される装置との間のチャネルに対するチャネル推定値を生成するために受信プローブ波形を処理できてもよい。ロケータは更に、対応するロケーション情報を有する以前に判定されたチャネル応答のリスト又はデータベースにアクセスできてもよく、あるいはロケータは、ロケータに対して種々のロケーションに存在する装置に対する予測チャネル応答を生成できるツールにアクセスできてもよい。ロケータは、測位される装置の受信プローブ波形からのチャネル推定値と格納済みチャネル推定値及び/又は生成されたチャネル推定値とを比較してもよく、推定チャネル応答が格納済みチャネル推定値及び/又は生成されたチャネル応答と十分に類似する場合、ロケーションと測位された装置とを関連付けてもよい。
いくつかの実現例において、各チャネル応答が会場内の複数の位置のうちの1つに関連付けられたチャネル応答のデータベースが確立されてもよい。チャネル応答のデータベースは、測定、推定、シミュレーション、計算及び予測等のうちのいずれか、全て又はそれらの組み合わせにより確立されてもよい。例示的な測定技術において、装置は会場内の種々の位置に配置されてもよく、各位置において、装置の座標は、レーザ干渉計位置測定システム等の参照位置測定システムを使用して、あるいは空間の2D/3D視覚化において自身の位置を識別するユーザ又は装置により判定されてもよい。各位置において、装置は、ロケータにより受信及び/又は検出される1つ又は複数のプローブ信号を送出してもよい。ロケータは、受信プローブ波形に基づいてチャネル応答を判定してもよく、座標及び対応するチャネル応答をデータベースに格納してもよい。例えば会場内の床、天井、壁及び物体からの反射のため、プローブ信号は複数のパス(マルチパス)を通ってロケータに伝搬してもよい。装置が会場内の異なるロケーションに存在する場合、端末装置からロケータへ送信されたプローブ信号は異なるマルチパスを伝搬してもよく、その結果、異なるチャネル応答がロケータにおいて受信又は検出される。したがって、データベースに格納された情報は、検出されたチャネル応答と会場内の対応する座標との間のマッピングを表してもよい。その後、装置が会場内の位置に配置される場合、装置は別のプローブ信号又はプローブ信号のセットをロケータに送出してもよい。ロケータは、受信プローブ波形に基づいてチャネル応答を判定してもよく、最も合致するチャネル応答に対応する位置座標を識別するためにデータベースを探索してもよい。測位システムは、信号が複数回反射しやすい屋内環境において特に有用だろう。測位システムは、高い建物、種々の構造又は他の物が電磁信号を反射し且つ/又は散乱することによりロケータにおいてマルチパス信号が生成される場合のある屋外環境においても特に有用だろう。
実施形態において、チャネル応答のデータベースはローカルに及び/又はリモートに格納されてもよい。例えば設置されたアクセスポイントは、それが設置される領域又は会場に関連するチャネル応答情報のデータベースを備えてもよい。別の例において、設置されたアクセスポイントは、格納済みチャネル応答関数のデータベースを備えてもよいネットワーク内のリモートノードと通信してもよい。実施形態において、装置のロケーションを判定するために実行される処理はローカルに実行されてもよく、ロケータにおいて又はロケータの周囲で実行されてもよく、あるいは処理はリモートリソースにおいて実行されてもよい。実施形態において、格納及び処理リソースは単一の装置に含まれてもよく且つ/又は同一場所に存在してもよく且つ/又はネットワーク内に分散されてもよい。実施形態において、チャネル応答のデータベースは、インターネット又はワールドワイドウェブ上でアクセス可能であってもよい。実施形態において、チャネル応答情報は、複数のサーバ及び/又は複数のロケーションに格納されてもよい。実施形態において、装置及びそれらのロケーションに関する情報は、収集され且つ/又は処理され且つ/又は格納され且つ/又は複数のロケーションにいる複数のユーザがアクセスできるようにされてもよい。実施形態において、チャネル応答のデータベースは、マッピング及び屋内ロケーション情報を提供するために使用されてもよい。実施形態において、そのようなデータベースは屋内でマッピング機能を提供できる。例えばユーザは、自身の装置でアプリケーションを実行してもよく、あるいはユーザに屋内マッピング情報を送出するリモートサーバにアクセスしてもよい。ユーザは、マッピング情報の解像度を変更し、マッピング情報のビューを変更し、ローカルに及び/又はネットワークリソースから導出されたチャネル応答情報を使用してマッピング情報を「拡大」及び「縮小」できてもよい。
ロケータがデータベースを「探索し(look through)」且つ格納済みチャネル応答と最近判定されたチャネル応答との相関性を「識別する(identify)」ために使用してもよい複数の例示的な技術が存在する。それらの技術は、格納済みデータ及び/又は受信データを処理すること、処理されたデータと閾値とを比較すること、並びに特定の閾値を有する等の特定の基準を満たすデータを識別すること等を含んでもよいが、それらに限定されない。特定のチャネル応答が合致するか否か、相関するか否か及び関連するか否か等を判定するために、機械学習技術が適用されてもよい。例えばチャネル情報を特徴として使用するか又はチャネル情報から特徴を抽出することにより、サポートベクトルマシン、決定木等の機会学習技術を使用して、ロケーションを識別するための分類子(classifier)を学習できる。格納済みデータ及び/又は受信データを処理することは、データをサンプリングすること、データを収集すること、データを除去すること、データを統計的に解析すること、乗算、畳み込み、相関、整合フィルタリング、統合、平均、加算、減算、正規化、分類、トレーニング及びカーネルトリック等の数学関数をデータに実行することを含んでもよいが、それらに限定されない。
例示的な実施形態において、ロケータは装置からロケーション固有シグニチャを測定してもよい。例示的な実施形態において、チャネルインパルス応答が既知である場合、受信プローブ波形は、チャネルプローブ信号とチャネルインパルス応答とを畳み込むことにより予測されてもよい。実施形態において、無線測位システムは、Wi-Fi、Bluetooth又はセルラ信号に基づく無線システム等の従来の無線周波数に基づく無線システムと比較して広い帯域幅を使用してもよい。広い帯域幅を使用する場合、測定されたチャネル応答の細かい構造をより明確に区別できることにより、異なるロケーションにおけるチャネル応答の間の相関が低下する。その結果、帯域幅が広くなるほど、位置特定の精度又は分解能が向上してもよい。高い位置特定精度を必要としない用途の場合、ロケーション固有シグニチャに基づく測位システムは帯域幅の狭い信号を使用してもよく、且つ/又は異なるロケーションにおけるチャネル応答の相関を増大させるために信号パスにフィルタ又は信号平滑化構成要素を提供してもよい。更に高い位置特定精度を必要とする用途の場合、ロケーション固有シグニチャに基づく測位システムは、帯域幅が更に広い信号及び/又は更に高い帯域幅及び/又は分解能が更に高いアナログ/デジタル変換器を使用してもよい。いくつかの実施形態において、チャネル応答は、測位システムの位置特性精度を調整するために切り捨てられてもよい。
チャネルプロービング段階の間、ロケータは、システムの所要の測位精度を実現するために、十分に正確なチャネル情報を取得する必要があるだろう。例示的な実施形態において、装置の位置を判定するためにチャネル応答の時間反転バージョンが使用されてもよい。そのような実施形態は、時間反転システムのフォーカシング効果(focusing effect)を利用してもよい。データ通信システムのチャネルプロービング段階において無線チャネル情報を取得する装置及び方法を時間反転ハンドシェイクと呼んでもよい。実施形態において、チャネルプロービングはデータ通信システムにおけるハンドシェイク処理の一部であり、ハンドシェイク処理のチャネルプロービング部分の間に取得される情報は、例えば測位、セキュリティ監視及びジェスチャ認識に使用可能である。時間反転ハンドシェイクの技術は、2014年2月19日に出願され且つ本明細書で全体が援用される米国特許出願第14/183,648号「Handshaking Protocol For Time-Reversal System」において説明され、図61~図73に関して以下に説明される。
実施形態において、新規に測定されたチャネル応答は、以前に格納されたチャネル応答測定値のうち新規に測定されたチャネル応答と最も合致するものを判定するために、多くの以前に格納されたチャネル応答測定値と比較されてもよい。例えば装置の位置の変化は、異なる時間における装置の位置を比較することにより判定されてもよい。例えば装置は家屋の扉又は窓に装着可能であり、位置の変化(すなわち、推定チャネル応答の変化)を判定することは、扉又は窓が開けられたことを示すために使用されてもよい。そのようなシステムは、侵入者検出又は住宅監視の用途に使用可能である。実施形態において、高齢者のシャツのポケット又は手首に装着された装置は、高齢者が転倒したか否かを検出するために使用されてもよい。装置は、倉庫内の商品に付着され、商品の種類及びロケーションを検出し且つ在庫をリアルタイムで更新するために使用されてもよい。装置は、ショッピングモールを歩き回る人間により保持及び/又は携帯され、ターゲット広告又は店舗ナビゲーションに使用されてもよい。実施形態において、装置は訪問者により保持又は携帯され、ガイドツアー及び/又は屋内ナビゲーション命令を提供するために使用されてもよい。
既知のロケーションを用いる参照ロケーション固有シグニチャの生成
例示的な実施形態において、既知のロケーションに対する参照ロケーション固有シグニチャは最近測定されたロケーション固有シグニチャと比較されてもよい。当該比較により、それらのロケーション固有シグニチャが互いに十分に類似すると示される場合、位置特定システムは最近測定された装置が厳密に合致した参照ロケーション固有シグニチャに対応する既知の位置に存在すると判定してもよい。実施形態において、既知のロケーションに対する参照ロケーション固有シグニチャを判定する種々の方法が存在する。
例示的な一実施形態において、既知のロケーションに存在する会場内の装置はロケータにチャネルプローブ信号を送出してもよく、ロケータはそれらのロケーションにおける装置に対する推定チャネル応答を判定して当該データをデータベースに格納してもよい。いくつかの実現例において、会場内のロケーションと対応する参照チャネル応答との間のマッピングは実験的に又は測位システムの動作前の測定により確立されてもよく、その後、会場内の端末装置のロケーションを判定するためにマッピングが使用されてもよい。いくつかの実現例において、会場内のロケーションと対応する参照チャネル応答との間のマッピングは計算により確立されてもよく、その後、会場内の端末装置のロケーションを判定するためにマッピングが使用されてもよい。いくつかの実現例において、実験又は測定及び計算の組み合わせが使用される。
いくつかの実現例において、参照チャネル応答は測位システムの動作前に確立されてもよく、あるいは測位システムが動作している現場で又は動作と同時に確立されてもよい。実施形態において、事前に確立された参照チャネル応答は、例えば最初に参照チャネル応答を生成するために使用された技術のうちのいくつか又は全てを実行した後に新規に推定されたチャネル応答が古い格納済みチャネル応答と合致するか否かを計算することにより、精度又は妥当性を定期的にチェックされてもよい。それらが十分に合致しない場合、データベース内の古いチャネル応答が新規のチャネル応答に置換されてもよい。2つ以上のチャネル応答が十分に合致するか否かの判定は、ユーザ及び/又は用途及び/又はシステムに固有であってもよい。また、システムが開始してもよいデータベース内のチャネル応答の置換等のステップも同様にユーザ及び/又は用途及び/又はシステムに固有であってもよい。いくつかの実施形態において、全ての参照チャネル応答がチェックされ且つ/又は較正されなくてもよい。
いくつかの実施形態において、参照チャネル応答は継続的に拡張され且つ/又は向上されてもよい。例えば特定のセンサが会場中の既知のロケーションに配置されてもよい。ユーザがセンサに近付くと、ユーザ(又はユーザの装置)はロケータ及びユーザの装置と通信するようにセンサをトリガしてもよい。このことがユーザの装置にチャネルプローブ信号を送出させてもよく、それにより、ロケータはセンサの位置に関連付けられた現在の参照チャネル応答の精度をチェックしてもよく且つ/又はそれを既存のデータベースに追加してもよい。例示的な一実施形態において、床の圧力センサは、人間が当該位置に立っている際に装置からチャネルプローブ信号を収集するように測位システムをトリガしてもよい。その場合、ロケータはセンサの位置及び推定チャネル応答を格納してもよい。例えば温度センサ、光センサ、動きセンサ、侵入センサ及びカメラ等である多くの種類のセンサが同様の実施形態において使用されてもよいと考えられる。更に、セキュリティカメラ及びNESTサーモスタット等の監視システムが本明細書中で説明する測位システムにおけるセンサとして使用されてもよい。
実施形態において、装置内のハードウェア構成要素が装置とロケータとの間のチャネル応答に影響を与える場合がある。例えば異なるアンテナ及び受信機電子回路を有する2つの装置は、それらとロケータとの間の異なるチャネル応答により特徴付けられてもよい。既知のロケーションに対する参照チャネル応答にアクセスできることに加えて、ロケータは既知のロケーション及びハードウェア仕様の種類に対する参照チャネルに更にアクセスできてもよい。実施形態において、装置はロケータと通信して自身のハードウェア構成を知らせてもよく、それによりロケータは、装置の位置を判定するために使用する適切な参照チャネル応答を選択できる。上述したように、ロケータは、継続的に、定期的に又はトリガイベントに応答して、装置の位置を判定するために使用される参照チャネル応答を追加又は修正してもよい。例えばロケータは、新しい種類の装置がプローブ信号を送出する場合に参照チャネル応答を更新してもよい。
測位システムの例示的な一実施形態を図4に示す。本実施形態において、システムは、測位システムとしての動作前又は動作中に参照ロケーション固有チャネル応答のデータベースを構築するために更に使用されてもよい。端末装置454は、例えば部屋、オフィス、廊下、教室、家屋、ホテル、建物、倉庫、美術館、コンベンションセンタ、遊園地、競技場、地下鉄駅、鉄道駅、空港、ショッピングモール、地下領域、クルーズ船、トンネル、あるいは複数の構造又は建物を有する領域等である会場470内の第1の位置P1に配置されてもよい。端末装置454は、472a、472b、472c、472d(いくつかのパスのみを図示するが、更なるパスが存在できる)等の複数の伝搬パスを介してロケータ452にチャネルプローブ信号を送出してもよい。会場470は、プローブ信号を反射及び/又は散乱する可能性のある壁及び家具等の複数の物体(不図示)を有してもよい。ロケータ452はマルチパス信号を受信し、位置P1に関連するチャネル応答CR1を判定してもよい。
レーザ干渉計位置測定システム等の参照位置測定システム(不図示)は、基準点478に対する位置P1の座標(例えば、(x1,y1,z1))を判定してもよい。基準点478は、会場470の中心又は会場470の隅等、任意に選択可能である。デカルト座標系を使用でき、その場合、基準点478は座標系の原点(座標(0,0,0)を有する)に存在し、x軸、y軸及びz軸は全て互いに直交する。極座標系、球座標系及び地理座標系等の他の座標系も使用できる。ロケータ452は、位置P1の座標(x1,y1,z1)及び関連するチャネル応答信号CR1をデータベースに格納してもよい。
例示的な一実施形態において、端末装置454は会場470内の第2の位置P2に配置されてもよく、474a、474b等の複数の伝搬パスを介してロケータ452にプローブ信号を送出してもよい。ロケータ452はマルチパス信号を受信し、位置P2に関連するチャネル応答CR2を判定してもよい。参照位置測定システムは、基準点478に対する位置P2の座標(x2,y2,z2)を判定してもよい。ロケータ452は、位置P2の座標(x2,y2,z2)及び関連するチャネル応答CR2をデータベースに格納してもよい。
例示的な一実施形態において、端末装置454は会場470内の第3の位置P3に移動されてもよく、476a、476b等の複数の伝搬パスを介してロケータ452にプローブ信号を送出してもよい。ロケータ452はマルチパス信号を受信し、位置P3に関連するチャネル応答CR3を判定してもよい。参照位置測定システムは、基準点478に対する位置P3の座標(x3,y3,z3)を判定してもよい。ロケータ452は、位置P3の座標(x3,y3,z3)及び関連するチャネル応答CR3をデータベースに格納してもよい。
例示的な実施形態において、基地局452が種々の位置に関連するチャネル応答を判定できるように、端末装置454は会場内の種々の位置に配置されてもよい。例えば位置は、プローブ信号の搬送信号の1000波長、100波長、10波長、1波長、1/2波長又は1/10波長等の距離で離間される格子点の配列から選択可能である。格子点は、例えば0.1mm、0.5mm、1mm、1cm、10cm、1m、10m、100m又は例えば0.1mm~100mの何らかの距離で離間されてもよい。格子点は、高精度が必要とされるロケーションで間隔が密であってもよく、低精度が許容されるロケーションで間隔が疎であってもよい。いくつかの実現例において、位置分解能は0.1mmより高くてもよく、100mより低くてもよい。例えば屋外測位システム又は大きい構造内での位置認識は、必要な分解能が数百メートルにすぎない何らかの用途を有してもよい。患者の体内の外科器具の識別又はシリコンウエハの識別及びプロービング等の高精度の用途は、約数ナノメートルの分解能を必要とする場合がある。本開示において説明する技術及び技法は、ナノメートル級の精度から数メートルの精度を必要とするシステムに対する要件を満たすように適合可能である。
x軸、y軸及びz軸に沿う座標を判定できるように、格子点は会場470内の3次元空間に存在してもよい。測位システムが会場470内を歩行するユーザにより保持された装置(例えば、携帯電話)の位置を主に判定する場合、装置の標準的な使用に対応する高さの範囲、例えば床上1フィート~6フィートの範囲に対して格子点の間隔を密にできる。したがって、例えば会場が20フィートの高さの天井を有するコンベンションセンタである場合、床上6フィートより高い位置に関連するチャネルインパルス応答を測定する必要はないだろう。
実施形態において、測定段階の間の装置の配置は、人間、ロボット、移動ステージ、測位システム及び/又はコンピュータ制御により実行されてもよい。例えば装置を5cm間隔の格子点に配置できるようにする構造が会場内に組み立てられてもよい。その場合、測定値を取得できるように、人間又は機械が装置を構造上の種々の位置に移動してもよい。例えば構造は、チャネル応答に与える影響が小さくなるように設計されてもよい。いくつかの実施形態において、自律ロボット掃除機等の既知のロボットを含むロボットが測定に使用される装置を搬送してもよく、測定値を種々の位置で取得できるように空間内を移動してもよい。ロボットは、自身の制御の下で移動してもよく、あるいは遠隔制御又はコンピュータ制御されてもよい。ロボットは、会場の3次元マッピングが達成されてもよいように、装置を種々の床上高さに保持してもよいポールを装備してもよい。上述した技術はいずれも他の技術と組み合わされてもよく、あるいは個別に使用されてもよい。
いくつかの実現例において、測位システムが工場における自律走行車両の位置を判定するために使用され且つ車両に端末装置を搭載できる場合、車両に搭載された端末装置の高さに対応する高さの範囲に対して格子点の間隔を密にできる。車両が移動するように設計されるロケーションに対応する運動面のx座標及びy座標の範囲に対して格子点の間隔を密にできる。
いくつかの実現例において、測位システムが倉庫において航空機(有人又は無人航空機(例えば、ドローン))の位置を判定するために使用され且つ端末装置が航空機に搭載される場合、格子点は航空機の可能な飛行高度に対応する高さの全範囲にわたり存在してもよい。航空機が移動するように設計されるロケーションに対応するx座標、y座標及びz座標の範囲に対して格子点の間隔を密にできる。
いくつかの実現例において、会場内のロケーションと対応するチャネル応答との間のマッピングは計算により確立されてもよく、その後、会場内の端末装置のロケーションを判定するためにマッピングが使用されてもよい。例えば会場の3次元レンダリングがロケータに関連付けられた記憶装置に格納されるか又はダウンロードされてもよい。そのようなデータファイルが事前に使用可能でない場合、ロケータの構成要素により構成されてもよい。例えば会場の3次元(3D)モデルは、写真、画像、ビデオ、レーザ測距及び光コヒーレンストモグラフィ等の測距技術、エコーロケーション及び/又は他の撮像技術及びコンピュータビジョン/グラフィック技術を使用して構成されてもよく、その後、環境内のロケーション固有推定チャネル応答のデータベースを生成するために3Dモデルが3D電磁(EM)シミュレータにインポートされる。3D電磁シミュレータは、COMSOL、ANSYS、MATLAB(登録商標)、NEC、AN-SOF、EMPro、XF-tdt、Wireless Insite、XGtd及びEmpire XPU等の市販のシミュレーションスイートであってもよい。3D電磁シミュレータは、ロケータ、基地局及びアクセスポイント等において実行するようにカスタム開発されてもよい。会場内の送信機と受信機との間の複数のチャネルパスを正確に予測するために3D EMシミュレータにより使用される会場内の異なる物体の反射係数等のパラメータは、いくつかのロケーションにおけるチャネル応答を測定し且つ測定された応答と予測された応答とを比較することによりトレーニングし且つ/又は較正できる。実施形態において、会場内の異なる物体の反射係数等のパラメータは事前にロードされてもよく、温度、湿度及び煙霧等の環境要素を説明するために複数の値を有してもよい。
座標とチャネル応答との間のマッピングに関する情報は、以下の表1等のテーブルに格納可能である。
座標とチャネル応答との間のマッピングが確立された後、会場470内の端末装置の位置を判定するためにマッピングを使用できる。例えば端末装置454を会場470内の未知の位置に配置し、端末装置454はロケータ452により受信されるプローブ信号を送出し、ロケータ452は受信プローブ信号に基づいてチャネル応答CRxを判定しうる。ロケータ452はチャネル応答CRxとテーブル内の事前格納済みチャネル応答とを比較して、最も合致するものを識別しうる。本例において、事前格納済みチャネル応答CR3がチャネル応答CRxに最も合致すると仮定する。ロケータ452は、端末装置454が事前格納済みチャネル応答CR3に関連する座標(1,0,0)に存在すると判定しうる。
いくつかの実施形態において、ロケータは、チャネル応答CRxと事前格納済みチャネル応答のうちの1つ、いくつか又は全てとの合致度を表す値を判定してもよい。最も合致する事前格納済みチャネル応答がチャネル応答CRxと十分に合致しない場合、ロケータは端末装置が会場内に存在しないか又はデータベース内のロケーションに位置しないと判定してもよい。ロケータは、2つのチャネル応答の合致度を判定する値が閾値等の特定の値を上回ることを必要とすることにより、そのような判定を行ってもよい。ロケータは、他のチャネル応答との比較により得られた値が閾値等の特定の値を下回るため、いくつかのチャネル応答は保持又は使用する価値がないという判定を更に行ってもよい。実施形態において、閾値はユーザが設定可能なパラメータであってもよく且つ/又は計算、命令セットの出力、フィードバックループ、システム及び/又は会場内の他の信号等の結果得られる値であってもよい。
位置を判定するためにロケーション固有シグニチャを使用することの有効性は、チャネルの定常性が維持される度合いに依存する。チャネルの定常性は、既知のロケーションを有する比較シグニチャの生成時とロケータにプローブ信号を送出している装置に対するチャネル推定の判定時との間でチャネル応答が定常であることを必要とする。例示的な実施形態において、チャネルの定常性が維持されない場合、システム性能を維持するために、会場内のロケーションと対応するチャネル応答との間のマッピングの更新、再測定、再計算、変更及び処理等が行われてもよい。
尚、上記の表1は、異なる位置座標に対して格納されたチャネル応答を示す。上述したように、データベースはチャネル応答を端末装置の種類、環境パラメータ、領域における特定の人間及び/又は物体の存在、並びにプローブ信号の帯域幅、搬送周波数、パターン及び偏波等の測定パラメータ及び/又は計算パラメータに関連付けてもよい。いくつかの実現例において、測位システムは、例えば特定の種類の移動電話(例えば、iPhone(登録商標))を保持する人間が位置1に存在し、特定の種類のタブレットコンピュータ(例えば、iPad(登録商標))を保持する子どもが位置2に存在し、異なる種類の移動電話(例えば、Samsung Galaxy S6)を保持する人間が位置3に存在することを判定して報告できてもよい。前出の例は、何らかの形で限定することを全く意図しない。識別されてもよい装置及び位置の数は制限されなくてもよく、あるいはデータベースの記憶容量及び/又はデータ処理を実行するために使用されている構成要素の計算能力により制限されてもよい。実施形態において、異なる装置により送出されるプローブ信号は、推定チャネル応答と別個に処理可能であるか又は推定チャネル応答から導出可能であってもよいデジタルID等の何らかの種類の識別情報を含んでもよい。例えばIDが表1に例示したようにデータベースに格納される場合、位置特定システムは特定の人間及び/又は装置が会場内の特定のロケーションに存在することを更に判定し且つ報告できてもよい。
実施形態において、測位システムは、装置、人間、車両、物体及び構造等の移動を追跡するために使用されてもよい。例えば人間がモール内を歩く場合、その位置はその人間の装置によりロケータに送出されるプローブ信号により判定されてもよい。それらの位置が変化する際、ロケータは人間がいた位置を追跡してもよく、モールにおける人間の進路に関する情報を格納できてもよい。いくつかの実現例において(例えば、案内用途において)、ロケータはユーザの進路が店舗又はトイレ等の所望のロケーションに向かっていると判定し、ロケータは、ユーザが所望の目的地を通り過ぎたため方向転換して進路を変更するようにユーザに信号伝送してもよい。
位置座標とチャネル応答との間のマッピングに関する情報を有するデータベースを構築する例示的なトレーニング段階を以下に説明する。図5を参照すると、いくつかの実現例において、所期のロケーション510毎に、所期のロケーション510の周辺のロケーションのセット(例えば、512a、512b)における一連のチャネル応答を異なる時間に取得してもよい。特に、所期のロケーションi毎に、チャネルインパルス応答情報を収集してもよい。
(式2)
式中、h
i,j(t=t
l)は時間t
lにおける周辺位置jの推定チャネル応答情報を表し、h
i,i(t=t
l)は時間t
lにおける所期のロケーションiの推定チャネル応答情報を表す。種々のロケーションにおけるチャネルインパルス応答のデータベースDは以下のように確立可能である。
(式3)
時間反転分類器
図6に示すような例示的な時間反転分類器690を以下に説明する。図6は、時間反転屋内測位システム(TRIPS)600の一実現例を示す。本例において、端末装置654は、チャネル684を介して基地局又はアクセスポイント(AP)又はロケータ682へチャネルプロービング信号680を定期的に送信する。アクセスポイント682は、チャネル推定構成要素686を使用することによりチャネル応答(CR)を推定してもよい。推定チャネル応答688は、データベース692に格納されたロケーション情報と合致するものが存在するかを判定して端末装置654のロケーションを判定するために、時間反転分類器690を通されてもよい。
推定チャネルインパルス応答情報を取得した後、分類技術を使用して推定チャネル応答情報とデータベース692に格納された情報とを照合することにより、ユーザ(すなわち、端末装置654)の位置が特定されてもよい。データベース692内の各ロケーションに対する情報量が多いため、生のチャネル応答情報に基づく分類は長い時間を要する場合がある。したがって、分類を容易にするために、チャネルインパルス応答情報を前処理して重要な特徴を取得することが有用である。
上述したように、ロケータ682において受信される波形は、異なるロケーションに存在する端末装置654に対する異なる反射パス及び遅延を経るため、チャネル応答は一意のロケーション固有シグニチャであると考えられる。いくつかの実現例において、位置が未知である装置からの推定チャネル応答と既知の位置に関連する参照チャネル応答とを比較する有利な方法は、一方のチャネル応答を時間反転して他方のチャネル応答と畳み込むことである。時間反転チャネルインパルス応答とデータベース692内の参照チャネルインパルス応答とを畳み込む場合、あるいはチャネルインパルス応答と時間反転参照チャネルインパルス応答とを畳み込む場合、所期のロケーションにおけるチャネルインパルス応答に関連する畳み込みは、2つのチャネル応答が厳密に合致することを示すために使用できる大きいピーク信号を生成する。一方のチャネルインパルス応答の時間反転バージョン又は時間反転バージョンに関連するチャネルインパルス応答のバージョンと比較チャネル応答との畳み込みは、応答が互いに非常に類似する場合に密に分布する大きいピークを有する数学関数を生成する。比較されるチャネル応答が厳密に合致するほど、ピークは大きくなり且つ分布が密になってもよい。時間反転イメージング通信システムにおいて、チャネルインパルス応答の時間反転バージョンとチャネル自体とを畳み込んだ結果得られるピークは空間的フォーカシング効果として既知である。例示的な実施形態において、測位システム600は、位置特定のための効果的な特徴を抽出するために、時間反転に基づく次元縮小法を使用してもよい。計算において時間反転チャネル応答を使用することを仮想フォーカシング(virtual focusing)と呼んでもよい。そのような時間反転に基づく次元縮小法の一例を以下に説明する。
説明を容易にするために、式2におけるチャネル応答の収集を以下のように簡略化できる。
(式4)
式中、h
i(t=t
l)は、時間t
lにおけるロケーションP
iの推定チャネルインパルス応答情報を意味する。式4において、周辺位置におけるチャネルインパルス応答情報は考慮されない。
2つのチャネルインパルス応答
及び
の間の時間反転共振強度η(h
1,h
2)は、以下のように定義可能である。
(式5)
式中、
は、h
2の時間反転共役バージョンとして定義される。これを以下に示す。
(式6)
式5は、時間反転共振強度が2つの複素チャネルインパルス応答の間の相互相関のエントリの最大振幅であることを示す。これは、max演算が存在せず且つ式5のインデックス〔i〕がインデックス〔L-1〕に置換される2つの複素チャネルインパルス応答の間の従来の相関係数と異なる。従来の相関係数の代わりに時間反転を使用する理由の1つは、チャネル推定誤差の許容範囲に対するロバスト性を増加することである。いくつかのチャネル推定方式は、チャネル応答を完全に推定できない場合がある。その代わりに、いくつかのタップがチャネル推定処理の間に追加又は削除される場合がある。そのような場合、従来の相関係数は2つのチャネルインパルス応答の間の実際の類似性を反映しない場合があるが、上述した時間反転共振強度は、max演算を使用することにより実際の類似性を取り込むことができてもよく、したがって、結果のロバスト性を増加してもよい。いくつかの実施形態において、従来の相関係数を判定することにより、類似するチャネル応答を十分正確に識別できてもよく、そのような判定は本明細書中で説明する測位システムにおいて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、以下に説明し且つ実証する時間反転技術が好ましくてもよい。
端末装置の位置を判定する例示的な処理を以下に説明する。hをロケーションが未知である端末装置に対して推定されるチャネルインパルス応答とする。hと参照チャネル応答のデータベース内のロケーションとを照合するために、最初に各ロケーションに対する時間反転共振強度を使用して特徴を抽出してもよい。特に、各ロケーションP
iに対して、最大時間反転共振強度η
iを以下のように計算してもよい。
(式7)
全ての可能なロケーション、すなわちに対してη
iを計算することにより、η
1,η
2,・・・,η
Nを得ることができる。その場合、推定されるロケーションは最大のη
iを得られるものであり、すなわちは以下のように導出可能である。
(式8)
例示的な一実施形態において、ロケータが装置のロケーションを判定した後、ロケータは、装置のロケーション座標と装置の種類等の他の情報とを装置及び/又は別のロケータ及び/又はコンピュータ及び/又はクラウド内のサーバ及び/又は何らかの種類の計算装置に送出してもよい。実施形態において、装置のロケーション情報を伴う装置からの情報は、広告システム、追跡システム、支払いシステム、通知システム及び監視システム等の他のシステムに送出されてもよい。他のシステムが装置に情報を送出してもよい。例えば装置は、その周辺の店舗及び/又は電話内のウィッシュリストに格納された品物に対して、あるいは電話上の銀行口座情報に基づいて、「販売」情報を受信してもよい。例えば高価な商品を販売する店舗は、高価な品物の購入履歴を有するユーザ又は銀行口座残高が高いユーザに広告情報を送出してもよい。
図7を参照すると、グラフ720は、所期のロケーション及び所期のロケーションの近傍のロケーションに対する例示的な時間反転チャネル応答とデータベース(例えば、図6のデータベース692)内の例示的な参照チャネル応答との畳み込みの結果の一例を示す。所期のロケーションにおいて、ピーク値722が存在する。所期のロケーション以外のロケーションに対して、仮想フォーカシング効果は殆ど又は全く存在せず、畳み込み値はピーク値よりはるかに低い。これは、位置特定のための効果的な特徴を抽出するために時間反転に基づく次元縮小法を使用できることを示す。
式2におけるチャネル応答情報の収集が使用される時間反転に基づく次元縮小法の別の例を以下に示す。式2において、周辺のロケーションにおけるチャネルインパルス応答情報を考慮できる。推定チャネルインパルス応答をhとし、対応する時間反転シグニチャをgとして、データベース内の各ロケーションiに対して以下の特徴を抽出する。
(式9)
式中、f
i,j(t=t
l)は以下のように定義される。
(式10)
データベース692内の可能なロケーションの各々に対する特徴を取得した後、次のステップは、端末装置654のロケーションを推定することである。1つの単純な方法は、最大特徴値、即ち、
(式11)
を提供できるチャネル応答を使用してロケーションを照合することである。
サポートベクトルマシン(SVM)等の他の分類アルゴリズムを同様に使用できる。特に、全てのロケーションiに対して、最初にサポートベクトルマシン等の分類アルゴリズムを使用して、データベース内の収集されたチャネル情報
を利用することにより分類子C
iをトレーニングしてもよい。その後、各推定チャネルインパルス応答hに分類子C
iを適用することにより、信頼スコアs
iを取得できる。推定ロケーションは、信頼スコアs
iが最も高いロケーションである。
図7に示すように、本例において、空間的フォーカシングは、ほぼ半波長フォーカススポットである。時間反転測位システム600が約5GHz周波数の搬送中心周波数を有する無線信号を使用して動作される場合、半値全幅(FWHM)フォーカススポットは約3cmであり、これは時間反転測位システム600がセンチメートル級の精度を達成できることを意味する。上述したように、システムの位置精度は、図3に示すように無線装置208の送信機アンテナ304の周囲に散乱要素302を配置することにより向上可能である。散乱要素302を使用することにより、時間反転測位システムが5GHz周波数で動作される場合は約2mmである搬送信号波長の1/30に測位システムの位置特定精度を向上できる。
実験結果
125MHzの帯域幅で5.4GHz周波数帯で動作する実験用時間反転測位システムを使用して実行された実験を以下に説明する。実験用システムにおいて、各装置は、無線周波数基板及びコンピュータが取り付けられた小型カートに装着されたアンテナを含む。一般的なオフィス環境で実験用システムの性能を試験した。
図8Aは、実験を行うために使用されたオフィス環境860の間取り図のレイアウトを示す。図中、ロケータとして構成されたアクセスポイント862はマーク「AP」を有するロケーションに位置し、端末装置864は小さい事務室(部屋A)866に位置する。部屋A866の間取り図を図8Bに示す。図8Bは、マーク「TD」を有するロケーションに位置する端末装置864を示す。そのような設定を有する場合、ロケータ(AP)862は、端末装置864に関して見通し外の状態で動作している。
実際の時間反転システム及び仮想時間反転システムの3つの重要な特性、すなわちチャネル可逆性、時間定常性及び空間的フォーカシングの評価を以下に説明する。チャネル可逆性及び時間定常性は時間反転システムの2つの基本的仮定であるが、空間的フォーカシングは時間反転測位システムを成功させるための重要な特徴である。
チャネル可逆性は、端末装置864とロケータ862との間の順方向/逆方向リンクのチャネル応答を調べることにより評価した。特に、端末装置864が最初にロケータ862へチャネルプロービング信号を送信し、ロケータ862は順方向リンクのチャネル応答を記録する。その直後又はほぼ直後に、ロケータ862は端末装置864へチャネルプロービング信号を送信し、端末装置864は逆方向リンクのチャネルインパルス応答を記録する。そのような手順が18回繰り返される。
順方向リンク及び逆方向リンクに対する一対のチャネルインパルス応答をそれぞれ図9A及び図9Bに示す。第1のグラフ910は、順方向チャネルに対する推定チャネル応答の振幅及び位相を示し、第2のグラフ920は、逆方向チャネルに対する推定チャネルインパルス応答の振幅及び位相を示す。図9A及び図9Bは、順方向チャネルと逆方向チャネルとが非常に類似することを示す。
図10を参照すると、グラフ1000は順方向リンクのチャネルインパルス応答と逆方向リンクのチャネルインパルス応答との間の相互相関を示す。中心タップ1002は、順方向リンクのチャネルインパルス応答と逆方向リンクのチャネルインパルス応答との間の時間反転共振強度を表す。グラフ1000は、実際に順方向チャネルと逆方向チャネルとの可逆性が高いことを示す。
図11を参照すると、図中、横軸は順方向チャネルの収集された18個のチャネルインパルス応答のインデックスを示し、縦軸は逆方向チャネルの収集された18個のチャネルインパルス応答のインデックスを示し、各格子/カラーブロックは、順方向チャネルインパルス応答及び逆方向チャネルインパルス応答の各対の間の時間反転共振強度を表す。グラフ1100は、18個の順方向チャネル測定値及び18個の逆方向チャネル測定値のうちのいずれかの間の時間反転共振強度ηを示し、平均ηが0.95を上回ることを示す。この結果は、可逆性が時間にわたり定常であることを示す。
3つの異なる設定、すなわち短期間、長期間、並びに人間が歩き回る動的環境において端末装置864からロケータ862へのリンクのチャネルインパルス応答を測定することにより、時間反転システムの時間定常性を評価した。短期間の実験では、チャネル応答を2分毎に30回測定した。長期間の実験では、週末にかけて午前9時から午後5時の間に1時間間隔で全部で18個のチャネル応答を収集した。動的環境の場合、人間が室内を不規則に歩き回る状態でチャネル応答を測定した。本実験では、チャネルインパルス応答を30秒間隔で15回測定した。
図12を参照すると、グラフ1210は、短期間の実験における端末装置864とロケータ862との間のリンクの全部で30個のチャネルインパルス応答のうちのいずれか2つのチャネルインパルス応答間の時間反転共振強度ηを示す。図13において、グラフ1310は長期間の実験において収集された18個のチャネル応答のうちのいずれか2つのチャネル応答の間の時間反転共振強度を示す。異なる時間インスタンスにおけるチャネル応答は短期間の実験及び長期間の実験の双方において相関が高いことがわかり、チャネル測定値の時間間隔が相対的に長い場合でも通常のオフィスにおけるチャネルは時間と共に大きく変化しないことが示される。図14において、グラフ1410は人間が不規則に歩き回る動的環境で収集された15個のチャネル応答の間の時間反転共振強度を示す。実験結果は、人間が歩き回る場合でも、時間反転共振強度は収集された全てのチャネル応答の間で高い状態を維持できることを示す。
別の実験は、部屋A866内の1m×0.9mの領域内で端末装置864のロケーションを移動することにより行われた。本実験において、ロケータ862は静止していた。チャネル応答は9×10cm格子上のロケーションで収集され、測定ロケーションの間隔は格子上で10cmであった。これらの測定値により、全部で110個の評価ロケーションに関連する110個の推定チャネル応答が生成された。図15のグラフ1510は、110個のチャネル応答のうちの1つとそれ以外との間の時間反転共振強度の二乗η2として定義される、計算されたフォーカシング利得を示す。グラフ1510内の各ボックスは、2つの格子点が隣接する1つの格子点に対するフォーカシング利得を表す。横軸及び縦軸は、1次元(1D)表現のロケーションインデックスである。グラフ1510の(i,j)の各値は、所期ロケーションがi(1次元表現でのロケーションインデックス)である場合のロケーションj(1次元表現でのロケーションインデックス)におけるフォーカシング利得を表す。
グラフ1510は、所期のロケーションにおけるフォーカシング利得が所期でないロケーションにおけるフォーカシング利得よりはるかに大きいことを示す。換言すると、本例では非常に良好な仮想空間的フォーカシング効果が存在する。
仮想空間的フォーカシング効果は、1cmの格子間隔で更に詳細に(例えば、更に高い分解能で)も評価され、結果を図16に示す。5cm×5cm領域内の空間的フォーカシング効果に関して非常に美しいグラデーションが存在することがわかり、これは、チャネルが約1/2波長の距離において無相関である場合があるという事実と一致する(搬送周波数が5.4GHzの場合、波長は約5.5cmである)。
図9A~図16に提示する結果は、チャネル応答がロケータ862と端末装置864との間のマルチパスチャネルに対するロケーション固有シグニチャとして機能すること、並びにチャネルインパルス応答が第1のロケーションと第2のロケーションとの間で測定可能に変化すること(例えば、ロケーションの離間距離が10cmにすぎない場合でも)を示す。
上記の実験結果及び説明は、時間反転測位システムが屋内環境等のマルチパスが豊富な環境において位置を判定するという問題に対する優れた解決策を提供できることを示す。時間反転測位システムは、単純なアルゴリズムを使用して且つ低いインフラコストで、高い位置特定精度を達成できる。時間反転測位システムの特徴のいくつかを以下に要約する。
・実験結果は、単一のロケータが見通し外という条件下で5.4GHz帯で動作している場合、時間反転測位システムが低い誤り率でセンチメートル級の位置特定精度を達成できることを示す。精度は、例えばデータベースの分解能を増加する(すなわち、チャネルインパルス応答データベースを確立する際に測定点間の距離を短くする)ことにより向上されてもよい。
・いくつかの実現例において、時間反転技術の結果、時間反転測位システム内の照合アルゴリズムは、推定チャネルインパルス応答の時間反転とデータベース内の以前に格納されたチャネルインパルス応答の時間反転との間の時間反転共振強度を計算するように簡略化可能である(いくつかの実現例では、以前に測定されたチャネルインパルス応答の時間反転バージョンがデータベースに格納される)。
・いくつかの実現例において、時間反転測位システムのインフラコストを低減できる。複数のアクセスポイント及び/又は複数の装置を使用することにより、位置特定性能も更に向上できる。
・いくつかの実現例において、時間反転測位システムは5.4GHz帯以外の帯域で使用可能である。例えば更に広い帯域幅を有する超広帯域(UWB)帯に時間反転測位システムを適用でき、その結果、更に高い位置特定精度を得られてもよい。
実施形態において、時間反転測位システムは継続的に動作してもよく、断続的に動作してもよく、定期的に動作してもよく、コンピュータ制御により自動的に動作してもよく、且つ/又は手動で動作してもよい。実施形態において、時間反転測位システムは、ある期間にわたるチャネル応答、参照チャネル応答、時間反転チャネル応答、参照時間反転チャネル応答、時間反転共振強度及び/又はフォーカシング利得を収集して記録する機能を含んでもよい。実施形態において、時間反転測位システムは、ある期間にわたる領域内の検出可能なアクティビティを示してもよいレポート、グラフ及びデータファイル等を生成できてもよい。実施形態において、検出可能なアクティビティは、結果として何らかの閾値及び/又はトリガ及び/又は信頼度を上回るチャネル応答、時間反転チャネル応答及び/又は時間反転共振強度及び/又はフォーカシング利得の変化が生じるアクティビティであってもよい。実施形態において、時間反転測位システムは、領域内の検出可能なアクティビティを報告するために、ユーザ、プロセッサ、コンピュータ、ルータ、アクセスポイント、サーバ、警報センタ及びリモートプロセッサ等と通信できてもよい。実施形態において、フィードバックシステムにおいて使用されてもよく且つ/あるいは時間反転システムと監視システム又はサービス、警報システム又はサービス、通信システム又はサービス等の別のシステム又はサービスとの間の通信を開始するために使用されてもよいトリガ及び/又は閾値が設定されてもよい。
実施形態において、時間反転システムは、ネットワークの一部として構成されるコンピュータ、プロセッサ、サーバ、ルータ及び記憶装置等のリモートリソースにアクセスできてもよい。いくつかの例において、そのようなリソースを「クラウド」に存在すると呼んでもよい。尚、インターネット、キャリアネットワーク、インターネットサービスプロバイダネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、バックホールネットワーク、セルラネットワーク及び衛星ネットワーク等のネットワークを「クラウド」と呼んでもよい。また、特定の処理はクラウド内で行われると表現されてもよく、装置はクラウドにアクセスすると説明されてもよい。このような説明において、クラウドは、ネットワーキング/通信機器と無線リンク及び/又は有線リンクとを備える一種のネットワークであると理解されるべきでる。実施形態において、複数の時間反転システムがリモート記憶/処理リソースと通信し且つ/又はそれらとの間で有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークを介してデータを送受信してもよい。
従来の無線信号を使用するチャネルプロービング
上述したように、空間内の物体のロケーションは、無線チャネルをプロービングするための広帯域無線信号とマルチパス波形を受信して処理するための広帯域受信機とを使用して正確に判定可能である。約125MHzの帯域幅を有する広帯域信号を使用する例示的なシステムを開示する。当該システムは、約5cmのロケーション分解能を達成する。例えば約250MHz、約500MHz、約1GHz、約2GHz、約5GHz、約10GHzの帯域幅を有する更に広帯域の信号及び受信機により更に正確なロケーション分解能が得られてもよいことを開示する。これらの広帯域信号は、Wi-Fi、ZigBee、Bluetooth及び/又はセルラ信号に基づく無線システム等の従来の無線周波数に基づく無線システムにおいて通常使用される帯域幅より広い帯域幅を有してもよい。
いくつかの実施形態において、約1m×1m×1mのロケーション精度を得るために、10MHz又は20MHz又は40MHzの無線信号等の相対的に狭帯域の従来の無線信号が使用されてもよい。いくつかの用途において、この相対的に粗いロケーション分解能が許容可能であってもよい。しかし、他の用途において、従来の無線信号及び機器のみを使用して又は本明細書において開示される新規の機器と組み合わせて使用して、更に正確なロケーション精度を得ることが望ましい場合がある。いくつかの用途において、ロケーション分解能が相対的に高い技術はロケーション分解能が低い技術と組み合わせて使用されてもよい。複数の従来の低帯域幅無線信号は、無線チャネルをプロービングするため及び複数の低帯域幅チャネル推定値を生成するために使用可能であり、そのようなチャネル推定値は例示的な方法で処理されてもよく、それにより、複合チャネル応答及び/又はチャネル応答の組み合わせが判定されてもよく、従来の何らかの低帯域幅無線信号のみで得られるロケーション精度より高いロケーション精度を得られるように分類されてもよい。そのような技術を以下に更に詳細に説明する。
例示的な実施形態において、複数の無線チャネル応答は、複数のチャネル応答推定値を生成するために、システムにおいて単一の送信アンテナ及び単一の受信アンテナを使用し(単入力単出力(SISO))且つ異なる周波数帯域(例えば、チャネルチューニング、チャネルホッピング)を使用することにより推定され且つ収集されてもよい。他の例示的な実施形態において、複数の無線チャネル応答推定値は、送信機又は受信機のいずれかで複数のアンテナを使用する(単入力多出力(SIMO)又は多入力単出力(MISO))か又は送信機及び受信機の双方で複数のアンテナを使用し(多入力多出力(MIMO))、それら複数のアンテナが同一の周波数帯域又は複数の周波数帯域を使用して複数のチャネル応答推定値を生成することにより収集されてもよい。実施形態において、複数のプローブ信号を収集し且つ複数のチャネル応答推定値を判定するために、送信アンテナ及び受信アンテナの双方として動作する単一アンテナが使用されてもよい。
複合チャネル応答が本開示中で上述した方法で処理されてもよい例示的な実施形態を説明する。実施形態において、複合チャネル応答は、いずれか2つ以上のチャネル応答から判定されてもよい。実施形態において、位置特定精度は、複合チャネル応答におけるチャネル応答の数が増加するにつれて向上してもよい。実施形態において、位置特定精度は、複合チャネル応答内のいずれかのチャネル応答の帯域幅が増加するにつれて向上してもよい。実施形態において、位置特定精度は、複合チャネル応答に含まれる複数のチャネル応答を追加、除去又は変更することにより調整されてもよい。
以下の説明において、IEEE802.11無線通信規格に適合する既存のWiFiシステム及び技術に基づく本発明の実行能力及び例示的な実施形態が強調される。しかし、本発明はWiFi及び/又は802.11を使用する実現例に限定されないことが理解されるべきである。本明細書中で説明する装置、方法及び技術は、上述した広帯域システムを含むあらゆる無線送信システムに適用されてもよい。WiFiは現在広範に使用されており、それらの独創的な技法及び技術は市販の機器を使用して採用されてもよいため、WiFi技術に基づく例示的な実施形態は現時点で特に関心を持たれるだろう。しかし、WiFiチャネル帯域幅は徐々に増加する可能性があり、例示的な実施形態の将来のバージョン又は更に高帯域幅のバージョンも本明細書中で説明する性能向上を利用してもよい。また、Bluetooth信号伝送、ZigBee信号伝送、セルラ信号伝送、3G信号伝送、4G信号伝送及びLTE信号伝送等に基づく無線送信システム等の別の無線送信システムにとっても、本明細書中で説明する装置、方法及び技術は有益だろう。
図17A~図17Dは、1つ以上の無線送信アンテナと1つ以上の無線受信機アンテナとの間の4つの例示的な無線通信リンクを示す。例えば、図17Aは1つの送信アンテナと1つの受信アンテナとの間の例示的なリンクを示し、図17Bは1つの送信アンテナと2つの受信アンテナとの間の例示的なリンクを示し、図17Cは3つの送信アンテナと1つの受信アンテナとの間の例示的なリンクを示し、図17Dは2つの送信アンテナと2つの受信アンテナとの間の例示的なリンクを示す。通常の無線ネットワーキング構成要素は無線信号の送信及び受信の双方を行うことができ、1つ以上の送信アンテナ及び1つ以上の受信アンテナを備えてもよく、リンクも双方向リンクであってもよい。例示的な実施形態において、図17A~図17Dに示す実現例は、同時に、並行して、断続的に、同期して且つ/又は独立して使用される多くの送信及び/又は受信アンテナを備える単一の無線装置を使用して達成されてもよい。実施形態において、単一アンテナが信号の送信及び受信の双方に使用されてもよく、送信信号及び受信信号は、送信信号処理又は受信信号処理を実行するために電子回路において分離されてもよい。
例示的な一実施形態において、第1の無線装置は第2の無線装置に無線信号を送出してもよい。無線信号の帯域幅は約FMHzであってもよい。FMHzは、信号の3-dB(FWHM)帯域幅、信号の1/e帯域幅又は信号の帯域幅の他の何らかの特性を表してもよい。第2の無線装置は第1の無線装置から無線信号を受信してもよく、第2の無線装置と第1の無線装置との間のチャネルに関する特定の特性を判定できてもよい。例えば第2の無線装置は、第1の無線装置から信号を受信し、信号の受信信号強度(RSS)を監視してもよい。信号は無線チャネルを通って移動する際に減衰され且つ/又は分散される場合があるため、受信信号強度は第1の装置と第2の装置との間の距離の何らかのインジケーションを与えてもよい。受信信号強度は、無線信号を減衰させ且つ散乱させる場合のある第1の無線装置と第2の無線装置との間に位置してもよい物体の何らかのインジケーションを更に与えてもよい。
例示的な一実施形態において、第1の無線装置と第2の無線装置との間の無線信号は、IEEE802.11プロトコルの何らかのバージョンに準拠する装置と相互運用するように構成されてもよい。IEEE802.11プロトコルの何らかのバージョンと相互運用する無線受信機は、情報の802.11パケットを無線受信してもよく、当該パケットを処理してRSSを判定してもよい。802.11データパケットを処理することにより判定されたRSSをRSSインジケータ又はRSSIと呼ぶ場合がある。ZigBee(登録商標)システムは同様にRSSIを監視し、多くの他の無線システム及びプロトコルは何らかの形態で受信信号強度を監視する。いくつかの位置特定システムは、2つの無線装置間のRSSIを使用して2つの装置間の距離を特徴付ける。しかし、サブメートル級の精度はRSSI技術のみを使用して実証されていない。
上述したように、少なくとも2つの無線装置間の相対位置のセンチメートル級の分解能精度は、広帯域信号伝送により判定されるチャネル応答情報を使用して達成されてもよい。125MHzの近似帯域幅Fを有する無線信号を使用する広帯域システムに対して、実験結果を上記に提示した。広帯域信号は広帯域受信機により受信され、500MHz ADC/DAC装置等の高速ADC及びDACを使用して処理されてもよい。実施形態において、2つ以上の無線装置の相対位置を判定するために標準ベースの通信機器を使用して受信及び処理が可能な狭帯域チャネル応答情報を使用することが好ましくてもよい。
実施形態において、無線シグニチャを使用する高精度ロケーション判定は、近接する装置からの無線信号を確実に区別できる場合に達成可能である。広帯域システムにおいて、RF(又はマイクロ波周波数)信号の多くのマルチパスが取り込まれ且つ処理されてもよい。取り込まれるマルチパスの数が増加するほど、環境が含む散乱体が増加するため、あるいは広帯域信号が例えば125MHz以上、250MHz、500MHz、1GHz、5GHz、5GHz以上又はそれらの間の何らかの値である更に広い帯域幅に拡張されるため、ロケーション分解能が向上してもよい。
いくつかの例において、所定の環境では、2つの無線装置間のチャネル応答に寄与してもよい有限数のマルチパスが存在してもよく、そのため、帯域幅が特定の点を上回って増加すると、信号帯域幅を増加することによる効果が不明瞭になる。散乱体の数を増加することにより測位システムの分解能及び/又は精度が向上する場合があるが、散乱体の数が特定の数以上になると、同様に向上は不明瞭になる。ユーザが新しい環境に測位システムを配置する場合、ユーザは、所望の測位分解能になるような信号帯域幅及び散乱体構成を選択するように測位システムを較正してもよい。
例示的な実施形態において、2つの無線装置間のチャネル応答に寄与してもよいマルチパスの数は、異なる中心周波数、異なるチャネル帯域幅、異なる周波数帯域を有する複数の相対的に狭帯域幅の無線信号を取り込むこと及び/又は複数の変位アンテナを使用して複数の低帯域幅チャネル応答を高解像度の複合チャネル応答に組み合わせること及び/又は関連するチャネル応答のグループを処理することにより増加されてもよい。実施形態において、複合チャネル応答を生成するために2つ以上のチャネル応答が組み合わされてもよい。実施形態において、2つ以上のチャネル応答がロケーション固有シグニチャに寄与してもよく、本開示中で説明される照合アルゴリズム及び/又は分類アルゴリズムを使用して処理されてもよい。複数の低帯域幅チャネル応答を組み合わせることにより、ロケーション固有シグニチャを判定するために使用されるマルチパスの数が効果的に増加し、チャネル情報が豊富になり、その結果、更に高い測位分解能を得られる可能性がある。
いくつかの例において、測位システムの測位精度はプローブ信号の中心周波数に少なくとも部分的に基づく。例えば約2.4GHzの中心周波数を有するプローブ信号は、5.5cmの測位精度を達成できる。いくつかの例において、プローブ信号が約2.4GHzの中心周波数を有する場合、5.5cmの測位精度を達成するために、50MHzより広い帯域幅を有する1つのプローブ信号を使用するか又は50MHzより広い総帯域幅に及ぶ複数のプローブ信号を使用するのが好ましい。例えばIEEE802.11規格に準拠するプローブ信号の場合、各信号が22MHzの帯域幅を有するならば、50MHzより広い総帯域幅に及ぶ3つ以上のプローブ信号を使用するのが好ましい。狭い帯域幅を有する複数のプローブ信号を使用して広い総帯域幅を達成する技術を以下に説明する。
いくつかの実施形態において、測位システムは50MHzより広い総帯域幅Bを使用する。総帯域幅は、複数の方法で達成可能である。例えばいくつかの実現例において、送信機は受信機に単一のプローブ信号を送出し、プローブ信号は50MHzより広い帯域幅Bを有する。例えば送信機は出力信号をフィルタリングするフィルタを有してもよく、受信機は入力信号をフィルタリングするフィルタを有してもよく、この場合、各フィルタはBに等しい帯域幅を有する。
いくつかの実現例において、送信機は単一アンテナを使用して、単一アンテナを有する受信機に2つ以上の無線プローブ信号を送出する。この場合、2つ以上の無線信号は異なる中心周波数を有し、2つ以上の無線信号の各々は50MHzより狭い帯域幅を有し、2つ以上の無線信号は50MHzより広い総帯域幅を有する。総帯域幅は、2つ以上の無線信号が及ぶ帯域幅全体を示す。例えば第1の信号s1は中心周波数f1及び帯域幅B1を有してもよく、第2の信号s2は中心周波数f2及び帯域幅B2を有してもよい。第1の信号s1は第1の周波数帯域f1-B1/2~f1+B1/2を使用してもよく、第2の信号s2は第2の周波数帯域f2-B2/2~f2+B2/2を使用してもよい。f1<f2であると仮定すると、f1+B1/2<f2-B2/2である場合、2つの周波数帯域はオーバラップせず、第1の信号s1及び第2の信号s2はB1+B2の総帯域幅に及ぶ。f1+B1/2>f2-B2/2である場合、2つの周波数帯域はオーバラップし、第1の信号s1及び第2の信号s2はf1-B1/2~f2+B2/2の周波数範囲に及び、f2-f1+B1/2+B2/2の総帯域幅を有する。
同様に、単一送信機アンテナが単一受信機アンテナに3つ以上の信号を送出し且つ3つ以上の信号が異なる中心周波数を有する場合、3つ以上の無線信号が及ぶ総帯域幅は、3つ以上の信号の周波数帯域が範囲に含む帯域幅(各周波数帯域が隣接する周波数帯域とオーバラップする場合)又は帯域幅の総和(少なくとも1つの周波数帯域が他のいずれかの周波数帯域とオーバラップしない場合)である。例えば802.11b/g/nプロトコルに準拠する送信機が単一送信機アンテナを使用して信号s1、s2及びs3を送出し且つ受信機が単一受信機アンテナを使用して信号s1、s2及びs3を受信すると仮定する。第1の信号s1は周波数帯域2412±11MHzを使用し、第2の信号s2は周波数帯域2422±11MHzを使用し、第3の信号s3は第3の周波数帯域2447±11MHzを使用すると仮定する。3つの信号s1、s2及びs3は、2401MHz~2433MHz及び2436MHz~2458MHzの範囲の総周波数帯域に及ぶため、54MHzの総周波数帯域に及ぶ。第1のチャネル応答は受信信号s1から導出され、第2のチャネル応答は受信信号s2から導出され、第3のチャネル応答は受信信号s3から導出されると仮定する。以下に更に詳細に説明するように、第1のチャネル応答、第2のチャネル応答及び第3のチャネル応答により判定される複合チャネル応答は総帯域幅54MHzに及ぶ。例えば複合チャネル応答は、以下の式12を使用して判定可能である。
測位システムは、複数の狭帯域信号(例えば、各々が50MHzより狭い帯域幅を有する信号)から導出された複合チャネル応答から、環境内の1つ以上の巨視的物体に関する情報(例えば、物体のうちの1つ以上のロケーション又は姿勢に関する情報)を判定できる。この場合、複合チャネル応答は50MHzより広い総帯域幅に及ぶ。
いくつかの実現例において、送信機は2つ以上のアンテナを使用して、各々が異なるアンテナから送出される2つ以上の無線信号を1つのアンテナを有する受信機に送出する。2つ以上の無線信号は同一の中心周波数か又は異なる中心周波数を有することができ、2つ以上の無線信号の各々は50MHzより狭い帯域幅を有し、2つ以上の無線信号は50MHzより広い総帯域幅を有する。複数の送信機アンテナが使用される本例において、総帯域幅は複数の送信機アンテナにより送信される2つ以上の信号が及ぶ帯域幅の総和を示す。例えば第1のアンテナは中心周波数f1及び帯域幅B1を有する第1の信号s11を送信してもよく、第2のアンテナは中心周波数f1及び帯域幅B1を有する第2の信号s21を送信してもよい。第1の信号s11及び第2の信号s21は同一の周波数帯域を使用するが、第1の信号s11及び第2の信号s21は2×B1の総帯域幅に及ぶ。別の例として、第1のアンテナは中心周波数f1及び帯域幅B1を有する第1の信号s11を送信してもよく、第2のアンテナは中心周波数f2及び帯域幅B2を有する第2の信号s21を送信してもよい。この場合、信号s11及び信号s21により使用される周波数帯域がオーバラップするか否かに関係なく、第1の信号s11及び第2の信号s21はB1+B2の総帯域幅に及ぶ。複合チャネル応答は第1の信号s11及び第2の信号s21から判定されたチャネル応答から導出可能であり、複合チャネル応答はB1+B2の総帯域幅に及ぶ。
いくつかの実現例において、送信機は単一アンテナを使用して複数の方向に単一の無線信号をブロードキャストし、ブロードキャスト信号は2つ以上のアンテナにより受信される。送信信号は50MHzより狭い帯域幅を有することができ、2つ以上のアンテナにおいて受信される2つ以上の信号は50MHzより広い総帯域幅を有してもよい。複数の受信機アンテナが使用される本例において、総帯域幅は、複数の受信機アンテナにより受信される2つ以上の信号が及ぶ帯域幅の総和を示す。例えば送信機は、中心周波数f1及び帯域幅B1を有する信号を送信してもよい。2つの受信機アンテナが存在すると仮定する。第1の受信機アンテナにおいて受信される第1の信号s11及び第2の受信機アンテナにおいて受信される第2の信号s12は同一の周波数帯域を使用するが、第1の信号s11及び第2の信号s12は2×B1の総帯域幅に及ぶ。信号s11及びs12は、異なるマルチパスセットを通って送信機アンテナから受信機アンテナに移動する。複合チャネル応答は第1の受信信号s11及び第2の受信信号s12から判定されるチャネル応答から導出可能であり、複合チャネル応答は2×B1の総帯域幅に及ぶ。
いくつかの実現例において、送信機は単一アンテナを使用して、受信機の2つ以上のアンテナにより受信される2つ以上の無線プローブ信号をブロードキャストする。各無線信号は50MHzより狭い帯域幅を有することができ、2つ以上の受信機アンテナにおいて受信される4つ以上の信号(各受信アンテナは送信機から2つ以上の信号を受信する)は50MHzより広い総帯域幅を有してもよい。例えば送信機は信号s1及びs2をブロードキャストし、2つの受信機アンテナが存在すると仮定する。第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s1の部分を信号s111と示し、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s1の部分を信号s112と示す。第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s2の部分を信号s211と示し、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s2の部分を信号s212と示す。信号s1は中心周波数f1及び帯域幅B1を有し、信号s2は中心周波数f2及び帯域幅B2を有し、f1<f2であると仮定する。
s1及びs2がオーバラップしない周波数帯域を使用する場合、信号s111及びs211はB1+B2の総帯域幅に及ぶ。信号s112及びs212も同様にB1+B2の総帯域幅に及ぶ。4つの信号s111、s211、s112及びs212は2×(B1+B2)の総帯域幅に及ぶ。
s1及びs2がオーバラップする周波数帯域を使用する場合、信号s111及びs211はf2-f1+B1/2+B2/2の総帯域幅に及ぶ。信号s112及びs212も同様にf2-f1+B1/2+B2/2の総帯域幅に及ぶ。4つの信号s111、s211、s112及びs212は2×(f2-f1+B1/2+B2/2)の総帯域幅に及ぶ。
一般に、送信機が単一送信アンテナを使用してn1(n1>1)個のプローブ信号を送出し且つプローブ信号がn2(n2>1)個の受信アンテナにより受信される場合、総帯域幅はi番目(iは1~n2)の受信機アンテナにおいて受信されるn1個の信号が及ぶ総帯域幅Biを計算した後にそれらの総帯域幅の総和を計算することにより判定される。
いくつかの実現例において、送信機は2つ以上のアンテナを使用して、2つ以上の受信機アンテナにより受信されるプローブ信号をブロードキャストする。この場合、各送信機アンテナは50MHzより狭い帯域幅を有する1つの信号を送出し、2つ以上の受信機アンテナにおいて受信される4つ以上の信号(各受信アンテナは2つ以上の送信機アンテナから2つ以上の信号を受信する)は50MHzより広い総帯域幅を有してもよい。例えば第1の送信機アンテナから送出されて第1の受信機アンテナにおいて受信される信号の部分を信号s11と示し、第1の送信機アンテナから送出されて第2の受信機アンテナにおいて受信される信号の部分を信号s12と示し、第2の送信機アンテナから送出されて第1の受信機アンテナにおいて受信される信号の部分を信号s21と示し、第2の送信機アンテナから送出されて第2の受信機アンテナにおいて受信される信号の部分を信号s22と示すと仮定する。信号s11及びs12は中心周波数f1及び帯域幅B1を有し、信号s21及びs22は中心周波数f2及び帯域幅B2を有し、f1<f2であると仮定する。s11及びs21により使用される周波数帯域がオーバラップするか否かに関係なく、信号s11、s12、s21及びs22は2×(B1+B2)の総帯域幅に及ぶ。
一般に、各々がプローブ信号を送出するn1(n1>1)個の送信機アンテナが存在し且つプローブ信号がn2(n2>1)個の受信機アンテナにより受信される場合、n2個のアンテナにおいて受信される信号の総帯域幅は、i番目(iは1~n2)の受信機アンテナにおいて受信されるn1個の信号が及ぶ総帯域幅Biを計算した後にそれらの総帯域幅の総和を計算することにより判定される。
全体的な総帯域幅
式中、Biはi番目の送信機アンテナから送出される信号の帯域幅である。
いくつかの実現例において、送信機は2つ以上のアンテナを使用して、2つ以上の受信機アンテナにより受信されるプローブ信号をブロードキャストする。この場合、各送信機アンテナは各々が50MHzより狭い帯域幅を有する2つ以上の信号を送出し、2つ以上の受信機アンテナにおいて受信される8個以上の信号(各受信アンテナは2つ以上の送信機アンテナの各々から2つ以上の信号を受信する)は50MHzより広い総帯域幅を有してもよい。例えば2つの送信機アンテナ及び2つの受信機アンテナが存在すると仮定すると、第1の送信機アンテナは2つの信号s11及びs12を送出し、第2の送信機アンテナは2つの信号s21及びs22を送出する。第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s11の部分を信号s1111と示し、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s11の部分を信号s1112と示し、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s12の部分を信号s1211と示し、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s12の部分を信号s1212と示し、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s21の部分を信号s2121と示し、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s21の部分を信号s2122と示し、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s22の部分を信号s2221と示し、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s22の部分を信号s2222と示す。
信号s11、s12、s21及びs22はそれぞれ中心周波数f11、f12、f21及びf22を有し、帯域幅B11、B12、B21及びB22を有すると仮定する。f11<f12及びf21<f22であると仮定する。信号s11及びs12(第1の送信機アンテナから送出される)がオーバラップしない周波数帯域を使用する場合、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s1111及びs1211は総帯域幅B11+B12に及び、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s1112及びs1212は総帯域幅B11+B12に及ぶ。信号s11及びs12(第1の送信機アンテナから送出される)がオーバラップする周波数帯域を使用する場合、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s1111及びs1211は総帯域幅f12-f11+B11/2+B12/2に及び、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s1112及びs1212は総帯域幅f12-f11+B11/2+B12/2に及ぶ。信号s21及びs22(第2の送信機アンテナから送出される)がオーバラップしない周波数帯域を使用する場合、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s2121及びs2221は総帯域幅B21+B22に及び、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s2122及びs2222は総帯域幅B21+B22に及ぶ。信号s21及びs22(第2の送信機アンテナから送出される)がオーバラップする周波数帯域を使用する場合、第1の受信機アンテナにおいて受信される信号s2121及びs2221は総帯域幅f22-f21+B21/2+B22/2に及び、第2の受信機アンテナにおいて受信される信号s2122及びs2222は総帯域幅f22-f21+B22/2+B21/2に及ぶ。2つの受信機アンテナにおいて受信される8個の信号s1111、s1211、s1112、s1212、s2121、s2221、s2221及びs2222は、s1111及びs1211の総帯域幅、s1112及びs1212の総帯域幅、s2121及びs2221の総帯域幅、並びにs2122及びs2222の総帯域幅の総和である総帯域幅に及ぶ。
一般に、各々が1つ以上のプローブ信号を送出するn1(n1>1)個の送信機アンテナが存在し且つ1つ以上のプローブ信号がn2(n2>1)個の受信機アンテナにより受信される場合、n2個のアンテナにおいて受信される信号の総帯域幅は、送信機アンテナ及び受信機アンテナの各対に対して、送信機アンテナから受信機アンテナに送出される1つの信号の帯域幅又は複数の信号の総帯域幅を計算した後に、先に計算された全ての帯域幅及び総帯域幅の総和を計算することにより判定される。
例えば図73を参照すると、2つの送信機アンテナ及び2つの受信機アンテナが存在すると仮定され、第1の送信機アンテナは、中心周波数2412MHz及び帯域幅22MHzを有する第1の信号と中心周波数2437MHz及び帯域幅22MHzを有する第2の信号とを送出する。第2の送信機アンテナは、中心周波数2412MHz及び帯域幅22MHzを有する第1の信号と中心周波数2427MHz及び帯域幅22MHzを有する第2の信号と中心周波数2442MHz及び帯域幅22MHzを有する第3の信号とを送出する。第1の送信機アンテナから送信され第1の受信機アンテナにより受信される信号の場合、総帯域幅は44MHzである(2つの信号はオーバラップしない周波数帯域を使用する)。第1の送信機アンテナから送信され第2の受信機アンテナにより受信される信号の場合、総帯域幅は同様に44MHzである。第2の送信機アンテナから送信され第1の受信機アンテナにより受信される信号の場合、総帯域幅は52MHzである(3つの信号はオーバラップする周波数帯域を使用する)。第2の送信機アンテナから送信され第2の受信機により受信される信号の場合、総帯域幅は同様に52MHzである。全体的な総帯域幅は44+44+52+52=192MHzである。
測位システムは、受信した1つ以上の無線信号から導出された情報(例えば、チャネル応答又は複合チャネル応答)とデータベース内の情報(例えば、チャネル応答又は複合チャネル応答)とを比較するように構成されるプロセッサを含む。プロセッサは、当該比較に基づいて無線送信機及び/又は無線受信機のうちの少なくとも1つの位置に関する情報を判定するように構成可能である(例えば、上述した技術と同様の技術を使用して)。プロセッサは、判定された情報に基づいて出力を生成するように更に構成される。受信した1つ以上の無線信号から導出されてデータベース内の情報と比較される情報は総帯域幅Bに及ぶ。換言すると、総帯域幅B全体は導出された情報を示すために使用される。
複合チャネル応答の時間反転分類
複合チャネル応答を表す1つの方法は、複数の独立したチャネル応答を含むベクトルである。例示的な実施形態において、2つのアンテナiとアンテナjとの間の無線チャネルはチャネル応答Hijにより表されてもよい。チャネル応答関数の表記は、一方又は双方のインデックスを下付き文字として含んでもよい。例えば単一のアクセスポイントが複数の装置iから信号を受信している場合、チャネル応答は周波数領域でHiと示されてもよい。複数のアクセスポイントjが複数の装置iから信号を受信している場合、チャネル応答は周波数領域でHijと示されてもよい。単一アンテナがプローブ信号を送信し且つプローブ信号波形を受信している実施形態において、インデックスi及びjは時間スロット、周波数及び偏波等を表してもよい。尚、チャネル応答の時間領域表現hij及びチャネル応答の周波数領域表現Hijはフーリエ変換により関連付けられる。時間反転分類技術は時間領域又は周波数領域のどちらで説明されてもよく、時間領域の記述を使用して説明された式は、式中の変数及び関数をフーリエ変換することにより周波数領域バージョンに変換可能であり、周波数領域の記述を使用して説明された式は、式中の変数及び関数をフーリエ変換することにより時間領域バージョンに変換可能である。以下に詳細に説明する図1Cは、時間反転処理の周波数領域の記述及びω=2πfであることを更に示す。
実施形態において、第1の無線装置は、f1GHzの中心周波数で第2の無線装置に第1の無線信号を送出してもよい。実施形態において、第1の無線信号はチャネルプローブ信号、パルス信号、フレーム信号、PN系列及びプリアンブル信号等であってもよい。実施形態において、第1の無線信号の帯域幅は、約10MHz、約20MHz、約40MHz、約60MHz、約125MHz、約250MHz、約500MHz及び約1GHz等であってもよい。実施形態において、第1の無線信号の帯域幅は1MHz~10GHzであってもよい。実施形態において、第1の無線装置はf2GHzの中心周波数で第2の無線信号を第2の装置に送出してもよい。実施形態において、無線信号はチャネルプローブ信号、パルス信号、フレーム信号、PN系列及びプリアンブル信号等であってもよい。実施形態において、第2の無線信号の帯域幅は、約10MHz、約20MHz、約40MHz、約60MHz、約125MHz、約250MHz、約500MHz及び約1GHz等であってもよい。実施形態において、第2の無線信号の帯域幅は1MHz~10GHzであってもよい。実施形態において、第1の無線信号の周波数スペクトル及び第2の無線信号の周波数スペクトルはオーバラップする周波数を含んでもよい。いくつかの実施形態において、2つの無線信号の間にオーバラップする周波数が存在しなくてもよい。いくつかの実施形態において、異なる無線信号の周波数スペクトルは、いわゆるガードバンド又はガードバンド周波数により分離されてもよい。プローブ周波数f1における第1の無線装置と第2の無線装置との間のチャネルに対するチャネル応答は、Hij(f1)と表されてもよい。プローブ周波数f2における第1の無線装置と第2の無線装置との間のチャネルに対するチャネル応答は、Hij(f2)と表されてもよい。実施形態において、3つ以上のプローブ周波数信号がチャネルをプロービングするために使用されてもよい。3つ以上のプローブ周波数信号は何らかのオーバラップする周波数を有してもよく、あるいはオーバラップする周波数を有さなくてもよい。
実施形態において、第1の無線装置は、異なる無線信号搬送周波数に同調して無線チャネルをプロービングするために、チャネル同調及び/又は周波数ホッピングを使用してもよい。いくつかの実施形態において、無線装置は、指定された周波数帯域内の異なるチャネルに同調して無線チャネルをプロービングしてもよい。例えば第1の無線装置及び第2の無線装置が802.11 WiFiプロトコルを使用して通信している場合、無線装置は、最初にWiFi信号伝送帯域幅内の1つのチャネルに同調した後にWiFi帯域内の別のチャネルに同調してもよい。周波数同調は、1つのチャネルから次のチャネルに順次行われてもよいが、WiFi帯域内で1つのチャネルから別のチャネルにランダムにホップしてもよい。実施形態において、異なるチャネルは異なるチャネル帯域幅を有してもよい。
異なる中心周波数プローブ信号を使用して判定されたチャネル応答を含む複合チャネル応答は、以下のように表されてもよい。
(式12)
例示的な実施形態において、2つのアンテナ間の無線チャネルはチャネル応答Hijにより表されてもよい。実施形態において、第1のアンテナiは第2のアンテナjに第1の無線信号を送出してもよい。第2の無線アンテナは、チャネル応答Hijを推定できてもよい装置の一部であってもよい。実施形態において、第2の無線装置は、第1の無線アンテナからの受信波形をリモート装置(例えば、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、アクセスポイント、ルータ、基地局、ネットワークリソース)へ送信してもよく、リモート装置はチャネル応答を推定するために使用されてもよい。第1の無線アンテナiは第3の無線アンテナrに第2の無線信号を送出してもよく、第3の無線アンテナはチャネル応答Hirを推定できてもよい装置の一部であってもよい。いくつかの実施形態において、第3の無線装置は、第1の無線アンテナからの受信波形をリモート装置(例えば、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、アクセスポイント、ルータ、基地局、ネットワークリソース)へ送信してもよく、リモート装置はチャネル応答を推定するために使用されてもよい。
実施形態において、第2のアンテナ及び第3のアンテナは、無線アクセスポイント、ルータ、基地局、コンピュータ、基地局、ロケータ及び移動装置等の単一装置として考えられてもよいものの一部であってもよい。第1の無線信号及び第2の無線信号は、発射された同一の無線信号の異なる部分であってもよい。すなわち、第1の無線信号及び第2の無線信号は同一の信号の部分であってもよい(例えば、それらは異なるロケーションで受信される)。実施形態において、第1の無線信号及び第2の無線信号は、異なるプロトコル、異なる帯域幅、異なるチャネル周波数を使用して生成された信号であってもよい。例えば第1の無線信号は、擬似ランダムビット系列を含む広帯域プローブ信号であってもよく、第2の無線信号は10MHz幅の802.11 WiFi信号であってもよい。実施形態において、第1の無線信号はスペクトルの2.4GHz領域に存在してもよく、第2の無線信号はスペクトルの5.8GHz領域に存在してもよい。実施形態において、第1の無線信号及び第2の無線信号は、同一のプロトコル、帯域幅及びチャネル周波数を使用して生成されてもよいが、それらは異なる位置に存在する異なるアンテナから発射されてもよい。実施形態において、第1の無線信号及び第2の無線信号は同一の無線信号の部分であってもよい(例えば、それらは異なるロケーションで受信される)。実施形態において、第1の無線信号はWiFI信号であってもよく、第2の無線信号はZigBee(登録商標)信号であってもよい。実施形態において、一方の無線信号は,ナノセル及びピコセル等において送信されるセルラ信号であってもよい。実施形態において、一方の無線信号は3G信号、4G信号及びLTE信号等であってもよい。
実施形態において、複数のアンテナを有する無線装置は、自身の複数のアンテナのうちの2つ以上と別の無線装置との間のチャネル応答を推定するために使用されてもよい。実施形態において、複合チャネル応答は、マルチアンテナ装置における異なるアンテナに対して判定された複数のチャネル応答を含んでもよい。
(式13)
実施形態において、複合チャネル応答は、中心周波数が異なる信号、帯域幅が異なる信号、プロトコルが異なる信号及び/又は第1の無線装置及び第2の無線装置のいずれか又は双方における複数のアンテナからのチャネル推定値を使用して判定されたチャネル応答の組み合わせを含んでもよい。
(式14)
式中、fは中心周波数を表し、Fは帯域幅を表す。
上述したように、2つのチャネルインパルス応答間の時間反転共振強度η(H
comp1, H
comp2)は、以下のように定義可能である。
(式15)
式中、H
*
comp2はH
comp2の共役バージョンとして定義され、θは探索される位相を示すパラメータである。
式15は、時間反転共振強度の周波数領域表現を示す。上述したように、時間反転分類方式はチャネル推定誤りに対するロバスト性が高い場合があるが、本開示の別の節で説明するように、2つのチャネル応答の合致度を判定する多くの方法が存在するだろう。例えば測位システムは、相関技術、統合減算技術及びSVM技術等を使用して、特定のチャネル応答及び/又はチャネル応答の組み合わせの合致度を判定してもよい。いくつかの実施形態において、従来の相関係数を判定することにより、類似するチャネル応答を十分正確に識別できる場合があり、そのような判定が本明細書中で説明する測位システムにおいて使用されてもよい。いくつかの実施形態において、時間反転技術が好ましくてもよい。いくつかの実施形態において、特定のチャネル応答及び/又はチャネル応答の組み合わせの合致度を判定するために、機械学習に基づく分類技術が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、測定されたデータセット及び/又は格納済みデータセット及び/又は生成されたデータセットを解析するために、2つ以上の分類方式が使用されてもよい。
端末装置の位置を判定する例示的な処理を以下に説明する。Hcompは、ロケーションが未知である端末装置に対して推定される複合チャネルインパルス応答であるとする。Hcompと参照チャネル応答データベース内のロケーションとを照合するために、最初に各ロケーションに対する時間反転共振強度を使用して特徴を抽出してもよい。特に、各ロケーションPiに対して、式15を使用して最大時間反転共振強度ηiを計算してもよい。
全ての可能なロケーションに対してη
iを計算することにより、η
1,η
2,・・・,η
Nを得られる。その場合、推定されるロケーションは最大のη
iを得られるロケーションであり、すなわち、は以下のように導出可能である。
(式16)
例示的な一実施形態において、ロケータが装置のロケーションを判定した後、ロケータは、装置のロケーション座標と装置の種類等の他の情報とを装置及び/又は別のロケータ及び/又はコンピュータ及び/又はクラウド内のサーバ及び/又は何らかの種類の計算装置に送出してもよい。実施形態において、装置のロケーション情報を伴う装置からの情報は、広告システム、追跡システム、支払いシステム、通知システム及び監視システム等の他のシステムに送出されてもよい。他のシステムが装置に情報を送出してもよい。例えば装置は、その周辺の店舗及び/又は電話内のウィッシュリストに格納された品物に対して、あるいは電話上の銀行口座情報に基づいて、「販売」情報を受信してもよい。例えば高価な商品を販売する店舗は、高価な品物の購入履歴を有するユーザ又は銀行口座残高が高いユーザに広告情報を送出してもよい。
チャネル応答処理
実施形態において、チャネルは、同様のプローブ信号を使用して複数回プロービングされてもよく、プローブ信号毎に1つずつ対応する複数のチャネル応答推定値が判定されてもよい。実施形態において、複数のチャネル応答推定値は、本開示中で説明する照合方式及び/又は分類方式のいずれかを使用して比較されてもよい。いくつかの例において、同様のプローブ信号を用いて複数回プロービングされたチャネルは非常に類似するチャネル推定値により特徴付けられるはずであると予想されてもよい。いくつかの例において、同様のチャネルをプロービングする同様のプローブ信号のセットから判定された1つ以上のチャネル推定値は他のチャネル推定値と十分に異なる可能性があり、チャネルの外れ値又は不正確な推定値であると考えられ、更なる処理ステップから削除され且つ/又は廃棄されてもよい。外れ値のチャネル推定値は、ノイズを含む信号の受信、環境内の他の無線信号に起因する干渉、並びに回路、フィードバックループ及び同期方式等の問題の結果生じる場合がある。実施形態において、同様のチャネルをプロービングする複数の同様のプローブ信号から推定された複数のチャネル応答は、共振強度及び/又はフォーカシング利得を判定するために互いに比較されてもよく、共振強度及び/又はフォーカシング利得は閾値と判定されてもよい。閾値を下回る共振強度及び/又はフォーカシング利得に関連付けられたチャネル応答は、格納済みの推定チャネル応答セット又は有用な推定チャネル応答セットから削除又は廃棄されてもよい。いくつかの実施形態において、何らかの点で不十分であると判定されたチャネル応答を削除又は廃棄することをトリミングと呼んでもよい。
実施形態において、共振強度及び/又はフォーカシング利得の閾値は変数であってもよく、ユーザが設定可能であってもよく、あるいはコンピュータアルゴリズムにより又はアナログ回路及び/又はデジタル回路の出力信号レベルにより設定されてもよい。実施形態において、閾値は、測位システムの分解能を変更するため又はロケーションを判定するのに必要な計算時間を変更するために調節されてもよい。
実施形態において、チャネルを2回以上プロービングするのが好ましい場合がある。実施形態において、チャネルを2回、3回、30回、50回又は51回以上プロービングするのが好ましい場合がある。実施形態において、チャネルは、1~200回のいずれかの回数プロービングされてもよいが、回数はそれに限定されない。実施形態において、チャネル応答は受信プローブ波形のうちの少なくともいくつかに対して判定されてもよい。実施形態において、チャネルは短期間又は長期間に複数回プロービングされてもよい。実施形態において、チャネルは、時々、定期的に、並びにトリガ、タイマ、カウンタ、アルゴリズム及び検知された変更等に応答して、再度プロービングされてもよい。実施形態において、チャネルが再度プロービングされる場合、単一のプローブ信号又は複数のプローブ信号を使用してプロービングされてもよい。実施形態において、複数のプローブ信号は互いの複製であってもよく、あるいは互いに異なってもよい。例えば異なるプローブ信号は、異なる長さを有し且つ/又は異なるシードを使用して生成された擬似ランダム系列であってもよい。実施形態において、プローブ信号は、異なる長さのゴレイ系列であってもよい。
実施形態において、無線チャネルをプロービングするために使用されるデータ系列内のビット数は、受信プローブ波形の特定の信号対雑音比及び/又は信号品質を達成するように調整されてもよい。3つのチャネルプローブ信号及びそれらをルートレイズドコサインフィルタによりフィルタリングした後の信号の表現の例を図55~図57に示す。ルートレイズドコサインフィルタは、送信信号がシステムの帯域幅内であることを保証するために使用されるローパスフィルタであってもよい。図55は、単一のインパルスプローブ信号5502及びそれに伴うルートレイズドコサインフィルタを適用後の信号5504を示す。図56は、周期的インパルスプローブ信号5602及びそれに伴うルートレイズドコサインフィルタを適用後の信号5604を示す。図57は、擬似ランダムインパルスプローブ信号5702及びそれに伴うルートレイズドコサインフィルタを適用後の信号5704を示す。
実施形態において、同一チャネルに対する複数のチャネル応答推定値は平均化され且つ/又は組み合わされて、単一の平均チャネル推定値又は単一の複合チャネル推定値にされてもよい。実施形態において、あらゆる数のチャネル推定値が組み合わされてもよい。例えば、2つのチャネル応答、10~30個のチャネル応答、50個のチャネル応答及び100個のチャネル応答を組み合わせ且つ平均化するシステムを試験した。実施形態において、組み合わされ且つ/又は平均化されてもよいチャネルの数は変数であってもよく、ユーザにより、コンピュータアルゴリズムにより及び/又は無線システム内の回路からの出力信号により判定されてもよい。
実施形態において、チャネル応答はローカルに処理されてもよく、例えば無線アンテナを含んでもよい無線装置内で処理されてもよい。いくつかの実施形態において、受信信号波形及び/又は推定チャネル応答はリモートに処理されてもよく、例えばリモートコンピュータ、サーバ、アクセスポイント及びルータ等において処理されてもよい。いくつかの実施形態において、受信信号波形及び/又は推定チャネル応答は、処理及び格納等のために「クラウド」に送出されてもよい。クラウド内のリソースは、サーバ、コンピュータ、ハードドライブ、スイッチ、ルータ、記憶装置、データベース、送信機及び受信機等を含んでもよいが、それらに限定されない。
チャネルが複数回プロービングされている実施形態において、推定チャネル応答の変化を主にチャネル自体の変化に関連付けられるように、受信プローブ波形の検出及び処理に関連する効果を除去することが重要である場合がある。例えばいくつかのWiFi受信機は、WiFiチャネル帯域内の各副搬送信号のチャネル減衰及び位相シフトを表す複素ベクトルを示す場合がある。チャネル周波数応答Hij(f)(CFR)又はチャネル状態情報(CSI)と呼ぶ場合もある当該応答は、チャネル自体が実質的に変化していない場合でも後続のプローブチャネル測定値に対して変化する場合がある。1つの理由は、チャネル周波数応答を測定するために使用されるチャネル周波数オフセット(CFO)及び/又はサンプリング周波数オフセット(SFO)が測定値毎に及び/又は検出イベント毎に変化する場合があるためであってもよい。そのような場合、チャネルが変化していない場合でもチャネル応答の一連の推定値が変化する場合がある。そのような場合、平均チャネル応答を判定すること及び/又はチャネル応答のセット、集合及び/又はデータベースからトリミングされるべき外れ値である可能性のあるチャネル応答を判定することは更に困難である場合がある。実施形態において、受信プローブ波形及び/又は推定チャネル周波数応答(又はCSI)は、搬送周波数オフセット及びサンプリング周波数オフセットに起因するショット間のチャネル推定誤りを除去するために処理されてもよい。実施形態において、複数のチャネルプローブ信号から導出されたチャネル推定値を整合させるために参照位相が使用されてもよい。実施形態において、参照位相はチャネル推定値のうちの1つから選択される位相であり、他のチャネル推定値に対する参照として使用される。実施形態において、複数のチャネルプローブ信号は互いの複製であってもよく、あるいは周波数、帯域幅及び無線パス等が異なってもよい。実施形態において、複合チャネル応答は、参照位相(例えば、タイミングオフセット)を使用して推定された複数のチャネル応答を含んでもよい。
複合チャネル応答を使用する高精度ロケーション判定
図18Aは、装置のロケーションを判定できる(例えば、約5cmの精度で)例示的なWiFiシステムを示すブロック図である。ブロック図で説明されるシステムは、民生WiFi機器を使用して実現可能である。チャネル測定は当該機器を使用して実行可能であり、送信装置の位置を判定するために複合チャネル応答を使用できる。上述したように、ロケーションが判定されてもよい分解能は、複合チャネル応答に含まれる低帯域幅チャネル推定値の数に少なくとも部分的に従って定義されてもよい。
以下に説明する実験室レベルでの実証において、送信機の中心周波数は、標準的な802.11 WiFi帯域内の異なる10MHzチャネルに調整可能である。図18Bは、2つのチャネル調整方式、すなわち例示的な非オーバラップ方式1802及び例示的なオーバラップ方式1804の例を示す。非オーバラップ方式1802において、WiFi信号の周波数帯域は周波数が実質的にオーバラップせず、周波数ガードバンドにより分離されていると説明されてもよい。本例において、非オーバラップ方式1802は、チャネルの中心周波数間の間隔が10MHzである101個の非オーバラップチャネルを含む。最初のチャネルは4.9GHzの中心周波数を有し、最後のチャネルは5.9GHzの中心周波数を有する。オーバラップ方式1804において、WiFi信号の隣接する周波数帯域は同一周波数成分のうちのいくつかを含んでもよい。本例において、オーバラップ方式1804は、チャネルの中心周波数間の間隔が8.28125MHzである124個のオーバラップチャネルを含む。最初のチャネルは4.8909375GHzの中心周波数を有し、最後のチャネルは5.9090625GHzの中心周波数を有する。以下に説明する予備実験結果において、データはオーバラップ周波数チャネル及び非オーバラップ周波数チャネルの双方を使用して収集される。
例示的な一実施形態において、回路は、受信機と送信機との間の無線チャネルに対するCSIを取り込むために使用されてもよい。CSIは、無線信号におけるサブキャリア毎の無線チャネル応答を推定するために使用されてもよい。CSIは、無線チャネルに関する振幅情報及び位相情報の双方を含む複素ベクトルであってもよい。いくつかの実施形態において、チャネル振幅情報のみが判定され且つ/又はエクスポートされ且つ/又は処理されてもよい。いくつかの実施形態において、チャネル位相情報のみが判定され且つ/又はエクスポートされ且つ/又は処理されてもよい。好適な実施形態において、チャネル振幅情報及びチャネル位相情報の双方が測位システムの用途の一部として判定され且つ/又はエクスポートされ且つ/又は処理されてもよい。実施形態において、CSI信号は、マイクロプロセッサ及び/又はDSP等のプロセッサ、コンピュータ、FPGA及びASIC等において処理されてもよく、CSI信号を生成するチップ又はシステムと一体化されるか又は非常に近接するリソース上でローカルに処理されてもよく、且つ/又はCSI信号は信号処理を実行するために構成されてもよい距離計算装置においてリモートに処理されてもよく、且つ/又はCSI信号は少なくともいくつかのクラウドリソースを使用して処理されてもよい。
実施形態において、CSIは、802.11信号伝送プロトコルに対して存在するような正規化機構により判定されてもよい。いくつかの実施形態において、CSIは、無線受信機においてパラメータを監視し且つ記録すること及び/又は受信機と送信機との間で渡される監視信号及び制御信号を監視することにより判定されてもよい。実験室レベルでの実証において、CSIを取り込むために使用された回路は、USRP(National Instruments' Universal Software Radio Peripheral platform)及び/又はIntel5300チップを含んだ。
実施形態において、無線プロトコルパケット構成の特定の部分は、チャネル状態情報及び/又はチャネル周波数応答を推定するために使用されてもよい。例示的な802.11ネットワークにおいて、ショートプリアンブルの後のロングプリアンブルがCSIを判定するために使用されてもよい。例示的な802.11通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM)を使用してもよい。各OFDMチャネルは複数のサブキャリアを含んでもよい。OFDMチャネルは、21個以上のサブキャリア、31個以上のサブキャリア、41個以上のサブキャリア、48個のサブキャリア、56個のサブキャリア、64個のサブキャリア又は114個のサブキャリア等を含んでもよい。実施形態において、OFDM信号におけるサブキャリアのいくつかはヌル・サブキャリアであってもよく、あるいはパイロットサブキャリアであってもよい。実施形態において、OFDMシンボルにおけるサブキャリアのうちのいくつかのみがデータサブキャリアであってもよい。
実施形態において、回路はサブキャリアのうちのいくつか又は全てに対するCSIを提供してもよい。例えばいくつかの例示的な実施形態において、Intel5300チップ及び/又はUSRPはOFDMチャネルにおける30個のサブキャリアに対するCSIをエクスポートしてもよい。実施形態において、不完全なタイミング及び/又は周波数同期に起因するCSIの変動を緩和するために、CSIの更なる処理が実行されてもよい。実施形態において、1つのサブバンドからのCSIがベクトルとして構成されてもよく、これを帯域内フィンガープリント(fingerprint)と呼んでもよい。いくつかの実施形態において、1つのサブバンドからのCSIは複数のCSI判定値の平均であってもよく、いくつかの判定値がトリミング又は廃棄されてもよい。実施形態において、所定のチャネルに対するサブバンドCSIは、1回、2回、10回、30回、50回及び100回等、測定され且つ/又は判定されてもよい。実施形態において、サブバンドCSI情報のうちのいくつか又は全てが帯域内フィンガープリントを形成するために使用されてもよい。
CSIが30個のサブキャリアに対して報告される上述の例は一例にすぎず、限定することを全く意図しない。あらゆる数のサブキャリアからのCSI情報が本明細書中で説明する測位システムにおいて使用されてもよい。また、CSI及び帯域内フィンガープリントを判定するために実行されてもよいチャネル測定の数又は交換されるWiFiパケットの数は例示であり、限定することを全く意図しない。例えば動きの追跡を更に行う測位システムは、推定チャネル応答及び装置の位置を判定するために使用可能なプローブ信号を常時送出してもよい。そのようなシステムにおいて、プローブ信号は毎秒数千回又は数百万回送出されてもよく、測位及び/又は追跡システムが使用されている限り送出され続けてもよい。チャネルプローブ信号が30回又は100回送出されるという説明は、別の種類の無線信号がシステムにより送出される前にプローブ信号が送出される回数を示してもよい。例えばいくつかのシステムにおいて、チャネルプロービング段階及びデータ送信段階が存在してもよい。チャネルプロービング段階は本開示中で説明する通りであってもよく、データ送信段階は送出中のデータ(例えば、ロケーション情報、販売情報、支払い情報、警報及び通信情報等)に対応してもよい。いくつかの実現例において、システムにより送信される必要のあるデータが非常に少ないか又は全く存在しない場合があり、チャネルプロービング段階は無期限に継続してもよい。そのような実現例において、送出されてもよいプローブ信号の数、並びに検出、処理及び格納等をされてもよい受信プローブ波形の数は非常に多い場合がある。
実施形態において、複数の異なる中心周波数、周波数帯域幅及び/又はアンテナの帯域内フィンガープリントが組み合わされ且つ/又は連結されて複合フィンガープリント又は帯域間フィンガープリントにされてもよい。実施形態において、帯域間フィンガープリントが複合チャネル応答を形成してもよい。当該複合チャネル応答は、測位システムにおいてアンテナ及び/又は無線装置のロケーションを判定するために使用されてもよい。実施形態において、複合チャネル応答を使用する測位システムの位置特定精度は、単一の帯域内フィンガープリントを使用して達成される精度より高い場合がある。
例示的な一実施形態において、2つの装置間の無線チャネルに対するCSIを判定するために、802.11フレーム内の2つのロングプリアンブルを使用できる。例えば一方の無線装置は無線ルータ/アクセスポイントであってもよく、無線ホットスポット(例えば、自宅又は職場の)をサポートしてもよい。無線ルータ/アクセスポイントは、本明細書中で説明するシステム及び方法と動作するように特に変更及び/又は構成されていない標準的な装置であってもよい。換言すると、本明細書中で説明するシステム及び方法は、位置情報を判定するために、そのような既存の無線装置及びそれらの手法を利用できる。この例示的な実施形態において、第2の無線装置(例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等)がルータ/アクセスポイントの範囲内に存在する場合、第2の無線装置はルータ/アクセスポイントからWiFi信号を受信してもよく、WiFi信号に含まれるロングプリアンブルを処理して第2の装置とルータ/アクセスポイントとの間のロケーション/環境固有のシグニチャを判定してもよい。いくつかの実現例において、第2の無線装置は、第2の無線装置がシステムと動作できるようにするソフトウェア及び/又はファームウェアを含んでもよい。いくつかの実現例において、第2の無線装置はホットスポットに接続されない。寧ろ、第2の無線装置は、ルータ/アクセスポイントから標準的なプリアンブル情報を受信できるパッシブ装置であってもよい。このように、第2の無線装置を「スニファ(sniffer)」と呼んでもよい。実施形態において、2つのロングプリアンブルは1つのフレームで、例えばOFDMチャネル毎に送出される。実施形態において、OFDMチャネルは、例えば20MHz又は40MHzの帯域幅を有してもよい。
上述したように、システムはCSIを判定し且つCSIと種々のロケーションとを関連付けることができる。例えば1つの例において、第2の無線装置は、CSIを格納し且つ特定のロケーション(例えば、「123 Main Streetのコーヒーショップの右手前の椅子」)に関連付けることができる。第2の装置がその後も特定のロケーションに存在する場合、第2の装置はインジケーション(例えば、警報)を提供してもよい。いくつかの実現例において、第2の無線装置が(例えば、WiFiネットワークに加わることにより)インターネットにアクセスできる場合、第2の無線装置は取得したロケーション/環境情報をアップロードしてもよい。ロケーション/環境情報は、そのようなロケーション情報を格納するように構成される1つ以上のサーバ、ハードドライブ、記憶装置及び/又はデータベース等のリソース(例えば、クラウドベースのリソース)にアップロードされてもよい。
いくつかの実現例において、第1の装置(例えば、ルータ/アクセスポイント)は特定のロケーションに既にマッピングされていてもよい。そのようなマッピングは相対的に粗くてもよい。例えばルータ/アクセスポイントのSSID又は他のネットワーク識別子が特定のロケーション(例えば、経度及び緯度)に関連付けられてもよく、そのような粗いロケーション情報は第2の無線装置の更に正確なロケーションを判定するのを支援するために使用可能である。例えばそのようなロケーション情報はリソース(例えば、クラウド内のデータベース)にアップロード可能であり、情報は、CSI/ロケーション固有シグニチャとルータ/アクセスポイントの既知の粗いロケーションとを関連付けるために使用可能である。いくつかの実現例において、ルータ/アクセスポイントは更に詳細なロケーション情報に関連付けられる。例えばルータ/アクセスポイントは2D又は3D間取り図に関連付けられてもよく、そのような情報は、第2の装置がルータ/アクセスポイントの範囲に存在する場合に第2の装置に提供可能である。いくつかの例において、第2の無線装置のディスプレイは、そのような情報に基づく間取り図を提示してもよい。第2の無線装置は、現在地を示すユーザからの入力(例えば、表示された間取り図上のスポットのタッピング)を受信するように構成されてもよく、それにより、CSIが収集され、この特定の位置と相関させられる。いくつかの実現例において、間取り図に関連付けられた情報は第2の装置にローカルに格納されてもよく且つ/又はクラウドベースのデータベースに格納されてもよい。いくつかの実現例において、ルータ/アクセスポイントの範囲内に入ってきた第3の無線装置は間取り図情報にアクセスできてもよい。データベースが特定のルータ/アクセスポイントに関連付けられた1つ以上のシグニチャを含む場合、システムは第3の無線装置からロケーションシグニチャを収集し、シグニチャとデータベースに格納された既存のシグニチャとを比較し、合致するものが存在する場合はユーザにインジケーションを提供してもよい。例えば第3の無線装置のロケーションシグニチャが格納済み間取り図上の特定の位置に関連付けられた格納済みシグニチャと合致する場合、第3の無線装置のディスプレイは特定の位置のインジケーションと共に間取り図を提示してもよい。
図19~図25は、図18Aに示すシステムと同様のシステムを使用して取得された実験結果を示す。本例において、WiFiチャネル帯域幅は約10MHzであり、チャネル中心周波数は、隣接するチャネル帯域内の周波数がオーバラップするように又はオーバラップしないように構成されてもよい。実験結果において、共振強度は単一の10MHzのWiFiチャネルに対して判定されてもよく、あるいは共振強度は2つ以上の10MHz幅のWiFiチャネルに対するチャネル応答情報を含む複合チャネル応答を使用して判定されてもよい。上述したように、複合チャネル応答は、異なるチャネルプローブ信号周波数、帯域幅、送信機のロケーション及びパス等に関連するチャネル応答を含んでもよい。ここで集められる複合チャネル応答は、異なるチャネル中心周波数における規格に基づくWiFi(802.11xx)パケットのロングプリアンブルから判定された複数のチャネル応答を含む。これらは例示的な複合チャネル応答であり、限定することを全く意図しない。
図19~図25のグラフは、90個のロケーションのうちの特定のロケーション(横軸上のインデックス番号により示される)に対する格納済みチャネル応答と同一の90個のロケーションのうちの特定のロケーション(同様に、縦軸上のインデックス番号により示される)における新規に測定されたチャネル応答との間の計算された共振強度を示す。図中、ロケーションは格子点に関連付けられる。提示されるデータにおいて、同一値を有する測定されたロケーションのインデックス及び格納済みロケーションのインデックスは、測定されたチャネル応答及び格納済みチャネル応答が同一のマルチパスチャネル又は同様のマルチパスチャネル(例えば、送信機及び受信機の同一の位置又は同様の位置)に対して測定され且つ/又は格納されることを示す。ロケーションインデックスが「1」異なる場合、測定されたチャネル応答及び格納済みチャネル応答は、送信機に対する受信機のロケーションが約5cm変化したチャネルに対するものである。白色格子点は対応するロケーションインデックスに対する相対的に高い共振強度を示し、黒色格子点は対応するロケーションインデックスに対する相対的に低い共振強度を示し、灰色格子点は対応するロケーションインデックスに対する中間共振強度を示し、これは灰色の陰影に比例する(例えば、薄い灰色は濃い灰色より相対的に高い共振強度を示す)。測位システムが高い信頼度で位置を正確に判定している場合、格納済みチャネル応答のインデックス及び測定されたチャネル応答のインデックスが同一である線上の格子点は白色であり、残りのグラフは灰色又は黒色である。合致しないチャネル応答の共振強度の色が濃くなる(例えば、黒色に近くなる)ほど、当該格子位置が同一の物理的ロケーションを表さないという信頼度が高くなる。図19~図25に示す共振強度の行列表現を混同行列(confusion matrix)と呼んでもよい。各チャネル組み合わせにより発生するフォーカシング利得を示すグラフが更に生成されてもよい。フォーカシング利得のグラフを同様に混同行列と呼んでもよい。
図19A~図19Dは、異なるCSIデータセットから導出されたチャネル応答に対する計算された共振強度を示す。図19A及び図19Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図19A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図19B)からの単一の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。本例において、チャネル中心周波数は、非オーバラップ周波数セット及びオーバラップ周波数セットの場合で異なる。図19C及び図19Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図19C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図19D)からの単一の10MHzに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。
図20A~図20Dは、異なるCSIデータセットから導出された複合チャネル応答に対する計算された共振強度を示す。これらのデータに対して、複合チャネル応答は、WiFi帯域内の5個の異なる周波数チャネルからのチャネル応答情報又はCSIを含む。図20A及び図20Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図20A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図20B)からの5個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。図20C及び図20Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図20C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図20D)からの5個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。いくつかの例において、複合チャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度は、単一のチャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度を上回る。合致する位置間の共振強度と合致しない位置間の共振強度との相違が明確であることから向上は明白である。
図21A~図21Dは、異なるCSIデータセットから導出された複合チャネル応答に対する計算された共振強度を示す。これらのデータに対して、複合チャネル応答は、WiFi帯域内の10個の異なる周波数チャネルからのチャネル応答情報又はCSIを含む。すなわち、帯域間フィンガープリントは10個の帯域内フィンガープリントを含む。図21A及び図21Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図21A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図21B)からの10個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。図21C及び図21Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図21C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図21D)からの10個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。いくつかの例において、10個のチャネル応答を含む複合チャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度は、5個又は1個のチャネル応答を含む複合チャネル応答により判定されてもよい位置識別精度を上回る。合致する位置間の共振強度と合致しない位置間の共振強度との相違が大きいことから向上は明白である。
図22A~図22Dは、異なるCSIデータセットから導出された複合チャネル応答に対する計算された共振強度を示す。これらのデータに対して、複合チャネル応答は、WiFi帯域内の15個の異なる周波数チャネルからのチャネル応答情報又はCSIを含む。すなわち、帯域間フィンガープリントは15個の帯域内フィンガープリントを含む。図22A及び図22Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図22A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図22B)からの15個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。図22C及び図22Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図22C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図22D)からの15個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。いくつかの例において、15個のチャネル応答を含む複合チャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度は、10個、5個又は1個のチャネル応答を含む複合チャネル応答により判定されてもよい位置識別精度を上回る。合致する位置間の共振強度と合致しない位置間の共振強度との相違が大きいことから向上は明白である。
図23A~図23Dは、異なるCSIデータセットから導出された複合チャネル応答に対する計算された共振強度を示す。これらのデータに対して、複合チャネル応答は、WiFi帯域内の20個の異なる周波数チャネルからのチャネル応答情報又はCSIを含む。すなわち、帯域間フィンガープリントは20個の帯域内フィンガープリントを含む。図23A及び図23Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図23A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図23B)からの20個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。図23C及び図23Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図23C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図23D)からの20個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。いくつかの例において、20個のチャネル応答を含む複合チャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度は、15個、10個、5個又は1個のチャネル応答を含む複合チャネル応答により判定されてもよい位置識別精度を上回る。合致する位置間の共振強度と合致しない位置間の共振強度との相違が大きいことから向上は明白である。
図24A~図24Dのデータは、異なるCSIデータセットから導出された複合チャネル応答に対する計算された共振強度を示す。これらのデータに対して、複合チャネル応答は、WiFi帯域内の50個の異なる周波数チャネルからのチャネル応答情報又はCSIを含む。すなわち、帯域間フィンガープリントは50個の帯域内フィンガープリントを含む。図24A及び図24Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図24A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図24B)からの50個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。図24C及び図24Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図24C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図24D)からの50個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。いくつかの例において、50個のチャネル応答を含む複合チャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度は、20個、15個、10個、5個又は1個のチャネル応答を含む複合チャネル応答により判定されてもよい位置識別精度を上回る。合致する位置間の共振強度と合致しない位置間の共振強度との相違が大きいことから向上は明白である。
図25A~図25Dは、異なるCSIデータセットから導出された複合チャネル応答に対する計算された共振強度を示す。これらのデータに対して、複合チャネル応答は、WiFi帯域内の100個の異なる周波数チャネルからのチャネル応答情報又はCSIを含む。すなわち、帯域間フィンガープリントは100個の帯域内フィンガープリントを含む。図25A及び図25Bは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図25A)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図25B)からの100個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データ及び位相データから判定された共振強度を示す。図25C及び図25Dは、オーバラップチャネル中心周波数セット(図25C)及び非オーバラップチャネル周波数セット(図25D)からの100個の10MHzチャネルに対するCSI信号から収集された振幅データのみから判定された共振強度を示す。いくつかの例において、100個のチャネル応答を含む複合チャネル応答を使用して判定されてもよい位置識別精度は、50個、20個、15個、10個、5個又は1個のチャネル応答を含む複合チャネル応答により判定されてもよい位置識別精度を上回る。合致する位置間の共振強度と合致しない位置間の共振強度の相違が大きいことから向上は明らかである。
いくつかの例において、より多くの個別のチャネル応答が複合チャネル応答に追加される際の位置識別精度の向上は、本開示中で前述したカスタマイズされた無線信号伝送システムにおけるチャネルプローブ信号の帯域幅の拡張に関連する位置分解能の向上と定性的に同様である。尚、単一のチャネル応答の帯域幅が10MHzから20MHz又は40MHz又はそれ以上に増加するにつれて、所望のロケーション識別精度を達成するために複合チャネル応答に含まれてもよい個別のチャネル応答の数は減少してもよい。
異なるOFDMチャネルデータから判定された個別のチャネル応答を含む複合チャネル応答に対するデータを図19~図25に提示したが、種々の個別のチャネル応答が複合チャネル応答に含まれてもよい。例として、異なるOFDMチャネル、中心周波数、帯域幅及びアンテナから判定された個別のチャネル応答が含まれてもよいが、それらに限定されず、そのようなチャネル応答の種々の組み合わせが含まれてもよい。実施形態において、アクセスポイント又は基地局は近接する複数のアンテナを含んでもよく、それらのアンテナの各々はOFDMチャネルパケットを受信し且つ送信機に対する自身のチャネルのCSIを判定してもよい。約2.4GHz及び5.8GHzのWiFi通信帯域において、単一の送信アンテナから独立したCSIを生成するために、受信機アンテナの間隔は相対的に短い距離(例えば、数cm)であればよい。実施形態において、アクセスポイント又は基地局に配置されるのが好ましいアンテナの数は、複合チャネル応答に含まれるのが好ましい個別のチャネル応答の数により判定されてもよい。いくつかの実施形態において、複合チャネル応答に含まれるのが好ましい個別のチャネル応答の数を満たすために、アクセスポイント又は基地局におけるアンテナの数が増加されてもよい。実施形態において、送信機も複数のアンテナを有してもよく、各送信アンテナから各受信アンテナへ送信されるWiFiパケットは、複合チャネル推定値に含まれてもよい個別のチャネル推定値を判定するために使用されてもよい。
図26は、2つの汎用パーソナルコンピュータ(PC)2610、2620を含む測位システムの別の例示的な実施形態を示す。各コンピュータ2610、2620は1つ以上のWiFiアンテナを含む。各WiFiアンテナは、0個以上の送信機(TX)アンテナ及び0個以上の受信機(RX)アンテナを含みうる。各コンピュータ2610、2620は、各TX及び/又はRXアンテナ対に対するチャネル状態情報及び2つのコンピュータ2610、2620の間で送出される各WiFiパケットに対するチャネル状態情報を判定するように構成される無線アダプタカード(例えば、Intel5300無線アダプタカード)を更に含む。ここで説明する例は実験室で実証されたシステムに対するものであり、限定することを意図しない。すなわち、PCのみでなく、あらゆる装置がTX及び/又はRXアンテナを備えてもよく、1つ、2つ又は3つ以上のアンテナを備えてもよい。本明細書中で説明する装置、システム、技術及び方法を実現するために、何らかの無線プロトコルを使用してチャネル状態情報を判定するために使用可能なあらゆる無線アダプタカードを使用できる。
第1のコンピュータ2610は第2のコンピュータ2620にWiFi通信パケット及び/又はデータを送出してもよい。実施形態において、送出側装置をWiFi送信機と呼んでもよい。無線アダプタカード(例えば、Intel5300無線アダプタカード)は、多入力多出力(MIMO)機能をサポートするように構成される。無線アダプタカードのMIMO機能を使用して、コンピュータ2610、2620は、図29~図40に関して以下に更に詳細に説明するようなチャネル状態情報を推定するための種々の構成を使用できる。
上記で簡潔に説明したように、コンピュータ2610、2620はトレーニング段階を経てもよい(例えば、位置座標とチャネル状態情報との間のマッピングに関する情報を有するデータベースを構築するために)。図27は、各TX/RXアンテナ対に対して実行されるトレーニング段階の方法を示すフローチャート2700である。例えば第1のコンピュータ2610が2つのTXアンテナを有し且つ第2のコンピュータ2620が2つのRXアンテナを有する場合、トレーニング段階は、第1のTXアンテナを使用して第1のデータを送信し且つ2つのRXアンテナを使用して第1のデータを受信し、その後、第2のTXアンテナを使用して第2のデータを送信し且つ2つのRXアンテナを使用して第2のデータを受信することにより実行される。各TXアンテナはデータを送信し(ブロック2702)、当該データは無線マルチパスチャネルを通って各RXアンテナにより受信される(ブロック2704)。送信は、各送信に対するチャネル減衰及び位相シフトを表す情報を示すことができ、これをチャネル状態情報(CSI)と呼ぶ場合がある。その後、送信のCSIは解析される(ブロック2706)。
いくつかの実現例において、種々のCSIの減衰は実質的に相関しうるが、CSIの位相シフトは互いに著しく異なる場合がある。いくつかの実現例において、異なるCSI間の位相シフトの相違は、シンボルタイミングオフセット(STO)、残留サンプリング周波数オフセット(SFO)及び残留搬送周波数オフセット(CFO)等のTXとRXとの間の同期の問題が原因である場合がある。そのような同期の問題は、種々のCSI間の相関性能を低下させる場合がある(例えば、CSIが同一のロケーションで取り込まれる場合でも)。同期の問題を最小化するために、STO及び/又はSFO及び/又はCFOの少なくとも一部分が除去される(ブロック2708)。いくつかの実現例において、STO及び/又はSFO及び/又はCFOは、CSIのアンラップ段階で線形フィッティングを実行することにより除去される。
STO/SFO/CFOの除去(ブロック2708)の後、K平均クラスタリングがCSIに実行される(ブロック2710)。いくつかの実現例において、CSIの位相は複数のグループに分類可能である。同一グループに分類されるCSIは互いに高く相関しうるとともに、異なるグループに分類されるCSIは互いに最小限に相関しうる。情報を全く失わずにCSIを完全に記述するために、K平均クラスタリングアルゴリズムをCSIに適用できる。K平均クラスタリングアルゴリズムは、あらゆる次元でデータを分類するために使用可能な教師なしアルゴリズム(unsupervised algorithm)である。アルゴリズムは、K個の重心をランダムに識別し、残りのデータと重心との間の距離を測定することから開始する。当該処理は繰り返し実行可能であり、1つのクラスタ内の距離が小さくなり且つ2つのクラスタ間の距離が大きくなるような特定のクラスタリングに到達してもよい。パラメータKは、最適なクラスタリング及び環境の変化に対するロバスト性を達成するように微調整されてもよい。その後、位置座標(例えば、第1のコンピュータ2610及び/又は第2のコンピュータ2620の位置座標)とCSIとの間のマッピングに関する情報はデータベースに格納され且つ/又は修正される(ブロック2712)。いくつかの実現例において、重心を代表的なCSIとして維持でき、他のCSIは廃棄されてもよい(例えば、データベースに格納される情報量を減少するために)。図74~図79に関して、K平均クラスタリングを以下に更に詳細に説明する。
トレーニング段階の後、コンピュータ2610、2620は位置特定段階を経てもよい(例えば、第1のコンピュータ2610及び/又は第2のコンピュータ2620のロケーションを判定するために)。図28は、各TX/RXアンテナ対に対して実行される位置特定段階の方法を示すフローチャート2800である。各TXアンテナはデータを送信し(ブロック2802)、当該データは無線マルチパスチャネルを通って各RXアンテナにより受信される(ブロック2804)。送信は、各送信に対するチャネル減衰及び位相シフト(例えば、CSI)を表す情報を示すことができる。その後、送信のCSIは解析され、(ブロック2806)、CSIのSTO/SFO/CFOの少なくとも一部分が除去され(ブロック2808)、K平均クラスタリングがCSIに実行される(ブロック2810)(例えば、図27を参照して上述したのと同様の方法で)。
K平均クラスタリング(ブロック2810)の後、ロケーション特定段階からの各CSIはトレーニング段階からのCSI(例えば、データベースに格納されたCSI)と相関処理される(ブロック2812)。種々のCSI間の相関の最大値が識別される(ブロック2814)。位置特定段階の各CSIとトレーニング段階の各CSIとを繰り返し相関処理することにより、混同行列が形成される。上述したように、ブロック2802~2814に関連するステップはコンピュータ2610、2620の各TX/RXアンテナ対に対して実行され、混同行列は各対に対して形成される。送信機アンテナ毎に、「データ送信」ステップ2802は1回実行され、ステップ2804~2820は送信データを受信する各受信アンテナに関して実行される。混同行列は融合され(例えば、平均化され)、1つの融合混同行列(fused confusion matrix)が形成される(ブロック2816)。融合混同行列における最大相関は、コンピュータ2610、2620の一方又は双方の推定された現在地を示す。
いくつかの実現例において、相関は相関度を示す値により表される。詳細に上述したように、値はフォーカシング利得又は共振強度であってもよい。閾値が設定されてもよく、推定位置を正確に示すためには融合混同行列における最大相関が閾値を上回る必要がある。融合混合行列における最大相関の値が閾値を満たす場合(ブロック2818)、正確なロケーション情報が判定可能であり、位置特定段階は完了する(ブロック2820)。融合混合行列における最大相関の値が閾値を満たさない場合(ブロック2818)、測位システムは正確なロケーション情報を判定できないことを示す出力を生成する(ブロック2822)。
図29~図40は、図26の測位システムの種々の実施形態に係る共振強度を表す混同行列を示す。混同行列は、図27及び図28を参照して上述した方法に従って形成されてもよい。
図29~図31は、第1のコンピュータ2610が1つのTXアンテナを有し且つ第2のコンピュータ2620が1つのRXアンテナを有する図26の測位システムの一実施形態に対する混同行列を示す。図29は、位置特定段階のCSIに対応するロケーション(横軸上のインデックス番号により示される)とトレーニング段階のCSIに対応するロケーション(縦軸上のインデックス番号により示される)との間の相関に対する共振強度を表す混同行列を示す。本例において、K平均クラスタリングアルゴリズムが1つの重心を識別したため1つのデータクラスタが得られた。図30は、K平均クラスタリングアルゴリズムが5個の重心を識別したため5個のデータクラスタが得られた混同行列を示す。図31は、K平均クラスタリングアルゴリズムが10個の重心を識別したため10個のデータクラスタが得られた混同行列を示す。図29~図31に示す例において、TX/RXアンテナ対が1つのみであるため、融合混同行列は不要である。
図32~図34は、第1のコンピュータ2610が1つのTXアンテナを有し且つ第2のコンピュータ2620が3つのRXアンテナを有する図26の測位システムの一実施形態に対する融合混同行列を示す。本例において、測定の複合帯域幅は図29~図31に示すデータに対するものより3倍広い。図32~図34は、種々のK平均クラスタリングにおける3つのTX/RXアンテナ対に対する位置特定段階のCSIとトレーニング段階のCSIとの間の相関に対する共振強度を表す融合混同行列を示す。図32は、K平均クラスタリングアルゴリズムが1つの重心を識別したため1つのデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図33は、K平均クラスタリングアルゴリズムが5個の重心を識別したため5個のデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図34は、K平均クラスタリングアルゴリズムが10個の重心を識別したため10個のデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図32~図34に示す例において、各融合混同行列は、対応するK平均クラスタリングに従う各TX/RXアンテナ対(例えば、TX1/RX1;TX1/RX2;TX1/RX3)に関する混同行列の融合である。CSIが3つの異なるTX/RXアンテナ対から導出されるため、融合混同行列(図32~図34)は更に多くの情報を有し、ロケーションを正確に識別するために混同行列を使用できる可能性は更に高い(例えば、図29~図31に示す混同行列と比較して)。
図35~図37は、第1のコンピュータ2610が2つのTXアンテナを有し且つ第2のコンピュータ2620が3つのRXアンテナを有する図26の測位システムの一実施形態に対する融合混同行列を示す。本例において、測定の複合帯域幅は図29~図31に示すデータに対するものより6倍広く、図32~図34に示す複合帯域幅より2倍広い。図35~図37は、種々のK平均クラスタリングにおける6個のTX/RXアンテナ対に対する位置特定段階のCSIとトレーニング段階のCSIとの間の相関に対する共振強度を表す融合混同行列を示す。図35は、K平均クラスタリングアルゴリズムが1つの重心を識別したため1つのデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図36は、K平均クラスタリングアルゴリズムが5個の重心を識別したため5個のデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図37は、K平均クラスタリングアルゴリズムが10個の重心を識別したため10個のデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図35~図37に示す例において、各融合混同行列は、対応するK平均クラスタリングに従う各TX/RXアンテナ対(例えば、TX1/RX1;TX1/RX2;TX1/RX3;TX2/RX1;TX2/RX2;TX2/RX3)に関する混同行列の融合である。CSIが6個の異なるTX/RXアンテナ対から導出されるため、融合混同行列(図35~図37)は更に多くの情報を含み、ロケーションを正確に識別するために混同行列を使用できる可能性は更に高い(例えば、図29~図31及び図32~図34に示す混同行列と比較して)。
図38~図40は、第1のコンピュータ2610が3つのTXアンテナを有し且つ第2のコンピュータ2620が3つのRXアンテナを有する図26の測位システムの一実施形態に対する融合混同行列を示す。本例において、測定の複合帯域幅は図29~図31に示すデータに対するものより9倍広く、図32~図34に示す複合帯域幅より3倍広く、図35~図37に示す複合帯域幅より50%広い。図38~図40は、種々のK平均クラスタリングにおける9個のTX/RXアンテナ対に対する位置特定段階のCSIとトレーニング段階のCSIとの間の相関に対する共振強度を表す融合混同行列を示す。図38は、K平均クラスタリングアルゴリズムが1つの重心を識別したため1つのデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図39は、K平均クラスタリングアルゴリズムが5個の重心を識別したため5個のデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図40は、K平均クラスタリングアルゴリズムが10個の重心を識別したため10個のデータクラスタが得られた融合混同行列を示す。図38~図40に示す例において、各融合混同行列は、対応するK平均クラスタリングに従う各TX/RXアンテナ対(例えば、TX1/RX1;TX1/RX2;TX1/RX3;TX2/RX1;TX2/RX2;TX2/RX3;TX3/RX1;TX3/RX2;TX3/RX3)に関する混同行列の融合である。CSIが9個の異なるTX/RXアンテナ対から導出されるため、融合混同行列(図38~図40)は更に多くの情報を含み、ロケーションを正確に識別するために混同行列を使用できる可能性は更に高い(例えば、図29~図31、図32~図34及び図35~図37に示した混同行列と比較して)。
いくつかの実現例において、(i)TX/RXアンテナ対の数及び(ii)K平均クラスタリングアルゴリズムにより識別された重心/クラスタの数の一方又は双方が図26の測位システムの性能に影響を与えることができる。例えば一般に、TX/RX対及び重心/クラスタの数が大きいほど、測位システムがロケーションを正確に識別できる可能性は高い。同様に、いくつかの例において、TX/RX対及び/又は重心/クラスタの数が大きいほど、識別されるロケーションの精度は高い。
図41~図52は、図29~図40に関して上述した種々の実施形態に係る図26の測位システムの性能を示す受信者動作特性(ROC)曲線を示す。例えば図41は、第1のコンピュータ2610が1つのTXアンテナを有し、第2のコンピュータ2620が1つのRXアンテナを有し且つK平均クラスタリングアルゴリズムが1つの重心及びクラスタを識別した実施形態(図29に対応する)に対するROC曲線を示す。図42は、TXアンテナが1つでありRXアンテナが1つであり且つ重心/クラスタが5個である実施形態(図30に対応する)に対するROC曲線を示す。以下図52まで同様。
図41~図52のROC曲線は、判別値が変化する際の測位システムの性能を示す。すなわち、ROC曲線は検出確率対誤検出確率を示す。検出確率は、所期のロケーションにおける相関が識別される確率である。例えば相関が値により表される場合、検出確率は、相関の値が、i)所定のロケーション以外のロケーションにおける相関の値より高く且つii)閾値を満たす(例えば、図28のブロック2818)確率である。誤警報確率は誤検出の確率であり、誤検出とは、所期のロケーション以外の別のロケーションにおいて相関が高くなり且つ相関が閾値を上回ることである。換言すると、誤警報確率は、対象が実際は未知のロケーションに位置する場合にそれが既知のロケーションに位置していると誤って識別される確率である。
相関の値が閾値を満たす場合、ロケーションが識別される。したがって、検出確率は閾値に反比例し、閾値が低いほど、対象が既知のロケーションに存在する場合にそれが既知のロケーションに位置していると正しく識別される確率は高い。しかし、誤警報確率も同様に閾値に反比例し、閾値が低いほど、対象が実際は未知のロケーションに存在する場合にそれが既知のロケーションに位置していると誤って識別される確率は高い。
図41を参照すると、1つのTXアンテナ、1つのRXアンテナ及び1つの重心/クラスタを含む測位システムの実現例は、測位システムが1つのTXアンテナ、1つのRXアンテナ及び5個の重心/クラスタを含む図42の実現例ほど良好に実行しない(一般に、検出確率が低く且つ誤警報確率が高い)。測位システムが1つのTXアンテナ、1つのRXアンテナ及び10個の重心/クラスタを含む図43の実現例は、前出の2つの実現例より良好に実行する。したがって、K平均クラスタリングアルゴリズムにより識別される重心/クラスタの数が増加するほど、測位システムの性能は向上できる。
同様に、測位システムの性能は、TX及び/又はRXアンテナの数が増加するほど向上できる。例えば図44を参照すると、1つのTXアンテナ、3つのRXアンテナ及び1つの重心/クラスタを含む実現例は、約0%の誤警報確率で約90%の検出確率を有してもよい。しかし、図45を参照すると、1つではなく5個の重心/クラスタが使用される場合、約0%の誤警報確率で検出確率は約100%に上昇する。図46~図52は、図34~図40に関して上述した測位システムの実施形態に係るROC曲線を示す。これらは図45の性能特性と同様であるが、いくつかの例では図45より良好な性能特性を示す。
格納済みチャネル応答及び/又は生成されるチャネル応答
実施形態において、参照チャネル応答及び/又は参照時間反転チャネル応答のデータベースが確立されてもよい。例示的なデータベースは、複数の構成の会場についての参照チャネル応答を含んでもよい。例えばデータベースは、人間がいる状態及び人間がいない状態の会場、扉/窓/物体が特定の位置及び/又は姿勢に配向された状態の会場等に対するチャネル応答を含んでもよい。例示的な実施形態において、データベースは、間取り図、3次元「間取り図」(3D間取り図)、より大きい会場内での会場のロケーション、番地、GPS座標、並びに受信信号強度測定値/予測値、飛行時間測定値/予測値、到来角測定値/予測値、微分飛行時間及び/又は到来角測定値/予測値、電磁界測定値/予測値、漂遊シグニチャ測定値/予測値、位置依存シグニチャ測定値/予測値、動きセンサ、圧力センサ、Bluetoothセンサ、近距離通信(NFC)センサ、温度センサ、光センサ及びRFセンサ等に基づくロケーション情報等の他の屋内測位システムから導出されたロケーション情報等の会場情報を含んでもよい。
実施形態において、データベースは複数の会場に対する参照チャネル応答を含んでもよい。例えば、屋内位置情報は種々のロケーションに位置する装置により取得されてもよく、装置は測定され且つ/又は予測された参照チャネル応答を屋内位置情報と共にデータベースに送出してもよく、データベース(又は、例えば複数の協調データベース)は当該情報を格納してもよい。実施形態において、会場が較正された場合及び/又は事前較正された場合に、データベースは情報を受信し且つ格納してもよい。そのような較正又は事前較正は、ロケータの設置時に実行されてもよく、上述した較正技術の全てを使用して実行されてもよい。
実施形態において、会場の間取り図及び/又は3D間取り図が使用可能であり且つ会場内の参照チャネル応答を推定するために計算が実行される場合に、データベースは情報を受信してもよい。実施形態において、参照チャネル応答及び/又は参照時間反転チャネル応答のデータベースは、ネットワーク内の1つ以上のロケーションで格納されてもよく、世界中の複数のユーザ及び/又は屋内測位システムが利用可能であってもよい。実施形態において、データベースは、分類及び/又はデータパターン照合方式において使用されることを予想して処理された参照チャネル応答を格納してもよい。例えば分類方式は、波形の類似性又は照合又は相関、仮想時間反転処理技術、パターン認識及び/又は照合技術、線形及び/又は非線形サポートベクトルマシン及び/又はサポートベクトルネットワーク技術、機械学習技術、データマイニング技術、統計的分類技術、タグ付け技術及び/又はカーネルトリック等を含みうる。
実施形態において、屋内測位システムは、受信した波形及び/又はチャネル応答及び/又は時間反転チャネル応答及び/又は時間反転共振強度及び/又は分類技術及び/又はデータ及び/又は結果を有線及び/又は無線ネットワークリソースを介して情報リポジトリへ送信してもよい。実施形態において、情報リポジトリは、少なくとも2つのロケータがアクセスできるデータベースを含んでもよい。
更なる実施形態
簡潔に上述したように、推定チャネル応答の時間反転バージョンは、測位用途に加えて通信に使用されてもよい。図1Cは、例示的な時間反転通信システムの動作原理を示す図である。第1の送受信機158が第2の送受信機156へ情報を送信する前に、第2の送受信機156は最初にマルチパスチャネル160を介して第1の送受信機158にプローブ信号152を送出する。これらの動作をチャネルプロービング段階と呼んでもよい。プローブ信号152は、チャネル160を伝搬した後に波形154になってもよく、これが第1の送受信機158において受信される。送受信機158は受信波形154を時間反転し(且つ信号が複素である場合は共役させ)、波形154の時間反転バージョン164を使用して情報を第2の送受信機156へ送信する。これらの動作を時間反転送信段階と呼んでもよい。
例示的な時間反転(TR)通信システムにおいて、チャネルの相互関係及び定常性が非常に良好に維持される場合、発射された時間反転信号164は入力パスを後戻りし、所期のロケーション(すなわち、第2の送受信機156のロケーション)において信号の構成的総和を形成し、それにより、空間にわたる信号電力分布のピーク162が得られる。これを空間的フォーカシング効果と呼ぶ。時間反転がマルチパスを整合フィルタとして使用してもよいため、送信信号は時間領域において同様にフォーカスされてもよく、これを時間的フォーカシング効果と呼ぶ。更に、環境を整合フィルタとして使用することにより、送受信機の(例えば、第1の送受信機158及び第2の送受信機156の)設計の複雑性を大幅に減少できる。
現実の時間反転通信及び測位システムの双方は、「理想的な」システムと多くの点で異なってもよい。例えば実施形態において、装置において取り込めるマルチパス信号の数は、環境により生成されるマルチパスの総数のサブセットであってもよい。実施形態において、第1の装置は、第1の装置と第2の装置との間の見通しに沿って直接移動する送信信号の一部分を検出し、デジタル化(又はサンプリング)し且つ処理してもよい。実施形態において、第1の装置は、直接信号である見通し信号の時間遅延内で装置に到着する1つ以上のマルチパス信号を検出し、デジタル化(又はサンプリング)し且つ処理してもよい。そのような時間遅延を時間遅延ウィンドウ又はチャネル長と呼んでもよい。実施形態において、時間遅延ウィンドウは可変であってもよく、装置内のハードウェア及び/又はソフトウェアにより制御されてもよい。実施形態において、第1の装置は、特定の振幅を有する1つ以上のマルチパス信号を検出し、サンプリングし且つ処理してもよい。実施形態において、特定の振幅は閾値振幅を上回る振幅であってもよく、閾値振幅は固定であっても可変であってもよい。実施形態において、特定の振幅は装置内のハードウェア及び/又はソフトウェアにより制御されてもよい。例示的なシステムにおいて、異なる装置は異なる数のマルチパス信号を収集してもよく、時間遅延ウィンドウ又はチャネル長及び/又は振幅閾値に対する異なる設定を有してもよい。
実施形態において、アナログデジタル変換器(ADC)及びデジタルアナログ変換器(DAC)がアナログ回路網とデジタル回路網との間のインタフェースにおいて使用されてもよい。実施形態において、ADC及び/又はDACは、最大2ビットの分解能、最大4ビットの分解能、最大6ビットの分解能、最大8ビットの分解能、最大10ビットの分解能、最大12ビットの分解能又はそれ以上の分解能を使用してもよい。実施形態において、ADC及び/又はDACは、信号をデジタル化するために使用されている分解能のビット数を適応的に調節してもよい。例示的な実施形態において、装置内のADC又はDACは、通常の動作条件において4ビットの分解能を使用してもよいが、システムの時間的フォーカシング効果及び/又は空間的フォーカシング効果を向上するために分解能のビット数を増加してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、装置内のADC又はDACは、通常の動作条件において8ビットの分解能を使用してもよいが、装置の電力使用を減少するために分解能のビット数を減少してもよい。ADC及びDACのいずれか又は双方の分解能のビット数は、無線送信機及び/又は受信機における調節可能なパラメータであってもよい。ADC及びDACのいずれか又は双方の分解能のビット数は、フィードバックループにより及び/又はソフトウェア制御の下で調節されてもよい。分解能のビット数はユーザが設定可能なパラメータであってもよく、無線測位及び/又は通信システムの装置上で実行するユーザインタフェース及び/又はアプリケーションを使用してアクセスされ且つ/又は設定されてもよい。いくつかの実施形態において、分解能のビット数は、無線測位及び/又は通信システムの特定の環境の1つ以上の特徴に基づいてもよい。
実施形態において、広帯域幅システムは、サンプリングレートが相対的に高いアナログデジタル変換器(ADC)及びデジタルアナログ変換器(DAC)から利点を得てもよい。例えば125MHz受信機帯域幅を有する無線測位及び/又は通信システムは、250MHzより高いサンプリングレートを有するADC及びDACを使用してもよい。いくつかの実現例において、広帯域屋内測位システムは、カスタマイズされた無線送信機及び受信機と、500MHzの見積もりサンプリングレートを有するADC及びDACとを使用してもよい。いくつかの実現例において、システムの更に広い帯域での動作はGHzサンプリングレートを有するADC及びDACを使用してもよい。
例示的な実施形態において、装置は、単一の入力アンテナ又は受信機及び/又は単一の出力アンテナ又は送信機を有してもよい。実施形態において、装置は複数の入力アンテナ又は受信機及び/又は複数の出力アンテナ又は送信機を有してもよい。本開示において、第1の装置及び第2の装置は、単一又は複数の入力及び/又は出力アンテナ及び/又は単一又は複数の受信機及び/又は送信機を含んでもよいことが理解されるべきである。いくつかの実現例において、異なるアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機が同様の搬送周波数又は同様の電磁スペクトル領域で動作するように設計されてもよく、あるいは異なる搬送周波数又は異なる電磁スペクトル領域で動作するように設計されてもよい。アンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機は異なる帯域幅を有してもよく、異なるハードウェア構成要素、回路、プロセッサ、ソフトウェア及びファームウェア等を備えてもよい。
いくつかの実施形態(例えば、複数のアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機を有する)において、複数のアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機は互いに完全に独立して動作してもよく、あるいは互いに連動して動作してもよい。実施形態において、装置内のアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機のサブセットは他のサブセットから独立して動作してもよく、あるいは他のサブセットと連動して動作してもよい。いくつかの実施形態において、複数のアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機は1つ以上のハードウェア構成要素及び/又はソフトウェアコードを共有してもよい。いくつかの実施形態において、複数のアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機は、同時に、独立して又は同期されて動作してもよい。例えばアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機のうちの1つ以上は周波数ホッピング技術を使用してもよく、周波数ホッピングは種々のアンテナ、送信機、受信機及び/又は送受信機の間で協調されてもよい。
本開示において、用語「装置」及び/又は「端末装置」を使用する場合、これは単一又は複数の送信機及び/又は単一又は複数の受信機及び/又は単一又は複数のアンテナを有する装置を意味してもよい。用語「受信機」は、単一の受信機又は複数の受信機及び/又は単一のアンテナ又は複数のアンテナを意味してもよい。用語「送信機」は、単一の送信機又は複数の送信機及び/又は単一のアンテナ又は複数のアンテナを意味してもよい。用語「送受信機」は、単一の送受信機又は複数の送受信機及び/又は単一のアンテナ又は複数のアンテナを意味してもよい。いくつかの例において、装置は送信機、受信機及び送受信機(送信機及び受信機の組み合わせ)のいずれであってもよい。
実施形態において、開示される技術を使用する無線ネットワークは少なくとも1つの装置を備えてもよく、そのようなネットワークは2つ、3つ又は4つ以上の装置を備えてもよいと考えられる。いくつかの実施形態において、装置は、送信機又は受信機として識別されてもよいが、装置はまた、送受信機、ラジオ、ソフトウェアラジオ、ハンドセット、移動装置、コンピュータ、ルータ及びモデム等であってもよいと理解されるべきである。装置は完全に双方向であってもよく、あるいは送信機又は受信機としての更なる機能又は送信モード及び受信モードで異なるデータ転送速度、プロトコル及び電力レベル等をサポートする更なる機能を有するように構成されてもよい。複数のアクセスポイントは互いに往復して通信してもよく、複数の端末装置は互いに往復して通信してもよい。いくつかの実施形態において、アクセスポイントは、無線装置がネットワーク(例えば、有線ネットワーク、別の無線ネットワーク等)に接続されるようにする固定モジュールであってもよい。アクセスポイントは、広範なネットワーキングプロトコル及び/又は送信プロトコルをサポートしてもよく、高性能を達成するために更なる計算エンジン及び/又は装置を含むか又はそれらに接続されてもよい。アクセスポイントは、ルータ、モデム、送信機及び中継器等であってもよく、ホットスポット、ローカルエリアネットワーク、セル、マイクロセル、ナノセル、ピコセル及びフェムトセル等をサポートするための信号源であってもよい。アクセスポイントは、時間反転プロトコル、WiFi、802.11xx、Bluetooth、Bluetooth LE、ZigBee、近距離通信(NFC)、赤外線通信、直交周波数分割多元接続(OFDMA)及び符号分割多元接続(CDMA)等を含むがそれらに限定されない複数の無線伝送規格、フォーマット及びプロトコルをサポートしてもよい。
いくつかの実現例において、プローブ信号は全方向性アンテナ又は指向性アンテナを使用して無線送信されてもよく、プローブ信号はロケータ及び/受信機においてマルチパスチャネル応答信号を生成できる。いくつかの実現例において、信号を多くの方向又は好適な一方向に意図的に反射又は散乱させるためにアンテナの周囲に反射体(例えば、図3の散乱要素302等)を配置することにより、伝搬パスの数が増加されてもよく、本明細書中で説明する無線システムの信号品質が向上されてもよい。
いくつかの実現例において、複数の装置はロケータ又はアクセスポイント又は基地局と同時に通信できる。例示的な実施形態において、2つ以上の装置の位置を判定するために単一のロケータが使用されてもよい。例えば図53は、ロケータ5302及び複数の端末装置(例えば、5304a、5304b、5304nであり、5304と総称される)を含む例示的なマルチユーザ測位システム5300を示す。各端末装置5304は、自身とロケータ5302との間のマルチパス無線チャネル(例えば、5306a、5306b、5306nであり、5306と総称される)に関連付けられる。各マルチパス無線チャネル5306は、対応する端末装置5304とロケータ5302との間の2つ以上の信号伝搬パスを表す。いくつかの実現例において、全ての装置(ロケータ5302及び端末装置5304を含む)は同一の周波数帯域で動作でき、システム5300はマルチパス環境で動作できる。端末装置5304へのダウンリンクの場合、ロケータ5302は複数の選択された端末5304に複数のメッセージ(独立又は非独立)を同時に送出できる。いくつかの例において、ロケータ5302は端末装置5304a、5304b、5304nへデータを送信でき、端末装置5304a、5304b、5304nの位置を更に判定できる。
いくつかの実現例において、端末装置5304は、移動電話、カメラ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ウェアラブル計算装置、眼鏡、ヘルメット、ゴーグル、自動車、個人輸送装置、ロボット、ロボットアーム、無人航空機、ラジオ、オーディオプレーヤ、ヘルスモニタ、スピーカ、ヘッドフォン、器具、セキュリティシステム、芸術作品、物体、荷物、武器、識別装置、物体追跡機、名札、衣料品タグ、商品タグ、梱包箱、カード、クレジットカード、ペン、スタイラス、時計、ブレスレット、ネックレス、モノのインターネット(IoT)における物、カート、サーモスタット、監視装置、センサ及びコンピュータ周辺機器等の可動装置であってもよい。いくつかの実現例において、端末装置5304は、例えば上述した可動装置のうちの1つ以上等の装置に取り付けられるモジュールである。例えば端末装置5304は、可動電子装置に取り付けられたドングルである。
端末装置(例えば、端末装置5304のうちの1つ)の向きが変更される(例えば、アンテナが異なる方向を指すように)場合、プローブ信号が伝搬する複数のパスは異なってもよい。したがって、端末装置5304が同一又は非常に類似するロケーションにある場合でも、端末装置5304の向きが変化することにより、ロケータ5302は受信プローブ波形に基づいて異なるチャネルインパルス応答を計算してもよい。端末装置5304が複数の向きに保持されることを意図する場合(例えば、ユーザは移動電話を種々の向きで保持してもよい)、トレーニング段階の間に、端末装置5304は種々の向きで保持されてもよく、ロケータ5302は種々の向きに対応するチャネルインパルス応答を判定してもよい。各位置の座標は、当該位置における端末装置の異なる向きに対応するチャネルインパルス応答のセットにマッピングされてもよい。
端末装置の異なるモデルは、異なるアンテナパターン及び/又は信号ローブを有してもよい異なる種類のアンテナを有してもよい。いくつかの実現例において、測位システム5300は、複数の種類の端末装置(例えば、複数の製造業者からの移動電話及びタブレットコンピュータの複数のモデル)をサポートするように設計されてもよい。いくつかの実現例において、トレーニング段階の間、ロケータ5302が各種の端末装置に対するチャネルインパルス応答を判定できるように、種々の端末装置が各位置に配置されてもよい。このように、会場内の各位置に対して、データベース(例えば、図6のデータベース692等のロケーション情報を格納するデータベース)は、種々の端末装置に関連するチャネルインパルス応答に関する情報を含みうる。
いくつかの実現例において、端末装置5304を使用して位置判定を実行する場合、端末装置5304は、ロケータ5302がチャネル情報及びタイミング情報を取得するようにロケータ5302とハンドシェイク処理を実行してもよい。端末装置5304は、端末装置5304の特定の種類(例えば、製造業者とモデル)に関する情報をロケータ5302に更に送出してもよい。照合処理の間、ロケータ5302は、測定されたチャネルインパルス応答と端末装置の特定の種類に関連付けられた事前格納済みチャネルインパルス応答とを比較して、合致するものを見つけてもよい。
いくつかの実現例において、測位システム5300が使用される会場に1人以上の人間が存在してもよい。人間の動きにより、特定の位置に関連するチャネルインパルス応答が時間と共に変化する場合がある。したがって、トレーニング段階の間、位置毎に、チャネルインパルス応答はそのような差異を説明するために1日の種々の期間に測定されてもよく、複数のチャネルインパルス応答がデータベースに格納されてもよい。
いくつかの実現例において、ロケータ5302は移動装置又は静止装置の一部であってもよい。例えばロケータ5302は、センサモジュール、コントローラ、移動電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モデム、ルータ、アクセスポイント、基地局、あるいは複数の他の装置と無線通信する家電製品の一部として実現可能である。
いくつかの実現例において、ロケータ5302及び端末装置5304は1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のコンピュータ可読媒体(例えば、RAM、ROM、SDRAM、ハードディスク、光ディスク及びフラッシュメモリ)を含みうる。1つ以上のプロセッサは、上述した種々の計算を実行できる。計算は、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して同様に実現可能である。用語「コンピュータ可読媒体」は、実行するためにプロセッサに命令を提供する際に関わる不揮発性媒体(例えば、光ディスク又は磁気ディスク)及び揮発性媒体(例えば、メモリ)及び伝送媒体を含むがそれらに限定されない媒体を示す。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線、光ファイバ及び自由空間を含むが、それらに限定されない。
上述した特徴は、データ格納システムとの間でデータ及び命令を送受信するように接続された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含むプログラマブルシステム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムにおいて有利に実現可能である。コンピュータプログラムは、特定のアクティビティを実行するため又は特定の結果を得るためにコンピュータにおいて直接又は間接的に使用可能な命令セットである。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含むあらゆる形態のプログラミング言語(例えば、C、Java(登録商標))で記述可能であり、スタンドアローンプログラム又はモジュール、構成要素、サブルーチン、ブラウザベースウェブアプリケーション、あるいはコンピュータ環境における使用に適した他のユニットとしての形態を含むあらゆる形態で配布可能である。
命令プログラムを実行するのに適したプロセッサは、例えばあらゆる種類のコンピュータの汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの双方、デジタル信号プロセッサ及びソロプロセッサ、あるいは複数のプロセッサ又はコアのうちの1つを含む。一般に、プロセッサは読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその双方から命令及びデータを受信する。コンピュータの不可欠な要素は、命令を実行するプロセッサと命令及びデータを格納する1つ以上のメモリである。一般に、コンピュータは、データファイルを格納するための1つ以上の大容量記憶装置を更に含むか又はそれらと通信するために動作可能に接続される。そのような装置は、内部ハードディスク及び取外し可能ディスク、光磁気ディスク及び光ディスク等の磁気ディスクを含む。コンピュータプログラム命令及びデータを具体的に実現するのに適した記憶装置は、例えばEPROM、EEPROM及びフラッシュメモリ素子等の半導体メモリ素子、内部ハードディスク及び取外し可能ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む全ての形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサ及びメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)により補足されるか又はASICに組み込まれることが可能である。
本明細書は多くの特定の実現例の詳細を含むが、それらは、あらゆる発明又は特許請求されてもよいものの範囲を制限すると解釈されるべきでなく、特定の発明の特定の実施形態に固有の特徴の説明であると解釈されるべきである。別個の実施形態において本明細書中で説明される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わされても同様に実現可能である。反対に、単一の実施形態において説明される種々の特徴は、複数の実施形態において別個に又は何らかの適切な部分的組み合わせでも同様に実現可能である。
同様に、動作は図中で特定の順序で示されるが、所望の結果を達成するためにはそのような動作が示される特定の順序で又は順次実行されるか、あるいは図示される全ての動作が実行される必要があると理解されるべきではない。特定の状況において、マルチタスク動作及び並行処理が有利な場合がある。更に、上述した実施形態における種々のシステム構成要素の分離は、そのような分離が全ての実施形態で必要であると理解されるべきでなく、説明されたプログラム構成要素及びシステムは一般に、単一のソフトウェアに一体化可能であるか又は複数のソフトウェアにパッケージ化可能であると理解されるべきである。
従って、主題の特定の実施形態を説明した。他の実施形態は以下の請求項の範囲内である。いくつかの例において、請求項において示される動作は異なる順序で実行可能であり、所望の結果を依然として達成できる。更に、添付の図面に示される処理は、所望の結果を達成するために、示される特定の順序又は順番を必ずしも必要としない。特定の実現例において、マルチタスク動作及び並行処理が有利な場合がある。
他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。例えばロケータ又は基地局と通信する装置は、図面又は例示的な実施形態で示されるものと異なることができる。また、時間反転測位システム600は、0.1GHz~100GHzの無線周波数で動作可能である。すなわち、端末装置654がプローブ信号を送出する場合、プローブ信号の搬送周波数は0.1GHz~100GHzの範囲であることが可能である。例えばプローブ信号の帯域幅は20MHz以上であることが可能である。
本明細書中で説明する時間反転測位システム(例えば、図6の時間反転測位システム600)は、WiFi、Bluetooth及び/又はセルラ信号に基づく測位システム等の他の測位システムと組み合わされて使用可能である。例えば移動電話は、WiFi及び/又はBluetooth及び/又はセルラ信号に基づいて数メートルの精度で会場内の粗位置を判定した後に、時間反転測位システムを使用して数センチメートル又は数ミリメートルの精度で精位置を判定してもよい。粗位置が使用可能である場合、時間反転分類器(例えば、時間反転分類器690)は、データベース(例えば、データベース692)にアクセスして粗位置又は粗位置の近傍の複数の位置に関連する事前格納済み情報を検索することにより、実行される必要のある畳み込み動作の数を大幅に減少できる。
いくつかの実現例において、本明細書中で説明する端末装置(例えば、端末装置654)は、端末装置の高さが特定の範囲内である可能性が高いように使用されてもよい。z方向における端末装置の可能性の高い位置に関する既知の情報を使用することにより、端末装置にロケーション推定値を提供するためにロケータ(例えば、ロケータ682)において必要とされる計算量を減少できる場合がある。例えば部屋内の端末装置の位置を10cmの精度で判定するために、端末装置が位置してもよい全ての可能なロケーションに対するチャネルインパルス応答を含むデータベースを確立できる。ロケーションは、10cm間隔の格子点により表すことができる。端末装置がユーザにより地面の少し上から6フィートまでの高さに保持可能であると仮定すると、データベースは部屋内の各(x,y)座標に対してz方向に約18個以上のデータ点を有してもよい。端末装置が一般に特定の高さの範囲内で保持される場合、時間反転分類器は最初に、受信チャネルインパルス応答と可能性の高い高さの範囲の近傍の格子点に対応する事前格納済みチャネルインパルス応答とを比較することができる。この初期比較により、端末装置のロケーションを判定するために必要な時間が短縮される場合がある。
例えば、端末装置がスマートウォッチであり且つユーザがショッピングモール内で自身のロケーションを判定するために屋内測位アプリケーションにアクセスすると仮定する。ウォッチは、ユーザが立っているのか、座っているのか又は横になっているのかをウォッチのオペレーティングシステムが判定できるようにする多軸加速度計及び他の動きセンサを有してもよい。ユーザが立った状態でウォッチの画面を見るために手を上げる場合、ウォッチは通常は特定の高さの範囲内に保持されるだろう。異なるユーザは異なる高さにウォッチを保持してもよいが、所定のユーザの場合、ユーザがウォッチの画面を快適に見ることができるためにはウォッチは通常は特定の高さの範囲に保持されるだろう。ウォッチは、屋内測位アプリケーションにより実行された過去の測定又は異なるアプリケーションのいずれかから得られるそのような高さの範囲に関する情報を格納してもよい。屋内測位アプリケーションは、立っている状態及び座っている状態等の種々のアクティビティに対する通常の高さの範囲を表す値をユーザが入力できるようにする設定メニューを有してもよい。
ウォッチがロケータにプローブ信号を送出する場合、ウォッチは可能性の高い高さの範囲に関する情報を更に送出できる。例えばウォッチは、それが例えば110cm~130cmの範囲内の高さに存在する可能性が高いことを示す情報をロケータに送出してもよい。その場合、ロケータは、受信チャネルインパルス応答信号と110cm~130cmの高さの範囲に対応するデータベース内の事前格納済みチャネルインパルス応答信号とを比較してもよい。受信チャネルインパルス応答信号と110cm~130cmの高さの範囲内の高さに関連する事前格納済みチャネルインパルス応答信号との間に強い相関が見られる場合、ロケータは、事前格納済みチャネルインパルス応答信号に関連する座標を速報ロケーション推定値としてウォッチに送出してもよい。ロケータは、速報ロケーション測定値の精度を確認するために、受信チャネルインパルス応答信号と110cm~130cm以外の高さの範囲に対応するデータベース内の事前格納済みチャネルインパルス応答信号との比較を続行してもよい。
このように、高さの変動が相対的に大きいロケーション(例えば、10cm~180cmの高さであり、これは本例ではz方向の18個の格子点に対応する)をデータベースで探索する代わりに、ロケータは高さが110cm~130cmで異なるロケーション(例えば、z方向の3つの格子点に対応する)を探索することによりウォッチに速報ロケーション情報を提供できてもよく、これにより、場合によっては応答時間が半分以上短縮し、結果的にユーザエクスペリエンスが向上する。
いくつかの実現例において、複数のロケータを使用できる。各ロケータは、端末装置の位置の座標を判定できる。複数のロケータは端末装置に座標を送出でき、端末装置は、複数のロケータにより提供された座標に基づいて(例えば、座標を平均化することにより)位置の最終座標を判定できる。
いくつかの実現例において、トレーニング段階の間、ロボットが複数の位置の各々に端末装置を搬送でき、プローブ信号は各位置から基地局へ送信されてもよい。いくつかの例において、端末装置はロボットの一部であってよく、ロボットは複数の位置の各々に移動してもよく、プローブ信号は各位置においてロボットから基地局へ送信されてもよい。
いくつかの実現例において、トレーニング段階の間、無人航空機が複数の位置の各々に端末装置を搬送でき、プローブ信号は各位置から基地局へ送信されてもよい。いくつかの例において、端末装置は無人航空機の一部であってよく、無人航空機は複数の位置の各々に移動してもよく、プローブ信号は各位置において無人航空機から基地局へ送信されてもよい。
いくつかの実現例において、トレーニング段階の間、無人搬送車(automatic guided vehicle)が複数の位置の各々に端末装置を搬送でき、プローブ信号は各位置から基地局へ送信されてもよい。いくつかの例において、端末装置は無人搬送車の一部であってよく、無人搬送車は複数の位置の各々に移動してもよく、プローブ信号は各位置において無人搬送車から基地局へ送信されてもよい。
いくつかの実現例において、端末装置は、サーバからダウンロードされた事前格納済みチャネル応答に基づいて自身の位置を判定できる。いくつかの実現例において、事前格納済みチャネル応答はロケータからダウンロード可能である。いくつかの例において、端末装置は、屋内会場内でのナビゲーションを容易にするために、例えばショピングモール、コンベンションセンタ又は空港ターミナルのチャネル応答のデータベースD全体をサーバからダウンロードしてもよい。いくつかの例において、端末装置は、端末装置の近傍のロケーションを範囲に含むデータベースDの一部分をダウンロードしてもよい(例えば、ダウンロードファイルのサイズを減少するために)。端末装置は、例えばWi-Fi、Bluetooth又はセルラ信号等に基づいて粗位置を判定でき、粗位置に関するデータをサーバに送出できる。その後、端末装置は、粗位置又はその周辺の位置に関連付けられたチャネル応答に関する情報をサーバからダウンロードしてもよい。端末装置は、ビーコンからチャネルプロービング信号を受信でき、受信チャネルプロービング波形に基づいてチャネル応答を推定できる。端末装置は、推定チャネル応答に基づいて時間反転信号を判定でき、時間反転信号及びダウンロードしたチャネル応答に基づいて端末装置の精位置を判定できる。そのような方法の利点の1つは、端末装置のみが自身の正確なロケーションを認識し、サーバは端末装置がダウンロードされたデータベースの範囲に含まれる地理的領域内に存在することのみを認識してもよいことである。これは、ユーザのプライバシ保護に有用だろう。
いくつかの実現例において、ロケータは、複数のダウンリンク信号の組み合わせである複合信号をブロードキャストしてもよい。この場合、各ダウンリンク信号は特定の位置に関連する座標データを有し、ダウンリンク信号は特定の位置でフォーカスするように構成された波形を有する。ロケータは、チャネル応答情報と端末装置が複合信号のブロードキャストのタイミングを判定するのに有用なタイミング情報とを提供するために、端末装置とのハンドシェイク処理を実行してもよい。ハンドシェイク処理は、最新情報が維持されるように定期的に行われてもよい。端末装置は、ロケータによりブロードキャストされた座標データに基づいて自身のロケーションを判定してもよい。ロケータは、座標データがある期間にわたり部屋内の全ての所期のロケーションにブロードキャストされるように、ある時間に部屋内のロケーションのサブセットに座標データをブロードキャストし、異なる時間に部屋内のロケーションの異なるサブセットに座標データをブロードキャストしてもよい。そのような方法の利点の1つは、ロケータが端末装置のロケーションを判定する必要がなく、端末装置のみが自身の正確なロケーションを認識してもよいことである。これは、ユーザのプライバシ保護に有用だろう。
いくつかの例において、ロケーションの各サブセットは部屋内の小さい領域を範囲に含んでもよく、その場合、サブセット内の異なるロケーションは互いに近接してもよい。ロケータからの後続の各ブロードキャストは、部屋内の異なる領域を範囲に含んでもよい。部屋の床の異なる領域にわたりスポットライトを走査するのと同様に、ロケータは、ある期間の後に部屋内の全ての格子点に座標データがブロードキャストされているように、小さい領域内の種々のロケーションに座標を一度にブロードキャストしてもよく、3次元の部屋にわたり領域を走査してもよい。例えば格子点間隔が10cmである10m×10m×3mの部屋において、基地局は、隣接する目標ロケーション間の距離が10cmである90cm×90cm領域内の10×10×10=1000個のロケーションに座標データを一度にブロードキャストしてもよい。その後、ロケータは、隣接する90cm×90cm領域にデータをブロードキャストしてもよい。本例において、100×100×30個の格子点全てに座標データをブロードキャストするには、約10×10×3=300回のブロードキャストが必要だろう。
いくつかの例において、ロケーションの各サブセットは部屋内の大きい領域を範囲に含んでもよく、その場合、サブセット内の異なるロケーションの離間距離は大きい(例えば、前述の例と比較して)。基地局からの後続の各ブロードキャストは同様に、特定の方向に(例えば、x方向、y方向又はz方向に)若干シフトされた広い領域を範囲に含んでもよい。ロケータは、部屋内の全ての格子点に座標データがブロードキャストされるように、広い領域内の種々のロケーションに座標をブロードキャストしてもよく、後続の各ブロードキャストにおいて領域を若干シフトしてもよい。例えば格子点間隔が10cmである10m×10m×3mの部屋において、基地局は、9m×9m×2m領域内の隣接する目標ロケーション間の距離が約1mである9m×9m×2m領域内の10×10×3=300個のロケーションに座標データを一度にブロードキャストしてもよい。その後、ロケータは、先行の領域から10cmシフトされた別の9m×9m×2m領域内に座標データをブロードキャストしてもよい。シフトは、最初にx方向に行われ、次にy方向に行われ、次にz方向にシフトされる。約10×10×10=1000回のブロードキャストの後、部屋内の100×100×30個の全格子点に座標データがブロードキャストされる。
いくつかの実現例において、部屋の中で動きが検出された(例えば、部屋の中で人間が動いた)際にロケータが座標データのブロードキャストを開始するように、ロケータは会場内の動きセンサに関連して使用されてもよい。各々が会場の一部分を範囲に含む複数の動きセンサが会場に存在してもよく、1つ以上の特定の動きセンサが作動された場合、ロケータは作動された動きセンサに関連する領域のみに座標データをブロードキャストする。そのような技術は、ロケータによる不必要なブロードキャストを防止してもよい。
いくつかの実現例において、トレーニング段階の間、端末装置は必ずしも配列された格子点に配置される必要がない。例えば端末装置はランダムな位置に配置可能であり、データベースは、それらランダムな位置の座標及びそれらに関連するチャネル応答を格納できる。高速検索を容易にするために、データベース内の情報は座標に従ってソート可能である。
時間反転技術に基づく測位システムの更なる例は、米国特許出願第62/025,795号の一部である論文「A Time-Reversal Paradigm for Indoor Positioning System」において説明される。論文は、時間反転技術に基づく測位システムの実験結果を更に提供する。本明細書において述べられる測位技術は、米国特許出願第62/025,795号に同様に含まれる論文「Time-Reversal Massive MIMO: Utilizing Multipaths as Virtual Antennas」、「Time-Reversal with Limited Signature Precision: Tradeoff Between Complexity and Performance」及び「Joint Waveform Design and Interference Pre-Cancellation for Time-Reversal Systems」において説明される時間反転通信システム等の種々の時間反転通信システムで使用される装置において実現可能である。本明細書において述べられる測位技術は、2012年12月5日に出願された米国特許出願第13/706,342号「Waveform Design for Time-Reversal Systems」、2013年8月16日に出願された米国特許出願第13/969,271号「Time-Reversal Wireless Systems Having Asymmetric Architecture」、2014年8月14日に出願された国際出願第PCT/US2014/051148号「Time-Reversal Wireless Systems Having Asymmetric Architecture」、2013年8月16日に出願された米国特許出願第13/969,320号「Multiuser Time-Reversal Division Multiple Access Uplink System With Parallel Interference Cancellation」、2014年4月25日に出願された米国特許出願第14/262,153号「Quadrature Amplitude Modulation For Time Reversal Systems」、2014年3月10日に出願された米国特許出願第14/202,651号「Time-Reversal Wireless Paradigm For Internet of Things」において説明される種々の時間反転通信システムで使用される装置において同様に実現可能である。上記の出願の開示全体は本明細書で援用される。
イベント認識システム
上述したように、物体の位置の判定に加えて、本明細書中で説明する測位方式は、環境の変化を判定するため、ジェスチャを認識するため、並びに他の動作、計算、通信及び警報等をトリガするために追跡され、格納され且つ/又は使用されてもよいイベントに対して会場を監視するために使用されてもよい。
例示的な環境の変化は、扉が開くこと又は閉じることであってもよい。実施形態において、複数のチャネル応答(例えば、推定チャネル応答)が異なる環境条件において測定されてもよい。例えば送信機及び受信機を含む装置が会場に配置されてもよい。会場に対する第1のチャネル応答は、近傍の扉が開いている際に判定されてもよい。例えば扉が開いている間に、送信機は無線チャネルを伝搬して受信機に(例えば、マルチパス無線信号として)到達する無線信号を発射してもよい。受信無線信号は、第1のチャネル応答を生成するために処理されてもよい。会場に対する第2のチャネル応答は、近傍の扉が閉じている際に同様に判定されてもよい。例えば扉が閉じている間に、送信機は無線チャネルを伝搬して(例えば、マルチパス無線信号として)受信機に到達する無線信号を発射してもよい。受信無線信号は、第2のチャネル応答を生成するために処理されてもよい。何らかの後の時点で、扉が開いているか又は閉じているかを判定するために同一の技術を使用して第3のチャネル応答が判定されてもよい。第3のチャネル応答は、それが他のチャネル応答のうちの1つと十分に類似するか否かを判定するために、第1のチャネル応答及び第2のチャネル応答(並びに、例えば1つ以上の他の以前に取得されたチャネル応答)と比較可能である。例えば第3のチャネル応答が第1のチャネル応答と十分に類似する場合、扉は開いていると判定されてもよい。それに対して、第3のチャネル応答が第2のチャネル応答と十分に類似する場合、扉は閉じていると判定されてもよい。第3のチャネル応答が何らかの他のチャネル応答と十分に類似する場合、第3のチャネル応答が取得された際に他のチャネル応答に関連する環境条件が存在したと判定されてもよい。実施形態において、物体の位置、向き、姿勢、存在及び状態等の変化が会場又は近傍に関連するチャネル応答を変化させる場合、当該物体は近傍に存在すると考えられてもよい。
実施形態において、2つ以上の扉が近傍に存在してもよく、システムは種々の扉のうちのいずれかに対する他の位置を判定するように較正されてもよい。例えばチャネル応答のデータベースは、半分開いている扉及び/又は扉枠に対して10°、20°及び30°等の角度を形成する扉に関連するエントリを含んでもよい。扉に加えて、データベースは、開いているか又は閉じているか又は半分開いている窓、開いているか又は閉じているか又はその中間のどこかに位置するシェード、開いているか又は閉じているか又はその中間のどこかに位置する引き出しに対するチャネル応答を含んでもよい。実施形態において、監視される扉は、部屋の扉、クローゼットの扉、キャビネットの扉及びガレージの扉等であってもよい。
実施形態において、物体の配置における物体(例えば、巨視的物体)がそのような測位システムにより監視可能である。例えば会場内での物体の動き及び/又は会場からの物体の除去が測位システムにより検出されてもよい。いくつかの実施形態において、そのような物体は、ロケータにチャネルプローブ信号を送出できるピンガ及び/又は装置を備えてもよい。チャネル応答の変化は、物体が移動される際に検出されてもよい。いくつかの実施形態において、物体から離れた装置がチャネルプローブ信号を送出できてもよい。物体(例えば、ピンガを含む物体)と装置との間のチャネル応答の変化が検出されてもよく、チャネル応答の変化は物体の移動に関連付けられてもよい。実施形態において、チャネル応答データベースは、特定の物体及び/又は物体の組み合わせが存在する状態及び存在しない状態の会場の以前に測定されたチャネル応答を含んでもよい。チャネル応答の特定の変化は、特定の物体が移動されたか又は除去されたことを示してもよく、あるいは物体の特定の組み合わせが移動されたか又は除去された可能性があることを示してもよい。
実施形態において、美術館、自宅、オフィス及び公共建物等の会場は、会場内の美術品及び/又は貴重品の位置及び/又は存在を監視するために測位システムを使用してもよい。店舗及び/又は倉庫は、在庫品の位置を監視するために測位システムを使用してもよい。空間内の人間の位置及び/又は移動は、人間の安全保守及び人間が特定の領域から出たかの判定等のために監視されてもよい。実施形態において、測位システムは、物体及び/又は人間の特定の移動が判定された場合に警告を発し且つ/又は警報器を起動する更なる機能を含んでもよい。このように、そのような測位システムはセキュリティ用途に有用であってもよい。
実施形態において、測位システムはセキュリティシステムの一部であってもよい。例えば扉が開かれたと判定すると、測位システムは、警報を鳴らす、ユーザに通信を送出する、セキュリティ会社に通信を送出する及び警察に通信を送出する等の動作を開始してもよい。実施形態において、測位システムは、そのような動作を開始するための警報及び/又は通信機器を備えてもよい。
いくつかの実現例において、チャネル応答(例えば、推定チャネル応答)間の類似度は、上述した時間反転共振強度技術を使用して判定可能である。例えば、新規に判定された推定チャネル応答とデータベースに格納された推定チャネル応答との間の高い共振強度は、装置のロケーションを判定するために使用されてもよく、2つの推定チャネル応答間の共振強度の変化は、環境において何らかの変化が生じたと判定するために使用されてもよい。例えば上記の扉の例の3つのチャネル応答を参照すると、第1のチャネル応答及び第3のチャネル応答の時間反転共振強度が第2のチャネル応答及び第3のチャネル応答の時間反転共振強度より高い場合、システムは扉が開いていると判定してもよい。
環境の変化をイベントと呼ぶ場合がある。時間反転測位システムは、そのようなイベントを検出するために使用可能である。検出可能なイベントの例は、扉及び/又は窓の開閉、人間が入室したこと、人間が何らかの金属を部屋に持ち込んだこと、銃器を有する人間が空港ロビーを通過したこと、ブラインドが上げられたこと、ブラインドが下げられたこと、自動車の出庫、商品が店舗から出たこと及び在庫品が倉庫内の通常の位置から移動されたこと等の検出を含むが、それらに限定されない。測位システム(例えば、イベント認識システム)は物体の移動を示してもよく、物体自体を識別できてもよい。例えばシステムは、人間が携帯電話又は銃器を所持しているかを判定するように構成されてもよい。
ジェスチャ認識システム
イベント認識に加えて、測位システムはジェスチャを更に認識できてもよい。検出可能なジェスチャは、例えば人間が手を上げること、腕を振ること、脚を蹴ること及び前屈することを含んでもよい。実施形態において、ジェスチャ認識は、人間が転倒したこと又は特定の時間内に動いていないことを認識することを含んでもよい。いくつかの実現例において、そのようなジェスチャ認識は自宅監視システムに組み込まれてもよい。実施形態において、そのようなシステムは、病院、リハビリテーション、高度看護環境及び介護環境において使用されてもよい。実施形態において、そのようなシステムは、自立して生活することを希望するが身体が脆弱又は不安定である高齢者及び/又は身体障害者を監視するために設置されてもよい。実施形態において、人間が転倒するか又は特定の期間動かない場合、認識システム又は認識システムに接続された警報システムが緊急対応者に連絡し且つ/又は通知してもよい。そのようなジェスチャ認識システムは、ゲームシステム及び屋内監視システム等に適用されてもよい。マルチパス伝搬に関して本開示中で説明される理由のため、そのようなジェスチャ認識システムは、行われているジェスチャを認識するためにユーザに対する見通しを必ずしも必要としない。例えば人間は1つの部屋で腕を上げてもよく、別の部屋のロケータは当該ジェスチャをステレオシステム(例えば、更に別の部屋に存在してもよい)の音量を上げたいというユーザの要望に関連付けてもよい。
図54は、測位システムを使用して認識されてもよいジェスチャの例5402a~5402hを示す。本明細書中で説明するシステムを使用して、端末装置とロケータとの間の推定チャネル応答の変化を検出できる。そのような変化は、図54に示すジェスチャを含みうる。例えばジェスチャ5402aは、ディスプレイ(例えば、測位システムと通信している装置のディスプレイ)により提示される画面を左にスワイプさせてもよい。ジェスチャ5402bは画面を右にスワイプさせてもよい。ジェスチャ5402cは画面を時計回りに回転させてもよい。ジェスチャ5402dは画面を上にスワイプさせてもよい。ジェスチャ5402eは画面を下にスワイプさせてもよい。ジェスチャ5402fは画面を反時計回りに回転させてもよい。ジェスチャ5402gは画面を縮小させてもよい。ジェスチャ5402hは画面を拡大させてもよい。測位システムは、多くの更なるジェスチャを認識するように構成されうる。これらの更なるジェスチャは(図54に示すジェスチャと同様に)、種々の装置に対する種々の動作を示すために使用されうる。
ジェスチャの検出とは別に、いくつかの実施形態において、測位システムは、生物(例えば、人間)の1つ以上の特徴を監視し且つ/又は検出するように構成されうる。人間のいくつかの特徴は、一意のチャネル応答(例えば、一意のシグニチャ)を生じる場合がある。例えば測位システムにより監視される会場に人間が入る場合、システムは会場内の何かが変化したと検出してもよい。受信波形及び/又は推定チャネル応答及び/又は推定時間反転チャネル応答を処理することにより、システムは生物が部屋に入ったことに加えて、生物の特徴を更に識別されてもよい。例えばシステムは、部屋内の特定の生物(例えば、生物が人間か、猫か又は犬か)を識別してもよい。いくつかの実現例において、システムは、人間の身体的特徴(例えば、人間の物理的幾何学を含む)に基づいて特定の人間を識別してもよい。いくつかの実施形態において、子どもと大人、犬と猫、猿と人間等を区別する参照チャネル応答が判定されてもよい。実施形態において、参照チャネル応答は、個別の人間を含む個別の生物を識別するように使用されてもよい。
例示的な実証において、上述した測位システムは人間を識別するために使用可能である。本実証において、端末装置及びロケータは、会議室内で互いに約3m離間して配置される。システムは、ロケータと端末装置との間に異なる人間を配置し且つ各人に対してチャネル応答を記録することにより較正される。ロケータに対向した状態及び180°回転して端末装置に対向した状態の人間に対して、更なるチャネル応答が収集される。更に、横向きの(例えば、「ロケータに対向する」位置から±90°回転した)各人に対して、チャネル応答が収集される。これらの各位置にいる各人に対するチャネル応答がデータベースに格納された。その後、様々な人間のうちのいずれかがロケータと端末装置との間に立った時、ロケータは端末装置から受信プローブ波形を測定し、チャネル応答を推定し且つ新規に測定されたチャネル応答と格納済みチャネル応答との間の時間反転共振強度を計算できた。共振強度が閾値を上回った場合、最も高い時間反転共振強度を生じた格納済みチャネル応答に関連する人間及びロケータに対する位置が識別された。実施形態において、システムは個人を正確に識別でき、その人間がロケータに対向しているか、端末装置に対向しているか又は90°回転しているかを判定できる。実施形態において、システムは、ロケータ又は端末装置に対して+90°回転した人間と-90°回転した人間とを区別できる。
上述したイベント認識システム及びジェスチャ認識システムは測位システムの例であり、それらは本明細書中で測位システムに関して説明した種々の技術を使用できる。例えばいくつかの実施形態において、イベント認識システム及び/又はジェスチャ認識システムは、50MHzより広い総帯域幅Bを使用できる。システムは、各々が異なる空間的位置に存在し且つ各々が1つ以上の無線信号を送信するように構成される1つ以上の無線送信機と、各々が異なる空間的位置に存在し且つ各無線送信機から送信された1つ以上の無線信号の少なくとも1つを各々が受信するように構成される1つ以上の無線受信機とを含みうる。各送信無線信号は帯域幅及び中心周波数を有する。本例において、各送信無線信号は異なる中心周波数を有する。総帯域幅Bは以下のように定義可能である。
(式17)
式中、1つ以上の送信機の数はMであり、m番目の送信機の1つ以上の無線信号の数はN
mであり、1つ以上の無線受信機の数はKであり、k番目の無線受信機により受信されるm番目の送信機からのn番目の無線信号の帯域幅はb
mnkである。同一の送信機が同一の無線受信機に複数の無線信号を送出する実現例において、複数の無線信号はオーバラップしない周波数帯域を使用してもよい。
測位システムは、少なくとも1つ以上の無線受信機に接続される電子プロセッサを更に含む。プロセッサは、受信した1つ以上の無線信号から導出された情報とデータベース内の情報(例えば、ロケーション情報)とを比較し、当該比較に基づいて巨視的物体の配置に関する情報を判定し、判定した情報に基づいて出力を生成するように構成される。いくつかの実現例において、出力は、別の装置(例えば、警報器、通信装置等)に動作(例えば、警報の発信、通信の開始等)を実行させる信号である。
上記で詳細に説明したように、データベース内の情報と比較される受信した1つ以上の無線信号から導出される情報は総帯域幅Bに及ぶ。換言すると、総帯域幅B全体は、導出される情報を表すために使用される。50MHzより広い総帯域幅Bをシステムに与える種々の技術が使用可能であり、そのような技術は、相対的に狭い複数の無線信号、種々の中心周波数を有する無線信号、種々のチャネル帯域幅を有する無線信号、種々の周波数帯域の無線信号、種々のロケーションから送信され且つ/又は受信された無線信号等を使用することを含む。50MHzより広い総帯域幅Bを有するためにシステムにより使用される特定の技術に関係なく、受信した1つ以上の無線信号から導出される情報は総帯域幅Bに及ぶ。すなわち、導出される情報は、総和が50MHzより広い総帯域幅Bになる帯域幅を有する1つ以上の受信無線信号から導出される。
一意のロケーション固有シグニチャ
上述したように、ロケーション固有シグニチャ(例えば、チャネル応答、受信プローブ波形)は各ロケーションに一意であってもよい。図58~図60は、種々のロケーション及び種々の信号帯域幅におけるロケーション固有シグニチャの例を示す。例えば図58は、125MHz帯域幅信号に対する種々のロケーションにおけるロケーション固有シグニチャを示す。振幅成分及び位相成分を含む第1のロケーション固有シグニチャ5802は、第1のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第2のロケーション固有シグニチャ5804は、第1のロケーションから5mm離れた第2のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第3のロケーション固有シグニチャ5806は、第1のロケーションから5cm離れた第3のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第4のロケーション固有シグニチャ5808は、第1のロケーションから1m離れた第4のロケーションに位置する無線装置に対する。第1のロケーション固有シグニチャ5802及び第2のロケーション固有シグニチャ5804は類似するが、互いに5mmのみ離れて取得されたにも関わらず顕著な差異を有する。第1のロケーション固有シグニチャ5802及び第4のロケーション固有シグニチャ5808は更に顕著に異なり、それらが互いに1m離れて取得されたことを示す。
図59は、62.5MHz帯域幅信号に対する種々のロケーションにおけるロケーション固有シグニチャを示す。振幅成分及び位相成分を含む第1のロケーション固有シグニチャ5902は、第1のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第2のロケーション固有シグニチャ5904は、第1のロケーションから5mm離れた第2のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第3のロケーション固有シグニチャ5906は、第1のロケーションから5cm離れた第3のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第4のロケーション固有シグニチャ5908は、第1のロケーションから1m離れた第4のロケーションに位置する無線装置に対する。第1のロケーション固有シグニチャ5902及び第2のロケーション固有シグニチャ5904は類似するが、互いに5mmのみ離れて取得されたにも関わらず顕著な差異を有する。第1のロケーション固有シグニチャ5902及び第4のロケーション固有シグニチャ5908は更に顕著に異なり、それらが互いに1m離れて取得されたことを示す。
図60は、31.25MHz帯域幅信号に対する種々のロケーションにおけるロケーション固有シグニチャを示す。振幅成分及び位相成分を含む第1のロケーション固有シグニチャ6002は、第1のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第2のロケーション固有シグニチャ6004は、第1のロケーションから5mm離れた第2のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第3のロケーション固有シグニチャ6006は、第1のロケーションから5cm離れた第3のロケーションに位置する無線装置に対する。振幅成分及び位相成分を含む第4のロケーション固有シグニチャ6008は、第1のロケーションから1m離れた第4のロケーションに位置する無線装置に対する。第1のロケーション固有シグニチャ6002及び第2のロケーション固有シグニチャ6004は類似するが、互いに5mmのみ離れて取得されたにも関わらず顕著な差異を有する。第1のロケーション固有シグニチャ6002及び第4のロケーション固有シグニチャ6008は更に顕著に異なり、それらが互いに1m離れて取得されたことを示す。
図58~図60に示す種々のロケーション固有シグニチャの解像度は信号の帯域幅に従って変化することがわかる。例えば125MHzにおける信号の解像度は62.5MHzにおける信号の解像度より高く、31.25MHzにおける信号の解像度より更に高い。したがって、図は、本明細書中で説明する測位システムの分解能及び/又は精度が帯域幅(他のパラメータの中で特に)に基づいて変化しうる様子を示す。
ハンドシェイク方法
チャネルプロービング段階に対するハンドシェイク方法の2つの例を以下に説明する。第1の方法はパルス位置変調を使用し、第2の方法は擬似ランダム系列の相関を計算する。チャネル情報を使用するために、他のハンドシェイク方法が更に使用可能である。
最小二乗(LS)に基づくチャネルプロービングハンドシェイク
チャネルプロービング段階に対する最小二乗(LS)に基づくハンドシェイク方法を以下に説明する。本方法において、受信機は送信機にハンドシェイク信号を送出する。送信機は受信信号と同期し、受信信号に基づいてチャネル応答を推定する。
図61を参照すると、いくつかの実現例において、受信機により送信されるチャネルプロービング信号6100のフレームは、4つの連続する部分、すなわちプリアンブル6102、バーカ符号6104、ペイロード6106及びトレーニング系列6108を含む。各フレームの長さは本方法では固定され、送信機及び受信機の双方により認識される。いくつかの例において、送信機がより正確なチャネル情報及びタイミング情報を取得できるように、受信機はチャネルプロービング段階の間にチャネルプロービング信号の2つ以上のフレームを送信機に送出してもよい。いくつかの実現例において、タイミングの精度はプリアンブル6102及びバーカ符号6104の長さを増加することにより向上でき、チャネル情報の精度はトレーニング系列6108の長さを増加することにより向上できる。
いくつかの実現例において、プリアンブル6102はパルス位置変調(PPM)を使用して変調される。パルス位置変調シンボル「0」及び「1」を図62に示す。プリアンブル6102は連続するパルス位置変調シンボル「0」を含み、LはL=τs/δtにより定義されるマルチパスチャネルの長さであり、τsは遅延スプレッドであり、δtはシステムのサンプリング周期である。実際、チャネル長が正確に認識されない場合でも、送信機は環境の一般的な遅延スプレッド及びシステムのサンプリングレートに基づいてチャネル長を推定できる。本方法において、推定チャネル長が実際のチャネル長より長い場合、性能に影響はない。したがって、送信機はチャネル長を過剰に長く推定でき、誤差を生じることなくLを実際のチャネル長より大きく設定できる。
受信機により送信されるバーカ符号6104は、送信機及び受信機の双方により認識される符号である。バーカ符号6104の長さはLbである。
受信機により送信されるペイロード6106は、パルス位置変調を使用して変調される符号化情報であってもよい。情報は、トレーニング系列6108のインデックスを含んでもよい。ペイロード6106の長さはLpである。
図63を参照すると、トレーニング系列6108は、ガードインターバルA6300、有効トレーニング系列(ETS)6302及びガードインターバルB6304を含む3つの連続する部分を有する。いくつかの例において、ガードインターバルA6300は長さLaを有する「0」ビットの系列であり、有効トレーニング系列6302は長さLeを有する「0」ビット及び「1」ビットの系列であり、ガードインターバルB6304は、LB≧Lである長さLBを有する「0」ビットの系列である。
受信機から送信されたチャネルプロービング信号は、マルチパスチャネルを通って送信機に到達する。受信信号は、ノイズにより汚染されたチャネルプロービング信号とチャネル応答との畳み込みである。送信機は、受信信号を使用してチャネル応答を推定する。
図64を参照すると、チャネルプロービング信号を受信した場合、送信機は、チャネルプロービング信号のプリアンブル6102に対してスライディングウィンドウエネルギー検出を使用して同期インデックスを判定する。グラフ6410は、送信機において受信される信号の一例を示す。スライディングウィンドウエネルギー検出法は、lpがPPMシンボルの長さであるウィンドウサイズLw=lp+Lを有する移動ウィンドウ6412を使用する。EIはi番目、(i+Lw)番目、(i+2Lw)番目~(i+(γ-1)Lw)番目のサンプルから開始するウィンドウにより累積された平均エネルギーであると定義する。この場合、γは平均化ウィンドウの数であり、i∈{0,1,2,...,Lw-1}である。同期インデックスiSはEiを最大化するインデックスiであり、iS=argmaxiEiと書くことができる。この場合、インデックスiは受信信号内のi番目のサンプルに対応する。同期インデックスiSが判定された後、他のインデックスは同期インデックスiSを参照として使用して判定される。
図65を参照すると、同期インデックスiSを取得した後、送信機は同期を確認するためにバーカ符号6104の検出を開始する。送信機は、受信信号のインデックスiS+mLwからインデックスiS+mLw+Lb-1までの部分を復調し、復調された信号の部分と事前格納済みのバーカ符号系列とを比較する。この場合、Lbはバーカ符号6104の長さであり、m∈{0,1,...,N}であり、Nはユーザにより設定される探索範囲である。いくつかの例において、Nはプリアンブル内のパルス位置変調シンボルの数より大きく設定される。復調信号が事前格納済みバーカ符号と合致する場合、送信機は、受信機がチャネルプロービング段階にあり、ペイロード及びトレーニング系列が受信信号内のバーカ符号に後続することを保証される。更に、送信機は、バーカ符号6104が開始する受信信号内の位置が合致インデックスiS+mLwであること及びバーカ符号6104が終了する受信信号内の位置が合致インデックスiS+mLw+Lb-1であることを認識する。当該情報により、送信機はチャネル応答を推定するための情報を取得できる。
ペイロード6106がバーカ符号6104に後続するため、送信機は、ペイロード6106がインデックスiS+mLw+Lbから開始すると仮定する。ペイロードは固定長Ldを有するため、送信機は受信チャネルプロービング信号のインデックスiS+mLw+LbからiS+mLw+Lb+Ld-1までの部分を復調し、復調部分を復号化してトレーニング系列のインデックスqを取得する。この場合、インデックスqは受信信号内のq番目のサンプルを示さない。寧ろ、受信機及び送信機の双方により認識される2つ以上のトレーニング系列のセットが存在し、受信機はセット内のいずれかのトレーニング系列を選択できる。インデックスqは、トレーニング系列のセットの中で受信機により選択されたトレーニング系列を示す。
送信機は、トレーニング系列が受信信号のインデックスi
S+mL
w+L
b+L
dから開始すると仮定し、受信信号のインデックスi
S+mL
w+L
b+L
dからi
S+mL
w+L
b+L
d+L
t-1までの部分を使用してチャネル応答を推定する。この場合、L
t=L
e+Lである。uは受信信号のインデックスi
S+mL
w+L
b+L
dからインデックスi
S+mL
w+L
b+L
d+L
t-1までの部分を示すとする。送信機は、ペイロードから取得したインデックスqに対応する変換行列C
qを使用して、uを推定チャネル応答に変換する。この変換を以下のように書くことができる。
(式18)
式中、
は推定チャネル応答である。
変換行列C
qは、受信機により使用されるトレーニング系列s
qにより以下のように構成されうる。
(式19)
式中、Tはs
qにより生成されるテプリッツ行列であり、受信機により使用される有効トレーニング系列である。行列Tの第1の列はs
qe=[s
q;0]であり、0はL個の0で構成されるベクトルである。図66を参照すると、テプリッツ行列T6600の第1の列は、s
qeから取得される第1の要素以外は全て0で構成される。行列T6600は次元c
m×c
nを有し、c
m=L
e+L及びc
n=L
a+τ+Lである。パラメータτは、先行ステップにおける同期ミスマッチの最大値より大きい必要のある補償係数であり、すなわち、トレーニング系列が開始する受信信号におけるインデックスと送信機により検出されたトレーニング系列6108の始点であるインデックスi
S+mL
w+L
b+L
dとの間の差分である。
図67は、SNR=0dB及びチャネル長L=200である1000個の実現例に対する同期ミスマッチヒストグラムの一例を示す。ミスマッチ量はチャネル長と比較して小さく、何らかの特定の値に制限される。τが大きいほど多くのシステムリソースを使用するため、τの値は、同期誤差を制限できる可能な限り小さい値になるように選択されうる。
推定チャネル応答が実際のチャネル応答のサイズであるLより大きいサイズを有することが、
及び変換行列C
qの次元からわかる。長いチャネル応答が推定される理由は、同期誤差により、推定チャネル応答は実際のチャネル応答がシフトされたバージョンであるためである。長いチャネル応答を推定することにより、有効チャネル応答が推定の中に含まれることが保証されるため、重要なタップが失われず、このことは、受信装置において送信波形をフォーカスするためにマルチパスチャネルを整合フィルタとして使用する時間反転システムにとって重要である。
有効トレーニング系列が特に選択される場合、チャネル応答は変換行列C
qを使用せずに更に容易に推定されうる。例えば有効トレーニング系列がD≧LであるDにより分離されるインパルス列である場合、チャネル応答は受信信号内のサイズDのウィンドウを平均化することにより単純に推定されうる。v
iが受信信号のインデックスi
S+mL
w+L
b+L
d+iDからインデックスi
S+mL
w+L
b+L
d+iD+D-1までの部分を示すとすると、推定チャネル応答を以下のように書くことができる。
(式20)
式中、K=(L
e+L)/Dはウィンドウの数である。いくつかの例において、L
e+Lが十分に大きい場合、Kは推定チャネル応答
に対する十分な精度を提供するのに十分な大きさである。
相関に基づくチャネルプロービングハンドシェイク
チャネルプロービング段階に対する相関に基づくハンドシェイク方法を以下に説明する。本方法において、時間同期及びチャネル応答推定の双方のために単一系列が使用される。
受信機は、マルチパスチャネルを介して送信機へ擬似ランダム(PN)系列xを送信する。系列xは、例えば以下の式に示す確率質量関数(pmf)を有する離散ランダム変数の列であってもよい。
(式21)
擬似ランダム系列xの自己相関関数は以下の式において定義される。
(式22)
ここで使用される擬似ランダム符号の1つの重要な特徴は、長い擬似ランダム符号の自己相関関数がデルタ関数である傾向があることである。例えば図68を参照して1000の長さを有する擬似ランダム符号の自己相関関数を考えると、自己相関関数はm=0において非常に高い値を有するが、他のロケーションにおいて大幅に抑制される。
以下の説明において、複数の記号が使用される。Lはチャネル応答の長さであり、Nは擬似ランダム符号の長さであり、αはチャネルプロービングに対する閾値に関するパラメータである。
以下の式に示すように、受信信号yは擬似ランダム符号xとチャネルhとの畳み込み結果である。
(式23)
以下の式において定義される相互相関関数r
yx(m)は、擬似ランダム符号x及びチャネルhの自己相関の畳み込みに等しい。
(式24)
相関による同期のためのアルゴリズムを以下に説明する。送信機は相互相関r
yx(m)を計算し、その最大振幅を見つける。
(式25)
corr
maxに基づいて、送信機は受信信号yの同期インデックスi
sを以下のように見つける。
(式26)
パラメータαは実験により選択されてもよく、0~1の範囲である。例えばシミュレーションで使用される超広帯域チャネルモデルによると、パラメータαは約0.2であるように選択される。インデックスi
sを取得した後、以下のように相互相関関数r
yx(m)を切り捨てることにより推定チャネル応答
を判定できる。
(式27)
数値結果
図69~図71を参照すると、最小二乗に基づく方法を使用して判定された推定チャネル応答の3つの例が実際のチャネル応答と比較される。ガードインターバルA(La)の長さ及びパラメータτは共にLになるように選択される。
図69は、同期誤差が存在しない例、すなわち送信機がトレーニング系列の先頭から受信信号を使用する例を示す。矢印6900は、送信機が同期される位置(すなわち、送信機がトレーニング系列の先頭であると考える位置)を示す。グラフ6902は実際のチャネル応答を示す。グラフ6904は推定チャネル応答を示す。本例において、有効チャネル応答は推定チャネル応答の中心に存在する。
図70は、送信機がトレーニング系列の前方で同期される例を示す。矢印7000は、送信機が同期される位置(すなわち、送信機がトレーニング系列の先頭であると考える位置)を示す。グラフ7002は実際のチャネル応答を示す。グラフ7004は推定チャネル応答を示す。本例において、有効チャネル応答は推定チャネル応答の後方にシフトされる。
図71は、送信機がトレーニング系列の後方で同期される例を示す。矢印7100は、送信機が同期される位置(すなわち、送信機がトレーニング系列の先頭であると考える位置)を示す。本例において、有効チャネル応答は推定チャネル応答の前方にシフトされる。図69~図71に示す3つの例において、有効チャネル応答は推定チャネル応答において保持される。
図72を参照すると、グラフ7200は実際のチャネル応答の実数部に対する波形を示し、グラフ7202は実際のチャネル応答の虚数部に対する波形を示す。グラフ7204は推定チャネル応答の実数部に対する波形を示し、グラフ7206は推定チャネル応答の虚数部に対する波形を示す。推定チャネル応答は、上述した相関法を使用して判定される。グラフ7200及び7204の実数部の波形の比較及びグラフ7202及び7206の虚数部の波形の比較は、相関法を使用して判定された推定チャネル応答が実際のチャネル応答の情報を保持することを示す。
K平均クラスタ化
図27に関して上述したように、K平均クラスタリングはCSIに対して実行される。システム(例えば、MIMOシステム)内の各リンクに対して、CSIのアンサンブルを取得できる。本例において、リンクi上のCSIの集合をHiと示すことができ、これは次元Ni×30の行列である。Ni個の実現例に対して、後処理の負荷及びデータベースへの格納を減少するために、Ui≪Niであるように小さい基数Uiを有する代表的なCSIのセットを識別できる。
K平均クラスタリングアルゴリズムは、代表的なCSIを識別するために使用可能である。K平均クラスタリングアルゴリズムは、i)同一クラスタ内のいずれか2つのCSI間の距離が小さくなるように及びii)2つの異なるクラスタ内のいずれか2つのCSI間の距離が大きくなるように、HiのNi個の行をK個のクラスタに分類する教師なし機械学習アルゴリズムである。距離の尺度はユークリッド距離であってもよく、ユークリッド距離、相関及び余弦関数が2つのCSI間の類似性を測定するために使用されてもよい。
K平均クラスタリングアルゴリズムは、行列Hi内のランダムに選択されたK個のベクトル(例えば、行)から開始する。残りのNi-K個のCSIは、K個の重心に対する距離に従ってラベル付けされうる。その後、K個のクラスタの各々に対して新規の重心が計算されうる。2つの反復間でラベルが変化しなくなるまで又は反復回数が事前に定義された値を超えるまで、処理を繰り返してもよい。
K平均クラスタリングを使用すると、各リンクにおける特定のロケーションの各々が代表的なCSIのセットに関連付けられうる。CSIのアンサンブルが直接平均化される場合(例えば、これはK平均クラスタリングにおいてK=1を使用することと等しい)、CSIは破壊的に組み合わされてもよく、これはCSI測定値の精度を大幅に低下させる可能性がある。
図74、図76及び図78は、種々の数のクラスタ、すなわちK=1(図74)、K=5(図75)及びK=10(図76)を使用して送信アンテナと受信アンテナとの間のリンクのCSIアンサンブルに対してK平均クラスタリングを実行した結果を示す。異なるクラスタに属するCSIは、異なるマーカを使用してラベル付けされる。いくつかの実現例において、K値が高いほど、多様性の高い未知のデータセットをよりロバストに分類できる。
図75、図77及び図79はそれぞれ、図74、図76及び図78に示したのと同一のリンクにおけるK平均クラスタリングの重心を示す。重心は、同一クラスタ内のCSIの平均である。CSIを平均化して重心情報を取得することにより、CSIに固有のノイズの影響を軽減できる。重心は、特定のリンクにおける特定のロケーションに対する代表的な特徴としてデータベースに記録されてもよい。
K平均クラスタリングはM個のリンクの各々に対して実行されてもよい。同一のK値が各リンクに対して使用されると仮定し且つリンクiに属する代表的なCFR(例えば、K個のクラスタの重心として)をK×30行列であるG
iと示す場合、マッピング段階における行列G
iと位置特定段階におけるG
i'との間の相関は以下の式を使用して計算されうる。
(式28)
式中、Hはエルミート転置を表し、D
iは次式として与えられる対角エントリを有する対角行列を表す。
(式29)
g
i,kは、行列G
iのi番目の行且つj番目の列の要素を表す。
計算はM個のリンクの全てに対して繰り返され、マッピング段階で取得されたCSIと位置特定段階で取得されたCSIとの間の融合相関(fused correlation)が以下のように計算される。
(式30)
Cfusionは、マッピング段階において全てのロケーションに対して計算されうる。最も大きいCfusionが閾値より大きい場合、最も大きいCfusionを有するロケーションは装置の推定ロケーションを示す。