以下、図面を参照しながら、本発明に係る貯水装置を備えた配管システムの実施の形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る配管システム1を模式的に示した正面図である。本実施形態に係る貯水装置20は、配管システム1を構成する部材の1つであり、例えば仮設トイレ4から排出された排便などの汚水を下水本管8に向かって流すための水を一時的に貯留するものである。以下、配管システム1の概要について説明し、その後、本実施形態に係る貯水装置20について詳述する。
図1に示す配管システム1は、地震などの災害時に、仮設トイレ4が設置されたシステムとして使用され、仮設トイレ4から排出された排便などの汚水は、下水本管8に排出される。配管システム1は、例えば給水タンク10と、貯水装置20と、管路50と、排水ます60とを備えている。
給水タンク10は、管路50に流す水が貯留されているタンクである。給水タンク10は、給水手段の一例である。給水タンク10には、例えば雨水が溜められている。しかしながら、給水タンク10には、水が溜められていればよく、雨水ではなく、例えば異物が混在されていない比較的にきれいな水が溜められていてもよい。給水タンク10には、内部の水が排出される給水口11が形成されている。ここでの詳しい説明は省略するが、給水タンク10内の水は、管路50に流される前に、貯水装置20に供給される。
管路50は、地中に埋設されている。管路50は、1つの管によって構成されていてもよいし、複数の管と、複数の管を繋ぐ継手によって構成されていてもよい。管路50は、上流端部51と、下流端部52と、本管部53とを有している。上流端部51は、貯水装置20に接続されている。下流端部52は、上流端部51よりも下流側に配置され、下水本管8に接続されている。本管部53は、上流端部51と下流端部とを接続する。
本実施形態では、管路50の本管部53には、仮設トイレ4が取り付け可能である。例えば災害時に、本管部53に仮設トイレ4が取り付けられ、災害時以外の通常時には、本管部53から仮設トイレ4が取り外される。ここでは、本管部53の途中部分には、排水ます60が設けられている。排水ます60には、排水ます60から上方に延びた立管61が設けられている。この立管61に仮設トイレ4の便器4aが接続される。仮設トイレ4で排出された排便などの汚水は、立管61および排水ます60を通じて管路50に排出される。
なお、管路50に取り付けられる仮設トイレ4の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。配管システム1が設置される場所の規模などに応じて、管路50に取り付けられる仮設トイレ4の数が決定される。ここでは、5つの仮設トイレ4を管路50に接続することが可能である。
次に、貯水装置20について説明する。貯水装置20は、給水タンク10から供給された水を一時的に貯留するものであり、貯留された水を必要に応じて管路50に排出する。仮設トイレ4から排出された排便などの汚水は、貯水装置20から排出された水の流れに沿って下水本管8に流される。貯水装置20は、地中に埋設されている。
なお、本実施形態では、貯水装置20は、内部を点検することが可能な「ます」によって実現されている。ただし、貯水装置20は、ますに限定されない。詳しい説明は省略するが、貯水装置20は、例えば継手によって実現されてもよい。
図2および図3は、貯水装置20の正面断面図である。図2には、流出口26が閉鎖された状態が示されている。図3には、流出口26が開放された状態が示されている。図2に示すように、貯水装置20は、本体21と、開閉機構30とを備えている。
本体21は、有底の筒状の部材であり、かつ、中空の部材である。本体21には、水が貯留可能である。本体21は、上部筒部22と、下部筒部23とを有している。
上部筒部22は、上下が開口した筒状のものであり、本体21の上部を構成する。上部筒部22には、貯水口25が形成されている。貯水口25は、上方に向かって開口している。貯水口25には、図示しない蓋が着脱可能に嵌合される。貯水口25を通じて本体21内に水が供給される。本実施形態では、貯水装置20は、ますによって実現されているため、貯水口25は、本体21内を点検する際に使用される点検口になり得る。本実施形態では、上部筒部22の上端は、地面Gに配置されている。言い換えると、上部筒部22の上端の高さは、地面Gと同じ高さである。
下部筒部23は、上方が開口した有底筒状のものである。下部筒部23は、上部筒部22の下方に配置され、本体21の下部を構成する。下部筒部23には、流出口26が形成されている。流出口26は、貯水口25よりも下方に位置する。ここでは、流出口26は、下部筒部23の側部に形成されており、側方に向かって開口している。ただし、流出口26が形成される下部筒部23の位置は特に限定されない。流出口26は、例えば下部筒部23の底部に形成されており、下方に向かって開口していてもよい。
流出口26には、管路50が接続されており、詳しくは管路50の上流端部51が接続されている。本実施形態では、下部筒部23には、下部筒部23における流出口26の周囲から管路50に向かって延びた流出筒部27が設けられている。この流出筒部27に管路50の上流端部51が嵌め込まれている。
なお、本体21は、1つの部材によって構成されていてもよいし、複数の部材を組み付けることで構成されるものであってもよい。本実施形態では、本体21は、蓋枠部材28aと、第1筒状部材28bと、第2筒状部材28cと、閉鎖部材28dとから構成されている。蓋枠部材28aには、図示しない蓋が取り付けられる。蓋枠部材28aの上端は、地面Gと同じ高さである。第1筒状部材28bは、蓋枠部材28aの下方に配置され、蓋枠部材28aと嵌合している。本実施形態では、例えば蓋枠部材28aと第1筒状部材28bとによって上部筒部22が構成されている。
第2筒状部材28cは、第1筒状部材28bの下方に配置され、第1筒状部材28bと嵌合している。第2筒状部材28cは、上方および下方に開口しているが、下方に開口している部分は、閉鎖部材28dによって閉鎖されている。閉鎖部材28dは、容器状の部材であり、第2筒状部材28cと嵌合している。本実施形態では、例えば第2筒状部材28cと閉鎖部材28dとによって下部筒部23が構成されている。
なお、本実施形態では、本体21は、比較的にコンパクトな部材である。ここでは、図2に示すように、本体21の径D1は、管路50の径D2の5倍よりも小さい。言い換えると、本体21の上部筒部22および下部筒部23のそれぞれの径は、管路50の径D2の5倍よりも小さい。本明細書において「径」とは、直径かつ内径のことをいう。なお、図2に示す貯水装置20では、本体21の径D1は、管路50の径D2の2倍程度である。しかしながら、図2に示す貯水装置20は一例であり、実際には、本体21の径D1が大きく、例えば本体21の径D1が、管路50の径D2の2倍よりも大きく、かつ、径D2の5倍よりも小さいことがあり得る。
また、本実施形態では、本体21の上下の所定の位置における横断面の径は、異なることがあり得る。例えば本体21の形状によっては、本体21の上部(例えば上部筒部22)の径と、本体21の下部(例えば下部筒部23)の径とは異なることがあり得る。ここでは、本体21の径D1の平均(言い換えると、本体21の平均の径)は、管路50の径D2の平均の5倍(言い換えると、管路50の平均の径の5倍)よりも小さい。また、本体21の径D1の中央値は、管路50の径D2の中央値の5倍よりも小さい。
開閉機構30は、下部筒部23に形成された流出口26を開閉可能なものである。本実施形態では、開閉機構30は、本体21の内部に配置されるものであり、本体21の内部から流出口26を開閉する。ただし、開閉機構30は、本体21の外部から流出口26を開閉可能に構成されていてもよい。本実施形態では、開閉機構30は、本体21内において上下に移動することで、流出口26を開閉することができる。
なお、開閉機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、開閉機構30は、閉鎖筒部31と、閉鎖板部32と、取っ手33と、操作筒部35とを有している。閉鎖筒部31は、水平に延びた筒状の部材であり、側方に開口している。閉鎖板部32は、閉鎖筒部31の内部に配置されており、上下に延びた板状のものである。閉鎖筒部31の側方に開口した部分は、閉鎖板部32によって閉鎖されている。取っ手33は、閉鎖筒部31の上部に設けられている。取っ手33は、閉鎖筒部31から上方に延びており、上端部は水平方向に折れ曲がっている。
なお、取っ手33は、地上にいる作業者が図示しない操作治具を使用することで操作される。上記操作治具の形状などは特に限定されるものではない。上記操作治具は、例えば下部がフック状の棒状の部材である。フック状の下部を取っ手33に引っ掛けた状態において、上記操作治具の上部は地上に配置される。作業者は、フック状の下部が取っ手33に引っ掛けられた状態の上記操作治具を引き上げることで、取っ手33と共に開閉機構30が上方に移動する。このことで、開閉機構30が流出口26を開放することができる。
本実施形態では、閉鎖筒部31における流出口26側の端(図2では右側の端)の上部には、流出口26に向かって突出した突起34が設けられている。流出口26には、突出筒部29が嵌め込まれている。突出筒部29の一部は、流出口26よりも本体21の内方に突出している。図2に示すように、閉鎖筒部31の突起34は、突出筒部29に当接可能である。ここでは、開閉機構30における下方への移動は、突起34が突出筒部29に当接することで規制される。
操作筒部35は、作業者が、開閉機構30によって流出口26を開閉させるために、開閉機構30を上下に移動させるものである。本実施形態では、閉鎖機構30を上下に移動させる手段は、取っ手33の操作と操作筒部35の操作との2通りが存在する。作業者は、取っ手33および操作筒部35の何れかを操作することで、開閉機構30を上下に移動させることができる。
操作筒部35は、本体21内において上下に延びた筒状の部材である。操作筒部35は、開閉機構30の上下移動に連動して上下に移動可能に構成されている。本実施形態では、操作筒部35は、支持筒部38を介して開閉機構30の閉鎖板部32に支持されている。支持筒部38は、水平方向に延びた部材である。支持筒部38の一端は、操作筒部35に接続されており、支持筒部38の他端は、閉鎖板部32に接続されている。
本実施形態では、操作筒部35は、上方に開口した上部開口36と、下方に開口した下部開口37とを有している。この上部開口36には、筒状の接続操作筒部39が着脱可能に接続される。接続操作筒部39の上端には、図示しない閉鎖キャップが取り付けられている。上部開口36に接続操作筒部39を接続したとき、接続操作筒部39の上部は、地上に配置される。
例えば操作筒部35を操作して開閉機構30で流出口26を開閉させるとき、操作筒部35の上部開口36に接続操作筒部39を接続する。地上にいる作業者は、地上に配置された接続操作筒部39の上部を引き上げることで、接続操作筒部39と共に操作筒部35が上方に移動する。操作筒部35の上方への移動に伴い閉鎖機構30が上方に移動し、流出口26が開放される。なお、接続操作筒部39の上端に取り付けられた上記閉鎖キャップは、T字状の操作部材39aに取り換えられてもよい。T字状の操作部材39aは、接続操作筒部39の上端の開口に嵌め込まれる。T字状の操作部材39aの側端は、接続操作筒部39よりも外側に突出している。作業者は、T字状の操作部材39aを手で掴んで接続操作筒部39を引き上げることで、操作性が向上する。
一方、開閉機構30によって流出口26を閉鎖させるときには、作業者は、接続操作筒部39を下方に押し込み、接続操作筒部39および操作筒部35を下方に移動させる。操作筒部35の下方への移動に伴い閉鎖機構30が下方に移動し、流出口26を閉鎖することができる。
本実施形態では、作業者が取っ手33または操作筒部35を操作することで、開閉機構30は、開放位置P1(図3参照)と、閉鎖位置P2(図2参照)との間で移動可能に構成されている。開放位置P1とは、図3に示すように、開閉機構30の閉鎖筒部31が流出口26よりも上方に位置するような開閉機構30の位置である。開放位置P1のとき、流出口26は開放された状態となる。開放位置P1のとき、本体21に貯留された水は、流出口26から管路50に向かって流れる。
一方、閉鎖位置P2とは、図2に示すように、閉鎖筒部31の突起34と、流出口26に嵌め込まれた突出筒部29とが当接したときの開閉機構30の位置である。閉鎖位置P2のとき、流出口26は、開閉機構30によって閉鎖される。そのため、本体21に貯留された水は、管路50に流れない。閉鎖位置P2のとき、本体21に水を貯留した状態を維持することができる。
なお、本実施形態では、図1に示すように、給水タンク10の給水口11には、給水管12が接続されている。給水管12の途中部分には、汲み上げポンプ13が設けられている。本実施形態では、給水タンク10内の水を貯水装置20に供給するとき、貯水装置20の給水口25を通じて本体21内に給水管12を挿入する。その後、作業者が汲み上げポンプ13を操作することで、給水管12を通じて給水タンク10内の水を貯水装置20に供給することができる。
ところで、貯水装置20の本体21に貯留された水は、上述のように仮設トイレ4から排出された排便などの汚水を下水本管8に流す際に使用される。仮設トイレ4から管路50に排出された汚水を一度に流すために必要な水の量(以下、必要貯留量という。)が、本体21に貯留されているとよい。この必要貯留量は、配管システム1を設置する場所に応じて異なる。言い換えると、必要貯留量は、管路50の長さや管路50の径の大きさ、仮設トイレ4の数などに応じて決定される。例えば管路50が長い場合、管路50の径が大きい場合、または仮設トイレ4の数が多い場合には、必要貯留量は多くなる。
本体21に貯留することが可能な水の最大量(以下、最大貯留量という。)は、本体21の大きさに応じて予め決められている。ここで、必要貯留量が最大貯留量よりも多い(必要貯留量>最大貯留量)場合、仮設トイレ4から管路50に排出された汚水を下水本管8に一度に流すために必要な水の量を、本体21内に確保することができない。
ここで、本実施形態では、必要貯留量が最大貯留量よりも多い場合であっても、貯水装置20に十分な水の量を確保する。図4は、貯水装置20の正面断面図であり、延長貯留部40が本体21に取り付けられた状態を示す図である。貯水装置20に十分な水の量を確保するために、貯水装置20は、図4に示すように、延長貯留部40を更に備えている。延長貯留部40は、本体21と共に水を貯留することが可能なものである。延長貯留部40は、本体21に取り付け可能である。延長貯留部40は、本体21に対して着脱可能である。延長貯留部40は、本体21に取り付けられたときに本体21の内部と連通する中空の部材である。
本実施形態では、延長貯留部40は、本体21の貯水口25に接続される。ここでは、延長貯留部40は、貯水口25から上方に向かって延びており、地上に配置される。延長貯留部40は、地中に埋設されていない。なお、延長貯留部40の形状および構成は特に限定されない。本実施形態では、延長貯留部40は、上下に延びた筒状の部材である。
延長貯留部40は、接続部41と、開口部42と、本体筒部43とを有している。接続部41は、延長貯留部40の下部を構成している。接続部41には、下方に開口した接続口45が形成されている。この接続口45には、本体21の貯水口25が接続される。接続口45と貯水口25とは連通している。
本実施形態では、延長貯留部40を本体21に取り付ける際、接続部41は、本体21の上部筒部22に嵌め込まれる。接続部41の周囲には、接続部41の周方向に沿って配置された環状のシール部材47が設けられている。シール部材47は、例えばゴム製であり、接続部41を上部筒部22に嵌め込んだときに、接続部41と上部筒部22とのシール性を向上させる。
開口部42は、延長貯留部40の上部を構成しており、接続部41よりも上方に配置されている。開口部42には、上方に開口した上部開口46が形成されている。上部開口46は、接続口45よりも上方に配置されている。本体筒部43は、接続部41と開口部42とを繋ぐものであり、上下に延びている。
本実施形態では、接続部41と本体筒部43との間には、段差部48が設けられている。段差部48の径は、接続部41の径よりも大きい。延長貯留部40を本体21に取り付けたとき、段差部48は、本体21の上部筒部22の上端に接触し、上部筒部22の上端に載せられた状態となる。このことで、延長貯留部40の姿勢を安定させることができる。
また、本実施形態では、本体筒部43には、拡径部49が設けられている。この拡径部49は、上方に向かうほど径が大きくなるように構成されている。ここでは、接続口45は、上部開口46よりも小さい。ただし、接続口45は、上部開口46と同じ大きさであってもよいし、上部開口46よりも大きくてもよい。
なお、延長貯留部40の大きさは特に限定されない。例えば大きさが異なる複数の延長貯留部40が予め用意されており、配管システム1の必要貯留量に応じて、本体21に取り付ける延長貯留部40を選択してもよい。延長貯留部40は、切断されて使用されてもよい。
本実施形態では、図4に示すように、延長貯留部40のうち接続部41を除いた部位の径D3は、貯水装置20の本体21の径D1以上である。ここでは、接続部41を含めた延長貯留部40の径D3の平均は、本体21の径D1の平均以上である。また、接続部41を含めた延長貯留部40の径D3の中央値は、本体21の径D1の中央値以上である。
本実施形態では、接続部41を含めた延長貯留部40の内径断面積は、本体21の内径断面積以上である。ここでは、接続部41を含めた延長貯留部40の内径断面積の平均は、本体21の内径断面積の平均以上である。接続部41を含めた延長貯留部40の内径断面積の中央値は、本体21の内径断面積の中央値以上である。ここで、「内径断面積」とは、筒状の部材の横断方向(中心軸と直交する方向)における断面の内径よりも内側の面積、すなわち筒状の部材の横断方向における断面の孔の面積のことをいう。
本実施形態では、貯水装置20は、以下の手順で使用される。災害時において、仮設トイレ4が管路50に接続されて使用されるとき、延長貯留部40が本体21に取り付けられる。ここでは、作業者は、延長貯留部40の接続部41を、本体21の上部筒部22に嵌め込む。このことで、延長貯留部40の接続口45を、本体21の貯水口25に接続することができ、延長貯留部40の内部と、本体21の内部とが連通する。なお、仮設トイレ4が使用されていないときには、延長貯留部40は本体21から取り外されてもよい。
本実施形態では、本体21に延長貯留部40を取り付けた状態で給水タンク10から貯水装置20に水を供給する際、給水タンク10に接続された給水管12を、延長貯留部40の上部開口46から延長貯留部40、および、本体21に挿入する。その後、給水管12に設けられた汲み上げポンプ13(図1参照)を作業者が操作する。このことで、給水タンク10内の水は、給水管12を通じて、本体21に供給される。ここで、本体21に貯留された水が満杯になり、最大貯留量を超えた場合、延長貯留部40内に水が貯留される。
以上、本実施形態では、図1に示すように、配管システム1は、水を供給する給水タンク10に接続された貯水装置20と、管路50とを備えている。図4に示すように、貯水装置20は、本体21と、開閉機構30と、延長貯留部40とを備えている。本体21は、上方に開口した貯水口25が形成され、かつ、上端が地面Gに配置された上部筒部22と、上部筒部22と連続し、水が貯留可能であり、かつ、流出口26が形成された有底の下部筒部23とを有している。本体21は、地中に埋設された中空のものである。図2および図3に示すように、開閉機構30は、流出口26を開閉可能である。図4に示すように、延長貯留部40は、本体21に取り付け可能であり、本体21に取り付けられたときに本体21の内部と連通する中空のものである。図1に示すように、管路50は、貯水装置20の流出口26に接続された上流端部51(図2参照)と、下水本管8に接続された下流端部52と、上流端部51および下流端部52に接続された本管部53とを有している。本管部53には、1つまたは複数の仮設トイレ4を取り付け可能である。
本実施形態によれば、図4に示すように、本体21の内部と連通するように延長貯留部40を本体21に取り付ける。このことで、本体21に水を貯留する以外に、延長貯留部40に水を貯留することができる。よって、本体21に貯留することが可能な水の最大量よりも多くの水を貯留することができる。本実施形態では、仮設トイレ4から排出された汚水を一度に下水本管8に流すために必要な量である必要貯留量が、本体21に貯留可能な水の最大貯留量よりも多い場合であっても、本体21に延長貯留部40を取り付けることで、本体21以外に延長貯留部40に水を貯留することができる。よって、必要貯留量が最大貯留量よりも多い場合であっても、本体21および延長貯留部40に、必要貯留量の水を貯留することができる。したがって、仮設トイレ4から排出された排便などの汚水を、貯水装置20に貯留された水を使用して、下水本管8に一度に流すことができる。その結果、管路50に排便を流し残し難くすることができる。
また、本実施形態では、貯水装置20の本体21を大きくすることなく、本体21に延貯留部40を取り付けることで、貯水装置20全体で貯留可能な水の量を多くすることができ、必要貯留量を確保することができる。よって、本体21をコンパクトにしつつ、貯留可能な水の量を多くすることができる。
本実施形態では、図4に示すように、延長貯留部40は、本体21の貯水口25に接続されている。このことによって、延長貯留部40は、本体21の上方に配置される。そのため、貯水装置20に水を貯留する際、本体21よりも高い位置に配置された延長貯留部40にまで水が貯留されることで、水頭圧を高くすることができる。よって、流出口26から水を流出させる際、貯水装置20に貯留された水をより勢いよく排出させることができる。したがって、管路50内の汚水は、勢いよく流れた水の流れに沿って、下水本管8に流され易くなる。
また本実施形態では、延長貯留部40の内径断面積の平均は、本体21の内径断面積の平均以上である。このことによって、延長貯留部40により多くの水を貯留することができる。よって、延長貯留部40に水がより多く貯留されることで、水頭圧をより高くすることができる。更に、本実施形態では、延長貯留部40の内径断面積の平均(言い換えると、延長貯留部40の内径D3の平均)を比較的に大きくすることで、延長貯留部40はより大きく上方に向かって開口することになる。よって、作業者は、延長貯留部40を通じて操作筒部35を操作し易くなるため、開閉機構30を操作し易い。
本実施形態では、延長貯留部40は、貯水口25に接続された接続口45が形成された接続部41と、接続口45よりも上方に配置された上部開口46が形成された開口部42と、接続部41と開口部42とを繋ぐ本体筒部43と、を有している。ここでは、延長貯留部40は、貯水口25から上方に延びた筒状の部材である。そのため、延長貯留部40にまで水が貯留されることで、水位を高くすることができ、その結果、水頭圧をより高くすることができる。また、本実施形態では、延長貯留部40の上端は、上部開口46によって開口しているため、本体21の内部を点検する際、上部開口46を通じて本体21の内部を点検することができる。
本実施形態では、図2に示すように、貯水装置20の本体21の内径D1の平均は、管路50の内径D2の平均の5倍よりも小さい。このことによって、貯水装置20の本体21の大きさを、本体21の内径D1の平均が管路50の内径D2の平均の5倍よりも小さいような大きさになるようにコンパクトにしつつ、延長貯留部20を本体21に取り付けることで、貯水装置20に貯留することが可能な水の量をより多くすることができる。
<第2実施形態>
図5および図6は、第2実施形態に係る貯水装置120の正面断面図である。次に、第2実施形態に係る貯水装置120について説明する。図6に示すように、第2実施形態に係る貯水装置120では、第1実施形態に係る貯水装置20と比較して、延長貯留部140が取り付けられる本体21の位置が異なる。本実施形態に係る貯水装置120は、第1実施形態の貯水装置20と同様に、給水タンク10および管路50に接続されており、管路50に向かって水を流すことが可能なものである。
本実施形態では、延長貯留部140は、貯水装置120の本体21の側部に取り付けられており、地中に埋設されている。ここでは、本体21には、連通口126が形成されている。連通口126は、本体21の側面に形成されており、側方に向かって開口している。本実施形態では、連通口126は、本体21の上部筒部22(ここでは第1筒状部材28b)に形成されているが、本体21の下部筒部23(例えば第2筒状部材28c)に形成されていてもよい。
連通口126は、本体21の流出口26よりも高い位置に配置されている。連通口126は、流出口26の上端よりも高い位置に配置されている。本実施形態では、連通口126の下端は、流出口26の上端よりも高い位置に配置されている。連通口126は、流出口26よりも小さい。言い換えると、連通口126の径は、流出口26の径よりも小さい。ただし、連通口126は、流出口26と同じ大きさであってもよいし、流出口26よりも大きくてもよい。連通口126の径は、流出口26の径よりも大きくてもよい。
延長貯留部140は、本体21に形成された連通口126に接続されている。延長貯留部140は、本体21の側方に配置されている。本実施形態では、延長貯留部140は、一方の端部が閉鎖された筒状の部材である。延長貯留部140は、本体21から側方に向かって延びている。
延長貯留部140は、接続部141と、本体筒部142と、閉鎖部143とを有している。接続部141は、本体21の連通口126に接続される部位である。ここでは、接続部141は、連通口126に嵌め込まれている。接続部141には、側方に開口した接続口145が形成されている。接続口145は、連通口126に接続され、連通口126と連通する。
本体筒部142は、連通口126に向かうにしたがって下方に傾斜している。言い換えると、本体筒部142は、閉鎖部143から接続部141に向かうにしたがって下方に傾斜している。本体筒部142の一端は、接続部141に接続されている。閉鎖部143は、本体筒部142の他端に接続されている。閉鎖部143は、本体筒部142の他端を閉鎖する。閉鎖部143は、接続部141よりも高い位置に配置されている。
本実施形態では、図5に示すように、延長貯留部140が接続される連通口126の径D4は、貯水装置120の流出口26の径D5よりも大きい。言い換えると、連通口126の面積は、流出口26の面積よりも大きい。連通口126の径D4は、流出口26に接続された流出筒部27の径よりも大きい。また、連通口126の径D4は、本体21の径D1(図2参照)よりも小さい。言い換えると、連通口126に接続される延長貯留部140の接続口145の径は、本体21の径D1よりも小さい。このことで、延長貯留部140を本体21の側部に取り付けることができる。
図示は省略するが、延長貯留部140の本体筒部142の径は、流出口26の径D5よりも大きく、流出筒部27の径よりも大きい。また、本体筒部142の径は、本体21の径D1よりも小さい。
本実施形態では、貯水装置120は、通気筒部148を備えている。通気筒部148は、延長貯留部140の内部の空気を地上へ逃がすためのものである。通気筒部148は、筒状の部材である。ここでは、通気筒部148は、延長貯留部140から上方に延びている。通気筒部148の一端は、延長貯留部140(詳しくは本体筒部142)に接続されており、通気筒部148と延長貯留部140とは連通している。通気筒部148の他端は、地上に向かって開口している。通気筒部148の他端は、上方に向かって開口している。なお、通気筒部148は省略することが可能である。
本実施形態では、貯水装置120の本体21が地中に埋設されている状態で、本体21に延長貯留部140を取り付ける。延長貯留部140を取り付ける前において、本体21には、連通口126は形成されていない。延長貯留部140を本体21に取り付ける方法は、掘り起こし工程と、形成工程と、接続工程と、埋設工程とを包含する。
ここでは、まず掘り起こし工程では、延長貯留部140を配置する地中の部分の土を掘り起こす。例えば本体21の側方に位置する地中の部分の土を掘り起こす。次に、形成工程では、図5に示すように、本体21に連通口126を形成する。
形成工程の後、接続工程では、図6に示すように、延長貯留部140および通気筒部148を接続する。ここでは、延長貯留部140の本体筒部142が連通口126に向かうにしたがって下方に傾斜した状態で、上記で掘り起こした空間に延長貯留部140を配置し、延長貯留部140の接続部141の接続口145を、本体21の連通口126に接続する。その後、通気筒部148の一端を延長貯留部140に接続し、通気筒部148の他端を地上に向かって開口するようにして、通気筒部148を配置する。
次に、埋設工程では、延長貯留部140および通気筒部148に土を被せ、延長貯留部140および通気筒部148を埋設する。このとき、通気筒部148は、他端が地上に開口するように埋設されるとよい。以上のようにして、延長貯留部140を本体21に取り付けることができる。
本実施形態であっても、第1実施形態と同様に、貯水装置120の本体21に水を貯留する以外に、延長貯留部140に水を貯留することができる。よって、本体21に貯留することが可能な水の最大量よりも多くの水を貯留することができる。また、仮設トイレ4から排出された汚水を流すために必要な水の必要貯留量が、本体21の最大貯留量よりも多い場合であっても、貯水装置20の本体21、および、延長貯留部140に、必要貯留量の水を貯留することができる。したがって、仮設トイレ4から排出された排便などの汚水を、貯水装置120に貯留された水を使用して、下水本管8に一度に流すことができる。
本実施形態では、図6に示すように、本体21には、連通口126が形成されている。延長貯留部140は、連通口126に接続されている。このことによって、本体21の内部と連通口126を通じて延長貯留部140を連通させることができる。よって、貯水口25を通じて本体21内を作業者が点検することができつつ、本体21に貯留することが可能な水の最大量よりも多くの水を貯留することができる。
本実施形態では、延長貯留部140は、連通口126に接続された接続口145が形成された接続部141と、一端が接続部141に接続された筒状の本体筒部142と、本体筒部142の他端を閉鎖する閉鎖部143と、を有している。ここでは、延長貯留部140は、他端が閉鎖された筒状のものである。よって、延長貯留部140が横向きに配置されるように本体21に取り付けられた場合であっても、延長貯留部140に水を貯留することができる。
本実施形態では、延長貯留部140の本体筒部142は、連通口126に向かうにしたがって下方に傾斜している。このことで、延長貯留部140に貯留された水が連通口126に向かって流れ易くなると共に、延長貯留部140に貯留された水が延長貯留部140内に留まり難くすることができる。更に、本体筒部142が連通口126に向かうにしたがって下方に傾斜していることで、延長貯留部140に貯留された水を、連通口126から本体21内に向かって勢いよく流すことができる。よって、流出口26から水を勢いよく排出させることができる。したがって、勢いよく排出された水が管路50内を流れるため、仮設トイレ4から排出された管路50内の汚水は、勢いよく流れた水の流れに沿って、下水本管8に流され易くなる。
本実施形態では、連通口126は、本体21の側部に形成され、側方に向かって開口している。このことによって、連通口126に接続される延長貯留部140は、本体21の側方に配置される。よって、延長貯留部140を地中の浅い位置に配置することができるため、延長貯留部140を配置する際に掘り起こす土の量を少なくすることができる。よって、土を掘り起こすための作業時間を短くすることができる。また、延長貯留部140が接続される連通口126が本体21の側部に形成されることで、延長貯留部140は、連通口126から側方に延びた状態で配置される。よって、延長貯留部140を地中に埋設させることができる。そのため、延長貯留部140を地上に配置しなくてもよいため、地上のスペースを確保することができる。当該確保したスペースを、人が通る通路して使用することができ、または、仮設トイレ4を設置するスペースとして使用することが可能となる。よって、地上のスペースを有効活用することができる。また、地上に延長貯留部140を設置する場所を確保することができない場合であっても、延長貯留部140を地中に設置することができる。
本実施形態では、連通口126は、流出口26の上端よりも高い位置に配置されている。このことによって、流出口26よりも高い位置に延長貯留部140を配置することができる。よって、流出口26よりも高い位置に配置された延長貯留部140にまで水が貯留されることで、水頭圧を高くすることができる。したがって、流出口26から水を流出させる際、貯水装置20に貯留された水をより勢いよく排出させることができる。
本実施形態では、図5に示すように、連通口126の径D4は、流出口26の径D5よりも大きい。開閉機構30によって流出口26が閉鎖されているときには、本体21および延長貯留部140に水が貯留されることになる。このとき、連通口126の径D4を比較的に大きくすることで、連通口126を通じて延長貯留部140に水が入り込み易くなる。そのため、延長貯留部140を水で満杯にし易い。本実施形態では、開閉機構30によって流出口26が開放されると、本体21および延長貯留部140に貯留された水は、流出口26から排出される。このとき、流出口26の径D5が連通口126の径D4よりも小さいことで、流出口26から排出される水の流速を比較的に速くすることができる。よって、本体21および延長貯留部140に貯留された水を、流出口26から勢いよく排出させることができる。したがって、管路50に汚水に含まれる汚物が滞留し難くなる。
本実施形態では、通気筒部148は、延長貯留部140の内部と、地上とを繋ぐ。このことによって、仮に延長貯留部140内に空気が溜まった場合、空気は通気筒部148から地上へ逃がされる。よって、延長貯留部140により多くの水を貯留することができる。
上記のように、第2実施形態では、連通口126は、本体21の側部に形成され、連通口126に接続された延長貯留部140は、本体21の側方に配置されていた。ただし、連通口126は、本体21の底部に形成され、下方に向かって開口されていてもよい。延長貯留部140は、本体21の下方に配置されてもよい。
第2実施形態では、延長貯留部140は、地中に埋設されていた。しかしながら、延長貯留部140の一部は、地上に配置されていてもよい。
上記各実施形態では、延長貯留部40、140は、筒状の部材であった。しかしながら、本発明に係る延長貯留部の形状は、中空の部材であれば筒状に限定されない。延長貯留部は、例えば直方体形状の部材であってもよい、球状の部材であってもよい。
上記各実施形態では、給水手段は、給水タンク10であった。しかしながら、本発明に係る給水手段は、給水タンク10に限定されず、水が貯留され、かつ、貯水装置20、120に向かって水が供給できるものであればよい。例えば給水手段は、地下に配置された地下水設備であってもよい。この場合、地下水設備内の地下水などの水が、例えばホースなどを介して貯水装置20、120に供給されるとよい。また、貯水装置20,120に供給される水には、雨水が含まれる。そのため、給水手段は、雨水が貯留された雨水槽であってもよい。また、給水手段は、川、海、池などであってもよく、この場合、川、海、池などの水がホースなどを介して貯水装置20、120に供給されるとよい。また、給水手段は、固定式のものに限定されず、移動式のものであってもよい。給水手段は、水が貯留された給水車であってもよい。