以下、図面を参照しつつ、本開示の第1実施形態に係る錠剤容器100について詳細に例示説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、図1に示すように錠剤容器100を正立姿勢とした状態における上方、下方を意味するものとする。また、径方向内側とは、図1における錠剤容器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味し、径方向外側とは、中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向を意味するものとする。
図1に示す本実施形態の錠剤容器100は、内容物である錠剤Jを収容する容器本体2と、容器本体2の口部4に螺着されるキャップ部材1とを備えている。
容器本体2は、キャップ部材1を装着する略円筒状の口部4と、口部4の下端部に肩部7を介して連なり、内容物である錠剤Jの収容空間Sを形成する胴部5と、胴部5の下端を閉塞する底部6とを有している。容器本体2は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)樹脂製のパリソンを押出ブロー成形することによって形成することができる。しかし、上述の態様には限定されず、容器本体2は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製容器であり、射出成形によって形成されるPET製のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって形成してもよい。
本実施形態において口部4は略円筒状となっており、収容空間Sに収容した内容物の吐出口を構成している。口部4の外周面には口部4を閉塞するキャップ部材1をねじ結合によって装着するための雄ねじ部4aが一体に設けられている。
なお、口部4は、キャップ部材1をねじ結合に替えて打栓により装着するための環状凸部を設けた構成とすることもできる。
胴部5は、口部4の下端部に肩部7を介して一体に連なり、下方に向けて略同一径を有する円筒形状を有している。また、口部4の下端部には、ネックリング4bが一体に設けられている。ネックリング4bは口部4に対して径方向外側に向けて突出すると共に中心軸線Oを中心として全周に亘って延びる略環状となっている。
本実施形態のキャップ部材1は、図1に示すように、口部4の外面を径方向外側から囲む外周壁11と、外周壁11の上端部に連なり口部4を上方から覆う天壁13と、外周壁11の径方向内側において天壁13から下方に垂下する内周壁21と、内周壁21の下端部から径方向内側に延在し錠剤Jを保持する保持部29とを備える有頂筒状形状を有している。外周壁11の内面には、前述の雄ねじ部4aに係合可能な雌ねじ部11aが形成されており、雌ねじ部11aが雄ねじ部4aに対してねじ係合することでキャップ部材1は、容器本体2の口部4に固定可能である。また、口部4の上端部が天壁13の下面に当接することにより、容器本体2の収容空間Sは外部に対してシールされている。外周壁11の外周面には、利用者が把持してキャップ部材1を着脱し易いように、適宜ローレット状の凹凸面等が設けられていてもよい。
本実施形態において、上述のキャップ部材1における外周壁11、天壁13、内周壁21及び保持部29は、射出成形等により一体形成している。これによって、キャップ部材1の部品点数及び組立工数を削減することができる。
本実施形態では、図1における内周壁21、天壁13、及び保持部29で囲まれた領域が、錠剤Jの計量空間Mを画定している。すなわち、利用者は、図3に示すように、収容空間S内の錠剤Jを、容器本体2から取り外したキャップ部材1の開口部23aを通して計量空間Mに充填し、保持部29に支持された錠剤Jを所定量として計量することができる(図4参照)。
図2は、開口部23aが上向きになるように置いたキャップ部材1を示しており、保持部29に所定量の錠剤Jが計量され保持された状態として描かれている。本実施形態において、保持部29は、図2の右半分における周方向の3箇所に等間隔(約50度間隔)で設けられており、図2の左半分が保持部29の無い開口部23aとされている。図2の例では、保持部29は、3つの錠剤Jを保持可能であり、保持する錠剤J毎に周方向に分離して設けられている。保持部29は、内周壁21の下端部から径方向内側に延在する舌片として形成されている。
保持部29の径方向の寸法は、図2に示すように、錠剤Jの半径よりも大きいことが好ましい。このような構成によって、錠剤Jの重心位置を保持部29により支持することができるので、所定量の錠剤Jを安定的に保持することができる。
なお、保持部29の形状は、図2に示す舌片の態様に限定されず、錠剤Jの大きさや保持したい所定量等に合わせて他の様々な形状や寸法を採用することができる。
本実施形態では、保持部29が保持する錠剤J毎に周方向に分離して設けられているので、保持部29を図1の下方に変位させる際に、隣接する保持部29によって周方向に引っ張られて下方への変位が妨げられることがない。従って、キャップ部材1を射出成形等により形成する際に、計量空間Mを形成する雄型を、保持部29を下方に弾性変形させつつ無理抜きにより離型することができる。よって、キャップ部材1を形成するための成形金型を簡素化することができる。
次に、図1に示す錠剤容器100を用いて、所定量の錠剤Jを計量して使用する手順について詳説する。
上記構成を有する錠剤容器100を利用するに際しては、利用者はまず、図1の状態からキャップ部材1の外周壁11を把持して中心軸線O周りに回動させ、キャップ部材1を口部4から取り外す。次に利用者は、図3に示すように、取り外したキャップ部材1の天壁13側が下方を向くように上下反転させて手のひらや机等の上に置き、容器本体2の胴部5を把持しながら90度以上傾倒させる。これによって、収容空間S内の内容物である錠剤Jは、口部4から排出されてキャップ部材1の開口部23aから計量空間M内に充填される。
次に利用者は、容器本体2を再び正立姿勢に戻した後、手のひらや机等に置かれているキャップ部材1をそのままの姿勢で持ち上げて口部4の上方まで移動させる。利用者は、保持部29の位置が他の周方向位置よりも下方に位置するようにキャップ部材1を図3の紙面に垂直な軸線周りに図3の時計回りに回転させる。そして、図4に示すように、開口部23aが水平方向よりもやや下向きに方向付けられる姿勢までキャップ部材1を回転させる。これによって、保持部29に位置する錠剤Jは、保持部29と天壁13との間に保持される一方、保持部29以外の周方向位置に位置する錠剤Jは、計量空間Mから開口部23aを通って脱落して容器本体2内に落下する。以上の手順によって、保持部29に位置する錠剤Jのみが計量空間M内に保持される一方、他の周方向位置の錠剤Jは計量空間Mから排除されるため、保持部29の大きさ(舌片の数)に対応した所定量の錠剤Jを計量することができる。
次に利用者は、保持部29が下方に位置する図5Aの姿勢からキャップ部材1を中心軸線O周りに図5Bに示す矢印の方向に回転させる。これによって、保持部29は、周方向に移動しながら上方に移動するが、錠剤Jは、計量空間M内を周方向に滑りながら下方の位置を維持しようとする。従って、保持部29と錠剤Jとの周方向位置に徐々にずれが生じ、キャップ部材1を中心軸線O周りに180度回転させた段階で錠剤Jはもはや保持部29によって保持されず、開口部23aを通じて排出可能となる。従って、この状態で開口部23a付近に手のひらを移動させることで所定量の錠剤Jを手のひらに載せることができる。
なお、計量された所定量の錠剤Jを手のひらに導く方法は上記に限定されず、例えば、図4に示す姿勢からキャップ部材1を更に図4の時計回りに回転させ続け、図6に示すように保持部29が中心軸線Oよりも上方に位置する姿勢とすればよい。これによって、保持部29内の錠剤Jは、図6において下方に向けて開口する開口部23aを通じて計量空間Mから排出され、利用者は所定量の錠剤Jを手のひらに載せることができる。
利用者は、錠剤Jを使用後、キャップ部材1を再び容器本体2の口部4に装着する。計量された錠剤Jの一部を使用せずに計量空間M内に残したままキャップ部材1を容器本体2に装着した場合でも、図7に示すように保持部29が径方向内側に向かって僅かに下方に傾斜しているため、計量空間M内の錠剤Jを開口部23aを通じて容器本体2の収容空間S内に戻すことができる。
なお、本実施形態では、図1等に示すように、保持部29が内周壁21の下端部から径方向内側に延びるように樹脂成形したが、この態様には限定されない。図8に示すように、内周壁21の下端部に屈曲部29aを介して保持部29が下方に連なるように構成してもよい(図8に二点鎖線で示す保持部29参照)。この場合、図8の状態から保持部29が径方向内側に方向付けられるように屈曲部29aで折り曲げることによって、保持部29と天壁13との間で錠剤Jを保持することができるようになる(図8に実線で示す保持部29参照)。すなわち、キャップ部材1を樹脂成形した直後は、保持部29が図8に二点鎖線で示すように内周壁21よりも径方向内側に突出しない構成とすることができる。従って、キャップ部材1を射出成形等により形成する際に、計量空間Mを形成する雄型を、無理抜きすることなく離型することができる。よって、キャップ部材1を形成するための成形金型を簡素化しつつ、無理抜き工程をなくすことでキャップ部材1の品質低下を抑制することができる。
本実施形態において、屈曲部29aは、内周壁21と、内周壁21よりも径方向の肉厚が薄い(図8の例では内周壁21の約2分の1の厚み)保持部29との境界部とされている。このような構成によって、曲げ易さが大きく異なる内周壁21と保持部29の境界部で容易に屈曲させて径方向内側に方向付けることができる。
なお、屈曲部29aは、上述の構成に限定されず、内周壁21と保持部29の境界部の肉厚のみを局所的に薄く構成してもよい。
以上述べたように、本実施形態は、口部4と、口部4の下端部に連なり錠剤Jの収容空間Sを形成する胴部5と、胴部5の下端部を閉塞する底部6とを備える容器本体2と、口部4に着脱自在なキャップ部材1とを備え、キャップ部材1は、口部4の外面を径方向外側から囲む外周壁11と、外周壁11の上端部に連なり口部4を上方から覆う天壁13と、外周壁11の径方向内側において天壁13から下方に垂下する内周壁21と、内周壁21から径方向内側に延在し錠剤Jを保持する保持部29とを有し、外周壁11、天壁13、内周壁21及び保持部29は、一体形成されるように構成した。このような構成の採用によって、キャップ部材1に形成した計量空間M内に所定数量の錠剤Jを充填してから取り出すことができるので、必要以上の錠剤Jを取り出した後に容器本体2内に戻すことがない。従って、衛生上の問題を抑制することができる。また、外周壁11、天壁13、内周壁21及び保持部29を一体形成することで錠剤容器100の組み立て工程を簡素化することができる。
また、本実施形態では、保持部29は、複数の錠剤Jを保持可能であり、保持する錠剤J毎に周方向に分離して設けられるように構成した。このような構成の採用によって、キャップ部材1を射出成形等により形成する際に、計量空間Mを形成する雄型を、保持部29を下方に弾性変形させつつ無理抜きにより離型することができる。よって、キャップ部材1を形成するための成形金型を簡素化することができる。
また、本実施形態では、保持部29は、径方向内側に向かって下方に傾斜するように構成した。このような構成の採用によって、計量された錠剤Jの一部を使用せずに計量空間M内に残したままキャップ部材1を容器本体2に装着した場合でも、保持部29の傾斜により、計量空間M内の錠剤Jを開口部23aを通して収容空間S内に戻すことができる。
また、本実施形態では、保持部29は、屈曲部29aを介して内周壁21に連なるように構成した。このような構成の採用によって、キャップ部材1を射出成形等により形成する際に、計量空間Mを形成する雄型を、無理抜きすることなく離型することができる。よって、キャップ部材1を形成するための成形金型を簡素化しつつ、無理抜き工程をなくすことでキャップ部材1の品質低下を抑制することができる。
次に、本開示の第2実施形態に係る錠剤容器200について詳細に例示説明する。錠剤容器200は、キャップ部材101と容器本体2とを備えている。
なお、本実施形態に係る錠剤容器200は、第1実施形態と比較して、(1)キャップ部材101の天壁113と容器本体2の口部4との間をパッキンPによりシールしている点、(2)キャップ部材101の保持部129が、第1保持領域を構成する第1保持部129a、及び第2保持領域を構成する第2保持部129bとを有している点、(3)保持部129と対向する天壁113の下面に錠剤Jが入り込む凹部115a,115bが設けられている点、(4)第2保持部129bの周方向両側には、上方に延びると共に錠剤Jの周方向への移動を規制する規制壁127が設けられている点、を除いて第1実施形態と近似している。従って、ここでは、第1実施形態との差異点を中心に説明する。また、第1実施形態と構成が近似する容器本体2には同一の符号を付して説明する。
本実施形態のキャップ部材101は、図9に示すように、口部4の外面を径方向外側から囲む外周壁111と、外周壁111の上端部に連なり口部4を上方から覆う天壁113と、外周壁111の径方向内側において天壁113から下方に垂下する内周壁121と、内周壁121の下端部から径方向内側に延在し錠剤Jを保持する保持部129とを備える有頂筒状形状を有している。外周壁111の内面には、容器本体2の雄ねじ部4aに係合可能な雌ねじ部111aが形成されており、雌ねじ部111aが雄ねじ部4aに対してねじ係合することでキャップ部材101は、容器本体2の口部4に固定可能である。また、口部4の上端部がパッキンPを介して天壁113の下面に当接することにより、容器本体2の収容空間Sは外部に対してシールされている。
本実施形態において、上述のキャップ部材101における外周壁111、天壁113、内周壁121及び保持部129は、第1実施形態と同様に、射出成形等により一体形成している。
本実施形態では、図9における内周壁121、天壁123、及び保持部129で囲まれた領域が、錠剤Jの計量空間Mを画定している。すなわち、利用者は、図12に示すように、収容空間S内の錠剤Jを、容器本体2から取り外したキャップ部材101の開口部123aを通して計量空間Mに充填し、保持部129に支持された錠剤Jを所定量として計量することができる(後述する図13及び図17参照)。
本実施形態では、保持部129は、図9及び図10に示すように、第1保持部129aと第2保持部129bとを備えている。第1保持部129aは、保持部129の第1保持領域を構成する部位である。すなわち、図10において、右半分に配置された3つの舌片を有する第1保持部129aと、内周壁121と、天壁113により画定される領域が第1保持領域である。また、図10において、左半分に配置された1つの舌片を有する第2保持部129bと、内周壁121と、天壁113により画定される領域が第2保持領域である。なお、図10及び図11は、開口部123aが上向きになるように置いたキャップ部材101を示しており、第1保持部129aに所定量(3つ)の錠剤Jが計量され保持された状態として描かれている。第1保持部129aは、図10の右半分における周方向の3箇所に等間隔(約50度間隔)で設けられている。図10及び図11の例では、第1保持部129aは、3つの錠剤Jを保持可能であり、保持する錠剤J毎に周方向に分離して設けられている。一方、第2保持部129bは、図10の左半分における周方向の1箇所に設けられている。後述する図14及び図15の例では、第2保持部129bは、1つの錠剤Jを保持可能である。第1保持部129aと第2保持部129bは、内周壁121の下端部から径方向内側に延在する舌片として形成されている。
キャップ部材101の外周壁111には、利用者が第1保持領域及び第2保持領域の周方向位置を容易に認識するための位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bが設けられている。位置合わせマークA112aは、第1保持領域を構成する第1保持部129aが設けられている周方向位置の略中央位置に設けられている。図10の例では、3つの錠剤Jを計量する第1保持領域には、径方向外側に突出する突部が周方向に3つ並べて形成されている。3つの突部は、図10に示すように、その最外端が、外周壁111の外周面と概ね同一半径位置となるように突部の根元部分が外周壁111の外周面から径方向内側に凹んでいる。このような構成によって、キャップ部材101の操作に与える影響を最小限に留めることができる。
また、位置合わせマークB112bは、第2保持領域を構成する第2保持部129bが設けられている周方向位置の略中央位置に設けられている。図10の例では、1つの錠剤Jを計量する第2保持領域には、径方向外側に突出する突部が1箇所のみに形成されている。このように、図10の例では、利用者が外周壁111に形成された突部の数により、保持可能な錠剤Jの数量を認識することができる。
なお、位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bは、上述の態様には限定されない。位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bは、例えば天壁113における外縁部に設けるなど、保持部129を直接視認できない場合でも位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bを確認することで第1保持領域及び第2保持領域の周方向位置を認識することができればよい。また、位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bの形状は、必ずしも各保持領域で保持可能な錠剤Jの数量に対応していなくてもよい。さらに、位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bは、彫刻や模様、文字等で表示してもよい。
本実施形態では、図10及び図11等に示すように、錠剤Jが保持される領域における天壁113の下面(図11における天壁113の上面)には、錠剤Jが入り込む凹部115a,115bが設けられている。凹部115a,115bは、図11に示すように、開口部123aが上向きになるようにキャップ部材101を配置したときに錠剤Jの上部(図11における錠剤Jの下部)の一部が入り込む。この凹部115a,115bを設けることによって、例えば図10及び図11に示す錠剤Jを保持している状態において、錠剤Jの一部が凹部115a,115bに入り込むことによって錠剤Jが計量空間M内で水平方向に動きにくいようにして、安定的に保持することができる。
このように、本実施形態では、キャップ部材101が、保持する錠剤Jの数量が異なる2つの保持領域を備えている。このような構成によって、1つのキャップ部材101で異なる数量の錠剤Jを計量することができる。
第1保持部129a及び第2保持部129bの径方向の寸法は、図10に示すように、錠剤Jの半径よりも大きいことが好ましい。このような構成によって、錠剤Jの重心位置を第1保持部129a及び第2保持部129bにより支持することができるので、所定量の錠剤Jを安定的に保持することができる。
本実施形態では、第1保持部129aは、保持する錠剤J毎に周方向に分離して設けられているので、第1保持部129aに力を作用して図9の下方に変位させようとする際に、隣接する第1保持部129aによって周方向に引っ張られて下方への変位が妨げられることがない。従って、キャップ部材101を射出成形等により形成する際に、計量空間Mを形成する雄型を、第1保持部129aを下方に弾性変形させつつ無理抜きにより離型することができる。よって、キャップ部材101を形成するための成形金型を簡素化することができる。なお、第1保持部129aと第2保持部129bは周方向に離間しているため、第2保持部129bについても容易に下方に弾性変形させつつ雄型を無理抜きにより離型することができる。
次に、図9に示す錠剤容器200を用いて、所定量の錠剤Jを計量して使用する手順について詳説する。
上記構成を有する錠剤容器200を利用するに際しては、利用者はまず、図9の状態からキャップ部材101の外周壁111を把持して中心軸線O周りに回動させ、キャップ部材101を口部4から取り外す。次に利用者は、図12に示すように、取り外したキャップ部材101の天壁113側が下方を向くように上下反転させて手のひらや机等の上に置き、容器本体2の胴部5を把持しながら90度以上傾倒させる。これによって、収容空間S内の内容物である錠剤Jは、口部4から排出されてキャップ部材101の開口部123aから計量空間M内に充填される。
次に利用者は、容器本体2を再び正立姿勢に戻した後、手のひらや机等に置かれているキャップ部材101をそのままの姿勢で持ち上げて口部4の上方まで移動させる。利用者は、第1保持部129aの位置が第2保持部129bの位置よりも下方に位置するように位置合わせマークA112aを確認しながら、キャップ部材101を図12の紙面に垂直な軸線周りに図12の時計回りに回転させる。そして、図13に示すように、位置合わせマークA112aが下方に位置し、開口部123aが水平方向よりもやや下向きに方向付けられる姿勢までキャップ部材101を回転させる。これによって、第1保持部129aに位置する錠剤Jは、第1保持部129aと天壁113との間の第1保持領域に保持される一方、第1保持領域以外の領域に位置する錠剤Jは、計量空間Mから開口部123aを通って脱落して容器本体2内に落下する。以上の手順によって、第1保持部129aに位置する3つの錠剤Jのみが計量空間M内に保持される一方、他の領域の錠剤Jは計量空間Mから排除されるため、第1保持部129aの大きさ(舌片の数)に対応した所定量の錠剤Jを計量することができる。その後の、計量された錠剤Jをキャップ部材101から取り出す手順は、第1実施形態における図5Aから図6を用いて説明した手順と略同一である。すなわち、図13において第1保持領域に保持された錠剤Jは、キャップ部材101を中心軸線O周りに回転させて、保持された錠剤Jが第1保持部129aと第2保持部129bの間に形成された開口部123aに達すると、計量空間Mから脱落して取り出すことができる。
図14及び図15は、開口部123aが上向きになるように置いたキャップ部材101を示しており、第2保持領域を構成する第2保持部129bに所定量(1つ)の錠剤Jが計量され保持された状態として描かれている。第2保持部129bは、図14の左半分における周方向の1箇所に設けられている。第2保持部129bは、1つの錠剤Jを保持可能である。第2保持部129bは、第1保持部129aと同様に、内周壁121の下端部から径方向内側に延在する舌片として形成されている。
本実施形態では、第2保持領域についても、図15及び図16に示すように、錠剤Jが保持される領域における天壁113の下面(図16における天壁113の上面)には、錠剤Jが入り込む凹部115bが設けられている。凹部115bは、図16に示すように、天壁113が下側になるようにキャップ部材101を配置したときに錠剤Jの上部(図16における錠剤Jの下部)の一部が入り込む。この凹部115bを設けることによって、例えば図15に示す錠剤Jを保持している状態において、錠剤Jの一部が凹部115bに入り込むことによって錠剤Jが計量空間M内で水平方向に動きにくいようにして、安定的に保持することができる。
本実施形態では、第2保持領域において、第2保持部129bから上方(図16の下方)に延び、錠剤Jの周方向への移動を規制する規制壁127が設けられている。この規制壁127の採用により、後述する錠剤Jの計量時において(図17及び図18参照)、錠剤Jが第2保持領域から周方向に動いて保持領域から外れてしまうのを抑制することができる。
第2保持領域に錠剤Jを保持するためには、図12に示す状態から計量空間M内に錠剤Jを充填した後、容器本体2を再び正立姿勢に戻し、手のひらや机等に置かれているキャップ部材101を中心軸線O周りに180度回した後、持ち上げて口部4の上方まで移動させる。利用者は、第2保持部129bの位置が第1保持部129aの位置よりも下方に位置するように、位置合わせマークB112bを確認しながら、キャップ部材101を図12の紙面に垂直な軸線周りに図12の時計回りに回転させる。そして、図17に示すように、位置合わせマークB112bが下方に位置し、開口部123aが水平方向よりもやや下向きに方向付けられる姿勢までキャップ部材101を回転させる。これによって、第2保持部129bに位置する錠剤Jは、第2保持部129bと天壁113との間の第2保持領域に保持される一方、第2保持領域以外の領域に位置する錠剤Jは、計量空間Mから開口部123aを通って脱落して容器本体2内に落下する。以上の手順によって、第2保持部129bに位置する1つの錠剤Jのみが計量空間M内に保持される一方、他の領域の錠剤Jは計量空間Mから排除されるため、第2保持部129bの大きさ(舌片の数)に対応した所定量の錠剤Jを計量することができる。
なお、図17に示す状態において、第2保持領域内の錠剤Jは、第2保持部129bに当接し、第2保持部129bに形成された規制壁127(図18参照)により周方向への移動を規制されている。本実施形態では、第2保持領域は1つの錠剤Jを計量するため、錠剤Jが周方向に動き易く第2保持領域から外れ易い傾向にあったが、規制壁127の採用によって、図17に示す計量時において錠剤Jが第2保持領域から脱落するのを抑制することができる。一方、第1保持領域による計量では、3つの錠剤Jのうち、両端の錠剤Jは、中央の錠剤J側に集まるように重力が作用するため、必ずしも規制壁127を設けなくてもよい。
位置合わせマークA112a、及び位置合わせマークB112bの形状は、図10に示すものの他、例えば、図19に示すように、外周壁111の外周面から更に径方向外側に突出するように構成してもよい。この構成によって、利用者が位置合わせマークA112a、及び位置合わせマークB112bを直視しなくても、手で触れたときの感触等により比較的容易に認識することができる。また、利用者がキャップ部材101を取り外す際に、位置合わせマークA112a、及び位置合わせマークB112bに手を掛けることにより外周壁111を把持し易くすることができる。
以上述べたように、本実施形態では、保持部129の少なくとも一部(第2保持部129b)には、保持部129から上方に延び錠剤Jの周方向への移動を規制する規制壁127が設けられるように構成した。このような構成の採用によって、錠剤Jの計量時において錠剤Jが保持領域から脱落するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、天壁113は、錠剤Jの一部が入り込む凹部115a,115bを有するように構成した。このような構成の採用によって、錠剤Jを保持している状態において、錠剤Jの一部が凹部115a,115bに入り込むことによって錠剤Jが計量空間M内で動きにくいようにして、安定的に保持することができる。
また、本実施形態では、保持する錠剤Jの数量が異なる複数の保持領域(第1保持領域及び第2保持領域)を有するように構成した。このような構成の採用によって、1つのキャップ部材101で異なる数量の錠剤Jを計量することができる。
また、本実施形態では、キャップ部材101の外周壁111には、複数の保持領域(第1保持領域及び第2保持領域)の各保持領域に対応する周方向位置に、位置合わせマークA112a,位置合わせマークB112bが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、保持部129を直接視認できない場合でも位置合わせマークA112a及び位置合わせマークB112bを確認することで第1保持領域及び第2保持領域の周方向位置を認識することができる。
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、第1及び第2実施形態では、保持部29,129は、複数の錠剤Jを保持可能であり、保持する錠剤J毎に周方向に分離して設けられるように構成したが、この態様には限定されない。保持部29,129は、複数の錠剤Jを保持可能であり、且つ周方向に分離されない構成であってもよい。また、保持部29,129は、1つの錠剤Jのみを保持可能に構成されていてもよい。
また、第1及び第2実施形態では、保持部29,129が径方向内側に向かって下方に傾斜するように構成したが、この態様には限定されず、保持部29,129は他の方向に向かって傾斜してもよいし、傾斜していなくてもよい。
また、第1及び第2実施形態では、保持部29,及び第1保持部129aは、周方向に3つ並べられて3つの錠剤Jを保持できるように構成したが、この態様には限定されない。保持部29,及び第1保持部129aは、2つ又は4つ以上の錠剤Jを保持できるように構成してもよい。
また、第2実施形態では、規制壁127を第2保持部129bに設けるように構成したが、この態様には限定されない。規制壁127は、第1実施形態の保持部29又は第2実施形態の第1保持部129aに設けるようにしてもよい。