以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下では、端子部の挿入孔への挿入方向をZ方向(上下方向:第1方向)とし、固定接点と可動接点とが対向する方向をX方向(前後方向:第2方向)とし、X方向およびZ方向と直交する方向をY方向(端子部の幅方向:第3方向)として説明する。
そして、挿入孔に挿入された端子部の先端がケースから突出する方向を上下方向の下方とし、固定接点が配置されている側を前後方向の前方、可動接点が配置されている側を前後方向の後方として説明する。
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器1は、初期状態において接点オフとなる所謂常開型のものであり、図2に示すように、上部に位置する電磁石装置(駆動部)20と下部に位置する接点装置30と、を備えている。そして、この電磁石装置20および接点装置30は、樹脂材料によって中空箱型に形成されたケース10内に収納されている。なお、初期状態において接点オンとなる所謂常閉型の電磁継電器を用いることも可能である。
ケース10は、ベース110とカバー120とを備えており、実質的に直方体形状の外側表面を有している。そして、カバー120をベース110に取り付けた状態で形成されるケース10の内部空間S1内に、電磁石装置20および接点装置30が収容されている。
なお、ケース10の外側表面の形状は、直方体形状に限られるものではなく、いかなる形状をしていてもよい。
ベース110は、略水平面(Z方向と交差する方向:XY平面)に沿うように延在する略矩形板状の基台部111を備えている(図3参照)。また、ベース110は、基台部111の周縁から上方に向けて延設された上側周壁112と、基台部111の周縁から下方に向けて延設された下側周壁113と、を備えている(図2参照)。
そして、上側周壁112の上部に電磁石装置20が載置されており、下側周壁113により画成される空間内に接点装置30が収容されている(図2および図4参照)。
一方、カバー120は、下方に開口する略箱形状の上側カバー121と、上方に開口する略箱形状の下側カバー122と、を備えている。そして、上側カバー121が上方からベース110に取り付けられており、この上側カバー121によって電磁石装置20が覆われるようにしている。また、下側カバー122が下方からベース110に取り付けられており、この下側カバー122によって接点装置30が覆われるようにしている。
本実施形態では、上側カバー121の下端に形成された係合孔121aをベース110の側面に形成された係合突部110aに係合させることで、上側カバー121がベース110に取り付けられている(図1および図2参照)。同様に、下側カバー122の上端に形成された係合孔122aをベース110の側面に形成された係合突部110bに係合させることで、下側カバー122がベース110に取り付けられている。
このように、本実施形態では、ケース10の内部空間S1が、ベース110の基台部111によって上下に2分割されている。すなわち、ケース10の内部空間S1は、基台部111の上方に形成されて電磁石装置20が収容される空間S2と、基台部111の下方に形成されて接点装置30が収容される空間S3とに分割されている(図3参照)。
さらに、本実施形態では、ベース110は、複数(本実施形態では、3つ)の仕切り壁114を備えている。各仕切り壁114は、基台部111の下面から下方に向けて延設されており、Y方向(幅方向)の両端が下側周壁113にそれぞれ連設されている。
したがって、下側周壁113により画成される空間は、3つの仕切り壁114によって、X方向(前後方向)に並ぶ4つの空間S4に分割されることになる。そして、それぞれの空間S4には、固定接点部(第1接点部)310と可動接点部(第2接点部)320との組が1組ずつ収容されている(図4参照)。
このように、本実施形態では、接点装置30は、互いに対になる(互いに接離する接点を有する)固定接点部310と可動接点部320との組を4組備えている。
電磁石装置(駆動部)20は、電磁力を発生させる装置であり、通電されることで磁束を発生させるコイル210と、コイル210が巻回される中空円筒状のコイルボビン220と、を備えている(図2参照)。
コイル210としては、例えば、導線を用いることができる。また、コイルボビン220は、絶縁材料である樹脂によって形成されており、このコイルボビン220の中央部には前後方向(X方向)に貫通する挿通孔220aが形成されている(図3参照)。そして、コイルボビン220は、外表面にコイル210が巻回される略円筒状の巻胴部221と、巻胴部221の前端に連設されて、巻胴部221の径方向外側に突出した略円形の前側フランジ部222と、を備えている。さらに、コイルボビン220は、巻胴部221の後端に連設されて、巻胴部221の径方向外側に突出した略円形の後側フランジ部223を備えている。
また、電磁石装置20は、コイルボビン220の円筒内部(挿通孔220a内)に挿入され、通電されたコイル230によって磁化される(磁束が通過する)鉄芯(固定側部材)230を備えている。
鉄芯230は、X方向(前後方向)に延在する略円柱状の軸部231と、軸部231よりも大径に形成されて、軸部231の前端に連設される略円柱状の頭部232と、を備えている(図3参照)。本実施形態では、軸部231は、外径がコイルボビン220に形成された挿通孔220aの内径とほぼ同径となるように形成されており、頭部232は、外径が挿通孔220aの内径よりも大径となるように形成されている。
そして、軸部231の先端(後端)を挿通孔220aに前方から挿入することで、鉄芯230をコイルボビン220の内側に配置させている。このとき、鉄芯230は、軸部231の先端(後端)がコイルボビン220の後側フランジ部223よりも後方に突出し、頭部232の前端がコイルボビン220の前側フランジ部222よりも前方に突出した状態で、コイルボビン220の挿通孔220aに挿通されている。
さらに、電磁石装置20は、鉄芯230の頭部232と前後方向(X方向)で対向するように配置される接極子(可動側部材)240を備えている。
接極子240は、導電性を有する金属で形成されており、鉄芯230の頭部232に対して、前後方向(X方向)に揺動できるように配置されている。本実施形態では、この接極子240は、鉄芯230の頭部232と前後方向(X方向)で対向する本体部241と、本体部241のY方向(幅方向)中央部の下端から下方に延びるように延設されたカード242と、を備えている(図2および図3参照)。なお、カード242は、接極子240の前後方向(X方向)への揺動に伴って、後述する移動体330を前後方向(X方向)に移動させるものである。
また、電磁石装置20は、巻胴部221に巻回されたコイル210の周囲に配置される継鉄250を備えている。この継鉄250は、磁性材料からなる略板状の部材で、側面視(Y方向に沿って視た状態)で略L字状をしている。すなわち、本実施形態では、継鉄250は、巻胴部221に巻回されたコイル210の下方に略水平面に沿って延在するように配置される水平壁部251と、水平壁部251の後端から上方に立ち上がるように延設された鉛直壁部252と、を備えている(図3参照)。このような継鉄250は、例えば、一枚の板を折曲することにより形成することができる。
そして、水平壁部251の前後方向(X方向)の前端に、接極子240の本体部241の下端が、前後方向(X方向)に揺動できるように取り付けられている。こうすることで、接極子240が、継鉄250に支持された部位を中心として前後方向(X方向)に回動できるようにしている。
さらに、本実施形態では、電磁石装置20は、接極子240と継鉄250とに亘って取り付けられるヒンジばね260を備えており、接極子240が、このヒンジばね260によって、本体部241が鉄芯230の頭部232から離れる方向に付勢されるようにしている(図3参照)。
また、鉛直壁部252には、前後方向(X方向)に貫通する貫通孔252aが形成されており、この貫通孔252aには鉄芯230の軸部231の先端(後端)が挿入(圧入)されている。
さらに、電磁石装置20は、コイルボビン220に固定され、コイル210の両端がそれぞれ接続される一対のコイル端子270を備えており、この一対のコイル端子270を介してコイル210に通電することで電磁石装置20が駆動されるようにしている。
具体的には、コイル210に通電することで接極子240の本体部241が鉄芯230の頭部232に吸引されるようにし、本体部241が鉄芯230の頭部232に近づくように接極子240を回動させるようにしている。すなわち、一対のコイル端子270を介してコイル210に通電することで、接極子240の本体部241がX方向(前後方向)の後方に回動するようにしている。このとき、本体部241に連設されたカード242は、X方向(前後方向)の前方に回動することになる。
この接極子240の揺動範囲は、本実施形態では、本体部241が鉄芯230の頭部232から所定の間隙だけ前方に離間配置された初期位置(本体部241が鉄芯230の頭部232から最も離れた位置)と、本体部241が鉄芯230の頭部232に当接する当接位置(本体部241が鉄芯230の頭部232に最も近づいた位置)との間に設定されている。
したがって、本実施形態では、コイル210に通電すると、接極子240は、本体部241が鉄芯230の頭部232に当接する当接位置まで移動し、コイル210への通電を停止すると、ヒンジばね260の付勢力により初期位置に復帰することになる。
このように、本実施形態にかかる接極子240は、コイル210の非通電時には、所定の間隙を介して鉄芯230の頭部232に対向配置されるとともに、コイル210の通電時には、鉄芯230の頭部232側に吸引されるように揺動するものである。
そして、この電磁石装置20の駆動状態を切り替えることで、互いに対になる(互いに接離する接点を有する)固定接点部310と可動接点部320との導通、非導通を切り替えることができるようにしている。
本実施形態では、電磁石装置20の下方に、コイル210の通電の入切に応じて接点を開閉する接点装置30が設けられている。
接点装置30は、上述したように、互いに対になる(互いに接離する接点を有する)固定接点部310と可動接点部320との組を4組備えている(図4参照)。
本実施形態では、互いに接離する接点を有する固定接点部310と可動接点部320との組は、一対の固定接点部310と、1つの可動接点部320とで構成されている。
具体的には、同一形状をした2つの固定接点部310を、一対の固定接点部310としている。そして、対になる2つの固定接点部310が、Y方向(幅方向)に離間した状態で下側カバー122(ケース10)に固定されている。
それぞれの固定接点部310は、1つの固定接点311が形成された本体部312を備えている(図5参照)。本実施形態では、本体部312に板厚方向に貫通するように形成された挿通孔312cに固定接点となる予定の部材を挿入し、リベット接合を施すことで、本体部312に固定接点311が形成されるようにしている(図11参照)。なお、本体部312への固定接点311の形成は、リベット接合により行う必要はなく、様々な方法により行うことができる。例えば、本体部312にダボ加工を施すことで突出させた部位を固定接点として機能させることも可能である。また、本体部312の平坦な表面の一部に可動接点321を接触させる構成とすることで、本体部312の平坦な表面の一部を固定接点として機能させることも可能である。
また、固定接点部310は、本体部312の下端に連設され、先端を下側カバー122(ケース10)の外方(下方)に突出させた状態で下側カバー122(ケース10)に固定される端子部313を備えている。
本実施形態では、下側カバー122には、Z方向(上下方向)に貫通する挿入孔123が形成されている。そして、この挿入孔123に端子部313の先端(下端)を上方から挿入して、端子部313の先端(下端)を下側カバー122の外方(下方)に突出させた状態で、固定接点部310が下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている(図11および図12参照)。
このとき、固定接点部310は、固定接点311がX方向(前後方向)の後方を向くようにした状態で下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている。すなわち、固定接点部310は、本体部312の固定接点311が形成された側の面(後面:第1の面:可動接点321と対向する側の面)312aが後方を向くようにした状態で下側カバー122(ケース10)に固定されている。
なお、固定接点311、本体部312および端子部313は、例えば、銅系材料等の導電性材料によって形成することができる。
一方、1つの可動接点部320は、Y方向(幅方向)に並設された一対の可動接点321が形成された1つの可動接触子322を備えている(図4参照)。
本実施形態では、略矩形板状の可動接触子322の長手方向の両側に板厚方向に貫通するように形成された挿通孔322dに可動接点となる予定の部材を挿入してリベット接合を施すことで、可動接触子322に可動接点321が形成されるようにしている(図11参照)。なお、可動接触子322への可動接点321の形成は、リベット接合により行う必要はなく、様々な方法により行うことができる。例えば、可動接触子322にダボ加工を施すことで突出させた部位を可動接点として機能させることも可能である。また、可動接触子322の平坦な表面の一部を固定接点311と接触させる構成とすることで、可動接触子322の平坦な表面の一部を可動接点として機能させることも可能である。
そして、1つの可動接点部320は、板厚方向をX方向(前後方向)に略一致させつつ長手方向をY方向(幅方向)に略一致させた状態で、対になる2つの固定接点部310よりもX方向(前後方向)の後方に位置するように配置されている(図7および図8参照)。このとき、可動接点部320は、可動接点321を固定接点311にX方向(前後方向)で対向させた状態で配置されるようにしている。具体的には、可動接触子322は、Y方向(幅方向)の一方側に形成された可動接点321が、Y方向(幅方向)の一方側に配置された固定接点部310の固定接点311とX方向(前後方向)で対向するように配置されている。同様に、可動接触子322は、Y方向(幅方向)の他方側に形成された可動接点321が、Y方向(幅方向)の他方側に配置された固定接点部310の固定接点311とX方向(前後方向)で対向するように配置されている。
なお、可動接点321および可動接触子322は、例えば、銅系材料等の導電性材料によって形成することができる。
そして、このような構成をした一対の固定接点部310と、1つの可動接点部320とで構成される組が、上述した4つの空間S4内にそれぞれ収容されている(図4参照)。
ここで、各可動接点部320は、同じ組の一対の固定接点部310に対してX方向(前後方向)に相対的に往復移動できるように、空間S4内に配置されている。
具体的には、接点装置30が接極子240の揺動に伴ってX方向(前後方向)に往復動する移動体330を備えている。そして、この移動体330に各可動接点部320を保持させることで、各可動接点部320が、同じ組の一対の固定接点部310に対してX方向(前後方向)に相対的に往復移動するようにしている。
本実施形態では、移動体330は、下方に開口するホルダ部331と、ホルダ部331の開口を下方から覆うカバー部332と、ホルダ部331に保持されて、可動接触子322を前方(固定接点311側)に向けて押圧するコイルばね333と、を備えている。
ホルダ部331は、X方向(前後方向)に細長い天壁3311と、天壁3311の下面から下方かつY方向(幅方向)に延在するように連設された複数の仕切り壁3312と、を備えている。さらに、ホルダ部331は、各仕切り壁3312のY方向(幅方向)両端からX方向(前後方向)に延在するように連設された周壁3313を備えている。
本実施形態では、天壁3311には、X方向(前後方向)の両端縁に連設された2つの仕切り壁3312と、当該2つの仕切り壁3312の間に形成された5つの仕切り壁3312とが、X方向(前後方向)に離間した状態で形成されている(図4参照)。
そして、所定の距離を開けた状態(可動接触子322およびコイルばね333を収容することができる程度の空隙が形成された状態)で互いに隣り合うように配置された2つの仕切り壁3312のY方向(幅方向)の両端からは、周壁3313がそれぞれ相手側の仕切り壁3312に向けて延びるように連設されている。このとき、相手側の仕切り壁3312に向けて延設された周壁3313は、先端同士がX方向(前後方向)に離間した状態で対向しており、互いに対向する周壁3313の先端同士の間には、可動接触子322を挿入することができる程度の隙間が形成されるようにしている。
こうすることで、ホルダ部331に、下方およびY方向(幅方向)の両側に開口する空間S5が形成されるようにしている。この空間S5は、可動接触子322のY方向(幅方向)の中央部およびコイルばね333が収容される空間であり、ホルダ部331にカバー部332を組み付けた状態では、下方がカバー部332によって画成される空間である。すなわち、移動体330には、天壁3311、仕切り壁3312、周壁3313およびカバー部332により画成されて、Y方向(幅方向)の両側の一部が開口する空間S5が形成されている。
本実施形態では、移動体330には、4つの空間S5がX方向(前後方向)に並ぶように形成されており、各空間S5内には、1つのコイルばね333がそれぞれ収容されている。さらに、各空間S5内には、1つの可動接触子322が、可動接点321が形成された部位(Y方向(幅方向)の両端部)を空間S5の外方に突出させた状態でそれぞれ収容されている。このとき、コイルばね333によって可動接触子322がX方向(前後方向)の前方に付勢されるようにしている。
なお、本実施形態では、可動接触子322のY方向(幅方向)の中央部には、後方に突出するばね受け322aが形成されている。そして、可動接触子322のY方向(幅方向)の中央部およびコイルばね333は、コイルばね333をばね受け322aで保持した状態で、空間S5内に収容されている。
このばね受け322aは、本実施形態では、可動接触子322にダボ加工を施すことで形成されているが、他の方法によりばね受け322aを形成することも可能である。
また、周壁3313の下端には、可動接触子322の下端に形成された凹部322bに係合する突起3313aが形成されている。そして、突起3313aを凹部322bに係合させることで、可動接触子322が移動体330から外れてしまうことが抑制されるようにしている(図6から図8参照)。
さらに、本実施形態では、可動接触子322は、移動体330に対してX方向(前後方向)に相対移動できるようにした状態で保持されている。そして、可動接触子322の上端には、ホルダ部331の天壁3311が挿入される凹部322cが形成されており、天壁3311を凹部322cに挿入させた状態で、可動接触子322が移動体330に対してX方向(前後方向)に相対移動するようにしている。このように、本実施形態では、可動接触子322は、天壁3311にガイドされながら移動体330に対してX方向(前後方向)に相対移動するようにしている。
この移動体330は、可動接触子322およびコイルばね333を保持した状態で、ベース110の下側周壁113により画成される空間内に配置されている。本実施形態では、下側周壁113により画成される空間を4つの空間S4に分割する3つの仕切り壁114のY方向(幅方向)の中央部に切り欠き114aが設けられている。そして、移動体330は、この切り欠き114aに一部が収容された状態で、下側周壁113により画成される空間内に配置されている。
さらに、移動体330は、天壁3311の上面から上方に突出するように連設された突出壁3314を備えている。本実施形態では、突出壁3314は、天壁3311のX方向(前後方向)の前端部に形成されており、この突出壁3314の内部には、上方に開口する開口部3314aを有する空間が形成されている(図3参照)。
そして、ベース110の基台部111には、突出壁3314を挿通させる開口部111aが形成されており、移動体330を下側周壁113により画成される空間内に配置した状態で、突出壁3314の先端が基台部111よりも上方に突出するようにしている。こうすることで、突出壁3314の内部空間に接極子240のカード242が挿入されるようにしている。このように、突出壁3314の内部空間に接極子240のカード242を挿入させることで、接極子240の前後方向(X方向)への揺動に伴って、移動体330が前後方向(X方向)に移動するようにしている。
また、移動体330は、天壁3311の上面から上方に突出するように連設された押圧部3315を備えている。本実施形態では、押圧部3315は、天壁3311のX方向(前後方向)の後端部に形成されている。
そして、ベース110の基台部111には、押圧部3315を挿通させる開口部111bが形成されており、移動体330を下側周壁113により画成される空間内に配置した状態で、押圧壁3315の先端が基台部111よりも上方に突出するようにしている。この押圧部3315は、移動体330の移動に伴って前後方向(X方向)に移動するように構成されており、後述する補助接点部340の補助可動接点部342を押圧するものである。
上述したように、本実施形態では、接点装置30が補助接点部340を備えている。この補助接点部340は、例えば、互いに接離可能な固定接点311と可動接点321とが溶着しているか否かの検知に用いられるものである。
補助接点部340は、互いに接離する補助接点を有する補助固定接点部341と補助可動接点部342との組を1組備えている。
本実施形態では、互いに接離する補助接点を有する補助固定接点部341と補助可動接点部342との組は、一対の補助固定接点部341と、1つの可動接点部342とで構成されている(図9および図10参照)。
具体的には、略同一形状をした2つの補助固定接点部341を、一対の補助固定接点部341としている。そして、対になる2つの補助固定接点部341が、Y方向(幅方向)に離間した状態で下側カバー122(ケース10)に固定されている。
一方の補助固定接点部341は、1つの固定接点341cが形成された本体部341aを備えている。この本体部341aへの補助固定接点341cの形成は、リベット接合等、様々な方法により行うことができる。
他方の補助固定接点部341は、補助可動接点部342の補助可動接触子342aが固定される本体部341aを備えている。この本体部341aへの補助可動接触子342aの固定も、リベット接合等、様々な方法により行うことができる。
また、一対の補助固定接点部341は、それぞれ、本体部341aの下端に連設され、先端を下側カバー122(ケース10)の外方(下方)に突出させた状態で下側カバー122(ケース10)に固定される補助端子部341bを備えている。
本実施形態では、一方の補助固定接点部341は、補助固定接点341cが形成された側の面が、X方向(前後方向)の前方を向くようにした状態で下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている。また、他方の補助固定接点部341は、補助可動接触子342aが固定される側の面が、X方向(前後方向)の前方を向くようにした状態で下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている。
なお、補助固定接点341c、本体部341aおよび補助端子部341bは、例えば、銅系材料等の導電性材料によって形成することができる。
一方、1つの補助可動接点部342は、Z方向(上下方向)に並設された一対の補助可動接点342bが形成された1つの補助可動接触子342aを備えている。補助可動接触子342aへの補助可動接点342bの形成は、リベット接合等、様々な方法により行うことができる。なお、補助可動接点342bおよび補助可動接触子342aも、例えば、銅系材料等の導電性材料によって形成することができる。
本実施形態では、1つの補助可動接触子342aは、Y方向(幅方向)に細長い帯状部材をX方向(前後方向)に屈曲させた形状をしている。そして、Y方向(幅方向)の一方側(補助固定接点部341から離れる方向に屈曲させた側:補助固定接点341cと対向する側)が上下2つに分岐されており、分岐させたそれぞれの板状部分に1つの補助可動接点342bが形成されている。この板状部分への補助可動接点342bの形成も、リベット接合等、様々な方法により行うことができる。
そして、上下に分岐していないY方向(幅方向)の他方側(補助固定接点部341に近づく方向に屈曲させた側:補助固定接点341cが形成されていない本体部341aと対向する側)が、他方の補助固定接点部341の本体部341aに固定されている。このとき、補助可動接触子342aは、補助可動接点342bが形成された側がX方向(前後方向)に弾性変形できるように、他方の補助固定接点部341の本体部341aに固定されている。
ここで、本実施形態では、補助接点部340は、補助可動接触子342aが自由状態となっている場合には、補助可動接点342bが補助固定接点341cに接触しないように構成されている。そして、補助接点部340を下側カバー122(ケース10)に固定した状態で、補助可動接触子342aが移動体330の押圧部3315とX方向(前後方向)で対向するようにしている。
このとき、押圧部3315の前後方向(X方向)への移動に伴って、補助可動接触子342aも前後方向(X方向)に移動するようにしている。そして、押圧部3315の移動によって、補助可動接点342bと補助固定接点341cとの接触・離間が切り替えられるようにしている。
具体的には、コイル210が通電されていない状態(コイル210の通電が停止された状態)では、X方向(前後方向)の後方に位置する押圧部3315によって補助可動接触子342aが後方に押圧されて、補助可動接触子342aの可動接点342bが補助固定接点部341の固定接点341cに接触するようにしている。
一方、コイル210が通電された状態では、押圧部3315のX方向(前後方向)の前方への移動に伴って、補助可動接触子342aが自身の弾性復元力によりX方向(前後方向)の前方に移動するようにし、補助可動接触子342aの可動接点342bが補助固定接点部341の固定接点341cから離間するようにしている。
このような位置関係となるように補助接点部340および押圧部3315を配置することで、コイル210への通電・非通電の切り替えにより、補助可動接点342bと補助固定接点341cとの離間・接触が切り替えられるようにしている。
次に、上述の構成をした電磁継電器10(電磁石装置20および接点装置30)の動作の一例について説明する。
まず、コイル210が通電されていない状態では、ヒンジばね260の弾性力によって、接極子240の本体部241が鉄芯230の頭部232から離れる方向に移動している。このとき、接極子240のカード242がX方向(前後方向)の後方に位置することになるため、移動体330も、X方向(前後方向)の後方に位置することになる。すなわち、移動体330に保持された可動接点部320が固定接点部310から離れた状態となって、可動接点321が固定接点311から離反した状態となる(図7参照)。
このオフ状態からコイル210が通電されると、接極子240の本体部241が電磁力により後方(鉄芯230側)に吸引されて、ヒンジばね260の弾性力に抗して鉄芯230の頭部232に接近移動する。そして、この本体部241の後方(鉄芯230側)への回動に伴って、カード242が前方に回動し、カード242の前方への回動に伴って、移動体330が前方に移動(スライド)する。これにより、移動体330に保持された4つの可動接触子320が、互いに組となる固定接点部310に向けて前方に移動し、各可動接触子322の可動接点321が固定接点部310の固定接点311に接触する。こうすることで、1つの組内の一対の固定接点部310が同じ組内の1つの可動接点部320によって電気的に接続されることになる(図8参照)。
一方、コイル210への通電を停止すると、接極子240の本体部241がヒンジばね260の付勢力により前方(鉄芯230から離れる側)に回動して、初期位置に復帰する。
そして、この本体部241の前方への回動に伴って、カード242が後方に回動し、カード242の後方への回動に伴って、移動体330が後方に移動(スライド)する。これにより、移動体330に保持された4つの可動接触子320が、互いに組となる固定接点部310から離れるように後方に移動し、各可動接触子322の可動接点321が固定接点部310の固定接点311から離間する。こうすることで、1つの組内の一対の固定接点部310,310間の電気的な接続が解除される。
このように、本実施形態では、接極子240が初期位置にあるときは、各組の接点は、可動接点321と固定接点311とが互いに離間する第2位置となっている(図7参照)。一方、接極子240が当接位置にあるときは、各組の接点は、可動接点321と固定接点311とが接触する第1位置となっている(図8参照)。
したがって、コイル210を通電していない期間には、各組の一対の固定接点部310,310間が絶縁され、コイル210を通電している期間には、各組の一対の固定接点部310,310間が導通することになる。このように、本実施形態では、可動接点(第2接点)321は、第1位置と第2位置との間で、固定接点(第1接点)311に対して第2方向(X方向:前後方向)に相対的に往復移動できるように構成されている。
なお、コイル210が通電されていない状態(コイル210の通電が停止された状態)では、移動体330がX方向(前後方向)の後方に位置することになる。そのため、補助可動接触子342aが押圧部3315により後方に押圧されて、補助可動接触子342aの可動接点342bが補助固定接点部341の固定接点341cに接触した状態となっている。すなわち、一対の補助固定接点部341が補助可動接点部34によって電気的に接続された状態となっている。
一方、コイル210が通電された状態では、移動体330がX方向(前後方向)の前方に移動(スライド)することになる。このように、移動体330がX方向(前後方向)の前方に移動(スライド)すると、押圧部3315もX方向(前後方向)の前方に移動することになり、補助可動接触子342aが自身の弾性復元力によりX方向(前後方向)の前方に移動することになる。その結果、補助可動接触子342aの可動接点342bが補助固定接点部341の固定接点341cから離間し、一対の補助固定接点部341,341間の電気的な接続が解除される。
このように、本実施形態では、補助接点部340は、各組の一対の固定接点部310,310間が導通している状態では、一対の補助固定接点部341,341間が絶縁されるように構成されている。さらに、補助接点部340は、各組の一対の固定接点部310,310間が絶縁されている状態では、一対の補助固定接点部341,341間が導通するように構成されている。
このような補助接点部340は、例えば、互いに接離可能な固定接点311と可動接点321とが溶着しているか否かを検知するために用いることができる。
具体的には、互いに接離可能な固定接点311と可動接点321とが溶着していない場合、コイル210の通電が停止されると、移動体330が初期位置へと移動することができる。そのため、移動体330に形成された押圧部3315によって補助可動接触子342aが後方に押圧されて、補助可動接触子342aの可動接点342bが補助固定接点部341の固定接点341cに接触した状態となる。
しかしながら、互いに接離可能な固定接点311と可動接点321とが溶着している場合、コイル210の通電が停止されたとしても、移動体330が初期位置へと移動することができなくなってしまう。その結果、補助可動接触子342aが押圧部3315により押圧されず、補助可動接触子342aの可動接点342bが補助固定接点部341の固定接点341cから離間した状態が維持されてしまう。
したがって、本実施形態のような補助接点部340を設ければ、コイル210が通電されていない状態で、一対の補助固定接点部341,341間に電流が流れる場合には、互いに接離可能な固定接点311と可動接点321とが溶着していないと判断することができるようになる。
一方、コイル210が通電されていない状態で、一対の補助固定接点部341,341間に電流が流れていない場合には、互いに接離可能な固定接点311と可動接点321とが溶着していると判断することができるようになる。
ここで、本実施形態では、端子部313を有する固定接点部310が、より強固に下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている。
具体的には、下側カバー122の挿入孔123に挿入された端子部313を接着剤125により下側カバー122(ケース10)に固定することで、固定接点部310が、より強固に下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている(図11および図12参照)。
本実施形態では、端子部313の先端を上方から下側カバー122の挿入孔123に挿入し、端子部313の先端を下側カバー122の外方(下方)に突出させた状態で、下側カバー122の外面122b側から接着剤125を塗布するようにしている。
さらに、本実施形態では、下側カバー122の外面122bにおける挿入孔123が形成された部位の周囲に、接着剤125が収容される接着剤収容空間S6を形成している。
そのため、Z方向(上下方向)に貫通するように下側カバー122に形成された挿入孔123を画成する下側カバー122の内側面123cは、外側開口123a側で接着剤収容空間S6の内面S6aに連設されることになる。また、下側カバー122の内側面123cは、内側開口123b側で下側カバー122の内面122cに連設されることになる。このように、本実施形態では、接着剤収容空間S6の内面S6aが、下側カバー122の外面122bの一部を構成している。
そして、端子部313の先端を下側カバー122の外方(下方)に突出させた状態で、下側カバー122の外面122bに形成された接着剤収容空間S6内に接着剤125を塗布して硬化させるようにしている。すなわち、下側カバー122の外面122bに形成された接着剤収容空間S6内に塗布された接着剤125が硬化することで形成される接着固定部124によって、端子部313が下側カバー122(ケース10)に固定されるようにしている。
ここで、本実施形態では、挿入孔123に挿入された端子部313の外面313aと、当該端子部313の外面313aに対向する挿入孔123の内側面(ケースの面)123cとの間に空隙D1が形成される場合であっても、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ、端子部313をより強固に下側カバー122(ケース10)に固定できるようにしている。
すなわち、挿入孔123との間に空隙D1が形成されるような端子部313を有する固定接点部310を、接着剤125により下側カバー122(ケース10)に固定する場合に、空隙D1を通って、下側カバー122(ケース10)の内側に硬化前の接着剤125が侵入してしまうことが抑制されるようにしている。
本実施形態では、Y方向(幅方向)に細長い略長方形状の貫通孔を下側カバー122の挿入孔123としたものを例示している。そして、端子部313の板厚(X方向の厚さ)が挿入孔123の短手方向の幅(X方向の長さ)よりも小さい固定接点部310を接着剤125により下側カバー122(ケース10)に固定する場合を例示している。
固定接点部310が備える端子部313は、本実施形態では、固定接点311が形成された本体部312の下端に連設され、Z方向(上下方向)に延在する根元部3131を備えている。また、端子部313は、根元部3131の下端に連設され、Z方向(上下方向)と交差する方向に延在する交差壁部3132と、交差壁部3132の下端に連設され、Z方向(上下方向)に延在する先端部3133と、を備えている。
ここで、交差壁部3132は、端子部313が挿入孔123に挿入される方向である第1方向(Z方向:上下方向)と交差する第2方向(X方向:前後方向:本体部312の板厚方向)に延在する壁部である。本実施形態では、交差壁部3132は、斜めに傾斜するように形成されており、この交差壁部3132のX方向(前後方向)の後端が根元部3131の下端に連設されている。そして、交差壁部3132のX方向(前後方向)の前端が先端部3133の上端に連設されている。
このように、本実施形態では、端子部313は、先端部3133を根元部3131に対してX方向(前後方向)の前方にオフセットさせた形状をしている。このような端子部313は、一枚の板状部材を板厚方向に屈曲させることで形成することができる。
そして、このような形状をした端子部313が、交差壁部3132の少なくとも一部が挿入孔123内に配置されるようにした状態で挿入孔123に挿入されるようにしている。すなわち、本実施形態にかかる端子部313は、下側カバー122(ケース10)に固定する際に、交差壁部3132の少なくとも一部が挿入孔123内に配置されるようにしている。
本実施形態では、交差壁部3132は、下側カバー122(ケース10)に固定されるようにした状態で、先端部3133に連設される前端部を除く部位が挿入孔123内に配置されるようにしている。なお、交差壁部3132の先端部3133に連設される前端部は、下側カバー122の外面122bに形成された接着剤収容空間S6内に配置されている。
したがって、本実施形態では、根元部3131の交差壁部3132との連設部および交差壁部3132の挿入孔123内に配置される部位が、端子部313を挿入孔123に挿入した状態で当該挿入孔123の内側面123cと対向する挿入部3134となっている。
そして、この挿入部3134の外面3134aと挿入孔123の内側面123cとの間に上述した空隙D1が形成されるようにしている。
なお、本実施形態では、端子部313のY方向(幅方向)の幅は、挿入孔123のY方向(幅方向)の幅とほぼ同じ幅となるように形成されている。すなわち、Y方向(幅方向)で対向する挿入部3134の外面3134aと挿入孔123の内側面123cとの間には、接着剤125が空間S3まで侵入できるような空隙が形成されないようにしている。
さらに、本実施形態では、交差壁部3132の挿入孔123内に配置される部位が、Y方向(幅方向)に沿って視た状態で、挿入孔123のX方向(前後方向)の中央を通りZ方向(上下方向)に延在する中心線C1と交わるように、交差壁部3132を形成している。
このように、本実施形態では、交差壁部3132が、少なくとも一部が挿入孔123内に配置され、第1方向(Z方向)および第2方向(X方向)と交差する第3方向(Y方向)に沿って視た状態で、挿入孔123の第2方向の中央を通り第1方向に延在する中心線C1と交わるようにしている。
こうすることで、交差壁部3132が挿入孔123内に、X方向(前後方向)のいずれか一方に偏った状態で配置されてしまうことが抑制されるようにしている。すなわち、Z方向(上下方向)に沿って視た状態で、挿入孔123の大半が交差壁部3132によって覆われるようにしている。
さらに、本実施形態では、下側カバー122(ケース10)に固定されるように端子部313の挿入部3134を挿入孔123内に配置した状態で、挿入部3134のX方向(前後方向)に面する外面3134aが挿入孔123の内側面123cと当接しないようにしている。すなわち、挿入部3134のX方向(前後方向)の両側に、外側開口123aから内側開口123bに亘って連続する空隙D1が形成されるようにしている。
この空隙D1は、斜めに配置される交差壁部3132(挿入部3134)によって、X方向(前後方向)の一方側が画成されているため、Z方向(上下方向)の位置によってX方向(前後方向)の幅が異なっている。
例えば、挿入部3134よりもX方向(前後方向)の後側に形成される空隙D1では、交差壁部3132の上端で、X方向(前後方向)の幅が最小となっている。一方、挿入部3134よりもX方向(前後方向)の前側に形成される空隙D1では、挿入部3134の下端(外側開口123aと対向する部位)で、X方向(前後方向)の幅が最小となっている。
このように、本実施形態では、外側開口123aから内側開口123bまでの途中で、X方向(前後方向)の幅が最小となるように空隙D1を形成している。こうすれば、接着剤125の内側(接点装置30が収容される空間S3内)への侵入を、X方向(前後方向)の幅が最小となる部位によって抑制することができるようになる。
すなわち、接着剤収容空間S6内に塗布された接着剤125は、挿入孔123の少なくとも外側開口123a側の空隙D1への侵入は許容されるが、空隙D1における幅が最小となる部位よりも奥側への侵入は抑制されるようになっている。
なお、空隙D1のX方向(前後方向)の幅の最小値は、使用する接着剤125の粘性等を考慮して適宜設定することができる。
このように、本実施形態にかかる電磁継電器1は、空隙D1に流入した接着剤125の内側への流入を抑制する流入抑制部40を備えている。そして、本実施形態では、端子部313に形成された交差壁部3132を、空隙D1に流入した接着剤125の内側への流入を抑制する流入抑制部40として機能させている。
こうすれば、挿入孔123との間に空隙D1が形成される端子部313を用いたとしても、接着剤125の内側への侵入を抑制することができるようになる。そのため、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ、端子部313をより強固に下側カバー122(ケース10)に固定できるようになる。
したがって、挿入孔123の大きさを、下側カバー122(ケース10)に固定される端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚に応じて変更させる必要がなくなる。その結果、下側カバー122(ケース10)を共通化させることができるようになる。すなわち、下側カバー122(ケース10)を交換することなく、様々な板厚の接点部が有する端子部313を下側カバー122(ケース10)に固定することが可能となる。
ただし、本実施形態のように、挿入孔123との間に空隙D1が形成される端子部313を用いた場合、端子部313を下側カバー122(ケース10)に固定する際に、端子部313が下側カバー122(ケース10)に対して位置ずれしてしまうことがある。
そのため、本実施形態では、端子部313を下側カバー122(ケース10)に固定する際に、端子部313が下側カバー122(ケース10)に対して位置ずれしてしまうことが抑制されるようにしている。
具体的には、下側カバー122(ケース10)に固定される端子部313を有する接点部(固定接点部310)に位置決め部を設けている。
本実施形態では、ベース110(ケース10)に内壁(縦壁:壁部)115が設けられており、この内壁115や下側周壁113、仕切り壁114等の縦壁(壁部)により画成される圧入空間S7がケース10内に形成されるようにしている。
そして、端子部313を有する接点部(固定接点部310)に圧入突起314を設け、この圧入突起314が形成された部位を圧入空間S7に圧入することで、端子部313を有する接点部(固定接点部310)がベース110に保持されるようにしている。こうすることで、ベース110に下側カバー122を取り付けた際に、端子部313の挿入部3134が挿入孔123内の所定の位置に配置されるようにしている。
本実施形態では、圧入突起314は、本体部312の前面から前方に突出するように形成されている。すなわち、圧入突起314は、端子部313を有する接点部(固定接点部310)における固定接点311が存在する面312aとは反対側の面(前面:第2の面:可動接点321と対向する側とは反対側の面)312bに形成されている。
こうすれば、端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚を変更した場合であっても、圧入突起314の突出量を調整することで、固定接点311の位置を同じ位置にした状態で、ベース110に保持されるようにすることができる。その結果、端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚に応じてヒンジばね260のばね負荷を変更する必要がなくなる。したがって、端子部313を有する接点部(固定接点部310)を替えるだけで、通電容量が異なる様々なタイプの電磁継電器1を形成することができるようになる。
なお、本実施形態では、この圧入突起314は、本体部312にダボ加工を施すことで形成されているが、このような方法に限られるものではなく、様々な方法で圧入突起を形成することができる。
また、端子部313を有する接点部(固定接点部310)に形成される位置決め部は、圧入突起に限られるものではなく、例えば、ベース110(ケース10)の縦壁(内壁115等)に形成された突部に係合する凹部やスリット等とすることも可能である。
(第2実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器1も、上記第1実施形態で示した電磁継電器1と同様に、初期状態において接点オフとなる所謂常開型のものである。なお、本実施形態においても、初期状態において接点オンとなる所謂常閉型の電磁継電器を用いることも可能である。
本実施形態にかかる電磁継電器1は、図14から図16に示すように、X方向(前後方向)の後方に位置する電磁石装置(駆動部)20と、前方に位置する接点装置30と、を備えている。そして、この電磁石装置20および接点装置30は、樹脂材料によって中空箱型に形成されたケース10内に収納されている。
ケース10は、ベース110とカバー120とを備えており、実質的に直方体形状の外側表面を有している。そして、カバー120をベース110に取り付けた状態で形成されるケース10の内部空間S1内に、電磁石装置20および接点装置30が収容されている。
なお、ケース10の外側表面の形状は、直方体形状に限られるものではなく、いかなる形状をしていてもよい。
ベース110は、略水平面(Z方向と交差する方向:XY平面)に沿うように延在する略矩形板状の基台部111を備えている。また、ベース110は、基台部111の周縁から上方に向けて延設された上側周壁112と、X方向(前後方向)の略中央部分から上方に立ち上がるように形成された仕切り壁114と、を備えている(図14から図16参照)。
そして、仕切り壁114よりも後方に電磁石装置20が配置されており、仕切り壁114よりも前方に接点装置30が配置されている(図14から図16参照)。
一方、カバー120は、下方に開口する略箱形状をしており、このカバー120が上方からベース110に取り付けられている。
本実施形態では、カバー120の下端に形成された係合孔120aをベース110の側面に形成された係合突部110aに係合させることで、カバー120がベース110に取り付けられている(図14から図16参照)。
このように、本実施形態では、ケース10の内部空間S1が、ベース110の仕切り壁114によって前後に2分割されている。すなわち、ケース10の内部空間S1は、仕切り壁114の後方に形成されて電磁石装置20が収容される空間S2と、仕切り壁114の前方に形成されて接点装置30が収容される空間S3とに分割されている(図15および図16参照)。
ここで、本実施形態では、接点装置30は、互いに対になる(互いに接離する接点を有する)固定接点部310と可動接点部320との組を1組だけ備えている。
電磁石装置(駆動部)20は、電磁力を発生させる装置であり、通電されることで磁束を発生させるコイル210と、コイル210が巻回される中空円筒状のコイルボビン220と、を備えている(図14参照)。
コイル210としては、例えば、導線を用いることができる。また、コイルボビン220は、絶縁材料である樹脂によって形成されており、このコイルボビン220の中央部にはZ方向(上下方向)に貫通する挿通孔が形成されている。そして、コイルボビン220は、外表面にコイル210が巻回される略円筒状の巻胴部と、巻胴部の上端に連設されて、巻胴部の径方向外側に突出した略円形の上側フランジ部222と、を備えている。さらに、コイルボビン220は、巻胴部の下端に連設されて、巻胴部の径方向外側に突出した略円形の下側フランジ部223を備えている。
また、電磁石装置20は、コイルボビン220の円筒内部に挿入され、通電されたコイル230によって磁化される(磁束が通過する)鉄芯(固定側部材)230を備えている。
鉄芯230は、Z方向(上下方向)に延在する略円柱状の軸部と、軸部よりも大径に形成されて、軸部の上端に連設される略円柱状の頭部232と、を備えている(図14参照)。
さらに、電磁石装置20は、鉄芯230の頭部232と上下方向(Z方向)で対向するように配置される接極子(可動側部材)240を備えている。
接極子240は、導電性を有する金属で形成されており、鉄芯230の頭部232に対して、上下方向(Z方向)に揺動できるように配置されている。本実施形態では、この接極子240は、鉄芯230の頭部232と上下方向(Z方向)で対向する水平壁部241と、水平壁部241のX方向(前後方向)の前端から下方に延びるように延設された鉛直壁部242と、を備えている(図15および図16参照)。
また、電磁石装置20は、巻胴部に巻回されたコイル210の周囲に配置される継鉄250を備えている。この継鉄250は、磁性材料からなる略板状の部材で、側面視(Y方向に沿って視た状態)で略L字状をしている。すなわち、本実施形態では、継鉄250は、巻胴部に巻回されたコイル210の前方に略鉛直面に沿って延在するように配置される鉛直壁部251と、鉛直壁部251の下端から後方に延びるように延設された水平壁部252と、を備えている(図14参照)。このような継鉄250は、例えば、一枚の板を折曲することにより形成することができる。
そして、鉛直壁部251の上端に、接極子240の水平壁部241が、上下方向(Z方向)に揺動できるように取り付けられている。こうすることで、接極子240が、継鉄250に支持された部位を中心として上下方向(Z方向)に回動できるようにしている。
さらに、本実施形態では、電磁石装置20は、接極子240と継鉄250とに亘って取り付けられるヒンジばね260を備えており、接極子240が、このヒンジばね260によって、水平壁部241が鉄芯230の頭部232から離れる方向に付勢されるようにしている(図15参照)。
さらに、電磁石装置20は、コイルボビン220に固定され、コイル210の両端がそれぞれ接続される一対のコイル端子270を備えており、この一対のコイル端子270を介してコイル210に通電することで電磁石装置20が駆動されるようにしている。
具体的には、コイル210に通電することで接極子240の水平壁部241が鉄芯230の頭部232に吸引されるようにし、水平壁部241が鉄芯230の頭部232に近づくように接極子240を回動させるようにしている。すなわち、一対のコイル端子270を介してコイル210に通電することで、接極子240の水平壁部241がZ方向(上下方向)の下方に回動するようにしている。このとき、水平壁部241に連設された鉛直壁部242は、X方向(前後方向)の前方に回動することになる。
この接極子240の揺動範囲は、本実施形態では、水平壁部241が鉄芯230の頭部232から所定の間隙だけ上方に離間配置された初期位置(水平壁部241が鉄芯230の頭部232から最も離れた位置)と、水平壁部241が鉄芯230の頭部232に当接する当接位置(水平壁部241が鉄芯230の頭部232に最も近づいた位置)との間に設定されている。
したがって、本実施形態では、コイル210に通電すると、接極子240は、水平壁部241が鉄芯230の頭部232に当接する当接位置まで移動し、コイル210への通電を停止すると、ヒンジばね260の付勢力により初期位置に復帰することになる。
このように、本実施形態にかかる接極子240は、コイル210の非通電時には、所定の間隙を介して鉄芯230の頭部232に対向配置されるとともに、コイル210の通電時には、鉄芯230の頭部232側に吸引されるように揺動するものである。
そして、この電磁石装置20の駆動状態を切り替えることで、互いに対になる(互いに接離する接点を有する)固定接点部310と可動接点部320との導通、非導通を切り替えることができるようにしている。
本実施形態では、電磁石装置20の前方に、コイル210の通電の入切に応じて接点を開閉する接点装置30が設けられている。
接点装置30は、上述したように、互いに対になる(互いに接離する接点を有する)固定接点部310と可動接点部320との組を1組だけ備えている(図14参照)。
本実施形態では、互いに接離する接点を有する固定接点部310と可動接点部320との組は、一対の固定接点部310と、1つの可動接点部320とで構成されている。
具体的には、XZ平面に対して対称な形状をした2つの固定接点部310を、一対の固定接点部310としている。そして、対になる2つの固定接点部310が、Y方向(幅方向)に離間した状態でベース110(ケース10)に固定されている。
それぞれの固定接点部310は、1つの固定接点311が形成された本体部312を備えている(図17参照)。本実施形態では、本体部312に板厚方向に貫通するように形成された挿通孔312cに固定接点となる予定の部材を挿入し、リベット接合を施すことで、本体部312に固定接点311が形成されるようにしている(図15および図16参照)。なお、本体部312への固定接点311の形成は、リベット接合により行う必要はなく、様々な方法により行うことができる。例えば、本体部312にダボ加工を施すことで突出させた部位を固定接点として機能させることも可能である。また、本体部312の平坦な表面の一部に可動接点321を接触させる構成とすることで、本体部312の平坦な表面の一部を固定接点として機能させることも可能である。
また、固定接点部310は、本体部312の下端に連設され、先端をベース110(ケース10)の外方(下方)に突出させた状態でベース110(ケース10)に固定される端子部313を備えている。
本実施形態では、ベース110には、Z方向(上下方向)に貫通する挿入孔116が形成されている。そして、この挿入孔116に端子部313の先端(下端)を上方から挿入して、端子部313の先端(下端)をベース110の外方(下方)に突出させた状態で、固定接点部310がベース110(ケース10)に固定されるようにしている(図18参照)。
このとき、固定接点部310は、固定接点311がX方向(前後方向)の後方を向くようにした状態でベース110(ケース10)に固定されるようにしている。すなわち、固定接点部310は、本体部312の固定接点311が形成された側の面(後面:第1の面:可動接点321と対向する側の面)312aが後方を向くようにした状態でベース110(ケース10)に固定されている。
なお、固定接点311、本体部312および端子部313は、例えば、銅系材料等の導電性材料によって形成することができる。
一方、1つの可動接点部320は、Y方向(幅方向)に並設された一対の可動接点321が形成された1つの可動接触子322を備えている(図14参照)。
本実施形態では、略矩形板状の可動接触子322の長手方向の両側に板厚方向に貫通するように形成された挿通孔322dに可動接点となる予定の部材を挿入してリベット接合を施すことで、可動接触子322に可動接点321が形成されるようにしている(図15および図16参照)。なお、可動接触子322への可動接点321の形成は、リベット接合により行う必要はなく、様々な方法により行うことができる。例えば、可動接触子322にダボ加工を施すことで突出させた部位を可動接点として機能させることも可能である。また、可動接触子322の平坦な表面の一部を固定接点311と接触させる構成とすることで、可動接触子322の平坦な表面の一部を可動接点として機能させることも可能である。
そして、1つの可動接点部320は、板厚方向をX方向(前後方向)に略一致させつつ長手方向をY方向(幅方向)に略一致させた状態で、対になる2つの固定接点部310よりもX方向(前後方向)の後方に位置するように配置されている(図14参照)。このとき、可動接点部320は、可動接点321を固定接点311にX方向(前後方向)で対向させた状態で配置されるようにしている。具体的には、可動接触子322は、Y方向(幅方向)の一方側に形成された可動接点321が、Y方向(幅方向)の一方側に配置された固定接点部310の固定接点311とX方向(前後方向)で対向するように配置されている。同様に、可動接触子322は、Y方向(幅方向)の他方側に形成された可動接点321が、Y方向(幅方向)の他方側に配置された固定接点部310の固定接点311とX方向(前後方向)で対向するように配置されている。
なお、可動接点321および可動接触子322は、例えば、銅系材料等の導電性材料によって形成することができる。
そして、このような構成をした一対の固定接点部310と、1つの可動接点部320とで構成される組が、上述した空間S3内に収容されている(図15および図16参照)。
ここで、可動接点部320は、一対の固定接点部310に対してX方向(前後方向)に相対的に揺動できるように、空間S3内に配置されている。
具体的には、接点装置30が接極子240の揺動に伴ってX方向(前後方向)に揺動する移動体330を備えている。そして、この移動体330に可動接点部320を保持させることで、可動接点部320が、一対の固定接点部310に対してX方向(前後方向)に相対的に揺動するようにしている。
本実施形態では、移動体330は、絶縁性の樹脂材料で形成され、上部が接極子240の鉛直壁部242に連設されるホルダ部331と、ホルダ部331の下部に連設される可動板334と、可動板334と可動接触子322とを連結する可動ばね335と、を備えている。
次に、上述の構成をした電磁継電器10(電磁石装置20および接点装置30)の動作の一例について説明する。
まず、コイル210が通電されていない状態では、ヒンジばね260の弾性力によって、接極子240の水平壁部241が鉄芯230の頭部232から離れる方向に移動している。このとき、接極子240の鉛直壁部242がX方向(前後方向)の後方に位置することになるため、移動体330も、X方向(前後方向)の後方に位置することになる。すなわち、移動体330に保持された可動接点部320が固定接点部310から離れた状態となって、可動接点321が固定接点311から離反した状態となる(図15参照)。
このオフ状態からコイル210が通電されると、接極子240の水平壁部241が電磁力により下方(鉄芯230側)に吸引されて、ヒンジばね260の弾性力に抗して鉄芯230の頭部232に接近移動する。そして、この水平壁部241の下方(鉄芯230側)への回動に伴って、鉛直壁部242が前方に回動し、鉛直壁部242の前方への回動に伴って、移動体330が前方に回動する。これにより、移動体330に保持された可動接触子320が、固定接点部310に向けて前方に回動し、可動接触子322の可動接点321が固定接点部310の固定接点311に接触する。こうすることで、一対の固定接点部310が可動接点部320によって電気的に接続される(図16参照)。
一方、コイル210への通電を停止すると、接極子240の水平壁部241がヒンジばね260の付勢力により上方(鉄芯230から離れる側)に回動して、初期位置に復帰する。
そして、この水平壁部241の上方への回動に伴って、鉛直壁部242が後方に回動し、鉛直壁部242の後方への回動に伴って、移動体330が後方に回動する。これにより、移動体330に保持された可動接触子320が、固定接点部310から離れるように後方に回動し、可動接触子322の可動接点321が固定接点部310の固定接点311から離間する。こうすることで、一対の固定接点部310,310間の電気的な接続が解除される。
このように、本実施形態では、接極子240が初期位置にあるときは、可動接点321と固定接点311とが互いに離間する第2位置となっている(図15参照)。一方、接極子240が当接位置にあるときは、可動接点321と固定接点311とが接触する第1位置となっている(図16参照)。
したがって、コイル210を通電していない期間には、一対の固定接点部310,310間が絶縁され、コイル210を通電している期間には、一対の固定接点部310,310間が導通することになる。このように、本実施形態では、可動接点(第2接点)321は、第1位置と第2位置との間で、固定接点(第1接点)311に対して第2方向(X方向:前後方向)に相対的に往復移動(回動)できるように構成されている。
ここで、本実施形態においても、端子部313を有する固定接点部310が、より強固にベース110(ケース10)に固定されるようにしている。
具体的には、ベース110の挿入孔116に挿入された端子部313を接着剤118によりベース110(ケース10)に固定することで、固定接点部310が、より強固にベース110(ケース10)に固定されるようにしている(図18参照)。
本実施形態においても、端子部313の先端を上方からベース110の挿入孔116に挿入し、端子部313の先端をベース110の外方(下方)に突出させた状態で、ベース110の外面110b側から接着剤118を塗布するようにしている。
さらに、ベース110の外面110bにおける挿入孔116が形成された部位の周囲に、接着剤118が収容される接着剤収容空間S6を形成している。
そのため、Z方向(上下方向)に貫通するようにベース110に形成された挿入孔116を画成するベース110の内側面116cは、外側開口116a側で接着剤収容空間S6の内面S6aに連設されることになる。また、ベース110の内側面116cは、内側開口116b側でベース110の内面110cに連設されることになる。このように、本実施形態では、接着剤収容空間S6の内面S6aが、ベース110の外面110bの一部を構成している。
そして、端子部313の先端をベース110の外方(下方)に突出させた状態で、ベース110の外面110bに形成された接着剤収容空間S6内に接着剤118を塗布して硬化させるようにしている。すなわち、ベース110の外面110bに形成された接着剤収容空間S6内に塗布された接着剤118が硬化することで形成される接着固定部117によって、端子部313がベース110(ケース10)に固定されるようにしている。
ここで、本実施形態においても、挿入孔116に挿入された端子部313の外面313aと、当該端子部313の外面313aに対向する挿入孔116の内側面(ケースの面)116cとの間に空隙D1が形成される場合であっても、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ、端子部313をより強固にベース110(ケース10)に固定できるようにしている。
すなわち、挿入孔116との間に空隙D1が形成されるような端子部313を有する固定接点部310を、接着剤118によりベース110(ケース10)に固定する場合に、空隙D1を通って、ベース110(ケース10)の内側に硬化前の接着剤118が侵入してしまうことが抑制されるようにしている。
本実施形態では、Y方向(幅方向)に細長い略長方形状の貫通孔をベース110の挿入孔116としたものを例示している。そして、端子部313の板厚(X方向の厚さ)が挿入孔116の短手方向の幅(X方向の長さ)よりも小さい固定接点部310を接着剤118によりベース110(ケース10)に固定する場合を例示している。
固定接点部310が備える端子部313は、本実施形態では、固定接点311が形成された本体部312の下端に連設され、Z方向(上下方向)に延在する根元部3131を備えている。また、端子部313は、根元部3131の下端に連設され、Z方向(上下方向)と交差する方向に延在する交差壁部3132と、交差壁部3132の下端に連設され、Z方向(上下方向)に延在する先端部3133と、を備えている。
ここで、交差壁部3132は、端子部313が挿入孔116に挿入される方向である第1方向(Z方向:上下方向)と交差する第2方向(X方向:前後方向:本体部312の板厚方向)に延在する壁部である。本実施形態では、交差壁部3132は、略水平方向に延在するように形成されており、この交差壁部3132のX方向(前後方向)の前端が根元部3131の下端に連設されている。そして、交差壁部3132のX方向(前後方向)の後端が先端部3133の上端に連設されている。
このように、本実施形態では、端子部313は、先端部3133を根元部3131に対してX方向(前後方向)の後方にオフセットさせた形状をしている。このような端子部313は、一枚の板状部材を板厚方向に屈曲させることで形成することができる。
そして、このような形状をした端子部313の先端部3133が、挿入孔116内に挿入されるようにしている。したがって、本実施形態では、先端部3133の挿入孔116内に配置される部位が、端子部313を挿入孔116に挿入した状態で当該挿入孔116の内側面116cと対向する挿入部3134となっている。
そして、この挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間に上述した空隙D1が形成されるようにしている。
さらに、本実施形態では、端子部313は、先端部3133が挿入孔116内において、X方向(前後方向)の後方側に位置するようにした状態で挿入孔116に挿入されている。
すなわち、端子部313は、挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間の距離が、端子部313が挿入孔116に挿入される方向である第1方向(Z方向:上下方向)と交差する第2方向(X方向:前後方向:本体部312の板厚方向)の一方側と他方側とで異なるように、挿入孔116に挿入されている。
さらに、本実施形態では、挿入部3314の後側を向く外面3134aと挿入孔116の前側を向く内側面116cとの間に、接着剤118が空間S3まで侵入できるような空隙が形成されないようにしている。
このように、本実施形態では、挿入部3134よりも前側のみに、接着剤118の侵入が可能な空隙D1が形成されるようにしている。
さらに、本実施形態では、ベース110(ケース10)に固定されるように端子部313の挿入部3134を挿入孔116内に配置した状態で、挿入部3134のX方向(前後方向)の前側に面する外面3134aが挿入孔116の内側面116cと当接しないようにしている。すなわち、挿入部3134のX方向(前後方向)の前側に、外側開口116aから内側開口116bに亘って連続する空隙D1が形成されるようにしている。
そして、挿入部3134よりも前側に形成された空隙D1が交差壁部3132によって塞がれるようにしている。具体的には、本実施形態では、端子部313の交差壁部3132が、挿入孔116の内側面116cに連設されるベース110の内面110c上に載置されるようにしている。こうすることで、Z方向(上下方向)で対向する交差壁部3132の外面とベース110の内面110cとの間に隙間が形成されないようにし、接着剤118が根元部3131側まで侵入できないようにしている。
このように、本実施形態では、交差壁部3312が、挿入孔116の内側開口116bを覆うように配置されて、挿入孔116の内側面116cに連設されるベース110(ケース10)の内面110cと対向するようにしている。
なお、本実施形態においても、端子部313のY方向(幅方向)の幅は、挿入孔116のY方向(幅方向)の幅とほぼ同じ幅となるように形成されている。すなわち、Y方向(幅方向)で対向する挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間には、接着剤118が空間S3まで侵入できるような空隙が形成されないようにしている。
このように、本実施形態では、挿入部3134よりも前側に形成された空隙D1が交差壁部3132によって塞がれるようにしている。こうすれば、接着剤118の内側(接点装置30が収容される空間S3内)への侵入を、Z方向(上下方向)で対向する交差壁部3132とベース110とによって抑制することができるようになる。
すなわち、接着剤収容空間S6内に塗布された接着剤118は、挿入孔116の内側面116cとの間に形成される空隙D1への侵入は許容されるが、交差壁部3132の外面とベース110の内面110cとが対向する部位への侵入は抑制されるようになっている。
なお、交差壁部3132の外面とベース110の内面110cとの間に空隙が形成されるようにした場合、当該空隙の大きさは、使用する接着剤118の粘性等を考慮して適宜設定することができる。
このように、本実施形態にかかる電磁継電器1は、空隙D1に流入した接着剤118の内側への流入を抑制する流入抑制部40を備えている。そして、本実施形態では、端子部313に形成された交差壁部3132を、空隙D1に流入した接着剤118の内側への流入を抑制する流入抑制部40として機能させている。
こうすれば、挿入孔116との間に空隙D1が形成される端子部313を用いたとしても、接着剤118の内側への侵入を抑制することができるようになる。そのため、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ、端子部313をより強固にベース110(ケース10)に固定できるようになる。
したがって、挿入孔116の大きさを、ベース110(ケース10)に固定される端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚に応じて変更させる必要がなくなる。その結果、ベース110(ケース10)を共通化させることができるようになる。すなわち、ベース110(ケース10)を交換することなく、様々な板厚の接点部が有する端子部313をベース110(ケース10)に固定することが可能となる。
また、本実施形態においても、端子部313をベース110(ケース10)に固定する際に、端子部313がベース110(ケース10)に対して位置ずれしてしまうことが抑制されるようにしている。
具体的には、ベース110(ケース10)に固定される端子部313を有する接点部(固定接点部310)に位置決め部を設けている。
本実施形態では、ベース110(ケース10)に内壁(縦壁:壁部)115が設けられており、この内壁115や上側周壁112等の縦壁(壁部)により画成される圧入空間S7がケース10内に形成されるようにしている。
そして、端子部313を有する接点部(固定接点部310)に圧入突起314を設け、この圧入突起314が形成された部位を圧入空間S7に圧入することで、端子部313を有する接点部(固定接点部310)がベース110に保持されるようにしている。こうすることで、ベース110に端子部313を有する接点部(固定接点部310)を保持させた際に、端子部313の挿入部3134が挿入孔116内の所定の位置に配置されるようにしている。
本実施形態では、圧入突起314は、本体部312の後面から後方に突出するように形成されている。すなわち、圧入突起314は、端子部313を有する接点部(固定接点部310)における固定接点311が存在する面(後面:第1の面:可動接点321と対向する側の面)312aに形成されている。
なお、本実施形態では、この圧入突起314は、本体部312にダボ加工を施すことで形成されているが、このような方法に限られるものではなく、様々な方法で圧入突起を形成することができる。
また、端子部313を有する接点部(固定接点部310)に形成される位置決め部は、圧入突起に限られるものではなく、例えば、ベース110(ケース10)の縦壁(内壁115等)に形成された突部に係合する凹部やスリット等とすることも可能である。
なお、本実施形態では、端子部313を有する接点部(固定接点部310)における固定接点311が存在する面(後面:第1の面:可動接点321と対向する側の面)312aに圧入突起314を形成しているが、上記第1実施形態のようにすることも可能である。
すなわち、圧入突起314を、本体部312の前面から前方に突出するように形成することも可能である(図19参照)。図19では、圧入突起314は、端子部313を有する接点部(固定接点部310)における固定接点311が存在する面312aとは反対側の面(前面:第2の面:可動接点321と対向する側とは反対側の面)312bに形成されている。
こうすれば、端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚を変更した場合であっても、圧入突起314の突出量を調整することで、固定接点311の位置を同じ位置にした状態で、ベース110に保持されるようにすることができる。その結果、端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚に応じてヒンジばね260のばね負荷を変更する必要がなくなる。したがって、端子部313を有する接点部(固定接点部310)を替えるだけで、通電容量が異なる様々なタイプの電磁継電器1を形成することができるようになる。
また、端子部313の板厚(X方向の厚さ)が挿入孔123の短手方向の幅(X方向の長さ)よりも大きい固定接点部310を用いた場合には、図20に示すようにすることで、接着剤118によりベース110(ケース10)に固定することができる。
具体的には、端子部313が、根元側に位置する幅広部3135と、幅広部3135の先端側に連設されて幅広部3135よりも幅が狭い幅狭部3136と、を備えるようにしている。このとき、幅狭部3136は、板厚(X方向の厚さ)が挿入孔116の短手方向の幅(X方向の長さ)よりも小さくなるようにしている。
そして、このような形状をした端子部313の幅狭部3136が、挿入孔116内に挿入されるようにしている。したがって、図20では、幅狭部3136の挿入孔116内に配置される部位が、端子部313を挿入孔116に挿入した状態で当該挿入孔116の内側面116cと対向する挿入部3134となっている。
そして、この挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間に空隙D1が形成されるようにしている。
さらに、図20では、幅狭部3136は、挿入孔116内において、X方向(前後方向)の後方側に位置するようにした状態で挿入孔116に挿入されている。
すなわち、幅狭部3136は、挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間の距離が、端子部313が挿入孔116に挿入される方向である第1方向(Z方向:上下方向)と交差する第2方向(X方向:前後方向:本体部312の板厚方向)の一方側と他方側とで異なるように、挿入孔116に挿入されている。
さらに、図20では、挿入部3314の後側を向く外面3134aと挿入孔116の前側を向く内側面116cとの間に、接着剤118が空間S3まで侵入できるような空隙が形成されないようにしている。
このように、図20では、挿入部3134よりも前側のみに、接着剤118の侵入が可能な空隙D1が形成されるようにしている。
さらに、図20では、ベース110(ケース10)に固定されるように幅狭部3136の挿入部3134を挿入孔116内に配置した状態で、挿入部3134のX方向(前後方向)の前側に面する外面3134aが挿入孔116の内側面116cと当接しないようにしている。すなわち、挿入部3134のX方向(前後方向)の前側に、外側開口116aから内側開口116bに亘って連続する空隙D1が形成されるようにしている。
そして、挿入部3134よりも前側に形成された空隙D1が、幅狭部3136の外面3136aに交差した状態で連設される幅広部3135の外面3135aによって塞がれるようにしている。具体的には、幅広部3135の前端部が、挿入孔116の内側面116cに連設されるベース110の内面110c上に載置されるようにしている。こうすることで、Z方向(上下方向)で対向する幅広部3135の外面3135aとベース110の内面110cとの間に隙間が形成されないようにし、接着剤118が根元側まで侵入できないようにしている。
このように、図20では、幅広部3135が、挿入孔116の内側開口116bを覆うように配置されて、挿入孔116の内側面116cに連設されるベース110(ケース10)の内面110cと対向するようにしている。
なお、図20においても、端子部313のY方向(幅方向)の幅は、挿入孔116のY方向(幅方向)の幅とほぼ同じ幅となるように形成されている。すなわち、Y方向(幅方向)で対向する挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間には、接着剤118が空間S3まで侵入できるような空隙が形成されないようにしている。
このように、図20では、挿入部3134よりも前側に形成された空隙D1が幅広部3135によって塞がれるようにしている。こうすれば、接着剤118の内側(接点装置30が収容される空間S3内)への侵入を、Z方向(上下方向)で対向する幅広部3135とベース110とによって抑制することができるようになる。
すなわち、接着剤収容空間S6内に塗布された接着剤118は、挿入孔116の内側面116cとの間に形成される空隙D1への侵入は許容されるが、幅広部3135の外面3135aとベース110の内面110cとが対向する部位への侵入は抑制されるようになっている。
なお、幅広部3135の外面3135aとベース110の内面110cとの間に空隙が形成されるようにした場合、当該空隙の大きさは、使用する接着剤118の粘性等を考慮して適宜設定することができる。
このように、図20に示す電磁継電器1は、空隙D1に流入した接着剤118の内側への流入を抑制する流入抑制部40を備えている。そして、図20では、端子部313に形成された幅広部3135の外面3135aを、空隙D1に流入した接着剤118の内側への流入を抑制する流入抑制部40として機能させている。
なお、図20では、端子部313が屈曲していないストレートタイプの固定接点部310を例示したが、端子部313が屈曲している固定接点部310とすることも可能である。
また、図20に示す構成は、上記第1実施形態で示した電磁継電器1に適用することも可能である。
また、端子部313が屈曲していないストレートタイプで、端子部313の板厚(X方向の厚さ)が挿入孔123の短手方向の幅(X方向の長さ)よりも小さい固定接点部310を用いた場合には、図21に示すようにすることで、接着剤118によりベース110(ケース10)に固定することができる。
具体的には、端子部313は、挿入孔116内において、X方向(前後方向)の前方側に位置するようにした状態で挿入孔116に挿入されている。
すなわち、端子部313は、挿入部3134の外面3134aと挿入孔116の内側面116cとの間の距離が、端子部313が挿入孔116に挿入される方向である第1方向(Z方向:上下方向)と交差する第2方向(X方向:前後方向:本体部312の板厚方向)の一方側と他方側とで異なるように、挿入孔116に挿入されている。
さらに、図21では、挿入部3314の前側を向く外面3134aと挿入孔116の後側を向く内側面116cとの間に、接着剤118が空間S3まで侵入できるような空隙が形成されないようにしている。
このように、図21では、挿入部3134よりも後側のみに、接着剤118の侵入が可能な空隙D1が形成されるようにしている。このとき、挿入部3134のX方向(前後方向)の後側には、外側開口116aから内側開口116bに亘って連続する空隙D1が形成されることになる。
そして、カバー(第2ケース)120をベース(第1ケース)110に取り付けた状態で、カバー120に形成された内壁126の先端(下端)が空隙D1内に挿入されるようにしている。すなわち、図21のカバー(第2ケース)120には、当該カバー(第2ケース)120をベース(第1ケース)110に固定した状態で挿入孔116と対応する位置に配置される内壁126が形成されている。
そして、空隙D1内に挿入された内壁126の先端(下端)を空隙D1に流入した接着剤118の内側への流入を抑制する流入抑制部40として機能させている。
こうすれば、挿入孔116との間に空隙D1が形成される端子部313を有するストレートタイプの固定接点部310用いたとしても、接着剤118の内側への侵入を抑制することができるようになる。そのため、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ、端子部313をより強固にベース110(ケース10)に固定できるようになる。
したがって、挿入孔116の大きさを、ベース110(ケース10)に固定される端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚に応じて変更させる必要がなくなる。その結果、ベース110(ケース10)を共通化させることができるようになる。すなわち、ベース110(ケース10)を交換することなく、様々な板厚の接点部が有する端子部313をベース110(ケース10)に固定することが可能となる。
なお、図21に示す構成とした場合、ベース110(ケース10)に固定される端子部313を有する接点部(固定接点部310)の板厚に応じて、カバー120を交換する必要がある。
また、図21においても、端子部313をベース110(ケース10)に固定する際に、端子部313がベース110(ケース10)に対して位置ずれしてしまうことが抑制されるようにしている。
具体的には、カバー120に形成された内壁126に位置決め部を設けている。図21では、内壁126の前面から前方に突出するように位置決め部としての圧入突起126aが形成されている。なお、図21では、流入抑制部40としての機能を有する内壁126に圧入突起126aを形成したものを例示しているが、流入抑制部40としての機能を有する内壁126とは別に設けた内壁126に圧入突起126aを形成することも可能である。また、内壁126に形成される位置決め部は、圧入突起126aに限られるものではなく、凹部やスリットなどであってもよい。
なお、図21に示す構成も、上記第1実施形態で示した電磁継電器1に適用することが可能である。この場合、下側カバー122が第1ケースとなり、ベース110が第2ケースとなる。
[作用・効果]
以下では、上記各実施形態およびその変形例で示した電磁継電器の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
(1) 本実施形態にかかる電磁継電器は、第1接点と、第1接点に対して相対移動し、第1接点に接離可能な第2接点と、第1接点および第2接点が収容されるケースと、を備えている。また、電磁継電器は、第1接点と第2接点とが接触している状態で第1接点および第2接点に電気的に接続される端子部と、ケースに形成され、端子部が挿入される挿入孔と、ケースの外面に塗布された接着剤が硬化することで形成され、端子部をケースに固定する接着固定部と、を備えている。さらに、電磁継電器は、端子部が挿入孔に挿入された状態で、端子部の外面と、当該端子部の外面に対向するケースの面との間に形成される空隙と、空隙に流入した接着剤の内側への流入を抑制する流入抑制部と、を備えている。
このように、端子部をケースに接着剤を用いて固定するようにすれば、端子部をより強固にケースに固定することができる。
また、空隙に流入した接着剤の内側への流入を抑制する流入抑制部を備えるようにすれば、ケースの内側に硬化前の接着剤が侵入してしまうことが抑制されるため、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制できるようになる。
すなわち、動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ端子部をより強固に固定することが可能な電磁継電器を得ることができる。
また、端子部の外面と、当該端子部の外面に対向するケースの面との間に空隙が形成される場合であっても、ケースの内側への硬化前の接着剤の侵入が抑制できるようにすることで、端子部が固定されるケースを交換することなく、様々な板厚の接点部をケースに固定させることが可能となる。
(2) また、上記(1)の電磁継電器において、端子部が、当該端子部が挿入孔に挿入される方向である第1方向と交差する第2方向に延在する交差壁部を備えるようにしてもよい。そして、この交差壁部を流入抑制部としてもよい。
こうすれば、端子部の形状を変形させるだけで、上記作用を奏することができるため、動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ端子部をより強固に固定することが可能な電磁継電器をより容易に得ることができる。
例えば、端子部の板厚に応じて交差壁部の大きさ等を適宜設定すれば、端子部が固定されるケースを交換することなく、様々な板厚の接点部をケースに固定させることができるようになる。
(3) また、上記(2)の電磁継電器において、交差壁部が、少なくとも一部が挿入孔内に配置され、第1方向および第2方向と交差する第3方向に沿って視た状態で、挿入孔の第2方向の中央を通り第1方向に延在する中心線と交わる壁部を備えるようにしてもよい。
こうすれば、交差壁部が挿入孔内に、第2方向のいずれか一方に偏った状態で配置されてしまうことを抑制することができる。その結果、挿入孔の平面視で挿入孔内において交差壁部が存在する面積をより大きくすることが可能となって、より確実に接着剤の侵入を抑制することができるようになる。
(4) また、上記(2)または(3)の電磁継電器において、交差壁部が、挿入孔の内側開口を覆うように配置されて、挿入孔の内側面に連設されるケースの内面と対向する壁部を備えるようにしてもよい。
こうすれば、挿入孔の内側開口を交差壁部によって覆うことが可能となるため、より確実に接着剤の内側への侵入を抑制することができるようになる。
(5) また、上記(1)から(4)のうちいずれか1つの電磁継電器において、端子部が、根元側に位置する幅広部と、幅広部の先端側に連設されて幅広部よりも幅が狭い幅狭部と、を備えるようにしてもよい。そして、幅狭部の外面に交差した状態で連設される幅広部の外面を流入抑制部としてもよい。
こうすれば、板厚が挿通孔の幅よりも大きい接点部を用いた場合であっても、接点の接離の動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ、端子部をより強固にケースに固定することができるようになる。そのため、端子部が固定されるケースを交換することなく、大電流を流すタイプの電磁継電器に対応することができるようになる。
(6) また、上記(1)から(5)のうちいずれか1つの電磁継電器において、端子部が、当該端子部を挿入孔に挿入した状態で当該挿入孔の内側面と対向する挿入部を有していてもよい。そして、挿入部の外面と挿入孔の内側面との間の距離が、端子部が挿入孔に挿入される方向である第1方向と交差する第2方向の一方側と他方側とで異なっていてもよい。
こうすれば、挿入部の外面と挿入孔の内側面との間の距離が広い側のみに流入抑制部を形成すればよくなるため、動作が阻害されてしまうことをより確実に抑制しつつ端子部をより強固に固定することが可能な電磁継電器をより容易に得ることができる。
(7) また、上記(1)から(6)のうちいずれか1つの電磁継電器において、第1接点を有する第1接点部と、第2接点を有する第2接点部と、を備えるようにしてもよい。そして、第1接点部および第2接点部のうち少なくともいずれか一方の接点部が端子部を有しており、端子部を有する接点部が、当該接点部の位置ずれを抑制する位置決め部が形成された接点部を有するようにしてもよい。
こうすれば、板厚が挿通孔の幅よりも小さい端子部をケースに固定する際に、当該端子部の姿勢がずれてしまうことを抑制することができるようになる。また、姿勢がずれたことに起因して発生する接着剤の侵入を抑制することもできるようになる。
(8) また、上記(7)の電磁継電器において、位置決め部が圧入突起であってもよい。
こうすれば、より容易に位置決め部を形成することができるようになる。
(9) また、上記(8)の電磁継電器において、圧入突起が、端子部を有する接点部における第1接点または第2接点が存在する面とは反対側の面に形成されていてもよい。
こうすれば、端子部を有する接点部の板厚を変更した場合であっても、圧入突起の突出量を調整することで、固定接点の位置を同じ位置にした状態で、ケースに保持されるようにすることができる。その結果、端子部を有する接点部の板厚に応じてヒンジばねのばね負荷を変更する必要がなくなり、より容易に様々な板厚の端子に対応させることができるようになる。
(10) また、上記(1)から(9)のうちいずれか1つの電磁継電器において、ケースが、端子部が固定される第1ケースと、第1ケースに固定される第2ケースと、を備えていてもよい。また、第2ケースには、当該第2ケースを第1ケースに固定した状態で挿入孔と対応する位置に配置される内壁が形成されていてもよい。そして、第2ケースに形成された内壁を流入抑制部としてもよい。
こうすれば、端子部が屈曲していないストレートタイプの固定接点部を用いた場合であっても、端子部が固定されるケースを交換することなく、様々な板厚の接点部をケースに固定させることができるようになる。
(11) また、上記(10)の電磁継電器において、第2ケースが、当該第2ケースを第1ケースに固定した状態で端子部を有する接点部に当接可能な位置決め部が形成された内壁を有するようにしてもよい。
こうすれば、板厚が挿通孔の幅よりも小さいストレートタイプの固定接点部をケースに固定する際に、当該接点部の姿勢がずれてしまうことを抑制することができるようになる。また、接点部の姿勢がずれたことに起因して発生する接着剤の侵入を抑制することもできるようになる。
[その他]
以上、本開示にかかる電磁継電器の内容を説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、上記各実施形態およびその変形例で示した構成を適宜組み合わせた構成とすることが可能である。
また、上記各実施形態およびその変形例では、端子部を有する接点部が固定接点部であるものを例示しているが、端子部を有する接点部が可動接点部であってもよいし、固定接点部および可動接点部の両方が端子部を有する接点部であってもよい。
また、上記各実施形態およびその変形例では、端子部が1つの交差壁部を有するものを例示しているが、端子部が複数の交差壁部を有するようにしてもよい。
また、上記各実施形態およびその変形例では、挿入部の前後方向に面する外面が挿入孔の内側面と当接しないようにしたものを例示しているが、挿入部の前後方向に面する外面の一部が挿入孔の内側面と当接する構成とすることも可能である。
また、固定接点部や可動接点部の数は、上記各実施形態およびその変形例で示したものに限られず、様々な数とすることができる。
また、駆動部や接点装置、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。