JP7360127B2 - 軸受用グリース - Google Patents

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Description

本発明は、低発塵性グリース組成物に関する。
例えば、クリーンルーム内の製造装置部品の軸受に使用するグリースは、低発塵性能が要求される。
特許文献1-6では、基油(鉱油、合成炭化水素油や、エーテル油、エステル油など)の動粘度を調整し、ウレア化合物やウレタン化合物などの増ちょう剤を組み合わせて使用することで、低発塵性に加えて、耐熱性や耐騒音性などを向上させている。また、特許文献7では、40℃における動粘度が100~300mm/sである基油、増ちょう剤として、リチウムコンプレックス石けんを配合することで、高い耐荷重性を有するグリース組成物が記載されている。
特開平11-166191号公報 特開2000-192973号公報 特開2001-059094号公報 特開2005-272764号公報 特開2008-164087号公報 特開2016-121725号公報 国際公開第2012/141222号
しかしながら、各特許文献に記載の発明には、低発塵性に加えて、防錆性、軸受の長寿命化、及び、軸受回転時の低トルク性を、全て満足するグリース組成物について開示はなされていない。
そこで本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、低発塵性と、防錆性、軸受の長寿命化、及び、軸受回転時の低トルク性を満たす低発塵性グリース組成物を提供することを目的とする。
本発明の軸受用グリースは、40℃における動粘度が40~120mm/secであり、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種を含む基油と、下記式(1)で表されるウレア系増ちょう剤を、グリース全量に対し、14質量%以上20質量%以下にて含み、オクチルアミン又はステアリルアミンからなる脂肪族アミンとシクロヘキシルアミンからなる脂環式アミンのモル比((脂肪族アミンのモル数)/(脂肪族アミンと脂環式アミンの合計モル数)×100)が、30~70の範囲であり、ジフェニルメタンジイソシアネートと、前記脂肪族アミンと、前記脂環式アミンを合成してなる前記ウレア系増ちょう剤と、常温で固体であり、グリース全量に対して、0.1~3.0質量%の範囲で含む防錆剤のソルビタントリステアレートと、グリース全量に対して、0.1~0.6質量%の範囲で含む酸化防止剤と、を含有し、混和ちょう度が186~247の範囲であることを特徴とする。
R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (1)
(式中、R1及びR3は、炭素数8~22のアルキル基、及び/又は、シクロヘキシル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、R2は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
本発明では、常温で固体であり、グリース全量に対し、0.5~5.0質量%の範囲で含まれる耐摩耗剤を更に、含有してもよい。
本発明では、前記耐摩耗剤が、モノカルボン酸金属塩であることが好ましい。
本発明では、前記モノカルボン酸金属塩が、安息香酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明のグリース組成物によれば、低発塵性に加え、防錆性、軸受の長寿命化、及び、軸受回転時の低トルク性を満たす低発塵性グリース組成物を得ることができ、例えば、クリーンルーム内の製造装置の転がり軸受に、好適に用いることができる。
以下、本発明の一実施形態(以下、「実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、「~」の表記は、下限値及び上限値の双方を範囲として含む。
一般的に、クリーンルーム内などの、製造装置部品の軸受に使用するグリース組成物は、軸受回転時に、微細な飛沫を生じさせないように、低発塵性が要求される。更に、低発塵性に加えて、防錆性、軸受寿命、及び、軸受回転時の低トルク性も重要な特性とされる。しかしながら、従来のグリース組成物では、これら全ての特性を満足させることができなった。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、グリース組成物に含有される、基油、増ちょう剤、防錆剤、及び酸化防止剤の各材料や含有量を適宜調整することで、低発塵性に加えて、防錆性や軸受寿命、軸受回転時の低トルク性をバランス良く満たすことを可能とした。すなわち、本実施形態の低発塵性グリース組成物は、以下の特徴を備えている。
(1) 基油:40℃における動粘度が40~120mm/secであり、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種を含む。
(2) 増ちょう剤:下記式(1)で表されるウレア系増ちょう剤を、グリース全量に対し、14質量%以上含み、ウレア系増ちょう剤の原料として、脂肪族アミンと脂環式アミンのモル比((脂肪族アミンのモル数)/(脂肪族アミンと脂環式アミンの合計モル数)×100)が、30~70の範囲である。
R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (1)
(式中、R1及びR3は、炭素数8~22のアルキル基、及び/又は、シクロヘキシル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、R2は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
(3) 防錆剤:常温で固体であり、グリース全量に対して、0.1~3.0質量%の範囲で含む。
(4) 酸化防止剤:グリース全量に対して、0.1~1.0質量%の範囲で含む。
(5) 混和ちょう度が170~260の範囲である。
以下、本実施形態の低発塵性グリース組成物に含まれる基油と、増ちょう剤と、防錆剤と、酸化防止剤について詳述する。
(基油)
本実施形態では、基油として、合成炭化水素油を用いることができる。合成炭化水素油は、例えば、ポリ-α-オレフィン油(PAO油)を用いることが好ましく、例えば、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ドコセン等の重合体、または、炭素数8~12のα-オレフィンの重合体の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。合成炭化水素油の動粘度は、特に限定するものではないが、40℃にて、30mm/s~440mm/s程度であることが好ましい。
本実施形態では、基油として、エーテル油を用いることができる。エーテル油は、例えば、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油などを用いることができる。本実施形態においては、特に、アルキルジフェニルエーテル油を用いることが好ましい。エーテル油の動粘度は、限定するものではないが、40℃にて、100mm/s程度であることが好ましい。
本実施形態では、基油として、上記した合成炭化水素油及びエーテル油から、選ばれる少なくとも1種を含む。基油の表面張力が、発塵性へ影響を与えることから、合成炭化水素油やエーテル油の濡れ性の低い基油を用いることで、発塵を抑えることが可能である。本実施形態の低発塵グリース組成物に含有される基油の40℃における動粘度(混合粘度)は、低発塵性、軸受寿命、及び低トルク性の観点から、40~120mm/secの範囲とするのが好ましく、50~100mm/secの範囲とするのがより好ましく、50~70mm/secの範囲とするのが更に好ましく、55~65mm/secの範囲とするのが更により好ましい。本実施形態では、合成炭化水素油及びエーテル油の双方を含むことが、基油の40℃における動粘度を上記範囲に調整しやすく、低発塵性、軸受の長寿命化、及び、軸受回転時の低トルク性を得る上で好ましい。
(増ちょう剤)
本実施形態では、増ちょう剤として、ウレア化合物を含有することが好ましい。ウレア化合物は、ジイソシアネートに、脂肪族アミンと脂環式アミンのいずれかまたは両方を反応させて得られた以下の一般式(1)で示されることが好ましい。
R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (1)
ここで、式中のR2は、炭素数13の2価の芳香族炭化水素基を表すことが好ましい。R1及びR3は、シクロヘキシル基、及び/又は、炭素数8~22のアルキル基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。また、アルキル基は、炭素数8~18の範囲で含まれることがより好ましい。
増ちょう剤として含有されるウレア化合物は、上記一般式(1)に基づき、ジイソシアネート(好ましくは、MDI)と脂肪族アミンとが合成された材料、ジイソシアネートと脂環式アミンとが合成された材料、及び、ジイソシアネートと脂肪族アミンと脂環式アミンとが合成された材料を含む。
本実施形態のウレア化合物は、軸受寿命や低トルク性の観点より、ウレア原料として、脂肪族アミンと脂環式アミンのモル比((脂肪族アミンのモル数)/(脂肪族アミンと脂環式アミンの合計モル数)×100)が、30~70の範囲であることが好ましい。一般式(1)に置き換えると、((シクロヘキシル基のモル数)/(シクロヘキシル基とアルキル基との合計モル数)×100)が、30~70であることが好適である。モル比率は、35~65の範囲であることが好ましく、50程度とするのがより好ましい。
また、本実施形態では、ウレア化合物が、グリース全量に対して、14質量%以上の含有率で含むことが好ましい。また、ウレア化合物の含有量は、25質量%以下であることが好ましい。また、ウレア化合物の含有量は、15~20質量%程度であることがより好ましい。ウレア化合物の含有量は、後述する混和ちょう度とも関わる。本実施形態では、混和ちょう度が170~260の範囲であることが好ましい。これにより、適度な硬さを有し、良好な生産性を維持しつつ、低発塵性を促進することができる。また、混和ちょう度は、180~250の範囲であることがより好ましい。
本実施形態において、ウレア化合物の原料は、特に限定するものではないが、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等と共に、脂肪族アミンとして、オクチルアミン、ステアリルアミン、脂環式アミンとして、シクロヘキシルアミン(CHA)などから合成されることが好ましい。特に、オクチルアミン、ステアリルアミンは、炭素数がC8~C18の範囲であることから好ましい。
(防錆剤)
本実施形態において、防錆剤は、常温で固体であることが好ましい。ここで、「常温」とは、20℃~40℃程度の範囲を指す。限定するものではないが、低発塵性グリース組成物中に防錆剤は、粉末状で存在することが好ましい。常温で固体である防錆剤は、液体の防錆剤を使用した場合と比べて、濡れ難いグリース組成物を調製することができ、発塵量を抑えることができる。さらに、固体の防錆剤は、軸受回転時に熱分解し難いため、過酷な条件においても、防錆性を維持することができる。防錆剤は、低発塵性を維持し且つ良好な防錆性を得る観点から、グリース全量に対して、0.1~3.0質量%の範囲で配合するのが好ましく、0.5~3.0質量%の範囲で含有するのがより好ましく、1.0~3.0質量%の範囲で含有することが更に好ましい。このように、本実施形態では、常温で固体の防錆剤を、低発塵性グリース組成物に少量添加することが、特徴点の一つとなっている。
本実施形態では、防錆剤が、ソルビタン脂肪酸エステルであることが好ましい。また、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビタントリステアレートを用いることで、低発塵性に加えて、より効果的に、防錆性に優れた低発塵性グリース組成物を調製することができる。
(酸化防止剤)
本実施形態では、酸化防止剤を、グリース全量に対して、0.1~1.0質量%の範囲で配合することが、低発塵性とともに、良好な軸受寿命等を得ることができて好ましい。また、酸化防止剤は、固体もしくは液体の酸化防止剤を使用することができるが、低発塵性の観点から、固体の酸化防止剤を用いることが好適である。
本実施形態では、限定するものではないが、酸化防止剤として、例えば、アミン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤を含有させることができる。また、本実施形態では、酸化防止剤を2種以上添加してもよい。
(その他の添加剤)
低発塵性の観点から、本実施形態の低発塵性グリース組成物に含有される材料は、上記に挙げた基油、増ちょう剤、防錆剤及び酸化防止剤で構成され、それ以外の添加剤を含まないことが好ましい。ただし、他の添加剤として、以下の条件の耐摩耗剤を含有してもよい。すなわち、常温で固体の耐摩耗剤を、グリース全量に対して、0.5~5.0質量%の範囲で配合することが可能である。これにより、低発塵性等を保持しつつ、耐摩耗性を向上させることができる。
本実施形態では、耐摩耗剤が、モノカルボン酸金属塩であることが好ましい。モノカルボン酸金属塩は、例えば、安息香酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明のグリース組成物によれば、低発塵性と、防錆性、低トルク性、軸受寿命を両立させた、低発塵性グリース組成物を得ることができ、クリーンルーム内の製造装置の転がり軸受などに、潤滑剤として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例により本発明の効果を説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実験では、グリース組成物を調製するにあたり以下の材料を用いた。
[基油]
(合成炭化水素油)
以下の3種類の合成炭化水素油を用いた。
PAO6 (30mm/s):SPECTRASYN(登録商標) PLUS6:EXXONMOBIL OIL CORPORATION製
PAO8 (46mm/s):Synfluid(登録商標) PAO8cSt:シェブロンフィリップス製
PAO40 (440mm/s):SPECTRASYN(登録商標) 40:EXXONMOBIL OIL CORPORATION製
(エーテル油)
エーテル油(100mm/s):モレスコハイルーブ(登録商標)LB-100:MORESCO社製
エステル油(46mm/s):ユニスター(登録商標) HR―46:日油株式会社製
[増ちょう剤]
オクチルアミン、シクロヘキシルアミン(CHA)、及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を合成したウレア化合物
オクチルアミン(脂肪族アミン):ファーミン(登録商標)08D:花王株式会社製
ステアリルアミン(脂肪族アミン):ファーミン80S:花王株式会社製
シクロヘキシルアミン(CHA、脂環式アミン):CHA:新日本理化株式会社製
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI):MILLIONATE MT-F:東ソー株式会社製
[防錆剤]
ソルビタン脂肪酸エステル(固体(融点54℃) ソルビタントリステアレート):ポエムS-65V:理研ビタミン社製
ソルビタン脂肪酸エステル(液体 ソルビタンモノアレート):ノニオンOP-80R:日油社製
Baスルフォネート(液体):NA-SUL(登録商標) BSN:KING社製
[耐摩耗剤]
安息香酸ナトリウム(固体):安息香酸ナトリウム:株式会社伏見製薬所製
[酸化防止剤]
アミン系酸化防止剤(固体(融点95℃) オクチル化ジフェニルアミン):VANLUBE(登録商標)81:VANDERBILT社製
フェノール系酸化防止剤(固体(融点110℃) ペンタエリトリトール=テトラキス[3-(3‘,5’-ジ-tert-ブチル-4‘-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]):IRGANOX(登録商標) L101:BASF社製
アミン系酸化防止剤(液体):IRGANOX(登録商標) L57:BASF社製
フェノール系酸化防止剤(液体):IRGANOX(登録商標) L135:BASF社製
各実施例及び比較例において、添加剤の種類や、含有量を変えてグリース組成物を調製した。実施例1-17及び比較例1-17では、調製したグリース組成物の性能を評価した。各実施例における評価結果を表1に示し、各比較例における評価結果を表2に示した。
(発塵量試験)
発塵量試験において、各実施例及び比較例のグリース組成物を、6204ZZ軸受に1.8cmのグリースを封入し、アキシアル荷重14N、回転数1440rpmで120分間運転した。その際に発生する0.3μm以上の粒子を吸気量2.83L/分のパーティカルカウンターを用い測定し、発塵量とした。発塵量は、カウントした粒子数/339.6L(120分×2.83L/分=339.6L)の式から算出し、発塵数が25000個/L以下の結果を合格とした。
(軸受寿命試験)
焼付寿命試験は、ASTM D3336に準拠して、試験を行った。各実施例及び比較例のグリース組成物を、軸受6204に1.8g充填、両側金属シールを加締め、外輪温度170℃、荷重Fa=Fr=67Nの条件下、10,000rpmで内輪を連続運転させた。軸受の回転トルクが過大になり、過電流を生じるまでの時間を焼付寿命とした。軸受寿命が500h以上の結果を合格とした。
(軸受防錆試験)
軸受防錆試験は、ASTM D1743-73に準拠(NaCl 1%濃度、40℃、48h)して試験を行った。発錆状況は外輪レース面を周方向に32等分し、錆の発生した区間を数え、錆の発生数を測定した。そして、以下の基準で判定し、◎と○を合格とした。
◎:錆の発生数 10区間未満
○:錆の発生数 10区間以上~20区間未満
×:錆の発生数 20区間以上
(軸受トルク試験)
軸受トルク試験において、各実施例及び比較例のグリース組成物を、6204ZZ軸受に、添加量として1.8cmを封入し、アキシアル荷重22N、ラジアル荷重13Nにて3600rpmで回転させ、2時間後の軸受トルクを試験結果とした。軸受トルクが30mN・m以下の結果を合格とした。
(混和ちょう度測定)
混和ちょう度を測定し、各実施例及び比較例のグリース組成物が製造可能か否かを試験した。JIS K2220に規定されたちょう度試験方法により、測定した。混和ちょう度170未満は、グリースが硬く、撹拌、移送、充填等が困難のため、製造不可とした。
(高速四球式摩耗試験)
高速四球式摩耗試験は、ASTM D2266に準拠して試験を行った。
結果を以下の基準で判定し、判定◎と○を合格とした。
◎:優れる(摩耗径0.65mm未満)
○:一般的(摩耗径0.65mm以上0.80mm未満)
×:劣る(摩耗径0.80mm以上)
表1に示すように、実施例1-17のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、防錆剤と、酸化防止剤と、耐摩耗剤を、好適な範囲で含有するグリース組成物であり、発塵量、軸受寿命、防錆性、軸受トルク、製造性、耐摩耗性をバランス良く満たしていることがわかった。
これに対し、比較例は、発塵量、防錆性、軸受寿命、及び低トルク性の少なくともいずれかが悪化した。
比較例1では、基油として、合成炭化水素油及びエーテル油を使用していないため、発塵量が著しく増加している。
比較例2は、混合基油の動粘度が32mm/sと低いため、軸受寿命が著しく悪化することがわかった。また、比較例3は、混合基油の動粘度が168mm/sと高いため、トルク性能が著しく悪化した。
比較例4、5、6のグリース組成物は、増ちょう剤の含有率が、グリース組成物の全重量に対して、14質量%を下回っており、発塵量が著しく増加することがわかった。
また、比較例5、6のグリース組成物は、混和ちょう度が260を上回っており、グリース組成物が軟化しているため、発塵性能が著しく悪化することがわかった。一方、比較例7は、混和ちょう度が170を下回り、グリース組成物が硬化しすぎており、グリース組成物として、製造不可能であった。
比較例8、9は、グリース組成物の増ちょう剤として含まれるウレア化合物の原料であるシクロヘキシルアミンと、オクチルアミンとの比率が5:95であり、脂肪族アミンを過剰に含んでおり、耐熱性に劣るため軸受寿命が著しく悪化することがわかった。また、比較例10は、シクロヘキシルアミンのモル比率が100であるために、グリース組成物のトルク性能が著しく悪化することがわかった。
比較例11、12のグリース組成物は、液体の防錆剤を添加して、グリース組成物を調製しており、グリース組成物の発塵量が著しく増加することがわかった。
比較例13のグリース組成物は、酸化防止剤を添加せず、グリース組成物を調製しており、軸受寿命が著しく悪化することがわかった。
比較例14、15、16、17のグリース組成物は、防錆剤を添加せず、グリース組成物を調製しており、グリース組成物の防錆性が著しく悪化することがわかった。
これに対し、実施例1-17は、基油として、40℃における動粘度が40~120mm/secであり、少なくも合成炭化水素油を含むことがわかった。なお、合成炭化水素油とエーテル油の双方を含むことが好ましい。
また、実施例1-17は、増ちょう剤として、(脂肪族アミンのモル数)/(脂肪族アミン化合物と脂環式アミン化合物の合計モル数)×100が30~70の範囲となるウレア化合物を、グリース全量に対し、14質量%以上含むことがわかった。
また、実施例1-17は、常温で固体の防錆剤を、グリース全量に対して、0.1~3.0質量%の範囲で含むことがわかった。
また、実施例1-17は、酸化防止剤を、グリース全量に対して、0.1~1.0質量%の範囲で含むことがわかった。
また、実施例1-17は、混和ちょう度が170~260の範囲であることがわかった。一方、比較例は、上記の少なくともいずれか1つの構成を欠いていることがわかった。
上記のように、実施例1-17は、混合基油の、40℃における動粘度が40~120mm/secという好適な範囲であり、優れたグリース組成物を調製することができた。特に、実施例1-7において、動粘度が58mm/sec程度で、発塵性が抑えられた、優れたグリース組成物を得ることができた。また、実施例2、12は、動粘度が範囲外の比較例2、3と比べて、優れた軸受トルク、及び、軸受寿命を得られることがわかった。
また、実施例1―17は、増ちょう剤の含有率が、グリース組成物の全重量に対して、14.0質量%以上という好適な範囲であり、優れたグリース組成物を調製することができた。また、実施例1-7、11-12、14-15は、範囲外の比較例4、5、6と比べて、発塵量を抑えられることを示した。
また、実施例1-17は、混和ちょう度が170~260という好適な範囲であり、優れたグリース組成物を調製することができた。また、範囲外の比較例5、6、7と比べて、発塵量を抑えることができ、安定して製造することができた。
また、実施例1-17は、グリース組成物の増ちょう剤として含まれる、ウレア原料としての、脂肪族アミンと脂環式アミンの比率が30~70であり、脂環式アミンと、脂肪族アミンを好適な範囲で含有しており、優れたグリース組成物を得ることができた。
特に、実施例1-7において、ウレア化合物の原料である脂肪族アミンと脂環式アミンの比率が50:50程度であることで、発塵量を抑えた、優れたグリース組成物を得ることができた。また、実施例2、3、4、9、10、11、12は、範囲外の比較例8、9、10と比べて、優れた軸受寿命と、トルク性能を得られることを示した。
また、実施例1-17は、固体の防錆剤を、グリース組成物の全重量に対して、0.1~3.0質量%の範囲で含有しており、優れたグリース組成物を得ることができた。また実施例1-7において、1.0~3.0質量%の範囲で含有することで、発塵を抑えた、優れたグリース組成物を得ることができた。また、実施例2、4、12は、防錆剤を含まない比較例14、15、16、17と比べて、優れた防錆性能を得られることがわかった。また、固体の防錆剤を添加することで、液体の防錆剤を添加した比較例11、12と比べて、発塵量を抑えられることがわかった。
実施例1-17は、固体、または、液体の、酸化防止剤を、グリース組成物の全重量に対して、0.1~1.0質量%の好適な範囲で含有しており、製造可能なグリース組成物を得ることができた。特に、実施例1-7において、発塵量を抑えた、優れたグリース組成物を得ることができた。また、実施例14は、液体の酸化防止剤を使用しており、発塵を抑えた優れたグリース組成物を得ることができた。
実施例15は、固体の耐摩耗剤を、グリース組成物の全重量に対して、0.5~5.0質量%の好適な範囲で含有しているため、発塵量を抑えることができた。
本発明の低発塵性グリース組成物によれば、低発塵性と、防錆性、低トルク性、軸受寿命を両立させた、低発塵性グリース組成物を得ることができ、クリーンルーム内の製造装置の転がり軸受などに、潤滑剤として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 40℃における動粘度が40~120mm/secであり、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種を含む基油と、
    下記式(1)で表されるウレア系増ちょう剤を、グリース全量に対し、14質量%以上20質量%以下にて含み、オクチルアミン又はステアリルアミンからなる脂肪族アミンとシクロヘキシルアミンからなる脂環式アミンのモル比((脂肪族アミンのモル数)/(脂肪族アミンと脂環式アミンの合計モル数)×100)が、30~70の範囲であり、ジフェニルメタンジイソシアネートと、前記脂肪族アミンと、前記脂環式アミンを合成してなる前記ウレア系増ちょう剤と、
    常温で固体であり、グリース全量に対して、0.1~3.0質量%の範囲で含む防錆剤のソルビタントリステアレートと、
    グリース全量に対して、0.1~0.6質量%の範囲で含む酸化防止剤と、
    を含有し、混和ちょう度が186~247の範囲であることを特徴とする軸受用グリース
    R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (1)
    (式中、R1及びR3は、炭素数8~22のアルキル基、及び/又は、シクロヘキシル基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、R2は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
  2. 常温で固体であり、グリース全量に対し、0.5~5.0質量%の範囲で含まれる耐摩耗剤を更に、含有することを特徴とする請求項に記載の軸受用グリース
  3. 前記耐摩耗剤が、モノカルボン酸金属塩であることを特徴とする請求項に記載の軸受用グリース
  4. 前記モノカルボン酸金属塩が、安息香酸ナトリウムであることを特徴とする請求項に記載の軸受用グリース
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