JP2010174117A - グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来のグリースに比べて耐フレッティング性を大幅に向上し、且つ、せん断安定性、耐荷重能、温度−粘度特性などの性能のバランスに優れたグリース組成物を提供する。
【解決手段】 鉱物油の基油を増稠剤のリチウム石鹸又はリチウム複合石鹸で増稠したグリース組成物であり、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤1.0〜20.0質量%と、重量平均分子量が50,000〜150,000のポリメタクリレート1.0〜20.0質量%と、油性向上剤1.0〜10.0質量%とを含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】 鉱物油の基油を増稠剤のリチウム石鹸又はリチウム複合石鹸で増稠したグリース組成物であり、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤1.0〜20.0質量%と、重量平均分子量が50,000〜150,000のポリメタクリレート1.0〜20.0質量%と、油性向上剤1.0〜10.0質量%とを含有する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、潤滑剤として使用されるグリース組成物に関し、詳しくは自動車及び汎用機械等に使用するフレッティング摩耗に強いグリース組成物に関する。
グリース潤滑におけるフレッティング摩耗は、一般の化学的な腐食摩耗と異なり、機械的な摩耗現象の一種である。フレッティング摩耗は以前から確認されている現象であるが、関与するファクターが多いため、機械や摺動条件毎に対策を講じる必要がある。
即ち、フレッティングとは、相対する2物体間で生じる微振動及び微少滑りであり、その際に生じる摩耗粉は大気中で酸化して茶褐色を呈することからココアと呼ばれることもある。このような相対的な微振動や微小滑りにより生じる摩耗をフレッティング摩耗と呼ぶ。フレッティング自体の摩耗量は小さいため、機器性能に直接悪影響を与えることは少ないが、進行すると材料強度が下がり、疲労による亀裂や破損にまで繋がる。
最近では、各種機器の精密化に加え、その運転条件の変化や運送等に伴い、潤滑に使用するグリース組成物には耐摩耗性、温度特性、垂れない、即ち、せん断安定性に強いなど種々の性能が必要とされ、総合的にバランスの取れたものが要求されている。耐フレッティング性もその要求性能の一つであるが、その性能に特化することで他の性能を減じてはならないため、基油や増稠剤、添加剤の選択が非常に難しい問題となっている。
例えば、特開2006−169386号公報には鉱油又は合成油をウレア化合物及び金属石鹸で増稠したグリースが、また、特開2002−265970号公報には基油を金属石鹸とウレア化合物で増稠したグリースが記載されている。これらのグリースは耐フレッティング性を改善できるとされているが、一般的に異種の増稠剤を組合せるとグリースの離油、離しょうや、せん断軟化を生じることが多い。また、ウレア化合物で増稠したグリースは、原材料の組み合わせによっては非常に熱安定性の悪いグリースとなる。従って、これらの組成物は総合的にバランスの取れたグリースとは言い難いものである。
また、特開2003−147378号公報には、合成エステル油をリチウム石鹸で増稠し、カルシウムスルフォネートを配合したグリースが記載されている。このグリースは単一の増稠剤を用いており、エステル油及びカルシウムスルフォネートの配合により優れた潤滑性を示すため、非常にバランスの取れた組成物といえる。しかし、HDD用に特化しているため、耐荷重能に劣り、高荷重域で使用される場合に充分な耐フレッティング性を有しているとはいえない。
本発明は、耐フレッティング性を大幅に改善し、幅広い使用条件下において耐摩耗性、温度−粘度特性、耐荷重能、せん断安定性等に優れるグリース組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供するグリース組成物は、基油の鉱物油と金属石鹸を主成分とし、固体潤滑剤を1.0〜20.0質量%、重量平均分子量50,000〜150,000のポリメタクリレートを1.0〜20.0質量%、及び油性向上剤を1.0〜10.0質量%含有することを特徴とする。
上記本発明のグリース組成物において、前記金属石鹸は、リチウム石鹸又はリチウム複合石鹸であることが好ましい。また、前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、グラファイト、メラミンシアヌル酸付加物、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、従来のグリースに比べ耐フレッティング性を大幅に改善することができ、且つ、幅広い使用条件下において耐摩耗性、温度−粘度特性、耐荷重能、せん断安定性などに優れ、総合的にバランスのとれたグリース組成物を提供することができる。
本発明のグリース組成物は、基油である鉱物油を増稠剤として1種類の金属石鹸のみで増稠すると共に、必要な性能を付与するために各種添加剤を配合したものである。配合する添加剤としては、少なくとも、固体潤滑剤と、粘度指数向上剤としてポリメタクリレートと、油性向上剤とを必須の成分とする。
鉱物油としては、主としてパラフィン系鉱物油及びナフテン系鉱物油がある。パラフィン系鉱物油は、低温特性はナフテン系鉱物油に劣るものの、温度−粘度特性に優れており、また樹脂材料への攻撃性が小さく、潤滑性に優れている。一方、ナフテン系鉱物油は、パラフィン系鉱物油に比べ温度−粘度特性が劣り、樹脂材料への攻撃性は高いものの、低温流動性に優れており、また基油の粘度−圧力係数が高いことから潤滑油膜が強く、耐フレッティング性の向上に寄与する。この様な特性を考慮し、使用環境に応じて鉱物油を使い分けることができる。
本発明で用いる増稠剤は金属石鹸であり、特にリチウム石鹸又はリチウム複合石鹸が望ましい。リチウム石鹸は耐熱性、せん断安定性、耐水性に優れるため、リチウム石鹸を用いたグリースは万能グリースと呼ばれ、非常にバランスのとれた増稠剤とされる。リチウム複合石鹸は、更に石鹸の材料となる脂肪酸を複合的に反応させることにより、リチウム石鹸の持つせん断安定性及び耐熱性をより向上させた増稠剤である。
一般的に増稠剤には有機系と無機系があり、上記金属石鹸は有機系の増稠剤である。他の有機系増稠剤として、アミン化合物とイソシアネートを反応させることで得られるウレア化合物がある。ウレア化合物は耐フレッティング性に優れた増稠剤とされているが、アミン化合物とイソシアネートの組み合わせによっては一性能に特化されやすく、バランスの取れた増稠剤とは言いがたい。一方、無機系の増稠剤には、シリカ、ベントナイトなどがある。これら無機系の増稠剤は、耐熱性やせん断安定性に優れるが、潤滑性に劣るうえ、高温下では高融点のために増稠剤が溶融せずに残存し、固化の原因となりやすい。
本発明で用いる固体潤滑剤とは、固体でありながら潤滑性を有する物質であり、主として固体潤滑剤自身の層状構造によって潤滑性を発揮する。固体潤滑剤は耐フレッティング性を向上させる効果がある。即ち、フレッティングは微振動によって生じる摩耗現象であり、摺動部では振幅が小さくグリースが再導入され難いため、非常に薄い油膜によって荷重を保持することになる。しかし、薄い油膜は荷重により破断しやすく、油膜が破断すると部材同士が直接接触して摩耗が進行する。この摺動部に固体潤滑剤を介在させることで、薄い油膜が破断しても固体潤滑剤により形成される被膜によって部材同士の直接接触を防ぎ、摩耗の進行を抑制することができる。
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、メラミンシアヌル酸付加物、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素から選ばれた少なくとも1種が好ましく、特に耐荷重能に優れる二硫化モリブデンとグラファイトが更に好ましい。上記固体潤滑剤は2種以上配合しても良く、例えば二硫化モリブデンとグラファイトの組み合わせは相乗効果が得られ特に好ましい。尚、これらの固体潤滑剤は、色相、耐熱温度、耐荷重能、摩擦特性がそれぞれ異なるため、要求性能に応じて使い分けることができる。
上記固体潤滑剤は、グリース組成物全体の1.0質量%〜20.0質量%の範囲で配合する必要がある。固体潤滑剤の配合量が1.0質量%未満では、固体潤滑剤の添加効果がほとんど認められない。また、固体潤滑剤の配合量が20.0質量%を超えると、添加効果の更なる増加がみられなくなると共に、グリース中の固体成分量が増え且つ液体成分量が小さくなるため、グリースの固さや流動性に影響を与え、結果として他の要求性能に悪影響を与える。
本発明で用いる粘度指数向上剤は、基油中に添加剤成分を分散させ、基油の流動特性を改善する作用がある。また、粘度指数向上剤は、基油の温度−粘度特性を改善すると共に、基油の油膜を強化できることから、耐フレッティング性の向上にも寄与する。かかる粘度指数向上剤として、本発明のグリース組成物においては、重量平均分子量が50,000〜150,000のポリメタクリレートを使用する。
ポリメタクリレートは、せん断安定性や粘度指数の向上効果に優れている。ポリメタクリレートの重量平均分子量は、50,000〜150,000の範囲であることが必要である。重量平均分子量が50,000より小さいと、粘度指数向上効果が小さく、また150,000を超えるものになると粘性が強すぎるため、グリース中で分散する際のせん断抵抗が大きくなり、製造時の負荷が大きいため好ましくない。また、得られるグリースの粘性も強くなりすぎるため、摺動時の抵抗が大きくなってしまう。
ポリメタクリレートの配合量は、グリース組成物全体の1.0〜20.0質量%の範囲であることが必要である。ポリメタクリレートの配合量が1.0質量%未満では、粘度指数の向上効果が小さくなる。また、20.0質量%を超える場合には、グリースの粘性が大きくなるため、摺動部へのグリースの再導入が起こり難くなり、それにより耐フレッティング性に悪影響を与えると共に、グリースの摺動抵抗も大きくなる。
本発明で用いる油性向上剤は、粘度指数向上剤と同様に、油膜を強化し、部材同士の直接接触を防ぐことによって、耐フレッティング性を向上させる効果がある。油性向上剤としては、脂肪酸、エステル系、アミン系などのものが知られているが、特にエステル系あるいはアミン系の油性向上剤が好ましい。脂肪酸系の油性向上剤は、低温性及び熱による吸脱着特性に劣るため好ましくない。
また、油性向上剤の配合量は、グリース組成物全体の1.0質量%〜10.0質量%の範囲とすることが必要である。油性向上剤の配合量が1.0質量%未満では、油性向上剤の添加効果がほとんど認められない。また、配合量が10.0重量%を超える場合には、更なる添加効果の増加が認められなくなると共に、基油の配合量が少なくなることから、基油の有する潤滑性や温度−粘度特性に悪影響を与えるため好ましくない。
なお、本発明のグリース組成物においては、上記した必須の添加剤、即ち固体潤滑剤、粘度指数向上剤のポリメタクリレート、及び油性向上剤以外にも、種々の添加剤を配合することが可能である。ただし、これらの添加剤を配合することにより、要求される性能を低下させないことが前提となる。
基油である鉱物油を金属石鹸で増稠し、各種添加剤を配合して、本発明によるグリース組成物を作製した。使用した基油は高精製鉱物油であり、出光興産(株)製のダイアナフレシア(商品名)W−90を用いた。また、増稠剤aとしてリチウム石鹸、増稠剤bとしてリチウム複合石鹸を用いた。
尚、金属石鹸での基油の増稠は、リチウム石鹸の場合、基油に12−ヒドロキシステアリン酸と水酸化リチウム水溶液を混合し、200℃まで加熱撹拌して行った。また、リチウム複合石鹸の場合は、上記と同様に基油に12−ヒドロキシステアリン酸と水酸化リチウム水溶液を混合し、200℃まで加熱撹拌した後、更に130℃で水酸化リチウム水溶液とアゼライン酸を配合して、200℃まで加熱撹拌した。
固体潤滑剤としては、固体潤滑剤aが二硫化モリブデンであって住鉱潤滑剤(株)製のモリパウダーPS(商品名)、固体潤滑剤bがグラファイトであってティムカル社製のKS−6(商品名)、及び固体潤滑剤cがメラミンシアヌル酸付加物であって日産化学(株)製のMC−6000(商品名)を用いた。
粘度指数向上剤はポリメタクリレートであり、ローマックス社製のVISCOPLEX(商品名)8−200を用いた。また、油性向上剤としては、ライオンアクゾ(株)製のKET JENLUBE115(商品名)を用いた。更に、酸化防止剤として、ランクセス(株)製のBHT(商品名)を用いた。
[実施例1]
上記した基油、増稠剤及び添加剤の各成分を下記表1に示す配合量となるように秤量し、ダブルアクションの撹拌機を用いて混合した後、三本ロールで更に混合して仕上げ、それぞれ本発明の試料1〜6のグリース組成物を得た。尚、粘度指数向上剤及び酸化防止剤は、加熱混合しながら配合した。また、酸化防止剤の配合量は、試料1〜6で全て0.5質量%とした。
上記した基油、増稠剤及び添加剤の各成分を下記表1に示す配合量となるように秤量し、ダブルアクションの撹拌機を用いて混合した後、三本ロールで更に混合して仕上げ、それぞれ本発明の試料1〜6のグリース組成物を得た。尚、粘度指数向上剤及び酸化防止剤は、加熱混合しながら配合した。また、酸化防止剤の配合量は、試料1〜6で全て0.5質量%とした。
得られた試料1〜6の各グリース組成物について、オプチモール社製のSRV試験機を用いて耐フレッティング性を評価した。SRV試験機は、様々な接触形態において微振動による摩耗や摩擦に関するデータを取得可能な試験機である。具体的には、荷重300N、試験温度25℃、振動数80Hz、振幅0.05mmとし、1時間後の摩耗量を測定した。テストピースの材質はSUJ2鋼であって、片方は直径24mm×厚さ7mmの円盤状、他方は直径10mmの球状であり、両テストピースの接触形態は点接触とした。
また、試料1〜6の各グリース組成物について、JJS K 2220による25℃での稠度試験、離油度試験、滴点試験、JIS K 2283による40℃での基油動粘度試験、ASTM D 2596によるシェル式四球耐荷重能試験(LNL及びWL)、ASTM D 1831によるロール安定度試験により、一般性能を評価した。これらの試験結果を下記表1に併せて示した。
また、比較試料として、基油、増稠剤、添加剤の異なる5種類のグリースを用意した。試料Aは協同油脂(株)製のマルテンプSC−G(商品名)、試料Bは日本グリース(株)製のニグエースWR−S(商品名)、試料Cは中京化成工業(株)製のベアレックスM(商品名)、試料Dは東レ・ダウコーニング(株)製のモリコートグリースPG−663(商品名)、試料EはNOKクリューバー(株)製のバリエルタJFE552(商品名)である。これら比較例の各グリースについても上記と同様に性能を評価して、得られた試験結果を下記表2に示した。
上記試料1と試料2のグリース組成物は、各添加剤の配合量を固定し、増稠剤の種類を変化させたものである。試料1及び2のSRV試験における摩耗量は比較例の試料A〜Eのグリースに比べ遥かに少ない値を示し、この結果から本発明の試料1及び2の組成物は従来のグリースよりも耐フレッティング特性に優れることが分った。また、試料2の組成物は、増稠剤にリチウム複合石鹸を用いることで、グリースの耐熱性を示す滴点の大幅な上昇が認められた。試料1及び2の離油度試験の結果は、比較例の試料A〜Eのグリースと同水準の値を示した。
また、試料1及び2のシェル式四球試験の結果を比較すると、フッ素グリースである比較例の試料Eには及ばないものの、比較例の試料A〜Dと同水準か又はそれ以上の潤滑性を示した。更に特筆すべきは、ロール安定度試験におけるせん断安定性であり、試料1及び2は比較例の試料A〜Eのいずれよりも小さい稠度変化量を示した。これは増稠剤の選択と各添加剤のバランスのとれた配合によるものと考えられる。
上記試料3と試料4のグリース組成物は、上記試料1に対して固体潤滑剤の配合量を変化させたものである。試料3のSRV試験における摩耗量は、試料1に比べると多くなっているが、比較例の試料A〜Eのいずれよりも少ない摩耗量であった。試料4のSRV試験における摩耗量は試料1と比較して少ない値を示したが、これは固体潤滑剤を増量した効果によるものと考えられる。
また、試料3及び4の滴点の値はリチウム石鹸に由来する約200℃であり、標準的なレベルである。試料3及び4の離油度の値は、比較例の試料A〜Eと同水準の値を示した。シェル式四球試験に示される耐荷重能の値は、フッ素グリースである試料Eには及ばないものの、試料A〜Dのグリースと同水準の値を示した。試料3及び4のロール安定度試験における稠度変化量は、試料A〜Eよりも良好な数値を示した。
上記試料5と試料6のグリース組成物は、上記試料1に対して固体潤滑剤の種類を変化させたものである。試料5及び6のSRV試験における摩耗量は、比較例の試料A〜Eのいずれよりも少ない値であった。試料5の固体潤滑剤は二硫化モリブデンとグラファイトの組み合わせであり、両者を混合することの相乗効果によって摩耗量の低減が得られたものである。また、試料6は固体潤滑剤としてメラミンシアヌル酸付加物を配合したものであり、組成物は白色を呈している。試料1〜5の組成物は灰黒色であり、その色相が一部で嫌われることがあるが、試料6の組成物は色相が白色を呈しているため、試料1〜5と同等の性能を保持しながら色相の要求にも対応することができる。
試料5及び6の滴点は、リチウム石鹸に由来する約200℃であり、標準的なレベルである。試料5及び6の離油度の値は、比較例の試料A〜Eと同水準の値を示した。試料5及び6のシェル式四球試験の値は、試料Eのフッ素グリースには及ばないものの、試料A〜Dのグリースと同水準の値を示した。また、試料5及び6のロール安定度試験における稠度変化量は、試料A〜Eよりも良好な数値を示した。
[実施例2]
上記した基油、増稠剤及び添加剤の各成分を下記表3に示す配合量となるように秤量し、上記実施例と同様にして、それぞれ本発明の試料7〜10のグリース組成物を得た。尚、粘度指数向上剤及び酸化防止剤は、加熱混合しながら配合した。また、酸化防止剤の配合量は、試料7〜10で全て0.5質量%とした。
上記した基油、増稠剤及び添加剤の各成分を下記表3に示す配合量となるように秤量し、上記実施例と同様にして、それぞれ本発明の試料7〜10のグリース組成物を得た。尚、粘度指数向上剤及び酸化防止剤は、加熱混合しながら配合した。また、酸化防止剤の配合量は、試料7〜10で全て0.5質量%とした。
得られた試料7〜10の各グリース組成物について、上記実施例1の場合と同様に、オプチモール社製のSRV試験機を用いて耐フレッティング性を評価した。また、上記実施例1の場合と同様に、稠度試験、離油度試験、滴点試験、基油動粘度試験、シェル式四球耐荷重能試験、ロール安定度試験により、一般性能を評価した。これらの試験結果を下記表3に併せて示した。
上記試料7と試料8のグリース組成物は、上記実施例1における試料1の粘度指数向上剤の配合量を変化させたものである。試料7及び8のSRV試験における摩耗量は、比較例の試料A〜Eのいずれよりも少ない値であった。また、基油動粘度はグリースの付着性、耐荷重能、離油特性、低温特性など用途により変化させる必要があるが、試料7及び8の基油動粘度の範囲内であれば様々な用途に対応可能である。
試料7及び8の滴点は、リチウム石鹸に由来する約200℃であり、標準的なレベルである。試料7及び8の離油度の値は、比較例の試料A〜Eと同水準の値を示した。また、試料7及び8のシェル式四球試験の値は、比較例の試料Eのフッ素グリースには及ばないものの、試料A〜Dのグリースと同水準の値を示した。試料7及び8のロール安定度試験における稠度変化量は、試料A〜Eよりも良好な数値を示した。
上記試料9と試料10のグリース組成物は、上記実施例1における試料1の油性向上剤の配合量を変化させたものである。試料9及び10のSRV試験における摩耗量は、比較例の試料A〜Eのいずれよりも少ない値であった。また、試料9と試料10を比較すると、油性向上剤の配合量が多い試料10の方がより少ない摩耗量を示し、油性向上剤の配合がフレッティング摩耗に有効に働くことを示している。ただし、油性向上剤の配合量を増やすことにより低温特性の低下や樹脂部材に対する悪影響などが考えられるため、用途に応じて最適な配合量を選択する必要がある。
試料9及び10の滴点は、リチウム石鹸に由来する約200℃であり、標準的なレベルである。試料9及び10の離油度の値は、比較例の試料A〜Eと同水準の値を示した。試料9及び10のシェル式四球試験の値は、比較例の試料Eのフッ素グリースには及ばないものの、試料A〜Dと同水準の値を示した。試料9及び10のロール安定度試験における稠度変化量は、比較例の試料A〜Eよりも良好な値を示した。
以上の実施例から分るように、本発明によるグリース組成物は従来の代表的なグリースと比較して優れた耐フレッティング性を有しており、その一般性状も同水準又はそれ以上の性能を示している。よって、本発明のグリース組成物は、従来のグリースに比べて耐フレッティング性が大幅に改善されると共に、耐摩耗性、温度−粘度特性、耐荷重能、せん断安定性等の要求性能を損ねることがなく、総合的なバランスに優れたものである。
Claims (3)
- 鉱物油の基油と金属石鹸を主成分とし、1.0〜20.0質量%の固体潤滑剤と、1.0〜20.0質量%のポリメタクリレート(重量平均分子量50,000〜150,000)と、1.0〜10.0質量%の油性向上剤とを含有することを特徴とするグリース組成物。
- 前記金属石鹸が、リチウム石鹸またはリチウム複合石鹸であることを特徴とする、請求項1に記載のグリース組成物。
- 前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、グラファイト、メラミンシアヌル酸付加物、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
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