JP7255854B2 - 食品機械用潤滑剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明に係る潤滑剤組成物は、基油と、増ちょう剤と、を含む食品機械用の潤滑剤組成物(グリース組成物)である。ここで、食品機械とは、食品や食品関連部材を製造する工場等にて使用される機械であり、例えば、粉砕機、容器等の印刷機や成形機、搬送ラインのロボット減速機、包装紙等の製造機械、フリーザー等が挙げられる。また、食品機械用潤滑剤組成物とは、これらの食品機械の軸受や摺動部等に塗布して適用される潤滑剤組成物である。
本発明に係る潤滑剤組成物は、基油として、ポリアルファオレフィン(ポリαオレフィン、PAO)を含む。ポリアルファオレフィンを含んで基油を構成することで、特に低温領域における安定性を高め、優れた潤滑性とせん断安定性を付与できる。
本発明に係る潤滑剤組成物は、増ちょう剤として、カルシウムスルフォネートコンプレックスを含む。増ちょう剤としてカルシウムスルフォネートコンプレックスを用いることで、低温から高温の幅広い温度範囲における安定性を高め、優れた潤滑性とせん断安定性を付与できる。
必須の構成ではないが、本発明に係る潤滑剤組成物においては、さらに酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤としては、芳香族アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、チオフェノール系酸化防止剤等が挙げられ、これらの1種以上を含有させることができる。
芳香族アミン系酸化防止剤としては、アルキル化ジフェニルアミン、アルキル化ナフチルアミンが挙げられる。特に、この潤滑剤組成物においては、2種類の芳香族アミン系酸化防止剤を含有させ、アルキル化ジフェニルアミン及びアルキル化ナフチルアミンの組み合わせにて含有させることが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、種々のものを用いることができるが、その中でも、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を用いることが好ましく、蒸発特性に優れ、潤滑剤組成物の耐蒸発性を向上させることができる。
チオフェノール系酸化防止剤としては、種々のものを用いることができるが、その中でも、チオジエチレンビス[3-(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を用いることが好ましく、蒸発特性に優れ、潤滑剤組成物の耐蒸発性を向上させることができる。
必須の構成ではないが、本発明に係る潤滑剤組成物においては、さらに極圧剤を含有させることができる。極圧剤としては、チオリン酸エステル系極圧剤、リン酸エステル系極圧剤等が挙げられ、これらの1種以上を含有させることができる。
チオリン酸エステル系極圧剤としては、種々のものを用いることができるが、その中でも、トリフェニルホスホロチオエート、ブチル化トリフェニルホスホロチオエートを用いることとが好ましい。また特に、この潤滑剤組成物においては、トリフェニルホスホロチオエート及びブチル化トリフェニルホスホロチオエートの組み合わせにて含有させることが好ましい。これにより、極圧性を有効に向上させるとともに、潤滑剤組成物の耐蒸発性を向上させることができる。
リン酸エステル系極圧剤としては、種々のものを用いることができるが、その中でも、アミンC11-14側鎖アルキル,モノヘキシル及びジヘキシルフォスフェート混合物を用いることが好ましく、極圧性を有効に向上させるとともに、蒸発特性に優れ、潤滑剤組成物の耐蒸発性を向上させることができる。
必須の構成ではないが、本発明に係る潤滑剤組成物においては、さらに摩耗防止剤を含有させることができる。摩耗防止剤としては、硫黄系摩耗防止剤、リン系摩耗防止剤等が挙げられ、これらの1種以上を含有させることができる。特に、硫黄系摩耗防止剤を含有させることがより好ましい。
硫黄系摩耗防止剤としては、種々のものを用いることができるが、その中でも、メチレンビスジブチルジチオカーバメートを用いることが好ましく、潤滑剤組成物の耐蒸発性を高め、この潤滑剤組成物を適用した機械装置の耐摩耗性を向上させることができる。
必須の構成ではないが、本発明に係る潤滑剤組成物においては、さらに油性剤を含有させることができる。油性剤としては、エステル系油性剤が挙げられる。なお、この油性剤は、防錆剤としても作用する。
エステル系油性剤としては、種々のものを用いることができるが、その中でも、ソルビタンモノオレートを用いることが好ましく、この潤滑剤組成物を適用した機械装置の耐摩擦性、耐摩耗性を向上させることができる。
なお、本発明に係る潤滑剤組成物においては、上述した成分のほかに、その目的に応じて、さらに添加剤を含有させることができる。それらの添加剤についても、その含有量としては要求される性能に応じて任意に定めることができるが、上述した構成成分の性能を損なわない範囲とする。
本発明に係る潤滑剤組成物は、公知の方法にて作製することができる。
実施例、比較例において、下記表1に示す組成となるように潤滑剤組成物を製造し、その潤滑剤組成物についての低温性、せん断安定性、防錆性、耐熱性、耐水性、極圧性、耐摩耗性の評価を行った。
[基油]
・ポリアルファオレフィンA:
商品名SpectraSyn Plus6(エクソンモービル社製)
・ポリアルファオレフィンB:
商品名DURASYN164(イネオスオリゴマー社製)
・メタロセンポリアルファオレフィン:
商品名DURASYN180R(イネオスオリゴマー社製)
・エチレンアルファオレフィンコポリマー:
商品名LUCANT HC-2000(三井化学社製)
・流動パラフィン:
商品名KAYDOL(SONNEBORN社製)
[増ちょう剤]
・カルシウムスルフォネートコンプレックス
・アルミニウムコンプレックス
[酸化防止剤]
・芳香族アミン系酸化防止剤A:
オクチル,ブチル混合化ジフェニルアミン
商品名IRGANOX L57(BASF社製)
・芳香族アミン系酸化防止剤B:
N-フェニル-1,1,3,3-テトラメチルブチルナフタレン-1-アミン
商品名IRGANOX L06(BASF社製)
・フェノール系酸化防止剤:
ヘキサメチレンビス[3-(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
商品名IRGANOX L109(BASF社製)
・チオフェノール系酸化防止剤:
チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
商品名IRGANOX L115(BASF社製)
[極圧剤]
・チオリン酸エステル系極圧剤A:
トリフェニルホスホロチオエート
商品名IRGALUBE TPPT(BASF社製)
・チオリン酸エステル系極圧剤B:
ブチル化トリフェニルホスホロチオエート
商品名IRGALUBE 232(BASF社製)
・リン酸エステル系極圧剤
アミン,C11-14側鎖アルキル,モノヘキシル及びジヘキシルフォスフェート混合物
商品名IRGALUBE349(BASF社製)
[摩耗防止剤]
・硫黄系摩耗防止剤
メチレンビスジブチルジチオカーバメート
商品名VANLUBE7723(バンダービルト社製)
[油性剤]
・エステル系油性剤
ソルビタンモノオレート
商品名SPAN80-LQ-(SG)(クローダ社製)
実施例及び比較例にて作製したグリースについて、低温性、せん断安定性、防錆性、耐熱性、耐水性、極圧性、及び耐摩耗性の評価試験を行った。
JIS K 2220.5.14に準拠した低温トルク試験を行い、グリース試料を詰めた軸受を-30℃の温度に冷却した後、軸受内輪を毎分1回転で回転し、軸受外輪を制止させるのに必要なトルクを測定した(起動時の起動トルクと回転トルクは10分間後に測定)。測定結果に基づき、起動トルクが130mN・m以下、かつ、回転トルクが65mN・m以下の場合を『○』とし、起動トルク又は回転トルクのいずれかがそれよりも高い場合を『×』として評価した。なお、試験条件は以下の通りである。
ASTM D 1831に準拠したロール安定度試験(80℃,2h)を行い、グリース試料のちょう度の変化量を測定した。測定結果に基づき、変化量が+50以下の場合を『○』とし、変化量が+50を超える又は変化量がマイナスである場合を『×』として評価した。
ASTM D1743-73に準拠した軸受防錆試験(52℃,48h)を行い、試験後の発錆の有無を確認した。試験結果に基づき、発錆が無かった場合を『○』とし、発錆が確認された場合を『×』として評価した。
JIS K 2220に準拠した高温薄膜蒸発試験を行い、グリース試料がカップ底部の開口部から滴下したときの温度(滴点)を測定した。測定結果に基づき、滴点が250℃以上の場合を『○』とし、滴点が220℃以上250℃未満の場合を『△』とし、滴点が220℃未満の場合を『×』として評価した。
ASTM D1831に準拠した含水ロール安定度試験(80℃,24h)を、水10%をグリース試料に加えて実施してちょう度の変化を確認した。試験結果に基づき、ちょう度の変化量が-30から+30の場合を『○』とし、-30未満又は+30を超えるの場合を『×』として評価した。
ASTM D2783-03に準拠したシェル四球式耐荷重試験を、回転数1760rpm、10秒間、室温の条件で行い、融着荷重(WL値,単位N)を測定した。測定結果に基づき、融着荷重が2452N以上の場合を『○』とし、2452N未満の場合を『×』として評価した。
ASTM D4172に準拠したシェル四球式耐摩耗試験を、回転数1200rpm、荷重40kgf、30分間、75℃の条件で行い、摩耗痕径を測定した。測定結果に基づき、摩耗痕径が0.8mm以下の場合を『○』とし、0.8mmを超える場合を『×』として評価した。
下記表1に、評価結果を示す。
Claims (12)
- 基油と、増ちょう剤とを含有する食品機械用の潤滑剤組成物であって、
前記基油としてポリアルファオレフィンを含み、前記増ちょう剤としてカルシウムスルフォネートコンプレックスを含み、
さらに酸化防止剤を含有し、
前記酸化防止剤は、
芳香族アミン系酸化防止剤又はフェノール系酸化防止剤と、
チオフェノール系酸化防止剤と、
を含み、
前記チオフェノール系酸化防止剤は、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を含む、
食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記カルシウムスルフォネートコンプレックスの含有量は潤滑剤組成物全量に対して10質量%~29質量%の範囲である
請求項1に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記ポリアルファオレフィンは、分子量が400~3000であり、
前記基油の40℃動粘度が30mm2/s~200mm2/sである
請求項1又は2に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記芳香族アミン系酸化防止剤は、アルキル化ジフェニルアミン及びアルキル化ナフチルアミンから選択される1種以上を含む
請求項1又は2に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記フェノール系酸化防止剤は、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-di-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を含む
請求項1又は2に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - さらに、極圧剤を含有し、
前記極圧剤は、チオリン酸エステル系極圧剤及びリン酸エステル系極圧剤から選択される1種以上を含む
請求項1又は2に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記チオリン酸エステル系極圧剤は、トリフェニルホスホロチオエート及びブチル化トリフェニルホスホロチオエートから選択される1種以上を含む
請求項6に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記リン酸エステル系極圧剤は、アミンC11-14側鎖アルキル,モノヘキシル及びジヘキシルフォスフェート混合物を含む
請求項6に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - さらに、摩耗防止剤を含有し、
前記摩耗防止剤は、硫黄系摩耗防止剤を含む
請求項1、2、及び6のいずれかに記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記硫黄系摩耗防止剤は、メチレンビスジブチルジチオカーバメートを含む
請求項9に記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - さらに、油性剤を含有し、
前記油性剤は、エステル系油性剤を含む
請求項1、2、6、及び9のいずれかに記載の食品機械用潤滑剤組成物。 - 前記エステル系油性剤は、ソルビタンモノオレートを含む
請求項11に記載の食品機械用潤滑剤組成物。
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