JP7359365B2 - 柔軟剤及び繊維の洗浄方法 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟剤及び繊維の洗浄方法に関する。
衣服等、繊維用の柔軟剤の指標として、「風合い」が用いられている。ここで、「風合い」とは、JIS L0220:2006「繊維用語-検査部門」や非特許文献1にも記載されているように、対象とした繊維を触った、見た際の各感覚をまとめた感性的な評価である。この総合値を客観的に評価するために、風合いを各特性に分解し、研究を行った結果が現在の風合い評価基準につながっている(例えば、非特許文献2参照)。
繊維の風合いは、当該繊維を使用している際の摩擦や、洗浄、乾燥等を繰り返すことで劣化していく。そして、このようにして劣化された繊維に触れると、不快と感じることが多い。したがって、風合いの中でも特に「柔らかさ」は劣化を感じやすい感覚である。
このような天然繊維は、一般に糖鎖から構成され、表面に水酸基が多量に露出している。そして、上述した天然繊維の「柔らかさ」の劣化は、洗浄・脱水等により絡み合った繊維同士が、水分を介して水素結合し、構造体を形成して硬化するためであると言われている。このような硬化を防止するため、通常、柔軟剤が用いられている。
例えば非特許文献3では、長鎖のアルキル基と陽イオン性の官能基を有する界面活性剤であるジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩を柔軟成分として用いている。このような界面活性剤は、イオン性官能基により、水中で陰イオン性を示す繊維表面へ吸着し、長鎖のアルキル基部位が組織化することにより、上述した繊維同士の水素結合を防止して「柔らかさ」を維持することができる。しかしながら、このようにして繊維表面に露出するアルキル鎖は疎水性であるため、その繊維の吸水性が低下する。このような吸水性の低下は吸水性を求められる繊維、特に綿では問題となる。
そこで、洗浄後の繊維の吸水性の低下を防止するため、例えば特許文献2には、柔軟剤の柔軟成分として、アルキル鎖に、アルキル水酸基、エーテル基、アミド基及びエステル基等の親水基を導入した陽イオン性界面活性剤を用いることが開示されている。このような柔軟成分を配合した柔軟剤によれば洗浄後も所定の吸水性を維持できることが開示されている。しかしながら、このような陽イオン性界面活性剤は、部分的には疎水性のアルキル鎖を有していることから、吸水性については十分とは言えず、なお改良の余地があった。
特開2005-350805 特開2014-65984
小柴朋子、平田耕造著,「衣環境の科学」,建帛社,2012年 川端 季雄,繊維機械学会誌,1980,vol.33,No.2,p.136-142 D.S.Murphy,J.Surfact.Deterg.,2015,vol.18,No.2,p.199-204
本発明は、繊維の洗浄、乾燥により、繊維が本来有する柔軟性及び吸水性が低下することを防止することができる新たな柔軟剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、水を含み自発的に閉鎖小胞体(ベシクル)を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子、それらと油性物質とを含んでなる柔軟剤粒子又は当該柔軟剤粒子を分散させてなるO/Wエマルションを含む柔軟剤で繊維を処理することにより、繊維の洗浄、乾燥により、繊維が本来有する柔軟性及び吸水性が低下することを防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)水を含み自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含む、柔軟剤。
(2)自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子、油性物質及び水を含み、O/W型エマルションである、柔軟剤。
(3)自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子及び油性物質を含む、柔軟剤。
(4)前記油性物質の周囲を前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子が囲みエマルション粒子を構成する、(3)に記載の柔軟剤。
(5)前記エマルション粒子は、水に分散させた場合の平均粒子径が50nm以上2μm以下である、(4)に記載の柔軟剤。
(6)粉末状である、(1)及び(3)~(5)のいずれかに記載の柔軟剤。
(7)繊維を洗浄した後、(1)~(6)のいずれかに記載の柔軟剤を用いて処理を施す、繊維の洗浄方法。
本発明によれば、繊維の洗浄、乾燥により、繊維が本来有する柔軟性及び吸水性が低下することを防止することができる。
吸水性の評価に用いた装置の模式図である。 実施例2及び比較例1の試料を用いて柔軟処理した試験片及びブランクの試験片のバイレック試験後の写真図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態について何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<第1の態様の柔軟剤>
本態様の柔軟剤は、水を含み自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含むものである。
このような柔軟剤は、洗浄後において、繊維が本来有する柔軟性及び吸水性が低下することを防止することができるか、又は吸水性を高める能力を有する。ここで、「柔軟性低下防止能」とは、洗浄後の繊維の硬化を防ぎ、柔軟な状態を維持する能力をいう。「吸水性低下防止能」とは、柔軟性を補うために柔軟剤を用いても洗浄後の繊維の吸水性低下を防ぎ、繊維が本来有する高い吸水性を維持する能力をいう。本発明者らは、驚くべきことに、上述した閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を含む柔軟剤が繊維の洗浄、乾燥によって、繊維が本来有する柔軟性及び吸水性が低下することを防止できることを見出した。
このような柔軟剤においては、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子と、繊維との疎水性相互作用によって、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が繊維表面に吸着し、これによって繊維表面に水酸基が多量に露出している天然繊維が絡み合い、水分を介して繊維同士が水素結合する構造体を形成して硬化する現象を抑制し、洗浄後の繊維に柔軟性を付与できる。
また、このように繊維表面に存在する閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は親水性であるため、アルキル基を有する界面活性剤を用いた柔軟剤とは異なり、例えば市販されている一般的な柔軟剤を用いて処理した繊維と比較して、繊維が本来有する吸水性の低下を防止することができるか、又は吸水性を高めることができる。
さて、上述した従来の柔軟剤に含まれる陽イオン性界面活性剤は、高濃度で排出されると環境への影響が生じ得ることから、厳しい排出基準が定められている。これに対し、本発明に係る柔軟剤は、後述するように、環境への影響が極めて小さい天然物由来の糖ポリマーや、化粧品の原料にも使用されるほど生態適合性が高い閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質等を原料として用いることができるため、環境への影響をより小さくすることができる。
(閉鎖小胞体)
本発明における閉鎖小胞体は、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成される。閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質としては、以下の一般式1で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体を採用するとよい。これらは、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
一般式1
Figure 0007359365000001
式中、エチレンオキシドの平均付加モル数であるEは、3~200である。このことから、Eの上限は好ましくは100であり、より好ましくは60である。Eの下限は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは20以上であり、最も好ましくは30以上である。
また、以下の一般式2で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPG(1,2-Dilauroyl-sn-glycero-3-phospho-rac-1-glycerol)のNa塩又はNH塩、炭素鎖長14のDMPG(1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phospho-rac-1-glycerol)のNa塩又はNH塩、炭素鎖長16のDPPG(1,2-Dipalmitoyl-sn-glycero-3-phospho-rac-1-glycerol)のNa塩又はNH塩を採用することもできる。
一般式2
Figure 0007359365000002
両親媒性物質としては、脂肪酸エステルを用いてもよい。脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンと直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸のエステルであり、具体的には、モノパルミチン酸ポリグリセリル、ジパルミチン酸ポリグリセリル、トリパルミチン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル等が挙げられる。
また、その他、例えばPOEペンタエリストールジオレートの誘導体を採用することもできる。
(重縮合ポリマー粒子)
重縮合ポリマーとしては、水酸基を有するものであれば特に限定されず、天然高分子又は合成高分子のいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択することができる。ただし、生体安全性・環境性に優れ、且つ一般的に安価である点で、天然高分子を用いることが好ましく、中でも乳化機能に優れる点で以下に述べる糖ポリマーがより好ましい。なお、粒子とは、重縮合ポリマーが単粒子化したもの、又はその単粒子同士が連なったもののいずれをも包含する一方、単粒子化される前の凝集体(網目構造を有する)を包含しない。例えば、単粒子化される前の「多糖類」は粒子化されているものではなく、水素結合によるネットワーク構造を形成していることから、いわゆる三相乳化能を有する「重縮合ポリマーの粒子」とは、明確に異なるものである。水酸基を有する重縮合ポリマーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
糖ポリマーは、セルロース、デンプン等のグルコシド構造を有するポリマーである。例えば、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸等の単糖類からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するもの、キサンタンガム、アラビアゴム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲン、シロキクラゲ多糖類等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の半合成高分子等が挙げられる。また、糖ポリマーの他に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド、アクリレート/ポリエチレングリコール型コポリマー、(メタクリル酸メトキシPEG-23/ジイソステアリン酸メタクリル酸グリセリル)コポリマー等の合成高分子等を用いることができる。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
糖ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グァーガム、又はこれらの塩を用いることが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースを用いることがより好ましい。
本発明における閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、例えば、平均粒径8nm~500nm程度であることが好ましい。これらの調製方法は、特許第3855203号等に開示されるとおり従来公知であるため、省略する。
柔軟剤中の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の含有量としては、使用方法や当該柔軟剤の希釈の割合等により適宜設定することができ、特に限定されないが、合計で0.0001質量%以上であってよい。
<第2の態様の柔軟剤>
自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質(ベシクル)の閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子をいわゆる三相乳化の第三相として、油性物質を含ませてなるO/W型エマルションとした柔軟剤を構成することもできる。なお、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、第1の態様の柔軟剤と同様であるため、ここでの説明を省略する。
このような柔軟剤は、上述した第1の態様の柔軟剤と同様に、洗浄後の繊維の柔軟性及び吸水性の低下を防止することができるか、又は吸水性を高める能力を有する。
具体的に、このような柔軟剤では、O/W型エマルションは、水相と油相との界面に閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が介在することで乳化状態を形成する。より具体的に、このような乳化状態においては、油性物質(油相)が滴状となり、その油相の周囲を閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が囲んで一つのエマルション粒子を構成する。ここで、「エマルション粒子」とは、油相の周囲を閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が囲んでなる粒子をいい、外相たる水相を除く部分をいうものとする。なお、この「エマルション粒子」は、水と分離することができるため、水相に分散していてもしていなくてもよい。そして、このエマルション粒子が水(水相)に分散して、O/W型エマルションを構成して乳化状態を形成する。このような乳化状態は、例えば得られた乳化物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することで確認される(例えば、特許第3855203号公報)。
このようなO/W型エマルション状態においては、エマルション粒子を構成する閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子のうち油相に接していない面と、繊維との疎水性相互作用によって、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が繊維表面に吸着し、これによって繊維表面に水酸基が多量に露出している天然繊維が、水分を介して繊維同士が水素結合する構造体を形成して硬化する現象をエマルション粒子が抑制し、洗浄後の繊維に柔軟性を付与できる。
また、このように繊維表面に付着するエマルション粒子の表面に存在する閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は親水性であるため、アルキル基を有する界面活性剤を用いた柔軟剤とは異なり、例えば市販されている一般的な柔軟剤を用いて処理した繊維と比較して、繊維が本来有する吸水性の低下を防止することができるか、又は吸水性を高めることができる。
特に、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が、油性物質とともにエマルション粒子を形成しているこの第2の態様の柔軟剤は、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を含むが、油性物質を含まないなどしてエマルション粒子を形成していない柔軟剤に比べて、柔軟性及び吸水性が低下することをより強く防止することができる。閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子がエマルション粒子を形成していない柔軟剤では、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が繊維表面に一層だけ付着する。これに対し、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子がエマルション粒子を形成した場合、このエマルション粒子が繊維表面に付着する。このエマルション粒子では、油相の表面全体に閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が配置されている。このエマルション粒子が付着すると、繊維表面上には、エマルション粒子の繊維と接している閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子と、外側に露出している閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子とで、実質的に2層が積層されることとなる。しかも、エマルション粒子はその表面が湾曲しているため、繊維表面に付着する閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の数をさらに増やすことができる。そして、このような第2の態様の柔軟剤は、エマルション粒子を形成していない柔軟剤に比べて、より多数の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が付着しているため、柔軟性及び吸水性が低下することをより強く防止することができる。
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の平均粒子径は、エマルション形成時では8nm~500nm程度である。なお、重縮合ポリマー粒子及び閉鎖小胞体は、いずれか一方のみが含まれても、双方が含まれてもよい。双方が含まれる場合には、例えば、別々に乳化したエマルションを混合してよい。
(油性物質)
油性物質は、O/W型エマルション中において内相たる油相を構成する。油相としては、固体状、半固体状、液状又は混合物いずれであってもよいが、常温で液状であることが好ましい。油性物質が常温で液状であることにより、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子に柔軟性を付与することができる。ただし、油性物質が固体状又は半固体状であってもよい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
油性物質としては、特に限定されないが、例えば、植物性油、炭化水素油、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油、エーテル油、シリコーン油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、高級脂肪酸モノグリセリド、グリコール、高級アルコール等を挙げることができる。例えば、オリーブ油、菜種油、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ポリエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等の工業的に入手できる製品を用いることができる。
(エマルション粒子)
エマルション粒子は、油性物質(油相)が滴状となり、その油相の周囲を第1の態様の繊維用柔軟剤と同様の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が囲んでなるものである。
エマルション粒子の平均粒子径としては、特に限定されないが、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、900nm以下であることがさらに好ましく、800nm以下であることが特に好ましい。ただし、エマルション粒子の平均粒子径は2μm超であってもよい。また、エマルション粒子の平均粒子径としては、例えば50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。なお、本発明において「平均粒子径」とは、分散液(エマルション粒子の場合には、O/W型エマルション)について粒度分布測定装置FPAR(大塚電子(株)社製)を用いて動的光散乱法により測定し、Contin解析により求めた個数分布の値の値を3回測定して平均した値である。なお、柔軟剤には、例えば界面活性剤等、柔軟剤粒子以外にもエマルションを構成する成分が含まれ得るが、このような成分が含まれる場合には、このような成分を含んだ状態での平均粒子径をいう。
柔軟剤中のエマルション粒子の含有量としては、使用方法や柔軟剤の希釈の割合等により適宜設定することができるが、例えば、合計で0.01質量%以上であってよい。
以上のような柔軟剤は、例えば原料を混合した後、この混合物を振とう器、撹拌器、ホモジナイザー等を用いて容易に乳化状態を形成できる。
<第3の態様の柔軟剤>
第3の態様の柔軟剤は、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子及び油性物質を含む。このような乳化状態においては、油性物質(油相)が滴状となり、その油相の周囲を閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子が囲んでおり一つのエマルション粒子を柔軟剤として構成することもできる。すなわち、このような柔軟剤は、例えば粉末状、タブレット状等の固体状の性状とすることができる。剤として粉末状や固体状であっても、その中に含まれるエマルション粒子が、柔軟処理に際し水に分散することで、O/W型エマルションを形成し、その結果、第2の態様の柔軟剤と同様の効果が奏される。
柔軟剤中のエマルション粒子の含有量としては、使用方法や柔軟剤の希釈の割合等により適宜設定することができるが、例えば、合計で0.01質量%以上であってよい。
エマルション粒子の平均粒子径としては、特に限定されないが、水に分散させた場合における平均粒子径が、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、900nm以下であることがさらに好ましく、800nm以下であることが特に好ましい。なお、柔軟剤には、例えば油相の各種添加成分等、柔軟剤粒子以外にもエマルション粒子を構成する成分が含まれ得るが、このような成分が含まれる場合には、このような成分も含んだ状態での平均粒子径をいう。
その他、閉鎖小胞体、重縮合ポリマー粒子及び油性物質としては、第2の態様の柔軟剤において用いたものと同様の成分を同様の組成により構成することができるため、ここでの記載を省略する。また、これらにより構成されるエマルション粒子としては、第2の態様の柔軟剤におけるエマルション粒子と同様の成分を同様の組成により構成することができる。
このような柔軟剤は、例えば第2の態様の柔軟剤におけるO/W型エマルションをドライスプレー法、噴霧乾燥法、凍結乾燥法等の従来公知の方法で乾燥させて得ることができる。第2の態様の柔軟剤におけるO/W型エマルションでは、油性物質が閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子に囲まれた、いわゆる三相乳化構造を形成している。このような三相乳化構造によれば、乾燥して水を除去しても、微細な油滴構造が閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子に囲まれた構造を維持した状態で、粉末を得ることができる。そのため、エマルション粒子を単独で分離することができる。なお、ドライスプレー法により乾燥させた場合には、粉末形成のためデンプン等の賦形剤を含むこととなる。
(添加剤)
本発明の第1~第3いずれの態様における柔軟剤も、添加剤を含むことができる。添加剤としては、1種類を単独で用いることも、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。また、添加剤を含まなくてもよい。
安定性を向上させる観点から、親水性界面活性剤を使用することができる。親水性界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。ただし、親水性界面活性剤を含まなくてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルキルエステル又は高級アミン等にアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、硬化ひまし油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン酸型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型等の両性界面活性剤が挙げられる。
繊維用柔軟剤には、ビルダーを配合することができる。ここで、「ビルダー」とは、添加剤の一部であるが、それ自身は柔軟性低下防止能を有しないか又はごく弱い柔軟性低下防止能しか有しないにも関わらず、柔軟剤と共に配合されるとその柔軟剤に求められる柔軟性低下防止能を著しく向上させることができる成分をいう。例えば、柔軟性低下防止能を高め、硬水を軟化させる粘土鉱物、衣類の感触を改善したり、型崩れを防止する有機無機複合材料、多価金属陽イオン捕捉剤、抗菌剤又はアルカリ緩衝剤等が挙げられる。なおこれらの2種以上の作用を兼ね備える添加剤も存在する。従来の界面活性剤を主成分とする柔軟剤製品には、通常、添加剤が含まれるが、本発明の繊維用柔軟剤は、添加剤を配合しなくてもよい。また、添加剤を配合する場合、その量は少量であってもよい。
粘土鉱物としては、特に限定されないが、スメクタイト、ベントナイトと称されるケイ素やアルミニウム等の各鉱物によって構成される粘土鉱物が挙げられる。
有機無機複合材料としては、特に限定されないが、ストレートシリコーン及び変性シリコーンが挙げられる。ストレートシリコーンの中でもジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンの中でもアルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーンが挙げられる。
水溶性無機化合物としては、特に限定されないが、リン酸、ケイ酸、炭酸、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。リン酸塩(トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、リン酸三ナトリウム等)、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩等が挙げられる。これらの塩の対イオンとしては、アルカリ金属塩、アミン類が挙げられ、具体的にはナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、又はジエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。
有機化合物としては、特に限定されないが、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール酸、ジエタノールアミントリエタノールアミンが挙げられる。カルボン酸塩(アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、シクロカルボン酸塩、マレイン酸誘導体、シュウ酸塩等)、有機カルボン酸(塩)ポリマー(アクリル酸ポリマー及びコポリマー、多価カルボン酸(例えばマレイン酸等)ポリマー及びコポリマー、グリオキシル酸ポリマー、多糖類及びこれらの塩等)等が挙げられる。これらの塩の対イオンとしては、アルカリ金属塩、アミン類が挙げられ、具体的にはナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、又はジエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。
抗菌剤を配合することができる。抗菌剤は、繊維上での菌の増殖を抑え、さらには微生物の分解物由来の臭いの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、特に限定されないが、例えば、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8-オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
抗菌剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、繊維用柔軟剤100質量%に対し、0.5質量%以下、0.1質量%以下、0.02質量%以下、0.01質量%以下であってよい。本発明の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子も抗菌作用及びその効果持続性も高いため、有機化合物の含有量は少量であっても、含有しなくてもよい。
上記成分以外に、柔軟剤に通常用いられるその他の成分を含有することもできる。
その他の成分としては、例えば、水混和性有機溶剤、酸化防止剤、防腐剤、風合い向上剤、保存安定性向上剤、蛍光剤、パール剤、着香剤、着色剤、天然物等のエキス、消泡剤等が挙げられる。
添加剤の含有量としては、使用方法や柔軟剤の希釈の割合等により適宜設定することができる。
当該柔軟剤を用いた柔軟処理の対象である繊維の素材としては、特に限定されず、例えば天然繊維である植物繊維の綿、亜麻、苧麻、さらに上記以外の葉脈繊維、また、天然繊維である動物繊維においては、羊毛、モヘヤ、アルパカ、らくだ、カシミヤ、アンゴラ、ビキューナ、ラマ、シルク、天然繊維である羽毛のダウン、フェザー、天然繊維である靭皮繊維が挙げられる。一方で、化学繊維である再生繊維のレーヨン、銅アンモニア繊維のキュプラ、上記以外の再生繊維のリヨセル、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、上記以外の半合成繊維、化学繊維である合成繊維のナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル、アクリル系、ポリプロピレン、ポリ乳酸、アラミド、上記以外の合成繊維、さらに、天然繊維と合成繊維、天然繊維と天然繊維、合成繊維と合成繊維を1種以上組み合わせた混紡繊維等が挙げられる。繊維製品品質表示規定の指定、分類の有無に関わらず、繊維製品として扱われる繊維ならばいずれであってもよい。
繊維製品としては、上述の繊維素材の全部又は一部を用いた繊維製品であれば特に限定されず、例えば織物、ニット生地及びレース生地、水着、下着及び組成繊維中における絹の混用率が50%以上の織物、たて糸又はよこ糸の組成繊維が絹のみの織物、羽織、着物、靴下、手袋、帯、足袋、ハンカチ、風呂敷、ネクタイ、羽織ひも、帯締め、床敷物、布団、テーブル掛け、タオル、手拭い、布巾、雑巾、セーター、シャツ、ズボン、ドレス、ホームドレス、ブラウス、スカート、事務服、作業服、上衣、子供用オーバーオール、ロンパース、下着、寝衣、羽織及び着物、帽子、マフラー、スカーフ、ショール、エプロン、かっぽう着、毛布、膝掛け、上掛け、布団カバー、敷布、カーテン、ベッドスプレッド、毛布カバー、枕カバー、コート等が挙げられる。
なお、特に、柔軟性を要求される用途に使用される繊維製品(例えば人間の皮膚に接触する用途、より具体的には、衣類、下着、ハンカチ、タオル)等に対して使用した場合、柔らかい状態を維持して感触のよい繊維が得られる。
また、特に、吸水性を要求される用途に使用される繊維製品(例えば上述の繊維製品の中ではタオルや手拭い、布巾、雑巾等)に使用した場合、それらの機能として本来要求される吸水性の低下を防止することができる。
以上のような柔軟剤によれば、繊維の洗浄、乾燥による柔軟性の低下及び繊維が本来有する吸水性の低下を防止することができる。また、以上のような柔軟剤は、生体的・環境的に極めて安全と考えられ、家庭用柔軟剤にも好ましく用いることができる。
<繊維の洗浄方法>
本発明に係る繊維の洗浄方法は、繊維を洗浄した(洗浄工程)後、上述したいずれかの柔軟剤を用いて処理を施す(柔軟処理工程)方法である。なお、本明細書において、繊維に対し柔軟剤を用いて処理を施すことを、「柔軟処理」という。
(洗浄工程)
繊維の洗浄工程としては、特に限定されず、従来公知の洗浄方法を採用できる。具体的に、繊維の洗浄方法は、現在のところ主として全自動洗濯機、二槽式洗濯機及び手洗いに分けられるが、これらのいずれを行ってもよい。また、使用する洗剤も、特に限定されず、市販の各種洗剤を用いることができる。
(柔軟処理工程)
柔軟処理の具体的な方法としては、特に限定されないが、従来市販の柔軟剤と同様に用いることができる。
具体的に、柔軟処理は、効率性等の観点から一般に、前工程の繊維の洗浄に引き続いて行われるため、同様の装置・容器で行われることが多い。上述したとおり、繊維の洗浄は、現在のところ全自動洗濯機、二槽式洗濯機及び手洗いに分けられるため、これと同様の装置・容器で行えばよい。ただし、柔軟処理は、繊維の洗浄と同様の装置・容器で行うことには限定されず、繊維の洗浄と同様の装置・容器以外で行ってもよい。
全自動洗濯機を用いて繊維の洗浄を行う場合、繊維の洗浄を始める前に柔軟剤自動投入口に柔軟剤をセットし、繊維の洗浄後、最後のすすぎ時に柔軟剤が投入され、繊維に柔軟処理を施すことができる。
二槽式洗濯機を用いて繊維の洗浄を行う場合、繊維の洗浄後、すすぎの水がきれいになった時点で柔軟剤を投入する。柔軟剤を投入後に当該二槽式洗濯機を例えば2分以上まわすことで、繊維に柔軟処理を施すことができる。
手洗いによって繊維の洗浄を行う場合、繊維の洗浄後、すすぎが終わったら、もう1度洗い桶に水を汲み、柔軟剤を添加し、この中に洗濯物を例えば2分以上浸すことで、繊維に柔軟処理を施すことができる。
なお、上述したとおり、本発明の柔軟剤は生体安全性を有するため、手洗いをして直接皮膚に触れても特に生体への影響はないと考えられる。
柔軟処理に用いる水の水温としては、特に限定されず、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることがさらに好ましく、25℃以上であることがさらに好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。なお、例えば35℃以上、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上であってもよい。また、水温としては、例えば、80℃以下、75℃以下、70℃以下であってよい。
柔軟剤の使用量としては、特に限定されず、適宜設計することができるが、例えば水に対する濃度で0.3g/L以上であることが好ましく、0.5g/L以上であることがより好ましく、1.0g/L以上であることがさらに好ましく、1.5g/L以上であることが特に好ましい。また、柔軟剤の使用量としては、3.5g/L以下、2.5g/L以下、2.0g/L以下であってよい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
<柔軟性試験>
〔試料の調製〕
[柔軟剤試料の原料]
(油性成分)
オリーブ油(NIKKOL オリーブ油,日光ケミカルズ株式会社製)
(重縮合ポリマー粒子)
グルコマンナン(NEWGELIN GM,三菱ケミカルフーズ株式会社製)
キサンタンガム(NEWGELIN XGR,三菱ケミカルフーズ株式会社製)
(閉鎖小胞体)
ポリオキシエチレン硬化ひまし油(NIKKOL HCO-10,日光ケミカルズ株式会社製)
ポリオキシエチレン硬化ひまし油(NIKKOL HCO-60,日光ケミカルズ株式会社製)
[柔軟剤試料の調製]
(実施例1)
ビーカー中で精製水を10,000rpmで撹拌しながらグルコマンナン、キサンタンガムを添加し、撹拌した。次いで油性成分を滴下し、撹拌して実施例1の柔軟剤試料を得た。各試料の組成は表1のとおりとした。なお、表1において、数値は質量%を示す。
Figure 0007359365000003
(実施例2 )
ビーカー中で精製水を10,000rpmで撹拌しながらポリオキシエチレン硬化ひまし油(HCO-60)を添加して撹拌した。次いで油性成分を滴下し、撹拌して実施例2の柔軟剤試料を得た。各試料の組成は表2のとおりとした。なお、表2において、数値は質量%を示す。
Figure 0007359365000004
(実施例3及び4)
ビーカー中で精製水を10,000rpmで撹拌しながらポリオキシエチレン硬化ひまし油(HCO-10)を添加して撹拌し、実施例3及び4の柔軟剤試料を得た。各試料の組成は表3のとおりとした。なお、表3において、数値は質量%を示す。
Figure 0007359365000005
(実施例5及び6)
各試料の組成以外、実施例2と同様に、実施例5及び6の柔軟剤試料を得た。各試料の組成は表4のとおりとした。なお、表4において、数値は質量%を示す。
Figure 0007359365000006
(比較例1)
トリ(オキシエチレン)メチルアンモニウム塩メチルサルフェートの脂肪酸エステル(ライオンソフターEQ,ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を水に溶解させ、2.5wt%水溶液を調製し、比較例1の柔軟剤試料とした。なお、トリ(オキシエチレン)メチルアンモニウム塩メチルサルフェートの脂肪酸エステルは、市販の柔軟剤の柔軟成分として使用されるものである。
<柔軟性付与能試験>
〔試料の調製〕
[前処理]
市販の綿タオル((株)リポス製、商品名:F/T リポスゴールド350匁白ボーダー34×80)15枚を、前処理専用洗剤(NSファーファ・ジャパン株式会社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:9モル)25%溶液)を用いて、全自動洗濯機(HITACHI製BW-7MV)を用いて3回洗浄し、購入時の綿タオルに付着している糊剤等を除去した(洗剤標準使用量(25g/30L)、水道水(常温)、水量50L、洗浄12分、次いで、注水すすぎ3回、脱水9分)後、洗剤を使用しないこと以外、同様の工程(水道水(常温)、水量50L、洗浄15分、次いで、注水すすぎ3回、脱水9分)を1回行い、室温で乾燥させた。
[柔軟性付与処理]
前処理洗浄した綿タオル0.5kgを、二槽式洗濯機(HITACHI製PS-H35L)を用いて、実施例1、2の試料又は比較例1の試料にて5分間処理(各試料10g、水10L、水道水(常温))を行った後、脱水を1分間行った。これらの処理の後、20℃、65%RHの恒温恒湿条件下で乾燥させた。
〔試料の評価〕
上記「柔軟性付与処理」において、何も加えないこと以外、同様の処理した綿タオルを対照として用い、専門パネラー5名の一対比較により判定した。各パネラーの評価基準は、以下のとおりであり、5名の点数の平均値をとった。この平均値が0.5点以上であれば、繊維に対して柔軟性付与能を有しているといえる。この結果を下記表5及び6に示す。
(評価基準)
+2:対照よりも明らかに良好である。
+1:対照よりもやや良好である。
0:対照とほぼ同じである。
-1:対照の方がやや良好である。
-2:対照の方が明らかに良好である。
Figure 0007359365000007
表5に示すとおり、重縮合ポリマー粒子と油性成分とにより形成したエマルション粒子を含む実施例1及び閉鎖小胞体と油性成分とにより形成したエマルション粒子を含む実施例2の柔軟剤試料は、繊維に対する柔軟性付与能を有しているといえる。
Figure 0007359365000008
表6に示すとおり、閉鎖小胞体のみを含む実施例3、4のみで繊維に対する柔軟性付与能を有していることが分かった。また、油性成分により形成したエマルション粒子を含む柔軟剤試料の方が繊維に対する柔軟性付与能がより高いといえる。
<吸水性低下防止能試験>
〔試料の調製〕
[評価用布の前処理方法]
市販の綿金巾(金巾3号)50枚を、前処理専用洗剤(NSファーファ・ジャパン株式会社製;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:9モル)25%溶液)により全自動洗濯機(HITACHI製BW-7MV)を用いて3回洗浄し、購入時の綿タオルに付着している糊剤等を除去した(洗剤標準使用量(25g/30L)、水道水(常温)、水量50L、洗浄15分、次いで、注水すすぎ3回、脱水9分)後、洗剤を使用せず、同様の工程(水道水(常温)、水量50L、洗浄15分、次いで、注水すすぎ3回、脱水9分)を1回行い、室温で乾燥させた。
[吸水性低下防止処理]
前処理洗浄した綿金巾6.0gを、二槽式洗濯機(HITACHI製PS-H35L)を用いて、実施例の試料又は比較例1にて5分間処理(組成物10g、水10L、水道水(常温))を行った後、脱水を1分間行った。これらの処理の後、20℃、65%RHの恒温恒湿条件下で乾燥させた。
〔吸水性の評価〕
前処理した試料から大きさ約200mm×25mmの試験片を採取した。次に、水を入れた水槽の水面上に支えた水平棒上に試験片をピンで固定した後、水平棒を降下させて、試験片の下端の20mm±2mmが水に浸せきするように調整し、そのまま10分間放置した。放置後、毛細管現象によって水が上昇した高さをスケールで測定した。図1は、吸水性の評価に用いた装置の模式図である。
上記「吸水性低下防止処理」において、何も加えなかったこと以外同条件で処理した金巾(以下、「ブランク」という。)において同様の試験を行い、ブランクが10分間に上昇する水の高さを対照として、N=2回の平均高さをとり、ブランクを100%とした際の数値を吸水率とし、実施例1、実施例2及び比較例1の試料を用いた試験の結果を下記表7にに、実施例3~6の試料を用いた試験の結果を下記表8にそれぞれ示した。
Figure 0007359365000009
Figure 0007359365000010
また、実施例2及び比較例1の試料を用いて洗浄した試験片並びにブランクの試験片について、「JIS L1907:2010 繊維製品の吸水性試験方法」に規定されるバイレック法を用いて、吸水性試験を行った。図2は、実施例2及び比較例1の試料を用いて柔軟処理した試験片及びブランクの試験片のバイレック試験後の写真図である。なお、写真撮影のため、試験片を浸漬させる水には0.05重量%となるように青色1号(ブリリアントブルーFCF、癸巳化成株式会社製)を添加して着色した。
表7、表8及び図2に示すとおり、閉鎖小胞体や重縮合ポリマーを用いた実施例1~6の柔軟剤試料は、従来市販されている柔軟剤と同様の陽イオン界面活性剤を用いた比較例の柔軟剤試料よりも優れた吸水性能を示す傾向にあった。

Claims (7)

  1. 水を含み自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体、又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子を含み、吸水性低下防止能を有する、柔軟剤。
  2. 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子、油性物質及び水を含み、吸水性低下防止能を有し、O/W型エマルションである、柔軟剤。
  3. 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー粒子及び油性物質を含み、吸水性低下防止能を有する、柔軟剤。
  4. 油性物質の周囲を前記閉鎖小胞体又は前記重縮合ポリマー粒子が囲みエマルション粒子を構成する、請求項3に記載の柔軟剤。
  5. 前記エマルション粒子は、水に分散させた場合の平均粒子径が50nm以上2μm以下である、請求項4に記載の柔軟剤。
  6. 粉末状である、請求項1及び3~5のいずれか1項に記載の柔軟剤。
  7. 繊維を洗浄した後、請求項1~6のいずれか1項に記載の柔軟剤を用いて処理を施す、
    繊維の洗浄方法。
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