JP7358944B2 - SiC単結晶成長用伝熱部材、SiC単結晶成長用坩堝、SiC単結晶の製造方法 - Google Patents

SiC単結晶成長用伝熱部材、SiC単結晶成長用坩堝、SiC単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はSiC単結晶成長用伝熱部材、SiC単結晶成長用坩堝、およびこれを用いたSiC単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きく、熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。炭化珪素はこれらの特性を有することから、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。このため、近年、上記のような半導体デバイスにSiC基板を用いることが多くなっている。こうしたSiC基板は、SiC単結晶インゴット(以下、単にSiC単結晶と称する)を所定の厚みにスライスすることによって得られる。
SiC単結晶を製造する方法の一つとして、昇華法が広く知られている。昇華法は、筒状の坩堝内において、坩堝の下部に収容したSiC原料を高温に加熱して昇華ガスを発生させる。そして、発生させた昇華ガスを、坩堝の上部に支持された、相対的に低温のSiC単結晶からなる種結晶上で再結晶化させてSiC単結晶を成長させる方法である。この昇華法を用いたSiC単結晶の製造においては、SiC単結晶の大口径・長尺成長が要求されており、坩堝のサイズの大型化が求められている。
一般的な昇華法では、高周波コイルなどの加熱手段を用いて、電磁誘導によってSiC原料を収容した坩堝を発熱させる。このため、坩堝の内部は、側壁部が高温で、中央部が低温となる温度分布(温度ムラ)が生じる傾向がある。このような温度分布を有する坩堝の内部では、坩堝の壁側付近にて発生した昇華ガスが、坩堝の中央部で冷却されてSiCが析出してしまいSiC原料が有効活用できないことがある。特に、大型坩堝では、側壁部と中央部との温度差が大きくなりやすいため、中央部でSiCの析出が起こりやすくなる。
そして、坩堝の内部で析出したSiCは、もとのSiC原料と状態が異なり、そのままの状態ではSiC原料として再使用することができない。このため、坩堝に収容されたSiC原料を、側壁部から中央部に至るまで温度差が小さくなるように均一に加熱し、効率よく昇華ガスを発生させることが可能なSiC単結晶成長用坩堝が望まれている。
坩堝内部のSiC原料を均一に、かつ安定に昇華させるために、例えば特許文献1には、坩堝内部の底部の中心に熱伝導体を設置したSiC単結晶成長用坩堝が記載されている。
特開平5-58774号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているSiC単結晶成長用坩堝は、底部の中心に熱伝導体が設置されているため、側壁部の外側を取り巻くように配置されたヒーターからの輻射熱によって、収容されたSiC原料を中央部まで効率的に加熱することは難しいという課題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、大口径・長尺成長のSiC単結晶を製造することが可能な大型サイズの坩堝であっても、坩堝の中央部でのSiCの析出が起こりにくく、SiC原料を有効に利用することができるSiC単結晶成長用伝熱部材、SiC単結晶成長用坩堝、およびSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明のSiC単結晶成長用伝熱部材は、SiC原料を収容する原料収容部と、前記原料収容部の上方に配置され種結晶を支持する種結晶支持部とを備えたSiC単結晶成長用坩堝に設けられるSiC単結晶成長用伝熱部材であって、前記SiC単結晶成長用伝熱部材は、前記原料収容部に収容された前記SiC原料に下部が挿入され、上部が前記SiC原料の表面よりも上方に向けて突出するように配される熱伝導性材料からなり、前記SiC単結晶成長用伝熱部材は、前記SiC単結晶成長用坩堝に複数個配され、前記原料収容部の中心に近い位置に配された前記SiC単結晶成長用伝熱部材は、それよりも周縁側に配された前記SiC単結晶成長用伝熱部材よりも、前記上部の高さが高くなるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明のSiC単結晶成長用坩堝は、SiC原料を収容する原料収容部と、前記原料収容部の上方に配置され種結晶を支持する種結晶支持部と、を備え、前記原料収容部には、前項に記載のSiC単結晶成長用伝熱部材が配されることを特徴とする。
本発明によれば、原料収容部に配した伝熱部材によって、原料収容部に収容されたSiC原料の中央部の温度を高くすることができ、温度分布の均一性を高めることができる。よって、本実施形態のSiC単結晶成長用坩堝によれば、温度分布の均一性が高められ、原料収容部の中央部でSiCが析出することが起こりにくくなり、SiC原料を有効に利用することが可能となる。
また、本発明では、前記伝熱部材は前記原料収容部の中心軸に対して対称に複数個配されていてもよい。
また、本発明では、前記伝熱部材は円柱棒状に形成されていてもよい。
また、本発明では、前記伝熱部材は湾曲板状に形成されていてもよい。
また、本発明では、前記伝熱部材は黒鉛材料から形成されていてもよい。
本発明のSiC単結晶の製造方法は、前記各項に記載のSiC単結晶成長用坩堝を用いたSiC単結晶の製造方法であって、前記SiC単結晶成長用坩堝の外側に配された加熱手段によって、前記SiC原料を加熱、昇華させる際に、前記SiC単結晶成長用坩堝から前記SiC原料の表面よりも上方に放射された輻射熱を前記SiC単結晶成長用伝熱部材の前記上部で吸収し、吸収した輻射熱を前記SiC単結晶成長用伝熱部材の前記下部に向けて伝搬させて、前記SiC原料の直径方向の温度差を低減させることを特徴とする。
本発明によれば、大口径・長尺成長のSiC単結晶を製造することが可能な大型サイズの坩堝であっても、坩堝の中央部でのSiCの析出が起こりにくく、SiC原料を有効に利用することができるSiC単結晶成長用伝熱部材、SiC単結晶成長用坩堝、およびSiC単結晶の製造方法を提供することが可能になる。
本発明の第1実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を備えた単結晶製造装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝の原料収容部を斜め上方から見下ろした時の斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を構成する伝熱部材の配置状態を示した模式図である。 本発明の第3実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を構成する伝熱部材の配置状態を示した模式図である。 本発明の第4実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を構成する伝熱部材の配置状態を示した模式図である。 本発明の検証例であるシミュレーションによる温度分布像である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(SiC単結晶成長用坩堝:第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を備えた単結晶製造装置を示す概略構成図である。
単結晶製造装置10は、SiC単結晶成長用坩堝(以下、単に坩堝と称する)11と、坩堝11の周囲に配置される加熱手段(コイル)12と、これらを覆う断熱筐体(外装体)13とを備えている。
加熱手段12は、例えば高周波コイルであり、高周波電流を流すことにより磁場を発生させて、電磁誘導により坩堝11を1900℃以上の温度に発熱させることができる。これにより、坩堝11に収容されたSiC原料Mを加熱して、SiC原料Mから原料昇華ガス(原料ガス)を発生させる。
断熱筐体13は、断熱材や断熱材を内側に設けた遮蔽板などから構成され、加熱手段12によって生じた熱が外部に放散することを防止する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝の原料収容部を斜め上方から見下ろした時の斜視図である。また、図3は、SiC単結晶成長用坩堝を示す断面図である。
坩堝11は、下部に位置しSiC原料を収容する原料収容部21と、原料収容部21の上方に配置して、原料収容部21に対向するように内側で結晶成長用基板(種結晶)Sを支持する蓋体(種結晶支持部)22と、原料収容部21に収容したSiC原料Mに挿入される伝熱部材(SiC単結晶成長用伝熱部材)23とから構成されている。
原料収容部21は、例えば外形が有底中空円筒形を成し、上部の開放面が蓋体22によって覆われる。坩堝11を構成するこれら原料収容部21および蓋体22は、例えば、黒鉛、炭化タンタルなどのSiC単結晶成長用坩堝の材料として利用されている公知の耐熱材によって形成されていればよい。
伝熱部材(SiC単結晶成長用伝熱部材)23は、本実施形態では円柱棒状に形成されている。伝熱部材23は、その下部23bがSiC原料Mに挿入され、上部23aがSiC原料Mの表面Mfから上方に向けて突出する。即ち、伝熱部材23のうち、SiC原料Mに挿入、埋設された領域を下部23bとし、SiC原料Mの表面Mfから上方に向けて露出している領域を上部23aとする。本実施形態では、伝熱部材23の下端23eは、原料収容部21の内底面21aに接する位置に達している。なお、伝熱部材(SiC単結晶成長用伝熱部材)23は、原料収容部21の内底面21aに固着されていても、SiC原料Mによって支えられ、原料収容部21の内底面21aに固着していなくてもよい。即ち、伝熱部材(SiC単結晶成長用伝熱部材)23は、原料収容部21と一体に形成されていても、別部材として配置されていてもよい。
本実施形態では、伝熱部材23は、収容されたSiC原料Mの中心、即ち、原料収容部21の中心軸Cに沿って1本だけ設けられている。
伝熱部材23は、上部23aおよび下部23bの長さの比が、例えば1:0.2~1:5程度の範囲になるように立設される。
本実施形態の伝熱部材23の具体的なサイズ例としては、内径が200mmの原料収容部21を用いた時に、伝熱部材23の長さは10mm~60mm、直径は5mm~30mm程度にすればよい。
伝熱部材23は、少なくとも長手方向(単結晶製造装置10に坩堝11を設置した際の上下方向(縦方向)に相当)の熱伝導率が40W/m・K以上の伝熱材料(熱伝導性材料)を含むものであるか、あるいは、少なくとも長手方向の熱伝導率が40W/m・K以上の伝熱材料からなるものである。この40W/m・K以上の熱伝導率は、坩堝11の材料として用いられる黒鉛の熱伝導率を含む。
なお、伝熱部材23に用いる伝熱材料は成長させるSiC単結晶が不純物により汚染されないよう、高純度化処理したものが好ましい。
伝熱部材23の熱伝導率としては、80W/m・K以上であることが好ましく、100W/m・K以上であることがより好ましく、120W/m・K以上であることがさらに好ましい。
また、伝熱部材23は、SiC原料Mの昇華温度以上まで溶解、昇華することなく固体を保ち、かつ、原料収容部21に収容されたSiC原料Mに対して化学反応して化合物が生じることのない伝熱材料を用いる必要がある。即ち、常温からSiC原料Mの昇華温度までの幅広い温度範囲において、SiC原料Mに対して不活性で、かつ固体状態を保つ伝熱材料を選択する。
このような、熱伝導性に優れ、融点や昇華点が高く、かつSiCに対して不活性な伝熱材料として、等方性高密度黒鉛材料が挙げられる。等方性高密度黒鉛材料は、気孔の少ない緻密な表面を持ち、SiCに対して不活性であり、SiC原料Mの昇華温度を超えて固体状態を保つことができ、熱伝導率が約120W/m・K以上と高い。
伝熱部材23は輻射熱を吸収させる目的があるため、放射率が大きい方がよい。放射率が大きいほど輻射熱の吸収が高められる。伝熱部材23の放射率は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上とするのがよい。また、伝熱部材23の外径部表面を粗く加工するなどして放射率を増加させてもよい。
(SiC単結晶の製造方法)
以上のような構成の本実施形態のSiC単結晶成長用坩堝の作用、およびSiC単結晶の製造方法について図1、図3を参照して説明する。
本実施形態の坩堝11を備えた単結晶製造装置10を用いてSiC単結晶を製造する際には、原料収容部21の内底面21aの中心に伝熱部材23の下端23eが接するように伝熱部材23を直立させた状態で保持し、所定量のSiC原料Mを原料収容部21に収容(充填)するか、あるいは、原料収容部21に所定量のSiC原料Mを収容した後に、SiC原料Mの中心に伝熱部材23を直立状態で挿入する。
これにより、原料収容部21に収容されたSiC原料Mの中心に下部23bが挿入され、上部23aがSiC原料Mの表面Mfから上方に向けて突出した状態で、円柱棒状の伝熱部材23が坩堝11内に配置される。
次に、内側に結晶成長用基板(種結晶)Sを支持させた蓋体(種結晶支持部)22を原料収容部21に被せて、結合部分を密着させる。
次に、加熱手段(コイル)12に高周波電流を流し、電磁誘導によって、原料収容部21に収容されたSiC原料Mを昇華温度まで加熱する。これにより、SiC原料Mから原料昇華ガスが発生する。そして、SiC原料Mと種結晶Sとの間の温度勾配(原料温度>種結晶温度)によって原料昇華ガスが種結晶Sの近傍に拡散、輸送される。そして、原料昇華ガスは温度差により過飽和状態となって種結晶S上に再析出する。こうした過程が継続することにより、種結晶S上にSiC単結晶が成長する。
こうした結晶成長工程において、伝熱部材23は、坩堝11からSiC原料Mの表面Mfよりも上方に放射された輻射熱Qを伝熱部材23の上部23aで吸収し、吸収した輻射熱Qを伝熱部材23の下部23bに向けて伝搬させる。これにより、坩堝11から離れたSiC原料Mの中心部分の温度低下を防止し、SiC原料Mの直径方向の温度差を低減させる。
このように、SiC原料Mの直径方向の中心に配した伝熱部材23によって、原料収容部21に収容されたSiC原料Mの中央部の温度を高くすることができ、温度分布の均一性を高くすることができる。よって、本実施形態のSiC単結晶成長用坩堝11によれば、温度分布の均一性が高められ、原料収容部21の中央部でSiCが析出することが起こりにくくなり、SiC原料Mを有効に利用することが可能となる。
(SiC単結晶成長用坩堝:第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を構成する伝熱部材の配置状態を示した模式図である。
この第2実施形態のSiC単結晶成長用坩堝では、複数、例えば7本の円柱棒状の伝熱部材33,33…をSiC原料Mに配している。複数の伝熱部材33,33…は、そのうちの1本がSiC原料Mの中心に配され、残りの6本が、SiC原料Mの中心の周囲の同心円上を均等な間隔で取り巻くように対称に配されている。
このような実施形態では、伝熱部材33,33…を複数配することによって、SiC原料Mの中央部から幅広い範囲で温度を高くすることができ、温度分布の均一性をより一層高くすることができる。
(SiC単結晶成長用坩堝:第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を構成する伝熱部材の配置状態を示した模式図である。
この第3実施形態のSiC単結晶成長用坩堝では、複数、例えば7本の円柱棒状の伝熱部材43,43…をSiC原料Mに配している。複数の伝熱部材43,43…は、そのうちの1本の伝熱部材43AがSiC原料Mの中心に配され、残りの6本の伝熱部材43Bが、SiC原料Mの中心の周囲の同心円上を均等な間隔で取り巻くように対称に配されている。そして、SiC原料Mの中心に配された伝熱部材43Aは、それよりも周縁側に配された伝熱部材43Bよりも、上部43aの高さが高くなるように形成されている。
このような実施形態では、SiC原料Mの中心に配された伝熱部材43Aは、それよりも周縁側に配された伝熱部材43Bよりも上部43aの露出表面積が大きくなる。このため、伝熱部材43Bよりも坩堝11から離れた伝熱部材43Aの輻射熱の吸収力が高められ、SiC原料Mの温度分布の均一性をより一層高くすることができる。
(SiC単結晶成長用坩堝:第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係るSiC単結晶成長用坩堝を構成する伝熱部材の配置状態を示した模式図である。
この第4実施形態のSiC単結晶成長用坩堝では、湾曲した板状の伝熱部材53,53…をSiC原料Mに配している。それぞれの伝熱部材53は、筒状体を長手方向に複数に分割した形状を成す。こうした伝熱部材53,53…が、SiC原料Mの中心を取り巻くように、2つの同心円上に配置されている。
このような実施形態の伝熱部材53,53…は、例えば円柱棒状の伝熱部材と比べて上部の露出面積が大きくなるので、坩堝11から放射された輻射熱の吸収力が高められ、SiC原料Mの温度分布の均一性をより一層高くすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、コイルと坩堝の間に発熱体を設けて、坩堝を間接的に加熱する形態も本発明の範囲に含まれる。
(実施例)
本発明の効果を検証した。
検証にあたって、図3に示すようなモデルを用いて、伝熱部材を備えた本発明のSiC単結晶成長用坩堝と、伝熱部材を有しない従来のSiC単結晶成長用坩堝を用いて、種結晶の表面温度のシミュレーションを行った。
シミュレーションは、STR-Group Ltd社製の気相結晶成長解析ソフト「Virtual Reactor」を用いて行った。シミュレーションに用いた単結晶製造装置の構造モデルとしては、伝熱部材によるSiC原料の中心側への熱伝搬の改善効果を確認するために、円柱状の原料収容部と、蓋体の内側裏面に台座と、原料収容部にSiC原料とを有し、台座に種結晶を配置したシンプルな構造を採用した。
伝熱部材は、直径20mm、長さ120mmの円柱棒状(図2に相当)のものと、縦方向の長さ120mm、厚み10mmの湾曲板状(図5に相当:但し、モデルとして湾曲板状部材どうしの間も繋がった円筒形とした)のものをそれぞれ用いた。
図7に、シミュレーションによる温度分布像を示す。
このうち、(a)は、円柱棒状の伝熱部材を用いたもの(本発明例)、(b)は、湾曲板状の伝熱部材を用いたもの(本発明例)、(c)は、伝熱部材を用いないもの(従来例)の結果を示している。
図6に示すシミュレーション結果によれば、伝熱部材を備えない従来例と比較して、2つの本発明例は、いずれも中心付近までより温度が高くなっており、輻射熱を伝熱部材が吸収してSiC原料に伝搬させることにより、SiC原料の温度均一性が向上することが確認された。
10…単結晶製造装置
11…SiC単結晶成長用坩堝(坩堝)
12…加熱手段(コイル)
13…断熱筐体(外装体)
21…原料収容部
22…蓋体(種結晶支持部)
23…SiC単結晶成長用伝熱部材(伝熱部材)
M…SiC原料
S…結晶成長用基板(種結晶)

Claims (7)

  1. SiC原料を収容する原料収容部と、前記原料収容部の上方に配置され種結晶を支持する種結晶支持部とを備えたSiC単結晶成長用坩堝に設けられるSiC単結晶成長用伝熱部材であって、
    前記SiC単結晶成長用伝熱部材は、前記原料収容部に収容された前記SiC原料に下部が挿入され、上部が前記SiC原料の表面よりも上方に向けて突出するように配される熱伝導性材料からなり、
    前記SiC単結晶成長用伝熱部材は、前記SiC単結晶成長用坩堝に複数個配され、前記原料収容部の中心に近い位置に配された前記SiC単結晶成長用伝熱部材は、それよりも周縁側に配された前記SiC単結晶成長用伝熱部材よりも、前記上部の高さが高くなるように形成されていることを特徴とするSiC単結晶成長用伝熱部材。
  2. SiC原料を収容する原料収容部と、前記原料収容部の上方に配置され種結晶を支持する種結晶支持部と、を備え、
    前記原料収容部には、請求項1に記載のSiC単結晶成長用伝熱部材が配されることを特徴とするSiC単結晶成長用坩堝。
  3. 前記SiC単結晶成長用伝熱部材は前記原料収容部の中心軸に対して対称に複数個配されていることを特徴とする請求項2に記載のSiC単結晶成長用坩堝。
  4. 前記SiC単結晶成長用伝熱部材は円柱棒状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のSiC単結晶成長用坩堝。
  5. 前記SiC単結晶成長用伝熱部材は湾曲板状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のSiC単結晶成長用坩堝。
  6. 前記SiC単結晶成長用伝熱部材は黒鉛材料からなることを特徴とする請求項2からのいずれか一項に記載のSiC単結晶成長用坩堝。
  7. 請求項2からのいずれか一項に記載のSiC単結晶成長用坩堝を用いたSiC単結晶の製造方法であって、
    前記SiC単結晶成長用坩堝の外側に配された加熱手段によって、前記SiC原料を加熱、昇華させる際に、前記SiC単結晶成長用坩堝から前記SiC原料の表面よりも上方に放射された輻射熱を前記SiC単結晶成長用伝熱部材の前記上部で吸収し、吸収した輻射熱を前記SiC単結晶成長用伝熱部材の前記下部に向けて伝搬させて、前記SiC原料の直径方向の温度差を低減させることを特徴とするSiC単結晶の製造方法。
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