JP7358597B2 - フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法 - Google Patents

フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7358597B2
JP7358597B2 JP2022171563A JP2022171563A JP7358597B2 JP 7358597 B2 JP7358597 B2 JP 7358597B2 JP 2022171563 A JP2022171563 A JP 2022171563A JP 2022171563 A JP2022171563 A JP 2022171563A JP 7358597 B2 JP7358597 B2 JP 7358597B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
filter
substituent
contain
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022171563A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023015137A (ja
Inventor
哲也 上村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JP2023015137A publication Critical patent/JP2023015137A/ja
Priority to JP2023162410A priority Critical patent/JP2023174700A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7358597B2 publication Critical patent/JP7358597B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/26Polyalkenes
    • B01D71/261Polyethylene
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/58Multistep processes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D65/00Accessories or auxiliary operations, in general, for separation processes or apparatus using semi-permeable membranes
    • B01D65/02Membrane cleaning or sterilisation ; Membrane regeneration
    • B01D65/06Membrane cleaning or sterilisation ; Membrane regeneration with special washing compositions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/04Tubular membranes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/26Polyalkenes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/30Polyalkenyl halides
    • B01D71/32Polyalkenyl halides containing fluorine atoms
    • B01D71/36Polytetrafluoroethene
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/06Organic material
    • B01D71/56Polyamides, e.g. polyester-amides
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/26Processing photosensitive materials; Apparatus therefor
    • G03F7/30Imagewise removal using liquid means
    • G03F7/32Liquid compositions therefor, e.g. developers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Water Supply & Treatment (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Cleaning Or Drying Semiconductors (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、及び、薬液の製造方法に関する。
半導体デバイスの製造の際、プリウェット液、レジスト液(レジスト組成物)、現像液、リンス液、剥離液、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)スラリー、及び、CMP後の洗浄液等として、又は、それらの希釈液として、水及び/又は有機溶剤を含有する薬液が用いられている。
近年、半導体製品の高度化に伴い、半導体製造に用いる上記の薬液には更なる欠陥抑制性が求められている。
従来の半導体製品の製造プロセスに用いられる薬液として、特許文献1には、「パターン形成技術において、パーティクルの発生を低減可能な、化学増幅型レジスト膜のパターニング用有機系処理液の製造方法(段落[0010])」が開示されており、上記製造方法では、「濾過フィルター膜とを有する濾過装置(請求項1)」を使用している。
特開2015-84122号公報
本発明者らは、上記製造方法により製造されたパターニング用有機系処理液(薬液)を用いて、欠陥抑制性について改善の余地を見出した。
そこで、本発明は、欠陥抑制性が優れる薬液を製造できるフィルタの提供を課題とする。また、フィルタの製造方法、ろ過装置、及び、薬液の製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できるのを見出した。
〔1〕
ろ過用のフィルタであって、
フィルタ本体と、
一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケン、からなる群から選択される第1有機化合物を1種以上と、を含有し、
上記第1有機化合物の合計含有量が、上記フィルタの質量に対して、0.10~10000質量pptである、フィルタ。
〔2〕
上記フィルタが、更に、一般式(VI)~(VIII)で表される化合物からなる群から選択される第2有機化合物の1種以上を含有する、〔1〕に記載のフィルタ。
〔3〕
上記第1有機化合物の合計含有量が、上記フィルタの質量に対して、5.0質量ppt以上、かつ、
一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量が、上記フィルタの質量に対して、6500質量ppt以下である、〔2〕に記載のフィルタ。
〔4〕
上記フィルタが、
一般式(I)~(VIII)で表される化合物からなるA群から選択される化合物の1種以上と、
一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなるB群から選択される化合物の1種以上と、を含有する、〔2〕又は〔3〕に記載のフィルタ。
〔5〕
上記A群から選択される化合物の合計含有量が、上記フィルタの質量に対して、0.10~3200質量pptである、〔4〕に記載のフィルタ。
〔6〕
上記B群から選択される化合物の合計含有量が、上記フィルタの質量に対して、1.0~1200質量pptである、〔4〕又は〔5〕に記載のフィルタ。
〔7〕
更に、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Na、Ni、Zn、及び、Pbからなる群から選択される金属成分を、上記フィルタの質量に対して、0.10~5000質量ppt含有する、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔8〕
上記フィルタ本体がナイロンを含有し、
上記A群から選択される化合物1種以上と、上記B群から選択される化合物2種以上と、を含有する、〔4〕~〔6〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔9〕
一般式(X)で表されるアルカンと、一般式(XI)で表されるアルケンと、を含有し、
一般式(X)で表されるアルカンの含有量A、一般式(XI)で表されるアルケンの含有量B、及び、一般式(XII)で表されるアルケンの含有量Cが、質量基準で、C<A、かつ、C<Bである、〔8〕に記載のフィルタ。
〔10〕
上記フィルタ本体がポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンを含有し、
上記A群から選択される化合物1種以上と、一般式(X)で表されるアルカンと、を含有する、〔4〕~〔7〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔11〕
上記フィルタの細孔径が、10nm以下である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔12〕
上記フィルタ本体が、イオン交換基を含有する、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔13〕
上記フィルタ本体がそれぞれ異なる材料からなる2以上の層を含有する、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔14〕
上記フィルタ本体が、非対称多孔質膜を含有する、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載のフィルタ。
〔15〕
上記フィルタ本体が、フッ素系材料以外の材料からなる、〔1〕~〔14〕に記載のフィルタ。
〔16〕
〔1〕~〔15〕のいずれかに記載のフィルタの製造方法であって、
一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される1種以上を含有する未処理のフィルタに対し、有機洗浄液を用いた前処理を施す工程を含有する、フィルタの製造方法。
〔17〕
上記有機洗浄液が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、4-メチル-2-ペンタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含有する、〔16〕に記載のフィルタの製造方法。
〔18〕
上記前処理が、上記未処理のフィルタを、上記有機洗浄液に3日以上浸漬させる工程を含有する、〔16〕又は〔17〕に記載のフィルタの製造方法。
〔19〕
上記有機洗浄液に浸漬した上記未処理のフィルタに超音波処理をして上記前処理を施す工程を含有する、〔16〕~〔18〕のいずれかに記載のフィルタの製造方法。
〔20〕
上記前処理が、中空円筒状である上記未処理のフィルタに、上記有機洗浄液を通液させる工程を含有し、
上記通液をする上記有機洗浄液が、上記未処理のフィルタの筒長1インチに対して、10kg以上である、〔16〕~〔19〕のいずれかに記載のフィルタの製造方法。
〔21〕
上記未処理のフィルタ中の、一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量に対する、
上記前処理を施した後のフィルタ中の、一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量の質量比が、0.5000以下となる、〔16〕~〔20〕のいずれかに記載のフィルタの製造方法。
〔22〕
上記前処理を施される前の上記未処理のフィルタが、上記未処理のフィルタに対する接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である梱包材で梱包されている、〔16〕~〔21〕のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
〔23〕
流入部と、流出部と、
2以上の〔1〕~〔15〕のいずれかに記載のフィルタと、を含有し、
2以上の上記フィルタは上記流入部及び上記流出部の間に直列に配置され、
上記流入部から上記流出部にいたる流通路を含有する、被精製液を精製して、薬液を得るための、ろ過装置。
〔24〕
2以上の上記フィルタ中、細孔径が最大である上記フィルタの細孔径が10~200nmであり、細孔径が最小である上記フィルタの細孔径が1~10nmである、〔23〕に記載のろ過装置。
〔25〕
〔12〕に記載のフィルタを含有する、〔23〕又は〔24〕に記載のろ過装置。
〔26〕
〔9〕に記載のフィルタを含有する、〔23〕~〔25〕のいずれかに記載のろ過装置。
〔27〕
〔10〕に記載のフィルタを含有する、〔23〕~〔26〕のいずれかに記載のろ過装置。
〔28〕
被精製液を精製して薬液を得る薬液の製造方法であって、
〔1〕~〔15〕のいずれかに記載のフィルタを用いて被精製液をろ過して薬液を得る工程を含有する、薬液の製造方法。
〔29〕
上記被精製液が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、シクロヘキサノン、メトキシプロピオン酸メチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、4-メチル-2-ペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、シクロペンタノン、ジイソアミルエーテル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含有する、〔28〕に記載の薬液の製造方法。
本発明によれば、欠陥抑制性が優れる薬液を製造できるフィルタを提供できる。また、フィルタの製造方法、ろ過装置、及び、薬液の製造方法を提供できる。
本発明の第一実施形態に係るろ過装置を表す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、「ppm」は「parts-per-million(10-6)」を意味し、「ppb」は「parts-per-billion(10-9)」を意味し、「ppt」は「parts-per-trillion(10-12)」を意味し、「ppq」は「parts-per-quadrillion(10-15)」を意味する。
また、本発明における基(原子群)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を含有しない基と共に置換基を含有する基をも包含する。例えば、「炭化水素基」とは、置換基を含有しない炭化水素基(無置換炭化水素基)のみならず、置換基を含有する炭化水素基(置換炭化水素基)をも包含する。この点は、各化合物についても同義である。
また、本発明における「放射線」とは、例えば、遠紫外線、極紫外線(EUV;Extreme ultraviolet)、X線、又は、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本発明中における「露光」とは、特に断らない限り、遠紫外線、X線又はEUV等による露光のみならず、電子線又はイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
[フィルタ]
本発明のフィルタは、液体のろ過用フィルタである。
上記フィルタは、フィルタ本体と、第1有機化合物とを含有する。
上記第1有機化合物は、後述する一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンで表される化合物からなる群から選択される化合物の総称である。
上記第1有機化合物の合計含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~10000質量pptである。
このような構成のフィルタを用いて本発明の課題が解決される機序は必ずしも明確ではないが、本発明者はその機序について以下のとおり推測する。なお、以下の機序は推測であり、異なる機序により本発明の効果が得られる場合であっても本発明の範囲に含まれる。
半導体製造プロセスでは、薬液が含有する微量な不純物であっても、各種欠陥等を生じる原因となりやすい。
なお、各種欠陥とは、例えば、薬液を半導体デバイスの製造工程に適用した場合に発生する欠陥である。より具体的な例としては、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合における金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、及び、シミ状欠陥であり、これらの欠陥をいずれも抑制できることが求められる。他の具体例としては、薬液を配管洗浄液として使用した場合において、その後、洗浄した配管で上記プリウェット液又はリンス液を移送してから、プリウェット又はリンスを実施した際に生じる上記の欠陥であり、上記の欠陥をいずれも抑制できることが求められる。他の具体例としては、薬液をパターンの現像液及び/又はリンス液として使用した場合における、現像不良欠陥、残渣物欠陥、及び、均一性欠陥(ArF露光でパターンを形成した場合の欠陥の一例)、並びに、突起状の欠陥であるPLOT欠陥、パターン間の橋かけ状の欠陥であるBRIDGE欠陥、及び、膜状の残渣に基づく欠陥であるGEL欠陥(EUV露光でパターンを形成した場合の欠陥の一例)等であり、これらの欠陥をいずれも抑制できることが求められる。
本発明のフィルタは、第1有機化合物の含有量が所定量以下であるため、本発明のフィルタを用いて製造した薬液には、不純物として第1有機化合物が混入しにくく、薬液の欠陥抑制性が改善される。
また、本発明のフィルタは、所定量以上の第1有機化合物を含有しているため、その他の微量成分(特に、欠陥の原因となりやすい不純物等)がフィルタに付着するのを抑制でき、上記その他の微量成分が、本発明のフィルタを用いて製造した薬液に混入してパターンにおける欠陥の原因となるのを抑制できる。
このような機序に基づき、本発明のフィルタを用いて製造した薬液を用いたレジストプロセスでは、最終的に得られるパターンの欠陥の発生を抑制できた、と本発明者らは推測している。
〔特定有機化合物〕
本発明のフィルタは、後述する一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される第1有機化合物を含有する。
なお、第1有機化合物と、更に、後述する一般式(VI)~(VIII)で表される化合物とを併せて、総称し、特定有機化合物とも言う。
特定有機化合物は、通常、常温常圧で、液体又は固体である。
<第1有機化合物>
第1有機化合物は、一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される1種以上である。
以下、各第1有機化合物について説明する。
・一般式(I)
一般式(I)で表される化合物を以下に示す。
一般式(I)中、R1a及びR1cは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1~50が好ましく、10~20がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数に、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数は含まない。
1bは、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。なお、上記アルキレン基の炭素数は、アルキレン基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記アルキレン基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキレン基の炭素数は1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
フィルタが一般式(I)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~3000質量pptが好ましく、1.0~1000質量pptがより好ましく、1.0~200質量pptが更に好ましく、1.0~80質量pptが特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物を例示する。
・一般式(II)
一般式(II)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(II)で表される化合物は、一般式(I)で表される化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(II)中、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。
ベンゼン環基が含有してもよい置換基としては、例えば、置換基を含有していてもよい、アルキル基、アルコキシ基、及び、アリールカルボニル基が挙げられる。
シクロへキセン環基が含有してもよい置換基としては、例えば、置換基を含有していてもよい、アルケニルオキシ基、及び、シクロへキセン環基が挙げられる。
フィルタが一般式(II)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~6000質量pptが好ましく、1.0~2000質量pptがより好ましく、1.0~400質量pptが更に好ましく、1.0~160質量pptが特に好ましい。
一般式(II)で表される化合物を例示する。
・一般式(III)
一般式(III)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(III)で表される化合物は、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
・一般式(III)
一般式(III)中、R3a~R3hは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
3bとR3eとは、互いに結合して環を形成してもよく、R3bとR3eとが互いに結合して形成する基は、-O-(-Si(R3i-O-)-である。
aは、1以上の整数を表す。aの上限は特に制限されないが、10以下の場合が多い。
3iは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
複数存在するR3iは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
3a~R3iで表されるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~5がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
3a~R3iで表されるアルキル基は、それぞれ独立に、無置換のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
3g及びR3hの一方が、置換基を含有するアルキル基であるのも好ましい。上記置換基は、1以上のオキシアルキレン基(アルキレン基部分は炭素数2~4が好ましく、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい)を含有する基が好ましい。
フィルタが一般式(III)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~5000質量pptが好ましく、1.0~1500質量pptがより好ましく、1.0~400質量pptが更に好ましく、1.0~110質量pptが特に好ましい。
一般式(III)で表される化合物を例示する。
・一般式(IV)
一般式(IV)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(IV)で表される化合物は、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(IV)中、R4aは、-N(R4c)R4d又は-SR4eを表す。
4c、R4d、及び、R4eは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
4bは、-NH-又は-S-を表す。
4eとしては、例えば、芳香族チオ基が挙げられる。
上記芳香族チオ基における芳香環基は、ヘテロ原子(硫黄原子、窒素原子、及び/又は、酸素原子等)を含有していても、含有していなくてもよく、含有しているのが好ましい。上記芳香環基は単環でも多環でもよく多環が好ましい。
上記芳環族は、ベンゾチアゾール環基が好ましい。
フィルタが一般式(IV)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~2000質量pptが好ましく、1.0~1000質量pptがより好ましく、1.0~600質量pptが更に好ましい。
一般式(IV)で表される化合物を例示する。
・一般式(V)
一般式(V)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(V)で表される化合物は、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(V)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、式(A)で表される基を表す。式(A)中、*は結合位置を表す。
Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R5aは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、上記アルキル基は、ヘテロ原子(好ましくは酸素原子)を含有していてもよい。
5aのアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
5aのアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~10がより好ましい。なお、上R5aのアルキル基の炭素数は、R5aのアルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
5aのアルキル基が含有していてもよい置換基は、芳香環基(好ましくはベンゼン環基。さらに置換基を含有してもよい)を含有するのが好ましい。上記置換基は、芳香族エステル基がより好ましい。
Yで表されるベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、上記アルキル基とR5aとは互いに結合して環を形成してもよい。また、Yで表されるベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、上記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
Yが式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R5aはそれぞれ独立にアルキル基を表す。
この場合、R5aのアルキル基の炭素数は1~15が好ましく、1~10がより好ましい。
フィルタが一般式(V)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~2000質量pptが好ましく、1.0~1500質量pptがより好ましく、5.0~250質量pptが更に好ましく、5.0~60質量pptが特に好ましい。
一般式(V)で表される化合物を例示する。
・一般式(X)
一般式(X)で表されるアルカンを以下に示す。
なお、一般式(X)で表されるアルカンは、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(X)中、jは12~50の整数を表す。2つのjは同一の値である
上記アルカンは、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。一方で、上記アルカンは環状構造を含有しない。つまり上記アルカンはシクロアルカンではない。
フィルタが一般式(X)で表されるアルカンを含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~3000質量pptが好ましく、1.0~600質量pptがより好ましく、1.0~315質量pptが更に好ましく、1.0~90質量pptが特に好ましい。
・一般式(XI)
一般式(XI)で表されるアルケンを以下に示す。
なお、一般式(XI)で表されるアルケンは、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(XI)中、kは12~50の整数を表す。2つのkは同一の値である。
一般式(XI)で表されるアルケンは、分子中にC=C二重結合を1つ含有するアルケンである。
上記アルケンは、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。一方で、上記アルケンは環状構造を含有しない。
フィルタが一般式(XI)で表されるアルケンを含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~9000質量pptが好ましく、0.10~3000質量pptがより好ましく、1.0~600質量pptが更に好ましく、1.0~250質量pptが特に好ましい。
・一般式(XII)
一般式(XII)で表されるアルケンを以下に示す。
なお、一般式(XII)で表されるアルケンは、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
nは30~50の整数を表す。
mは20~90、かつ、2n-2以下の整数を表す。
一般式(XII)で表されるアルケンは、分子中にC=C二重結合を2以上含有するアルケンである。
一般式(XII)で表されるアルケンがx個のC=C二重結合を含有する場合、mは「2n+2-2x」の値をとる。
上記アルケンは、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。一方で、上記アルケンは環状構造を含有しない。
フィルタが一般式(XII)で表されるアルケンを含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~4000質量pptが好ましく、1.0~1000質量pptがより好ましく、1.0~350質量pptが更に好ましく、1.0~70質量pptが特に好ましい。
一般式(XII)で表されるアルケンとしては、例えば、スクアレン(C3050)、リコペン(C4056)、ネウロスポレン(C4058)、フィトエン(C4064)、又は、フィトフルエン(C4062)が挙げられる。
第1有機化合物の合計含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~10000質量pptであり、1.0~8000質量pptが好ましく、5.0~2500質量pptが更に好ましく、5.0~850質量pptが特に好ましい。
第1有機化合物の合計含有量は、フィルタの質量に対して、1.0質量ppt以上(好ましくは5.0質量ppt以上)であれば、フィルタが、後述する第2有機化合物を、環境(大気等)中等から過剰に吸着しにくく、製造される薬液の欠陥抑制性がより優れると考えられる。第1有機化合物の合計含有量は、フィルタの質量に対して、8000質量ppt以下(好ましくは2500質量ppt以下、より好ましくは850質量ppt以下)であれば、製造される薬液にフィルタ由来の第2有機化合物が混入しにくく、製造される薬液の欠陥抑制性がより優れると考えられる。
フィルタが、それぞれ異なる一般式で表される第1有機化合物を複数種類含有する場合、各一般式で表される第1有機化合物の内の少なくとも1種が、それぞれ上述した好ましい含有量の範囲を満たすのが好ましく、2種以上が、上記好ましい含有量の範囲を満たすのがより好ましい。
<第2有機化合物>
更に、フィルタは、特定有機化合物として、一般式(VI)~(VIII)で表される化合物からなる群から選択される第2有機化合物の1種以上を含有するのが好ましい。
以下、各第2有機化合物について説明する。
・一般式(VI)
一般式(VI)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(VI)で表される化合物は、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(VI)中、R6aは、置換基を有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
6b及びR6cは、それぞれ独立に、水素原子、-AL-O-R6d、-CO-R6e、又は、-C(OH)-R6fを表す。
ALは置換基を含有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1~6)を表す。
6d、R6e、又は、R6fはそれぞれ独立に、置換基(好ましくは、更に置換基を含有していてもよいアルキル基)を表す。
6a、R6d、R6e、及び、R6fで表される置換基を含有していてもよいアルキル基は、それぞれ独立に、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1~50が好ましく、1~20がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記アルキル基が含有していてもよい置換基は、例えば、水酸基、アルキルエステル基、及び、アルキルビニル基(好ましくは、アルキル基部分の炭素数が3~12)が挙げられる。
6dが複数存在する場合、複数存在するR6dそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R6eが複数存在する場合、複数存在するR6eそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R6fが複数存在する場合、複数存在するR6fそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
6aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R6d、R6e、及び、R6fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR6d同士、2つのR6e同士、又は、2つのR6f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
6aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R6d、R6e、及び、R6fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR6d同士、2つのR6e同士、又は、2つのR6f同士が、互いに結合して形成される基は、-O-、-NR6g-(R6gは置換基)、及び、-NHCO-からなる群から選択される1以上の連結基を含有しているのが好ましい。
6a、R6b、又は、R6cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
フィルタが一般式(VI)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~20000質量pptが好ましく、1.0~4000質量pptがより好ましく、1.0~1000質量pptが更に好ましく、1.0~300質量pptが特に好ましい。
一般式(VI)で表される化合物を例示する。
なお、下記例示中、ALは炭素数1~10の、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表し、qは、4~6の整数を表す。
・一般式(VII)
一般式(VII)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(VII)で表される化合物は、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(VII)中、R7a及びR7bは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1~20が好ましく、2~10がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記置換基としては、例えば、芳香環基(さらに置換基を含有していてもよい。好ましくはフェニル基)が好ましい。
フィルタが一般式(VII)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~30000質量pptが好ましく、1.0~5000質量pptがより好ましく、1.0~395質量pptが更に好ましく、1.0~90質量pptが特に好ましい。
一般式(VII)で表される化合物を例示する。
・一般式(VIII)
一般式(VIII)で表される化合物を以下に示す。
なお、一般式(VIII)で表される化合物は、ここまで上述した特定有機化合物とは別の特定有機化合物である。
一般式(VIII)中、R8a~R8cは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。
8a~R8cのうち、1つ以上(好ましくは2つ以上は)置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基であるのが好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1~20が好ましく、1~5がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。上記置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数2~6)又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子等)が好ましい。
上記ベンゼン環基が含有していてもよい置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数2~10)が好ましい。
フィルタが一般式(VIII)で表される化合物を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~20000質量pptが好ましく、1.0~10000質量pptがより好ましく、1.0~8000質量pptが更に好ましく、1.0~1000質量pptが特に好ましく、1.0~300質量pptが最も好ましい。
一般式(VIII)で表される化合物を例示する。
第2有機化合物の合計含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~200000質量pptが好ましく、1.0~9000質量pptがより好ましく、1.0~3000質量pptが特に好ましく、1.0~750質量pptが最も好ましい。
フィルタが、それぞれ異なる一般式で表される第2有機化合物を複数種類含有する場合、各一般式で表される第1有機化合物の内の少なくとも1種が、それぞれ上述した好ましい含有量の範囲を満たすのが好ましく、2種以上が、上記好ましい含有量の範囲を満たすのがより好ましい。
<A群、B群>
特定有機化合物は、第1有機化合物と第2有機化合物との分類とは別に、A群の特定有機化合物とB群の特定有機化合物とにも分類できる。
A群の特定有機化合物は、一般式(I)~(VIII)で表される化合物からなる群から選択される化合物であり、B群の特定有機化合物は、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物である。
フィルタは、A群の特定有機化合物1種以上と、B群の特定有機化合物の1種以上と、の両方を含有するのが好ましい。
フィルタがA群の特定有機化合物を含有する場合、その合計含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~100000質量pptが好ましく、0.10~10000質量pptがより好ましく、0.1~3200質量pptが更に好ましく、1.0~1000質量pptが特に好ましく、1.0~1200質量pptが最も好ましい。
フィルタがB群の特定有機化合物を含有する場合、その合計含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~50000質量pptが好ましく、0.10~10000質量pptがより好ましく、1.0~1200質量pptが更に好ましく、1.0~1000質量pptが特に好ましく、1.0~500質量pptが特に好ましい。
フィルタ中、A群の特定有機化合物およびB群の特定有機化合物の合計含有量(つまり、一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量)は、フィルタの質量に対して、下限は、0.1質量ppt以上が好ましく、1質量ppt以上がより好ましく、5質量ppt以上が更に好ましい。上限は、1000000質量ppt以下が好ましく、170000質量ppt以下がより好ましく、10000質量ppt以下が更に好ましく、6500質量ppt以下が特に好ましく、1600質量ppt以下が最も好ましい。
なお、本明細書において、フィルタ中における特定有機化合物の含有量は、下記方法によって測定される。
まず乾燥したフィルタを、還流条件で加熱したPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)中に1時間浸漬させ、フィルタ中の特定有機化合物をPGMEAに溶出させる(溶出処理)。
この際、浸漬させるPGMEAは高純度グレードを使用する(又、この際に含まれる不純物量を基準として、この量をゼロと規定する。)。また、フィルタを浸漬させるPGMEAの量(質量)は、測定の対象となるフィルタの質量の10~30倍とする。
溶出処理の前後でそれぞれのPGMEAが含有する特定有機化合物の量と種類とをGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)法で測定し、溶出処理によって増加したPGMEA中の各特定有機化合物の量を、測定対象のフィルタが含有していた各特定有機化合物の量として定義する。より具体的には、「(処理に供した後におけるPGMEAの各特定有機化合物の含有量)-(処理に供する前におけるPGMEAの各特定有機化合物の含有量)」が、本願で規定するフィルタ中における各特定有機化合物の含有量である。
〔金属成分〕
フィルタは金属成分を含有していてもよい。
本発明において、金属成分は、金属粒子及び金属イオンが挙げられ、例えば、金属成分の含有量と言う場合、金属粒子及び金属イオンの合計含有量を示す。
フィルタは、金属粒子及び金属イオンのいずれか一方が含有してもよく、両方を含有していてもよい。フィルタは、金属粒子及び金属イオンの両方を含有するのが好ましい。
金属成分における、金属元素は、例えば、Al(アルミニウム)、B(ホウ素)、Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)、Cd(カドミウム)、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Cu(銅)、Fe(鉄)、K(カリウム)、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、Na(ナトリウム)、Ni(ニッケル)、P(リン)、Pb(鉛)、Sb(アンチモン)、Si(ケイ素)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、及び、Zn(亜鉛)が挙げられる。
中でも、金属成分における、金属元素は、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Na、Ni、Zn、及び、Pbからなる群から選択される1種以上が好ましい。以降、これらの金属元素を特に特定金属元素とも称する。また、特定金属元素を含有する、金属成分、金属粒子、金属イオンを、それぞれ、特定金属成分、特定金属粒子、特定金属イオンとも称する。
金属粒子は、単体でも合金でもよく、その他の金属化合物でもよく、金属(金属化合物を含む)が有機物と会合した形態で存在していてもよい。
金属成分は、フィルタに不可避的に含まれている金属成分でもよいし、処理液の製造、貯蔵、及び/又は、移送時に不可避的に含まれる金属成分でもよいし、意図的に添加してもよい。
得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、フィルタが特定金属成分を含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.10~30000質量pptが好ましく、0.10~5000質量pptがより好ましく、1.0~5000質量pptが更に好ましく、1.0~1500質量pptが特に好ましく、1.0~300質量pptが最も好ましい。
特定金属成分の含有量が0.1質量ppt以上であれば、金属が粗大の会合体を形成し、遠心力で弾き飛ばされ、その結果、欠陥抑制性をより改善できる。
また、特定金属成分の含有量が30000質量ppt未満であれば、金属成分に由来する欠陥の発生の増加を回避しやすい。
得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、フィルタが特定金属イオンを含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~20000質量pptが好ましく、0.10~2500質量pptがより好ましく、1.0~2500質量pptが更に好ましく、1.0~800質量pptが特に好ましい。
得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、フィルタが特定金属粒子を含有する場合、その含有量は、フィルタの質量に対して、0.10~5000質量pptが好ましく、0.10~1000質量pptがより好ましく、1.0~1000質量pptが更に好ましく、1.0~400質量pptが特に好ましい。
なお、フィルタ中の金属イオン及び金属粒子の種類及び含有量は,フィルタ中の特定有機化合物をPGMEAに溶出させた溶出処理と同様の方法で、フィルタ中の金属成分をPGMEAに移行させる処理を施す。
処理の前後でそれぞれのPGMEAに対してSNP-ICP/MS(single nano-particle Inductively coupled plasma mass spectrometry。例えば、Agillent8900)装置を用いて測定し、処理によって増加したPGMEA中の各金属成分の量を、測定対象のフィルタが含有していた各金属成分の量として定義する。
〔フィルタ本体の構造〕
フィルタはフィルタ本体を含有する。フィルタ本体は、典型的には多孔質で、本発明のフィルタによって処理される被精製液は、フィルタ本体が含有する細孔を通過する。
<フィルタの細孔径(フィルタ本体の細孔径)>
フィルタの細孔径としては特に制限されず、後述する被精製物のろ過用として通常使用される細孔径のフィルタを使用できる。中でも、フィルタの細孔径は、薬液が含有する粒子(金属粒子等)の数を所望の範囲により制御しやすい点で、200nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。下限値としては特に制限されないが、一般に1nm以上が、生産性の観点から好ましい。
フィルタを複数使用する場合は、少なくとも1つのフィルタが上記範囲を満たすのが好ましい。
なお、本明細書において、フィルタの細孔径、及び、細孔径分布とは、イソプロパノール(IPA)又は、HFE-7200(「ノベック7200」、3M社製、ハイドロフロオロエーテル、COC)のバブルポイントによって決定される細孔径及び細孔径分布を意味する。
通常、フィルタ本体の細孔径とフィルタの細孔径は一致する。
<フィルタ本体の材料>
フィルタ本体の材料成分としては特に制限されない。フィルタ本体が含有する材料としては、樹脂である場合、ナイロン(例えば、6-ナイロン及び6,6-ナイロン)等のポリアミド;ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン;ポリイミド(ポリアミドイミドを含む);ポリ(メタ)アクリレート;ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、及び、ポリフッ化ビニル等のポリフルオロカーボン;ポリビニルアルコール;ポリエステル;セルロース;セルロースアセテート等が挙げられる。中でも、より優れた耐溶剤性を含有し、得られる薬液がより優れた欠陥抑制性を含有する点で、ナイロン(中でも、6,6-ナイロンが好ましい)、ポリオレフィン(中でも、ポリエチレンが好ましい)、ポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリフルオロカーボン(中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)が好ましい。)からなる群から選択される少なくとも1種を含有するのが好ましい。これらの重合体は単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
また、樹脂以外にも、ケイソウ土、及び、ガラス等であってもよい。
フィルタ本体が含有してもよいポリイミド(ポリアミドイミドを含む)は、イミド化率が1.0であるのが好ましく、1.4以上がより好ましい。上限値としては特に制限されないが、一般に2.0以下が好ましい。
なお、FT-IR(Fourier transform infrared spectrometer)装置により測定したイミド結合を表すピークの面積を、同じくFT-IR装置により測定したベンゼンを表すピークの面積で除した値を「イミド化率」とする。
上記ポリイミドは、後述する方法により求められるB値が15nm以下である連通孔を含むのが好ましい
本明細書において「B値」とは、以下の方法により算出される数(単位:nm)を意味する。
まず、ポリイミドに吸着分子を吸脱着させて、吸着等温線を求める。そして、得られた吸着等温線から、下記式(1)に基づき[P/{V(P-P)}]を算出し、平衡相対圧(P/P)に対してプロットする。そして、このプロットを直線と見なし、最小二乗法に基づき、傾きs(=[(C-1)/(V・C)])及び切片i(=[1/(V・C)])を算出する。そして、求められた傾きs及び切片iから式(2-1)、式(2-2)に基づき、V及びCを算出する。更には、Vから、式(3)に基づき比表面積Aを算出する。
次に、求められた吸着等温線の吸着データを直線補間し、細孔容積算出相対圧で設定した相対圧での吸着量を求める。この吸着量から全細孔容積Vを算出する。
これは一般に、「BET(Brunauer,Emmett,Teller)法」と呼ばれる比表面積の一連の計算方法の理論に基づく。上記方法の実施にあたり、本明細書に記載されていない事項は、JIS R 1626-1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準ずる。
[P/{V(P-P)}]
=[1/(V・C)]+[(C-1)/(V・C)](P/P) (1)
=1/(s+i) (2-1)
C=(s/i)+1 (2-2)
A=(V・L・σ)/22414 (3)
但し、
:吸着量
:単分子層の吸着量
P:吸着分子の平衡時の圧力
:吸着分子の飽和蒸気圧
L:アボガドロ数
σ:吸着分子の吸着断面積
である。
B値(nm)は、上記の方法に基づき比表面積A及び全細孔容積Vを算出した後に、得られた比表面積A及び全細孔容積Vに基づき式[4V/A]から算出される値である。B値(nm)は、BET法の測定結果から推測される細孔径としての意義を含有する。
フィルタ本体がテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを含有する共重合体を含有するのも好ましい。
テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを含有する共重合体としては、特に制限されないが、例えば、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(Poly(PTFE-CO-PFVAE))、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及び、それらの混合物等が挙げられる。PFAテフロン(登録商標)は、アルキルが主に又は完全にプロピル基であるテトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の一例である。FEPテフロン(登録商標)は、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体の一例である。いずれもデュポンが製造している。ネオフロン(Neoflon(トレードマーク))PFA(ダイキン工業)は、デュポンのPFAテフロン(登録商標)と類似した重合体である。米国特許5,463,006号には、アルキル基が主にメチルであるテトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体が記載されている。ニュージャージー州ソロファー(Thorofare)のオーシモント・ユー・エス・エー株式会社(Ausimont USA, Inc.)から入手できるハイフロン(Hyflon(登録商標))ポリ(PTFE-CO-PFVAE)620も好ましい。
テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを含有する共重合体を含有するフィルタ本体は、テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と他の繰り返し単位とを含有する共重合体を含有すれば、細孔径、及び、細孔構造等は特に制限されず、中空繊維を用いて形成された膜(中空繊維膜)であるのが好ましい。
中空繊維膜の外側又は内側表面を、スキン化又は非スキン化できる。スキンは、膜の基材と一体の薄くて緻密な表面層である。スキン化膜の場合は、膜による流動抵抗の大部分が薄いスキン中にある。表面のスキンは、基材の連続的な多孔質構造にする細孔を含んでいてもよく、非孔質の完全なフィルムであってもよい。非対称性は、膜の厚さを横切った細孔径の均一性に関係し、中空繊維の場合、これは繊維の多孔質壁にあたる。非対称の膜は、細孔径が断面での位置の関数である構造をしている。もう1つの非対称性の規定法は、一方の面上の細孔径と反対の面上の細孔径との比である。
このようなテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを含有する共重合体を用いた中空繊維膜からなる材料成分の製造方法としては、例えば、特開2015-61727号公報の記載を参照できる。
フィルタ本体がナイロンを含有する場合、フィルタは、上述のA群の特定有機化合物を1種以上と、B群の特定化合物を2種以上含有するのが好ましい。
この場合、フィルタ本体は、一般式(X)で表されるアルカンと、一般式(XI)で表されるアルケンと、を少なくとも含有するのが好ましい。更に、フィルタ中、一般式(X)で表されるアルカンの含有量をA、一般式(XI)で表されるアルケンの含有量をB、一般式(XII)で表されるアルケンの含有量をCとした場合において、質量基準で、C<A、かつ、C<Bの関係を満たすのが好ましい。
フィルタ本体がポリエチレン又はPTFEを含有する場合、フィルタは、上述のA群の特定有機化合物を1種以上と、一般式(X)で表されるアルカンとを含有するのが好ましい。
また、フィルタ本体は表面処理されていてもよい。表面処理の方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。表面処理の方法としては、例えば、化学修飾処理、プラズマ処理、疎水処理、コーティング、ガス処理、及び、焼結等が挙げられる。
プラズマ処理は、フィルタ本体の表面が親水化されるために好ましい。プラズマ処理して親水化されたフィルタ本体の表面における水接触角としては特に制限されないが、接触角計で測定した25℃における静的接触角が、60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、30°以下が更に好ましい。
化学修飾処理としては、基材にイオン交換基を導入する方法が好ましい。
すなわち、フィルタ本体は、上記で挙げた各材料を基材として、上記基材にイオン交換基を導入されていてもよい。典型的には、上記基材の表面にイオン交換基を含有する基材を含む層を含むフィルタ本体が好ましい(このような形態を単に「フィルタ本体がイオン交換基を含有する」ともいう。以下の同様は表現において同じ意図に基づく)。表面修飾された基材としては特に制限されず、製造がより容易な点で、上記重合体にイオン交換基を導入するのが好ましい。
イオン交換基としては、カチオン交換基として、スルホン酸基、カルボキシ基、及び、リン酸基等が挙げられ、アニオン交換基として、4級アンモニウム基等が挙げられる。イオン交換基を重合体に導入する方法としては特に制限されないが、イオン交換基と重合性基とを含有する化合物を重合体と反応させ典型的にはグラフト化する方法が挙げられる。
イオン交換基の導入方法としては特に制限されないが、上記の樹脂の繊維に電離放射線(α線、β線、γ線、X線、及び、電子線等)を照射して樹脂中に活性部分(ラジカル)を生成させる。この照射後の樹脂をモノマー含有溶液に浸漬してモノマーを基材にグラフト重合させる。その結果、このモノマーがポリオレフィン繊維にグラフト重合側鎖として結合したポリマーが生成する。この生成されたポリマーを側鎖として含有する樹脂をアニオン交換基又はカチオン交換基を含有する化合物と接触反応させて、グラフト重合された側鎖のポリマーにイオン交換基が導入されて最終生成物が得られる。
また、フィルタ本体は、放射線グラフト重合法によりイオン交換基を形成した織布、又は、不織布と、従来のガラスウール、織布、又は、不織布のろ過材とを組み合わせた構成でもよい。
イオン交換基を含有するフィルタ本体を用いると、金属原子を含有する粒子の薬液中における含有量を所望の範囲により制御しやすい。イオン交換基を含有するフィルタの材料としては特に制限されないが、ポリフルオロカーボン、及び、ポリオレフィンにイオン交換基を導入した材料等が挙げられ、ポリフルオロカーボンにイオン交換基を導入した材料がより好ましい。
イオン交換基を含有するフィルタ本体を含有するフィルタの細孔径としては特に制限されないが、1~30nmが好ましく、5~20nmがより好ましい。イオン交換基を含有するフィルタ本体を用いるフィルタは、複数のフィルタを使用する場合において、最小の細孔径を含有するフィルタを兼ねてもよいし、最小の細孔径を含有するフィルタとは別に使用してもよい。中でも得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点で、後述のろ過工程で複数のフィルタを使用する場合、イオン交換基を含有するフィルタ本体を用いるフィルタと、イオン交換基を含有せず、最小の細孔径を含有するフィルタ本体を用いるフィルタとを使用する形態が好ましい。
最小の細孔径を含有するフィルタのフィルタ本体を用いる材料としては特に制限されないが、耐溶剤性等の観点から、一般に、ポリフルオロカーボン、及び、ポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。
従って、複数のフィルタを使用する場合のフィルタのフィルタ本体としては、各フィルタで材料が異なっていてもよく、例えば、ポリオレフィン、ポリフルオロカーボン、ポリアミド、及び、これらにイオン交換基を導入した材料からなる群より選択される材料を用いたフィルタ本体を用いるフィルタを、2種以上を使用してもよい。
フィルタ(フィルタ本体)は、被覆層を含有してもよい。
被覆層を含有するフィルタ本体としては、例えば、ポリフルオロカーボン製の多孔質基材と、上記多孔質基材を覆うように配置された親水性基を含有する樹脂を含有する被覆層、を含有するフィルタ本体Aが挙げられる。なお、多孔質基材の表面の全体が上記被覆層で覆われるのが好ましいが、一部、被覆層で覆われていない領域があってもよい。なお、表面には多孔質基材の孔の表面も含まれる。
ポリフルオロカーボンは、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、及び、ポリフッ化ビニル等が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。上記ポリフルオロカーボンとしては、PTFE製の多孔質基材として市販されているポリフルオロカーボン等を適宜使用できる。
フィルタ本体Aの製造方法としては特に制限されないが、典型的には、ポリフルオロカーボン(例えばPTFE)製の多孔質基材に親水性基を含有する樹脂を含有する被覆層形成用組成物と上記多孔質基材とを接触させて(例えば、塗布、及び/又は、噴霧)多孔質基材の表面(孔内部の表面も含む)に被覆層を形成する方法が好ましい。
上記被覆層は、親水性基を含有する樹脂を含有する。樹脂としては特に制限されず、公知の樹脂が使用できる。中でも、耐溶剤性等の観点から、ポリノルボルネン又はその共重合体が好ましい。
親水性基としては、特に制限されないが、例えば、水酸基、エーテル基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボン酸基、エステル基、炭酸エステル基、チオール基、チオエーテル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミド基、イミド基、及び、これらを組み合わせた基(例えば、チオエーテル基と水酸基とを含有する基)等が挙げられ、本発明の効果がより優れる点で、ポリオキシアルキレン基が好ましい。
フィルタ本体Aの製造方法としては、例えば、特開2016-194038号公報及び特開2016-199733号公報の記載を参照できる。
被覆層を含有するフィルタ本体としては、例えば、ポリフルオロカーボン製の多孔質基材と、上記多孔質基材を覆うように配置された吸着性基を含有する樹脂を含有する被覆層、を含有するフィルタ本体Bであってもよい。なお、多孔質基材の表面の全体が上記被覆層で覆われるのが好ましいが、一部、被覆層で覆われていない領域があってもよい。なお、表面には多孔質基材の孔の表面も含まれる。
上記ポリフルオロカーボンの例は、上述したのと同様の例が挙げられる。
フィルタ本体Bの製造方法としては特に制限されないが、典型的には、ポリフルオロカーボン(例えばPTFE)製の多孔質基材に、吸着性基を含有する樹脂を含有する被覆層形成用組成物を用い、上記多孔質基材に被覆層形成用組成物を接触させて(例えば、塗布、及び/又は、噴霧)多孔質基材の表面(孔内部の表面も含む)に被覆層を形成する方法が好ましい。
上記被覆層は、吸着性基を含有する樹脂を含有する。樹脂としては特に制限されず、公知の樹脂が使用できる。吸着性基としては、特に制限されないが、エーテル基、水酸基、チオエーテル基、チオール基、4級アンモニウム基(4級アンモニウム塩基)、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、スルホニウム基、ジエステル基、及び、これらを含有する基等が挙げられ、中でも、本発明の効果がより優れる点で、エーテル基、水酸基、チオエーテル基、チオール基、4級アンモニウム基、カルボン酸基、及び、スルホン酸基からなる群より選択される少なくとも1種を含有する基が好ましい。中でも、チオエーテル基を含有し、更に、エーテル基、水酸基、チオール基、4級アンモニウム基、カルボン酸基、及び、スルホン酸基からなる群より選択される少なくとも1種を含有する基が好ましい。
なお、樹脂は、吸着性基の1種を単独で含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。
吸着性基としては特に制限されないが、*-S-L(R(Rn-m-1で表される基がより好ましい。上記式中、Lは、n(nは2以上の整数である)価の連結基であり、Rは水酸基、チオール基、4級アンモニウム基、カルボン酸基、及び、スルホン酸基からなる群より選択される少なくとも1種の基であり、Rは水素原子又は1価の有機基を表す。また、*は結合位置を表し、mは、0以上、n-1以下の整数を表す。
フィルタ本体Bの製造方法としては、例えば、特開2017-002273号公報、特開2016-29146号公報、特開2016-196625号及び、特開2016-194040号公報の記載を参照できる。
被覆層を含有するフィルタ本体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン製の多孔質基材と、上記多孔質基材を覆うように配置されたフッ素化イオノマーを含有する被覆層とを含有し、上記フッ素化イオノマーは、少なくとも後述する2種のモノマー単位と、ヨウ素原子、及び、臭素原子からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、フィルタ本体Cであってもよい。
上記2種のモノマー単位とは、エチレン基と、-SOF、-COOR、-COF、及び、これらの組み合わせからなる群より選択される親水性基に変換可能な官能基であって、Rは、C~C20アルキルラジカル、又は、C~C20アリールラジカルである官能基と、を含有するフッ素化モノマー単位;並びに、下記の式(OF-1)、式(OF-2)、及び、式(OF-3)からなる群より選択される少なくとも1種のビス-オレフィンに由来するモノマー単位、である。
式(OF-1)中、jは、2~10の整数であり、R1、R2、R3、R4は、同一又は互いに異なってもよく、H、F、又は、C~Cアルキル基、ペルフルオロアルキル基、若しくは、フルオロアルキル基である。
式(OF-2)中、複数あるAは、それぞれ、同一又は互いに異なってもよく、それぞれ独立に、F、Cl、及び、Hからなる群より選択され、複数あるBは、同一又は互いに異なってもよく、それぞれ独立して、F、Cl、H、及び、ORBからなる群より選択され、ここで、RBは、少なくとも部分的に、フッ素化又は塩素化され得る分枝状若しくは直鎖状のアルキルラジカルであり、Eは、エーテル結合で挿入され得る、必要に応じてフッ素化されている、2~10個の炭素原子を含有する二価の基である。
式(OF-3)中、E、A、及び、Bは、式(OF-2)中の各記号の定義と同一であり、R5、R6、R7は、同一又は互いに異なってもよく、H、F、又は、C~Cアルキル基、ペルフルオロアルキル基、若しくは、フルオロアルキル基である。
フィルタ本体Cの製造方法としては、例えば、特開2012-522882号公報の記載を参照できる。
被覆層を含有するフィルタ本体としては、PTFE製の多孔質基材と、多孔質基材を覆うように形成されたペルフルオロスルホン(PFSA)酸ポリマーを含有する非架橋被覆層とを含有するフィルタ本体Dであってもよい。
なお、フィルタ本体Dが含有する多孔質基材は、非架橋被覆層により覆われていない領域があってもよいが、その表面(多孔質膜の最表面から連通する孔の表面も含む)の全体が非架橋被覆層で覆われているのが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン製の多孔質基材としては特に制限されず、PTFE製の多孔質基材として市販されている多孔質基材等を適宜使用できる。
上記被覆層を形成するためのPFSAポリマー分散液としては特に制限されないがSolvay Specialty Polymers(Borger、Texas)からアクイヴィオン(AQUIVION)(登録商標)PFSA(例えば、アクイヴィオンPFSA D83-24B、アクイヴィオンPFSA D83-06A、及びアクイヴィオンPFSA D79-20BS)として入手可能であり、これはテトラフルオロエチレンとスルホニルフルオリドビニルエーテル(SFVE)FC=CF-O-CF-CF-SOFの短い側鎖(SSC)のコポリマーをベースとしている。アイオノマー分散液はそのスルホン酸形態を含有している。PFSAポリマー分散液としては、デュポン(DuPont)(登録商標)ナフィオン(Nafion)(登録商標)PFSAポリマー分散液も好ましい。
コーティングを形成する際、コーティング溶液中のPFSAの含有量は適宜調整可能である。一般に、含有量はコーティング溶液の全質量に対して0.10~3質量%の範囲が好ましく、0.12~2.2質量%の範囲がより好ましい。
基材上にコーティングを形成する方法としては特に制限されないが、基材を上記コーティング液に浸漬する方法、及び、基材に上記コーティング液を噴霧する方法等が挙げられる。
また、フィルタ本体が2以上の層を含有するのも好ましい。2以上の層は、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。
2以上の層の組み合わせの具体例としては、第1親水性基を表面に含有するPTFE製多孔質基材からなる第1層と、第1層上に配置され、第1親水性基とは異なる第2親水性基を表面に含有するPTFE製多孔質基材からなる第2層とを含有する積層構造体が挙げられる。
親水性基を表面に含有するPTFE製多孔質基材(膜)の形成方法としては特に制限されず、未修飾のPTFE製多孔質膜の表面に第1親水性基、及び/又は、第2親水性基を結合させる方法が挙げられる。
未修飾のPTFE製多孔質基材に親水性基を導入する方法としては特に制限されないが、未修飾のPTFEを基材として、上記基材に親水性基を導入する方法が好ましい。
親水性基の導入方法としては特に制限されないが、PTFE製多孔質膜に、電離放射線(α線、β線、γ線、X線、及び、電子線等)を照射してPTFE樹脂中に活性部分(ラジカル)を生成させる。この照射後のPTFE樹脂を所定の官能基を含有する化合物を含有する溶液に浸漬して上記化合物を基材に結合させる。このとき、官能基を含有するモノマー中に上記樹脂を浸漬させる形態では、上記樹脂の主鎖に、官能基を含有するモノマーがグラフト重合する。その結果、このモノマーがポリオレフィン繊維にグラフト重合側鎖として結合する。
また、上記以外にもPTFE製多孔質基材に対して、プラズマ処理、及び、フレーム処理等によって、親水性基を導入できる場合もある。
第1親水性基、及び、第2親水性基としては特に制限されないが、例えば、水酸基、(ポリ)エーテル基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボン酸基、ボロン酸基、ホスホン酸器、スルホン酸基、アミノ基、4級アンモニウム基、イミダゾリウム基、ピリジニル基、エステル基、炭酸エステル基、チオール基、チオエーテル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミド基、イミド基、(ペル)フルオロアルキル基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられ、中でも、ポリエーテル基、水酸基、チオエーテル基、チオール基、4級アンモニウム基、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、これらを組み合わせた基からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
<フィルタ本体の細孔構造>
フィルタ本体の細孔構造(言い換えると、フィルタ本体が含有する材料成分の細孔構造)としては特に制限されず、後述する被精製物中の成分に応じて適宜選択すればよい。本明細書において、フィルタ本体の細孔構造とは、細孔径分布、フィルタ本体中の細孔の位置的な分布、及び、細孔の形状等を意味し、典型的には、フィルタ本体(又はフィルタ本体が含有する材料成分)の製造方法により制御可能である。
例えば、樹脂等の粉末を焼結して形成すれば多孔質膜が得られ、及び、エレクトロスピニング、エレクトロブローイング、及び、メルトブローイング等の方法により形成すれば繊維膜が得られる。これらは、それぞれ細孔構造が異なる。
「多孔質膜」とは、ゲル、粒子、コロイド、細胞、及び、ポリオリゴマー等の被精製物中の成分を保持するが、細孔よりも実質的に小さい成分は、細孔を通過する膜を意味する。多孔質膜による被精製物中の成分の保持は、動作条件、例えば、面速度、界面活性剤の使用、pH、及び、これらの組み合わせに依存する場合があり、かつ、多孔質膜の細孔径、構造、及び、除去されるべき粒子のサイズ、及び、構造(硬質粒子か、又は、ゲルか等)に依存し得る。
被精製物が負に帯電している粒子を含有する場合、そのような粒子の除去には、ポリアミドが非ふるい膜の機能を果たす。典型的な非ふるい膜には、ナイロン-6膜及びナイロン-6,6膜等のナイロン膜が含まれるが、これらに制限されない。
なお、本明細書で使用される「非ふるい」による保持機構は、フィルタの圧力降下、又は、細孔径に関連しない、妨害、拡散及び吸着等の機構によって生じる保持を指す。
非ふるい保持は、フィルタの圧力降下又はフィルタの細孔径に関係なく、被精製物中の除去対象粒子を除去する、妨害、拡散及び吸着等の保持機構を含む。材料成分表面への粒子の吸着は、例えば、分子間のファンデルワールス力及び静電力等によって媒介され得る。蛇行状のパスを含有する非ふるい膜層中を移動する粒子が、非ふるい膜と接触しないように十分に速く方向を変られない場合に、妨害効果が生じる。拡散による粒子輸送は、粒子がろ過材と衝突する一定の確率を作り出す、主に、小さな粒子のランダム運動又はブラウン運動から生じる。粒子とフィルタの間に反発力が存在しない場合、非ふるい保持機構は活発になり得る。
フィルタ本体が含有してもよいUPE(超高分子量ポリエチレン)膜は、典型的には、ふるい膜である。ふるい膜は、主にふるい保持機構を介して粒子を捕捉する膜、又は、ふるい保持機構を介して粒子を捕捉するために最適化された膜を意味する。
ふるい膜の典型的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜とUPE膜が含まれるが、これらに制限されない。
なお、「ふるい保持機構」とは、除去対象粒子が多孔質膜の細孔径よりも大きいことによる結果の保持を指す。ふるい保持力は、フィルタケーキ(膜の表面での除去対象となる粒子の凝集)を形成して向上させられる。フィルタケーキは、2次フィルタの機能を効果的に果たす。
繊維膜の材質は、繊維膜を形成可能なポリマーであれば特に制限されない。ポリマーとしては、例えば、ポリアミド等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、及び、ナイロン6,6等が挙げられる。繊維膜を形成するポリマーとしては、ポリ(エーテルスルホン)であってもよい。繊維膜が多孔質膜の一次側にある場合、繊維膜の表面エネルギは、二次側にある多孔質膜の材質であるポリマーより高いのが好ましい。そのような組合せとしては、例えば、繊維膜の材料がナイロンで、多孔質膜がポリエチレン(UPE)である場合が挙げられる。
繊維膜の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。繊維膜の製造方法としては、例えば、エレクトロスピニング、エレクトロブローイング、及び、メルトブローイング等が挙げられる。
多孔質膜(例えば、UPE、及び、PTFE等を含む多孔質膜)の細孔構造としては特に制限されないが、細孔の形状としては例えば、レース状、ストリング状、及び、ノード状等が挙げられる。
多孔質膜における細孔の大きさの分布とその膜中における位置の分布は、特に制限されない。大きさの分布がより小さく、かつ、その膜中における分布位置が対称であってもよい。また、フィルタ本体が、大きさの分布がより大きく、かつ、その膜中における分布位置が非対称である(上記の膜を「非対称多孔質膜」ともいう。)膜を含有するのも好ましい。非対称多孔質膜では、孔の大きさは膜中で変化する。中でも、非対称多孔質膜は、厚み方向(ろ過方向)に対して、非対称的な細孔径分布を有しているのが好ましい。典型的には、膜一方の表面から膜の他方の表面に向かって細孔径が大きくなる。このとき、細孔径の大きい細孔が多い側の表面を「オープン側」といい、細孔径が小さい細孔が多い側の表面を「タイト側」ともいう。
また、非対称多孔質膜としては、例えば、細孔の大きさが膜の厚さ内のある位置においてで最小となる膜(これを「砂時計形状」ともいう。)が挙げられる。
非対称多孔質膜を用いて、一次側をより大きいサイズの孔とすると、言い換えれば、一次側をオープン側とすると、前ろ過効果を生じさせられる。
非対称多孔質膜は、例えば、UPE製の非対称多孔性膜と、非対称多孔性膜の表面に結合したグラフト鎖とを含有する膜が好ましい。また上記、グラフト鎖は、少なくとも一部が、中性基又はイオン交換基を含有するのが好ましい。
UPE製の非対称多孔性膜と、非対称多孔性膜の表面に結合したグラフト鎖とを含有する膜については、例えば、特表2017-536232号公報の記載を参照してもよい。
多孔質膜は、PESU(ポリエーテルスルホン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシアルカンとの共重合体)、ポリアミド、及び、ポリオレフィン等の熱可塑性ポリマーを含んでもよいし、ポリテトラフルオロエチレン等を含んでもよい。
中でも、多孔質膜の材料としては、超高分子量ポリエチレンが好ましい。超高分子量ポリエチレンは、極めて長い鎖を含有する熱可塑性ポリエチレンを意味し、分子量が百万以上、典型的には、200~600万が好ましい。
<支持層>
上述したような組成及び構造等を含有する材料は、フィルタ本体のろ過能力を発揮するために用いられる部材(「ろ過層」ともいう)を構成するのが好ましく、上述のようなフィルタ本体はこのようなろ過層の他に、支持層を含有するのが好ましい。
支持層は、例えば、ろ過層のみからなるフィルタ本体では所望の形状に加工するのが困難な場合に、ろ過層と積層させ、フィルタに適当な剛性を付与して加工性を改善する。
また、フィルタ本体は、ろ過層を1層のみ含有していてもよく、2層以上含有していてもよい。同様に、フィルタ本体は、支持層を1層のみ含有していてもよく、2層以上含有していてもよい。支持層は、ろ過層の、片面(ろ過の1次側又は2次側)のみに設けられていても両面に設けられていてもよい。フィルタ本体が2層以上のろ過層を含有する場合、ろ過層と支持層とが交互に設けられていてもよい。
支持層の材料としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン(UPEを含む)、ポリプロピレン等)、PTFE、PFA、又は、ポリエステルを使用できる。
フィルタ本体は、それぞれ異なる材料からなる2以上の層を含有するのも好ましい。
それぞれ異なる材料からなる2以上の層を含有するフィルタ本体としては、例えば、フィルタ本体がろ過層と支持層とを有し、ろ過層と支持層とが、それぞれ異なる材料からなるフィルタが挙げられる。
また、それぞれ異なる材料からなる2以上の層を含有するフィルタ本体は、フィルタ本体がろ過層と支持層とを有し、ろ過層と支持層とが共に同じ材料からなり、ろ過層の表面がグラフト化されて、ろ過層とも支持層とも異なる材料であるグラフト層が形成されているフィルタでもよい。
他にも、それぞれ異なる材料からなる2以上の層を含有するフィルタ本体は、ろ過層及び支持層の役割を兼ねる層を有し、その表面がグラフト化されて、ろ過層及び支持層の役割を兼ねる層とは異なる材料であるグラフト層が形成されているフィルタでもよい。
また、フィルタ本体は、フッ素系材料以外の材料からなるのも好ましい。
フィルタ本体がフッ素系材料以外の材料からなるとは、例えば、フィルタ本体のろ過層及び支持層が、いずれもフッ素系材料(PTFE、PFA、及び、PESU等のフッ素樹脂)以外の材料からなる形態が挙げられる。
言い換えると、フッ素系材料以外の材料からなるフィルタ本体は、例えば、ろ過層及び支持層が、いずれも、フッ素系材料以外の材料(ポリオレフィン(ポリエチレン(UPEを含む)、ポリプロピレン等)、ポリエステル、及び/又は、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6等))であるのが好ましい。フッ素系材料以外の材料からなるフィルタ本体のろ過層は、(好ましくは非フッ素系の繰り返し単位を使用して)グラフト化されていてもよい。
フッ素系材料以外の材料からなるフィルタ本体では、フィルタからの成分の溶出が低減されやすく、製造される薬液の欠陥抑制性(特にEUV露光でパターンを形成した場合のパターン欠陥抑制性)がより優れる。
〔フィルタの製造方法〕
本発明のフィルタの製造方法としては、例えば、特定有機化合物を1種以上含有する未処理のフィルタに対し、有機洗浄液を用いた前処理をする工程を含有するのが好ましい。
未処理のフィルタとは、例えば、市場で入手できるフィルタであり、通常、未処理のフィルタの表面及び又は内部には、本発明が許容する含有量を超える第1有機化合物を含有している。
以下、前処理を施されるフィルタ(未処理のフィルタ)を被処理フィルタともいう。
被処理フィルタは、上述の通り、市場から入手してもよい。このような被処理フィルタが流通に乗せられる際、被処理フィルタは、コンタミ等を避ける目的で梱包袋に入れられてシーリングされるなど、梱包材で梱包される場合が多い。この際、梱包材における、梱包されている状態の被処理フィルタと接触し得る部分(接触部分)が、ポリオレフィン(高密度ポリエチレンを含むポリエチレン等)等である場合、接触部分がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である場合と比べて、上述の特定有機化合物及び/又はその他の不純物成分が被処理フィルタに対して付着し、コンタミしてしまう問題が起こりやすい。
そのため、前処理を施される前の被処理フィルタは、前処理に要するコストの削減、及び/又は、最終的に得られるフィルタを用いて製造される薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、被処理フィルタに対する接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である梱包材で梱包されているのが好ましい。
接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂又はステンレス鋼であれば、被処理フィルタへのコンタミを低減でき、このような梱包材で梱包されていた被処理フィルタに前処理を施して得られる本発明のフィルタによって実現される本発明の効果もより優れたものとなる。
言い換えると、本発明のフィルタは、被処理フィルタに対する接触部分の少なくとも一部がフッ素系趣旨又はステンレス鋼である梱包材で梱包されている被処理フィルタに対して前処理を施して得られるフィルタであるのも好ましい。
接触部分における上記フッ素系樹脂としては、例えば、PTFE及びPFA等のフッ素樹脂が挙げられる。
接触部分におけるステンレス鋼としては、耐腐食材料として後述するステンレス鋼が挙げられ、中でも、接触部分が電解研磨処理されたステンレス鋼(EP-SUS)であるのが好ましい。
フッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼である接触部分の面積は、接触部分の全面積に対して、50~100%が好ましく、90~100%がより好ましく、99~100%が更に好ましい。
梱包材の形態に特に制限はなく、袋形態でもよくカプセル形態でもよい。
梱包材は、接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼でありさえすればよく、梱包材の全体がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼であってもよいし、他の材料との複合材料であってもよい。例えば、接触部分がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼からなり、接触部分以外がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼からなる層構造の複合材料でもよい。
なお、本発明のフィルタ(例えば、前処理を施された後の被処理フィルタ)を梱包材で梱包して保管又は流通する場合も、上述のような構成の接触部分の構成を有する梱包材で梱包されているのが好ましい。
なお、梱包材で梱包されている被処理フィルタが、梱包される前に、適宜洗浄処理等を施されていてもよい。
前処理に用いる有機洗浄液の種類としては特に制限されず、公知の有機溶剤を主成分として使用できる。本明細書において主成分とは、有機洗浄液の全質量に対して99.9質量%以上含有される成分を意味し、99.99質量%以上含有するのがより好ましい。
有機溶剤は、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を含有していてもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル、ジアルキルスルホキシド、環状スルホン、ジアルキルエーテル、一価アルコール、グリコール、酢酸アルキルエステル、及び、N-アルキルピロリドン等が挙げられる。
中でも、有機洗浄液は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル(イソアミルエーテル)、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、4-メチル-2-ペンタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含有するのが好ましい。
前処理は、例えば、被処理フィルタを有機洗浄液に浸漬させる工程、及び/又は、被処理フィルタに有機洗浄液を通液させる工程を含有するのが好ましい。
前処理が、被処理フィルタを有機洗浄液に浸漬させる工程を含有する場合において、被処理フィルタを有機洗浄液に浸漬する方法としては、浸漬用容器に有機洗浄液を満たし、上記有機洗浄液に被処理フィルタを浸漬する方法が挙げられる。
浸漬用容器としては、後述するろ過装置において、フィルタユニットが含有するハウジングも使用できる。すなわち、ろ過装置が含有するハウジングに被処理フィルタを(好ましくは後述するフィルタ付きカートリッジに含有された状態で)を収納した状態で、ハウジング内に浸漬液を満たし、その状態で静置する方法が挙げられる。
また、上記以外にも、浸漬用容器を精製装置が含有するハウジングとは別途準備し(すなわち、精製装置外において浸漬用容器を準備し)、別途準備した浸漬用容器に有機洗浄液を満たし、被処理フィルタを浸漬する方法も挙げられる。
中でも、被処理フィルタから溶出した不純物がろ過装置内に混入しない点で、ろ過装置外に準備した浸漬用容器に有機洗浄液を満たし、上記有機洗浄液に被処理フィルタを浸漬する方法が好ましい。
浸漬用容器の形状及び大きさ等は、浸漬する被処理フィルタの数及び大きさ等によって適宜選択でき、特に制限されない。
浸漬用容器の材料としては、特に制限されないが、少なくとも接液部が、後述する耐腐食材料で形成されているのが好ましい。
また、浸漬用容器の材料としては、ポリフルオロカーボン(PTFE、PFA:パーフルオロアルコキシアルカン、及び、PCTFE:ポリクロロトリフルオロエチレン等)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、POM(ポリオキシメチレン)、並びに、ポリオレフィン(PP、及び、PE等)からなる群から選択される少なくとも1種を含有するのが好ましく、ポリフルオロカーボン、PPS、及び、POMからなる群から選択される少なくとも1種を含有するのがより好ましく、ポリフルオロカーボンを含有するのが更に好ましく、PTFE、PFA、及び、PCTFEからなる群から選択される少なくとも1種を含有するのが特に好ましく、PTFEを含有するのが最も好ましい。
また、浸漬用容器は、使用前に洗浄するのが好ましく、洗浄の際には有機洗浄液を使用して洗浄(いわゆる共洗い)するのが好ましい。
浸漬させる時間は、例えば、1日以上が好ましく、3日以上がより好ましく、1週間以上が更に好ましく、1か月以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、通常1年未満である。
浸漬処理の際の有機洗浄液の温度は、室温(23℃)以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、使用する有機洗浄液の沸点未満である。
また、浸漬中、継続的に又は一時的に、被処理フィルタに対して超音波処理を施してもよい。
例えば、フィルタ本体を中空円筒状の形態で使用する場合(例えば、フィルタを後述のフィルタ付きカートリッジに含有された状態で使用する場合)、超音波の出力は、上記フィルタ付きカートリッジのフィルタ(被処理フィルタ)の筒長1インチに対して、50kw以上が好ましく、80kw以上がより好ましく、100kw以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、通常200kwである。
超音波処理の時間は、例えば、5分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましく、3時間以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、通常10時間未満である。
前処理が、被処理フィルタに有機洗浄液を通液させる工程を含有する場合、例えば、後述するろ過装置のフィルタユニットのハウジングに、フィルタを(好ましくはフィルタ付きカートリッジに含有された状態で)収納し、上記ハウジングに有機洗浄液を導入して、被処理フィルタ本体に有機洗浄液を通液する方法が挙げられる。
洗浄の際、被処理フィルタが含有する特定有機化合物等は、有機洗浄液に移行(典型的には、溶解)していく。従って、1度フィルタに通液させた有機洗浄液は、再度洗浄には使用せず、後述するろ過装置外に排出するのが好ましい。言い換えれば循環洗浄しないのが好ましい。
被処理フィルタに有機洗浄液を通液して洗浄する方法の他の形態として、洗浄装置を用いて被処理フィルタを洗浄する方法が挙げられる。本明細書において、洗浄装置とは、ろ過装置外に設けられたろ過装置とは異なる装置を意味する。洗浄装置の形態としては特に制限されないが、ろ過装置と同様の構成の装置が使用できる。
前処理が、被処理フィルタ本体に有機洗浄液を通液させる工程を含有する場合、その通液量は、例えば、被処理フィルタ本体を中空円筒状の形態である場合(典型的には、フィルタユニットのハウジングに、被処理フィルタを含有するフィルタ付きカートリッジを収納して有機洗浄液を通液させる場合)、被処理フィルタ本体の筒長1インチに対して、10kg以上が好ましく、50kg以上がより好ましく、300kg以上が更に好ましく、500kg以上が特に好ましい。
通液する有機洗浄液の温度は、室温(23℃)以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、使用する有機洗浄液の沸点未満である。
前処理は、被処理フィルタ(未処理のフィルタ)が含有する特定有機化合物の合計含有量に対する、前処理後のフィルタが含有する特定有機化合物の含有量の比(「洗浄度」ともいう)が、0.5000以下となるように実施するのが好ましく、0.1000以下となるように実施するのがより好ましく、0.0300以下となるように実施するのが更に好ましく、0.0100以下となるように実施するのが特に好ましい。下限は特に制限されないが、通常、0.00001以上である。
〔ろ過装置〕
本発明のフィルタはろ過装置に設置して用いるのが好ましい。
上記ろ過装置は、本発明のフィルタを含有し、被精製液を精製して薬液を製造するために用いられるのが好ましい。
例えば、ろ過装置は、流入部と、流出部と、1以上(好ましくは2以上、より好ましくは2~6、更に好ましくは3~4、特に好ましくは4)の本発明のフィルタと、を含有し、各フィルタが流入部及び流出部の間に直列に配置され、流入部から流出部にいたる流通路を含有するのが好ましい。
ろ過装置は、複数のフィルタが並列に配置されていてもよい。この場合、被精製液が流入部から流出部にいたるいずれの流通路を経るとしても、被精製液が1以上(好ましくは2以上、より好ましくは2~6、更に好ましくは3~4、特に好ましくは4)の本発明のフィルタを通過するように構成されているのが好ましい。つまり、ろ過装置は、複数のフィルタの、並列の配置と、直列の配置との両方を組み合わせていてもよい。
ろ過装置において、2以上のフィルタが直列に配置されている場合、直列に配置された2以上のフィルタ中、少なくとも一つのフィルタ(好ましくは細孔径が最大であるフィルタ)の細孔径が10~200nmであり、細孔径が最小であるフィルタの細孔径が1~10nmであるのが好ましい。
また、直列に配置された2以上のフィルタ中、少なくとも1つのフィルタのフィルタ本体は、イオン交換基を含有するのが好ましい。
また、直列に配置された2以上のフィルタ中、少なくとも1つのフィルタのフィルタ本体が、ナイロンを含有するフィルタ本体であって、上記少なくとも1つのフィルタが、一般式(X)で表されるアルカンと、一般式(XI)で表されるアルケンと、を少なくとも含有し、一般式(X)で表されるアルカンの含有質A、一般式(XI)で表されるアルケンの含有質B、及び、一般式(XII)で表されるアルケンの含有量Cが、質量基準で、C<A、かつ、C<Bとなるのも好ましい。
また、直列に配置された2以上のフィルタ中、少なくとも1つのフィルタのフィルタ本体が、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンを含有し、上記少なくとも1つのフィルタが上述のA群から選択される1種以上の化合物と、一般式(X)で表されるアルカンと、を含有するのも好ましい。
また、直列に配置された2以上のフィルタ中、少なくとも1つ(好ましくは、2以上のフィルタ中の半分以上、より好ましくは2以上のフィルタ中の半分超)のフィルタのフィルタ本体が、フッ素系材料以外の材料からなるフィルタ本体であるのも好ましい。
以下、本発明のフィルタを含有するろ過装置について説明する。なお以下の説明において、少なくともフィルタAは本発明のフィルタであり、その他のフィルタ(例えばフィルタBU)は、本発明のフィルタ以外のフィルタも使用してよい。
ただし、ろ過装置は少なくとも2以上の本発明のフィルタを流入部及び流出部の間に直列に配置しているのが好ましく、ろ過装置中のフィルタが、いずれも本発明のフィルタであるのがより好ましい。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係るろ過装置を表す模式図である。
ろ過装置100は、流入部101及び流出部102の間に、フィルタ103(フィルタA)及び上記フィルタ103とは異なるフィルタ104(フィルタBUともいう)が配管105を介して直列に配置されたろ過装置である。
流入部101、フィルタ104、配管202、フィルタ103、及び、流出部102は、それぞれの内部に被精製液を流通できるよう構成されており、上記部材が連結されて、流通路S1(被精製液が流れる経路)が形成されている。
流入部101、及び、流出部102としては、ろ過装置に被精製液を導入し、及び、排出できればその形態としては特に制限されないが、典型的には、流入口と流出口とを含有する中空円筒状の配管(流入部、及び、流出部)等が挙げられる。以下流出部と流入部とがそれぞれ配管である形態を例に説明する。
流入部101、配管105、及び、流出部102の形態としては特に制限されないが、典型的には、内部に被精製液を流通可能に形成された中空円筒状の形態が挙げられる。これらの材料としては特に制限されないが、接液部(被精製液をろ過するに際して、被精製液が接触する可能性のある部分)は、後述する耐腐食材料を材料成分(構成する成分)として含有するのが好ましい。言い換えれば、後述する耐腐食材料を用いて形成されているのが好ましい。
ろ過装置100の流入部101から導入された被精製液は、流通路S1に沿ってろ過装置100内を流通し、その間にフィルタ103(フィルタA)、及び、フィルタ104(フィルタBU)によって順次ろ過されて、流出部102からろ過装置100外へと排出される。なお被精製液の形態については後述する。
なお、ろ過装置100は、被精製液を流通させる目的で、流通路S1上に(例えば、流入部(101)、配管(105)、及び、流出部(102)等)に、図示しないポンプ、ダンパ、及び、弁等を含有していてもよい。なお、ろ過装置100内の流通路に被精製液を流通させる方法としては上記に制限されず、流入部に、加圧した被精製液を導入する方法であってもよい。
フィルタ103(フィルタA)及びフィルタ104(フィルタBU)の形態としては特に制限されない。フィルタA及びフィルタBUの形態としては、例えば、平面状、プリーツ状、らせん状、及び、中空円筒状等が挙げられる。中でも取り扱い性により優れる点で、典型的には、被精製液が透過可能な材料で形成された、及び/又は、被精製液が透過可能な構造である、芯材と、上記芯材に巻き回される形で芯材上に配置されたフィルタとを含有するフィルタ付きカートリッジ(フィルタカートリッジ)を構成しているのが好ましい。この場合、芯材の材料としては特に制限されないが、後述する耐腐食材料から形成されるのが好ましい。
なお、芯材はフィルタの構成要素ではない。
フィルタの配置の方法としては特に制限されないが、典型的には、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含み、入口と出口との間に少なくとも1つの流通路が形成された、図示しないハウジング内に配置されたフィルタユニットを構成しているのが好ましい。その場合、フィルタはハウジングの内の流通路を横切るように配置される。ハウジング内に形成された流通路は、流通路S1の一部をなし、被精製液は流通路S1を流通する際に、流通路S1を横切るように配置されたフィルタによってろ過される。
ハウジングの材料としては特に制限されないが、被精製液と適合できるあらゆる不浸透性の熱可塑性材料を含めて任意の適切な硬い不浸透性の材料が挙げられる。例えば、ハウジングはステンレス鋼などの金属、又はポリマーから製作できる。ある実施形態において、ハウジングはポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート等のポリマーである。
また、より優れた本発明の効果を含有するろ過装置が得られる点で、ハウジングの接液部の少なくとも一部、好ましくは接液部の表面積に対して90%、より好ましくは接液部の表面積に対して99%は、後述する耐腐食材料からなるのが好ましい。なお、本明細書において接液部とは、被精製液が接触する可能性のある部分(但し、フィルタ自体を除く)を意味し、ハウジング等のユニットの内壁等を意味する。
(フィルタBU)
フィルタBUは、流通路上において直列に配置されたフィルタである。フィルタBUは、流通路上においてフィルタAの上流側に、フィルタAと直列に配置されたフィルタである。
フィルタAとフィルタBUとは、異なるフィルタであるのが好ましい。なお、本明細書において、フィルタAと異なるフィルタとは、フィルタAと材料、細孔径、及び、細孔構造からなる群より選択される少なくとも1種が異なるフィルタを意味する。
中でもより優れた本発明の効果を含有するろ過装置が得られる点で、フィルタBUはフィルタAと細孔径、及び、材料からなる群より選択される少なくとも一方が異なるのが好ましく、少なくとも材料が異なるのが好ましい。
なお、本明細書においてフィルタAとフィルタBUの材料が異なるとは、それぞれのフィルタが含有する成分(材料成分)が異なる場合;フィルタが樹脂からなる場合に、表面処理の違いによって、フィルタの表面に配置された置換基の種類が異なる場合等が典型的には含まれる。
フィルタBUの細孔径としては、特に制限されず、ろ過装置に使用されるフィルタとして任意の細孔径を含有していればよい。中でもより優れた欠陥抑制性を含有する薬液が得られる点で、フィルタBUは、フィルタAより大きい細孔径を含有するのが好ましい。中でも、フィルタBUの細孔径は、200nm以下が好ましく、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。
本発明者らの検討によれば、流通路S1に上においてフィルタAの上流側に、細孔径が20nm以上のフィルタBUを配置したろ過装置を用いた場合、フィルタAがより目詰まりしにくく、フィルタAの寿命をより長くできることを知見している。その結果として、より優れた欠陥抑制性を含有する薬液を安定して提供できるろ過装置が得られる。
特に、ろ過装置が複数のフィルタBUを含有する場合、流通路における最も上流側に配置されたフィルタBUの細孔径としては、20nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、200nm以下が好ましい。流通路の最も上流側に配置されたフィルタBU(後述するフィルタCであってもよい)の細孔径が上記範囲内であると、フィルタの寿命がより向上し、結果として優れた欠陥抑制性を含有する薬液を安定して生産可能であり好ましい。
図1のろ過装置はフィルタBUを1つ含有しているが、本実施形態に係るろ過装置としては複数のフィルタBUを含有していてもよい。その場合、複数あるフィルタBUの細孔径の関係としては特に制限されないが、より優れた欠陥抑制性を含有する薬液が得られやすい点で、流通路上において最も上流に配置されたフィルタBUの細孔径が最大となるのが好ましい。このようにして、最上流のフィルタBUの下流に配置されたフィルタ(フィルタAを含む)の寿命をより長くでき、結果として、より優れた欠陥抑制性を含有する薬液を安定して提供できるろ過装置が得られる。
ろ過装置が含有する1つ又は複数のフィルタBUのうち、少なくとも1つのフィルタBUがイオン交換基を含有する樹脂を材料成分として含有する場合、被精製液中に含有される金属不純物(例えば、金属イオン等)とのより強い相互作用を含有するため、結果として、得られる薬液中における金属イオンの含有量が低減でき、得られる薬液はより優れたパターン幅の均一性能を含有する。
〔薬液の製造方法〕
本発明の実施形態に係る薬液の製造方法は、被精製液を精製して薬液を得る、薬液の製造方法であって、既に説明した本発明のフィルタ(本発明のフィルタを含有するろ過装置)を用いて被精製液をろ過して、薬液を得るろ過工程を含有する。
<被精製液>
本発明の実施形態に係る薬液の製造方法が適用できる被精製液としては特に制限されないが、溶剤を含有するのが好ましい。溶剤としては有機溶剤、及び、水等が挙げられ、有機溶剤を含有するのが好ましい。以下では、被精製液中に含有される溶剤の全質量に対して、有機溶剤の含有量(複数の有機溶剤を含有する場合にはその合計含有量)が50質量%を超える有機溶剤系被精製液と、被精製液中に含有される溶剤の全質量に対して、水の含有量が50質量%を超える水系被精製液とに分けて説明する。
(有機溶剤系被精製液)
・有機溶剤
有機溶剤系被精製液は、溶剤を含有し、被精製液に含有される溶媒の全質量に対して有機溶剤の含有量が50質量%超である。
有機溶剤系被精製液は、有機溶剤を含有する。有機溶剤系被精製液中における有機溶剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、有機溶剤系被精製液の全質量に対して、99.0質量%以上が好ましい。上限値としては特に制限されないが、一般に、99.99999質量%以下が好ましい。
有機溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の有機溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であるのが好ましい。
なお、本明細書において、有機溶剤とは、上記被精製液の全質量に対して、1成分あたり10000質量ppmを超えた含有量で含有される液状の有機化合物を意図する。つまり、本明細書においては、上記被精製液の全質量に対して10000質量ppmを超えて含有される液状の有機化合物は、有機溶剤に該当する。
なお、本明細書において液状とは、25℃、大気圧下において、液体であることを意味する。
有機溶剤系被精製液(又は製造される薬液)の体積抵抗率は、500,000,000Ωm以上でもよい。
有機溶剤系被精製液(又は製造される薬液)の体積抵抗率は、例えば、日置電気株式会社製体積抵抗計SME-8310又は超絶縁計SM-8220を用いて計測できる。
被精製液としての有機溶剤の種類は特に制限されず、公知の有機溶剤を使用できる。有機溶剤は、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を含有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル、ジアルキルスルホキシド、環状スルホン、ジアルキルエーテル、一価アルコール、グリコール、酢酸アルキルエステル、及び、N-アルキルピロリドン等が挙げられる。
また、有機溶剤としては、例えば、特開2016-57614号公報、特開2014-219664号公報、特開2016-138219号公報、及び、特開2015-135379号公報に記載の有機溶剤を用いてもよい。
有機溶剤は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、シクロヘキサノン、メトキシプロピオン酸メチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、4-メチル-2-ペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、シクロペンタノン、ジイソアミルエーテル(イソアミルエーテル)、酢酸イソアミル、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上が好ましい。
なお、被精製液中における有機溶剤の種類及び含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定できる。
被精製液としての有機溶剤は、例えば、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離が3~20MPa0.5(より好ましくは5~20MPa0.5)であるのも好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する場合は、少なくとも1種が上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たすのが好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する場合、各有機溶剤の含有量のモル比に基づいた、ハンセン溶解度パラメータの加重平均値が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たすのが好ましい。
例えば、薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、有機溶剤系被精製液が、実質的に上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤のみであるのも好ましい。有機溶剤系被精製液が、実質的に上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤のみであるとは、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤の含有量が、有機溶剤の全質量に対して99質量%以上(好ましくは99.9質量%以上)であることを言う。
また、例えば、有機溶剤系被精製液が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤と、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤との両方を含有する混合溶剤であるのも好ましい。
この場合、得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、有機溶剤系被精製液(混合溶剤)が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤を有機溶剤系被精製液の全質量に対して20~80質量%(好ましくは30~70質量%)含有し、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤を有機溶剤系被精製液の全質量に対して20~80質量%(好ましくは30~70質量%)含有するのが好ましい。
上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤の含有量と上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤の含有量が、それぞれ一定以上である場合、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤が所定範囲外の量(例えば、混合溶剤の全質量に対して1質量%以上20質量%未満又は80質量%超)である場合に比べて、薬液の、金属系素材及び有機系素材に対する親和性を適度な範囲に調整でき、本発明の効果がより優れると考えられている。
また、この場合、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤と上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤との合計含有量は、有機溶剤系被精製液の全質量に対して、99.0質量%以上が好ましい。上限値としては特に制限されないが、一般に、99.99999質量%以下が好ましい。
なお、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤における、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離は、0MPa0.5以上3MPa0.5未満(好ましくは0MPa0.5超3MPa0.5未満)、又は、20MPa0.5超(好ましくは20MPa0.5超50MPa0.5以下)である。
本明細書において、ハンセン溶解度パラメータとは、「Hansen Solubility Parameters:A Users Handbook, Second Edition」(第1-310頁、CRC Press、2007年発行)等に記載されたハンセン溶解度パラメータを意図する。すなわち、ハンセン溶解度パラメータは、溶解性を多次元のベクトル(分散項(δd)、双極子間項(δp)、及び、水素結合項(δh))で表し、これらの3つのパラメータは、ハンセン空間と呼ばれる三次元空間における点の座標と考えられる。
ハンセン溶解度パラメータの距離とは、2種の化合物のハンセン空間における距離であり、ハンセン溶解度パラメータの距離は以下の式によって求められる。
(Ra)=4(δd2-δd1)+(δp2-δp1)+(δh2-δh1)
Ra:第1の化合物と第2の化合物とのハンセン溶解度パラメータの距離(単位:MPa0.5
δd1:第1の化合物の分散項(単位:MPa0.5
δd2:第2の化合物の分散項(単位:MPa0.5
δp1:第1の化合物の双極子間項(単位:MPa0.5
δp2:第2の化合物の双極子間項(単位:MPa0.5
δh1:第1の化合物の水素結合項(単位:MPa0.5
δh2:第2の化合物の水素結合項(単位:MPa0.5
本明細書において、化合物のハンセン溶解度パラメータは、具体的には、HSPiP(Hansen Solubility Parameter in Practice)を用いて計算する。
・その他の成分
被精製液は、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、無機物(金属イオン、金属粒子、及び、金属酸化物粒子等)、樹脂、樹脂以外の有機物、及び、水等が挙げられる。
・・無機物
被精製液は、無機物を含有してもよい。無機物としては特に制限されず、金属イオン、及び、金属含有粒子等が挙げられる。
金属含有粒子は金属原子を含有していればよく、その形態は特に制限されない。例えば、金属原子の単体か、金属原子を含有する化合物(以下「金属化合物」ともいう。)、並びに、これらの複合体等が挙げられる。また、金属含有粒子は複数の金属原子を含有してもよい。
複合体としては特に制限されないが、金属原子の単体と、上記金属原子の単体の少なくとも一部を覆う金属化合物と、を含有するいわゆるコア-シェル型の粒子、金属原子と他の原子とを含む固溶体粒子、金属原子と他の原子とを含む共晶体粒子、金属原子の単体と金属化合物との凝集体粒子、種類の異なる金属化合物の凝集体粒子、及び、粒子表面から中心に向かって連続的又は断続的に組成が変化する金属化合物等が挙げられる。
金属化合物が含有する金属原子以外の原子としては特に制限されないが、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子、水素原子、硫黄原子、及び、燐原子等が挙げられる。
金属原子としては特に制限されないが、Al(アルミニウム)、B(ホウ素)、Ba(バリウム)、Ca(カルシウム)、Cd(カドミウム)、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Cu(銅)、Fe(鉄)、K(カリウム)、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、Na(ナトリウム)、Ni(ニッケル)、P(リン)、Pb(鉛)、Sb(アンチモン)、Si(ケイ素)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、及び、Zn(亜鉛)等が挙げられる。なお、金属含有粒子は、上記金属原子を1種単独で含有しても、2種以上を併せて含有してもよい。
金属含有粒子の粒子径は特に制限されないが、一般に、1~100nmである場合が多い。
無機物は、被精製液に添加されてもよいし、製造工程において意図せず被精製液に混合されてもよい。薬液の製造工程において意図せずに混合される場合としては例えば、無機物が、薬液の製造に用いる原料(例えば、有機溶剤)に含有されている場合、及び、薬液の製造工程で混合する(例えば、コンタミネーション)等が挙げられるが、上記に制限されない。
・・樹脂
被精製液は樹脂を含有してもよい。
上記薬液は更に樹脂を含有してもよい。樹脂としては、酸の作用により分解して極性基を生じる基を含有する樹脂Pがより好ましい。
上記樹脂Pとしては、酸の作用により有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解性が減少する樹脂である、後述する式(AI)で表される繰り返し単位を含有する樹脂がより好ましい。後述する式(AI)で表される繰り返し単位を含有する樹脂は、酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を含有する。
極性基としては、アルカリ可溶性基が挙げられる。アルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、フェノール性水酸基、及びスルホ基が挙げられる。
酸分解性基において極性基は酸で脱離する基(酸脱離性基)によって保護されている。酸脱離性基としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R36)(R37)(OR39)、及び、-C(R01)(R02)(OR39)等が挙げられる。
式中、R36~R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
以下、酸の作用により有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解性が減少する樹脂Pについて詳述する。
・・式(AI):酸分解性基を含有する繰り返し単位
樹脂Pは、式(AI)で表される繰り返し単位を含有するのが好ましい。
式(AI)において、
Xaは、水素原子又は置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Ra~Raは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)又はシクロアルキル基(単環又は多環)を表す。
Ra~Raの2つが結合して、シクロアルキル基(単環又は多環)を形成してもよい。
Xaにより表される、置換基を含有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、及び-CH-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基、又は1価の有機基を表す。
Xaは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基が好ましい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、-COO-Rt-基、及び、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH-基、-(CH-基、又は、-(CH-基がより好ましい。
Ra~Raのアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Ra~Raのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくはシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくはアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Ra~Raの2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、若しくはシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、若しくはアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Ra~Raの2つが結合して形成される上記シクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又はカルボニル基等のヘテロ原子を含有する基で置き換わっていてもよい。
式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Raがメチル基又はエチル基であり、RaとRaとが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を含有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシ基、及びアルコキシカルボニル基(炭素数2~6)等が挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
式(AI)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂P中の全繰り返し単位に対して、20~90モル%が好ましく、25~85モル%がより好ましく、30~80モル%が更に好ましい。
・・・ラクトン構造を含有する繰り返し単位
また、樹脂Pは、ラクトン構造を含有する繰り返し単位Qを含有するのが好ましい。
ラクトン構造を含有する繰り返し単位Qは、ラクトン構造を側鎖に含有しているのが好ましく、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーに由来する繰り返し単位であるのがより好ましい。
ラクトン構造を含有する繰り返し単位Qは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用していてもよいが、1種単独で使用するのが好ましい。
ラクトン構造を含有する繰り返し単位Qの含有量は、樹脂P中の全繰り返し単位に対して、3~80モル%が好ましく、3~60モル%がより好ましい。
ラクトン構造としては、5~7員環のラクトン構造が好ましく、5~7員環のラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環している構造がより好ましい。
ラクトン構造としては、下記式(LC1-1)~(LC1-17)のいずれかで表されるラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有するのが好ましい。ラクトン構造としては式(LC1-1)、式(LC1-4)、式(LC1-5)、又は式(LC1-8)で表されるラクトン構造が好ましく、式(LC1-4)で表されるラクトン構造がより好ましい。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb)を含有していてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び酸分解性基等が挙げられる。nは、0~4の整数を表す。nが2以上のとき、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
・・・フェノール性水酸基を含有する繰り返し単位
また、樹脂Pは、フェノール性水酸基を含有する繰り返し単位を含有していてもよい。
フェノール性水酸基を含有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(I)で表される繰り返し単位が挙げられる。
式中、
41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)におけるR41、R42及びR43のアルキル基としては、置換基を含有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以下のアルキル基が更に好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42及びR43のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。シクロアルキル基としては、置換基を含有していてもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などの炭素数3~8で単環型のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42及びR43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
一般式(I)におけるR41、R42及びR43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42及びR43におけるアルキル基と同様の基が好ましい。
上記各基における置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基等が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、置換基を含有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基及びアントラセニレン基などの炭素数6~18のアリーレン基、並びに、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール及びチアゾール等のヘテロ環を含む芳香環基が挙げられる。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n-1)個の任意の水素原子を除してなる基が挙げられる。
上記(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を含有していてもよい。
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基及び(n+1)価の芳香環基が含有し得る置換基としては、例えば、一般式(I)におけるR41、R42及びR43で挙げたアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基が挙げられる。
により表される-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、置換基を含有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基がより好ましい。
としては、単結合、-COO-又は-CONH-が好ましく、単結合又は-COO-がより好ましい。
におけるアルキレン基としては、置換基を含有していてもよい、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい。
Arとしては、置換基を含有していてもよい炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基又はビフェニレン環基がより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えているのが好ましい。即ち、Arは、ベンゼン環基であるのが好ましい。
フェノール性水酸基を含有する繰り返し単位の含有量は、樹脂P中の全繰り返し単位に対して、0~50モル%が好ましく、0~45モル%がより好ましく、0~40モル%が更に好ましい。
・・・極性基を含有する有機基を含有する繰り返し単位
樹脂Pは、極性基を含有する有機基を含有する繰り返し単位、特に、極性基で置換された脂環炭化水素構造を含有する繰り返し単位を更に含有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
極性基で置換された脂環炭化水素構造の脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基又はノルボルナン基が好ましい。極性基としては、水酸基又はシアノ基が好ましい。
樹脂Pが、極性基を含有する有機基を含有する繰り返し単位を含有する場合、その含有量は、樹脂P中の全繰り返し単位に対して、1~50モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましく、5~25モル%が更に好ましく、5~20モル%が特に好ましい。
・・・一般式(VI)で表される繰り返し単位
樹脂Pは、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を含有していてもよい。
一般式(VI)中、
61、R62及びR63は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R62はArと結合して環を形成していてもよく、その場合のR62は単結合又はアルキレン基を表す。
は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表す。R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、単結合又はアルキレン基を表す。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R62と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
は、n≧2の場合にはそれぞれ独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1~4の整数を表す。
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(VI-A)で表される構造が好ましい。
及びLは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキレン基とアリール基とを組み合わせた基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。
Q、M、Lの少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
上記一般式(VI)で表される繰り返し単位は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位であるのが好ましい。
一般式(3)において、
Arは、芳香環基を表す。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基又はヘテロ環基を表す。
は、単結合又は2価の連結基を表す。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
、M及びRの少なくとも二つが結合して環を形成してもよい。
Arが表す芳香環基は、上記一般式(VI)におけるnが1である場合の、上記一般式(VI)におけるArと同様であり、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
・・側鎖に珪素原子を含有する繰り返し単位
樹脂Pは、更に、側鎖に珪素原子を含有する繰り返し単位を含有していてもよい。側鎖に珪素原子を含有する繰り返し単位としては、例えば、珪素原子を含有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位、及び、珪素原子を含有するビニル系繰り返し単位などが挙げられる。側鎖に珪素原子を含有する繰り返し単位は、典型的には、側鎖に珪素原子を含有する基を含有する繰り返し単位であり、珪素原子を含有する基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリストリメチルシロキシシリル基、トリストリメチルシリルシリル基、メチルビストリメチルシリルシリル基、メチルビストリメチルシロキシシリル基、ジメチルトリメチルシリルシリル基、ジメチルトリメチルシロキシシリル基、及び、下記のような環状若しくは直鎖状ポリシロキサン、又はカゴ型あるいははしご型若しくはランダム型シルセスキオキサン構造などが挙げられる。式中、R、及び、Rはそれぞれ独立に、1価の置換基を表す。*は、結合手を表す。
上記の基を含有する繰り返し単位としては、例えば、上記の基を含有するアクリレート化合物又はメタクリレート化合物に由来する繰り返し単位、又は、上記の基とビニル基とを含有する化合物に由来する繰り返し単位が好ましい。
樹脂Pが、上記側鎖に珪素原子を含有する繰り返し単位を含有する場合、その含有量は、樹脂P中の全繰り返し単位に対して、1~30モル%が好ましく、5~25モル%がより好ましくは、5~20モル%が更に好ましい。
樹脂Pの重量平均分子量は、GPC(Gel permeation chromatography)法によりポリスチレン換算値として、1,000~200,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましく、5,000~15,000が更に好ましい。重量平均分子量を、1,000~200,000とすれば、耐熱性及びドライエッチング耐性の劣化を防げ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化したりすることを防げる。
分散度(分子量分布)は、通常1~5であり、1~3が好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.2~2.0が更に好ましい。
薬液中に含まれるその他の成分(例えば酸発生剤、塩基性化合物、クエンチャー、疎水性樹脂、界面活性剤、及び溶剤等)についてはいずれも公知の成分を使用できる。
(水系被精製液)
水系被精製液は、水系被精製液が含有する溶剤の全質量に対して、水を50質量%超含有し、51~95質量%が好ましい。
上記水は、特に限定されないが、半導体製造に使用される超純水を使用するのが好ましく、その超純水を更に精製し、無機陰イオン及び金属イオン等を低減させた水を使用するのがより好ましい。精製方法は特に限定されないが、ろ過膜又はイオン交換膜を用いた精製、並びに、蒸留による精製が好ましい。また、例えば、特開2007―254168号公報に記載されている方法により精製を行うのが好ましい。
・酸化剤
水系被精製液は、酸化剤を含有してもよい、酸化剤としては特に制限されず、公知の酸化剤が使用できる。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、及び鉄(III)塩等が挙げられる。
酸化剤の含有量としては特に制限されないが、水系被精製液の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、99.0質量%以下が好ましい。なお、酸化剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の酸化剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であるのが好ましい。
・無機酸
水系被精製液は無機酸を含有してもよい。無機酸としては特に制限されず、公知の無機酸を使用できる。無機酸としては例えば、硫酸、リン酸、及び、塩酸等が挙げられる。なお、無機酸は上述した酸化剤には含まれない。
水系被精製液中の無機酸の含有量としては特に制限されないが、水系被精製液の全質量に対して0.01質量%以上が好ましく、99.0質量%以下が好ましい。
無機酸は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の無機酸を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であるのが好ましい。
・防食剤
水系被精製液は、防食剤を含有してもよい。防食剤としては特に制限されず、公知の防食剤が使用できる。防食剤としては例えば、1,2,4-トリアゾール(TAZ)、5-アミノテトラゾール(ATA)、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、3-アミノ-1H-1,2,4トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、トリルトリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、ナフトトリアゾール、1H-テトラゾール-5-酢酸、2-メルカプトベンゾチアゾール(2-MBT)、1-フェニル-2-テトラゾリン-5-チオン、2-メルカプトベンゾイミダゾール(2-MBI)、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-メルカプトチアゾリン、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、チアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、ビスムチオールI、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、ベンゾチアゾール、リン酸トリトリル、インダゾール、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ホスフェート阻害剤、アミン類、ピラゾール類、プロパンチオール、シラン類、第2級アミン類、ベンゾヒドロキサム酸類、複素環式窒素阻害剤、アスコルビン酸、チオ尿素、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体類、尿酸、エチルキサントゲン酸カリウム、グリシン、ドデシルホスホン酸、イミノ二酢酸、ホウ酸、マロン酸、コハク酸、ニトリロ三酢酸、スルホラン、2,3,5-トリメチルピラジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、キノキサリン、アセチルピロール、ピリダジン、ヒスタジン(histadine)、ピラジン、グルタチオン(還元型)、システイン、シスチン、チオフェン、メルカプトピリジンN-オキシド、チアミンHCl、テトラエチルチウラムジスルフィド、2,5-ジメルカプト-1,3-チアジアゾールアスコルビン酸、アスコルビン酸、カテコール、t-ブチルカテコール、フェノール、及びピロガロールが挙げられる。
上記防食剤としては、ドデカン酸、パルミチン酸、2-エチルヘキサン酸、及びシクロヘキサン酸等の脂肪族カルボン酸;クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、グリコール酸、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、サリチル酸、スルフォサリチル酸、アントラニル酸、N-メチルアントラニル酸、3-アミノ-2-ナフトエ酸、1-アミノ-2-ナフトエ酸、2-アミノ-1-ナフトエ酸、1-アミノアントラキノン-2-カルボン酸、タンニン酸、及び没食子酸等のキレート能を含有するカルボン酸;等を用いてもよい。
また、上記防食剤としては、やし脂肪酸塩、ヒマシ硫酸化油塩、ラウリルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルサルフェート塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート塩、イソプロピルホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェート塩等のアニオン界面活性剤;オレイルアミン酢酸塩、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、アミドベタイン型活性剤、アラニン型活性剤、ラウリルイミノジプロピオン酸等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル等、ポリオキシアルキレン一級アルキルエーテル又はポリオキシアルキレン二級アルキルエーテルのノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油、ソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等のその他のポリオキアルキレン系のノニオン界面活性剤;オクチルステアレート、トリメチロールプロパントリデカノエート等の脂肪酸アルキルエステル;ポリオキシアルキレンブチルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、トリメチロールプロパントリス(ポリオキシアルキレン)エーテル等のポリエーテルポリオールを用いてもよい。
上記の市販品としては、例えばニューカルゲンFS-3PG(竹本油脂社製)、及びホステンHLP-1(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、防食剤としては、親水性ポリマーを用いてもよい。
親水性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール等のポリグリコール類、ポリグリコール類のアルキルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸等の多糖類、ポリメタクリル酸、及びポリアクリル酸等のカルボン酸含有ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、及びポリエチレンイミン等が挙げられる。そのような親水性ポリマーの具体例としては、特開2009-88243号公報0042~0044段落、特開2007-194261号公報0026段落に記載されている水溶性ポリマーが挙げられる。
また、防食剤としては、セリウム塩を用いてもよい。
セリウム塩としては特に制限されず、公知のセリウム塩を使用できる。
セリウム塩としては、例えば、3価のセリウム塩として、酢酸セリウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、シュウ酸セリウム、及び硫酸セリウム等が挙げられる。また、4価のセリウム塩として、硫酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、硝酸二アンモニウムセリウム、及び水酸化セリウム等が挙げられる。
防食剤は、置換、又は無置換のベンゾトリアゾールを含んでもよい。好適な置換型ベンゾトリアゾールには、これらに限定されないが、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、又は水酸基で置換されたベンゾトリアゾールが含まれる。置換型ベンゾトリアゾールには、1以上のアリール(例えば、フェニル)又はヘテロアリール基で融合された化合物も含まれる。
水系被精製液中の防食剤の含有量は、薬液の全質量に対して、0.01~5質量%となるよう、調整されるのが好ましい。防食剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の防食剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であるのが好ましい。
・有機溶剤
水系被精製液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては特に制限されないが、有機溶剤系被精製液が含有する有機溶剤として既に説明したとおりである。有機溶剤を含有する場合、水系被精製液が含有する溶媒の全質量に対して、有機溶剤の含有量は5~35質量%が好ましい。
<ろ過工程>
本実施形態に係る薬液の製造方法は、本発明のフィルタ(典型的には、本発明のフィルタを設置したろ過装置)を用いて、上記被精製液をろ過して、薬液を得るろ過工程を含有する。
上記ろ過装置における、各フィルタに対する被精製液の供給圧力としては特に制限されないが、一般に、0.00010~1.0MPaが好ましい。
中でも、より優れた欠陥抑制性を含有する薬液が得られる点で、供給圧力Pは、0.00050~0.090MPaが好ましく、0.0010~0.050MPaがより好ましく、0.0050~0.040MPaが更に好ましい。
また、ろ過圧力はろ過精度に影響を与えるため、ろ過時における圧力の脈動は可能な限り少ない方が好ましい。
ろ過速度は特に限定されないが、より優れた欠陥抑制性を含有する薬液が得られやすい点で、1.0L/分/m以上が好ましく、0.75L/分/m以上がより好ましく、0.6L/分/m以上が更に好ましい。
フィルタにはフィルタ性能(フィルタが壊れない)を保障する耐差圧が設定されており、この値が大きい場合にはろ過圧力を高めてろ過速度を高められる。つまり、上記ろ過速度上限は、通常、フィルタの耐差圧に依存するが、通常、10.0L/分/m以下が好ましい。
被精製液をフィルタに通す際の温度としては特に制限されないが、一般に、室温未満が好ましい。
なお、ろ過工程は、クリーンな環境下で実施するのが好ましい。具体的には米国連邦規格(Fed.Std.209E)のClass1000(ISO14644-1:2015では、Class6)を満たすクリーンルームで実施するのが好ましく、Class100(ISO14644-1:2015では、Class5)を満たすクリーンルームがより好ましく、Class10(ISO14644-1:2015では、Class4)を満たすクリーンルームが更に好ましく、Class1(ISO14644-1:2015では、Class3)又はそれ以上の清浄度(クラス2、又は、クラス1)を含有するクリーンルームが特に好ましい。
なお、後述する各工程も、上記クリーン環境下にて実施するのが好ましい。
また、ろ過装置が返送流通路を含有している場合、ろ過工程は循環ろ過工程であってもよい。循環ろ過工程とは、被精製液を少なくともフィルタAでろ過し、フィルタAでろ過した後の被精製液を流通路に対してフィルタAの上流に返送し、再度フィルタAでろ過する工程である。
循環ろ過の回数としては特に制限されないが、一般に2~10回が好ましい。なお、循環ろ過はフィルタAによるろ過を繰り返すよう、被精製液をフィルタAの上流に返送してもよいが、この際、フィルタAに加えてフィルタA以外のフィルタによるろ過も合わせ繰り返すよう、返送流通路を調整してもよい。
<その他の工程>
本実施形態に係る薬液の製造方法は、上記以外の工程を含有していてもよい。上記以外の工程としては、例えば、装置洗浄工程、及び、除電工程等が挙げられる。以下では、各工程について詳述する。
(装置洗浄工程)
装置洗浄工程は、ろ過工程の前に、ろ過装置の接液部を洗浄する工程である。ろ過工程の前にろ過装置の接液部を洗浄する方法としては特に制限されないが、以下では、フィルタがフィルタ付きカートリッジに含有されであり、上記フィルタ付きカートリッジが、流通路上に配置されたハウジング内に収納されるろ過装置を例として説明する。
装置洗浄工程は、ハウジングからフィルタ付きカートリッジが取り除かれた状態で洗浄液を用いてろ過装置の接液部を洗浄する工程A、及び、工程Aの後に、フィルタ付きカートリッジをハウジングに収納し、更に洗浄液を用いてろ過装置の接液部を洗浄する工程Bを含有するのが好ましい。
・工程A
工程Aは、ハウジングからフィルタ付きカートリッジが取り除かれた状態で、洗浄液を用いてろ過装置の接液部を洗浄する工程である。ハウジングからフィルタが取り除かれた状態で、とは、ハウジングからフィルタカートリッジを取り除くか、ハウジングにフィルタカートリッジを収納する前に、洗浄液を用いてろ過装置の接液部を洗浄することを意味する。
ハウジングからフィルタが取り除かれた状態における(以下「フィルタ未収納の」ともいう。)ろ過装置の接液部を、洗浄液を用いて洗浄する方法としては特に制限されない。流入部から洗浄液を導入し、流出部から回収する方法が挙げられる。
中でも、より優れた本発明の効果が得られる点で、洗浄液を用いてフィルタ未収納のろ過装置の接液部を洗浄する方法としては、フィルタ未収納のろ過装置の内部を洗浄液で満たす方法が挙げられる。フィルタ未収納のろ過装置の内部を洗浄液で満たして、フィルタ未収納のろ過装置の接液部が洗浄液と接触する。これにより、ろ過装置の接液部に付着している不純物が洗浄液へと移行(典型的には溶出)する。そして、洗浄後の洗浄液はろ過装置外に排出すればよい(典型的には流出部から排出すればよい)。
・洗浄液
洗浄液としては特に制限されず、公知の洗浄液を使用できる。中でもより優れた本発明の効果が得られる点で、洗浄液としては、水又は有機溶剤を主成分として含有するのが好ましく、有機溶剤を主成分として含有するのがより好ましい。本明細書において主成分とは、洗浄液の全質量に対して99.9質量%以上含有される成分を意味し、99.99質量%以上含有するのがより好ましい。
上記有機溶剤としては特に制限されず、例えば、薬液が含有する有機溶剤として既に説明した水、有機溶剤が使用できる。有機溶剤としては、より優れた本発明の効果が得られる点で、PGMEA、シクロヘキサノン、乳酸エチル、酢酸ブチル、MIBC(4-メチル-2-ペンタノール)、MMP(3-メチルメトキシプロピオネート)、MAK(2-ヘプタノン)、酢酸n-ペンチル、エチレングリコール、酢酸イソペンチル、PGME(プロピレングリコールモノエチルエーテル)、MEK(メチルエチルケトン)、1-ヘキサノール、及び、デカンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
・工程B
工程Bは、ハウジングにフィルタが収納された状態で、洗浄液を用いてろ過装置を洗浄する方法である。
洗浄液を用いてろ過装置を洗浄する方法としては、既に説明した工程Aにおける洗浄方法のほか、ろ過装置に洗浄液を通液する方法も使用できる。ろ過装置に洗浄液を通液する方法としては特に制限されないが、流入部から洗浄液を導入し、流出部から排出すればよい。なお、本工程で使用できる洗浄液としては特に制限されず、工程Aで説明した洗浄液を使用できる。
(除電工程)
除電工程は、被精製液を除電して、被精製液の帯電電位を低減させる工程である。除電方法としては特に制限されず、公知の除電方法を使用できる。除電方法としては、例えば、被精製液を導電性材料に接触させる方法が挙げられる。
被精製液を導電性材料に接触させる接触時間は、0.001~60秒が好ましく、0.001~1秒がより好ましく、0.01~0.1秒が更に好ましい。導電性材料としては、ステンレス鋼、金、白金、ダイヤモンド、及びグラッシーカーボン等が挙げられる。
被精製液を導電性材料に接触させる方法としては、例えば、導電性材料からなる接地されたメッシュを、流通路を横切るように配置し、ここに被精製液を流通させる方法等が挙げられる。
〔耐腐食材料〕
次に、耐腐食材料について説明する。これまで説明した本発明の実施形態に係るろ過装置、及び、精製装置は、その接液部の少なくとも一部が耐腐食材料で形成されているのが好ましく、接液部の90%以上が耐腐食材料で形成されているのがより好ましく、接液部の99%以上が耐腐食材料で形成されているのが更に好ましい。
接液部が耐腐食材料で形成されている状態としては特に制限されないが、典型的には各部材(例えば、これまで説明したタンク等)が耐腐食材料で形成されている状態、及び、各部材が、基材と、基材上に配置された被覆層とを含有し、上記被覆層が耐腐食材料で形成されている状態等が挙げられる。
耐腐食材料は、非金属材料、及び、電解研磨された金属材料である。上記非金属材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン-ポリプロピレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン-エチレン共重合体樹脂、三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂、及び、フッ化ビニル樹脂等が挙げられるが、これに制限されない。
上記金属材料としては、特に制限されないが、例えば、Cr及びNiの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料が挙げられ、中でも、30質量%以上がより好ましい。金属材料におけるCr及びNiの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、一般に90質量%以下が好ましい。
金属材料としては例えば、ステンレス鋼、及びNi-Cr合金等が挙げられる。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼が使用できる。中でも、Niを8質量%以上含有する合金が好ましく、Niを8質量%以上含有するオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及びSUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
Ni-Cr合金としては、特に制限されず、公知のNi-Cr合金が使用できる。中でも、Ni含有量が40~75質量%、Cr含有量が1~30質量%のNiCr合金が好ましい。
Ni-Cr合金としては、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及びインコネル(商品名、以下同じ)等が挙げられる。より具体的には、ハステロイC-276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ-C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、ハステロイC-22(Ni含有量61質量%、Cr含有量22質量%)等が挙げられる。
また、Ni-Cr合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、B、Si、W、Mo、Cu、及び、Co等を含有していてもよい。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、特開2015-227501号公報の0011~0014段落、及び、特開2008-264929号公報の0036~0042段落等に記載された方法が使用できる。
金属材料は、電解研磨により表面の不動態層におけるCrの含有量が、母相のCrの含有量よりも多くなっていると推測される。そのため、接液部が電解研磨された金属材料から形成された精製装置を用いると、被精製液中に金属原子を含有する金属不純物が流出しにくいと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていてもよい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われるのが好ましい。
〔薬液の用途〕
本発明のフィルタ(好ましくはフィルタを含有するろ過装置)を用いて製造される薬液は半導体基板の製造に用いられるのが好ましい。特に、ノード10nm以下の微細パターンを形成するため(例えば、極紫外線を用いたパターン形成を含む工程)に用いられるのがより好ましい。
言い換えれば、上記ろ過装置は、半導体基板の製造用の薬液の製造に用いられるのが好ましく、具体的には、リソグラフィー工程、エッチング工程、イオン注入工程、及び、剥離工程等を含有する半導体デバイスの製造工程において、各工程の終了後、又は、次の工程に移る前に、無機物、及び/又は、有機物を処理するために使用される薬液の製造用に用いられるのが好ましい。
上記ろ過装置は、具体的には現像液、リンス液、ウェハ洗浄液、ライン洗浄液(例えば配管洗浄液)、プリウェット液、ウェハリンス液、レジスト液、下層膜形成用液、上層膜形成用液、及び、ハードコート形成用液からなる群より選択される少なくとも1種(有機系被精製液を精製して得られる薬液)であるのが好ましく、他の形態としては、水系水性現像液、水性リンス液、剥離液、リムーバー、エッチング液、酸性洗浄液、及び、リン酸、リン酸-過酸化水素水混合液(SPM:Sulfuric acid-Hydrogen Peroxide Mixture)からなる群より選択される少なくとも1種(水系被精製液を精製して得られる薬液)の製造に用いられるのが好ましい。
また、本発明のフィルタ(好ましくはフィルタを含有するろ過装置)は、レジスト塗布前後の半導体基板のエッジエラインのリンスに用いられる薬液の製造にも使用ができる。
また、本発明のフィルタ(好ましくはフィルタを含有するろ過装置)は、レジスト液に含有される樹脂の希釈液、レジスト液に含有される溶剤の製造にも使用できる。
また、本発明のフィルタ(好ましくはフィルタを含有するろ過装置)は、半導体基板の製造用以外の、他の用途に用いられる薬液の製造にも使用でき、ポリイミド、センサー用レジスト、レンズ用レジスト等の現像液、及び、リンス液等の製造用としても使用できる。
また、本発明のフィルタ(好ましくはフィルタを含有するろ過装置)は、医療用途又は洗浄用途の溶媒の製造にも使用できる。特に、容器、配管、及び、基板(例えば、ウェハ、及び、ガラス等)等の洗浄に用いる薬液の製造に使用できる。
中でも、本発明のフィルタ(好ましくはフィルタを含有するろ過装置)は、パターン形成における、プリウェット液、現像液、リンス液、及び、これらの液を移送する装置を洗浄する配管洗浄液からなる群より選択される少なくとも1種の製造に使用するのが好ましい。
製造される薬液が有機溶剤を主成分とする場合(例えば、有機溶剤の含有量が薬液の全質量に対して80質量%以上(好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.9質量%以上。上限は例えば100質量%以下)の場合)、薬液は、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離が3~20MPa0.5(より好ましくは5~20MPa0.5)を含むのが好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する場合は、少なくとも1種が上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たすのが好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する場合、各有機溶剤の含有量のモル比に基づいた、ハンセン溶解度パラメータの加重平均値が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たすのが好ましい。
なお上記有機溶剤としては、例えば、被精製液としての有機溶剤として挙げた有機溶剤が同様に挙げられる。
例えば、欠陥抑制性がより優れる点から、薬液が、実質的に上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤のみであるのも好ましい。薬液が、実質的に上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤のみであるとは、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤の含有量が、有機溶剤の全質量に対して99質量%以上(好ましくは99.9質量%以上)であることを言う。
また、例えば、薬液が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤と、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤との両方を含有する混合溶剤であるのも好ましい。
この場合、得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液(混合溶剤)が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤を薬液の全質量に対して20~80質量%(好ましくは30~70質量%)含有し、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤を薬液の全質量に対して20~80質量%(好ましくは30~70質量%)含有するのが好ましい。
上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤の含有量と上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤の含有量が、それぞれ一定以上である場合、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤が所定範囲外の量(例えば、混合溶剤の全質量に対して1質量%以上20質量%未満又は80質量%超)である場合に比べて、薬液の、金属系素材及び有機系素材に対する親和性を適度な範囲に調整でき、本発明の効果がより優れると考えられている。
また、この場合、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤と上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤との合計含有量は、薬液の全質量に対して、99.0質量%以上が好ましい。上限値としては特に制限されないが、一般に、99.99999質量%以下が好ましい。
なお、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤における、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離は、0MPa0.5以上3MPa0.5未満(好ましくは0MPa0.5超3MPa0.5未満)、又は、20MPa0.5超(好ましくは20MPa0.5超50MPa0.5以下)である。
〔薬液収容体〕
上記ろ過装置により製造された薬液は、容器に収容されて使用時まで保管されてもよい。このような容器と、容器に収容された薬液とをあわせて薬液収容体という。保管された薬液収容体からは、薬液が取り出され使用される。
上記薬液を保管する容器としては、半導体基板製造用に、容器内のクリーン度が高く、薬液を保管中に、薬液に対して不純物の溶出しにくい容器が好ましい。
使用可能な容器としては、特に制限されないが、例えば、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。
容器としては、薬液への不純物混入(コンタミ)防止を目的として、容器内壁を6種の樹脂による6層構造とした多層ボトル、又は、6種の樹脂による7層構造とした多層ボトルを使用するのも好ましい。これらの容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
この容器の接液部の少なくとも一部は、既に説明した耐腐食材料からなるのが好ましい。より優れた本発明の効果が得られる点で、接液部の面積の90%以上が上記材料からなるのが好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
また、実施例及び比較例の薬液の調製にあたって、容器の取り扱い、薬液の調製、充填、保管及び分析測定は、全てISOクラス2又は1を満たすレベルのクリーンルームで行った。測定精度向上のため、有機化合物の含有量の測定、及び、金属成分の含有量の測定においては、通常の測定で検出限界以下の成分の測定を行う際には、薬液を濃縮して測定を行い、濃縮前の溶液の濃度に換算して含有量を算出した。
特に記載のない場合、試験に供した機器等には、事前に十分な洗浄処理が施されている。
[フィルタの作製]
〔フィルタの梱包材〕
以下に示す梱包材で梱包された被処理フィルタを入手した。
被処理フィルタの梱包材に関する略号は以下の通りである。
・HDPE:被処理フィルタに対する接触部分がHDPE(高密度ポリエチレン)であるHDPE製の袋
・フッ素系樹脂:被処理フィルタに対する接触部分がフッ素樹脂であるフッ素樹脂製の袋
・EP-SUS:被処理フィルタに対する接触部分が電解研磨されたステンレス鋼であるステンレス鋼製のカプセル
〔被処理フィルタ〕
以下に示す材料を含むろ過層及び支持層を含有するフィルタ本体、を含有するフィルタを被処理フィルタとして前処理に供した。
各フィルタ(被処理フィルタ)のフィルタ本体の材料に関する略号は以下のとおりである。
・PP:ポリプロピレン
・IEX(PTFE):陽イオン交換基を導入したPTFE
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
・Nylon:ナイロン
・UPE:超高分子量ポリエチレン
・PFA:パーフルオロアルコキシアルカン
・Polyester:ポリエステル
・グラフトNylon:ナイロンをベースとするポリマーでグラフト化したナイロン
・A1:
まず、予備架橋剤(pre-crosslinker)として式CHCH-C12-CHCHのビス-オレフィン、連鎖移動剤としてI-C-I、及び、ラジカル開始剤として過硫酸カリウムを用いて、TFEと式CF=CF-O-CFCF-SOFのビニルエーテルとを乳化重合させた。
乳化重合の条件は特開2012-522882号公報の0121段落の表2の条件に従い、上記表2のコポリマーC1を合成した。
次に、特開2012-522882号公報の0123~0125段落(特に0123段落の表3)に記載されたS1のフルオロカーボン組成物を調製した。
次に、上記フルオロカーボン組成物について、イオノマーの含有量が、1.3質量%となるよう調整した。なお、この調製後のフルオロカーボン組成物は、架橋剤及びラジカル開始剤を含有する。この調製後のフルオロカーボン組成物を用いて、PTFE製の多孔質基材の表面に被覆層を形成した膜。
・A2:特開2015-61727号公報の0058段落の記載を参照し、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の中空繊維を作製し、その繊維を用いて作成した膜。
・A3:ポリテトラフルオロエチレン製の多孔質基材と、上記多孔質基材の表面に結合したスルホン酸基とを含有する第1層と、上記第1層上に配置され、ポリテトラフルオロエチレン製の多孔質基材と、上記多孔質基材の表面に結合したアミド基とを含有する第2層と、を含有する膜。
・アニオン交換基:特表2017-536232号公報の0099段落の記載を参照に、グラフト化された超高分子量ポリエチレン膜(アニオン交換基として、4級アンモニウム基を含有する)。
この膜は、非対称多孔性膜である。
・カチオン交換基:特表2017-536232号公報の0130~0132段落の記載を参照にグラフト化された超高分子量ポリエチレン膜(カチオン交換基として、スルホン酸基を含有する)。
この膜は、非対称多孔性膜である。
・中性グラフトUPE1:特表2017-536232号公報の0058~0059段落の記載を参照して、グラフト化された超高分子量ポリエチレン膜(中性基として、ヒドロキシメチルアクリルアミドに由来するヒドロキシ基を含有している)。
この膜は、非対称多孔性膜である。
・中性グラフトUPE2:特表2017-536232号公報の0058~0059段落において、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウムモノマーを用いなかったこと以外は上記と同様にして、超高分子量ポリエチレン膜(中性基として、ヒドロキシメチルアクリルアミドに由来するヒドロキシ基を含有している)。
この膜は、非対称多孔性膜である。
・PFSA/PTFE:市販品のEntegris, inc., 製Fluoroguard ATを、0.25%のPFSA溶液(アクイヴィオンPFSA 24:D83-24B Solvay Plastics)をメタノール水溶媒中で調製したポリマー液へ十分濡れるまで浸漬した後、水切りし、その後乾燥させて、超純水を用いて24時間洗浄したもの。
・PTFE-a1:
特開2016-194038号公報の0124段落及び0125段落の記載を参考に、PTFE多孔質膜の表面に、ポリ(M8-b-NPF6)の被覆層を形成した膜。
細孔径は、ポリ(M8-b-NPF6)の被覆量により調整した。
なお、PTFE-1の被覆層を形成する樹脂は、親水性基としてポリオキシアルキレン基を含有する。
・PTFE-a2:
特開2016-194038号公報の0023段落に記載されたポリ(M8-b-NPF6)-S(CH)SONaを合成した。具体的には、特開2016-194038号公報の0103~0109段落の記載を参考に上記コポリマーを合成した。合成したコポリマーを用いて、PTFEa-1と同様の方法にて製造した被覆層を含有する多孔質PTFE膜。
なお、PTFE-2の被覆層を形成する樹脂は、親水性基として、ポリオキシアルキレン基、及び、スルホン酸(塩)基を含有する。
・PTFE-a3:
特開2016-194038号公報の0023段落に記載されたポリ(M8-b-NPF6)-S-CHCOOHを合成した。具体的には、特開2016-194038号公報の0103~0109段落の記載を参考に上記コポリマーを合成した。合成したコポリマーを用いて、PTFE-a1と同様の方法にて製造した被覆層を含有する多孔質PTFE膜。
なお、PTFE-a3の被覆層を形成する樹脂は、親水性基としてポリオキシアルキレン基、及び、カルボン酸(塩)基を含有する。
・PTFE-a4:
特開2016-199733号公報の0014段落に記載された、ポリ(NTEG-b-NPF6)/チオグリセロールを合成した。具体的には、特開2016-199733号公報の0106~0108段落の記載を参考に上記コポリマーを合成した。合成したコポリマーを用いて、PTFE-a1と同様の方法にて製造した被覆層を含有する多孔質PTFE膜。
なお、PTFE-a4の被覆層を形成する樹脂は、親水性基としてポリオキシアルキレン基、及び、チオエーテル基と水酸基とを含有する基を含有する。
・PTFE-b1:
撹拌子を備えた50ml丸底フラスコで、第二世代グラブス触媒(3.0mg、0.004mmol)、2-ブテン-1,4-ジオール(10.0mg、0.12mmol)、及び1,5-シクロオクタジエン(490mg、4.54mmol)を混合させて、アルゴンで5分間脱気し、40℃のオイルバスへ移した。1時間加熱し続け、残りの1,5-シクロオクタジエン(4.5mg、4.2mmol)のDCM5ml溶液を混合物へ添加し、さらに6時間加熱し続けた。ヒドロキシル末端ポリマー(PCOD)を、メタノール中の沈殿によって、単離した。H-NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)5.3~5.5(s,広幅,1H)、1.75~2.5(s,広幅)。
上記のPCODホモポリマーを、紫外線照射の下、光開始剤の存在下で、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデカンチオールで後官能化させて、フッ素化PCODを得た。
多孔質PTFE膜は、フッ素化PCOD(1~10%質量濃度)THF溶液、光開始剤(Irgacure、1~15質量%)、3-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩(1~15質量%、均一なTHF溶液を得るまで、THFと希塩酸(1規定)の水溶液で中和させる)を含有する溶液に膜を浸漬して、チオールエン反応を介して改質された、フッ素化PCODで被覆されており、膜は、UV照射(300~480nm、150~250ミリワット、60秒~180秒)を用いて、この混合物と共に架橋結合される。次いで、水で洗浄し、100℃で10分間乾燥させて得られた膜。
上記の方法により得られたPTFE-b1は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、PCODを主鎖として、吸着性基としてチオエーテル基を含有する基(-SCHCH(CFCF)を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b2:
特開2017-002273号公報の0018~0032段落の記載を参照して、メルカプト酢酸とアリル基とのチオールエン反応によりカルボン酸基を側鎖に導入した被覆性樹脂を得た。更に、PTFE多孔質膜上に特開2017-002273号公報の0070~0071段落の記載を参照して上記樹脂による被覆層を形成し、得られた膜。
上記の方法により得られたPTFE-b2は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、式(I)のコポリマーであって、吸着性基としてチオエーテル基、及び、カルボン酸基を含有する基(-SCHCOOH)を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
式(I)のコポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり、Rfはパーフルオロ置換基であり、Rhは吸着性基であり、Raはメチル基又はエチル基であり、m及びnは独立して10~1000であり、Xはアルキル基であり、Yは反応性官能基である。
・PTFE-b3:
特開2017-002273号公報の0018~0032段落の記載を参照して、メルカプトエチルジエチルアミンとアリル基とのチオールエン反応によりアミノエチル基を導入後、臭化エチルによる4級化反応により4級アンモニウム基を側鎖に導入した被覆性樹脂を得た。更に、PTFE多孔質膜上に特開2017-002273号公報の0070~0071段落の記載を参照して上記樹脂による被覆層を形成し、得られた膜。
上記の方法により得られたPTFE-b3は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、式(I)のコポリマーであって、吸着性基としてチオエーテル基、及び、4級アンモニウム基を含有する基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b4:
特開2017-002273号公報の0018~0032段落の記載を参照して、2エチルヘキシルチオプロピルメルカプタンとアリル基とのチオールエン反応によりチオエーテル基を導入した被覆性樹脂を得た。PTFE多孔質膜上に特開2017-002273号公報の0070~0071段落の記載を参照して上記樹脂による被覆層を形成し、得られた膜。
上記の方法により得られたPTFE-b4は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、式(I)のコポリマーであって、吸着性基としてチオエーテル基を含有する基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b5:
特開2017-002273号公報の0018~0032段落の記載を参照して、トリプロピルオキシホスホリックオキシプロピルメルカプタンとアリル基とのチオールエン反応によりホスホリックオキシ基を導入した被覆性樹脂を得た。PTFE多孔質膜上に特開2017-002273号公報の0070~0071段落の記載を参照して上記樹脂による被覆層を形成し、得られた膜。
上記の方法により得られたPTFE-b5は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、式(I)のコポリマーであって、吸着性基としてチオエーテル基、及び、リン酸基を含有する基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b6:
特開2016-29146号公報の0068~0082段落の記載を参照して、ペルフルオロデカンチオールが結合されている、PFDT-PG-AGEにより被覆したPTFE多孔質膜。
上記の方法により得られたPTFE-b6は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、「PFDT-PG-AGE」の構造を含有するフッ素化ポリマーであって、吸着性基としてチオエーテル基を含有する基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b7:
特開2016-194040号公報の0085~0088段落の記載を参照して、ポリ(SZNB-b-NPF6)-2により被覆したPTFE多孔質膜。
なお、上記の方法により得られたPTFE-7は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、「ポリ(SZNB-b-NPF6)-2」の構造を含有するフッ素化ポリマーであって、吸着性基としてスルホン酸基、及び、4級アンモニウム基を含有する基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b8
特開2016-196625号公報の0110~0112段落の記載を参照して、ポリ(C2二酸-r-NPF6)を合成し、同0109段落の記載を参照して、PTFE多孔質膜上に被覆層を形成し、得られた膜。
なお、上記の方法により得られたPTFE-b8は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、「ポリ(C2二酸-r-NPF6)」の構造を含有し、吸着性基としてカルボン酸基、及び、オキシアルキレン基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・PTFE-b9:
特開2016-196625号公報の0120~0124段落の記載を参照して、ポリ(C4-r-NPF6-r-NHS)を合成し、同0109段落の記載を参照して、PTFE多孔質膜上に被覆層を形成し、得られた膜。
H-NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)6(s 広幅)、5.9~5.0(m 広幅)、5.1~4.6(m 広幅)、4.6~4.1(m 広幅)、4.0~3.0(m 広幅)、3.0~2.4(m 広幅)、2.3~1.4(m 広幅)、1.25(s 広幅)。
なお、上記の方法により得られたPTFE-9は、PTFE製の多孔質基材に、上記多孔質基材を覆うように配置された、「ポリ(C4-r-NPF6-r-NHS)」の構造を含有し、吸着性基としてチオエーテル基、及び、ジエステル基を含有する基を含有するコポリマーによる被覆層を含有していた。
・フィルタY1:
特開2017-68262号公報の0223、0234~0239段落の記載を参照して製造したポリイミド系樹脂を含有する多孔質膜。
使用する微粒子の粒径等を調整して、細孔径を制御し、並びに、焼成温度及び/又は再焼成温度等を調整して、イミド化率を制御した。イミド化率は1.85とした。細孔径は、後段に記載の表に示す。
・フィルタY2~Y6:
細孔径及びイミド化率が所望の値となるよう、使用する微粒子の粒径、並びに、焼成温度及び/又は再焼成温度等を調整したことを除いてはフィルタY1と同様の方法により作製した膜。
イミド化率は、フィルタY2から順に、1.82、1.60、1.93、1.68、0.88である。細孔径は、後段に記載の表に示す。
・R:
特表2016-538122号公報の0019~0027段落の記載を参照して製造した、ポリイミド系樹脂を含有する多孔質膜。
イミド化率は1.45であった。上記多孔質膜は、膜厚方向でイミド化率が異なる構造を含有していたが、多孔質膜全体の平均値として求めた。
・S:
特開2018-20301号公報の202~203段落の記載を参照して製造したポリイミド系樹脂を含有する多孔質膜。
製造した多孔質膜は、特開2018-20301号公報の実施例1として記載された膜いである。B値、及び、イミド化率は、それぞれ、8nm、1.43であった。
・T:
特開2018-20301号公報の202~203段落の記載を参照して製造したポリイミド系樹脂を含有する多孔質膜。
製造した多孔質膜は、特開2018-20301号公報の実施例2として記載された膜である。B値、及び、イミド化率は、それぞれ、10nm、1.54であった。
〔有機洗浄液〕
前処理に用いた有機洗浄液を以下に示す。有機洗浄液はいずれも高純度グレードを使用した。
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・IPA:イソプロパノール
・CyHe:シクロヘキサン
・nBA:酢酸ブチル
〔前処理〕
以下に示す洗浄方法で被処理フィルタの前処理を実施した。
なお、被処理フィルタは、フィルタの筒長が1インチとなるフィルタ付きカートリッジに含有される状態で前処理に供し、その後、後述する試験に供した。
<浸漬処理>
被処理フィルタを20リットルの有機洗浄液に浸漬させた。有機洗浄液の種類、液温、及び、浸漬期間は後段の表に示す。
<超音波処理>
被処理フィルタを20リットルの有機洗浄液(PGMEA)に浸漬させた状態で超音波処理を施した。超音波処理は1時間継続した。超音波出力は後段の表に示す。
<通液処理>
被処理フィルタを含有するフィルタ付きカートリッジが収納及び設置されたフィルタユニットに、有機洗浄液を通液させた。有機洗浄液の種類及び通液量は後段の表に示す。
前処理が2以上の処理を含有する場合は、浸漬処理、超音波処理、通液処理の順で、一つの処理が終わったら直ちに次の処理を実施した。
前処理を終えた後のフィルタ(フィルタ付きカートリッジ)は、後段に記載の[薬液の製造]の試験で使用するハウジングに収納した。
なお、最後に接触した有機洗浄液と、[薬液の製造]において使用した被精製液が異なる場合は、被精製液を400kg通液してから、[薬液の製造]の試験に供した。
〔分析〕
前処理を終えたフィルタの分析を行った。
なお、分析に当たっては、分析のための処理(溶出処理等)によってフィルタにおける特定有機化合物等の含有量が影響されることを回避するため、各フィルタは、後述する薬液の製造に供されるフィルタ以外に2本のフィルタを用意して、それぞれ、前処理を行う前の分析、及び、前処理を行った後の分析に供した。
具体的には、後段の表に示すフィルタ1を作製する際には、前処理を施して薬液の製造試験に供するために用いられる被処理フィルタと、同一の構成で同一機会に入手されて同一条件で流通及び保管されていたフィルタ(被処理フィルタ)を更に2本準備した。上記2本のフィルタの内の1本は、前処理を行う前に分析し、分析された特定有機化合物の含有量等を、フィルタ1が前処理を施される前に含有していた特定有機化合物の含有量等であるとした。また、上記2本のフィルタの内のもう1本は、フィルタ1と同様の前処理を施した後に分析し、分析された特定有機化合物の含有量等を、被処理フィルタに前処理を施して得られたフィルタ1が含有する特定有機化合物の含有量等であるとした。
<特定有機化合物>
各種フィルタにおける特定有機化合物の含有量は、明細書にて上述した通りの方法で測定した。
特定有機化合物として検出された化合物は以下のとおりである。
・一般式(I)で表される化合物
・一般式(II)で表される化合物
・一般式(III)で表される化合物
・一般式(IV)で表される化合物
・一般式(V)で表される化合物
・一般式(VI)で表される化合物
・一般式(VII)で表される化合物
・一般式(VIII)で表される化合物
・一般式(X)で表される化合物
一般式(X)に当てはめた場合、jが12~50となる化合物が、それぞれ検出された。
・一般式(XI)で表される化合物
一般式(XI)に当てはめた場合、kが12~50となる化合物が、それぞれ検出された。
・一般式(XII)で表される化合物
スクアレンが、検出された。
<特定金属成分>
各種フィルタ中の特定金属成分(特定金属イオン及び特定金属粒子)の含有量は、Agillent8900を用いて、明細書にて上述した通りの方法で測定した。
以下の表1に、前処理の条件、並びに、処理後のフィルタ中の特定有機化合物及び特定金属成分の含有量を示す。
[薬液の製造]
前処理を経たフィルタを4つ選択し、第1フィルタ~第4フィルタとした。流入部と、流出部との間に、第1フィルタ~第4フィルタを、この順で直列に配置したろ過装置を作製した。なお、各フィルタは、フィルタ付きカートリッジに含有された状態でハウジングに収納し、フィルタユニットとした。
上記ろ過装置を用いて被精製液を精製した。なお、以降で称する薬液の名称は、各実施例の番号と一致する。例えば、後段に記載する実施例A001において製造し、試験に供した薬液を、薬液A001とする。
〔被精製液〕
精製に供した被精製液を以下に示す。被精製液は、いずれも高純度グレードである。なお、括弧内の値は、各被精製液(有機溶剤)のエイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離(MPa0.5)である。
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(9.5)
・PGME:プロピレングリコールモノエチルエーテル(11.0)
・PGMEA/PGME(v/v=7/3):PGMEAとPGMEの7:3(体積基準)の混合物(10.2)
・PGMP:プロピレングリコールモノプロピルエーテル(10.6)
・MPM:メトキシプロピオン酸メチル(8.8)
・CHN:シクロヘキサノン(5.1)
・nBA:酢酸ブチル(4.6)
・γBL:γ-ブチロラクトン(8.5)
・MIBC:4-メチル-2-ペンタノール(12.1)
・iAA:酢酸イソアミル(6.0)
・酪酸ブチル(4.6)
・イソ酪酸イソブチル(3.6)
・イソアミルエーテル(2.1)
・ウンデカン(1.8)
・マロン酸ジメチル/イソアミルエーテル=9/1(マロン酸ジメチルとイソアミルエーテルの9:1(質量基準)の混合物)(9.4)
・マロン酸ジメチル/イソアミルエーテル=5/5(マロン酸ジメチルとイソアミルエーテルの5:5(質量基準)の混合物)(5.9)
・マロン酸ジメチル/イソアミルエーテル=1/9(マロン酸ジメチルとイソアミルエーテルの1:9(質量基準)の混合物)(2.7)
なお、マロン酸ジメチルが単独の場合のエイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離は、10.3MPa0.5である。
[試験]
〔プリウェット液、リンス液〕
以下に示す方法で、製造した薬液の、プリウェット液及びリンス液として使用した場合の欠陥抑制性を評価した。
まず、直径300mmのシリコン基板に薬液をスピン吐出し、基板を回転させながら、基板の表面に対して、各薬液を0.5cc吐出した。その後、基板をスピン乾燥した。次に、KLA-Tencor社製のウエハ検査装置「SP-5」を用いて、薬液塗布後の基板に存在する欠陥数を計測した。
次にEDAX(energy-dispersive X-ray spectroscopy)を用いて、このウエハの欠陥のうち、粒子状の異物を、金属を主成分とする「金属残渣物欠陥」と有機物を主成分とする「粒子状有機残渣物欠陥」とに分類してそれぞれ計測した。更に、非粒子状であるシミ状の欠陥を「シミ状欠陥」として計数した。
なお、金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、及び、シミ状残渣欠陥のいずれの評価でもC評価以上であれば、プリウェット液及びリンス液として好適に使用できる。
<金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、シミ状残渣欠陥>
A:対応する欠陥数が20個/ウエハ以下だった。
B:対応する欠陥数が20個/ウエハを超え、50個/ウエハ以下だった。
C:対応する欠陥数が50個/ウエハを超え、100個/ウエハ以下だった。
D:対応する欠陥数が100個/ウエハを超えた。
〔配管洗浄液〕
以下に示す方法で、製造した薬液の、配管洗浄液として使用した場合の欠陥性能抑制性を評価した。
購入直後の配管(接液部:PTFE製、φ:50mm、長さ:5m)に、評価対象の薬液5000mlを500ml/minで通液させて、配管の洗浄を行った。
次に、薬液A021(実施例A021の精製処理をして得られた薬液)をこの配管を通してウエハ上に吐出した点以外は、上述のプリウェット液又はリンス液としての性能の評価と同様の試験を行い、同様の基準で評価した。洗浄後の配管を通過した薬液A021が、プリウェット液又はリンス液として好適に使用できるのであれば、このような配管洗浄液をレジストプロセスに適用して機器の洗浄を行った場合に、欠陥発生を抑制できると判断できる。
〔現像液/リンス液〕
以下に示す方法で、製造した薬液を、現像液又はリンス液として使用した場合の欠陥性能抑制性を評価した。
≪試験1(ArF露光)≫
まず、以下に示す操作によりレジストパターンを形成した。
直径300mmのシリコン基板に有機反射防止膜形成用組成物ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。
塗布性の改良のため、反射防止膜を形成したシリコンウェハの反射防止膜側の表面にプリウェット液(薬液A021を使用した。)を滴下し、スピン塗布を実施した。
次いで、上記プリウェット工程後の反射防止膜上に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(下記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物1)を塗布し、100℃で、60秒間に亘ってプリベーク(PB)を行い、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物1)
酸分解性樹脂(下記式で表される樹脂(重量平均分子量(Mw):7500):各繰り返し単位に記載される数値はモル%を意味する。):100質量部
下記に示す光酸発生剤:8質量部
下記に示すクエンチャー:5質量部(質量比は、左から順に、0.1:0.3:0.3:0.2とした。)。なお、下記のクエンチャーのうち、ポリマータイプのクエンチャーは、重量平均分子量(Mw)が5000である。また、各繰り返し単位に記載される数値はモル比を意味する。
下記に示す疎水性樹脂:4質量部(質量比は、左から順に、0.5:0.5とした。)なお、下記の疎水性樹脂のうち、左側の疎水性樹脂は、重量平均分子量(Mw)は7000であり、右側の疎水性樹脂の重量平均分子量(Mw)は8000である。なお、各疎水性樹脂において、各繰り返し単位に記載される数値はモル比を意味する。
溶剤:
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):3質量部
シクロヘキサノン:600質量部
γ-BL(γ-ブチロラクトン):100質量部
レジスト膜を形成したウエハをArFエキシマレーザースキャナー(Numerical Aperture:0.75)を用い、25mJ/cmでパターン露光を行った。その後、120℃で60秒間加熱した。次いで、現像液で30秒間パドルして現像し、その後、リンス液でで30秒間パドルして現像した。次いで、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させて、ネガ型レジストパターンを形成した。その後、得られたネガ型パターンを、200℃で300秒間加熱した。上記の工程を経て、ライン/スペースが1:1のL/Sパターン(平均パターン幅:45nm)を得た。各パターンについて、現像性及び欠陥抑制性の評価を実施した。
ここで、現像液の評価を行う場合は、現像液は評価対象の現像液を使用し、リンス液は薬液B049(実施例B049の精製処理をして得られた薬液)を使用した。
リンス液の評価を行う場合は、現像液は薬液B018を使用し、リンス液は評価対象のリンス液を使用した。
<欠陥抑制性>
パターン欠陥装置(日立ハイテクノロジー社製 マルチパーパスSEM(Scanning Electron Microscope) “Inspago” RS6000シリーズ)を用いて、形成されたウエハのパターンを観測し、以下の欠陥の数を測定した。
・現像不良欠陥:パターンの底部までスペースが形成されていない欠陥
・残渣物欠陥:パターン上に異物が存在する欠陥
・均一性欠陥:パターン幅がターゲット(45nm)から3nm以上大きくなっている欠陥
なお、現像不良欠陥、残渣物欠陥、及び、均一性欠陥のいずれの評価でもC評価以上であれば、プリウェット液及びリンス液として好適に使用できる。
<現像不良欠陥、残渣物欠陥、均一性欠陥>
A:対応する欠陥数が5個/ウエハ以下だった。
B:対応する欠陥数が5個/ウエハを超え、10個/ウエハ以下だった。
C:対応する欠陥数が10個/ウエハを超え、30個/ウエハ以下だった。
D:対応する欠陥数が30個/ウエハを超えた。
≪試験2(EUV露光)≫
(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物1))
まず、レジスト組成物1を、各成分を以下の組成で混合して得た。
・樹脂(A-1):0.77g
・光酸発生剤(B-1):0.03g
・塩基性化合物(E-3):0.03g
・PGMEA(市販品、高純度グレード):67.5g
・乳酸エチル(市販品、高純度グレード):75g
・樹脂
樹脂としては、以下の樹脂を用いた。
・光酸発生剤
光酸発生剤としては、以下の化合物を用いた。
・塩基性化合物
塩基性化合物としては、以下の化合物を用いた。
(パターンの形成及び評価)
以下の方法により、薬液の残渣欠陥抑制性能、ブリッジ欠陥抑制性能、及び、シミ状欠陥抑制性能を評価した。なお、試験には、SOKUDO社製コータデベロッパ「RF3S」を用いた。
まず、直系300mmのシリコンウェハ上にAL412(Brewer Science社製)を塗布し、200℃で60秒間ベークを行い、膜厚20nmのレジスト下層膜を形成した。その上にプリウェット液(薬液A021)を塗布し、その上からレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ベーク(PB:Prebake)を行い、膜厚30nmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜をEUV露光機(ASML社製;NXE3350、NA0.33、Dipole 90°、アウターシグマ0.87、インナーシグマ0.35)を用い、反射型マスクを介して露光した。その後、85℃にて60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、スプレー法で現像液を30秒間噴霧して現像し、回転塗布法でリンス液を20秒間シリコンウェハ上に吐出してリンスした。続いて、2000rpmの回転数で40秒間シリコンウェハを回転させて、スペース幅が20nm、且つパターン線幅が15nmのラインアンドスペースのパターンを形成した。
ここで、現像液の評価を行う場合は、現像液は評価対象の現像液を使用し、リンス液は薬液B049(実施例B049の精製処理をして得られた薬液)を使用した。
リンス液の評価を行う場合は、現像液は薬液B018を使用し、リンス液は評価対象のリンス液を使用した。
上記のパターンをパターン欠陥装置(日立ハイテクノロジー社製 マルチパーパスSEM(Scanning Electron Microscope) “Inspago” RS6000シリーズ)で観測し、突起状の欠陥である「PLOT欠陥」と、パターン同士の架橋様の欠陥である「BRIDGE欠陥」と、膜状残渣の欠陥である「GEL欠陥」との数をそれぞれ計測して以下の基準により評価した。
(PLOT欠陥の評価基準)
A:欠陥数が20個/ウェハ以下だった。
B:欠陥数が21個/ウェハ以上、50個/ウェハ以下だった。
C:欠陥数が51個/ウェハ以上、100個/ウェハ以下だった。
D:欠陥数が101個/ウェハ以上だった。
(BRIDGE欠陥の評価基準)
A:欠陥数が20個/ウェハ以下だった。
B:欠陥数が21個/ウェハ以上、50個/ウェハ以下だった。
C:欠陥数が51個/ウェハ以上、100個/ウェハ以下だった。
D:欠陥数が101個/ウェハウェハ以上だった。
(GEL欠陥の評価基準)
A:欠陥数が20個/ウェハ以下だった。
B:欠陥数が21個/ウェハ以上、50個/ウェハ以下だった。
C:欠陥数が51個/ウェハ以上、100個/ウェハ以下だった。
D:欠陥数が101個/ウェハウェハ以上だった
[結果]
以下の表2、3に、精製処理に使用した被精製液及びフィルタの種類、並びに、得られた薬液を評価した結果を示す。
表2中、用途の欄に記載した「P/R」は、〔プリウェット液、リンス液〕の項目に示した方法で薬液をプリウェット液及びリンス液として使用した場合の欠陥抑制性の評価を行ったことを示す。「配管」は、〔配管洗浄液〕の項目に示した方法で配管洗浄液として使用した場合の欠陥抑制性の評価を行ったことを示す。
表3では、〔現像液/リンス液〕の項目に示した方法で、薬液を、現像液又はリンス液の用途で使用した場合の欠陥抑制性の評価を行った結果を示す。なお、表3a1と表3a2とは、それぞれ、同一の実施例における、被精製液の処理条件(使用した被精製液とフィルタ)と、製造された薬液を使用した試験結果を示す。表3a2と表3a2との関係も同様である。
表に示した結果より、本発明のフィルタを用いれば、欠陥抑制性に優れる薬液を製造できることが確認された。
更に、フィルタの細孔径が10nm以下である場合、製造される薬液の欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A003とA019との比較等)。
第1有機化合物の含有量が5.0質量ppt未満であるフィルタは、洗浄の過程及び環境中等において第2有機化合物を吸着しやすかった。そのため、第1有機化合物の含有量が5.0質量ppt以上であるフィルタを使用して製造した薬液は、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合におけるシミ状欠陥抑制性、及び、薬液を現像液として使用した場合における均一性欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A013と、実施例A003、A012、A018との比較。実施例B008と、実施例B001、B007、B013との比較等)。
第1有機化合物の合計含有量が、フィルタの質量に対して、5.0質量ppt以上、かつ、一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量が、フィルタの質量に対して、6500質量ppt以下であるフィルタを使用して製造した薬液は、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合におけるシミ状欠陥抑制性、及び、薬液を現像液として使用した場合における均一性欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A013と、実施例A003、A012、A018との比較。実施例A014、A015、A017と、実施例A012、A018との比較。実施例B008と、実施例B001、B007、B013との比較等。実施例B009、B010、B012と、実施例B007、B013との比較等)。
A群から選択される化合物の合計含有量が、フィルタの質量に対して、0.10~3200質量pptであるフィルタを使用して製造した薬液は、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合におけるシミ状欠陥抑制性、及び、薬液を現像液として使用した場合における均一性欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A013と、実施例A003、A012、A018との比較。実施例A014、A015、A017と、実施例A012、A018との比較。実施例B008と、実施例B001、B007、B013との比較等。実施例B009、B010、B012と、実施例B007、B013との比較等)。
B群から選択される化合物の合計含有量が、フィルタの質量に対して、1.0~1200質量pptであるフィルタを使用して製造した薬液は、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合におけるシミ状欠陥抑制性、及び、薬液を現像液として使用した場合における均一性欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A013と、実施例A003、A012、A018との比較。実施例A014、A015、A017と、実施例A012、A018との比較。実施例B008と、実施例B001、B007、B013との比較等。実施例B009、B010、B012と、実施例B007、B013との比較等)。
特定金属成分を、フィルタの質量に対して、0.10~5000質量ppt含有するフィルタを使用して製造した薬液は、欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A016の結果等)。
フィルタ本体が、イオン交換基を含有する場合、製造される薬液の欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例A023~A027の比較等)。
フィルタ本体が、フッ素系材料以外の材料からなる場合、製造される薬液の欠陥抑制性がより優れる傾向が確認された(実施例B018、019の結果等)。
製造される薬液が有機溶剤である薬液が、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離が3~20MPa0.5である有機溶剤である場合、本発明の効果(特に、EUV露光でパターンを形成し薬液をリンス液として使用した場合の欠陥抑制性)がより優れることが確認された(実施例B048、B051、B054、B057の比較等)。
また、製造される薬液が、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離が3~20MPa0.5である有機溶剤と、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離が3~20MPa0.5ではない有機溶剤とを含む場合、その混合比(質量比)は、20/80~80/20であれば、本発明の効果(特に、EUV露光でパターンを形成し薬液をリンス液として使用した場合の欠陥抑制性)がより優れることが確認された(実施例B060、B063、B066の結果等)。
更に、「フィルタ79、フィルタ80、フィルタ81、フィルタ82」の作製のために使用した被処理フィルタにおいて、梱包材がフッ素系樹脂であること以外は同様の被処理フィルタをそれぞれ用意し、「フィルタ79、フィルタ80、フィルタ81、フィルタ82」とそれぞれ同様の前処理を施して「フィルタ79b、フィルタ80b、フィルタ81b、フィルタ82b」を得た。
「フィルタ79b、フィルタ80b、フィルタ81b、フィルタ82b」における特定有機化合物及び特定金属化合物の含有量の分析結果は、「フィルタ79、フィルタ80、フィルタ81、フィルタ82」とそれぞれ同等であった。
得られた「フィルタ79b、フィルタ80b、フィルタ81b、フィルタ82b」を使用して、「フィルタ79、フィルタ80、フィルタ81、フィルタ82」を使用して行った試験と同様の試験を行ったところ、「フィルタ79、フィルタ80、フィルタ81、フィルタ82」を使用して行った試験と同等の結果が得られた。
このような結果と実施例B045、B046の結果等を比較して、被処理フィルタに対する接触部分がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である梱包材で梱包されている被処理フィルタに対して前処理を行って本発明のフィルタを得た場合、本発明の効果がより優れることが確認された。
100 ろ過装置
101 流入部
102 流出部
103、104 フィルタ
105 配管

Claims (30)

  1. ろ過用のフィルタであって、
    フィルタ本体と、
    一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケン、からなる群から選択される第1有機化合物を1種以上と、を含有し、
    特定方法にて測定された前記第1有機化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、0.10~10000質量pptであ
    更に、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Na、Ni、Zn、及び、Pbからなる群から選択される金属元素を含有する金属成分を、前記フィルタの質量に対して、0.10~5000質量ppt含有する、フィルタ。
    特定方法:前記フィルタを、還流条件で加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に1時間浸漬させ、前記フィルタ中の前記第1有機化合物を前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶出させる。前記フィルタを浸漬させる前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの量は、測定の対象となる前記フィルタの質量の10~30倍とする。溶出処理の前後でそれぞれの前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが含有する前記第1有機化合物の量と種類とをガスクロマトグラフィー質量分析法で測定し、溶出処理によって増加した、前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中のそれぞれの前記第1有機化合物の量を、測定対象の前記フィルタが含有していたそれぞれの前記第1有機化合物の量とし、その合計値を前記第1有機化合物の合計含有量とする。
    一般式(I)中、R1a及びR1cは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    1bは、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    一般式(II)中、Xは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。
    一般式(III)中、R3a~R3hは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    3bとR3eとは、互いに結合して環を形成してもよい。
    3bとR3eとが互いに結合して形成する基は、-O-(-Si(R3i-O-)-である。
    aは、1以上の整数を表す。
    3iは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    複数存在するR3iは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    一般式(IV)中、R4aは、-N(R4c)R4d又は-SR4eを表す。
    4c、R4d、及び、R4eは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    4bは、-NH-又は-S-を表す。
    一般式(V)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、式(A)で表される基を表す。
    Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R5aは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、前記アルキル基は、ヘテロ原子を含有していてもよい。前記ベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、前記アルキル基とR5aとは互いに結合して環を形成してもよい。また、前記ベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、前記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
    Yが式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R5aはそれぞれ独立にアルキル基を表す。
    一般式(X)中、jは12~50の整数を表す。2つのjは同一の値である
    一般式(XI)中、kは12~50の整数を表す。2つのkは同一の値である。
    nは30~50の整数を表す。
    mは20~90、かつ、2n-2以下の整数を表す。
  2. ろ過用のフィルタであって、
    フィルタ本体と、
    一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケン、からなる群から選択される第1有機化合物を1種以上と、を含有し、
    特定方法にて測定された前記第1有機化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、5.00~10000質量pptである、フィルタ。
    特定方法:前記フィルタを、還流条件で加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に1時間浸漬させ、前記フィルタ中の前記第1有機化合物を前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶出させる。前記フィルタを浸漬させる前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの量は、測定の対象となる前記フィルタの質量の10~30倍とする。溶出処理の前後でそれぞれの前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが含有する前記第1有機化合物の量と種類とをガスクロマトグラフィー質量分析法で測定し、溶出処理によって増加した、前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中のそれぞれの前記第1有機化合物の量を、測定対象の前記フィルタが含有していたそれぞれの前記第1有機化合物の量とし、その合計値を前記第1有機化合物の合計含有量とする。
    一般式(I)中、R 1a 及びR 1c は、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    1b は、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    一般式(II)中、Xは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。
    一般式(III)中、R 3a ~R 3h は、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    3b とR 3e とは、互いに結合して環を形成してもよい。
    3b とR 3e とが互いに結合して形成する基は、-O-(-Si(R 3i -O-) -である。
    aは、1以上の整数を表す。
    3i は、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    複数存在するR 3i は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    一般式(IV)中、R 4a は、-N(R 4c )R 4d 又は-SR 4e を表す。
    4c 、R 4d 、及び、R 4e は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    4b は、-NH-又は-S-を表す。
    一般式(V)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、式(A)で表される基を表す。
    Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R 5a は、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、前記アルキル基は、ヘテロ原子を含有していてもよい。前記ベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、前記アルキル基とR 5a とは互いに結合して環を形成してもよい。また、前記ベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、前記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
    Yが式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R 5a はそれぞれ独立にアルキル基を表す。
    一般式(X)中、jは12~50の整数を表す。2つのjは同一の値である
    一般式(XI)中、kは12~50の整数を表す。2つのkは同一の値である。
    nは30~50の整数を表す。
    mは20~90、かつ、2n-2以下の整数を表す。
  3. ろ過用のフィルタであって、
    フィルタ本体と、
    一般式(I)~(V)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケン、からなる群から選択される第1有機化合物を1種以上と、を含有し、
    特定方法にて測定された前記第1有機化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、0.10~10000質量pptであり、
    更に、一般式(VI)~(VIII)で表される化合物からなる群から選択される第2有機化合物の1種以上を含有する、フィルタ。
    特定方法:前記フィルタを、還流条件で加熱したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に1時間浸漬させ、前記フィルタ中の前記第1有機化合物を前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶出させる。前記フィルタを浸漬させる前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの量は、測定の対象となる前記フィルタの質量の10~30倍とする。溶出処理の前後でそれぞれの前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが含有する前記第1有機化合物の量と種類とをガスクロマトグラフィー質量分析法で測定し、溶出処理によって増加した、前記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中のそれぞれの前記第1有機化合物の量を、測定対象の前記フィルタが含有していたそれぞれの前記第1有機化合物の量とし、その合計値を前記第1有機化合物の合計含有量とする。
    一般式(I)中、R 1a 及びR 1c は、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    1b は、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    一般式(II)中、Xは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。
    一般式(III)中、R 3a ~R 3h は、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    3b とR 3e とは、互いに結合して環を形成してもよい。
    3b とR 3e とが互いに結合して形成する基は、-O-(-Si(R 3i -O-) -である。
    aは、1以上の整数を表す。
    3i は、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    複数存在するR 3i は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    一般式(IV)中、R 4a は、-N(R 4c )R 4d 又は-SR 4e を表す。
    4c 、R 4d 、及び、R 4e は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    4b は、-NH-又は-S-を表す。
    一般式(V)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、式(A)で表される基を表す。
    Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R 5a は、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、前記アルキル基は、ヘテロ原子を含有していてもよい。前記ベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、前記アルキル基とR 5a とは互いに結合して環を形成してもよい。また、前記ベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、前記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
    Yが式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R 5a はそれぞれ独立にアルキル基を表す。
    一般式(X)中、jは12~50の整数を表す。2つのjは同一の値である
    一般式(XI)中、kは12~50の整数を表す。2つのkは同一の値である。
    nは30~50の整数を表す。
    mは20~90、かつ、2n-2以下の整数を表す。
    6a は、置換基を含有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
    6b 及びR 6c は、それぞれ独立に、水素原子、-AL-O-R 6d 、-CO-R 6e 、又は、-C(OH)-R 6f を表す。
    ALは置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    6d 、R 6e 、又は、R 6f はそれぞれ独立に、置換基を表す。
    6d が複数存在する場合、複数存在するR 6d は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R 6e が複数存在する場合、複数存在するR 6e は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R 6f が複数存在する場合、複数存在するR 6f は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    6a で表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R 6d 、R 6e 、及び、R 6f からなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR 6d 同士、2つのR 6e 同士、又は、2つのR 6f 同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
    6a 、R 6b 、又は、R 6c のうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
    一般式(VII)中、R 7a 及びR 7b は、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    一般式(VIII)中、R 8a ~R 8c は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。
  4. 前記フィルタが、更に、一般式(VI)~(VIII)で表される化合物からなる群から選択される第2有機化合物の1種以上を含有する、請求項1又は2に記載のフィルタ。
    6aは、置換基を含有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
    6b及びR6cは、それぞれ独立に、水素原子、-AL-O-R6d、-CO-R6e、又は、-C(OH)-R6fを表す。
    ALは置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    6d、R6e、又は、R6fはそれぞれ独立に、置換基を表す。
    6dが複数存在する場合、複数存在するR6dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R6eが複数存在する場合、複数存在するR6eは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R6fが複数存在する場合、複数存在するR6fは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    6aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R6d、R6e、及び、R6fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR6d同士、2つのR6e同士、又は、2つのR6f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
    6a、R6b、又は、R6cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
    一般式(VII)中、R7a及びR7bは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    一般式(VIII)中、R8a~R8cは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。
  5. 前記第1有機化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、5.0質量ppt以上、かつ、
    一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、6500質量ppt以下である、請求項3又は4に記載のフィルタ。
  6. 前記フィルタが、
    一般式(I)~(VIII)で表される化合物からなるA群から選択される化合物の1種以上と、
    一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなるB群から選択される化合物の1種以上と、を含有する、請求項3~5のいずれか1項に記載のフィルタ。
  7. 前記A群から選択される化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、0.10~3200質量pptである、請求項に記載のフィルタ。
  8. 前記B群から選択される化合物の合計含有量が、前記フィルタの質量に対して、1.0~1200質量pptである、請求項又はに記載のフィルタ。
  9. 前記フィルタ本体がナイロンを含有し、
    前記A群から選択される化合物1種以上と、前記B群から選択される化合物2種以上と、を含有する、請求項のいずれか1項に記載のフィルタ。
  10. 一般式(X)で表されるアルカンと、一般式(XI)で表されるアルケンと、を含有し、
    一般式(X)で表されるアルカンの含有量A、一般式(XI)で表されるアルケンの含有量B、及び、一般式(XII)で表されるアルケンの含有量Cが、質量基準で、C<A、かつ、C<Bである、請求項に記載のフィルタ。
  11. 前記フィルタ本体がポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンを含有し、
    前記A群から選択される化合物1種以上と、一般式(X)で表されるアルカンと、を含有する、請求項のいずれか1項に記載のフィルタ。
  12. 前記フィルタの細孔径が、10nm以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルタ。
  13. 前記フィルタ本体が、イオン交換基を含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のフィルタ。
  14. 前記フィルタ本体がそれぞれ異なる材料からなる2以上の層を含有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のフィルタ。
  15. 前記フィルタ本体が、非対称多孔質膜を含有する、請求項1~14のいずれか1項に記載のフィルタ。
  16. 前記フィルタ本体が、フッ素系材料以外の材料からなる、請求項1~15のいずれか1項に記載のフィルタ。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法であって、
    一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される1種以上を含有する未処理のフィルタに対し、有機洗浄液を用いた前処理を施す工程を含有する、フィルタの製造方法。
    一般式(I)中、R1a及びR1cは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    1bは、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    一般式(II)中、Xは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。
    一般式(III)中、R3a~R3hは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    3bとR3eとは、互いに結合して環を形成してもよい。
    3bとR3eとが互いに結合して形成する基は、-O-(-Si(R3i-O-)-である。
    aは、1以上の整数を表す。
    3iは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    複数存在するR3iは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    一般式(IV)中、R4aは、-N(R4c)R4d又は-SR4eを表す。
    4c、R4d、及び、R4eは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    4bは、-NH-又は-S-を表す。
    一般式(V)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、式(A)で表される基を表す。
    Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R5aは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、前記アルキル基は、ヘテロ原子を含有していてもよい。前記ベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、前記アルキル基とR5aとは互いに結合して環を形成してもよい。また、前記ベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、前記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
    Yが式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R5aはそれぞれ独立にアルキル基を表す。
    一般式(X)中、jは12~50の整数を表す。2つのjは同一の値である
    一般式(XI)中、kは12~50の整数を表す。2つのkは同一の値である。
    nは30~50の整数を表す。
    mは20~90、かつ、2n-2以下の整数を表す。
    6aは、置換基を含有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
    6b及びR6cは、それぞれ独立に、水素原子、-AL-O-R6d、-CO-R6e、又は、-C(OH)-R6fを表す。
    ALは置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    6d、R6e、又は、R6fはそれぞれ独立に、置換基を表す。
    6dが複数存在する場合、複数存在するR6dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R6eが複数存在する場合、複数存在するR6eは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R6fが複数存在する場合、複数存在するR6fは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    6aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R6d、R6e、及び、R6fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR6d同士、2つのR6e同士、又は、2つのR6f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
    6a、R6b、又は、R6cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
    一般式(VII)中、R7a及びR7bは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    一般式(VIII)中、R8a~R8cは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。
  18. 前記有機洗浄液が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、4-メチル-2-ペンタノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含有する、請求項17に記載のフィルタの製造方法。
  19. 前記前処理が、前記未処理のフィルタを、前記有機洗浄液に3日以上浸漬させる工程を含有する、請求項17又は18に記載のフィルタの製造方法。
  20. 前記有機洗浄液に浸漬した前記未処理のフィルタに超音波処理をして前記前処理を施す工程を含有する、請求項1719のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
  21. 前記前処理が、中空円筒状である前記未処理のフィルタに、前記有機洗浄液を通液させる工程を含有し、
    前記通液をする前記有機洗浄液が、前記未処理のフィルタの筒長1インチに対して、10kg以上である、請求項1720のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
  22. 前記未処理のフィルタ中の、一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量に対する、
    前記前処理を施した後のフィルタ中の、一般式(I)~(VIII)で表される化合物、一般式(X)で表されるアルカン、並びに、一般式(XI)及び(XII)で表されるアルケンからなる群から選択される化合物の合計含有量の質量比が、0.5000以下となる、請求項1721のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
  23. 前記前処理を施される前の前記未処理のフィルタが、前記未処理のフィルタに対する接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である梱包材で梱包されている、請求項1722のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法。
  24. 流入部と、流出部と、
    2以上の請求項1~16のいずれか1項に記載のフィルタと、を含有し、
    2以上の前記フィルタは前記流入部及び前記流出部の間に直列に配置され、
    前記流入部から前記流出部にいたる流通路を含有する、被精製液を精製して、薬液を得るための、ろ過装置。
  25. 2以上の前記フィルタ中、細孔径が最大である前記フィルタの細孔径が10~200nmであり、細孔径が最小である前記フィルタの細孔径が1~10nmである、請求項24に記載のろ過装置。
  26. 請求項13に記載のフィルタを含有する、請求項24又は25に記載のろ過装置。
  27. 請求項10に記載のフィルタを含有する、請求項2426のいずれか1項に記載のろ過装置。
  28. 請求項11に記載のフィルタを含有する、請求項2427のいずれか1項に記載のろ過装置。
  29. 被精製液を精製して薬液を得る薬液の製造方法であって、
    請求項1~16のいずれか1項に記載のフィルタを用いて被精製液をろ過して薬液を得る工程を含有する、薬液の製造方法。
  30. 前記被精製液が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、シクロヘキサノン、メトキシプロピオン酸メチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、4-メチル-2-ペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、シクロペンタノン、ジイソアミルエーテル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2-ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上を含有する、請求項29に記載の薬液の製造方法。
JP2022171563A 2018-07-06 2022-10-26 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法 Active JP7358597B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023162410A JP2023174700A (ja) 2018-07-06 2023-09-26 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018129341 2018-07-06
JP2018129341 2018-07-06
JP2020529055A JPWO2020009207A1 (ja) 2018-07-06 2019-07-04 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法
PCT/JP2019/026728 WO2020009207A1 (ja) 2018-07-06 2019-07-04 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020529055A Division JPWO2020009207A1 (ja) 2018-07-06 2019-07-04 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023162410A Division JP2023174700A (ja) 2018-07-06 2023-09-26 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023015137A JP2023015137A (ja) 2023-01-31
JP7358597B2 true JP7358597B2 (ja) 2023-10-10

Family

ID=69059538

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020529055A Pending JPWO2020009207A1 (ja) 2018-07-06 2019-07-04 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法
JP2022171563A Active JP7358597B2 (ja) 2018-07-06 2022-10-26 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法
JP2023162410A Pending JP2023174700A (ja) 2018-07-06 2023-09-26 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020529055A Pending JPWO2020009207A1 (ja) 2018-07-06 2019-07-04 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023162410A Pending JP2023174700A (ja) 2018-07-06 2023-09-26 フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (3) JPWO2020009207A1 (ja)
WO (1) WO2020009207A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW202235605A (zh) * 2020-11-17 2022-09-16 日商東京應化工業股份有限公司 膜洗淨液及膜之洗淨方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000516133A (ja) 1996-07-30 2000-12-05 キュノ インコーポレーテッド フィルターシート及び該フィルターシート使用のホトレジスト組成物精製法
JP2010167384A (ja) 2009-01-26 2010-08-05 Toyo Roshi Kaisha Ltd 液体濾過用カートリッジフィルター
JP2010234344A (ja) 2009-03-31 2010-10-21 Kitz Microfilter Corp 中空糸膜モジュールとその製造方法
JP2011072859A (ja) 2009-09-29 2011-04-14 Kurita Water Ind Ltd ろ過膜の洗浄方法および洗浄剤
JP2012183501A (ja) 2011-03-07 2012-09-27 Kitz Microfilter Corp ナイロン中空糸膜モジュール及びその製造方法
WO2018043697A1 (ja) 2016-09-02 2018-03-08 富士フイルム株式会社 有機溶剤の精製方法および有機溶剤の精製装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0696101B2 (ja) * 1984-12-24 1994-11-30 倉敷紡績株式会社 フイルタ−エレメントとその製法
JP4998858B2 (ja) * 2008-09-04 2012-08-15 住友電気工業株式会社 フッ素樹脂多孔膜、その製造方法及びフィルター
JP2014219506A (ja) * 2013-05-07 2014-11-20 信越化学工業株式会社 レジスト組成物の製造方法
JP2016073922A (ja) * 2014-10-07 2016-05-12 信越化学工業株式会社 有機溶剤の精製装置
JP2016201426A (ja) * 2015-04-08 2016-12-01 信越化学工業株式会社 リソグラフィー用塗布膜の形成方法
US20190062952A1 (en) * 2016-03-11 2019-02-28 Es Fibervisions Co., Ltd. Low-elution polyethylene-based fibers and nonwoven fabric using same

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000516133A (ja) 1996-07-30 2000-12-05 キュノ インコーポレーテッド フィルターシート及び該フィルターシート使用のホトレジスト組成物精製法
JP2010167384A (ja) 2009-01-26 2010-08-05 Toyo Roshi Kaisha Ltd 液体濾過用カートリッジフィルター
JP2010234344A (ja) 2009-03-31 2010-10-21 Kitz Microfilter Corp 中空糸膜モジュールとその製造方法
JP2011072859A (ja) 2009-09-29 2011-04-14 Kurita Water Ind Ltd ろ過膜の洗浄方法および洗浄剤
JP2012183501A (ja) 2011-03-07 2012-09-27 Kitz Microfilter Corp ナイロン中空糸膜モジュール及びその製造方法
WO2018043697A1 (ja) 2016-09-02 2018-03-08 富士フイルム株式会社 有機溶剤の精製方法および有機溶剤の精製装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2020009207A1 (ja) 2021-07-15
JP2023174700A (ja) 2023-12-08
TW202005698A (zh) 2020-02-01
WO2020009207A1 (ja) 2020-01-09
JP2023015137A (ja) 2023-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111787995B (zh) 过滤装置、纯化装置及药液的制造方法
US11541354B2 (en) Filtration device, refining device, and production method for liquid medicine
JPWO2019151141A1 (ja) 処理液、及び、処理方法
JP2023174700A (ja) フィルタ、フィルタの製造方法、ろ過装置、薬液の製造方法
JP7386925B2 (ja) ろ過装置、精製装置、薬液の製造方法
US11666864B2 (en) Filtering device, purification device, and method for manufacturing chemical liquid
JP2022176197A (ja) 薬液、薬液収容体、キット、半導体チップの製造方法
TWI840381B (zh) 過濾器、過濾器的製造方法、過濾裝置、藥液的製造方法
KR102519818B1 (ko) 약액, 약액 수용체
US11759749B2 (en) Filtering device, purification device, and method for manufacturing chemical liquid

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221212

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230823

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7358597

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150