JPWO2020013119A1 - 薬液、薬液収容体、キット、半導体チップの製造方法 - Google Patents

薬液、薬液収容体、キット、半導体チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、欠陥抑制性に優れる薬液、薬液収容体、キット、及び、半導体チップの製造方法を提供する。本発明の薬液は、有機溶剤を含有する薬液であって、一般式(I)〜一般式(V)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第1有機化合物を含有し、第1有機化合物の合計含有量が、薬液全質量に対して、0.01〜100000質量pptである。

Description

本発明は、薬液、薬液収容体、キット、及び、半導体チップの製造方法に関する。
フォトリソグラフィを含む配線形成工程による半導体デバイスの製造の際、プリウェット液、レジスト液(レジスト膜形成用組成物)、現像液、リンス液、剥離液、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)スラリー、及び、CMP後の洗浄液等として、又は、それらの希釈液として、水及び/又は有機溶剤を含有する薬液が用いられている。
近年、フォトリソグラフィ技術の進歩によりパターンの微細化が進んでいる。パターンの微細化の手法としては、露光光源を短波長化する手法が用いられ、露光光源として、従来用いられていた紫外線、KrFエキシマレーザー、及び、ArFエキシマレーザー等に代えて、更に短波長であるEUV(極紫外線)等を用いたパターン形成が試みられている。
形成されるパターンの微細化に伴い、このプロセスに用いる上記の薬液には更なる欠陥抑制性が求められている。
従来のパターン形成に用いられる薬液として、特許文献1には、「パターン形成技術において、パーティクルの発生を低減可能な、化学増幅型レジスト膜のパターニング用有機系処理液の製造方法(段落[0010])」が開示されている。
特開2015−84122号公報
本発明者らは、上記製造方法により製造されたパターニング用有機系処理液(薬液)について検討した結果、欠陥抑制性について改善の余地を見出した。より具体的には、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合においては、金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、及び、シミ状残渣欠陥等の欠陥の抑制について改善の余地があった。また、薬液をパターンの現像液として使用した場合においては、現像不良欠陥、残渣物欠陥、及び、均一性欠陥等の欠陥の抑制について改善の余地があった。
本発明は、上記のような欠陥抑制性に優れる薬液の提供を課題とする。
また、本発明は、薬液収容体、キット、及び、半導体チップの製造方法の提供も課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できるのを見出した。
(1) 有機溶剤を含有する薬液であって、
後述する一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第1有機化合物を含有し、
第1有機化合物の合計含有量が、薬液全質量に対して、0.01〜100000質量pptである、薬液。
(2) 更に、後述する一般式(IV)〜一般式(VII)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2有機化合物を含有する、(1)に記載の薬液。
(3) 第1有機化合物及び第2有機化合物のうち、少なくとも2種以上の化合物が含有される、(2)に記載の薬液。
(4) 2種以上の化合物のうち、少なくとも1種の化合物のClogP値が5以上である、(3)に記載に薬液。
(5) 2種以上の化合物のうち、少なくとも1種が一般式(VI)で表される化合物を含有する、(2)〜(4)のいずれかに記載の薬液。
(6) 一般式(VI)で表される化合物以外の第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量に対する、一般式(VI)で表される化合物の含有量の比が0.01〜1である、(5)に記載の薬液。
(7) 更に、金属成分を含有し、
金属成分の含有量が、薬液全質量に対して、0.1〜500質量pptである、(1)〜(6)のいずれかに記載の薬液。
(8) 金属成分の含有量に対する、第1有機化合物の合計含有量の比が、0.01〜10000である、(7)に記載の薬液。
(9) 更に、金属成分を含有する、(2)に記載の薬液。
(10) 金属成分の含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比が、0.01〜50000である、(9)に記載の薬液。
(11) 金属成分が、金属粒子及び金属イオンを含有する、(9)又は(10)に記載の薬液。
(12) 金属粒子の含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比が、0.01〜50000である、(11)に記載の薬液。
(13) 金属イオンの含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比が、0.03〜30000である、(11)又は(12)に記載の薬液。
(14) 有機溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2−ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される、(1)〜(13)のいずれかに記載の薬液。
(15)有機溶剤の体積抵抗率が、5,000,000Ωm以上である、(1)〜(14)のいずれかに記載の薬液。
(16) (1)〜(15)のいずれかに記載の薬液を含むプリウェット液、(1)〜(15)のいずれかに記載の薬液を含む現像液、(1)〜(15)のいずれかに記載の薬液を含むリンス液、(1)〜(15)のいずれかに記載の薬液を含む研磨液、及び、(1)〜(15)のいずれかに記載の薬液を含むレジスト膜形成用組成物からなる群から選択される2種以上を含有するキット。
(17) 容器と、容器に収容された(1)〜(15)のいずれかに記載の薬液と、を含有し、
容器内の薬液と接触する接液部が、電解研磨されたステンレス鋼又はフッ素系樹脂からなる、薬液収容体。
(18) 後述する式(X)によって求められる容器内の空隙率が5〜30体積%である、(17)に記載の薬液収容体。
(19) (1)〜(15)のいずれかに記載の薬液を用いて半導体チップを製造する、半導体チップの製造方法。
本発明によれば、欠陥抑制性に優れる薬液を提供できる。
また、本発明によれば、薬液収容体、キット、及び、半導体チップの製造方法も提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、「ppm」は「parts−per−million(10−6)」を意味し、「ppb」は「parts−per−billion(10−9)」を意味し、「ppt」は「parts−per−trillion(10−12)」を意味し、「ppq」は「parts−per−quadrillion(10−15)」を意味する。
また、本発明における基(原子群)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を有さない基と共に置換基を含有する基をも包含する。例えば、「炭化水素基」とは、置換基を有さない炭化水素基(無置換炭化水素基)のみならず、置換基を含有する炭化水素基(置換炭化水素基)をも包含する。この点は、各化合物についても同義である。
また、本発明における「放射線」とは、例えば、遠紫外線、極紫外線(EUV;Extreme ultraviolet)、X線、又は、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本発明中における「露光」とは、特に断らない限り、遠紫外線、X線又はEUV等による露光のみならず、電子線又はイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本発明の薬液により上記課題が解決される機序は必ずしも明確ではないが、本発明者はその機序について以下のとおり推測する。なお、以下の機序は推測であり、異なる機序により本発明の効果が得られる場合であっても本発明の範囲に含まれる。
薬液には、貯蔵及び配管を通じての移送等の過程で混入する微量の不純物があり、このような不純物は各種欠陥を生じる原因となりやすい。なお、各種欠陥とは、例えば、薬液を半導体デバイスの製造工程に適用した場合に発生する欠陥である。より具体的な例としては、薬液をプリウェット液又はリンス液として使用した場合における金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、及び、シミ状残渣欠陥等であり、薬液をパターンの現像液として使用した場合における現像不良欠陥、残渣物欠陥、及び、均一性欠陥等であり、薬液を配管洗浄液として使用した場合において、その後、洗浄した配管で上記プリウェット液、リンス液、又は、現像液等を移送してから使用した際に生じる上記のような欠陥等である。
本発明の薬液は、後述する第1有機化合物を所定量以上含有しているため、飽和溶液的な挙動を示し、更に不純物(特に、欠陥の原因となりやすい不純物)が薬液に混入しにくい。
一方で、第1有機化合物の含有量を所定量以下にすることにより、第1有機化合物自体が欠陥の原因となるのを回避できる。
このような機序に基づき、本発明の薬液を用いた各種プロセスでは、最終的に得られる欠陥の発生を抑制できた、と本発明者らは推測している。
本発明の薬液は、有機溶剤、及び、後述する一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第1有機化合物を含有し、第1有機化合物の合計含有量が、薬液全質量に対して、0.1〜100000質量pptである。
以下、本発明の薬液に含まれる成分について詳述する。
<有機溶剤>
本発明の薬液(以下、単に「薬液」ともいう)は、有機溶剤を含有する。
本明細書において、有機溶剤とは、上記薬液の全質量に対して、1成分あたり10000質量ppmを超えた含有量で含有される液状の有機化合物を意図する。つまり、本明細書においては、上記薬液の全質量に対して10000質量ppmを超えて含有される液状の有機化合物は、有機溶剤に該当する。
また、本明細書において液状とは、25℃、大気圧下において、液体であることを意味する。
薬液中における有機溶剤の含有量としては特に制限されないが、薬液の全質量に対して、98.00質量%以上が好ましく、99.00質量%超がより好ましく、99.90質量%以上が更に好ましく、99.95質量%超が特に好ましい。上限は、100質量%未満である。
有機溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を使用してもよい。2種以上の有機溶剤を用いる場合には、合計含有量が上記範囲内であるのが好ましい。
有機溶剤の種類としては特に制限されず、公知の有機溶剤を使用できる。有機溶剤は、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル、ジアルキルスルホキシド、環状スルホン、ジアルキルエーテル、一価アルコール、グリコール、酢酸アルキルエステル、及び、N−アルキルピロリドン等が挙げられる。
有機溶剤は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン(CHN)、乳酸エチル(EL)、炭酸プロピレン(PC)、イソプロパノール(IPA)、4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)、酢酸ブチル(nBA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸イソアミル、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2−ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される1種以上が好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する例としては、PGMEAとPGMEの併用、及び、PGMEAとPCの併用が挙げられる。
なお、薬液中における有機溶剤の種類及び含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定できる。
有機溶剤の体積抵抗率は特に制限されないが、500,000,000Ωm以上が好ましい。上限は特に制限されないが、5,000,000,000Ωm以下が好ましい。
有機溶剤の体積抵抗率は、例えば、日置電気株式会社製体積抵抗計SME−8310、超絶縁計SM−8220を用いて計測できる。
有機溶剤は、例えば、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離が3〜20MPa0.5(より好ましくは5〜20MPa0.5)であるのも好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する場合は、少なくとも1種が上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たすのが好ましい。
有機溶剤を2種以上使用する場合、各有機溶剤の含有量のモル比に基づいた、ハンセン溶解度パラメータの加重平均値が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たすのが好ましい。
例えば、薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、有機溶剤が、実質的に上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤のみであるのも好ましい。有機溶剤が、実質的に上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤のみであるとは、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤の含有量が、有機溶剤の全質量に対して99質量%以上(好ましくは99.9質量%以上)であることをいう。
また、例えば、有機溶剤が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤と、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤との両方を含有する混合溶剤であるのも好ましい。
この場合、得られる薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、上記混合溶剤が、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤を混合溶剤の全質量に対して20〜80質量%(好ましくは30〜70質量%)含有し、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤を混合溶剤の全質量に対して20〜80質量%(好ましくは30〜70質量%)含有するのが好ましい。
上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤の含有量と上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤の含有量が、それぞれ一定以上である場合、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤が所定範囲外の量(例えば、混合溶剤の全質量に対して1質量%以上20質量%未満又は80質量%超)である場合に比べて、薬液の、金属系素材及び有機系素材に対する親和性を適度な範囲に調整でき、本発明の効果がより優れると考えられている。
また、この場合、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たす有機溶剤と上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤との合計含有量は、混合溶液の全質量に対して、99.0質量%以上が好ましい。上限値としては特に制限されないが、一般に、99.99999質量%以下が好ましい。
なお、上記ハンセン溶解度パラメータの範囲を満たさない有機溶剤における、エイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離は、0MPa0.5以上3MPa0.5未満(好ましくは0MPa0.5超3MPa0.5未満)、又は、20MPa0.5超(好ましくは20MPa0.5超50MPa0.5以下)である。
本明細書において、ハンセン溶解度パラメータとは、「Hansen Solubility Parameters:A Users Handbook, Second Edition」(第1−310頁、CRC Press、2007年発行)等に記載されたハンセン溶解度パラメータを意図する。すなわち、ハンセン溶解度パラメータは、溶解性を多次元のベクトル(分散項(δd)、双極子間項(δp)、及び、水素結合項(δh))で表し、これらの3つのパラメータは、ハンセン空間と呼ばれる三次元空間における点の座標と考えられる。
ハンセン溶解度パラメータの距離とは、2種の化合物のハンセン空間における距離であり、ハンセン溶解度パラメータの距離は以下の式によって求められる。
(Ra)=4(δd2−δd1)+(δp2−δp1)+(δh2−δh1)
Ra:第1の化合物と第2の化合物とのハンセン溶解度パラメータの距離(単位:MPa0.5
δd1:第1の化合物の分散項(単位:MPa0.5
δd2:第2の化合物の分散項(単位:MPa0.5
δp1:第1の化合物の双極子間項(単位:MPa0.5
δp2:第2の化合物の双極子間項(単位:MPa0.5
δh1:第1の化合物の水素結合項(単位:MPa0.5
δh2:第2の化合物の水素結合項(単位:MPa0.5
本明細書において、化合物のハンセン溶解度パラメータは、具体的には、HSPiP(Hansen Solubility Parameter in Practice)を用いて計算する。
<第1有機化合物>
薬液は、一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第1有機化合物を含有する。
Figure 2020013119
一般式(I)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、一般式(A)で表される基を表す。一般式(A)中、*は結合位置を表す。
Figure 2020013119
Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R1aは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、アルキル基は、ヘテロ原子(好ましくは酸素原子)を含有していてもよい。アルキル基に酸素原子が含有される場合、−O−又は−CO−の形態で含有されることが好ましい。言い換えれば、上記アルキル基は、−O−又は−CO−を含有していてもよい。
1aのアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
1aのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。なお、R1aのアルキル基の炭素数は、R1aのアルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
1aのアルキル基が含有していてもよい置換基は、芳香環基(好ましくはベンゼン環基。さらに置換基を含有してもよい)を含有するのが好ましい。上記置換基は、芳香族エステル基がより好ましい。
Yで表されるベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、上記アルキル基とR1aとは互いに結合して環を形成してもよい。また、Yで表されるベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、上記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
Yが一般式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R1aはそれぞれ独立にアルキル基を表す。
この場合、R1aのアルキル基の炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい。
一般式(I)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
一般式(II)中、R2a〜R2hは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
2bとR2eとは、互いに結合して環を形成してもよく、R2bとR2eとが互いに結合して形成する基は、−O−(−Si(R2i−O−)−であることが好ましい。
aは、1以上の整数を表す。aの上限は特に制限されないが、10以下の場合が多い。
2iは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
複数存在するR2iは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2a〜R2iで表されるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
2a〜R2iで表されるアルキル基は、それぞれ独立に、無置換のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
2g及びR2hの一方が、置換基を含有するアルキル基であるのも好ましい。上記置換基は、1以上のオキシアルキレン基(アルキレン基部分は炭素数2〜4が好ましく、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい)を含有する基が好ましい。1以上のオキシアルキレン基を含有する基は、水酸基を含有していてもよい。
一般式(II)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
Figure 2020013119
一般式(III)中、R3aは、−N(R3c)R3d又は−SR3eを表す。
3c、R3d、及び、R3eは、水素原子又は置換基を表す。
3bは、−NH−又は−S−を表す。
3eとしては、例えば、芳香族チオ基が挙げられる。芳香族チオ基としては、−S−Ar(Ar:置換基を有していてもよい芳香環基)で表される基が好ましい。
上記芳香族チオ基における芳香環基は、ヘテロ原子(硫黄原子、窒素原子、及び/又は、酸素原子等)を含有していても、含有していなくてもよく、含有しているのが好ましい。つまり、芳香環基としては、芳香族複素環基が好ましい。上記芳香環基は単環でも多環でもよく多環が好ましい。
上記芳香環基としては、ベンゾチアゾール環基が好ましい。
一般式(III)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
第1有機化合物の沸点は特に制限されないが、揮発しにくく、金属成分と会合体を形成し、金属成分由来の欠陥の発生をより抑制できる点で、250℃以上が好ましく、380℃以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、450℃以下の場合が多い。
上記沸点は、1気圧下での沸点を意味する。
第1有機化合物の分子量は特に制限されないが、上記沸点との関係で、300以上が好ましい。上限は特に制限されないが、1000以下の場合が多い。
第1有機化合物のClogPは特に制限されないが、5.0以上が好ましく、8.0〜26.0がより好ましく、8.5〜20.0が更に好ましい。
ClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法及びソフトウェアについては公知の物を使用できるが、特に断らない限り、本発明ではCambridge soft社の ChemBioDraw Ultra 12.0に組み込まれたClogPプログラムを用いる。
第1有機化合物のClogPと有機溶剤のClogPとの差の絶対値は特に制限されないが、薬液中で第1有機化合物が疎水性化合物として作用し、金属成分と作用して、金属成分由来の欠陥の発生をより抑制できる点で、3以上が好ましく、5〜10がより好ましい。
第1有機化合物の合計含有量は、薬液全質量に対して、0.01〜100000質量pptであり、薬液の欠陥抑制性がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」ともいう。)から、80000質量ppt以下が好ましく、10000質量ppt以下がより好ましく、2000質量ppt以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量ppt以上が好ましく、1質量ppt以上がより好ましい。
第1有機化合物は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、2種以上を用いることが好ましい。
なお、薬液中における第1有機化合物の含有量は、GCMS(ガスクロマトグラフ質量分析装置;gas chromatography mass spectrometry)を用いて測定できる。
薬液は、上述した有機溶剤及び第1有機化合物以外の他の成分を含有していてもよい。
以下、他の成分について詳述する。
<第2有機化合物>
薬液は、一般式(IV)〜一般式(VIII)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2有機化合物を含有していてもよい。
Figure 2020013119
一般式(IV)中、Xは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。
上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。別の置換基としては、水酸基及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種を含有していてもよい炭化水素基(例えば、不飽和炭化水素基)が挙げられる。
ベンゼン環基が含有してもよい置換基としては、例えば、置換基を含有していてもよい、アルキル基、アルコキシ基、及び、アリールカルボニル基が挙げられる。
シクロへキセン環基が含有してもよい置換基としては、例えば、置換基を含有していてもよい、アルケニルオキシ基、及び、シクロへキセン環基が挙げられる。
一般式(IV)で表される化合物としては、一般式(IV−1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(IV−1) (HO−Ar−L)−C
上記式中、Arは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。Lは、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、エステル基を含んでいてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(IV)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
Figure 2020013119
一般式(V)中、R5aは、置換基を有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
5b及びR5cは、それぞれ独立に、水素原子、−AL−O−R5d、−CO−R5e、又は、−CH(OH)−R5fを表す。
ALは置換基を含有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)を表す。
5d、R5e、及び、R5fは、それぞれ独立に、置換基(好ましくは、更に置換基を含有していてもよいアルキル基)を表す。
5a、R5d、R5e、及び、R5fで表される置換基を含有していてもよいアルキル基は、それぞれ独立に、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記アルキル基が含有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、アルキルエステル基、及び、アルキルビニル基(好ましくは、アルキル基部分の炭素数が3〜12)が挙げられる。
5dが複数存在する場合、複数存在するR5dそれぞれは同一でも異なっていてもよい。R5eが複数存在する場合、複数存在するR5eそれぞれは同一でも異なっていてもよい。R5fが複数存在する場合、複数存在するR5fそれぞれは同一でも異なっていてもよい。
5aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R5d、R5e、及び、R5fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR5d同士、2つのR5e同士、又は、2つのR5f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
5aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R5d、R5e、及び、R5fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR5d同士、2つのR5e同士、又は、2つのR5f同士が、互いに結合して形成される基は、−O−、−NR5g−(R5gは置換基)、及び、−NHCO−からなる群から選択される1以上の連結基を含有しているのが好ましい。
5a、R5b、及び、R5cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020013119
上記式中、Lは、置換基を含有していてもよい、アルキレン基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基)を表す。qは、3〜10(好ましくは、4〜6)を表す。
一般式(V)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
一般式(VI)中、R6a及びR6bは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記置換基としては、例えば、芳香環基(さらに置換基を含有していてもよい。好ましくはフェニル基)が好ましい。
一般式(VI)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
一般式(VII)中、R7a〜R7cは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。
7a〜R7cのうち、1つ以上(好ましくは2つ以上は)置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基であるのが好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜5がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。上記置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数2〜6)又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子等)が好ましい。
上記ベンゼン環基が含有していてもよい置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数2〜10)が好ましい。
一般式(VII)で表される化合物を例示する。
Figure 2020013119
第2有機化合物の沸点は特に制限されないが、揮発しにくく、金属成分と会合体を形成し、金属成分由来の欠陥の発生をより抑制できる点で、250℃以上が好ましく、380℃以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、450℃以下の場合が多い。
上記沸点は、1気圧下での沸点を意味する。
第2有機化合物の分子量は特に制限されないが、上記沸点との関係で、300以上が好ましい。上限は特に制限されないが、2000以下の場合が多い。
第2有機化合物のClogPは特に制限されないが、5.0以上が好ましく、8.0〜26.0がより好ましく、8.5〜20.0が更に好ましい。
第2有機化合物のClogPと有機溶剤のClogPとの差の絶対値は特に制限されないが、薬液中で第2有機化合物が疎水性化合物として作用し、金属成分と作用して、金属成分由来の欠陥の発生をより抑制できる点で、3以上が好ましく、5〜10がより好ましい。
第2有機化合物の合計含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、薬液全質量に対して、0.01〜100000質量pptが好ましい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、80000質量ppt以下が好ましく、20000質量ppt以下がより好ましく、10000質量ppt以下がさらに好ましく、2000質量ppt以下が特に好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量ppt以上が好ましく、1質量ppt以上がより好ましい。
第2有機化合物は1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、2種以上を用いることが好ましい。
本発明の薬液が第1有機化合物及び第2有機化合物を含有する場合、本発明の効果がより優れる点で、本発明の薬液は、第1有機化合物及び第2有機化合物のうち、少なくとも2種以上の化合物を含有することが好ましい。例えば、第1有機化合物のうちの少なくとも1種以上、及び、第2有機化合物のうちの少なくとも1種以上を含有する形態が挙げられる。
上記2種以上の化合物のうち、少なくとも1種の化合物のClogPが5以上であることが好ましい。
また、上記2種以上の化合物のうち、少なくとも1種が上述した一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
この場合、一般式(VII)で表される化合物の含有量に対する、一般式(VI)で表される化合物以外の第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比は特に制限されないが、0.01〜1が好ましい。
<金属成分>
薬液は金属成分を含有してもよい。
本発明において、金属成分は、金属粒子及び金属イオンが挙げられ、例えば、金属成分の含有量と言う場合、金属粒子及び金属イオンの合計含有量を示す。
薬液は、金属粒子及び金属イオンのいずれか一方が含有してもよく、両方を含有してもよい。薬液は、金属粒子及び金属イオンの両方を含有するのが好ましい。
金属成分における、金属元素は、例えば、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Li(リチウム)、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、及び、Zn(ジルコニウム)が挙げられる。金属成分は、金属元素を1種含有してもよいし2種以上含有してもよい。
金属粒子は、単体でも合金でもよく、金属が有機物と会合した形態で存在していてもよい。
金属成分は、薬液に含まれる各成分(原料)に不可避的に含まれている金属成分でもよいし、処理液の製造、貯蔵、及び/又は、移送時に不可避的に含まれる金属成分でもよいし、意図的に添加してもよい。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液が金属成分を含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.01〜500質量pptが好ましく、0.01〜250質量pptがより好ましく、0.01〜100質量pptが更に好ましい。
金属成分の含有量が0.01質量ppt以上であれば、上述した第1有機化合物(又は第2有機化合物)との間で会合体を形成しやすいために、基板上から除かれやすい。その結果、欠陥抑制性をより改善できる。
また、金属成分の含有量が500質量ppt以下であれば、金属成分に由来する欠陥の発生の増加を回避しやすい。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液が金属イオンを含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.01〜400質量pptが好ましく、0.01〜200質量pptがより好ましく、0.01〜80質量pptが更に好ましい。
薬液の欠陥抑制性がより優れる点から、薬液が金属粒子を含有する場合、その含有量は、薬液の全質量に対して、0.01〜400質量pptが好ましく、0.01〜150質量pptがより好ましく、0.01〜40質量pptが更に好ましい。
なお、薬液中の特定金属イオン及び特定金属粒子の種類及び含有量は、SP−ICP−MS法(Single Nano Particle Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)で測定できる。
ここで、SP−ICP−MS法とは、通常のICP−MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)と同様の装置を使用し、データ分析のみが異なる。SP−ICP−MS法のデータ分析は、市販のソフトウェアにより実施できる。
ICP−MS法では、測定対象とされた金属成分の含有量が、その存在形態に関わらず、測定される。従って、測定対象とされた金属粒子と、金属イオンとの合計質量が、金属成分の含有量として定量される。
一方、SP−ICP−MS法では、金属粒子の含有量が測定できる。従って、試料中の金属成分の含有量から、金属粒子の含有量を引くと、試料中の金属イオンの含有量が算出できる。
SP−ICP−MS法の装置としては、例えば、アジレントテクノロジー社製、Agilent 8800 トリプル四重極ICP−MS(inductively coupled plasma mass spectrometry、半導体分析用、オプション#200)が挙げられ、実施例に記載した方法により測定できる。上記以外の他の装置としては、PerkinElmer社製 NexION350Sのほか、アジレントテクノロジー社製、Agilent 8900も使用できる。
金属成分の含有量に対する第1有機化合物の合計含有量の比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜10000が好ましく、0.1〜5000がより好ましい。
また、金属成分の含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜50000が好ましく、0.1〜5000がより好ましい。
金属粒子の含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜50000が好ましく、0.05〜30000がより好ましい。
金属イオンの含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.03〜30000が好ましく、0.05〜20000がより好ましい。
<水>
薬液は、水を含有してもよい。
水としては特に制限されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、及び、純水等を使用できる。
水は、薬液中に添加されてもよいし、薬液の製造工程において意図せずに薬液中に混合されてもよい。薬液の製造工程において意図せずに混合される場合としては、例えば、水が、薬液の製造に用いる原料(例えば、有機溶剤)に含有されている場合、及び、薬液の製造工程で混合する(例えば、コンタミネーション)等が挙げられるが、上記に制限されない。
薬液中における水の含有量としては特に制限されないが、薬液の全質量に対して、0.05〜2.0質量%が好ましい。薬液中における水の含有量は、カールフィッシャー水分測定法を測定原理とする装置を用いて、測定される水分含有量を意味する。
<樹脂>
薬液は、樹脂を含有してもよい。
樹脂としては、酸の作用により分解して極性基を生じる基(酸分解性基を含有する繰り返し単位)を含有する樹脂Pがより好ましい。上記樹脂としては、酸の作用により有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解性が減少する樹脂である、後述する式(AI)で表される繰り返し単位を含有する樹脂がより好ましい。後述する式(AI)で表される繰り返し単位を含有する樹脂は、酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる基を含有する。
極性基としては、アルカリ可溶性基が挙げられる。アルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、フェノール性水酸基、及びスルホ基が挙げられる。
酸分解性基において極性基は酸で脱離する基(酸脱離性基)によって保護されている。酸脱離性基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、及び、−C(R01)(R02)(OR39)等が挙げられる。
式中、R36〜R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、アルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、アルケニル基を表す。
以下、酸の作用により有機溶剤を主成分とする現像液に対する溶解性が減少する樹脂Pについて詳述する。
(式(AI):酸分解性基を含有する繰り返し単位)
樹脂Pは、式(AI)で表される繰り返し単位を含有するのが好ましい。
Figure 2020013119
式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Ra〜Raは、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状)又はシクロアルキル基(単環又は多環)を表す。
Ra〜Raの2つが結合して、シクロアルキル基(単環又は多環)を形成してもよい。
酸分解性基を含有する繰り返し単位(好ましくは式(AI)で表される繰り返し単位)の含有量は、樹脂P中の全繰り返し単位に対して、20〜90モル%が好ましく、25〜85モル%がより好ましく、30〜80モル%が更に好ましい。
また、樹脂Pは、酸分解性基を含有する繰り返し単位の他にも、その他の繰り返し単位を含有してもよい。その他の繰り返し単位としては、ラクトン構造を含有する繰り返し単位、フェノール性水酸基を含有する繰り返し単位、極性基を含有する繰り返し単位、及び、側鎖にケイ素原子を含有する繰り返し単位等が挙げられる。
樹脂Pの重量平均分子量は、GPC(Gel permeation chromatography)法によりポリスチレン換算値として、1,000〜200,000が好ましく、3,000〜20,000がより好ましく、5,000〜15,000が更に好ましい。
樹脂Pの分散度(分子量分布)は、通常1〜5であり、1〜3が好ましく、1.2〜3.0がより好ましく、1.2〜2.0が更に好ましい。
薬液中において、樹脂Pの含有量は、全固形分中、50〜99.9質量%が好ましく、60〜99.0質量%がより好ましい。
また、薬液中において、樹脂Pは、1種で使用してもよいし、複数使用してもよい。
上記固形分とは、薬液中における有機溶剤及び水等の溶剤を除いた成分を意味する。
薬液は、他にも、酸発生剤、塩基性化合物、クエンチャー、疎水性樹脂、及び、界面活性剤等の公知の化合物を含有してもよい。
薬液は、例えば、特開2013−195844号公報、特開2016−057645号公報、特開2015−207006号公報、国際公開第2014/148241号、特開2016−188385号公報、及び、特開2017−219818号公報等に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物等に含有される成分を、含有してもよい。
<薬液の用途>
本発明の薬液は、半導体デバイスの製造に用いられるのが好ましい。なかでも、本発明の薬液を用いて半導体チップを製造することが好ましい。
具体的には、リソグラフィー工程、エッチング工程、イオン注入工程、及び、剥離工程等を含有する半導体デバイスの製造工程において、各工程の終了後、又は、次の工程に移る前に、有機物を処理するために使用され、具体的にはプリウェット液、現像液、リンス液、及び、研磨液等として好適に用いられる。
他にも、薬液は、レジスト膜形成用組成物が含有する樹脂の希釈液等(言い換えれば、溶剤)としても用いてもよい。
また、上記薬液は、半導体デバイスの製造用以外の、他の用途にも使用でき、ポリイミド、センサー用レジスト、及び、レンズ用レジスト等の現像液、及び、リンス液としても使用できる。
また、上記薬液は、医療用途又は洗浄用途の溶剤としても使用できる。例えば、配管、容器、及び、基板(例えば、ウェハ、及び、ガラス等)等の洗浄に好適に使用できる。
上記洗浄用途としては、上述のプリウェット液等の液が接する配管及び容器等を洗浄する、洗浄液(配管洗浄液及び容器洗浄液等)として使用するのも好ましい。
中でも、薬液は、プリウェット液、現像液、リンス液、研磨液、及び、レジスト膜形成用組成物に好適に用いられる。なかでも、プリウェット液、現像液、及び、リンス液に適用した場合、より優れた効果を発揮する。また、これらの液の移送に用いられる配管に用いられる配管洗浄液に適用した場合にも、より優れた効果を発揮する。
なお、本発明の薬液を含むプリウェット液、本発明の薬液を含む現像液、本発明の薬液を含むリンス液、本発明の薬液を含む研磨液、及び、本発明の薬液を含むレジスト膜形成用組成物からなるからなる群から選択される2種以上を含有するキットとして用いてもよい。
<薬液の製造方法>
上記薬液の製造方法としては特に制限されず、公知の製造方法が使用できる。中でも、より優れた本発明の効果が得られる点で、薬液の製造方法は、フィルターを用いて有機溶剤を含有する被精製物をろ過して薬液を得る、ろ過工程を有するのが好ましい。
ろ過工程において使用する被精製物は、購入等により調達してもよいし、原料を反応させて得てもよい。被精製物としては、不純物の含有量が少ないのが好ましい。そのような被精製物の市販品としては、例えば、「高純度グレード品」と呼ばれる市販品が挙げられる。
原料を反応させて被精製物(典型的には、有機溶剤を含有する被精製物)を得る方法として特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、触媒の存在下において、一又は複数の原料を反応させて、有機溶剤を得る方法が挙げられる。
より具体的には、例えば、酢酸とn−ブタノールとを硫酸の存在下で反応させ、酢酸ブチルを得る方法;エチレン、酸素、及び、水をAl(Cの存在下で反応させ、1−ヘキサノールを得る方法;シス−4−メチル−2−ペンテンをIpc2BH(Diisopinocampheylborane)の存在下で反応させ、4−メチル−2−ペンタノールを得る方法;プロピレンオキシド、メタノール、及び、酢酸を硫酸の存在下で反応させ、PGMEA(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート)を得る方法;アセトン、及び、水素を酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウムの存在下で反応させて、IPA(isopropyl alcohol)を得る方法;乳酸、及び、エタノールを反応させて、乳酸エチルを得る方法;等が挙げられる。
(ろ過工程)
本発明の薬液の製造方法は、フィルターを用いて上記被精製物をろ過して薬液を得るろ過工程を有することが好ましい。フィルターを用いて被精製物をろ過する方法としては特に制限されないが、ハウジングと、ハウジングに収納されたフィルターカートリッジと、を有するフィルターユニットに、被精製物を加圧又は無加圧で通過させる(通液する)のが好ましい。
・フィルターの細孔径
フィルターの細孔径としては特に制限されず、被精製物のろ過用として通常使用される細孔径のフィルターが使用できる。中でも、フィルターの細孔径は、薬液が含有する粒子(金属粒子等)の数を所望の範囲により制御しやすい点で、200nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましく、5nm以下が特に好ましく、3nm以下が最も好ましい。下限値としては特に制限されないが、一般に1nm以上が、生産性の観点から好ましい。
なお、本明細書において、フィルターの細孔径、及び、細孔径分布とは、イソプロパノール(IPA)又は、HFE−7200(「ノベック7200」、3M社製、ハイドロフロオロエーテル、COC)のバブルポイントによって決定される細孔径及び細孔径分布を意味する。
フィルターの細孔径が、5.0nm以下であると、薬液中における含有粒子数をより制御しやすい点で好ましい。以下、細孔径が5nm以下のフィルターを「微小孔径フィルター」ともいう。
なお、微小孔径フィルターは単独で用いてもよいし、他の細孔径を有するフィルターと使用してもよい。中でも、生産性により優れる観点から、より大きな細孔径を有するフィルターと使用するのが好ましい。この場合、予めより大きな細孔径を有するフィルターによってろ過した被精製物を、微小孔径フィルターに通液させれば、微小孔径フィルターの目詰まりを防げる。
すなわち、フィルターの細孔径としては、フィルターを1つ用いる場合には、細孔径は5.0nm以下が好ましく、フィルターを2つ以上用いる場合、最小の細孔径を有するフィルターの細孔径が5.0nm以下が好ましい。
細孔径の異なる2種以上のフィルターを順次使用する形態としては特に制限されないが、被精製物が移送される管路に沿って、既に説明したフィルターユニットを順に配置する方法が挙げられる。このとき、管路全体として被精製物の単位時間当たりの流量を一定にしようとすると、細孔径のより小さいフィルターには、細孔径のより大きいフィルターと比較してより大きな圧力がかかる場合がある。この場合、フィルターの間に圧力調整弁、及び、ダンパ等を配置して、小さい細孔径を有するフィルターにかかる圧力を一定にしたり、また、同一のフィルターが収納されたフィルターユニットを管路に沿って並列に配置したりして、ろ過面積を大きくするのが好ましい。このようにすれば、より安定して、薬液中における粒子の数を制御できる。
・フィルターの材料
フィルターの材料としては特に制限されず、フィルターの材料として公知の材料が使用できる。具体的には、樹脂である場合、ナイロン(例えば、6−ナイロン及び6,6−ナイロン)等のポリアミド;ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリ(メタ)アクリレート;ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフロオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、及び、ポリフッ化ビニル等のポリフルオロカーボン;ポリビニルアルコール;ポリエステル;セルロース;セルロースアセテート等が挙げられる。中でも、より優れた耐溶剤性を有し、得られる薬液がより優れた欠陥抑制性能を有する点で、ナイロン(中でも、6,6−ナイロンが好ましい)、ポリオレフィン(中でも、ポリエチレンが好ましい)、ポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリフルオロカーボン(中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)が好ましい。)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの重合体は単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
また、樹脂以外にも、ケイソウ土、及び、ガラス等であってもよい。
他にも、ポリオレフィン(後述するUPE等)にポリアミド(例えば、ナイロン−6又はナイロン−6,6等のナイロン)をグラフト共重合させたポリマー(ナイロングラフトUPE等)をフィルターの材料としてもよい。
また、フィルターは表面処理されたフィルターであってもよい。表面処理の方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。表面処理の方法としては、例えば、化学修飾処理、プラズマ処理、疎水処理、コーティング、ガス処理、及び、焼結等が挙げられる。
プラズマ処理は、フィルターの表面が親水化されるために好ましい。プラズマ処理して親水化されたろ過材の表面における水接触角としては特に制限されないが、接触角計で測定した25℃における静的接触角が、60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、30°以下が更に好ましい。
化学修飾処理としては、基材にイオン交換基を導入する方法が好ましい。
すなわち、フィルターとしては、上記で挙げた各材料を基材として、上記基材にイオン交換基を導入したフィルターが好ましい。典型的には、上記基材の表面にイオン交換基を含有する基材を含む層を含むフィルターが好ましい。表面修飾された基材としては特に制限されず、製造がより容易な点で、上記重合体にイオン交換基を導入したフィルターが好ましい。
イオン交換基としては、カチオン交換基として、スルホン酸基、カルボキシ基、及び、リン酸基等が挙げられ、アニオン交換基として、4級アンモニウム基等が挙げられる。イオン交換基を重合体に導入する方法としては特に制限されないが、イオン交換基と重合性基とを含有する化合物を重合体と反応させ典型的にはグラフト化する方法が挙げられる。
イオン交換基の導入方法としては特に制限されないが、上記の樹脂の繊維に電離放射線(α線、β線、γ線、X線、及び、電子線等)を照射して樹脂中に活性部分(ラジカル)を生成させる。この照射後の樹脂をモノマー含有溶液に浸漬してモノマーを基材にグラフト重合させる。その結果、ポリオレフィン繊維にグラフト重合側鎖として結合したポリマーが生成する。この生成されたポリマーを側鎖として含有する樹脂をアニオン交換基又はカチオン交換基を含有する化合物と接触反応させて、グラフト重合された側鎖のポリマーにイオン交換基が導入されて最終生成物が得られる。
また、フィルターは、放射線グラフト重合法によりイオン交換基を形成した織布、又は、不織布と、従来のガラスウール、織布、又は、不織布のろ過材とを組み合わせた構成でもよい。
イオン交換基を含有するフィルターを用いると、金属成分(特に、金属原子を含有する粒子)を含有する薬液中における金属成分の含有量を所望の範囲により制御しやすい。イオン交換基を含有するフィルターの材料としては特に制限されないが、ポリフルオロカーボン、及び、ポリオレフィンにイオン交換基を導入した材料等が挙げられ、ポリフルオロカーボンにイオン交換基を導入した材料がより好ましい。
イオン交換基を含有するフィルターの細孔径としては特に制限されないが、1〜30nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。イオン交換基を含有するフィルターは、既に説明した最小の細孔径を有するフィルターを兼ねてもよいし、最小の細孔径を有するフィルターとは別に使用してもよい。中でも、より優れた本発明の効果が得られる点で、ろ過工程は、イオン交換基を含有するフィルターと、イオン交換基を有さず、最小の細孔径を有するフィルターとを使用する形態が好ましい。
既に説明した最小の細孔径を有するフィルターの材料としては特に制限されないが、耐溶剤性等の観点から、一般に、ポリフルオロカーボン、及び、ポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。
従って、ろ過工程で使用されるフィルターとしては、材料の異なる2種以上のフィルターを使用してもよく、例えば、ポリオレフィン、ポリフルオロカーボン、ポリアミド、及び、これらにイオン交換基を導入した材料のフィルターからなる群より選択される2種以上を使用してもよい。
・フィルターの細孔構造
フィルターの細孔構造としては特に制限されず、被精製物中の成分に応じて適宜選択すればよい。本明細書において、フィルターの細孔構造とは、細孔径分布、フィルター中の細孔の位置的な分布、及び、細孔の形状等を意味し、典型的には、フィルターの製造方法により制御可能である。
例えば、樹脂等の粉末を焼結して形成すれば多孔質膜が得られ、及び、エレクトロスピニング、エレクトロブローイング、及び、メルトブローイング等の方法により形成すれば繊維膜が得られる。これらは、それぞれ細孔構造が異なる。
「多孔質膜」とは、ゲル、粒子、コロイド、細胞、及び、ポリオリゴマー等の被精製物中の成分を保持するが、細孔よりも実質的に小さい成分は、細孔を通過する膜を意味する。多孔質膜による被精製物中の成分の保持は、動作条件、例えば、面速度、界面活性剤の使用、pH、及び、これらの組み合わせに依存する場合があり、かつ、多孔質膜の孔径、構造、及び、除去されるべき粒子のサイズ、及び、構造(硬質粒子か、又は、ゲルか等)に依存し得る。
被精製物が負に帯電している粒子を含有する場合、そのような粒子の除去には、ポリアミド製のフィルターが非ふるい膜の機能を果たす。典型的な非ふるい膜には、ナイロン−6膜及びナイロン−6,6膜等のナイロン膜が含まれるが、これらに制限されない。
なお、本明細書で使用される「非ふるい」による保持機構は、フィルターの圧力降下、又は、細孔径に関連しない、妨害、拡散及び吸着等の機構によって生じる保持を指す。
非ふるい保持は、フィルターの圧力降下又はフィルターの細孔径に関係なく、被精製物中の除去対象粒子を除去する、妨害、拡散及び吸着等の保持機構を含む。フィルター表面への粒子の吸着は、例えば、分子間のファンデルワールス力及び静電力等によって媒介され得る。蛇行状のパスを有する非ふるい膜層中を移動する粒子が、非ふるい膜と接触しないように十分に速く方向を変られない場合に、妨害効果が生じる。拡散による粒子輸送は、粒子がろ過材と衝突する一定の確率を作り出す、主に、小さな粒子のランダム運動又はブラウン運動から生じる。粒子とフィルターの間に反発力が存在しない場合、非ふるい保持機構は活発になり得る。
UPE(超高分子量ポリエチレン)フィルターは、典型的には、ふるい膜である。ふるい膜は、主にふるい保持機構を介して粒子を捕捉する膜、又は、ふるい保持機構を介して粒子を捕捉するために最適化された膜を意味する。
ふるい膜の典型的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜とUPE膜が含まれるが、これらに制限されない。
なお、「ふるい保持機構」とは、除去対象粒子が多孔質膜の細孔径よりも大きいことによる結果の保持を指す。ふるい保持力は、フィルターケーキ(膜の表面での除去対象となる粒子の凝集)を形成することによって向上させられる。フィルターケーキは、2次フィルターの機能を効果的に果たす。
繊維膜の材質は、繊維膜を形成可能なポリマーであれば特に制限されない。ポリマーとしては、例えば、ポリアミド等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、及び、ナイロン6,6等が挙げられる。繊維膜を形成するポリマーとしては、ポリ(エーテルスルホン)であってもよい。繊維膜が多孔質膜の一次側にある場合、繊維膜の表面エネルギーは、二次側にある多孔質膜の材質であるポリマーより高いのが好ましい。そのような組合せとしては、例えば、繊維膜の材料がナイロンで、多孔質膜がポリエチレン(UPE)である場合が挙げられる。
繊維膜の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を使用できる。繊維膜の製造方法としては、上述したように、例えば、エレクトロスピニング、エレクトロブローイング、及び、メルトブローイング等が挙げられる。
多孔質膜(例えば、UPE、及び、PTFE等を含む多孔質膜)の細孔構造としては特に制限されないが、細孔の形状としては、例えば、レース状、ストリング状、及び、ノード状等が挙げられる。
多孔質膜における細孔の大きさの分布とその膜中における位置の分布は、特に制限されない。大きさの分布がより小さく、かつ、その膜中における分布位置が対称であってもよい。また、大きさの分布がより大きく、かつ、その膜中における分布位置が非対称であってもよい(上記の膜を「非対称多孔質膜」ともいう。)。非対称多孔質膜では、孔の大きさは膜中で変化し、典型的には、膜一方の表面から膜の他方の表面に向かって孔径が大きくなる。このとき、孔径の大きい細孔が多い側の表面を「オープン側」といい、孔径が小さい細孔が多い側の表面を「タイト側」ともいう。
また、非対称多孔質膜としては、例えば、細孔の大きさが膜の厚さ内のある位置においてで最小となる膜(これを「砂時計形状」ともいう。)が挙げられる。
非対称多孔質膜を用いて、一次側をより大きいサイズの孔とすると、言い換えれば、一次側をオープン側とすると、前ろ過効果を生じさせられる。
多孔質膜は、PESU(ポリエーテルスルホン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシアルカンとの共重合体)、ポリアミド、及び、ポリオレフィン等の熱可塑性ポリマーを含んでもよいし、ポリテトラフルオロエチレン等を含んでもよい。
中でも、多孔質膜の材料としては、超高分子量ポリエチレンが好ましい。超高分子量ポリエチレンは、極めて長い鎖を有する熱可塑性ポリエチレンを意味し、分子量が百万以上、典型的には、200〜600万が好ましい。
ろ過工程で使用されるフィルターとしては、細孔構造の異なる2種以上のフィルターを使用してもよく、多孔質膜、及び、繊維膜のフィルターを併用してもよい。具体例としては、ナイロン繊維膜のフィルターと、UPE多孔質膜のフィルターとを使用する方法が挙げられる。
フィルターは、上述の通り、市場から入手してもよい。このようなフィルターが流通に乗せられる際、フィルターは、コンタミ等を避ける目的で梱包袋に入れられてシーリングされるなど、梱包材で梱包される場合が多い。この際、梱包材のフィルターと接触し得る部分(接触部分)が、ポリオレフィン(高密度ポリエチレンを含むポリエチレン等)等である場合、接触部分がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である場合と比べて、不純物成分がフィルターに対して付着し、コンタミしてしまう問題が起こりやすい。
そのため、フィルターに対する接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂又はステンレス鋼である梱包材でフィルターが梱包されているのが好ましい。
接触部分における上記フッ素系樹脂としては、例えば、PTFE及びPFAが挙げられる。
接触部分におけるステンレス鋼としては、耐腐食材料として後述するステンレス鋼が挙げられ、中でも、接触部分が電解研磨処理されたステンレス鋼(EP-SUS)であるのが好ましい。
フッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼である接触部分の面積は、接触部分の全面積に対して、50〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、99〜100%が更に好ましい。
梱包材の形態に特に制限はなく、袋形態でもよくカプセル形態でもよい。
梱包材は、接触部分の少なくとも一部がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼でありさえすればよく、梱包材の全体がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼であってもよいし、他の材料との複合材料であってもよい。例えば、接触部分がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼からなり、接触部分以外がフッ素系樹脂及び/又はステンレス鋼からなる層構造の複合材料でもよい。
また、フィルターは使用前に十分に洗浄してから使用するのが好ましい。
未洗浄のフィルター(又は十分な洗浄がされていないフィルター)を使用する場合、フィルターが含有する不純物が薬液に持ち込まれやすい。
上記のとおり、本発明の実施形態に係るろ過工程は、フィルターの材料、細孔径、及び、細孔構造からなる群より選択される少なくとも1種が異なる2種以上のフィルターに被精製物を通過させる、多段ろ過工程であってもよい。
また、同一のフィルターに被精製物を複数回通過させてもよく、同種のフィルターの複数に、被精製物を通過させてもよい。
ろ過工程で使用される精製装置の接液部(被精製物、及び、薬液が接触する可能性のある内壁面等を意味する)の材料としては特に制限されないが、非金属材料(フッ素系樹脂等)、及び、電解研磨された金属材料(ステンレス鋼等)からなる群から選択される少なくとも1種(以下、これらをあわせて「耐腐食材料」ともいう。)から形成されるのが好ましい。例えば、製造タンクの接液部が耐腐食材料から形成される、とは、製造タンク自体が耐腐食材料からなるか、又は、製造タンクの内壁面等が耐腐食材料で被覆されている場合が挙げられる。
上記非金属材料としては、特に制限されず、公知の材料が使用できる。
非金属材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂、並びに、フッ素系樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂、三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、三フッ化塩化エチレン共重合樹脂、及び、フッ化ビニル樹脂等)からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられるが、これに制限されない。
上記金属材料としては、特に制限されず、公知の材料が使用できる。
金属材料としては、例えば、クロム及びニッケルの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料が挙げられ、中でも、30質量%以上がより好ましい。金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、一般に90質量%以下が好ましい。
金属材料としては例えば、ステンレス鋼、及びニッケル−クロム合金等が挙げられる。
ステンレス鋼としては、特に制限されず、公知のステンレス鋼が使用できる。中でも、ニッケルを8質量%以上含有する合金が好ましく、ニッケルを8質量%以上含有するオーステナイト系ステンレス鋼がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えばSUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及びSUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)等が挙げられる。
ニッケル−クロム合金としては、特に制限されず、公知のニッケル−クロム合金が使用できる。中でも、ニッケル含有量が40〜75質量%、クロム含有量が1〜30質量%のニッケル−クロム合金が好ましい。
ニッケル−クロム合金としては、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及びインコネル(商品名、以下同じ)等が挙げられる。より具体的には、ハステロイC−276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ−C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、及び、ハステロイC−22(Ni含有量61質量%、Cr含有量22質量%)等が挙げられる。
また、ニッケル−クロム合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、ホウ素、ケイ素、タングステン、モリブデン、銅、及び、コバルト等を含有していてもよい。
金属材料を電解研磨する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、特開2015−227501号公報の段落[0011]〜[0014]、及び、特開2008−264929号公報の段落[0036]〜[0042]等に記載された方法が使用できる。
金属材料は、電解研磨により表面の不動態層におけるクロムの含有量が、母相のクロムの含有量よりも多くなっていると推測される。そのため、接液部が電解研磨された金属材料から形成された精製装置を用いると、被精製物中に金属成分が流出しにくいと推測される。
なお、金属材料はバフ研磨されていてもよい。バフ研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。バフ研磨の仕上げに用いられる研磨砥粒のサイズは特に制限されないが、金属材料の表面の凹凸がより小さくなりやすい点で、#400以下が好ましい。なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われるのが好ましい。
(その他の工程)
薬液の製造方法は、ろ過工程以外の工程を更に有していてもよい。ろ過工程以外の工程としては、例えば、蒸留工程、反応工程、及び、除電工程等が挙げられる。
(蒸留工程)
蒸留工程は、有機溶剤を含有する被精製物を蒸留して、蒸留済み被精製物を得る工程である。被精製物を蒸留する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。典型的には、ろ過工程に供される精製装置の一次側に、蒸留塔を配置し、蒸留された被精製物を製造タンクに導入する方法が挙げられる。
このとき、蒸留塔の接液部としては特に制限されないが、既に説明した耐腐食材料で形成されるのが好ましい。
(反応工程)
反応工程は、原料を反応させて、反応物である有機溶剤を含有する被精製物を生成する工程である。被精製物を生成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。典型的には、ろ過工程に供される精製装置の製造タンク(又は、蒸留塔)の一次側に反応槽を配置し、反応物を製造タンク(又は蒸留塔)に導入する方法が挙げられる。
このとき、製造タンクの接液部としては特に制限されないが、既に説明した耐腐食材料で形成されるのが好ましい。
(除電工程)
除電工程は、被精製物を除電して、被精製物の帯電電位を低減させる工程である。
除電方法としては特に制限されず、公知の除電方法を使用できる。除電方法としては、例えば、被精製物を導電性材料に接触させる方法が挙げられる。
被精製物を導電性材料に接触させる接触時間は、0.001〜60秒が好ましく、0.001〜1秒がより好ましく、0.01〜0.1秒が更に好ましい。導電性材料としては、ステンレス鋼、金、白金、ダイヤモンド、及び、グラッシーカーボン等が挙げられる。
被精製物を導電性材料に接触させる方法としては、例えば、導電性材料からなる接地されたメッシュを管路内部に配置し、ここに被精製物を通す方法等が挙げられる。
被精製物の精製は、それに付随する、容器の開封、容器及び装置の洗浄、溶液の収容、並びに、分析等は、全てクリーンルームで行うのが好ましい。クリーンルームは、国際標準化機構が定める国際標準ISO14644−1:2015で定めるクラス4以上の清浄度のクリーンルームが好ましい。具体的にはISOクラス1、ISOクラス2、ISOクラス3、及び、ISOクラス4のいずれかを満たすのが好ましく、ISOクラス1又はISOクラス2を満たすのがより好ましく、ISOクラス1を満たすのが更に好ましい。
薬液の保管温度としては特に制限されないが、薬液が微量に含有する不純物等がより溶出しにくく、結果として、より優れた本発明の効果が得られる点で、保管温度としては4℃以上が好ましい。
<薬液収容体>
上記精製方法により製造された薬液は、容器に収容されて使用時まで保管してもよい。
このような容器と、容器に収容された薬液とをあわせて薬液収容体という。保管された薬液収容体からは、薬液が取り出され使用される。
上記薬液を保管する容器としては、半導体デバイス製造用途向けに、容器内のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないのが好ましい。
使用可能な容器としては、具体的には、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、及び、コダマ樹脂工業製の「ピュアボトル」等が挙げられるが、これらに制限されない。
容器としては、薬液への不純物混入(コンタミ)防止を目的として、容器内壁を6種の樹脂による6層構造とした多層ボトル、又は、6種の樹脂による7層構造とした多層ボトルを使用するのも好ましい。これらの容器としては、例えば、特開2015−123351号公報に記載の容器が挙げられる。
この容器の接液部は、既に説明した耐腐食材料(好ましくは電解研磨されたステンレス鋼又はフッ素系樹脂)又はガラスであってもよい。より優れた本発明の効果が得られる点で、接液部の面積の90%以上が上記材料からなるのが好ましく、接液部の全部が上記材料からなるのがより好ましい。
薬液収容体の、容器内の空隙率は、2〜80体積%が好ましく、2〜50体積%がより好ましく、5〜30体積%が更に好ましい。
なお、上記空隙率は、式(1)に従って計算される。
式(1):空隙率={1−(容器内の薬液の体積/容器の容器体積)}×100
上記容器体積とは、容器の内容積(容量)と同義である。
空隙率をこの範囲に設定することで、不純物等のコンタミを制限する事で保管安定性を確保できる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
また、実施例及び比較例の薬液の調製にあたって、容器の取り扱い、薬液の調製、充填、保管及び分析測定は、全てISOクラス2又は1を満たすレベルのクリーンルームで行った。
(フィルター)
フィルターとしては、以下のフィルターを使用した。
・フィルターA:日本フィルター株式会社の活性炭フィルター「FCC-S」(繊維)
・「Purasol 200nm」:UPEメンブレン(材質)Entegris社製、孔径200nm
・「PTFE 7nm」:ポリテトラフルオロエチレン製フィルター、Entegris社製、孔径7nm
・「UPE 1nm」:超高分子量ポリエチレン製フィルター、Pall社製、孔径1nm
・「UPE 3nm」:超高分子量ポリエチレン製フィルター、Pall社製、孔径3nm
・「UPE 5nm」:超高分子量ポリエチレン製フィルター、Pall社製、孔径5nm
・「Nylon 5nm」:ナイロン製フィルター、Pall社製、孔径5nm
<被精製物>
実施例、及び、比較例の薬液の製造のために、以下の有機溶剤を被精製物として使用した。
・PGMM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
・PGME:プロピレングリコールモノエチルエーテル
・PGMP:プロピレングリコールモノプロピプエーテル
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(なお、表中の「PGMEA(A)」〜「PGMEA(D)」は、それぞれ異なる会社より入手した4種のPGMEAを表す。)
・EL:乳酸エチル
・MPM::メトキシプロピオン酸メチル
・CyPn:シクロペンタノン
・CyHe:シクロヘキサノン
(なお、表中の「CyHe」、「CyHe(A)」〜「CyHe(D)」は、それぞれ異なる会社より入手した5種のCyHeを表す。)
・γBL:ブチロラクトン
・DIAE:ジイソアミルエーテル
・MIBC:4−メチル−2−ペンタノール
(なお、表中の「MIBC」、「MIBC(A)」〜「MIBC(D)」は、それぞれ異なる会社より入手した5種のMIBCを表す。)
・IPA:イソプロパノール
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・NMP:N−メチルピロリドン
・DEG:ジエチレングリコール
・EG:エチレングリコール
・DPG:ジプロピレングリコール
・PG:プロピレングリコール
・PC:炭酸プロピレン
・Sulfolane:スルフォラン
・2−Heptanone:2−ヘプタノン
・nBA:酢酸ブチル
(なお、表中の「nBA(A)」〜「nBA(D)」は、それぞれ異なる会社より入手した4種のnBAを表す。)
・iAA:酢酸イソアミル
・酪酸ブチル
・イソ酪酸イソブチル
・イソアミルエーテル(2.1)
・ウンデカン
・マロン酸ジメチル(10.3)
なお、括弧内の値は、イソアミルエーテル及びマロン酸ジメチルのエイコセンに対するハンセン溶解度パラメータの距離(MPa0.5)である。
<容器>
薬液を収納する容器としては、下記容器を使用した。
・EP−SUS:接液部が電解研磨されたステンレス鋼である容器
・PFA:接液部がパーフルオロアルコキシアルカンでコーティングされた容器
<精製手順>
上記被精製物から選択した1種を選択し、表1に記載の蒸留精製処理を行った。
なお、表中の「蒸留精製」欄の「有−1」は蒸留塔(理論段数:15段)を用いた常圧蒸留を実施したことを表し、「有−2」は蒸留塔(理論段数:25段)を用いた減圧蒸留を実施したことを表し、「有−3」は蒸留塔(理論段数:30段)を用いた減圧蒸留を2回実施したことを表し、「有−4」は蒸留塔(理論段数:20段)を用いた常圧蒸留を実施したことを表し、「有−5」は蒸留塔(理論段数:10段)を用いた常圧蒸留を実施したことを表し、「有−6」は蒸留塔(理論段数:8段)を用いた常圧蒸留を実施したことを表す。
ただし、表中の「蒸留精製」欄の「無」は蒸留処理を実施していないことを表し、「蒸留精製」欄が「無」である例においては、蒸留精製を行っていない。
次に、蒸留精製された被精製物を貯蔵タンクに貯蔵して、貯蔵タンクに貯蔵された被精製物を表1に記載のフィルター1及びフィルター2でろ過して、フィルター2でろ過した後の被精製物をフィルター1の上流側に循環し、再度フィルター1及びフィルター2でろ過する循環ろ過処理を実施した。
次に、フィルター1及びフィルター2を用いた循環ろ過処理が施された被精製物を、表1に記載のフィルター3及びフィルター4にこの順で通液させて、貯蔵タンクに貯蔵した。
次に、貯蔵タンクに貯蔵された被精製物を、表1に記載のフィルター5でろ過して、フィルター5でろ過した後の被精製物をフィルター5の上流側に循環し、再度フィルター5でろ過する循環ろ過処理を実施した。
循環ろ過処理の後、表1に記載の容器に所定の空隙率で収容した。
なお、上述した一連の精製の過程で、被精製物が接触する各種装置(例えば、蒸留塔、配管、貯蔵タンク等)の接液部は、電解研磨されたステンレスで構成されていた。
下記に示す方法で薬液の、有機成分及び金属成分の含有量を測定した。
<有機成分の含有量>
各種薬液における有機成分(第1有機化合物、第2有機化合物等)の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)装置(Agilent社製、GC:7890B、MS:5977B EI/CI MSD)を使用して解析した。
<金属成分の含有量>
薬液中の金属成分(金属イオン、金属粒子)の含有量は、ICP−MS及びSP−ICP−MSを用いる方法により測定した。
装置は以下の装置を使用した。
・メーカー:PerkinElmer
・型式:NexION350S
解析には以下の解析ソフトを使用した。
・“SP−ICP−MS”専用Syngistix ナノアプリケーションモジュール
・Syngistix for ICP−MS ソフトウェア
表中の「ClogP」は、有機溶剤のClogP値を表す。
表中の「純度」は、得られた薬液中における、薬液全質量に対する有機溶剤の含有量(質量%)を表す。
表中の「合計含有量1(質量ppt)」は第1有機化合物の合計含有量(質量ppt)を表し、「合計含有量2(質量ppt)」は第2有機化合物の合計含有量(質量ppt)を表す。
表中の「比1」は金属成分の含有量に対する第1有機化合物の合計含有量の比を表し、「比2」は金属粒子の含有量に対する第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比を表し、「比3」は金属イオンの含有量に対する第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比を表し、「比4」は金属成分の含有量に対する、第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比を表し、「比5」は化合物(VI)の含有量に対する、化合物(VI)以外の第1有機化合物及び第2有機化合物の合計含有量の比を表す。
表中の「空隙率」欄は、式(X)で求められる値である。
式(X):空隙率={1−(容器内の薬液の体積/容器の容器体積)}×100
上記により得られた薬液には、「化合物(I)」〜「化合物(VII)」欄に示す化合物が含まれていた。
表中の「化合物(I)」〜「化合物(VII)」欄における「種類」欄における各化合物は以下を表す。
なお、後述する各化合物のClogP値は以下の通りであった。
化合物5:ClogP 6.20
化合物6:ClogP 8.87
化合物7:ClogP −2.0〜5.0
化合物8:ClogP −3.0〜1.0
化合物9:ClogP −3.0〜1.0
化合物10:ClogP 0〜4.0
化合物11:ClogP 0〜8.0
化合物12:ClogP −0.15
化合物13:ClogP 2.25
化合物14:ClogP 4.0〜6.0
化合物15:ClogP 18.89
化合物16:ClogP 4.0〜8.0
化合物17:ClogP 4.0〜8.0
化合物18:ClogP 7.36
化合物19:ClogP 8.71
化合物20:ClogP 4.82
化合物21:ClogP 8.01
化合物22:ClogP 5.00
化合物24:ClogP 5.0〜8.5
化合物25:ClogP 5.0〜8.5
化合物26:ClogP 3.0〜4.5
化合物27:ClogP 0.78
化合物28:ClogP 8.23
化合物29:ClogP 14.23
化合物30:ClogP 4.1
化合物31:ClogP 2.7
化合物32:ClogP 0.48
化合物33:ClogP 4.26
化合物35:ClogP 6.92
化合物36:ClogP 4.34
化合物37:ClogP 3.64
Figure 2020013119
化合物8及び化合物9中のL中の*は、結合位置を表す。
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
<試験>
〔プリウェット液、リンス液〕
以下に示す方法で、製造した薬液の、プリウェット液及びリンス液として使用した場合の欠陥抑制性を評価した。
まず、直径300mmのシリコン基板に薬液をスピン吐出し、基板を回転させながら、基板の表面に対して、各薬液を0.5cc吐出した。その後、基板をスピン乾燥した。次に、KLA−Tencor社製のウェハ検査装置「SP−5」を用いて、薬液塗布後の基板に存在する欠陥数を計測した(これを計測値とする)。
次に、EDAX(energy−dispersive X−ray spectroscopy)を用いて、このウェハの欠陥のうち、粒子状の異物を、金属を主成分とする「金属残渣物欠陥」と有機物を主成分とする「粒子状有機残渣物欠陥」とに分類してそれぞれ計測した。更に、非粒子状であるシミ状の欠陥を「シミ状欠陥」として計数した。
なお、金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、及び、シミ状残渣欠陥のいずれの評価でもC評価以上であれば、薬液として要求される欠陥抑制性を含有している。
<個別評価(金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、シミ状残渣欠陥)>
A:対応する欠陥数が20個/ウェハ以下だった。
B:対応する欠陥数が20個/ウェハを超え、50個/ウェハ以下だった。
C:対応する欠陥数が50個/ウェハを超え、100個/ウェハ以下だった。
D:対応する欠陥数が100個/ウェハを超えた。
〔現像液〕
以下に示す方法で、製造した薬液の、現像液として使用した場合の欠陥抑制性を評価した。
まず、以下に示す操作によりレジストパターンを形成した。
直径300mmのシリコン基板に有機反射防止膜形成用組成物ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。
塗布性の改良のため、反射防止膜を形成したシリコンウェハの反射防止膜側の表面にプリウェット液(実施例30のCyHeを使用した。)を滴下し、スピン塗布を実施した。
次いで、上記プリウェット工程後の反射防止膜上に、後述する(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物1)、又は、(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物2)を塗布し、100℃で、60秒間に亘ってプリベーク(PB)を行い、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
なお、実施例49〜59及び比較例3〜4において(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物1)を用いて、実施例60〜70において(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物2)を用いた。
(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物1)
酸分解性樹脂(下記式で表される樹脂(重量平均分子量(Mw):7500):各繰り返し単位に記載される数値はモル%を意味する。):100質量部
Figure 2020013119
下記に示す光酸発生剤:8質量部
Figure 2020013119
下記に示すクエンチャー:5質量部(質量比は、左から順に、0.1:0.3:0.3:0.2とした。)。なお、下記のクエンチャーのうち、ポリマータイプのクエンチャーは、重量平均分子量(Mw)が5000である。また、各繰り返し単位に記載される数値はモル比を意味する。
Figure 2020013119
下記に示す疎水性樹脂:4質量部(質量比は、左から順に、0.5:0.5とした。)なお、下記の疎水性樹脂のうち、左側の疎水性樹脂は、重量平均分子量(Mw)は7000であり、右側の疎水性樹脂の重量平均分子量(Mw)は8000である。なお、各疎水性樹脂において、各繰り返し単位に記載される数値はモル比を意味する。
Figure 2020013119
溶剤:
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):3質量部
シクロヘキサノン:600質量部
γ−BL(γ−ブチロラクトン):100質量部
(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物2)
酸分解性樹脂(下記式で表される樹脂(重量平均分子量(Mw):8000)):100質量部
Figure 2020013119
なお、上記式中の各繰り返し単位の含有量は、左から順番に、全繰り返し単位に対して、30モル%、15モル%、15モル%、20モル%、及び、20モル%であった。
下記に示す光酸発生剤:15質量部
Figure 2020013119
下記に示すクエンチャー:7質量部(質量比は、左から順に、1:1とした。)
Figure 2020013119
Figure 2020013119
下記に示す疎水性樹脂:20質量部(質量比は、上から順に、3:7とした。)
なお、下記の疎水性樹脂のうち、上段の疎水性樹脂の重量平均分子量(Mw)は10000であり、下段の疎水性樹脂の重量平均分子量(Mw)は7000である。なお、下段に示す疎水性樹脂において、各繰り返し単位に記載される数値はモル比を意味する。
Figure 2020013119

Figure 2020013119
溶剤:
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):50質量部
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル):100質量部
2−ヘプタノン:100質量部
γ−BL(γ−ブチロラクトン):500質量部
レジスト膜を形成したウェハをArFエキシマレーザースキャナー(Numerical Aperture:0.75)を用い、25mJ/cmでパターン露光を行った。その後、120℃で60秒間加熱した。次いで、各現像液(薬液)で30秒間パドルして現像した。次いで、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させて、ネガ型レジストパターンを形成した。その後、得られたネガ型パターンを、200℃で300秒間加熱した。上記の工程を経て、ライン/スペースが1:1のL/Sパターン(平均パターン幅:45nm)を得た。各パターンについて、現像性及び欠陥抑制性の評価を実施した。
<欠陥抑制性>
パターン欠陥装置(日立ハイテクノロジー社製 マルチパーパスSEM(Scanning Electron Microscope) “Inspago” RS6000シリーズ)を用いて、形成されたウェハのパターンを観測し、以下の欠陥の数を測定した。
・現像不良欠陥:パターンの底部までスペースが形成されていない欠陥
・残渣物欠陥:パターン上に異物が存在する欠陥
・均一性欠陥:パターン幅が規定値に対して±1nm以上となっている欠陥
なお、現像不良欠陥、残渣物欠陥、及び、均一性欠陥のいずれの評価でもC評価以上であれば、薬液として要求される欠陥抑制性を含有している。
<個別評価(現像不良欠陥、残渣物欠陥、均一性欠陥)>
AA:対応する欠陥数が3個/ウェハ以下だった。
A:対応する欠陥数が3個/ウェハを超え、5個/ウェハ以下だった。
B:対応する欠陥数が5個/ウェハを超え、10個/ウェハ以下だった。
C:対応する欠陥数が10個/ウェハを超え、30個/ウェハ以下だった。
D:対応する欠陥数が30個/ウェハを超えた。
表1中、「用途1」は、各実施例及び比較例に記載の薬液をプリウェット液及びリンス液として用いて上記試験を実施したことを意味する。「用途2」は、各実施例及び比較例に記載の薬液を現像液として用いて上記試験を実施したことを意味する。なお、実施例75では、マロン酸ジメチルとイソアミルエーテルとが5:5(質量比)で混合している。
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
Figure 2020013119
表1中、各実施例及び比較例に係るデータは、表1[その1]<1>〜<7>、及び、表1[その2]<1>〜<7>の各行にわたって示した。例えば、実施例1においては、表1[その1]<1>に示すように、有機溶剤としてPGMMを用いて、表1[その1]<2>に示すように、薬液中の金属イオン合計量が35質量pptであり、表1[その1]<3>に示すように、薬液中の金属粒子合計量が12.3質量pptであり、表1[その1]<4>に示すように、化合物(I)の合計量が89質量pptであり、表1[その1]<5>に示すように、化合物(V)の合計量が45質量pptであり、表1[その1]<6>に示すように、比1が2.12であり、表1[その1]<7>に示すように、金属残渣物は「A」である。その他の実施例、及び、比較例についても同様である。
表に示した結果より、本発明の薬液を半導体デバイスの製造に適用した場合に、欠陥抑制性に優れることが確認された。
なかでも、実施例23、24、32、33、41、42、及び、他の実施例の比較より、金属成分の含有量が、薬液全質量に対して、0.1〜500質量pptである場合、効果がより優れていた。
また、実施例26、35、44、及び、他の実施例の比較より、合計含有量1(第1有機化合物の合計含有量)が10000質量ppt以下(好ましくは、2000質量ppt以下)である場合、効果がより優れていた。
また、実施例23、25、及び、他の実施例の比較より、比1(金属成分の含有量に対する第1有機化合物の合計含有量の比)が0.01〜10000の場合、効果がより優れていた。
≪EUV露光≫
(感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物1))
まず、レジスト組成物1を、各成分を以下の組成で混合して得た。
・樹脂(A−1):0.77g
・光酸発生剤(B−1):0.03g
・塩基性化合物(E−3):0.03g
・PGMEA(市販品、高純度グレード):67.5g
・乳酸エチル(市販品、高純度グレード):75g
・樹脂(A−1)
樹脂(A−1)としては、以下の樹脂を用いた。
Figure 2020013119
・光酸発生剤(B−1)
光酸発生剤(B−1)としては、以下の化合物を用いた。
Figure 2020013119
・塩基性化合物(E−3)
塩基性化合物(E−3)としては、以下の化合物を用いた。
Figure 2020013119
(パターンの形成及び評価)
まず、直系300mmのシリコンウェハ上にAL412(Brewer Science社製)を塗布し、200℃で60秒間ベークを行い、膜厚20nmのレジスト下層膜を形成した。その上にプリウェット液(シクロヘキサノン/FFUS社製)を塗布し、その上からレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間ベーク(PB:Prebake)を行い、膜厚30nmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜をEUV露光機(ASML社製;NXE3350、NA0.33、Dipole 90°、アウターシグマ0.87、インナーシグマ0.35)を用い、反射型マスクを介して露光した。その後、85℃にて60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、スプレー法で現像液(酢酸ブチル/FETW製)を30秒間噴霧して現像し、回転塗布法でリンス液を20秒間シリコンウェハ上に吐出してリンスした。続いて、2000rpmの回転数で40秒間シリコンウェハを回転させて、スペース幅が20nm、且つパターン線幅が15nmのラインアンドスペースのパターンを形成した。
上記リンス液としては、上述した実施例1〜48、および、71〜75で使用した薬液をそれぞれ用いた。なお、上述した、金属残渣物欠陥、粒子状有機残渣物欠陥、及び、シミ状残渣欠陥等の欠陥の評価を実施したところ、表1[その1]<7>と同様の傾向の所望の効果が得られた。

Claims (19)

  1. 有機溶剤を含有する薬液であって、
    一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第1有機化合物を含有し、
    前記第1有機化合物の合計含有量が、薬液全質量に対して、0.01〜100000質量pptである、薬液。
    Figure 2020013119

    一般式(I)中、Yは、アルキル基が置換していてもよいベンゼン環基、又は、一般式(A)で表される基を表す。
    Figure 2020013119

    Yがベンゼン環基を表す場合、sは1を表し、Lは単結合を表し、R1aは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。なお、前記アルキル基は、ヘテロ原子を含有していてもよい。前記ベンゼン環基にアルキル基が置換している場合、前記アルキル基とR1aとは互いに結合して環を形成してもよい。また、前記ベンゼン環基に複数のアルキル基が置換している場合、前記アルキル基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
    Yが一般式(A)で表される基を表す場合、sは3を表し、Lはメチレン基を表し、R1aはそれぞれ独立にアルキル基を表す。
    一般式(II)中、R2a〜R2hは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    2bとR2eとは、互いに結合して環を形成してもよい。
    2bとR2eとが互いに結合して形成する基は、−O−(−Si(R2i−O−)−である。
    aは、1以上の整数を表す。
    2iは、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    複数存在するR2iは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    一般式(III)中、R3aは、−N(R3c)R3d又は−SR3eを表す。
    3c、R3d、及び、R3eは、水素原子又は置換基を表す。
    3bは、−NH−又は−S−を表す。
  2. 更に、一般式(IV)〜一般式(VII)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2有機化合物を含有する、請求項1に記載の薬液。
    Figure 2020013119

    一般式(IV)中、Xは、置換基を含有していてもよいベンゼン環基、置換基を含有していてもよいシクロへキセン環基、又は、置換基としてシクロアルキルオキシ基を含有するシクロヘキサン環基を表す。上記シクロヘキサン環基は、さらに別の置換基を含有していてもよい。
    一般式(V)中、R5aは、置換基を含有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
    5b及びR5cは、それぞれ独立に、水素原子、−AL−O−R5d、−CO−R5e、又は、−CH(OH)−R5fを表す。
    ALは置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
    5d、R5e、及び、R5fはそれぞれ独立に、置換基を表す。
    5dが複数存在する場合、複数存在するR5dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R6eが複数存在する場合、複数存在するR5eは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R5fが複数存在する場合、複数存在するR5fは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    5aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R5d、R5e、及び、R5fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR5d同士、2つのR5e同士、又は、2つのR5f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
    5a、R5b、及び、R5cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
    一般式(VI)中、R6a及びR6bは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
    一般式(VII)中、R7a〜R7cは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。
  3. 前記第1有機化合物及び前記第2有機化合物のうち、少なくとも2種以上の化合物が含有される、請求項2に記載の薬液。
  4. 前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1種の化合物のClogP値が5以上である、請求項3に記載に薬液。
  5. 前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1種が前記一般式(VI)で表される化合物を含有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の薬液。
  6. 前記一般式(VI)で表される化合物以外の前記第1有機化合物及び前記第2有機化合物の合計含有量に対する、前記一般式(VI)で表される化合物の含有量の比が0.01〜1である、請求項5に記載の薬液。
  7. 更に、金属成分を含有し、
    前記金属成分の含有量が、薬液全質量に対して、0.1〜500質量pptである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬液。
  8. 前記金属成分の含有量に対する、前記第1有機化合物の合計含有量の比が、0.01〜10000である、請求項7に記載の薬液。
  9. 更に、金属成分を含有する、請求項2に記載の薬液。
  10. 前記金属成分の含有量に対する、前記第1有機化合物及び前記第2有機化合物の合計含有量の比が、0.01〜50000である、請求項9に記載の薬液。
  11. 前記金属成分が、金属粒子及び金属イオンを含有する、請求項9又は10に記載の薬液。
  12. 前記金属粒子の含有量に対する、前記第1有機化合物及び前記第2有機化合物の合計含有量の比が、0.01〜50000である、請求項11に記載の薬液。
  13. 前記金属イオンの含有量に対する、前記第1有機化合物及び前記第2有機化合物の合計含有量の比が、0.03〜30000である、請求項11又は12に記載の薬液。
  14. 前記有機溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ジイソアミルエーテル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、イソプロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、スルフォラン、シクロヘプタノン、2−ヘプタノン、酪酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ウンデカン、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソペンチル、エチルシクロヘキサン、メシチレン、デカン、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチル、ピルビン酸メチル、及び、シュウ酸ジメチルからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬液。
  15. 前記有機溶剤の体積抵抗率が、5,000,000Ωm以上である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬液。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液を含むプリウェット液、請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液を含む現像液、請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液を含むリンス液、請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液を含む研磨液、及び、請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液を含むレジスト膜形成用組成物からなる群から選択される2種以上を含有するキット。
  17. 容器と、前記容器に収容された請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液と、を含有し、
    前記容器内の前記薬液と接触する接液部が、電解研磨されたステンレス鋼又はフッ素系樹脂からなる、薬液収容体。
  18. 式(X)によって求められる前記容器内の空隙率が5〜30体積%である、請求項17に記載の薬液収容体。
    式(X):空隙率={1−(前記容器内の前記薬液の体積/前記容器の容器体積)}×100
  19. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬液を用いて半導体チップを製造する、半導体チップの製造方法。
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