JP7353508B2 - 固定子、電動機、圧縮機および空気調和装置 - Google Patents

固定子、電動機、圧縮機および空気調和装置 Download PDF

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Description

本開示は、固定子、電動機、圧縮機および空気調和装置に関する。
電動機の固定子のコイルの巻線形態として、分布巻が知られている。分布巻の固定子では、コイルを固定子鉄心の同スロットの内周側と外周側に配置する場合がある。この場合、内周側のコイルと外周側のコイルとでインピーダンスに不均一が生じ、銅損が発生する。
特許文献1では、インピーダンスの均一化のため、各相のコイルを、コイルエンドを互いに交差させて固定子鉄心に巻き付けることが提案されている。
特開2012-152005号公報(図5参照)
しかしながら、上記のようにコイルエンドを交差させながらコイルを巻き付ける方法では、巻線作業が複雑になる。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、巻線作業を複雑にすることなく、コイルのインピーダンスの不均一に起因する銅損を低減することを目的とする。
本発明の固定子は、いずれも環状の内周および外周と、内周に開口するスロットとを有する固定子鉄心と、固定子鉄心に分布巻で巻かれたコイルとを有する。コイルは、スロットにおいて内周側に収容された内周側コイルと、スロットにおいて外周側に配置された外周側コイルとを有する。内周側コイルおよび外周側コイルは、同一相であり、且つ並列に接続されている。内周側コイルの抵抗は、外周側コイルの抵抗よりも小さい。
本発明では、内周側コイルの抵抗が外周側コイルの抵抗よりも小さいため、これらの抵抗比をインダクタンス比に近付けることができ、これによりインピーダンスの不均一を低減し、銅損を低減することができる。また、内周側コイルと外周側コイルとでコイルエンドを交差させる必要がないため、巻線作業を複雑にすることがない。
実施の形態1の電動機を示す断面図である。 実施の形態1の固定子を示す断面図である。 実施の形態1の固定子鉄心を示す平面図である。 実施の形態1の固定子鉄心とU相コイルとを示す模式図である。 実施の形態1の各相のコイルの配置を示す平面図である。 実施の形態1の電動機の等価回路図である。 実施の形態1のU相コイルの等価回路図である。 実施の形態1の外周側コイルと内周側コイルの位相差を説明するための図である。 実施の形態1の内周側コイルと外周側コイルとの抵抗比と、コイルの全銅損に対する内部銅損の割合との関係を示すグラフである。 実施の形態1の内周側コイルと外周側コイルとの抵抗比と、コイルの全銅損に対する内部銅損の割合との関係を示すグラフである。 実施の形態2のU相コイルの内周側コイルを示す模式図である。 実施の形態2のU相コイルの内周側コイルの電線を示す模式図(A)、および外周側コイルの電線を示す模式図(B)である。 実施の形態2のU相コイルの内周側コイルの巻枠を示す斜視図である。 実施の形態2のU相コイルの内周側コイルの巻枠を示す図(A)、および外周側コイルの巻枠を示す図(B)である。 実施の形態3のU相コイルの内周側コイルとその断面を示す図(A)、および外周側コイルとその断面を示す図(B)である。 実施の形態4のU相コイルの内周側コイルとその断面を示す図(A)、および外周側コイルとその断面を示す図(B)である。 実施の形態5の固定子鉄心とU相コイルとを示す斜視図である。 実施の形態1~5の電動機が適用可能な圧縮機を示す縦断面図である。 図18の圧縮機を備えた空気調和装置を示す図である。
実施の形態1.
<電動機の構成>
図1は、実施の形態1の電動機100を示す断面図である。電動機100は、同期電動機である。電動機100は、固定子1と、固定子1の内側に回転可能に設けられた回転子5とを有する。固定子1と回転子5との間には、エアギャップが設けられている。
回転子5は、円筒状の回転子鉄心50と、回転子鉄心50に取り付けられた永久磁石55とを有する。回転子鉄心50は、例えば板厚が0.1~0.7mmの電磁鋼板を積層し、カシメ等により一体的に固定したものである。
回転子鉄心50の径方向の中心には、円形のシャフト孔53が形成されている。シャフト孔53には、回転軸であるシャフト56が圧入により固定されている。シャフト56の中心軸である軸線C1は、回転子5の回転軸をなしている。
以下では、シャフト56の軸線C1の方向を、「軸方向」と称する。また、軸線C1を中心とする円周方向(図1等に矢印R1で示す)を、「周方向」と称する。軸線C1を中心とする半径方向を、「径方向」と称する。
回転子鉄心50の外周に沿って、複数の磁石挿入孔51が周方向に等間隔に形成されている。磁石挿入孔51の数は、ここでは6個である。磁石挿入孔51は、回転子鉄心50を軸方向に貫通している。
磁石挿入孔51の内部には、永久磁石55が配置されている。永久磁石55は平板状の部材であり、軸方向に直交する断面形状は矩形状である。永久磁石55は、周方向に幅を有し、径方向に厚さを有する。1つの磁石挿入孔51には、1つの永久磁石55が配置されている。但し、1つの磁石挿入孔51に複数の永久磁石55を配置してもよい。
回転子5の極数は、磁石挿入孔51の数であり、ここでは6である。但し、回転子5の極数は、6に限定されるものではなく、2以上であればよい。磁石挿入孔51は、極中心を通る径方向の直線(磁極中心線)に直交する方向に直線状に延在している。但し、このような形態に限らず、例えばV字状に延在していてもよい。
永久磁石55は、ネオジウム(Nd)、鉄(Fe)およびボロン(B)を含む希土類焼結磁石で構成される。但し、永久磁石55は、希土類磁石に限らず、例えばフェライト磁石であってもよい。隣り合う永久磁石55は、互いに反対の磁極を外周側に向けている。
磁石挿入孔51の周方向の両端部には、空隙であるフラックスバリア52がそれぞれ形成されている。フラックスバリア52と回転子鉄心50の外周との間には、薄肉部が形成される。隣り合う磁極間の漏れ磁束を抑制するため、薄肉部の幅は、例えば電磁鋼板の板厚と同等に形成されている。
<固定子の構成>
図2は、固定子1を示す断面図である。固定子1は、固定子鉄心10と、固定子鉄心10に分布巻で巻かれたコイル2とを有する。固定子鉄心10は、例えば板厚が0.1~0.7mmの電磁鋼板を積層し、カシメ等により一体的に固定したものである。
図3は、固定子鉄心10を示す平面図である。固定子鉄心10は、環状のヨーク部11と、ヨーク部11から径方向内側に延在する複数のティース12とを有する。図3に示した例では、ティース12の数は、18である。ティース12は、その径方向内側に、回転子5(図1)に対向する先端12aを有する。ティース12の先端12aは円弧状である。
周方向に隣り合うティース12の間に、スロット13が形成される。スロット13は、ティース12に巻かれるコイル2を収容する部分である。スロット13の数は、ティース12の数と同じであり、ここでは18である。スロット13とコイル2との間には、図示しない絶縁部が設けられている。
ヨーク部11の外周11aは、軸線C1を中心とする円環状であり、固定子鉄心10の外周に相当する。ティース12の先端12aは、軸線C1を中心とする円環上に形成されており、固定子鉄心10の内周に相当する。そのため、スロット13は、固定子鉄心10の内周に開口しているということができる。
図2に戻り、固定子鉄心10に巻かれたコイル2は、第1相のコイルとしてのU相コイル2Uと、第2相のコイルとしてのV相コイル2Vと、第3相のコイルとしてのW相コイル2Wとを有する。
U相コイル2U、V相コイル2VおよびW相コイル2Wは、径方向位置が互いに異なる。ここでは、U相コイル2Uが最も径方向外側に位置し、W相コイル2Wが最も径方向内側に位置し、V相コイル2VがU相コイル2UとW相コイル2Wの間に位置している。
図4は、U相コイル2Uと固定子鉄心10とを示す模式図である。U相コイル2Uは、並列に接続された内周側コイル2Uinと外周側コイル2Uoutとを有する。内周側コイル2Uinは径方向内側に位置し、外周側コイル2Uoutは径方向外側に位置する。
U相コイル2Uの内周側コイル2Uinは、3スロットピッチで巻かれている。3スロットピッチとは、3スロット毎、言い換えると3つのティース12を跨ぐように巻かれていることを意味する。
内周側コイル2Uinにおいて3スロットピッチで巻かれた部分を、巻線部分と称する。内周側コイル2Uinは、3つの巻線部分21,22,23を有する。巻線部分21,22,23はいずれも、スロット13に挿入されるスロット挿入部201と、固定子鉄心10の端面15,16に沿って延在するコイルエンド202とを有する。
U相コイル2Uの外周側コイル2Uoutは、3スロットピッチで巻かれている。外周側コイル2Uoutは、3つの巻線部分24,25,26を有する。巻線部分24,25,26はいずれも、スロット13に挿入されるスロット挿入部203と、固定子鉄心10の端面15,16に沿って延在するコイルエンド204とを有する。
内周側コイル2Uinの巻線部分21,22,23と、外周側コイル2Uoutの巻線部分24,25,26とは、周方向に交互に配置されている。
内周側コイル2Uinのスロット挿入部201と、この内周側コイル2Uinに隣接する外周側コイル2Uoutのスロット挿入部203とは、同じスロット13に収容される。
当該スロット13内では、外周側コイル2Uoutのスロット挿入部203が径方向外側(すなわち外層)に配置され、内周側コイル2Uinのスロット挿入部201が径方向内側(すなわち内層)に配置される。
ここでは、巻線部分21,22,23は直列に接続されており、巻線部分24,25,26も直列に接続されている。但し、このような形態に限定されるものではなく、巻線部分21,22,23が並列に接続されていてもよく、巻線部分24,25,26が並列に接続されていてもよい。
図5は、固定子鉄心10におけるU相コイル2U、V相コイル2VおよびW相コイル2Wの配置を示す模式図である。U相コイル2Uの配置は、図4を参照して説明したとおりである。
V相コイル2Vは、並列に接続された内周側コイル2Vinと外周側コイル2Voutとを有する。内周側コイル2Vinは径方向内側に位置し、外周側コイル2Voutは径方向外側に位置する。但し、外周側コイル2Voutは、U相の内周側コイル2Uinよりも径方向内側に位置する。
内周側コイル2Vinおよび外周側コイル2Voutはいずれも、3スロットピッチで巻かれている。内周側コイル2Vinおよび外周側コイル2Voutは、U相の内周側コイル2Uinおよび外周側コイル2Uoutと同様に、3つずつ巻線部分を有する。
内周側コイル2Vinのスロット挿入部は、U相の内周側コイル2Uinのスロット挿入部201が挿入されるスロット13に対して周方向(ここでは反時計回り)に隣接するスロット13に挿入される。
外周側コイル2Voutのスロット挿入部は、この外周側コイル2Voutに隣接する内周側コイル2Vinのスロット挿入部と同じスロット13に収容される。当該スロット13内では、外周側コイル2Voutのスロット挿入部が外層に配置され、内周側コイル2Vinのスロット挿入部が内層に配置される。
W相コイル2Wは、並列に接続された内周側コイル2Winと外周側コイル2Woutとを有する。内周側コイル2Winは径方向内側に位置し、外周側コイル2Woutは径方向外側に位置する。但し、外周側コイル2Woutは、V相の内周側コイル2Vinよりも径方向内側に位置する。
内周側コイル2Winおよび外周側コイル2Woutはいずれも、3スロットピッチで巻かれている。内周側コイル2Winおよび外周側コイル2Woutは、U相の内周側コイル2Uinおよび外周側コイル2Uoutと同様に、3つずつ巻線部分を有する。
内周側コイル2Winのスロット挿入部は、V相の内周側コイル2Vinのスロット挿入部が挿入されるスロット13に対して周方向(ここでは反時計回り)に隣接するスロット13に挿入される。
外周側コイル2Woutのスロット挿入部は、この外周側コイル2Woutに隣接する内周側コイル2Winのスロット挿入部と同じスロット13に収容される。当該スロット13内では、外周側コイル2Woutのスロット挿入部が外層に配置され、内周側コイル2Winのスロット挿入部が内層に配置される。
コイル2の巻線工程では、インサータを用いて、U相の外周側コイル2Uout、U相の内周側コイル2Uin、V相の外周側コイル2Vout、V相の内周側コイル2Vin、W相の外周側コイル2Wout、W相の内周側コイル2Winの順に、スロット13に挿入する。そのため、巻線作業が簡単である。
図6は、電動機100の等価回路図である。U相コイル2U、V相コイル2VおよびW相コイル2Wは、インバータ90によって制御される。内周側コイル2Uin,2Vin,2WinはY結線で結線され、外周側コイル2Uout,2Vout,2WoutはY結線で結線されている。2つのY結線部分は並列に接続されている。
より具体的には、内周側コイル2Uin,2Vin,2Winの各第1の端子は中性点81に接続されている。また、内周側コイル2Uinの第2の端子82は配線91に接続され、内周側コイル2Vinの第2の端子83は配線92に接続され、内周側コイル2Winの第2の端子84は配線93に接続されている。
また、外周側コイル2Uout,2Vout,2Woutの各第1の端子は中性点85に接続されている。また、外周側コイル2Uoutの第2の端子86は配線91に接続され、外周側コイル2Voutの第2の端子87は配線92に接続され、外周側コイル2Woutの第2の端子88は配線93に接続されている。
内周側コイル2Uin,2Vin,2Winのインピーダンスは同じであり、外周側コイル2Uout,2Vout,2Woutのインピーダンスも同じである。そのため、いずれのY結線部分も3相平衡であり、中性点81,85は同電位と考えることができる。
そのため、各相のコイル2U,2V,2Wは、単純な並列回路として考えることができる。図7は、U相コイル2Uの等価回路図であり、内周側コイル2Uinと外周側コイル2Uoutとは、並列に接続されている。内周側コイル2Uinの抵抗をRinとし、インダクタンスをLinとする。外周側コイル2Uoutの抵抗をRoutとし、インダクタンスをLoutとする。
上記の通り、外周側コイル2Uoutは内周側コイル2Uinよりも径方向外側に位置するため、外周側コイル2UoutのインダクタンスLoutは内周側コイル2UinのインダクタンスLinよりも大きく、その差(Lout-Lin)は20%以上になる。言い換えると、Lout/Linは1.2以上となる。
このようにインダクタンスLin,Loutに差があると、内周側コイル2Uinと外周側コイル2Uoutとの間にインピーダンス(抵抗とインダクタンスの和)の不均一が生じる。
その結果、配線91(図6)から内周側コイル2Uinに流れる電流Iinと外周側コイル2Uoutに流れる電流Ioutとの間には、インピーダンスの不均一に起因する位相差が生じる。図8は、電流Iinと電流Ioutとの間の位相差を示すグラフであり、横軸は時間、縦軸は電流である。
電流Iinと電流Ioutとの間に位相差があると、循環電流が発生し、銅損が発生する。銅損を低減するためには、循環電流を発生させないように位相差を抑制する必要があり、位相差が0であることが最も望ましい。
以下では、内周側コイルと外周側コイルの電流Iin,Ioutの位相差を低減するための条件について説明する。なお、ここではU相コイル2Uのコイル2Uin,2Uoutについて説明するが、V相コイル2Vのコイル2Vin,2VoutおよびW相コイル2Wのコイル2Win,2Woutについても同様に考えることができる。
U相の合成電流ベクトルIに対して、内周側コイル2Uinに流れる電流Iinの比Iin/I、および外周側コイル2Uoutに流れる電流Ioutの比Iout/Iは、以下の式(1)、(2)で表すことができる。
Figure 0007353508000001
Figure 0007353508000002
ここで、Rinは内周側コイル2Uinの抵抗であり、Routは外周側コイル2Uoutの抵抗である。Zinは内周側コイル2Uinのインピーダンスであり、Zoutは外周側コイル2Uoutのインピーダンスである。
式(1),(2)から、合成電流ベクトルIに対して、内周側コイル2Uinに流れる電流Iinの位相φin、および外周側コイル2Uoutに流れる電流Ioutの位相φoutは、以下の式(3),(4)で表される。
Figure 0007353508000003
Figure 0007353508000004
ここで、Linは内周側コイル2Uinのインダクタンスであり、Loutは外周側コイル2Uoutのインダクタンスであり、ωは角周波数である。
内周側コイル2UinのインピーダンスZinと外周側コイル2UoutのインピーダンスZoutとの間に差がない理想状態では、Lin=LoutおよびRin=Routが成立する。この場合、φin=φout=0となるため、電流Iin,Ioutの位相差は生じない。
但し、内周側コイル2Uinと外周側コイル2Uoutとでは径方向位置が異なるため、インダクタンスLin,Loutを一致させることは難しい。
一方、上記の式(3),(4)から、合成電流ベクトルIに対する電流Iinの位相φinと電流Ioutの位相φoutとが等しくなる(φin=φout)条件を求めると、以下の式(5)が得られる。
Figure 0007353508000005
すなわち、外周側コイル2Uoutと内周側コイル2Uinとの抵抗の比Rout/Rinをインダクタンスの比Lout/Linと同じにすることにより、合成電流ベクトルIに対する電流Iinの位相φinと電流Ioutの位相φoutとを等しくすることができる。
このことから、抵抗比Rout/Rinをインダクタンス比Lout/Linに近づけることにより、電流Iin,Ioutの位相差(φin-φout)を0に近づけ、インピーダンスの不均一による銅損を低減できることが分かる。
図9は、抵抗比Rout/Rinと、U相コイル2Uの全銅損に対する内部銅損の割合との関係を示すグラフである。内部銅損は、並列接続されたコイル2Uin,2Uoutに位相の異なる電流Iin,Ioutが流れることで生じる銅損を言う。一方、全銅損は、コイル2Uin,2Uoutの抵抗Rin,Routとコイル2Uin,2Uoutを流れる電流Iin,Ioutの二乗との積の合計(Rin×Iin +Rout×Iout )であり、内部銅損も含む。
一般の電動機では、外周側コイル2Uoutの抵抗Routと内周側コイル2Uinの抵抗Rinが等しい(すなわちRout/Rin=1)。この場合には、U相コイル2Uの全銅損に対する内部銅損の割合(以下、単に「全銅損における内部銅損の割合」と称する)は0.41%となる。
また、Rout/Rinが1.0を超えると、全銅損における内部銅損の割合が0.41%未満となる。また、Rout/Rinが1.46を超えると、全銅損における内部銅損の割合が0.41%よりも大きくなる。
すなわち、Rout/Rinが1.0よりも大きく、1.46よりも小さい場合には、Rout=Rinである電動機よりも銅損が低減することが分かる。
ここで、上述したように、外周側コイル2Uoutと内周側コイル2Uinとのインダクタンスの差(Lout-Lin)は、一般に20%以上である。
そこで、Lout/Lin=1.2とすると、Rout/Rinの上限値である1.46は、1.217×Lout/Linと表される。すなわち、Rout=Rinである電動機よりも銅損が低減するRout/Rinの範囲は、以下の式(6)で表される。
Figure 0007353508000006
図10は、図9の縦軸の0.00~1.00%の範囲を拡大して示すグラフである。上記の通り、Rout=Rinとなる電動機では、全銅損における内部銅損の割合は0.41%(図9)であり、その半分(1/2)は0.205%である。
図10から、全銅損における内部銅損が0.205%以下に抑えられるのは、Rout/Rinが1.056以上、1.38以下の範囲である。
out/Lin=1.2とすると、下限値の1.056は0.88×Lout/Linと表され、上限値の1.38は1.15×Lout/Linと表される。そのため、全銅損における内部銅損の割合が0.205%以下に抑えられるRout/Rinの範囲は、以下の式(7)で表すことができる。
Figure 0007353508000007
また、図9において、全銅損における内部銅損の割合が最も小さいのは、Rout/Rin=1.2の場合である。すなわち、上記の式(5)が成り立つ場合に、銅損が最も低減する。
このように、コイル2Uin,2Uoutの抵抗Rin,RoutおよびインダクタンスLin,Loutが式(6)を満足することにより、Rin=Routの電動機よりも銅損が低減し、電気効率が向上する。また、式(7)を満足することにより、銅損がさらに低減し、電動機効率がさらに向上する。さらに、式(5)を満足することにより、銅損が最も低減し、電動機効率が最も向上する。
言い換えると、抵抗比Rout/Rinを1より大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近づけることにより、インピーダンスの不均一による銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
ここでは、U相コイル2Uについて説明したが、V相コイル2VおよびW相コイル2Wについても同様に考えることができる。すなわち、V相コイル2VおよびW相コイル2Wについても、抵抗比Rout/Rinを1より大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近づけることにより、銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。特に、式(5)、(6)または(7)を満足することにより、銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、実施の形態1の固定子1は、固定子鉄心10と、これに分布巻で巻かれたコイル2とを有する。コイル2は、同じスロット13内で内層に配置される内周側コイルと外層に配置される外周側コイルとを有し、内周側コイルと外周側コイルとは同一相で、且つ並列に接続されている。また、内周側コイルの抵抗Rinは外周側コイルの抵抗Routよりも小さい。そのため、外周側コイルと内周側コイルとの抵抗比Rout/Rinを1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近づけることができる。その結果、電流Iin,Ioutの位相差(φin-φout)を小さくし、インピーダンスの不均一による銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
また、内周側コイルおよび外周側コイルの抵抗Rout,RinとインダクタンスLin,Loutとが式(6)を満足することにより、Rout=Rinである電動機よりも銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
また、内周側コイルおよび外周側コイルの抵抗Rout,RinとインダクタンスLin,Loutとが式(7)を満足することにより、銅損をさらに低減し、電動機効率をさらに向上することができる。
また、内周側コイルおよび外周側コイルの抵抗Rout,RinとインダクタンスLin,Loutとが式(5)を満足することにより、電流Iin,Ioutの位相差を0にし、これにより銅損を最も低減し、電動機効率を最も向上することができる。
なお、上記の説明では、固定子鉄心10の外周側から、U相コイル2U、V相コイル2V、W相コイル2Wの順に配置されていたが、このような順序に限らず、コイル2U,2V,2Wの径方向位置が互いに異なっていればよい。
以下に説明する実施の形態2~5では、外周側コイルと内周側コイルとの抵抗比Rout/Rinをインダクタンス比Lout/Linに近づけて銅損を低減するための具体的な構成について説明する。
実施の形態2.
まず、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、外側コイルと内側コイルの周長lin,loutの設定によって、抵抗比Rout/Rinをインダクタンス比Lout/Linに近づけ、銅損の低減を図る。
一般に、コイル2の抵抗Rは、コイル2の周長lと、コイル2の電線の直径Dおよび抵抗率ρと、コイル2の1ターン当たりの電線の本数Nとを用いて、以下の式(8)のように表すことができる。
Figure 0007353508000008
図11は、内周側コイル2Uinの1つの巻線部分(例えば、図4に示した巻線部分21)を示す模式図である。図11に示した例では、内周側コイル2Uinは、一つの巻線部分につき6ターン巻かれている。
内周側コイル2Uinは、複数の電線3Uinを束ねた集合線で構成されている。同様に、外周側コイル2Uoutは、複数の電線3Uoutを束ねた集合線(図15(B)参照)で構成されている。
図12(A)は、内周側コイル2Uinの電線3Uinを示す模式図である。電線3Uinは、銅またはアルミニウムからなる導体を図示しない被膜で覆ったものである。導体の直径はDinであり、抵抗率はρinである。
図12(B)は、外周側コイル2Uoutの電線3Uoutを示す模式図である。電線3Uoutは、銅またはアルミニウムからなる導体を図示しない被膜で覆ったものである。導体の直径はDoutであり、抵抗率はρoutである。
内周側コイル2Uinの1ターン当たりの電線3Uinの本数をNin(図16(A)参照)とする。また、外周側コイル2Uoutの1ターン当たりの電線3Uoutの本数をNout(図16(B)参照)とする。
内周側コイル2Uinの抵抗Rinおよび外周側コイル2Uoutの抵抗Routは、式(7)から、以下の式(9),(10)のように表すことができる。
Figure 0007353508000009
Figure 0007353508000010
式(9),(10)で得られた抵抗Rin,Routを、位相差(φin-φout)が0となる式(5)に代入すると、以下の式(11)が得られる。
Figure 0007353508000011
ここで、コイル2Uin,2Uoutの電線3Uin,3Uoutの直径Din,Doutが同じであり、抵抗率ρin,ρoutも同じであり、1ターン当たりの本数Nin,Noutも同じである場合には、式(9),(10)から、抵抗比Rout/Rinは、周長比lout/linと等しくなる。
この実施の形態2では、コイル2Uin,2Uoutの周長比lin/loutをインダクタンス比Lout/Linに応じて設定することにより、抵抗比Rout/Rin(=lout/lin)をインダクタンス比Lout/Linに近づける。これにより電流Iin,Ioutの位相差を小さくし、銅損の低減を図る。
まず、コイル2Uin,2Uoutの周長lin,loutについて説明する。図13は、内周側コイル2Uinの巻線部分を作成するための巻枠61を示す模式図である。内周側コイル2Uinは、矩形断面を有する巻枠61の周囲に矩形状に巻き付けられ、その後、巻枠61から矢印で示すように取り外されて、インサータにより固定子鉄心10に取り付けられる。
図14(A)は、内周側コイル2Uinの周長linを説明するための模式図である。内周側コイル2Uinの巻線部分を作成するための巻枠61は、内周側コイル2Uinのスロット挿入部201に対向する2つの辺61aと、コイルエンド202に対応する2つの辺61bを有する。
巻枠61は、幅Xinおよび高さYinを有する。幅Xinは辺61bの長さであり、高さYinは辺61aの長さである。内周側コイル2Uinの周長linは、(2×Xin+2×Yin)と、内周側コイル2Uinのターン数との積で表される。
図14(B)は、外周側コイル2Uoutの周長loutを説明するための模式図である。外周側コイル2Uoutの巻線部分を作成するための巻枠62は、外周側コイル2Uoutのスロット挿入部203に対向する2つの辺62aと、コイルエンド204に対応する2つの辺62bを有する。
巻枠62は、幅Xoutおよび高さYoutを有する。幅Xoutは辺62bの長さであり、高さYoutは辺62aの長さである。外周側コイル2Uoutの周長loutは、(2×Xout+2×Yout)と、外周側コイル2Uoutのターン数との積で表される。
実施の形態2では、上記の通り、コイル2Uin,2Uoutの電線3Uin,3Uoutの直径Din,Doutが同じであり、抵抗率ρin,ρoutも同じであり、1ターン当たりの本数Nin,Noutも同じであるため、式(9),(10)から、抵抗比Rout/Rinは周長比lout/linと等しい。
内周側コイル2Uinの周長linを外周側コイル2Uoutの周長loutよりも短くすることで、周長比lout/linが1よりも大きくなる。これにより、抵抗比Rout/Rin(=lout/lin)をインダクタンス比Lout/Linに近づけることができる。その結果、電流Iin,Ioutの位相差を小さくし、銅損を低減することができる。
また、抵抗比Rout/Rinが周長比lout/linと等しいため、式(6)は、以下の式(12)のように変形することができる。
Figure 0007353508000012
また、式(7)は、以下の式(13)のように変形することができる。
Figure 0007353508000013
また、式(5)は、以下の式(14)のように変形することができる。
Figure 0007353508000014
すなわち、コイル2Uin,2Uoutの周長lin,loutおよびインダクタンスLin,Loutが式(12)を満足することにより、Rout=Rinである電動機よりも銅損が低減し、電動機効率が向上する。また、式(13)を満足することにより、銅損がさらに低減し、電動機効率がさらに向上する。さらに、式(14)を満足することにより、銅損が最も低減し、電動機効率が最も向上する。
ここでは、U相コイル2Uについて説明したが、V相コイル2VおよびW相コイル2Wについても同様に考えることができる。
以上説明したように、実施の形態2では、内周側コイルの周長linが外周側コイルの周長loutよりも短く、従ってlout/linが1よりも大きい。そのため、抵抗比Rout/Rinを1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近づけることができる。その結果、インピーダンスの不均一による銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
また、実施の形態2では、内周側コイルと外周側コイルとで、電線の直径Din,Dout、抵抗率ρin,ρoutおよび本数Nin,Noutをいずれも同じにすることができる。そのため、内周側コイルおよび外周側コイルに同一種類のコイルを用いることができ、製造コストの低減を図ることができる。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、内周側コイルと外周側コイルの電線3Uin,3Uoutの直径Din,Doutの設定によって、抵抗比Rout/Rinをインダクタンス比Lout/Linに近づけ、銅損の低減を図る。
図15(A)は、内周側コイル2Uinの電線3Uinの直径Dinを説明するための模式図であり、図15(B)は、外周側コイル2Uoutの電線3Uoutの直径Doutを説明するための模式図である。図15(A),(B)に示すように、電線3Uinの直径Dinは、電線3Uoutの直径Doutよりも大きい(Din>Dout)。
実施の形態3では、コイル2Uin,2Uoutの周長lin,loutは同じであり、抵抗率ρin=ρoutも同じであり、1ターン当たりの電線3Uin,3Uoutの本数Nin,Noutも同じである。そのため、式(9),(10)から、抵抗比Rout/Rinは、線径の二乗の比Din /Dout と等しい。
上記の通り、内周側コイル2Uinの電線3Uinの直径Dinは外周側コイル2Uoutの電線3Uoutの線径Doutよりも大きく、従ってDin /Dout は1よりも大きい。そのため、Rout/Rin(=Din /Dout )を1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近付けることができる。その結果、電流Iin,Ioutの位相差を小さくし、インピーダンスの不均一による銅損を低減することができる。
内周側コイル2Uinの電線3Uinの導体面積は(Din/2)×πで表され、外周側コイル2Uoutの電線3Uoutの導体面積は(Dout/2)×πで表される。そのため、この実施の形態3では、内周側コイル2Uinの電線3Uinの断面積が、外周側コイル2Uoutの電線3Uoutの断面積よりも大きいと言うこともできる。
また、抵抗比Rout/Rinが線径の二乗の比Din /Dout と等しいため、式(6)は、以下の式(15)のように変形することができる。
Figure 0007353508000015
また、式(7)は、以下の式(16)のように変形することができる。
Figure 0007353508000016
また、式(5)は、以下の式(17)のように変形することができる。
Figure 0007353508000017
すなわち、コイル2Uin,2Uoutの電線3Uin,3Uoutの直径Din,DoutとインダクタンスLin,Loutとが式(15)を満足することにより、Rout=Rinである電動機よりも銅損が低減し、電動機効率が向上する。また、式(16)を満足することにより、銅損がさらに低減し、電動機効率がさらに向上する。さらに、式(17)を満足することにより、銅損が最も低減し、電動機効率が最も向上する。
ここでは、U相コイル2Uについて説明したが、V相コイル2VおよびW相コイル2Wについても同様に考えることができる。
以上説明したように、実施の形態3では、内周側コイルの電線の直径(線径)Dinが外周側コイルの電線の直径Doutよりも大きく、従ってDin /Dout が1よりも大きい。そのため、抵抗比Rout/Rinを1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近付けることができる。その結果、インピーダンスの不均一による銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4では、内周側コイル2Uinと外周側コイル2Uoutの電線3Uin,3Uoutの本数Nin,Noutの設定によって、抵抗比Rout/Rinをインダクタンス比Lout/Linに近づけ、銅損の低減を図る。
図16(A)は、内周側コイル2Uinの1ターン当たりの電線3Uinの本数Ninを説明するための模式図である。図16(B)は、外周側コイル2Uoutの1ターン当たりの電線3Uoutの本数Noutを説明するための模式図である。
図16(A),(B)に示すように、内周側コイル2Uinの1ターン当たりの電線3Uinの本数Ninは、外周側コイル2Uoutの1ターン当たりの電線3Uoutの本数Noutよりも大きい(Nin>Nout)。
実施の形態4では、コイル2Uin,2Uoutの電線3Uin,3Uoutの直径Din,Doutは同じであり、抵抗率ρin,ρoutも同じであり、周長lin,loutも同じである。そのため、式(9),(10)から、抵抗比Rout/Rinは、本数比Nin/Noutと等しい。
上記の通り、内周側コイル2Uinの1ターン当たりの電線3Uinの本数Ninは外周側コイル2Uoutの1ターン当たりの電線3Uoutの本数Noutよりも大きく、従ってNin/Noutは1よりも大きい。そのため、Rout/Rin(=Nin/Nout)を1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近付けることができる。その結果、電流Iin,Ioutの位相差を小さくし、インピーダンスの不均一による銅損を低減することができる。
また、抵抗比Rout/Rinが本数比Nin/Noutと等しいため、式(6)は、以下の式(18)のように変形することができる。
Figure 0007353508000018
また、式(7)は、以下の式(19)のように変形することができる。
Figure 0007353508000019
また、式(5)は、以下の式(20)のように変形することができる。
Figure 0007353508000020
すなわち、コイル2Uin,2Uoutの1ターン当たりの電線3Uin,3Uoutの本数Nin,NoutとインダクタンスLin,Loutとが式(18)を満足することにより、Rout=Rinである電動機よりも銅損が低減し、電動機効率が向上する。また、式(19)を満足することにより、銅損がさらに低減し、電動機効率がさらに向上する。さらに、式(20)を満足することにより、銅損が最も低減し、電動機効率が最も向上する。
ここでは、U相コイル2Uについて説明したが、V相コイル2VおよびW相コイル2Wについても同様に考えることができる。
以上説明したように、実施の形態4では、内周側コイル2Uinの1ターン当たりの電線3Uinの本数Ninが外周側コイル2Uoutの1ターン当たりの電線3Uoutの本数Noutよりも大きく、従ってNout/Ninが1よりも大きい。そのため、抵抗比Rout/Rinを1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近付けることができる。その結果、インピーダンスの不均一による銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
実施の形態5.
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態5では、内周側コイル4Uinと外周側コイル4Uoutの電線の抵抗率ρin,ρoutの設定により、抵抗比Rout/Rinをインダクタンス比Lout/Linに近づけ、銅損の低減を図る。
図17は、実施の形態5の固定子鉄心10とU相コイル4Uとを示す斜視図である。実施の形態5では、U相コイル4Uの内周側コイル4Uinを構成する電線と、外周側コイル4Uoutを構成する電線とが異なる材質で構成されており、従って抵抗率ρin,ρoutが異なる。
実施の形態5では、内周側コイル4Uinの電線が銅線で構成され、外周側コイル4Uoutの電線がアルミニウム線で構成されている。そのため、内周側コイル4Uinの電線の抵抗率ρinは、外周側コイル4Uoutの電線の抵抗率ρoutよりも小さい(ρin<ρout)。
実施の形態5では、コイル4Uin,4Uoutの周長lin,loutは同じであり、電線の直径Din,Doutも同じであり、1ターン当たりの本数Nin,Noutも同じである。そのため、式(9),(10)から、抵抗比Rout/Rinは、抵抗率比ρout/ρinと等しい。
上記の通り、内周側コイル4Uinの電線の抵抗率ρinが外周側コイル4Uoutの電線の抵抗率ρoutよりも小さく、従ってρout/ρinは1よりも大きい。そのため、抵抗比Rout/Rin(=ρout/ρin)を1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近付けることができる。その結果、電流Iin,Ioutの位相差を小さくし、インピーダンスの不均一による銅損を低減することができる。
また、抵抗比Rout/Rinが抵抗率比ρout/ρinと等しいため、式(6)は、以下の式(21)のように変形することができる。
Figure 0007353508000021
また、式(7)は、以下の式(22)のように変形することができる。
Figure 0007353508000022
また、式(5)は、以下の式(23)のように変形することができる。
Figure 0007353508000023
すなわち、コイル4Uin,4Uoutの電線の抵抗率ρin,ρoutとインダクタンスLin,Loutとが式(21)を満足することにより、Rout=Rinである電動機よりも銅損が低減し、電動機効率が向上する。また、式(22)を満足することにより、銅損がさらに低減し、電動機効率がさらに向上する。さらに、式(23)を満足することにより、銅損が最も低減し、電動機効率が最も向上する。
ここでは、U相コイル4Uについて説明したが、V相コイルおよびW相コイルについても同様に考えることができる。また、内周側コイルの電線と外周側コイルの電線は、アルミニウム線と銅線の組み合わせに限らず、内周側コイルの電線の抵抗率が外周側コイルの電線の抵抗率よりも小さければよい。
以上説明したように、実施の形態4では、内周側コイルの電線の抵抗率ρinが外周側コイルの電線の抵抗率ρoutよりも小さく、従ってρout/ρinが1よりも大きい。そのため、抵抗比Rout/Rinを1よりも大きくし、インダクタンス比Lout/Linに近付けることができる。その結果、インピーダンスの不均一による銅損を低減し、電動機効率を向上することができる。
なお、実施の形態2~5は、内周側コイルの抵抗Rinが外周側コイルの抵抗Routよりも小さくなるように、適宜組み合わせることが可能である。
<圧縮機>
次に、各実施の形態で説明した電動機が適用可能な圧縮機300について説明する。図18は、圧縮機300を示す断面図である。圧縮機300は、ここではスクロール圧縮機であるが、これに限定されるものではない。圧縮機300は、密閉容器307と、密閉容器307内に配設された圧縮機構305と、圧縮機構305を駆動する電動機100と、圧縮機構305と電動機100とを連結するシャフト56と、シャフト56の下端部を支持するサブフレーム308とを備えている。
圧縮機構305は、渦巻部分を有する固定スクロール301と、固定スクロール301の渦巻部分との間に圧縮室を形成する渦巻部分を有する揺動スクロール302と、シャフト56の上端部を保持するコンプライアンスフレーム303と、密閉容器307に固定されてコンプライアンスフレーム303を保持するガイドフレーム304とを備える。
固定スクロール301には、密閉容器307を貫通する吸入管310が圧入されている。また、密閉容器307には、固定スクロール301から吐出される高圧の冷媒ガスを外部に吐出する吐出管311が設けられている。この吐出管311は、密閉容器307の圧縮機構305と電動機100との間に設けられた図示しない開口部に連通している。
電動機100は、固定子1を密閉容器307に嵌め込むことにより密閉容器307に固定されている。電動機100の構成は、上述した通りである。密閉容器307には、電動機100に電力を供給するガラス端子309が溶接により固定されている。
電動機100が回転すると、その回転が揺動スクロール302に伝達され、揺動スクロール302が揺動する。揺動スクロール302が揺動すると、揺動スクロール302の渦巻部分と固定スクロール301の渦巻部分とで形成される圧縮室の容積が変化する。そして、吸入管310から冷媒ガスを吸入し、圧縮して、吐出管311から吐出する。
圧縮機300の電動機100は、各実施の形態で説明した電動機が適用可能であり、従って高い電動機効率を有する。そのため、圧縮機300の運転効率を向上することができる。
<空気調和装置>
次に、上述した各実施の形態で説明した電動機が適用可能な空気調和装置400について説明する。図19は、空気調和装置400(冷凍サイクル装置)を示す図である。空気調和装置400は、圧縮機401と、凝縮器402と、絞り装置(減圧装置)403と、蒸発器404とを備えている。圧縮機401、凝縮器402、絞り装置403および蒸発器404は、冷媒配管407によって連結されて冷凍サイクルを構成している。すなわち、圧縮機401、凝縮器402、絞り装置403および蒸発器404の順に、冷媒が循環する。
圧縮機401、凝縮器402および絞り装置403は、室外機410に設けられている。圧縮機401は、図18に示した圧縮機300で構成されている。室外機410には、凝縮器402に室外の空気を供給する室外送風機405が設けられている。蒸発器404は、室内機420に設けられている。室内機420には、蒸発器404に室内の空気を供給する室内送風機406が設けられている。
空気調和装置400の動作は、次の通りである。圧縮機401は、吸入した冷媒を圧縮して送り出す。凝縮器402は、圧縮機401から流入した冷媒と室外の空気との熱交換を行い、冷媒を凝縮して液化させて冷媒配管407に送り出す。室外送風機405は、凝縮器402に室外の空気を供給する。絞り装置403は、冷媒配管407を流れる冷媒の圧力を調整する。
蒸発器404は、絞り装置403により低圧状態にされた冷媒と室内の空気との熱交換を行い、冷媒に空気の熱を奪わせて蒸発(気化)させて、冷媒配管407に送り出す。室内送風機406は、蒸発器404に室内の空気を供給する。これにより、蒸発器404で熱が奪われた冷風が、室内に供給される。
圧縮機401(すなわち圧縮機300)の電動機100は、各実施の形態で説明した電動機が適用可能であり、従って高い電動機効率を有する。そのため、圧縮機401の運転効率を向上し、これにより空気調和装置400の運転効率を向上することができる。
以上、本発明の望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良または変形を行なうことができる。
1,1A 固定子、 2 コイル、 2U,4U U相コイル、 2V V相コイル、 2W W相コイル、 2Uin,2Vin,2Win,4Uin 内周側コイル、 2Uout,2Vout,2Wout,4Uout 外周側コイル、 3Uin 電線、 3Uout 電線、 5 回転子、 10 固定子鉄心、 11 ヨーク部、 12 ティース、 13 スロット、 50 回転子鉄心、 51 磁石挿入孔、 55 永久磁石、 56 シャフト、 61,62 巻枠、 90 インバータ、 100 電動機、 201,203 スロット挿入部、 202,204 コイルエンド、 300,401 圧縮機、 305 圧縮機構、 307 密閉容器、 400 空気調和装置、 402 凝縮器、 403 絞り装置、 404 蒸発器、 410 室外機、 420 室内機。

Claims (15)

  1. いずれも環状の内周および外周と、前記内周に開口するスロットとを有する固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心に分布巻で巻かれたコイルと
    を有し、
    前記コイルは、前記スロットにおいて内周側に収容された内周側コイルと、前記スロットにおいて外周側に配置された外周側コイルとを有し、
    前記内周側コイルおよび前記外周側コイルは、同一相であり、且つ並列に接続され、
    前記内周側コイルの抵抗が、前記外周側コイルの抵抗よりも小さ
    固定子。
  2. 前記外周側コイルのインダクタンスLoutおよび抵抗Routと、前記内周側コイルのインダクタンスLinおよび抵抗Rinとが、
    Figure 0007353508000024
    を満足する
    請求項1に記載の固定子。
  3. 前記外周側コイルのインダクタンスLoutおよび抵抗Routと、前記内周側コイルのインダクタンスLinおよび抵抗Rinとが、
    Figure 0007353508000025
    を満足する
    請求項1または2に記載の固定子。
  4. 前記外周側コイルのインダクタンスLoutおよび抵抗Routと、前記内周側コイルのインダクタンスLinおよび抵抗Rinとが、
    Figure 0007353508000026
    を満足する
    請求項1から3までの何れか1項に記載の固定子。
  5. 前記内周側コイルの周長が、前記外周側コイルの周長よりも短い
    請求項1から4までの何れか1項に記載の固定子。
  6. 前記内周側コイルの電線の断面積は、前記外周側コイルの電線の断面積よりも大きい
    請求項1から5までの何れか1項に記載の固定子。
  7. 前記内周側コイルの電線の線径は、前記外周側コイルの電線の線径よりも大きい
    請求項1から6までの何れか1項に記載の固定子。
  8. 前記内周側コイルの1ターン当たりの電線の本数は、前記外周側コイルの1ターン当たりの電線の本数よりも多い
    請求項1から7までの何れか1項に記載の固定子。
  9. 前記内周側コイルの電線の抵抗率は、前記外周側コイルの電線の抵抗率よりも小さい
    請求項1から8までの何れか1項に記載の固定子。
  10. 前記内周側コイルの電線は銅線である
    請求項9に記載の固定子。
  11. 前記外周側コイルの電線はアルミニウム線である
    請求項9または10に記載の固定子。
  12. 前記コイルは、第1相のコイル、第2相のコイルおよび第3相のコイルを有し、
    前記第1相のコイル、前記第2相のコイル、および前記第3相のコイルは、いずれも、前記内周側コイルおよび前記外周側コイルを有する
    請求項1から11までの何れか1項に記載の固定子。
  13. 請求項1から12までの何れか1項に記載の固定子と、
    前記固定子の内側に回転可能に設けられた回転子と
    を備えた電動機。
  14. 請求項13に記載の電動機と、
    前記電動機によって駆動される圧縮機構と
    を備えた圧縮機。
  15. 請求項14に記載の圧縮機と、凝縮器と、減圧装置と、蒸発器とを備えた
    空気調和装置。
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