JP7353106B2 - 保持装置 - Google Patents

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Description

本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、例えばセラミックスを含む材料により形成された板状部材と、例えば金属により形成されたベース部材と、例えば樹脂を含む材料により形成され、板状部材とベース部材とを接合する接合部と、板状部材の内部に設けられたチャック電極とを備えている。静電チャックは、チャック電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、板状部材の表面にウェハを吸着して保持する。
従来、静電チャックにおいて、接合部の外周面がプラズマやプロセスガス等に晒されて、接合部が劣化することを抑制するために、接合部の外周面を保護するOリングが配置された構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-208562号公報
上記従来の構成では、Oリング自らを内側方向に押し付けて固定するための十分な張力を得るために、Oリングの形成材料として、比較的硬い弾性材料を用いる必要がある。しかしながら、Oリングの形成材料として比較的硬い弾性材料を用いると、Oリングが潰れにくく、かつ、Oリングが板状部材やベース部材の表面の微細な凹凸に追従しにくくなるため、Oリングと板状部材やベース部材との接触面積が低下すると共に、両者の密着性が低下する。その結果、Oリングによる封止性能が低下し、静電チャックの周囲空間に存在するプラズマやプロセスガス等が接合部の外周面付近に侵入して接合部が劣化することを抑制することができない、という課題がある。
なお、このような課題は、静電引力を利用してウェハを保持する静電チャックに限らず、板状部材と、ベース部材と、両者を接合する接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する保持装置一般に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される保持装置は、第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有し、セラミックスを含む材料により形成された板状部材と、第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置されたベース部材と、前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置である。本保持装置において、前記板状部材の前記第2の表面側には、外周に沿って連続した切り欠きであって、前記板状部材の外周面に連続する外周面側表面と、前記板状部材における前記接合部との接触面に連続する接触面側表面と、を有する切り欠きが形成されており、前記ベース部材の前記第3の表面には、外周に沿って連続した切り欠きであって、前記ベース部材の外周面に連続する外周面側表面と、前記ベース部材における前記接合部との接触面に連続する接触面側表面と、を有する切り欠きが形成されており、前記保持装置は、さらに、前記第1の方向に直交する方向において前記接合部の外周面に対向する特定部分と、前記特定部分に連続すると共に、前記板状部材の前記切り欠きの前記接触面側表面の少なくとも一部分に当接する板状部材当接部分と、前記特定部分に連続すると共に、前記ベース部材の前記切り欠きの前記接触面側表面の少なくとも一部分に当接するベース部材当接部分と、を有し、エラストマーにより形成された内側保護部材と、前記内側保護部材の外周を取り囲むように配置され、前記内側保護部材を前記前記第1の方向に直交する方向における内側方向に押圧している外側保護部材と、を備える。本保持装置では、外側保護部材の押圧力により、内側保護部材の板状部材当接部分が、板状部材の切り欠きの接触面側表面に押し付けられて当接し、かつ、内側保護部材のベース部材当接部分が、ベース部材の切り欠きの接触面側表面に押し付けられて当接し、それらの当接箇所における接触面積を大きくすることができると共に、それらの当接箇所における密着性を向上させることができる。従って、本保持装置によれば、内側保護部材による封止性能を向上させることができ、保持装置の周囲空間に存在するプラズマやプロセスガスが接合部の外周面付近に侵入して接合部が劣化することを抑制することができる。
(2)上記保持装置において、前記内側保護部材の前記板状部材当接部分は、前記板状部材の前記切り欠きの前記外周面側表面の少なくとも一部分にも当接し、前記内側保護部材の前記ベース部材当接部分は、前記ベース部材の前記切り欠きの前記外周面側表面の少なくとも一部分にも当接する構成としてもよい。本保持装置では、内側保護部材と板状部材およびベース部材との当接箇所を増やすことによって、内側保護部材による封止性能をさらに向上させることができる。従って、本保持装置によれば、保持装置の周囲空間に存在するプラズマやプロセスガスが接合部の外周面付近に侵入して接合部が劣化することを効果的に抑制することができる。
(3)上記保持装置において、前記外側保護部材は、前記前記第1の方向に直交する方向視で、少なくとも前記内側保護部材の前記特定部分の全体と重なるように配置されている構成としてもよい。本保持装置では、外側保護部材によって内側保護部材を効果的に押圧することができ、内側保護部材と板状部材およびベース部材との当接による封止性能を効果的に向上させることができる。従って、本保持装置によれば、保持装置の周囲空間に存在するプラズマやプロセスガスが接合部の外周面付近に侵入して接合部が劣化することをさらに効果的に抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図 本実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図 本実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図
A.実施形態:
A-1.静電チャック100の構成:
図1は、本実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、本実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される半導体製造装置用部品である。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された板状部材10およびベース部材20を備える。板状部材10とベース部材20とは、板状部材10の下面S2(図2参照)とベース部材20の上面S3とが、後述する接合部30を挟んで上記配列方向に対向するように配置されている。すなわち、ベース部材20は、ベース部材20の上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されている。板状部材10の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。
板状部材10は、Z軸方向視で略円形の板状の部材であり、セラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)を含む材料により形成されている。なお、本実施形態では、板状部材10は、セラミックスを主成分として含む材料により形成されている。本明細書において、主成分とは、体積含有率が最も高い成分を意味する。板状部材10は、外周に沿って上側に切り欠きが形成された部分である外周部OPと、外周部OPの内側に位置する内側部IPとから構成されている。板状部材10における内側部IPの厚さ(Z軸方向における厚さであり、以下同様。)は、外周部OPに形成された切り欠きの分だけ、外周部OPの厚さより厚くなっている。すなわち、板状部材10の外周部OPと内側部IPとの境界の位置で、板状部材10の厚さが変化している。
板状部材10の内側部IPの直径は例えば50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、板状部材10の外周部OPの直径は例えば60mm~510mm程度(通常は210mm~360mm程度)である(ただし、外周部OPの直径は内側部IPの直径より大きい)。また、板状部材10の内側部IPの厚さは例えば1mm~10mm程度であり、板状部材10の外周部OPの厚さは例えば0.5mm~9.5mm程度である(ただし、外周部OPの厚さは内側部IPの厚さより薄い)。
板状部材10の上面S1のうち、内側部IPにおける上面(以下、「吸着面」ともいう。)S11は、Z軸方向に略直交する略円形の表面である。吸着面S11は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。なお、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」という。
板状部材10の上面S1のうち、外周部OPにおける上面(以下、「外周上面」ともいう。)S12は、Z軸方向に略直交する略円環状の表面である。板状部材10の外周上面S12には、例えば、静電チャック100を固定するための治具(不図示)が係合する。
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。Z軸方向視でのチャック電極40の形状は、例えば略円形である。チャック電極40にチャック用電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部材10の吸着面S11に吸着固定される。
板状部材10の内部には、また、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)を含む抵抗発熱体により構成されたヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50にヒータ用電源(不図示)から電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱することによって板状部材10が温められ、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
ベース部材20は、例えば板状部材10の外周部OPと同径の、または、板状部材10の外周部OPより径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材20の直径は例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm)であり、ベース部材20の厚さは例えば20mm~40mm程度である。
ベース部材20は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。接合部30の厚さは、例えば0.1mm~1mm程度である。本実施形態では、接合部30は、樹脂材料(接着材料)を主成分として含んでいる。接合部30に含まれる樹脂材料としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の種々の樹脂材料を用いることができるが、耐熱性が高く、かつ、柔軟な樹脂材料であるシリコーン樹脂やフッ素樹脂を用いることが好ましい。また、接合部30は、樹脂材料に加えて、例えばセラミックスの充填材(フィラー)を含んでいてもよい。
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により板状部材10が冷却され、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
また、静電チャック100は、プラズマやプロセスガスから接合部30を保護するための内側保護部材110および外側保護部材120を備える。これらの構成については、次の「A-2.接合部30の外周面31の周辺の詳細構成」において説明する。
A-2.接合部30の外周面31の周辺の詳細構成:
次に、接合部30の外周面31の周辺の詳細構成について説明する。図3は、本実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図である。図3には、図2のX1部のXZ断面構成が拡大して示されている。本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向視での静電チャック100の中心を通り、Z軸方向に平行な任意の断面において、図3に示す構成と同様の構成となっている。
図3に示すように、板状部材10の下面S2側には、外周に沿って連続した切り欠き180が形成されている。板状部材10の切り欠き180は、板状部材10の(外周部OPの)の外周面S5に連続する外周面側表面182と、板状部材10における接合部30との接触面に連続する接触面側表面181とを有する。なお、本実施形態では、板状部材10の切り欠き180における外周面側表面182はZ軸方向に略直交し、接触面側表面181はZ軸方向に略平行である。
また、ベース部材20の上面S3側には、外周に沿って連続した切り欠き280が形成されている。ベース部材20の切り欠き280は、ベース部材20の外周面S6に連続する外周面側表面282と、ベース部材20における接合部30との接触面に連続する接触面側表面281とを有する。なお、本実施形態では、ベース部材20の切り欠き280における外周面側表面282はZ軸方向に略直交し、接触面側表面281はZ軸方向に略平行である。
なお、本実施形態では、面方向における接合部30の外周面31の位置は、板状部材10の切り欠き180の接触面側表面181、および、ベース部材20の切り欠き280の接触面側表面281の位置に対して、同一であるか、または後退している。
また、上述したように、静電チャック100は、プラズマやプロセスガスから接合部30を保護するための内側保護部材110を備える。内側保護部材110は、Z軸方向視で貫通孔が形成された略円環状の部材である。内側保護部材110は、エラストマー(例えば、合成ゴム)により形成されている。なお、内側保護部材110の形成材料は、弾性を有し、かつ、耐プラズマ性、耐熱性、耐薬品性に優れた材料であることが好ましい。内側保護部材110の形成材料は、比較的柔らかい材料であることが好ましい。
内側保護部材110は、面方向(Z軸に直交する方向)において接合部30の外周面31に対向する特定部分113を備える。また、内側保護部材110は、特定部分113に対して上側に連続すると共に、板状部材10の切り欠き180の接触面側表面181の少なくとも一部分に当接する板状部材当接部分111を備える。本実施形態では、内側保護部材110の板状部材当接部分111は、板状部材10の切り欠き180の外周面側表面182の少なくとも一部分にも当接している。さらに、内側保護部材110は、特定部分113に対して下側に連続すると共に、ベース部材20の切り欠き280の接触面側表面281の少なくとも一部分に当接するベース部材当接部分112を備える。本実施形態では、内側保護部材110のベース部材当接部分112は、ベース部材20の切り欠き280の外周面側表面282の少なくとも一部分にも当接している。
また、上述したように、静電チャック100は、プラズマやプロセスガスから接合部30を保護するための外側保護部材120を備える。外側保護部材120は、Z軸方向視で貫通孔が形成された略円環状の部材である。外側保護部材120は、例えばエラストマー(例えば、合成ゴム)により形成されている。なお、外側保護部材120の形成材料は、弾性を有し、かつ、耐プラズマ性、耐熱性、耐薬品性に優れた材料であることが好ましい。外側保護部材120の形成材料は、比較的硬い材料(例えば、内側保護部材110の形成材料より硬い材料)であることが好ましい。
外側保護部材120は、内側保護部材110の外周を取り囲むように配置されており、内側保護部材110を面方向における内側方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)に押圧している(図3の破線矢印参照)。なお、外側保護部材120による内側保護部材110の押圧は、例えば、設置前の外側保護部材120のZ軸方向視での大きさ(外径)を設置後の外側保護部材120の大きさ(外径)より小さく設定し、外側保護部材120を設置した際に外側保護部材120に張力が生じるようにすることにより、実現することができる。すなわち、外側保護部材120が内側保護部材110の外周を囲むように設置された状態において外側保護部材120に張力が生じていれば、外側保護部材120は内側保護部材110を押圧していると言える。また、外側保護部材120を取り外したときのZ軸方向視での大きさ(外径)が、外側保護部材120が内側保護部材110の外周を囲むように設置された状態の大きさ(外径)より小さければ、設置された状態の外側保護部材120は内側保護部材110を押圧していると言える。
本実施形態では、外側保護部材120は、面方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)視で、少なくとも内側保護部材110の特定部分113の全体と重なるように配置されている。なお、図3に示すように、外側保護部材120は、面方向視で、内側保護部材110の特定部分113の全体と、内側保護部材110の板状部材当接部分111における下側の一部分と、内側保護部材110のベース部材当接部分112における上側の一部分とに重なるように配置されていることが好ましい。すなわち、外側保護部材120の上面と板状部材10の切り欠き180の外周面側表面182との間、および、外側保護部材120の下面とベース部材20の切り欠き280の外周面側表面282との間には、隙間が存在していることが好ましい。
以上説明した接合部30の外周面31の周辺の構成を有する静電チャック100は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、板状部材10の切り欠き180およびベース部材20の切り欠き280は、板状部材10およびベース部材20に対する加工(例えば、マシニング加工)を行うことにより形成することができる。板状部材10とベース部材20とを接合部30により接合した後、板状部材10の切り欠き180とベース部材20の切り欠き280との間に挟まれた空間に、内側保護部材110を配置する。この段階では、内側保護部材110は、板状部材10の切り欠き180の表面(接触面側表面181および外周面側表面182)やベース部材20の切り欠き280の表面(接触面側表面281および外周面側表面282)に、当接していてもよいし当接していなくてもよい。次に、内側保護部材110の外周を取り囲むように外側保護部材120を配置する。具体的には、外側保護部材120を周方向に力を加えて引き延ばした状態で内側保護部材110の外周側に配置し、その後、該力を除くことによって外側保護部材120が内側保護部材110を内側方向に押圧した状態を形成する。外側保護部材120により押圧されることにより、内側保護部材110は弾性変形し、板状部材10の切り欠き180の表面(接触面側表面181および外周面側表面182)に当接する板状部材当接部分111が形成されると共に、ベース部材20の切り欠き280の表面(接触面側表面281および外周面側表面282)に当接するベース部材当接部分112が形成される。
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向に略直交する吸着面S11と、吸着面S11とは反対側の下面S2と、を有し、セラミックスを含む材料により形成された板状部材10と、上面S3を有し、上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されたベース部材20と、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置されて板状部材10とベース部材20とを接合する接合部30とを備え、板状部材10の吸着面S11上に対象物であるウェハWを保持する装置である。
また、図3に示すように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の下面S2側には、外周に沿って連続した切り欠き180が形成されている。板状部材10の切り欠き180は、板状部材10の外周面S5に連続する外周面側表面182と、板状部材10における接合部30との接触面に連続する接触面側表面181とを有する。また、ベース部材20の上面S3側には、外周に沿って連続した切り欠き280が形成されている。ベース部材20の切り欠き280は、ベース部材20の外周面S6に連続する外周面側表面282と、ベース部材20における接合部30との接触面に連続する接触面側表面281とを有する。
また、本実施形態の静電チャック100は、さらに、内側保護部材110と外側保護部材120とを備える。内側保護部材110は、エラストマーにより形成されている。内側保護部材110は、面方向(Z軸に直交する方向)において接合部30の外周面31に対向する特定部分113と、特定部分113に連続すると共に、板状部材10の切り欠き180の接触面側表面181の少なくとも一部分に当接する板状部材当接部分111と、特定部分113に連続すると共に、ベース部材20の切り欠き280の接触面側表面281の少なくとも一部分に当接するベース部材当接部分112とを有する。また、外側保護部材120は、内側保護部材110の外周を取り囲むように配置され、内側保護部材110を面方向における内側方向に押圧している。
そのため、本実施形態の静電チャック100では、外側保護部材120の押圧力により、内側保護部材110の板状部材当接部分111が、板状部材10の切り欠き180の接触面側表面181に押し付けられて当接し、かつ、内側保護部材110のベース部材当接部分112が、ベース部材20の切り欠き280の接触面側表面281に押し付けられて当接し、それらの当接箇所における接触面積を大きくすることができると共に、それらの当接箇所における密着性を向上させることができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、内側保護部材110による封止性能を向上させることができ、静電チャック100の周囲空間に存在するプラズマやプロセスガスが接合部30の外周面31付近に侵入して接合部30が劣化することを抑制することができる。なお、接合部30がセラミックス等の充填材(フィラー)を含んでいる場合には、該侵入に起因して該フィラーが飛散し、真空チャンバー内にパーティクルが発生することを抑制することができる。
なお、本実施形態の静電チャック100では、内側保護部材110を押圧する外側保護部材120の存在により、内側保護部材110において自らを内側方向に押し付けて固定するための十分な張力を生じさせる必要はない。そのため、内側保護部材110の形成材料として、比較的柔らかい弾性材料を用いることができる。内側保護部材110の形成材料として比較的柔らかい弾性材料を用いると、内側保護部材110が潰れやすく、かつ、内側保護部材110が板状部材10やベース部材20の表面の微細な凹凸に追従しやすくなるため、内側保護部材110と板状部材10やベース部材20との接触面積を大きくすることができると共に、両者の密着性を向上させることができ、内側保護部材110による封止性能を向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、内側保護部材110の板状部材当接部分111は、板状部材10の切り欠き180における外周面側表面182の少なくとも一部分にも当接し、内側保護部材110のベース部材当接部分112は、ベース部材20の切り欠き280における外周面側表面282の少なくとも一部分にも当接している。そのため、本実施形態の静電チャック100では、内側保護部材110と板状部材10およびベース部材20との当接箇所を増やすことによって、内側保護部材110による封止性能をさらに向上させることができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、静電チャック100の周囲空間に存在するプラズマやプロセスガスが接合部30の外周面31付近に侵入して接合部30が劣化することを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、外側保護部材120は、面方向視で、少なくとも内側保護部材110の特定部分113の全体と重なるように配置されている。そのため、本実施形態の静電チャック100では、外側保護部材120によって内側保護部材110を効果的に押圧することができ、内側保護部材110と板状部材10およびベース部材20との当接による封止性能を効果的に向上させることができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、静電チャック100の周囲空間に存在するプラズマやプロセスガスが接合部30の外周面31付近に侵入して接合部30が劣化することをさらに効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、外側保護部材120の上面と板状部材10の切り欠き180の外周面側表面182との間、および、外側保護部材120の下面とベース部材20の切り欠き280の外周面側表面282との間に、隙間が存在している。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、外側保護部材120が板状部材10やベース部材20に干渉して外側保護部材120による内側保護部材110の押圧力が低下することを抑制することができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、内側保護部材110の板状部材当接部分111は、板状部材10の切り欠き180の接触面側表面181の少なくとも一部分と、外周面側表面182の少なくとも一部分とに当接しているが、板状部材当接部分111が、外周面側表面182には当接していないとしてもよい。上記実施形態では、内側保護部材110のベース部材当接部分112は、ベース部材20の切り欠き280の接触面側表面281の少なくとも一部分と、外周面側表面282の少なくとも一部分とに当接しているが、ベース部材当接部分112が、外周面側表面282には当接していないとしてもよい。
また、上記実施形態では、外側保護部材120は、面方向視で、少なくとも内側保護部材110の特定部分113の全体と重なるように配置されているが、必ずしもそのような構成である必要はない。
また、上記実施形態では、板状部材10の切り欠き180における外周面側表面182はZ軸方向に略直交し、接触面側表面181はZ軸方向に略平行であり、ベース部材20の切り欠き280における外周面側表面282はZ軸方向に略直交し、接触面側表面281はZ軸方向に略平行であるとしているが、これらの表面の向きは任意に変更可能である。また、板状部材10の切り欠き180やベース部材20の切り欠き280が、これらの表面以外の他の表面を有していてもよい。
また、上記実施形態では、Z軸方向視での静電チャック100の中心を通り、Z軸方向に平行な任意の断面において、内側保護部材110および外側保護部材120等が図3等に示す構成と同様の構成となっているが、Z軸方向視での静電チャック100の中心を通り、Z軸方向に平行な少なくとも1つの断面において、内側保護部材110および外側保護部材120等が図3等に示す構成と同様の構成となっていればよい。
また、上記実施形態では、板状部材10の上面側の外周に沿って上側に切り欠きが形成されているが、該切り欠きは形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、板状部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、板状部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100の各部材(板状部材10、ベース部材20、接合部30、内側保護部材110、外側保護部材120等)の形成材料は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、外側保護部材120がエラストマーにより形成されているが、外側保護部材120は内側保護部材110を内側方向に押圧可能である限り、任意の材料(例えば、加熱による収縮する熱収縮チューブ)により形成されてよい。また、例えば、上記実施形態では、ベース部材20は金属により形成されているが、ベース部材20はセラミックス等の他の材料により形成されていてもよい。
また、本発明は、静電チャック100に限らず、板状部材と、ベース部材と、両者を接合する接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置にも適用可能である。
10:板状部材 20:ベース部材 21:冷媒流路 30:接合部 31:外周面 40:チャック電極 50:ヒータ電極 100:静電チャック 110:内側保護部材 111:板状部材当接部分 112:ベース部材当接部分 113:特定部分 120:外側保護部材 180:切り欠き 181:接触面側表面 182:外周面側表面 280:切り欠き 281:接触面側表面 282:外周面側表面 IP:内側部 OP:外周部 S11:吸着面 S12:外周上面 S1:上面 S2:下面 S3:上面 S5:外周面 S6:外周面 W:ウェハ

Claims (4)

  1. 第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有し、セラミックスを含む材料により形成された板状部材と、
    第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置されたベース部材と、
    前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、
    を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、
    前記板状部材の前記第2の表面側には、外周に沿って連続した切り欠きであって、前記板状部材の外周面に連続する外周面側表面と、前記板状部材における前記接合部との接触面に連続する接触面側表面と、を有する切り欠きが形成されており、
    前記ベース部材の前記第3の表面側には、外周に沿って連続した切り欠きであって、前記ベース部材の外周面に連続する外周面側表面と、前記ベース部材における前記接合部との接触面に連続する接触面側表面と、を有する切り欠きが形成されており、
    前記保持装置は、さらに、
    前記第1の方向に直交する方向において前記接合部の外周面に対向する特定部分と、前記特定部分に連続すると共に、前記板状部材の前記切り欠きの前記接触面側表面の少なくとも一部分に当接する板状部材当接部分と、前記特定部分に連続すると共に、前記ベース部材の前記切り欠きの前記接触面側表面の少なくとも一部分に当接するベース部材当接部分と、を有し、エラストマーにより形成された内側保護部材と、
    前記内側保護部材の外周を取り囲むように配置され、前記内側保護部材を前記第1の方向に直交する方向における内側方向に押圧している、前記内側保護部材よりも硬い外側保護部材と、
    を備える、
    ことを特徴とする保持装置。
  2. 請求項1に記載の保持装置において、
    前記内側保護部材の前記板状部材当接部分は、前記板状部材の前記切り欠きの前記外周面側表面の少なくとも一部分にも当接し、
    前記内側保護部材の前記ベース部材当接部分は、前記ベース部材の前記切り欠きの前記外周面側表面の少なくとも一部分にも当接する、
    ことを特徴とする保持装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の保持装置において、
    前記外側保護部材は、前記第1の方向に直交する方向視で、少なくとも前記内側保護部材の前記特定部分の全体と重なるように配置されている、
    ことを特徴とする保持装置。
  4. 第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有し、セラミックスを含む材料により形成された板状部材と、
    第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置されたベース部材と、
    前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、
    を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、
    前記板状部材の前記第2の表面側には、外周に沿って連続した切り欠きであって、前記板状部材の外周面に連続する外周面側表面と、前記板状部材における前記接合部との接触面に連続する接触面側表面と、を有する切り欠きが形成されており、
    前記ベース部材の前記第3の表面側には、外周に沿って連続した切り欠きであって、前記ベース部材の外周面に連続する外周面側表面と、前記ベース部材における前記接合部との接触面に連続する接触面側表面と、を有する切り欠きが形成されており、
    前記保持装置は、さらに、
    前記第1の方向に直交する方向において前記接合部の外周面に対向する特定部分と、前記特定部分に連続すると共に、前記板状部材の前記切り欠きの前記接触面側表面の少なくとも一部分に当接する板状部材当接部分と、前記特定部分に連続すると共に、前記ベース部材の前記切り欠きの前記接触面側表面の少なくとも一部分に当接するベース部材当接部分と、を有し、エラストマーにより形成された内側保護部材と、
    前記内側保護部材の外周を取り囲むように配置され、前記内側保護部材を前記第1の方向に直交する方向における内側方向に押圧している外側保護部材と、
    を備え、
    前記外側保護部材と前記板状部材の前記切り欠きの前記外周面側表面との間、および、前記外側保護部材と前記ベース部材の前記切り欠きの前記外周面側表面との間には、隙間が存在している、
    ことを特徴とする保持装置。
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