A.第1実施形態:
A-1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される半導体製造装置用部品である。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された板状部材10およびベース部材20を備える。板状部材10とベース部材20とは、板状部材10の下面S2(図2参照)とベース部材20の上面S3とが、後述する接合部30を挟んで上記配列方向に対向するように配置されている。すなわち、ベース部材20は、ベース部材20の上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されている。板状部材10の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。
板状部材10は、Z軸方向視で略円形の板状の部材であり、セラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)を含む材料により形成されている。なお、本実施形態では、板状部材10は、セラミックスを主成分として含む材料により形成されている。本明細書において、主成分とは、体積含有率が最も高い成分を意味する。板状部材10は、外周に沿って上側に切り欠きが形成された部分である外周部OPと、外周部OPの内側に位置する内側部IPとから構成されている。板状部材10における内側部IPの厚さ(Z軸方向における厚さであり、以下同様。)は、外周部OPに形成された切り欠きの分だけ、外周部OPの厚さより厚くなっている。すなわち、板状部材10の外周部OPと内側部IPとの境界の位置で、板状部材10の厚さが変化している。
板状部材10の内側部IPの直径は例えば50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、板状部材10の外周部OPの直径は例えば60mm~510mm程度(通常は210mm~360mm程度)である(ただし、外周部OPの直径は内側部IPの直径より大きい)。また、板状部材10の内側部IPの厚さは例えば1mm~10mm程度であり、板状部材10の外周部OPの厚さは例えば0.5mm~9.5mm程度である(ただし、外周部OPの厚さは内側部IPの厚さより薄い)。
板状部材10の上面S1のうち、内側部IPにおける上面(以下、「吸着面」ともいう。)S11は、Z軸方向に略直交する略円形の表面である。吸着面S11は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。なお、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」という。
板状部材10の上面S1のうち、外周部OPにおける上面(以下、「外周上面」ともいう。)S12は、Z軸方向に略直交する略円環状の表面である。板状部材10の外周上面S12には、例えば、静電チャック100を固定するための治具(不図示)が係合する。
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。Z軸方向視でのチャック電極40の形状は、例えば略円形である。チャック電極40にチャック用電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部材10の吸着面S11に吸着固定される。
板状部材10の内部には、また、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)を含む抵抗発熱体により構成されたヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50にヒータ用電源(不図示)から電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱することによって板状部材10が温められ、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
ベース部材20は、例えば板状部材10の外周部OPと同径の、または、板状部材10の外周部OPより径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材20の直径は例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm)であり、ベース部材20の厚さは例えば20mm~40mm程度である。
ベース部材20は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。接合部30の厚さは、例えば0.1mm~1mm程度である。本実施形態では、接合部30は、樹脂材料(接着材料)を主成分として含んでいる。接合部30に含まれる樹脂材料としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の種々の樹脂材料を用いることができるが、耐熱性が高く、かつ、柔軟な樹脂材料であるシリコーン樹脂やフッ素樹脂を用いることが好ましい。また、接合部30は、樹脂材料に加えて、例えばセラミックスの充填材(フィラー)を含んでいてもよい。
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により板状部材10が冷却され、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
また、図2に示すように、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から板状部材10の吸着面S11にわたって上下方向に延びるピン挿通孔140が形成されている。ピン挿通孔140は、ベース部材20をZ軸方向に貫通する貫通孔26と、接合部30をZ軸方向に貫通する貫通孔36と、板状部材10をZ軸方向に貫通する貫通孔16とが互いに連通した一体の孔である。ピン挿通孔140は、板状部材10の吸着面S11上に保持されたウェハWを押し上げて吸着面S11から離間させるためのリフトピン(不図示)を挿通するための孔である。なお、ピン挿通孔140を構成するベース部材20の貫通孔26には、リフトピン(不図示)とベース部材20との短絡を防止するために、絶縁材料(例えば、セラミックス)により形成された略円筒状のスリーブ90が挿入されている。
また、静電チャック100は、プラズマやプロセスガスから接合部30を保護するための外周保護部材110および内周保護部材120を備える。外周保護部材110および内周保護部材120は、特許請求の範囲における保護部材に相当する。これらの構成については、次の「A-2.接合部30の端面周辺の詳細構成」において説明する。
A-2.接合部30の端面周辺の詳細構成:
次に、接合部30の端面(接合部30の外周面31および接合部30に形成された貫通孔36の内周面37)の周辺の詳細構成について説明する。
A-2-1.接合部30の外周面31の周辺の詳細構成:
図3は、第1実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図である。図3には、図2のX1部のXZ断面構成が拡大して示されている。本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向視での静電チャック100の中心を通り、Z軸方向に平行な任意の断面において、図3に示す構成と同様の構成となっている。
図3に示すように、板状部材10の外周部OPの外周面S5には、面方向(Z軸方向に直交する方向)に凹み、かつ、周方向に連続した板状部材外周凹部180が形成されている。本実施形態では、板状部材外周凹部180は、上面181と下面182と底面183とを有する溝状である。なお、本実施形態では、板状部材外周凹部180の上面181および下面182はZ軸方向に略直交し、底面183はZ軸方向に略平行である。Z軸方向において、板状部材外周凹部180は、接合部30から上方に離間している。板状部材外周凹部180は、特許請求の範囲における第1の凹部に相当する。
また、ベース部材20の外周面S6には、面方向に凹み、かつ、周方向に連続したベース部材外周凹部280が形成されている。本実施形態では、ベース部材外周凹部280は、上面282と下面281と底面283とを有する溝状である。なお、本実施形態では、ベース部材外周凹部280の上面282および下面281はZ軸方向に略直交し、底面283はZ軸方向に略平行である。Z軸方向において、ベース部材外周凹部280は、接合部30から下方に離間している。ベース部材外周凹部280は、特許請求の範囲における第2の凹部に相当する。
また、上述したように、静電チャック100は、プラズマやプロセスガスから接合部30を保護するための外周保護部材110を備える。外周保護部材110は、Z軸方向視で貫通孔が形成された略円環状の部材である。外周保護部材110は、エラストマー(例えば、合成ゴム)により形成されている。なお、外周保護部材110の形成材料は、弾性を有し、かつ、耐プラズマ性、耐熱性、耐薬品性に優れた材料であることが好ましい。
外周保護部材110は、面方向において接合部30の外周面31に面する表面を有する特定部分SPを備える。特定部分SPは、面方向において、接合部30の外周面31と静電チャック100の外部空間OS(すなわち、真空チャンバ内の空間)との間に介在する部分であり、接合部30の外周面31が外部空間OSに存在するプラズマやプロセスガスに直接的に晒されるのを防止する。また、より詳細には、外周保護部材110は、特定部分SPを含む環状部113を備える。環状部113は、特定部分SPを上方向および下方向に延伸した形状である。本実施形態では、環状部113は、板状部材10の外周面S5における板状部材外周凹部180より下側の部分S52、および、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より上側の部分S62から離間している。
外周保護部材110は、さらに、環状部113(より詳細には、環状部113における特定部分SPよりも上側の部分)から面方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)に突出する上側突出部111と、環状部113(より詳細には、環状部113における特定部分SPよりも下側の部分)から面方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)に突出する下側突出部112とを備える。すなわち、外周保護部材110の断面形状は、略C字形状である。上側突出部111は、特許請求の範囲における第1の突出部に相当し、下側突出部112は、特許請求の範囲における第2の突出部に相当する。
外周保護部材110の上側突出部111は、板状部材10の板状部材外周凹部180内に入り込み、板状部材外周凹部180の上面181の少なくとも一部分と、板状部材外周凹部180の下面182の少なくとも一部分とに当接している。なお、本実施形態では、面方向において、上側突出部111の先端は、板状部材外周凹部180の底面183までは到達しておらず、上側突出部111の先端と板状部材外周凹部180の底面183との間に隙間が存在している。
外周保護部材110の下側突出部112は、ベース部材20のベース部材外周凹部280内に入り込み、ベース部材外周凹部280の上面282の少なくとも一部分と、ベース部材外周凹部280の下面281の少なくとも一部分とに当接している。なお、本実施形態では、面方向において、下側突出部112の先端は、ベース部材外周凹部280の底面283までは到達しておらず、下側突出部112の先端とベース部材外周凹部280の底面283との間に隙間が存在している。
なお、外周保護部材110と板状部材10またはベース部材20とが当接していることは、静電チャック100の断面(Z軸方向に平行な断面)を露出させ、該断面を観察することにより確認することができる。後述する内周保護部材120と板状部材10またはベース部材20との当接についても同様である。
また、本実施形態では、板状部材10の外周部OPの外周面S5における板状部材外周凹部180より接合部30側(下側)に位置する部分S52は、板状部材10の外周部OPの外周面S5における板状部材外周凹部180より接合部30とは反対側(上側)に位置する部分S51と比べて、面方向に後退した側に位置している。また、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より接合部30側(上側)に位置する部分S62は、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より接合部30とは反対側(下側)に位置する部分S61と比べて、面方向に後退した側に位置している。そして、外周保護部材110の環状部113の少なくとも一部分(本実施形態では略全体)は、板状部材10の外周面S5における上記部分S51、および、ベース部材20の外周面S6における上記部分S61に比べて、面方向に後退した側に位置している。すなわち、面方向において、外周保護部材110(の環状部113)の外周面118の位置は、板状部材10の外周面S5における上記部分S51、および、ベース部材20の外周面S6における上記部分S61と比べて、同一か、または、面方向に後退した位置である。なお、板状部材10の外周面S5における上記部分S51は、特許請求の範囲における第1の部分に相当し、ベース部材20の外周面S6における上記部分S61は、特許請求の範囲における第2の部分に相当する。
以上説明した接合部30の外周面31の周辺の構成を有する静電チャック100は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、板状部材10の板状部材外周凹部180およびベース部材20のベース部材外周凹部280は、板状部材10およびベース部材20に対する加工(例えば、マシニング加工)を行うことにより形成することができる。また、図3に示す断面形状を有する外周保護部材110は、型による成形により作製することができる。このとき、外周保護部材110の上側突出部111のZ軸方向における高さを、板状部材10の板状部材外周凹部180のZ軸方向における高さと比べて、わずかに大きく設定し、外周保護部材110の下側突出部112のZ軸方向における高さを、ベース部材20のベース部材外周凹部280のZ軸方向における高さと比べて、わずかに大きく設定する。板状部材10とベース部材20とを接合部30により接合した後、外周保護部材110を弾性変形(伸張)させて接合部30の外周面31の周りに配置し、外周保護部材110を、周方向の全体にわたって面方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)に押し込む。これにより、外周保護部材110の上側突出部111が弾性変形して板状部材外周凹部180内に入り込むと共に、外周保護部材110の下側突出部112が弾性変形してベース部材外周凹部280に入り込む。その結果、外周保護部材110の上側突出部111が、板状部材外周凹部180の上面181の少なくとも一部分と、板状部材外周凹部180の下面182の少なくとも一部分とに当接し、かつ、外周保護部材110の下側突出部112が、ベース部材外周凹部280の上面282の少なくとも一部分と、ベース部材外周凹部280の下面281の少なくとも一部分とに当接した状態となる。また、外周保護部材110の環状部113の少なくとも一部分(本実施形態では略全体)が、板状部材10の外周部OPの外周面S5における上記部分S51、および、ベース部材20の外周面S6における上記部分S61に比べて、面方向に後退した側に位置した状態となる。
A-2-2.接合部30に形成された貫通孔36の内周面37の周辺の詳細構成:
図4は、第1実施形態の静電チャック100における接合部30に形成された貫通孔36の内周面37の周辺の詳細構成を示す説明図である。図4には、図2のX2部のXZ断面構成が拡大して示されている。本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向視での接合部30の貫通孔36の中心を通り、Z軸方向に平行な任意の断面において、図4に示す構成と同様の構成となっている。
上述したように、静電チャック100には、ピン挿通孔140(ベース部材20の貫通孔26、接合部30の貫通孔36、板状部材10の貫通孔16)が形成されている。図4に示すように、板状部材10に形成された貫通孔16の内周面S7には、面方向に凹み、かつ、周方向に連続した板状部材内周凹部190が形成されている。本実施形態では、板状部材内周凹部190は、上面191と下面192と底面193とを有する溝状である。なお、本実施形態では、板状部材内周凹部190の上面191および下面192はZ軸方向に略直交し、底面193はZ軸方向に略平行である。Z軸方向において、板状部材内周凹部190は、接合部30から上方に離間している。板状部材内周凹部190は、特許請求の範囲における第1の凹部に相当する。
また、ベース部材20に形成された貫通孔26の内周面S8には、面方向に凹み、かつ、周方向に連続したベース部材内周凹部290が形成されている。本実施形態では、ベース部材内周凹部290は、上面292と底面293とを有する切り欠き状である。なお、本実施形態では、ベース部材内周凹部290の上面292はZ軸方向に略直交し、底面293はZ軸方向に略平行である。Z軸方向において、ベース部材内周凹部290は、接合部30から下方に離間している。ベース部材内周凹部290は、特許請求の範囲における第2の凹部に相当する。
また、上述したように、静電チャック100は、プラズマやプロセスガスから接合部30を保護するための内周保護部材120を備える。内周保護部材120は、Z軸方向視で貫通孔124が形成された略円環状の部材である。内周保護部材120は、エラストマー(例えば、合成ゴム)により形成されている。なお、内周保護部材120の形成材料は、弾性を有し、かつ、耐プラズマ性、耐熱性、耐薬品性に優れた材料であることが好ましい。
内周保護部材120は、面方向において接合部30に形成された貫通孔36の内周面37に面する表面を有する特定部分SPを備える。特定部分SPは、面方向において、接合部30の内周面37とピン挿通孔140との間に介在する部分であり、接合部30の内周面37がピン挿通孔140に存在するプラズマやプロセスガスに直接的に晒されるのを防止する。また、より詳細には、内周保護部材120は、特定部分SPを含む環状部123を備える。環状部123は、特定部分SPを上方向および下方向に延伸した形状である。本実施形態では、環状部123は、板状部材10の内周面S7における板状部材内周凹部190より下側の部分S72、および、ベース部材20の内周面S8におけるベース部材内周凹部290より上側の部分S82から離間している。
内周保護部材120は、さらに、環状部123(より詳細には、環状部123における特定部分SPよりも上側の部分)から面方向(Z軸方向視での接合部30の貫通孔36の中心から離間する方向)に突出する上側突出部121と、環状部123(より詳細には、環状部123における特定部分SPよりも下側の部分)から面方向(Z軸方向視での接合部30の貫通孔36の中心から離間する方向)に突出する下側突出部122とを備える。すなわち、内周保護部材120の断面形状は、ピン挿通孔140の中心を挟んで向かい合う2つの略C字形状である。上側突出部121は、特許請求の範囲における第1の突出部に相当し、下側突出部122は、特許請求の範囲における第2の突出部に相当する。
内周保護部材120の上側突出部121は、板状部材10の板状部材内周凹部190内に入り込み、板状部材内周凹部190の上面191の少なくとも一部分に当接している。なお、本実施形態では、面方向において、上側突出部121の先端は、板状部材内周凹部190の底面193までは到達しておらず、上側突出部121の先端と板状部材内周凹部190の底面193との間に隙間が存在している。また、本実施形態では、Z軸方向において、上側突出部121の下面と板状部材内周凹部190の下面192との間にも隙間が存在している。
内周保護部材120の下側突出部122は、ベース部材20のベース部材内周凹部290内に入り込み、ベース部材内周凹部290の上面292の少なくとも一部分に当接している。なお、本実施形態では、面方向において、下側突出部122の先端は、ベース部材内周凹部290の底面293までは到達しておらず、下側突出部122の先端とベース部材内周凹部290の底面293との間に隙間が存在している。
また、上述したように、静電チャック100は、ベース部材20の貫通孔26に挿入されたスリーブ90を備える。スリーブ90は、貫通孔92が形成された略円筒状部材であり、図示しない接着剤やボルト等によってベース部材20に固定されている。スリーブ90の上面には、内周保護部材120の下面が当接している。
また、本実施形態では、板状部材10の内周面S7における板状部材内周凹部190より接合部30側(下側)に位置する部分S72は、板状部材10の内周面S7における板状部材内周凹部190より接合部30とは反対側(上側)に位置する部分S71と比べて、面方向に後退した側に位置している。また、ベース部材20の内周面S8におけるベース部材内周凹部290より接合部30側(上側)に位置する部分S82は、スリーブ90に形成された貫通孔92の内周面S9と比べて、面方向に後退した側に位置している。そして、内周保護部材120の環状部123の少なくとも一部分(本実施形態では略全体)は、板状部材10の内周面S7における上記部分S71、および、スリーブ90の内周面S9に比べて、面方向に後退した側に位置している。すなわち、面方向において、内周保護部材120の貫通孔124の内周面の位置は、板状部材10の内周面S7における上記部分S71、および、スリーブ90の内周面S9の位置と同一か、または、面方向に後退した位置である。
なお、先にピン挿通孔140は、ベース部材20の貫通孔26と、接合部30の貫通孔36と、板状部材10の貫通孔16とが互いに連通した一体の孔であると説明したが、より詳細には、ピン挿通孔140は、スリーブ90の貫通孔92と、内周保護部材120の貫通孔124と、板状部材10の貫通孔16とが互いに連通した一体の孔である。
以上説明した接合部30の内周面37の周辺の構成を有する静電チャック100は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、板状部材10の板状部材内周凹部190およびベース部材20のベース部材内周凹部290は、板状部材10およびベース部材20に対する加工(例えば、マシニング加工)を行うことにより形成することができる。また、図4に示す断面形状を有する内周保護部材120は、型による成形により作製することができる。板状部材10とベース部材20とを接合部30により接合した後、ベース部材20に形成された貫通孔26に内周保護部材120を挿入し、さらにスリーブ90を挿入する。スリーブ90により内周保護部材120を上側(奥側)に押し込み、内周保護部材120の上側突出部121を弾性変形させて板状部材内周凹部190内に入り込ませ、さらに内周保護部材120を上側に押圧した状態でスリーブ90をベース部材20に固定する。その結果、内周保護部材120の上側突出部121が板状部材内周凹部190の上面191の少なくとも一部分に当接し、かつ、内周保護部材120の下側突出部122がベース部材内周凹部290の上面292の少なくとも一部分に当接した状態となる。
A-3.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、Z軸方向に略直交する吸着面S11と、吸着面S11とは反対側の下面S2と、を有し、セラミックスを含む材料により形成された板状部材10と、上面S3を有し、上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されたベース部材20と、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置されて板状部材10とベース部材20とを接合する接合部30とを備え、板状部材10の吸着面S11上に対象物であるウェハWを保持する装置である。
また、図3に示すように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の外周面S5に、面方向に凹み、かつ、周方向に連続した板状部材外周凹部180が形成されており、ベース部材20の外周面S6に、面方向に凹み、かつ、周方向に連続したベース部材外周凹部280が形成されている。また、静電チャック100は、面方向(Z軸方向に直交する方向)において接合部30の外周面31に面する表面を有する特定部分SPを含み、エラストマーにより形成された外周保護部材110を備える。外周保護部材110は、特定部分SPを含む環状部113と、環状部113から面方向に突出し、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の少なくとも一部分に当接する上側突出部111と、環状部113から面方向に突出し、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の少なくとも一部分に当接する下側突出部112とを備える。
このように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の外周面S5に板状部材外周凹部180が形成されており、ベース部材20の外周面S6にベース部材外周凹部280が形成されており、外周保護部材110の上側突出部111が板状部材外周凹部180の表面の少なくとも一部分に当接しており、外周保護部材110の下側突出部112がベース部材外周凹部280の表面の少なくとも一部分に当接している。そのため、本実施形態の静電チャック100では、静電チャック100の外部空間OSに存在するプラズマやプロセスガスが、外部空間OSから接合部30の外周面31付近に至る侵入経路の長さを、板状部材外周凹部180およびベース部材外周凹部280が形成されていない構成と比較して長くすることができる。また、外周保護部材110の上側突出部111を板状部材外周凹部180の表面の少なくとも一部分に当接させ、外周保護部材110の下側突出部112をベース部材外周凹部280の表面の少なくとも一部分に当接させることにより、外周保護部材110と板状部材10およびベース部材20とを面接触させて封止面積を大きくすることができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、プラズマやプロセスガスが外部空間OSから接合部30の外周面31付近に侵入することを確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを抑制することができる。なお、接合部30がセラミックス等の充填材(フィラー)を含んでいる場合には、該侵入に起因して該フィラーが飛散し、真空チャンバー内にパーティクルが発生することを抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、外周保護部材110の上側突出部111は、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の内、Z軸方向の一方側の表面である上面181と他方側の表面である下面182との両方と当接するように構成されている。また、外周保護部材110の下側突出部112は、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の内、Z軸方向の一方側の表面である上面282と他方側の表面である下面281との両方と当接するように構成されている。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、外部空間OSから接合部30の外周面31付近に至るプラズマやプロセスガスの2つの侵入経路(板状部材外周凹部180を経由する経路およびベース部材外周凹部280を経由する経路)のそれぞれについて、比較的上流側の位置で、かつ、少なくとも2箇所で、外周保護部材110と板状部材10およびベース部材20とを面接触させることによって封止することができるため、プラズマやプロセスガスの侵入を一層確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することをより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の外周面S5における板状部材外周凹部180より接合部30側(下側)に位置する部分S52は、板状部材10の外周面S5における板状部材外周凹部180より接合部30とは反対側(上側)に位置する部分S51と比べて、面方向に後退した側に位置しており、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より接合部30側(上側)に位置する部分S62は、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より接合部30とは反対側(下側)に位置する部分S61と比べて、面方向に後退した側に位置している。また、外周保護部材110の環状部113の少なくとも一部分は、板状部材10の外周面S5における上記部分S51と、ベース部材20の外周面S6における上記部分S61とに比べて、面方向に後退した側に位置している。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、外周保護部材110(の環状部113)が、外部空間OSに存在するプラズマやプロセスガスに晒されることを抑制することができ、その結果、外周保護部材110が劣化することを抑制することができる。
また、図4に示すように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10に形成された貫通孔16の内周面S7には、面方向に凹み、かつ、周方向に連続した板状部材内周凹部190が形成されており、ベース部材20に形成された貫通孔26の内周面S8には、面方向に凹み、かつ、周方向に連続したベース部材内周凹部290が形成されている。また、静電チャック100は、面方向において接合部30の内周面37に面する表面を有する特定部分SPを含み、エラストマーにより形成された内周保護部材120を備える。内周保護部材120は、特定部分SPを含む環状部123と、環状部123から面方向に突出し、板状部材10の板状部材内周凹部190の表面の少なくとも一部分に当接する上側突出部121と、環状部123から面方向に突出し、ベース部材20のベース部材内周凹部290の表面の少なくとも一部分に当接する下側突出部122とを備える。
このように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の内周面S7に板状部材内周凹部190が形成されており、ベース部材20の内周面S8にベース部材内周凹部290が形成されており、内周保護部材120の上側突出部121が板状部材内周凹部190の表面の少なくとも一部分に当接しており、内周保護部材120の下側突出部122がベース部材内周凹部290の表面の少なくとも一部分に当接している。そのため、本実施形態の静電チャック100では、静電チャック100のピン挿通孔140に存在するプラズマやプロセスガスが、ピン挿通孔140から接合部30の内周面37付近に至る侵入経路の長さを、板状部材内周凹部190およびベース部材内周凹部290が形成されていない構成と比較して長くすることができる。また、内周保護部材120の上側突出部121を板状部材内周凹部190の表面の少なくとも一部分に当接させ、内周保護部材120の下側突出部122をベース部材内周凹部290の表面の少なくとも一部分に当接させることにより、内周保護部材120と板状部材10およびベース部材20とを面接触させて封止面積を大きくすることができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、プラズマやプロセスガスがピン挿通孔140から接合部30の内周面37付近に侵入することを確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを抑制することができる。なお、接合部30がセラミックス等の充填材(フィラー)を含んでいる場合には、該侵入に起因して該フィラーが飛散し、真空チャンバー内にパーティクルが発生することを抑制することができる。
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図である。以下では、第2実施形態の静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図5に示すように、第2実施形態では、外周保護部材110aの構成が第1実施形態と異なる。より詳細には、第2実施形態では、外周保護部材110aの環状部113は、板状部材10の外周面S5における板状部材外周凹部180より下側の部分S52、および、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より上側の部分S62に当接している。
また、第2実施形態では、外周保護部材110aの上側突出部111は、板状部材外周凹部180内に入り込み、板状部材外周凹部180の下面182の少なくとも一部分に当接している。なお、第2実施形態では、Z軸方向において、上側突出部111の上面と板状部材外周凹部180の上面181との間に隙間が存在している。また、第2実施形態では、面方向において、上側突出部111の先端は、板状部材外周凹部180の底面183までは到達しておらず、上側突出部111の先端と板状部材外周凹部180の底面183との間に隙間が存在している。
また、第2実施形態では、外周保護部材110aの下側突出部112は、ベース部材外周凹部280内に入り込み、ベース部材外周凹部280の上面282の少なくとも一部分に当接している。なお、第2実施形態では、Z軸方向において、下側突出部112の下面とベース部材外周凹部280の下面281との間に隙間が存在している。また、第2実施形態では、面方向において、下側突出部112の先端は、ベース部材外周凹部280の底面283までは到達しておらず、下側突出部112の先端とベース部材外周凹部280の底面283との間に隙間が存在している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、第2実施形態の静電チャック100では、第1実施形態と同様に、外周保護部材110aは、特定部分SPを含む環状部113と、環状部113から面方向に突出し、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の少なくとも一部分に当接する上側突出部111と、環状部113から面方向に突出し、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の少なくとも一部分に当接する下側突出部112とを備える。そのため、第2実施形態の静電チャック100によれば、第1実施形態と同様に、プラズマやプロセスガスが外部空間OSから接合部30の外周面31付近に侵入することを確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを抑制することができる。
なお、第2実施形態の静電チャック100では、外周保護部材110aの上側突出部111は、板状部材外周凹部180の表面の内、Z軸方向の一方側の表面である下面182に当接しており、かつ、外周保護部材110aの環状部113は、板状部材10の外周面S5の内、板状部材外周凹部180より接合部30側(下側)に位置する部分S52に当接している。また、外周保護部材110aの下側突出部112は、ベース部材外周凹部280の表面の内、Z軸方向の一方側の表面である上面282に当接しており、かつ、外周保護部材110aの環状部113は、ベース部材20の外周面S6の内、ベース部材外周凹部280より接合部30側(上側)に位置する部分S62に当接している。そのため、第2実施形態の静電チャック100によれば、外部空間OSから接合部30の外周面31付近に至るプラズマやプロセスガスの2つの侵入経路(板状部材外周凹部180を経由する経路およびベース部材外周凹部280を経由する経路)のそれぞれについて、少なくとも2箇所で、外周保護部材110aと板状部材10およびベース部材20とを面接触させることによって封止することができるため、プラズマやプロセスガスの侵入を一層確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することをより効果的に抑制することができる。
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図である。以下では、第3実施形態の静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図6に示すように、第3実施形態では、外周保護部材110bの構成が第1実施形態と異なる。より詳細には、第3実施形態では、外周保護部材110bの環状部113における特定部分SPが、面方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)に突出している。すなわち、特定部分SPは、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に入り込み、板状部材10の下面S2の少なくとも一部分と、ベース部材20の上面S3の少なくとも一部分とに当接している。なお、本実施形態では、接合部30の外周面31が、板状部材10の外周面S5の内、板状部材外周凹部180より接合部30側(下側)に位置する部分S52より面方向に後退している。面方向において、外周保護部材110bの特定部分SPの先端は、接合部30の外周面31までは到達しておらず、特定部分SPの先端と接合部30の外周面31との間に隙間が存在している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、第3実施形態の静電チャック100では、第1実施形態と同様に、外周保護部材110bは、特定部分SPを含む環状部113と、環状部113から面方向に突出し、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の少なくとも一部分に当接する上側突出部111と、環状部113から面方向に突出し、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の少なくとも一部分に当接する下側突出部112とを備える。そのため、第3実施形態の静電チャック100によれば、第1実施形態と同様に、プラズマやプロセスガスが外部空間OSから接合部30の外周面31付近に侵入することを確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを抑制することができる。
また、第3実施形態の静電チャック100では、外周保護部材110bの環状部113における特定部分SPが、面方向(Z軸方向視での静電チャック100の中心に向かう方向)に突出し、板状部材10の下面S2の少なくとも一部分と、ベース部材20の上面S3の少なくとも一部分とに当接している。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、外部空間OSから接合部30の外周面31付近に至るプラズマやプロセスガスの2つの侵入経路(板状部材外周凹部180を経由する経路およびベース部材外周凹部280を経由する経路)のそれぞれについて、外周保護部材110bの特定部分SPと板状部材10およびベース部材20とを面接触させることによって封止することができるため、プラズマやプロセスガスの侵入をさらに一層確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを極めて効果的に抑制することができる。
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図である。以下では、第4実施形態の静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図7に示すように、第4実施形態では、外周保護部材110cの構成が第1実施形態と異なる。より詳細には、第4実施形態では、外周保護部材110cの環状部113の全体が、板状部材10の外周面S5における板状部材外周凹部180より接合部30とは反対側(上側)に位置する部分S51と、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より接合部30とは反対側(下側)に位置する部分S61とに比べて、面方向に突出した側に位置している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、第4実施形態の静電チャック100では、第1実施形態と同様に、外周保護部材110cは、特定部分SPを含む環状部113と、環状部113から面方向に突出し、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の少なくとも一部分に当接する上側突出部111と、環状部113から面方向に突出し、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の少なくとも一部分に当接する下側突出部112とを備える。そのため、第4実施形態の静電チャック100によれば、第1実施形態と同様に、プラズマやプロセスガスが外部空間OSから接合部30の外周面31付近に侵入することを確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを抑制することができる。
E.第5実施形態:
図8は、第5実施形態の静電チャック100における接合部30の外周面31の周辺の詳細構成を示す説明図である。以下では、第5実施形態の静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図8に示すように、第5実施形態では、板状部材10の外周面S5に形成された板状部材外周凹部180d、および、ベース部材20の外周面S6に形成されたベース部材外周凹部280dの構成が第1実施形態と異なる。より詳細には、第5実施形態では、板状部材外周凹部180dは、上面181と底面183とを有する切り欠き状であり、ベース部材外周凹部280dは、下面281と底面283とを有する切り欠き状である。
また、第5実施形態では、外周保護部材110dの構成が第1実施形態と異なる。より詳細には、第5実施形態では、外周保護部材110dの上側突出部111は、板状部材外周凹部180d内に入り込み、板状部材外周凹部180dの上面181の少なくとも一部分に当接している。なお、本実施形態では、外周保護部材110dの上側突出部111は、板状部材外周凹部180dの底面183と、接合部30の上面とにも当接している。また、第5実施形態では、外周保護部材110dの上側突出部121は、ベース部材外周凹部280d内に入り込み、ベース部材外周凹部280dの下面281の少なくとも一部分に当接している。なお、本実施形態では、外周保護部材110dの上側突出部121は、ベース部材外周凹部280dの底面283と、接合部30の下面とにも当接している。なお、このような構成の外周保護部材110dを有する静電チャック100は、例えば、板状部材10とベース部材20とを接合部30により接合した後、接合部30の外周面31に面する空間と、板状部材外周凹部180dおよびベース部材外周凹部280dとに、外周保護部材110dの形成材料を充填することによって外周保護部材110dを形成することにより作製される。
以上説明したように、第5実施形態の静電チャック100では、第1実施形態と同様に、外周保護部材110dは、特定部分SPを含む環状部113と、環状部113から面方向に突出し、板状部材10の板状部材外周凹部180dの表面の少なくとも一部分に当接する上側突出部111と、環状部113から面方向に突出し、ベース部材20のベース部材外周凹部280dの表面の少なくとも一部分に当接する下側突出部112とを備える。そのため、第5実施形態の静電チャック100によれば、第1実施形態と同様に、プラズマやプロセスガスが外部空間OSから接合部30の外周面31付近に侵入することを確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することを抑制することができる。
F.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態における外周保護部材110と板状部材10およびベース部材20との当接/離間の関係は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第1実施形態では、外周保護部材110の環状部113が、板状部材10の外周面S5における板状部材外周凹部180より下側の部分S52、および、ベース部材20の外周面S6におけるベース部材外周凹部280より上側の部分S62から離間しているが、環状部113が上記部分S52および/または上記部分S62に当接していてもよい。また、上記第1実施形態では、外周保護部材110の上側突出部111の先端と板状部材外周凹部180の底面183との間に隙間が存在しているが、上側突出部111の先端が板状部材外周凹部180の底面183に当接していてもよい。同様に、上記第1実施形態では、外周保護部材110の下側突出部112の先端とベース部材外周凹部280の底面283との間に隙間が存在しているが、下側突出部112の先端がベース部材外周凹部280の底面283に当接していてもよい。
なお、外周保護部材110は、
上側突出部111が、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の内、Z軸方向の一方側の表面と当接している状態と、
上側突出部111が、板状部材10の板状部材外周凹部180の表面の内、Z軸方向の他方側の表面と当接している状態と、
環状部113が、板状部材10の外周面S5の内、板状部材外周凹部180より接合部30側に位置する表面と当接している状態と、
の少なくとも2つを有するように構成され、かつ、
下側突出部112が、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の内、Z軸方向の一方側の表面と当接している状態と、
下側突出部112が、ベース部材20のベース部材外周凹部280の表面の内、Z軸方向の他方側の表面と当接している状態と、
環状部113が、ベース部材20の外周面S6の内、ベース部材外周凹部280より接合部30側に位置する表面と当接している状態と、
の少なくとも2つを有するように構成されていると、外部空間OSから接合部30の外周面31付近に至るプラズマやプロセスガスの2つの侵入経路(板状部材外周凹部180を経由する経路およびベース部材外周凹部280を経由する経路)のそれぞれについて、少なくとも2箇所で、外周保護部材110と板状部材10およびベース部材20とを面接触させることによって封止することができるため、プラズマやプロセスガスの侵入を一層確実に抑制することができ、該侵入に起因して接合部30が劣化することをより効果的に抑制することができる。
なお、上述の点は、内周保護部材120についても同様である。すなわち、上記実施形態における内周保護部材120と板状部材10およびベース部材20との当接/離間の関係は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
また、静電チャック100は、外周保護部材110と内周保護部材120との両方を備える必要はなく、外周保護部材110と内周保護部材120との一方のみを備えていてもよい。また、静電チャック100にピン挿通孔140が複数存在する場合には、少なくとも1つのピン挿通孔140において内周保護部材120が設けられていればよい。
また、上記実施形態では、Z軸方向視での静電チャック100の中心を通り、Z軸方向に平行な任意の断面において、外周保護部材110等が図3等に示す構成と同様の構成となっているが、Z軸方向視での静電チャック100の中心を通り、Z軸方向に平行な少なくとも1つの断面において、外周保護部材110等が図3等に示す構成と同様の構成となっていればよい。同様に、上記実施形態では、Z軸方向視での接合部30の貫通孔36の中心を通り、Z軸方向に平行な任意の断面において、内周保護部材120等が図4に示す構成と同様の構成となっているが、Z軸方向視での接合部30の貫通孔36の中心を通り、Z軸方向に平行な少なくとも1つの断面において、内周保護部材120等が図4に示す構成と同様の構成となっていればよい。
また、上記実施形態では、板状部材10の上面側の外周に沿って上側に切り欠きが形成されているが、該切り欠きは形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、板状部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、板状部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100の各部材(板状部材10、ベース部材20、接合部30、外周保護部材110、内周保護部材120等)の形成材料は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、接合部30は樹脂材料(接着材料)を主成分として含んでいるが、接合部30は金属材料等の他の材料を主成分として含んでいてもよい。また、例えば、上記実施形態では、ベース部材20は金属により形成されているが、ベース部材20はセラミックス等の他の材料により形成されていてもよい。
また、本発明は、静電チャック100に限らず、板状部材と、ベース部材と、両者を接合する接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置にも適用可能である。