JP7350557B2 - 飲料液配合用の乳原料、容器詰飲料および飲料液における凝集抑制方法 - Google Patents

飲料液配合用の乳原料、容器詰飲料および飲料液における凝集抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲料液配合用の乳原料、当該乳原料を使用した容器詰飲料、および飲料液における凝集抑制方法に関するものである。
近年、飲料に関する嗜好の多様化により、種々の容器詰飲料が多数上市されており、その中でも、乳成分を含有する飲料は国内で消費される主要な飲料となっている。かかる飲料としては、例えば、乳成分を含有するコーヒー飲料、茶飲料(紅茶飲料、ほうじ茶飲料、抹茶飲料等)、ココア飲料などが挙げられる。
上記のような乳含有飲料を容器詰飲料にする場合、その製造工程において加熱殺菌を行う必要がある。殺菌方法としては、例えば、レトルト殺菌の他、超高温で数秒~数十秒程度の短時間殺菌を行うUHT殺菌などが用いられる。
しかしながら、乳含有飲料を加熱殺菌すると、凝集物が発生・沈殿することが知られている。このような凝集物の発生・沈殿があると、外観や飲用時の異物感が問題となり、また特にUHT殺菌においては、凝集物が殺菌機内に付着したり、殺菌後のメッシュに捕捉物として堆積し、最終的には目詰まりを起こすため、生産効率が低下する。
かかる凝集物の発生・沈殿を防止するにあたり、特許文献1は、μ成分及びν成分を有するカラギナンを含有する乳成分含有コーヒー飲料又は紅茶飲料を提案している。また、特許文献2は、第一液としてコーヒー抽出液を加熱殺菌し、第二液として乳成分を含む飲料成分を加熱殺菌し、それら第一液と第二液とを所定の配合量で混合するコーヒー飲料の製造方法を提案している。
特開2014-110783号公報 特開2016-129500号公報
本発明は、このような背景の下にてなされたものであり、飲料の加熱殺菌による凝集の発生を抑制することのできる飲料液配合用の乳原料、加熱殺菌による凝集の発生が抑制された容器詰飲料、および飲料液における凝集抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、具体的には以下のとおりである。
〔1〕 酵素が添加された、飲料液配合用の乳原料であって、
前記酵素が、少なくともグルコース分解酵素を含む
ことを特徴とする飲料液配合用の乳原料。
〔2〕 前記酵素が添加される前の乳原料には、グルコースが含まれていることを特徴とする〔1〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔3〕 前記酵素が添加される前において前記グルコースを0.3~20質量%含有することを特徴とする〔2〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔4〕 前記酵素が過酸化水素分解酵素を含むことを特徴とする〔1〕~〔3〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔5〕 前記グルコース分解酵素が、グルコースオキシダーゼであり、
前記過酸化水素分解酵素が、カタラーゼである
ことを特徴とする〔4〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔6〕 乳糖を1.0~10.0質量%含有することを特徴とする〔1〕~〔5〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔7〕 前記飲料液が、植物由来物を含有する原料液に配合されることを特徴とする〔1〕~〔6〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔8〕 前記原料液が、コーヒー抽出液であることを特徴とする〔7〕に記載の飲料液配合用の乳原料。
〔9〕 〔1〕~〔8〕に記載の飲料液配合用の乳原料を配合した容器詰飲料。
〔10〕 植物由来物を含有する原料液に、前記飲料液配合用の乳原料が配合されていることを特徴とする〔9〕に記載の容器詰飲料。
〔11〕 糖類を0.50質量%未満含有することを特徴とする〔9〕または〔10〕に記載の容器詰飲料。
〔12〕 糖類を0.50~9.00質量%含有することを特徴とする〔9〕または〔10〕に記載の容器詰飲料。
〔13〕 前記飲料が、乳含有コーヒー飲料であることを特徴とする〔9〕~〔12〕に記載の容器詰飲料。
〔14〕 前記乳含有コーヒー飲料のカフェイン含有量が、200~1000ppmであることを特徴とする〔13〕に記載の容器詰飲料。
〔15〕 コーヒー固形分に対する乳固形分の質量比が、0.20~3.00であることを特徴とする〔13〕または〔14〕に記載の容器詰飲料。
〔16〕 前記容器が、PETボトルであることを特徴とする〔10〕~〔15〕に記載の容器詰飲料。
〔17〕 少なくともグルコース分解酵素を含む酵素が添加された乳原料を添加することを特徴とする飲料液における凝集抑制方法。
本発明に係る飲料液配合用の乳原料によれば、飲料の加熱殺菌による凝集の発生を抑制することができる。また、本発明に係る容器詰飲料は、加熱殺菌による凝集の発生が抑制されている。さらに、本発明に係る凝集抑制方法によれば、飲料液における加熱殺菌による凝集を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔飲料液配合用の乳原料〕
本発明の一実施形態に係る飲料液配合用の乳原料は、少なくともグルコース分解酵素を含む酵素が添加されたものである。このように酵素が添加された乳原料を飲料液に配合して得られる飲料は、加熱殺菌による凝集の発生が抑制される。この効果を、以下「凝集抑制効果」という場合がある。
1.乳原料
乳原料は、乳成分を含有する。乳成分の種類としては、各種液状乳類(例えば牛乳、やぎ乳、加工乳、脱脂乳、乳飲料、濃縮乳、脱脂濃縮乳)や、粉乳類(例えば全粉乳、脱脂粉乳、調整粉乳)、練乳類(例えば無糖練乳、加糖練乳)、クリーム類、発酵乳(例えば全脂無糖ヨーグルトや脱脂加糖ヨーグルトやドリンクタイプ・ヨーグルト等のヨーグルト、乳酸菌飲料)、チーズ類(例えば各種ナチュラルチーズ、プロセスチーズ)、アイスクリーム類(例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ソフトクリーム)、シャーベットやこれらを含む組成物などが挙げられる。これらの中でも、乳、全粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、生クリーム、または無糖練乳が好ましく、乳の中でも牛乳が特に好ましい。これらの乳成分は、一種を単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
酵素が添加される前の乳原料は、グルコースを含有することが好ましい。このグルコースは、上記グルコース分解酵素による酵素反応の基質となるものである。なお、グルコースは、酵素添加後の乳原料に含まれていてもよい。
酵素添加前の乳原料が含有するグルコースは、上記乳成分が含有するものであってもよいし、乳成分に別途添加したものであってもよいし、乳成分が含有する乳糖をラクターゼによって酵素処理し生成したものであってもよいが、生産効率およびコスト面等の観点から、乳成分に別途添加することが好ましい。なお、ラクターゼにより酵素処理する場合のラクターゼは、上述したグルコース分解酵素を含む酵素が乳原料に添加される際の当該酵素に含めてもよいし、上述した酵素添加の前にラクターゼによる酵素処理を行ってもよい。
酵素添加前の乳原料におけるグルコースの含有量は、0.3~20質量%であることが好ましく、特に1.0~7.5質量%であることが好ましく、さらには2.5~5質量%であることが好ましい。
乳原料におけるグルコースの含有量が上記範囲にあることによって、酵素反応が良好に進行し、得られる容器詰飲料において、良好な香味を保持しながら、加熱殺菌による凝集の発生が効果的に抑制される。
なかでも、後述する第1の飲料を製造する場合においては、酵素添加前の乳原料におけるグルコースの含有量は、0.3~5質量%であることが好ましく、特に1.0~2.0質量%であることが好ましい。
一方、後述する第2の飲料を製造する場合は、酵素添加前の乳原料におけるグルコースの含有量は、0.5~20質量%であることが好ましく、特に1.0~7.5質量%であることが好ましく、さらには2.5~5質量%であることが好ましい。
また、乳原料は、酵素添加前、酵素添加後問わず、乳糖を含有してもよい。その場合、乳原料における乳糖の含有量は、1.0~10.0質量%であることが好ましく、特に2.0~8.00質量%であることが好ましく、さらには3.0~6.0質量%であることが好ましい。乳原料における乳糖の含有量が上記範囲にあることによって、他の糖類による甘味と相まって、飲料として甘味を感じやすい傾向になる。乳原料における乳糖の含有量は、使用する乳原料の種類や、それら2種以上の配合によって適宜調整することができる。
2.酵素
本実施形態に係る飲料液配合用の乳原料は、酵素添加前の乳原料に対して、少なくともグルコース分解酵素を含む酵素が添加されたものである。グルコース分解酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ等が挙げられるが、凝集抑制効果の観点から、グルコースオキシダーゼが好ましい。
上記酵素添加における酵素は、過酸化水素分解酵素をさらに含むことが好ましい。酵素添加においてグルコース分解酵素とともに過酸化水素分解酵素を使用することにより、凝集抑制効果がさらに優れたものとなる。また、乳原料におけるグルコース量が少なくても優れた凝集抑制効果が得られるため、特に無糖飲料において有用である。さらに、グルコース分解酵素の使用量を少なくしても、優れた凝集抑制効果が得られるため、酵素に起因したエグ味などよる飲料の香味阻害を抑制することができる。
過酸化水素分解酵素としては、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ等が挙げられるが、凝集抑制効果の観点から、カタラーゼが好ましい。なお、過酸化水素分解酵素は、グルコース分解酵素とは別に添加して使用してもよいし、グルコース分解酵素の夾雑物として含まれるものであってもよい。上記酵素添加における酵素は、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを含むことが特に好ましい。
グルコース分解酵素(特にグルコースオキシダーゼ)の酵素活性(力価)は、500~3000u/gであることが好ましく、特に1000~2500u/gであることが好ましく、さらには1500~2000u/gであることが好ましい。なお、グルコース分解酵素の酵素力価(単位:u)は、25℃・pH7.0において,1分間当たり1μmolのグルコースを分解する酵素力価を1uとする。
また、グルコース分解酵素(特にグルコースオキシダーゼ)の使用量(酵素濃度)は、乳原料に対して、0.0005~0.0500質量%であることが好ましく、特に0.0010~0.0250質量%であることが好ましく、さらには0.0025~0.0100質量%であることが好ましい。さらに、グルコース分解酵素(特にグルコースオキシダーゼ)の使用量を酵素活性で表した場合、乳原料に対して1×10-2~1u/gであることが好ましく、特に2×10-2~5×10-1u/gであることが好ましく、さらには5×10-2~2×10-1u/gであることが好ましい。これらにより、グルコースの分解を良好に行うことができ、かつ、最終的に得られる容器詰飲料において、グルコース分解酵素由来のエグ味を問題ないレベルに抑えやすくすることができる。
過酸化水素分解酵素(特にカタラーゼ)の酵素活性(力価)は5000~50000u/gであることが好ましく、特に15000~35000u/gであることが好ましく、さらには20000~25000u/gであることが好ましい。なお、過酸化水素分解酵素の酵素力価(単位:u)は、25℃・pH7.0において,1分間当たり1μmolの過酸化水素を分解する酵素力価を1uとする。
また、過酸化水素分解酵素(特にカタラーゼ)の使用量(酵素濃度)は、乳原料に対して、0.0010~0.0250質量%であることが好ましく、特に0.0025~0.0100質量%であることが好ましい。さらに、過酸化水素分解酵素(特にカタラーゼ)の使用量を酵素活性で表した場合、乳原料に対して2×10-1~5u/gであることが好ましく、特に5×10-1~2u/gであることが好ましい。これらにより、過酸化水素の分解を良好に行うことができ、かつ、最終的に得られる容器詰飲料において、過酸化水素分解酵素由来のエグ味を問題ないレベルに抑えることができる。
さらに、グルコース分解酵素と過酸化水素分解酵素とを併用する場合の比率は、グルコース分解酵素1uに対し、過酸化水素分解酵素が2~50uであることが好ましく、特に5~20uであることが好ましく、さらには10~15uであることが好ましい。
上記酵素の添加において、乳原料の温度は、本実施形態の効果が得られる限り特に限定されないが、0~50℃であることが好ましく、特に5~45℃であることが好ましく、さらには8~40℃であることが好ましく、さらには20~38℃であることが特に好ましい。なお、乳原料を加熱できない場合には、乳原料の温度は15℃以下であってもよく、さらには10℃以下であってもよく、かかる低温でも本実施形態の効果が得られることは後述する実施例にて確認されている。
上記酵素を添加した乳原料を他の原料に配合するまでの時間は、本実施形態の効果が得られる限り特に限定されないが、例えば、3~120分であってよく、また5~100分であってよく、さらには8~90分であってよい。なお、他の原料に配合するまでの時間は、例えば15分以下、さらには10分以下であってもよく、かかる短時間であっても本実施形態の効果が得られることは後述する実施例にて確認されている。
上記酵素を添加する乳原料におけるpHは、本実施形態の効果が得られる限り特に限定されないが、pH5.0~8.0であることが好ましく、特にpH6.0~7.5であることが好ましく、さらにはpH6.7~7.2であることが好ましい。
なお、本実施形態に係る飲料液配合用の乳原料において、添加した酵素の失活処理は、行ってもよいし、行わなくてもよい。
3.原料液
本実施形態に係る乳原料を配合する原料液としては、凝集抑制効果が発揮される限り特に限定されないが、植物由来物を含有する原料液であることが好ましい。植物由来物を含有する原料液に対して、本実施形態に係る乳原料を配合した場合に、凝集抑制効果が良好に発揮される。
植物由来物としては、植物抽出物の他、植物粉砕物が挙げられる。植物抽出物は、植物体またはその加工物から水等の溶媒により抽出されたものであればよい。植物粉砕物は、植物体またはその加工物を粉状等に粉砕したものであればよい。凝集抑制効果の観点から、植物体は、ポリフェノール含有植物であることが好ましく、また上記植物由来物はポリフェノールを含むことが好ましい。
植物抽出物の具体例としては、焙煎コーヒー豆抽出液(以下「コーヒー抽出液」という)などのコーヒー由来液;緑茶抽出液、紅茶抽出液、ほうじ茶抽出液、烏龍茶抽出液等の茶抽出液;麦抽出液その他穀類抽出液等が挙げられる。また、植物粉砕物の具体例としては、緑茶粉末や抹茶などの緑茶葉粉砕物、ココアパウダー、きな粉、ごま粉末等が挙げられる。これらの植物由来物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。上記の中でも、凝集抑制効果の観点から、コーヒー由来液が好ましく、特にコーヒー抽出液が好ましい。なお、植物粉砕物を含有する原料液は、植物粉砕物の溶解液であってもよいし、植物粉砕物の分散液であってもよい。
〔容器詰飲料〕
本発明の一実施形態に係る容器詰飲料は、前述した飲料液配合用の乳原料を、所定の原料液に配合したものである。原料液としては、前述したものが好ましく挙げられる。したがって、本実施形態に係る容器詰飲料は、植物由来物を含有する原料液に、前述した飲料液配合用の乳原料が配合されたものであることが好ましい。
1.飲料の成分・物性
(1)配合比
本実施形態に係る容器詰飲料の飲料において、植物由来物を含有する原料液と、飲料液配合用の乳原料との配合比は、植物由来物固形分と乳固形分との比で示すことができる。本実施形態に係る容器詰飲料の飲料において、植物由来物固形分に対する乳固形分の質量比(乳固形分/植物由来物固形分)は、0.20~3.00であることが好ましく、特に0.25~2.50であることが好ましく、さらには0.30~2.00であることが好ましい。
植物由来物固形分に対する乳固形分の質量比が上記の範囲にあることにより、加熱殺菌による凝集の発生がより効果的に抑制される。また、香味のバランスがより良いものとなる。これらの効果は、植物由来物を含有する原料液がコーヒー抽出液である場合に、特に優れたものとなる。
上記質量比を実現しやすくする観点から、本実施形態に係る容器詰飲料の飲料において、乳固形分は、0.26~6.25質量%とすることができ、さらに0.625~3質量%とすることができ、さらにまた1.25~2.25質量%とすることができる。同様に、本実施形態に係る容器詰飲料の飲料において、植物由来物固形分は、0.55~2.0質量%とすることができ、さらに0.8~1.8質量%とすることができ、さらにまた1.0~1.5質量%とすることができる。
(2)糖類
本実施形態に係る容器詰飲料の飲料は、第1に、糖類を0.5質量%未満含有するものであってもよいし、第2に、糖類を0.50~9.00質量%含有するものであってもよい。第1の飲料の場合には、無糖の容器詰飲料として提供することができ、第2の飲料の場合には、有糖(加糖)の容器詰飲料として提供することができる。
第1の飲料の場合、糖類の含有量は、0.5質量%未満であればよいが、特に0.45質量%以下であってよく、さらには0.4質量%以下であってよい。なお、下限値は特に限定されず、糖類を含有しない(0質量%)であってもよいが、0.01質量%以上であってよく、0.25質量%以上であってもよい。
また、第2の飲料の場合、糖類の含有量は、0.50~9.00質量%であってよく、また1.00~6.00質量%であってよく、さらには2.00~4.00質量%であってよい。
上記の糖類には、主として乳糖および/またはグルコースが含まれるが、その他、果糖、砂糖、麦芽糖などが含まれてもよい。乳糖およびグルコースは、前述した飲料液配合用の乳原料が含有していたものであってもよいし、別途添加したものであってもよい。上記糖類の含有量は、糖類が乳糖および/またはグルコースの場合に好ましく、特に糖類が乳糖およびグルコースの場合に好ましい。
(3)pH
本実施形態に係る容器詰飲料のpHは、6.0~7.0であることが好ましく、特に6.2~6.8であることが好ましく、さらには6.3~6.7であることが好ましい。なお、本実施形態に係る容器詰飲料のpHは、殺菌後に測定されるものである。本実施形態に係る容器詰飲料は、pHが上記の範囲にあることにより、凝集抑制効果がより優れたものとなる。また、飲料としての風味も良好なものとなる。
pHの調整は、必要に応じてpH調整剤を添加することにより行うことができる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、フィチン酸およびグルコン酸等の有機酸またはそれらのアルカリ塩や、重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩等が用いられる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
重曹の添加量は、内容液に対して、0.08~0.12質量%程度が好ましく、特に0.09~0.11質量%程度が好ましい。また、炭酸カリウムの添加量は、内容液に対して、0~0.2質量%程度が好ましく、特に0~0.1質量%程度が好ましい。
(4)Brix値
本実施形態に係る容器詰飲料のBrix値は、1.00~10.0であることが好ましく、特に1.50~7.50であることが好ましく、さらには2.00~5.00であることが好ましい。本実施形態に係る容器詰飲料は、Brix値が上記の範囲にあることにより、凝集抑制効果がより優れたものとなる。また、飲料としての風味も良好なものとなる。なお、Brix値は、20℃における糖用屈折計示度(°Brix)で表され、汎用の糖用屈折率計等で測定することができる。
(5)飲料の種類
本実施形態に係る容器詰飲料の種類としては、例えば、乳含有コーヒー飲料;乳含有紅茶飲料、乳含有ほうじ茶飲料等の乳含有茶飲料;乳含有抹茶飲料;乳含有ココア飲料などが挙げられる。これらの中でも、凝集抑制効果がより顕著に示される乳含有コーヒー飲料が好ましく、特にコーヒー抽出液を使用した乳含有コーヒー飲料が好ましい。
ここで、本実施形態に係る容器詰飲料が乳含有コーヒー飲料である場合について説明する。この場合に使用する原料液としてのコーヒー抽出液は、常法によって得ることができる。通常、原料となるコーヒー豆を所定時間焙煎した後に粉砕し、これを熱湯により抽出する抽出工程を経て得られる。このコーヒー抽出液は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
原料となるコーヒー豆の産地としては、ブラジル、コロンビア、タンザニア、エチオピア等が挙げられるが、特に限定されない。また、コーヒー豆の品種としては、アラビカ種、ロブスタ種等が挙げられる。コーヒー豆は、1種類で用いても、2種以上をブレンドして用いてもよい。コーヒー豆の焙煎は常法によって行うことができ、各成分の調整に必要な抽出物を得るために焙煎度(L値)についても適宜調整することができる。
上記抽出工程においては、任意の公知方法を選択することができるが、紙製若しくは布製のフィルターによるろ過抽出を用いる方法が好ましい。また、コーヒー抽出液は、上記の抽出工程に加えて濃縮や希釈等の工程を経て得ることも可能であり、さらに、上記抽出工程に加え、濾過工程や遠心分離工程などの清澄化工程、殺菌工程等を経て得ることもできる。
本実施形態の容器詰飲料が乳含有コーヒー飲料である場合、乳含有コーヒー飲料におけるカフェイン含有量は、200~1000ppmであることが好ましく、特に300~800ppmであることが好ましく、さらには400~600ppmであることが好ましい。乳含有コーヒー飲料のカフェイン含有量が上記範囲にあることにより、凝集抑制効果がより優れたものとなる。また、乳含有コーヒー飲料としてコーヒー風味がより良好なものとなる。なお、乳含有コーヒー飲料のカフェイン含有量は、豆種の選択、焙煎の調整、抽出時間の調整の他、公知の脱カフェイン方法を使用して調整することができる。
乳含有コーヒー飲料のカリウム含有量は、250~1700ppmであることが好ましく、特に500~1500ppmであることが好ましく、さらには700~1000ppmであることが好ましい。乳含有コーヒー飲料のカリウム含有量が上記範囲にあることにより、凝集抑制効果がより優れたものとなる。また、乳含有コーヒー飲料として苦味がより良好なものとなる。なお、乳含有コーヒー飲料のカリウム含有量は、豆種の選択、抽出時間の制御等によって調整することができる。
乳含有コーヒー飲料のクロロゲン酸類の含有量は、3-モノカフェオイルキナ酸、4-モノカフェオイルキナ酸および5-モノカフェオイルキナ酸の3種合計量として、100~600ppmであることが好ましく、特に200~500ppmであることが好ましく、さらには250~450ppmであることが好ましい。また、乳含有コーヒー飲料のクロロゲン酸類の含有量は、上記モノカフェオイルキナ酸の3種合計量と、3-フェルロイルキナ酸、4-フェルロイルキナ酸および5-フェルロイルキナ酸の3種合計量との6種合計量として、200~700ppmであることが好ましく、特に250~650ppmであることが好ましく、さらには300~550ppmであることが好ましい。さらに、乳含有コーヒー飲料のクロロゲン酸類の含有量は、上記モノカフェオイルキナ酸およびフェルロイルキナ酸の6種合計量と、3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸および4,5-ジカフェオイルキナ酸の3種合計量との9種合計量として、220~800ppmであることが好ましく、特に270~700ppmであることが好ましく、さらには320~600ppmであることが好ましい。乳含有コーヒー飲料におけるクロロゲン酸類の含有量が上記範囲にあることにより、凝集抑制効果がより優れたものとなる。また、乳含有コーヒー飲料としてコーヒー風味がより良好なものとなる。なお、乳含有コーヒー飲料のクロロゲン酸類含有量は、豆種の選択、焙煎の制御、抽出時間の制御等によって調整することができる。
(6)他の成分
本実施形態に係る容器詰飲料は、本実施形態の効果を阻害しない限り、前述した成分以外の添加剤を含有してもよい。かかる添加剤としては、例えば、安定剤、抗酸化剤、香料、人工甘味料、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で、または併用して配合することができる。
本実施形態に係る容器詰飲料は、凝集・沈殿を抑制することを目的とした乳化剤は含有しないことが好ましい。本実施形態に係る容器詰飲料においては、乳化剤を使用しなくても凝集・沈殿を抑制することができ、乳化剤による人体に対する各種影響を防止することができる。また、微生物などの制菌を目的とした乳化剤は使用しても良い。
2.容器
本実施形態に係る容器詰飲料で使用する容器としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、透明、半透明又は不透明のビンなどが挙げられ、特に限定されない。なお、PETボトルや紙容器等を用いる場合、高速充填が可能な製造工程を採用しやすい一方、かかる製造工程において凝集物の発生が特に問題となりやすい傾向にあるが、本実施形態においては殺菌処理における凝集物の発生が抑制されるため、PETボトルや紙容器等も好適に採用可能である。
3.製造方法
本実施形態に係る容器詰飲料を製造するには、前述したように酵素を添加した乳原料を得るとともに、所望の原料液を調製する。次いで、得られた酵素添加後の乳原料と、原料液と、必要に応じて糖類やpH調整剤、その他の添加剤とを混合し、調合液を得る。調合液を得るにあたり、ホモゲナイザー等によって均質化処理しても良い。
その後、調合液を加熱殺菌・充填し、本実施形態に係る容器詰飲料を得る。なお、加熱殺菌工程および充填工程の順序は、容器の種類、加熱殺菌の方法などにより適宜設定される。
加熱殺菌は、食品衛生法に定められた殺菌条件で行う。加熱殺菌の方法としては、UHT殺菌、レトルト殺菌等が挙げられる。UHT殺菌の場合、例えば、130~145℃で6~60秒間行うことが好ましい。レトルト殺菌の場合、例えば、121~130℃で5~40分間行うことが好ましい。充填速度(生産効率)の観点、そして風味劣化が少ないという観点から、UHT殺菌が好ましい。
UHT殺菌の場合、レトルト殺菌と比較してより高温で殺菌処理するため、凝集がより発生し易くなる。しかしながら、本実施形態に係る容器詰飲料では、いずれの殺菌方法で加熱殺菌したとしても、凝集の発生が抑制される。さらに、UHT殺菌の場合、UHT殺菌は主に連続生産で採用されるため、製造工程中に凝集物が蓄積したときにその除去にあたり製造工程を停止する必要があり、凝集物の発生は生産効率に著しく影響するが、本実施形態においては凝集物の発生が抑制されるためUHT殺菌にも好適に適用できる。
また、酵素添加で使用した酵素由来のエグ味も、その酵素の添加量から問題ないレベルに抑えられる。
充填速度は、100bpm以上であることが好ましく、特に200bpm以上であることが好ましく、さらには300bpm以上であることが好ましい。上限値は特に制限されないが、例えば、1000bpm程度であってよく、また500bpm程度であってよい。本実施形態に係る容器詰飲料においては、加熱殺菌による凝集の発生が抑制されるため、上記のような高速充填が可能となる。
〔飲料液における凝集抑制方法〕
本発明の一実施形態に係る飲料液における凝集抑制方法では、所望の原料液に対し、少なくともグルコース分解酵素を含む酵素が添加された乳原料を配合する。かかる方法によれば、加熱殺菌による凝集の発生が効果的に抑制される。原料液の種類、乳原料、酵素添加、原料液に対する酵素添加された乳原料の配合量等は、前述した通りであることが好ましい。
以上で説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下に、本発明の実施の態様について、原料液がコーヒー抽出液である場合を例として実施例をあげて説明するが、本発明の構成要件を満たす限りにおいて、以下の態様例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.コーヒー抽出液の調製
調合量に対して、コーヒー豆3.85%を粉砕し、88℃の温水にてドリップ抽出を行った。抽出液量は粉砕豆に対して、抽出効率26%になるよう回収した。
2.乳原料の酵素添加
牛乳(明治社製)(乳固形分:12.3質量%,乳糖:4.8質量%)10質量部および生クリーム(明治社製,乳固形分:50質量%,乳糖:3.1質量%)0.155質量部に、乳原料のグルコース濃度が表1に示される値となるように添加し、これを酵素添加前の乳原料とした。当該乳原料を10℃に調整し、グルコースオキシダーゼ#1(新日本化学工業社製,「スミチームPGO」,力価:2,000u/g,(夾雑物として)カラターゼ:500u/g以下)を、100ppmの濃度となるよう添加し、5分間撹拌した。これにより、酵素が添加された乳原料を得た。
3.調合
上記で得られたコーヒー抽出液と、酵素添加された乳原料とを、乳固形分1.23質量%、コーヒー固形分1.0質量%となるように混合した。この混合液に、pH調整剤として重曹を0.08質量%添加するとともに、得られる飲料におけるpHが表1~3に示される値となるように炭酸カリウムを添加し、ホモゲナイザーによって均質化処理した。このようにして、乳含有コーヒー飲料を得た。
4.加熱殺菌処理
得られた乳含有コーヒー飲料に対して、138.5℃で45秒のUHT殺菌を行い、PETボトルに充填して、容器詰飲料を得た。この容器詰飲料の糖類の量(質量%)を、示差屈折計を検出器とした高速液体クロマトグラフィーによって測定した。また、コーヒー固形分に対する乳固形分の質量比(乳固形分/植物由来物固形分)を算出した。それぞれの結果を表1~3に示す。
上記容器詰飲料のpHを、pH計(堀場製作所社製,「F-52型・卓上pHメーター」)を使用して測定した。結果を表1~3に示す。
上記容器詰飲料のBrixを、光学屈折率計(アタゴ社製,「RX-5000α-Bev」)を使用して測定した。結果を表1~3に示す。
〔実施例2~22,比較例1~2,参考例1~2〕
酵素の種類および使用量、乳原料の組成、コーヒー抽出液の組成、コーヒー抽出液と酵素添加された乳原料との配合比(乳固形分/コーヒー固形分)、ならびに容器詰飲料のpHを表1~3に示すように変更する以外、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。なお、比較例1は、酵素を添加しなかった例であり、比較例2は、酵素としてカタラーゼのみを添加した例であり、参考例1は、乳原料を使用せず、コーヒー抽出液のみを使用した例である。
表中の「グルコースオキシダーゼ#2」は、新日本化学工業社製の「スミチームGOP」、力価:1,500u/g、夾雑物としてのカラターゼ:20,000~25,000u/gのものである。
乳原料については、牛乳(明治社製,乳固形分:12.3質量%,乳糖:4.8質量%)および生クリーム(明治社製,乳固形分:50質量%,乳糖:3.1質量%)を適宜混合することにより、表1~3に示される組成にした。
コーヒー抽出液に含まれるコーヒー固形分、カフェイン及びカリウムは、コーヒー豆の使用量、抽出条件、抽出液の配合割合によって調整した。実施例19および21で使用したコーヒー抽出液は、調合量に対して、コーヒー豆1.93%を粉砕し、88℃の温水にてドリップ抽出を行った。抽出液量は粉砕豆に対して、抽出効率26%になるよう回収した。
また、実施例20および22で使用したコーヒー抽出液は、調合量に対して、コーヒー豆5.77%を粉砕し、88℃の温水にてドリップ抽出を行った。抽出液量は粉砕豆に対して、抽出効率26%になるよう回収した。
なお、実施例10(コーヒー固形分:1.0質量%)、実施例19(同0.5質量%)および実施例20(同2.0質量%)について、カフェイン量(ppm)を高速液体クロマトグラフィーによって測定し、またカリウム量(mg/100g)を原子吸光分析法によって測定した。結果を表4に示す。
〔試験例1〕(クロロゲン酸類の定量)
実施例10、19および20で調製・使用した乳含有コーヒー飲料液について、下記方法によってクロロゲン酸類の含有量の定量分析を行った。
測定対象試料を、蒸留水にて適量希釈し、メンブレンフィルターにて濾過後、分析に供した。結果を表4に示す。
=装置構成=
・UV検出器:2487 デュアル λ UV/VIS 検出器(日本ウォーターズ(株))
・HPLC:アライアンス2695 セパレーションモジュール(日本ウォーターズ(株))
・カラム:Cadenza CD-C18 内径4.6mm×長さ100mm、粒子径3μm(インタクト(株))
=分析条件=
・サンプル注入量:10μL
・流量:0.8mL/min
・検出波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:40℃
・溶離液A:0.05M酢酸/蒸留水
・溶離液B:0.05M酢酸/100% アセトニトリル
=濃度勾配条件=
・93%Aから60%Bへのグラジェント法
=定量方法=
・モノカフェオイルキナ酸、フェルラキナ酸、ジカフェオイルキナ酸の合計9種のクロロゲン酸類の面積値から5-モノカフェオイルキナ酸を標準物質として濃度(ppm)を算出した。結果を表4に示す。
なお、表4中、「3種合計」は、3-モノカフェオイルキナ酸(3CQA)、4-モノカフェオイルキナ酸(4CQA)、および5-モノカフェオイルキナ酸(5CQA,クロロゲン酸)の合計濃度である。
また、「6種合計」は、上記3種に3-フェルロイルキナ酸(3FQA)、4-フェルロイルキナ酸(4FQA)、および5-フェルロイルキナ酸(5FQA)を加えた6種の合計濃度である。
さらに、「9種合計」は、上記6種に3,4-ジカフェオイルキナ酸(3,4diCQA)、3,5-ジカフェオイルキナ酸(3,5diCQA)、および4,5-ジカフェオイルキナ酸(4,5diCQA)を加えた9種の合計濃度である。ただし、3,4diCQA、3,5diCQAおよび4,5diCQAはいずれも検出限界(2ppm)未満であったため、6種合計と9種合計とは同じ値として算出された。
〔試験例2〕(凝集の評価)
実施例、比較例および参考例で製造した容器詰飲料について、凝集を評価するため、各実施例、比較例および参考例で製造した容器詰飲料の飲料液を200mlの缶容器に移し、さらに140℃で30分間のレトルト殺菌を行った。得られた試料について、濾過精度10μmのフィルター濾過を行い、フィルターに残った残渣の有無を目視により確認し、以下の基準にそって、陽性対照および陰性対照と対比して、凝集の評価を行った。ここで、乳原料を使用せずコーヒー抽出液のみを使用した参考例1の容器詰飲料を凝集評価の陽性対照とし、酵素を添加しなかった比較例1の容器詰飲料を凝集評価の陰性対照とした。結果を表1~3に示す。
<凝集の評価>
5:凝集が確認されず、非常に良好。(陽性対照と同等)
4:凝集がわずかしかなく、良好。
3:凝集がややあるが、許容範囲。
2:凝集があり、良好でない。
1:凝集が多く確認でき、問題あり。(陰性対照と同等)
〔試験例3〕(酵素由来のエグ味の評価)
実施例、比較例および参考例で製造した容器詰飲料について、酵素由来のエグ味の官能評価試験を行った。当該官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された5人のパネラーにて行った。以下の基準に沿って、陽性対照および陰性対照と対比して、酵素由来のエグ味を評価した。ここで、酵素を使用しなかった比較例1の容器詰飲料をエグ味評価の陽性対照とし、グルコースオキシダーゼ100ppmを添加した参考例2の容器詰飲料をエグ味評価の陰性対照とした。最も多かったパネラーの評点を表に示す(評点が同数だった場合は、パネラー同士でディスカッションを行い評点を決定した)。
<酵素由来のエグ味の評価>
5:酵素由来のエグ味を感じず、非常に良好。(陽性対照と同等)
4:酵素由来のエグ味をわずかしか感じず、良好。
3:酵素由来のエグ味をやや感じるが、許容範囲。
2:酵素由来のエグ味を感じて、良好でない。
1:酵素由来のエグ味が目立ち、問題あり。(陰性対照と同等)
また、以下の基準にて、凝集および酵素由来のエグ味の総合評価を行った。結果を表に示す。
◎:「凝集」及び「エグ味」の評価が両方とも「5」である。
○:「凝集」及び「エグ味」の評価に「1」及び「2」がない。
△:「凝集」及び「エグ味」の評価に「1」がなく、「2」がある。
×:「凝集」又は「エグ味」の評価に「1」がある。
〔試験例4〕(味の評価)
実施例10、15、17、19~22で製造した容器詰飲料について、乳の風味、コーヒーの香味、および甘味の官能評価試験を行った。当該官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された5人のパネラーにて行った。以下の基準に沿って、対照と比較して、各味の強さを評価した。ここで、比較例1の容器詰飲料の殺菌処理前の飲料液を対照(評点2)とした。最も多かったパネラーの評点の表3に示す(評点が同数だった場合は、パネラー同士でディスカッションを行い評点を決定した)。
<乳の風味の評価>
3:乳の風味を強く感じる。対照よりも強い。
2:乳の風味を適度に感じる。(対照)
1:乳の風味を弱く感じる。対照よりも弱い。
<コーヒーの香味の評価>
3:コーヒーの香味を強く感じる。対照よりも強い。
2:コーヒーの香味を適度に感じる。(対照)
1:コーヒーの香味を弱く感じる。対照よりも弱い。
<甘味の評価>
3:甘味を強く感じる。対照よりも強い。
2:甘味を適度に感じる。(対照)
1:甘味を弱く感じる。対照よりも弱い。
また、以下の基準にて、味の総合評価を行った。結果を表3に示す。
◎:すべての評価が「2」であり、乳含有コーヒー飲料として非常に適した香味を有している。
○:「2」の評価が2つあり、乳含有コーヒー飲料として適した香味を有している。
△:「2」の評価が1つであり、乳含有コーヒー飲料としてやや適した香味を有している。
×:「2」の評価がなく、乳含有コーヒー飲料としての香味が十分でない。
Figure 0007350557000001
Figure 0007350557000002
Figure 0007350557000003
Figure 0007350557000004
表1~4に示す通り、実施例で製造した容器詰飲料は、加熱殺菌による凝集の発生が抑制されており、かつ、酵素由来のエグ味についても全て許容範囲内であった。さらに、乳含有コーヒー飲料として、好適な香味を有していた。
本発明は、乳含有飲料、特に乳含有コーヒー飲料を製造するのに好適である。

Claims (15)

  1. 酵素が添加された、飲料液配合用の乳原料であって、
    前記酵素が、少なくともグルコース分解酵素を含み、
    植物由来物を含有する原料液に配合される用途に用いられる
    ことを特徴とする飲料液配合用の乳原料。
  2. 前記酵素が添加される前の乳原料には、グルコースが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の飲料液配合用の乳原料。
  3. 前記酵素が添加される前において前記グルコースを0.3~20質量%含有することを特徴とする請求項2に記載の飲料液配合用の乳原料。
  4. 前記酵素が過酸化水素分解酵素を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料液配合用の乳原料。
  5. 前記グルコース分解酵素が、グルコースオキシダーゼであり、
    前記過酸化水素分解酵素が、カタラーゼである
    ことを特徴とする請求項4に記載の飲料液配合用の乳原料。
  6. 乳糖を1.0~10.0質量%含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料液配合用の乳原料。
  7. 前記原料液が、コーヒー抽出液であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料液配合用の乳原料。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の飲料液配合用の乳原料を配合した容器詰飲料であって、
    植物由来物を含有する原料液に、前記飲料液配合用の乳原料が配合されていることを特徴とする容器詰飲料
  9. 糖類の含有量が0.50質量%未満であることを特徴とする請求項に記載の容器詰飲料。
  10. 糖類を0.50~9.00質量%含有することを特徴とする請求項に記載の容器詰飲料。
  11. 前記飲料が、乳含有コーヒー飲料であることを特徴とする請求項10のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  12. 前記乳含有コーヒー飲料のカフェイン含有量が、200~1000ppmであることを特徴とする請求項11に記載の容器詰飲料。
  13. コーヒー固形分に対する乳固形分の質量比が、0.20~3.00であることを特徴とする請求項11または12に記載の容器詰飲料。
  14. 前記容器が、PETボトルであることを特徴とする請求項13のいずれか一項に記載の容器詰飲料。
  15. 少なくともグルコース分解酵素を含む酵素が添加された乳原料を、植物由来物を含有する原料液に配合することを特徴とする飲料液における凝集抑制方法。
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