添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る加工装置は、例えば、半導体でなるウェーハ等の被加工物を加工する切削装置、またはレーザ加工装置等の加工装置である。図1及び図2には、加工装置で加工される被加工物1を模式的に示す斜視図が含まれている。まず、被加工物1について説明する。
被加工物1は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円形のウェーハであり、その表面1a側には互いに交差する複数の分割予定ライン3が設定される。分割予定ライン3によって区画された各領域には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイス5が形成されている。被加工物1を分割予定ライン3に沿って分割すると、個々のデバイスチップを製造できる。
なお、被加工物1はシリコン等の半導体材料でなる円形のウェーハ以外でもよく、被加工物1の材質、形状、構造等に制限はない。例えば、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる矩形の基板を被加工物1として用いることもできる。デバイス5の種類、数量、配置等にも制限はない。
被加工物1を分割する際には、加工装置が使用される。被加工物1が加工装置に搬入される際には、被加工物1は粘着テープ7と、環状フレーム9と、と一体化されてフレームユニット11が形成される。そして、被加工物1は、フレームユニット11の状態で加工装置に搬入され加工される。
フレームユニット11は、環状フレーム9と、環状フレーム9の開口を塞ぐように貼られた粘着テープ7と、を含む。被加工物1の裏面1b側には、環状フレーム9の該開口に露出した粘着テープ7が貼着されている。すなわち、被加工物1は、粘着テープ7を介して環状フレーム9に支持されている。
図1は、本実施形態に係る加工装置の一例であるレーザ加工装置2を模式的に示す斜視図である。以下、該加工装置がレーザ加工装置2である場合を例に説明する。レーザ加工装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の上には、被加工物1を吸引保持するチャックテーブル26が配設されている。チャックテーブル26で被加工物1を保持面26aに平行な方向に移動させると、被加工物1を加工送りまたは割り出し送りできる。
基台4の上面には、チャックテーブル26をY軸方向に沿って割り出し送りするY軸方向移動機構6が設けられている。Y軸方向移動機構6は、Y軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール8を備えており、Y軸ガイドレール8には、Y軸移動プレート10がスライド可能に取り付けられている。Y軸移動プレート10の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール8に平行なY軸ボールネジ12が螺合されている。
Y軸ボールネジ12の一端部には、Y軸パルスモータ14が連結されている。Y軸パルスモータ14でY軸ボールネジ12を回転させることで、Y軸移動プレート10は、Y軸ガイドレール8に沿ってY軸方向に移動する。
Y軸移動プレート10の上面には、チャックテーブル26をX軸方向に沿って加工送りするX軸方向移動機構16が設けられている。X軸方向移動機構16は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール18を備えており、X軸ガイドレール18には、X軸移動プレート20がスライド可能に取り付けられている。X軸移動プレート20の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール18に平行なX軸ボールネジ22が螺合されている。
X軸ボールネジ22の一端部には、X軸パルスモータ24が連結されている。X軸パルスモータ24でX軸ボールネジ22を回転させることで、X軸移動プレート20は、X軸ガイドレール18に沿ってX軸方向に移動する。
X軸移動プレート20の上方には、被加工物1を保持するためのチャックテーブル26が設けられている。チャックテーブル26の上面には多孔質部材が配設されており、該多孔質部材の上面が被加工物1を吸引保持する保持面26aとなる。該多孔質部材は、チャックテーブル26の内部に形成された吸引路(不図示)を介して吸引源(不図示)に接続されている。
レーザ加工装置2にフレームユニット11を搬入し、粘着テープ7を介して保持面26aの上に被加工物1を載せ該吸引源を作動させると、フレームユニット11に負圧が作用して、フレームユニット11がチャックテーブル26に吸引保持される。チャックテーブル26は、保持面26a上に載せられたフレームユニット11の環状フレーム9を挟持するクランプ26bを外周部に備える。
チャックテーブル26は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、保持面26aに垂直な回転軸の周りに回転できる。また、チャックテーブル26は、上述のX軸方向移動機構16でX軸方向に加工送りされ、Y軸方向移動機構6でY軸方向に割り出し送りされる。
基台4の後部上面には、レーザ加工ユニット32及び撮像ユニット34を支持する立設部28が配置されている。立設部28の前面上部には、チャックテーブル26の上方まで伸長する支持部30が接続されており、支持部30の先端にはレーザ加工ユニット32及び撮像ユニット34が固定されている。
レーザ加工ユニット(加工ユニット)32は、チャックテーブル26に保持された被加工物1を加工して被加工物1に加工痕を形成する機能を有する。撮像ユニット34は、チャックテーブル26に保持された被加工物1の表面1aを撮像する機能を有する。撮像ユニット34を使用して被加工物1の表面1aを撮像すると、被加工物1の加工予定箇所を確認できる。
図3は、チャックテーブル26に保持された被加工物1をレーザ加工する様子を模式的に示す斜視図である。なお、図3ではチャックテーブル26のクランプ26bが省略されており、支持部30の変形例が示されている。例えば、レーザ加工ユニット32は、被加工物1に吸収される波長(被加工物1が吸収性を有する波長)のレーザビーム32aを被加工物1に照射する機能を有する。分割予定ライン3に沿って被加工物1にレーザビーム32aを照射すると、分割予定ライン3に加工痕3aが形成される。
なお、加工痕3aは、被加工物1の裏面1bに達していてもよい。この場合、被加工物1は、該加工痕3aにより両側で切り離される。また、加工痕3aは被加工物1の裏面1bに達していなくてもよい。この場合、加工痕3aは、被加工物1の表面1aと裏面1bの間の高さ位置に底部を有する溝状の断面形状を有する。
被加工物1を加工する際には、まず、撮像ユニット34で被加工物1の表面1aを撮像し、分割予定ライン3を検出する。そして、分割予定ライン3の伸長方向と、加工送り方向(X軸方向)と、が合致するようにチャックテーブル26を保持面26aに垂直な軸の周りに回転させる。その後、分割予定ライン3の端部上方にレーザ加工ユニット32を位置付ける。
そして、被加工物1にレーザビーム32aを照射しながらX軸方向移動機構16を作動させて被加工物1を加工送りすると、分割予定ライン3に沿って加工痕3aが形成される。一つの分割予定ライン3に沿って被加工物1を加工した後、Y軸方向移動機構6を作動させて被加工物1を割り出し送りし、レーザ加工ユニット32を他の分割予定ライン3の端部上方に位置付ける。その後、レーザビーム32aを被加工物1に照射しながら被加工物1を加工送りして被加工物1をレーザ加工する。
こうして次々に被加工物1を加工し、一つの方向に沿った全ての分割予定ライン3に沿って被加工物1を加工した後、チャックテーブル26を保持面26aに垂直な軸の周りに回転させ、他の方向に沿った分割予定ライン3を加工送り方向に合わせる。その後、他の方向に沿った分割予定ライン3に沿って被加工物1を次々に加工する。すべての分割予定ライン3に沿って被加工物1が加工され加工痕3aが形成されると、レーザ加工装置2による被加工物1の加工が完了する。
なお、被加工物1は、レーザ加工装置2以外の加工装置で加工されてもよい。図4は、切削ユニット50を備える切削装置(加工装置)で被加工物1が加工される様子を模式的に示す斜視図である。切削装置は、レーザ加工ユニット32に代えて切削ユニット50を備えること以外はレーザ加工装置2と同様に構成されるため、切削ユニット50以外の説明を省略する。なお、図4では、撮像ユニット34が省略されている。
切削ユニット50は、円環状の切削ブレード50aと、切削ブレード50aの中央の貫通孔に突き通されるスピンドル(不図示)と、を備える。スピンドルを回転させると切削ブレード50aを回転できる。切削ブレード50aは、砥粒と、該砥粒を分散固定するボンドと、を含む砥石部を外周に備える。切削ブレード50aを回転させながら、分割予定ライン3に沿って該砥石部を被加工物1に接触させると、被加工物1が切削されて加工痕3aが形成される。
なお、レーザ加工ユニット32や切削ユニット50等の加工ユニットで形成される加工痕3aは、被加工物1の裏面1bに達していなくてもよい。被加工物1を加工装置で加工した後に被加工物1を裏面1b側から研削して薄化することで溝状の加工痕3aの底部を除去すると、被加工物1を分割できる。
図1を使用して、レーザ加工装置2を例に本実施形態に係る加工装置の説明を続ける。レーザ加工装置2は、表示ユニット36をさらに備える。表示ユニット36は、レーザ加工装置2や被加工物1の状態を示す情報、加工の進行状況を示す情報、または、異常の有無を示す情報等を表示し、これらの情報をレーザ加工装置2の使用者または管理者等に報知する。また、表示ユニット36は、撮像ユニット34で撮像した画像を表示する機能を有する。表示ユニット36は、例えば、液晶ディスプレイ等のモニターである。
また、表示ユニット36には、タッチパネル等の入力装置が組み込まれていてもよい。表示ユニット36がタッチパネル付きディスプレイであると、レーザ加工装置2の使用者等は表示ユニット36を使用して各種の指令等をレーザ加工装置2に入力し、レーザ加工装置2を操作できる。この場合、表示ユニット36には、操作画面が表示される。
レーザ加工装置2は、レーザ加工装置2の各構成を制御する制御ユニット38をさらに備える。制御ユニット38は、Y軸方向移動機構6、X軸方向移動機構16、レーザ加工ユニット(加工ユニット)32、撮像ユニット34、チャックテーブル26、表示ユニット36、各種の搬送装置等を制御する。そして、レーザ加工装置2における被加工物1の加工を進行させる。
制御ユニット38は、例えば、CPUまたはマイクロプロセッサ等の処理装置と、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ等の記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。そして、記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
切削ユニット50またはレーザ加工ユニット32等の加工ユニットにより加工された被加工物1を撮像ユニット34で撮像すると、形成された加工痕3aを解析できる。例えば、加工痕3aの位置ずれの有無や、加工痕3aのエッジに生じるチッピングと呼ばれる欠けの大きさ等を評価できる。そして、必要に応じて加工が停止され、加工条件の変更等の対策が実施される。
ここで、加工痕3aの解析が適切に実施されていなければ、適切な対策を講じることができない。そこで、本実施形態に係る加工装置では、加工痕3aの解析が適切であるか否かを検証可能とするために、解析で得られた加工痕3aの形状に関する情報とともに解析に使用された画像が記憶される。以下、加工痕3aの解析が適切であるか否かの検証に寄与する制御ユニット38の構成及び機能について説明する。
制御ユニット38は、加工ユニットで加工された被加工物1を撮像ユニット34に撮像させ加工結果画像を形成させる撮像指示部40と、該加工結果画像を解析して加工痕3aを検出し、該加工痕3aの形状に関する情報を作成する解析部42と、を備える。
例えば、制御ユニット38には、被加工物1の撮像を実施するタイミング、撮像箇所、または、撮像条件等が予め登録されている。そして、撮像指示部40は所定の手順に従って撮像ユニット34を制御し、撮像ユニット34に被加工物1を撮像させて画像を形成させる。
例えば、被加工物1の加工時に、被加工物1が所定の距離だけ加工送りされる毎に撮像が実施されてもよい。また、被加工物1が加工されている間、または加工の完了後に、被加工物1の表面1aの全域に分散して配置された複数の撮像予定箇所で撮像が実施されてもよい。
さらに、被加工物1をX軸方向またはY軸方向に移動させながら撮像ユニット34で加工痕3aに沿って被加工物1の表面1aを観察する。そして、加工痕3aの形状の解析を繰り返し、加工痕3aに留意すべき大きさのチッピングが生じている等の問題が確認されたときに加工結果画像が形成されてもよい。
なお、撮像画像の形成は、加工装置の使用者等により手動で指示されてもよい。この場合、例えば、使用者等は、加工装置を制御して被加工物1を移動させながら加工痕3aを観察し、任意の箇所で加工装置に撮像の指示を入力する。撮像指示部40は、撮像の指示が入力されたときに撮像ユニット34を制御して被加工物1を撮像し、加工結果画像を形成する。
解析部42は、撮像指示部40の機能により加工結果画像が形成されたとき、該加工結果画像を解析する。図5は、表示ユニット36に表示された加工結果画像52の一例を模式的に示す正面図である。解析部42は、加工結果画像52に写る加工痕3aを検出して解析する。
加工結果画像52では、加工痕3aが暗く写る。そこで、例えば、解析部42が加工痕3aを検出する際には、加工痕3aが形成される予定位置の近傍で互いに隣接する画素間の輝度差を算出していき、輝度差が周囲よりも大きい領域を加工痕3aの端部(エッジ)として検出する。そして、検出された加工痕3aの端部に囲まれた領域を加工痕3aとして検出する。
その後、解析部42は、該端部に形成されたチッピング21の形状を認識する。そして、加工痕3aの中心線3bの位置、加工痕3aの幅(平均幅、最大幅、及び最小幅等)、チッピング21のサイズ(加工痕3aからの距離)、及びチッピング21が占める面積等の加工痕3aの形状に関する情報を作成する。
なお、解析部42は、加工結果画像52に写るデバイス5及び分割予定ライン3の位置に関する情報をさらに作成してもよく、該情報に基づいて加工痕3aと、デバイス5または分割予定ライン3と、の相対的な位置関係に関する情報をさらに作成してもよい。例えば、加工痕3aの中心線3bが分割予定ライン3の中心線とどの程度ずれているかが評価されてもよい。解析部42が作成した各情報は、制御ユニット38が備える後述の記憶部44に記憶される。
制御ユニット38には、例えば、デバイス5を構成する電極13や配線層15の特徴的な形状がキーパターンとしてデバイス5における位置とともに予め登録されていてもよい。この場合、解析部42は、加工結果画像52から該キーパターンを検出して電極13や配線層15を含むデバイス5の位置及び分割予定ライン3の位置を検出する。
また、デバイス5におけるトランジスタ等の複数の半導体素子が形成された素子形成領域17の形状及び位置や、分割予定ライン3に形成されるTEG(Test Element Group)19の形状及び位置が制御ユニット38に予め登録されていてもよい。この場合、解析部42は、加工結果画像52から素子形成領域17やTEG19を検出してデバイス5の位置及び分割予定ライン3の位置を検出する。
制御ユニット38は、解析部42が作成した情報と、撮像ユニット34が形成した撮像画像と、を記憶する記憶部44を備える。記憶部44は、解析部42が作成した加工痕3aの形状に関する情報と、該情報の作成の基礎となる加工結果画像52と、を関連付けて記憶する機能を有する。
制御ユニット38は、さらに、記憶部44に記憶された加工痕3aの形状に関する情報を含む解析情報表示レイヤーを加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させる解析画面表示部46を備える。ここで、解析情報表示レイヤーとは、加工結果画像52に重ねられて表示されることを目的に作成された画像である。解析情報表示レイヤーは、加工結果画像52に写る加工痕3a等の着目された要素の表示を妨げない態様で加工痕3aの形状に関する情報を表示する。
図6(A)は、表示ユニット36に表示される解析情報表示レイヤー54aを模式的に示す正面図である。解析情報表示レイヤー54aには、例えば、解析部42が検出した加工痕の形状を表す図形3c等を含む第1の情報表示領域56と、加工痕3aの形状に関する数値情報が含まれる第2の情報表示領域58と、が含まれる。第1の情報表示領域56は、加工結果画像52に写る被加工物1の加工後の分割予定ライン3と重ねられるように表示されている。
例えば、解析情報表示レイヤー54aでは、第1の情報表示領域56が含む加工痕の形状を表す図形3cは、加工結果画像52に写る加工痕3aと重なるように配されている。また、第2の情報表示領域58が含む数値情報は、加工結果画像52に写る分割予定ライン3と重ならないように、例えば、デバイス5と重なるように配されている。
なお、図6(A)等においては、加工痕の形状を表す図形3cが加工痕3aの輪郭を示す場合が模式的に示されているが、加工痕の形状を表す図形3cはこれに限定されない。例えば、加工結果画像52に写る加工痕3aに過不足なく重なる図形でもよい。
さらに、図6(A)等に示す通り、解析情報表示レイヤー54aには、デバイス5が形成された領域を示すハッチング60と、加工痕3aの中心線3bを表す線と、が含まれていてもよい。また、解析情報表示レイヤー54aには、加工痕3aの形状に関するその他の情報や、加工痕3aの形状に関連しない情報が含まれてもよい。
解析情報表示レイヤー54aは、図形または文字等の要素が配されていない領域が透明の画像である。解析情報表示レイヤー54aが加工結果画像52に重ねられたとき、解析情報表示レイヤー54aの透明の領域を通して加工結果画像52を視認できる。図7は、解析画面表示部46が表示ユニット36に加工結果画像52と、該加工結果画像52に重ねられた解析情報表示レイヤー54aと、を含む解析画像62を表示させている状態における該表示ユニット36を模式的に示す正面図である。
加工装置の使用者等は、表示ユニット36に表示された解析画像62を視認することにより、加工結果画像52に写る加工痕3aを確認しながら加工痕3aの形状に関する情報を知ることができる。
ここで、加工装置の使用者等は、解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、を比較することにより、解析部42により実施された加工結果画像52の解析の適否を判断できる。例えば、解析情報表示レイヤー54aに含まれる加工痕3aの形状に関する数値情報が加工結果画像52に写る加工痕3aの形状を適切に捉えているか否かを判定する。または、解析情報表示レイヤー54aに含まれる加工痕の形状を表す図形3cが加工結果画像52に写る加工痕3aと過不足なく重なるか否かを判定する。
解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、を比較する際、解析画像62を視認したときに、解析画像62に含まれる各要素がそれぞれ解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、のいずれに属しているか判別しにくい場合がある。そこで、例えば、解析画面表示部46は、表示ユニット36に表示させる解析画像62における解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、の合成表示のオン及びオフを切り替える機能を有してもよい。
表示ユニット36がタッチパネル付きディスプレイである場合、図7に示す通り、解析画像62とともに合成表示のオン及びオフを切り替える指示を入力するための合成表示オンオフボタン66が表示されてもよい。この場合、加工装置の使用者等は、合成表示オンオフボタン66を操作して解析情報表示レイヤー54aの表示及び非表示を切り替えることで、解析画像62に写る各要素の所属を容易に判別できる。すなわち、解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、を容易に比較できる。
なお、合成表示オンオフボタン66を操作することで、解析情報表示レイヤー54aに代えて加工結果画像52の表示及び非表示が切り替えられてもよい。この場合においても同様に、解析画像62に写る各要素の所属を容易に判別できる。すなわち、解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、を容易に比較できる。
ただし、解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、のいずれかの表示をオフにしている間、両者を直接的には比較できない。その一方で、両者が同時に表示されている間、例えば、解析情報表示レイヤー54aに含まれる加工痕の形状を表す図形3cと、加工結果画像52に写る加工痕3aと、が重なるため、両者の比較がしにくい場合がある。
そこで、本実施形態に係る加工装置では、制御ユニット38の解析画面表示部46は、解析情報表示レイヤー54aの透明度を調整する機能を有してもよい。そして、解析画面表示部46は、透明度が調整された解析情報表示レイヤー54aを加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させる機能を有してもよい。
ここで、解析情報表示レイヤー54aの透明度(透過性)とは、解析情報表示レイヤー54aを構成する文字や図形等の要素と重なる部分(重複画素)において、加工結果画像52が表示ユニット36の表示に寄与する割合をいう。なお、該文字や図形等が存在しない領域において、解析情報表示レイヤー54aは元から透明である。
透明度が0%である場合、表示ユニット36の全表示領域のうち解析情報表示レイヤー54aに属する文字や図形等の要素が存在する部分において、加工結果画像52は表示ユニット36の表示に寄与しない。すなわち、加工結果画像52のうち解析情報表示レイヤー54aに属する要素と重なる部分が該要素で隠されて見えない状態となる。また、透明度が100%である場合、解析情報表示レイヤー54aは表示ユニット36の表示にはまったく寄与せず、表示ユニット36には加工結果画像52のみが表示される。
さらに、透明度が50%である場合、解析情報表示レイヤー54aに属する要素が存在する部分において加工結果画像52と、解析情報表示レイヤー54aと、が同程度に表示に寄与する。例えば、該部分では、解析情報表示レイヤー54aに属する画素の色彩及び輝度等と、加工結果画像52に属する画素の色彩及び輝度等と、が平均されて表示される。
透明度が0%より大きく100%未満である場合、表示ユニット36において、解析情報表示レイヤー54aの向こう側に加工結果画像52が透けて見える。透明度が50%を超えると表示ユニット36における加工結果画像52の要素が相対的に強まり、透明度が50%を下回ると表示ユニット36における解析情報表示レイヤー54aの要素が相対的に強まる。
図6(B)は、透明度が調整された解析情報表示レイヤー54bを模式的に示す正面図である。図6(B)では、解析情報表示レイヤー54bの透明度は、50%程度に調整されている。また、図6(C)は、透明度が100%に調整された解析情報表示レイヤー54cが模式的に示されている。解析情報表示レイヤー54cには実質的に何も表示されず、解析情報表示レイヤー54cを加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させると加工結果画像52が表示される。
表示ユニット36がタッチパネル付きディスプレイである場合、図7に示す通り、解析情報表示レイヤー54aの透明度(透過率)を段階的に指定できる透明度調節バー64が表示されてもよい。透明度調節バー64は、例えば、スライド可能なつまみの画像と、つまみの可動域を示す棒状の開口の画像と、により構成される。加工装置の使用者等は、つまみの画像を開口の画像上でスライドさせることで解析情報表示レイヤー54aの透明度を指定できる。
解析情報表示レイヤー54aの透明度を調節して加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させると、例えば、解析情報表示レイヤー54aに含まれる加工痕の形状を表す図形3cと、加工結果画像52に写る加工痕3aと、を同時に視認できる。そのため、解析部42による加工結果画像52の解析が適切に実施されたか否か、特に加工結果画像52における加工痕3aが占める領域を適切に検出できているかを極めて容易に判別できる。
なお、解析情報表示レイヤー54aの透明度を調整して加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させる際、他の方法で表示ユニット36の表示が形成されてもよい。例えば、加工結果画像52に解析情報表示レイヤー54aを重ねた初期画像を準備する。そして、透明度が0%とされるとき表示ユニット36には該初期画像を表示させ、透明度が上昇するのに伴い該初期画像から徐々に加工結果画像52に遷移させる。そして、透明度が100%となるときには表示ユニット36に加工結果画像52が表示される。
ところで、解析画面表示部46は、解析情報表示レイヤー54aに含まれるすべての要素の透明度を一律に調整する必要はない。例えば、第1の情報表示領域56に含まれる加工痕の形状を表す図形3cをその位置で加工結果画像52に写る加工痕3aと比較する場合、解析情報表示レイヤー54aの透明度を調整することが考えられる。しかしながら、解析情報表示レイヤー54aのすべての要素の透明度を調整すると、表示ユニット36では、第2の情報表示領域58においても加工結果画像52が見えるようになり、文字等で示された情報の視認性が低下する。
そこで、解析画面表示部46は、解析情報表示レイヤー54aのうち加工結果画像52に写る加工後の分割予定ライン3と重なる第1の情報表示領域56の透明度を調整する機能を有してもよい。この場合、解析画面表示部46は、透明度が調整された第1の情報表示領域56を含む解析情報表示レイヤー54aを加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させる。
第1の情報表示領域56のみ透明度が調節された解析情報表示レイヤー54aを加工結果画像52に重ねて表示ユニット36に表示させると、第2の情報表示領域58に属する文字等の視認性を低下させることなく解析部42の解析結果を容易に検証できる。図8には、第1の情報表示領域56の透明度を50%程度に設定した状態における、表示ユニット36に表示された解析画像62を模式的に示す正面図が示されている。なお、図8では、透明度が変更されたハッチング60も示されている。
さらに、第1の情報表示領域56の透明度に加えて第2の情報表示領域58の透明度が調節されてもよく、例えば、第1の情報表示領域56の透明度と異なる透明度に第2の情報表示領域58の透明度が調節されてもよい。第1の情報表示領域56の透明度と、第2の情報表示領域58の透明度と、を互いに独立に調節できると、加工装置の使用者等は、解析部42の解析の適否をより多角的に判断できる。
また、レーザ加工装置2等の本実施形態に係る加工装置の制御ユニット38の記憶部44は、加工痕3aの形状に関する情報と、加工結果画像52と、とともに加工結果画像52が撮像された被加工物1における位置を関連付けて記憶してもよい。
この場合、例えば、加工結果画像52の加工痕3aに許容される大きさを超えるチッピング21が確認された場合に、チッピング21が確認された箇所が記憶部44に記憶されることとなる。そして、制御ユニット38は、被加工物1における加工結果画像52が撮像された位置を示すマッピング画像を形成して表示ユニット36に表示させるマッピング画像表示部48をさらに備える。
図9は、被加工物1の上面を表す図形72と、記憶部44に記憶された加工結果画像52が撮像された被加工物1における該位置を示す位置表示70と、を含むマッピング画像68を模式的に示す正面図である。位置表示70は、該図形72に重ねられて表示される。マッピング画像表示部48は、図9に例示するようなマッピング画像68を表示ユニット36に表示させる。
例えば、加工痕3aに留意するべき大きさのチッピング21が認められたことを契機に加工結果画像52が作成された場合、マッピング画像68における位置表示70は、該チッピング21が形成された位置を示すこととなる。このように、マッピング画像68が表示ユニット36に表示されると、被加工物1に何らかの異常が確認されたか否かを容易に判別でき、また、異常が確認された箇所の分布状況も容易に認知できる。
さらに、マッピング画像68において位置表示70を選択することで図7に示すような解析画像62が表示ユニット36に表示されてもよい。この場合、何らかの異常が生じていると判定された箇所の加工結果画像52を容易に確認できる上、解析部42による解析が適切であるか否かを容易に判別できる。また、表示ユニット36では、解析画像62からマッピング画像68に表示が遷移できてもよい。この場合、加工結果画像52に写る領域の位置を容易に確認できる。
さらに、マッピング画像68において位置表示70が選択されたとき、被加工物1を保持するチャックテーブル26と、撮像ユニット34と、が相対的に移動され、被加工物1の加工結果画像52に写る領域が再び観察可能な状態とされてもよい。この場合、被加工物1の該領域を観察できるように位置付けられた撮像ユニット34を使用して、該領域をさらに詳細に観察できる。そして、加工痕3aに生じた異常等の原因をその場で分析して、被加工物1の加工条件をより適切に変更できる。
以上に説明する通り、本実施形態に係る加工装置では、撮像ユニット34で被加工物1が撮像されて加工痕3aが写る加工結果画像52が形成され、加工結果画像52が解析されて加工痕3aが検出され、加工痕3aの形状に関する情報が作成される。加工痕3aの形状に関する情報は、加工結果画像52に重ねられて表示ユニット36に表示される。
加工痕3aの形状に関する情報が解析の基となる加工結果画像52とともに表示ユニット36に表示されるため、加工装置の使用者等は解析が適切に実施されたか否かを加工結果画像52に基づいて判断できる。そのため、不適切な解析結果を排除できるとともに、適切に実施された解析の結果の信憑性を向上できる。
さらに、表示ユニット36において、加工痕3aの形状に関する情報を表示する解析情報表示レイヤー54aの透明度を調整して加工結果画像52に重ねて表示できる。そのため、解析情報表示レイヤー54aと、加工結果画像52と、の比較が極めて容易である。したがって、加工痕3aの解析の適否を容易かつ正確に判断できる。
なお、本発明は、上記の実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記の実施形態において、制御ユニット38の記憶部44には加工結果画像52の解析結果として加工痕3aの形状に関する情報が記憶され、解析画面表示部46が該情報を読み出して解析情報表示レイヤー54aを形成する場合について説明した。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。
例えば、本発明の一態様に係る加工装置では、加工痕3aの形状に関する情報が解析情報表示レイヤー54aの形式で記憶部44に記憶されてもよい。この場合、解析情報表示レイヤー54aは、解析部42により作成される。そして、解析画面表示部46は、加工痕3aの形状に関する情報として解析情報表示レイヤー54aを記憶部44から読み出し、解析情報表示レイヤー54aが加工結果画像52に重ねられた解析画像62を作成して表示ユニット36に表示させる。
また、解析画面表示部46が形成した解析画像62は、加工装置の表示ユニット36に表示されなくてもよい。例えば、記憶部44に記憶された情報が引き出されて有線、無線、または記憶媒体を介して加工装置の外部のコンピュータ等に移され、該コンピュータ等のモニターに表示されてもよい。この場合、該モニターが表示ユニットとなる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。