JP7350177B2 - ヘッド装置、インクジェット印刷装置及び駆動電圧調整方法 - Google Patents

Description

本発明はヘッド装置、インクジェット印刷装置及び駆動電圧調整方法に関する。

インクジェット印刷装置では、一般に、インク液滴の飛翔曲がり、吐出異常に起因する白スジ及び濃いスジ等のバンディングの抑制が要求される。特に、媒体幅方向について複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせた構造を有するヘッドを備え、シングルパス方式の印刷を行う場合、ヘッドモジュールごとのインク液滴の吐出量を均一に揃えて、ヘッドモジュールの間に発生するバンディングを抑制する必要がある。

目標の吐出量に調整できない場合、吐出力の低下が生じた際にドット径の減少に起因する印刷画像の抜けの増加及び吐出曲がり等の問題が発生し得る。一方、吐出力の上昇が生じた際は、ドット径の増加に起因する印刷画像の滲み及び突発的な曲がりの誘発等の問題が発生し得る。

そこで、インクジェット印刷装置では、ＰＺＴ等のヘッドに具備される圧力発生素子へ供給される駆動電圧を調整して、ヘッドモジュールごとのインク液滴の吐出量を調整している。なお、ＰＺＴはチタン酸ジルコン酸鉛を表す。

特許文献１は、複数のヘッドモジュールを媒体幅方向について繋ぎ合わせた構造を有するインクジェットヘッドが具備されるインクジェット印刷装置が記載される。同文献に記載の装置は、ヘッドモジュールごとの濃度測定値の平均値を算出し、インク吐出量と濃度との相関関係に基づき、ヘッドモジュールごとの実際の平均吐出量を算出する。次いで、各ヘッドモジュールは、平均吐出量が目標平均吐出量となる調整がされた駆動電圧が供給される。

特許文献２は、媒体幅方向について複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせたインクジェットヘッドを備える印字システムが記載される。同文献に記載のシステムは、複数の駆動波形を定めておき、印字の階調数、印字解像度及び印字環境等の印字条件に応じて、駆動波形を選択し、液滴イジェクタの吐出特性のばらつきに起因する画質の劣化を抑制する。

特許文献３は、インクジェットヘッドを備えるインクジェット印刷装置が記載される。同文献に記載の装置は、液滴の着弾タイミングを光学的に検出し、液滴の飛翔速度を算出し、液滴の大きさと液滴の飛翔速度との相関関係を用いて液滴の大きさを求め、液滴の大きさが許容範囲から外れている場合にノズルの駆動を補正する。

特許文献４は、ノズルごとのノズル径及びノズルごとの圧電素子の静電容量等に応じて、残留振動を検出する際の検出用基準波形データを補正し、異常状態を高精度に検出するインクジェット印刷装置が記載される。

特許文献５は、インクジェットヘッドの温度等に応じて、駆動電圧の電圧振幅又はオフセット電圧を補正するインクジェット印刷装置が記載される。同文献は、インクの種類ごとに駆動電圧の補正テーブル等を準備し、使用するインクに応じて補正テーブル等を切り替える旨が記載される。

特許第６０４２２９５号公報 特開２００６－１９８９０２号公報 特開２０１９－２０５９７４号公報 特許第６５６１６４５号公報 特開２０１９－２１７６４９号公報

しかしながら、インクジェット印刷装置を用いる実際の吐出量の測定は困難である。一般に、出荷検査の際に測定される吐出量又はインクジェット印刷装置の印刷濃度に基づき、駆動電圧が規定される。

出荷検査の際に測定される吐出量に基づく駆動電圧が適用される場合は、インクの種類の相違に起因する印刷画像の濃度ムラの発生が懸念される。同様に、印刷濃度に基づき駆動電圧が調整される場合も、印刷に適用されるインクの種類に依存して、印刷濃度が変化する。

特許文献１に記載の装置は、予め規定されるインク吐出量と印刷濃度との相関関係を適用して、ヘッドモジュールごとの印刷濃度の測定値からインク吐出量を算出しているが、印刷に適用されるインクの種類に依存して、印刷濃度の測定値と相関するインク吐出量が変動する。

特許文献２には、液滴イジェクタごとの吐出特性のばらつきに関する記載はあるが、目標の吐出量を実現する駆動電圧の調整に関する記載又は示唆はない。

特許文献３に記載の装置について、現実に着弾タイミングの測定を実施するには特殊な装置が必要であり、インクジェット印刷装置における正確な着弾タイミングの測定は困難である。また、吐出指令信号と現実の吐出タイミングとの間には一定の遅延期間が発生する。装置環境及び吐出制御を実施するソフトウェアを考慮すると、吐出指令信号と現実の吐出タイミングとの一致は困難である。そうすると、同文献に記載の液滴の飛翔速度の測定は困難である。

特許文献４に記載の装置は、残留振動を検出してノズルの状態を検出する際に、ノズルごとのノズル径及びノズルごとの圧電素子の静電容量等に応じて、検出用基準波形を補正している。一方、特許文献４には目標の吐出量を実現する駆動電圧の調整に関する記載はない。

特許文献５には、インクの種類に応じたインク粘度の変化に対応して、圧電素子へ供給される駆動電圧を補正して、インク粘度の変動に依存せず一定のインク吐出量を実現することが記載される。一方、特許文献５には目標の吐出量を実現する駆動電圧の調整に関する記載はない。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、目標の吐出量に対応する駆動電圧の調整を可能とし、ヘッドモジュールの間に発生する印刷濃度のムラを抑制し得る、ヘッド装置、インクジェット印刷装置及び駆動電圧調整方法を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。

本開示に係るヘッド装置は、複数のヘッドモジュールを具備するインクジェットヘッドと、一以上のプロセッサを具備し、インクジェットヘッドへ駆動電圧を供給する駆動電圧供給装置と、を備え、プロセッサは、ヘッドモジュールごとの特性を表すモジュール特性を取得し、インクジェットヘッドを用いた印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性を取得し、モジュール特性及びインク特性に基づき、ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整する第一電圧係数を導出し、ヘッドモジュールごとに、第一電圧係数を適用してインクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を調整するヘッド装置である。

本開示に係るヘッド装置によれば、モジュール特性及び印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性に基づく第一電圧係数を適用して、ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧が調整される。これにより、印刷に適用されるインクについて、ヘッドモジュールごとの特性の違いに起因する印刷画像の濃度ムラの発生を抑制し得る。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、第一電圧係数を用いて調整された駆動電圧を適用して印刷された印刷画像の濃度測定値をヘッドモジュールごとに取得し、ヘッドモジュールごとに予め規定される電圧係数と印刷画像の濃度値との相関関係に基づき、目標の濃度値に対応する駆動電圧を調整する第二電圧係数を、ヘッドモジュールごとに導出し、第二電圧係数を適用して、インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧をヘッドモジュールごとに調整する。

かかる態様によれば、ヘッドモジュールごとの印刷画像の濃度値が、ヘッドモジュールの間の相対的な目標の濃度値に合わせられる。これにより、ヘッドモジュールごとの印刷画像の濃度ばらつきを抑制し得る。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、ヘッドモジュールごとの第二電圧係数をｃとし、複数のヘッドモジュールにおける第一電圧係数の平均値をＡｖｇ（ａ＊ｂ）とし、複数のヘッドモジュールにおける第二電圧係数の平均値をＡｖｇ（ｃ）とする場合に、ｃ×｛Ａｖｇ（ａ＊ｂ）／Ａｖｇ（ｃ）｝と表される第三電圧係数を、ヘッドモジュールごとに導出し、第三電圧係数を適用して、インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧をヘッドモジュールごとに調整する。

かかる態様によれば、複数のヘッドモジュールにおける第二電圧係数の平均値について、複数のヘッドモジュールにおける第一電圧係数の平均値が維持され、第三電圧係数が導出される。これにより、ヘッドモジュールごとの印刷画像の濃度値を、目標の濃度値に合わせることが可能となる。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、印刷に適用される媒体の情報を取得し、取得した媒体の情報に応じて、第三電圧係数を補正する。

かかる態様によれば、印刷に適用される媒体に応じて第三電圧係数が補正される。これにより、印刷画像において、媒体の違いに依存せず目標の濃度値を実現し得る。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、モジュール特性として、規定のインクが適用される際の目標の吐出量に対応する駆動電圧の調整に適用される初期電圧係数を取得する。

かかる態様によれば、ヘッドモジュールごとの吐出特性に応じた初期電圧係数をヘッドモジュールごとに取得し得る。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、モジュール特性として、インクジェットヘッドからインクを吐出させる圧力を発生させる圧力発生素子の特性に基づき導出される初期電圧係数であり、目標の吐出量に対応する駆動電圧の調整に適用される初期電圧係数を取得する。

かかる態様によれば、印刷に適用されるインクの吐出量測定の実施が困難な場合において、圧力発生素子の特性に基づく初期電圧係数を取得し得る。

圧力発生素子の特性は、電気的特性を適用してもよいし、機械的特性を適用してもよい。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、モジュール特性として、規定のインクが適用される印刷画像の構成要素の測定値に基づき導出される初期電圧係数であり、目標の吐出量に対応する駆動電圧の調整に適用される初期電圧係数を取得する。

かかる態様によれば、吐出量測定の実施が困難な場合において、ヘッドモジュールの吐出特性が反映される印刷画像の構成要素の測定値に基づく初期電圧係数を取得し得る。

印刷画像の構成要素は、印刷画像の最小構成単位であるドットを適用し得る。印刷画像の構成要素は、複数のドットを用いて構成されるドット群を適用し得る。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、インク特性として、印刷に適用されるインクの粘度を取得する。

かかる態様によれば、モジュール特性を導出する際のインクと印刷に適用されるインクとの粘度の違いに応じて、目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整し得る。

他の態様に係るヘッド装置において、プロセッサは、インク特性として、印刷に適用されるインクの吐出量測定の結果に基づき導出される電圧係数と、規定のインクの吐出量測定の結果に基づき導出される電圧係数との比率を取得する。

かかる態様によれば、モジュール特性を導出する際のインクと印刷に適用されるインクとの間の吐出量のばらつきに応じて、目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整し得る。

本開示に係るインクジェット印刷装置は、複数のヘッドモジュールを具備するインクジェットヘッドと、一以上のプロセッサを具備し、インクジェットヘッドへ駆動電圧を供給する駆動電圧供給装置と、を備え、プロセッサは、ヘッドモジュールごとの特性を表すモジュール特性を取得し、インクジェットヘッドを用いた印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性を取得し、モジュール特性及びインク特性に基づき、ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整する第一電圧係数を導出し、ヘッドモジュールごとに、第一電圧係数を適用してインクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を調整するインクジェット印刷装置である。

本開示に係る駆動電圧調整方法は、複数のヘッドモジュールを具備するインクジェットヘッドに適用される駆動電圧を調整する駆動電圧調整方法であって、ヘッドモジュールごとの特性を表すモジュール特性を取得し、インクジェットヘッドを用いた印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性を取得し、モジュール特性及びインク特性に基づき、ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整する第一電圧係数を導出し、ヘッドモジュールごとに、第一電圧係数を適用してインクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を調整する駆動電圧調整方法である。

本発明によれば、モジュール特性及び印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性に基づく第一電圧係数を適用して、ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧が調整される。これにより、印刷に適用されるインクについて、ヘッドモジュールごとの特性の違いに起因する印刷画像の濃度ムラの発生を抑制し得る。

図１は第一実施形態に係るインクジェット印刷装置の全体構成図である。 図２はインクジェットヘッドの構成例を示す斜視図である。 図３は図１に示すインクジェット印刷装置の機能ブロック図である。 図４は図３に示す印刷制御部の機能ブロック図である。 図５は第一実施形態に係る駆動電圧調整方法に適用される電圧係数の一例を示す表である。 図６は第一実施形態に係る駆動電圧調整方法の手順を示すフローチャートである。 図７はモジュールごとの吐出特性の概念図である。 図８は印刷に適用されるインクにおけるヘッドモジュールごとの吐出特性の概念図である。 図９は第二実施形態に係るインクジェット印刷装置に適用される印刷制御部の機能ブロック図である。 図１０は第二実施形態に係る駆動電圧調整方法に適用される電圧係数の一例を示す表である。 図１１は相対濃度調整及び平均値調整の概念図である。 図１２は第二実施形態に係る駆動電圧調整方法の手順を示すフローチャートである。 図１３は第二実施形態の作用効果の説明図である。

以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略する。

［第一実施形態］
〔インクジェット印刷装置の全体構成〕
図１は第一実施形態に係るインクジェット印刷装置の全体構成図である。インクジェット印刷装置１０は、用紙Ｐにシングルパス方式で画像を印刷するインクジェット方式が適用される印刷装置である。

図１には枚葉の用紙Ｐを例示する。用紙Ｐは連続用紙を適用してもよい。用紙Ｐの材料は、紙、布、樹脂及び金属などを適用し得る。用紙Ｐは浸透媒体及び非浸透媒体のいずれを適用してもよい。

インクジェット印刷装置１０は、搬送装置２０、ジェッティング装置３０及びインラインセンサ４０を備える。インクジェット印刷装置１０は、給紙装置、インク乾燥装置及び集積装置など、図１に図示しない構成要素を備えてもよい。

搬送装置２０は、ジェッティングドラム２２、給紙ドラム２４、用紙押さえローラ２６及び排紙ドラム２８を備える。搬送装置２０は、規定の用紙搬送方向に沿って用紙Ｐを搬送する。

ジェッティングドラム２２に付す矢印線は、ジェッティングドラム２２における用紙搬送方向を表す。同様に、給紙ドラム２４に付す矢印線は給紙ドラム２４における用紙搬送方向を表す。排紙ドラム２８に付す矢印線は排紙ドラム２８における用紙搬送方向を表す。なお、実施形態に記載の用紙搬送方向は媒体搬送方向の一例である。

ジェッティングドラム２２は、円筒形状を有するドラムである。ジェッティングドラム２２における回転軸に対して平行となる軸方向の全長は、最大のサイズを有する用紙Ｐにおける用紙幅方向の全長を超える。

上記の構成は、給紙ドラム２４及び排紙ドラム２８についても同様である。なお、用紙幅方向は用紙搬送方向と直交する方向である。実施形態に記載の用紙幅方向は媒体幅方向の一例である。

ここで、本明細書における平行という用語は、交差する二方向が平行となる二方向と同様の作用効果を奏し得る実質的な平行を含み得る。また、直交という用語は、９０度を超える角度又は９０度未満の角度で交差する二方向が直交する二方向と同様の作用効果を奏し得る実質的な直交を含み得る。

ジェッティングドラム２２は、用紙Ｐを外周面に支持する。例えば、ジェッティングドラム２２の外周面に用紙Ｐを支持する態様の例として、外周面に具備される複数の吸引穴へ吸引圧力を発生させ、用紙Ｐへ吸引圧力を付与する態様が挙げられる。

ジェッティングドラム２２は二つのグリッパー２３を備える。グリッパー２３は、用紙Ｐの先端部を把持する。二つのグリッパー２３は、ジェッティングドラム２２の回転方向について１８０度に対応する距離をずらされた位置に配置される。

グリッパー２３は、複数の把持爪及び支持部材を備える。複数の把持爪は、ジェッティングドラム２２の回転軸に沿って配置される。複数の把持爪は支持部材を用いて開閉可能に支持される。なお、把持爪及び支持部材の図示を省略する。

ジェッティングドラム２２は、回転軸を回転可能に支持される。ジェッティングドラム２２の回転軸は、モータ及び駆動機構等を備える駆動装置が連結される。駆動装置の動作に応じて、ジェッティングドラム２２は規定の回転方向へ回転する。なお、モータ及び駆動機構等を備える駆動装置の図示を省略する。

ジェッティングドラム２２は、用紙Ｐを外周面に支持し、回転軸の周りを回転する。これにより、用紙Ｐは、ジェッティングドラム２２の外周面に沿う用紙搬送方向に搬送される。

給紙ドラム２４は、一つのグリッパー２５を備える。グリッパー２５はグリッパー２３と同様の構造を適用し得る。給紙ドラム２４は、ジェッティングドラム２２に具備される駆動装置と同様の構成を有する駆動装置が連結される。給紙ドラム２４は回転軸の周りを回転する。

グリッパー２５を用いて先端部が把持される用紙Ｐは、給紙ドラム２４の外周面に沿う用紙搬送方向に搬送される。グリッパー２５は、媒体受け渡し位置において、グリッパー２３へ用紙Ｐを受け渡す。

用紙押さえローラ２６は、円筒形状を有する。ジェッティングドラム２２の軸方向における用紙押さえローラ２６の全長は、最大のサイズを有する用紙Ｐにおける用紙幅方向の全長を超える。用紙押さえローラ２６は、回転軸を回転可能に支持される。

用紙押さえローラ２６は、ジェッティングドラム２２の外周面に向けて用紙Ｐを押圧させる押圧機構と連結される。用紙押さえローラ２６は、ジェッティングドラム２２の外周面に向けて用紙Ｐを押圧し、ジェッティングドラム２２の外周面に用紙Ｐを密着させる。

排紙ドラム２８は、一つのグリッパー２９を備える。グリッパー２９はグリッパー２３と同様の構造を適用し得る。グリッパー２９は、媒体受け渡し位置において、グリッパー２３から用紙Ｐを受け渡される。

排紙ドラム２８は、ジェッティングドラム２２に具備される駆動装置と同様の構成を有する駆動装置が連結される。排紙ドラム２８は回転軸の周りを回転する。グリッパー２９を用いて先端部が把持される用紙Ｐは、排紙ドラム２８外周面に沿う用紙搬送方向に搬送される。なお、ジェッティングドラム２２の回転軸、給紙ドラム２４の回転軸、排紙ドラム２８の回転軸及び媒体受け渡し位置の図示を省略する。

ジェッティング装置３０は、インクジェットヘッド３２Ｃ、インクジェットヘッド３２Ｍ、インクジェットヘッド３２Ｙ及びインクジェットヘッド３２Ｋを備える。インクジェットヘッド３２Ｃ、インクジェットヘッド３２Ｍ、インクジェットヘッド３２Ｙ及びインクジェットヘッド３２Ｋは、ジェッティングドラム２２の外周面と対向する位置に配置される。

インクジェットヘッド３２Ｃ、インクジェットヘッド３２Ｍ、インクジェットヘッド３２Ｙ及びインクジェットヘッド３２Ｋは、ジェッティングドラム２２の外周面に沿って、それぞれの間隔が等間隔となる位置に配置される。

以下、インクジェットヘッド３２Ｃ、インクジェットヘッド３２Ｍ、インクジェットヘッド３２Ｙ及びインクジェットヘッド３２Ｋを総称してインクジェットヘッド３２と記載する場合がある。

インクジェットヘッド３２Ｃ、インクジェットヘッド３２Ｍ、インクジェットヘッド３２Ｙ及びインクジェットヘッド３２Ｋは、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの水性インクを吐出するプリントヘッドである。

水性インクとは、水及び水に可溶な溶媒に、染料及び顔料等の色材を溶解又は分散させたインクをいう。なお、インクジェットヘッド３２は有機溶剤を含有するインクなど、水性インク以外の種類のインクを適用し得る。

インクジェットヘッド３２には、それぞれに対応する色のインクタンクから配管経路を経由してインクが供給される。なお、インクタンク及び配管経路の図示を省略する。

インクジェットヘッド３２は、ジェッティングドラム２２の外周面に支持される用紙Ｐに対して、一回の走査を行い、印刷を行うシングルパス方式の印刷が可能なライン型ヘッドである。インクジェットヘッド３２は、シリアル型ヘッドを適用してもよい。インクジェットヘッド３２のノズル面には、インクを吐出させる複数のノズルが形成される。複数のノズルは二次元配置を適用し得る。複数のノズルの二次元配置は、マトリクス配置を適用し得る。また、インクジェットヘッド３２のノズル面には、撥水膜が形成される。

インクジェットヘッド３２は、複数のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。なお、ヘッドモジュール、ノズル及び撥水膜の図示を省略する。ノズル面は符号３３を用いて図２に図示する。

用紙Ｐの印刷面に向けて、インクジェットヘッド３２からインクの液滴が吐出される。インクジェットヘッド３２から吐出されたインクの液滴が用紙Ｐに付着し、用紙Ｐの印刷面に画像が印刷される。

本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの四色のカラーインクを用いる態様を例示したが、インク色と色数については本実施形態に限定されない。例えば、ライトマゼンタ及びライトシアン等の淡色インクを用いる態様、グリーン、オレンジ、バイオレット、ホワイト、クリア及びメタリック等の特色インクを用いる態様を適用してもよい。

また、同じ色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッド３２を配置してもよい。各色のインクジェットヘッド３２の配置順序についても、図１に示す態様に限定されない。

ジェッティング装置３０は、用紙Ｐの印刷面に濃度測定チャート等のテスト画像を印刷する。インラインセンサ４０は用紙Ｐの印刷面に印刷されたテスト画像を読み取り、テスト画像の読取データを出力する。インクジェット印刷装置１０は、テスト画像の読取データを解析し、解析結果に基づきインクジェットヘッド３２の補正等の各種の処理を実施する。

インラインセンサ４０は、ＣＣＤイメージセンサを具備する撮像装置を備える。ＣＣＤイメージセンサは、複数の光電変換素子が一列に並べられるラインセンサを適用し得る。ＣＣＤイメージセンサは、複数の光電変換素子が二次元状に配置されるエリアセンサを適用してもよい。ＣＣＤはCharge Coupled Deviceの省略語である。

撮像装置は、用紙Ｐの印刷面に印刷される画像の全幅に対応する撮像範囲を有する態様を適用してもよいし、用紙幅方向に沿って走査して、用紙Ｐの印刷面に印刷される画像の全幅の読み取りを実施する態様を適用してもよい。

〔インクジェットヘッドの構成例〕
図２はインクジェットヘッドの構成例を示す斜視図である。インクジェットヘッド３２は、長手方向に沿って複数のヘッドモジュール３４をつなぎ合わせた構造を有する。複数のヘッドモジュール３４は、支持フレーム３６を用いて一体的に支持される。

各ヘッドモジュール３４は、二本のフレキシブル基板３８が接続される。フレキシブル基板３８は、ヘッドモジュール３４に具備される吐出素子へ供給される駆動電圧を伝送する電気配線が形成される。

吐出素子は、ノズル開口、ノズル開口と連通する流路及び圧力発生素子を備える。圧力発生素子は、ノズル開口から吐出させるインクに対して吐出圧力を付与する。圧力発生素子は圧電素子を適用し得る。ヘッドモジュール３４は、圧電素子のたわみ変形に応じて、ノズル開口からインク液滴を吐出させる圧電方式を適用し得る。

圧力発生素子は加熱素子を適用し得る。ヘッドモジュール３４は、インクの膜沸騰現象を利用して、ノズル開口からインク液滴を吐出させるサーマル方式を適用してもよい。なお、吐出素子、ノズル開口、流路及び圧力発生素子の図示を省略する。

ヘッドモジュール３４のノズル面３３は、平行四辺形状とされる。支持フレーム３６の両端は、ダミープレート３９が取り付けられる。ヘッドモジュール３４のノズル面３３は、ダミープレート３９の表面３９Ａと合わせて、全体として長方形の形状となる。

〔インクジェット印刷装置の機能ブロック〕
図３は図１に示すインクジェット印刷装置の機能ブロック図である。インクジェット印刷装置１０は一以上のプロセッサ１００及び一以上のメモリ１０２を備える。また、インクジェット印刷装置１０は通信インターフェース１０４を備える。

通信インターフェース１０４は、有線形式又は無線形式のいずれを適用してもよい。インクジェット印刷装置１０は、通信インターフェース１０４を介してホストコンピュータ１０６等の外部装置から印刷データ等を取得する。

メモリ１０２は、プログラムメモリ１１０、パラメータメモリ１１２及びデータメモリ１１４を備える。プログラムメモリ１１０はプロセッサ１００を用いて実行可能な命令を含む各種のプログラムが記憶される。パラメータメモリ１１２はプログラムの実行に必要な各種のパラメータが記憶される。データメモリ１１４は各種のデータが記憶される。データメモリ１１４は各種データの一時記憶領域が含まれてもよい。

メモリ１０２は、半導体メモリ等の有体物たるコンピュータ可読媒体等を含んで構成され得る。メモリ１０２は、ハードディスク等の磁気記憶装置が含まれていてもよい。メモリ１０２は、複数の記憶装置等を用いて構成され得る。複数の記憶装置等は異なる複数の種類の記憶装置等を含み得る。メモリ１０２を構成する記憶装置等は、複数の記憶領域に分割されていてもよい。

プロセッサ１００は、プログラムメモリ１１０に記憶されるプログラムを実行してインクジェット印刷装置１０の各種機能を実現させる。プロセッサ１００の構成要素として図示した各種の処理部は、インクジェット印刷装置１０の各種の機能に対応している。

システム制御部１０８は、プログラムメモリ１１０に記憶されるプログラムを実行し、インクジェット印刷装置１０の各種の処理を実施し、インクジェット印刷装置１０の全体の統括制御を実施する。

搬送制御部１２０は、搬送装置２０の動作を制御する。すなわち、搬送制御部１２０は、用紙Ｐの給紙及び用紙Ｐの搬送速度を制御する。なお、本明細書における速度という用語は、速度の絶対値を用いて表される速さの意味を含み得る。

印刷制御部１２２は、印刷データに基づきインクジェットヘッド３２のインク吐出動作を制御する。印刷制御部１２２は、印刷データに対する各種の変換処理、各種の補正処理及びハーフトーン処理などを行う画像処理を実施する。変換処理には、画素数変換、階調変換及び色変換等が含まれる。補正処理には、濃度ムラ補正及び不吐出ノズルの発生に起因する画像欠陥の視認性を抑制する不吐出補正等が含まれる。

印刷制御部１２２は、インクジェットヘッド３２のノズル面と対向する位置を用紙Ｐが通過するタイミングにおいて、各色のインクジェットヘッド３２から各色の水性インクの液滴を用紙Ｐに向けて吐出させる。

読取データ処理部１２４は、インラインセンサ４０から出力されるテスト画像等の読取データを取得し、取得した読取データを解析する。システム制御部１０８は、解析結果に基づき、インクジェットヘッド３２の補正等を実施する。

インクジェット印刷装置１０は、入力装置１３０を備える。プロセッサ１００は、入力装置１３０が出力する入力信号を取得する。入力装置１３０は、ユーザからの入力を受け付ける操作パネル、キーボード、マウス、タッチパネル及びトラックボール等の各種の操作部材を適用し得る。入力装置１３０はこれらの適宜の組み合わせであってもよい。

インクジェット印刷装置１０は、ディスプレイ１３２を備える。プロセッサ１００は、ディスプレイ１３２へ表示信号を送信する。ディスプレイ１３２は取得した表示信号に基づく情報を表示させる。ディスプレイ１３２を用いて表示させる情報は、インクジェット印刷装置１０のステータス情報、各種のパラメータの設定情報及びインクジェット印刷装置１０のエラー情報等を適用し得る。

インクジェット印刷装置１０は、タッチパネル方式のディスプレイを備え、入力装置１３０とディスプレイ１３２とを一体構成とし得る。

〔印刷制御部の詳細な説明〕
図４は図３に示す印刷制御部の機能ブロック図である。印刷制御部１２２は、プロセッサ２００を備える。なお、プロセッサ２００は図３に示すプロセッサ１００の一部として構成されてもよいし、プロセッサ１００とは別々に構成されてもよい。

プロセッサ２００の構成要素として図示した印刷制御部１２２の各種の処理部は、印刷制御部１２２の各種の機能に対応する。プロセッサ２００はプログラムメモリ１１０に記憶されるプログラムを実行し、印刷制御に関する各種の機能を実現する。

印刷制御部１２２は、印刷データ取得部２０２を備える。印刷データ取得部２０２は図３に示すホストコンピュータ１０６から印刷データを取得する。印刷データ取得部２０２は取得した印刷データを図３に示すデータメモリ１１４等へ記憶する。

印刷制御部１２２は、印刷データ処理部２０４を備える。印刷データ処理部２０４は、印刷データに対して、各種の変換処理、各種の補正処理及びハーフトーン処理などの処理を施し、インク色ごとのハーフトーン画像を生成する。

印刷制御部１２２は、駆動電圧生成部２０６を備える。駆動電圧生成部２０６は、ハーフトーン画像に基づき、インクジェットヘッド３２へ供給される駆動電圧を生成する。駆動電圧生成部２０６は、駆動波形データ取得部２０７を介して駆動電圧に適用される駆動波形を取得する。取得には、取得対象データが記憶されるメモリから取得対象データを読み出す態様が含まれる。取得には、取得対象データを生成する態様を含み得る。

駆動電圧生成部２０６は、駆動電圧と吐出量との相関関係を規定する。駆動電圧と吐出量との相関関係における駆動電圧は、最大電位と基準電位との電位差である。例えば、駆動波形が三角形又は台形の場合の高さが駆動電圧となる。駆動電圧と吐出量との相関関係は、テーブル形式等が適用され、記憶される。

印刷制御部１２２は、駆動電圧調整部２０８を備える。駆動電圧調整部２０８は、インクジェットヘッド３２へ供給される駆動電圧を、図２に示すヘッドモジュール３４ごとに調整する。

すなわち、印刷制御部１２２は、ヘッドモジュール３４ごとに駆動電圧と吐出量との相関関係を設定する。ヘッドモジュール３４に具備される複数の圧力発生素子は、ヘッドモジュール３４ごとの共通の駆動電圧が供給される。

印刷制御部１２２は、駆動電圧出力部２１０を備える。駆動電圧出力部２１０は、駆動電圧を電力増幅する電気回路が適用される。駆動電圧出力部２１０から出力される駆動電圧は、インクジェットヘッド３２へ供給される。

インクジェットヘッド３２は、駆動電圧出力部２１０から出力される駆動電圧に応じて、ノズル開口から用紙Ｐへ向けてインク液滴を吐出させる。用紙Ｐはカラー画像が印刷される。

印刷制御部１２２は、インク情報取得部２１４を備える。インク情報取得部２１４は、印刷に適用されるインクを識別するインク識別情報を取得する。インク情報取得部２１４は、インク識別情報に対応するインクの特性を表すインク特性情報を取得する。

インク識別情報は、インクの種類を表す商品名及び型式等が適用される。インク特性情報の例として、出荷検査における吐出量測定の測定結果から導出される電圧係数の変化率が挙げられる。インク特性情報の他の例として、印刷に適用されるインクの粘度と、出荷検査に適用されるインクの粘度との比率が挙げられる。吐出量とは、単位期間に吐出されるインク液滴の体積である。

電圧係数は、駆動電圧と吐出量との相関関係の補正に適用される。インクジェット印刷装置１０では、駆動電圧と吐出量との相関関係に基づき、目標吐出量に対応する駆動電圧が規定される。

一方、目標吐出量に対応する規定の駆動電圧を適用した場合であっても、ヘッドモジュール３４ごとの吐出特性に起因して、実際の吐出量は目標吐出量に対して過不足を生じ得る。そこで、ヘッドモジュール３４ごとに電圧係数を設定して、目標吐出量に対応する駆動電圧が調整される。なお、目標吐出量は、任意の駆動電圧に対応する設計上の吐出量を意味する。

印刷制御部１２２は、出荷検査値取得部２１６を備える。出荷検査は、インクジェットヘッド３２におけるヘッドモジュール３４ごとの吐出特性の検査が含まれる。出荷検査は規定の検査項目について出荷検査値が導出される。出荷検査値は図３に示すメモリ１０２に記憶される。

出荷検査値の例として、出荷検査に適用されるインクにおける電圧係数が挙げられる。電圧係数は、基準を１００パーセントとし、１００パーセントを超える値は駆動電圧の上昇を表し、１００パーセント未満の値は駆動電圧の低下を表す態様を適用し得る。

電圧係数は、吐出量測定の結果に基づき導出し得る。電圧係数は、圧電素子の静電容量等の電気的特性及び圧電素子の変位量等の機械的特性に基づき導出し得る。圧電素子の電気的特性値及び圧電素子の機械的特性値の増加に応じて電圧係数を増加させる。圧電素子の電気的特性値及び圧電素子の機械的特性値の減少に応じて電圧係数を減少させる。

電圧係数は、印刷画像の濃度測定値及び印刷画像の構成要素の測定値に基づき導出し得る。印刷画像の構成要素の測定値の例として、印刷画像を構成するラインの幅及び印刷画像を構成するドットの直径が挙げられる。印刷画像における測定値に基づき吐出量を導出し、導出された吐出量に基づき電圧係数を導出し得る。

なお、実施形態に記載の出荷検査値の電圧係数はモジュール特性の一例であり、初期電圧係数の一例である。

印刷制御部１２２は、補正係数設定部２１８を備える。補正係数設定部２１８は出荷検査の際に導出される電圧補正量と、印刷に適用されるインクを使用した際に電圧補正値が変動する割合である補正係数を導出する。

補正係数設定部２１８は、インクの違いに起因する電圧係数の補正に適用される補正係数を設定する。補正係数は、印刷に適用されるインクにおける吐出量測定値を用いて導出される電圧係数と、出荷検査値として得られる電圧係数との比を適用し得る。印刷に適用されるインクにおける吐出量測定値は、検査装置等のインクジェット印刷装置１０とは別の装置において印刷の事前に取得し得る。

補正係数は、印刷に適用されるインクの粘度に基づき導出し得る。インクの粘度に基づき導出される補正係数は、吐出量測定の結果に基づき導出される補正係数と比較して精度の低下が懸念されるが、印刷の事前に補正係数を取得し得ない場合に有効である。

駆動電圧調整部２０８は、出荷検査値として取得される電圧係数に対して、印刷に適用されるインクにおける補正係数を適用して、ヘッドモジュール３４ごとに電圧係数を補正する。

補正係数は、印刷に適用されるインクにおける電圧係数と出荷検査値の電圧係数との比を適用してもよいし、印刷に適用されるインクにおける電圧係数と出荷検査値の電圧係数との差を適用してもよい。

駆動電圧調整部２０８は、印刷に適用されるインクに応じて補正がされた電圧係数を適用して、駆動電圧を調整する。駆動電圧出力部２１０は、印刷に適用されるインクに応じて調整がされた駆動電圧を出力する。なお、実施形態に示す印刷制御部１２２は、駆動電圧供給装置の一例である。

図５は第一実施形態に係る駆動電圧調整方法に適用される電圧係数の一例を示す表である。図５に示す電圧係数は、１００を基準とする百分率を適用して表される。電圧係数ａは出荷検査値である。補正係数ｂは、印刷に適用されるインクにおける電圧係数と出荷検査値の電圧係数との差を表す。

補正係数ｂは、印刷に適用されるインクにおける電圧係数と出荷検査値の電圧係数との比を適用してもよい。印刷に適用されるインクにおける電圧係数は、ａ＊ｂと表される。＊は差又は比を表す。

例えば、Ｍｏｄｕｌｅ＃１と記載されるヘッドモジュール３４は、印刷に適用されるインク特性に基づく補正がされた電圧係数が適用される場合は、目標の吐出量に対応する駆動電圧が設計上の駆動電圧に対して１０４パーセントに調整される。なお、実施形態に記載の印刷に適用されるインクにおける電圧係数は第一電圧係数の一例である。

〔各処理部及び制御部のハードウェア構成〕
図３及び図４に示す各種の処理を実施する処理部のハードウェアは、各種のプロセッサを適用し得る。なお、処理部はprocessing unitと呼ばれる場合があり得る。各種のプロセッサには、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＰＬＤ（Programmable Logic Device）及びＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）等が含まれる。

ＣＰＵは、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサである。ＰＬＤは、製造後に回路構成を変更可能なプロセッサである。ＰＬＤの例として、ＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）が挙げられる。ＡＳＩＣは、特定の処理を実施させるために専用に設計された回路構成を有する専用電気回路である。

一つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの一つで構成されていてもよいし、同種又は異種の２つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、一つの処理部は、複数のＦＰＧＡ等を用いて構成されてもよい。一つの処理部は、一つ以上のＦＰＧＡ及び一つ以上のＣＰＵを組み合わせて構成されてもよい。

また、一つのプロセッサを用いて複数の処理部を構成してもよい。一つのプロセッサを用いて複数の処理部を構成する例として、一つ以上のＣＰＵとソフトウェアとを組み合わせて一つのプロセッサを構成し、一つプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。かかる形態は、クライアント端末装置及びサーバ装置等のコンピュータに代表される。

他の構成例として、複数の処理部を含むシステム全体の機能を一つのＩＣチップを用いて実現するプロセッサを使用する形態が挙げられる。

このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記した各種のプロセッサを一つ以上用いて構成される。更に、各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路（circuitry）である。

図６は第一実施形態に係る駆動電圧調整方法の手順を示すフローチャートである。出荷検査値取得工程Ｓ１０では、図３に示す出荷検査値取得部２１６は、ヘッドモジュール３４ごとの出荷検査値を取得する。出荷検査値は、図２に示す通信インターフェース１０４を介して外部装置等から取得してもよいし、インクジェット印刷装置１０の内部に記憶される出荷検査値を読み出してもよい。出荷検査値取得工程Ｓ１０の後にインク情報取得工程Ｓ１２へ進む。

インク情報取得工程Ｓ１２では、インク情報取得部２１４は印刷に適用されるインクにおけるインク特性を表すインク特性情報を取得する。インク情報取得工程Ｓ１２の後に補正係数設定工程Ｓ１４へ進む。

補正係数設定工程Ｓ１４では、補正係数設定部２１８は、印刷に適用されるインクに応じた補正係数を設定する。補正係数設定工程Ｓ１４は、補正係数を取得する補正係数取得工程を含み得る。補正係数設定工程Ｓ１４は、補正係数を導出する補正係数導出工程を含み得る。補正係数設定工程Ｓ１４の後に電圧係数補正工程Ｓ１６へ進む。

電圧係数補正工程Ｓ１６は、駆動電圧調整部２０８は、印刷に適用されるインクに応じた補正係数を適用して出荷検査値の電圧係数を補正して、印刷に適用されるインクに応じた電圧係数を導出する。電圧係数補正工程Ｓ１６の後に駆動電圧調整工程Ｓ１８へ進む。

駆動電圧調整工程Ｓ１８では、駆動電圧調整部２０８はヘッドモジュール３４ごとに印刷に適用されるインクに応じた電圧係数を適用して、ヘッドモジュール３４ごとに駆動電圧を調整する。駆動電圧調整工程Ｓ１８の後に駆動電圧出力工程Ｓ２０へ進む。

駆動電圧出力工程Ｓ２０では、駆動電圧出力部２１０は駆動電圧調整工程Ｓ１８においてヘッドモジュール３４ごとに調整された駆動電圧を出力する。

図７はモジュールごとの吐出特性の概念図である。同図には、グラフ形式を用いて、複数のヘッドモジュール３４に対して、電圧係数を用いた調整前の駆動電圧が供給される際の吐出量の違いを図示する。横軸はヘッドモジュール３４の位置を表す。縦軸は吐出量を表す。

出荷検査では、ヘッドモジュール３４ごとに吐出量測定を実施し、吐出量測定の結果に基づき、ヘッドモジュール３４ごとに電圧係数を導出する。出荷検査値の電圧係数を用いて調整がされた駆動電圧が適用される場合、理論上は目標吐出量が実現される。

図８は印刷に適用されるインクにおけるヘッドモジュールごとの吐出特性の概念図である。図８には、印刷に適用されるインクが、出荷検査の吐出量測定に適用されるインクと異なる場合のモジュールごとの吐出特性の一例を図示する。

出荷検査値の電圧係数を用いて調整された駆動電圧が適用される場合であっても、インクの粘度等のインク特性の違いに起因して、ヘッドモジュール３４ごとの実際の吐出量は、目標吐出量と相違する。そこで、印刷に適用されるインクにおけるインク特性に基づき、ヘッドモジュール３４ごとに電圧係数が補正され、補正された電圧係数を用いて駆動電圧が調整される。これにより、全てのヘッドモジュール３４について、目標吐出量が実現される。

［第一実施形態の作用効果］
第一実施形態に係るインクジェット印刷装置１０及び駆動電圧調整方法は、以下の作用効果を得ることが可能である。

〔１〕
印刷に適用されるインクにおけるインク特性に基づき、出荷検査値として取得される電圧係数を補正する。補正がされた電圧係数を用いて調整がされた駆動電圧をインクジェットヘッド３２へ供給する。これにより、ヘッドモジュール３４ごとの吐出特性に起因する、ヘッドモジュール３４の吐出量のばらつきが抑制され、印刷画像における濃度ムラを抑制し得る。

〔２〕
電圧係数は、圧電素子の電気的特性及び圧電素子の機械的特性に基づき導出される。これにより、吐出量測定の実施が困難な場合であっても、インク特性に基づく電圧係数の補正を実施し得る。

〔３〕
電圧係数は、印刷画像の構成要素の測定値に基づき導出される。これにより、吐出量測定の実施が困難な場合であっても、インク特性に基づく電圧係数の補正を実施し得る。

〔４〕
インク特性は、印刷に適用されるインクの粘度と、出荷検査に適用されるインクの粘度との比率が適用される。これにより、インクの粘度に基づく電圧係数の補正を実施し得る。

〔５〕
インク特性は、出荷検査における吐出量測定の測定結果から導出される電圧係数の変化率が適用される。これにより、吐出量測定の結果に基づく電圧係数の補正を実施し得る。

［第二実施形態］
〔印刷制御部の構成例〕
図９は第二実施形態に係るインクジェット印刷装置に適用される印刷制御部の機能ブロック図である。第二実施形態に係るインクジェット印刷装置は、印刷に適用されるインクに対応する電圧係数に基づき調整がされた駆動電圧を用いて印刷画像の濃度測定を実施し、印刷画像の濃度測定値に基づきヘッドモジュール３４ごとの電圧係数を補正する。

図９に示す印刷制御部１２２Ａを構成するプロセッサ２００Ａは、図４に示すプロセッサ２００に対して、濃度測定データ処理部２２０が追加される。濃度測定データ処理部２２０は、ヘッドモジュール３４ごとの印刷画像の読取データをインラインセンサ４０から取得する。濃度測定データ処理部２２０は、印刷画像の読取データに基づき、ヘッドモジュール３４ごとに印刷画像の濃度測定値を導出する。

補正係数設定部２１８は、ヘッドモジュール３４ごとに規定の目標濃度値を実現する電圧係数を導出する。目標濃度値は、二以上のヘッドモジュール３４における濃度測定値の平均値を適用し得る。目標濃度値は、任意の一つのヘッドモジュール３４における濃度測定値を適用してもよい。

濃度測定データ処理部２２０は、電圧係数を変えて印刷された複数の濃度測定チャートの読取データに基づき、電圧係数と濃度値との相関関係を導出してもよい。補正係数設定部２１８は、電圧係数と濃度値との相関関係を用いて、目標濃度値に対応する電圧係数を導出し得る。

すなわち、第二実施形態に係るインクジェット印刷装置は、相対濃度調整がされた電圧係数を導出し、相対濃度調整がされた電圧係数を適用して、駆動電圧が調整される。

図１０は第二実施形態に係る駆動電圧調整方法に適用される電圧係数の一例を示す表である。図１０に示す表における出荷検査値の電圧係数欄の値及び補正係数付与の電圧係数欄の値は、図５に示す表と同一である。ここでは、これらの説明を省略する。

図９に示す補正係数設定部２１８は、図１０に示す相対濃度調整後の電圧係数ｃを導出し、設定する。同図に示す電圧係数ｃは、各ヘッドモジュール３４について、電圧係数を不規則に増加又は減少させて導出した、電圧係数と濃度値との相関関係が適用される。

補正係数設定部２１８は、ヘッドモジュール３４ごとの相対濃度調整後の電圧係数ｃに対して、相対濃度調整前の電圧係数の平均値と相対濃度調整後の電圧係数の平均値との比を乗算し、平均値調整後の電圧係数を導出する。平均値調整後の電圧係数は、ｃ×｛Ａｖｇ（ａ＊ｂ）／Ａｖｇ（ｃ）｝と表される。なお、Ａｖｇは複数のヘッドモジュール３４における括弧内の値の平均値を表す。図１０に示すＡｖｅｒａｇｅ欄の数値は、複数のヘッドモジュール３４における電圧係数の平均値を表す。

これにより、出荷検査値における電圧係数ａと印刷に適用されるインクジェット印刷装置１０における電圧係数との比率が維持された平均値調整後の電圧係数が導出される。

図１１は相対濃度調整及び平均値調整の概念図である。同図には、グラフ形式を用いて、ヘッドモジュール３４ごとの濃度測定値を模式的に図示する。同図に示すグラフの横軸はヘッドモジュール３４の位置を表す。縦軸は濃度測定値を表す。

ヘッドモジュール３４ごとの濃度測定値は目標濃度値と相違する。相対濃度調整後の電圧係数を用いて調整された駆動電圧を用いてインクジェットヘッド３２を駆動した場合、ヘッドモジュール３４ごとの印刷画像の濃度測定値は、目標相対濃度値に合わせられる。各ヘッドモジュール３４に付した破線の矢印線は、相対濃度調整を模式的に表す。

更に、平均値調整後の電圧係数を用いて調整された駆動電圧を用いてインクジェットヘッド３２を駆動した場合、ヘッドモジュール３４ごとの印刷画像の濃度測定値は、目標絶対濃度値に合わせられる。各ヘッドモジュール３４に付した実線の矢印線は、相対濃度調整を模式的に表す。

図１２は第二実施形態に係る駆動電圧調整方法の手順を示すフローチャートである。同図に示す出荷検査値取得工程Ｓ１００、インク情報取得工程Ｓ１０２、補正係数設定工程Ｓ１０４及び電圧係数補正工程Ｓ１０６は、それぞれ、図６に示す出荷検査値取得工程Ｓ１０から電圧係数補正工程Ｓ１６までの各工程と同一である。ここでは、これらの説明を省略する。電圧係数補正工程Ｓ１０６の後に濃度測定値取得工程Ｓ１０８へ進む。

濃度測定値取得工程Ｓ１０８では、図９に示す濃度測定データ処理部２２０は相対濃度調整前の電圧係数が適用される駆動電圧が適用される、ヘッドモジュール３４ごとの濃度測定値を取得する。濃度測定値取得工程Ｓ１０８の後に相対濃度調整後電圧係数導出工程Ｓ１１０へ進む。

相対濃度調整後電圧係数導出工程Ｓ１１０では、補正係数設定部２１８は、濃度測定値取得工程Ｓ１０８において取得された濃度測定値に基づき、相対濃度調整後の電圧係数ｃを導出、設定する。相対濃度調整後電圧係数導出工程Ｓ１１０の後に平均値調整後電圧係数導出工程Ｓ１１２へ進む。

平均値調整後電圧係数導出工程Ｓ１１２では、補正係数設定部２１８は図１０に示す平均値調整後の電圧係数を導出し、設定する。平均値調整後電圧係数導出工程Ｓ１１２の後に駆動電圧調整工程Ｓ１１４及び駆動電圧出力工程Ｓ１１６へ進む。

駆動電圧調整工程Ｓ１１４及び駆動電圧出力工程Ｓ１１６は、それぞれ、図６に示す駆動電圧調整工程Ｓ１８及び駆動電圧出力工程Ｓ２０と同様である。ここでは、これらの説明を省略する。

なお、実施形態に記載の相対濃度調整後の電圧係数は第二電圧係数の一例である。実施形態に記載の平均値調整後の電圧係数は第三電圧係数の一例である。

〔第二実施形態の変形例〕
用紙Ｐの違いに起因して、目標濃度値に対応する駆動電圧の調整が必要となる。そこで、印刷に適用される用紙Ｐと印刷に適用されるインクとの組み合わせごとに、濃度測定値に基づく電圧係数を導出し、用紙Ｐの種類を含む用紙情報を取得し、インクと用紙Ｐとの組み合わせに応じて電圧係数を設定してもよい。なお、実施形態に記載の用紙Ｐは媒体の一例である。

同一の種類の用紙Ｐであってもロット間のばらつきが存在し得る。そこで、予め、用紙Ｐの各ロットについて濃度測定値に基づく電圧係数を導出する。用紙情報として、用紙Ｐのロット情報を取得し、ロットごとの電圧係数を用いて駆動電圧を調整し、用紙Ｐのロット間ばらつきに起因する印刷画像の濃度ムラを抑制し得る。

［第二実施形態の作用効果］
第二実施形態に係る駆動電圧調整方法は、以下の作用効果を得ることが可能である。

〔１〕
相対濃度調整後の電圧係数ｃを導出し、相対濃度調整後の電圧係数ｃを用いて駆動電圧を調整する。これにより、ヘッドモジュール３４の間における印刷濃度が均一化される。なお、印刷濃度とは、ヘッドモジュール３４を用いて印刷された印刷画像における濃度を表す。

図１３は第二実施形態の作用効果の説明図である。同図に示す三つのヘッドモジュール３４は、例えば、図１０に示す表においてＭｏｄｕｌｅ＃１、Ｍｏｄｕｌｅ＃２及びＭｏｄｕｌｅ＃３と記載されるヘッドモジュール３４とし得る。

印刷画像３００、印刷画像３０２及び印刷画像３０４のそれぞれは、出荷検査値の電圧係数を適用して調整された駆動電圧が、各ヘッドモジュール３４へ供給され、印刷される。印刷画像３００、印刷画像３０２及び印刷画像３０４を含む印刷画像３０６には、インク特性に起因する濃度ムラが発生する。

一方、印刷画像３１０、印刷画像３１２及び印刷画像３１４を含む印刷画像３１６は、相対濃度調整後の電圧係数が適用され、調整される駆動電圧が、各ヘッドモジュール３４へ供給され、印刷される。印刷画像３１０、印刷画像３１２及び印刷画像３１４を含む印刷画像３１６は、ヘッドモジュール３４の特性に起因する濃度ムラが抑制されている。

〔２〕
相対濃度調整後の電圧係数から平均値調整後の電圧係数を導出し、平均値調整後の電圧係数を用いて駆動電圧を調整する。これにより、各ヘッドモジュール３４の印刷濃度が目標絶対濃度とされる。

図１３に示す印刷画像３２０、印刷画像３２２及び印刷画像３２４は、平均値調整後の電圧係数を適用して調整された駆動電圧が、各ヘッドモジュール３４へ供給され、印刷される。印刷画像３２０、印刷画像３２２及び印刷画像３２４を含む印刷画像３２６は、絶対目標濃度が実現される。

［インクジェット印刷装置の変形例］
図１に示すインクジェット印刷装置１０は、前処理液を用いる態様を適用し得る。前処理液の例として、インクに含まれる色材を凝集又は不溶化させるプレコート液が挙げられる。例えば、インクジェット印刷装置１０は、プレコート液を塗布するプレコート塗布装置及びプレコート液が塗布された用紙Ｐを乾燥させるプレコート液乾燥装置を備え得る。

印刷画像は、プレコート液の塗布のばらつきに起因する濃度ムラが生じ得る。相対濃度調整後の電圧係数を用いて駆動電圧を調整する。これにより、各ヘッドモジュール３４の印刷濃度が均一化される。

図１に示すインクジェット印刷装置１０は、用紙Ｐとして連続紙を適用し得る。例えば、用紙Ｐの搬送形態としてロールトゥロール形式を適用し得る。ロールトゥロール形式は、インクジェット印刷用の用紙Ｐを使用する場合の負荷が大きく、印刷画像の濃度ムラの発生が顕著となる。用紙情報に応じた用紙Ｐの濃度測定値に基づく電圧係数を適用する駆動電圧の調整は、印刷画像の濃度ムラを抑制し得る。

［ヘッド装置への適用例］
図３及び図４に示す印刷制御部１２２は、図１及び図２に示すインクジェットヘッド３２と組み合わせて、インクジェット印刷装置１０の外部装置であるヘッド装置を構成し得る。

［プログラムへの適用例］
インクジェット印刷装置１０及び駆動電圧調整方法に対応するプログラムを構成し得る。すなわち、図３及び図４に示す各種の処理部の機能及び図６及び図１１に示す各工程をコンピュータに実現させるプログラムを構成し得る。

［用語について］
印刷装置という用語は、印刷機、プリンタ、印字装置、画像記録装置、画像形成装置、画像出力装置及び描画装置等の用語と同義である。画像は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像及び均一濃度画像等も含まれる。

印刷という用語は、画像の記録、画像の形成、印字、描画及びプリント等の用語の概念を含む。装置という用語は、システムの概念を含み得る。

画像は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様及びその他の各種パターン等、並びにこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。また、画像という用語は、画像を表す画像信号及び画像データの意味を含み得る。

以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。また、実施形態、変形例及び応用例は適宜組み合わせて実施してもよい。

１０ インクジェット印刷装置
２０ 搬送装置
２２ ジェッティングドラム
２３ グリッパー
２４ 給紙ドラム
２５ グリッパー
２６ 用紙押さえローラ
２８ 排紙ドラム
２９ グリッパー
３０ ジェッティング装置
３２ インクジェットヘッド
３２Ｃ インクジェットヘッド
３２Ｍ インクジェットヘッド
３２Ｙ インクジェットヘッド
３２Ｋ インクジェットヘッド
３３ ノズル面
３４ ヘッドモジュール
３６ 支持フレーム
３８ フレキシブル基板
３９ ダミープレート
３９Ａ 表面
４０ インラインセンサ
１００ プロセッサ
１０２ メモリ
１０４ 通信インターフェース
１０６ ホストコンピュータ
１０８ システム制御部
１１０ プログラムメモリ
１１２ パラメータメモリ
１１４ データメモリ
１２０ 搬送制御部
１２２ 印刷制御部
１２２Ａ 印刷制御部
１２４ 読取データ処理部
１３０ 入力装置
１３２ ディスプレイ
２００ プロセッサ
２００Ａ プロセッサ
２０２ 印刷データ取得部
２０４ 印刷データ処理部
２０６ 駆動電圧生成部
２０７ 駆動波形データ取得部
２０８ 駆動電圧調整部
２１０ 駆動電圧出力部
２１４ インク情報取得部
２１６ 出荷検査値取得部
２１８ 補正係数設定部
２２０ 濃度測定データ処理部
３００ 印刷画像
３０２ 印刷画像
３０４ 印刷画像
３０６ 印刷画像
３１０ 印刷画像
３１２ 印刷画像
３１４ 印刷画像
３１６ 印刷画像
３２０ 印刷画像
３２２ 印刷画像
３２４ 印刷画像
３２６ 印刷画像
Ｓ１０からＳ２０ 駆動電圧調整方法の各工程
Ｓ１００からＳ１１６ 駆動電圧調整方法の各工程

Claims (11)

1. 複数のヘッドモジュールを具備するインクジェットヘッドと、
   一以上のプロセッサを具備し、前記インクジェットヘッドへ駆動電圧を供給する駆動電圧供給装置と、
   を備え、
   前記プロセッサは、
   前記ヘッドモジュールごとの特性を表すモジュール特性を取得し、
   前記インクジェットヘッドを用いた印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性を取得し、
   前記モジュール特性及び前記インク特性に基づき、前記ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整する第一電圧係数であり、前記ヘッドモジュールごとに規定のインクを適用して実施された吐出量測定の結果に基づき導出された第一電圧係数を取得し、
   前記ヘッドモジュールごとに、前記第一電圧係数を適用して前記インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を調整するヘッド装置。
2. 前記プロセッサは、
   前記第一電圧係数を用いて調整された駆動電圧を適用して印刷された印刷画像の濃度測定値を前記ヘッドモジュールごとに取得し、
   前記ヘッドモジュールごとに予め規定される電圧係数と印刷画像の濃度値との相関関係に基づき、目標の濃度値に対応する駆動電圧を調整する第二電圧係数を、前記ヘッドモジュールごとに導出し、
   前記第二電圧係数を適用して、前記インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を前記ヘッドモジュールごとに調整する請求項１に記載のヘッド装置。
3. 前記プロセッサは、
   前記ヘッドモジュールごとの前記第二電圧係数をｃとし、複数の前記ヘッドモジュールにおける前記第一電圧係数の平均値をＡｖｇ（ａ＊ｂ）とし、複数の前記ヘッドモジュールにおける前記第二電圧係数の平均値をＡｖｇ（ｃ）とする場合に、
   ｃ×｛Ａｖｇ（ａ＊ｂ）／Ａｖｇ（ｃ）｝
   と表される第三電圧係数を、前記ヘッドモジュールごとに導出し、
   前記第三電圧係数を適用して、前記インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を前記ヘッドモジュールごとに調整する請求項２に記載のヘッド装置。
4. 前記プロセッサは、
   印刷に適用される媒体の情報を取得し、
   前記取得した媒体の情報に応じて、前記第三電圧係数を補正する請求項３に記載のヘッド装置。
5. 前記プロセッサは、前記モジュール特性として、前記規定のインクが適用される際の目標の吐出量に対応する駆動電圧の調整に適用される初期電圧係数を取得する請求項１から４のいずれか一項に記載のヘッド装置。
6. 前記プロセッサは、
   前記ヘッドモジュールごとに印刷に適用されるインクを用いて実施された吐出量測定の結果に基づき導出された前記初期電圧係数を取得する請求項５に記載のヘッド装置。
7. 前記初期電圧係数を補正して、前記第一電圧係数を導出する請求項５又は６に記載のヘッド装置。
8. 前記プロセッサは、前記インク特性として、印刷に適用されるインクの粘度を取得する請求項１から７のいずれか一項に記載のヘッド装置。
9. 前記プロセッサは、前記インク特性として、印刷に適用されるインクの吐出量測定の結果に基づき導出される電圧係数と、規定のインクの吐出量測定の結果に基づき導出される電圧係数との比率を取得する請求項１から７のいずれか一項に記載のヘッド装置。
10. 複数のヘッドモジュールを具備するインクジェットヘッドと、
    一以上のプロセッサを具備し、前記インクジェットヘッドへ駆動電圧を供給する駆動電圧供給装置と、
    を備え、
    前記プロセッサは、
    前記ヘッドモジュールごとの特性を表すモジュール特性を取得し、
    前記インクジェットヘッドを用いた印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性を取得し、
    前記モジュール特性及び前記インク特性に基づき、前記ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整する第一電圧係数であり、前記ヘッドモジュールごとに規定のインクを用いて実施された吐出量測定の結果に基づき導出された第一電圧係数を取得し、
    前記ヘッドモジュールごとに、前記第一電圧係数を適用して前記インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を調整するインクジェット印刷装置。
11. 複数のヘッドモジュールを具備するインクジェットヘッドに適用される駆動電圧を調整する駆動電圧調整方法であって、
    前記ヘッドモジュールごとの特性を表すモジュール特性を取得し、
    前記インクジェットヘッドを用いた印刷に適用されるインクの特性を表すインク特性を取得し、
    前記モジュール特性及び前記インク特性に基づき、前記ヘッドモジュールごとに目標の吐出量に対応する駆動電圧を調整する第一電圧係数であり、前記ヘッドモジュールごとに規定のインクを用いて実施された吐出量測定の結果に基づき導出された第一電圧係数を取得し、
    前記ヘッドモジュールごとに、前記第一電圧係数を適用して前記インクジェットヘッドへ供給される駆動電圧を調整する駆動電圧調整方法。

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