JP2019205974A - インクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法 - Google Patents

インクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法 Download PDF

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将之 諸橋
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尚存 柴田
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Atsumichi Ishikura
淳理 石倉
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Norihiko Ochi
法彦 越智
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Abstract

【課題】インクジェット装置を用いて大面積の基体に多数の機能素子を製造する場合に、インク液滴の大きさを検知してノズルの駆動状態を調整してから、短時間のうちにヘッドを走査してインクを吐出させて機能素子を製造することが可能な技術の実現が求められていた。【解決手段】インクジェット装置は、インク液滴を基体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、基体を挟んでインクジェットヘッドとは反対側に配置され、インク液滴の基体への着弾タイミングを光学的に検知する検知部と、制御部とを備える。制御部は、インクジェットヘッドがインク液滴を吐出したタイミングと、着弾検知部が着弾を検知した着弾タイミングとの時間差を計測し、時間差に応じてその後に吐出するインク液滴の大きさを所定の大きさに近づけるようインクジェットヘッドの駆動信号を補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、大面積の基体表面にインクを塗布するために用いられるインクジェット装置に関する。特に、例えば有機EL素子やカラーフィルターのような機能素子を形成する際に好適に用いられるインクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法に関し、なかでもインク液滴の大きさを所定の大きさに調整する技術に関する。
近年、種々の機能素子を製造する際に、インクジェット装置を用いて機能素子の材料を付与してパターンを形成することが試みられている。インクジェット装置を用いたパターニングは、材料の使用効率が高いこと、非真空プロセスであり製造装置が比較的小型になること、などのメリットを有している。
一方、有機EL素子やカラーフィルターをはじめとする機能素子の分野では、大面積の基体に非常に多数の機能素子を形成することが多いため、インクジェット装置には動作の安定性が求められている。インクジェット装置では、一般に数百から数千のノズルを持つインクジェットヘッドを走査しながら各ノズルを個別に制御してインクを吐出し、任意のパターンを形成する。
パターンを形成する際に、ノズルから吐出される液滴の大きさが所定のサイズから変化してしまうと、その液滴によって形成された機能素子には所定量のインクが付与されず、機能素子の特性が不良となってしまう恐れがある。例えば、基板上に多数の有機EL素子を配列した画像表示装置を製造する場合には、画素によって機能層の膜厚が変わってしまい、発光特性が不均一な表示装置が製造されてしまう可能性がある。また、カラーフィルターを製造する場合には、形成されたカラーフィルターの光学特性が、領域によって不均一になる可能性がある。
そのため、インクジェット装置を用いて機能素子のパターンを形成する際には、各ノズルから吐出されるインク液滴の大きさを管理する必要がある。
例えば、特許文献1には、基板にインクを吐出させてインクドットを形成し、カメラを用いてインクドットの濃度を測定することでインクの吐出量を求める方法が提案されている。
また、特許文献2には、液滴の飛行距離を計測することにより飛行速度を求め、吐出が異常なノズルの有無を判定する方法が提案されている。
特開平9−48111号公報 特開2009−226741号公報
実際に、大面積の基体に多数の機能素子を製造する場合には、予め製造開始前にノズルを調整しておいたとしても、実際にインクジェットヘッドを走査して吐出を開始するまでの間、あるいは走査している間に、ノズルの状態が変化する可能性がある。
図11は、大面積の基体に対するインクジェットヘッドの走査方法を説明するための模式的な斜視図であり、100は基体、101は基体100の表面のうち機能素子を形成する面である基体表面、102は機能素子である。模式図であるため、8×8個の機能素子102が示されているにすぎないが、実際には非常に多数の機能素子が形成され得る。
基体表面101がXY平面と平行だとすると、不図示のインクジェットヘッドを、基体表面101からZ方向に所定の距離だけ離間させて、平面視で基体の外側から基体の上に移動させる。まず、主走査方向であるX方向に沿って軌道103上を移動させて、一列分の機能素子102の材料を吐出する。そして、機能素子102を形成する領域すなわち塗布領域よりも外側まで移動すると、インクジェットヘッドを副走査方向であるY方向に軌道104に沿って所定距離移動させた後、移動方向をX方向マイナス側に変更する。そして、軌道105に沿って移動させながら別の一列分の機能素子102の材料を吐出する。そして、塗布領域よりも外側まで移動すると、インクジェットヘッドの移動方向を再び副走査方向であるY方向に変更して軌道106に沿って所定距離移動させる。ここでは、説明を簡単化するため、インクジェットヘッドがノズルを1個だけ有するとして説明したが、複数のノズルを有する場合には、一回の主走査で複数列分の機能素子の材料を吐出することもできる。
かかる移動を繰返してインクジェットヘッドを主走査方向に往復移動させて走査し、塗布領域の全域にインクを吐出してゆくが、塗布領域を挟んでその両側には、インクジェットヘッドの軌道を変更する領域、すなわち図中点線で囲まれた領域107が存在する。
このように、インクジェットヘッドが最初の主走査を開始する前や、主走査と主走査の間には、長い距離を移動する時間が必要なため、この間にノズルの状態が変化する可能性がある。このため、毎回の主走査においてノズルから吐出されるインク液滴の大きさを管理するには、インク液滴の大きさを計測してノズルの駆動状態を調整してから、なるべく短時間のうちに主走査してインクを吐出するのが望ましい。言い換えれば、主走査方向において機能素子を作成する領域の近傍でインク液滴の大きさを計測して、ノズルの駆動条件を調整するのが望ましい。
特許文献1に記載された方法では、まずインクを受け止める特殊処理が施されたガラス基板にノズルから液滴を付与してドットを形成する。その後に、ガラス基板の上に配置されたカメラで形成したドットを撮像し、画像の輝度レベルからドットの濃度を求め、当該濃度に基づいてインクの吐出量を求めている。
この方法では、機能素子を作成する基板とは別の場所に上述の特殊処理が施されたガラス基板を設けるため、インクの吐出量を求めてから機能素子を作成するための主走査までに多大な時間を要することになる。また、特許文献1の段落(0059)にも記載されているように、本来は形成したドットの範囲内にあるカメラの画素の輝度レベルを全て積算してドットの濃度を計測すべきところ、現実には困難であるため、吐出量の測定精度には限界がある。
特許文献2に記載された方法は、液滴の飛行距離を計測することにより飛行速度を求め、吐出異常を起こすノズルであるか否かを判定する方法であり、直接的にはインク液滴の大きさを検知する技術ではない。また、装置の構成を見ると、液滴が飛翔する空間の横に照明とカメラを配置して飛翔中の液滴を撮像する系であり、機能素子を量産するための製造装置のノズルヘッド近傍にこの装置を付設するのは、レイアウト的に現実的ではない。
以上のように、インクジェット装置を用いて大面積の基体に多数の機能素子を製造する場合に、インク液滴の大きさを検知してノズルの駆動状態を調整してから、短時間のうちにヘッドを走査してインクを吐出させることが可能な技術の実現が求められていた。
本発明は、インク液滴を基体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、前記基体を挟んで前記インクジェットヘッドとは反対側に配置され、前記インク液滴の前記基体への着弾タイミングを光学的に検知する着弾検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記インクジェットヘッドが前記インク液滴を吐出したタイミングと、前記着弾検知部が着弾を検知した着弾タイミングとの時間差を計測し、前記時間差に応じてその後に吐出するインク液滴の大きさを所定の大きさに近づけるようインクジェットヘッドの駆動信号を補正する、ことを特徴とするインクジェット装置である。
また、本発明は、インク液滴を基体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、前記基体を挟んで前記インクジェットヘッドとは反対側に配置され、前記インク液滴の前記基体への着弾タイミングを光学的に検知する着弾検知部と、前記インクジェットヘッドと前記着弾検知部の相対位置を固定するが、前記インクジェットヘッドが前記基体に対して相対的に主走査方向に沿って走査するように、前記インクジェットヘッドおよび/または前記基体を移動させる走査部と、を備えたインクジェット装置を用いた機能素子の製造方法であって、前記インクジェット装置が、前記インクジェットヘッドからインク液滴を前記基体の所定位置に向けて吐出し、前記基体の所定位置に向けて前記インク液滴を吐出したタイミングと、前記着弾検知部が着弾を検知した着弾タイミングとの時間差を計測し、計測した前記時間差に応じて、その後に吐出するインク液滴の大きさを所定の大きさに近づけるようインクジェットヘッドの駆動信号を補正し、前記走査部を駆動しながら、補正した前記駆動信号によりインク液滴を前記基体の機能素子作成領域に吐出する、ことを特徴とする機能素子の製造方法である。
本発明によれば、インクジェット装置を用いて大面積の基体に多数の機能素子を製造する場合に、インク液滴の大きさを検知してノズルの駆動状態を調整してから、短時間のうちにヘッドを走査してインクを吐出させることが可能である。
(a)第一実施形態のインクジェット装置の模式的な側面図。(b)第一実施形態のインクジェット装置の模式的な平面図。 実施形態のインクジェット装置の制御ブロック図。 (a)実施形態のインクジェット装置における吐出を示す模式的な側面図。(b)実施形態のインクジェット装置における着弾検知を示す模式的な断面図。(c)インクの吐出から着弾検知までのタイムチャート。 (a)吐出量と吐出速度の相関関係を示すグラフ。(b)駆動電圧と吐出速度の相関関係を示すグラフ。 インクジェットヘッドの駆動波形図。 (a)第一実施形態の基体の平面図。(b)第二実施形態の基体の平面図。 実施形態の製造工程を示すフローチャート。 (a)〜(e)有機EL素子の製造工程の一部を示す図。 (a)〜(d)有機EL素子の製造工程の他の一部を示す図。 (a)第二実施形態の基体の一部を拡大した平面図。(b)同図(a)のA−A’線に沿って切った断面図。 インクジェットヘッドと基体の相対移動(走査方法)を示す斜視図。
[第一実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態のインクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法について説明する。
図1(a)は、第一実施形態のインクジェット装置1を側面から見た模式的な側面図であり、図1(b)は、本実施形態のインクジェット装置1を上方向から見た模式的な平面図である。
機能素子を作成する対象となる基板は基体4で、インクを付与すべき面は基体表面5である。基体4および基体表面5は、先に図11にて説明した基体100および基体表面101にそれぞれ対応している。後述するようにインク液滴の着弾を基体表面5とは反対側から観測するため、基体4には透光性の材料が用いられる。例えば、基体4には、ガラス等の無機材料や、樹脂等の有機材料が用いられ得る。基体4は、典型的には板状の部材であるが、基体として機能し得るものであれば形態が限られるわけではなく、たとえば変形可能なフィルムであってもよい。基体4は、基台3の上の所定位置に位置決めされてセットされている。
基台3は、基体4を保持しながら、XY平面と平行な面内を自在に移動することができる。基台3は走査台8に支持されているが、走査台8は主走査方向(X方向)に沿って伸びる主走査ガイドレールや、副走査方向(Y方向)に沿って伸びる副走査ガイドレールを内蔵しており、基台3を自在に移動させることができる。
6はインクジェットヘッドで、インクジェットヘッド6には基体表面5と対向する向きに吐出部であるノズル7が配置されている。ノズル7の数や配置は適宜設定されており、例えば一列に複数ノズルが配列されたり、マトリクス状に配置されることもある。インクジェットヘッドには、例えばPZT素子の変位によってインクを押し出す圧電式のヘッドが用いられるが、これに限らずバブルジェット(登録商標)方式等の他方式のヘッドでもよい。
基台3の基体4を保持する領域の外には、ノズル7をクリーニングするためのクリーニング部(不図示)が設けられている。クリーニング部は、クリーニング機構として例えばゴムやスポンジのような多孔質体で形成されたワイピングブレードを備える。ワイピングブレードには、インクの溶媒に含まれる成分と同一材料の液体が供給されている。ノズル7をワイピングブレードに当接させて払拭したり、ポンプにより発生させた負圧によってノズルを吸引することにより、ノズルに付着したごみや固形物を除去することができる。
本実施形態では、ノズル7が基体表面5からZ方向に所定の距離Lだけ離れた高さになる位置で、インクジェットヘッド6の位置は固定されている。
したがって、先に説明した図11の走査を実現するには、走査部である走査台8を用いて基体4をX方向あるいはY方向に移動させることで、位置が固定されたインクジェットヘッド6に対して基体4の相対位置を変化させ、主走査あるいは副走査を行う。
基台3を挟んでインクジェットヘッド6の反対側には、インク液滴の着弾タイミングを検知するための着弾検知部9が配置されている。着弾検知部9は、光学的にインク液滴の着弾を検知する装置で、高速度カメラのような撮像装置や、集光レンズとフォトダイオードなどの応答速度の速い受光素子とを組み合わせた受光装置が用いられ得る。着弾検知部9は、着弾の検知を容易にするため、好ましくはインクジェットヘッド6の直下に配置されるが、要は基体4の裏側から観測できる画角内に着弾位置が収まるのであれば、必ずしも直下である必要はない。基体表面5への着弾を検出する感度を高めるため、撮像装置あるいは受光装置の光学系の結像焦点は基体表面5の近傍の高さに設定するのが望ましい。
本実施形態では、着弾検知部9が基台3を通して基体表面5への着弾を観測できるようにするため、基台3の少なくとも一部を透光材料で構成するか、あるいは基台3にスリット等の光透過可能な空間を設けている。
尚、図中では、ノズル7から吐出された飛翔中の液滴を液滴10、液滴が基体4に着弾したあとのドットをドット11として、模式的に示している。
次に、インクジェット装置1の制御系について説明する。図2は、インクジェット装置1の制御系を簡易的に示す制御ブロック図である。尚、図示の便宜上、図2には制御部が制御する要素のうち、一部だけを示している。
制御部12は、インクジェット装置1の動作を制御するためのコンピュータで、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えている。
ROMには、インクジェット装置1の基本動作プログラムが記憶されている。インク液滴の大きさの計測や制御にかかる各種処理や、機能素子の製造工程を実行するためのプログラムは、基本動作プログラムと同様にROMに記憶させておいてもよいが、ネットワークを介して外部からRAMにロードしてもよい。あるいは、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体を介して、RAMにプログラムをロードしてもよい。
制御部12のI/Oポートは外部のコンピュータをはじめとする外部機器20やネットワークと接続されている。制御部12は、例えば製造する機能素子の種類、位置、配列、インクの吐出条件等の機能素子の製造に必要なデータの入出力を、I/Oポートを介して外部のコンピュータとの間で行うことができる。
制御部12は、インクジェットヘッド6、ノズルをクリーニングするためのクリーニング部6C、走査台8、着弾検知部9、等と接続され、電気信号の送受信を行うことができる。制御部12は、これら各部の動作を制御し、インクジェットヘッド6の駆動、基体4の走査、着弾検知部9による着弾の計測、液滴の大きさの判定、ノズル7の駆動信号の補正、ノズル7のクリーニング、等を含めインクの塗布に関する処理を実行する。
次に、本実施形態のインクジェット装置1を用いて基体4に機能素子を製造する方法について述べる。
本実施形態では、主走査ラインに沿って走査しながらインク液滴を吐出して機能素子を形成してゆく際に、まず液滴サイズを調べるため液滴サイズ検知用にインク液滴を吐出する。そして、液滴サイズ検知用の液滴が基体に着弾したタイミングを計測することにより、液滴の大きさを検知する。そして、液滴の大きさが所定の大きさからずれているか否かを判定し、ずれていた場合にはノズルの駆動信号を補正し、当該主走査ラインに配列された機能素子部に対して、以後は適量のインクが付与されるようにノズルを制御する。以上の制御について、順に詳しく説明する。
まず液滴の大きさを検知する方法から説明する。図3(a)、図3(b)は、インクジェット装置1の一部を抽出し、模式的に示した側面図である。また、図3(c)は、インクの吐出から着弾検知までの状態推移を示すタイムチャートである。
まず、図3(c)上段のグラフに示すように、インクの吐出を指令する吐出指令信号DIJを制御部12がインクジェットヘッド6に対して送信すると、図3(a)に示すようにノズル7からインク液滴が基体4に向けて吐出される。
インクジェットヘッド6の直下に配置された着弾検知部9は、基体表面5にインク液滴が着弾するとそれを検知して制御部12に通知する。図3(c)の中段のグラフに、着弾検知部9が計測した輝度信号の例としてBRを示すが、BRはインクが着弾する前には高レベルであるが、図3(b)のように液滴が基体表面5に着弾した瞬間に光透過量が減少し、BRのレベルは急激に減少する。着弾検知部9は、BRのレベルを所定の閾値BRthと比較するか、あるいはBRを微分して急激な減少を検出することにより、着弾を検知することができる。図3(c)の下段に示すように、着弾検知部9は、着弾を検知すると直ちに着弾検知信号DVを制御部12に送信する。
制御部12は、内蔵するタイマーで吐出指令信号DIJと着弾検知信号DVの時間差を計測することにより、インク液滴が距離Lを飛翔するのに要した飛翔時間を取得することができる。尚、飛翔時間の計測精度を高めるためには、予め装置各部の応答時間を計測して記憶しておき、タイマーで計測した結果を補正するのが望ましい。例えば、制御部12が吐出指令信号DIJを送信してから実際に液滴が吐出するまでの遅延時間や、液滴が着弾してから着弾検知信号DVを制御部12が受信するまでの遅延時間を記憶しておき、飛翔時間を決定する際に補正するのが望ましい。
制御部12は、液滴が距離Lだけ飛翔するのに要した飛翔時間情報を取得するので、これに基づいて吐出した液滴の飛翔速度(以下、吐出速度と記す場合がある)を検知することができる。
吐出した液滴の大きさ(以下、吐出量と記す場合がある)と吐出速度との間には、例えば図4(a)に示すような相関関係がある。もちろん、用いるノズルやインクの種類の組み合わせによりグラフは異なったものとなるが、それぞれの場合に応じて決まる相関関係が存在する。そこで、制御部12は、用いるノズルとインクの組み合わせにおける吐出量と吐出速度の相関関係情報を予め記憶しておくか、あるいは外部からネットワークや記憶媒体を介して予め入手しておく。
そして、制御部12は、検知した吐出速度を前述した相関関係情報と照らし合わせて、液滴の大きさ(吐出量)を求める。このように、制御部12は、吐出から着弾までの時間差とインク液滴の大きさとの相関関係に関する情報を予め記憶しておき、計測した時間差と記憶した情報に基づき、インク液滴の大きさを評価することができる。制御部12は、機能素子を製造するために許容される吐出量の範囲を予め記憶しており、求めた吐出量が許容範囲内にあるか否かを判定する。許容範囲内にある場合には、同一の主走査ラインにおけるその後の吐出については、ノズルの駆動条件は変更させずに吐出を継続し、機能素子の製造を行う。
一方、吐出量が所定の範囲から逸脱している場合には、当該主走査ラインにおける以後の吐出量が許容される所定の範囲内に収まるように、ノズル7の駆動を補正する。
ここで、液滴を吐出するためにノズル7に印加する駆動信号は、例えば図5に示すような電圧波形である。時間的に長いメインパルスは、液滴をノズルから飛び出させるための液出しパルスであり、後続する短いサブパルスは液切れを良くしてサテライト(不要な微小液滴)の発生を抑制する液切りパルスである。吐出速度と駆動電圧との間には、典型的には図4(b)に示すような相関関係がある。もちろん、用いるノズルやインクの種類の組み合わせにより図5あるいは図4(b)のグラフは異なったものとなり、組み合わせ毎に決まった相関関係が存在することになる。図4(b)と図4(a)とを組み合わせればわかるように、吐出量とノズル7に印加する駆動電圧との間にも所定の相関関係があるといえる。図4(b)と図4(a)の場合には、駆動電圧を大きくするほど吐出速度は大きくなり、吐出量も大きくなるが、逆に、駆動電圧を小さくすれば、吐出量は小さくなることがわかる。
そこで、本実施形態では、制御部12は、用いるノズルとインクの組み合わせにおける吐出量と駆動電圧の相関関係に関する駆動特性情報を予め記憶しておくか、あるいは外部からネットワークや記憶媒体を介して予め入手しておく。
そして、制御部12は、吐出量が機能素子を製造するために許容される所定の範囲内に収まるように補正する指令を、インクジェットヘッド6に対して送信する。すなわち、液滴量がより大きくなるように補正すべき時には駆動電圧を大きくする補正指令を、液滴量がより小さくなるように補正すべき時には駆動電圧を小さくする補正指令を、インクジェットヘッド6に対して送信する。
このように補正することにより、当該主走査ラインにおける以後の吐出量は補正され、作成される機能素子の特性を担保することができる。
本実施形態では、機能素子を作成するために主走査ラインに沿って多数の液滴を吐出する際に、機能素子を作成する領域に近接した当該主走査ライン上の位置において、吐出量を検知するための液滴をまず吐出する。それにより、機能素子を作成する領域を走査する前に予め吐出量を検知しておき、吐出量が所定の範囲内にない場合には、必要な駆動補正を行ってから機能素子を作成する領域を走査する。図6(a)および図7を参照して詳しく説明する。
図6(a)は、機能素子を作成する基体4を、インクを塗布する面側から見た模式的な平面図である。本実施形態では、基体4をインクジェットヘッド6に対して相対的に移動させることにより、図11に示した手順により走査する。すなわち、まずインクジェットヘッド6が主走査方向であるX方向に沿って軌道103上を走査するように、基体4を移動させる。続いてインクジェットヘッド6が副走査方向であるY方向に沿って軌道104上を走査し、さらに主走査方向である−X方向に沿って軌道105上を走査するように、基体4を移動させる。
図6(a)において、30は機能素子を作成する領域を、31は吐出量を検知するための液滴を吐出する領域を模式的に示している。以下、前者を機能素子作成領域30と、後者を吐出量検知領域31と記す。
吐出量検知領域31は、主走査する向きにおいて機能素子作成領域30よりも先行して走査される位置に設定されている。例えば、軌道103についてみれば機能素子作成領域30よりも図中の左側に、軌道105についてみれば機能素子作成領域30よりも図中の右側に、吐出量検知領域31は配置されている。透光性を有する基体4の裏側から着弾検知部9が光学的にインク液滴の着弾を検知できるように、吐出量検知領域31は、基体に遮光性の部材が設置されていない位置に設定されている。逆に言えば、何らかの部材が設置されているとしても、それが透光性の部材で、インク液滴を付与しても機能上問題ない場合には、その位置を吐出量検知領域31としてよい。たとえば、機能素子作成領域30の外側にダミーの機能素子を設けるような場合に、その一部に吐出量検知領域31を設けてもよい。
次に、図7のフローチャートに沿って、機能素子を作成するために液滴を塗布してゆく手順を説明する。まず、機能素子を作成するための基体4をインクジェット装置1の基台3にセットする。(S01)。
次に、制御部12は走査台8に指令を送り、インクジェットヘッド6が基体4に対して相対的に主走査方向に沿って軌道103上を移動するように基体4を移動させる動作を走査台8に開始させる。(S02)。
吐出量検知領域31がインクジェットヘッド6の下、言い換えれば着弾検知部9の上に到達するタイミングで、制御部12はインクジェットヘッド6に吐出指令信号DIJを送り、ノズル7から吐出量計測用の液滴を吐出させる。(S03)。
制御部12は、着弾検知部9から着弾タイミングに係る着弾検知信号DVを受け、液滴飛翔時間を計測して吐出速度を検知し、検知した吐出速度を前述した吐出速度と吐出量の相関関係情報と照らし合わせて、液滴の大きさ(吐出量)を求める。(S04)。
制御部12は、吐出量が機能素子を製造するために許容される所定の範囲内に在るか否か、言い換えれば以後の吐出量を補正する必要が無いか有るかを判定する。(S05)。
吐出量の補正が必要と判定された場合には(S05のYES)、制御部12は、吐出量が機能素子を製造するために許容される所定の範囲内に収まるように、ノズルの駆動波形を補正する指令を、インクジェットヘッド6に対して送信する。(S06)。例えば、駆動パルスの電圧を変更する指令である。
そして、制御部12は、走査台8およびインクジェットヘッド6を制御して、当該主走査ラインの機能素子作成領域30において機能素子を作成するためにインク液滴を吐出してゆく。(S07)。
尚、吐出量の補正が必要ないと判定された場合には(S05のNO)、S06はスキップしてS07が実行される。
制御部12は、当該主走査ラインの機能素子作成領域30について、吐出が完了したかを判定し(S08)、完了しない間は(S08のNO)、機能素子を作成するための吐出(S07)を繰り返す。
当該主走査ラインの機能素子作成領域30について、吐出が完了したと判定した場合には(S08のYES)、制御部12は、当該基体4の全ての主走査ラインの塗布が完了したかを判定する。(S09)。
例えば軌道103についての塗布が完了したとしても、全ての主走査ラインの塗布が完了したわけではないので(S09のNO)、制御部12は走査台8に指令を送り、基体4を軌道104に沿って副走査方向に移動させる。(S10)。そして、軌道105に沿って次の主走査ラインを走査させ、S02以下の工程を繰り返す。
全ての主走査ラインの塗布が完了した場合には(S09のYES)、当該基体への塗布を完了する。(S11)。
次に本実施形態の例として、トップエミッション型の有機EL素子を製造する場合について説明する。もちろん本実施形態における機能素子は、この例に限るものではなく、他の型の有機EL素子や、有機EL素子以外の機能素子であってもよい。
まず、図8(a)〜図8(e)に模式的に示した手順に沿って、インクジェット装置1にセットするための基体4を準備する。ここでは図示の便宜のため、有機EL素子の一素子に相当する領域の断面のみを示す。
まず、図8(a)に示すように、透光性を有する基板41を準備する。基板41は、ガラス等の無機材料や、樹脂等の有機材料が用いられ、典型的には板状の部材であるが、透光性を有する基体として機能し得るものであれば形態が限られるわけではなく、たとえば変形可能なフィルムであってもよい。
次に、基板41上に図8(b)に断面構造を示す構造体を形成する。すなわち、基板41上に接続電極46とTFT47を設け、その上に絶縁層42を形成する。そして、絶縁層42の中央部にスルーホールをあけて金属材料を充填し、プラグ43を形成する。さらに、CMP等の平坦化処理を行い、絶縁層42およびプラグ43の上面を平坦化させる。
次に、図8(c)に示すように、絶縁層44を形成する。絶縁層44は、有機EL素子のバンク部分を作成するために設けられる層である。絶縁層44は、SiOをはじめとする無機酸化物、あるいは例えばポリイミド、アクリル等の樹脂で形成される。
次に、図8(d)に示すように開口部を有するマスク45を例えばフォトリソグラフィーを用いて絶縁層44の上に配置する。そして、例えばリアクティブイオンエッチング48により、絶縁層44をエッチングしてプラグ43が露出した開口部を形成する。
開口部を形成した後にマスク45を除去することにより、図8(e)に示すように、バンク49が形成された基体4が準備できる。その際、リアクティブイオンエッチングの条件や、マスク45を除去する条件を適宜選択することにより、絶縁層42やプラグ43を侵食することなく絶縁層44をパターニングしてバンク49を形成することができる。パターニング後、材料の残渣を除去するために、UVオゾン処理やOプラズマ処理を行っても良い。
バンク49は、複数の有機EL素子を1次元あるいは2次元に配列する場合に、各有機EL素子を空間的に分離するとともに電気的に絶縁する壁として機能させることができる。バンク49の開口は、インクジェット装置1のノズル7から有機EL素子の材料を含むインクを吐出する際に、液滴を着弾させるべき目標位置となる。
以上により、基体4が準備できたら、基体4をインクジェット装置1の基台3上の所定位置にセットする。
図9(a)〜図9(d)は、有機EL素子の積層構造を形成する手順を説明するために、インクジェット装置1によるインクの塗布工程を含めた各工程を模式的に示した図である。各図は、図示の便宜のため、有機EL素子の一素子に相当する領域の断面を模式的に示しているが、インクの塗布に関しては、図11で説明した走査手順で有機EL素子を形成する領域全体を走査しながら行う。
その際、図6を参照して説明したように、主走査ラインごとに予め有機EL素子を形成する領域外の吐出量検知領域で吐出量を検知し、液滴の大きさを所定の範囲内に収めるよう制御して塗布を行うのはもちろんである。
尚、以下に説明する有機EL素子の製造工程では、インクジェット装置を用いて複数の層を積層するが、各層の吐出量検知領域が互いに重なり合うと透光量が低下して光学的に着弾を検知する感度が低下する可能性がある。そこで、各層を形成する際に用いる吐出量検知領域は、互いに重ならないように異なる位置に設定するのが望ましい。
まず、図9(a)に示すように、インクジェット装置1のノズル7から、バンク49で囲まれた領域に下部電極の材料を含んだインク51を塗布する(下部電極材料付与工程)。インク51としては、Ag、Au、Cu、Al、Ni等の導電性微粒子を、溶媒に分散した液を用いる。バンク開口底面のプラグ43と絶縁層42の露出面を覆うのに十分で、かつバンク49で貯留可能な量のインク51を付与する。
液滴を付与した後、乾燥させ、一旦インクジェット装置1から基体4を取り外して100℃〜200℃の適宜の温度で焼成し、図9(b)に示すように下部電極52を形成する。
次に、インクジェット装置1に基体4を再びセットし、図9(c)に示すように、バンク49で囲まれた領域にインク53を付与し、機能層である発光層や正孔注入層を順次形成してゆく。もちろん、形成する層ごとに、含まれる材料が異なるインクを用いる。各層を形成するのには、層ごとに異なるインクジェットノズルを用いてもよい。
第一機能層として発光層54を形成するには、所望の発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物を、キシレン等の有機系溶媒に溶解させた第一の有機溶媒系インクを、塗布し乾燥させる(発光材料付与工程)。
また、発光層用の有機溶媒系インクには、ゲスト材料、ホスト材料などの複数の材料が含まれていてもよい。インクに含まれる発光材料としては、高分子材料、中分子材料または低分子材料などが挙げられ、塗布型に用いられ得る発光材料であれば特に限定されない。例えば、ポリフルオレン、ポリフルオレンの共重合体、ポリフェニレンビニレンなどの高分子材料、オリゴフルオレンなどの中分子材料が挙げられる。また、フルオレン系、ピレン系、フルオランテン系、アントラセン系などの縮合多環化合物、イリジウムを含む金属錯体などの低分子材料も挙げられる。発光層54は、好適には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などの高分子系材料を含み得る。赤色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料として赤色燐光発光イリジウム金属錯体を、ホスト材料としてポリフルオレンを含有する赤色発光層用インクを用いる。また、緑色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてフルオランテン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのポリフルオレンを含有する緑色発光層用インクを用いる。また、青色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてピレン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのオリゴフルオレンを含有する青色発光層用インクを用いる。
発光層用のインクを塗布する際には、下部電極52を覆うのに十分で、かつバンク49で貯留可能な量の有機溶媒系インクの液滴を付与する。液滴を付与した後、乾燥させ発光層54を形成する。
第二機能層として正孔注入層55を形成するには、第二の有機溶媒系インクとして、例えば、正孔注入材料のPEDOT/PSS液を付与する(正孔注入層形成工程)。PEDOT/PSS液は好適に利用できるが、正孔注入層用のインクは特にこれに限定されるわけではなく、例えば、下記の高分子系材料をキシレン等の有機系溶媒で溶解させた液を塗布乾燥させても形成することができる。高分子系材料として、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体などがあげられる。
正孔注入層用のインクを塗布する際には、発光層54を覆うのに十分で、かつバンク49で貯留可能な量の有機溶媒系インクの液滴を付与する。液滴を付与した後、乾燥させ正孔注入層55を形成する。
こうして機能層の形成が完了したら、例えばスパッタ成膜により機能層およびバンク49を覆うように透明導電膜で被覆し、図9(d)に示すように、上部透明電極56を形成する(上部透明電極形成工程)。
以上により、特性のばらつきが少ない多数の有機EL素子が配列された有機EL装置を、簡易に製造することができる。
本実施形態によれば、インクジェット装置を用いてインクを付与する際、主走査ラインごとに予め有機EL素子を形成する領域外の吐出量検知領域で吐出量を検知し、有機EL素子を形成する領域内での吐出量が所定の範囲内に収まるように制御する。異なるインクを用いて複数の機能層を積層して形成する場合には、形成する機能層毎に適したインクの吐出量(液滴の大きさ)の範囲を設定しておき、インクごとに吐出量検知領域31を設けて吐出量を検知し、範囲内に収めるよう制御する。これにより、大型の有機EL装置を作成する際にも、吐出量を常に所定範囲内に維持することが可能になり、特性のばらつきが少ない高画質の有機EL装置を提供することができる。
[第二実施形態]
第一実施形態では、図6(a)を参照して説明したように、吐出量検知領域31は、主走査する向きにおいて機能素子作成領域30よりも先行して走査される位置に配置されている。
これに対して、第二実施形態は、機能素子作成領域30を走査する経路の途中にも吐出量検知領域を配置した点が異なる。以下の説明では、インクジェット装置の構成や製造方法の手順に関して、第一実施形態と同様の事項については記載を省略する。
図6(b)は、第二実施形態の機能素子を作成する基体4を、インクを塗布する面側から見た模式的な平面図である。図6(b)において、30は機能素子を作成する領域を、31および32は吐出量を検知するために液滴を吐出する領域を模式的に示している。第一実施形態と同様に、吐出量検知領域31は、主走査する向きにおいて機能素子作成領域30よりも先行して走査される位置に設定されている。
第二実施形態では、吐出量検知領域31に加えて、機能素子作成領域30を走査する途中の経路に吐出量検知領域32を配置している。これにより、主走査ラインの前半は吐出量検知領域31で検知した吐出量に基づく補正を行って機能素子を作成し、主走査ラインの後半は吐出量検知領域32で検知した吐出量に基づく補正を行って機能素子を作成することができる。このように、主走査ラインに沿って吐出する際に小領域ごとに制御することにより、透明フィルムのロールのような長大な基体に塗布する場合であっても、主走査ライン全体にわたり吐出量を高精度に制御することができる。もちろん、吐出量検知領域32は主走査ラインごとに一箇所に限られるわけではなく、一本の主走査ライン中に複数の吐出量検知領域32を設けて、制御する領域数を増やしてもよい。
吐出量検知領域32は、機能素子作成領域30内において、基体4の表面が露出している箇所に設定することができる。しかしながら、機能素子作成領域30内には機能素子やそれに付帯する配線等の部材が密集している場合が多く、基体4の表面が露出した箇所が都合よく存在しない場合がある。
そこで、本実施形態では、機能素子作成領域30内に吐出量検知領域32を設けるため、一部の有機EL素子の形態を変更している。
図10(a)は第二実施形態の基体4の一部を拡大した模式的な平面図であり、図10(b)は図10(a)中のA−A’線に沿った断面を示す模式的な断面図である。
基体4の基板41には、有機EL素子の構成要素である絶縁層42、プラグ43、接続電極46、TFT47、バンク49等が主走査方向であるX方向に沿って多数素子分が並んで設けられている。本実施形態では、その一部の素子には吐出量検知領域32としての透光窓が設けられている。すなわち、吐出量検知領域32に対応する有機EL素子の絶縁層42およびプラグ43の一部にはスルーホールが形成され、基体4の下側から着弾検知部9がインクの着弾を光学的に計測できる窓領域となっている。場合によっては、スルーホールの内部を透光性の絶縁材料あるいは透光性の導電材料で埋めてもよい。要は、透光窓を設けた有機ELと周辺の有機EL素子の表示特性の差が小さくなる構造を採用すればよい。
本実施形態では、吐出量検知領域32を有する有機EL素子を作成するためにインクを吐出した際に着弾検知部を用いて吐出量を計測し、計測結果に基づいて当該主走査ライン上の残りの有機EL素子を作成するための吐出量の制御を行う。直前に計測された吐出量に基づいて主走査ラインの各小領域における吐出量を制御することにより、主走査ライン全体にわたり吐出量を高精度に制御することができ、有機EL素子の表示特性の均一性を高めることができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、上述した実施形態に限られるものではなく、適宜変更したり、組み合わせたりすることが可能である。
例えば、上記実施形態ではインクジェットヘッド及び着弾検知部の位置を固定し、基体をXY両方向に移動させて走査したが、走査機構はこれに限らない。要は、基体とインクジェットヘッドの相対位置を制御して相対的に走査が可能ならばよいので、例えば主走査方向はインクジェットヘッドを着弾検知部とともに移動させ、副走査方向は基体を移動させて走査する機構であってもよい。また、走査方法は図11に示した方法には限らず、例えば往路と復路で隣接した列を走査するのではなく、いわゆるインターレースのように隣接列を飛び越して走査してもよい。
また、機能素子として有機EL素子を製造する場合には、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層、電極等をはじめとする各層の材料を含むインクの塗布において本発明を実施することができる。トップエミッション型有機EL素子でもボトムエミッション型有機EL素子でも、いずれのタイプでも実施することができる。
もちろん、有機EL素子以外の機能素子の製造にも広く適用が可能で、たとえば大面積の基体上に帯電防止構造や反射防止構造やカラーフィルターを形成する際にも好適に実施することができる。
また、上記実施形態では、吐出量の制御に関しては、計測した飛翔時間から吐出速度を求め、吐出速度から液滴量を求め、駆動電圧と液滴量の関係に基づいて補正したが、必ずこのような手順で処理を行わなければならないわけではない。例えば、検知した飛翔時間に対する駆動電圧の補正テーブルを予め準備して制御部に記憶させておけば、液滴量に換算する演算を行わなくとも駆動電圧を補正することが可能である。
また、ノズルの駆動波形は図5の例に限るわけではなく、インクジェット装置の方式や用途により適宜変更し得る。また、液量を補正するには、駆動電圧の変更に限らず、電圧パルスの時間的な長さ(パルス幅)を変更してもよい。例えば、メインパルスのパルス幅を大きくすることにより、吐出量および吐出速度を増大させることができる。また、駆動電圧とパルス幅の一方だけを変更するのではなく、両方を変更して補正してもよい。
また、着弾検知部からの信号に基づく吐出量の検知結果が、本来の値から大きく外れていた場合には、ノズルの駆動波形を補正するだけでは十分に対応しきれない場合がある。例えば、ノズルの先端付近にゴミが付着して吐出量が大きく外れた場合には、ノズルの駆動波形を補正する前に、まずノズルをクリーニングするためのクリーニング部(図2の6C)を駆動させるのが効果的である。したがって、図7のフローチャートにおいて、S04とS05の間に、ノズルのクリーニングが必要かを制御部12が判断するステップを入れるのも好ましい態様である。例えば、S04で計測した吐出量をあらかじめ定めた閾値と比較して、ノズルのクリーニングが必要かを判断すればよい。YES(必要)の場合には、クリーニング部6Cを駆動させるクリーニングステップを実行させ、NO(不要)の場合には続けてS05を実行させればよい。
1・・・インクジェット装置/3・・・基台/4・・・基体/5・・・基体表面/6・・・インクジェットヘッド/6C・・・クリーニング部/7・・・ノズル/8・・・走査台/9・・・着弾検知部/10・・・液滴/11・・・ドット/12・・・制御部/20・・・外部機器/30・・・機能素子作成領域/31・・・吐出量検知領域/32・・・吐出量検知領域/41・・・基板/42・・・絶縁層/43・・・プラグ/44・・・絶縁層/45・・・マスク/46・・・接続電極/47・・・TFT/48・・・リアクティブイオンエッチング/49・・・バンク/51・・・インク/52・・・下部電極/53・・・インク/54・・・発光層/55・・・正孔注入層/56・・・上部透明電極/100・・・基体/101・・・基体表面/102・・・機能素子/103〜106・・・軌道

Claims (16)

  1. インク液滴を基体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、
    前記基体を挟んで前記インクジェットヘッドとは反対側に配置され、前記インク液滴の前記基体への着弾タイミングを光学的に検知する着弾検知部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記インクジェットヘッドが前記インク液滴を吐出したタイミングと、前記着弾検知部が着弾を検知した着弾タイミングとの時間差を計測し、前記時間差に応じてその後に吐出するインク液滴の大きさを所定の大きさに近づけるようインクジェットヘッドの駆動信号を補正する、
    ことを特徴とするインクジェット装置。
  2. 前記制御部は、前記時間差と前記インク液滴の大きさとの相関関係に関する情報を予め記憶し、計測した前記時間差と記憶した前記情報に基づき、前記インク液滴の大きさを評価する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット装置。
  3. 前記制御部は、インクジェットヘッドの駆動信号とインク液滴の大きさとの相関関係に関する駆動特性情報を予め記憶し、前記駆動特性情報に基づきインクジェットヘッドの駆動信号を補正する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット装置。
  4. 前記制御部は、前記インク液滴の大きさが所定範囲内にあるかを判定し、所定範囲内にないと判定したときに、その後に吐出するインク液滴の大きさを所定の大きさに近づけるようインクジェットヘッドの駆動信号を補正する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  5. インクジェットヘッドの吐出部をクリーニングするクリーニング部を備え、
    前記制御部は、前記インク液滴の大きさが所定範囲内にあるかを判定し、所定範囲内にないと判定したときに、前記クリーニング部を駆動する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  6. 前記制御部は、前記制御部が前記インクジェットヘッドに吐出指令信号を発するタイミングに基づいて、前記インクジェットヘッドが前記インク液滴を吐出したタイミングを決定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  7. 前記インクジェットヘッドと前記着弾検知部の相対位置を固定するが、前記インクジェットヘッドが前記基体に対して相対的に主走査方向に沿って走査するように、前記インクジェットヘッドおよび/または前記基体を移動させる走査部を備え、
    前記走査部が前記インクジェットヘッドと前記基体の相対位置を前記主走査方向に沿って変化させながら、前記インクジェットヘッドがインク液滴を吐出させ、前記制御部が前記計測と前記補正を実行する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  8. 前記その後に吐出するインク液滴により、前記基体に機能素子を形成する、
    ことを特徴とする請求項1乃至7の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  9. 前記着弾検知部は、集光レンズと受光素子を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至8の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  10. 前記制御部は、前記時間差に応じて前記インクジェットヘッドの駆動信号の電圧を補正する、
    ことを特徴とする請求項1乃至9の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  11. 前記制御部は、前記時間差に応じて前記インクジェットヘッドの駆動信号のパルスの長さを補正する、
    ことを特徴とする請求項1乃至9の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  12. インク液滴を基体に向けて吐出するインクジェットヘッドと、
    前記基体を挟んで前記インクジェットヘッドとは反対側に配置され、前記インク液滴の前記基体への着弾タイミングを光学的に検知する着弾検知部と、
    前記インクジェットヘッドと前記着弾検知部の相対位置を固定するが、前記インクジェットヘッドが前記基体に対して相対的に主走査方向に沿って走査するように、前記インクジェットヘッドおよび/または前記基体を移動させる走査部と、
    を備えたインクジェット装置を用いた機能素子の製造方法であって、
    前記インクジェット装置が、
    前記インクジェットヘッドからインク液滴を前記基体の所定位置に向けて吐出し、
    前記基体の所定位置に向けて前記インク液滴を吐出したタイミングと、前記着弾検知部が着弾を検知した着弾タイミングとの時間差を計測し、
    計測した前記時間差に応じて、その後に吐出するインク液滴の大きさを所定の大きさに近づけるようインクジェットヘッドの駆動信号を補正し、
    前記走査部を駆動しながら、補正した前記駆動信号によりインク液滴を前記基体の機能素子作成領域に吐出する、
    ことを特徴とする機能素子の製造方法。
  13. 前記所定位置を前記機能素子作成領域の外に配置する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の機能素子の製造方法。
  14. 前記所定位置を前記機能素子作成領域の中に配置する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の機能素子の製造方法。
  15. 前記所定位置には、機能素子を構成する部材の中に透光性の窓領域が配置されている、
    ことを特徴とする請求項14に記載の機能素子の製造方法。
  16. 前記機能素子は有機EL素子であり、前記インク液滴は、有機EL素子の発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層、電極のいずれかの材料を含む、
    ことを特徴とする請求項12乃至15の中のいずれか1項に記載の機能素子の製造方法。
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