JP2019147139A - インクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法 - Google Patents

インクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法 Download PDF

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尚存 柴田
石倉 淳理
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淳理 石倉
法彦 越智
Norihiko Ochi
法彦 越智
諸橋 将之
Masayuki Morohashi
将之 諸橋
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Abstract

【課題】インクジェット装置を用いて大面積の基材に非常に多数の機能素子を形成する場合には、吐出動作の安定性が求められている。インクジェットヘッドを繰返し走査して塗布領域全域にインクを吐出する際に、時間的なロスが抑制されつつも吐出動作の安定性が確保できるクリーニング法が求められていた。【解決手段】主走査方向に見て、インクが塗布される塗布領域を互いが挟むように配置された第一のクリーニング部と第二のクリーニング部とを備える。インクジェットヘッドが往復移動における第一の往路において塗布領域にインクを塗布した後、続く第一の復路において塗布領域にインクの塗布を開始するまでの間に、第一のクリーニング部を用いてインクジェットヘッドのノズル面のクリーニング動作を行う。第一の復路において塗布領域にインクを塗布した後、続く第二の往路において塗布領域にインクの塗布を開始するまでの間に、第二のクリーニング部を用いてインクジェットヘッドのノズル面のクリーニング動作を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、大面積の基体表面にインクを塗布するために用いられるインクジェット装置に関する。特に、例えば有機EL素子のような機能素子を形成する際に好適に用いられるインクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法に関する。
近年、種々の機能素子を製造する際に、インクジェット装置を用いて機能素子の材料を付与してパターンを形成することが試みられている。インクジェット装置を用いたパターニングは、オンデマンドパターニングが可能であるため材料の使用効率が高いこと、非真空プロセスであり製造装置が比較的小型になること、などのメリットを有している。
一方、有機EL素子をはじめとする機能素子の分野では、大面積の基体に非常に多数の機能素子を形成することが多いため、インクジェット装置には動作の安定性が求められている。インクジェット装置では、一般に数百から数千のノズルを持つインクジェットヘッドを走査しながら各ノズルを個別に制御してインクを吐出し、任意のパターンを形成する。パターン形成中に吐出不良のノズルが一つでも発生すると、そのノズルによって形成された機能素子は特性が不良となってしまう。例えば、基板上に多数の有機EL素子を配列した画像表示装置を製造する場合には、発光特性が不良の画素が形成されてしまうことになる。
そのため、インクジェット装置を用いて機能素子のパターンを形成する際には、各ノズルの吐出状態を安定させる必要がある。吐出が不安定になる原因の一つは、ノズル面へのゴミの付着である。インクジェット描画を行う空間には、ヘッドスキャン機構や基体搬送機構などのような可動部がある。これらの部位から発塵した微細なゴミがノズル付近、あるいはノズルを覆うように付着すると、飛翔方向が大きく曲がったり、最悪の場合には吐出しなくなったりする。他の要因として、吐出口からインクが揮発することで吐出口付近のインクの粘度が増大して吐出特性に影響を与えたり、乾燥固化することでノズルが閉塞してしまうことが挙げられる。また、ノズル付近に残留したインクや空間を飛翔している微細なインクミストが、ノズルの周囲で乾燥固化して付着し、吐出口の形状や濡れ性等の物性を変化させてしまうことも考えられる。たとえ、閉塞するには至らなかったとしても、インクの液滴の大きさや吐出方向、吐出スピードが変化すると、着弾位置がずれる等により、機能素子の特性が不均一になってしまう。
そこで、吐出特性の変化を防止するために、ノズルの表面に対し回復と呼ばれる動作を行ってクリーニングする方法が提案されている。例えば、特許文献1には、印字を一定時間以上行わない場合は、記録ヘッドをインク吸引手段のある待機位置に移動させて吸引し、その後に印字領域と待機位置の間でインクを噴射して擦り部材を湿潤状態にし、擦り部材で擦る装置が開示されている。
また、インクジェット記録装置の分野では、被記録材の記録面のゴミを捕獲する技術が提案されている。例えば、特許文献2には、被記録材の記録面をクリーニングするクリーニングローラと、クリーニングローラに付着したゴミを除去するゴミ除去ブレードを有するインクジェット記録装置が開示されている。
特開平05−00515号公報 特開2001−301279号公報
一般に、インクジェット装置を用いて大面積の基体上に非常に多数の機能素子を形成する場合には、インクを塗布する塗布領域をインクジェットヘッドで走査して機能素子の材料を塗布してゆく。図10は、これを説明するための模式的な斜視図であり、100は基体、101は基体100の表面のうち機能素子を形成する面である基体表面、102は機能素子である。模式図であるため、8×8個の機能素子102が示されているにすぎないが、実際には非常に多数の機能素子が形成され得る。
基体表面101がXY平面と平行だとすると、不図示のインクジェットヘッドを、基体表面101からZ方向に所定の距離だけ離間させて、まず主走査方向であるX方向に沿って軌道103上を移動させて、一列分の機能素子102の材料を吐出する。そして、機能素子102を形成する領域すなわち塗布領域よりも外側まで移動すると、インクジェットヘッドを副走査方向であるY方向に軌道104に沿って所定距離移動させた後、移動方向をX方向マイナス側に変更する。そして、軌道105に沿って移動させながら別の一列分の機能素子102の材料を吐出する。そして、塗布領域よりも外側まで移動すると、インクジェットヘッドの移動方向を再び副走査方向であるY方向に変更して軌道106に沿って所定距離移動させる。ここでは、説明を簡単化するため、インクジェットヘッドがノズルを1個だけ有するとして説明したが、複数のノズルを有する場合には、一回の主走査で複数列分の機能素子の材料を吐出することもできる。
かかる移動を繰返してインクジェットヘッドを主走査方向に往復移動させて走査し、塗布領域の全域にインクを吐出してゆくが、塗布領域を挟んでその両側には、インクジェットヘッドの軌道を変更する領域、すなわち図中点線で囲まれた領域107が存在する。
インクジェットヘッドに配されたノズルは、塗布領域内では機能素子の配列に従った吐出パターンで繰返しインクを吐出してゆくが、大面積の基体上に非常に多数の機能素子を形成する場合には、塗布領域内でノズルにゴミ等が付着する可能性がある。また、走査切替えタイミングすなわち領域107を移動中は、走査機構等に起因したゴミが付着する可能性に加えて、インクの吐出を停止していることが原因でノズルが乾燥しやすいという問題がある。領域107を移動中にノズルが乾燥すると、例えば次の列の最初のうちはインクの吐出特性が不安定になり、機能素子の特性に影響が生じやすい。そのため、基体100の縁に近い位置に配置された機能素子が、所定の特性を達成しない傾向が生じる場合も有り得る。
特許文献1に記載された方法は、印字を一定時間以上行わない場合に、記録ヘッドをインク吸引手段のある待機位置に移動させてクリーニングする技術であり、印字中はクリーニング部がヘッドに当接しない位置に移動する構成となっている。このため、大面積の基体を連続的に走査して描画している最中に生じる吐出特性の変化には対処することができない。
また、特許文献2に記載されたのは、被記録材の記録面をクリーニングする方法であり、ノズルの汚れを間接的に予防する効果はあるとしても、ノズルに生じた汚れを直接除去する技術ではない。このため、この方法も大面積の基体を連続的に走査して描画している最中に生じる吐出特性の変化には対処することができない。
本発明は、複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを有し、機能素子の材料を含むインクを基体に塗布するインクジェット装置であって、前記インクジェットヘッドと前記基体とが主走査方向において相対的に往復移動し、前記往復移動の往路と復路の切り替え時に、前記インクジェットヘッドと前記基体とが副走査方向において相対的に移動するよう、前記インクジェットヘッドと前記基体の相対位置を制御する走査機構と、前記主走査方向に見て、インクが塗布される塗布領域を互いが挟むように配置された第一のクリーニング部と第二のクリーニング部と、を備え、前記インクジェットヘッドが前記往復移動における第一の往路において前記塗布領域に前記インクを塗布した後、続く第一の復路において前記塗布領域に前記インクの塗布を開始するまでの間に、前記第一のクリーニング部を用いてインクジェットヘッドのノズル面のクリーニング動作を行い、前記第一の復路において前記塗布領域に前記インクを塗布した後、続く第二の往路において前記塗布領域に前記インクの塗布を開始するまでの間に、前記第二のクリーニング部を用いてインクジェットヘッドのノズル面のクリーニング動作を行う、ことを特徴とするインクジェット装置である。
本発明によれば、インクジェットヘッドを繰返し走査して大面積の塗布領域全体にインクを吐出してゆく一連の動作において、動作速度を低下させることなく一走査ごとに回復が必要なノズルに対して回復操作を行うことができる。このため、大面積の塗布領域全体に対して、安定してインクを吐出することが可能である。
第一実施形態のインクジェット装置の模式的な側面図。 第一実施形態のインクジェット装置の模式的な平面図。 ワイピングブレードの一例を示す断面図である。 実施形態のインクジェット装置の制御ブロック図。 有機EL素子の製造工程の一部を示す図。 有機EL素子の製造工程の他の一部を示す図。 第二実施形態のインクジェット装置の模式的な斜視図。 実施例のインクジェットヘッドの駆動波形図。 実施例のインクジェットヘッドの吐出特性図。 インクジェットヘッドの走査方法を示す斜視図。
[第一実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態のインクジェット装置、およびそれを用いた機能素子の製造方法について説明する。
図1は、第一実施形態のインクジェット装置1を側面視で見た模式的な側面図であり、図2は、インクジェット装置1を上方向から平面視した模式的な平面図である。尚、両図においては、装置内部を見やすくするために、本発明と直接関係しない外装カバー等の部材を除外して示している。
以下、図1及び図2を参照して、インクジェット装置1の構成を説明する。まず、機能素子の原材料となるインクを塗布する対象は基体11で、先に図10にて説明した基体100に対応している。基体11は、ステージ10の上の所定位置にセットされ、ステージ10は装置の基台9に固定されている。
2はインクジェットヘッドで、インクジェットヘッド2には、図1に示すように基体11と対向する向きにノズル3が配置されている。ノズル3は、図2では3A、3Bの2ノズルを示しているが、ノズルの数や配置はこの例に限られるものではない。
インクジェットヘッド2は走査機構により支持されており、基体11からZ方向に所定間隔だけ離れた高さで、ノズル3をXY平面と平行な面内で走査できるように構成されている。すなわち、5は主走査方向(X方向)に沿って伸びる主走査ガイドレールであり、主走査ガイドレール5にはX方向に移動自在な主走査器4が載置されている。また、8は副走査方向(Y方向)に沿って伸びる副走査ガイドレールであり、副走査ガイドレール8にはY方向に移動自在な副走査器7が載置されている。インクジェットヘッド2は主走査器4に固定されており、主走査ガイドレール5は副走査器7に固定されているため、インクジェットヘッド2はXY平面と平行な面内を自在に走査することができる。
主走査器4には、インクジェットヘッド2の両脇に、インクジェットヘッドが塗布したインクを撮像可能な撮像部として、着弾検査カメラ6Lと着弾検査カメラ6Rが設けられている。着弾検査カメラ6Lと着弾検査カメラ6Rは、インクジェットヘッド2とともに往復移動しながら、ノズル3A及びノズル3Bが吐出して基体11に着弾したインク液滴を撮像する。着弾検査カメラ6Lと着弾検査カメラ6Rからは、撮像結果が制御部内の画像処理部15に送信され、画像処理部15はインク液滴の着弾位置や形状を計測する。
インクジェットヘッド2は、塗布領域にインクを塗布してゆく際、X軸のプラス方向とマイナス方向に交互に移動するが、両側に着弾検査カメラを設けたことにより、必ずどちらかのカメラでインク液滴の着弾状況を撮像することが可能である。例えば、インクジェットヘッド2がX軸のプラス方向に移動しながらインクを吐出するときには、後追いとなって移動する着弾検査カメラ6Lによりインク液滴の着弾状況を撮像することができる。逆に、インクジェットヘッド2がX軸のマイナス方向に移動しながらインクを吐出するときには、後追いとなる着弾検査カメラ6Rによりインク液滴の着弾状況を撮像できる。
基体11の両側には、一走査ごとに適宜ノズルの表面をクリーニングするため、主走査方向(X方向)に沿って基体11を挟むように第一のクリーニング部であるクリーニング部12Lおよび第二のクリーニング部であるクリーニング部12Rが配置されている。すなわち、クリーニング部12Lおよびクリーニング部12Rは、先に図10で説明したインクジェットヘッドの軌道を変更する領域107に設けられている。
クリーニング部12Lおよびクリーニング部12Rの上面には、図1に示すようにワイピング部材13Lおよびワイピング部材13Rが設けられている。ワイピング部材13Lおよびワイピング部材13Rは、具体的には、例えばゴムやスポンジのような多孔質体で形成されたワイピングブレードの集合体である。すなわち図1に示すワイピング部材13Lは、図2に示すワイピングブレード13L1、ワイピングブレード13L2、・・ワイピングブレード13LNの全体を指す。同様に、図1に示すワイピング部材13Rは、図2に示すワイピングブレード13R1、ワイピングブレード13R2、・・ワイピングブレード13RNの全体を指す。
図1に示すように、クリーニング部12Lおよびクリーニング部12Rには、ワイピングブレードにインクの溶媒に含まれる成分と同一材料の液体を供給するための液体流路18が接続されている。ここで、インクの溶媒に含まれる成分と同一材料の液体とは、例えばインクが複数種類の溶媒を含んでいるときに、そのうちの全部または一部の溶媒のことをいう。回復用剤として用いる液体としてインクそのものを用いてもよいが、望ましくはインクの溶媒に含まれる成分と同一材料の液体を用いる。インクそのものを用いた場合に、ワイピングブレード上で色材等の成分が固化すると、クリーニング性能が低下して望ましくないからである。インクの溶媒以外でも、固着したインク残渣を溶解して取り去ることができる他種の液体を用いることも考えられるが、クリーニング時にノズル内のインクに混入する可能性もあるため、インクの溶媒に含まれる成分と同一材料の液体が望ましいのである。
液体流路18は、図1に示すように回復用剤供給系17と接続されている。回復用剤供給系17は、インクの溶媒に含まれる成分と同一材料の液体を貯留するタンク、ポンプ、バルブ等を内蔵しており、図4に示す制御部30内のクリーニング部制御ブロック16からの指示に基づき、各クリーニング部に必要なだけ液体を供給する。
図3は、ワイピングブレードの構造の一例を示す断面図である。ワイピングブレードの先端部13Wには、例えば発泡ポリエチレンのスポンジを円筒状に加工したものを用いる。図3に示すように、ワイピングブレードの先端部13Wは、液体流路18に嵌め込むように固定され、液体流路18に開けられた孔から回復用剤である液体がワイピングブレードに供給される。
クリーニング部12Lおよびクリーニング部12Rは、制御部30内のクリーニング部制御ブロック16からの指示に基づき、個別のワイピングブレードをノズル3を払拭可能な高さまでZ方向に突出させたり、ノズル3から離間するよう下げることができる。ノズル3をワイピングブレードに当接させて払拭したり、ポンプにより発生させた負圧によってノズルを吸引することにより、ノズルに付着したごみや固形物を除去してクリーニングすることができる。
クリーニングについては後述するが、インクを塗布するためにインクジェットヘッドで塗布領域を走査しながらノズルをクリーニングする際には、クリーニング部制御ブロック16はクリーニング部12L及びクリーニング部12Rにその指示を送る。クリーニング部12Lおよびクリーニング部12Rは、指示に基づいてクリーニングすべきノズルと対向する位置にあるワイピングブレードを選択的にZ方向に突出させ、選択されたノズルに当接させる。
次に、本実施形態のインクジェット装置1の制御系について説明する。図4は、インクジェット装置1の制御系を簡易的に示す制御ブロック図である。尚、図示の便宜上、図4では制御部が制御する要素のうち、一部だけを示している。
制御部30は、インクジェット装置1の動作を制御するためのコンピュータで、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えている。
ROMには、インクジェット装置1の動作プログラムが記憶されている。インク塗布や、クリーニング部を用いたノズルのクリーニング制御にかかる各種処理を実行するためのプログラムは、他の動作プログラムと同様にROMに記憶させておいてもよいが、ネットワークを介して外部からRAMにロードしてもよい。あるいは、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して、RAMにロードしてもよい。
制御部30のI/Oポートは外部のコンピュータをはじめとする外部機器33やネットワークと接続されている。制御部30は、例えば製造する機能素子の種類、位置、配列、インクの吐出条件等の機能素子の製造に必要なデータの入出力を、I/Oポートを介して外部のコンピュータとの間で行うことができる。
制御部30は、インクジェットヘッド2、主走査器4、副走査器7、着弾検査カメラ6L、着弾検査カメラ6R、クリーニング部12L、クリーニング部12R、回復用剤供給系17等と接続され、電気信号の授受を行うことができる。制御部30は、これら各部の動作を制御し、インクジェットヘッド2の走査、ノズル3A及びノズル3Bのインク吐出、着弾検査カメラ6L及び着弾検査カメラ6Rの着弾形状の撮像、ノズルのクリーニング等を含めたインクの塗布全般に関する処理を実行する。すなわち、走査制御部31は、主走査器4及び副走査器7を制御して、インクジェットヘッド2を走査する。また、ヘッド制御部14は、インクジェットヘッド2の各ノズルからの吐出液滴の量、液滴の飛翔速度、吐出タイミング等を制御する。また、画像処理部15は、着弾検査カメラ6Lと着弾検査カメラ6Rによる着弾形状の撮像を制御し、撮像データに基づきインク液滴の着弾位置や形状を計測し、所定範囲内にあるかを判定する。また、クリーニング部制御ブロック16は、クリーニング部12L、クリーニング部12R、回復用剤供給系17を制御する。
次に、本実施形態におけるノズルのクリーニングについて説明する。本実施形態では、インクジェットヘッド2に連れ動いて移動する着弾検査カメラ6L及び着弾検査カメラ6Rを用いて、各ノズルから吐出されたインク液滴の着弾形状を撮像することができる。
制御部30は、毎回の走査において機能素子を作成するために吐出されたインク液滴の着弾位置や形状を着弾検査カメラ6L及び着弾検査カメラ6Rを用いて撮像させることができる。また、制御部30は、基体11上の機能素子を作成する領域の外にテストパターンを毎回の走査中に描画させ、テストパターンにおけるインク液滴の着弾位置や形状を着弾検査カメラに撮像させてもよい。この場合には、機能素子を作成する領域とテストパターンを描画する領域の両方を合わせて塗布領域として扱う。
着弾したインク液滴を撮像したデータは、着弾検査カメラ6L及び着弾検査カメラ6Rから制御部30の画像処理部15に入力されて画像処理され、各ノズルのインク液滴の着弾位置や形状が所定の範囲内にあるか判定される。
インク液滴の着弾位置や形状が所定の範囲から逸脱するノズルが検出された場合には、次の主走査を開始する前に、制御部30は当該ノズルに対してクリーニング処理を実行する。すなわち、制御部30内のクリーニング部制御ブロック16は、当該ノズルに対応するワイピングブレードを、ノズル3を払拭可能な高さまでZ方向に突出させる。
具体的には、図2の模式図に右向きの点線で示すように、インクジェットヘッド2をX軸のプラス方向に走査する経路(第一の往路)において、ノズル3Aとノズル3Bによって吐出される液滴は、後追いする着弾検査カメラ6Lにより着弾を撮像される。例えば、ノズル3Aの着弾位置や着弾形状が所定の範囲内にない場合には、次にインクジェットヘッド2をX軸のマイナス方向に走査するまでの間に、クリーニング部12Rを用いてノズル3Aをクリーニングする。具体的には、ワイピングブレード13R1とワイピングブレード13R3を突出させ、ノズル3AがX軸のプラス方向に移動時とマイナス方向に移動時の2回にわたりノズル3Aを払拭させ、クリーニングする。また、仮にノズル3Bをクリーニングする場合には、ワイピングブレード13R2とワイピングブレード13R4を突出させ、ノズル3BがX軸のプラス方向に移動時とマイナス方向に移動時の2回にわたり払拭させる。
次に、左向きの点線で示すようにインクジェットヘッド2をX軸のマイナス方向に走査する経路(第一の復路)において、ノズル3Aとノズル3Bによって吐出される液滴は、後追いする着弾検査カメラ6Rにより着弾を撮像される。着弾位置や着弾形状を検査した結果、クリーニングが必要なノズルが検出された場合には、クリーニング部12Lを用いてX軸のマイナス方向に走査する経路(第二の往路)までの間に当該ノズルをクリーニングする。クリーニング部12Lにおいても、ノズルがX軸のマイナス方向に移動する時とプラス方向に移動する時の2回にわたりノズルをワイピングブレードで払拭させ、クリーニングする。
本実施形態では、インクジェットヘッドを走査する度に、後追いする着弾検査カメラにより液滴の着弾位置や着弾形状を検査し、各ノズルにクリーニングが必要か否かを判定する。クリーニングが必要なノズルが検出された場合には、当該ノズルに対して選択的にワイピングブレードを当接させ、ゴミ、固形物、高粘度になったインク等を払拭してクリーニングする。払拭は、ノズルをX軸のプラス方向に移動時とマイナス方向に移動時の2回行い、ノズル上にインクや溶媒が偏在しないようにする。
本実施形態では、機能素子を形成するためにインクジェットヘッドを走査してゆく過程で、インクの吐出を行わない領域をインクジェットヘッド2が移動中にノズルをクリーニングする。これにより、連続した走査の最中にノズルから異物を除去し、かつノズルが乾燥するのを抑制することが可能である。
次に、本実施形態のインクジェット装置1を用いて基体11に機能素子を製造する方法について述べる。尚、以下の説明では機能素子としてトップエミッション型の有機EL素子を挙げ、その製造方法を説明するが、本発明の実施はこの例に限るものではなく、他の型の有機EL素子や、有機EL素子以外の機能素子を製造してもよい。
まず、インクジェット装置1にセットする基体11を準備する。図5(a)〜図5(e)は、基体11を準備する手順を説明するための各工程を模式的に示した図である。各図は、図示の便宜のため、有機EL素子の一素子に相当する領域の断面を模式的に示している。
まず、図5(a)に示すように、基板41を準備する。基板41は、ガラス等の無機材料や、樹脂等の有機材料が用いられる。典型的には板状の部材であるが、基体として機能し得るものであれば形態が限られるわけではなく、たとえば変形可能なフィルムであってもよい。
次に、基板41上に図5(b)に断面構造を示す構造体を形成する。すなわち、基板41上に接続電極46とTFT47を設け、その上に絶縁層42を形成する。そして、絶縁層42の中央部にスルーホールをあけて金属材料を充填し、プラグ43を形成する。さらに、CMP等の平坦化処理を行い、絶縁層42およびプラグ43の上面を平坦化させる。
次に、図5(c)に示すように、絶縁層44を形成する。絶縁層44は、有機EL素子のバンク部分を作成するために設けられる層である。絶縁層44は、SiOをはじめとする無機酸化物、あるいは例えばポリイミド、アクリル等の樹脂で形成される。
次に、図5(d)に示すように開口部を有するマスク45を例えばフォトリソグラフィーを用いて絶縁層44の上に配置する。そして、例えばリアクティブイオンエッチング48により、絶縁層44をエッチングしてプラグ43が露出した開口部を形成する。
開口部を形成した後にマスク45を除去することにより、図5(e)に示すように、バンク49が形成された基体11が準備できる。その際、リアクティブイオンエッチングの条件や、マスク45を除去する条件を適宜選択することにより、絶縁層42やプラグ43を侵食することなく絶縁層44をパターニングしてバンク49を形成することができる。パターニング後、材料の残渣を除去するために、UVオゾン処理やOプラズマ処理を行っても良い。
バンク49は、複数の有機EL素子を1次元あるいは2次元に配列する場合に、各有機EL素子を空間的に分離するとともに電気的に絶縁する壁として機能させることができる。バンク49の開口は、インクジェット装置1のノズルから有機EL素子の材料を含むインクを吐出する際に、液滴を着弾させるべき目標位置となる。
以上により、基体11が準備できたら、基体11をインクジェット装置1のステージ10の所定位置にセットする。
図6(a)〜図6(d)は、有機EL素子の積層構造を形成する手順を、インクジェット装置1によるインクの塗布を含めて説明するために、各工程を模式的に示した図である。各図は、図示の便宜のため、有機EL素子の一素子に相当する領域の断面を模式的に示しているが、インクの塗布に関しては、図10で説明した走査手順で多数の有機EL素子を形成する領域全体をインクジェットヘッド6で走査しながら行う。その際、全てのノズルの全ての走査経路における吐出を安定させるため、上述したクリーニング制御の処理を行うことは、もちろんである。
まず、図6(a)に示すように、インクジェット装置1のノズル3から、バンク49で囲まれた領域に下部電極の材料を含んだインク51を塗布する(下部電極材料付与工程)。インク51としては、Ag、Au、Cu、Al、Ni等の導電性微粒子を溶媒に分散した液を用いる。バンク開口底面のプラグ43と絶縁層42の露出面を覆うのに十分で、かつバンク49で貯留可能な量のインク51を付与する。
必要に応じた数の液滴を付与した後、乾燥させ、一旦インクジェット装置1から基体11を取り外して100℃〜200℃の適宜の温度で焼成し、図6(b)に示すように下部電極52を形成する。
次に、基体11を再びインクジェット装置1にセットし、図6(c)に示すように、バンク49で囲まれた領域にインク53を付与し、機能層である発光層や正孔注入層を順次形成してゆく。もちろん、形成する層ごとに、含まれる材料が異なるインクを用いる。各層を形成するのには、層ごとに異なるインクジェットヘッドを用いるのが好適である。
第一機能層として発光層54を形成するには、所望の発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物を、キシレン等の有機系溶媒に溶解させた第一の有機溶媒系インクを、塗布し乾燥させる(発光材料付与工程)。
また、発光層用の有機溶媒系インクには、ゲスト材料、ホスト材料などの複数の材料が含まれていてもよい。インクに含まれる発光材料としては、高分子材料、中分子材料または低分子材料などが挙げられ、塗布型に用いられ得る発光材料であれば特に限定されない。例えば、ポリフルオレン、ポリフルオレンの共重合体、ポリフェニレンビニレンなどの高分子材料、オリゴフルオレンなどの中分子材料が挙げられる。また、フルオレン系、ピレン系、フルオランテン系、アントラセン系などの縮合多環化合物、イリジウムを含む金属錯体などの低分子材料も挙げられる。発光層54は、好適には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などの高分子系材料を含み得る。赤色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料として赤色燐光発光イリジウム金属錯体を、ホスト材料としてポリフルオレンを含有する赤色発光層用インクを用いる。また、緑色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてフルオランテン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのポリフルオレンを含有する緑色発光層用インクを用いる。また、青色の発光層を形成するには、例えばゲスト材料としてピレン系の縮合多環化合物を、ホスト材料としてのオリゴフルオレンを含有する青色発光層用インクを用いる。
発光層用のインクを塗布する際には、下部電極52を覆うのに十分で、かつバンク49で貯留可能な量の有機溶媒系インクを付与する。必要に応じた数の液滴を付与した後、乾燥させ発光層54を形成する。
第二機能層として正孔注入層55を形成するには、第二の有機溶媒系インクとして、例えば、正孔注入材料のPEDOT/PSS液を付与する(正孔注入層形成工程)。PEDOT/PSS液は好適に利用できるが、正孔注入層用のインクは特にこれに限定されるわけではなく、例えば、下記の高分子系材料をキシレン等の有機系溶媒で溶解させた液を塗布乾燥させても形成することができる。高分子系材料として、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体などがあげられる。
正孔注入層用のインクを塗布する際には、発光層54を覆うのに十分で、かつバンク49で貯留可能な量の有機溶媒系インクを付与する。必要に応じた数の液滴を付与した後、乾燥させ正孔注入層55を形成する。
こうして機能層の形成が完了したら、例えばスパッタ成膜により機能層およびバンク49を覆うように透明導電膜で被覆し、図6(d)に示すように、上部透明電極56を形成する(上部透明電極形成工程)。
以上により、インクジェット装置1を用いて、特性のばらつきが少ない多数の有機EL素子が配列された有機EL装置を、簡易に製造することができる。
[第二実施形態]
図7を参照しながら、第二実施形態のインクジェット装置71について説明する。図7は、第二実施形態のインクジェット装置71の一部を、模式的に示した斜視図である。
第二実施形態は、第一実施形態と基本的には共通するが、インクジェットヘッドが微細なピッチで配列された多数のノズルを備える点と、個別のノズル毎にではなく複数のノズルを単位とするノズル群ごとにワイピングブレードが設けられている点が異なる。
図7は、インクジェットヘッド2をX軸のマイナス方向に走査しながら、Y方向に微細なピッチで配列された多数のノズルから基体11上にインク液滴60を吐出している状態を模式的に示している。基体11の上には、インク液滴が着弾したドット61が多数形成されており、インクジェットヘッド2を後追いする着弾検査カメラ6Rによりこれら多数のドットは撮像されている。インク液滴の着弾を撮像したデータは、着弾検査カメラ6Rから制御部30に入力され、画像処理部15により処理されて各ノズルのインク液滴の着弾位置や形状が所定の範囲内にあるか判定される。
図の例では、基体11上に行列状に形成されたドットのうち、X軸と平行なドット列62の位置がY軸方向マイナス側にシフトしている。また、X軸と平行なドット列63のドット形状が、本来の形状から変形している。
第二実施形態のインクジェット装置71では、個別のノズル毎にではなく複数のノズルを単位とするノズル群ごとにワイピングブレードが設けられている。このため、所定の範囲内にないノズルを含むノズル群に対応するワイピングブレードを突出させ、この群に含まれるノズル全てをクリーニングする。微細なピッチで配列された多数のノズルを有するインクジェットヘッドの場合には、1ノズルごとにワイピングブレードを設けるよりも、群ごとにワイピングブレードを設ける方が、機構が簡単でクリーニング動作の信頼性がむしろ高くなるからである。1つのワイピングブレードが担当するノズルの数は、ノズルの配列ピッチや総ノズル数に応じて、適宜設定すればよい。
図7の例では、ドット列62を吐出したノズルを含むノズル群をクリーニングするため、ワイピングブレード13L−Aを突出させる。また、同時にドット列63を吐出したノズルを含むノズル群をクリーニングするため、ワイピングブレード13L−Bも突出させる。
本実施形態においても、機能素子を形成するためにインクジェットヘッドを走査してゆく過程で、インクの吐出を行わない領域をインクジェットヘッド2が移動中にノズルをクリーニングする。これにより、連続した走査の最中にノズルから異物を除去し、かつノズルが乾燥するのを抑制することが可能である。インクジェット装置71を用いて、例えば、特性のばらつきが少ない多数の有機EL素子が配列された有機EL装置を、簡易に製造することができる。
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、上述した実施形態に限られるものではなく、適宜変更したり、組み合わせたりすることが可能である。
例えば、第一実施形態ではノズル3Aをクリーニングする際にワイピングブレード13R1とワイピングブレード13R3を突出させたが、場合によってはいずれか一方だけでもよい。すなわち、場合によっては、ノズル3AがX軸のプラス方向に移動時とマイナス方向に移動時の2回にわたり払拭させなくとも、どちらか一方向だけでもよい。その場合には、ワイピングブレードの配置数を半数に削減することも可能である。また、ワイピングブレードの配置は、インクジェットヘッドが主走査ラインを切替えるために図10の軌道104や軌道106に沿って副走査方向(Y軸マイナス方向)に移動している際に当接するように配置することも可能である。
また、走査方法は図10に示した方法には限らず、例えば往路と復路で隣接した列を走査するのではなく、いわゆるインターレースのように隣接列を飛び越して走査してもよい。
また、上記実施形態では基体を基台に固定し、インクジェットヘッドをXY両方向に移動させて走査したが、走査機構はこれに限らない。要は、基体とインクジェットヘッドの相対位置を制御して相対的に走査が可能ならばよいので、例えば主走査方向はインクジェットヘッドを移動させ、副走査方向は基体を移動させて走査する機構であってもよい。その場合には、必ずしもY方向に沿って基体の全域にわたりクリーニング部を設ける必要はなく、インクジェットヘッドの移動経路上に配置すればよい。また、着弾検査カメラは、インクジェットヘッドと所定の位置関係を保持して主走査方向にのみ移動可能に支持すればよい。
また、機能素子として有機EL素子を製造する場合には、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層、電極等をはじめとする各層の材料を含むインクの塗布において本発明を実施することができる。もちろん、有機EL素子以外の機能素子の製造にも広く適用が可能で、たとえば大面積の帯電防止膜や反射防止膜を形成する際にも好適に実施することができる。
以下に、第二実施形態の具体的実施例を説明する。
図7に示したインクジェット装置71を用いて、図6(c)のプロセスすなわちバンクで囲まれた領域に有機EL素子の発光材料を含むインクを付与する工程を実施した。予め、図5(e)に示す構造体をガラスを材料とする基板41の上に作成し、基体11としてインクジェット装置71にセットした。
インクジェットヘッドは、PZT素子の変位によってインクを押し出す圧電式のヘッドを用い、ノズル数は80とした。80個のノズルのうち、1から40までの回復はワイピングブレード13L−Aで行い、41から80までの回復はワイピングブレード13L−Bで行った。
インク滴の吐出はヘッド制御部14によって制御される。本装置では各ノズルを個別に制御することが可能で、印加電圧およびパルスタイミングによってインク液滴60の量、飛翔速度およびスキャン方向の着弾位置を調整することができる。
本実施例においては、有機EL素子の発光部材料を、バンク材料で囲まれた領域に配置する工程に上記インクジェット描画プロセスを用いた。
発光部には、下記高分子系材料をキシレンで溶解させた材料を塗布した。
発光部の高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体などが挙げられる。ワイピング用剤には発光部インクの主溶媒であるキシレンを用いた。
ワイピングブレード13L−Aおよびワイピングブレード13L−Bには発泡ポリエチレンのスポンジを円筒状に加工したものを用いた。図3に示される通り、ワイピングブレードの先端部13Wは液体流路18に嵌め込むように固定され、液体流路18に開けられた孔からキシレンをワイピングブレードの先端部13Wへ押し出す構造とした。
図8に示したのは、本実施例で用いたインクジェットヘッドの吐出時の駆動波形である。図示したのは駆動電圧が30Vのものである。ノズルごとに吐出の特性がわずかに異なるため、発光部の描画を行う前に吐出観察を行い、各ノズルの吐出速度および吐出量が一定となるように調整する。
図9は、本実施例における吐出速度と駆動電圧との関係を示したものである。吐出速度を5m/secに設定し、各ノズルの吐出速度が5±0.1m/secとなるように駆動電圧を調整した。
発光部材料を撃ち込むバンクは、3840列×2160行あり、各バンクに1ドットずつ描画した。駆動ノズル数が80なので、全体を描画するためには往復合わせて118スキャン必要になり、スキャン速度を200mm/secとすれば、ヘッドの加減速も合わせると全体の描画に約540秒かかることになる。
この間に回復を全く行わない場合、インクミストやゴミのノズル面への付着、ノズル開口部におけるインク成分の固化、あるいは経時変化によって吐出状態が不安定化し、着弾位置がずれていく。
対象の有機ELパネルの画素ピッチは230μmである。このピッチで並ぶバンクの中へ発光部を形成するインク滴を撃ち込み規定の発行強度を得るためには、スキャン方向(X方向)とスキャン方向と直行する方向(Y方向)との着弾位置ずれの二乗平均が11.2μm以下でなければならない。
X方向は吐出のタイミング補正によって位置を制御可能である。これに対しY方向はタイミング補正によって着弾位置を調整することができない。このため着弾バジェットをY方向±10μmに対しX方向は±5μmに設定した。
前述のように、本実施例においては吐出速度を5m/sec、ヘッドのスキャン速度を200mm/secとした。描画時の基材とヘッドとのGapを200μmとしたため、例えばスキャン方向の着弾ずれが5μmの場合、吐出タイミングを25μsecずらせばよいことになる。
事前に計測した着弾画像から、上記の手法で各ノズルの着弾位置を調整し、発光部の描画を行った。
本実施例における着弾の結果を表1に示す。
[実施例1の着弾結果]
回復を全く行わなかった場合には、発光部を形成するインクの着弾はXとYの二乗平均が14.7となり、規定値を上回った。これらの素子による発光強度は1.5%程度のばらつきを持っていた。
これに対しヘッドスキャンのたびに回復を行った場合、全体のXとYの二乗平均は11.1となり、規定値に収まった。これらの素子による発光強度ばらつきは0.7%にとどまった。スキャンごとに回復を行うことで吐出及び着弾位置が安定化することが確認された。
さらに、回復動作をヘッドの往復切り替えの際に行うことで無駄なシーケンスを省くことができ、通常の「回復なし」の場合と同等の時間でパターニングを完了することができた。
なお、着弾ずれの平均値が極めて小さいのは、着弾が+方向と−方向の両方に振れるためであり、全体のばらつき具合は標準偏差σで表現してある。
実施例1と同様の構成で、回復対象のノズルを以下のように決定した。
着弾検査カメラ6L及び着弾検査カメラ6Rによってバンク内に着弾したインク滴の位置を計測し、着弾位置ずれの大きなノズル(XとYの二乗平均>7.6)を含むノズル群に回復動作を行いながらノンストップで描画を行った。回復動作は、上記XとYの二乗平均が7.6を超えるノズルがあった場合に、往復のどちらかに関わらず行った。
本実施例における着弾の結果を表1に示す。
[実施例2の着弾結果]
本実施例においては、必要のないノズル(XとYの二乗平均<7.6)の回復を行わないことで、吐出の安定しているノズルを払拭せずに使用し続けることができた。このため、スキャンごとに全体を回復する場合に比べて安定した着弾を実現することができた。
XとYの二乗平均は、描画ドット全体で9.8であり、標準偏差σは2.2であった。これらの素子による発光強度ばらつきは0.5%にとどまった。
1・・・インクジェット装置/2・・・インクジェットヘッド/3、3A、3B・・・ノズル/4・・・主走査器/5・・・主走査ガイドレール/6L、6R・・・着弾検査カメラ/7・・・副走査器/8・・・副走査ガイドレール/9・・・基台/10・・・ステージ/11・・・基体/12L、12R・・・クリーニング部/13L、13R・・・ワイピング部材/13L1、13L2、13LN、13R1、13R2、13RN・・・ワイピングブレード/14・・・ヘッド制御部/15・・・画像処理部/16・・・クリーニング部制御ブロック/17・・・回復用剤供給系/18・・・液体流路/30・・・制御部/31・・・走査制御部/49・・・バンク/51・・・インク/52・・・下部電極/53・・・インク/54・・・発光層/55・・・正孔注入層/71・・・インクジェット装置

Claims (10)

  1. 複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを有し、機能素子の材料を含むインクを基体に塗布するインクジェット装置であって、
    前記インクジェットヘッドと前記基体とが主走査方向において相対的に往復移動し、前記往復移動の往路と復路の切り替え時に、前記インクジェットヘッドと前記基体とが副走査方向において相対的に移動するよう、前記インクジェットヘッドと前記基体の相対位置を制御する走査機構と、
    前記主走査方向に見て、インクが塗布される塗布領域を互いが挟むように配置された第一のクリーニング部と第二のクリーニング部と、を備え、
    前記インクジェットヘッドが前記往復移動における第一の往路において前記塗布領域に前記インクを塗布した後、続く第一の復路において前記塗布領域に前記インクの塗布を開始するまでの間に、前記第一のクリーニング部を用いてインクジェットヘッドのノズル面のクリーニング動作を行い、
    前記第一の復路において前記塗布領域に前記インクを塗布した後、続く第二の往路において前記塗布領域に前記インクの塗布を開始するまでの間に、前記第二のクリーニング部を用いてインクジェットヘッドのノズル面のクリーニング動作を行う、
    ことを特徴とするインクジェット装置。
  2. 前記インクジェットヘッドが塗布したインクを撮像可能な撮像部を備え、
    前記インクジェットヘッドが、前記往復移動の往路または復路において前記塗布領域に前記インクを塗布した後、前記撮像部が塗布したインクを撮像し、
    撮像した画像に基づいて、前記複数のノズルのうち前記第一のクリーニング部または前記第二のクリーニング部を用いて前記クリーニング動作を行う対象のノズルを選択する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット装置。
  3. 前記走査機構は、固定された前記基体に対して前記インクジェットヘッドを前記主走査方向および前記副走査方向に移動させる機構で、
    前記撮像部は、所定の位置関係を保持して前記インクジェットヘッドと連れ動く、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット装置。
  4. 前記走査機構は、前記インクジェットヘッドを前記主走査方向に移動させるともに前記基体を前記副走査方向に移動させる機構で、
    前記撮像部は、所定の位置関係を保持して前記インクジェットヘッドと連れ動く、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット装置。
  5. 前記第一のクリーニング部または前記第二のクリーニング部は、前記複数のノズルのうち、撮像した前記画像に基づいてクリーニング動作を行う対象のノズルとして選択したノズルのみに対して、選択的にクリーニング動作を行う、
    ことを特徴とする請求項2乃至4の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  6. 前記第一のクリーニング部または前記第二のクリーニング部は、前記複数のノズルのうち、撮像した前記画像に基づいてクリーニング動作を行う対象のノズルとして選択したノズルを含む所定のノズル群に対して、選択的にクリーニング動作を行う、
    ことを特徴とする請求項2乃至4の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  7. 前記第一のクリーニング部および前記第二のクリーニング部は、前記主走査方向における前記インクジェットヘッドの移動経路に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  8. 前記第一のクリーニング部および前記第二のクリーニング部を、前記塗布領域の横に、前記副走査方向に沿って前記塗布領域の全域にわたり配置している、
    ことを特徴とする請求項1乃至7の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  9. 請求項1乃至8の中のいずれか1項に記載のインクジェット装置により、前記基体に機能素子の材料を含むインクを塗布する、
    ことを特徴とする機能素子の製造方法。
  10. 前記インクは、有機EL素子の発光層または電子輸送層または電子注入層または正孔輸送層または正孔注入層または電極の材料を含むインクである、
    ことを特徴とする請求項9に記載の機能素子の製造方法。
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