JP2017042700A - 液状体の吐出評価方法、および吐出評価機構 - Google Patents

液状体の吐出評価方法、および吐出評価機構 Download PDF

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光治 今村
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Abstract

【課題】液滴の着弾状態のばらつきを抑える、液状体の吐出評価方法を提供すること。【解決手段】本発明の液状体の吐出評価方法は、受容層72が形成されたシートKに対してプラズマ処理を施す工程と、プラズマ処理が施されたシートKに対して、インクジェットヘッド50の複数のノズル52から液状体を液滴Dとして吐出する工程と、受容層72に着弾した液滴の着弾状態を計測する工程と、着弾状態の計測結果から液滴の吐出情報を取得する工程とを含んでいる。この構成によれば、ばらつきを抑えて液滴の着弾状態が計測可能になり、ばらつきが低減された吐出情報を取得することができる。【選択図】図12

Description

本発明は、液状体の吐出評価方法、および吐出評価機構に関する。
従来、インクジェットヘッドから液状体を液滴として吐出して、液晶パネル用のカラーフィルターや有機EL(Electro Luminescence)素子の機能層を形成するインクジェット法が知られていた。特に、この方法によって高精細な素子を形成する場合、ノズルごとの液滴量(吐出量)や液滴の着弾位置などに高い精度が要求されている。そして、高い精度を達成するためには、着弾した液滴量や着弾位置などを精密に評価して、それらを所望の状態に調整する必要があった。
そこで、例えば特許文献1に記載されているように、撥液性の高分子膜を評価用の被記録媒体として、液状体の吐出評価を行う方法が知られていた。詳しくは、基板に形成した撥液性の高分子膜上に、素子形成用の液状体を液滴として吐出して着弾させ、乾燥後に形成された膜の体積を計測することで、吐出された液滴量を評価する方法である。
特開2012−187499号公報
しかしながら、特許文献1に記載の吐出評価方法では、液滴の着弾状態(形状や輪郭)について、ばらつきを抑えて評価することが難しいという課題があった。詳しくは、液滴の着弾状態は、被記録媒体の表面状態によって大きく影響を受ける。そのため、被記録媒体の表面状態を均一にしておくことが求められる。また、一般の市販フィルムなどの被記録媒体では個体差や部位差が大きく、表面状態の均一性を満足することが難しかった。さらには、被記録媒体の表面が大気に暴露されると、経時による表面状態の変化や塵などの異物の付着によって、着弾状態がばらつくことがあった。以上を換言すれば、吐出評価に用いる被記録媒体において、液滴の着弾状態のばらつきを抑える方法が求められていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係わる液状体の吐出評価方法は、受容層が形成されたシートに対してプラズマ処理を施す工程と、プラズマ処理が施されたシートに対して、インクジェットヘッドの複数のノズルから液状体を液滴として吐出する工程と、受容層に着弾した液滴の着弾状態を計測する工程と、着弾状態の計測結果から液滴の吐出情報を取得する工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、受容層が形成されたシート(吐出評価に用いる被記録媒体)にプラズマ処理を施すことによって、受容層の表面状態の均一性が向上するため、インクジェットヘッドから吐出された液滴の着弾状態を、安定させることができる。詳しくは、被記録媒体の受容層には製造ロットや部位においてばらつきがあり、均一性が低い表面状態となっている。表面状態の均一性が低いと、着弾した液滴の挙動(浸透や濡れ広がり)が乱れ、液滴の形状の歪みや輪郭の滲みが発生し易くなる。このような液滴の形状の歪みや輪郭の滲みがばらつきの要因となり、吐出評価の障害となっていた。
これに対して、受容層にプラズマ処理を施すことによって、表面状態の均一性が向上し、液滴の形状の歪みや輪郭の滲みが抑制される。つまり、吐出評価における被記録媒体側のばらつき要因を低減することができる。また、プラズマ処理によって、受容層表面の汚れや異物が減少して、表面状態の均一性がさらに改善される。以上により、ばらつきを抑えた吐出情報の取得が可能な、液滴の吐出評価方法を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、吐出情報が液滴の吐出量を含むことが好ましい。
本適用例によれば、液滴の吐出量を吐出情報として取得することにより、高精細な機能素子の形成に必要な、吐出条件を調整するための情報を得ることができる。
[適用例3]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、液状体が透光性を有し、23℃における粘度が1mPa・s(秒)以上、10mPa・s(秒)以下であることが好ましい。
本適用例によれば、液状体が透光性を有することで、色材を含まない液状体にも適用することができる。また、23℃における粘度が1mPa・s以上、10mPa・s以下であることにより、インクジェットヘッドからの吐出安定性を確保した上で、被記録媒体の受容層に速やかに吸収され、吐出評価の時間を短縮することができる。
[適用例4]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、液状体が有機層形成材料を含むことが好ましい。
本適用例によれば、素子を形成するための、実際の液状体を用いるため、液状体の吐出量などの実情に即した吐出情報を得ることができる。
[適用例5]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、プラズマ処理を施すことにより、液状体に対して受容層表面に疎液性を付与することが好ましい。
本適用例によれば、液状体に対する疎液性が受容層表面に付与されるため、受容層内部への液滴の浸透が抑えられる。これにより、受容層表面に着弾した液滴は乾燥が遅くなるが、表面の疎液性が略均一であるため、緩慢に乾燥しても液滴の形状や輪郭の滲みを抑えることができる。
[適用例6]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、プラズマ処理を施すことにより、液状体に対して受容層表面に親液性を付与することが好ましい。
本適用例によれば、液状体に対する親液性が受容層表面に付与されるため、少量の液滴であっても、受容層の表面を濡れ広がって着弾状態が安定し、ばらつきを抑えた液滴の吐出情報が入手可能になる。
[適用例7]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、受容層が着弾した液滴の少なくとも一部を浸透させることが好ましい。
本適用例によれば、吐出された液滴が受容層表面において、むやみに濡れ広がることが抑制されて着弾状態を安定させることができる。
[適用例8]上記適用例に記載の液滴の吐出評価方法は、受容層が多孔質であって、シートが透明フィルムであることが好ましい。
本適用例によれば、多孔質(空隙型)の受容層は、膨潤型の受容層と比べて、液状体の浸透性に与える影響が小さいため、溶媒種や極性などが異なる液状体を同一条件で評価することができる。また、透明フィルムであることにより、着弾状態の計測を液滴の着弾面に加えてその裏面からも行うことができる。
[適用例9]本適用例に係わる液状体の吐出評価機構は、受容層が形成されたシートに対して、インクジェットヘッドの複数のノズルから液状体を液滴として吐出し、液滴の吐出状態をノズルごとに評価する液状体の吐出評価機構であって、インクジェットヘッドに対してシートを対向配置させるシート搬送系と、シートの受容層にプラズマ処理を施すプラズマ処理系と、シートの受容層に着弾した液滴の状態を計測する計測系と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、受容層が形成されたシート(吐出評価に用いる被記録媒体)にプラズマ処理を施すことにより、受容層表面の均一性が向上する。そのため、インクジェットヘッドから吐出された液滴の着弾状態を、安定させることができる。また、プラズマ処理によって、受容層表面の汚れや異物が減少して、均一性がさらに改善される。以上により、精密な吐出情報の取得が可能な、液滴の吐出評価機構を提供することができる。
実施形態1に係わる有機EL装置の構成を示す概略平面図。 有機EL素子の構造を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 液滴吐出装置の構成を示す概略平面図。 プラズマ処理装置の構成を示す概略側断面図。 吐出計測機構の構成を示す概略斜視図。 吐出計測機構の主走査方向から見た配置を示す概略断面図。 インクジェットヘッドの構成を示す概略斜視図。 ノズル面における複数のノズル配置状態を示す平面図。 液滴の吐出量の評価方法を示す概略断面図。 液滴の吐出量の評価方法を示す概略断面図。 液滴の吐出量の評価方法を示す概略断面図。 着弾痕画像を示す平面写真。 実施例に係わるプラズマ処理条件を示す図表。 着弾面積からインク吐出量を算出するための検量線を示すグラフ図。 吐出評価実験の結果を示す図表。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
(実施形態1)
<有機EL装置>
まず、実施形態1の液状体の吐出評価方法に係わる有機EL素子を備えた有機EL装置について、図1を参照して説明する。図1は、有機EL装置の構成を示す概略平面図である。本実施形態は、有機EL素子を備えた有機EL装置を例に挙げ、液滴吐出法であるインクジェット法を用いて有機EL素子を形成する場合の、液滴の吐出評価方法について説明する。
図1に示した有機EL装置100は、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光(発光色)が得られるサブ画素110R,110G,110Bが配置された素子基板101を有している。各サブ画素110R,110G,110Bは略矩形状であり、素子基板101の表示領域Eにおいてマトリックス状に配置されている。
サブ画素110Rには、赤(R)の発光が得られる有機EL素子が設けられている。同様に、サブ画素110Gには緑(G)の発光が得られる有機EL素子が設けられ、サブ画素110Bには青(B)の発光が得られる有機EL素子が設けられている。
次に、本実施形態に係わる有機EL素子について、図2を参照して説明する。図2は、有機EL素子の構造を示す概略断面図である。
上述した各サブ画素110R,110G,110Bには、図2に示した有機EL素子130が設けられている。有機EL素子130は、素子基板101上に設けられた反射層102、絶縁膜103、画素電極104、対向電極105、画素電極104と対向電極105との間に設けられた、発光層133を含む機能層136を有している。
機能層136は、画素電極104側から、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133、電子輸送層134、電子注入層135が順に積層されたものである。特に、発光層133は発光色に応じて構成材料が選ばれる。なお、機能層136の構成は、これに限定されるものではなく、これらの層以外に、キャリア(正孔や電子)の移動を制御する中間層などを備えていてもよい。
なお、有機EL素子130は、発光方式がトップエミッション方式である構成を例としている。また図2においては、画素回路の図示を省略している。
有機EL素子130は、画素電極104上に開口部106aを構成する隔壁106を有している。この隔壁106は、画素電極104の外縁と重なっている。また、有機EL素子130の機能層136は、機能層136を構成する正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133のうち、少なくとも一層が液相プロセスで形成されたものである。液相プロセスとは、一層を構成する成分と溶媒とを含んだ液状体を隔壁106で囲まれた膜形成領域としての開口部106aに塗布して乾燥させることにより、一層を形成する方法である。一層を所望の膜厚で形成するためには、所定量の液状体を精度よく開口部106aに塗布する必要があり、本実施形態では、液相プロセスとしてインクジェット法(液滴吐出法)を採用している。
<有機EL素子の製造方法>
次に、インクジェット法を採用した、有機EL素子の製造方法について、図3、図4、図5を参照して説明する。図3、図4、図5は有機EL素子における機能層の形成方法を示す概略断面図である。
有機EL素子130の製造方法は、隔壁形成工程(ステップS1)、表面処理工程(ステップS2)、機能層形成工程(ステップS3)などを有している。
ステップS1(隔壁形成工程)では、図3に示すように、反射層102および画素電極104が形成された素子基板101に、感光性樹脂材料を塗布して乾燥することにより感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、転写法、スリットコート法などが挙げられる。形成された感光性樹脂層を、サブ画素110の形状に対応した露光用マスクを用いて露光・現像して、画素電極104の外縁と重なると共に、画素電極104上に開口部106aを構成する隔壁106を形成する。
ステップS2(表面処理工程)では、隔壁106が形成された素子基板101に表面処理を施す。表面処理工程は、次工程で機能層136を構成する正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133をインクジェット法(液滴吐出法)で形成する際に、隔壁106で囲まれた開口部106aにおいて、液状体(以降、インクとも呼ぶ)がむらなく濡れ広がるように、画素電極104の表面の隔壁残渣などの不要物を取り除く目的で行われる。表面処理方法としては、例えば、エキシマ紫外線処理が適用できる。
ステップS3(機能層形成工程)では、図4に示すように、正孔注入層材料を含む液状体としてのインク150を、開口部106aに塗布する。インク150の塗布方法は、インク150を、インクジェットヘッド50のノズル52から液滴Dとして吐出するインクジェット法を用いている。インクジェットヘッド50から吐出される液滴Dの吐出量は、pl(ピコリットル)単位で制御され、所定量を液滴Dの吐出量で除した数の液滴Dが開口部106aに吐出される。以後、乾燥工程へ進む。
乾燥工程では、例えば、インク150が塗布された素子基板101を減圧化に放置し、インク150から溶媒を蒸発させて乾燥させる減圧乾燥を用いる(減圧乾燥工程)。その後、例えば、大気圧下で加熱・焼成処理を施すことにより、インク150が固化して、図5に示すように正孔注入層131が形成される。
次に、正孔輸送層材料を含む液状体としてのインク160を用いて、正孔輸送層132を形成する。正孔輸送層132の形成方法も、正孔注入層131と同様に、インクジェット法を用いて、所定量のインク160を吐出して行う。また、正孔注入層131と同様に、減圧乾燥と加熱焼成を施して正孔輸送層132を形成する。
次に、発光層材料を含む液状体としてのインク170を用いて、発光層133を形成する。発光層133の形成方法も、正孔注入層131と同様に、インクジェット法を用いて、所定量のインク170を吐出して行う。また、正孔注入層131と同様に、減圧乾燥と加熱焼成を施して発光層133を形成する。このとき、減圧乾燥の後、酸素や水分などが発光機能に与える影響を考慮して、例えば窒素などの不活性ガス雰囲気下で焼成して固化させることが好ましい。
この工程以降、電子輸送層134、電子注入層135、陰極としての対向電極105を真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し、有機EL素子130(図2)が製造される。
上述した機能層136の形成方法では、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133を液相プロセス(インクジェット法)で形成したが、これらの層のうち1つを液相プロセス(インクジェット法)で形成すればよく、他の層は真空蒸着などの気相プロセスを用いて形成してもよい。
以上に述べたように、機能層136の形成に用いるインクジェット法においては、液滴Dの吐出量をpl単位で制御している。そのため、液滴Dの吐出量を評価して、吐出条件の調整に反映させる必要があった。
<液滴吐出装置の概要>
次に、本実施形態に係わる液滴吐出装置の概要について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出装置の構成を示す概略平面図である。本実施形態は、プラズマ処理系、シート搬送系、計測系などを有する吐出評価機構に加えて、有機EL素子の機能層を形成するための、機能層形成用インクの吐出機構を備えた液滴吐出装置300を例に挙げて説明する。
図6に示した液滴吐出装置300は、吐出評価機構310、機能層形成用インク吐出機構340、キャリッジ待機室330などを有している。また、本実施形態に係わる液状体の吐出評価機構310は、プラズマ処理装置250、シート搬送機構20a,20b、吐出計測機構60などを備えている。この吐出評価機構310と隣接して、機能層形成用インク吐出機構340とキャリッジ待機室330とが配置されている。
また、液滴吐出装置300の装置端部にはシート搬入部370が設置されている。シート搬入部370は、液滴吐出装置300における、吐出評価に用いる被記録媒体の搬出入口の機能を有している。液滴吐出装置300の内部には、シート搬入部370から吐出計測機構60にかけて、上記被記録媒体(図示せず)を搬送するための、シート搬送系としてのシート搬送機構20aが配置されている。このシート搬送機構20aは、被記録媒体を載置する移動台65(後述)を備えている。また、シート搬送機構20aの経路の略中央には、上記被記録媒体をプラズマ処理装置250に導入するための、同じくシート搬送系としてのシート搬送機構20bが接続されている。
プラズマ処理系としてのプラズマ処理装置250は、上記被記録媒体を内部に導入してプラズマ処理を施す機能を有している。また、計測系としての吐出計測機構60は、上記被記録媒体上へのインクの吐出と、それによって発現する着弾痕の評価などを実行する機能を有している。このプラズマ処理装置250および吐出計測機構60の構成については、後述する。
機能層形成用インク吐出機構340は、インクジェット法によって機能層形成用のインクを、素子基板101(図3参照)に塗布する機能を有している。この機能層形成用インク吐出機構340の端部には、素子基板101を搬出入するための素子基板搬入部380が設けられている。また、機能層形成用インク吐出機構340の内部には、素子基板101を搬送するための素子基板搬送機構390が設置されている。
キャリッジ待機室330は、インクジェットヘッド50(図4参照)におけるノズルの目詰まり回復やノズル面の汚れの除去などのメンテナンスを行うための、フラッシング吐出領域(図示せず)やメンテナンス機構(図示せず)を備えている。
さらに、液滴吐出装置300は、上記の構成の他に、インクジェットヘッド50から吐出されたインクを受けて、吐出されたインクの質量を計測するインク質量計測機構(図示せず)や、これらの機構や装置を統括的に制御する制御部(図示せず)なども備えている。
ここで、インクジェットヘッド50は、後述するヘッド移動機構30(図8参照)によって、副走査方向(Y軸方向)へ移動可能としている。これにより、インクジェットヘッド50は、キャリッジ待機室330から吐出計測機構60の領域までの区間を移動可能となっている。さらに、吐出計測機構60が設けられた領域にインクジェットヘッド50が移動して固定され、固定されたインクジェットヘッド50に対して、素子基板搬入部380から搬入された素子基板101を、副走査方向と直交する主走査方向(X軸方向)に相対的に移動させる基板移動機構を有している。
以上の構成により、液滴吐出装置300において、上記被記録媒体はシート搬入部370から搬入され、シート搬送機構20a,20bによってプラズマ処理装置250に導入される。次いで、プラズマ処理を施された後に搬出され、シート搬送機構20a,20bによってインクジェットヘッド50と対向配置される吐出計測機構60の領域に搬送された後、吐出評価が実施される構成となっている。また、素子基板搬入部380から搬入された素子基板101に対して、インクジェットヘッド50から機能層形成用インクが吐出される構成となっている。
<プラズマ処理装置>
次に、本実施形態の吐出評価機構に係わるプラズマ処理装置について、図7を参照して説明する。図7は、プラズマ処理装置の構成を示す概略側断面図である。
図7に示したプラズマ処理装置250は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)処理方式を適用している。ICPは、コイル状やループ状のアンテナ周辺に誘導電界を生じさせ、これを利用した高周波放電によってプラズマを発生させる方式である。
プラズマ処理装置250は、予備排気室263、ゲートバルブ252、処理室253などを備えている。これら予備排気室263、ゲートバルブ252、処理室253は、この順序で隣接して配置されている。
予備排気室263は、予備排気系262、搬送系251などを有している。この予備排気室263は、プラズマ処理を施す対象物としての被記録媒体(シートK)を、外部から導入するための前室となっている。予備排気系262は、シートKの導入時に予備排気室263に流入する大気を、予備排気室263から排出する機能を有している。また、搬送系251は、予備排気室263から処理室253の間を、シートKを載せて搬送する機能を有している。
これにより、シートKは外部から予備排気室263に導入され、予備排気系262によって予備排気室263の大気が排除された後、ゲートバルブ252へ搬送系251によって搬送される構成となっている。
ゲートバルブ252は、予備排気室263と処理室253との間にあって、開閉可能な隔壁を構成している。このゲートバルブ252は、閉鎖時には外部大気から処理室253を遮断して気密を確保し、開放時には処理室253におけるシートKの搬出入口として機能する。
これにより、シートKは、予備排気室263の大気が排除された後に開放されたゲートバルブ252を通って、搬送系251に載せられて処理室253へと搬送される構成となっている。また、シートKが処理室253に搬入されると、ゲートバルブ252が閉鎖される仕組みとなっている。
処理室253は、対向電極254、基板支持部255、結合コンデンサー256、AC(Alternating Current)バイアス電源257、アンテナ258、ガス供給系259、ガス排気系260、RF(Radio Frequency)電源261などを有している。
ガス供給系259は、ガス流量コントローラー(図示せず)から供給されるプロセスガスを、処理室253に導入する機能を有している。このプロセスガスの種類によってプラズマの状態が変化して、シートK表面の処理状態が影響を受ける。このことから、プロセスガスは、処理の対象物や目的に応じて選択される。一般にプロセスガスとしては、希ガス、不活性ガス、反応性ガスなどが用いられ、具体的には、水素、ヘリウム、酸素、窒素、アルゴン、フッ素系化合物やこれらの混合ガスが挙げられる。
これらのプロセスガスの種類は、シートKの受容層に与える特性やインクによって選択することができる。例えば、本実施形態では、プロセスガスとして酸素またはCF4を用いている。本実施形態のインクに対して、酸素は受容層表面に親液性を付与し、CF4は疎液性を付与する機能を有している。
ガス排気系260は、ターボ分子ポンプおよび圧力制御機構(共に図示せず)に接続され、処理室253内部の圧力を制御している。
アンテナ258は、処理室253内において、ガス供給系259から供給されるプロセスガスを励起し、誘導結合によってプラズマを発生させる機能を有している。ここで、本実施形態では、アンテナ258として2ターンの構成を有する型を示している。或いは、1ターン型や2ターン以上を用いても良い。またアンテナ258は、RF電源261と電気的に接続されている。RF電源261は、高周波電力を供給して、アンテナ258がプラズマを発生させ、維持するための電力源となっている。
基板支持部255は金属電極であって、シートKを載置してプラズマ処理を施すためのステージとなっている。この基板支持部255は、結合コンデンサー256を介して、AC(Alternating Current)バイアス電源257と電気的に接続されている。ACバイアス電源257は、対向電極254と基板支持部255上のシートKとの間に、DC(Direct Current)バイアスを発生させて、プラズマの励起状態を制御する機能を有している。結合コンデンサー256は、ACバイアス電源257から供給される高周波電力を受けて、プラズマ中に発生するDC電位を保持する機能を有している。
以上の通り、ICP方式によるプラズマ処理装置250の構成について説明したが、プラズマ励起エネルギーとプラズマ引き込みエネルギーとを独立して扱える、他の方式によるプラズマ処理装置を適用しても良い。他の方式としては、例えば、ECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置、HWP(Helicon Wave excited Plasma:ヘリコン波励起プラズマ)処理装置などが挙げられる。
また、本実施形態では、被記録媒体として単票のシートKを用いたが、これに限定されない。例えば、ロール状の被記録媒体を適用してもよい。
<吐出計測機構>
本実施形態に係わる吐出計測機構の構成について、図8および図9を参照して説明する。図8は、吐出計測機構の構成を示す概略斜視図である。図9は、吐出計測機構の、主走査方向から見た配置を示す概略断面図である。
図8に示すように、本実施形態の吐出計測機構60は、キャリッジ8、シート搬送機構20a、ヘッド移動機構30、撮像部62、移動台65などを備えている。吐出計測機構60は、キャリッジ8に搭載されたインクジェットヘッド50から、インクをシートK上に液滴Dとして吐出し、シートK上に着弾して生じた着弾痕を撮像部62によって撮像して、着弾痕の面積を計測する機構である。
この吐出計測機構60は、ヘッド移動機構30によってキャリッジ8を副走査方向(Y軸方向)へ移動させ、シート搬送機構20aによって移動台65を主走査方向(X軸方向)へ移動させる機能を有している。シート搬送機構20aは、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動台65と、移動台65上においてシートKを載置するステージ5などを有している。
移動台65は、ガイドレール21の内部に設けられたエアスライダーおよびリニアモーター(共に図示せず)により主走査方向(X軸方向)に移動される。この移動台65には、タイミング信号生成部としてのエンコーダー(図示せず)が設けられている。エンコーダーは、移動台65の主走査方向(X軸方向)への相対移動に伴って、ガイドレール21に併設されたリニアスケール(図示せず)の目盛を読み取って、タイミング信号としてのエンコーダーパルスを生成する。駆動にはサーボモーターなどが用いられる。また、ステージ5はシートKを吸着して固定する機能を有している。この搬送系の構成により、シートKはキャリッジ8と対向して配置されることが可能となっている。
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動するキャリッジ支持部32と、を備えている。キャリッジ支持部32には、キャリッジ8が取り付けられている。キャリッジ8には、ヘッドユニット9が取り付けられている。このヘッドユニット9には、複数のインクジェットヘッド50が搭載されている。ここで、ヘッドユニット9は、キャリッジ支持部32がキャリッジ8を副走査方向(Y軸方向)へ移動させることで、シートKに対向して配置される構成となっている。
シートKは、インクの着弾面に受容層が形成されている。例えば、透明フィルムやサイネージ用の白色メディア(不透明)などが用いられる。本実施形態では、シートKとしてピクトリコTPW−100(株式会社ピクトリコ製)を用いている。TPW−100は、多孔質を有する空隙型のインク受容層と、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製の基材(ベースフィルム)とを有する、厚さ約145μmの水系インクジェットインク向け製版用透明フィルムである。このTPW−100を用いればインクの着弾痕が白く変色するため、色材を含まないインク(液状体)でも吐出評価が可能となっている。
図9に示すように、照明部61は光源と、光源から発せられる光を所定の方向に集光させる集光手段とを備えている。光源としては、例えば、ハロゲンランプやキセノンランプなどが用いられる。また、集光手段とは、例えば反射板(鏡)や集光レンズである。この照明部61は、Y軸方向において、一対のガイドレール21の間に配置され、移動台65に対して光源からの光を照射可能な構成となっている。照明部61に対応する移動台65の部位には、移動台65を貫通する開口部65aが形成されている。透明なステージ5は、開口部65aを塞ぐように移動台65上に配置されている。つまり、照明部61は、移動台65と透明なステージ5とを介して、ステージ5上に載置されたシートKに対して、背面側から照らす構成となっている。
なお、シートKとして不透明なメディアを用いる場合には、被記録媒体を上方側から照らすための他の照明部を備えてもよい。
撮像部62は、CCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を備えており、照明部61の上方の、照明部61に対向する位置に配置されている。この撮像部62は、画像処理部63およびモニター64に電気的に接続されている。画像処理部63は、撮像部62によって撮像された画像の画像処理や解析などを行う機能を有している。モニター64には、撮像部62によって撮像された画像、画像処理結果などの情報を表示することができる。このモニター64として、例えば、液晶表示装置などを用いることができる。
次に、本実施形態に係わるインクジェットヘッドについて、図10を参照して説明する。図10は、インクジェットヘッドの構成を示す概略斜視図である。
図10に示したインクジェットヘッド50は、上述したようにヘッドユニット9に搭載されている。このインクジェットヘッド50は、ノズル列52a,52bが2列配置された、所謂2連型の構成となっている。このインクジェットヘッド50は、2連の接続針54を有するインクの導入部53、導入部53に積層されたヘッド基板55、ヘッド基板55上に配置され、内部にインクのヘッド内流路が形成されたヘッド本体56、などを備えている。接続針54は、インク供給機構(図示せず)に配管を経由して接続され、インクをヘッド内流路に供給する機能を有している。ヘッド基板55には、2連のコネクター58が設けられている。このコネクター58は、フレキシブルフラットケーブル(図示せず)を介して、ヘッドドライバー(図示せず)とインクジェットヘッド50とを接続するための端子となっている。
ヘッド本体56は、駆動手段(アクチュエーター)としての圧電素子で構成された、キャビティを有する加圧部57、ノズル面51aに2つのノズル列52a,52bが相互に平行に形成されたノズルプレート51などを備えている。
次に、本実施形態のノズル面51aにおける複数のノズル52の配置状態について、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係わるインクジェットヘッドの、ノズル面におけるノズル配置状態を示す平面図である。
図11に示すように、ノズル面51aは、インクを液滴として吐出するための、複数のノズル52を有している。このノズル52は列状に並んで配置され、それぞれノズル列52a,52bを形成している。このとき、ノズル列52a,52bの各列において、ノズル52はピッチP1で略等間隔に180個が配列されている。ここで、ノズル列52aとノズル列52bとは、互いにピッチP1の半分のピッチP2ずれた状態で、ノズル面51aに配置されている。本実施形態においては、ピッチP1は約141μmであるため、2つのノズル列52a,52bによって構成されたノズル列52cに直交する方向から見ると、360個のノズル52が約70.5μmのノズルピッチで配列した状態となっている。また、ノズル52は円形であって、その直径は27μmとしている。
インクジェットヘッド50は、ヘッドドライバー(図示せず)からヘッド内の圧電素子に駆動信号(電気信号)が印加されると、圧電素子の変形によって加圧部57のキャビティに体積変化が生じ、これによるポンプ作用でキャビティ内に充填されたインクが加圧されて、ノズル52からインクを液滴として吐出する機能を有している。
ここで、インクジェットヘッド50のノズル52ごとに設置される駆動手段(アクチュエーター)は、圧電素子に限定されない。例えば、アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、加熱によって生じる気泡によって液状体を液滴として吐出させる電気熱変換素子を用いてもよい。
<吐出量の評価方法>
本実施形態に係わるインク(液滴)の吐出量の評価方法について、図12、図13、図14を参照して説明する。図12、図13、図14は、本実施形態に係わる吐出量の評価方法を示す概略断面図である。
本実施形態の吐出量の評価方法は、図12に示すインク吐出工程と、図14に示す着弾面積を計測する計測工程とを含んでいる。
まず、インク吐出工程では、図12に示すようインクジェットヘッド50の複数のノズル52から、所定量のインクを液滴Dとして、シートKに向って吐出する。このシートKは、ベースフィルム71、ベースフィルム71の表面に形成され、着弾した液滴を浸透させる受容層72など備えている。シートKにおいて、受容層72が形成されている面を表面、その反対側を裏面とする。即ち、インク吐出工程では、インクジェットヘッド50をシートKの表面側に対向して配置し、液滴Dが受容層72の表面に着弾する構成としている。
ここで、上記液滴Dの吐出は、インクジェットヘッド50とシートKとを主走査方向に相対移動させながら、つまり主走査させながら行われる。このとき、複数のノズル52において、所定の吐出タイミングで、同一ノズルから複数の液滴Dを繰り返し吐出させる。
次いで、図13に示すように、液滴DはシートKの受容層72に着弾する。着弾した液滴Dは、受容層72の表面を濡れ広がると同時に、受容層72内部に一部が浸透して着弾痕75を形成する。上述したように、インクジェットヘッド50とシートKとを相対移動(主走査)させることによって、着弾痕75は、吐出回数だけ主走査方向に複数回現れ、吐出されたノズル52の数だけ副走査方向に現れることになる。
続く計測工程では、図14に示すように、照明部61によりシートKを裏面側から照らして、着弾痕75を撮像部62によって撮像し、着弾痕画像を得る。上述した方法で撮像した着弾痕画像を図15(光学顕微鏡写真)に示す。図15において、略円形状に視認されるものの1つ1つが、1ドットの着弾痕75である。(図15では着弾痕75の部分が明るく表示され、それ以外が暗く表示されるように画像処理が施されている。)
次に、画像解析によって、着弾痕画像の着弾面積を求める。具体的には、着弾痕画像における、コントラスト変化が最も急峻な部分を輪郭(境界)と定義する、エッジ勾配法を用いている。これによって、着弾痕画像を円フィッティングして着弾面積を算出している。ここで、着弾痕75に形状の歪みや輪郭の滲み(不鮮明な箇所)がある場合は、着弾痕画像の円フィッティングにおいて、歪みや滲みも含めて真円形に近似されてしまうため、誤差や検出エラーが発生し易くなる。即ち、吐出評価においては、着弾痕75を真円形に近付けて、それらの誤差や検出エラーの発生を抑制する必要がある。また、シートK表面の汚れや異物も検出エラーの要因となるため、表面の清浄性も必要である。
また、着弾面積と吐出されたインクの吐出量との間には、相関関係が成り立つことが判っている。そこで、予め実験により、着弾面積と1ドットあたりのインク吐出量との相関グラフを作成し、回帰式を求めておく。この回帰式により、着弾面積からノズル52ごとに吐出されるインク吐出量を推量することができる。
さらに、複数の着弾痕75について、個々のノズル52ごとに着弾面積を計測する。そして、それらの計測結果から、例えば複数の着弾痕75の着弾面積の平均値を算出して、この平均値からノズル52の吐出量とそのばらつきとを推量する。このような着弾面積の計測を、複数のノズル52の個々のノズルについて実施して、液滴Dの吐出状態を評価する。
次に、液滴Dとして吐出されるインクについて説明する。
液滴Dとして吐出されるインクは、有機EL素子130の機能層136を形成するためのインクを用いることができる。このインクは、溶媒と、有機層形成材料としての機能層形成材料(固形分)とを含んでいるが、色材を含まないため透光性を有している。ここで透光性を有するとは、可視光透過率が70%以上の液状体である。溶媒は1種類または2種類以上を併用することができる。また、上述した機能層形成工程において、液滴Dの乾燥時間を確保して機能層の平坦さを向上させるため、沸点が約200℃以上の溶剤を選択している。溶媒としては、例えば、エチレングリコール、シクロヘキシルベンゼン、1,4−ジメチルナフタレン、3−フェノキシトルエン、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、o−トルニトリル、n−オクチルベンゼン、2−イソプロピルナフタレンなどが挙げられる。
機能層形成材料としては、正孔注入層材料、正孔輸送層材料、発光層材料が挙げられる。正孔注入層材料として、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリチオフェン誘導体に、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)を加えた混合物(PEDOT/PSS)や、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などが挙げられる。正孔輸送層材料としては、例えば、トリフェニルアミン系ポリマーを含む成分などが挙げられる。発光層材料としては、例えば、赤色、緑色、青色の発光が得られるポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、PEDOTなどのポリチオフェニレン誘導体、ポリメチルフェニレンシラン(PMPS)、などが挙げられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドンなどの低分子材料を配合しても良い。
ここで、機能層形成工程において、液滴Dの濡れ広がりを確保して、機能層形成領域における液滴Dの被覆性を向上させるため、23℃におけるインクの粘度は10mPa・s(秒)以下であることが好ましい。上記粘度が10mPa・sを超えると、機能層形成領域における液滴Dの濡れ広がりが縮小し、被覆性が低下すると共に、機能層の膜厚が不均一となる場合がある。また、23℃におけるインクの粘度は、1mPa・s以上であることが好ましい。上記粘度が1mPa・s未満となると、インクジェットヘッド50からの液滴Dの吐出安定性が低下する傾向がある。より好ましくは、23℃におけるインクの粘度は、2mPa・s以上、9mPa・s以下である。インクの粘度をこの範囲とすることにより、液滴Dの濡れ広がりを確保した上で、吐出安定性をより安定に保つことができる。さらに好ましくは、3mPa・s以上、8mPa・s以下である。
なお、インクの粘度測定には粘弾性試験機MCR302(Anton Paar社製)を用い、インク温度を23℃に調整して測定している。具体的には、Shear Rateを10から1000に順次上げていき、Shear Rateが200のときの粘度を読み取り測定することができる。
本実施形態では、液滴Dとして吐出されるインクとして、発光層形成用インクを用いている。このインクは、PFが約0.7質量%配合され、溶媒としてシクロヘキシルベンゼンを用い、23℃の粘度が10mPa・s以下に調整されている。
また、吐出評価に用いるインクは、必ずしも機能層形成用インクである必要はなく、上述した粘度の範囲内であれば、上記の溶剤の1種または2種以上の組み合わせであってもよい。例えば機能層形成材料を含まず、固形分濃度が殆どない液状体であっても、受容層72に着弾した液滴Dの一部が浸透するため、液滴Dの乾燥および着弾痕75の形成が速やかに進行する。従って、溶剤のみで構成された液状体や、機能層形成材料の含有量を削減したインクなどを用いることもできる。
以上に述べたように、本実施形態に係わる液状体の吐出評価方法および吐出評価機構によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の吐出評価方法および吐出評価機構310によれば、インクジェットヘッド50から吐出されたインクの吐出量について、ばらつきを抑えて計測、取得することができる。詳しくは、受容層72が形成されたシートKにプラズマ処理を施すことにより、受容層72の表面の均一性が向上して、液滴Dの着弾状態が安定する。そのため、着弾痕75の形状の歪みが抑えられ、また輪郭が鮮明となり、着弾痕75の形状がより真円形に近いものとなる。これにより、着弾痕画像の画像解析における誤差や検出エラーの発生を低減して、吐出評価の精度を向上させることができる。即ち、吐出評価に用いる被記録媒体としてのシートKにおいて、液滴Dの着弾状態のばらつきを抑える吐出評価方法および吐出評価機構を提供することができる。
また、従来技術では吐出評価用の被記録媒体を作製して評価に用いていたが、本実施形態によれば、プラズマ処理を施すことで、受容層を有する市販のフィルムを適用することができる。これは、プラズマ処理が市販品の製造ロットや部位のばらつきを減少させるためである。これにより、吐出評価に要する時間やコストを低減することができる。さらに、吐出評価機構310によれば、プラズマ処理から吐出評価までをインラインで実行できるため、被記録媒体としてのシートKの汚れや異物の付着が抑えられ、吐出情報のばらつきをより低減することができる。
また、プラズマ処理時のプロセスガスの種類を使い分けることで、受容層72の表面にインクに対する親液性や疎液性を付与することが可能になる。これにより、例えば23℃のインク粘度が、約2mPa・sや約9mPa・sであっても、受容層への浸透と濡れ広がりとを調整して吐出評価を実施することができる。さらに、機能層形成材料を減量したインクや、溶剤単体でも吐出評価が可能であるため、高価な機能層形成材料の使用量を抑制して、吐出評価にかかるコストを低減できる。
以上により、ばらつきを抑えた吐出情報の取得が可能であり、コストを低減した、液状体の吐出評価方法および吐出評価機構を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
<プラズマ処理>
上述したTPW−100を、一辺が100mmの正方形に切り出してシートKとした。このシートKに対して、吐出評価機構310のプラズマ処理装置250用いて、プラズマ処理回数を振ってプラズマ処理を施した。実施例1から実施例4について、プラズマ処理条件を図16に示す。
(実施例1〜実施例4)
実施例1では、シートKの受容層72に疎液性を付与するプロセスガスとしてCF4を用いた。プラズマ処理装置250の処理条件は、ガス流量を100ml/分、プラズマ出力を300kW、パルスを700、処理時間を15秒、温度を22℃として、プラズマ処理を1回実施した。実施例2では、実施例1と同条件にて、プラズマ処理回数を2回とした。実施例3では、実施例1と同条件にて、プラズマ処理回数を5回とした。実施例4では、シートKの受容層72に親液性を付与するプロセスガスとして酸素を用いた他は、プラズマ処理装置250の処理条件を実施例1と同様にし、プラズマ処理を1回実施した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1から実施例4で使用したものと同一ロットのTPW−100を用い、同形状に切り出してシートKとした。比較例1ではプラズマ処理を実施せずに、そのまま吐出評価へ進んだ。
<吐出評価>
まず、上述した着弾面積と1ドットあたりのインク吐出量との相関グラフを作成するため、予備実験を行った。
実施例2の条件にてプラズマ処理を施したシートKに対して、吐出評価機構310における吐出計測機構60を用いて、上述した実施形態1のインクを液滴Dとして複数のノズル52から吐出し、着弾させた。このとき、液滴Dの1ショットの狙いインク吐出量を10.0ngとし、3ショットを4パス実施して着弾痕75を形成させた。ここで、着弾痕75の1ドットは12ショット(3ショットの4パス分)の重ね打ちで形成され、液滴Dの合計インク吐出量の狙い値は、120ng(10ngの12ショット分)となる。また、上述した液滴吐出装置300のインク質量計測機構を用いて、このときの実際のインク吐出量を計測した。詳しくは、ノズル52毎に12ショットのn倍分の吐出を行い、計測された総インク吐出量をnで除して、1ドットあたりの実際のインク吐出量を求めた。次いで、液滴Dの1ショットの狙いインク吐出量を、9.5ng、10.5ng、11.0ngと変え、上記と同様にそれぞれの実際のインク吐出量を求めた。
次に、狙いインク吐出量を上述した9.5ngから11.0ngまで変えた各条件にて、液滴DがシートKに形成した着弾痕75の着弾面積を、吐出計測機構60を用いて計測した。この着弾面積をXとし、インク質量計測機構によって求めた上記の実際のインク吐出量をYとして、グラフにプロットしたものが検量線を示す図17である。これにより、着弾面積Xに対する、1ドットあたりのインク吐出量Yの回帰式Y=0.021X−30.132を算出した。
次に、実施例1から実施例4および比較例1の各水準のシートKに対して、1ドットあたりのインク吐出量狙い値を120ng(1ショット10ngの3ショット、4パス分)として、複数のノズル52から吐出して着弾痕75を形成させた。
複数の着弾痕75が形成されたシートKについて、吐出計測機構60を用いて複数の着弾画像を撮像し、画像処理を実行した。このとき、画像処理における検出エラーの発生率および着弾面積のばらつきを調査した。画像処理に供した着弾痕75の数は、各実施例および比較例1について各6400点とした。ここで、検出エラーは、着弾痕75のエッジが不鮮明で着弾痕75として認識できないドットや、周辺の埃などを着弾痕75として誤認識したドットなどの点数を計数して百分率で示している。また、着弾面積のばらつきの算出方法としては、各実施例および比較例1のそれぞれにおいて、着弾痕75の着弾面積の平均値を算出する。この着弾面積の平均値に対して、±5%以内を規格範囲とし、この規格からはずれた着弾痕75の点数の百分率を着弾面積のばらつきを示す指標値とした、
以上の操作を実施例1から実施例4および比較例1について実施し、その結果を吐出評価実験の結果として図18に示した。
<吐出評価実験の結果>
図18の結果に示すように、プラズマ処理を実施した実施例1から実施例4によれば、シートK表面の均一性が向上して着弾状態が安定し、検出エラーおよび着弾面積のばらつきを抑制できることが判った。一方、プラズマ処理を実施しなかった比較例1では、検出エラーおよび着弾面積のばらつき(着弾面積の規格はずれ)が発生しており、実施例1から実施例4と比較して劣る結果となった。
なお、本実施例では検出エラーおよび着弾面積のばらつきを評価したが、実用途においては、上述した回帰式を用いて着弾面積からインク吐出量を求め、別途測定した機能層の膜厚データなどと比較して、インク吐出量を含む吐出条件の調整や最適化を実施する。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う吐出評価方法および吐出評価機構ならびに該吐出評価機構を適用する液滴吐出装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)
上記実施形態では、吐出評価機構310により液滴Dの着弾痕75を撮像して計測することにより、1ドットの吐出量や吐出量のばらつきを求めたが、1つの液滴Dを吐出させて着弾痕75を形成し、所定の吐出位置に対する着弾痕75の位置を計測することで、液滴Dの吐出情報として吐出位置精度を入手することもできる。
20a,20b…シート搬送機構、50…インクジェットヘッド、52…ノズル、60…吐出計測機構、72…受容層、100…有機EL装置、130…有機EL素子、136…機能層、150,160,170…インク、250…プラズマ処理装置、300…液滴吐出装置、310…吐出評価機構、D…液滴、K…シート。

Claims (9)

  1. 受容層が形成されたシートに対してプラズマ処理を施す工程と、
    前記プラズマ処理が施された前記シートに対して、インクジェットヘッドの複数のノズルから液状体を液滴として吐出する工程と、
    前記受容層に着弾した前記液滴の着弾状態を計測する工程と、
    前記着弾状態の計測結果から前記液滴の吐出情報を取得する工程と、を含むことを特徴とする液状体の吐出評価方法。
  2. 前記吐出情報が、前記液滴の吐出量を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液状体の吐出評価方法。
  3. 前記液状体が、透光性を有し、23℃における粘度が1mPa・s(秒)以上、10mPa・s(秒)以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の液状体の吐出評価方法。
  4. 前記液状体が有機層形成材料を含むことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液状体の吐出評価方法。
  5. 前記プラズマ処理を施すことにより、前記液状体に対して前記受容層表面に疎液性を付与することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液状体の吐出評価方法。
  6. 前記プラズマ処理を施すことにより、前記液状体に対して前記受容層表面に親液性を付与することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液状体の吐出評価方法。
  7. 前記受容層が、着弾した前記液滴の少なくとも一部を浸透させることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液状体の吐出評価方法。
  8. 前記受容層が多孔質であって、前記シートが透明フィルムであることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液状体の吐出評価方法。
  9. 受容層が形成されたシートに対して、インクジェットヘッドの複数のノズルから液状体を液滴として吐出し、前記液滴の吐出状態を前記ノズルごとに評価する、液状体の吐出評価機構であって、
    前記インクジェットヘッドに対して前記シートを対向配置させるシート搬送系と、
    前記シートの前記受容層にプラズマ処理を施すプラズマ処理系と、
    前記シートの前記受容層に着弾した前記液滴の状態を計測する計測系と、を備えたことを特徴とする、液状体の吐出評価機構。
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