JP7347708B2 - 積層フィルム及び包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リサイクル性に優れた積層フィルム、当該積層フィルムを用いて得られる包装材に関する。
従来、接着剤を使用してラミネート法により製造される積層フィルムは、単なる包装目的のみならず、バリア性、防湿性、耐レトルト性等の様々な高機能を1つの包装材料でかなえたい、という要求に答えるため異樹脂種のフィルムを積層させるために開発され進化してきた。(例えば特許文献1参照)
しかしながら、近年は、これらの異樹脂種の積層フィルムが、リサイクルプラスチックの品質を低下させるという声があり、単なる高機能のみならず、リサイクル可能な包装材料であることが望まれている。
リサイクル可能な包装材料として、同樹脂種の積層フィルムが期待されている。同樹脂種の積層フィルムとして、例えばオレフィン系樹脂のみで構成(モノマテリアル等とも称される)された包装材料は既に知られている。(例えば特許文献2参照)
しかしこれらは、構成する全てのフィルムを、原料である樹脂ペレットを溶融し共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で所望の順で積層した後フィルム状に成形する共押出法で製造されていることが多く、大掛かりな製造装置が必要であることや、接着剤を使用するラミネート体と比較し、層間接着強度等に限界がある場合があった。
特開2014-004799号公報 特開2021-758号公報
本発明の課題は、リサイクルプラスチックの品質を低下させず、製造が容易で、且つ層間接着強度等の機能性を維持できる積層フィルムを提供することにある。
即ち本発明は、第一の基材と、第二の基材と、前記第一の基材と前記第二の基材との間に配置された接着層とを含み、前記第一及び前記第二の基材がオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂からなり、前記接着層が、酸及び/又は水酸基で変性されたオレフィン系樹脂(A)を主成分とする接着剤からなる積層フィルムを提供する。
また本発明は、前記記載の積層フィルムからなる包装材を提供する。
本発明により、リサイクルプラスチックの品質を低下させず、製造が容易で、且つ層間接着強度等の機能性を維持できる積層フィルムを提供することにある。
(第一の基材)
本発明で使用する第一の基材は、オレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂からなるフィルム(シートとも称される場合があるが本発明においてはフィルムと称す。なお第一の基材をフィルム(1)と称する場合もある)であれば特に限定なく使用することができる。オレフィン系樹脂としては具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、α-オレフィン重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、環状オレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン等のオレフィン樹脂;オレフィン樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他の不飽和カルボン酸で変性した変性オレフィン系樹脂が挙げられる。
また、フィルム基材として、バイオマス由来成分を含有する材料で形成させたフィルムを使用するのも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
具体的によく知られているフィルムは、バイオマス由来のエチレングリコールを原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
あるいは、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
例えば、従来の石油系原料を使用したポリオレフィン系フィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするポリエチレン系樹脂を含有するバイオマスポリエチレン系フィルム、バイオマスポリエチレン-ポリプロピレン系フィルム等のバイオマスポリオレフィン系フィルムも知られている。
ポリエチレン系樹脂は、原料の一部に前記バイオマス由来のエチレングリコールを使用する以外は特に限定されず、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα-オレフィンとの共重合体(エチレン単位を90質量%以上含有するエチレン-α-オレフィン共重合体)などが挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を構成するα-オレフィンは特に限定されず、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの炭素原子数4乃至8のα-オレフィンが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの公知のポリエチレン樹脂を用いることができる。
その中でも、フィルム同士が擦れても、穴開きや破けなどの損傷を一段と生じにくくする観点から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(エチレンと1-ヘキセンとの共重合体、又はエチレンと1-オクテンとの共重合体)が好ましく、密度が0.910乃至0.925g/cm3である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
バイオマスフィルムは、複数のバイオマスフィルムを積層させた積層体であってもよいし、従来の石油系フィルムとバイオマスフィルムとの積層体であってもよい。
前記フィルム(1)は、何等かの表面処理、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、火炎処理等の物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な処理、その他処理が施されたものであってもよい。
前記フィルム(1)は、上述した樹脂を押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の、従来公知の製膜化方法により製造することができる。未延伸フィルムであってもよいし、フィルム(1)の強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、テンター方式、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸したものであってもよい。
前記フィルム(1)は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。具体的には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、エラストマー、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。添加剤の添加量は、他の性能やリサイクル性に影響を与えない範囲で調整する。
前記フィルム(1)の膜厚は特に限定されず、成型性や透明性の観点から、0.1~300μmの範囲で適宜選択すればよい。好ましくは0.3~100μmの範囲である。0.1μmを下回ると強度が不足し、300μmを超えると剛性が高くなり過ぎ、加工が困難になる恐れがある。
前記フィルム(1)は、必要に応じて、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対するバリア性を備える目的でバリア層を設けてもよい。具体的には、ポリ塩化ビニリデンコート(K-コート)等のコーティング層、アルミニウム等の金属蒸着層、シリカやアルミナ等の無機蒸着層、などを挙げることができる。
前記フィルム(1)は、必要に応じて、後述する印刷層を設ける際のインキ受容性の向上等を目的としたコーティング層を設けてもよい。
(第二の基材)
本発明で使用する第二の基材は、前記第一の基材(フィルム(1))と同様の、オレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂からなるフィルム(シートとも称される場合があるが本発明においてはフィルムと称す。なお第二の基材をフィルム(2)と称する場合もある)であれば特に限定なく使用することができる。
フィルム(2)の原料であるオレフィン系樹脂の種類や、フィルム(2)の製法、添加剤の種類、膜厚等、前記第一の基材と同様のものを使用することができる。
前記第一の基材即ちフィルム(1)と前記第二の基材即ちフィルム(2)とは、前記範囲内であれば全く同一のフィルムを組み合わせることもできるし、異なるフィルムを組み合わせることでもよい。
(接着層)
本発明で使用する接着層は、酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を有するオレフィン系樹脂(A)を主成分とする接着剤からなることを特徴とする。
ここで、オレフィン系モノマーと、エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物との共重合体である酸変性オレフィン樹脂を「酸変性オレフィン樹脂(A-1)」と称し、ポリオレフィンにエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物をグラフト変性した樹脂である酸変性オレフィン樹脂を「酸変性オレフィン樹脂(A-2)」と称し、水酸基を有するオレフィン樹脂を「水酸基を有するオレフィン樹脂(A-3)」と称す。
(酸変性オレフィン樹脂(A-1)、酸変性オレフィン樹脂(A-2))
酸基、及び/又は酸無水物基を有するオレフィン樹脂としては、オレフィン系モノマーと、エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物との共重合体である酸変性オレフィン樹脂(A-1)や、ポリオレフィンにエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物をグラフト変性した樹脂である酸変性オレフィン樹脂(A-2)が挙げられる。
酸変性オレフィン樹脂(A-1)の調整に用いられるオレフィン系モノマーとしては、炭素原子数が2~8のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらのなかでも特に接着強度が良好なものとなることから炭素原子数2~8のオレフィンが好ましく、エチレン、プロピレン、及び1-ブテンがより好ましく、とりわけ併用することが好ましい。
オレフィン系モノマーとの共重合に用いられるエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、4-メチルシクロヘキセ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,8,9,10-オクタヒドロナフタレン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-オクタ-1,3-ジケトスピロ[4.4]ノン-7-エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル―ノルボルネン-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、ノルボルン-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらのなかでも特にオレフィン系モノマーとの反応性、共重合した後の酸無水物の反応性に優れ、かつ、該化合物自体の分子量が小さく共重合体にした場合の官能基濃度が高くなる点から無水マレイン酸が好ましい。これらは単独で、あるいは2種以上併用して使用することができる。
酸変性オレフィン樹脂(A-1)の調整には、オレフィン系モノマー、エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物に加え、その他のエチレン性不飽和基を持つ化合物、例えばスチレン、ブタジエン、イソプレン等を併用してもよい。
酸変性オレフィン樹脂(A-2)の調整に用いられるポリオレフィンとしては、炭素原子数2~8のオレフィンの単独重合体や共重合体、炭素原子数2~8のオレフィンと他のモノマーとの共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリビニルシクロヘキサン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体などのα―オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリレート共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体などが挙げられる。これらの中で特に接着強度が良好なものとなる点から炭素原子数2~8のオレフィンの単独重合体、炭素原子数2~8のオレフィンの2種以上の共重合体が好ましく、とりわけエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体が好ましい。
ポリオレフィンとのグラフト変性に用いられるエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物としては、上述した、酸変性オレフィン樹脂(A-1)の調整においてオレフィン系モノマーとの共重合に用いられるものと同様のものを用いることができる。グラフト変性後の官能基の反応性が高く、また、グラフト変性したポリオレフィンの官能基濃度が高くなる点から無水マレイン酸が好ましい。これらは単独で、あるいは2種以上併用して使用することができる。
グラフト変性によりポリオレフィンにエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物を反応させるには、具体的には、ポリオレフィンを溶融し、そこにエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物(グラフトモノマー)を添加してグラフト反応させる方法、ポリオレフィンを溶媒に溶解して溶液とし、そこにエチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物を添加してグラフト反応させる方法、有機溶剤に溶解したポリオレフィンと、エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物とを混合し、ポリオレフィンの軟化温度または融点以上の温度で加熱し溶融状態にてラジカル重合と水素引き抜き反応を同時に行う方法等が挙げられる。
いずれの場合にもグラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下にグラフト反応を実施することが好ましい。グラフト反応は、通常60~350℃の条件で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は変性前のポリオレフィン100重量部に対して、通常0.001~1重量部の範囲である。
ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシドが好ましく、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン―3、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル―2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルフェニルアセテート、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチルペル―sec-オクトエート、tert-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert-ブチルペルジエチルアセテートなどがあげられる。その他アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどを用いることもできる。
ラジカル開始剤は、グラフト反応のプロセスにより最適なものを選定すればよいが、通常ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
オレフィン樹脂(A)として酸変性オレフィン樹脂(A-1)や酸変性オレフィン樹脂(A-2)を用いる場合には、1~200mgKOH/gの酸価を有するものを用いることが好ましい。
(水酸基を有するオレフィン樹脂(A-3))
水酸基を有するオレフィン樹脂(A-3)としては、ポリオレフィンと水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルや水酸基含有ビニルエーテルとの共重合体や、ポリオレフィンに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルや水酸基含有ビニルエーテルをグラフト変性した樹脂が挙げられる。ポリオレフィンは、オレフィン樹脂(A-2)の調整に用いるものと同様のものを用いることができる。変性方法としては、酸変性オレフィン樹脂(A-1)、(A-2)の調整方法と同様の方法を用いることができる。
変性に用いる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有ビニルエーテルとしては、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
オレフィン樹脂(A)として、水酸基を有するオレフィン樹脂(A-3)を用いる場合には、1~200mgKOH/gの水酸基価を有するものを用いることが好ましい。
オレフィン樹脂(A)として、上述した酸変性オレフィン樹脂(A-2)や水酸基を有するオレフィン樹脂(A-3)の調整に用いるポリオレフィンを、変性せずにそのまま用いてもよい。
接着性を良好なものとするためオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量は40,000以上であることが好ましい。また、適度な流動性を確保するためオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量は250,000以下であることが好ましい。
尚、本願発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC-8320GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSKgel 4000HXL、TSKgel 3000HXL、TSKgel 2000HXL、TSKgel 1000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC-8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
オレフィン樹脂(A)の融点は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがより好ましい。オレフィン樹脂(A)の融点は120℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、85℃以下であることがより好ましい。
オレフィン樹脂の融点はDSC(示差走査熱量分析)により測定する。具体的には降温到達温度から昇温到達温度まで10℃/minで昇温後、10℃/minで降温到達温度まで冷却して熱履歴を除去した後、再度10℃/minで昇温到達点まで昇温する。2度目に昇温した際のピーク温度を融点とする。また、降温到達温度は結晶化温度よりも50℃以上低い温度に、昇温到達温度は融点温度よりも30℃位以上高い温度に設定する。降温到達温度、昇温到達温度は試測定して決定する。
(酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を架橋しうる硬化剤(B))
本発明で使用する硬化剤(B)は、特に限定なく、酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を架橋しうる硬化剤、即ち酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を架橋しうる反応性基を有する硬化剤(B)であれば特に限定なく使用することができる。具体的には、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング剤、及び金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物としては、硬化性の観点から多官能イソシアネート化合物が好ましい。多官能イソシアネート化合物としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、若しくは水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートおよびこれらから誘導された化合物、即ち、前記ジイソシアネートのイソシアヌレート体、アダクト体、ビウレット型、ウレトジオン体、アロファネート体、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、イソシアネート基の一部をカルボジイミドで変性した化合物、若しくはこれらの複合体等が挙げられる。
上述したような多官能イソシアネート化合物の一部のイソシアネート基を、イソシアネート基と反応性を有する化合物と反応させて得られる化合物を硬化剤として使用してもよい。イソシアネート基と反応性を有する化合物としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、ベンジルアミン、アニリン等のアミノ基を含有する化合物類:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、フェノール等の水酸基を含有する化合物類:アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物類:酢酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等のカルボン酸を含有する化合物等が挙げられる。
これらの多官能イソシアネート化合物等は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、スピログリコールもしくは水添ビスフェノールA等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;
フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエールであるノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールADなどの芳香族系ポリヒドロキシ化合物のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体であるポリオールのポリグリシジルエーテル;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の環状脂肪族型ポリエポキシ樹脂;
プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸もしくはトリメリット酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α-ピネンもしくはビニルシクロヘキセン等の炭化水素系ジエンのビスエポキシ樹脂;
ポリブタジエンもしくはポリイソプレン等のジエンポリマーのエポキシ樹脂;
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
トリアジン、ヒダントイン等の複素環を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明に用いられるエポキシ化合物は、1分子中に2つ以上のエポキシ基と1つ以上の水酸基を備え、重量平均分子量が3000以下であるエポキシ化合物であることが好ましい。
(カルボジイミド化合物)
カルボジイミド化合物としては、N,N’-ジ-o-トルイルカルボジイミド、N,N’-ジフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’―ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’-ジオクチルデシルカルボジイミド、N-トリイル-N’-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,2-tert.-ブチルフェニルカルボジイミド、N-トリイル-N’-フェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-アミノフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-トルイルカルボジイミド等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤としては例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
(金属化合物)
金属化合物は、オレフィン樹脂(A)とイオン架橋結合を形成するものであれば特に限定なく使用することができる。具体的には、金属イオンを含有する化合物であり、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、メトキシド、エトキシド等をあげることが出来る。金属イオンとしては、Li、Na、K、Ag、Cuなどの1価イオン、Cu2+、Ba2+、Zn2+、Fe2+などの2価イオン等を挙げることができる。これらの金属イオンを必要に応じて2種以上混合して含むことができる。
その他、アジリジン基含有化合物、 オキサゾリン、アミノ樹脂等も使用できる。アジリジン基含有化合物としては、例えば、N,N´-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N´-ジフェニルメタン-4,4´-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート)、N,N´-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン-トリ-β(2-メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル-1-2-メチルアジリジン、トリ-1-アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス-1-2-メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
オキサゾリンとしては、2-オキサゾリン、2-メチル-2-オキサゾリン、2-フェニル-2-オキサゾリン、2,5-ジメチル-2-オキサゾリン、2,4-ジフェニル-2-オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物、2,2’-(1,3-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,2-エチレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4ブチレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)などが挙げられる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
前記硬化剤(B)の配合量は、オレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましい。また、硬化剤(B)の配合量は、オレフィン樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることがさらに好ましい。これにより、優れた接着性を発現することができる。
本発明で使用する接着剤は、上記各成分に加え、さらに有機溶剤を配合することにより流動性を確保し、適正な塗工性を発現させることができる。このような有機溶剤としては、接着剤塗工時の乾燥工程における加熱により揮発させて除去できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族系有機溶剤;トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エタノール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、ヘキサノール等のアルコール系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
オレフィン樹脂(A)として、非塩素系のオレフィン樹脂、酸基又は酸無水物基を有するオレフィン樹脂や水酸基を有するオレフィン樹脂を用いた場合であってもその溶解性に優れることから、脂環族系有機溶剤と、エステル系溶剤との混合溶媒を用いることが好ましい。特に、酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を有するオレフィン樹脂を用いた場合にはその溶解性に優れることからメチルシクロヘキサンと酢酸エチルとの混合溶媒を用いることが好ましい。
有機溶剤の使用量としては、オレフィン樹脂(A)と有機溶剤との合計質量に対する、オレフィン樹脂(A)の割合が10~30質量%となる割合であることが好ましい。これにより、塗工性、基材への濡れ性に優れた接着剤とすることができる。
本発明で使用する接着剤は、必要に応じて粘着付与剤、可塑剤、熱可塑性エラストマー、反応性エラストマー、リン酸化合物、シランカップリング剤、接着促進剤、金属系触媒、アミン系触媒、脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体、エステル化触媒等の各種添加剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は、本発明の接着剤の機能を損なわない範囲内で適宜調整すればよい。
ここで使用し得る粘着付与剤としては、例えば、ロジン系又はロジンエステル系粘着付与剤、テルペン系又はテルペンフェノール系粘着付与剤、飽和炭化水素樹脂、クマロン系粘着付与剤、クマロンインデン系粘着付与剤、スチレン樹脂系粘着付与剤、キシレン樹脂系粘着付与剤、フェノール樹脂系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
可塑剤としては、ポリイソプレン、ポリブテン、プロセルオイル等が挙げられ、熱可塑性エラストマーとしてはスチレン・ブタジエン共重合物(SBS)、スチレン・ブタジエン共重合の水素添加物(SEBS)、SBBS、スチレン・イソプレン共重合の水素添加物(SEPS)、スチレンブロック共重合体(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)等が、反応性エラストマーはこれらのエラストマーを酸変性したものが挙げられる。
リン酸化合物としては、例えば次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、例えばメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類、例えばオルトリン酸モノメチル、オルトリン酸モノエチル、オルトリン酸モノプロピル、オルトリン酸モノブチル、オルトリン酸モノ-2-エチルヘキシル、オルトリン酸モノフェニル、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸モノプロピル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸モノ-2-エチルヘキシル、亜リン酸モノフェニル、オルトリン酸ジ-2-エチルヘキシル、オルトリン酸ジフェニル亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジ-2-エチルヘキシル、亜リン酸ジフェニル等のモノ、ジエステル化物、縮合リン酸とアルコール類とからのモノ、ジエステル化物、例えば前記のリン酸類に、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のエポキシ化合物を付加させたもの、例えば脂肪族又は芳香族のジグリシジルエーテルに前記のリン酸類を付加させて得られるエポキシリン酸エステル類等が挙げられる。
接着促進剤としては、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N’-メチル-N-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノネン、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等の3級アミン類及びこれら3級アミン類をフェノール、オクチル酸、4級化テトラフェニルボレート塩等でアミン塩にした化合物、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のカチオン触媒、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物などが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系の触媒が挙げられる。金属錯体系の触媒としては、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)、Co(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩、例えば鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が例示される。毒性と触媒活性の点から、鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)またはマンガンアセチルアセトネート(Mn(acac)2)が好ましい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
無機金属系の触媒としては、Sn、Fe、Mn、Cu、Zr、Th、Ti、Al、Co等から選ばれるものが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
有機金属系触媒としては、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジクロライド等の有機錫化合物、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等の有機ニッケル化合物、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の有機コバルト化合物、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、テトライソプロピルオキシチタネート、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、ω-エナントールラクタム、η-カプリルラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でもε-カプロラクタムが硬化促進により効果的である。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
チタンキレート錯体は、紫外線照射により触媒活性が高められる化合物であり、脂肪族又は芳香族ジケトンをリガンドとするチタンキレート錯体であることが硬化促進効果に優れる点から好ましい。又、本発明ではリガンドとして芳香族又は脂肪族ジケトンに加え、炭素原子数2 10のアルコールを持つものがより本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
エステル化触媒としては、周期律表の2族、4族、12族、13族、14族、15族からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、またはその金属の化合物からなる重合触媒が好ましい。かかる金属またはその金属化合物からなる重合触媒としては、Ti、Sn、Zn、Al、Zr、Mg、Hf、Ge等の金属、これらの金属の化合物、より具体的にはチタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2-エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
(その他の添加剤)
本発明で使用する接着剤は、上述した成分以外に、レベリング剤、コロイド状シリカやアルミナゾルなどの無機微粒子、ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子、消泡剤、タレ性防止剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、難燃剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防錆剤、蛍光性増白剤、無機系熱線吸収剤、防炎剤、帯電防止剤、脱水剤等を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量は、本発明の接着剤の機能を損なわない範囲内で適宜調整すればよい。
上述した各成分を混合することにより本発明で使用する接着剤を調整することができる。この際、各成分は同時に混合して接着剤としてもよいが、硬化剤(B)以外の成分を予め混合してプレミクスチャーを調整しておき、接着剤の使用時に硬化剤(B)を混合する2液型の接着剤とすることが接着剤の安定性、作業性に優れることから好ましい。
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、第一の基材と、第二の基材と、前記第一の基材と前記第二の基材との間に配置された接着層とを含み、前記第一及び前記第二の基材がオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂からなり、前記接着層が、酸及び/又は水酸基で変性されたオレフィン系樹脂(A)を主成分とする接着剤からなることを特徴とする積層フィルムである。即ち、前記第一の基材と、前記第二の基材とを前記接着剤で貼り合わせたものである。
リサイクルの観点から、できるだけ層構成は簡素であることが好ましいが、包装材の流通性の観点から、包装材の内容物や製品の説明や名称を表示するための印刷は必要であることが多い。このための印刷インキとして、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ等のリキッドインキが使用されることが多い。
(印刷層)
印刷層は、文字、図形、記号、その他所望の絵柄等が、リキッドインキ等を用いて印刷された層である。積層体が設けられる位置は任意である。本明細書においてリキッドインキはグラビア印刷またはフレキソ印刷に用いられる溶剤型のインキの総称である。樹脂、着色剤、溶剤を必須の成分として含むものであってもよいし、樹脂と溶剤を含み、着色剤を実質的に含まない、いわゆるクリアインキであってもよい。
リキッドインキに用いられる樹脂は特に限定されるものではなく、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン‐マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂等が挙げられ、1種または2種以上を併用できる。好ましくはポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種、あるいは2種以上である。
リキッドインキに用いられる着色剤としては、酸化チタン、弁柄、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの無機顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料当の有機顔料、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどの体質顔料が挙げられる。
リキッドインキに用いられる有機溶剤は、芳香族炭化水素系有機溶剤を含まないことが好ましい。より具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤などが挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
(その他の基材)
本発明の積層フィルムは、前述の通り、第一の基材と、第二の基材と、前記第一の基材と前記第二の基材との間に配置された接着層とを含む積層フィルムであるが、第一の基材や第二の基材以外の他の基材を更に積層させていてもよい。
具体的には、例えば、
第一の基材/接着層/第二の基材
第一の基材/接着層/第二の基材/接着層/第三の基材
第一の基材/接着層/第三の基材/接着層/第二の基材
第一の基材/接着層/第二の基材/接着層/第三の基材/接着層/第四の基材
第一の基材/接着層/第三の基材/接着層/第四の基材/接着層/第二の基材
(ここでは、他の基材を、第三の基材や第四の基材として表している)
等々、複数の基材が積層された構造を有する積層フィルムであってもよい。
このような他の基材を含む場合であっても、他の基材の原料は、オレフィン樹系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂であることが、リサイクル性に優れることから好ましい。原料であるオレフィン系樹脂の種類や、フィルムの製法、添加剤の種類、膜厚等、前記第一の基材や第二の基材と同様のものを使用することができる。
また、本発明の積層フィルムと他の基材を貼り合わせる際にも、前記接着剤を使用することが、リサイクル性と接着性に優れることから好ましい。
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルムは、前述の通り、前記第一の基材と、前記第二の基材とを前記接着剤で貼り合わせたものである。また他の基材までを構成に含む場合であっても、前記接着剤を使用することが、リサイクル性と接着性に優れることから好ましい。
前記接着剤が溶剤型である場合、前記第一の基材または前記第二の基材のどちらか一方に前記接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方を貼り合せて本発明の積層フィルムを得る。ラミネート後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
前記接着剤が無溶剤型である場合、前記第一の基材または前記第二の基材のどちらか一方に、予め40℃~100℃程度に加熱しておいた前記接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方を貼り合せて本発明の積層フィルムを得る。ラミネート後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
前記接着剤の塗布量は、適宜調整する。溶剤型の場合、一例として固形分量が0.1g/m以上10g/m以下、好ましくは0.3g/m以上5g/m以下となるよう調整する。無溶剤型の場合、前記接着剤の塗布量が一例として0.1g/m以上10g/m以下、好ましくは0.3g/m以上5g/m以下である。
<包装材>
本発明の積層フィルムは、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
本発明の包装材は、本発明の積層フィルムを使用し、積層フィルムのシーラントフィルムの面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして袋状にして得られる。製袋方法としては、本発明の積層フィルムを折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の積層フィルムの第一の基材、及び第二の基材が、包装材を形成する際にヒートシール部位となるシーラント層として機能しない場合には、更にシーラント層を追加すればよい。シーラント層としては、追加の基材を本発明の接着剤で貼り合わせてもよいし、本発明の接着剤からなる接着層でもよい。
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物として、例えば食品としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。
また非食品としては、タバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、化粧水や乳液等の化粧品、真空断熱材、電池等、様々な包装材料としても使用され得る。
(リサイクルプラスチック)
本発明の積層フィルム、及び本発明の積層フィルムからなる包装材は、リサイクル性に優れる。ここで、積層フィルムをリサイクルプラスチックとする加工方法の一例を示す。もちろん本発明においてはこの限りではなく各種公知のリサイクルプラスチック加工方法を適用することが可能である。
積層フィルムを、破砕機等で破砕する。破砕機は公知の粉砕機を使用すればよく特に限定はない。
粉砕した後のフィルム片は、溶融混練、溶媒キャストブレンド、ラテックスブレンド、ポリマーコンプレックス等で物理的にブレンドする。特に溶融混練法が一般的である。混練するための装置としては、タンブラ、ヘンシェルミキサ、ロータリーミキサ、スーパーミキサ、リボンタンブラ、Vブレンダ等が挙げられる。このような混練装置によって溶融混練した上で、ペレット化する。溶融混練ペレット化には単軸、または多軸押出機を用いるのが一般的で、フィルム片のまま投入しても、加熱または非加熱で圧縮減容処理した後に投入してもよい。更にこれら押出機以外に、バンバリーミキサ、ローラ、コ・ニーダ、ブラストミル、プラベンダーブラウトグラフ等を用いることもでき、これらは回分的、または連続的に運転される。また、溶融混練はせずに、成形用樹脂として使用し成形機加熱筒内で溶融混練する方法でもよい。
以下、本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
(イソシアネート化合物の調整)
(イソシアネート化合物1)
デスモジュールL-75(トリメチロールプロパン1モルに対してトリレンジイソシアネートが3モル付加したアダクト型ポリイソシアネート、住化コベストロウレタン株式会社製)を酢酸エチル溶液で不揮発分75質量%に調整した。
(イソシアネート化合物2)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、デスモジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット構造体、COVESTRO社製) 90部、酢酸エチル10部を仕込み、不揮発分90質量%溶液を調整した。
(エポキシ化合物の調整)
(エポキシ化合物1)
デナコールEX-321L(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製)を使用した。
(オレフィン系樹脂の調整)
(オレフィン系樹脂1)
ユニストールP-901(水酸基を有するオレフィン樹脂、三井化学株式会社製、不揮発分22質量%)を使用した。
(オレフィン系樹脂2)
アウローレンS-5419S(酸基、酸無水物基を有するオレフィン樹脂、日本製紙株式会社製)をメチルシクロヘキサン及び酢酸エチル溶液で不揮発分15質量%に調整した。
(接着剤塗工液の調整)
下表1の重量比で配合し、接着剤塗工液1~8を調整した。なお、空欄は未配合を示す。
Figure 0007347708000001

(実施例1)
基材1として2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-OT P2161、20μm)に接着剤塗工液1を、接着剤の固形分重量が約3.0g/mとなるようにバーコーターを使用して塗布し、溶剤を揮散させた後、卓上カレンダーロールを用いて基材2として無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-CT P1128、30μm)と貼り合わせ、25℃で72時間エージングすることで積層フィルム1を作成した。
(実施例2)
基材1として2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-OT P2161、20μm)に接着剤塗工液1を、接着剤の固形分重量が約3.0g/mとなるようにバーコーターを使用して塗布し、溶剤を揮散させた後、卓上カレンダーロールを用いて基材2として無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-CT P1128、30μm)と貼り合わせ、40℃で72時間エージングすることで積層フィルム2を作成した。
(実施例3)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルム3を作成した。
(実施例4)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液2を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム4を作成した。
(実施例5)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液3を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルム5を作成した。
(実施例6)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液3を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム6を作成した。
(実施例7)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液4を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム7を作成した。
(実施例8)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液5を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム8を作成した。
(実施例9)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液6を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム9を作成した。
(実施例10)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液7を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム10を作成した。
(実施例11)
接着剤塗工液として、接着剤塗工液8を使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルム11を作成した。
(実施例12)
基材1として2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-OT P2161、20μm)に、接着剤塗工液2を、接着剤の固形分重量が約0.7g/mとなるようにバーコーターを使用して塗布し、溶剤を揮散させた後、卓上カレンダーロールを用いて基材2として無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-CT P1128、30μm)と貼り合わせ、50℃で24時間エージングすることで積層フィルム12を作成した。
(実施例13)
基材2として、アルミニウムを蒸着した無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製、アルミ蒸着バリアフィルム VM-CPP 2703、30μm)を使用した以外は、実施例12と同様にして積層フィルム13を作成した。
(実施例14)
基材1として、ポリビニルアルコールをコートした2軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製、A-OP BH、20μm)を使用した以外は、実施例12と同様にして積層フィルム14を作成した。
(比較例1)
基材1として2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-OT P2161、20μm)に接着剤塗工液を塗工せずに、卓上カレンダーロールを用いて基材2として無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-CT P1128、30μm)と貼り合わせ、40℃で72時間エージングすることで積層フィルム15を作成した。
(比較例2)
無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製、パイレンフィルム-CT P1128、30μm)を使用した。
上記実施例及び比較例で得られた積層フィルムにつき、以下の評価を行った。
(接着強度測定)
作成した積層フィルムから150mm×15mmに切り取ったサンプルを検体とした。接着強度(単位N/15mm)は2軸延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルム間の値を測定した。測定は、引張試験機(島津製作所製AGS-X)を使用し、180°剥離方法、T型剥離方法で300mm/minの剥離速度で行った。測定時の雰囲気温度は25℃とした。結果を表2、3、4、5に示す。
Figure 0007347708000002

Figure 0007347708000003

Figure 0007347708000004

Figure 0007347708000005

(ヒートシール強度測定)
実施例4で得た積層フィルムのヒートシール強度を測定した。
作成した積層フィルムから200mm×100mmを切り取り、無延伸ポリプロピレンフィルムが内側になるように100mm×100mmに折り曲げ、折り曲げ部を10mm幅で1atm、160℃、1秒間の条件にてヒートシールテスター(テスター産業製)でヒートシールした。このヒートシールした積層フィルムに対し、ヒートシール部は10mm×15mm、ヒートシールしていない部分は90mm×15mmとなるようにサンプルを切り出し、検体とした。ヒートシール強度(単位N/15mm)はヒートシールしていない部分を引張試験機に取り付け、ヒートシール部の値を測定した。測定は、引張試験機(島津製作所製AGS-X)を使用し、T型剥離方法で300mm/minの剥離速度で行った。測定時の雰囲気温度は25℃とした。結果を表6に示す。
Figure 0007347708000006

(リサイクル性評価)
実施例4で得た積層フィルム4、及び、比較例2の無延伸ポリプロピレンフィルムを使用した。
各フィルムを幅10mm、長さ300mmの短冊に裁断したものを、2軸混錬押出装置(株式会社テクノベル社製、ULTnano15TW)を用いて、240℃、100rpm、3分間溶融混錬した後、ノズルから押出し、直ちに水道水で冷却し、ストランド状の樹脂を得て、裁断することによりリペレットサンプルを得た。実施例4で得た積層フィルム4から得たリペレットサンプルは「A」、比較例2の無延伸ポリプロピレンフィルムから得たリペレットサンプルは「Z」と称す。
リペレットサンプルを9gをステンレス製プレス額縁金型(内寸100mm角、厚さ1mm)の中に投入し、ステンレス板(厚さ2mm)に挟み、210℃、30MPa、3分間圧縮成型することにより、厚さ1mmのプラスチック板を作製し、株式会社ダンベル社製スーパーダンベルカッターSDK500 1/3を用い、JIS K6251-5号の1/3サイズ試験片を打ち抜き、引張試験に用いた。引張試験は50mm/min、チャック間距離30mmで実施し、引っ張り伸度を測定した。
YI値(黄色度)は、ASTM E 313に従い測定した。
結果を表7に示す。
Figure 0007347708000007

以上より、本願実施例の積層フィルムは、リサイクルプラスチックの品質を低下させず、製造が容易で、且つ層間接着強度等の機能性を維持できることが明らかである。

Claims (7)

  1. 第一の基材と、第二の基材と、前記第一の基材と前記第二の基材との間に配置された接着層とを含み、
    前記第一及び前記第二の基材がオレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂からなり、
    前記接着層が、酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を有するオレフィン樹脂(A)、及び、酸基、酸無水物基及び/又は水酸基を架橋しうる硬化剤(B)を含有する接着剤(但し水添スチレン系樹脂と、粘着付与剤のいずれの成分も含まない)からなることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記硬化剤(B)が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング剤、及び金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記硬化剤(B)が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シランカップリング剤、及び金属化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であり、前記硬化剤(B)の配合量が前記オレフィン系樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上50質量部以下である請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 前記第一及び前記第二の基材におけるオレフィン系樹脂が、バイオマス由来の原料を含有する請求項1に記載の積層フィルム。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルムからなる包装材。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載の積層フィルムを加工したリサイクルプラスチック。
  7. 請求項5に記載の包装材を加工したリサイクルプラスチック。
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