JP2023094000A - 接着剤、積層体、包装材 - Google Patents

接着剤、積層体、包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れた接着剤を提供する。【解決手段】 酸基含有樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B1)を含む硬化剤(B)とを含む2液型接着剤であって、エポキシ樹脂(B1)が1,2,3-トリヒドロキシベンゼンとエピハロヒドリンとを、第4級オニウム塩および塩基性化合物1から選ばれる少なくとも一種の存在下で、20℃以上80℃以下で反応させる工程(1)と、工程(1)で得られる反応物を塩基性化合物2の存在下で閉環させる工程(2)とを経て得られる化合物である2液硬化型接着剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤、特に樹脂基材と金属基材とを接着するのに好適な接着剤、当該接着剤を用いて得られる積層体、包装材に関する。
リチウムイオン電池に代表される二次電池は、正極、負極およびその間に、電解液等を封入した構成をとっている。また、正極と負極の電気を外部に取り出すためのリード線を封入するための封入袋として、オレフィン樹脂からなるヒートシール層と、アルミニウム箔等の金属箔や金属蒸着層からなる金属基材と、プラスチックとを接着剤を用いて貼り合せた積層体を用いることが知られている(特許文献1、2)。
特開2016-132716号公報 国際公開第2014/123183号パンフレット
接着剤を介してオレフィン樹脂からなるヒートシール層と金属基材とを貼り合せる際には、一般的に、加温しながら接着剤の硬化を促進する、いわゆるエージング工程が設けられる。エージング工程におけるエージング温度、エージング時間は適宜選択すればよいが、一例としてオレフィン樹脂の熱収縮影響が小さい80℃以下で行うことが好ましい。一方で、エージング温度が低いほど、またエージング時間が短いほど接着剤の特性が発揮され難くなる傾向がある。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れた接着剤を提供することを目的とする。さらに、このような接着剤を用いて得られる積層体、当該積層体を用いて得られる二次電池外装材および電池を提供することを目的とする。
本発明は、酸基含有樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B1)を含む硬化剤(B)とを含む2液型接着剤であって、エポキシ樹脂(B1)が1,2,3-トリヒドロキシベンゼンとエピハロヒドリンとを、第4級オニウム塩および塩基性化合物1から選ばれる少なくとも一種の存在下で、20℃以上80℃以下で反応させる工程(1)と、工程(1)で得られる反応物を塩基性化合物2の存在下で閉環させる工程(2)とを経て得られる化合物である2液硬化型接着剤に関する。
本発明の接着剤は、低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れる。また、本発明の積層体は接着性、耐電解液性に優れる。
<接着剤>
本発明の接着剤は、酸基含有樹脂(A)と、硬化剤(B)とを含み、硬化剤(B)は1,2,3-トリヒドロキシベンゼンとエピハロヒドリンとを、第4級オニウム塩および塩基性化合物1から選ばれる少なくとも一種の存在下で、20℃以上80℃以下で反応させる工程(1)と、前記工程(1)で得られる反応物を塩基性化合物2の存在下で閉環させる工程(2)とを経て得られるエポキシ樹脂(B1)を含む。以下、本発明の接着剤の各成分について詳細に説明する。
本発明の接着剤に用いられる酸基含有樹脂(A)が備える酸基としては、カルボキシル基、無水カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。酸基含有樹脂(A)はこれらのうち1種のみを備えるものであってもよいし、2種以上を備えるものであってもよい。
酸基含有樹脂(A)の酸価は、金属との密着性が向上するため1mgKOH/g以上であることが好ましく、5mgKOH/g以上であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが好ましく、165mgKOH/g以下であることがより好ましい。200mgKOH/g以下であれば柔軟性に優れ、1mgKOH/g以上であれば耐熱性が良好である。
尚、本願発明において、酸価とは固形分酸価であり、試料1g中に存在する酸分を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。秤量した試料をトルエン/メタノール=70/30(体積比)の溶媒に溶かし、1%フェノールフタレインアルコール溶液を数滴滴下しておき、そこに0.1mol/Lの水酸化カリウムアルコール溶液を滴下して変色点を確認し、以下の計算式を用いて算出する。
酸価(mgKOH/g)=(V×F×5.61)/S
V:0.1mol/Lの水酸化カリウムアルコール溶液の滴下量(mL)
F:0.1mol/Lの水酸化カリウムアルコール溶液の力価
S:試料の採取量(g)
5.61:0.1mol/Lの水酸化カリウムアルコール溶液1mL中の水酸化カリウム相当量(mg)
なお、測定に用いる試料が樹脂溶液の場合には、さらに下記の計算式を用いて固形分酸価を算出する。
酸価(mgKOH/g)=樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)/NV(%)×100
NV:試料の不揮発分(%)
酸基含有樹脂(A)の樹脂骨格は、特に限定はないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂等を好ましく用いることができる。
酸基含有アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する単量体及び酸基を有する重合性単量体を必須成分とし、必要に応じて他の重合性不飽和単量体と重合して得られる共重合体が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する単量体は酸基を有する重合性単量体を兼ねていてもよく、この場合は酸基含有アクリル樹脂が(メタ)アクリロイル基及び酸基を有する重合性単量体の単独重合体であってもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル基」とはアクリロイル基とメタクリロイル基の一方または両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸の一方または両方をいい、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートとメタクリレートの一方または両方をいう。
酸基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸;β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びこれらのラクトン変性物等、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、リン酸メチレン(メタ)アクリレート、リン酸トリメチレン(メタ)アクリレート、リン酸プロピレン(メタ)アクリレート、リン酸テトラメチレン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基及びリン酸基を有する化合物;
2-スルホエチル(メタ)アクリレート、2-スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸又はこれらの塩等の(メタ)アクリロイル基及びスルホン酸基を有する化合物;
クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の、炭素原子数が1~22のアルキル基を有する(メタ)アクリルレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;
ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の、芳香環を有する(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール等の、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;
2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレート等の、フルオロアルキル基の炭素の炭素原子数が1から18であるフルオロアルキル(メタ)アクリレート;
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
等が挙げられる。
その他の重合性不飽和単量体としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチル等の、不飽和ジカルボン酸エステル類;
スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体;
ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエン等のジエン系化合物;
塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン;
メチルビニルケトン、ブチルビニルケトン等の不飽和ケトン類;
酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル類;
アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド類;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロスチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有α-オレフィン類;トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル等の、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が1から18であるパーフルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル類;等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体;
等が挙げられる。これらの他の重合性不飽和単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸基含有アクリル樹脂は公知慣用の方法を用いて重合(共重合)して得られ、その重合(共重合)形態は特に制限されない。ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等、いずれであってもよい。触媒(重合開始剤)の存在下で付加重合により製造することができる。塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を使用できる。
酸基含有ウレタン樹脂としては、下記式(3)で表される化合物と、下記式(4)で表される化合物とを含む組成物の反応生成物が挙げられる。
Figure 2023094000000001
(式(3)中、Xは芳香環または脂環構造を表し、n1およびn2はそれぞれ独立して0以上3以下の整数を表す。)
Figure 2023094000000002
(式(4)中、Rは水素原子または炭素原子数1以上3以下の炭化水素基またはカルボニル基を表し、m1~m3はそれぞれ独立して0以上3以下の整数を表す。)
上記式(3)で表される化合物が有する芳香環構造としては、炭素原子数が6以上18以下の芳香環であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。また、上記式(3)で表される化合物が有する芳香環は、少なくとも1つのフッ素原子により置換されていてもよく、パーフルオロフェニル基等が挙げられる。
上記式(3)で表される化合物が有する脂環構造としては、炭素原子数が3以上20以下のものが好ましく、単環、多環、縮合環のいずれであってもよい。脂環と芳香環が組み合わさった環構造であってもよい。
単環構造としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン等のシクロアルカン;シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のシクロアルケン;等が挙げられる。多環構造としては、キュバン、バスケタン、ハウサン等が挙げられる。縮合環構造としては、ビシクロウンデカンやデカヒドロナフタレン、ノルボルネンやノルボルナジエン等が挙げられる。
上記式(3)で表される化合物の好ましい具体例としては、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記式(4)で表される化合物としては、m3が0であることが好ましい。また、上記式(4)で表される化合物としては、Rが炭素原子数1以上3以下の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(4)で表される化合物の好ましい具体例としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。
酸基含有オレフィン樹脂としては、酸基含有モノマーの単独重合体または共重合体、酸基含有モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体、ポリオレフィンの酸基含有モノマー変性体等が挙げられる。
酸基含有モノマーの単独重合体または共重合体の調整に用いられる酸基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物が好ましい。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、4-メチルシクロヘキセ-4-エン-1,2-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,8,9,10-オクタヒドロナフタレン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-オクタ-1,3-ジケトスピロ[4.4]ノン-7-エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル―ノルボルネン-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、ノルボルン-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
酸基含有モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体の調整に用いられる酸基含有モノマーとしては、上述した酸基含有モノマーの単独重合体または共重合体の調整に用いられる酸基含有モノマーと同様のものを用いることができる。単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無水マレイン酸を用いることが好ましい。
酸基含有モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体の調整に用いられるオレフィン系モノマーとしては、炭素原子数が2~8のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらのなかでも特に接着強度が良好なものとなることから炭素原子数3~8のオレフィンが好ましく、プロピレン、及び1-ブテンがより好ましく、とりわけプロピレンと1-ブテンとを併用することが溶剤に対する耐性に優れ、接着強度に優れる点から好ましい。
酸基含有モノマーとオレフィン系モノマーとの共重合体の調整には、上述した酸基含有モノマー、オレフィン系モノマーに加え、その他のエチレン性不飽和基を持つ化合物、例えばスチレン、ブタジエン、イソプレン等を併用してもよい。
ポリオレフィンの酸基含有モノマー変性体の調整に用いられる酸基含有モノマーとしては、上述した酸基含有モノマーの単独重合体または共重合体の調整に用いられる酸基含有モノマーと同様のものを用いることができる。単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。無水マレイン酸を用いることが好ましい。
ポリオレフィンの酸基含有モノマー変性体の調整に用いられるポリオレフィンとしては、炭素原子数2~8のオレフィンの単独重合体や共重合体、炭素原子数2~8のオレフィンと他のモノマーとの共重合体等が挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリビニルシクロヘキサン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体などのα―オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などが挙げられる。これらの中で特に接着強度が良好なものとなる点から炭素原子数3~8のオレフィンの単独重合体、炭素原子数3~8のオレフィンの2種以上の共重合体が好ましく、プロピレンの単独重合体、又はプロピレン・1-ブテン共重合体がより好ましく、とりわけプロピレン・1-ブテン共重合体が溶剤に対する耐性や、耐熱性に優れ、接着強度に優れる点から好ましい。
酸基含有モノマーによりポリオレフィンを変性する方法としては、グラフト変性や共重合化が挙げられる。グラフト変性によりポリオレフィンに酸基含有モノマーを反応させるには、具体的には、ポリオレフィンを溶融し、そこに酸基含有モノマー(グラフトモノマー)を添加してグラフト反応させる方法、ポリオレフィンを溶媒に溶解して溶液とし、そこにグラフトモノマーを添加してグラフト反応させる方法、有機溶剤に溶解したポリオレフィンと、グラフトモノマーとを混合し、ポリオレフィンの軟化温度または融点以上の温度で加熱し溶融状態にてラジカル重合と水素引き抜き反応を同時に行う方法等が挙げられる。
いずれの場合にもグラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下にグラフト反応を実施することが好ましい。グラフト反応は、通常60~350℃の条件で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は変性前のポリオレフィン100重量部に対して、通常0.001~1重量部の範囲である。
接着性を良好なものとするため酸基含有オレフィン樹脂の重量平均分子量は40,000以上であることが好ましい。また、適度な流動性を確保するため酸基含有オレフィン樹脂の重量平均分子量は150,000以下であることが好ましい。
尚、本願発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC-8320GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSKgel 4000HXL、TSKgel 3000HXL、TSKgel 2000HXL、TSKgel 1000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC-8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
酸基含有オレフィン樹脂は結晶性であることが好ましい。酸基含有オレフィン樹脂の融点は50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、65℃以上であることがより好ましい。また、酸基含有オレフィン樹脂の融点は120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがより好ましい。
酸基含有オレフィン樹脂の融点はDSC(示差走査熱量分析)により測定する。具体的には降温到達温度から昇温到達温度まで10℃/minで昇温後、10℃/minで降温到達温度まで冷却して熱履歴を除去した後、再度10℃/minで昇温到達点まで昇温する。2度目に昇温した際のピーク温度を融点とする。また、降温到達温度は結晶化温度よりも50℃以上低い温度に、昇温到達温度は融点温度よりも30℃位以上高い温度に設定する。降温到達温度、昇温到達温度は試測定して決定する。
このような酸基含有オレフィン樹脂の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリレート-無水マレイン酸三元共重合体等が挙げられる。酸基含有オレフィン樹脂の市販品としては、三菱化学(株)製「モディック」シリーズ、三井化学(株)製「アドマー」シリーズ、「ユニストール」シリーズ、東洋紡(株)製「トーヨータック」シリーズ、三洋化成(株)製「ユーメックス」シリーズ、日本ポリエチレン(株)製「レクスパールEAA」シリーズ、「レクスパールET」シリーズ、ダウ・ケミカル(株)製「プリマコール」シリーズ、三井・デュポンポリケミカル製「ニュクレル」シリーズ、アルケマ製「ボンダイン」シリーズ等が挙げられる。
酸基含有樹脂(A)としては、上述した以外のものを用いることもでき、例えば、旭化成株式会社製のタフテックMシリーズ、クレイトンポリマージャパン株式会社製のクレイトンFGシリーズ等が挙げられる。
硬化剤(B)は、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン(以下ではピロガロールとも称する)とエピハロヒドリンとを、第4級オニウム塩および塩基性化合物1から選ばれる少なくとも一種の存在下で、20℃以上80℃以下で反応させる工程(1)と、前記工程(1)で得られる反応物を塩基性化合物2の存在下で閉環させる工程(2)とを経て得られるエポキシ樹脂(B1)を含む。このようなエポキシ樹脂(B1)を用いることにより、低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れる接着剤とすることができる。
工程(1)は、ピロガロールとエピハロヒドリンとを含む混合物を、第4級オニウム塩および/または塩基性化合物1の存在下で反応させる工程である。混合物は、ピロガロールおよびエピハロヒドリンの他、必要に応じて反応溶媒等を含んでいてもよい。
エピハロヒドリンとしては、特に制限されないが、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β-メチルエピクロロヒドリン、β-メチルエピブロモヒドリン等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エピハロヒドリンの使用量は特に制限されないが、エポキシ樹脂(B1)を合成する際の副生成物を制御しやすくなることから、ピロガロールのヒドロキシ基1モルに対して1.2モル以上であることが好ましく、1.5モル以上であることがより好ましい。収率の観点から、20モル以下であることが好ましく、10モル以下であることがより好ましい。
反応溶媒としては特に制限されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジオキサン等のエーテル;ジメチルスルホン;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの反応溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応溶媒を用いる場合、その添加量は、エピハロヒドリン100部に対して、5~150部であることが好ましく、7.5~100部であることがより好ましく、10~50部であることがさらに好ましい。
第4級オニウム塩は工程(1)の反応を促進させる機能を有する。第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、メチルトリエチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリブチルメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、フェニルトリメチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリメチルアンモニウムカチオン、フェニルトリエチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリエチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリブチルアンモニウムカチオンの塩化物塩、テトラメチルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオンの臭化物塩等が挙げられる。単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。テトラメチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリメチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリエチルアンモニウムカチオンの塩化物塩、テトラブチルアンモニウムカチオンの臭化物塩を用いることが好ましい。
第4級ホスホニウム塩としては、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、メチルトリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、エチルトリフェニルホスホニウムカチオン、ブチルトリフェニルホスホニウムカチオン、ベンジルトリフェニルホスホニウムカチオンの臭素化物塩が挙げられる。
第4級オニウム塩の添加量は、反応の適好な進行の観点から、ピロガロールとエピハロヒドリンの合計質量に対して0.15質量%以上であることが好ましく、0.18質量%以上であることがより好ましい。エポキシ樹脂(B1)への残留低減の観点からは5質量%以下であることが好ましく、3質量%であることがより好ましい。
塩基性化合物1もまた、上記第4級オニウム塩と同様に、工程(1)の反応を促進させる機能を有する。塩基性化合物1としては、特に制限されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。なお、これらの塩基性化合物1は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性化合物1の添加量は特に制限されないが、、後述する工程(2)の反応の好適な進行の観点からピロガロールのフェノール性水酸基のモル数に対して0.01モル以上であることが好ましく、0.02モル以上であることがより好ましい。副反応の防止、抑制の観点からは0.3モル以下であることが好ましく、0.2モル以下であることがより好ましい。
第4級オニウム塩および塩基性化合物1は、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
工程(1)では、主にピロガロールのヒドロキシ基がエピハロヒドリンと反応することにより、以下に示すトリス(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体が得られる。
Figure 2023094000000003
なお、上記式において、「X」は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。また、「R」は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
工程(1)の反応温度は、反応の好適な進行の観点から20℃以上であり、40℃以上であることがより好ましい。副反応の防止、抑制の観点からは80℃以下であり、75℃以下であることがより好ましい。
工程(1)の反応時間は特に制限されないが、反応の好適な進行および副反応の防止、抑制の観点から0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上50時間以下であることがより好ましい。
工程(2)は、工程(1)で得られる反応物を、塩基性化合物2の存在下で閉環させる工程である。工程(1)で得られる反応物は、トリス(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体を含む。その他副生物、未反応のピロガロール、未反応のエピハロヒドリン、反応溶媒、不純物等を含みうる。
塩基性化合物2は、工程(2)の反応条件を塩基性条件とし、閉環反応を促進する機能を有する。塩基性化合物2としては特に制限されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。なお、これらの塩基性化合物2は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性化合物2の添加量は、特に制限されないが、開環反応の好適な進行の観点からピロガロールのフェノール性水酸基のモル数に対して0.8モル以上であることが好ましく、0.9モル以上であることが好ましい。副反応の防止、抑制の観点からは1.5モル以下であることが好ましく、1.3モル以下であることがより好ましい。なお、工程(1)で塩基性化合物1を用いる場合は、工程(1)で用いる量も含めて上述の添加量とすることが好ましい。
工程(2)の反応は、主にトリス(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体の3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル基が、塩基性条件下において、グリシジル化反応をすることにより、以下に示すピロガロールのトリグリシジル体(1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼン)を得るものである。
Figure 2023094000000004
なお、上記式において、「R」は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
工程(2)の反応温度は、特に制限されないが、30~120℃であることが好ましく、25~80℃であることがより好ましい。工程(2)の反応時間としては、特に制限されないが、0.5~4時間であることが好ましく、1~3時間であることがより好ましい。
なお、工程(2)における反応を適好に進行させるため、更に精製する工程を用いてもよい。
また、工程(2)を行った後、必要に応じて得られる反応生成物の精製等を行うことができる。
工程(2)の反応生成物は、1,2,3-トリヒドロキシベンゼンに由来する2つの隣接酸素原子を構成原子として含む環状構造を有する環状化合物を含む。また、通常、1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼン(本明細書において、「ピロガロールのトリグリシジル体」とも称する)を含む。その他、オリゴマー、他のグリシジル体、溶媒、その他の化合物等をさらに含みうる。
ピロガロールのトリグリシジルエーテル体はベンゼン環の隣接した位置にグリシジルエーテル基を有する。接着剤の塗膜中に、このうち1つが酸基含有樹脂(A)と反応し、残る2つが未反応の部位が存在し、未反応のグリシジルエーテル基が基材への密着性を高めているのではないかと考えられる。
ピロガロールのトリグリシジルエーテル体は結晶性化合物であるが、上記のような副生成物が含まれていると取り扱い性が良好になるため好ましい。一方で上記のような副生成物の含有量が多すぎると、エポキシ樹脂(B1)の官能基濃度が低下する。副生成物の含有量の目安としては1,2,3-トリヒドロキシベンゼンに由来する2つの隣接酸素原子を構成原子として含む環状構造を有する環状化合物を用いることができる。エポキシ樹脂(B1)は前記環状化合物を含むことが好ましく、その含有量はエポキシ樹脂(B1)100gに対して0.04~0.115mоlであることが好ましい。
エポキシ樹脂(B1)に占める1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼンの含有量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定における面積比率で55%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、78%以上であることが特に好ましく、80~95%であることが最も好ましい。1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼンの含有量がGPC測定における面積比率で55%以上であると、耐熱性、接着強度が向上しうることから好ましい。なお、本明細書において、「GPC測定における面積比率」とは、反応生成物をGPC測定して得られるGPCチャートのうち、対象とする化合物が占める面積の比率を意味する。具体的な測定方法については、実施例に記載の方法を採用するものとする。
反応生成物中に含まれる環状化合物、オリゴマー等は1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのグリシジル化反応の副反応が生じる結果として得られるものである。副反応は工程(1)、(2)における反応条件を調整することにより制御することができ、これによって、1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのトリグリシジル体だけでなく、前記環状化合物、前記オリゴマー等の含有量を制御することができる。
例えば、工程(1)は、上述の通り、トリス(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体を得るものであるが、反応条件によっては、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル基が一部閉環する副反応が生じ、グリシジル基およびヒドロキシ基を有する中間体が生成しうる。この場合、副反応により得られた中間体が分子内で反応すると環状化合物が生成することになり、分子間で反応するとオリゴマーが生成することとなる。このため、工程(1)において、グリシジル基およびヒドロキシ基を有する中間体を生成する副反応を制御すると、環状化合物やオリゴマーの量を制御できる傾向にある。例えば、工程(1)を高温条件下で行うと、グリシジル基を生成する副反応が促進され、得られる反応生成物中の環状化合物やオリゴマーの量は高い値となりうる。一方、工程(1)を低温条件下で行うと、グリシジル基を生成する反応は相対的に抑制され、得られる反応生成物中の環状化合物やオリゴマーの量は低い値となりうる。また、工程(1)を短時間で行うと、未反応のヒドロキシ基が多く存在し、工程(2)において生成したグリシジル基と反応することにより反応生成物中の環状化合物やオリゴマーの量は高い値となりうる。
なお、反応生成物中の各成分の含有量の制御は、種々の方法により行うことができる。例えば、上述の工程(1)における1,2,3-トリヒドロキシベンゼンの添加量、エピハロヒドリンの種類および添加量、第4級オニウム塩、塩基性化合物の種類および添加量、反応温度、反応時間等の調整により反応を制御することができる。また、工程(1)の原料、生成物等の添加または除去等により反応を制御することもできる。さらに、上述の工程(2)における塩基性化合物の種類および添加量、反応温度、反応時間、反応速度等の調整により反応を制御することができる。また、工程(2)の生成物等の添加または除去等により反応を制御することができる。その結果、反応生成物中の各成分の含有量を制御することができる。
環状化合物は、1,2,3-トリヒドロキシベンゼンに由来する2つの隣接酸素原子を構成原子として含む環状構造を有する化合物である。この際、1,2,3-トリヒドロキシベンゼンに由来する2つの隣接酸素原子を構成原子として含む環状構造としては、ベンゼン環と縮環構造にあるベンゾジオキサン構造等が挙げられる。当該環状化合物を所定量(エポキシ樹脂(B1)100gに対して、0.040~0.115mol)含むことにより、エポキシ樹脂(B1)は液状となり取扱い性、作業性に優れたものになる。
具体的な環状化合物としては、特に制限されないが、以下に示す化合物および前記化合物がさらにエピハロヒドリンと反応して得られる化合物等が挙げられる。
Figure 2023094000000005
なお、上記式において、「R」は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
上述の環状化合物は単独で含まれていても、2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。
なお、環状化合物の含有量は、上述のように反応を制御することで調整することができる。このような環状化合物の含有量の調整は、例えば、上述の工程(1)における1,2,3-トリヒドロキシベンゼンの添加量、エピハロヒドリンの種類および添加量、第4級オニウム塩、塩基性化合物1の種類および添加量、反応温度、反応時間等を適宜調整することにより行うことができる。また、工程(1)の原料、生成物等の添加または除去等により行うこともできる。さらに、上述の工程(2)における塩基性化合物2の種類および添加量、反応温度、反応時間、反応速度等を適宜調整することにより行うことができる。また、工程(2)の生成物等の添加または除去等により行うこともできる。
エポキシ樹脂(B1)は、オリゴマーを含んでいてもよい。なお、本明細書において、「オリゴマー」とは、ピロガロールまたはその誘導体が互いに反応することにより得られる化合物を意味する。このため、オリゴマーはピロガロール骨格を複数有する構造ともいえる。
オリゴマーとしては、特に制限されないが、上述の工程(1)で得られるトリス(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体、ビス(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体、モノ(3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルエーテル)中間体の1種または2種以上が反応して得られるオリゴマー;1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼン等の2官能以上のエポキシ化合物と、ピロガロール等の2官能以上の多価フェノールとが反応して得られるオリゴマー等が挙げられる。
上述のオリゴマーは、単独で含まれていても、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
エポキシ樹脂(B1)に占めるオリゴマーの含有量は、GPC測定における面積比率で12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましく、3.1%以下であることが特に好ましく、0.05~3.0%であることが最も好ましい。オリゴマーの含有量が12%以下であると、エポキシ樹脂の粘度が低くなり、取扱い性が向上することから好ましい。なお、オリゴマーを2種以上含む場合、「オリゴマーの含有量」は、これらの総含有量を意味する。
オリゴマーの含有量の調整についても、環状化合物の場合と同様に、工程(1)、(2)におけるピロガロールの添加量、エピハロヒドリンの種類および添加量、第4級オニウム化合物、塩基性化合物1の種類および添加量、反応温度、反応時間等を適宜調整することにより行うことができる。
エポキシ樹脂(B1)は、他のグリシジル体が含まれうる。他のグリシジル体としては、1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼン、環状化合物、およびオリゴマーを除く、グリシジル基を有する化合物を意味する。
他のグリシジル体としては、例えば下記構造で表されるピロガロールのジグリシジル体、ピロガロールのモノグリシジル体、およびこれらの誘導体等が挙げられる。この際、前記「誘導体」とは、前記ピロガロールのジグリシジル体、前記ピロガロールのモノグリシジル体のグリシジル基が、開環付加反応によりさらにエピハロヒドリンと反応して得られる化合物を意味する。
Figure 2023094000000006
なお、上記式において、「X」は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。また、「R」は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
上述の他のグリシジル体は、単独で含まれていても、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
エポキシ樹脂(B1)が含み得るその他の化合物としては、特に制限されず、ピロガロールとエピハロヒドリンとの反応で生じる生成物以外のものが挙げられる。具体的には、未反応のピロガロール、未反応のエピハロヒドリン、未反応の第4級オニウム塩、未反応の塩基性化合物、およびこれらに由来する化合物(副生成物等)が挙げられる。
なお、通常、反応の条件の制御や精製を行うため、その他の化合物の含有量は低い傾向がある。
その他の化合物の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の固形分に対して、5質量%以下であることが好ましく、0.05~5質量%であることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、200g/当量以下であることが好ましく、170g/当量以下であることがより好ましく、100~150g/当量であることが最も好ましい。エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量が200g/当量以下であると、耐熱性が向上しうることから好ましい。なお、本明細書において「エポキシ当量」の値は、実施例に記載される方法で測定された値を採用するものとする。
エポキシ樹脂(B1)の粘度は、特に制限されないが、25℃において1000~20000mPa・sであることが好ましく、1500~15000mPa・sであることがより好ましい。エポキシ樹脂の粘度が1000mPa・s以上であると、初期凝集力に優れ、接着強度の向上が期待できることから好ましい。一方、エポキシ樹脂(B1)の粘度が20000mPa・s以下であると、相対的に酸基含有樹脂(A)と混和しやすく、酸基含有樹脂(A)との反応性に優れることから好ましい。なお、本明細書において、「エポキシ樹脂(B1)の粘度」の値は、実施例に記載される方法で測定された値を採用するものとする。
エポキシ樹脂(B1)中の成分、物性の調整は、反応の制御により行ってもよいし、精製工程の制御により行ってもよいし、別途成分を添加することにより行ってもよい。この際、エポキシ樹脂(B1)を効率的に調製できる観点から、反応を制御してエポキシ樹脂(B1)の成分の含有量の調整を行うことが好ましい。
硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(B1)以外のエポキシ樹脂(B2)を含んでいてもよい。エポキシ樹脂(B2)としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、スピログリコールもしくは水添ビスフェノールA等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;
フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエールであるノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールADなどの芳香族系ポリヒドロキシ化合物のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体であるポリオールのポリグリシジルエーテル;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等の環状脂肪族型ポリエポキシ樹脂;
プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸もしくはトリメリット酸等のポリカルボン酸のポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α-ピネンもしくはビニルシクロヘキセン等の炭化水素系ジエンのビスエポキシ樹脂;
ポリブタジエンもしくはポリイソプレン等のジエンポリマーのエポキシ樹脂;
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
トリアジン、ヒダントイン等の複素環を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂(B2)は、1分子中に2つ以上のエポキシ基と1つ以上の水酸基を備え、重量平均分子量が3000以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂(B1)とエポキシ樹脂(B2)とを併用する場合、その配合量は適宜調整され、一例としてエポキシ樹脂(B1)とエポキシ樹脂(B2)との総量に占めるエポキシ樹脂(B1)の割合が1質量%以上99質量%以下である。
硬化剤(B)は、酸基含有樹脂(A)が含有するカルボキシル基と、エポキシ樹脂(B1)、(B2)が含有するエポキシ基との当量比(エポキシ基/カルボキシル基)が0.01以上10以下となる範囲で用いられることが好ましい。これにより、耐熱性、接着性に優れた接着剤とすることができる。酸基含有樹脂(A)が含有するカルボキシル基と、エポキシ樹脂(B1)、(B2)が含有するエポキシ基との当量比(エポキシ基/カルボキシル基)は、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがより好ましく、5以下であることがより好ましい。
硬化剤(B)として、本発明の効果を損ねない範囲でエポキシ樹脂(B1)、(B2)以外の化合物を併用してもよい。エポキシ樹脂(B1)、(B2)と併用可能な他の硬化剤としては、多官能イソシアネート化合物、アジリジン基含有化合物、カルボジイミド、オキサゾリン、アミノ樹脂などが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、若しくは水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネートおよびこれらから誘導された化合物、即ち、前記ジイソシアネートのイソシアヌレート体、アダクト体、ビウレット型、ウレトジオン体、アロファネート体、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、若しくはこれらの複合体等が挙げられる。
上述したような多官能イソシアネート化合物の一部のイソシアネート基を、イソシアネート基と反応性を有する化合物と反応させて得られる化合物を硬化剤として使用してもよい。イソシアネート基と反応性を有する化合物としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、ベンジルアミン、アニリン等のアミノ基を含有する化合物類:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、フェノール等の水酸基を含有する化合物類:アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物類:酢酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等のカルボン酸を含有する化合物等が挙げられる。
アジリジン基含有化合物としては、例えば、N,N´-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N´-ジフェニルメタン-4,4´-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート)、N,N´-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン-トリ-β(2-メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル-1-2-メチルアジリジン、トリ-1-アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス-1-2-メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
カルボジイミドとしては、N,N’-ジ-o-トルイルカルボジイミド、N,N’-ジフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’―ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’-ジオクチルデシルカルボジイミド、N-トルイル-N’-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,2-tert.-ブチルフェニルカルボジイミド、N-トルイル-N’-フェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-アミノフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-トルイルカルボジイミド等が挙げられる。
オキサゾリンとしては、2-オキサゾリン、2-メチル-2-オキサゾリン、2-フェニル-2-オキサゾリン、2,5-ジメチル-2-オキサゾリン、2,4-ジフェニル-2-オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物、2,2’-(1,3-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,2-エチレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4ブチレン)-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)などが挙げられる。
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
本発明の接着剤は、酸基含有樹脂(A)、硬化剤(B)に加え、必要に応じて粘着付与剤、可塑剤、熱可塑性エラストマー、反応性エラストマー、リン酸化合物、シランカップリング剤、酸無水物、接着促進剤等の各種添加剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は、本発明の接着剤の機能を損なわない範囲内で適宜調整すればよい。
ここで使用し得る粘着付与剤としては、例えば、ロジン系又はロジンエステル系粘着付与剤、テルペン系又はテルペンフェノール系粘着付与剤、飽和炭化水素樹脂、クマロン系粘着付与剤、クマロンインデン系粘着付与剤、スチレン樹脂系粘着付与剤、キシレン樹脂系粘着付与剤、フェノール樹脂系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
可塑剤としては、ポリイソプレン、ポリブテン、プロセルオイル等が挙げられ、熱可塑性エラストマーとしてはスチレン・ブタジエン共重合物(SBS)、スチレン・ブタジエン共重合の水素添加物(SEBS)、SBBS、スチレン・イソプレン共重合の水素添加物(SEPS)、スチレンブロック共重合体(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)等が、反応性エラストマーはこれらのエラストマーを酸変性したものが挙げられる。
リン酸化合物としては、例えば次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、例えばメタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類、例えばオルトリン酸モノメチル、オルトリン酸モノエチル、オルトリン酸モノプロピル、オルトリン酸モノブチル、オルトリン酸モノ-2-エチルヘキシル、オルトリン酸モノフェニル、亜リン酸モノメチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸モノプロピル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸モノ-2-エチルヘキシル、亜リン酸モノフェニル、オルトリン酸ジ-2-エチルヘキシル、オルトリン酸ジフェニル亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジ-2-エチルヘキシル、亜リン酸ジフェニル等のモノ、ジエステル化物、縮合リン酸とアルコール類とからのモノ、ジエステル化物、例えば前記のリン酸類に、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のエポキシ化合物を付加させたもの、例えば脂肪族又は芳香族のジグリシジルエーテルに前記のリン酸類を付加させて得られるエポキシリン酸エステル類等が挙げられる。
シランカップリング剤としては例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
酸無水物としては、環状脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、不飽和カルボン酸無水物等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、1-メチル-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
また、酸無水物として上述した化合物をグリコールで変性したものを用いてもよい。変性に用いることができるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポチテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルグリコールを用いることもできる。
酸無水物の配合量は、酸基含有樹脂(A)100質量部に対して0.05質量部以上であることが好ましく、0.8質量部以上であることがより好ましい。また、酸無水物の配合量は、酸基含有樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。これにより、接着剤と金属との密着性が向上し、初期接着強度とヒートシール後の接着強度に優れた接着剤とすることができる。
接着促進剤としては、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N’-メチル-N-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノネン、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等の3級アミン類及びこれら3級アミン類をフェノール、オクチル酸、4級化テトラフェニルボレート塩等でアミン塩にした化合物、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のカチオン触媒、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物などが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の接着剤は、上記各成分に加え、さらに有機溶剤を配合することにより流動性を確保し、適正な塗工性を発現させることができる。このような有機溶剤としては、接着剤塗工時の乾燥工程における過熱により揮発させて除去できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族系有機溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族系有機溶剤;トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エタノール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、ヘキサノール等のアルコール系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
有機溶剤を用いる場合、酸基含有樹脂(A)と硬化剤(B)とを混合した後に有機溶剤を配合してもよいし、酸基含有樹脂(A)と硬化剤(B)の少なくとも一方を有機溶剤に溶解させておいたものを用いて接着剤を調整してもよい。
有機溶剤の配合量は、接着剤全量100質量部のうち、有機溶剤成分が50質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましい。また、90質量部以下であることが好ましく、85質量部以下であることがより好ましい。
上述した各成分を混合することにより本発明の接着剤を調整することができる。この際、各成分は同時に混合して接着剤としてもよいが、硬化剤(B)以外の成分を予め混合してプレミクスチャーを調整しておき、接着剤の使用時に硬化剤(B)を混合する2液型の接着剤とすることが接着剤の安定性、作業性に優れることから好ましい。
本発明の接着剤は、低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れる。また本発明の接着剤は低温エージングを行った場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れるため、ドライラミネート法による積層体の製造方法に適しているが、例えば押出しラミネート法による積層体の製造にプライマーとして用いることもできる。
<積層体>
本発明の積層体は、第1の基材と、第2の基材と、第1の基材と第2の基材との間に配置され、第1の基材と第2の基材とを貼り合せる接着層とを含む。接着層は、上述した接着剤の硬化塗膜である。第1の基材、第2の基材に加えてさらに他の基材を含んでいてもよい。第1の基材と他の基材、第2の基材と他の基材とを貼り合せる接着層は、本発明の接着剤の硬化塗膜であってもよいし、そうでなくてもよい。
第1の基材、第2の基材、他の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム、MDOPE:一軸延伸ポリエチレンフィルム、OPE:二軸延伸ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。
また、バイオマス由来成分を含有する材料で形成された、バイオマスフィルムを用いることも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
具体的によく知られているバイオマスフィルムとしては、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするものが挙げられる。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
例えば、従来の石油系原料を使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル、バイオマスポリエチレンテレフタレート等を含有するフィルムが知られている。
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。
また、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物等の第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。
また、例えば、従来の石油系原料を使用したポリオレフィン系フィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするポリエチレン系樹脂を含有するバイオマスポリエチレン系フィルム、バイオマスポリエチレン-ポリプロピレン系フィルム等のバイオマスポリオレフィン系フィルムも知られている。
ポリエチレン系樹脂は、原料の一部に前記バイオマス由来のエチレングリコールを使用する以外は特に限定されず、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα-オレフィンとの共重合体(エチレン単位を90質量%以上含有するエチレン-α-オレフィン共重合体)などが挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を構成するα-オレフィンは特に限定されず、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの炭素原子数4乃至8のα-オレフィンが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの公知のポリエチレン樹脂を用いることができる。中でも、フィルム同士が擦れても、穴開きや破けなどの損傷を一段と生じにくくする観点から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(エチレンと1-ヘキセンとの共重合体、又はエチレンと1-オクテンとの共重合体)が好ましく、密度が0.910乃至0.925g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
バイオマスフィルムとしては、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。
ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
また、バイオマス原料であるデンプンや、ポリ乳酸を配合したフィルムやシートも知られている。これらは用途に応じて適宜選択し使用することができる。
バイオマスフィルムは、複数のバイオマスフィルムを積層させた積層体であってもよいし、従来の石油系フィルムとバイオマスフィルムとの積層体であってもよい。またこれらのバイオマスフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。
フィルムは延伸処理を施されたものであってもよい。延伸処理方法としては、押出製膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一版的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
フィルム表面には、膜切れやはじき等の欠陥のない接着層が形成されるように、必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理を施してもよい。
あるいは、アルミニウムやステンレス、鉄、銅、ニッケル等の金属基材、アルミニウムや亜鉛、金、銀、銅、タングステン、インジウム等の金属の蒸着層を積層したフィルム、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルム、ポリビニルアルコールやエチレン・ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムを用いてもよい。このようなフィルムを用いることで、水蒸気、酸素、アルコール、不活性ガス、揮発性有機物(香り)等に対するバリア性を備えた積層体とすることができる。
基材として紙を用いることもできる。紙としては、特に限定なく公知の紙基材を使用することができる。具体的には、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。
本発明の接着剤は、オレフィン樹脂のような非極性の基材と、金属基材や金属蒸着層、金属酸化物の蒸着層のような無機材料との接着性に優れるため、第1の基材と第2の基材のうち一方が非極性の基材であり、他方が金属基材、金属蒸着層を有するフィルム、金属酸化物の蒸着層を有するフィルムから選ばれる一種であることが好ましいが、これに限定されない。
本発明の積層体は、例えば、第1の基材と第2の基材の一方に本発明の接着剤を塗布し、次いで他方を積層し、接着剤を硬化させる、いわゆるドライラミネーション法(乾式積層法)にて得られる。接着剤を塗布した後、第1の基材と第2の基材とを積層するまでの間に乾燥工程を設けることが好ましい。
接着剤の塗工方式としては、グラビアコーター方式、マイクログラビアコーター方式、リバースコーター方式、バーコーター方式、ロールコーター方式、ダイコーター方式等を用いることが出来る。接着剤の塗布量は、乾燥後の塗布重量が0.5~20.0g/mとなるよう調整することが好ましい。0.5g/mを下回ると連続均一塗布性が低下し易くなり、20.0g/mを上回ると塗布後における溶剤離脱性も低下し、作業性の低下や残留溶剤の問題が生じ易くなる。
第1の基材と第2の基材とを積層する際のラミネートロールの温度は25~120℃、圧力は3~300kg/cmであることが好ましい。
第1の基材と第2の基材とを貼り合せた後、エージング工程を設けることが好ましい。エージング条件は、25~100℃、12~240時間であることが好ましい。
酸基含有樹脂(A)の硬化剤として、例えばイソシアネート化合物を用いる場合に比べ、エポキシ化合物を用いる場合には低温でのエージングでは接着剤の特性が発揮され難い傾向にあるが、本発明の接着剤を用いる場合には、エージング温度が50℃以下であっても初期接着強度、耐電解液性に優れた積層体を得ることができる。エージング温度が50℃以上であっても接着強度、耐電解液性に優れることについてはいうまでもない。また、本発明の接着強度、耐電解液性をより確実なものとするために、エージング温度は40℃以上であることがより好ましい。
あるいは本発明の積層体は、第1の基材と第2の基材の一方に本発明の接着剤をアンカーコート剤として塗布し、次いで、他方を押出しラミネート法により積層して得られる。例えば第1の基材がポリオレフィンフィルムであり、第2の基材が金属箔である場合、第2の基材にアンカーコート剤として本発明の接着剤を塗布した後、第1の基材を押出しラミネート法により積層する。接着剤を塗布後、押出しラミネート法による第1の基材を積層するまでの間に乾燥工程を設けることが好ましい。接着剤の塗工方式としては特に限定されるものではないが、グラビアロール方式が挙げられる。接着剤の未積層面に、他方の基材を押出しラミネートにより積層する際に、ゴムロールと冷却ロールとで挟圧することにより、積層体が得られる。
<包装材>
本発明の包装材は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
本発明の包装材は、本発明の積層体を使用し、積層体のシーラントフィルムの面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして袋状にして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物として、例えば食品としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。
また非食品としては、タバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、化粧水や乳液等の化粧品、真空断熱材、電池等、様々な包装材料としても使用され得る。
本発明の接着剤は、低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材や金属蒸着層、無機蒸着層との接着性に優れるため、このような構成を含む用途に好適である。
<電池用包装材>
本発明の接着剤は、低温でエージングした場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れることに加え、有機溶剤への耐性や、電池の電解液への耐性に優れるため、電池用包装材としても好適に使用することができる。本発明の電池用包装材は、一例として、第1の基材と、第2の基材と、第3の基材と、第1の基材と第2の基材を貼り合せる第1の接着層と、第2の基材と第3の基材とを貼り合せる第2の接着層とを含む。第1の基材はポリオレフィンフィルムであり、第2の基材は金属箔である。第3の基材はナイロン、ポリエステル等の樹脂フィルムである。第1の接着層は本発明の接着剤の硬化塗膜である。第2の接着層は本発明の接着剤の硬化塗膜であってもよいし、そうでなくてもよい。第3の基材の第2の接着層が設けられるのとは反対側に、さらに接着層を介して、または介さずに他の基材を配置してもよいし、コーティング層を設けてもよい。他の基材やコーティング層を設けなくてもよい。
ポリオレフィンフィルムとしては、従来から公知のオレフィン樹脂の中から適宜選択すればよい。例えば、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体などを用いることができる。無延伸フィルムであることが好ましい。ポリオレフィンフィルムの膜厚は、特に限定されないが、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましい。また、100μm以下であることが好ましく、95μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることがさらに好ましい。
第1の基材は、後述する電池を製造する際に、本発明の電池用包装材同士をヒートシールして貼り合せる際のシーラント層として機能する。
金属箔としては、アルミニウムやステンレス、鉄、銅、ニッケル等が挙げられる。これらの金属箔は、サンドブラスト処理、研磨処理、脱脂処理、エッチング処理、防錆剤浸漬又はスプレーによる表面処理、3価クロム化成処理、リン酸塩化成処理、硫化物化成処理、陽極酸化被膜形成、フッ素樹脂コーティング等の表面処理を施したものであってもよい。これらのなかでも3価クロム化成処理を施したものが密着性保持性能(耐環境劣化性)、防食性に優れる点から好ましい。また、この金属フィルムの厚みは腐食防止の観点から10~100μmの範囲であることが好ましい。
第3の基材として用いることができる樹脂フィルムとしては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、及びこれらの混合物や共重合物等の樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられ、より好ましくは2軸延伸ポリエステル樹脂、2軸延伸ポリアミド樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
コーティング層は、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。コーティング層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、コーティング層には、マット化剤を配合してもよい。
マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm~5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
このような積層体を、電池とした際に第1の基材であるポリオレフィンフィルムが第3の基材よりも内側になるようにして成型し、本発明の二次電池外装材となる。成型方法としては、特に制限はなく、一例として以下のような方法が挙げられる。
・加熱圧空成型法:電池用包装材を高温、高圧のエアーが供給される孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型に挟み、加熱軟化させながらエアーを供給して凹部を形成する方法。
・プレヒーター平板式圧空成型法:電池用包装材を加熱軟化させた後、高圧のエアーが供給される孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型に挟み、エアーを供給して凹部を形成する方法。
・ドラム式真空成型法:電池用包装材を加熱ドラムで部分的に加熱軟化後、ポケット形状の凹部を有するドラムの該凹部を真空引きして凹部を成型する方法。
・ピン成型法:底材シートを加熱軟化後ポケット形状の凹凸金型で圧着する方法。
・プレヒータープラグアシスト圧空成型法:電池用包装材を加熱軟化させた後、高圧のエアーが供給される孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型に挟み、エアーを供給して凹部を形成する方法であって、成型の際に、凸形状のプラグを上昇及び降下をさせて成型を補助する方法。
成型後の底材の肉厚が均一であることから、加熱真空成型法であるプレヒータープラグアシスト圧空成型法が好ましい。
このようにして得られた本発明の電池用包装材は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容する電池用容器として好適に使用することができる。
<電池>
本発明の電池は、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層同士をヒートシールして密封させることによって得られる。
本発明の電池用包装材を用いて得られる電池としては、一次電池、二次電池のいずれであってもよいが、好ましくは二次電池である。二次電池としては特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。配合組成その他の数値は特記しない限り質量基準である。
<エポキシ樹脂(B1)の合成>
(工程1)
温度計、滴下ロート、冷却管、窒素導入管、撹拌機を取り付けたフラスコに、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン126g(1.00mol)、エピクロロヒドリン1388g(15mol)を添加し、50℃まで昇温した。次いで、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム11.2g(0.06mol)を添加し、50℃で24時間撹拌した。
(工程2)
工程(1)で得られた反応液に蒸留水1000mLを注いで撹拌し、静置後に上層を除去した。48%水酸化ナトリウム水溶液318gを2.5時間かけて滴下し、1時間撹拌を行った。
得られた溶液に蒸留水400mLを注いで静置した。下層の食塩水を除去し、120℃でエピクロロヒドリンの蒸留回収を行った。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)500g、水147gを順次添加し、80℃で水洗を行った。下層の水洗水を除去した後、脱水、ろ過を行い、150℃でMIBKを脱溶媒することで、エポキシ樹脂(B1)を製造した。なお、得られたエポキシ樹脂(B1)を目視で観察したところ、液状であった。エポキシ樹脂(B1)100gあたりの環状化合物の含有量X(mol)を、下記式を用いて算出した。下記式において、(A)は芳香環1molあたりの環状化合物(mol)であり、(B)は芳香環1molあたりのエポキシ基(mol)であり、(C)はエポキシ当量(g/当量)である。
Figure 2023094000000007
この際、(A)は13C NMR測定において、130~150ppm付近の1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのipso(イプソ)位にあたる芳香環に由来するピークと、60ppm付近の環状化合物に由来するピークの積分比により算出した。また、(B)は130~150ppm付近の1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのipso(イプソ)位にあたる芳香環に由来するピークと、50ppm付近のエポキシ基に由来するピークの積分比により算出した。その結果、環状化合物の含有量は、0.071mol/100gであった。
また、得られたエポキシ樹脂(B1)について、1,2,3-トリグリシジルオキシベンゼン(ピロガロールのトリグリシジル体)のGPC測定における面積比率を測定した。その結果、ピロガロールのトリグリシジル体の含有量は、GPC測定における面積比率で79%であった。
さらに、オリゴマーのGPC測定における面積比率を測定した。ピロガロールのトリグリシジル体の含有量は、GPC測定における面積比率で3.0%であった。
JIS K 7236:2009の方法により、エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量を測定した。エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は122g/当量であった。
E型粘度計(東機産業株式会社製 TV-22)を用いて、25℃におけるエポキシ樹脂(B1)の粘度を測定した。エポキシ樹脂(B1)の粘度は2700mPa・sであった。
なお、GPC、13CNMRは以下の条件にて測定した。
<GPC測定条件>
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL-L」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC-8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュア
ルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィ
ルターでろ過したもの(50μl)。
13C-NMRの測定条件>
装置:日本電子株式会社製 JNM-ECA500
測定モード:逆ゲート付きデカップリング
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
パルス角度:30°パルス
試料濃度 :30wt%
積算回数 :4000回
ケミカルシフトの基準:ジメチルスルホキシドのピーク:39.5ppm
<接着剤の調整>
(実施例1)
トーヨータックPMA-Lを20部、エポキシ樹脂(B1)を8部、トリフェニルホスフィンを0.01部、FTR8120を0.2部、酢酸エチルに溶解させて不揮発分20%の実施例1の接着剤を調整した。
アルミニウム箔(1N30、東洋アルミニウム社製、膜厚30μm)に実施例1の接着剤をバーコーターで4g/m(dry)塗布し、80℃-1分乾燥させた後、無延伸ポリプロピレンフィルム(ET-20、オカモト株式会社製、膜厚80μm)と100℃で貼り合せた。その後60℃-5日エージングして実施例1の積層体を得た。
(実施例2-4)
接着剤の配合を、表1に記載のようにした以外は実施例1と同様にして接着剤を調整し、積層体を得た。
(比較例1-3)
接着剤の配合を、表1に記載のようにした以外は実施例1と同様にして接着剤を調整し、積層体を得た。
なお表中の配合量は固形分量である。表1に記載の化合物は以下の通りである。
PMA-L:東洋紡株式会社製、無水マレイン酸変性オレフィン樹脂
PMA-KE:東洋紡株式会社製、無水マレイン酸変性オレフィン樹脂
GMP8550E:ロッテケミカル社製、マレイン酸変性オレフィン樹脂
デナコールEX-321L:ナガセケムテックス株式会社製エポキシ樹脂
エピクロンN-665:DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
TPP:トリフェニルホスフィン
FTR8120:三井化学社製、スチレン樹脂
YH-306:三菱ケミカル株式会社製、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸
<評価>
以下のようにして評価を行い、結果を表1にまとめた。
(初期接着強度)
(株)エー・アンド・ディー製テンシロン使用し、エージング後の積層体の接着強度を剥離幅15mm、剥離形態T型の条件で測定し、以下の基準に従い3段階で評価した。
〇:9N/15mm以上
△:7N/15mm以上9N/15mm未満
×:7N/15mm未満
(耐電解液性)
電解液として、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(wt%)混合液に、LiPFが1mol%、ビニレンカーボネートが1wt%となるようそれぞれを添加した溶液を用意した。
エージング後の積層体を電解液35gに85℃で7日間浸漬させた後、初期接着強度と同様にして接着強度を測定した。浸漬前後の接着強度の保持率から以下の基準に従い3段階で評価し結果を表1にまとめた。
〇:50%以上
△:40%以上50%未満
×:50%未満
(耐薬品性)
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(wt%)の混合液に、エージング後の積層体を60℃で14日間浸漬させた後、初期接着強度と同様にして接着強度を測定した。浸漬前後の接着強度の保持率から以下の基準に従い3段階で評価し結果を表1にまとめた。
〇:70%以上
△:50%以上70%未満
×:50%未満
Figure 2023094000000008
表1から明らかなように、低温でエージングを行った場合、本発明の接着剤は比較例の接着剤よりも初期接着強度、耐電解液性、耐薬品性に優れる。
本発明の接着剤は低温でエージングを行った場合であってもオレフィン樹脂のような非極性の基材と金属基材との接着性に優れ、本発明の接着剤を用いて得られる積層体は、例えば電池用包装材に好適に用いることができる。本発明の接着剤の用途としては電池用包装材やそのための積層体に限定されず、家電外板、家具用素材、建築内装用部材など非極性の基材と金属基材との接着性が必要とされる分野に広く利用可能である。

Claims (9)

  1. 酸基含有樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B1)を含む硬化剤(B)とを含む2液型接着剤であって、
    前記エポキシ樹脂(B1)が1,2,3-トリヒドロキシベンゼンとエピハロヒドリンとを、第4級オニウム塩および塩基性化合物1から選ばれる少なくとも一種の存在下で、20℃以上80℃以下で反応させる工程(1)と、前記工程(1)で得られる反応物を塩基性化合物2の存在下で閉環させる工程(2)とを経て得られる化合物である2液硬化型接着剤。
  2. 前記エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量が200g/当量以下である請求項1に記載の接着剤。
  3. 前記酸基含有樹脂(A)が、酸基含有アクリル樹脂、酸基含有ウレタン樹脂、酸基含有オレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の接着剤。
  4. 前記酸基含有樹脂(A)が含有するカルボキシル基と、前記硬化剤(B)が含有するエポキシ基との当量比(エポキシ基/カルボキシル基)が0.01以上10以下となる範囲で用いられる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接着剤。
  5. 第1の基材と、第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる接着層とを含み、前記接着層が請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接着剤の硬化塗膜であることを特徴とする積層体。
  6. 請求項5に記載の積層体を製袋してなる包装材。
  7. ポリオレフィンフィルムと、
    樹脂フィルムと、
    前記ポリオレフィンフィルムと前記樹脂フィルムとの間に配置された金属箔と、
    前記ポリオレフィンフィルムと前記金属箔との間に配置された接着層と、を含み、
    前記接着層が請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接着剤の硬化塗膜であることを特徴とする電池用包装材。
  8. 請求項6に記載の電池用包装材を成型してなる電池用容器。
  9. 請求項7に記載の電池用容器を使用してなる電池。
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