JP7344820B2 - アルカリ金属除去方法及びアルカリ金属除去装置 - Google Patents

アルカリ金属除去方法及びアルカリ金属除去装置 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリ金属除去方法及びアルカリ金属除去装置に関する。特に、本発明は、木質バイオマスの燃焼灰をセメント原料等として有効利用するための、アルカリ金属除去方法及びアルカリ金属除去装置に関する。
樹木の幹や枝、切削チップ、おが粉、樹皮、木質ペレット、PKS(palm kernel shell)、建築廃材等の木質バイオマスについては、発電用ボイラ等の燃料とする技術開発に並行して、木質バイオマスの燃焼で発生する燃焼灰(以後、「木質バイオマス灰」と称する場合がある。)の有効利用技術についても開発が進められている。
木質バイオマス灰は、例えば石炭灰やごみ焼却灰等と比較すると、アルカリ金属、特にカリウムの含有量が多いことが特徴である。そのため、例えば、多量に発生する石炭灰やごみ焼却灰の有効利用を可能にしているセメント原料化技術を木質バイオマス灰に適用する場合、セメントがアルカリ金属成分を忌避成分とするために木質バイオマス灰からアルカリ金属を除去することが必要となる。更に、木質バイオマス灰の飛灰からアルカリ金属が除去できれば、石炭灰(フライアッシュ)がそうであるように、木質バイオマス灰の飛灰をコンクリート混和材やセメント混合材とする用途開発等も可能になる。
木質バイオマス灰からアルカリ金属成分を除去する技術として、例えば、下記特許文献1には、バグフィルタで集塵された木質バイオマス灰(飛灰)を、所定の分級点で分級してカリウム濃度の高い微粉燃焼灰を分別して回収する、燃焼装置及び燃焼灰処理方法が開示されている。
特開2017-122550号公報
しかしながら、木質バイオマス灰の飛灰は、全ての粒度の灰にアルカリ金属が存在するため、微粉に存在するアルカリ金属を除去するだけではセメント原料等とするには不十分である。
上記の課題に鑑み、本発明は、木質バイオマス灰の飛灰(以後、「バイオマス灰」と称する場合もある。)からアルカリ金属を効率的に除去してセメント原料等として有効利用するための、アルカリ金属除去方法及びその方法の実施に用いるアルカリ金属除去装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、バイオマス灰に含まれるアルカリ金属には水溶性のものと水に難溶性(以後、単に「難溶性」と称する。)なものの2種類が存在すること、並びに、バイオマス灰のうち粒度の小さい微粉側には水溶性のアルカリ金属が多く存在する一方、粒度の大きい粗粉側には難溶性のアルカリ金属が多く存在することを見出した。
更に、本発明者らは、バイオマス灰の粗粉に多く存在する難溶性のアルカリ金属は、粗粉の周縁部に遍在すること、及び、この粗粉の周縁部に遍在する難溶性のアルカリ金属は粗粉同士を高速で衝突させることにより粗粉粒子から分離できることを見出した。
更に、本発明者らは、粗粉の周縁部から分離回収された難溶性のアルカリ金属は、塩素源と一緒に加熱する処理(いわゆる「塩化焙焼」)によって水溶性塩(アルカリ金属塩化物)に変化させられることを見出した。
更に、本発明者らは、難溶性のアルカリ金属が分離回収された後の粗粉残分は、アルカリ金属含有量が1.0質量%前後と低濃度であることから、特別な前処理をすることなくセメント原料等に利用できることを見出した。
すなわち、バイオマス灰の粗粉の周縁部に存在する難溶性のアルカリ金属を分離回収した後、塩化焙焼して水溶性塩とし、その後にバイオマス灰の微粉と一緒に水洗することによって、効果的且つ効率的にバイオマス灰に含まれるアルカリ金属を除去することができる。したがって、この方法によれば、バイオマス灰をセメント原料等として有効利用することが可能となる。
すなわち、本発明は、木質バイオマスの燃焼灰の飛灰からアルカリ金属を除去する方法であって、
前記飛灰を微粉と粗粉に分級する工程(a)と、
前記工程(a)で得られた前記粗粉の表面部を粉砕して粉砕物を得る工程(b)と、
前記工程(b)で得られた前記粉砕物を粉砕微粉と粉砕粗粉に分級する工程(c)と、
前記工程(c)で得られた前記粉砕微粉を塩素源と共に加熱して加熱処理物を得る工程(d)と、
前記工程(a)で得られた前記微粉と、前記工程(d)で得られた前記加熱処理物とを水洗する工程(e)とを含むことを特徴とする。
上記方法によれば、工程(a)によって予めバイオマス灰(飛灰)が微粉と粗粉とに分級される。上述したように、バイオマス灰の微粉には水溶性のアルカリ金属が多く含まれるため、そのまま水洗することでアルカリ金属を除去できる。また、バイオマス灰の粗粉には難溶性を示すアルカリ金属が多く含まれるが、工程(b)においてその表面部が粉砕されることで、バイオマス灰の粗粉の周縁部に遍在する難溶性のアルカリ金属が小片化される。
次に、工程(c)において粉砕物を分級することで、上述した小片、すなわち難溶性のアルカリ金属由来の微粉(粉砕微粉)と、周縁部に偏在していたアルカリ金属が取り除かれた状態のバイオマス灰の粗粉の残部(粉砕粗粉)とに分けられる。このうち、難溶性のアルカリ金属を含む粉砕微粉は、工程(d)において塩素源と共に加熱されて塩化焙焼が行われることで、アルカリ金属は水溶性塩に変化する。この結果、バイオマス灰の微粉側に含まれるアルカリ金属と、バイオマス灰の粗粉側に含まれており粉砕微粉として回収されたアルカリ金属の双方が、工程(e)に係る水洗処理によって水に溶解させて除去できる。
前記工程(a)は、5μm以上30μm以下を分級点として分級する工程であるものとしても構わない。
上記方法によれば、排出元が異なるバイオマス灰であっても、ほとんどのバイオマス灰について全体量の20質量%以上50質量%以下に相当する微粉を確保することができる。
前記工程(c)は、5μm以上30μm以下を分級点として分級する工程であるものとしても構わない。
上記方法によれば、粉砕工程(b)でバイオマス灰の粗粉が破壊されて分離した、難溶性のアルカリ金属を多く含む粗粉の表面部片(粉砕微粉)を、当該表面部が除去された後の粗粉残部(粉砕粗粉)と分離することができる。粉砕工程(b)によって、排出元が異なるバイオマス灰であっても、ほとんどのバイオマス灰について全体量の20質量%~45質量%に相当する粉砕微粉を確保することができる。この粉砕微粉には、バイオマス灰の粗粉が有していた難溶性のアルカリ金属のほとんどが含まれている。
前記工程(d)は、650℃以上1000℃以下の温度で加熱する工程であるものとしても構わない。
上記方法によれば、バイオマス灰の粗粉(より詳細には粉砕微粉)に含まれる難溶性のアルカリ金属を、高い割合で水溶性塩に変化できる。加熱温度が650℃未満である場合には、温度が低いために塩化焙焼が生じ難くなることがある。また、加熱温度が1000℃を超える場合には、バイオマス灰の部分的な溶融や大径化が生じて塩化焙焼の反応速度が遅くなることがある。
前記工程(d)で利用される前記塩素源は、廃プラスチック及び無機化合物塩素が混入された可燃性廃棄物を含むものとしても構わない。
上記方法によれば、塩素含有率が高いためにリサイクル用途に乏しい廃棄物等を、バイオマス灰に含まれるアルカリ金属の除去のために有効活用できる。
前記工程(d)で利用される前記塩素源は、80mm以下の大きさであるものとしても構わない。
上記大きさの塩素源を工程(d)に係る加熱処理で利用することで、バイオマス灰の粗粉(より詳細には粉砕微粉)に含まれる難溶性のアルカリ金属を高い割合で水溶性塩に変化できる。塩素源の大きさが80mmよりも大きい場合、工程(d)に係る加熱処理中に塩素源からの塩素の揮発が十分に生じず、バイオマス灰の塩化焙焼が生じ難くなることがある。なお、この塩素源の大きさとは、篩いの目開きの大きさであって、大きさが80mm以下とは目開き80mmの篩いを通過するものを指す。
前記工程(d)は、前記粉砕微粉の全アルカリ金属成分のモル量(A)に対する、前記塩素源の全塩素のモル量(B)の比率(B/A)が、1.5以上5以下の範囲内で混合された、前記粉砕微粉と前記塩素源との混合物を加熱する工程であるものとしても構わない。
上記方法によれば、粉砕微粉に含まれる難溶性のアルカリ金属の多くを効率的に水溶性塩に変化させることができる。前記B/Aの値が5を超えると、塩化焙焼に寄与しない塩素が残存してしまい、一部の塩素源を無駄にするおそれがある。また、前記B/Aの値が1.5を下回る場合には、工程(d)の完了後に得られた加熱処理物にも、依然として難溶性のアルカリ金属が一定程度含まれるおそれがある。
工程(c)で得られた粉砕粗粉は、工程(a)で分級されたバイオマス灰の粗粉のうち、周縁部に偏在していた、難溶性のアルカリ金属が分離回収された後の粗粉である。このため、アルカリ金属の含有率が極めて低い。また、工程(e)で得られた水洗処理物は、水溶性を示すアルカリ金属を含むバイオマス灰の微粉と、塩化焙焼によってアルカリ金属が水溶性塩に変化した粉砕微粉とに対して、水洗処理が行われたものであり、アルカリ金属成分が溶解除去されている。すなわち、工程(c)で得られた粉砕粗粉と、工程(e)で得られた水洗処理物とは、いずれも初期のバイオマス灰から比べてアルカリ金属の含有率が大幅に低下されている。よって、これら粉砕粗粉及び水洗処理物を、セメント原料等として利用できる。
また、本発明に係るアルカリ金属除去装置は、木質バイオマスの燃焼灰の飛灰からアルカリ金属を除去するための装置であって、
前記飛灰を微粉と粗粉に分級する第一分級装置と、
前記第一分級装置で得られた前記粗粉の表面部を粉砕して粉砕物を得る粉砕装置と、
前記粉砕装置で得られた前記粉砕物を粉砕微粉と粉砕粗粉に分級する第二分級装置と、
前記第二分級装置で得られた前記粉砕微粉を塩素源と共に加熱して加熱処理物を得る加熱装置と、
前記第一分級装置で得られた前記微粉と、前記加熱装置で得られた前記加熱処理物とを水洗する水洗装置とを備えることを特徴とする。
上記装置によれば、難溶性のアルカリ金属を多く含むバイオマス灰の粗粉の周縁部に対して選択的に塩化焙焼することが可能となり、バイオマス灰からのアルカリ金属の除去を効率的に行うことができる。
前記第一分級装置及び前記第二分級装置は、サイクロン型エアセパレータ等の回転羽根付きの遠心式空気分級機で構成されていても構わない。
かかる構成によれば、バイオマス灰及び粉砕物の分級点の調整が容易化されると共に、分級処理を連続的に行うことが可能となる。
なお、前記粉砕装置が分級機能を搭載している場合には、第二分級装置は必ずしも必要ではない。すなわち、本発明に係るアルカリ金属除去装置は、木質バイオマスの燃焼灰の飛灰からアルカリ金属を除去するための装置であって、
前記飛灰を微粉と粗粉に分級する第一分級装置と、
前記第一分級装置で得られた前記粗粉の表面部を粉砕して粉砕物を得た後に、該粉砕物を粉砕微粉と粉砕粗粉に分級する粉砕装置と、
前記粉砕装置で得られた前記粉砕微粉を塩素源と共に加熱して加熱処理物を得る加熱装置と、
前記第一分級装置で得られた前記微粉と、前記加熱装置で得られた前記加熱処理物とを水洗する水洗装置とを備えることを別の特徴とする。
前記粉砕装置はジェットミルで構成されていても構わない。
かかる構成によれば、粉砕媒体を用いずに、バイオマス灰の粗粉同士を衝突させて該粗粉の表面部を破壊して分離することが可能であり、得られる粉砕物にバイオマス灰以外の夾雑物による汚染が生じない。更に、分級機能が搭載されているため、別途の第二分級装置が不要となる。
前記加熱装置がロータリーキルンで構成されていても構わない。
かかる構成によれば、加熱装置内において、粉砕微粉と塩素源が良好に混合され、且つ、均質に加熱されるため、アルカリ金属の塩化焙焼を効率的に生じさせることが可能であるとともに、そのような加熱処理を連続的に実施できる。なお、前記ロータリーキルンの燃焼方式は特に限定されず、内燃式でも外熱式であっても構わない。
本発明によれば、バイオマス灰からアルカリ金属を効率的に除去できる。これにより、バイオマス灰をセメント原料等に活用することができる。
本発明に係るアルカリ金属除去方法の手順を模式的に示すフローチャートである。 本発明に係るアルカリ金属除去装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。 本発明に係るアルカリ金属除去装置の別の一構成例を模式的に示すブロック図である。 バイオマス灰の粗粉粒子の断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
本発明が適用されるバイオマス灰は、アルカリ金属(Na,K)を塩化物、炭酸塩、硫酸塩、又はケイ酸塩ガラスとして含有し、R2O換算(R2O=Na2O+0.658×K2O)で3質量%以上50質量%以下程度含んでいる。このアルカリ金属の態様の内、塩化物、炭酸塩、硫酸塩は水溶性であり、ケイ酸塩ガラスは難溶性である。
そして、アルカリ金属の水溶性塩である塩化物、炭酸塩、及び硫酸塩はバイオマス灰の微粉側に多く存在し、難溶性のケイ酸塩ガラスはバイオマス灰の粗粉側に多く存在している。
更に、バイオマス灰の粗粉におけるアルカリ金属の分布は、粒子周縁部に遍在し、粒子中心部のアルカリ金属の濃度は1.0質量%前後であることから、バイオマス灰の粗粉の粒子内部は、そのままでセメント原料等として利用可能である。
本発明のアルカリ金属除去方法によれば、バイオマス灰に含まれるアルカリ金属の濃度を、上記R2O換算で2.0質量%以下、より典型的には1.5質量%以下にまで低減できるので、バイオマス灰をセメント原料等として有効利用することが可能となる。なお、バイオマス灰中のアルカリ金属の濃度は、周知の方法で測定することができ、例えば、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠した方法などが好ましく例示される。
以下、本発明についてより具体的に図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、これら図面とともに説明する態様に限定されるものではない。
図1は、本発明に係るアルカリ金属除去方法の手順を模式的に示すフローチャートである。また、図2は、図1に示すアルカリ金属除去方法を実施する装置(以下、「アルカリ金属除去装置」と称する。)の一例を模式的に示すブロック図である。図2において、バイオマス灰等の固体の流れを矢印付きの実線で示し、空気又は排ガスの流れを矢印付き破線で示している。
図3は、図2とは別のアルカリ金属除去装置の構成例を模式的に示すブロック図である。以下では、主として図1及び図2を参照しながら本発明に係るアルカリ金属除去方法の説明を行いつつ、必要に応じて図3も参照する。
図1に示すように、本発明に係るアルカリ金属除去方法は、第一分級処理工程S1、粉砕処理工程S2、第二分級処理工程S3、加熱処理工程S4、及び水洗処理工程S5を含む。
また、図2に示すように、本発明に係るアルカリ金属除去装置1は、第一分級装置3、粉砕装置4、加熱装置7、及び水洗装置9を備えて構成される。
以下、図1に示す各工程での処理内容につき、適宜図2を参照しながら詳述する。
(第一分級処理工程S1)
第一分級処理工程S1は、供給されたバイオマス灰BA1を、水溶性のアルカリ金属塩を多く含む微粉BA2と、難溶性のアルカリ金属塩を多く含む粗粉BA3とに分離し、各別に回収する工程である。図2に示すアルカリ金属除去装置1では、第一分級装置3によって第一分級処理工程S1が実行される。第一分級装置3の排出口3aからは、微粉BA2が後述する水洗装置9側に送出され、第一分級装置3の排出口3bからは、粗粉BA3が後述する粉砕装置4側に送出される。
ここで、バイオマス灰の微粉BA2(以下、単に「微粉BA2」と略記する。)とは、定められた分級点よりも粒径の細かいバイオマス灰を指し、バイオマス灰の粗粉BA3(以下、単に「粗粉BA3」と略記する。)とは、前記分級点よりも粒径の粗いバイオマス灰を指す。第一分級処理工程S1において定められる分級点は、好ましくは5μm以上30μm以下であり、より好ましくは5μm以上20μm以下であり、特に好ましくは5μm以上10μm以下である。
本明細書において、バイオマス灰の粒径とは、断りのない限り、エチルアルコールを溶媒として用いたレーザ回折粒度分布測定法による測定値を指す。なお、入手できる一般的なバイオマス灰の粒径は、燃料であるバイオマスの種類、バイオマスを燃焼するボイラの形式や運転方法によって異なるが、レーザ回折粒度分布測定法によるD50値が15μm以上35μm以下であって、粒径の最大値(D100)は150μm以上1000μm以下である。なお、D50値とは、体積基準の粒度分布において累積50%での粒径を意味する。
第一分級装置3としては、乾式で、バイオマス灰BA1を上述したようなμmオーダーの分級点で分級できる装置であれば特に限定されず、例えば慣性分級装置、遠心分級装置、重力式分級装置等が好適に使用でき、特に1μm以上20μm以下の粒径での分級を得意とする点から、サイクロン型エアセパレータやターボクラシファイヤ等、回転羽根付きの遠心式空気分級機の使用が好ましい。図2に示す実施形態では、第一分級装置3がサイクロン型エアセパレータで構成されている場合が図示されている。
第一分級装置3には、バイオマス灰BA1の貯槽が付設されていてもよい。更に、かかる貯槽からバイオマス灰BA1を定量的に第一分級装置3に供給するための供給装置が付設されていてもよい。これらの貯槽や供給装置は、受入れたバイオマス灰BA1の状態に応じて適宜に使用するようにしてもよい。
第一分級処理工程S1が工程(a)に対応する。
(粉砕処理工程S2,第二分級処理工程S3)
粉砕処理工程S2は、難溶性のアルカリ金属塩が偏在している粗粉BA3の表面部を粉砕することで、アルカリ金属塩の含有率の高い小片を粗粉BA3から分離させる工程である。また、第二分級処理工程S3は、粉砕処理工程S2によって生じた粉砕物BA3aから、アルカリ金属塩の含有率の高い小片(粉砕微粉BA4)と、アルカリ金属塩が分離された残余の粗粉(粉砕粗粉BA5)とに分離し、各別に回収する工程である。
図2に示すアルカリ金属除去装置1では、粉砕装置4によって粉砕処理工程S2及び第二分級処理工程S3が実行される。
粉砕装置4は、粗粉BA3同士を高速で衝突させることによって表面部の粉砕を行う。粗粉のBA3の表面部に存在する難溶性のアルカリ金属塩はケイ酸塩ガラスの態様であり、このケイ酸塩ガラスは硬度が高い分、衝撃には脆いという特徴がある。したがって、粗粉BA3同士を高速で衝突させることによって、かかるケイ酸塩ガラス同士の、又は、ケイ酸塩ガラスとバイオマス灰の粗粉の内部構成相との、更にはケイ酸塩ガラスと粉砕装置試料室内壁面との衝突が生じて、ケイ酸塩ガラスが破壊して小片化して粗粉BA3から分離する。
粉砕装置4としては、粗粉BA3の表面部が破壊されて分離する程度に、粗粉BA3同士を高速にして衝突させつつ、微粉分を分離回収できる装置であれば特に限定されず、ジェットミル等の使用が好ましい。
粉砕処理工程S2によって得られた粉砕物BA3aには、ケイ酸塩ガラスが破壊して小片化したもの(粉砕微粉BA4)と、粗粉BA3の表面部から粉砕微粉BA4が分離されたもの(粉砕粗粉BA5)とが混在する。第二分級処理工程S3では、これらの粉砕微粉BA4と粉砕粗粉BA5とが各別に回収される。
粉砕装置4としてジェットミルを用いる場合であって、かかるジェットミルが分級機構をも備えるものである場合、粉砕装置4によって粉砕処理工程S2と共に第二分級処理工程S3が実行される。すなわち、粉砕装置4は、粗粉BA3を粉砕した後、粉砕微粉BA4と粉砕粗粉BA5とに分離して回収する。
一方、粉砕装置4に分級機構が搭載されていない場合には、図3に示すように、アルカリ金属除去装置1は別途の第二分級装置6を備えるものとしても構わない。この場合、第二分級装置6としては、上述した第一分級装置3と同様の構造を採用できる。
第二分級処理工程S3における分級点は、5μm以上30μm以下とするのが好ましい。第二分級処理工程S3における分級点をこの範囲とすることによって、粗粉BA3に含まれる難溶性のアルカリ金属の内、50面積%~100面積%を粗粉BA3粒子から分離した粒子表面部の破片(粉砕微粉BA4)として回収することができる。ここで、難溶性のアルカリ金属の回収率に関する面積%とは、粉砕処理工程S2前後における粗粉BA3粒子断面の走査電子顕微鏡(SEM)像における、粒子表面部のガラス相の面積による値を示す。
粉砕処理工程S2における粉砕処理は、粗粉BA3を過剰に粉砕しないために、また粉砕で分離したケイ酸塩ガラスの小片(粉砕微粉BA4)が粗粉BA3の粒子内部構成相(粉砕粗粉BA5)と衝突して一体化してしまうことを避けるために、粉砕強度は相応の強さを確保しつつ、粉砕時間は短時間にする必要がある。具体的には、粉砕処理工程S2の実行後、直ちに第二分級処理工程S3を実行して、分離したケイ酸塩ガラスの小片(粉砕微粉BA4)を回収すれば良い。
粉砕装置4には、粗粉BA3の貯槽が付設されていてもよい。更に、かかる貯槽から粗粉BA3を定量的に粉砕装置4に供給するための供給装置が付設されていてもよい。これらの貯槽や供給装置は、供給された粗粉BA3の状態に応じて適宜に使用するようにしてもよい。
粉砕処理工程S2が工程(b)に対応し、第二分級処理工程S3が工程(c)に対応する。
(加熱処理工程S4)
加熱処理工程S4は、第二分級処理工程S3で分級されることで得られた粉砕微粉BA4を塩素源CLと共に加熱する工程である。この加熱処理工程S4により、粉砕微粉BA4に含まれる難溶性のアルカリ金属塩が、水溶性のアルカリ金属塩(アルカリ金属塩化物)に変化する。図2に示すアルカリ金属除去装置1では、加熱装置7によって加熱処理工程S4が実行される。
図2に示すアルカリ金属除去装置1は、受入れた塩素源CLを加熱装置7へ供給するための塩素源供給装置5を備えている。塩素源CLとしては、塩素を含んだものであれば特に限定されないが、廃ポリ塩化ビニル等のモノマー中に有機塩素を少なくとも一つ含む廃プラスチックや、塩化カルシウム等の無機化合物塩素が混入する可燃性廃棄物を好適に利用できる。塩素源供給装置5には、受入れた塩素源CLの貯槽が付設されていてもよい。
塩素源CLは、塩素を0.8質量%以上含有するのが好ましく、1.2質量%以上含有するのがより好ましく、2質量%以上含有するのが特に好ましい。なお、ここでいう塩素源CL中の塩素の濃度は、周知の方法で測定することができ、例えば、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠した方法を利用することができる。
塩素源CLは、加熱装置7において粉砕微粉BA4との良好な混合状態を形成しつつ塩素源CLからの塩素の揮発を十分に生じさせてアルカリ金属の塩化揮発を効率的に生じさせる観点から、好ましくは80mm以下の大きさであり、より好ましくは40mm以下の大きさであり、特に好ましくは10mm以下の大きさである。なお、塩素源CLの大きさとは、塩素源CLが通過する最小の篩いの目開きを指す。
上記の観点から、塩素源供給装置5に付設された貯槽の上流側に、受入れた塩素源CLから粗大物を除去するための分級装置や粗大物を所定の粒度にするための粉砕分級装置が付設されていてもよい。これらの分級装置や粉砕分級装置は、受入れた塩素源CLの状態に応じて適宜に使用するようにしてもよい。
塩素源供給装置5は、排出量調整バルブ等の排出量調整装置が付設され、加熱装置7への塩素源CLの供給量を調整することが可能な構成である。したがって、この排出量調整装置を適切に制御することで、加熱装置7に供給される塩素量を適切に管理することが可能になる。
より具体的には、加熱処理工程S4で処理される粉砕微粉BA4と塩素源CLの割合は、単位時間中に加熱処理工程に供せられる粉砕微粉BA4中の全アルカリ金属成分のモル量(A)に対する、単位時間中に加熱処理工程に供せられる塩素源CL中の全塩素のモル量(B)の比率(B/A)の値が1.5以上5以下となるように、設定されるのが好ましい。なお、前記比率(B/A)の値は、2以上5以下であるのがより好ましい。比率(B/A)の値が1.5を下回ると、塩素量が少ないために粉砕微粉BA4中のアルカリ金属成分のうち、塩素と反応できないアルカリ金属成分が多く残存してしまう場合がある。また、逆に比率(B/A)の値が5を超えると、揮発、散逸する塩素量が多くなって設備の腐食の進行を早めてしまう場合がある。
加熱装置7は、上述したように、粉砕微粉BA4と塩素源CLとを一緒に加熱する。具体的には、塩素源供給装置5からは塩素源CLが、粉砕装置4(又は第二分級装置6)からは粉砕微粉BA4が、それぞれ加熱装置7に供給され、加熱装置7において塩素源CLと粉砕微粉BA4とが一緒に加熱される。これにより、粉砕微粉BA4内のアルカリ金属と塩素源CLから揮発した塩素とが反応して水溶性のアルカリ金属塩が生成される。
加熱処理工程S4における加熱温度は、粉砕微粉BA4中のアルカリ金属と塩素源CL中の塩素による塩化焙焼を効率的に生じさせつつ、粉砕微粉BA4を溶融させない観点から、650℃以上1000℃以下が好ましく、700℃以上950℃以下がより好ましく、750℃以上950℃以下が特に好ましい。加熱温度が650℃未満であると塩化焙焼の反応が不十分となり、場合によっては水溶性アルカリ金属塩が生成しないか、生成効率が低くなることがある。一方、加熱温度が1000℃を超えると、粉砕微粉BA4に部分的な溶融や大径化が生じて水溶性アルカリ金属塩の生成効率が低下する場合がある。
加熱処理工程S4における加熱時間は、加熱温度に応じて10分間以上2時間以下の範囲内で適宜設定すればよい。この加熱時間は、粉砕微粉BA4中のアルカリ金属と塩素源CL中の塩素とを十分に反応させる観点から、加熱温度が高い場合には短く、加熱温度が低い場合には長くする必要がある。具体的には、加熱温度が650℃の場合は30分間以上2時間以下、加熱温度が1000℃の場合は10分間以上30分間以下とするのが好適である。
加熱装置7内の雰囲気は、特に制限されず、酸化雰囲気でも還元雰囲気でもよいが、簡便性の観点からは大気がよい。図2に示す例では、吸気ファン33から燃焼用の大気G1が加熱装置7内に送り込まれている。
加熱装置7における水溶性のアルカリ金属塩の生成反応を効率的に生じさせるために、粉砕微粉BA4と塩素源CLは十分に混合された状態で加熱されることが望ましい。かかる観点から、加熱装置7を内燃式ロータリーキルンで構成することができる。焼成炉が回転運動するロータリーキルンであれば、被加熱処理物である粉砕微粉BA4と塩素源CLとの混合及び撹拌を物理的且つ連続的に行いながら、加熱処理を行うことが可能である。
ロータリーキルンでは、吸気ファン33によって内燃バーナ31の燃焼用空気として用いられた大気G1が、キルン内部を粉砕微粉BA4と塩素源CLの流れに対して向流する方向に流れた後、燃焼排ガスG2としてキルン外に排出される。
なお、加熱装置7は、粉砕微粉BA4と塩素源CLとの混合物を650℃以上1000℃以下の温度範囲で加熱できるものであれば特に限定されず、固定炉、ストーカ炉、ロータリーキルン、流動床炉、竪型炉、多段炉等の加熱炉が使用できる。なかでも、物理的撹拌が行えるという観点からは、上記のロータリーキルンが好ましい。
また、加熱装置7には、供給された粉砕微粉BA4の貯槽が付設されていてもよい。更に、かかる貯槽から粉砕微粉BA4を定量的に加熱装置7に供給するための供給装置が付設されていてもよい。これらの貯槽や供給装置は、供給された粉砕微粉BA4の状態に応じて適宜に使用するようにしてもよい。
加熱装置7からは、難溶性のアルカリ金属が水溶性塩に変化した粉砕微粉BA4と、塩素源CLの焼却残渣との混合物である加熱処理物P1が排出される。排出された加熱処理物P1は、水洗装置9に送出される。
この加熱処理工程S4が、工程(d)に対応する。
(水洗処理工程S5)
水洗処理工程S5は、第一分級処理工程S1において分離回収された微粉BA2と、加熱処理工程S4で得られた加熱処理物P1とを水洗する工程である。この水洗処理工程S5により、微粉BA2及び加熱処理物P1に含まれる水溶性のアルカリ金属塩が溶解除去される。図2に示すアルカリ金属除去装置1では、水洗装置9によってこの水洗処理工程S5が実行される。
この水洗処理工程S5で用いられる溶媒としては、水が好ましい。
水洗装置9では、第一分級装置3で分離回収されて排出口3aから供給された微粉BA2、及び/又は加熱装置7から供給された加熱処理物P1と、水W1とを混合してスラリーLr1を生成した後、スラリーLr1の撹拌を継続して、微粉BA2及び/又は加熱処理物P1中の水溶性のアルカリ金属塩を水に溶解させる。
一例として、図2に示す水洗装置9には、微粉BA2と加熱処理物P1の供給ホッパ11、及び水W1の供給装置13が付設されている。また、水洗装置9には、微粉BA2及び/又は加熱処理物P1と水W1の混合、並びに、前記混合によって生成されたスラリーLr1を攪拌するためのスラリー攪拌装置35が付設されている。スラリー攪拌装置35としては、例えば、一般的な、パドル型やスクリュー型のものを用いればよく、図2に示す実施形態では撹拌翼を備えている。
供給ホッパ11の上流側に、受入れた加熱処理物P1中の大径物を適当な大きさに粉砕するための粉砕装置が付設されていてもよい。この粉砕装置は、加熱処理工程S4から供給された加熱処理物P1の状態に応じて適宜に使用するようにしてもよい。
水溶性のアルカリ金属塩の水への溶解度は非常に高く、また水温を変えてもその溶解度は大きく変わらない。このため、水洗処理工程S5で用いられる溶媒としては、常温の水を、微粉BA2と加熱処理物P1との混合物(以下、「水洗処理物」と称する場合がある。)の合量(質量)の3倍量以上、好ましくは4倍量以上、より好ましくは5倍量以上の量だけ用いればよい。
水洗処理工程S5における、水洗処理物と水からなるスラリーLr1の撹拌時間は、10分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、20分以上が特に好ましい。通常、水溶性アルカリ金属塩は水に非常に溶けやすいので、スラリーLr1の撹拌に特段の条件は必要とならない。
かかる水洗処理工程S5によって、バイオマス灰BA1が分級されてなる、微粉BA2及び粗粉BA3の双方に含まれていたアルカリ金属が、いずれも水に溶解される。アルカリ金属が水に溶解された状態のスラリーLr1は、後段に設置された固液分離装置17によって、含水率が有効に低減されてセメント原料等として利用可能な固体物(ケーキC1)と排水W3とに分離される。
スラリーLr1を固液分離装置17に輸送する際には、スラリー用渦巻きポンプ、ピストンポンプ、及び、モーノポンプ、ホースポンプ等の汎用のスラリー液用輸送装置(不図示)を用いればよい。
固液分離装置17としては、フィルタープレス、加圧葉状濾過装置、スクリュープレス、ベルトプレス、ベルトフィルター等の汎用のろ過装置等を用いればよい。図2に示す実施形態では、固液分離装置17がフィルタープレスで構成されている場合が図示されている。
固液分離装置17には、洗浄水W2の供給装置15が付設されており、輸送されたスラリーLr1を、水洗処理物のケーキC1(固相)と、アルカリ金属を含む排水W3(液相)とに分離する。このとき、ケーキC1は洗浄水W2で洗浄されつつ分離される。洗浄水W2としては、常温の水を、水洗処理物の質量の3倍量以上、好ましくは4倍量以上、より好ましくは5倍量以上の量だけ用いればよい。
固液分離装置17によって分離されたケーキC1は、アルカリ金属成分の濃度が2.0質量%以下、より典型的には1.5質量%以下にまで低減されているので、セメント原料等に有効に利用することができる。ここでいうアルカリ金属の濃度とは、周知の方法での分析値、例えば、JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠した方法による分析値や、酸分解試料についてのICP発光分光分析法による分析値を指す。
この水洗処理工程S5が、工程(c)に対応する。
通常、バイオマス灰BA1に含有される全アルカリ金属成分の内、水溶性塩の形態をとるアルカリ金属成分は、モル換算で、全体100%中の25%以上45%以下であり、難溶性塩の形態をとるアルカリ金属成分は、全体100%中の55%以上75%以下である。
また、バイオマス灰BA1に含有される全アルカリ金属成分の内、粒径30μm以下のバイオマス灰、すなわち微粉BA2中に含有される全アルカリ金属成分は、モル換算で、全体100%中の40%以上60%以下であり、その内、70%以上90%以下が水溶性のアルカリ金属成分である。
したがって、第一分級処理工程S1においてバイオマス灰BA1から微粉BA2と粗粉BA3に分級した後、水洗処理工程S5において微粉BA2に対して水洗することによって、バイオマス灰BA1に含有される全アルカリ金属成分の内30%以上50%以下を除去することができる。
なお、第一分級処理工程S1におけるバイオマス灰BA1の分級点を10μmとした場合には、第一分級処理工程S1で分級された粒径10μm以下の微粉BA2に対して水洗処理工程S5において水洗することで、バイオマス灰BA1に含有される全アルカリ金属成分の内20%以上35%以下を除去することができる。
更に、難溶性塩の形態をとるアルカリ金属成分を多く含む粗粉BA3については、表面部に偏在するアルカリ金属が粉砕処理工程S2及び第二分級処理工程S3を経て粉砕微粉BA4として分離される。そして、この粉砕微粉BA4に多く含まれる、難溶性塩の形態をとるアルカリ金属成分は、塩素源CLと共に加熱されることで塩化焙焼され、水溶性塩に変化させられる。この結果、水洗処理工程S5において水洗することで、その多くが除去される。
なお、粗粉BA3のうち、表面部に偏在するアルカリ金属が分離されてなる残部(粉砕粗粉BA5)については、アルカリ金属の含有量が極めて少ないため(1.0質量%前後)、そのままセメント原料等として利用することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明するために具体的な試験例を示すが、本発明はこれら試験例の態様に限定されるものではない。
バイオマス灰BA1として、PKSを主燃料とするバイオマス発電プラント(循環流動層ボイラ)の排ガス集塵機(バグフィルタ)で捕集された飛灰を用いた。下記表1には、アルカリ金属については酸分解試料のICP発光分光分析法による分析で、その他の化学成分にはペレット試料の蛍光X線分析法による分析で得られた、バイオマス灰BA1の化学組成を示す。なお、表1内の「R2O」とは、上述したように、本組成物中の全アルカリ金属成分量として「R2O=Na2O+0.658×K2O」で算定された値を示す。
また、表1に示すバイオマス灰BA1のレーザ回折・散乱法に基づく粒度分布を測定したところ、D10値が4.4μm、D50値が19.5μm、D90値が63.5μmであった。
Figure 0007344820000001
バイオマス灰の粗粉BA3の断面についての走査電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。図4に見られるように、粗粉BA3は周縁部と粒子内部で異なるテクスチャーを有している。そして、電子線回折法等の詳細な分析からは、周縁部はガラス相であり、粒子内部は結晶相であることが分かった。
更に、周縁部と粒子内部について、エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)を用いてカリウム濃度を測定したところ、粒子内部のカリウム濃度が0.8質量%に対して、周縁部のカリウム濃度は6.1質量%であった。
塩素源CLとしては、粉砕微粉BA4中のアルカリ金属成分R2Oの含有量A(mol)に対する塩素源CL中の塩素含有量B(mol)の比率、B/A=2となる量の、目開き1mmの篩いを全通した廃ポリ塩化ビニルの破砕物が用いられた。
実施例における、第一分級処理工程S1、第二分級処理工程S3、加熱処理工程S4、及び水洗処理工程S5の主要操作因子は、以下のように設定された。なお、粉砕処理S2では、シングルトラック・ジェットミル(株式会社セイシン企業製)を用いた。
(第一分級処理工程S1)
バイオマス灰BA1の分級点:10μm
(第二分級処理工程S3)
粗粉BA3の粉砕物BA3aの分級点:20μm
(加熱処理工程S4)
粉砕微粉BA4と塩素源CLの混合物に対する加熱温度と加熱時間:950℃±25℃×15分間
(水洗処理工程S5)
水W1の使用量:微粉BA2と加熱処理物P1との混合物の質量の4倍
撹拌時間:10分間
固液分離装置17での洗浄水W2の使用量:ケーキC1の質量の4倍
各工程を経た後のバイオマス灰が含有する全アルカリ金属成分量(R2O)を、酸分解試料のICP発光分光分析法で確認した。分析結果を表2に示す。なお、表2中の質量割合とは、バイオマス灰BA1が100質量%に対する、各工程におけるバイオマス灰の割合(質量%)を示す値である。
Figure 0007344820000002
表2から分かるとおり、本発明のアルカリ金属除去方法によれば、全体の35質量%を加熱処理し、全体の65質量%を水洗処理することで、得られる粉砕粗粉BA5及びケーキC1に含まれるアルカリ金属の割合を0.9質量%にまで低下できている。処理前のバイオマス灰BA1に含まれるアルカリ金属の割合は4.3質量%であったことに鑑みると、本発明の方法によってバイオマス灰BA1中のアルカリ金属を7割以上減少できている。これにより、木質バイオマスの燃焼灰をセメント原料として利用することが可能となる。
1 :アルカリ金属除去装置
3 :第一分級装置
3a :排出口
3b :排出口
4 :粉砕装置
5 :塩素源供給装置
6 :第二分級装置
7 :加熱装置
9 :水洗装置
11 :供給ホッパ
13 :水供給装置
15 :洗浄水供給装置
17 :固液分離装置
31 :内燃バーナ
33 :吸気ファン
35 :スラリー攪拌装置
BA1 :バイオマス灰
BA2 :微粉
BA3 :粗粉
BA3a :粉砕物
BA4 :粉砕微粉
BA5 :粉砕粗粉
C1 :ケーキ
CL :塩素源
G1 :大気
G2 :燃焼排ガス
Lr1 :スラリー
P1 :加熱処理物
W1 :水
W2 :洗浄水
W3 :排水

Claims (10)

  1. 木質バイオマスの燃焼灰の飛灰からアルカリ金属を除去する方法であって、
    前記飛灰を、5μm以上30μm以下を分級点として微粉と粗粉に分級する工程(a)と、
    前記工程(a)で得られた前記粗粉の表面部を粉砕して粉砕物を得る工程(b)と、
    前記工程(b)で得られた前記粉砕物を、5μm以上30μm以下を分級点として粉砕微粉と粉砕粗粉に分級する工程(c)と、
    前記工程(c)で得られた前記粉砕微粉を塩素源と共に加熱して加熱処理物を得る工程(d)と、
    前記工程(a)で得られた前記微粉と、前記工程(d)で得られた前記加熱処理物とを水洗する工程(e)とを含むことを特徴とする、アルカリ金属除去方法。
  2. 前記工程(d)は、650℃以上1000℃以下の温度で加熱する工程であることを特徴とする請求項に記載のアルカリ金属除去方法。
  3. 前記工程(d)で利用される前記塩素源は、廃プラスチック及び無機化合物塩素が混入された可燃性廃棄物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ金属除去方法。
  4. 前記工程(d)で利用される前記塩素源は、80mm以下の大きさであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のアルカリ金属除去方法。
  5. 前記工程(d)は、前記粉砕微粉の全アルカリ金属成分のモル量(A)に対する、前記塩素源の全塩素のモル量(B)の比率(B/A)が、1.5以上5以下の範囲内で混合された、前記粉砕微粉と前記塩素源との混合物を加熱する工程であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のアルカリ金属除去方法。
  6. 木質バイオマスの燃焼灰の飛灰からアルカリ金属を除去するための装置であって、
    前記飛灰を、5μm以上30μm以下を分級点として微粉と粗粉に分級する第一分級装置と、
    前記第一分級装置で得られた前記粗粉の表面部を粉砕して粉砕物を得る粉砕装置と、
    前記粉砕装置で得られた前記粉砕物を、5μm以上30μm以下を分級点として粉砕微粉と粉砕粗粉に分級する第二分級装置と、
    前記第二分級装置で得られた前記粉砕微粉を塩素源と共に加熱して加熱処理物を得る加熱装置と、
    前記第一分級装置で得られた前記微粉と、前記加熱装置で得られた前記加熱処理物とを水洗する水洗装置とを備えることを特徴とする、アルカリ金属除去装置。
  7. 木質バイオマスの燃焼灰の飛灰からアルカリ金属を除去するための装置であって、
    前記飛灰を、5μm以上30μm以下を分級点として微粉と粗粉に分級する第一分級装置と、
    前記第一分級装置で得られた前記粗粉の表面部を粉砕して粉砕物を得た後に、該粉砕物を、5μm以上30μm以下を分級点として粉砕微粉と粉砕粗粉に分級する粉砕装置と、
    前記粉砕装置で得られた前記粉砕微粉を塩素源と共に加熱して加熱処理物を得る加熱装置と、
    前記第一分級装置で得られた前記微粉と、前記加熱装置で得られた加熱処理物とを水洗する水洗装置とを備えることを特徴とする、アルカリ金属除去装置。
  8. 前記第一分級装置及び前記第二分級装置が回転羽根付きの遠心式空気分級機で構成されることを特徴とする請求項に記載のアルカリ金属除去装置。
  9. 前記粉砕装置がジェットミルで構成されることを特徴とする請求項に記載のアルカリ金属除去装置。
  10. 前記加熱装置がロータリーキルンで構成されることを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載のアルカリ金属除去装置。
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